これまで文部科学省では、「今後の青少年の体験活動の推進について(答申)」(平成25年1月 中央教育審議会)において示された体験活動(「生活・文化体験活動」、「自然体験活動」、「社会体験活動」)の意義や具体的な推進方策等を踏まえ、青少年の体験活動に関する取組を進めてきたところである。
青少年の体験活動については、その必要性や効果については広く認識されているとともに、各種政策文書等において、学校や地域における体験活動に加えて、困難を有する青少年に対する体験活動の必要性も示されている。
このような状況を踏まえ、「青少年の体験活動の推進方策に関する検討委員会」においては、青少年の体験活動に関する現状の整理や今後の体験活動の推進方策について検討を行った。
子供たちの生活時間の内訳をみると、近年、学校で過ごす時間は増えているが、放課後の時間については、多くの学年で減少し、生活時間全体のなかで2割程度となっている。
また、放課後の時間の内訳をみると、勉強とメデイア(テレビ、DVD、スマートフォン等)に費やす時間が半分以上を占め、屋内外での遊びの時間や家族や友人と過ごす時間が1、2割程度となり、学校外で青少年が体験活動を行うことができる時間自体が短い状況にある。
現行の学習指導要領においては、生命や自然を大切にする心や他を思いやる優しさ、社会性、規範意識などを育てるために、学校において、自然体験活動や集団宿泊体験、職場体験活動、奉仕体験活動、文化体験活動といった様々な体験活動を行うことが規定され、各学校において、多様な取組が展開されている。
一方で、青少年の自立心、連帯感・仲間意識、優しさ・思いやり、リーダーシップを育むことに関し、より効果が高い長期宿泊型の体験活動については、保護者、学校、教員等の負担も一因となり、実施している学校の割合は必ずしも高くない状況である。
地域における体験活動については、現在、子ども会やスポーツ団体などの青少年団体、青少年教育施設、児童館、公民館、公益法人やNPO法人などの民間団体といった多様な主体が青少年の体験活動の機会を提供している。
また、その活動の多くが、地域住民やボランティア等の参画により支えられ、社会教育施設、地域の農家、神社仏閣、公園といった様々な場所で活動が行われている。
一方で、保護者の多くは、体験活動は重要であると認識しているものの、現在の子供たちは自分が子供の頃と比べて体験活動の機会が少なく、また、学校の授業や行事以外に体験活動をできる機会が十分でないと感じている。
青少年の体験活動の現状を踏まえると、青少年が体験活動を行う時間が限られている中で、青少年や保護者等にとって「選ばれる」、「選びやすい」体験活動を進めていく必要がある。
そのためには、体験活動は、青少年の自己肯定感、意欲・関心、規範意識を育むという目的にとどまらず、青少年やその保護者を含む地域住民が集まり、交流をすることにより、地域に関心や愛着を持ち、
地域の課題解決や地域づくりにつながるような機会としての役割を果たしていくことが求められる。
このような体験活動が地域資源を活用しつつ、継続的に行われるためには、学校や地域の特定の団体等が提供主体になるのではなく、「新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働のあり方と今後の推進方策について(答申)」(平成27年12月 中央教育審議会)にも示されているように、学校と地域が連携・協働し、長期宿泊型や身近な体験活動に多様な提供主体や地域住民が関われるような環境作りも求められる。
先に述べた基本的な考え方に基づいて、本検討委員会においては「青少年が体験活動を行う機会の充実及び実施体制」と「体験活動の内容」の観点から、今後の体験活動の推進方策について検討を行い、以下の意見があった。
総合教育政策局地域学習推進課青少年教育室