学びを通じた地域づくりの推進に関する調査研究協力者会議(第6回) 議事録

1.日時

平成29年3月21日(火曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省 東館9階生涯学習政策局会議室

3.議題

  1. 学びを通じた地域づくりの推進の在り方について(論点整理案)
  2. その他

4.出席者

委員

明石委員、小曽根委員、古賀委員、重森委員、関委員、牧野委員

文部科学省

有松生涯学習政策局長、神山大臣官房審議官(生涯学習政策局担当)、佐藤生涯学習政策局総括官、西井社会教育課長、石丸社会教育課社会教育官

5.議事録

【明石主査】 

 時間が参りましたので、これから、学びを通じた地域づくりの推進に関する調査研究協力者会議、第6回を開きたいと思います。
 まず事務局から、本日の進め方の趣旨の説明を含めて、御説明をお願いいたします。


【石丸社会教育官】 

 お世話になります。本日が会議の最終回ということで、よろしくお願いいたします。
 お手元の資料でございますが、資料1、資料2を御用意させていただいております。よろしくお願いいたします。


【明石主査】 

 では早速、論点整理(案)について、事務局より、資料1と2に基づいて、御説明をお願いたします。


【石丸社会教育官】 

 15分ほどお時間を賜りまして、御説明を申し上げたく存じます。
 お手元の資料1をお目通しいただければ幸いでございます。前回、1月の第5回会議におきまして、論点整理の骨子案を御審議いただきましたところでございます。これまでの御議論・御意見を踏まえまして、資料1の論点整理の案を事務局の方で整理をさせていただいた次第でございます。
 1ページ目でございますが、項立てといたしまして、「1. はじめに」、「2. 社会教育の現状」、「3. 社会教育を取り巻く環境の変化と課題」、「4. 今後の社会教育の在り方と留意すべき点」、「5. 持続可能な社会教育システムの構築に向けた主要な視点」という形で、論点整理を御用意させていただきました。
 2ページ目でございますけれども、「はじめに」につきましては、昨年7月から本会議におきまして計6回にわたる御審議を賜りました経緯等について、記述をしているところでございます。
 2ページの下の方でございますけれど、2の「社会教育の現状」につきましては、公民館、図書館、博物館、それぞれの社会教育施設、そして、社会教育主事、司書、学芸員、こうした社会教育に携わられておられる関係の職員の皆様の数、こういった現状につきまして、整理をさせていただいているところでございます。平成17年から平成27年の10年間におきまして、公民館の数が、1万7,143から1万3,777に2割程度減少している。あるいは、社会教育主事の数でございますけれども、4,119名から2,048名に約半分ほど減られておられるというような状況がございます。一方で、図書館、博物館、司書、学芸員につきましては、おおむね施設の数や職員の数というものも増えているという状況を整理をさせていただいたところでございます。

 3ページ目でございます。「3. 社会教育を取り巻く環境の変化と課題」といたしまして、7点ほど、今後、社会教育に影響を与えるだろう変化というものを整理させていただいてございます。
 (1)といたしまして、「少子高齢化と人口減少、人口の東京一極集中」を挙げてございます。御承知のとおり、平成27年度の国勢調査におきましては、人口が前回調査の平成22年に比べまして96万人ほど減少しておりまして、我が国は人口減少局面に入っているということ。そして、高齢化率が全国平均で26.7%に達していること。また、人口移動に関しましても、東京一極集中という傾向が強まっている。こういったことを整理させていただいてございます。また、平均寿命とともに健康寿命の伸長を図っていくことが必要になっていることについても、挙げさせていただいているところでございます。人口減少と人口構造の変化を受けまして、今後、社会教育におきましては、以下のような影響と課題をもたらすことが考えられる。イ)といたしまして、社会教育の利用者の高齢化と減少。ロ)といたしまして、長寿化に伴いまして国民が社会変動の影響を受ける期間が長期化する。それに応じて、学び直しの機会を提供する必要が出てくるということでございます。ハ)といたしまして、社会教育主事など社会教育に携わる人材の高齢化や人材の確保ということも、今後懸念されるところでございます。ニ)といたしまして、小学校区を単位として整備が図られ、現在でも全国に1万3,777の施設が存在しております公民館において、地域コミュニティの機能維持への貢献が求められているところでございます。ホ)といたしまして、人口減少局面におきましては交流人口の拡大が必要になってくるわけでございますけれども、博物館など社会教育施設の交流人口拡大への寄与が求められているところでございます。ヘ)といたしまして、高齢者の社会参加の促進と多世代交流による地域づくりの必要性を挙げております。
 2番目の環境変化と課題といたしまして、「グローバル化と在留外国人・訪日外国人の増加」を挙げてございます。我が国で生活をしておられます在留外国人につきましては、平成27年度末で223万人に増えているところでございます。また、我が国を訪れられる訪日外国人につきましても、2,000万人を超えて、年々増えているところでございます。こうしたグローバル化に伴う在留外国人・訪日外国人の増加を受けまして、今後、社会教育におきましては、次のような影響や課題というものが生じるだろうと予想されます。イ)といたしまして、国籍や民族などが異なる人々が地域社会の構成員として共に生きていく多文化共生社会の推進に向けた社会教育の貢献というのが求められるかと存じます。また、ロ)といたしまして、博物館をはじめ、訪日外国人の受入れ強化による交流人口の拡大と地域活性化への貢献というものも、社会教育に求められる内容かと存じます。また、これは委員の先生から頂いた御意見でございますけれども、グローバル化につきましては、上記の変化に加えまして、従来の産業構造を基盤とした雇用構造にも大きな変容をもたらすということがあるだろうということでございまして、人々の生活基盤にも動揺を与える可能性があると。その影響に対応していくためにも、社会教育が果たす役割ということがあるのではないかというような御意見を頂いたところでございます。
 3番目の環境変化といたしまして、「地域コミュニティの衰退とつながりの希薄化」を挙げてございます。内閣府の世論調査におきましては、地域での付き合いの程度ということにつきまして、20代では地域でのお付き合いをされていないという方が56.2%に上ってございまして、地域でのつながりというものが希薄化している現状があるかと存じます。他方で、東日本大震災や熊本地震などの大規模災害をきっかけといたしまして、人々の安心・安全な暮らしを支えていくためにも、地域の絆というものの重要性が認識されているところでございます。また、コミュニティの再生においても、地域の絆というものが重要である。あるいは、地域の絆がしっかりしているところは、犯罪発生率や失業率も低く、また出生率も高いという傾向があるというような調査もある次第でございます。これを受けまして、今後、社会教育におきましては、つながりが希薄化しているコミュニティの中において、社会教育の活動を通じて人と人との交流を促進し、地域に新たな価値をもたらすような仕掛け作りを進めることで、地域のコミュニティ再生や活性化に貢献していくということが必要になってくるかと存じます。
 また、4番目といたしまして、「貧困と格差の問題、そして一億総中流社会の変容」を挙げてございます。近年、貧困と格差の問題が大きな社会問題になってございますけれども、例といたしまして、就学援助を受けている小・中学生の割合というものが、平成7年度には16人に1人であったものが、平成25年度には6人に1人まで増えている、こういった現状があるかと存じます。貧困と格差につきましては、福祉の分野における取組というのはもちろん重要でございますけれども、社会教育におきましても、貧困の連鎖と格差の拡大・固定化を防ぐ観点から次のような取組が求められるのではないかと存じます。6ページ目でございますけれども、イ)といたしまして、家庭環境により教育格差が拡大しないように、学校入学前の幼児期から、家庭の経済事情にかかわらず学習機会が得られるように、社会における教育のセーフティネットとして社会教育分野における学習環境の整備を図っていくことが求められるのではないかと存じます。また、ロ)といたしまして、格差が生じやすい放課後等の学校外の活動について、地域における支援の充実ということも求められるのではないかと存じます。
 5番目の環境変化といたしまして、「技術革新と第四次産業革命の進展」を挙げてございます。この会議でも御議論いただきましたけれども、今後、人工知能やIoT、ビッグデータ等の技術革新による第四次産業革命の進展によりまして、社会教育分野においても大きな影響が生じるのではないかと予測されるところでございます。既に、現在におきましても、ICTの発達によりまして、MOOCでございますとか、電子書籍の普及など、人々の学習活動というものは大きく変化してきている状況にあるかと存じます。また、人工知能などの技術の進歩というものは、今後、雇用などにも大きな影響を及ぼすと言われておりまして、こういったものを踏まえて、次のような社会教育に生じるだろう影響というものを整理させていただいてございます。イ)といたしまして、オンラインの利用による国民の学習形態や学習場所の変化。ロ)といたしまして、社会教育の提供者の変化。ハ)といたしまして、社会教育の利用者の多様化・個別化。ニ)といたしまして、社会で求められる能力や産業構造の変化に応じた学び直しの機会の提供の必要性。ホ)といたしまして、オンラインの活用など社会教育施設における学習機会の提供方法の変化。ヘ)といたしまして、新たな技術の導入による社会教育施設の運営の効率化。ト)といたしまして、人工知能の進化による社会教育に携わる職業の雇用への影響。こういったものが、今後、技術革新の影響としまして、社会教育の分野でも課題等を生じさせることになるのではないかと、このように整理させていただいているところでございます。
 続きまして、6番目の環境変化でございますけれども、「社会教育の提供主体の多様化」を挙げてございます。従前、公民館や図書館、博物館など、社会教育施設というものが中心となって社会教育を担ってきたわけでございますけれども、おめくりいただきまして、7ページ目でございますが、現在、NPOの数が年々増えてございまして、5万1,261法人ございますNPOの中の約半数に当たる2万4,698法人が社会教育活動に携わっていただいているわけでございます。また、大学が社会貢献に寄与し、企業におかれましてもCSR活動というものが盛んになっているという状況があるかと存じます。このような変化を受けまして、次のような影響が社会教育にもたらされるだろうということで、整理させていただいてございます。イ)といたしまして、社会教育の利用者の視点に立ち、社会教育施設を中心とした行政による学習機会の提供のみならず、NPO、民間教育事業者、大学、企業等の多様な主体による学習機会の提供にも着目し、社会全体における学習の機会の確保と拡大が必要になってくるのではないかと存じます。ロ)といたしまして、それら多様な主体における社会教育活動が教育的観点から効果的に行われるように、これらの関係の皆様にも社会教育主事講習等を開放していくというような、ニーズや期待が高まってくるのではないかと予想されます。ハ)といたしまして、各主体の強みを生かし、社会教育施設と多様な主体とが連携・協働した官民パートナーシップによる学習機会の提供というものも、求めてこられるかと存じます。ニ)といたしまして、民間の資金やノウハウを活用した社会教育施設の運営・整備の促進というのも、今後の社会教育の在り方においては非常に重要な点になってくるかと存じます。
 最後、環境変化の7点目でございますが、「地方分権改革と市町村合併、そして厳しい財政状況」を挙げてございます。まず、この10年間で3,100ございました市町村が1,718まで減少しているような状況がございます。また、資金の関係につきましても、公立の社会教育施設整備費が平成10年度で国の補助金としては廃止されまして、地方公共団体の一般財源に移譲されているということも、大きな変化かと存じます。さらに、我が国の財政につきましては、国・地方を合わせた公債発行残高が年々増加を続けておりまして、25年度末には972兆円まで増えているというような状況があります。今後とも、社会保障関係費の増大により、厳しい財政事情が見込まれるという状況にあろうと存じます。これらの行財政制度等の変化を踏まえまして、以下のような社会教育における影響というものが考えられるかと存じます。イ)といたしまして、ふるさと納税制度やクラウドファンディングなど、多様な資金調達の方法を視野に入れた、社会教育分野への官民の教育投資の促進が求められてくるのではないかと存じます。また、ロ)といたしまして、官民の教育投資につきまして国民の理解と支持が得られるよう、PDCAサイクルや、これは委員の先生からの御意見でございましたけれども、効果の見える化というものを進めて、事業の不断の改善を図り、効果的・効率的な社会教育の展開を図っていく必要があるのかと存じます。また、ハ)といたしまして、社会教育施設の老朽化が進みますと施設の更新が必要になってまいりますので、計画的に対応していく必要性というのはあろうかと存じます。また、ニ)といたしまして、民間の資金やノウハウを活用した社会教育施設の運営・整備の促進ということも、課題になってくるかと存じます。

 これらを受けまして、今後の社会教育の在り方と留意すべき点を4としてまとめてございます。
 「(1)社会教育に期待される役割と方向性」につきましては、三つの役割と二つの方向性というものをまとめてございます。一つ目といたしましては、地域コミュニティの維持・活性化への貢献ということが必要となってくるかと存じます。また、二つ目といたしまして、社会的包摂への寄与というものが、社会教育においても求められている内容かと存じます。また、三つ目といたしまして、社会の変化に対応した学習機会の提供ということが重要な視点になってくるかと存じます。この点につきましては、前回の御審議を頂きました中で、8ページの下でございますけれども、平均寿命の伸長ということを受けまして、人生100年時代を前提とした人生設計を行っていく必要があるという御議論があったかと存じます。それを受けまして、9ページの冒頭にかけまして、「人々が学校卒業後に生きる期間が人生の7~8割に達し、社会変動の影響を受ける期間もまた長期化することを踏まえ、人々に多様な学び直しの機会を提供していくことが求められる」という一文を整理させていただいているところでございます。また、今後の社会教育の二つの方向性といたしまして、一つは官民パートナーシップによる社会教育の推進、もう一つは持続可能な社会教育システムの構築という、この二つも重要になってくる方向性かと存じます。
 (2)といたしまして、「社会教育の概念の再整理」をさせていただきました。この項におきましては「「課題解決学習」の位置付けの明確化」という副題を付させていただきましたけれども、10ページ目の上から二つ目の丸を御覧いただければと存じます。社会教育を取り巻く環境変化を受けまして、今後、社会教育においては地域コミュニティの維持・活性化に貢献していくということが大切な役割になってくるかと存じます。とりわけ、地域住民の皆様が地域課題とその対策について学習をし、その成果を地域づくりの実践につなげる「学び」というものを「地域課題解決学習」として捉えまして、社会教育の概念に明確に位置付けることによって、公民館等においてその推進を図っていくことが求められるのではないかというような点を整理させていただいてございます。ここにつきましては、社会教育法や教育基本法の解釈も前後に散りばめてございますけれども、そういったことを整理している項でございます。
 続きまして、(3)でございますが、「今後の社会教育行政の展開において留意すべき点」といたしまして、10ページから11ページにかけて、5点ほど挙げさせていただいてございます。マル1といたしまして、住民の自主性・自発性の尊重、マル2といたしまして、住民の主体的参画を促進する楽しい仕掛けづくりの必要性、マル3といたしまして、子供・若者の参画と多世代交流の重要性、マル4といたしまして、教育の特性への配慮、マル5といたしまして、社会教育行政のネットワーク化と社会教育の資源を活用した能動的対応の必要性を挙げてございます。特に、マル1からマル3、こういったところにつきましては、これまで御審議の中で委員の皆様から頂いた御意見というものを反映して、まとめさせていただいた点になろうかと存じます。

 続きまして、11ページの5ポツでございますが、持続可能な社会教育システムの構築に向けた主要な視点といたしまして、(1)社会教育行政のネットワーク化と官民パートナーシップの推進について、まとめてございます。まず、教育委員会と首長部局の連携。この箇所については、総合教育会議の活用というものを中心にまとめているところでございます。続きまして、学校との連携・協働の推進につきましては、地域学校協働活動の推進を中心といたしまして、内容をまとめているところでございます。官民パートナーシップの推進につきましては、13ページの上でございますけれども、今後の社会教育においては、社会教育の利用者の視点に立って、社会教育施設を中心とした学習機会の提供のみならず、NPOや多様な主体との連携が重要だということを整理させていただいているところでございます。続きまして、社会教育委員の積極的な活用という項も、挙げさせていただいてございます。この点につきましては、14ページでございますけれども、社会教育委員の会議の開催頻度というものが年3回以下である自治体が7割程度を占めているわけでございますが、今後の社会教育の推進に当たって、もう少し積極的な活用や頻度の多い会議の開催というものが必要ではないかという点を整理させていただいているところでございます。
 (2)といたしまして、「学びのオーガナイザーと社会教育主事の養成・活用」についてまとめてございます。前回の骨子におきましては、「学びのオーガナイザー」のところが仮置きで「学びの専門職」という名称でございましたが、この点につきましては、実際の受け止め方で誤解がないように名称を検討する必要があるということで、多様な意見を頂いたところでございます。一つ目の丸でございますが、今後の社会教育において携われる方については、住民の中に入り、様々な主体の皆様を結び付けて、地域資源や各主体が有する強みというものを生かしながら、地域課題に応じまして「学び」や「実践」の場をアレンジすることによりまして、地域課題を「学び」に練り上げ、課題解決につなげていく人材が必要になってくる。具体的に言いますと、学習活動を組み立てて形にしていく、「学びのオーガナイザー」とも言うべき人材が必要になると。これまでたくさん御議論いただいたところでございますが、このように整理をさせていただきまして、このような方が官民問わず社会教育の分野においては必要になるということで、「学びのオーガナイザー」の必要性ということを整理させていただいたところでございます。14ページの下でございますが、とりわけ社会教育主事については、行政の中にいる「学びのオーガナイザー」として活躍いただく必要があるのではないかということで、15ページでございますけれども、上から三つ目の丸でございますが、行政で活躍する「学びのオーガナイザー」として、社会教育主事には、事業の予算化でございますとか、ふるさと納税制度の活用による資金調達、行政の関係部局との連携や調整、あるいは、中立的な立場によって、住民の皆様やNPOなど多様な主体が円滑に連携できるようにする調整など、その強みを生かした取組が期待されるというようなことを整理させていただいてございます。

 それを受けまして、今後の社会教育主事に求められる資質や能力とその養成について、以下にまとめてございます。社会教育主事につきましては、皆様、御承知のとおり、平成25年9月の中央教育審議会のワーキンググループにおける審議の整理を受けまして、現在、制度の見直しを進められているところでございます。本日おまとめいただきます論点整理も、その見直しの中で活用して具体化を図っていくことが重要だという旨を整理させていただいているところでございます。
 続きまして、16ページでございますけれども、社会教育主事資格の活用と社会教育主事講習等の民間への積極的な開放ということでございます。先ほど申しました「学びのオーガナイザー」というのは、行政の分野においてのみならず、民間においても広く存在していることが望ましいということで、二つ目の丸でございますけれども、社会教育主事講習についても、今後、可能な限り、NPOなど多様な主体の活動に携わる方々にもより広く開放し、社会教育主事資格が教育委員会にとどまらず、社会において広く活用されることが期待されるというようなことをまとめさせていただいているところでございます。
 それを受けまして、次の社会教育主事経験者・有資格者のネットワーク化ということも打ち出させていただいてございまして、官民を問わず社会のあらゆる場で活躍する「学びのオーガナイザー」が、その経験を共有・蓄積し、互いに能力を高め合っていくことが期待されるということを記述させていただいているところでございます。
 16ページの(3)でございますが、新しい「学びの場」と社会環境の変化に対応した社会教育施設の運営・整備という項を挙げさせていただいてございます。前回も御議論いただきましたけれども、地域における「学びの場」はいかにあるべきかということで、生後3か月の乳幼児から100歳のお年寄りまで、地域のあらゆる住民の皆様が集い、学び、交流する場であることが望ましいということが、前回の御議論であったかと存じます。また、その際に「学びの場」に人を引き付ける工夫が求められるということで、その下に具体例を挙げさせていただいているところでございます。
 17ページでございます。その具体的な施設のイメージでございますが、公民館、図書館、博物館と、それぞれ項を分けて整理させていただいてございます。
 公民館につきましては、地域主導による課題解決型の施設を目指していくという方向性を御議論の中で打ち出していただいたかと存じます。また、その下の多世代交流の拠点となるというような点、こういったところを公民館の今後の方向性として整理をさせていただいているところでございます。また、前回もこの場で御議論いただきましたけれども、公民館が、今後、地域づくりを行い、地域に新たな付加価値をもたらすような取組というものを行っていく上で、例えば、コミュニティ・ビジネスなどを展開する上では、現在、社会教育法第23条第1項第1号でございますけれども、営利活動の禁止という規定の解釈の中でここを明確化しておきませんと地方自治体の現場においては混乱があるのではないかというような御指摘を頂きまして、18ページの上の方でございますけれども、これまでに文部科学省からも示させていただいた解釈、こういったものを整理させていただきまして、ここで周知をさせていただければと考えているところでございます。
 続きまして、図書館につきましては、先ほど今後の社会教育に求められる役割ということで三つの役割を整理したところでございますけれども、そういった役割を果たしていくということが期待されると同時に、下から二つ目の丸でございますが、来館者へのサービスに加えて、アウトリーチ活動を充実させることによって、社会的包摂に対する貢献をしていく必要があるのではないかと、こういったことを整理させていただいているところでございます。
 19ページでございます。博物館につきましては、特に、交流人口の拡大と地域活性化への寄与ということで、国内外への情報の発信、そして国内外からの訪問者の増加に応えていく必要があるだろうということなどを整理させていただいてございます。
 また、19ページの下の方になりますけれども、今後の社会教育施設の整備等につきましては、一つには施設の老朽化という問題が起きてまいりますので、これにつきましては、先ほど申しました財源が地方公共団体の一般財源となっているということを踏まえまして、社会教育施設の更新に向けた地方公共団体の計画的な準備・対応が求められるという点を挙げさせていただいてございます。また、今後の施設の整備におきましては、まちづくりの観点から、人を引き付ける工夫、こういったものが重要になってくる。あるいは、20ページ目でございますけれども、ユニバーサルデザインの採用やバリアフリーの対策、そのほか、防災機能の確保、耐震性の確保、こういったものが求められるということを挙げてございます。また、前回も御議論ございましたけれども、社会教育施設におけるICT環境の整備というものが期待されるという点を上から二つ目の丸に挙げさせていただいてございます。また、施設の複合化について次の二つの丸のところで挙げてございまして、民間施設と社会教育施設の複合化、様々な図書館や公民館など社会教育施設同士の複合化、学校施設と社会教育施設の複合化、それぞれについての考え得るメリット等をそこで整理させていただいているところでございます。
 最後の項になりますけれども、(4)といたしまして、国民・社会の理解と支持が得られる社会教育行政の展開と国民の参画の促進という点を挙げてございます。今後、社会教育システムが持続可能なものになっていくためには、ふるさと納税やクラウドファンディングなど多様な資金調達も視野に入れて、官民の教育投資というものを促進していくことが重要であるということを整理いたしました。この点につきましては、委員の先生からも御意見を頂きましたけれども、その投資を促進していくために、国民の理解・支持が得られるためには、まずは明確な成果目標に基づくPDCAサイクルと効果の見える化を進めることが重要だという点を挙げさせていだたいてございます。おめくりいただきまして、21ページでございますけれども、今後、技術革新などが社会教育の在り方にも大きな影響を及ぼす可能性がございますので、社会教育が時代の潮流に取り残されないように、その動向等について情報収集していくことが重要であるという点。また、社会教育においては、ボランティア活動など、国民の皆様の参画が、従来、伝統的に取組が広がっているわけでございまして、こういった点については引き続き大切にしていくことが重要であるということで、挙げているところでございます。
 資料1につきましては、これまでの御議論を踏まえまして以上のように論点整理(案)を作成させていただきましたが、今御説明申し上げた内容の概要ペーパーを、資料2といたしまして、こちらの1枚紙の方に整理をさせていただきました。これにつきましても、時間の方に余裕がございましたら、御議論賜ればありがたく存じてございます。
 時間の方が超過して恐縮でございますが、以上でございます。よろしくお願いします。


【明石主査】 

 教育官、ありがとうございました。
 今、全体の説明を頂きました。これから質疑に入りたいと思います。大きく三つに分けて議論したいと思います。最初は、「はじめに」、社会教育の現状、社会教育を取り巻く環境の変化と課題、ここまでで区切らせていただきまして、あと、4、5と分けていきたいです。
 では、最初に、「はじめに」から、何か御質問・御意見があれば、お願いします。

 どうぞ、関委員。


【関委員】 

 2の公民館の数が減少しているという点でございますけれども、これは、公民館は減少しているけれども、公民館的な機能というのは決して減少しているわけではないという気もするのですが、その辺について何か添えておく方が良いかと思います。これから先もますます、公民館という名称を使わずに、コミュニティセンターとか、そういうふうな色合いのものに移っていくところも想定できます。これではマイナスのイメージだけに我々はとってしまうのですけれども、決してそうではないと考えますが、いかがでしょうか。


【石丸社会教育官】 

 御説明申し上げます。今、関委員がおっしゃりましたとおり、公民館数の減少は、統計上はそれだけを見ますと憂慮すべきように見えますが、だからこそ、後ろに掲げてございます、その状況を取り巻く環境はどう影響しているのか、あるいは何が問題になってこのような現象が起きているのかということを、それぞれ整理をさせていただいたところでございます。
 とりわけ公民館の施設の減少について、社会教育調査の経年変化を分析してみますと、いつ建設されたかという開館年別の公民館数というものが統計としてございます。その平成23年度の社会教育調査の数と平成14年度の社会教育調査の数をそれぞれ比較してみますと、公民館というものがコミュニティセンターに移管されている、あるいはほかのものに変わっているんじゃないかと、こういう見方が一般的にはあるわけでございますが、実は昭和61年から平成2年にかけて以降に建設された公民館の数というものはこの10年間でほとんど変化がないわけでございます。つまり、公民館がコミュニティセンターに移っているというのが統計上は公民館減少の原因ではないわけです。それでは、公民館の数がこの10年間で減っているところはなぜか。この10年間で公民館の数というのが1万7,000から1万3,000に減っているわけでございますが、それがどこから来ているのかというものを分析しますと、社会教育調査の統計によりますと、昭和21年から昭和55年まで、この時代に建設された公民館の数というものが大きく落ちている。つまり、老朽化に伴ってそこの部分の閉館が進んでいるのにもかかわらず、新しい公民館が十分に造られていない。いわゆる更新がうまくいっていないことが問題でございまして、公民館が教育委員会にあるから、あるいは社会の要請に応えられてないからというよりも、地方行財政を取り巻く大きな環境変化の中でそういうものが起きてきていると捉えることができるのだろうと思います。あるいは、市町村合併などの影響、コミュニティの再編というのも、大きな影響を与えているだろうと思います。数として見ている変化というものの根底にあるものを統計などで見てみますと、ちょっと異なる。公民館というものは使い勝手が悪くて、それがコミュニティセンターに移っているのが原因かというと、そうではなくて、むしろ大きな影響を与えているのは老朽化の問題だろうということで、この報告書の中でも、老朽化への対応ということ、とりわけ国の補助金というものが今は一般財源化されてございますので、地方公共団体において計画的な対応というものをしていただく必要が極めて大きくあるのだろうということを整理させていただいた次第でございます。


 【関委員】 

 ということは、古い建物が使えなくなったときに新しい機能のものに置き換える、そういう市町村が多いというふうな認識でよろしいのでしょうか。


【石丸社会教育官】 

 お答え申し上げます。具体の数で申し上げた方がよろしいかと思います。平成14年度の社会教育調査における公民館の数を開館年ごとに見てみますと、例えば、昭和26年から30年までに造られていた公民館というのは2,467あるわけでございますが、それが10年後の平成23年には1,788まで減っている。大きく、そこで700ぐらい減っているわけでございます。それに対して、直近で見ますと、例えば平成18年から平成23年までに建てられた公民館というのは414でございまして、まず昭和26年から30年には2,467館以上造られていた公民館が平成18年から23年には414館しか造られていない。加えて、同じ5年度の間でつくられた公民館の数というものが10年間で昭和20年代後半の古いものは700減っている中で、新しいものは414しか造られていない。近年、行財政改革の中で国でも地方でも、新しい施設というものはなかなか造られづらくなっている。施設の新陳代謝といいますか、社会教育を取り巻く行財政システム全体の志向というものが、大きな政府から小さな政府へという流れもございましたけれども、公民館の数の減少というものは公民館離れと一概に言えるものではなく、そういった大きな流れの影響を受けているのだということを一つ理解しておく必要があるのかなと感じた次第でございます。


【牧野委員】 

 取りまとめ、どうもありがとうございました。
 今の点にもうちょっとこだわりたいと思います。お金がなくなってきて、建て替えにお金がかかるから建てられなくなったというのは、よく分かる論理ではあるのですが、それを逆に見ると、例えばコミュニティセンターなども建て替えのときに、お金がないので建てられないから公民館と統合するのだという話があってもよさそうなものだと思うのです。その意味では、公民館がコミュニティセンター化したり、教育委員会のものではなくなったりしている、または数が減ってしまうという問題は、予算の問題もあるかもしれませんが、コミュニティセンターなどを公民館にするとか、公民館を強化するという方向には動いていなかったということにおいては、単にお金がないから公民館の数が減ったということだけではないようにも思われます。その辺をもう少し丁寧に見ておかないと、お金がなくなったから公民館が建てられなかったのだ、仕方がないのだという言い訳になってしまうような気がしています。裏を返せば、一般行政の財源から持ってくるぐらいの公民館をなぜ造れなかったのかという話もできてしまうと思うのです。そのあたりを少し考えておく必要があるかと思いました。
 その上で、1の「はじめに」と2のところなのですが、3と4の間の論理が少し開いている、つまりつながっていない感じがしています。従来、国という大きなレベルでものを考えてきたのが、地域とか基礎自治体とかいうレベル、つまり民衆生活により近いところでものを考える必要が出てきました、ということを指摘した上で、そこに頑張っている地域の事例を挙げて、各地で様々、住民が主体的に動いていく中で新しい社会基盤をつくる動きが出てきていることを具体的に指摘した上で、この4の部分が出てくると、すんなりと理解できるような気がします。ですので、3の部分は政策的・行政的な問題として挙がっているのですが、それプラス、例えば、関教育長のところの実践例とか、現場で様々な動きがある、それらの中に新しい可能性が見えているということも取り上げた上で、むしろ、大きい国単位でものを考えるよりは、基礎自治体または更にその下のコミュニティレベルでものを考えていく必要がある、と指摘しておく。そして、社会教育がこれからの新しい社会基盤をつくるときに有効なのだというような、そういう論理の展開になるといいかなという感じがしました。少し構成を変えてしまうことになるかもしれませんが、ご検討いただければと思います。


【明石主査】 

 それは次の4番のところで議論をさせてもらった方がいいかと思うんです。1、2、3のところは、社会の変化とか、時代の流れを捉えていくんですよ、ということで。


【古賀委員】 

 いいですか。


【明石主査】 

 どうぞ、古賀委員。


【古賀委員】 

 資料1の5ページに注釈7が付いている調査結果があり、平成15年度の内閣府の調査を引用されているのですが、これは結構古い感がします。出生率が高いところでも犯罪発生率が高かったり、それこそひとり親家庭等々の問題があったり、多文化共生の問題があったり。15年度の時点からすると、リーマンショックも起きてしまった以降の現状とちょっとそぐわない感がありますので、さしてこのデータを引用する必要もないのかなと思いました。
 それから、7ページ目の、これは何度かこれ以降も出てくる言葉で、「民間教育事業者」という言葉があります。企業という言葉と並列で使われているのですが、既にさまざまな業種の企業が公民館等に対して学びの協力をされていますので、いっそのこと民間企業というふうに統合していただいてもいいのかなと思いました。


【明石主査】 

 ありがとうございました。
 ほかに何かございますか。どうぞ。


【小曽根委員】 

 先ほどの公民館の話に近付いてしまいますが、行政側からしますと、今回の現状のという部分で一番大事に感じるのは(7)の地方分権改革と市町村合併、厳しい財政状況ということかと思います。佐野市も、平成17年に合併してから、今、何が一番問題かというと、施設の統合というのが全然進んでいないので、これから30年かけて25%削減を目指すというところで、今、会議等入っているところです。佐野市については幸い、公民館などを、現状、老朽化で減らすというところはないのですが、引き続き耐久化ということで長寿命化を図るというのが一番の目的かと思います。それと一緒に、学校の統廃合の関係がありますので、それらを公民館化していくという可能性も十分考えられるわけで、あとは、幸い、合併したことによって、社会教育施設、佐野市の場合、博物館があったり、美術館があったり、化石館があったりとか、この辺をうまく活用していけば、地域の核というか、そういう可能性はあるんじゃないかなと感じているところです。


【明石主査】 

 ほかによろしいでしょうか。
 先ほどの2ページに戻りたいのですけれども、これを見ると、図書館と博物館は増えていますよね。利用者も増えていますよね。公民館は、数が減って、利用者も減ってきていますよね。要するに、空間というか、施設を用意すれば公民館は利用者が増えるのか、それともソフトなのかというのは、今後、後半の方で問題にしていきたいと思っているんです。財政が厳しい中で、多分このままでは施設は増えないと思っていますから、その辺でちょっと問題意識として持っていただかないといけないかなと思います。確かに、図書館と博物館は参加者が増えているんです。これを公民館主事の方はどうやって受け止めているかというのは非常に大事な問題だと思いますけど、一応、こういう御指摘があるということは大事だと思います。
 それでは、次に、論点の中で4番、今後の社会教育の在り方と留意すべき点というのがございます。8ページからです。ここは、牧野先生が言われたように、さらっと流しているというか、社会教育を取り巻くのに三つの役割と二つの方向性が期待されると。その前に何か置かないと、余りにもすーっと入っていくような感じがしているということがあると思います。
 牧野先生、もう一度、その辺をお願いします。


【牧野委員】 

 3番目までで課題が書かれてあって、4のところで突然、コミュニティが焦点化されて、そっちへさっと動いてしまって、飛躍がある感じがするのです。確かに、コミュニティが焦点化されているというのはよく分かるのですけれども、その点をもう少し丁寧に記述した方が良いかと思います。それから、もう少しいいますと、元気が出る形にしたいので、可能性みたいなものをいくつかの事例に見いだして、例えば、ここではこういうようなことがなされていて、こんなに活性化しているとか、こんなに住民が頑張っているというようなことを少し挙げて、今後、コミュニティを焦点化していくと、社会教育がより一層、社会の在り方に関わって活性化していくという、そういう論理が組めるといいかなと、お話を聞きながら思っていました。そのあたりはいかがでしょうか。


【明石主査】 

 その辺、岡山あたりの公民館を中心にして元気が出るようなのがあって、牧野先生がやっているような事例があって、可能性はあるのですよということを述べておいて、こういう三つの役割と二つの方向性が出てくると、後が非常に締まるという感じがいたします。
何か先生、ありますでしょうか。


【重森委員】 

 私も読ませてもらって少しそれは感じました。この4のところから、じゃあみんなでこうやっていきましょうよということが具体的に出ているのですけど、何のためにやるのか。方向性はよく分かるけど、それをやってどんな効果が出るのかどうかの根拠として、その前に少し、実際にやっているところは、こんなふうにやっていて、こんな効果が出ていますよということがあった上で、だから、4以降、みんなでやりましょうよってある方が、じゃあうちの地域もそうなるかもしれないみたいな形で、行政も少しここに手をかけるようになるのかなというのは、少し思いました。


【明石主査】 

 お願いしたいのは、この前、四国の新居浜に実際に見に行ったんだから、新居浜も高齢者を中心にして頑張ってくれているし、岡山の発表もあったし、そういったこの会議の中で行ったことを、位置付けをして、可能性を秘めているということを示唆してくれると、後がすとんと落ちやすいなという感じがしました。どうですか、古賀委員。


【古賀委員】 

 私は地方自治体の社会教育・生涯学習の担当の人に読んでほしいという気持ちがありますが、読むと余計にへこみそうなトーンだなと感じていました。多分、そうした担当者は情報量もかなり格差があると思いますので、個別具体の事例は資料編で簡単でもいいと思うので付けていただくだけでも、随分ヒューマンタッチになっていくのかなと思いました。


【明石主査】 

 その辺、ちょっとお願いしましょう。
 その他いかがですか。


【重森委員】 

 今頃言うのはよくないかもしれないですが、「地域課題解決学習」というのは大賛成で、そういうのが明確にあると、趣味・教養だけじゃない、公民館ってそういうこともするところだよねというのがよく分かるのですごくいいなあと思ったのですけど、課題を解決するって、ずっとやり続けないといけないことじゃないですか。でも、そもそも私たちが暮らしているこの地域やこの社会がどんなふうになったらいいのかということをまずは住民で共有した上で、そのために、今あるこの課題をどうやって解決するのか、そのための学びは何か、みたいな、未来志向というか、未来のビジョンも共有して、その上で課題を解決する学習というか、学びをもっと地域で公民館とかも拠点にしてやりましょうみたいに少し書いてくださると、やることが目的じゃなくて、みんなで変えて創り出していこうというようなトーンになるかなと思いました。


【明石主査】 

 関委員、どうぞ。


【関委員】 

 私も今のは全く同感で、課題解決型というだけではなくて、地域の良き点、地域の誇り、シビックプライドを磨いていくような、そういう取組を進めていくのも、公民館というか、社会教育ではないかなという気はいたします。先ほどの施設が減っておるのと、私はどうしてもこれをくっつけてしまうのですけれども、決してそれに取り組んでおるところが減っておるわけではなくて、むしろ減ったところでも、こういうふうな課題解決に取り組むような、行政との連携の中で地域を良くしていくような取組というものは増えてきているのかなと、個人的には思います。しかし、それが社会教育施設ではなくなってしまっただけであって、課題解決型の取組はむしろ膨らんでいる。それをうまく社会教育側の人間は巻き込んでいくようなアプローチの方がより前向きかなというイメージは持ちます。


【明石主査】 

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。


【牧野委員】 

 私もそう思っているところがあります。さらに、後ろの方の「学びのオーガナイザー」と社会教育主事の在り方の改革というところも含めて、ある意味では地域課題の解決といったことを超えて、地域を住民たちが自ら経営をしていくというか、そういう形で自治体の負担も減らしていきながら、自治体の住民自治を鍛えていくことにつながるような議論はあると思うのです。社会教育が住民自治の基盤を作り上げていくという形での議論の仕方はあると思いますので、そういう方向性が出てくるといいと思っています。
 これはなぜかといいますと、実は、総務省が今進めているRMO(地域運営組織)の議論で、あの審議会の座長が最近、盛んに、公民館、公民館とおっしゃって、公民館がしっかりしているところは地域が壊れていないのですよというのです。先日も、関係者の集まりで、公民館が欲しくなってきたとかおっしゃっていました。しかし、議論は、単に、公務員が引っ張っていくとか、補助金を付けてうまく経営させればいいのだということではなくて、住民が関わって、住民が育っていくという仕組みになっていかないと、地域は壊れてしまうのではないかということに、なかなかならないのです。さらに、農水ですとか、厚労ですとか、経産なんかも、公民館と言い始めているところがあって、今、公民館がある種の、いろんな意味での草刈り場的になってきているところがあるのです。その意味で、住民がそこで育っていく場所として、公民館がある。だからこそ社会教育は大事なのだというような、そういうような論理を組んでいかなきゃいけない時代に入ったのかなと思います。ですので、是非ともその辺を少し、先ほどの「学びのオーガナイザー」ですとか、社会教育主事の在り方の再検討等も含めて、何か議論ができるといいと思います。そこにある種の希望が見えてくることになるのではないかと思いますので、少し御検討いただければと思います。


【明石主査】 

 今回、思い切って社会教育の概念の再整理をしていますよね。キーは「地域課題解決学習」とあるのだけれども、その結果何ができるかということについて、コミュニティの維持と活性化だ、コミュニティ作りだという方向をしっかりしないと、学校と同じような問題解決学習かと捉えられやすいので、社会教育の場合は、ここに地域は入っていませんけれども、地域の課題解決学習の意味で、地域を維持・再生するという、そういう方向の方が、皆さんが、特に行政担当の方が分かりやすいと思います。
 あとはよろしいでしょうか。今後の社会教育行政の展開において留意すべき点も書かれています。
 では、次に、5番目の持続可能な社会教育システムの構築に向けた主要な視点について、御意見ありましたら、お願いします。
 個人的には、13ページの社会教育委員の積極的な活用、これは本当に、宝があって、全然使ってないというように思います。ここはちょっと強調したいんですよ。せっかくそういう役職があるので、名誉職もいいけど、それでは困りますよということを強調したいのです。大体、開催が年3回以下のところが7割でしょう。それでは困るので、そういうことを含めて、何かありませんか。
 どうぞ。


【小曽根委員】 

 またうちの事例を発表するのですが、社会教育委員がいまして、昨年度、社会教育委員から提言書を出してもらいました。というのは、一つは生涯学習センターを作ってほしいとか、直接的には学校の統廃合がありますので、それに絡んでという部分が多いです。ただ、それに持っていくには、社会教育係の方の担当は結構ベテランがいましたので、そちらと社会教育委員とでうまく話し合っていきました。その前にも、社会教育委員と教育委員が年1回定期的に、もう3年ぐらいなのですが、懇談を持っていて、それを経た形で、今回、提言書の提出というふうにつながったところでございます。なので、個人的にも、社会教育委員の方々には非常に頑張って、いろいろ提言なり何なりやっていただければありがたいなと思います。


【明石主査】 

 どうぞ、重森委員。


【重森委員】 

 公民館などでは、事業を様々な形で評価しているじゃないですか。でも、社会教育全体の提言を出されたり、調査研究をされたりは、しているところだけしていて、例えば、第三者になるのかどうかはわかりませんけど、社会教育委員さんに、岡山市だったら岡山市の公民館全体の評価をしてもらうとかできないでしょうか。例えば評価とかにも積極的に参加するとか、そんなふうに添えてもらえると、もうちょっと社会教育委員さんにやっていただくことも明確になるかなあと思いました。


【明石主査】 

 どうぞ。


【関委員】 

 社会教育委員、私も教育長の任にあって余計にこの頃感じるんですけど、こちら側から諮問することが余りなされてない状況かなという反省は正直持っています。こういうふうな課題について社会教育委員の立場から意見を求めるので出してくださいねというふうなアプローチ、むしろ、教育委員会側、教育長側に対して、それをきちんと押し出していただく方が、みんなが動くような方向に切り替わるのかなという気がします。当然、自発的に社会教育委員が自ら考えたものを出していくのもすばらしいことだと思うのですけれども、両者のキャッチボールがなかったら、なかなか前向いて動かないのかなというのが、思いとしてございます。


【明石主査】 

 今、関委員の話をお聞きしまして、20年前、千葉県も社会教育委員会議というのは結構頻繁に開いていたんですよ。県が諮問したのですね。建議を出すとか、答申を出すとかって、そういうのがあると機能しやすいというか。ただ、教育委員会レベルももう少し諮問とかをお願いするというのがあると、分かりやすいですね。
 それから、16ページの上の方の社会教育主事資格の活用と社会教育主事講習等の民間への積極的な開放、これをもっと強調してほしいんですよ。要するに、「学びのオーガナイザー」を作るのだけれども、新しい資格をオープンにするんですよ。CSRというか、企業の社会貢献を見ても、ああいう方たちが社教主事の講習をネットで受けて資格化するとか、そういうこともなり得るのです。これは非常に、私としては、よく書いてくれた。もっと強調していただきたい。
 同じように、その下に社会教育主事経験者・有資格者のネットワーク化ってありますね。これをもっと良くするには、全国の社教主事資格を持った方の協議会とか、全国レベルの協議会を設けて、学会まで行きませんけれども、蓄積を交換し合うようなことを年2回ぐらい開くとかね。そうすると、お互いに何をやっているか分かるし、そういう協議会を全国レベルで作ると、ここに書いてあるように、「経験を共有・蓄積し、互いに能力を高めていくことが期待される」という、こういう場の保証してくれると非常に助かると思いました。この辺もよく書けているなと思いました。


【古賀委員】 

 私もこの16ページのここは本当に期待をするところなんですけど、先ほど冒頭のデータで、学芸員は増えているけど、資格者は減っているという話で、何でだろうかなと考えていたんです。学芸員は、新卒の方で採用していて、いずれ就職にという方が多くて、食べていくために使える資格という側面もすごく大きいと思うのですね。社会教育主事も、何がしかメリットがないと、なかなか資格を取るまでの行動に移さないと思うので、16ページの上から数えて三つ目の丸あたりで、「官民でそういう活躍の場を検討し、拡大することも考慮されたい」みたいな、活路がきちんと保証されている資格制度になるような形にするよう促してはと思います。でないと、推進しても、ふたを開ければ増えないという状態が続いちゃうんじゃないかなと思いました。


【明石主査】 

 その辺、「民間有資格者を広く登用する」となっていますから、職の提供というのがないとモチベーションは高まっていきませんから。
 ほかにございますか。
 20ページの一番下の丸、よく書いてくれたなと思うのは、重森委員もおっしゃっていますけれども、「教育効果や社会経済的効果を分析、検証するための体制整備を図るとともに、社会教育政策の効果に関する研究を推進し、研究を担う人材の育成やデータの収集体制の整備を図っていくことが必要である」と。これ、よく書いてくれた。言葉は悪いけど、なかなかそういうスタッフがそろっていないというのを、関委員、新居浜の現状から何かあれば。どういうのを作ってくれるといいのかなどありますでしょうか。


【関委員】 

 確かに、見える化とか、実際のデータ化みたいなものがまだまだ弱いところで、我々も財政サイドや企画サイドと議論するときに、その根拠が不明確であるという指摘はよくなされます。今、いろんな分析手法を、いろいろなデータ活用をしたり、統計学的な観点からの分析もできるような気もするので、本当はそれぞれの自治体で作らなければならないとは我々も思うんですけれども、なかなかそれは弱いので、全国で使えるような何かシステム的なもの、こういう評価システム、分析システムみたいなものができるのであれば、それは非常にありがたいなと思います。


【明石主査】

 私は、文科省の旧国研がありますよね、あそこの社会教育担当者と、上野にある社会教育実践教育センター、この文言はそこに向けて書いていると、私は思うんですよ。それぞれ不十分な場合は、各自治体とネットワークを作っていかないといけない。多分、県レベルではなかなかこういうシンクタンクは難しいと思いますから。


【古賀委員】 

この評価システムは国で作ってくださいと、この会議の最初の頃から言ってきていたのですけど、できたものが余りにも難易度が高いものだと、せっかく作られても使えないものになりかねません。地方自治体の職員さんでも使えるようなレベルのものに仕上げていただけたらいいなと期待しています。


【明石主査】 

 どうぞ。


【関委員】 

 今の話の流れで、社研とかの役割という意味合いで、さっきおっしゃっていたネットワーク化的な機能も担っていただけると非常にありがたいかなと思います。現在も研修会はございますけれども、そのつながりを全国に発信していくような場が少ないかと思うので、全国各地でいろんな活動をされておるようなところの情報をうまくみんなに伝えていくような役割、あるいは人の結び付きを促していくような仕掛け、そういうふうな場を作っていただくと、もっと活性化していくのかなという印象は持ちます。


【明石主査】 

 だから、メディア媒体もうまく使っていただいて、国と地域の結び付きを深めていくということが重要だと思います。担当者が研修するような、また、それを踏まえて研究していくような視点が出てくれば助かると思っています。


【牧野委員】 

 更にそこに、先ほど古賀さんがおっしゃった、民間教育事業者というか、民間、いわゆる企業等も関わっていいと思うのですね。「学びのオーガナイザー」が企業の中に入り込んでいくということは大事だと思います。この意味では、そういうところと連携を取ることも念頭に置きながら、評価のシステムを作っていくといったことが必要かなと思います。


【明石主査】 

 あとはいかがでしょうかね。どうぞ。


【重森委員】 

 20ページの「今後の社会教育施設の整備等について」のところで、具体的に、カフェとか、レストランとかって、なかなかそこに踏み出せない現状があるので、こういうことを書いてくださっているのはすごくありがたいですし、学校の統廃合とかがあったりするので、今正にといった話題だと思います。ただ、そういう教育施設同士が一緒になるときには、新しく建物を造るという補助金が今は付かないので、実際は、全然違う、例えば市長部局の地域のセンターみたいなところと一緒になって、機能をどういうふうに分けるのか、一緒にするのかみたいなところが多分多いんじゃないかなと思うのです。そういうときにも、それぞれの機能を、お互いを充実させるみたいな、ちょっとそういうことも触れてもらえるといいかなと思います。


【明石主査】

 ちょっと、重森委員に質問していいですか。 
 例えば、小学校を廃校されますよね。それを公民館的機能にするために古い校舎を改築する場合は、補助金は出ないのですか。


【重森委員】 

 それは多分、同じ教育委員会の中なので大丈夫だと思います。


【明石主査】 

 今言われたのは、どういう意味でしょうか。


【重森委員】 

 市町村レベルで言うと、機能の全然違う、例えば、住民票とかを発行しているような施設がありますよね。そういうところも同じ時期に建っているので老朽化していて、どっちも老朽化しているのだから、そういう施設と公民館とを一緒にしましょう、複合施設でというような感じが、最近、岡山市では特に多くて、そういうときに、ワンストップ化とかって最近言うじゃないですか、みんなが集える場所で。公民館っていろんな人が来るから、何でもかんでも公民館にみたいな流れもあって、だけど、それぞれの機能というのはもともと、それぞれに大事だから別々だったわけで、一緒の施設になっても機能はそれぞれちゃんと保証しましょうよみたいなことがあるとありがたいなと思います。学校とかの空き教室を使わせてもらうというときには、多分、同じ教育なので、機能がどうこうという話は余り問題にはならないと思うのですけど、全然違う機能が追加されるというときに、少し配慮があるとありがたいなと思いました。


【明石主査】 

 ごめんなさい。私が質問したのは、市役所的な機能、出張所の機能と公民館機能は違うから、補助金が出るということでしょうか?


【重森委員】 

 そうみたいです。


【明石主査】

 教育の場合は出ないのですか。


【重森委員】

 何とか債とか・・・。


【牧野委員】 

 地方債とかありますね。


【重森委員】 

 そうそうそう。


【明石主査】 

 補助金が出ないと、なかなかうまくいかないのでは。


【重森委員】 

 建物も建たないです。


【石丸社会教育官】 

 御審議のために御報告申し上げれば、今おっしゃっていたような事例は、文部科学省の補助金は社会教育の観点ではなくなっているわけでございますが、よく自治体の方で使われているのは、国土交通省の社会資本整備交付金でして、今おっしゃっていたような窓口と、図書館、公民館を集約して再開発を行うということがよく行われているのではないかと思います。公民館や図書館、博物館、こういった機能は維持することは前提なわけでございまして、論点整理案では複合化によってより一層、にぎわい創出でございますとか、相乗効果を出すということで書いてみたのですが、もし筆の至らないところがあれば、御趣旨も踏まえて、もう一度、文章の方は確認させていただければと思います。


【関委員】 

 あと、学校の絡みなんですけれども、いろいろ出ておったのですが、私のところもつい最近、一つ、町のまん真ん中の学校を統合したんです。これから先も、今も、単級の学校というのは非常に市街地の中にも増えておって、それを将来的には義務教育学校みたいなものも含めて検討していくという議論が今動いておるような状況なんですよ。そのときに恐らく、市内の今の小学校の幾つかの校舎を他に転用するような方向性が見えてくる時期が10年ぐらいのスパンの中で訪れるような気もいたします。そういうときにそれをどういうふうに積極的に社会教育的な機能に組み込んでいけるか、それはむしろ初中局との議論にもなるのかもしれないですけれども、それは決して遠くないような気がします。


【明石主査】 

 これはどう書くか難しいのですけど、例えば千葉市の例で言いますと、統廃合しますと、校舎を潰して、土地だけは、教育委員会じゃなくて、県の企業庁に持っていかれるとか、そういうこともあり得るので、統廃合した後の学校跡地再利用ということをうまく、社会教育的な転用を進めてほしいとか、そういうのを書かないと、全部、市長部局に持っていかれる可能性が高いのですね。それを一番心配します。


【関委員】 

 我々も地元で協議したときに、どうせここはどこかに売るんだろうみたいな話をすぐされましたけれども、今、地元といろいろ協議する中で、子供からお年寄りまで、みんなが学び合えるような、そういう学び館にしようと、今、そういう話がいよいよ進んできました。そういう何か動きやすいような水口が引かれておれば、地域にとっても動きやすいのかなという認識は持っております。


【小曽根委員】 

 私も、今の関係で。うちの社会教育委員も心配していたのは、学校を閉校した後、それをどう活用するかということです。基本的には地元の住民の意向を聞いてということなのですが、もともと学校自体がその地域の核だったので、その施設を地元や社会教育的にどのように利用するかということを大事に活用したいみたいな意味合いが入っていればいいかなというふうに思います。


【明石主査】 

 ほかに何かございますか。
 かなり具体的な意見、ありがとうございました。なければ、今までの御意見を伺いまして、あとは私と事務局の方に一任させていただければと思っておりますけれども、よろしいでしょうか。


(「異議なし」の声あり)


【明石主査】 

 それでは、最後ですけれども、各委員より一言ずつ。きょうは最後ですから、重森委員から何か。


【重森委員】 

 委員としてどれだけお役に立てたのかはわかりませんが、私自身も、すごく勉強をさせていただきました。新しい刺激とかをたくさん頂いて、現場では、悩んでいたりすることが少し違うので、逆に、ここでいろんなお話を聞いたことを現場に戻って一緒に考えさせてもらったりというような、すごく貴重な場になったなと思っています。いろんなことを言わせてもらったことがこのような形になったので、是非これはそれぞれの自治体で読んでもらえるようになったらいいなと思いますし、そういうことのために引き続き力が注げたらと思っています。どうもありがとうございました。


【明石主査】 

 じゃあ、関委員。


【関委員】

 本当に、長いこと、いろいろ学ばせていただきまして、ありがとうございました。以前からこのような形の場に関わらせていただく中で、なかなか結論まで至ることが少なかったような気も正直いたしております。それに関われなかったのは自分の力不足だと今改めて思っておるのですが、特に私の場合、初めの頃は首長部局の方の行政職で、今、教育長という立ち位置にいるときに、両者の違い、感覚的なものが、今、ひしひしと自分の中では身につまされる部分も正直ございます。これから先、どうやって社会教育的な機能を高めていくことで町を作っていくか、その立ち位置を大事にしたいなと、今思っています。それを進めていく上で、逆に学校教育との連携も当然必要なところがあり、あるいは、高齢者であれば行政の福祉領域との接点が大事であり、また、ESD的な、岡山のような取組をするのであれば、ほかにも、人権であったり、環境であったり、様々な取組が必要になってくる。そのための拠点として、社会教育の場としての公民館や図書館や博物館みたいなものがもっとクローズアップされるように、市全体の中にきちんとそれが位置付けられるような方向性をこれからも考えていきたいなということをこの場で学ばせていただいたような気がします。全国の社会教育関係者が、前を向いて、自信を持って仕事に取り組めるような関わりをこれからも、我々も続けていけたらいいなと、改めて思っております。本当に、長いこと、ありがとうございました。


【明石主査】 

 小曽根委員。


【小曽根委員】 

 どうも、本当に大変お世話になりました。私、教育委員会へ来てたかだか3年で、今回、こういう会議の場に出させていただきまして、本当にいろいろ勉強させていただきまして、刺激にも大変なりました。いろいろ感じたところなんですが、社会教育、人の幸せ、豊かな生活という、そういった部分で本当に大事なわけですが、今まで、市長部局の方にそういったことは余り浸透してないんじゃないかなというふうに正直思います。逆に言えば、文科省の方で市長部局の方にもそういったPRなりアピール、本当に社会教育は大事なんだよというふうな認識が浸透するよう、是非ともお願いしたいと思います。本当に大変お世話になりました。ありがとうございました。


【明石主査】 

 じゃ、古賀委員。


【古賀委員】 

中間支援NPOとして、アウェーの人間ながらも、勉強させていただきました。15年ほど前から社会教育主事講習を担当して、3年ほど前からは福岡市の公民館とNPOや企業との協働事業のコーディネートをしたり、複数の公民館での地域課題解決にまつわる対話の場づくり等のお手伝いをする中で、気が付けば、私も公民館のファンにもなっています。ただ、公民館含む社会教育の価値は全然伝わってないなという、もどかしさも感じていて、行政でも、首長部局は理解されていないところが多いなと思っています。今後は、中間支援NPOの立場として、社会教育の意義の理解促進はもとより、私が今回の会議で一番関心を払ってきた「成果の見える化」について掘り下げていけたらと思っています。ありがとうございました。


【明石主査】 

 お願いいたします。


【牧野委員】 

 長い間、どうもありがとうございました。9か月になるのですね。どうも御苦労さまでした。
 私、実は8期の中教審から関わらせていただいて、それから現場に出ることがとても多くなりまして、それまで社会教育・生涯学習の講座にはいたのですけれども、余り現場のことは知らなかったなと改めて認識させられました。しかし、現場に出ることによって社会教育の可能性がどんどん見えてくるという感じになりました。感謝しております。今、大きな動きとしては、この前の答申もありますし、新しい法制度の改革もあるのですが、今こそ社会教育の時代だと言わなければいけないのではないかと思うのです。もうすこし言いますと、国の在り方が大きく変わっていく中で、国民としての住民が生き生きと自分の地元またはいろんなネットワークの中で生活をしていくことが、社会の活力を高めていくという方向性をきっちりと打ち出さなければいけなくなっているのではないか。その意味では、そこは社会教育が担うべきものだと思うのです。
 更に言えば、少し難しい話になりますが、権利論的にも、今までは、権利というのは自分がもとから持っているものであって、例えば行政に要求をしてやらせる権利があるとか、そういう議論であったと思うのですが、むしろこれからは自分たちで社会を新たに作り上げていかなければいけない、そういう意味で権利を行使するし、権利そのものを創造する、こういうことになっている。それが本来の自治につながることになるのだろうと思うのです。そして、その結果、例えば、財政的にも負担が軽くなり、行政がきっちりと住民生活を支えるためにお金を使い、新しい社会がつくられていくということになるのでしょうから、その意味では、社会教育こそがこれから社会の基盤をつくるのだと言わなければいけないし、それを実践として実現していくことで、もう一度、社会をつくる新しいロジックを組んでいかなければいけないのではないかと思いました。
 こちらで9か月関わらせていただいて、委員の先生方の御意見を伺いながら、いろいろ考えさせられた、とても勉強になった9か月でしたし、私たちも、大学の中にいるだけではなくて、現場に出ていかなければいけないと強く思いました。是非とも、これからもお世話になりたいと思います。どうもありがとうございました。


【明石主査】 

 私からも一言。先週、京都の漢字ミュージアムに行ってきました、漢検の。面白かったです。子供が一番熱中して、タッチして漢字をいろいろ探している。博物館も、民間といいますか、NPOを含めた形で活性化するような要素がある。もう一つ、佐賀県の武雄市の図書館ですね、TSUTAYAがやっている。それがヒットしているし、1月かな? 千葉県の40万の、東葛の方のところでTSUTAYAが図書館をやっているのですね。だから、図書館とか博物館は民間の知恵を入れながら、評価はいろいろありますけれども、ある方向で元気付いている。不勉強ですが公民館というのは、あまりよくないイメージがあったのですけれども、今回、岡山の事例とか、新居浜とかのいろんなことを聞いてみると、これは捨てたもんじゃない。いろんな方が、公民館を見直そうという、そういう機運になればいいかなと思います。一番大事な、地域のきずな作りは、言葉は悪いけど、博物館、図書館もできるけど、それ以上にできるのは公民館というふうに思います。フェース・ツー・フェースの関係でディスカッションできて、新しいまちづくりをできるのは、公民館的な機能だろうと。そのきずな作りがある。学校で言えば、学級がきずな作りね。やっぱりキーワードはそういうことが出てくるので、今回の論点整理を見ますと、その辺のことに力点を置くということは非常に大事かな。それを民間にものすごく門戸開放したという。そうすることによって、市長部局とも協力できるし、連携できるかなと思います。もう一つは、単なる仕事をするだけじゃなくて、蓄積して評価をしていくという、そういう研究協議体を作って情報の共有化をしていかないと、なかなか社会の発展に持っていけないだろうなという感じはしております。そういうのが結構入ってきているかなと思いました。
 最後に、局長から一言いただければと思っています。


【有松生涯学習政策局長】 

 会議の終了に当たりまして、一言御礼申し上げます。
 今、先生方から、大変ありがたく、かつ勇気の出るコメントを頂きました。社会教育における学習成果を、地域づくり、コミュニティの維持と再生の実践につなげていくという、社会の期待に応えるための協力者会議ということで、昨年7月より6回にわたり御議論を頂きまして、このまとめにありますように、社会教育を取り巻く環境変化ですとか、社会教育行政、そして施設の在り方について、いろんな事例もお伺いさせていただきながら、また現地に視察も頂きながら、御議論を頂きました。大変活発な御議論を頂きましたこと、ありがとうございます。また、ここに至るまで御議論をおまとめいただきました明石主査にも、改めて御礼申し上げたいと思います。
 おかげさまで、今日もたくさん御意見を頂いたので、更に今頂いた御指摘を反映させていただき、主査とも御相談をさせていただきたいと思いますけれども、ここまでの取りまとめとしましても、今後の社会教育に期待される役割や方向性を明らかにしていただき、いわゆる「地域課題解決学習」の取組を促進して、人々の暮らしと社会の発展に貢献する、ここにあります持続可能な社会教育システムの構築という大きな道筋をお示しいただいたものと考えております。きょうの御発言の中でも、社会教育に携わる人に元気が出るようなものにという御指摘もありました。私たち、正にそれをしたいと思って、御議論を頂き、まとめてきたつもりでございますので、社会教育の人たちが自信を持ち、もうちょっと民間にも開き、社会教育関係者の人たちの前がぱぁーっと開くような報告書にして提示できればと思っております。私たちも含めて社会教育に関わる全ての人たちがもう少し元気を出して、社会における自分たちの役割というものをいま一度、自らが認識をして取り組んでいかなければいけないなというふうに思っております。
 そういう意味では、御指摘いただいたことを盛り込んで、これをまとめるのとともに、アピールの仕方ですね。今はこういう資料2もございますけれども、これも含めて分かりやすく各自治体の方々や社会教育主事の方々にお伝えするということが私たちのこれからの大事な仕事だと思っておりますので、是非それをやりたいと思いますし、社会教育主事の養成を含め、制度的あるいは施策として、これを受けてやっていかなければいけないこともありますので、しっかりと活用していきたいと思います。
 本当に長い間、どうもありがとうございました。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。


【明石主査】 

 局長、ありがとうございました。
 以上で、6回の議事は終わりたいと思います。最後に、今後のスケジュールについて、事務局からお願いいたします。


【石丸社会教育官】 

 御議論賜りまして、本当にありがとうございました。先ほど明石主査よりお話ございましたが、取りまとめに当たりましては、主査の明石先生に御一任いただいているところでございます。事務局の方で、本日もたくさんの貴重な御意見いただきましたので、もう一度、報告書の方を精査させていただきまして、明石先生とも御相談の上、最終報告書を各委員に御送付申し上げたいと存じます。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。


【明石主査】 

 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

電話番号:03-5253-4111
ファクシミリ番号:03-6734-3718