学びを通じた地域づくりの推進に関する調査研究協力者会議(第2回) 議事録

1.日時

平成28年7月29日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館15F特別会議室

3.議題

  1. 学びを通じた地域づくりの推進の在り方についてヒアリング等
  2. その他

4.出席者

委員

明石委員、井出委員、小曽根委員、古賀委員、重森委員、関委員、田原委員、牧野委員、山崎委員、雲南市職員(板持委員、細木委員)、青森県職員(渡部委員)

文部科学省

有松生涯学習政策局長、徳田大臣官房審議官(生担当)、下間生涯学習政策局総括官、里見生涯学習政策局政策課長、西井生涯学習政策局社会教育課長、渡辺生涯学習政策局社会教育課地域・学校支援推進室長、佐藤生涯学習政策局社会教育課社会教育官、石川生涯学習政策局社会教育課専門官

5.議事録

【明石主査】

定刻となりましたので、ただいまから第2回学びを通じた地域づくりの推進に関する調査研究協力者会議を開催いたします。委員の皆様、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

本日はヒアリングを行いますけれども、1人は青森県の方で、もう一方は雲南市の方よりそれぞれ御出席いただいております。ありがとうございます。

それでは、事務局より資料の確認をお願いいたします。


【石川社会教育課専門官】

おはようございます。それでは、お手元の資料を確認させていただきます。まずクリップに止まっていますけれども、議事次第、座席表、それから資料1から資料5までございます。また、机上の資料、幾つかございます。委員の先生に事前に御提出いただいた資料も含まれております。お手元にございますでしょうか。また過不足ございましたら、事務局までお知らせください。


【明石主査】

それでは、事務局より本日の会議の流れを説明していただけますか。


【石川社会教育課専門官】

本日は、まず雲南市と小曽根委員から、教育委員会と首長でありますとか、その他の関係者との連携に関する課題なども含めまして事例の御発表を頂く予定でございます。雲南市からは教育委員会より細木室長、市長部局の地域振興課より板持主査にお越しいただいております。ありがとうございます。

続きまして、山崎委員から行政とNPOや民間団体等との連携に関する課題等も含めまして、事例の御発表を頂く予定でございます。

最後に、青森県の渡部学校地域連携推進監より、全国都道府県教育長協議会で平成26年度に研究協議されました学習や社会生活に困難を有する子供や若者に対する社会教育による支援の在り方について御発表いただく予定でございます。

本日はお越しいただきまして、ありがとうございます。それぞれのテーマごとに質疑や議論を深める時間をとりたいと思っております。

また、会議に先立ちまして、事務局に異動の予定がございますので、德田審議官より一言御挨拶をさせていただきます。


【德田大臣官房審議官】

済みません。お時間を頂きます。生涯学習政策局の審議官の德田でございますけれども、8月1日付で農林水産省に戻りまして、近畿農政局長になることになりました。この2年間、大変お世話になりましてありがとうございました。特にこの学びを通じた地域づくりの推進に関する調査研究協力者会議というのは、私もすごい思い入れがありまして、本当にこの議論を楽しみにしてというか、参加したかったところでございますが、こういうことになりましたので、御容赦願いたいと思います。

今回の会議で、これまでの社会教育が時代の中でばらばらになってきているのをもう一回再結集して、結集するだけではなくて、今までの幅を取っ払って、新たな仲間というか、メンバーも加えていく中で再構築していくことが重要じゃないかと思います。今回のいろいろな議論は、前回もそうでしたけれども、やり方もいろいろ工夫して、今までにないことを考えておりますので、今回私がいろいろ言うこと自体が枠をはめてしまうことになると思いますが、非常に期待しております。部署が変わってもこの会議については注目しておりますので、是非今後の社会教育の出発点となるよう、成果を上げていただきたいと思います。

本当に長い間ありがとうございました。


【明石主査】

審議官、本当に2年間、御苦労さまでした。ありがとうございます。また、栄転、おめでとうございます。

それでは、最初に雲南市と小曽根委員から15分ずつ御発表いただきます。

まず、雲南市から御発表。


【雲南市(板持)】

それでは、失礼いたします。島根県雲南市から参りました、私は市長部局の政策企画部地域振興課におります板持と申します。


【雲南市(細木)】

同じく教育委員会社会教育課キャリア教育推進室の細木といいます。よろしくお願いいたします。


【雲南市(板持)】

それでは、座りまして、相互の連携につきまして、状況をお話しさしあげたいと思います。

本日の構成でございますけれども、連携の状況と、その背景についてと、若干の留意点と、課題提起という点をお話しさせていただきたいと思います。

資料の1枚目をおはぐりいただきたいと思います。まず連携の状況でございます。上の段のスライドナンバー2でございますけれども、大きく分けて4点挙げています。1点目、マル1のところでございますけれども、各地域の状況を知るために、毎年度当初、4月冒頭なんですけれども、各地域を訪問しております。この地域の対象といいますのは、いわゆる地域コミュニティでございまして、市内全域に30の組織がございますので、そこに市長部局の中でも様々な部局が関わります。健康福祉関係ですとか、あるいは危機管理関係、それから、教育委員会も一緒になって、各地域を訪問して、各地域の状況を知るということと、行政の施策と教育委員会としての施策の状況のお話を差し上げて、そこで一旦意見を伺ったり、課題を伺ったりいたします。それから、当該年度の施策の方針を、事業計画を具体的に立てて展開していくということを考えております。なぜこんなことをやるかといいますと、市民を起点に対策を考えようということでございます。

2点目はその下のところでございますけれども、関係部局会議ということをやっていまして、これは会議というほど大それたものではございませんけれども、定期的に市長部局と教育委員会の部局と、実務者レベルで協議を持っています。これは、頻度的には、二、三週間に1回という頻度でやっていまして、昨年度までは2週間に1回ぐらいでやっていたんですけれども、少し組織機構の見直しがあって、業務上、なかなかそこまでは難しいということがありましたので、二、三週間に1回でございます。これは議題がなくても、主に教育委員会、社会教育関係の部署と、それから福祉関係といったところは必ず関わりますので、そこと一緒になって、市長部局の方が音頭をとりまして、連携の会議を持っています。

それからマル3でございますけれども、地域円卓会議方式ということで、地域のコミュニティと行政が対等に協議する場というものを設けるようにしております。25年度から行っておりますけれども、テーマに応じて集まるというやり方でございまして、共通テーマの中に防災とか地域福祉関係、それから、生涯学習社会教育関係、これは全市共通して取り組むべき課題だということで、共通してテーマを持って行っております。そのほかにも個別のテーマ、例えば閉校した後の地域づくりはどうしたらいいのかというテーマに希望されるところが集まっていただくという形をとっております。これにつきましては、関係部局は、集まりたい部局、関係するというところがその都度集まってくるというやり方でございます。

マル4点目は各種の研修でございまして、これは誰に対する研修かといいますと、市の職員ではなく、地域を動かす住民組織の方の研修でございます。毎年度、地域側の体制も変わってまいりますので、スタッフ研修、新任のスタッフ、あるいは役員さんの研修会を開催しています。そこでは基本的な地域づくりの考え方ですとか、福祉の考え方、あるいは生涯学習の捉え方、あるいは社会教育として、行政としてこんなことを求めたいというような基本的な方針を研修という機会を通じてお知らせをいたします。そのほかもろもろの研修がございますけれども、できるだけこういったときには教育委員会と連携を図ってするようにしているところでございます。  それから、その他民間団体との連携状況についてでございます。


【雲南市(細木)】

教育委員会では、ここに書いておりますが、認定NPOカタリバへ事業委託しておりまして、その主な業務が二つ。一つは不登校対策でございます。閉校となったおんせんキャンパス、校舎を活用して、平成27年度からカタリバへ委託しております。やはり直営ですと、なかなか行き届かない点等、専門性を持ったスタッフが充実しておりますので、子供にもきめ細かい指導をしていただけるということ。それと、閉校となった地域ですので、地域との連携ということで、体験不足の子供たちが多いですので、そういうところで田植とかいろいろな活動を地元の方に講師に入っていただいたりということで、地元の理解も進んでいるという状況でございます。

もう一つがキャリア教育の推進ということで、うちは主に中高校生を中心として、土曜日の学習等に力を入れておりまして、キャリア教育の推進、スタッフ、専門性を持って、市役所を土曜日に開放したりとか、中学校の総合の時間をコーディネートしたりとか、中学2年生全員がカタリバの授業を受けるといったことに取り組んでおります。


【雲南市(板持)】

こうした連携の背景について3点ばかり記載しております。まずマル1の連携の背景についてでございますけれども、先ほどから地域と言っておりますのは、いわゆる地域コミュニティでございまして、うちの方では地域自主組織と言っています。総務省さんで言われますところの地域運営組織とほぼ同義語でございます。市内全域に30組織ございまして、地域の課題を、それぞれが地域の方が主体となって自ら解決しましょうというものでございます。そこには組織があり、拠点施設がございます。この拠点施設は、もともと公民館だったところを交流センターという名前で、いわゆるコミセン化して、そこを拠点に、組織の方が拠点として活動しています。

生涯学習につきましては、所管といたしましては私ども市長部局の地域振興課で担っています。ただ、社会教育につきましては教育委員会の中で持っております。地域によって課題が様々異なりますので、様々な分野が関わります。そこでは共通の視点というものを持って活動いただいています。これは地域の方の共通の視点でございます。それは安心安全と歴史・文化と持続可能性でございます。基礎的にコミュニティとして必要な視点はこんなものではないかということで掲げています。そうしたものの中に地域福祉、それから生涯学習、地域づくりというような主要3本柱があるという構造で、市内全域で共通して取り組んでいただいています。

連携の背景のマル2でございます。


【雲南市(細木)】

きょう配付をさせていただいていますが、机上に夢発見プログラムという保幼小中、教育委員会、守備範囲は中学校までなんですけれども、市内に三つの県立高校がございまして、3年間で県の事業を活用して、県立高校とも、地域の子供の育ちということで、高校まで一貫した教育プログラムを作成して、今後どのように家庭、地域、学校、行政でこれを推進していくかということが高校については始まったばかりですが、保幼小中については、夢発見プログラムに基づいて、市内、どの小学校でも中学校でも基本となることはみんな学ぼうと。平和と人権であったら、永井隆博士という、長崎で被爆されて、尽力された方がいらっしゃるんですが、そういった学びは共通してやろうということで取り組んで います。


【雲南市(板持)】

続きまして、もう一枚おはぐりいただきまして、連携の背景マル3でございます。雲南市の方では地方創生の総合戦略の中で、チャレンジの連鎖ということを掲げております。これは何かといいますと、先ほど御紹介いたしました子どもの時代にはキャリア教育のプログラムを夢発見プログラムということで体系づけて行っていますが、一方では若者の部分、つまり、大学生、あるいは20代から30代につきましては、今、人材の育成のための塾を行っています。これは幸雲南塾の大人版ということでやっております。一方では、私どもの所管しておりますまちづくりということで、大人の世界の中で地域運営をしています。そこでは地域の課題を解決していこうとすることをやっています。それぞれがそれぞれでするだけではなくて、それを連鎖させていきましょうということで体系的にチャレンジをするような人材を育てて、最終的には地域の課題を解決するような人材を作っていくというという連鎖を掲げております。したがいまして、こうした部分でそれぞれの部局が連携をしながら展開しているところでございます。

その下のスライドナンバー7番でございますけれども、連携上の課題という部分を3点ばかり挙げております。まず1点目は、私ども地域のコミュニティを支援するために行政の支所に地域づくりの担当職員という者を置いています。一義的に窓口となったり、支援したりする現場の者でございます。かつては社会教育の関係の併任辞令をもって、社会教育という視点を持って活動しましょうということでしていたんですけれども、途中から併任という部分を余り意味がないんじゃないかということで一旦なくしたんですけれども、そのとき以降少し連携が薄くなってきたのかなということがありまして、当時もそれがあるからといって共有が図れたというわけではないんですけれども、特に本年度、春に各地域を訪問したときに、地域の方から、もう少し連携すべきじゃないかという意見を伺いまして、私どもではかなり連携をして進めていたつもりだったんですけれども、もう少し連携が必要だなということで、より強く連携するために、関係部局会議を設定し、定例的に必ず各部局が出るという方法で連携を強化したところでございます。例えばですけれども、連携の部分の課題として言いますと、閉校になったところです。小学校が閉校するところがうちの方でも随分出てきています。閉校するまでにつきましては所管の部局が教育委員会になっていまして、閉校した途端に市長部局の方に移ります。ただ、地域からしますと、それは一連の過程でございまして、どうしても連携が、教育委員会は教育委員会の中でシステム的に決めますし、市長部局の方でも、もっと連携を強めながら、閉校に至るまでということも注視をしなければいけませんけれども、そこがなかなかできなくなっているなということを感じました。  次のページの留意点、8枚目でございます。まずマル1でございますけれども、これは市民の方々からよく言われることでございまして、市民主体の生涯学習をうちの方では進めていますけれども、行政の顔が見えないということを言われることがございます。これはよくよく意見を聞いてみますと、顔が見えないということではなくて、頻繁に顔を合わせているんですけれども、方針が見えないという意味が分かりまして、したがいまして、方針を共有するために毎年度新任スタッフの方々には研修会をしているという状況でございます。市民と方針を共有するということが大切だろうというふうに考えております。  マル2につきましては、一人一人、つまり、市民一人一人の主体性を発揮するためには、私どもで思っていますのは、大人の場合には教えるというスタンスではなくて、学び合い、気付き合っていただく、あるいは磨き合っていくということが非常に重要であろうというふうに思っています。そうしたところに社会教育的なアプローチを使うべきじゃないかというふうに考えております。

下の9枚目でございますけれども、最後でございますけれども、政策上の課題提起を若干させていただければと思います。私どもでは、地域、つまり、市民を起点に考えて、地域コミュニティをベースに様々なことを考えております。地域では先ほども申しましたとおり、横断的に様々な課題を解決しようといたします。したがいまして、行政の縦割りではなくて、できるだけ横断的に物事を捉えていくことが非常に重要だということを実感しています。

それから、マル2でございますけれども、持続的に課題解決に効果的につなげていくためには生涯学習という観点は非常に重要だなということをよく痛感しております。ただし、関係者の方の中によくありがちなのが、私どもの市内でもございますのが、生涯学習が大切だという方に限って生涯学習が目的化しているようなことが見受けられますので、本来は手段であるべき生涯学習が目的化してしまいがちだと感じます。本来の目的は人づくりではないかなというふうに考えております。私どもでは、公民館は転換しましたけれども、交流センターという転換した建物は、社会教育法上の生涯学習を担う施設ということで条例上で位置付けをしていまして、大切なのは、名称がどうのこうのということではなくて、人づくりという機能が大切だと思っています。私どもコミュニティの業界では全国各地で公民館を転換されるところがたくさんございますけれども、中にはそうした社会教育、あるいは生涯学習の視点がなくて、単純にコミセン化されているという傾向が見られますので、きちんとそこは人づくりの機能を盛り込むような仕掛けをした方がいいんじゃないかということを私どもでは思っております。  最後に、10枚目のスライドは先ほど申し上げましたようなことを図式化しておりまして、一番上のところは地域の方で取り組んでいる部分でございます。分野を問わず、地域によって様々な課題がございまして、市民の方では横断的に主体的に取り組んでおります。市町村、あるいは県、国に近付けば近付くほど専門的になってまいります。これは当然そうであり、必要なことであろうかなと思っていますけれども、往々にしてそれぞれが縦の系統で縦割りで私どもも施策展開をしてしまうことがございますけれども、地域の実態をよく把握した上で、できるだけ連携して展開していくことが大変重要であろうというふうに考えているところでございます。

簡単でございますけれども、以上でございます。ありがとうございました。


【明石主査】

ありがとうございました。後ほど質疑や議論の時間をとりたいと思います。ここでは事実確認などの簡単な質問がありましたらお願いします。よろしいですか。

続きまして、小曽根委員、お願いします。


【小曽根委員】

佐野市の教育委員会、生涯学習課長の小曽根でございます。どうぞよろしくお願いいたします。こちらの資料と、本日、先の3月5日、6日で行いました「全国学びとまちづくりフォーラムin佐野」のチラシの方を配らせていただきました。それでは、どうぞよろしくお願いします。

「全国学びとまちづくりフォーラムin佐野」開催事業について事例発表させていただきます。  最初に、佐野市の概要につきまして御説明いたします。本市は、首都東京から70キロ圏内にあるにぎわいのある北関東の中核都市でございます。人口は12万1,000人、面積は356.07平方キロメートルです。市内には東北自動車道の佐野・藤岡インターチェンジ、あと茨城、栃木、群馬の3県を横断的に結ぶ北関東自動車道の佐野・田沼インターチェンジ、更に佐野サービスエリアのスマートインターチェンジを合わせますと三つのインターチェンジを有しております。鉄道網ではJR両毛線と東武佐野線が乗り入れしているほか、東京駅、新宿駅の都心部を始め羽田や成田空港等と結ばれる高速バスが運行されており、広域交通網が交差する立地条件から、北関東の玄関口として、また交通の要衝地として発展が期待されております。また、大型商業施設の佐野プレミアム・アウトレットや道の駅「どまんなかたぬま」、本市名産の佐野らーめんやいもフライ、仙波そば、耳うどんなど、多様な交流を促進する資源があり、更に藤原秀郷、田中正造など、日本史の上でも重要な人物が名を連ねており、天明鋳物や飛駒和紙、牧歌舞伎の伝統工芸や伝統芸能、ほかに国指定史跡の唐沢山城跡や伊藤若冲の作品を有する吉澤記念美術館など、貴重な歴史文化資源にも恵まれているところでございます。  それでは次のページで「全国学びとまちづくりフォーラムin佐野」について御説明いたします。最初にフォーラムの開催概要でございますが、開会式典、基調講演、分科会、全体会、基調提言が基本的な内容でして、実例としまして、今年3月5日、6日の2日間にわたりまして開催しました第4回フォーラムのプログラムを掲載させていただきました。このときは12の分科会を実施した関係で1日目の10時から分科会を、第1部を4会場で実施しました。13時からは開会式典を開催し、基調講演には生涯学習政策局の前社会教育課長の谷合様に御講演いただきました。その後、分科会の第2部を開催し、午後17時30分からは市内のホテルで交流会を開催し、約150人の参加があり、交流を図られました。

2日目は午前中に分科会第3部を、午後13時からは全体会として基調対談、基調提言を実施し、閉会いたしました。  また、本市では生涯学習課に登録しているボランティア講師を楽しく習うと書いて楽習講師と呼んでいますが、フォーラムと同時開催として、その方たちの楽習講師フェアを開催しております。内容は切り絵や絵手紙、読み聞かせ、太極拳などの展示体験コーナー、また、文化会館のステージではフラダンスや日本舞踊などの発表会を行っています。併せて生涯学習の一環として創作活動に取り組んでいる方たちの作品展、彫刻や絵画、絵手紙などの作品ですが、静のアート作品展と題しまして、作品を展示しています。これらが「全国学びとまちづくりフォーラムin佐野」の全体像でございます。

次に、フォーラムの開催趣旨についてですが、現在社会情勢の急激な変化に対応するため、個人の学習成果を地域の課題解決のために生かす、生涯学習社会の実現が求められております中で、全国各地で学びを生かした活発なまちづくり活動が展開されております。本フォーラムは、そのような元気な団体、自治体等の実践事例の徹底した情報交換、研究発表等を行うことにより、生涯学習・まちづくりの発展に寄与することを目的として平成24年度より開催しております。また、設立時より全国各地の団体や自治体等の生涯学習まちづくり活動の仕掛け役、調整役を担ってまいりました全国生涯学習まちづくり協会や全国生涯学習市町村協議会との連携を図りながら継続開催することにより、毎年、その関係団体、関係者が一堂に集うことで全国的な先進事例を参考にした市民のまちづくり活動の取組への反映を図ってまいりました。更に例年開催している楽習講師フェア、静のアート作品展を同時開催することにより、これらのイベントの参加者を巻き込んだ相乗効果も生まれました。このフォーラムはこのような意図の下、様々な関係者が一堂に会して情報を交換するとともに、相互の活性化を図ろうと開催しております。

次に、フォーラムの効果についてですが、まず分科会事例数の推移ですが、例年少しずつ増やしてきて、平成27年度は12分科会を実施したところでございます。また、参加者数の推移ですが、済みません。分科会参加者とありますが、フォーラム全体の参加者でございます。延べ参加者数ですが、毎年増えてきており、このフォーラムが定着してきていると感じているところでございます。効果についてですが、このフォーラムは、全国各地で先進的な生涯学習によるまちづくり活動を実践している団体や自治体の事例を間近で聞くことができたり、パネリストと直接意見交換することができることから、今後、本市の楽習を生かした地域でのまちづくり活動に大きな貢献をすることが期待できます。

また、本市は観光立市を掲げているところですが、全国規模の観光コンベンションとして全国からの参加者が集うことで、佐野市の様々な情報をPRできる機会でもあることから、生涯学習のみならず、市長が掲げるリーディングプロジェクト観光立市にも大きな効果を上げております。  また、経済効果としては、市内、県外からの来場者も増加しており、フォーラム当日の市内宿泊施設はほぼ満室となり、また来場者が会場に向かう途中で佐野らーめんや佐野みやげを購入するなど、市内の飲食店への経済効果にも大きなものがございます。

次に、教育委員会と首長部局、関係団体等との連携状況についてですが、まず、フォーラムの実行委員会名簿をごらんください。実行委員会の会長でございますが、岡部市長になっていただいております。平成24年度のフォーラムの初開催に当たり、岡部市長の強い要望もあり、全市を挙げて開催することから、市長が先頭に立ち、また、副市長、教育長も委員に加わって実行委員会を組織しました。したがって、首長部局、教育委員会の分け隔てなく職員がフォーラムに参加しているところです。

なお、事務従事につきましては生涯学習課が中心となり、教育委員会全体で実施しているところでございます。また、町会長連合会や小中学校PTA連絡協議会、まち中活性化推進協議会、青年会議所など生涯学習に関わる主な団体からも委員になっていただき、各団体との連携協力を得ているところです。さらに、生涯学習まちづくり協会、全国生涯学習市町村協議会の協力も得まして、関東各県及び福島県からの代表者にも委員になっていただいております。このように市長の強力なリーダーシップの下、多くの協力者、協力団体を得て、全市、全庁を挙げて実施しているところでございます。  次に、教育委員会と首長部局の連携の事例でございますが、この前のフォーラムで首長部局の市民活動促進課と連携して一つの分科会を実施いたしました。これまでのフォーラムの分科会でもコミュニティ・自治会をテーマにしたものは実施しておりましたが、市民活動促進課が毎年実施しています町会長、町会役員等を対象とした市民活動講演会と目的が近いことから、分科会の一つ、第4分科会「コミュニティ・自治会・自主防犯・自主防災」をテーマにした分科会でございますが、こちらを市民活動促進課に運営してもらいました。市民活動促進課から町会長、町会役員へ直接参加の呼び掛け等を行った結果、例年五、六十人程度の参加者であった市民活動講演会でしたが、この分科会では約250名の参加者を集め、有意義な分科会を実施することができました。市民活動促進課と連携することで、より多くの参加者を集め、効率的、効果的に事業が進められたものと考えております。

最後になりますが、この事業実施における今後の課題について御説明いたします。まず分科会の調整についてですが、これまで分科会数を増やしてきたところですが、会場が佐野市文化会館周辺及び市の仮庁舎がそこにあった関係で、分科会会場を確保し、実施できたところなんですが、新庁舎が落成し、仮庁舎がなくなった関係で、物理的に同じようにはできないようになりました。また、参加者からも分科会数が多いと充実する反面、限られたものしか参加できないとの意見等もあり、また、事務従事にも負担が増えている、また多忙感が増している状況であり、更に事例発表者の確保にも課題になってきているところから、今後分科会数を絞り込む必要を感じております。

次に楽習講師フェアとの調整についてですが、もともと実施していた楽習講師フェアと相乗効果を期待してフォーラムを同時開催したところですが、楽習講師の方からは分科会等がメーンとなり、楽習講師フェアが付け足しのようになってきているなどの意見も出ており、今後、楽習講師にも十分活躍してもらうような、また、PRにも配慮したような周知を図っていく必要を感じております。

最後に、こちらの方が一番大事なことなんですが、事業費の確保があります。本市も他市と同様、財政当局より事業費の削減、事務事業の見直し等を求められているところでございますが、フォーラムの事業費につきましては、実行委員会が主体となり実施しており、市の一般会計からは交付金として80万4,000円を受けております。実行委員会によるフォーラム全体の事業費の総額は約200万円でございますが、収入の主なものは、市からの交付金の80万4,000円と、あと、参考として掲載させていただきました協賛金・広告掲載料の64万6,000円で、協賛金・広告掲載料等については27年度頑張って増やしてきたところでございますが、これ以上の伸びということについては余り期待できないところです。市の交付金につきましても、全国生涯学習市町村協議会からの30万円の補助金を含めての額であり、財政からは受益者負担と自主財源による交付金の削減を求められているところでございます。

事務局としましては、フォーラムの開催も定着してきており、生涯学習・観光立市にも効果を上げてきているところから、何とか協賛金等の自主財源の確保にも努め、継続開催を進めていきたいと考えております。

以上、雑駁(ざっぱく)でございますが、「全国学びとまちづくりフォーラムin佐野」開催事業について説明させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。


【明石主査】

ありがとうございました。では、事実確認などの簡単な御質問がありましたらお願いいたします。

それでは、雲南市と佐野市の御発表につきまして、全体的な議論を深めていきたいと思います。まず、発表者の方々から、各委員の方々から頂いているメモがありますけれども、それに対するコメントがございますか。ありますか。なければ。


【雲南市(板持)】

結構です。


【明石主査】

いいですか。


【小曽根委員】

はい。


【明石主査】

それでは、各委員の方々から御意見がありましたらお願いします。


【牧野委員】

失礼します。牧野といいます。どうもありがとうございました。

質問というか、補足の説明をお願いしたいと思ったのですが、雲南市は、いわゆる小規模多機能自治ということで全国に名を馳せていると思うのですけれども、小規模多機能自治と今のご発表との関わりですとかを、もう少し詳しく御説明いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。お願いいたします。


【雲南市(板持)】

小規模多機能自治との関わりでございますけれども、私どもで小規模多機能自治と言っていますのは、おおむね小学校区域で様々な地域の課題を住民自らが主体的に解決しましょうという仕組みそのものを指していまして、それは全てが地域に任せるというわけではありませんで、行政として補完して支えなければいけないところは支えていくという意味でございます。今日お話をしましたのはまさにそうしたことの意味でございまして、地域が主体性を帯びて活発化していくためにはどうしたらいいのかという視点と、もう一方では、行政として何ができるのかという視点です。地域と行政が対等な関係性ということを念頭に、地域の活動が高まれば高まるほど、行政も高めていかなければいけないと。行政が一方的に進めるのではなくて、地域側の意見をしっかりと踏まえて、案の段階から、つまり、政策形成過程から地域の方に関わっていただくということで、市民が主役のまちづくりを進めているという状況でございます。

なお、補足いたしますと、全国的にこうした仕組みがたくさんございまして、各自治体によって取り組む内容、進度が異なったりいたしますので、そこを全体で学び合っていくために全国的なネットワーク会議というものを声掛けをしまして、組織化して、今200程度の自治体会員がいらっしゃり、お互いに磨き合い、学び合いをしているということでございます。


【牧野委員】

ありがとうございます。


【明石主査】

ほかにございますか。


【関委員】

今の話、もう少し深めたいんですけれども、もともと雲南市の場合、住民の自治意識が高かった地域特性を持っておられる地域なんでしょうか。普通、我々のまちもそうなんですけれども、今までどちらかというと行政に依存するという雰囲気の地域が多い。その中で、それを変えていこうとするときに、やはり学びといいますか、社会教育的な、従来公民館などで行ってきたような素地があるところとないところでは、多分にそのときの入り込み方が違うんですけれども、その辺について何か、もともとがそういう地域だったのか、あるいはこういうことをやることによってそれが変容してきたのか。その辺についてももう少し御意見を聞かせていただけたら。


【雲南市(板持)】

雲南市の場合は約10年前に五つの町と一つの村で合併して誕生しています。自治意識は一般的に全国の状況と平均レベルかなと思っていまして、もともと高いわけではなかったです。これがどうして変わったかといいますと、これは仕組みだろうというふうに考えています。必要な主体性を発揮するための基盤となる環境を整備すること。これが行政として非常に大切な部分だと思っています。あとは、考え方でございます。協働という考え方をいかにその軸がぶれずに展開できるかということが非常に肝であるというふうに思っています。


【明石主査】

ほかにございますか。  私の方から、7ページの地域づくり担当は併任辞令とありますね。非常に興味深いので、結論的に申しますと、失敗したんですよね。なぜ失敗したかというのが、要するに、両者の立場が接することがなくなってきた。人の問題なのか、仕組みの問題なのか。仕組みというのは、行政の中で併任辞令というのは水と油で、そもそも合わないことを併任辞令したからだめになったのか。仕組みの問題なのか。それとも辞令をもらった方々が教育委員会に籍を置いたのか、市長部局に籍を置いたのかとか、どこか別の部屋があったのか。それでうまく調整できなかったのかとか、併任の意味を理解してなかったのか。それとも、両担当課長が全然理解してなかったのか。その辺率直に言ってくれると助かるんですけど。


【雲南市(板持)】

併任辞令というのは、決してこれが仕組みとして悪かったからとか、そういった問題ではございませんで、どちらかというと運用上の問題なんですけれども、併任辞令はあったとはいえ、実態としてそれによって何か変わるかというものでは、当時はございませんで、辞令があるかないかではなくて、そうした横断的な視点を持って活動できればいいわけでございまして、つまりそれぞれの部局をつなげればいいわけでして、したがいまして、併任辞令という行為が別に必要ないんじゃないかということでやめたところでして、本当は辞令があるのでしたら、社会教育的な視点のための学びといったようなことがあるべきだったかも分かりませんけれども、辞令があるからといって、そういったことを特別してなかったということもあったというのが背景としてございます。


【雲南市(細木)】

併任辞令ですが、市長部局に6人置いて、教育委員会の辞令を持っていたということです。主は市長部局で6人いたということです。仕組み上はですね。


【明石主査】

人数が6人も?


【雲南市(細木)】

町村合併しましたので、支所に1人ずつ、そこのまちの自主組織の地域づくり担当だよということで、6人が市長部局の支所の職員として併せて教育委員会の辞令も持っていたということでございます。


【関委員】

もうちょっとだけ突っ込んでいいですか。ちなみに併任辞令を持った職員が、例えば社会教育主事の有資格者であるとか、もともと経験、そういうような知識との関係性を資質として持っておった職員を優先的に配置したとか、そういうようなことはございますか。


【雲南市(板持)】

全くそのようなことはございません。別に資格があるかどうかということではなくて、普通の人事異動の中で、適すると思われる者を配置しているということです。


【明石主査】

ほかにいかがですか。


【井出委員】

併任辞令の話にこだわるわけじゃないんですけどね。町村合併でもともとのまとまりのあったところが、出先の支所のような形になって、そこに当然、そこを担当する市長部局の職員がいますね。地域担当というか。その方が教育委員会の辞令をどういう形で、つまり、社会教育というか、生涯学習というか、市民の福祉とか生活とかという辺りに関わる仕事だったのか。教育委員会が所掌している全部というか、辞令の中には何が書いてあったんですか。どういう……。ちょっとそこが、今、私、よからぬことを考えていて、参考にしたいと思いまして。


【雲南市(細木)】

恐らく、辞令は併任で社会教育課の職員というぐらいで、内容は、社会教育課、もっと連携して、今言ったように普通の行政職員でしたので、社会教育についてももっと研修してというのが理想だったと思いますが、私の感じでは、地域自主組織が走り出したところで、そのスタートで、なかなかそこまでといううちに、申し上げていいのか分からないですが、何となく辞令はあったけど疎遠になってきたような、何となく感触があるんです。


【井出委員】

どっちへ行っちゃったんですか。


【雲南市(細木)】

主の地域自主組織の方。板持さんはまた感触が違うかもしれません。


【雲南市(板持)】

まさにそうでありまして、ただ、社会教育の部分をおろそかにしようというわけで併任を解除したわけではありませんで、分野横断でありますので、福祉であっても、防災であっても、全ての分野が関わります。ですから、殊さら社会教育の部分だけ辞令がないとできないかというと、そんなものではないかなという考え方でございます。


【明石主査】

ありがとうございました。もう一点、私の方で、興味深かったのは、新任スタッフ研修って2ページにありますね。各種研修で。これは非常に新鮮みがあったんです。職員ではなくて市民の方々の新任スタッフを研修しますよね。その場合の公募の仕方、こちらで市がお願いするのか。それとも公募で来たのか。例えば千葉の木更津市に学校支援ボランティアって、コーディネーターが31名いるんですね。1年に4回研修を受けるんです。それはコーディネーターになったから研修を受けるんですけれども、自動的に約束があって、コーディネーター研修を受けるんですけれども、新任スタッフ研修というのは、非常に新鮮みがありまして、どういう職種というか、スタッフに研修を、年何回ぐらいやるのかとか、もし分かりましたらお願いします。


【雲南市(板持)】

この新任スタッフ研修というのは、地域の運営します地域側の住民組織の方のスタッフのことを意味していまして、これは新任スタッフ、あるいは新任の役員さん向けということで呼び掛けをしまして、義務的に必ず出てくださいというわけではなくて、こんなことをするので出ませんかということで呼び掛けをします。これは新任じゃなくても希望される方は出てもいいですよというやり方をとっています。つまり、主体性ということを重視していますので、今年入ったわけじゃなくて、2年前に入った方であっても、もう一回振り返りのために聞いてみたいという方は参加可能です。これを毎年年度当初にやっているという状況です。


【明石主査】

ごめんなさい。よく行政的に、例えば主任民生児童委員の研修があるとか、保護司の研修があるとか、PTAの研修があるとか、ありますね。そういう既存のスタッフでなくて、新しい課題に対する新任スタッフなんですか。


【雲南市(板持)】

そうです。住民組織側の方ですので、個人として例えば公的な委員さんという方を対象としたものではなくて、そうした方がいらっしゃってもいいんですけれども、住民組織として、コミュニティとして活動する、その担い手の方々を指しています。


【明石主査】

例えばどういうタイトルの研修があったんでしょうか。


【雲南市(板持)】

そのまま新任スタッフ役員研修というタイトルにしていまして、ただ、中身は様々な分野でございます。基礎的なコミュニティの仕組みとか、あるいは地域福祉の基本的な考え方、仕組み、必要なこと。社会教育として必要なこと。中には労務管理とか、あるいは行政からの交付金の申請の仕方とか使い方なんていうことも含んだ研修でございます。


【明石主査】

いつかその資料を頂けると非常に参考になりますけど。


【関委員】

もうちょっと今のこと、私も。そのスタッフというのは、例えばだんだんに膨らんでいく雪だるま式の組織をイメージしたらよろしいんですか。それか、我々のコミュニティで言えば、何年か、場合によったら1年で代わるようなスタッフ的な人もいるんですけれども、そういった人が常に新陳代謝していくような仕組みをイメージしたらいいんですか。


【雲南市(板持)】

対象となる方は、1年で交代されることはまれでございまして、通常は少なくとも2年1期はされます。通常ですと、もっとされる方が多いんですけれども、循環的に人材が回っていくというところまでのものではありませんで、毎年度新しくいらっしゃった方、まだ考え方をしっかり持ててない方々を対象として研修するものです。これは先ほど言いましたとおり、きっかけは社会教育の顔が見えないという市民の方の意見を背景としまして、きちんとした行政としての考え方を説明する必要があるというのがきっかけとなって、社会教育だけじゃなくて、福祉も地域づくりの観点も基礎的なことをまず学ぶという場でございます。


【明石主査】

ありがとうございました。  ほかに何か。


【牧野委員】

これまでは、行政の方々が随分関心があって、お聞きになったと思いますので、私、違う立場からなのですが、お聞きしたいことがあります。先ほど、併任辞令の問題は、今お聞きしていますと、教育委員会の職員が一般部局へということではなく、首長部局の職員が教育委員会、とくに社会教育へ併任することだということで、途中からある意味で、ちょっと変な言い方になりますが、曖昧化したというか、特にそうしなくてもいいだろうという話になったということだと理解しました。それと、ここに先ほどお話がありました公民館ではなく、人づくりという機能こそが大事であるというお話の中で、むしろ社会教育が首長部局という一般行政の基盤になっていくというような形で、地域の中にうまく溶け込んでいったというか、そういうような形であるがために、むしろあえて社会教育の方に、ある意味で併任しなくても大丈夫じゃないかというようなことになっていったのかなという印象もちょっとあるのですけれども、その辺りいかがなのでしょうか。

実は、私たちは、長野県飯田市にずっと調査に入っているのですが、飯田は公民館がとても充実していて、ずっと活発な公民館活動をやってきて、公民館の評価は高いのですが、そこで今議論されているのが、公民館である必要があるかどうか。公民館的なるものがあればいいのではないかということなのです。その意味では、いわゆる教育委員会の社会教育が公民館を活用していくということも必要かもしれないけれども、むしろ住民が自治を進める過程で、公民館的なるものを保障していくことが大事ではないかという議論が出始めているのです。それと関わるのではないかという感じがありまして、お聞きしたいと思いました。

それからもう一つ、先ほどのスライドの6ページのチャレンジの連鎖ということなのですけれども、例えば雲南市として子供チャレンジ、小さいころからいろいろな活動に関わってきた人たちが大人になっても関わり続けているのだということが、関係性があるかどうかということです。これも私たち、飯田で調査をしていますと、実は15歳以前に地域活動に活発に関わった人たちが、大人になってからもずっと地域に積極的に関わっているということが分かってきていまして、その意味で若い頃の社会体験がまちづくりに非常に強く効いているのではないかというような見方もできると思うのです。その辺り、雲南市の実感としてどうかということをお聞きしたいと思います。

もう一つは、これが最後なのですが、いわゆる小規模多機能自治という形で、住民の方々の自治意識を高めていって、いろいろな形で住民の方々が自らの地域課題を解決していく仕組みを作られたわけですけれども、その結果なのですが、財政的にどのような効果が出ているのかと言うことです。随分楽になったのか、それともかえって支出が増えてしまっているのか。これも実は、飯田市とほかの自治体との比較なんですけれども、補助費が増えているのです。住民に渡して、自由に使っていただくお金が増えていて、しかも人件費も増えているんですけれども、扶助費といいますか、福祉系のお金ですとか、さらにはいろいろな行政サービスで使うお金がずっと軽減されていて、全体としては非常に楽な財政運営ができているということが見えてきているのですが、そういう効果があるのかどうか。もしお分かりになるようでしたら、少し御紹介いただけたらと思います。

済みません。長くなりました。


【雲南市(板持)】

まず2点目の飯田市さんの公民館の部分でございますけれども、私どもで、飯田市さんの公民館の事例というのはよく存じ上げているつもりでございまして、やっぱりやっていきますと、公民館である必要があるのかということを言われる各自治体さんは非常に多いです。東北地方、あるいは北陸地方などでそういった動きがかなり見られますけれども、私どももそういうふうに思います。ただ、必要なのは、人づくりの視点ということが非常に大切なので、そこを押さえておくような何らかの制度的な手当てが必要なんじゃないかということを私どもとしては実感いたします。

3点目のチャレンジの連鎖の部分でありますけれども、これまでそれぞれで進めていまして、特定の人がどういうふうに変化してきたのかという追跡のところまではまだございませんけれども、もともとそれぞれが別々に動き出していたものをつなげていきましょうという仕組みです。最終的には地域の課題に自らチャレンジするような人材によって地域の課題を解決していきましょうということでございまして、今、大人の世界と若者の世界というのはかなりつながりが出てまいりまして、若者の塾の卒業生が地域活動に個別のそれぞれのコミュニティに関わって、一緒になって課題を解決しましょうという事例が、今、複数出始めています。更にそこの活動に高校生が関わっていくということを最近始めていまして、高校生のレベルですと、まだ地域の課題を解決するというところまでは当然至りませんので、そこに関わっていくということによって、恐らく小さなときの体験ということはつながっていくのではないかなというふうに感じています。  それから4点目の財政的な部分でございますけれども、私どもでは決してこれによって、小規模多機能自治の仕組みによって財政負担が軽減したというふうには考えていませんで、むしろある部分では、より投資をしている部分がございます。私どもでは、財政的な負担を軽減するためにやっているわけではございませんで、どちらかというと、同じ投資をするのであれば、より効果を高める、成果を高めるためという部分で、総体的にコストが低減するという意味で、未来への投資をしているというような状況でございます。


【雲南市(細木)】

若者、15歳までの経験がその後の高校生とか大学につながっていくということで、実感として今うちで行っているのが、中学生のときに行う職場体験学習、5日間が望ましいということですが、うちは学校教育で3日間行っていまして、足りない2日間を社会教育で行っています。これは宿泊、1泊2日で希望者のみですけど、中学3年生を対象としておよそ400人のうち約3割、130~140が参加して1泊2日でいろいろな方の職業人のお話を聞いたりして、その卒業生が、もう7年ぐらいやっていますので、最近大学生になって、ボランティアで来てくれて、幸雲南塾に私も行ってましたとかということで、主催した方としてとてもうれしいなという感じを受けています。


【明石主査】

ありがとうございました。まだまだあるかと思うんですけど、予定の時間をオーバーしそうなので、一つ、佐野のことですが、人数が増えていますよね。例えば自治と自主と防災で250名が増えていますね。全体で1泊2日で何名来たんでしょうか。


【小曽根委員】

参加者の人数ですが、今回4,000名ということなんですが、延べ人数ということなので、各分科会の参加者、全体会とか基調講演とか、それぞれの延べ人数なので、重複して数えている部分も正直ございます。250名というのは分科会だけでの人数でございます。ホールでやったものですから、200名、先の入場があったところです。


【明石主査】

ありがとうございました。延べ人数4,000人で、1人が10万円落としてくれると相当経済効果があるなと。これはこの期間でずっと4,000人なんですか。それとも、これもずっと右肩で参加者が増えているんでしょうか。


【小曽根委員】

参加者につきましては5ページのところなんですが、延べ参加者数ということで、分科会じゃなくてフォーラム全体の参加者数でございます。最初は2,700名だったんですが、右肩上がりで。


【明石主査】

ありがとうございました。

では、先に進めていきたいと思います。続きまして、山崎委員から御発表、お願いいたします。


【山崎委員】

山崎です。どうぞよろしくお願いします。そこにあるプロジェクターで話をするものだと思っていましたから、しゃべるかしゃべらないか分からないけど、送ってきましたみたいなやつを全部丁寧に印刷してくれて、大変恐縮しています。全部は使わないかもしれません。最初に余計なロゴが入っていますが、きょうは民間の会社の方の立場として話をしようかなと思っています。studio-Lという事務所をやっています。もともとデザイナーです。今でもデザイナーだと思ってやっていますけれども、物の形を作って特に建築を作って地域が元気になるということが余りなくなってきた時代だなというふうに思ったので、地域の人と人のつながりをどう作っていくのかというような仕事をやる会社を12年ぐらい前に立ち上げました。

ちょっとめくっていただいて、自分の仕事のことをコミュニティデザインと呼んでいるんですけれども、そのコミュニティデザインの分野が幾つかあるなということですね。左上に公園と書いてありますけれども、もともと僕は建築や公園の設計をやっていて、作っても全然使わないって、これ、どういうことだということで、使ってもらう仕組みを考えなきゃいけない。自作自演みたいなものですけど、自分たちで使ってもらう仕組みを作ろうということで、パークマネジメントということを2000年前後に始めました。それを公園でやっていたら、徐々にデパートでもやってほしい、商店街でもやってほしいなんていうことになりまして、下の方の計画と書いてあるところは、計画策定も地域の住民参加型でやってもらいたいというふうに言われるようになりまして、更にその下ですね。民間の企業やお寺さんや、そういうようなところからも声を掛けられるようになってきたということになっています。  声を掛けられるがままに、ただそれに応えていくということをずっと繰り返していて、最近、ここ一、二年ぐらいですね。社会教育関係の方々から声を掛けていただいて、こういう委員会で話を聞いていると、どうも社会教育みたいなことを僕らはやっていたのかもしれないなというふうに思うようになってきたので、そう思うようになってきたというような話をちょっとさせていただければと思います。

ただ、見ていただいたら分かるとおり、余り文字がなくて、写真しかなくて、何かよう分からぬというようなパワーポイントになっていまして、済みません、それも最後の方に少しお話しできればと思うんですけれども、理性と感性のバランスというのがすごい大事だというふうに僕ら社会教育というか、コミュニティデザインをやっている間に思うようになりましたので、文字をたくさん書いていくということになると、後でも読み返せるなと思うと真剣に見てくれないというのが、僕らの講演会のときにいつも思うことなので、講演会のやつをそのまま持ってきちゃいましたから、本来、ここはちゃんと文字を書けばよかったんですけれども、済みません、ふだんのままです。

公園の話をしましたので、一番初め、1999年からお手伝いしていたもので、2001年にオープンした有馬富士公園という公園、これは最初に僕らがこういうことをやるようなきっかけになったものです。5ページと書いてあるところにちょっと分かりにくい図がありますけれども、甲子園球場で言うと30個分ぐらいですかね。30個分ぐらいの割と広い公園があって、ただ、これは山の中に公園を造ったので、人が余り来てくれないんだと。公園緑地課が費用対効果が悪いと知事から言われている。どうしたらいいんだということで相談してくれました。なので、ここに新しいかっこいい遊具を作るというようなことももちろん考えたんですけれども、そういうことをやったって、3年で飽きられちゃうだろうと。だから、地域の方々がこの公園の中に入ってきて、毎週火曜日はこんなことをやっている団体がいる、毎週土曜日はこんなことをやっている団体がいるという、団体が公園の来園者をおもてなしするというような仕組みを作るというのがいいんじゃないかということで、ワークショップを何度かやって、その下にある写真ですね。林の道作りとか、水辺の生き物の観察会やたこを作ってたこ揚げするとか、マクロ探検隊というのは、天体望遠鏡とか双眼鏡のマニアの方々が作っている団体ですが、こんな人たちが来園者に対して魅力を伝えていく。公園に行くと、皆さんほぼ無料でこういうプログラムを受けていくこともできるし、そういうのをうっとうしいと思う人は芝生で遊んでお弁当を食べて帰るというのもオーケーというようなことをしていたんですね。  これ、翻って最近になって見てみると、青空公民館みたいなことをやっているような気がするなと思ったんです。当時そんなこと知らないですから、ただただ、公園の来園者数を増やすためにやっているというようなことをやっていたんですけれども、今85団体、ここの公園に関わってくれていまして、その代わり公園の道具を置いておくような場所を使えるとか、会議室を、条例では半日で500円とか言われているところを無料で貸すことができます。これは条例上、この人たちも公園の管理者の側に回っているという書類を1個だけ作ってもらうと、そういう会議室を使ったりすることも無料にすることができるだろうなんていうことをやっているというのが公園でやっていたことです。

二つ目の公園は、実は公園ができちゃった後使われていないんじゃなくて、これから作るときにも関われないかというふうに言われたんですね。大阪府さんです。隣の大阪府さんからも言われまして、下にあります、8ページのところにありますのが、赤で囲ってあるところと青で囲ってあるところですね。青で囲っているところだけ絵が描いてあります。いわゆる図面というやつですね。設計者としては図面を全部描きたいわけですけれども、この公園の場合は、赤のところは住民の人たちが手作りで公園を造っていくエリアにしようと。青の部分だけプロが土木作業として公園を造っていきましょうなんていうことをしました。入り口は右側の、先っぽがとがっているところらしいんです。青の右端辺りから人が入ってきますから、一番初めに入ってきた辺りはまずプロが造った場所としてきれいな公園になっています。ユニバーサルデザイン、できていますが、赤のラインの方に入っていくと、道とトイレと農機具小屋しか置いてないということになっていますね。全面積の2割ぐらいしかハード整備しない。

ここでやったのが、9ページ目に書いていますけれども、パークレンジャー養成講座というのをやって、つまり、我々が公園を設計して、公園をプロが造っちゃうんじゃなくて、公園を造りたいグループを作ろう。間接的にグループを作って、この人たちがやる気になってくれれば、ずっと公園を造り続けてくれるだろうと。彼らは公園を楽しむというのは、公園を造ることであり、出来上がった公園を一般の来園者の方々が利用するというようなこと。だとすれば、養成講座が必要で、来た方々が、けがなく、そして学びを最大化するような公園というのを造っていかなきゃいけないので、彼らはハード整備するだけではなくて、そこで、ようこそと言っておもてなしをして、いろいろなことを学んでもらったり、体験してもらったりするような担い手になります。パークレンジャー養成講座を受けてくれた方々が、パーククラブというクラブを作ってくれて、これは毎年30人を定員にして育てていこうということになっていますので、今150人ぐらいです。今年もまたパークレンジャー養成講座をやっていますけれども、10年間続けるということで、2019年ぐらいまで、300人を目指してパークレンジャーを作っているということです。これは、養成講座を11回やっています。

最初、たくさん来るだろうと思って、作文を作ってもらったんですね。あなたはどれぐらい公園造りに参加したいのか、熱い思いを書いてくれといったら、定員30人のところ、100人ぐらい来て、達筆な文字で、どれだけ熱い思いで公園を造りたいかみたいな、やってくれたんですね。集まってもらったんです。30人、いいですよと来てもらって、9ページの下の写真みたいな感じですね。たくさんの方々が来てくれて、割と65歳以上の方々が多いんです。定年退職した方々が。ところが、集まってくれた人はみんな機嫌が悪いんですよ。何でやねんと。100人から選ばれし30人やのにと思っていたら、よく聞いたらよく分かったのが、実はそのお父さんたちが応募していたわけじゃないらしいんですね。奥さんが勝手に応募していたみたいなんですよ。要するに、定年退職して、旦那が毎日家にいてうっとうしいてたまらん。あんた、どっか行けやと言っているんやけど、どっこも行かん。ああもう、うっとうしいわと思ったら、パークレンジャー養成講座というチラシが来たと。ちょうどええやん、うちの旦那に。達筆な文字で熱い思いを奥さんが書いていたらしくて。僕ら分からないから、合格、合格って出したら、合格来た、あんた、行っといでやということで、何でわし、こんなもの行かなあかんねんという30人が集まるということです。だから、僕らの仕事は機嫌の悪いお父さんたち30人を、11回の間に機嫌のいいチームビルディングにしていかなきゃいけないというのが我々の仕事ですね。下にあるように、現地での活動、あるいは会議ですね。こういうのをやって、今も公園を造り続けていますし、一部開園しましたので、この人たちがようこそというふうに迎え入れてくれるというようなことをやっています。

そんなことをやっていたら、マルヤガーデンズですね。鹿児島の百貨店が潰れちゃいましたと。全部なくなっちゃったんだけれども、新しい商業施設が入るんだということを聞きまして、下の図にちょっと書いていますけれども、緑色の丸でガーデン1と書いてある。ゼロから9まで。これはエレベーションって断面図というんですね。エスカレーターが横に書いてありますけれども、横から見た図です。屋上までの間にデパートの中にガーデンと呼ばれる、空いているスペースを作ったんですね。10個。これをそのままにして椅子を並べておくと、もちろん高齢の方がそこでお休みされるんですけれども、その場所をコミュニティの方々が使える場所にしましょうというのを、ここの社長と話をしまして、それ、いいですねということになりました。  つまり、商品を買うためにデパートに来る人というのは年々減っています。だから、商品を買うために来る人じゃなくて、公民館とか、集会所みたいに使うエリアをデパートの中に入れましょう。買物に興味のない人たちが来て、だけど、こんなことをやってくれてありがたいわというふうに思う人たちが何か買うんだったら、このデパートを応援したいという座組みにしたいなと思ったんですね。つまり、デパートがいかに公共性を持つことができるかです。水や空気と同じように、私たちにとってなくてはならないデパートになるということが大事だと思ったんですね。万が一このデパートが撤退するということになったときに、反対運動が起きるようなデパートになるべきで、この前のデパートは、三越さんが入っていたんですけれども、撤退するときに、はいはいといって撤退しただけだったんですね。マルヤガーデンズは、これだけのことをやっていて、今220のコミュニティの団体が10のガーデンを使っています。なので、この方々が例えば1団体当たり100人のファンを持っているということで、2万2,000人のファンを持っていますから、撤退するときに、例えば2万人の署名が集まると。ここは我々にとっても公民館としてすごい大事な場所だったというふうに言ってもらえるといいなと思っています。  それから、こういう場所でやると13ページに書いてあるとおりなんですが、特に右下が分かりやすいですかね。水辺の生き物の観察会について、いろいろとレクチャーをやっていて、参加者は五、六人なんですけれども、ただ、その奥に、見にくいですけれども、ラコステのお店が入っています。その隣にラルフ・ローレンがあったり、マックスマーラが入っていたりします。普通に商業施設に買物に来た人たちが、ちょっとこの人ら、何の話してはんのやろって聞き耳を立てるとか、何度も通っている間に、勇気を持ってそこにちょっと入ってみようという、比較的オープンな場所で全部やっていますので、テナントに貸してもいいんだけれども、あえて貸さないで、賃料をもらわないで地域のための場所を作ることによって、逆に地域から愛されるデパートを作っていこうというような座組みですね。これはここの社長に理解があったということでできるようになったんですが、事例ができたということで大阪に建ったあべのハルカスという高い建物、あそこに近鉄百貨店の新しい本店ができましたけれども、今、そこでもこれと似たようなことをやっていますね。ここは割と小規模だったんですけれども、近鉄百貨店は日本で一番でかい百貨店だということもあって、これの10倍ぐらいの仕組みを今やっているところです。

立川市の子供未来センターは、立川市の市役所が駅の北側に移転したということで、その跡地ですね。市役所の中をどういう施設に変えるかといったときに、立川って漫画の聖地なんですね。アニメとか漫画の聖地だということがあって、まんがぱーくというのを作ろうということになりました。

市役所でそういう話をして、まんがぱーくを作るということまでは決まったんですけれども、地域の住民が若干不安がったんですね。うちの子供が毎日あそこのインドアに入って、漫画ばかり読んでいるという状態が毎日現れるって、それはちょっと気持ち悪くないかみたいなことになって、我々のところに子供たちも地域の大人と接するような機会を作ってほしいと言われたんですね。なので、ここではちょっと飛ばしちゃいましたけど、例えばサッカーの漫画ってありますね。料理の漫画もあります。だから、サッカーの漫画をざっと読み込んでくれた立川市のサッカークラブの人が来てくれて、芝生のところで、みんなで『キャプテン翼』を読むとか、そういうことでいいんじゃないか。『キャプテン翼』を読んでいると、だんだん芝生の香りもしてくるし、ボールを蹴りたくなるし、オーバーヘッドキックとか、やってみたくなるわけですね。立花兄弟のスカイラブハリケーンとか、あんなことできるのかみたいなことが、疑問が出てくるわけですよ。そうなってきたらサッカークラブの人たちが「オーバーヘッドキック、1回やってみる?」みたいなことで、子供たちとサッカークラブの人たちがそこでやればいい。料理教室もそうですね。『美味しんぼ』という料理の漫画がずらっと並んでいるところに、真ん中にキッチンがあって、立川市の料理教室が来てくれる。『美味しんぼ』の料理は本当においしいのかという料理教室を実際作ってみましょうみたいなことをやってもいいかもしれない。だから、漫画にもテーマがあるし、立川市で活動していらっしゃる市民活動団体にもテーマがありますから、この両者を結び付けることによって、漫画に興味があってきた子供たちが社会の市民活動団体と接する。あるいは市民活動団体をやっている人たちが漫画の文化に触れるというような双方向が生まれるようになるんじゃないかということで、ここはうちのスタッフが3人コーディネーターとして常駐しています。  あとはお寺も、檀家さんが減ってしまいましたということで、寺院消滅の時代だからといって、コミュニティデザインをやってほしいなんて言われまして、これもまた100人ぐらいの地域の方々に集まってもらいながら、毎回40人ずつぐらい出てきてくれるんですけれども、メンバーとしては120~130人でしたかね。40人ずつワークショップに出てきてもらいながらお寺をカフェに変えていきましょうと。カフェと言われれば入ってこれるんじゃないか。何度も通っている間に人生の相談だったりとか、90年時代、どういうふうにこれから生きていくかみたいなことを列座さん──列座さんというのはお坊さんですね──と話ができるような場所に変えていきましょう。ただ、お坊さんが忙しくなっちゃしようがないので、やるのも市民の組織ですね。市民の方々がいろいろなグループを作って、お寺の中で活動するという仕組みを、ちょうど今、根室でやっています。

コープこうべさん、これは生活協同組合ですけれども、生活協同組合もやっぱり、地域の課題を解決するためによいものを安く提供するという一分野として生まれたはずなのに、今はよいものを安く、早く、アマゾンに負けるなとか、イオンに負けるなみたいなことになっていっちゃっていると。これは本来生協がやることちゃうやんということで、コープこうべというのは、灘生協と神戸購買組合の賀川豊彦さんたちが作った、あの流れをくんでいますから、地域をよくするということをもう一回原点に戻ってやりましょうよということで、組合長たちと一緒に始めたのが、こえるプロジェクトというやつですね。23ページの上に職員ワークショップと書いていますが、まず4回、職員にコミュニティデザイン的素養を持ってもらうためのワークショップの方法、人の意見の引き出し方、あるいは多様な意見をどういうふうに合成させていくのかというような、合意形成の方法や主体形成の方法を学んでもらいました。学んでもらったコープの職員が地域に出ていって、地域ワークショップをやると。そのとき僕らはにやにやしながら見ているということですね。「まだまだやな」とか言いながら、偉そうに横から見ているわけですね。そういう地域ワークショップをやりながら、その中で出てきた地域の課題をコープの職員は本業でどうやって解決していくことができるかということを考えるというのが、コープで今お手伝いしているものです。

なので、先ほど雲南市さんの話をお聞きしていて思ったのは、首長部局の人たちが兼務として社会教育の役割も入った。でも、現業でも忙しいのにそっちまで行ってられないよみたいなことになるとすれば、むしろ社会教育研修みたいなやつを本業の人たち、各分野全員に5回とか、10回とかやっちゃって、その視点、ワークショップの方法であったりとか、主体意識を出してくるようなことを福祉の人や防災の人や、各部局の人たちが手に入れると。そのスキルを使って、もしワークショップとかやらなきゃいけないんだったら、そんなことをやったらといったら、結果的に社会教育的な福祉の進め方とかができるようになるのかななんていうことを思いながら聞いていました。

住民の方にもやられているというのはすごくいいことだと思いましたね。住民の協議会、まちづくり団体の役に就いた人たちに対して、これも何時間かやられるのかもしれないんですけれども、ひょっとしたら10日間ぐらいのさっきの泉佐野のパークレンジャー養成講座みたいに、地域で活動していくために知らなきゃいけないことって結構あるような気がしますから、地域の住民も10日間ぐらい、コミュニティデザインというのは社会教育的なことを学んでもらい、行政の首長部局の方もそれを学んでもらい、両方から地域づくりを主体的にやっていくというような情報を共有するというのも一つの手かなというふうに思いましたね。

そろそろ時間ですから、沼田町の地域包括ケアみたいなことをやっているところも住民参加で、それから、農園を作って自分たちでおもしろいことをやりましょうも住民参加で、これは地域の不動産屋さんと一緒にやっていますね。空いている土地をやりましょうみたいなこと。あと、ニュータウンの情報発信も、ニュータウンはこんなに住みやすいですよという広告代理店的な情報発信じゃなくて、住民が自ら活動を起こして、起こした活動を情報発信しましょうみたいなことをやっていたりしますね。あと、墨田区で食育計画を作ったときも住民参加で、更に参加してくれた住民しか分からないんじゃ嫌だから、計画書類だけじゃなくて、カードゲームを作って、この食育のキーワードが書いてあるカードゲームを、参加した住民が自分の自治会に持ち帰って、自治会の人たちとファシリテーションカードを使いながらファシリテーターをやると。一からファシリテーターをやるのが難しい場合は、こういうチェック機能とか、アイデア機能とか、キーワード機能とかをぺらっ、ぺらっとめくりながら話をしていくんですね。じゃ、うちの自治会で高齢者が地産地消をやるってどうしたらいいですかみたいなことをページをめくりながらやるんですね。会話が止まったら、もう一個引いてみましょうといって引くと、2020年と出てくると、高齢者が地産地消、2020年までに何できますかみたいなこととか、ページをめくって、カードをめくっていくたびに問いが発せられていて、その問いについてみんなで話をしていって、会話が止まったらまた誰かが引くみたいなカードゲームを、僕らデザイナーだけで作るんじゃなくて、そのワークショップに参加してくれた人たちの意見を聞きながら試行して作っていく。すると、自分たちが作ったものなので使いたくなるということで、彼らは1セットずつ持って地域に入っていっています。  これぐらいかな。あと、長久手のなでラボと書いてあるところが1個あると思うんですが、これがさっき言った、若手の職員のコミュニティデザイン研修みたいなやつをまず先にやって、20人ぐらいのチームを作った上で、この人たちが地域住民の中に入っていってワークショップをやるというやり方ですね。なので、この人たちは社会教育部局では全然ないんですけれども、普通の土木をやっている人とか、福祉をやっているような人たちが集まって、ワークショップぐらい、あんたらできるようになりなはれということで、2か月ぐらいですかね、研修をやった上で、彼らが地域にデビューというのをしていったということです。

実は海士町の事例が、雲南市さんも近いし、割と有名になった事例なんですが、きょうは割愛しちゃいます。

後ろの方にアートの作品を作っているやつがありますね。58ページぐらいにしょうゆのたれ瓶がいっぱい並んでいますけれども、我々住民参加をやるときに、こういうしょうゆのたれ瓶でざっとアートを作って、壁一面やりましょうということを通じて地域の人たちの主体性とか、チーム作りをやることもあります。

61と書いてあるところに馬木ひしお会という新しいメンバーが出来上がって、この人たちがまちづくりの活動を開始したと書いていますけれども、最後にお伝えしておきたいのが、楽しいとか、美しいとかというようなことで人々は集まってきますので、正しいということだけで集めようと思うと、その人たちは動いている人たちですね。だから、地域でまだ動いていない人たちを社会教育として結び付けたいと思えば、正しいだけではなくて、楽しい、美しい、かっこいい、おいしい、気持ちいい、おしゃれ、かわいい、こういう感性に訴え掛けるような部分というのが大事になってくるんじゃないかなという気がしています。だから、理性と感性の両方のバランスで情報発信しなきゃいけないし、ワークショップをやっていかなきゃいけないだろうなというふうに思いますね。

だから、最初に言ったとおりなんですけれども、写真だけ見てくださいみたいなパワーポイントになっているという言い訳をもって発表を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。


【明石主査】

どうもありがとうございました。何か質問、御意見ございますか。

非常に具体的で分かりやすくヒントを頂きました。私の方から、住民参加という言葉を使うのは非常に分かりやすいんだけれども、仕掛けをどうすればいい。広報の仕方とか、中身で、さっき言った楽しくて、面白いとか、分かるんですけれども、それぞれの地域の特性があって、来ていただくにはどうしたらいいかというノウハウがありましたらお願いします。


【山崎委員】

ありがとうございます。我々、見ていただくと分かるとおり、クライアントさんがいるんですね。いろいろな課です。社会教育部局から発注されたことがないというのは面白いなと今気付きましたけど、それ以外の部局は大体頼んでもらっています。あと民間企業ですね。そうすると、頼んでいただいた基礎自治体の方に、この地域でおもろい活動している人10人紹介してくださいとまず言います。我々がいきなり大阪から来ましたというと、ちょっとうさん臭がられますから、まず自治体の方々から連絡していただいて、山崎というやつが行くけど、怪しいやつじゃないから話を聞かせてやってくれといって、その10人の方々に1時間ずつアポをとって、御自宅か職場にお伺いします。グループインタビューみたいに会議室に集めると楽なんですけど、言葉に詰まったときにヒアリングのネタが何もないんですね。自宅か職場は、ネタがいっぱい壁とか空間にありますから、「これ、娘さんの写真ですか」とか、「この道具、どうやって使うんですか」みたいなことを幾らでも聞ける。だから、まず御自宅に入って話を聞かせていただいて、友達になることですね。情報をもらうことと、友達になることです。している質問は三つだけです。今どんな活動をしているのかということと、その活動の中で困っていることは何ですかということと、最後の質問は、あなたがこの地域であいつはおもろいことをやっているなと思う人を3人紹介してくださいという質問です。これで10人から30人、90人、大体地域100人ぐらいの話を聞くと、誰が誰を尊敬しているのかとか、誰と誰は仲がいいのかとか、誰と誰だけは絶対同じテーブルにしちゃいけないのかとか、そんなことが見えてきますので、それをコンサレーションといって人脈図に書いて、それを把握した上でワークショップをやりますよと公募します。そうすると、一見の方々が来て、半分ぐらいはもう既に友達になった人たちが来てくれるようになりますので、一番初めのワークショップも余り緊張しなくて済みます。100人集まってくれても半分くらいは友達になった人たちですね。この間はありがとうございましたみたいな話をしながら、第1回のワークショップをするというようなことをしていますね。

だから、よくあるみたいに、地域の自治会長だったり、役に就いている人たちに動員してとかいうことになってしまうと、話し合う内容が今までのものが出ていかないので、むしろ今まで来なかったような人たちをどういうふうに誘いに行くのかというようなことをよく注意していますね。


【明石主査】

ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

まだまだあると思いますけれども、先を急がせていただきます。

それでは続きまして、青森県からの御発表をお願いいたします。


【青森県】

青森県から参りました渡部と申します。全国都道府県教育長協議会というものがございまして、全国の47都道府県の教育長さんが四つの部会に分かれて、様々研究協議を行う。その中の第2部会というのが社会教育の部会でございます。第2部会の構成都府県が11ございます。その11都府県の中で、たまたま平成26年度の研究担当チーフ県に青森県がなりましたので、そのときの調査報告からきょうは御説明させていただきたいというふうに思っております。事務局の方で別冊として、机上資料として報告書の本体の方も差し上げてございますので、そちらの方も適宜ごらんいただきたいと思います。

まずテーマですけれども、学習や社会生活に困難を有する子供・若者に対する社会教育による支援の在り方について、副題として、社会生活を営むための「人とつながる力」の育成を中心にということで調査を行いました。  研究趣旨でございますが、まず、なぜこのテーマを選んだのかと申しますと、国の教育振興基本計画にも学びのセーフティーネットの構築という文言がございます。あるいは、若者・子供育成支援推進計画の中では、関係機関のネットワークを作りなさいということで、各都道府県、あるいは市町村でそうしたネットワークを今作っている状況でございますが、社会教育は一体どういうことをしているのかということを明らかにしたいということがございまして、特に社会生活を営む様々な困難を抱える子供・若者が社会生活をきちっと営んでいくために人とつながる力、就労とか就学以前にそうしたコミュニケーションの力、人と話す力、そうした力を育成することが社会教育の役割ではないかという仮説を立てまして、調査を行いました。対象は全都道府県と、市区町村については研究担当県が、済みません。修正をお願いします。9ではなくて6でございます。6都府県。6都府県に限りまして、全部で277市区町村に調査を掛けました。

調査内容は、大きく分けて3点でございます。まず一つ目が、社会教育部局において学習や社会生活に困難を有する子供、若者に対する取組をしているかどうか。しているのであれば、その事例を教えてくださいという調査でございます。それが1点目でございます。

次の2番の調査内容のところに書いてございますが、問い1にございます。困難を有する子供・若者をその他含めて五つの分野に分けました。これは子供・若者ビジョンの区分に基づいて設定したものでございますが、まずアが、経済的あるいは地理的条件が不利な子供への支援。貧困ということもございます。イが、不登校、ひきこもり、ニート等の子供・若者及び高校中途退学者への対応に係る取組。ウが、障害のある子供・若者に対する支援に係る取組。エが、非行・犯罪に陥った子供・若者に対する支援に係る取組。オは、その他ということで、ほかにも多分あるかと思いますが、とりあえずこの五つで調査を行いました。

(1)の中では問い2で、今やってなくても、これから関わっていかなければいけないと思われる必要性の高い取組。これについても意識として聞いてみました。

(2)番目が、当事者のニーズを把握しているかどうかということでございます。やはりこういう取組は当事者のニーズがあってこその取組だと思いますので、行政がそれをつかんでいるかどうかということです。  (3)番目が、関係機関のネットワークを作っていますか。作っていれば、その中身を教えてください。それから、今後連携して関わっていく可能性がある取組についても聞いております。

ということで、その調査の結果内容を、次の4ページ、調査結果の概要で御紹介したいと思います。まず(1)番目の取組の現状と今後の取組に対する意識でございますが、全体の取組状況、アからオまでの取組、いずれかを行っているという都道府県が39ございました。83%。それから市区町村の方は277のうち140と。思ったより多いのかなという印象を受けております。区分別の取組数がその下のグラフでございますが、都道府県でいきますと、イの不登校、ひきこもり関係の対応が55件と一番多くなってございます。市区町村では障害のある子供に対する支援というのが82となって、一番多くなってございます。

右側に調査結果のまとめとありますが、マル1からマル4まで、一応整理をしてございます。マル1番目は、既存事業において困難を有する子供・若者について対応している事例が結構ある。困難を有する子供・若者をはっきり対象としていない。一般の事業の中で、困難を有する子供に対しても手当てをしていますよという事例が結構ございました。例えば放課後子供教室において経済的困難を有する子供へ対応しているという事例も結構ございました。  貧困に関する経済的困難に関する調査に関しましては、実はこの次の年、27年度の第2部会の報告、これは千葉県さんがチーフ県になっておりましたが、子供の貧困対策における社会教育の支援の在り方という調査をやっておりますので、そちらの方をごらんいただければと思います。結果として貧困対策になっているという事例が結構あるようでございました。

マル2番目ですけれども、不登校、ひきこもり関係の取組について目を引いたのは、都道府県の青少年教育施設を活用した自然体験、生活体験を通して支援していますという事例が結構ありましたということでございます。具体的には後で御紹介したいと思います。結果として復帰率が高い。達成感や有用感の向上につながったということも示されてございます。

それからマル3番目ですけれども、不登校、障害のある子供・若者に対する支援に関しては、当事者本人を直接の対象とする取組のほか、保護者、あるいは支援者、あるいは地域の方、理解を深めるといった間接的な支援の取組を行っているところも結構ございました。

それから、取組を行っていない理由に関しては、これは社会教育でやる必要がない、他部局で既にやっているとか、ニーズや情報を把握していないといった理由がございました。

次のページから取組の実施形態でございますが、連携の状況でございます。これも区分ごとに見ていきますと、一番多いのが社会教育部局単独で実施しているという事例が多くなってございますが、ただ、イの不登校、ひきこもりに関しては学校教育部局と連携している。あるいはNPOと連携しているという事例が一番多くなってございました。

次のページに主な取組事例を紹介してございます。まずアの経済的、地理的条件が不利な子供に関する取組ですが、市区町村の事例で言いますと、足立区さんのタダゼミあだちという、大学生スタッフが無料で中学校3年生を指導しているという事例がございます。

それから、大阪府交野市学び舎キッズ、これも指導員というのは大学生なのかどうか分からないんですけれども、3年生若しくは4年生を対象に教室を開放しているという事例。学校の教室を使っているということでございます。

それから、今後関わっていく必要性の高い新たな取組として、今やってないんですが、将来、地理的条件の不利な子供たちに対する対応として二つほどありましたが、一つはバスを出して行事に参加させましょうというところとか、それから、遠いので、出張講座を行いますという事例がございました。

次のイの不登校、ひきこもりに関しましては一番事例が多かったんですが、都道府県の事例で、先ほど申し上げましたように、青少年教育施設を使った事例でございます。秋田県と新潟県の例を載せてございますが、ほかにも北海道、岩手、長野、福岡、大分、沖縄、いろいろな県で行っておりました。秋田の場合は、何泊何日という期間を決めたものではなくて、何日いてもいい。宿泊体験型のフリースクールのような形で、これは結構前からやっている事業だと思います。県の事業ですけれども、北秋田市の方に委託して行っているということだそうです。

それから、新潟県のはつらつ体験塾は3泊4日ほどの日程で行っている不登校、不登校傾向になる児童生徒の適応性、人間関係づくりの資質を高めて自立を支援したいと。年3回行っているということでございました。成果のところに学校への復帰率、この事業に参加した子供たちの86.7%、8割程度が復帰を果たしているという非常にいい成果を上げているということで、その下に成果の例としてほかの県の例も載せておきましたが、積極性が身に付いた、達成感、自信をもたらすことができたとか、保護者がこの事業に関わってネットワークができた、そうした成果も出てきているようでございます。

次が都道府県、その他の取組でございます。東京都で25年度から行っている都立高校の中退者への対策でございます。東京都さんは中退が非常に多いということで、未然防止と退学しちゃった子供に対する進路支援を行っているということで、NPOと連携して行っているということでございます。これは実は今年度から都立高校に3人1組で自立支援チームという、ユースソーシャルワーカーを規模に応じて3人1組で派遣するという事業を結構な予算を掛けて行っているということをやっております。25、27、ここに出てきているのは事前の準備段階の事業ということでございます。

それから、静岡県は場の開設ということで、青少年交流ができる場を県が設けているということで、相談機能と交流ができるという場でございます。相談件数が面談1,163件とか、電話が2,189件、すごい数だなというふうに思っております。  愛知県はホームフレンド、これは大学生を使って不登校生徒の家庭に派遣するという事例でございます。

それから、市区町村の事例では杉並区のすぎなみしゃべり場、これも居場所の提供でございます。これも結構昔から、10年ぐらい前から行っている事例のようでございます。学び直し、社会参加に意欲を持つ子供たちが出てきていると。ただ、課題のところにありますけれども、成果が出るまで時間が掛かるということで、成果の指標が見えにくい、作りにくいという課題を挙げてございました。

それから、高槻市ですけれども、これは保護者の支援です。当事者、保護者の交流学習会を行っている。毎月第4土曜日に定期的に行っているということで、継続的に行われている。これもNPOと連携して行っている事業だそうです。

それから次、公民館を活用した支援ということで、これも結構いろいろな事例があったかと思うんですが、小平市の公民館、ヤングセミナー。これは必ずしもひきこもりの子たちだけを対象にしたものではないようですけれども、仕事に対して悩んでいるとか新しい環境に向かって悩みがあるといった若者を集めて背中を後押しする、そういう事例だということでございます。

それから、豊中市ですね。これは支援者の、いわゆるアドバイザーですね。ユースアドバイザーという支援者を養成する研修、スキルアップを図ってもらうための研修でございます。ひきこもりとか、問題を抱えている子供たちと橋渡しをするアドバイザーというのが非常に重要なのかなということもこういう事例を見ていますと感じます。

次ですが、今後、関わっていく必要性の高い新たな取組として、一番多かったのがイの不登校、ひきこもり。これは必要性が高いというふうに感じられているところが多かったのかなというふうに思います。都道府県では、学校や社会に適応できていない子供たちが、ボランティア活動を通して社会と関わることができる取組をしてみたいとか、孤立しがちな保護者への支援が必要だと捉えている都道府県もございました。

市区町村でいいますと、公民館を活用した居場所、フリースペースを作りたいとか、居場所作りから始めて、行く行くはネットワークを作っていきたいという市町村。それから、一番下が乳幼児期から関わり、その家庭や地域とのつながりを持つことで未然に防ぎたいと。不登校、ひきこもりに関しては家庭教育との連携が重要かなということを感じます。

この下に本県の取組をちょっと紹介しておりますが、この調査の結果を受けまして、27年度、昨年度高校教員に対する中途退学者の状況に関する調査を行いました。本人に調査はなかなかしにくいということで、中退者を担当したことがある教員を対象にして572件の回答がありました。その中で中退や不登校になったきっかけというのは人間関係だったということが明らかになりました。教員が外から欲しかった支援として社会性の育成、継続的な相談体制、コミュニケーション能力の育成といった声もありましたので、今年度、実は青少年教育施設を活用した3泊4日のキャンプを試行的に行う予定になっております。今、参加者を募集しているところでございます。登山とか、牧場での体験、牛の世話とか、乳しぼりをやってもらったり、鶏の世話をやってもらったりすることによってコミュニケーションを、人と関わるということを体験していきたいなというふうに思っております。

次に、障害のある子供に対する取組として、都道府県では、本県の事例で大変恐縮ですけれども、障害者青年学級というものを前からやっております。これは特別支援学校を卒業した後の青年に対して、社会参加体験、あるいはスポーツ体験、スポーツ交流してもらうという事業でございます。全ての特別支援学校の卒業生が関わっていただいております。

それから、大阪府の絆プロジェクトというのは、間接的な支援の方ですね。意識啓発、研修に関わる取組ということで、公民館を活用した取組でございます。障害者と健常者の皆さんとの交流の場を設けているということでございます。

それから、市区町村の取組は結構たくさんありましたので、幾つか限られますけれども、まず立川市の障害者青年対象講座、立川市青春学級、これは障害を持った青年たちの社会的自立を目指したプログラム。これは、調理実習をしたり、宿泊研修をしたりして、余暇活動を通して、そういった社会的自立を目指すスキルを身に付けてもらおうという事例かと思います。

それから、図書館の事例として、これは余り数がなかったんですけれども、小平市が布の絵本。視覚障害者が触って楽しめる布の絵本。布の遊具を貸出ししているという事例がございます。

それから、青森県五所川原市、ハートネットを作ろうというのは、これは文科省の公民館の事業を活用して、発達障害のグレーゾーンにいる子供を持つ親を支援したいということで、学習会を行ったり、あるいは親子が集まる場を設けたいということでございます。

続いて、非行・犯罪に陥った子供・若者に対する支援に係る取組でございます。これは市区町村が数としては圧倒的に多いんですが、陥った子供というよりも、未然の防止に関する事例も含まれております。というか、それがほとんどでございました。

まず図書館の事例として、広島県立図書館が子供自立支援施設に行って読み聞かせ、あるいは本のポップを作る、そういった取組を行っております。

それから、愛知県東海市、青少年居場所作り。問題傾向にある青少年に対して居場所を提供しましょうと。これは課題のところにも書いていますけれども、青少年がどこまで対象とするかということで見極めが大事だ、必要であるというふうな課題も挙げられてございます。

あと、事例は載せていないんですが、その他として、ほとんど家庭教育相談に関わる事例が幾つか載せられておりました。

続きまして、取組を行っていない理由でございます。市区町村の方の例を紹介いたします。他部局が取り組んでいるから社会教育はやっていないよという取組がほとんどでございます。不登校に関しては学校教育部局がやっている。障害に関してはやはり福祉関係の方の部局で担当している。社会教育が行う理由がないという後ろ向きの理由が多かったような気がいたします。

ニーズや情報を把握していないということもございました。

それから、必要性がない。支援するという考え方がそもそもなかったという意見もございます。

それから、そもそも人員、予算がないという理由もございました。

専門的な知識が不足しているということもございました。

続いて、当事者のニーズをどの程度把握しているかという結果でございます。把握していない方が圧倒的に多いと。都道府県では7割、市区町村でも8割近くが把握していないということで、まずはニーズの把握から始めなければいけないのかなということでございます。

それから、(3)番目、関係機関のネットワークの現状と意識ということで、ネットワークを持っている都道府県は6割、3分の2ですね。それから市区町村では、有しているのは17%程度でございました。これはあくまでも教育委員会、社会教育が関わっているネットワークという限定で聞いております。ただ、必要性は、都道府県は、大いに必要がある、ある程度必要性があるも含めまして100%でございます。市区町村の方でも、80%以上が必要性があるとは認識しているということでございます。

必要性があるとした理由でございます。マル2番目のところに書いておりますが、問題が多岐にわたっているので、多角的な取組が必要である。情報共有が必要である。それから、社会教育から逆に積極的にアプローチする必要があると。特に最初に言いました人とつながる力、そういったことに関して、社会教育の力を活用できるのではないかという理由もございました。  あと、市区町村の意見の中には、近隣の町村と協働で事業を行いたい、行う方が効率的である、そういう意味でのネットワークも必要だという意見もございました。この問題は市区町村を超えての共通の課題でもございますので、そういった意見もございました。広域の連携が必要であるということでございます。

次のところには関係機関、ネットワークの具体的な組織名、幾つか挙げておりますので、御覧いただきたいと思います。今後関わっていく可能性のある取組の内容としては、例えば山形県さんが知事部局と連携して若者交流ネットワーク総合推進事業を作りたいという構想があるということで御紹介いただいておりますし、千葉県からは民生児童委員を活用してニーズを、ひきこもりの実態をつかみたい、そこから始めたいということで、これは実際に今年度から千葉県さんは行っていったのではないでしょうか。

最後に、今後に向けて研究全体を通してですけれども、必要性があるという意見が非常に多かった、ネットワークも作るべきだという意見が多かったということを踏まえまして、人とつながる力、社会とつながる力を身に付けさせていくことが必要であり、社会教育、行政職員がまずそのことを認識する必要があるだろうと。その認識してもらうためにはどうしたらいいのかというところまでは触れておりませんけれども、その際、社会教育行政の役割として、これは今野先生の御意見でございますけれども、職業スキル以前に生活習慣等の基盤的な資質・能力、これはもちろんコミュニケーション能力も含むということでございます。そういうことが要請されているのではないかということです。社会教育行政に一体何が求められているのかということを踏まえた上で、連携する必要があるだろうなということを感じております。まずは既存の取組の中で幾らでもやろうと思えばやれることはあるんじゃないのかなということを最後に申し上げて説明を終わりたいと思います。ありがとうございました。


【明石主査】

渡部さん、本当に貴重なデータ、ありがとうございました。

残された時間が10分ちょっとですけれども、何か御質問、御意見ありますか。


【関委員】

1点だけ。ここで関わる社会教育というのは、例えば市町村レベルのイメージをして考えるべきものなのか。あるいは小学校区、公民館のような身近な、日頃からつながりがあるようなエリアの中で考えるべきものなのか。その辺、もしお考えがあれば教えてもらえたら有り難いです。


【青森県】

ここで言っている社会教育部局というのは、教育委員会の中の社会教育全体というか。ただ、市町村の中では小さいので、社会教育という部分が特にないところもございますので、そこは広く捉えていただきたいなというふうに思っております。


【明石主査】

ほかにいかがでしょうか。

渡部さん、今回、都道府県の教育長会議の中で、困難を有する子供・若者に限定しましたよね。これまでの一般的な社会教育というのは高齢者とか、大人という。青少年というのは、初中局とかぶるから、余り脚光を浴びないというか、お任せしますと。いわゆる社会教育というのは、一部の県では静かな、余りテーマがなくて、粛々とやっているのが社会教育よと。青少年問題というのは物すごいマスコミが騒ぎますから、ほかがやってくれるかなという意識があるんですけれども、今回、教育長部局で青少年を取り上げた背景はどういう背景があったんでしょうか。


【青森県】

実際にそういう子供・若者が増えているという、青森県の場合もそういう現状がございますので、そういった子供たちに対して、じゃ、社会教育は何もしなくてもいいのかという、今まで何もしてきてない部分も結構ありましたので。ただ、見直すことによって、社会教育でもできる部分があるなということは見えてきましたので、限定するという意識は余りなかったんですけれども、実際にそういう人たちがいて困っているんだからそれを手助けしなければいけないだろうなということでございます。そういう考えでございました。


【明石主査】

ほかに何かございますか。例えば青少年教育課が生涯学習政策局に来ましたよね。それまで青少年スポーツ局にありましたよね。だから、そういう意味では社会教育の視点で青少年を捉えるというのに、非常に大事な視点を出してくれたかと思ってお聞きしたんです。個人的に興味があったのは、取組を行っていない理由というのがありますよね。市町村レベルで。他部局が取り組んでいるのが59件。興味があったのは、ニーズ、情報を把握していないのが46件ね。社会教育部局で取り組む必要がないという意見もあるという。だから、問題意識に上ってこなかった面もあるんじゃなかろうかなという。そういう意味で、こういうデータを出してくれると助かったんですけれども。


【青森県】

やはり取り組むべきだという働き掛けにはなるかなと思いました。こういう事例を挙げることによってですね。実際にやろうと思えば、幾らでもできますよということでございます。


【明石主査】

あと何かございますか。ありがとうございました。非常に貴重なデータを頂きました。

それでは、用意した議題が終わりましたので、今後のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いいたします。


【石川社会教育課専門官】

本日はどうもありがとうございました。次回の会議でございますけれども、8月23日でございます。新居浜で会議を予定しております。また、その後東京での会議といたしまして、9月に予定しております。

以上でございます。


【明石主査】

それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。皆様、どうもありがとうございました。


―― 了 ――

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