今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する論点整理(案)

参考資料3



(平成29年1月25日大学分科会配布資料)

1.本論点整理の位置付け

2.高等教育機関の役割・機能に係るこれまでの政策の動向

3.高等教育を取り巻く状況の変化と今後の高等教育に求められる役割・機能

4.各高等教育機関の役割・機能の強化に関し、早急に取り組むべき論点

(1)各高等教育機関における役割・機能の強化


・大学(学士課程)
・大学院
・短期大学
・高等専門学校
・専門学校

(2)各高等教育機関における職業教育の強化と「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関」

5.今後の高等教育改革全体の課題として中期的視点、長期的視点からより詳細に検討すべき論点

(1)将来像答申(平成17年)以降の施策の検証

・大学等の機能別分化
・高等教育の質の保証

(2)中期的視点、長期的視点からの論点

1)変化への対応や価値の創造等を実現するための学生の学びの質の向上
・学生本位の視点に立った教育の実現に向けた検討
・国際的な学位等の通用性の確保
・社会人の学びへの貢献の強化
・教員・学生の流動性の向上
・教育の質向上と効果的な運営のための高等教育機関間の連携強化

2)学生の学びの質を向上させるための基盤整備
・我が国における高等教育全体の規模、地域における高等教育機会の確保等の在
り方等
・設置認可の在り方等に関する検討
・高等教育機関のガバナンスの強化

3)高等教育の改革を支える支援方策
・教育研究を支える基盤的経費、競争的資金の確保、配分等


1.本論点整理の位置付け

今後の各高等教育機関の役割・機能の在り方や、それらの役割・機能の強化のための方策を中心に、今後の高等教育改革に係る基本的な論点を整理する。本論点整理を踏まえ、次期中央教育審議会大学分科会において、より具体的な検討が進められることを期待する。

○ 作業チームにおいては、以下の三つの視点を踏まえて、論点を整理した。
・平成28年5月に答申された「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化」を見据えた高等教育機関の役割・機能の在り方に関する考察(短期的視点)
・第3期教育振興基本計画(平成30年度~34年度)の策定に向け、高等教育に関して検討を進める必要がある事項の整理(中期的視点)
・平成32年頃までを念頭において提言されている「我が国の高等教育の将来像(答申)」(平成17年1月)に代わる高等教育の新たな将来構想の策定に向け、検討することが必要な事項の整理(長期的視点)

2.高等教育機関の役割・機能に係るこれまでの政策の動向

○ 平成17年に策定された「我が国の高等教育の将来像(答申)」(以下「将来像答申」という。)では、高等教育機関の役割・機能について以下のような方針を提示。
・新時代の高等教育は、全体として多様化して学習者の様々な需要に的確に対応するため、学校種(大学・短期大学、高等専門学校、専門学校)ごとの役割・機能を踏まえた教育・研究の展開と相互の接続や連携の促進を図るとともに、特に大学は、1-7(※)等の各種の機能を併有するものであり、自らの選択により、緩やかに機能別分化していくべき 
  ※1世界的研究・教育拠点
     2 高度専門職業人養成
     3 幅広い職業人養成
     4 総合的教養教育
     5 特定の専門的分野(芸術、体育等)の教育・研究
     6 地域の生涯学習機会の拠点
     7 社会貢献機能(地域貢献、産学官連携、国際交流等)

○ 国の財政支援等においても、「国立大学法人運営費交付金の三つの重点支援の枠組み」や「スーパーグローバル大学創成支援事業の創設」、「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」など、各機関の個性・特色を明確化する方向での取組が行われるとともに、制度面に関しても、学長のリーダーシップの下で、それぞれの個性や強みを生かして戦略的に大学をマネジメントできるガバナンス体制の構築を促進するための制度改正を平成26年に行っている。

3.高等教育を取り巻く状況の変化と今後の高等教育に求められる役割・機能

○ 「将来像答申」後の社会経済の変化として、高等教育の在り方に大きく関わるものとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
・人口の減少 (18歳人口、生産年齢人口、地方における急激な減少など)
・大学等への進学率、学生数の変化、進学機会の格差
・経済社会のグローバル化の進展
・産業構造の変化(AI、IoT、ビッグデータ、セキュリティ分野の急速な進展などの影響(第4次産業革命)を含む)
・就業構造の変化(専門性、創造性の高い高付加価値型の職業への需要増、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用のシフト、雇用の流動化など)
・経済的格差の拡大、貧困問題の顕在化
・地方創生の必要性の高まり
・世界的な学術研究の進展

○ こうした中で、高等教育においては、知識・技能を学んで修得する能力だけでなく、学んだ知識・技能を実践・応用する力、さらには、自ら問題の発見・解決に取り組み、新たなモノやサービスを生み出し社会に新たな価値を創造する力を育成することが不可欠である。そのためには、これからの時代における高等教育の使命の再定義も含め、人口減少時代における高等教育政策の在り方について総合的に検討することが必要である。

○ 今後の高等教育の機能強化の基本的方向性としては、グローバル化や産業構造の変化等の高等教育を取り巻く状況変化や将来像答申で示されている機能別分化の方向性を踏まえながら、特に次の二つの方向での充実が必要であり、各機関が学校種としての役割・機能を踏まえ、またそれぞれの個性や強みを生かしつつ、発展していくことが求められる。
1 新たな価値創出の基盤となる創造的な教育研究の高度化
2 社会の変化、地域や産業界の多様な要請を踏まえた実践的な教育の充実

○ 中でも、特に留意が必要な点として、
・進学率の上昇、中等教育との接続の改善
・第4次産業革命やSociety5.0における成長分野の人材育成や、日本型雇用慣行の変化、働き方改革の議論を踏まえた社会人の学びに対する貢献の強化
・各高等教育機関の強みを生かした機関間の連携強化による地域に必要な高等教育機会の確保
などが挙げられる。

4.各高等教育機関の役割・機能の強化に関し、早急に取り組むべき論点

(1)各高等教育機関における役割・機能の強化


○ 各学校種別にその基本となる役割・機能と現状の課題と今後の機能強化の方向性を整理すると以下のとおりである。

(大学(学士課程))
○ 大学の学士課程については、少子化が進む中においても、いわゆる18歳時進学率の上昇により、学生数が増加している。量的拡大が進み、進学率が50%を超えるユニバーサル段階を迎え、各大学の特色、強みの一層の明確化を進めていくことが必要となっている。その際、18歳時以外の学生のより積極的な受入れにも取り組むことにより、大学の生涯を通じた人材育成の場としての機能を高めることが求められる。

○ 多様な学生が入学してくる中で、学士課程教育の質の確保が課題となっており、各大学においては、「卒業認定・学位授与の方針」、「教育課程編成・実施の方針」、「入学者受入れの方針」を実質的なものとするとともに、それに基づく体系的・組織的な教育の充実を図ることが必要である。その際、今後の変化の激しい時代にあっても共通基盤として必要な力を明確化し、育成することにも留意する必要がある。

○ 教育・研究両面でのグローバル化への対応、成長分野における人材育成など産業界からの実践的な職業教育の要請への対応、大学が所在する地域への貢献なども大きな課題となっており、こうした課題への対応の中で自らの特色、強みを発揮しようとする取組や、複数大学の連携によりこうした課題へ対応しようとする取組も出てきている。

○ さらに、教育・研究の発展の基盤として、大学という組織のガバナンスの確立や財政的基盤の確保も重要である。平成26年には、学校教育法等が改正され、副学長・教授会等の職や組織の規定の見直し、国立大学法人の学長選考の透明化などの制度改正が行われ、こうした改正の趣旨に沿った各大学の取組が求められている。また、学長のリーダーシップに基づく大学運営の高度化のためには、教員組織だけでなく、事務組織も重要であり、事務組織の機能強化を図ることも課題と考えられる。

○ このような現状の課題を踏まえ、大学における機能強化の方向性として、以下のような観点が重要である。
・多様化した学生に対応するための、各大学の持つ特色、強化すべき機能の明確化による一層の機能分化
・進学率の上昇が続く中、学生を学士として責任を持って社会に送り出すため、高等学校教育との接続を重視した大学入学者選抜への転換と大学教育の質的転換の実現
・e-ラーニングの一層の活用。グローバル化に対応した教育の強化、学位や単位の国際通用性を確保するための教育の質保証
・未来の産業創造・社会変革に対応した人材を育成するために、第4次産業革命やSociety5.0の下での成長分野(AI、IoT、ビッグデータ、セキュリティ分野など)に対応する理工系人材等の質的充実・量的確保や、社会人の学び直しを含めた産業界と連携した高度で実践的な教育の充実

○ こうした機能強化を支えるため、以下のような事項について今後検討を進める必要がある。
・三つの方針を踏まえた教育課程の改善、指導方法の改善
平成29年4月から各大学での策定・公表が義務付けられた三つの方針を踏まえ、大学の教育理念にふさわしい入学者を受け入れるための大学入学者選抜の在り方をより適切なものに改善すること、単なる授業改善にとどまらず、卒業後の出口も十分に意識しながら、大学として体系的で組織的な教育活動を展開することや問題の発見・解決に向けた学生の能動的・主体的な学修を促す取組を充実すること、学修成果の可視化やPDCAサイクルによるカリキュラムマネジメントの確立等に取り組むことが必要。
・学生の学修時間の把握、大学での学修成果の可視化、及びそれらに関する情報発信
大学教育を通じて「学生が何を身に付けたか」という観点を一層重視し、どのような評価の基準や方法に基づき、個々の学生の学修成果の把握・評価を行い、大学として卒業を認定・学位を授与したかについて、社会に対して説明責任を果たせるようにするため、学修成果の具体的な把握・評価方法(ルーブリック、学修行動調査等)への取組や、より効果的な公示方法等の開発・実践、学修ポートフォリオの活動など個々の学生による学修履歴の記録、振り返り、学修デザインの支援などの取組を促進することが必要。
・組織的な教育体制の確立
学生の教育に関わる全ての教員が三つの方針を理解し、連携して質の高い教育に取り組むことができるよう、ファカルティ・ディベロップメントの充実や教員の教育実績の評価の在り方等の改善を図ることが必要。

(大学院)
○ 大学院は、研究者・高度専門職業人の養成及び市民の高度な学習需要への対応、という三つの機能を担っている。修士課程への進学率、博士課程への進学率はともにやや減少しているが、専門職学位課程については、学び直しの場として社会人の受入れも進んでおり、近年、やや進学者数が増加傾向にある。

○ 国際的にみて我が国の論文生産が停滞している中、優秀な学生の博士課程への進学者が減少しており、新たな価値創造の観点からも課題となっている。また、高度な専門的知識を有する大学院修了者が研究のみならず社会の様々な分野で活躍することが求められており、「博士課程教育リーディングプログラム」などの取組をはじめ、体系的な教育や多様なキャリアパスを確立するための取組が展開されつつあるが、全体としてはまだ十分な状況と言えない。さらに、今後の成長分野をけん引する人材育成プログラムの充実なども課題となっている。

○ とりわけ、人文社会系の大学院教育については、今後の新たな価値の創造にとって極めて重要な分野であるにも関わらず、教育研究の内容が狭い専門分野に閉じられがちで、大学の研究職以外に将来のキャリアパスが見えにくいことなど、厳しい指摘もなされており、その改善に取り組んでいくことが求められる。

○ 高度専門職業人養成の必要性が増大している一方で、高度専門職業人養成に目的を特化した専門職学位課程については、修士課程からの移行が進まなく、また、学位の付加価値が社会(「出口」)と共有されていないなど、社会(「出口」)との連携が十分に図られておらず、専門職大学院数・学生数は、全体としては、制度導入時に期待されたほどには広がりをみせていない。

○ このような課題を踏まえ、大学院における機能強化の方向性として、以下のような観点が重要である。
・優秀な学生が博士課程に進学するための研究教育機能・体制、社会との連携の強化(社会人の学び直し機能の強化を含む)
・成長分野を切り開き、イノベーションをけん引する高度専門人材養成機能の強化
・新たな価値を創造する学術研究機能の強化
・博士課程学生を対象とした教育能力養成機能の強化
・大学院生への経済的支援の充実

○ こうした機能強化を支えるため、以下のような事項について今後検討を進める必要がある。
・卓越した教育力と研究力を有する大学院教育プログラムの形成
これまで「博士課程教育リーディングプログラム」による取組などを通じ、研究科・専攻の枠を超えた大学院教育プログラムの形成が進められてきた。今後、大学院において、ソーシャル・イノベーションを生み出し、新しい社会を創造できる人材を育成する能力を更に高めるため、国内外の研究機関や企業等と連携し、幅広い分野において、卓越した教育力と研究力を有する「卓越大学院プログラム(仮称)」構想の具体化をはじめとした取組を進めていくことが必要。
・大学教員としての能力の形成につなげる取組の強化
博士号取得者の3割程度が将来的に大学教員の職に就くことが見込まれており、そのような人材が将来国内外の大学で活躍できるよう、プレFDの実施やTA(ティーチング・アシスタント)やTF(ティーチング・フェロー)、中高生対象の教育経験など大学教員としての能力の形成につなげる取組の機会の充実が必要。
・研究職よりも高度専門職業人養成を主としている修士課程の専門職学位課程への移行の促進
専門職大学院を高度専門職業人養成のための中核的教育機関と位置づけ、高度専門職業人養成機能を強化する観点から、高度専門職業人養成を主たる目的とする修士課程が、社会(「出口」)との連携の在り方や養成人材目的の検証・見直しにより、専門職学位課程へ移行することを積極的に促すことが必要。その際、専門職大学院の設置が進んでいない、地方における高度専門職業人についてのニーズを踏まえることも必要。

(短期大学)
○ 短期大学は、幅広い教養を踏まえて職業又は実際生活に必要な能力を育成する教育を行っている。短期間で学位が取れる高等教育機関、専門職業人材の育成、中小都市を含めた幅広い分布、高い自県内入学率・就職率(各7割)、学生の約9割が女性、大学よりも高い割合の社会人学生といった特徴を持ち、女性の社会進出、地域の発展と教育の機会均等に貢献してきた。

○ 大学への進学率の増加に伴い、全体として学校数、学生数は大きく減少してきたが、地域に根差した教育を行う短期大学の役割は引き続き重要であり、近年では、幼稚園教諭、保育士、看護士、介護士、栄養士などの養成が強みとなっている。

○ 今後、大学とのより円滑な接続、就職や転職を目指す社会人の再教育や生涯学習ニーズへの対応の強化、グローバル化への対応などについても強化が求められる。

○ このような現状の課題を踏まえ、短期大学における機能強化の方向性として、以下のような観点が重要である。(大学(学士課程)の項で示した方向性については、いずれも短期大学にも該当するものである。)
・幅広い教養と専門的な職業能力を備え、地域の産業を支える多様な人材を養成する職業教育機能の充実強化
・編入学や専攻科の強化など大学との体系的な接続等による多様な進路の選択肢を充実させるファーストステージ機能の強化
・職場復帰を目指す女性、能力のブラッシュアップを求める地域人材など社会人への再教育機能・生涯学習機能の強化

○ こうした機能強化を支えるため、以下のような事項について今後検討を進める必要がある。(なお、大学(学士課程)の項で示した検討事項については、いずれも短期大学にも該当するものである。)
・社会人学生のニーズに応じた教育の提供方策の充実
短期大学が地域に数多く輩出してきた幼稚園教諭、保育士、看護師、介護士等の資格について、社会人がこれらの資格を取得しやすくなるよう、社会人を対象とした実践的・専門的プログラムの充実が必要。また、これらの資格を有していながら、出産・子育て等を機に離職した者に対して、短期大学が再就業に必要な知識や技術を習得する場として活用されるようにするため、短期の非学位プログラムの充実方策の検討が必要。
・地域における高等教育機会を確保するための仕組みの強化
自県内入学率が大学よりも高く、キャンパスの約4割が人口30万人未満の都市に所在している特性を踏まえ、地域における高等教育機会確保の観点から、小規模な学科においても、適切な運営が可能となるよう、小規模な学科の設置を前提とした設置基準の検討が必要。また、短期大学や大学、地方公共団体等との連携による教育機能の強化のため、コンソーシアムの形成、e-ラーニングの積極的活用を促進していくことが必要。
・大学との連携による専攻科の教育の強化、高度化
職業教育の高度化等の需要に対応する短期大学の専攻科において、あわせて、大学が有する理論的な教育研究活動や幅広い研究分野を生かして、本科で身に付けた専門性を軸に幅広い付加価値を有する職業人養成を可能にするため、大学と短期大学専攻科による共同教育課程の創設の検討が必要。

(高等専門学校)
○ 高等専門学校は、中学校卒業後の5年一貫の教育により、工業の分野を中心に実践的・創造的な技術者の養成に大きく貢献してきた。国立の機関が多く、高等教育機関全体の中では学校数、学生数ともに占める割合は小さいが、おおむね一定の規模を保っており、卒業生を受け入れる産業界からの評価も高い。

○ 今後、第4次産業革命などによる産業構造の変化に応じ、技術者に求められる役割がますます重要となっていく中で、新たな分野の教育や、本科・専攻科両方の教育の充実が課題となっている。

○ こうした現状の課題を踏まえ、高等専門学校における機能強化の方向性として、以下のような観点が重要である。
・実践的・創造的な技術者を養成する機能の充実
・産業構造の変化に応じた新たな分野の人材育成機能の強化
・本科・専攻科を含めた高専教育の充実
・地域の産業界との連携の強化
・国際化に対応した教育の強化と、高専システムの海外展開の推進

○ こうした機能強化を支えるため、以下のような事項について今後検討を進める必要がある
・新たな産業をけん引する人材の育成の強化
IoT、ロボティクスなどがもたらす今後の産業・就業構造の変化、情報セキュリティなどの分野で早期からの人材育成が効果的とされていることを踏まえ、15歳という早期からの専門教育という特色を一層活用しつつ、産業界・地域と協働し、各校の特色を伸長する取組の充実が必要。
特に、医療・農業など工学以外の他分野との連携強化や新分野の人材育成、船員養成などの特定分野の教育、地域の特色ある産業や地域課題における工学的な知識・技術・知見の活用と人材養成を通じた地域への貢献、といった観点が重要である。
・高専教育の高度化
高度化・複雑化し、また急速に進展する技術革新に対応する技術者養成のため、地域や産業界との共同教育・インターシップの更なる充実や、技術科学大学をはじめとする理工系大学等との連携強化による教員の研究・教育力の向上や専攻科の教育内容の充実など、高専教育の高度化が必要。
・高専教育の国際化
経済・社会の急速なグローバル化を踏まえ、国際的に活躍できる技術者を養成するため、留学生受入数の増加や英語による専門教育の実施、日本企業の現地法人・日系企業との連携の下での海外での教育活動・インターンシップの充実など高専教育の国際化を進めるとともに、開発途上国を中心とする海外における高専のカリキュラムや教育手法等の導入、日本の高専における教員研修の受入など、各国の技術者養成への貢献を通じた高専制度の海外展開を促進することが必要。

(専門学校)
○ 専門学校は、社会・産業ニーズに即応しつつ多様な教育を柔軟に展開して、職業又は実際生活に必要な能力を育成する教育を行っている。専門学校は、高等教育機関全体の中では、大学に次ぐ学生数(約59万人)を受け入れており、幅広い職業分野にわたる学校が設置されている。専門学校は、大学等と異なり、所轄庁は都道府県知事等であり、高い就職率(約8割)を実現する地域の中核的な職業教育機関として、地域産業の発展等に大きく貢献してきた。

○ また、専門学校は、社会・産業ニーズに応じた教育を柔軟に提供できる場として、社会人が一旦社会に入った後に実践的な学びを深めていく場としての役割・可能性が大きい。

○  さらに、平成26年度からは、企業等との密接な連携により、最新の実務の知識等を身につけられるよう教育課程を編成し、より実践的な職業教育に組織的に取り組む専門課程を文部科学大臣が認定する「職業実践専門課程」を開始し、約3割の専門学校が取組を進めている。

○ 今後さらに、自由度や即応性の高さという専門学校の特質を維持しつつ、教育の質の保証を進めること、就職や転職を目指す社会人の再教育や生涯学習ニーズへの対応の強化やグローバル化に対応することなどが課題となっている。

○ こうした現状の課題を踏まえ、専門学校における機能強化の方向性として、以下のような観点が重要である。
・社会・産業ニーズに即応しつつ多様な教育を柔軟に展開する強みを生かした人材養成機能の充実・強化
・地域における人材養成のプラットフォームとして、地域産業を支える多様な職業人材を養成する機能の充実・強化
・復職やキャリアアップを目指す社会人への再教育機能の強化や、外国人留学生の受入れ等のグローバル化対応機能の向上
・他の教育機関との接続の円滑化

○ こうした機能強化を支えるため、「これからの専修学校教育の振興のあり方検討会議」における議論を踏まえて、例えば以下のような事項について今後検討を進めていくことが必要である。
・地域の多様な中核的産業人材養成機能の強化方策
専門学校が社会・産業ニーズに即応しつつ、地域における人材養成プラットフォームとしての機能を果たすため、効果的な産学連携教育実施のための教育システムの構築や、地域や分野に応じた中長期的な人材育成に向けた産学連携体制の構築を進めていくことが必要。
・社会人の学び直しのニーズに一層応えていくための方策
専門学校は、社会人が一旦社会に入った後に実践的な学びを深めていく機会を社会や企業のニーズに応じて柔軟に提供することができる場であり、社会人等の学び直しの受け皿としてその役割を一層果たすための環境整備として、専門学校におけるe-ラーニングの積極的活用をはじめとした、社会人の学び直し講座の開設を促進するための取組を進めることが必要。あわせて、職業実践専門課程等を含めた、専門学校における社会人の学び直しを促進する方策を進めていくことが必要。
・専門学校教育の質保証・向上の方策
小規模な学校が多数を占める専門学校において、学校単独での教職員研修の実施は困難な場合が多く、教職員の資質能力向上のための研修を各地で実施するための体制づくりや、指導力向上に向けた取組が必要。また、専門学校の社会的評価を一層高めていくための効果的な情報集約・情報発信等の在り方を進めていくことが必要。さらに、職業実践専門課程を通じた専門学校教育の質保証・向上を進めていくことが必要。

(2)各高等教育機関における職業教育の強化と「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関」


○ 少子化の中においても、高等教育機関への進学率が上昇し、また、第4次産業革命とも呼ばれる大きな産業構造の転換が進む中にあって、産業界からは、より高度かつ実践的・創造的な職業教育や、成長分野等で必要とされる人材養成の強化も期待されている中、高等教育機関全体としてその期待に応えていくための機能強化を図っていく必要がある。

○ 平成28年5月の中央教育審議会答申においては、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化が提言されたが、高等教育機関における職業教育について、新たな高等教育機関も含め、それぞれの機関が果たすべき基本的な役割を明確にしておくことは、これから入学する学生にとっても、卒業生を受け入れる産業界にとっても、必要不可欠なことである。

○ 職業教育にも多様な分野があり、また、専門性のレベルや卒業後に働く組織での役割の違いにより必要とされる教育の内容も異なっており、大学、短期大学、高等専門学校、専門学校が、それぞれの持つ強み、特徴を生かして役割を果たしている。
○ 例えば、医師、法曹、教員、保育士、看護師など、資格取得のための教育が学問分野として確立しているものは、各高等教育機関(大学、短期大学、高等専門学校、専門学校)で養成が行われている。6年の修業年限を要する医師や、大学院までの教育を基本とする法曹のように比較的長期の教育で養成を行うものもあれば、幼稚園教諭や保育士のように比較的短期の教育で養成を行うものもあり、各学校種の特性に応じた教育が行われている。こうした教育は、今後とも変わらず重要であり、関係業界と連携して不断のカリキュラムの改善を行うことが必要である。

○ また、伝統的な実学教育であった工学や農学をはじめ様々な分野の人材育成は、引き続き各高等教育機関で行われている。なお、技術革新を社会実装につなげ、産業構造改革を促す人材育成に重要な役割を担う、工学系学部・大学院における今後の教育の在り方等についても検討する必要がある。

○ さらに、特定の職業への就職を前提としない幅広い教養教育・専門教育は、大学、短期大学において行われている。言うまでもなく、高等教育において育成すべき知識、技能は、就職後に直ちに役に立つ知識、技能だけではない。産業構造の変化が急速に進んでいく中では、すぐに古くなってしまう知識や不要となる技術もある。変化する状況の中でも多様に応用できる根本的な学術知を教えていくことは、今後とも高等教育機関の重要な役割である。

○ 特に、経済のグローバル化が進展する中では、技術レベルの競争を勝ち抜くだけでなく、関係する世界各国の歴史、文化、習慣等を学ぶことが不可欠な前提条件となっており、職業教育において人文、社会科学が果たすべき役割の重要性を認識する必要がある。

○ 一方、先に述べたように、現在の職業教育について、産業界からは、より高度で実践的・創造的な教育や、成長分野等で必要とされる人材養成の強化を求める声もある。

○ 「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関」は、こうした声も踏まえ、ある分野の専門業務をけん引し、又は新規分野を開拓する人材を育成するため、産業界と密接に連携して高度かつ実践的・創造的な教育を行おうとする場合に最も適した教育機関として創設が検討されているものであり、従来の高等教育機関における職業教育に加えて新たな選択肢を提供しようとするものである。

○ 高度かつ実践的・創造的な職業教育を行うために必要な教育の内容・方法や教員の資格など様々な基準を制度として定め、それを実践する先進事例が示されることは、既存の高等教育機関が自らの職業教育を改善していく上でも参考となるものである。なお、「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関」の基準を定める際は、質保証と国際的な通用性の担保を図るとともに、新たな人材育成が必要な成長分野が変化していくことを前提に、適切な制度設計を検討することに留意すべきである。

○ 今後、高等教育を担う各機関が適切に役割分担し、また相互に連携しながら、それぞれの職業教育を発展させていくことが期待される。

5.今後の高等教育改革全体の課題として中期的視点、長期的視点からより詳細に検討すべき論点

○ 今後の社会の持続的発展のためには、新たな知を創造し、人材を育てる高等教育機関の役割が一層重要となることは論をまたない。各高等教育機関は、自らの使命を深く自覚し、未来を見据え、人類の幸福や社会の発展の実現のために求められる教育研究をそれぞれの立場から主体的に推進していく必要がある。

○ 各高等教育機関の役割・機能の一層の強化を含めた高等教育全体の改革に向け、以下のような論点について、より長期的な視点から詳細な検討を行うとともに、各機関の主体的な取組を促していくことが必要である。

(1)将来像答申(平成17年)以降の施策の検証

(大学等の機能別分化)
○ 平成17年の将来像答申においては、進学率の上昇により学生の多様化が進む中、各高等教育機関は個性・特色を一層明確にする、特に大学については、各種の機能の比重の置き方を明確化することにより、機能別分化をしていくという方向性が示され、基本的にはその方向性に沿って施策が行われてきた。その結果、機能別分化は適切に進んできたのかを検証するとともに、今後、どのように進めていくべきなのか、検討する必要がある。その際、学士課程と専門学校など主に同一年齢層を対象にした、いわば横の機関間の機能別分化だけでなく縦(学士課程と大学院など)の機能別分化に関する視点も必要である。

(高等教育の質の保証)
○ 高等教育の質の保証については、本来は各機関が自発的に取り組み、責任を果たすべきものであることを前提としつつ、事前評価としての行政による設置認可と事後評価としての評価機関による第三者評価を言わば両輪と位置づけ、質の保証を行ってきた。事前評価と事後評価の役割分担の在り方を含めて、質の保証の仕組みが、十分に機能しているのか検証するとともに、情報公開の一層の徹底を含め、今後必要な方策について総合的に検討する必要がある。


(2)中期的視点、長期的視点からの論点

   1)変化への対応や価値の創造等を実現するための学生の学びの質の向上

(学生本位の視点に立った教育の実現に向けた検討)
○ 新たな価値の創造を目指し、また、経済社会の変化に対応して教育内容を改善していくためには、分野を超えた「知の統合」が重要となっている。しかしながら、現状では、いったん設置認可されると組織の在り方が硬直化し、必要な教育課程の見直しも行われにくくなることなどが指摘されている。今後、学生の学修の視点に立って柔軟に教育プログラムを設計し、教育の質の向上を図ることができるよう、必要な改善に取り組む必要がある。

○ このことについては、平成24年の「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」(答申)において、「学生の能力をどう伸ばすかという学生本位の視点に立った学士課程教育へと質的な転換を図るためには、教員中心の授業科目の編成から学位プログラム中心の授業科目の編成への転換が必要」との提言がなされるなど、これまでも重ねて指摘されてきたが、現行制度は、「学位プログラム」の実施に着目した大学制度となっておらず、関係者の間でも十分な理解が進んでいるとは言えない。

○ 平成28年には「卒業認定・学位授与の方針」(ディプロマ・ポリシー)、「教育課程編成・実施の方針」(カリキュラム・ポリシー)及び「入学者受入れの方針」(アドミッション・ポリシー)の三つの方針の体系化のための省令改正が行われた。また、認証評価の在り方についても、平成30年度からは三つの方針に基づく大学教育等の改善のための内部質保証システムの評価が重視されることとなっている。

○ 今後、大学教育の質的転換の実質化や、真に学生本位の視点に立った教育の実現に向け、「学位プログラムを中心とした大学制度」への転換を含めた教育課程の改善方策や教育の質的転換を実質化するためのST比などの教育環境の水準の改善方策、PBLによる課題解決型教育などの教育内容の改善について、ⅱ)で述べる設置認可や認証評価の在り方などを含めて総合的に検討していく必要がある。

○ また、これらの検討の際には、高等教育局長からの要請に基づき、日本学術会議においてすでに25分野における分野別の教育課程編成上の参照基準が策定され、各大学の参考に供せられているが、それらの活用等についても留意する必要がある。

○ なお、大学ポートレートなど、大学をめざす高校生や保護者に対する大学情報の公開は、大学が社会に対する説明責任を果たすためにも重要であり、また教育環境の水準の改善にもつながるものであるため、これらの検討の際にはあわせてその推進方策を検討するべきである。

(国際的な学位等の通用性の確保)
○ これからのグローバル社会において、学士や短期大学士等の学位、専門士などの称号に関して、国際通用性を確保していくことは、留学生受入れ等の観点からも、また卒業後のグローバルな活躍を後押しする観点からも重要であり、そのために必要な方策等を検討することが必要である。

○ また、国際的な学位等の通用性や教育課程の改善に向けた検討を行うに当たっては、学位の名称の在り方についても併せて検討すべきである。その際、日本学術会議が策定している「学士の学位に付記する専攻分野の名称の在り方について」なども参考にすることが考えられる。

(社会人の学びへの貢献の強化)
○ 人工知能やビッグデータの活用などによる産業構造の急速な変化に対応するためには、社会人も知識・技能を不断に刷新していくことが必要になる。また、就業構造の変化により、転職する際に新たな知識・技能を身に付けることが必要な場合も少なくない。さらに子育てから職場に復帰したり、就職したりする際も知識・技能をブラッシュアップするための教育が求められる。このように、学びと仕事の関係を柔軟化し、生涯のうちに複数回高等教育機関で学ぶことが多くの社会人にとってより重要になってくると考えられる。

○ しかし、現在の我が国においては、社会人が学び直す環境等が十分とは言い難く、特に地方ではそれが顕著な状況にある。産業界や関係省庁等とも連携しつつ、社会人の学び直しを進めていくことが必要であり、社会に出た者が何度でも高等教育機関で学ぶことでその都度必要な専門性を身に付けることのできるシステムを構築する必要がある。

○ 今後、産業界と連携した教育カリキュラムの編成・実施や働きながら学べる機会の確保など、社会人の学びの促進を図ることが重要であり、そのための具体的方策として、例えば、職業実践力育成プログラムや履修証明制度、経済的な支援などについても検討していくことが必要である。

(教員・学生の流動性の向上)
○ 経済社会が急速に変化する中にあって、またそれに対応した教育を提供するためには、高等教育機関で教育を行う教員にも多様性や流動性が求められる。学生が必要に応じて多様な高等教育機関の多様な科目を受講したり、機関間の移動を円滑に行ったりするなどの流動性についても向上が必要と考えられる。

○ 一方、我が国では教員の流動性や多様性は十分と言えず、特に企業等の高等教育機関以外との人事交流などは諸外国と比べて低い状況にある。

○ また、我が国では学生が所属する高等教育機関以外での学修や高等教育機関間の転学は多くはなく、また都市に立地している大学と地方に立地している大学の学生同士の交流なども一部を除いてほとんど行われていないなど、学生の流動性は低い状況にある。

○ 今後、各学校種間の接続改善の在り方を検討するとともに、学生・教員の流動性を高めるための方策について検討する必要がある。

(教育の質向上と効果的な運営のための高等教育機関間の連携強化)
○ 各高等教育機関の資源を有効に活用し、効果的・効率的に教育の質を高めていくためには、各機関が有している資源を共有しながら教育研究を行う方法についても検討を進める必要がある。特に、地方における高等教育機会の確保のためには、例えば、e-ラーニング等を活用したり、地域でコンソーシアムを形成したりするなど、中小規模の機関等が他大学等と連携しながら、より円滑に教育課程を編成できるようにすることなども求められている。

○ 各地域で大学コンソーシアムの設置が進むなど、以前に比べると大学等間の連携は進展していると考えられる一方、教育課程等に関する踏み込んだ連携等はあまり行われていないのが現状である。また、大学コンソーシアム等の取組が大学のみに閉じており、他の学校種は参画していないケースもある。

○ 今後、高等教育機関間の適切な連携を阻害している要因等の存在の有無等を検証するとともに、阻害要因があればそれを除去し、連携を改善する方策について検討を進めるべきである。

2)学生の学びの質を向上させるための基盤整備

(我が国における高等教育全体の規模、地域における高等教育機会の確保等の在り方等)
○ 高等学校を卒業する18 歳人口の減少は大きく、2005 年に137 万人であったのが、2015 年には120 万人まで減少しており、さらに2030 年には101 万人、2040 年には80 万人となるという推計が出ている。一方で、学士課程への進学率はOECD諸国の平均59%と比べて我が国は49%と低く、また学士課程における留学生が占める割合は、OECD平均の4.9%に比べて、我が国は2.5%にとどまり、また社会人学生も多くないなど、高等教育の規模を考える上で、検討しなければならない事項は多く存在している。
今後の高等教育を考える上では、これらの要素を検討しながら、高等教育の規模を捉えることが不可欠である。

○ また、検討の際には、分野別の人材需要の状況や、国公私の役割分担、地域における高等教育機会をどのように確保していくかということは大きな論点となると考えられる。特に、地域における高等教育機会の確保を考える上では、各地域の状況も含めて高等教育の規模の推計等を行う必要がある。高等教育機会の確保については、地域間、男女間、所得階層間の格差が複合的に発生しているため、これらを総合的に検討する必要がある。

○ 人口減少社会の中で、地域における高等教育機会の確保や教育機能の維持・向上を図っていくためには、高等教育機関間の連携の強化はもとより、各高等教育機関の強みをより生かしていく体制を地方自治体や産業界の協力も得て整備していくことが必要であり、そのための方策等についても検討が必要である。

○ なお、まち・ひと・しごと創生総合戦略(2016改訂版)においては、「地方を担う多様な人材を育成・確保し、東京一極集中の是正に資するよう、地方大学の振興、地方における雇用創出と若者の就業支援、東京における大学の新増設の抑制や地方移転の促進等についての緊急かつ抜本的な対策を、教育政策の観点も含め総合的に検討」することとされた。このことを踏まえ、中央教育審議会においても、教育政策の面からこれらに関する検討を行う必要があると考えられる。

(設置認可の在り方等に関する検討)
○ 「学位プログラムを中心とした大学制度」への転換を含む学生本位の視点に立った教育の実現に向けた検討や、高等教育全体の規模、地域における高等教育機会の確保等の在り方の検討などを踏まえ、設置基準などの設置認可の在り方や認証評価の在り方、更には各機関の機能を強化するための機関の連携・統合の在り方についても検討を進めていくことが必要である。

(高等教育機関のガバナンスの強化)
○ 「私立大学等の振興に関する検討会議」において、学校法人のガバナンスの強化に関する取組について検討が進められており、それらの議論の状況や、「国立大学法人運営費交付金の三つの重点支援の枠組み」の導入における成果、平成26年の大学のガバナンスに関する制度改正の成果、将来像答申において示された機能別分化の状況に関する検証などを踏まえつつ、高等教育機関のガバナンス強化のための方策を検討するべきである。

3)高等教育の改革を支える支援方策

(教育研究を支える基盤的経費、競争的資金の確保、配分等)
○ 厳しい財政状況の中、国立大学の運営費交付金等や私立大学への経常費助成などの基盤的経費である運営費交付金が削減されてきたことから、人件費や研究費の減少などの問題が生じており、高等教育機関の財政的基盤の強化が課題となっている。我が国の学生の7割の教育を担う私立大学に対しても、経常的経費に占める私学助成の割合が昭和55年以降低下傾向にあり平成27年度には10%を切るなど、大学の財政的基盤の強化が課題となっている。

○ 教育研究を支える国立大学運営費交付金等、私学助成などの基盤的経費や競争的資金の在り方などに関して、寄附金などによる財源の拡大も含め、他の論点等の検討状況も踏まえながら、その充実に向けた在り方に関して検討を行うことが必要である。その際、学生への経済的支援の充実など教育費負担の在り方に関しても議論が必要である。

第8期中央教育審議会大学分科会

(委員) 13名
小原 芳明      玉川大学長
亀山 郁夫      名古屋外国語大学長
河田 悌一      日本私立学校振興・共済事業団理事長
北山 禎介      三井住友銀行取締役会長
五神  真         東京大学総長
志賀 俊之      日産自動車株式会社取締役副会長
竹宮 惠子      京都精華大学学長、漫画家
永田 恭介      筑波大学長
中根  滋         学校法人東京理科大学前理事長、UWiN株式会社代表取締役兼CEO
坂東 眞理子  学校法人昭和女子大学理事長
日比谷 潤子  国際基督教大学学長
牧野 正幸   株式会社ワークスアプリケーションズ代表取締役最高経営責任者
山田 啓二   京都府知事

(臨時委員) 25名
麻生 隆史    学校法人第二麻生学園理事長、山口短期大学学長
安部 恵美子   長崎短期大学長
天野 玲子     国立研究開発法人防災科学技術研究所審議役
有信 睦弘  国立研究開発法人理化学研究所理事
石田 朋靖  宇都宮大学長
井上 正仁  早稲田大学大学院法務研究科教授
大島 まり   東京大学大学院情報学環・生産技術研究所教授
岡本 信明  学校法人トキワ松学園理事長
片峰   茂   長崎大学長
勝   悦子   明治大学政治経済学部教授・前副学長、株式会社商船三井取締役
金子 元久  筑波大学特命教授
黒田 壽二  金沢工業大学学園長・総長
小畑 秀文  学校法人嘉悦学園理事、かえつ有明中・高等学校長
小林 雅之  東京大学大学総合教育研究センター教授
佐藤 東洋士   学校法人桜美林学園理事長・桜美林大学総長
佐野 慶子  公認会計士
島田 尚信  UAゼンセン会長代行
鈴木 典比古   国際教養大学学長
清家   篤   慶応義塾長
橘 フクシマ 咲江  G&S Global Advisors Inc. 代表取締役社長
千葉   茂   日本工学院専門学校校長
福田 益和  大阪工業技術専門学校理事長
前野 一夫  木更津工業高等専門学校校長
松本   紘   国立研究開発法人理化学研究所理事長
美馬 のゆり  公立はこだて未来大学システム情報科学部教授

計 38名

第8期中央教育審議会大学分科会

今後の各高等教育機関の役割・機能の強化に関する作業チーム

(委員) 1名
日比谷 潤子  国際基督教大学学長

(臨時委員) 12名
麻生 隆史  学校法人第二麻生学園理事長、山口短期大学学長
安部 恵美子   長崎短期大学長
有信 睦弘  国立研究開発法人理化学研究所理事
石田 朋靖  宇都宮大学長
金子 元久  筑波大学特命教授
黒田 壽二  金沢工業大学学園長・総長
小林 雅之  東京大学大学総合教育研究センター教授
佐藤 東洋士   学校法人桜美林学園理事長・桜美林大学総長
(主査)鈴木 典比古  国際教養大学学長
千葉   茂   日本工学院専門学校校長
福田 益和  大阪工業技術専門学校理事長
前野 一夫  木更津工業高等専門学校校長

計 13名

お問合せ先

文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課

(文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課)