検定試験の第三者評価の方向性について(案)

資料1

 


(1)評価の目的 
○ 自己評価に加えて第三者の視点からの評価を受けることにより、自己評価の妥当性が検証され、評価の信頼性や客観性が高まり、検定試験の信頼性の確保や、質の向上が更に促進されることが期待される。

○ また、第三者評価を受けることで、自己評価では気づかなかった今後の改善点が明確になるという利点もある。第三者評価は評価が主たる目的であるが、評価の過程における様々なやり取りが結果として検定事業者に多くの気づきの点を与え、検定試験を「育てる」ために生かされることが望ましい。

○ 評価の実施と結果の公表を通じて検定試験の信頼性が更に高まることにより、検定試験の社会的な地位が一層向上し、検定事業の更なる発展につながることも期待される。

(2)評価の対象 
○ 第三者評価の対象としては、自己評価と同様に、「学習者の学習成果を測り、一定の基準に照らして合格・不合格の決定や達成した水準の程度を示すもののうち、法令等に基づかず、民間の団体が実施する全ての検定試験」が広く想定され、検定事業者は、自らの判断により、積極的に第三者評価を受けることが強く期待される。

○ 特に、企業・学校・地域等広く社会で活用されることが期待される検定試験や国の後援を受ける検定試験は、第三者評価を受けることを基本とすることが適当である。ただし、検定事業者が活用状況を把握しているとは限らないため、こうした検定試験を特定することは必ずしも容易でないことから、その対象範囲の設定に当たってはさらなる検討が必要である。

○ さらに、公的な実施主体による資格試験等においても、ガイドラインを参考にしてもらうことが考えられる。このため、ガイドラインについては、幅広い活用を想定した内容とすることが適当である。

(3)評価の頻度 
○ 中教審答申における指摘のとおり、3~4年に1回程度行うことを基本とすることが適当である。

(4)評価の負担の適正化 
○ 小規模な検定事業者でも受けられるよう、評価の費用の軽減を図るなど、第三者評価に係る経済的負担や事務負担には十分配慮が必要である。このため、検定試験の活用状況等に応じて、実地調査を伴わない書類審査のみによる簡易版の評価も可能とすることが適当である。

○ 他方で第三者評価が事業として成立するためには、多くの検定事業者に積極的に受けてもらえるような工夫が必要。

(5)評価主体・評価者 
○ 検定試験が多様な分野で実施されている中で、適切な第三者評価を行うためには、民間の多様な主体が特色のある第三者評価を実施し、検定事業者がその中から第三者評価機関を選択できることが本来的には望ましい。

○ 評価者として、組織・運営に関する評価については会計と法令の専門家を、また、試験問題に関する評価についてはテスト理論の専門家や当該分野の専門家などを必要に応じて含めることが適当である。

○ 第三者評価機関により、評価者に対する研修が行われるとともに、評価者が一定の知識を得たことを示すことが必要である。また、評価内容に偏りが生じないよう、属性が多様な人々を評価者として選ぶことが望ましい。

(6)評価内容・項目 
○ 評価する内容・項目としては、大きく分けて「検定試験の運営・組織に関する項目」と「検定試験の試験問題に関する項目」に分類できる。このうち、「検定試験の運営・組織に関する項目」については、実施主体、実施内容、実施手続、検定結果の活用促進、継続的な学習支援、情報公開などが考えられるが、具体的な評価項目については、第三者評価機関において定めることとする。

○ 他方、「検定試験の試験問題に関する項目」については、問題項目、審査・採点に関することなどが考えられるが、個々の試験問題の評価には多大な労力と費用を要すること、作問の体制や分析手法の妥当性を評価すれば足りると考えられることなどから、一律に実施を求めるのではなく、パフォーマンス評価を含め、その実施の有無は、第三者評価機関及び検定事業者の判断によるものとすることが適当である。また、主に知識を測定する検定と、主に技能を測定する検定については、それぞれ測るべき指標が異なることに応じて、評価を行うことが必要である。

○ 第三者評価の際に用いる資料としては、検定試験の基本情報、自己評価の結果、検定事業者の基本情報(定款、役員名簿、事業報告書、財務情報等)が考えられる。

○ 評価に当たっては、第三者評価機関が検定事業者に対し、あらかじめ審査の項目、基準、方法を明示することが必要である。

(7)評価結果の公表
○ 評価結果は自己評価と同様に4段階で示すことが考えられ、検定事業者の今後の運営に役立てられるよう改善点もあわせて記述することが重要である。

○ 評価結果は、検定事業者と共に第三者評価機関においても公表することとし、国においても、公表された評価結果について、検定試験の受検者・活用者への周知を促進するとともに、第三者評価の活用に関する広報に努めることが適当である。

(8)自己評価との関係と評価結果の反映 
○ 検定試験の評価は自己評価が基本であるが、その自己評価結果への評価も含めて第三者評価を実施し、それに基づいて検定試験の改善を行うことで、検定試験のPDCAサイクルの質を一層向上させることが重要である。

(9)国の関わり 
○ 第三者評価が社会において普及・定着するために、国は、第三者評価事業を後援することや、第三者評価機関が適正に育成されるための事業環境の整備、第三者評価の結果を受検者等に公表するための場を提供することが考えられる。

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