平成30年度以降の子供の学習費調査に関する研究会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成29年7月7日(金曜日)14時00分~15時30分

2.場所

文部科学省会計課会議室

3.議題

  1. 平成30年度以降の子供の学習費調査に関する研究会について
  2. 調査改善の論点について(意見交換)
  3. 平成26年度附帯調査の結果検証について
  4. その他

4.出席者

 <有識者>

石田賢示氏、岩間晴美氏、佐藤一磨氏、邵勤風氏、土屋隆裕氏、山田哲也氏

 <文部科学省>

氷見谷政策課長、髙橋調査統計企画室長、牧野分析調査官

5.議事要旨


(括弧内は事務局発言)


冒頭、氷見谷政策課長から挨拶があった。また、出席者紹介が行われた。


議題(1) 平成30年度以降の子供の学習費調査に関する研究会について
資料1に基づき、事務局から研究会の運営について説明があった。


議題(2) 調査改善の論点について(意見交換)
 資料2に基づき、事務局から調査の概要について説明の後、改善の論点について意見交換を行った。出席者からの主な発言は以下のとおり。

○ 28年度附帯調査で調査対象者の兄弟・姉妹数を聞いており、これが把握・分析可能な結果になるのであれば良いと思う。
○ 本調査では、世帯内に学校段階が異なる子供が複数いる場合、その支出は子供全員分をまとめて回答するのか。
(調査対象の子供一人に要する支出だけを回答していただいている。)
○ 「調査対象の子供一人に要する支出だけを回答する」という説明が不徹底だと、世帯内の兄弟・姉妹分の支出まで含んだ額が回答されたり、複数の子供の平均値が回答されたりする懸念があるのではないか。
○ 26年度附帯調査結果分析(資料3-2)によれば、「通塾頻度」の項目において約1割の回答に矛盾が見られ、これほど大きな誤差があっては信頼性に疑問がある。回答者によって学習費のとらえ方に相違があるのではないか。
○ 26年度附帯調査結果における「通塾頻度」項目を見ると、通塾している者の割合が非常に低い。附帯調査の対象時期が11月ということだが、この時期に高校生は塾に行かないのではないか。通信講座等、塾の他にも同じ学校外学習の手段があるが、それらをうまく拾えていないのではないか。
○ 26年度附帯調査結果分析(資料3-2)のうち、”通塾頻度”に関する分析は当然の傾向を示すのみであり、特徴的なものとはなっていない。
○ 本調査を利用する立場からすると、保護者が子供の学習に投資した効果を把握できると良い。本調査の本来の趣旨とは離れると思う、「学習費を幾ら投じたらこれだけ学力が向上した」等のデータが示せれば、多くの需要が得られるのではないか。
○ 附帯調査各項目により、学習費支出と世帯の経済状況との関係、弾力性の計算が可能になると思う。また、兄弟・姉妹数を把握することで、子供の数と学習費との関係も分析できるようになる。
○ 調査対象者の兄弟・姉妹がどのような種類の学校に行っているか、公立・私立の区別などの観点は、現在の附帯調査設問では抜けてしまっている。
○ 世帯属性に係る情報をより充実させることを検討すべきである。例えば、親の状況(ひとり親世帯か否か)等の観点の質問も加えると、分析の幅が広がると思う。
○ 本調査では世帯収入状況を調査しているが、加えて金融資産の保有状況を調査すると良いのではないか。例えば貯蓄、有価証券の保有額等だが、世帯収入状況を尋ねる第3回以外の機会に調査すれば、回答者負担の増にはならないのではないか。
○ 他のデータとの連携を考えると良い。学校調査票を作成する段階で、学校が調査対象児童・生徒の学力に関するデータの提供をいただければ、学力と学習費支出の情報とが関連付けられ、分析できるのではないか。
○ 本調査は、世帯の教育に対する支出をきめ細かく調査しており、なかなか得難いデータを提供している調査だと思う。
○ 本調査に類似の調査はあるが、ここまで教育費支出を細かく把握できているものはないと思う。
○ この研究会で、調査票に盛り込むべき調査項目や設問内容について検討するが、結果を政策にどう生かすか、目的を重視して検討していくべきと思う。
○ 本調査は、元々お金のことをメインに考えている調査である。その範囲を広げて様々な政策に生かすことを求めて、学校外活動の実態そのものを把握したいということで附帯調査を行っているとすれば、その内容には疑問がある。例えば、通塾についてなぜここまで調査する必要があるのか。
○ 仮に調査するにしても、通塾の回数と時間どちらを重視するのか、調査の利用目的に応じて考えるべきだ。また兄弟・姉妹の男女の違いを把握する必要が本当にあるのか、兄弟・姉妹との年齢差を細かく聞くべきかについても、その利用目的に応じてどのような聞き方がより適切か考えた方が良い。
○ 本調査は、回答者の負担が大きいことは間違いない。その点を考えながら、新たな質問項目を盛り込むべきか、また、その設問を検討するべきだ。
○ 回答サンプル数が明らかに小さ過ぎる。例えば公立小学校の回答者数は、回収率80パーセント程度とすれば1学年当たり約700人となるが、それだけの数で各学年の学習費を推定していることになる。
○ サンプルを増やす方策を練るべきだ。調査対象となる学校数を増やし、1学年当たりの抽出児童生徒数は据え置く方法が良いと思う。
○ 附帯調査の各項目と組み合わせて学習費を分析するとしても、現在のサンプル数では誤差が相当大きいと思う。
○ サンプル数を単に増やしても、回答者負担の増という問題がある。それに対処するため、例えば保護者調査票を2種類に分け、細かい費目まで尋ねることに特化した調査票と、もう一方で他費目を大まかに尋ねる調査票とし、後者の調査票において世帯の状況等も併せて聞く、といった方法も考えられるのではないか。
○ 本調査では、家計のフローは細かく把握されているが、例えば学資保険など、子供の将来に対するストックとしての支出に対する調査は弱い。これを盛り込むことで、より家計の実情に近づく把握が可能になると思う。
○ 現在の調査方法では、複数の子供がいる世帯の教育費を見積もる場合、それぞれの子供が属する学年のデータを積み上げ、合算することにより計算するのだと思うが、実際の家計では、教育費として使える額が限られる中で、配分してそれぞれの子供の教育費を支出している。よって,今の方法では、複数の子供がいる世帯の家計実態に迫ることができるかは疑問がある。
○ 子供の貧困について考える場合、本調査では世帯収入状況のみを調査しているが、世帯の規模が分からないと、等価可処分所得が推計できない。そうしたデータがある方が、貧困層に近い世帯に関する推計がより容易になるのではないか。
○ 附帯調査項目の通塾頻度について。最近は無償の学習支援サービスを提供する自治体等も増えており、、そうした無償サービスの利用状況を把握することは、子供の貧困に対する行政の取組が広がる様子の把握に資するのではないか。
○ 「学習費」とは何か、を考えたとき、意図的に教育目的だけに投じられる支出と、教育のみに使われるわけではないが、教育には欠かせない物品等に対する支出があると考える。例えば「テレビの購入」は教育目的の支出とは言えないが、テレビを購入せねば教育に関わる番組は視聴できない。こうした、教育にも教育以外にも活用できるリソースに対する投資がどの程度あるのかを把握することも、検討するべきではないか。


議題(3) 平成26年度附帯調査の結果検証について
 資料3-1及び3-2に基づき事務局から説明の後、意見交換を行い、検証の観点は妥当なものとして合意した。また、資料3-2で示された平成26年度附帯調査結果検証を踏まえ、引き続き平成28年度分の検証を次回研究会において実施し、結論を得ることとした。
出席者からの主な発言は以下のとおり。

○ 保護者調査票の回収率は、第1~3回の回数を追うごとに逓減している。途中で提出しなくなった回答者の属性について、傾向を見ることはできるか。傾向を把握できれば、回収率逓減を防ぐヒントが得られるのではないか。
○ サンプル数が十分でないとの分析結果が挙げられているが、サンプル数を増やすことができない理由は何か。
(予算上の制約とともに、保護者・学校の負担増を考慮すると、回答者負担の高い調査でもあることから,安易にサンプル数を増やすことは難しい。)
○ 学校外活動費の公立・私立の支出程度の差は、毎回の調査でこのような結果になっているか。
○ 通塾頻度について、附帯調査の対象が高校生に限られているが、中学生を対象に実施したり、あるいは調査対象期間を11月ではない期間に置いて再度検証したりすることは考えられるか。
(既に行った附帯調査結果以外の枠組みによって改めて調査を行っても、通塾頻度が有意な分析を生み得るかは疑問。)
○ 塾には予備校も含まれるか。
(学校ではなく自宅外で教科の指導を受けるものを、塾として全て含んでいる。)
○ 最終学卒及び希望進路の選択肢において、「1 大学、2 大学院」と並んでいる。大学院が2番目に置かれている理由は何か。
○ 附帯調査の対象は高校生のみだが、本調査に採用するに当たっては幼・小・中にも拡大すると考えて良いか。
○ 附帯調査項目を本調査に採用する場合、設問は平成28年度附帯調査のものがベースとなるか。
(ベースはその通りだが、本研究会での意見を踏まえ、本調査に採用する場合の文言・選択肢は、より適切なものに変えていきたい。)
○ 保護者調査票は回数を追うごとに回収率が逓減しており、一定数が離脱してしまった後の第2回で附帯調査各項目のような属性を聞いても、さほど意味はないと思われる。こうした属性を尋ねる設問を本調査に採用する際は、どのタイミングで尋ねるかを検討することも重要ではないか。


議題(4) その他
事務局から今後のスケジュールについて説明があった。


<以上>

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