学びを通じた地域づくりの推進に関する調査研究協力者会議(第1回) 議事録

1.日時

平成28年7月4日(月曜日)10時00分~12時30分

2.場所

文部科学省東館 9階生涯学習政策局会議室

3.議題

  1. 学びを通じた地域づくりの推進の在り方について
  2. その他

4.出席者

委員

明石委員、井出委員、小曽根委員、古賀委員、重森委員、関委員、田原委員、牧野委員、山崎委員

文部科学省

有松生涯学習政策局長、徳田生涯学習政策局審議官、下間生涯学習政策局総括官、里見生涯学習政策局政策課長、西井生涯学習政策局社会教育課長、佐藤生涯学習政策局社会教育課社会教育官、石川生涯学習政策局社会教育課専門官

5.議事録

(1)事務局から、各委員と事務局員の紹介があった。
(2)明石委員を主査に任命した。

【明石主査】

それでは、ただいまから本日の議題に入りたいと思います。本日は初回であり、学びを通じた地域づくりの推進について、自由に意見交換をさせていただきたいと思いました。
それで、最初の1時間余り、二つのグループに分かれていただきまして、ディスカッションしたいと思います。まず事務局よりディスカッションのテーマとともに、社会教育をめぐる現状と課題について御説明をお願いいたします。

【石川社会教育課専門官】

ありがとうございます。それでは、資料3に基づきまして簡単に近年の状況でありますとか、現在の課題について御説明させていただきます。
資料3をお開きください。1ページおめくりいただきまして、3ページでございます。こちらの方、中央教育審議会生涯学習分科会におきまして議論の整理、平成25年1月になされております。こちらが今回の議論の出発点になるというところでございます。少し内容について御説明させていただきます。4ページでございます。社会教育の考え方でございますけれども、個人の自立に向けた学習のニーズであるとともに、きずな作り、地域づくりに向けた体制作りのニーズに対応する上で中心的な役割を担っていくことが社会教育について期待されているということでございます。
社会教育の役割でございますけれども、二つ目のポツでございます。現代的、社会的な課題に関する学習など、多様な学習活動を通じて地域住民の自立に向けた意識を高め、地域住民一人一人が当事者意識を持って能動的に行動するために必要な知識、技術を習得できるようにするとともに、学習活動の成果を協働による地域づくりの実践に結び付けるよう努めることが求められているという役割が述べられております。
また、それに引き続きまして、今後の在り方でございますけれども、コミュニティへの参画や地域課題の解決を図っていくことの重要性が増しており、このため、公民館等の社会教育施設が中心となり、学習活動を地域の課題解決につなげていくような取組を支援し、普及していくなど、学びの場を核とした地域コミュニティの形成を進めることが期待されているというところでございます。
こうしたことから、自前主義、こちらの方は、教育委員会、社会教育行政だけで対応するというわけではないという意味でございますけれども、そういったところから脱却しまして、いろいろな関係者との連携・協働を進めた上でのネットワーク型行政の推進を目指すということで社会教育行政の再構築を目指すこととされております。この中で、一番下の矢印のところでございますけれども、社会教育行政の再構築を推進するために必要となる制度の改善等の環境整備等を行うことが期待されているところでございます。
右の図でございますけれども、こちらの考え方、端的に説明しているところでございます。社会教育も、教育行政の中だけで対応するというわけではなくて、様々な地域課題がございます。まちづくりでありますとか、また、高齢者、ほかの女性・青少年施策もあると思います。そういったところを、いろいろな活動との連携・協働いたしまして対応していくということが今後の社会教育行政に求められているところでございます。
続きまして、6ページでございます。学校と地域の連携・協働につきまして昨年度議論されておりました。
次のページをおめくりいただきまして、7ページでございます。こちらは特に学校と地域の部分にフォーカスされたものでございまして、昨年度、明石委員、井出委員、関委員、牧野委員、山崎委員に御協力いただきました。ありがとうございます。こちらの中で地域全体で未来を担う子供たちの成長を支える仕組みということでございまして、まず子供に対してどのような資質を育むのかという目標を共有して、地域社会と学校が協働していく必要があると。こちらを地域学校協働活動と呼ぶものでございます。こういった活動を通して、新しいつながりによる地域の教育力の向上、充実、また、こういったことをすることによって地域課題解決等に向けた連携・協働につながり、持続可能な地域社会の源になるという考えで答申がまとめられたところでございます。
下の絵にありますように、様々な活動でありますとか、様々な関係者との連携・協働というところでまとめられているということでございます。
続きまして、国際的な視点というところでございますけれども、ユネスコの会議、CLC、Community Learning Centerというもので、特にアジア地域におきまして、こういったCLCが置かれているというところでございます。重森委員も参加されておりました会議でございますけれども、その中で述べられておりました考え方について少し御紹介させていただきます。
9ページでございます。こちらCLCでございますけれども、地域コミュニティの活性化、また、持続的な発展のための基盤というものでございまして、CLCは地域住民が直面する課題を解決するための行動がとれるよう学習機会を提供する必要がある。また、CLCは持続可能な方法で住民の人生が豊かになるよう新しい知識やスキルの習得を支援していく。また、その次でございますけれども、様々なものです。生徒でありますとか、若者、成人などを含む多世代の対話や学びのための場を創出していく必要があるということでございまして、将来のCLCといたしまして、一番右にあるように、ネットワークの構築主体であるとか、また、持続的な発展の基盤、またいろいろな活動のプログラムの提供主体というような考え方が述べられております。
続きまして、10ページ以降、取組事例でございます。おめくりいただきまして、関委員の地元である新居浜市の泉川公民館の取組でございますけれども、一番上でございます。泉川地域の課題というところで、こちら教育課題に限らない地域福祉でありますとか、環境、また、安全・安心、健康作り、また、学校と地域の連携というところでございますけれども、そういった地域課題に関しまして、地域主導型の泉川まちづくり協議会を設立されていると。この左の方を御覧いただきますと、泉川公民館が中心、こちらが総合事務局としてコーディネート役を担って活動を進めているということでございまして、右の方にありますように、安全・安心でありますとか、医療・介護の関係、また、食生活改善、教育課題に限らないものについて、学びを通じた解決を図っているというところでございます。
また、その下の秋田県北秋田市の取組でございます。こちらも下の方、「まちづくり×人づくり」というところでございますけれども、こちら農業関係の取組なんかも含めてまちづくりの取組を進めているというもの。
また、左下については高校生・若者と地域づくり、また、その右の方でございましたら高齢者の取組、そういったものも公民館を中心として進めているというところでございます。
13ページ、14ページでございますけれども、こちらは学校と地域の連携・協働というところでございます。13ページ、右上のところでございますけれども、こちら公民館が中心となって、学校と地域の連携・協働もそうですし、また、様々な関係者、こちらは子供会であるとか、老人会、福祉施設、社会福祉協議会、自治会、そういったところとも連携しながらこういった活動を進めているというところでございます。
14ページの図につきましても公民館が中心となって学校と地域の連携・協働を進めているという状況でございます。
続きまして、現在のボランティア、近年の地域住民のボランティアへの参画状況について簡単にデータをお示ししたいと思います。16ページでございます。こちらボランティアの活動につきましては、一番下にございますけれども、4分の1の方が大体参画しておりまして、この中でどういった活動をしているかというデータでございますけれども、まちづくりでありますとか、子供対象のそういった活動、こちらの方、一番入っていきやすいというところもあるかもしれませんけれども、こういった活動に関心が多く向けられているところでございます。
ボランティア活動を行った理由、次のページでございますけれども、社会の役に立ちたいと思ったから。これはもちろんそうでございますけれども、活動を通じて自己の啓発、成長、学びであるとか、成長につながるというふうに考える者が多いというようなところがございます。
また、18ページでございます。ボランティア活動に関して、行政に要望することでございますけれども、こちら特にコーディネーターの養成であるとか、情報提供、またボランティア活動の学習機会を充実すべきといったボランティアのきっかけ作りを望んでいるということかと思いますけれども、そういったデータも出てきております。
それでは、ここで社会教育行政の現状がどうなっているかというところを御紹介させていただきます。19ページ以降でございます。20ページのところでございますけれども、地方の教育費でございますけれども、全体、微減になっているところでございますけれども、社会教育費については2割減っているというような状況でございます。
また、21ページでございます。社会教育施設につきましても、特に公民館につきましては施設の減少数が目立っております。
22ページでございますけれども、社会教育主事の人数についても減少が目立っているという状況でございます。
こちら、23ページ、24ページは社会教育主事の状況でございますけれども、配置についてもなかなか十分ではないというような状況にございます。
ただ、こちら25ページでございます。こういった状況でございますけれども、これは社会教育行政が時代や社会の要請に応えるものになっているか、地域住民等の期待に応えるものになっているかということを、ここでもう一度考えていく必要があるのではないかと。そういった意味で、今回の会議につきまして御議論いただければと考えております。その際の観点でございますけれども、特に社会教育行政の、先ほど申し上げました再構築を推進するため、1番でございます社会教育行政体制の在り方、また2番、公民館等の社会教育施設の在り方、3番でございますけれども、社会教育主事等の社会教育関係職員の在り方等について、制度的な在り方も含めて、見直していくことが必要ではないかというところでございます。
そういった問題意識を踏まえて、本日、グループディスカッション、また、その後の議論を進めさせていただきたいと思っておりますけれども、次のページをおめくりいただきまして、27ページでございます。本日、既に事前に御準備いただいておりますけれども、今後10年程度の間に直面する地域課題について認識を共有いただいた後にそういった課題の解決のための学び、社会教育や、また、社会教育施設の貢献可能性はどういったものがあるか。そういったことを実現していくために現在の社会教育制度でありますとか、社会教育政策等の課題等について重点的に御議論いただければと思っております。
私からは以上でございます。
局長が参りましたので、紹介させていただきます。有松生涯学習政策局長でございます。

【有松生涯学習政策局長】

有松でございます。初回から遅刻いたしまして大変失礼申し上げます。前の会議が予想以上に長引きまして失礼申し上げました。議論を中断して恐縮なのでございますが、第1回でございますので、お礼やらお願いやら、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
まず先生方にはお忙しい中、委員をお引き受けいただきまして、ありがとうございます。今、担当の方から資料で御説明いたしましたとおりでございますので、重ねて申し上げるまでもないと思いますが、本日はこの会議には中教審の生涯学習分科会の分科会長でいらっしゃいます明石先生を始め各地で以前から私どもがお世話になりつつ、各地で様々に社会教育の活動に取り組んでいただいている方々、また、首長部局の皆様をはじめとして多様な御経験をお持ちの方にお集まりいただきました。加えまして、いろいろな活動をなさっていらっしゃる方などからも今後お話を伺ったり、あるいは新居浜市にも伺わせていただくことも予定させていただいております。特にこの会議で御議論いただきたいのは、先ほど来御説明申し上げましたとおり、学びを通じた地域づくりという観点から、今後社会教育がどのように貢献していけるのか、いくべきなのか、そのための課題というものを論点整理していただきたいと思っております。そのために事務局で用意いたしましたのが、先ほどの25ページ、26ページ、27ページ辺りでございますので、これを最初の取っ掛かりとして御議論いただきたいと思っております。
一方で、これも御案内のとおり、中教審で4月から第3期の教育振興基本計画の策定に向けて、諮問させていただき、議論が始まっているところでございます。次期の教育振興基本計画ということでございますので、教育に関わる全分野ということでございます。初等中等教育やら高等教育やら、それぞれ分科会で御審議いただいているわけでございますが、生涯学習分科会でももちろんいろいろ御議論いただき、それらを教育振興基本計画に向けてインプットしていくという予定で御議論いただいているんですけれども、この会議では、その中では特に学びを通じた地域作りということに焦点を絞って、まずは論点整理していただき、そちらの方の生涯学習分科会、あるいは中教審の全体の議論の方にもそちらの方にインプットができるようなことになればというふうに思いまして、お願いしているわけでございます。それぞれのフィールドで御活動なさっている中でお感じいただいていることなどを率直に御発言いただきまして、御議論賜りますようよろしくお願い申し上げます。

【明石主査】

局長ありがとうございました。
それでは、グループディスカッションを始めたいと思います。座席を二つのグループに分けておりまして、先ほど事務局からありましたテーマの三つについて順次ディスカッションをお願いいたします。各項目15分程度で進めていただきまして、まとめの時間を含めまして、約1時間、11時20分頃までに終えていただいて、その後5分程度で各グループからの議論の結果について発表をお願いしたいと思います。
発表者は、私からの推薦としまして、牧野委員と山崎委員にお願いしたいと思いますけれども。本当に済みませんけど、よろしくお願いします。
では、早速グループに分かれて議論を始めてください。

                (2グループに分かれ、グループディスカッション)

【明石主査】

せっかく議論してもらったので、これから第1グループ、山崎さんの方から5分程度の説明で、あと委員の方で追加があって、次、牧野さんのところで。では。

【山崎委員】

1があれかな。1で、2番目で3番目になってますね。1番目が次の10年でどんな地域課題が出てくるのかということについてはとにかく真ん中、これがすごく大きいと。人口減少で、特に1万人というのがキーだろうと。1万人以上か、以下かみたいなこと。それからもう一つはコミュニティの弱体化。これは人口が多くたって、都市部だって、コミュニティは物すごい弱まっちゃっていると。この二つからいろいろな課題が出てきているよということでしたね。なので、もちろん孤立するとか、学校の統廃合とか、子供たちを取り巻く環境が、あるいは共働きの人たちの問題とかが出てくるんじゃないかと。これからそういうのに取り組むべきことというのもちょろっと出てきまして、地域包括ケアに近付いていった方がいいんじゃないか。あるいは生涯活躍とか、高齢者の活躍の場所とか、多様な市民団体と連携してやっていかなきゃいけないんじゃないかということで、2番目に近付いていきます。
一方で、学びのコンテンツというのも新しく作っていかなきゃいけないだろうというような話も出てきました。特に超高齢社会の到来なんですから、地域でどういうふうに高齢者が活躍して生きていくかという、新しい学びのコンテンツも必要だろうということで、やるべきことというのが見えてきたなという気がします。
2番の方は1の課題を踏まえて、学びや社会教育施設がどういうことをやらなきゃいけないのかということですけれども、その中では、真ん中に大きく出てきているのが、全部に関係しているだろうということなんですけれども、自助や共助や公助の心を持った市民をどういうふうに作っていくのか。特に公民館の「公」を「幸せ」って、そもそも幸せな民を作っていくための館だったんじゃないかという原点に返って、それを実現するためには自分でできること、みんなとやること、そして公共がやることみたいなやつをうまくやっていくというのがいいんじゃないか。それは千里を照らして一隅を守ると。明石さんの紹介された言葉がありましたけれども、シンク・グローバル、アクト・ローカルの日本語版ですね。こっちの方がかっこいいなという気がしますけど。一隅を守るのところの人材を公民館はどうやって作っていくのかということですね。
どうやって作っていくかということの一つは、まず学社融合を超えるということですね。今までよく言われてきた学社融合も大事なんだけれども、更に多様につながっていくということ。これは前のときにも言いましたけれども、つながっていく大事。それから、もう一つ、どこでも公民館と書きましたけれども、公民館以外に社会教育ができる空間はカフェでも商店街でも公園でも空き家でも空き店舗でもあるんじゃないか。そういうのを積極的に調べていって、そういうところに社会教育のコンテンツを持っていって、より多くの方々に、そういうところでみんなに知らせていくというのがいいんじゃないかということですね。
もう一つは福祉的な視点もこれからすごく大事になってくるだろうということです。福祉、防災、そういうことがすごく重要になってくるんだけど、そのうちの一つに例えば高齢者のための第2の学校みたいなやつがあってもいいんじゃないか。だから、学校に高齢者も通うし、例えば週5日になって、2日間は学校が公民館の代わりをするというようなところに変わっていくというのも大事じゃないか。
千代田区の事例では、いろいろな複合施設、社会教育施設だったり、プールだったり、学校施設だったりが上に積まれているというような事例もあるみたいで、そういう子供たちや大人たちや高齢者やというのが一緒の場所でいろいろなことを時間的に空間的にすみ分けながら実現していくということができるようになるんじゃないかというのが一つですね。
もう一つは、学びの方法や質が大事になってくるだろうということで、対話を巻き起こすような学びというのが幾つか出てきました。まさに今回やったような形に変えていかないと、主体性も出てこないし、自助、共助みたいなことというのは実現できない。
もう一個はEラーニングですね。Eラーニングによる共同体作りというのが、必ずしも物理的に近付いていなくても、遠い人たちとどういうふうにコミュニティを形成していくのかというのも大事になってくるだろうというのがありました。
最後、三つ目ですね。それを実現するため、現在の社会教育制度とかの課題や改善ということなんですけれども、まず根本にある問題ですね。生活圏内にある公民館が弱体化しちゃっていると。集会所化していたり、カルチャーセンター化しているんじゃないかと。これが乗り越えなきゃいけない問題なんじゃないかということで、そのうちの一つですね。まず公民館を公民館、社会教育だけで考えていたら駄目で、縦割りをどう超えるかということが大事なんじゃないかというのはかなりたくさん出てきました。多分現場の実感なんだろうと思いますけれども、予算のことも含めて、ちょっと越えたいな。公民館こそが市民の生活に一番近いところで、生活は縦割りじゃないですから。僕らの生活は。縦割りじゃない市民の生活を束ねて、そこから縦割りを、現場から超えていくという可能性はあるんじゃないかが一つ。
もう一つ超えるという意味では異文化をつなぎましょう。異文化をつなぎましょうというと、遠いところの人たちとつなぐ。これも必要なんだけれども、若い人と高齢者も全く異分野なので、ここをつなぐということもすごく大事で、それをつなぐことができるコーディネート機能を持った人材、こういう人たちを育てていくということも大事なんじゃないかなという話がありました。
もう一つは、デザイナーの発想をと書きましたけど、クリエーティブな、今までのとおりのことを粛々とやっていくんじゃなくて、新しいものを生み出していくということをやらないと、今言ったようなことというのは実現できないだろう。学校は認知的能力を高めるけど、社会教育は非認知的な能力を高めていくので、こっち側は新しい発想の人たちを生み出すときには大事になってくるんじゃないかなという話がありました。
あと国から世界へという話がありましたけれども、全国レベルでいろいろな先行事例があるはずで、ところが社会教育関係者というのは案外つながってなくて、ベンチマークにできない。だから、どうやってつながっていくのかというのがまず一つは大事で、もっと言うと、日本の公民館とか、郵便局とか、交番とか、保護司の仕組み、これって日本独自、あるいは日本から生み出したもので、結構世界に誇れるものなんだから、ある意味では世界に発信していって、しっかりと情報発信しないことには社会教育の地位も向上しない。みんなに認めてもらえないというような話もありました。
ちょっと忘れていたんですけれども、青空公民館みたいな、どこでも公民館みたいな話というのは、公民館の中に入っていて、待っているという待ちから自分たちが外へ出ていく。町へということで、待ちから町へ。同じ言葉なんですけど、ただウエーティングで待っているんじゃなくて、外へ出ていきましょうというようなこともキーワードとして挙がりました。大体そのぐらいかな。
以上です。

【明石主査】

あと追加はありますか。

【関委員】

今のところは。

【田原委員】

完璧。

【明石主査】

ありがとうございました。じゃ、牧野委員。

【牧野委員】

失礼します。私たちはあそこまで理路整然とうまくまとまってなくて、私の頭の中みたいな状態で、ちょっとぐちゃぐちゃになっていますけれども、それはある意味で逆に言えば今の地域社会がぐちゃぐちゃになっているということの反映かもしれません。ちょっと責任を転嫁していますけれども……。
まず、大きな問題として、人口構造の変化があるだろう。少子高齢化と人口減少という問題が地域社会を襲っているのではないかということがあります。例えばこれは東京なんかの大都市ですとか、そういうのに関わらず日本全国大きな問題としてあるんじゃないか。過去のいろいろな自治体を見ていきましても、例えば財政力指数が高いところであっても少子高齢化、人口減少ということは避けて通れない大きな問題なので、まずそこがあって、それがある意味で、一つはコミュニティの再編といいますか、又は弱体化、又は学校そのものの再編といったことを引き起こさざるを得ない状況が出てきているのではないかということが一つ課題としてありました。
もう一つは、ここのところの大きな不況の問題もずっと続いていて、貧困問題をどうしても捉えざるを得ないだろうということなんですね。これは都市部であろうが、地方というところであろうが、同じような状況でして、特に子供たちの貧困ですとか、高齢者の貧困問題というのはどうしてもあるだろう。そうしたことが孤立という問題を引き起こしていて、そしてそれが地域社会における関係性の変化、特に人々が孤立していきながら、生活に追われていくというような状況を作り出してしまっているのではないか。そして、見にくいんですけれども、こちらのコミュニティの変容という問題と孤立というのは関わっているでしょうし、更に学校の再編、特に統廃合によってコミュニティが解体していくということはある。そして、それがここで孤立化ということがくっついていきながら、コミュニティ全体が解体の方向に動いてしまっていて、また、弱体化ということにつながっていて、これは日本全国どこでも同じであろうと。そして、そこが更に今度どこへ行くかというと、学校も弱体化してきている、大きな問題を抱えているにも関わらず、学校にある意味でしわ寄せがどんどん行ってしまって、何とかしてくれという形で、それは私たちの言葉では、学校が福祉機関化してしまっているのではないか。教育を受けて自分の人生を自分で決定できるという方向に行く前に福祉的な問題を何とか解決してほしいという形で、学校に要望が来てしまっているという状況があるんじゃないか。
更に地域の再編が行われていく中で、経済的に苦しい中で、行政も財政的には苦しくなってきているのに、余計、行政依存が進んでいってしまって、行政サービスの提供を求めるような状態が出てきてしまっているのではないか。その意味では、ここの学校と行政というところでぐるぐる回ってしまっていて、抜け道が見えなくなっている、抜け出す道が見えなくなっていくというところが大きな問題になっているのではないかというのが現在直面していながら、これからもこのままで行けば行ってしまうような問題だろうというのが私たちの議論で出てきたところです。
そこの悪循環へどうやってくさびを打つのかというときに、一つはある意味で新しい住民の関係を作っていく必要があるのではないかということで、それが社会教育や学びといったことに求められているものになるんじゃないか。それは簡単に言えば人々が孤立化していくのを何とか新しい関係に結び付けていって、人々を結び付けていくといったことが必要になってくる。そうすれば、それが基本的にはそれを結び付ける人材を育成していかなきゃいけないだろうということで、人材の発掘から、例えばある地域では地域担当職員を置いたりしながら、地域の人間関係をもう一度作り返していく、また、結び直していくといったことをやろうとしているところがあるわけですね。そうしたものを、人材を育成していきながら人々を結び付けていかなきゃいけないだろうということ。そのためには専門職の育成といったことが必要になってくるだろうということと、そこから更にどこへ行くかというと、住民自身が住民自身を鍛えていくといったことがこれから問われてくるのではないか。今までは、行政が潤沢な財政を使って行政サービスを提供してくれれば何とかなっていたはず、また、福祉も何とか支えられてきたわけですけども、それが厳しい状態になってきているところで、住民自身がお互いに助け合いながら、連携をとって自立するというか、いろいろな地域課題を自分たちで解決するような動きを作っていかなきゃいけない。それは孤立化していてはうまくいかないので、むしろ結び付けていくということをしながら、お互いが連携をとりながら、自治を鍛えて社会課題を解決していきながら、自分たちの生活の基盤を安定させていくといったことが必要になるのではないか。更にそこにもう一面で、情報のプラットホームへそうしたことを結び付けていくようなプラットホーム的なものをちゃんと保障していく必要があるのではないかということなんですね。そこと学校との連携をうまくとりながら、福祉機関化している学校をもう一度教育機関に戻していくような取組をしていく必要があるのではないか。そして、子供たちが学校にちゃんと行っていれば、将来自分の人生の見通しがついてくるですとか、自分の人生の自己決定ができるという思いを持ってもらえるような、希望が持てるようなものに学校をもう一度再生する必要があるのではないかということなんですね。そして、そこと例えば住民の自治と結び付いていきながら、地域社会全体が住民の活動に支えられた、例えば子供たちの人生を応援するような在り方に変わっていくというか、そういうような形で学びといったものを再編する必要があるのではないか。
そういうふうに考えていきますと、実は学びというのは住民自治を通して新しい社会保障の一環なのだという考え方に結び付いていくのではないかということなんですね。そうしたものは個々の地域で考えていく必要があるのではないか。それを行政施策や制度でどうするかということなんですけれども、一番ネックになってくるのは、人材の育成でしょうから、その意味で学びの専門職としての社会教育主事の在り方をもう一度組み換えていきながら、人々の間に入り込んでいって、学びを組織できるような人々として、専門職としてちゃんと育成する必要があるのではないかということ。そして、そこに例えば公民館の活用ですとか、又は学校の活用ですとか、様々な図書館や博物館や社会教育施設の活用といったことも組み込んでいく中で、人々が学びを通して地域社会を作っていくというようなことを促すような、専門職の育成がこれから必要になってくるのではないかということ。
さらにはその中で価値観も転換していく必要があるでしょうから、その意味では、先ほど言いましたように、学びといったことも単に技術やスキルや知識を学んで私物化していく。自分がそこで社会に貢献するということだけではなくて、むしろいろいろな社会資源をお互いに使い合いながら循環させていって新しい生活や社会を作っていく営みそのものが学びなのだというような感覚、価値観を持って社会を考え直していくような仕掛けを作っていく人々、そこに住民が参画していきながら、新しい地域を作っていくような在り方というのを考える必要があるのではないか。そこにいろいろな人々がアクターとして関わることによって、ある意味では生計に関わるようなものといいますか、ただ、コミュニティビジネスや生業といったものを新しく作っていくような地域の在り方というものを考える必要があるんじゃないかということなんですね。
そして、住民によって例えばまちづくりが進んでいくことによって、例えば行政の財政負担を軽減していく。そして、自治体もある意味では住民が関わっていく中で、新しい自治体経営の在り方を作り出していくことにつながっていく。更にそこに例えば子供たち自身も地域に関わる中で、自分たちが地域社会にちゃんと役立てる人間なのだと思い得るような、新しいアクターとして活躍できるような場所を準備していく。そして、新しい社会を構想できるような動きを作っていく。そうしたものを学びというのをベースにしながら、全体をシステム化していって、最初の悪循環を地域において好循環に変えてくような行政の在り方といったことをこれから考える必要があるのではないかという話になりました。
その意味では、済みません。本当は紙テープが欲しかったんですね。くるくると矢印をいっぱい書きたかったので、そういうことです。済みません。
どうもありがとうございました。

【明石主査】

ありがとうございました。非常に個人的にはよくぞここまでうまくストーリーができたなという。ある意味では強引にストーリーを作った嫌いもありますけれども。だから、また問題点が見えてきたかなという感じがいたします。いかがでしょうか。二つの班の発表を聞かれて、こういうキーワードについて御質問があればお願いしたいんですけれども。牧野先生、非常に興味深く、ちょっとお聞きしたいのは、一番気に入ったのは、また気になったのは。3番目の社教主事を考える場合、教師は教える専門家、社教主事は新しい学びの専門家という、その辺をキーワードに出してくると、学びの専門家と教える専門家と、ちょっと強引ですけれども、学びの専門家というのをもう少ししゃべっていただけると、見えてきやすいかなと思いますけれども。

【牧野委員】

済みません。私自身の思いは、教える専門家というのは分かると思うんですね。教える内容が決まっていて、子供たちにそれをきっちり伝えていって、文化の継承者をまず作っていくと。そこから新しいものを創り出していけるような力を付けていくように子供たちの学びを支援する側(がわ)に回ると思うんですね。社会教育主事なんかの学びの専門家という場合には、学びといったことを考え直す必要があるのではないかなと思うんですね。もうちょっと言いますと、当然社教主事の立場とか位置付けも変えなきゃいけないと思うんですが、例えば住民と一緒に生活をしながら、住民が様々な生活のいろいろな課題を抱えていたりとか、いろいろな思いがある。それがまずうまく言葉に表現できないという場合に、言葉にならない声を聞き取っていきながら、あなたがおっしゃりたいことはこういうことなんですかというふうに言葉にして返していく役割。それに対して、そうですよとか、そうじゃないですよというような形の中で対話を促していけるような人たち。それそのものが学びにつながっていく。また、学びだろうと思うんですね。そういうような人々、そういう専門家としてのまず社教主事があるだろうと。ある意味で、対話を促していきながら、住民がある意味で、自らの生活の在り方を意識化していくのを促すような役割。更に進んで、そこから例えば住民自身が自らいろいろな活動をしていく中で、また一緒にいろいろ活動していく中で、解決できる問題は解決すればいいと思いますし、より楽しい生活をすればいいと思うんですけれども、どうしてもそれが住民だけでは解決できない問題がたくさんあると思うんですね。そこでは、当然、行政が出てこなきゃいけないので、そうしたものを行政に反映させていきながら、行政施策として練り上げていく力を持った人たちのことも社教主事というように呼んだらどうかなと思うんですね。そうしたのを含めた全てをある意味では学びだというふうに捉え返す必要があるのではないかというふうに考えています。

【明石主査】

ありがとうございました。Aグループのまとめ役の山崎さん、今こちらのグループの学びの専門家ということをお聞きになって、どういうイメージが湧いてきましたかね。

【山崎委員】

今の牧野さんの説明でよく分かりましたけど、僕は、社会教育は社会福祉のスキルを手に入れることが必要なのかもしれないという気がしてきましたね。社会教育は教える専門家のところから派生して出てきているので、教え育てようというところの住民との対話が多くなっちゃうのかもしれないんですが、一方で社会福祉というのは従来は少し生活、自分たちでやっていくのが難しい人たちの気持ちをどういうふうに引き出していって、それをどういうふうに社会資源と接続させて、どういうふうに彼らが自立して生きていけるようにするかというのが社会福祉でした。自立というのは誰にも頼らずに自分一人で生きていけるというわけではなくて、むしろ頼るべき人たちと一緒に頼るという判断をして、実行しながら生きていくことを自立というふうに社会福祉の方では言いますね。だから、社会福祉の実践の中では、例えばバイスティックの原則なんていうのは、一番初めに非審判的態度というのが絶対求められるんですね。住民の方が言ったことを、いい悪いを判断しないということですね。復唱するんですね。今これで困っています。なるほど、それで困っていらっしゃるんですねという、これをずっと繰り返していくと。本人の中から思いが出てくるまで引き出していくんですね。社会的、反社会的な言葉が出てきたとしても、それをこちら側が判断して、それは違いますよというようなことを言った瞬間に、向こうの言葉ではラポールの形成と言われますけれども、信頼関係を作っていく時間が途中で途切れるということになります。
社会福祉の方では学びの専門家の社会福祉バージョンというのをこれまですごくやってきた蓄積がありますので、むしろそこでのノウハウというか、それを社会教育の方でうまく転換していくことができたら、今牧野さんがおっしゃったような学びの専門家というものにより近付いていくことになるんじゃないかななんていうことを感じましたね。

【明石主査】

ありがとうございました。
関教育長、社会教育主事が長いんですけれども、そこから脱皮しようとしていますけれども、学びの専門家という言葉にどういう中身を、コンテンツを持っていけばいいでしょうかね。

【関委員】

確かに先ほど山崎さんが言っておられたように、一人一人が持っているものを引き出していくような力、そこに力を掛けるべきではないかなというのは正直思います。こちらから教えるというスタイルでは住民の本当の力をまとめ上げるということはなかなか難しいような気もしますので、いかに引き出していくか。
それともう一つは、地域にはいろいろな資源がありますので、それをどうやってうまくその場に乗っけてあげるか。そのことで一人一人の人がいろいろな力をもらったり、知識をもらったりする中で、自らも考えていけるような場作りをする能力、それが大切なような気がいたします。

【明石主査】

ありがとうございました。
井出教育長、こっちのグループで、学校の福祉化と行政への依存という言葉、大事なキーワードを出されましたけど、もう少し具体的に現場サイドで言っていただけると。

【井出委員】

学校の福祉機関化というのは、非常に言い得て妙というか、的確な表現だなというのを改めて感じているんですが。福祉というのはその中に教育も含む概念ですから、福祉機関化が悪いとは簡単に言えないんですけれども、ある側面だけ切り取って言うと、学校が何でも屋に仕立て上げられてきつつある。つまり、子供を意図的、計画的に育てていくというプログラムを持っていながら、例えば朝御飯を食べてこない子をどうするんだとか、放課後、保護者がいないときに居場所をどうするんだとか、あるいは夜間徘徊(はいかい)していて家に帰ってこない子をどうするんだとか、そのときそのときによって課題は違うんですけれども、かつて1970年代ぐらいに中学生の学校が荒れたときの、ああいう生活指導的な問題とは全く違った親のネグレクトであるとか、貧困の問題であるとか、あるいは地域の中で生じた様々な人間関係のあつれきであるとか、そういったものも全部学校に持ち込まれてくる。
一番簡単な例は、学校へ電話して、隣の家の葉っぱがうちに落ちて困るんだけど、何とかしてくれないかと言う。電話に出た人が、どういうことですかと聞くとどこに相談していいか分からないから、学校に相談したんだと。学校はよろず相談屋。
それから、ピンポンと押して逃げる、面白いからよくやるんです、ピンポンダッシュって。とっつかまえてしかればいいのに、学校で見張りに来い、おまえの学校の生徒だろうという。これは本当に卑近な例ですけれども、もっと大きな問題はいっぱいあります。そういう意味で貧困の問題から福祉の問題から、あるいは病気に関する問題から一切合財が学校に持ち込まれてきて、学校がよろず相談屋になっている。
これは二つ大きな問題が起きていて、一つは学校の多忙化です。もっと切実な問題は学校が本来どういう役割をするのかということが薄められつつあって、学校に対する期待が低下しているんです。ひどい言葉になると、学校は勉強を教えてくれなくていい。ちゃんと子供をしつけてくれればいい。これは本末転倒なので、学校って何するところかということを議論し直さなきゃならないような状況になってきていることも事実ですね。そういう意味で、いろいろなプロジェクトが立ち上がって、チーム学校であるとか何だかんだ、地域と学校の連携・協働とか、いろいろ仕組みを立ち上げようとしている動きがあるんですけれども、いろいろなものをそぎ落としていって、本来学校は何をすべきところなのかという、その青臭い議論をもう一回やり直す必要があると思います。福祉も引き受けろというんだったら、引き受けますよ。ただし、今までの学校のありようをそのままにしておいて、全部引き受けるというわけにはいきませんよということも議論していく必要があるかなと改めて思いました。

【明石主査】

ありがとうございました。ほかの委員の方々で何か質問とかございますか。

【関委員】

ちょっと1点。先ほど牧野委員の方からの報告の中で住民自治という言葉が上がってきたと思うんですけれども、実際にその地域で住民自治的な活動を進めていくに当たっては昔からの公民館の力みたいなものが一方にあり、一方では今コミュニティの絡みの中で小規模多機能自治的な事業もいろいろな形で行われておりますよね。その両者をいかにつなげていくかというふうな発想を我々はとりたいと思っているんですが、なかなか首長部局と教育委員会の中でその辺に壁があるような気もするんですけれども、その辺をこれから先どう昇華させていくというか、もう一つ上のレベルに上げていくか。何かその辺の議論は必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

【明石主査】

何かありますか。

【牧野委員】

行政でやってほしいんですけど、どう言ったらいいですかね。首長部局と教育委員会との間の問題、縦割りの話になってしまうと思うんですけれども、そうではないんじゃないかなと思うんですね。例えば国レベル、都道府県レベル、市町村レベルと考えていっても縦割りになっていると思うんですが、そこをコミュニティレベルで考えていったら、横串を刺さざるを得ないことがたくさんあると思うんですね。その意味で、行政施策と考える場合に、自治体とか、行政というレベルではなくて、住民生活というレベルで考えたときにどうするかという議論からやり直す必要があるのではないかなとも思っていまして、そこに例えば住民がどう関わっていくかということが自治という問題で関わってきて、今までは行政のサービスを受けるという形で、要求すればサービスを提供される。自分たちの生活の基盤が安定してくる、保障されるということの中で縦割りが動いてきたと思うんですけれども、そうじゃなくなってきているところがあると思うんですね。その意味で、住民自身が自らどうするかといったことを考えながら、コミュニティレベル、生活レベルで縦割りの間をどうするかという議論をせざるを得なくなっていると思いますので、その辺りからもう一度建て直す必要があるのではないかなとも思うんですね。
それからもう一つは、生活を安定させるとか、豊かにしていくというときに、今までは物質的な問題をベースにしながら、行政サービスを提供してもらうという立場での議論が多かったと思うんですけれども、むしろそこを新しい生活や新しいコミュニティを作っていくという議論の中で、住民が参画して自らそこを治めていくんだということにしていかないと、これから行政がもたなくなってきていると思うんですね、実際の問題として。お金がなくなっていますから。そういう意味で、住民自身が自らコミュニティに参画していきながら、新しい社会、コミュニティを作っていって、そこを経営するというところまで踏み込めるような仕組みを作っていく必要があるんじゃないかと思うんです。そこには、関委員がおっしゃったような学びといった問題と一般行政という問題をうまく融合していきながら、むしろ行政負担を減らしていって、住民生活の生活基盤を安定させていくためのものとして学びがあるんだみたいな、そういう議論ができるのではないか。そうすれば、それはある意味で学びといったものは教育行政だけの問題ではなくて、社会保障の一環であるべきものでしょうし、もっと言えば、社会保障の一番基盤になるべきものだというふうにも言えるようになってくるのではないか。そうすれば、先ほど資料にありましたような社会教育行政のネットワーク化といったことももっと形として具体的に見えてくるものがあるんじゃないかなというふうにも思います。
済みません。もう少し行政の方で具体的にお話を伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

【明石主査】

まだまだたくさんあるかと思いますけれども、きょう、二つのグループに分かれて議論していただきました。その感想を重森さんの方から。

【重森委員】

感想?

【明石主査】

感想。次回はもっと中身を限定して深めていきますけど、まず、きょうの初発の感想。

【重森委員】

このような場に初めて出させていただいたので、どんなことになるのかなと緊張していたんですけど。本当に今一番感じているのは、公民館という場所が本来の機能、もともと公民館ができたころからという機能が果たせていないところがすごく多くて、特に向こうにたくさん出ているんですけど、公民館ってこうあってほしいみたいな、縦割りを超えると言われた、おっしゃっているとおり、縦割りを超えられる場所が公民館だと私は思っているので、牧野先生も言われた生活レベルという中で縦割りの行政をつなげられるポジションだと思うのか、全国的にそうなっていないという現状を今回目の当たりにしたというところがちょっと衝撃だったのと、そうやってそこが駄目だから駄目じゃなくて、じゃ、どういうふうに作り替えていくかというような議論をすごくしていただいたので、私自身もまた現場に帰って、そのことを、じゃ、どうすると考えたいし、もっとこれが積み重なっていくことで社会教育というもの自体が少し変わっていけるんじゃないかなと思いました。ありがとうございました。

【明石主査】

お隣の佐野市の小曽根さん。

【小曽根委員】

小曽根と申します。どうもお世話になります。私も今回初めてこういう席に出させていただきまして、本当にプレッシャーを感じているところでございます。実際に行政の方の立場からいきますと、先ほどの縦割り、一つの例で言いますと、放課後子供プランですか、放課後子供教室、私どものところ、生涯学習課の方でやっているものと、子供課、福祉部門の、連携を図るようにということで、つい先日、その会議の方を持ちました。まずはどこから連携できるかというのは同じ場所でやるということなんですが、ただ、実際に、例えば既に携わっている放課後子供教室のコーディネーター、あるいは実際ボランティアみたいな形、それに対しまして放課後児童クラブの保育の、一定の金額とか、出ている話なので、放課後子供教室は、子供の体験、そういったものに重点を置くというのに対しまして、クラブの方はまずは預かる。子供たちの安全・安心というふうなことで。今後いろいろ課題等解決していかなければならないというふうな部分と、もう一つうちの方で今回出ました統廃合の関係。実際に押し迫っている問題なので、佐野市の場合、平成32年に最初の義務教育学校ということで、幾つかの小中学校でそういった、踏まえまして、本当に社会教育、あるいは社会教育主事の役割とか、縦割りじゃなくて、横の連携の必要性というのを感じてきているところです。
本当にきょうはいろいろ勉強になりました。ありがとうございました。以上です。

【明石主査】

教授の古賀さん。

【古賀委員】

社会教育という分野に触れ始めて、まだ数年ぐらいなのですが、いろいろなネットワークを公民館に投入するお手伝い(公民館じょいんとプロジェクト)や、地域で何かやってみたいという方々の人材の育成・発掘のお手伝い(地域活動スタートアップ支援)をする中で、本日出されたキーワードでも「自治を鍛える」とか、「学社融合プラス福祉の要素を入れる」といったところにとても共感しました。
現場に落とし込んで考えてみると、例えば社会福祉協議会が地域福祉のことをやっておられたり、地域の自治については自治体がコミュニティの再編が進めていたりとか、それぞれに「つながらなきゃ、でも、つながれない」というもどかしさが官民それぞれにあるのかなと感じています。例えばこういう会議にも、全国社会福祉協議会(全社協)さんあたりが加わるなどして、現場の取り組みを横断的なものにしていくためには、この会議自体も変わらないといけないのかなと思いました。今後楽しみにしております。ありがとうございます。

【明石主査】

では、田原委員。

【田原委員】

社会教育主事の育成の必要性があちらの班から出ましたが、本当に今現場でそれを感じているところです。幾らか私も仕事で異動したりするんですが、自治体によって社会教育主事を大切にしているところと、社会教育主事さんじゃなくていいのかしらと心配するようなところと、その温度差は何かなと思っていましたが、きょう、自分の中ではよく分かりました。10年後、20年後を考えたりして、人を育成している自治体でなければいけないなと。本当にコミュニティが崩壊していってしまうのになと思ったところで、効率ばかりではなく、そういうところを追っていきたいなと思っています。大概、現場、市町に行くと、社会教育主事さんも、せっかく公民館で活躍し始めた。これからというときに、ほかと同じように異動です。がっかりです。お願いしたけれども、3年での異動で、がっかり来た経験がありますので、私も社会教育施設で勤務したこともあり、学校現場が一番長かったんですけど、この4月から立場が変わっていますが、こういう視点を大切に、まちづくりに大いに関わることをしていきたいなと、きょうまで思っていましたが、決意はまた一層固まりました。本当に参考になりました。ありがとうございました。

【明石主査】

きょうは1回目で、個人的にはいろいろな情報が出てまいりまして、よかったかなという感じがします。それで、今後、この会議のヒアリングや事務局で実施する調査の方向性について、事務局から御説明をお願いします。石川さん、お願いします。

【石川社会教育課専門官】

ありがとうございます。資料4の方を御覧ください。今後こちらの会議につきましてはヒアリング等実施していきたいと考えております。こちらの方でございますけれども、委員から御発表いただくというような点とともに、他の行政職員、専門職員、また、その他公民館、NPO、民間団体等の方々に対してヒアリングを行うことで、また更に現状などの把握であるとか、また、課題等の理解をしていきたいというところでございます。ヒアリングの主な観点につきましては取組の御紹介を頂く中で、発表の観点例にありますように、地域課題の御紹介であるとか、またその中での学びであるとか、社会教育の貢献可能性、また、教育委員会等首長部局や民間団体、関係団体等の連携の状況、また、その中で出ている課題、改善案等についてヒアリングして議論を深めていくというような形にしたいと考えております。
また、こちらの会議と並行いたしまして、バックデータもないというようなところでございますので、調査もしていきたいと考えております。関係者等に対して、調査の主な観点例でございますけれども、こちら行政体制の部分の話でありますとか、専門職員の在り方について、また社会教育施設の在り方などについて、具体的な方法、また具体的な項目については検討中でございますけれども、順次進めていきたいと考えております。
以上です。

【明石主査】

今の事務局の説明について御質問ございますか。今後、二つの視点でヒアリング等の地道なエビデンスを集める調査の方を進めていきたいと。では、その辺をよろしくお願いします。
では、今後のスケジュールについて何か御意見はありますか。

【石川社会教育課専門官】

では、今後のスケジュール、御紹介させていただきます。資料5でございます。本日第1回が終わった後、今月末、7月29日でございますけれども、第2回、文部科学省で行わせていただきます。その後、第3回といいましょうか、新居浜で行います。関委員の地元でよろしくお願いいたします。その後、文部科学省での3回目といたしまして、9月26日に行う予定でございます。よろしくお願いいたします。

【明石主査】

そういう段取りで行かせていただきたいと思います。
何かその他について御意見ございますか、委員の方から。
  それでは、本日はこれで閉会とさせていただきたいと思います。皆様、本当にきょうは御苦労さまでございました。ありがとうございます。

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