検定試験の評価等の在り方に関する調査研究協力者会議(第5回) 議事録

1.日時

平成29年4月27日(木曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省生涯学習政策局会議室(東館9階)

3.議題

  1. 検定試験の第三者評価について
  2. その他

4.議事録

【今野座長】
 皆さん、おはようございます。定刻より少し前ですけれども、委員の方、おそろいのようですので、ただいまから第5回検定試験の評価等の在り方に関する調査研究協力者会議を開催したいと思います。お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、前回に引き続き、検定試験の第三者評価について審議したいと思います。
 なお、報道関係者より、会議の全体についてカメラ撮影と録音したい旨申出があり、許可しておりますので、御承知おきください。
 それでは、議事に入る前に人事異動があったようですので、その紹介と配付資料の確認を、事務局よりお願いいたします。

【伊佐敷民間教育事業振興室長】
 4月1日付けで生涯学習推進課長の人事異動がございましたので、紹介させていただきます。萬谷生涯学習推進課長でございます。

【萬谷生涯学習推進課長】
 萬谷と申します。よろしくお願いいたします。

【伊佐敷民間教育事業振興室長】
 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表及び資料1を配付してございます。また、前回の会議で報告いただきました調査研究の報告書が完成いたしましたので、参考としてお配りしております。お手元にございますでしょうか。過不足がございましたら、事務局までお知らせください。

【今野座長】
 それでは、議題1に入ります。本日は、検定試験の第三者評価に関する主な論点について事務局から御説明いただき、それを踏まえて検定試験の第三者評価について項目ごとに分けて御議論いただきたいと思います。
 それでは、事務局から資料1、(1)評価の目的から(4)評価の負担の軽減についてまで、御説明をお願いします。

【伊佐敷民間教育事業振興室長】
 まず、資料1としまして、主な論点という資料をお配りさせていただいております。こちら、これは昨年の5月に出ました中教審の答申のポイントを枠の中に書いてございまして、その下にこれまでの会議で頂いた第三者評価に関する意見の概要を記載するという構成になってございます。
 主な論点の構成としまして(1)から(10)まで、評価の目的、対象、頻度、負担の軽減、実施機関や評価者の要件、評価機関への国の関わり、評価する内容・項目、結果の公表、自己評価との関係と評価結果の反映、その他と分類させていただいております。
 まず(1)から(4)まで簡単に御説明させていただきます。(1)評価の目的につきまして、第三者評価の目的は、信頼性の確保、質の向上を図ることであるといったような御意見、また、第三者評価機関には検定実施団体を育てるという視点が必要であるといった御意見、また、生涯学習社会の実現ということが評価の目標としてあるだろうといった御意見を頂いているところでございます。
 次に、2ページに移っていただいて、(2)の評価の対象でございます。入試や企業の採用で優遇される検定試験にとって、第三者評価を受けることは必要、また民間の検定事業者だけでなく、大学入試や公的な事業者による資格試験など、試験全体についての質的向上を議論していただきたいといった御意見などを頂いております。
 次に、(3)の評価の頻度につきましては、3~4年に1回程度が良いという御意見が多かったところですが、試験の問題内容は1回ずつ違うので、1回ずつ見ることが求められるのではないか、また逆に少し緩く考えておいて、頻度もフレキシブルにしてはどうかといったような御意見を頂いております。
 次に(4)の評価の負担の軽減でございます。こちらは小規模な検定実施団体も受けられるように、費用や事務負担に配慮する必要があるといった御意見を頂いております。こうしたことも踏まえて、前回、全国検定振興機構から、書類審査のみによる簡易版の第三者評価を実施し、その結果についても御報告いただいたところです。
 説明としては以上でございます。

【今野座長】
 ありがとうございます。それでは、これから自由に討議をしていきたいと思います。ただいま事務局から説明のありました資料1に基づき、第三者評価に関する主な論点については、まずは(1)から(4)まで御説明いただきました。まとめて御説明いただきましたけれども、一応、項目ごとに御意見を頂いて、それからまた4項目全体に関わっても御意見を頂ければと思います。どなたからでも結構ですので、御発言をお願いします。
 なお、発言される際は、お手数ですけれどもネームプレートを立てていただき、私までお知らせください。
 それでは、取りあえず(1)の評価の目的の項目ではいかがでしょうか。
 はい、片桐委員、どうぞ。

【片桐委員】
 評価の目的ということで、この四角内に2項目のことが書いてあるのですが、特に第三者の視点からの評価を受けることによりと書いてありますけれども、その前に、第三者評価の目的はどういうことなのかという項目が一つ、入った方が明確にいくのではないかと思うのですね。
 二つの項目はそのまま入れますが、その前に考えられることは、私なりなのですけれども、第三者評価の目的は――その下に書いてありますように、検定試験の信頼性の確保、質の向上を図ること、社会的地位の向上を目指すことであると、評価の目的のことを最初に出されてはいかがでしょうか。その後、第三者の視点からの評価を受けることによって、どういうことか検証され、評価の信頼性が高まる。それから、自己評価では、気づかなかった今後の取組の参考となるということが、より一層明確に浮き上がってくるのではないかという感じがしたのですけれども。

【今野座長】
 はい、ありがとうございます。この資料の作りは、四角の中は答申の指摘がこういうことが書いてありますということですので、これを基にしながら議論をということですね。

【伊佐敷民間教育事業振興室長】
 そうです。

【今野座長】
 それから、その下に各ポツで幾つかありますけれども、これは今まで議論に出てきたものを挙げていただいたということで、これも文言にこだわらず、こういう内容でどうかということで議論していただければ良いと思います。
 今、片桐委員からありましたように、四角の下の一つ目のところでは、第三者評価の目的は、資格制度がうまくいくようにするということだと。資格検定制度の信頼性の確保といったこと、それは入れておいた方が良いだろうということですね。
 萩原委員、どうぞ。

【萩原委員】
 まず、目的としては、当然、事業者としての社会的責任として第三者評価を受けるということで、それが最初のポツのところにもつながってくると思います。事業者として第三者評価を受けることは社会的な責任であるということが、まず、なくてはなりません。
 もう一つ、二つ目のポツで、事業者を育てるというところ、これはとても大事なことだと思います。第三者評価を受け、評価されて終わりでは、育ちませんから、コンサルタント的な機能とありますけれども、改善をしていくための道筋が事業者としては欲しいですね。ここがまだ至っていないけれども、こうすればよくなりますよという道筋が欲しいです。これがとても大事な点だと思いますし、落としてはいけないと思います。
 それから、最後のところで、今まで無批判に受けてきた試験結果に対して、批判的な目を持つこと、と書かれていますが、無批判という表現は、言葉として少し強過ぎると思います。片桐委員もそうだし、宮井委員もそうだと思いますが、自分たちの検定試験に対して、常に客観的な視点を持ちながら今までやってこられたと思いますので、今まで無批判に受けてきたというところは、心情的にも少しきつい表現かと思います。今後、文言はいろいろと変わってくると思いますが、決して無批判ではないということだけ、お話ししておきたいと思います。

【今野座長】
 確かに少しきつい表現ですね。これは議論の中でいろいろ考えていっていただくということにしましょう。
 乾委員、どうぞ。

【乾委員】
 私も、もともと今の萩原委員の御意見と同じ内容ではあるのですけれども、全体に関わってくるとは思うのですが、信頼性の確保を目的とした第三者評価の観点というのと、育成を目的とした第三者評価の観点と、この二つによって、以降の例えば対象であったり、頻度であったり、あるいは第三者評価を受けることによって、検定事業者の方が享受するメリットといったものは変わってくるだろうと思われるのですけれども、ここの2点を明確に分けて議論していった方が良いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

【今野座長】
 今の御意見に対してどうですか。第三者評価の二つの側面といいましょうか、そういう機能があるだろうということで、恐らくそれは項目ごとにその要素、どのようにバランスをとっていくかということはあると思いますけれども。
 柴山委員、どうぞ。

【柴山委員】
 今の御発言にも関わるのですけれども、この協力者会議の役割というのは、そもそもどの辺りにあるのかというのを明確にしておいた方が良いかと思います。例えば、この会議では、論点をいろいろ挙げて、その論点を整理して、この後、親会議にまた上げていくものを今作ろうとしているのでしょうか。
 乾委員の御質問にも関わってくるのですが、この協力者会議が主語になって文言を整理していかないと、視点がぶれて、何を言っているのか分からない資料になるかと思います。その辺り、二つほどアドバイスいただけますか。

【今野座長】
 その辺り、どうですか。

【伊佐敷民間教育事業振興室長】
 この会議については、親会議、中教審の方に結果を報告するということはあるかと思うのですが、会議自体はこの会議で完結して、7月ぐらいまでにまとめるということで考えております。

【柴山委員】
 なるほど、そうですか、ありがとうございます。

【今野座長】
 どうぞ、林委員。

【林委員】
 今議論になっております第三者評価の評価をすることと、育成することとの関係について、前に私が例に出したプライバシーマークというものがあると思うのですが、あの辺は明らかに評価する側は完全に第三者評価機関がやっていて、それに基づいて、その評価に対してどのように対応するかとか、どのように直していけば良いかというのは、別のコンサルティング会社が山のようにあるわけですね。
 そういうことを考えると、評価する側と育成する側というのは、やはり私は分離した方が割とすっきりするのではないかと、プライバシーマークの例を見るとそうだということを、少しお伝えしたいと思いました。以上です。

【今野座長】
 宮井委員、どうぞ。

【宮井委員】
 私も今おっしゃった意見に賛成でございます。当協会の検定試験では、調査研究の中で第三者評価していただいたことがあるのですが、そのときに実地検査される場面がありまして、検査側の方と当協会の担当者が対面して、いろいろ評価を受ける過程があるのです。
 その過程の中で、確かに当協会の検定試験を改善するポイントというのが明らかになり、どのように改善したら良いかというようなことも質問させていただくことによって、アドバイスや何かヒントを頂くということがありました。その辺りまでが第三者評価機関の役割なのかと。
 やはりコンサルティングまで行きますと、変な言い方になりますが、マッチポンプ的な要素が出てきてしまうような気もしますので――すみません、言葉遣いが思い浮かばなかったのですけれども、分けた方が良いのではないかと感じました。

【今野座長】
 第三者評価の基本的なところに関わる問題ですけれども、あくまで機能は別と考える方が良いのではないかということと、信頼性の確保ということがメーンでしょうけれども、育てるという観点も十分入れて考えた方が良いのではないかというような意見の違いかと思いますけれども。その辺り、更に御意見ありますでしょうか。
 乾委員、どうぞ。

【乾委員】
 二つの目的、つまり、実際に大学入試であったりですとか、採用試験を含めて公的に活用されるという場合において必要な信頼性の担保というのと、一般的な検定に対する信頼性の担保というのは、レベルというか、求められる信頼性がかなり異なっているのではないかと思います。そういう意味では、両方に第三者評価というのは関わってくるということでいうと、ここは明確にしゅん別しておいた方が良いのではないかと思うのですが。

【今野座長】
 いかがでしょうか。
 萩原委員、どうぞ。

【萩原委員】
 コンサルという言い方に、言葉として引っ張られてしまうところがありますが。ただ、育てるという観点は検定事業の評価機関としては大事だと思います。評価機関といっても、大学の評価もそうですが、いろいろな評価機関があります。ただ、民間の検定事業の評価機関としては、やはりそういうところに軸足を置いてもらいながら、つまり、育てるという意識を持ちながら評価することが、信頼性を確保し、質の向上の循環につながると思います。
 検定事業者によって、長く何年もやっていらっしゃるところもありますし、日本語検定のようにまだ10年しかやっていないところもあります。そうすると、なかには、まだまだ通常の検定事業として、仕組み上で、もう少し改善していくべきところが見えないこともあると思います。ですから、別にコンサルタント会社的なコンサルでなくても、やはり、育てるという意識を持ちながらやってもらうことが、民間の5,000もある検定試験にとっては、とてもフィットすると思っています。

【今野座長】
 後藤委員、どうぞ。

【後藤委員】
 第三者評価の評価目的というところからすれば、信頼性の確保と質の向上というところが出るかと思います。それと、第三者評価機関という文言になっていますので、そういう意味では、第三者評価機関の目的が実施団体を育てるという部分で、やはり二つに分かれるのかなという感じは持ちました。以上です。

【今野座長】
 他にいかがですか、今の問題。個人的な経験なのですけれども、私どもの大学でも第三者評価、7年に1度でしたか、そういう機会に現地視察で大学の関係者と評価委員の方々がいろいろやりとりをすることがありました。基本的には大学の活動について評価をする。一定の基準からどうだったのかという評価なのですけれども、やりとりの中では、一方的に評価をするということではなくて、ピアレビューというのでしょうか、同業の仲間同士でいろいろなやりとりをするということで、良い悪いは別にして、様々なやりとりをすることで、受けた方も直接の評価以外のところでの気づきだとか、あるいは新しい考え方だとかということがよく分かりましたので、実際の第三者評価の活動の中では自由な議論の中で評価をするというだけではなくて、共に考えていくという機会になって、大学としては非常に良かったという思いがございました。
 特に検定実施団体にも様々なものがあるということですので、実際にやるときには、一方的な評価というよりは、両者で考え方を出し合いながらいろいろ議論する場になるということで、コンサルタント的な機能とまでは行かないのでしょうけれども、検討協議の良い場になる、そんな機能も実際にはあるのだろうという思いはいたしました。
 どうぞ、堀口委員。

【堀口委員】
 検定の実施団体を育成していこう、育てていこうということは、当然入るべきことではあるのですけれども、育てたいという思いは、実施団体の考え方によって、受けとめ方によって、同じ第三者評価を受けている場合でも大きな違いが見えてくるような気がします。先ほど座長が言われたように、それを最初からきちんと、その場でのコミュニケーションをとりながら団体の改善に役立てていこうという、最初からの姿勢があれば良いのですけれども、やや受け身的にこの評価を受けた場合には、同じ内容であっても全く効果が違ってくると。
 ですから、そこまで踏み込んだ育成という部分を表に出されてしまうと、この評価機関の位置づけが非常に難しくなるので、評価する側の育てていこうという精神は非常に大切なのですけれども、それを余り表に出さない方がはっきりしてよろしいのではないかと思いました。

【今野座長】
 ありがとうございます。その他、御意見ございませんか。
 沖委員、どうぞ。

【沖委員】
 今、大体御意見を伺っていて、落としどころがあると思っております。あえて大学や学校での第三者評価のことを一言申し上げますと、先ほど座長が御紹介になったとおりで、日常的な大学の中のコミュニケーションと、あと報告書の中に助言のような形で一言二言、コンサルとは言わないまでも、こういう点についてどうしたら良いだろうかと、報告書の書き方の問題のようにも思いましたので、精神としては育てていく。特にピアレビューという観点から、その業界や資格に関連するものを育てていくということを、中に少し目的としては含みながら、それは報告書の中に基本的にはある水準を超えているかどうかを見せていただいて、超えていた場合にも、場合によってはこの辺を何か改善したらどうですかと書いていただくということで、いかがかと思いました。以上です。

【今野座長】
 はい。

【萩原委員】
 今の御意見に私も賛成です。コンサル的な機能というのは、以前の学習成果活用部会での、私の発言ですが、これは、つまりこういう機能があれば、多くの民間事業者が第三者評価を受けようとするモチベーションが高まるのではないかという思いがありましたし、多くの検定事業者になるべく受けてもらいましょうという流れがあったからです。
 今、沖委員がおっしゃったように助言ということです。ですから、別に別途コンサルするということではなく、第三者評価機関とのやりとりの中で助言する機能、それがあれば良いと思います。ありがとうございます。

【今野座長】
 ありがとうございました。大体そういう方向で一致しているような感じがいたします。
 それでは、時間の関係もありますので、(2)の評価の対象の方、こちらはいかがでしょうか。
 どうぞ、柴山委員。

【柴山委員】
 先ほどからそもそも論のような質問ばかりしてすみません。検定試験という言葉についてですが、検定試験といった場合に、試験そのもの、テストの問題も含めてテストそのものなのか、それを含めての実施団体なのかということが、少し私の中で混乱しております。
 と申しますのは、この間、4月14日ですか、朝日新聞にセンター試験の後継ということで記事が出ておりました。それに対して、センター試験が民間に委託という報道がされていて、これは文部科学省の中で決められたことではないと思うのですけれども、そういうケースを考えると、そういう信頼のある民間に問題を作ってもらって、その問題まで踏み込んでこの第三者評価機構が評価するのか。
 それとも、そういうのは関係なくて、これはやはり全体的に生涯にわたって学び続けることのできる、そういう社会をサポートしていくような新しい制度の設計というのがどこかあると思うのですけれども、そこが本筋、重心であって、入試とかの部分というのは、その中の一つのオプションにすぎないと言うと非常に怒られるかもしれないのですけれども、そういう位置づけだと思うのですね、これから作っていこうとされている制度の中では。
 そういたしますと、問題の一つ一つというのは、確かに大学入試では非常に重要で、出題された問題に間違いがあってはいけないわけです。でも、検定とかいうものに焦点を当てたら、もう少しズームアウトしたところで全体の信頼性を担保するという観点があって良いのかというところです。
 ここで何となく、ぼんやり入試や企業の採用で優遇される検定試験となっていて、それは、分かるのです、常識的にはそういうものだというのがあって。ただ、第三者評価機関の評価の対象といったときには、もう少し厳密に定義しておかないと、先ほどのコンサルタントの機能とかぶるのですけれども、だんだん第三者評価がどこまで評価すれば良いのかというところの境目が分からなくなってくるような気がしまして、意見なのか、質問なのか分からないようなコメントですけれども。以上です。

【今野座長】
 林委員、どうぞ。

【林委員】
 私も柴山委員と同じように、この境目というところでいろいろ違和感があります。ここに書いてありますように、入社利用の採用で優遇される検定試験と言っていますけれども、その線引きって何なのというところが全く分からないというところがあります。検定団体でやっていらっしゃる検定試験が、例えば大学において英語入試で使われるとすれば、どんな検定試験でもそれは入試に使われるわけですね。その線引きはどうなのかというところが、少し分からないというのが一つあります。
 あと、三つ目のことに書いてあります、民間の検定事業者だけでなく、大学入試や公的な事業者にうんぬんと書いてあるのですけれども、民間、我々、割と付き合っているのですけど、民間の厳しいところというのは、やはり駄目だと淘汰されていくわけで、そういった意味では民間の方が結構厳しい状況にさらされているなというのを少し付け加えておきたいと思いました。以上でございます。

【今野座長】
 萩原委員。

【萩原委員】
 柴山委員がおっしゃったところがとても大事なことだと思います。まず検定試験は生涯学習としてやっていますので、そこの軸足がずれてしまうのは、やはりまずいと思います。今、入試の様々な動きがありますけれども、入試に関わることも生涯学習の一つなのですね。ですから、検定事業者としては別に入試だけのために検定試験をやっているわけではないというところが、まずあるわけです。だから、そこに余り引っ張られ過ぎると、どんどん厳しい内容になってしまいます。
 逆に、そのような厳しい内容にしていくと、無理がでてくると思います。検定試験の問題内容まで踏み込んで、大学入試で耐えられるかといったことは、また別にやっていただかないと無理だろうと思っています。検定事業者としては、生涯学習、つまり学校もありますが、地域、家庭もあり、社会人も対象としていますが、そこに軸足を置きながら私たちはやっていますので、そこのコンセンサスをとっておかないと、どんどん引っ張られてしまいます。第三者評価という言葉だけでどんどん厳しくハードルが上がってしまうと思います。
 そうすると、多分、誰もついていかなくなるようなものなってしまいます。ですから、もう少し引いて緩やかなもの、フレキシビリティーのあるものにしていかないといけないと思います。
 今、林委員がおっしゃったように、3番目のところは、範囲を結構超えているように思いますし、この場で議論する範囲ではないと思います。以上です。

【今野座長】
 乾委員、どうぞ。

【乾委員】
 私も柴山委員、萩原委員の意見に乗るような形ではあるのですけれども、受検者の立場から見たときに、資格検定制度というのはそもそも何のためなのかというところでいくと、あくまで学ぶ上、学習し続けていく上での指針や目標がそこで得られるということなのではないかと。
 資格及び検定制度、共にだと思うのですけれども、まず学習をして、実際に合格をすることを目標に自分のモチベーションをかき立てて、合格した後、それを外に表現していくことで活用する、あるいは、それに続いて継続学習をしていくということを最終的な目的とするということであれば、そういう意味では問題一つ一つがどうということよりも、その問題に実際の設問一つ一つに対して、それがどういう教育目的の下に成り立っていくのか、このジャンルの中では何を学ぶべきなのかというところが表現されているかどうかが、大切なポイントになってくるかと。
 あくまで受検者にとって、あるいは生涯学習の社会の実現に向けて、学習者にとってメリットのある第三者評価にしていくことというところを目的の中心にすべきではないかと考えます。

【今野座長】
 ありがとうございます。
 沖委員、どうぞ。

【沖委員】
 今まで委員の皆様方に出していただいた意見に、基本的に私も賛同というか、本当は大学側の立場で、もっと厳しくやるべきだと言うべきなのかもしれませんけれども、御指摘、ごもっともだと思うところです。
 基本的に学校や大学側からこういう資格検定を使わせていただくときには、高校の学習の動機付けや、場合によっては単位の振り替えの一部のようなものに考えるという場合と、大学入試で使わせていただく場合と、大学入学後の単位の一部であるとか、振り替えとか、卒業の要件の一部に入れるというような考え方になるかと思います。
 そうすると、もう既に現行で進めておりますとおりなので、それなりに信頼性の高いものについて自己点検をして、評価をしていただいた上で、それが確実であるというふうに我々が活用させていただくときに、なるほど、こういう根拠があるのだということが分かれば良いわけです。ですので、細かいところまで何か厳密に一問一問という話ではなくて、そもそも目的がこういうところで、だから、うちの学校ではこういうところに使わせていただこうというような関係で検討してきました。そして、今後も、こういう第三者評価が入ったとしても、そのときの判断の基準になるものだと理解しております。
 したがいまして、少なくとも単位認定や卒業要件として考えるときに、がちがちなものにする必要はないのですが、ただ、そのときに高校の場合には学習指導要領と多少関係してくるので、それを御説明いただけるような何かが出てくると、学校側も大変使いやすくなります。
 英語や他の外国語の試験というのは、今回の入試改革の中では、民間委託というか、今までの大学入試センターで作っていた試験を振り替える、代替するものとして考えたときには、相当厳しい基準を満たさないといけないのかどうかという議論になることも考えられますが、恐らく文部科学省が認定するというようなプロセスになるので、必ずしも第三者評価が要るわけではないかもしれません。
 当然準備は相当丁寧にしていただき、学習指導要領に準拠しているものでなければいけないのですけれども、その場合は、第三者評価を使うというよりも、文部科学省の中で大学入試室等と調整をしていただく必要があるのかもしれません。いずれにしましても、第三者評価の項目で余り細かくみるというよりは、基本のラインを超えていると、使っても問題ないということを示していただくようなものとして設定していただくということでよろしいのではないかと思っております。

【今野座長】
 ありがとうございます。
 片桐委員。

【片桐委員】
 ここで私が考えますのは、検定試験と、それからもう一つの資格検定というふうに二つ言えると思うのです。検定試験というのは技能検定をやられている団体におかれましては、その力をいかに持っているのか。例えば英検だったら、英語力をいかに保持しているのか。私どもの書写技能検定は、いかに書写力を持っているのか。これが検定試験なのですね。それを生涯学習社会の中にこれから生かしていくには、どういった優遇策がとられるのかという観点にしますと、そこだと思うのです。ですから、ここで入試や企業の採用で優遇される検定試験に通ってということは、優遇される場合にその資格がどのようにこれから社会で生かされるのかと理解してもらえば良いと思うのです。
 検定試験というものは、そのものは実技と理論のそれぞれの力をその人がどれだけ持っているのか、それを証明する団体、技能団体だというふうに、その辺は分けられると思うのですね。そういう観点で持っていったら良いのではないかと思います。

【今野座長】
 ありがとうございます。
 後藤委員。

【後藤委員】
 先ほど入試、あるいは企業採用ということですけれども、送り出す側としては、本当にこれは検定試験の――線引きは難しいところですけれども、活用される部分で、先ほどの目的にあったように信頼性とか、そういう部分が保障されて、活用されていくことは非常に効果があると思いますし、乾委員からあったように学習者にとってのメリットというのは大きいと思っております。
 ただ、余り偏り過ぎてしまうと、そこは評価としての偏りとか、そこの部分が出てしまうので、私も皆さんの考えの中では同感であると思っています。ただ、今片桐委員からあったように、技能の部分では技能力がどの程度付いているのかというのは非常に大事な部分ですので、その部分についての評価力というのは、この第三者評価というのは受けるべきところかと考えています。

【今野座長】
 ありがとうございます。
 ここでは、生涯学習社会の推進の中で果たす役割、検定試験等の役割が非常に大きいので、一般にその四角の中にもありますように、広く社会で行われている民間の団体が実施するものが対象だというところが基本であります。ですので、特に三つ目のところ、幅広く議論も必要があるのではないかという意見も、もちろん出ていたので、ここにあるわけですけれども。民間の検定について議論をするときに、少し視野を幅広く見てということだったと思いますので、本体のところでは、評価の対象としては入試のそのものには直には関わらないということでよろしいのだと思いますけれども。
 柴山委員、そのような理解でよろしいですか。

【柴山委員】
 はい、どうもありがとうございます。

【今野座長】
 まだありますか。
 宮井委員、どうぞ。

【宮井委員】
 三つ目のポツのところなのですけれども、もともとこの会議自体も、この前身のいろいろ議論していた会議でも、民間の検定試験に対しての検討でございました。例えばこういった第三者評価制度ができた場合には、そこにとどまらずに、既にいろいろな試験制度によって機能しているところ――それが一番代表的なのは大学入試というのが挙げられたのだと思うのですけれども、その大学入試の試験についての評価も積極的にやっていった方が良いのではないかという御意見から、多分この1行が加えられたのではないかと、私は認識しております。
 ですので、今回のこの会議でどこまでを議論の範囲にするかはございますけれども、民間の検定試験の試験内容だけ厳しく評価していこうということではなく、日本にある試験は全部同じようにこの機会に見ていったら良いのではないかという御意見が基にあって、私もそうではないかと、そのときに実感しております。
 少しそういったことをお伝えしたいと思います。

【今野座長】
 やはり全体、いろいろ幅広く、その中で民間もという感じですか。

【宮井委員】
 はい、その試験ということですね。試験の利用方法ではなく。

【今野座長】
 どうぞ、乾委員。

【乾委員】
 今回の協力者会議からアウトプットを出すという際に、第三者評価の制度というのが今後長く使われ続けていくことというのを目的としてお話をするということだと思うのです。そうなっていくと、考えなければいけないというところが、受検者や、活用者にとって考えると、今後、長いスパンで考えると、日本に既にある検定を必ずしも使うとは限らないわけですね。
 海外事業者の検定を使う。あるいは、今はないけれども、今後、新しい技術ができてきたものに対して使うということが考えられるときに、いわば今、目の前の入試であったりとか、そういった制度だけを見て作るというよりも、今後できてくるものや、海外のものを採用するためには、こういう指針を持っているべきだという、そういう基準というのも必要ではないかと。
 そうでないと、この制度ができたとしても、受検者や活用者からかえって置いてきぼりにされてしまったりするようなリスクもあり得ると考えます。

【今野座長】
 はい、柴山委員、どうぞ。

【柴山委員】
 検定試験にやはりこだわってしまうのですけれども、例えば今、乾委員の方から御発言があった海外の検定というのと、もう一つ、企業の採用試験なんかはこの検定試験に含まれるのですか。それはまた別ですか。何か、そのように、やはり線引きをやっておかないと。企業の採用試験なら、入試というか、個別入試の方の試験と同じ位置づけで考えることはできますね。その大学に必要な学生かどうか、その企業に必要な新卒者かどうかという形で、ほぼレレバントに考えられるのですけれども、そこまでこの第三者評価の対象にして良いのかどうかという、その辺りですね、すみません。

【今野座長】
 四角の下の1番目に、入試や企業の採用で優遇される検定試験については、第三者評価はしっかりとやりましょうねということが書いてあります。特に今、入試や、企業でも活用されるようなことが多くなっているので、一層第三者評価が大切になってきますねということを書いただけではないでしょうか。

【柴山委員】
 そうですか。例えば試験の名前として、その試験が検定試験であると名乗っていれば、それは第三者評価の範囲に含めるという方がよろしいですかね。余りこれ、やり出すと、多分議論が尽きないと思いますので、ここで私自身はやめます。

【今野座長】
 この間の委員のお話では5,000もあるということですから、非常に幅の広いところで、どの辺りまでターゲットになるのか。一応、我々はそういう生涯学習社会を推進する上で役に立つ機能を持っている検定試験制度を念頭に置きながら、しかも、乾委員の話では、その先、新しいものが出てきても対応できるようなパースペクティブでやった方が良いと、当然そうでしょうね。
 対象は民間の団体だけだと幅が広過ぎるのか。もう少し限定しないといけないでしょうか、その辺りどう考えていますか。

【伊佐敷民間教育事業振興室長】
 中教審の答申では、この机上資料のファイルの5の答申の41ページというところにあるのですが、41ページの下の方から42ページにかけてです。学習者の学習成果を測り、一定の基準に照らして合格、不合格の決定や、達成した水準の程度を示すもののうち、法令等に基づかず民間の団体が実施するものを、この答申の対象とする検定試験として位置づけると書いてございます。
 ということなのですが、前回の発表の中で、もう少し幅広く試験全体についても、この第三者評価の枠組みを参考にしてもらうことも考えられるのではないかといったような御意見があったので、この(2)の三つ目のポツが今回加わっているということでございます。

【今野座長】
 御意見いかがでしょうか、評価の対象の部分。
 乾委員。

【乾委員】
 ということは、こちら、四角の中には、法令等に基づかず民間の団体が実施するものというところが抜かれておりますけれども、より重要な観点としては、この前半部分の学習者の学習成果を測り、一定の基準に照らして合格、不合格の決定や、達成した水準の程度を示すものという方が大切ということですよね。その上で、この第三者評価制度を活用していただけるのは、恐らく民間の団体が実施するものであろうというような。それは両面あるとは思うのですけれども。

【伊佐敷民間教育事業振興室長】
 そうですね、前段の部分の方が。

【乾委員】
 前段の部分があって、民間の検定試験を対象とするものの、それを公的な団体が実施するものが第三者評価を受けることを妨げるわけではない、そういうような理解であればスムーズに行くのかと思うのですが。

【今野座長】
 実際に民間のそういう団体が率先してこれを活用しようとなってくれると良いし、それを目指して制度化をする必要がありますね。

【乾委員】
 そうですね。

【今野座長】
 それでは、また後で帰ることにして、時間の関係もありますので、(3)に行きましょうか。評価の頻度、これはいかがですか。
 これまでの議論で、3~4年に1回ぐらいというのが大勢だったと思いますけれども、意見の中では、試験問題については毎回違うので、毎回見なければいけないのではないかという意見もありましたし、先ほど来の御議論で、問題そのものについては余り細かく見るのもどうかということもあるようです。これはいかがでしょうか。
 柴山委員。

【柴山委員】
 これも、問題内容というのを踏み込むと、本当にコストが大変なのですね。それで、教育測定とか、テスト理論とかいった立場から申し上げますと、それは信頼性係数とか、そういった統計指標がございますから、それで見ていけば、本当に悪い問題を出したり、選択肢が一つのはずなのに二つ正答があったりすると、指標の数値がおかしくなります。これは、経験的に明らかですので、あくまでも実施団体の方から積極的にそういう指標をホームページか何かで公表していただくということで、一個一個の問題についての吟味というのは、毎回、毎回やる必要はないと思います。
 やはり四角の中に書いてございますように、3~4年に1回程度、本当にきちんとやっているのか、そういう統計指標をきちんと出しているのかというような、内容的なところをきちんと押さえておけば、あとは企業の方にお任せてしておく方が、私はコストパフォーマンスの面ではリーズナブルだと思います。

【今野座長】
 萩原委員、どうぞ。

【萩原委員】
 私も柴山委員と同じ意見です。先ほどの議論の中でも申し上げましたが、問題の良し悪しなどの、内容を見ることは、実際には現実的ではないと思っています。例えば私どもの日本語検定で言えば、各々の問題が本当に日本語の能力を測っているのかというところまで評価していくことになりますが、無理があると思います。もちろん、できる検定もあるのかと思いますが。
 それから、日本語検定は年2回実施ですけれども、毎月、検定試験を実施している事業者もございます。そうすると、毎月、12回、毎回、第三者評価を受けるというのは現実的ではないと思います。
 問題をどのようなプロセスで、どのような分析手法を使って作成しているか。また、問題を作成する場合でもPDCAがあるわけですから、そこをきちんとやっているか。どのような分析ツールを使っているかとか。そのようなことは評価していただけるかと思っております。私も3~4年に1回が適当だと思っております。

【今野座長】
 片桐委員、どうぞ。

【片桐委員】
 私も3~4年に1回程度がよいということで、これで良いと思います。というのは、技能検定の団体は常に自己評価をするということが、この会議でも前にもありましたけれども、常に見直しをしていかないと、団体は非常に大変なのですね。それが信頼性に結びつくということであれば、なお一層重要視されるので、その中で一番大事なのは試験問題の作成なのです。
 現代の社会において、いかに試験問題を取り入れて、流行を取り入れ、社会のニーズに合うような問題作成というのが一番大事なのですね。そうしますと、毎年やっているのでも駄目だし、やはりサイクル的には、その見直しの期間ということであれば、3~4年というのが一番妥当ではないかと思っております。以上です。

【今野座長】
 ありがとうございました。 宮井委員、どうぞ。

【宮井委員】
 同じ意見なのですけれども、今ここには検定実施団体6者がおりまして、私も6者目なのですけれども、御意見に賛成でございます。3~4年に一度というのは適当な時期、機会かと思います。
 それから、試験問題については、柴山委員がおっしゃったように、内容まで踏み込むと個別の検定試験ごとに全く測っていることが違うので、それよりもテスト理論に基づいた妥当性があるといったことが分かる統計処理することをきちんとやっていくことが必要ではないかと。
 それは、試験回ごとにやるべきことだと思いますので、その結果をためていく。年に1度は自己評価を試験実施団体はやっております。多分、自己評価をやっていないと第三者評価に申請できないと思いますので、その自己評価の中で、例えば試験の問題制作のプロセスとか毎回の試験結果の統計的なデータを出すとか、そういったことをすることでカバーできるのではないかと思います。ですので、自己評価の項目を少し追加することも良いのではないかと思いました。以上です。

【今野座長】
 他は、よろしいですか。
 それでは、(4)、負担の軽減の関係です。ここはいかがでしょうか。
 林委員、どうぞ。

【林委員】
 同じく、先ほどの(2)の評価の対象と同じなのですけれども、やはり明確でないと思うのは、入試で評価を用いる場合の検定試験とは何なのだろうというところの切り分けが相変わらず分からないというのが、疑問点であります。

【今野座長】
 入試のときに活用してもらっているかどうかは、実施主体の方からは分からないのですね、本体はね。

【林委員】
 そうです、利用者がどのように活用するか、ということになるので。

【今野座長】
 大学の方が、これは使ってみようと思えば、入試で活用されている検定試験となる、ということですね。

【林委員】
 だから、全部が対象になるのだろうと思っていまして。

【今野座長】
 それだけ社会的な責任も大きくなるという趣旨だと思いますので、またそれらについては全体で議論したいと思います。
 それでは、事務局の方から次の項目、(5)から(7)について、御説明をお願いします。

【伊佐敷民間教育事業振興室長】
 次に(5)、3ページでございますが、こちらの評価の実施機関や評価者の要件というところでございます。まず、評価の手法としましては、検定試験が信頼されるためには、テスト理論の科学的な論拠に基づいた裏づけも必要という意見がある一方で、テスト理論は、一つのツールとして捉えて評価をしていくべきといったような御意見も出てございます。
 また、評価のコストとしまして、第三者評価はコストが一番大変だろうといったような御意見、特に質的評価は初めてであり、人的資源にコストが掛かるだろうといった御意見などを頂いております。
 次に、評価を行う人材でございます。評価者を集める際には、バックグラウンドは多様な人々を選ぶように工夫が必要と考えられるといったような御意見ですとか、評価者の研修制度が必要、また評価者が一定の知識を得たことを証明することが必要といったような御意見などを頂いております。
 次に、パフォーマンス評価とその課題です。パフォーマンス評価については、記述式問題などについてどう判断するかが課題である、また評価者への信頼、質の担保が重要であろうといった御意見を頂いております。また、新学習指導要領ではアクティブ・ラーニングのような活動とその評価が各学校で求められるようになるが、検定試験でも実技など、技能のパフォーマンス評価をどうするかという課題が出てくるので、評価者プラス手法の部分を確立する必要があるといった御意見を頂いております。
 次に、(6)評価機関への国の関わりでございます。国は、直接第三者評価に関わるものではなく、一定の基準を提示するという形が考えられ、第三者評価の方向性を示すこと、事業環境を整備すること、その第三者評価の結果を受検者等に公表するための場を提供することが国の役割であるといったような御意見を頂いております。
 次に、(7)評価する内容・項目でございます。こちらにつきましては、第三者評価の推進に当たり今後必要なこととして、検定実施団体に対して審査の項目・基準・方法を明示すること、また、作問体制・問題内容の審査に対する考え方や機密保持に対する考え方を整理することであるといったような御意見を頂いております。
 また、試験問題についての評価については、問題内容を評価するときは評価者の価値観が入ってくるので、作問時の体制の妥当性を評価するというやり方で、問題を直接見ないようにしてもよいのではないかといったような御意見がある一方で、問題内容の一つ一つについて見ておくことが求められるといったような御意見も頂いております。
 以上でございます。

【今野座長】
 ありがとうございました。
 それでは、御意見を頂きます。いかがでしょうか。取りあえず(5)の中、手法、コスト、人材、パフォーマンス評価等々、いろいろあります。いかがでしょう。
 柴山委員、どうぞ。

【柴山委員】
 (5)なのですけれども、そこの中のパフォーマンス評価というのは、これは私が前回発言させていただいたものを書いてくださったと思います。それで、パフォーマンス評価なのですけれども、これは、片桐委員が先ほどおっしゃった技能力と言ったり、スキルと言ったり、リテラシーと言ったりして、それぞれ微妙に違うものなのですけれども、でも、人間が実際にやって見せたものをパフォーマンスと言っているということで、記述力を見ると、これもパフォーマンスですね。
 ということで、この辺りも言葉を、やはり一つの言葉で大体その辺りのことを表現しているのだということで、統一されておいた方が良いのかなというのが一つございます。
 それと併せて、やはり(5)の中でしたでしょうか、質的評価という言葉もその上に出てきております、評価のコスト。この質的評価という言葉も、これ、私が申し上げたものかどうか記憶に定かではないのですけれども、もし私が質的評価という言葉で表現したとしたら、これは先ほど申し上げた技能力とか、パフォーマンスアセスメントとか、そういったものに対する評価という意味であって、いわゆるテスト理論の方から見る統計的な指標ではないということになります。この辺りも言葉を明確にしておかないと、評価の場合に団体の組織自体に対する評価と、それから検定試験と言われる評価が二つ大きくあって、その検定試験の中にもいわゆるペーパーテストで測ろうとする検定、それから、パフォーマンス評価とか、技能力とかいった場合の、その人に実際に、やってもらって、それをひとが評価するという、その二つの更に分類があると思います。その辺りの切り分けも重要かと思います。これはコメントです。

【今野座長】
 林委員、どうぞ。

【林委員】
 (5)にまいりますが、まず評価の手法に関しましては、先ほど柴山委員も信頼性とおっしゃっていただいていたのですけれども、テストの概念として信頼性とか妥当性という観点があると思うのですけれども、大体テストのそういった用語すら、恐らく一般的には皆さん、認知されていないと思うので、第三者評価をやることによってそういった概念があるのだということが分かること自体が、まず一歩前進だということを私は思いました。
 あと、評価のコストに関しましては、やはり第三者評価自体が高価だとみんな二の足を踏んでしまうし、本当に自分たちの検定試験を良くしようというところは、その後、改善の方に投資すべきだと思うので、これは少し安めの方が良いのかという気がしています。
 評価を行う人材ということに関しましては、前回、柴山委員もおっしゃっていましたけれども、そういった人材がほとんどいないということは明らかです。そのために、柴山委員とか私たち、日本テスト学会というテスト理論とかに特化した学会を作っており、そういったところの人材は結構こういうことを研究している人が一杯いますので、活用していただければ話は持っていけるかと思った次第でございます。以上です。

【今野座長】
 後藤委員。

【後藤委員】
 パフォーマンス評価については非常に難しい側面を持っているところですが、ここにも記述式問題というのが書いてあるのですが、どちらかというと技術、技能という部分の作品だとか、そういうものを作り上げていくところの評価ということで非常に難しさを持っているかと思います。
 そういう意味で、本協会などはルーブリックを作成するなどして、いわゆる測り得ない評価を共通で見られるような視点を一つに作り上げて、評価をしていくという取組を今研究しているところでございます。そういう意味で、これから、このことはアクティブ・ラーニングのような視点を持った教授法というか、そういうものが確立されてくると、よりパフォーマンス評価というのが高いものになっていくかと思いますので、そういう意味でルーブリックか、それから、自己評価を見る部分というところ。自分自身、学習者が自分が見るという部分も評価に加えていくというのも大切かと思っています。

【今野座長】
 乾委員、どうぞ。

【乾委員】
 この(5)の項目というのは、(7)の方にあります評価する内容として、実際に今おっしゃっておられたような、問題の内容、試験の内容に踏み込んでの第三者評価を実施するかどうかによって大きく変わってくると思いますので、(7)から先に話していった方が良いのではないかと思います。いかがでしょうか。

【今野座長】
 そうしましょうか。それでは、先に、一緒でも良いですけれども、(7)も含めて、御議論いただければと思います。
 引き続きどうぞ。

【乾委員】
 この中に二つの観点が混じっていると思います。内容に踏み込むのかどうか、それ次第で、実際に評価できる人材が育つかどうか、あるいはそれに対するコストがどうかというのも変わってくることになるだろうと。実際、例えば混合ということになっていったときに、前回の議論の中にありましたような、例えば新しい内容について日々検定団体の方ではアップデートされておられる。その内容についてということであれば、受検者や活用者の方からすると、評価する方よりも、恐らく検定団体の方の方が信頼性が高くなると思うのです。それ以上に信頼性の高い方というのは、世の中に恐らく存在しないであろうと。そう考えると、内容についての評価を実施すること自体が、語義矛盾に陥ってしまうような感覚がいたします。
 ただ、試験の運営であったり、問題の作成であったり、評価の実施ということであれば、これは先ほど来おっしゃっておられたテスト理論であったり、組織運営というものでいうと、内容についてのスペシャリストである検定団体とは異なる専門家の方がいらっしゃるので、その方々の力を活用して、内容についての専門家である検定団体の信頼性を上げていこうというような、そういう体制の方が望ましいのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。

【今野座長】
 いかがでしょうか。
 沖委員、どうぞ。

【沖委員】
 ありがとうございます。今の件に関して、基本的に私も同意見といいますか、恐らく人材であるとか、内容も含めて大きく二つで、テストやパフォーマンスの評価をするというのは、正にテスト理論の専門家の方が何人かは入っていただくということと、マネジメント、運営等の点で、それを見られるような知見のある方というのが組になるということが必要なのだろうと。
 これは恐らく大前提として、先ほども既に宮井委員からもお話があったかと思いますけれども、学校や大学等で行っている第三者評価は、基本的に自己点検、自己評価がきちんと行われているかどうかを見るというのが第三者の役割であって、同じことを詳細に第三者が見直すという話ではないと。それがしっかりと動いて、基本的には専門家である、この場合ですと事業者の皆さんがきちんとやっている、それを自己評価で確認していって、それがきちんとなされているのであれば、当然運営もできているということを外部の人間として見るというような構造になっている。
 そう捉えるとしたら、それを見るときに、自己評価の部分のテストの問題、評価の問題を外部から見るということと、試験当日や、全体としての運営が書かれているとおり行われているかという形で見れば良いのかと。そういうことで、時間やコストの問題を考えると、詳細をやるよりは全体をきちんとつかまえられる、あるいは妥当性をしっかりと見られるという人たちがいれば良いわけですし、それがこの評価内容、項目にも直接関わってくるかと思いました。以上です。

【今野座長】
 ありがとうございます。
 そうすると、大体個々のテスト問題そのものについての評価は基本的には対象としない方向で考えるべきだということですね。
 では、そういう考え方の上で、(5)、(6)、(7)、改めて御意見を頂きたいと思います。話の中では、パフォーマンス評価とか、質的評価とか、ルーブリックなんていうことがありましたけれども、それで少し言葉の範囲をしっかりさせながら最終的には報告書を書いたりしなければいけないと思いました。
 はい、柴山委員、どうぞ。

【柴山委員】
 (6)の評価機関への国の関わりのポツの2番、税金でやろうという感覚はよくない、検定団体自らが必要と思うような評価組織が必要というのは、これは具体的に、検定側の団体が例えばお金を出し合って何かそういう組織を作って、それでやるというような意味で書かれているのかどうかというのが、よく分かりません。
 アメリカの法科大学院のこういう共通試験をやっているLSACというのがあるのですけれども、そこは北米のカナダも含めて200法科大学院がお金を出して、それでなおかつ年4回、ローリングアドミッションというのでやって、そこでまた利益を上げてという感じで回しているのですけれども、そういうニュアンスでここの文章を捉えて良いのかどうか。その辺りも何かございましたら、教えていただければと思います。

【伊佐敷民間教育事業振興室長】
 こちらについては、基本的に第三者評価の実施について、国が国費を出すということはないだろうと思っております。考えられるのは、確かに今おっしゃったような、各検定団体が幾らか会費を出して成立している団体が行うとか、そういったことが考えられるのかと思っております。

【柴山委員】
 ありがとうございます。

【萬谷生涯学習推進課長】
 更に補足させていただきますと、ここの四角外のポツのところは、基本的にこれまでの会議に出た御意見を記載しているものですから、この2つ目のポツの趣旨について必ずしも正確に我々が申し上げられるわけではないです。ただ、中教審の答申が上の四角の中にありまして、そこでは、国の役割として評価事業を後援するとか、ガイドラインを作成するというのが役割ではないかと書かれている上での御意見だと受けとめております。
 したがって、ここでは実際の第三者評価を行う場合の費用負担の在り方について、どうあるべきなのかという御意見だと受けとめております。

【柴山委員】
 ありがとうございます。

【今野座長】
 他にいかがでしょうか。
 改めて(7)も御意見、いかがでしょうか。
 柴山委員、どうぞ。

【柴山委員】
 この評価の内容項目なのですけれども、これは一言で言えば、プロダクトの評価ではなくて、プロセスの評価の方に持っていった方が良いと、私自身はかねてから思っております。先ほどの沖委員からも御発言がありましたように、そういうような人が担保できている仕組みになっているかどうかというところで第三者評価というのはしていった方が良いかと思います。
 本当に第三者評価がプロダクトの方に入ると、その生産された商品は本当に信頼性があるのか、ないのかということは、これは工業製品でもやりません。抜取りでやって、実際にきちんととできているということをやったとしても、それはプロセス管理というか、プロセスの評価ということで良いのかなと思います。

【今野座長】
 団体が自立的にきちんとプロセス管理できるようになっているかどうか、そういう仕組みをチェックするという観点でやるべきだということですね。

【柴山委員】
 はい、そうです。

【今野座長】
 他にいかがでしょうか。
 乾委員、どうぞ。

【乾委員】
 先ほど来の第三者評価に関わるコストをどこが負担するのかという観点について、こちらがしっかり設計されていないと、今後持続的に回ってまいりません。そうすると、結局は負担する人というのは、この制度に対しての一番の受益者が良いわけです。受益者として今想定されているのが、今回の場合は検定事業者の方々という形になるのですけれども、そうした場合に、その得られる益、メリットというのは一体何なのかを改めてお伺いしたいです。
 第三者評価を検定事業者が受けることで、一体どんなメリットが得られるのか。そこが明確ではないと、今度は、検定事業者の方々自体が第三者評価にコストを拠出することに対して、ステークホルダーの方々への説明責任が生じることになるでしょうし、その辺りは明確にしておくべきなのか、御質問させてください。

【今野座長】
 萩原委員、お願いします。

【萩原委員】
 メリットは何かというお尋ねですが、まず、本日の議論の最初のところで申し上げましたが、事業者として、社会的責任としてやるべきであるということが大前提としてございます。まずそこが前提としてあるのですが、メリットということであれば、先ほどの沖委員がおっしゃったような助言をもらえて育っていくということが、メリットになっていくのだと思っています。
 ですから、自己評価をきちんと実施しています、自己評価どおりにきちんと検定事業をしています、また、検定試験の作成のプロセスにも問題ありませんということだけでなく、柴山委員がおっしゃったような気づきを得たり、また助言を頂いて、更に改善をできるということがメリットだと思います。また、改善がすることで、効率的に運営できるようにもなると思います。得られるメリットというのは、そういうことだと思います。
 ただ、前提としては、やはり事業者としての社会的な責任としてやりますというところは、まず出発点ではありますけれども。

【今野座長】
 協力にお金を出して、みんなでそういう仕組みを作るだけの価値があると、皆さんに認識してもらうようにならないといけないですね。
 どうぞ、乾委員。

【乾委員】
 その辺りが具体的になかなかイメージできないもので、こちらが、例えば株式会社が実施している検定も幅広く対象になっていくわけで、そうなっていくと、社会的責任のために……。コストというのは具体的な金額が出ていく形になりますし、人的工数も出ていく形になります。先ほど萩原委員がおっしゃったような、同じコストであれば、それを検定そのものの将来の改善に使った方が、検定事業者にとっては良いのではないかと。
 受検者から見ても、評価を受けるためにお金を使っている検定団体よりも、将来の改善のためにだったり、情報収集であったりとか、そういったことのためにお金を使っている検定団体の方がより望ましい団体と言えてしまうのではないだろうか、少し極端な言い方をしてしまえば。
 それに対して、本当にお金を出すだけのメリットのある第三者評価というものが、なかなか考えづらいですね。大学評価というのは明確で、この第三者評価を受けているかどうかで、どれだけの助成金が入るか、あるいは様々な競争的資金についても、そこが明確に関わってきます。福祉団体の場合であれば、それによって事業者選定の際にどのように変わってくるか、選ばれるかどうかは変わってきます。
 今回のものであれば、例えばいろいろな場面で公的な団体で使われやすくなるということが具体的に想像できないと、このコスト負担に対して、社会的に幅広い納得感が得られないのではないかと、そこを一番危惧する次第でございます。

【今野座長】
 林委員、どうぞ。

【林委員】
 私も乾委員がおっしゃるとおりだと思っております。世の中にいろいろな個人情報とか、情報管理等に関する同じような資格がありますね。あれは何で企業が大金を投じてそれを取得するかというと、やはり名刺に刷りたいというところがあります。名刺に刷ると何がメリットかというと、事業を推進していく上で一つの信用度が増すとか、あるいは最近では、公共事業等の入札案件に対して、それが必要条件になっていることが多くなってきたりして、そういう必要があるから、多分投資するのだと思うのです。
 今回やっている第三者評価でやったものに対して何かそういったマークが付くとすれば、それが本当に必要とされるような世の中になることが望ましいのだと思っているのです。どこまでそういう社会が本当に醸成されるのかというところが少し不安であることはあるのですけれども、そういう観点なのだろうと思います。事業者のメリットとしてはですね。以上です。

【今野座長】
 柴山委員、どうぞ。

【柴山委員】
 確かに企業、団体の方から言うと、コストというのはものすごくシビアに問われることで、そこのところはおっしゃるとおりだと私も思います。ただ、この検定の第三者評価が必要だということになってきた大きな社会的な流れというのを考えてみますと、例えば日本というのは高度経済成長のときに工業製品の品質がすごく上がっていって、あのときもこういう質保証というので、そういう関連団体がどんどんできていったわけです。
 これはアメリカの統計なのですけれども、1900年代初頭は、いわゆる知的産業に就いている人口比が確か3%だったのが、今や40%ぐらいの比率になっている。なぜかというと、社会が進んでいって、すごく抽象的な能力を持っていないと、あるいは育てておかないと仕事ができなくなっている、そういう社会に来ているというところなのです。恐らくこの検定というのは、一つの側面として、これからどんどんその方向に進んでいくと思うのですけれども、そういうときにしっかりと客観的なデータとして――今はやりの言葉で言えばエビデンスですが、それで担保していく、それこそ人材の質保証の役割を担っているのだと私自身は思っています。
 ですから、確かにコストとかいうのはシビアな問題だとは思うのですけれども、次の、もう来ているのだと思うのですが、来るべき社会の中でこういう役割を担う組織というのはやはり私は必要だと思います。少し違う角度からの発言でございます。

【今野座長】
 ありがとうございました。
 沖委員、どうぞ。

【沖委員】
 ありがとうございます。コストの件ですけれども、先ほどから出ている大学評価は実は法制的に義務化されている部分があって、全体としてやらざるを得ないということですので、その中でどう使うかという話になっております。
 一方で、小中高、初等中等教育の学校評価でも自己評価、あるいは関係者評価は義務化されていますが、第三者評価は義務化されていないのですね。やっている県や、市町村や、個々の学校で必要だと思ってやっている、相当お金をかけてやっているところもあれば、無理だということでやっていないところもある。正に今回危惧されているような状態が起こっているわけです。
 ただ、やっているところは、なぜやるかというと、やはり先ほどの助言であるとか、改善のPDCAサイクルを回していくために客観的な目が必要であるという考え方で行っているというのが一般的です。今回も、例えばできれば全ての検定、評価試験等で導入されることが望ましいとは思いますけれども、恐らくいろいろな考え方であるとか、検定の内容そのものによって、余り要らないだろうとか、やる意味がないとか、あるいはコストの面で不足していると。
 ただ、一方で、そういうことを是非改善を図っていきたいとお考えのところは、正に団体や、そういうところによってこういうシステムを作っていくと。その合理的に運営していくためには、どうやってコストを抑え込むかとかいうのは実際の問題かと思うのですけれども。全部でやらない限りは、逆に必要なとき、やるときに、こういうガイドラインを参考にしてやってもらいたいというようなスタンスでこういうものが作られているのかと思いますので、方向性としてはこれで、あと実際にやってみないと分からないと。
 先ほど林委員がおっしゃった社会の変化であるとか、柴山委員のおっしゃった背景というのは全く私も同感といいますか、そういう状況だと思うので、必要なところがまず一歩、二歩踏み出す必要があるのかと思いました。以上です。

【今野座長】
 片桐委員、どうぞ。

【片桐委員】
 技能検定団体が第三者評価を受けるメリットは何かというところなのですね。それは、私はこのように思います。第三者評価を受けることによって、権威のある検定とみなすことができる。それが信頼性を得られるという直結になると思います。
 それから、もう一つには、検定事業の推進が拡大化されると。いわゆるお墨付きですね、はっきり言いまして、これが第三者評価なのですね。その辺を大事に持っていくことが今後のポイントになるかと思います。以上です。

【今野座長】
 乾委員、どうぞ。

【乾委員】
 今の片桐委員の御指摘、非常に大事なポイントだと思います。そういう意味では、事業者にとってのメリットでもありますし、受検者にとってもしっかり権威づけされている検定であるということであれば、学習する際の目標になりやすい。
 ただ、もう一点、先ほど柴山委員がおっしゃっておられたエビデンスをベースにした社会を育てていくということであれば、これについては一番の受益者は社会全体というか、そういう意味では国ではないのかと思うのです。そうしたときに、国が税金を拠出しない、予算を投じないという状態は受益者負担の原則に反してしまうのではないかと考えるのですけれども、いかがでございましょうか。

【今野座長】
 国も一切出さないということではなくて、社会の人材養成だとか、活用だとか、社会全体の基盤を高めていく上では、この制度がとても役に立つので、支援までは言っているのですね。後援とか、その辺りで国の役割で積極的に考えられる余地があるかどうかですね。

【萬谷生涯学習推進課長】
 先ほど来の第三者評価のメリットというところは、冒頭御議論いただいた第三者評価の目的とか、対象と表裏一体の話かと思うのです。したがって、冒頭の目的については、社会的責任とか、育てるという観点とか、あとは信頼性の向上とか、そういったことが御意見があったかと思います。
 そういったことを踏まえて、しかも対象としては法令に基づかない民間の検定、幅広く数えれば5,000以上あるとも言われておりますけれども、そういったものが対象になると。しかも、ただ、その上で、第三者評価を基本とするものとしてどういったものを考えるのかという論点があったかと思うのです。そうしたことを考えて、国の関わりをどう考えるかというのが論点だと思っております。
 その場合に、第三者評価機関自体は正に国とか、あるいは検定事業者から離れた第三者の機関が行うということで、そういった評価に関わる具体的な費用負担なり、あるいは第三者評価のシステムに関わる費用の在り方をどう考えるかということかと受けとめました。そこについては、正に御意見を今頂戴しているところです。
 今まで中教審等で御議論いただいた中では、直接費用負担までは想定されておらずに、こうした第三者評価事業に対して後援を与えるとか、あるいは、今国が個々の検定に対して後援名義を出していますけれども、そうした後援と第三者評価の実施をリンクさせるとか、そういったことがこれまで御議論いただいていたと承知しております。さらに、実際の経費についてどう考えるかというのは、また御議論いただければと思っております。
 すみません、余りお答えにはなっていないのですが。

【今野座長】
 これからまた自由に議論していきましょう。
 その他、ありませんか。
 萩原委員。

【萩原委員】
 評価を行う人材の中で、テスト理論に秀でた方とか、マネジメントを見られる方とありますが、先ほどの助言というところと明確に関連付けて強調するならば、現役を退かれた検定関係の経験者とか、有識者の方にも入ってもらうと良いかと思います。

【今野座長】
 他にはいかがでしょうか。
 なければ、最後、(8)から(10)まで、御説明ください。

【伊佐敷民間教育事業振興室長】
 5ページの(8)でございます。評価結果の公表につきましては、第三者評価の評価結果は、検定事業者とともに、第三者評価機関においても公表するということが答申において言われております。
 次に、(9)でございます。自己評価との関係と評価結果の反映でございます。こちらについては、各団体で必要な項目について全て自己評価をきちんと行い、その結果を公表するとともに、第三者評価を受けて、それに基づいて自分たちの改善を行っていくというサイクルを動かすことが必要であるといったような御意見などを頂いております。
 最後に、(10)でございますが、こちらは第三者評価機関がどこまで各検定試験を保証するのか。何か問題があったら評価機関が団体を助けてくれるということにはならないだろうという御意見を頂いております。以上でございます。

【今野座長】
 ありがとうございます。
 それでは、(8)結果の公表について、御意見ございますか。この辺は関係していますね。(9)はいかがでしょう。
 柴山委員、お願いします。

【柴山委員】
 細かい文言なのですが、6ページの実施団体で評価を行うのは自己評価になる。その後です。関係者評価はあり得るが、日本では団体間の関係が必ずしも良好でないという問題があると。確かにこのような御発言はあったかとは思うのですが、もう少しニュートラルに、団体間の調整の問題等が生じるため難しいのではないかという感じで収めておかれた方が良いのではないかと、感想です。

【今野座長】
 ここは少し直して書いてもらいましょう。
 どなたかありますか。乾委員、お願いします。

【乾委員】
 これは、(8)、(9)の項目に直接関わるわけではないのですが、先ほどの公表しているという部分、それから、評価結果が反映されているという部分こそが、恐らく先ほどのメリットのところにあった信頼性や、権威を供与する際の一番の源泉なのだろうと考えます。
 プライバシーマークの例にもございましたけれども、あれは一番信頼性という観点もありますし、リスクヘッジの観点が非常に大きいですね。この(10)のところにありますけれども、何らか問題が起こったときに社会に対する説明ができる。こういった第三者評価を受けてきて、こういうことがあったので、何かトラブルがあったときにこういう不測の事態は起こったものの、体制は十分であったということを説明できる。
 これは、実施団体にとっては非常に大きなメリットになるのではないかと考えています。受検者からすると、一番の安心項目の源でもございますし。

【今野座長】
 林委員、お願いします。

【林委員】
 この(10)、多分、前回私が言ってしまった話だと思うのですけれども。これは、別に悪意があって言ったわけではなくて、今乾委員も正しくおっしゃっていたリスクヘッジの話。私、この観点は何のリスクヘッジかというと、第三者評価機関にとってのリスクヘッジを言ったつもりだったのです。これは、本当に突っ込めば突っ込んでやるほど、検定団体、それから受検者から、そちらのアタックの対象になるのだろうと、どこまでヘッジするのだろうということが一つあったこと。
 それから、今正におっしゃっていたプライバシーマークの話なども、彼らの審査員間のリスクヘッジはものすごいと思っています。その当日検査しました。その時点ではよかったですということを言うわけです。翌日、情報漏えいがあっても、我々は知らないと。前回はしっかりとできていましたというスタンスなので、そういうスタンスの方が第三者評価機関は安全ではないかということで、言ってしまいました。すみませんでした。

【乾委員】
 いや、私がお話ししたのは、どちらかというと検定団体が第三者評価を受けることがリスクヘッジになるという観点ですので。これ、多分混同してしまうと変になってしまうかと。

【今野座長】
 柴山委員、どうぞ。

【柴山委員】
 確かにこの論点の整理の最後に、この文言だけが来るとかなりダメージが大きい。せっかく今まで議論してきたのに、最後でひっくり返すような意味に受け取られかねませんので、少し文言を、今林委員のおっしゃった趣旨、それから乾委員のおっしゃった趣旨のところで、整理された方がよろしいのではないかと思います。

【今野座長】
 そうですね、これは今まで出た意見を簡潔に整理しただけですので、これを踏まえつつも、本日御議論いただいたようなことで、これから内容を整理していかなければいけませんので、本日のところはこれで良いと思うのですけれども、次の段階では、誰が見たときでも誤解のないように書いていくということに、是非したいと思います。
 そういう意味では、いろいろ書き加えたり、あるいは書き直したりした方が、他の部分でもかなり多かったと思いますので、それは次の段階でじっくり文言も踏まえて議論していただきたいと思っております。
 その他、全体を通じてまだ言い足りないところ等ありましたら、いかがでしょうか。
 はい、どうぞ、沖委員。

【沖委員】
 全体について、あと、今(8)の公表のところで出ていた話について、これは文部科学省にお願いということです。先ほどから助成であるお金の問題とかいうのもありましたけれども、少なくとも後援などを行って、第三者評価の検定結果について、活用者への周知の促進に取り組むということがもともと事業指針でも言われてきているということを前提としますと、例えば今、英語の4技能のウェブサイトを御覧になったこと、ございますでしょうか。
 大変力を入れてどこでこういうことをやっていると、4技能をどう活用するかということを徹底した周知というか、これは多分、文部科学省のどこかで協力しながらやっているかと思うのですけれども、大々的な宣伝を広報して、ウェブサイトを中心に発信しています。
 また、少し文脈は違いますけれども、英検IBAの導入のために非常に力を入れて、こういう学校でこんなことをやっているということを繰り返し周知したり、場合によっては文部科学省のウェブサイトのトップの方に出てきたりとかいうことで、相当繰り返しこういう活動がもう既に大学入試絡みで、検定試験の一部については使われている、実際に行われているということになっています。
 したがいまして、実際に第三者評価制度に入りましてやっていくときにも、是非こういう検定試験については、第三者評価で非常に質の高い検定試験として認められているといった形の広報を、是非文部科学省として主体的に情報発信をして、いろいろな関係者に伝えていっていただくということについては、恐らく余り抵抗がないだろうと思いますので、是非御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【今野座長】
 ありがとうございます。
 他、いかがでしょうか。萩原委員、どうぞ。

【萩原委員】
 (8)の評価結果の公表なのですけれども、今回のこの会議の中でどこまで決めるのかということを、逆にお聞きしたいのですが。例えば、評価のランキングをもし出すのであれば、A、B、C、Dなどの評価基準の詳細まで出すのか、しっかりと適していますよというところまで出すのか。そこが、この会議での議論なのか、そこが分からないので、逆にお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。

【今野座長】
 これからの議論なのでしょうけれども。

【萬谷生涯学習推進課長】
 出し方も御議論いただきたいと思います。

【萩原委員】
 ありがとうございます。

【今野座長】
 どのような形……。自己評価の様式ではありましたね。A、B、C、Dとありましたけれども、第三者評価になったときに、どの程度出していくのか。第三者評価を受けたところが自主的にオープンにするのは構わないですけれども、第三者評価機関としてどのように出していくのかというのは、それもまたこれから少し議論していきたいと思います。
 他はいかがでしょうか。よろしいですか。
 いろいろな御意見を頂きまして、ありがとうございました。大体時間がまいりました。本日の審議はこの辺りにしたいと思います。本日お示しいただきました御意見を踏まえて、次回の会議においては第三者評価についてのガイドラインの素案について議論を進めていきたいと考えております。
 最後に、今後の予定等について、事務局から御説明をお願いいたします。

【伊佐敷民間教育事業振興室長】
 次回の会議は5月末の開催を予定しております。具体的な日程や会場などにつきましては、改めて事務局より御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 なお、本日の資料につきましては、机上に置いていただければ、後日郵送させていただきます。
 連絡事項としましては以上でございます。

【今野座長】
 それでは、本日はこれで閉会にしたいと思います。ありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

文部科学省生涯学習政策局生涯学習推進課

民間教育事業振興室 民間教育事業第一係