【資料2-2】 第2回(6月13日)検討会議における主な意見


資料2-2


1. 専修学校教育の人材養成機能の向上について(人材養成)


【論点1】 産学連携による職業教育の振興策

(業種・職種単位の全国的な産学等連携組織の必要性)
○ 地方の専門学校の場合、地方の企業や業界団体との交流だけでなく、教員が同分野の学校や全国レベルの大手企業や団体、行政機関等と関係を保持していくことは、カリキュラムの開発や陳腐化防止のために重要。業種・職種単位で〈実務卓越性〉の追求を主題とする全国的な組織の形成を図ることができれば、単なる資格主義や経験主義に陥ることなく、専修学校のカリキュラム開発やカリキュラム改善に大きな進展を期待できる。

(デュアルシステム)
○ デュアルシステムの定着には、企業・学校・学生のメリットや役割の明確化が必要。企業には、良質な労働力や人材の確保が、学生には実学を学ぶことで理論の理解が進むことが、学校には企業と連携することで新しい実学やアクティブ・ラーニングを含めた教育効果の高い教育手法の開発が、それぞれメリットとしてある。またそれらを評価するシステムの構築や、単位として認定する制度なども考えられる。また、これらの成果を業界として認定し、認定を受けることで報酬や評価に結び付くことが重要。

【論点2】 専修学校における社会人の学び直し振興策

(社会人の学び直しにおける専修学校の役割と支援策)
○ 社会人の学び直しにおいて、専修学校の果たす役割は大学等と比較しても大きく、専修学校をターゲットとした推進策を講ずるべき。特に、附帯事業は様々なニーズの受け皿になり得る。モジュール型やe-ラーニングなど、新しいことを進めるための支援策だけでなく、コミュニティの構築を促進するなど、具体的な施策を結びつけて推進すべき。
○ 実務経験の量・質もキャリアプランも多様な社会人の学び直しに対して、専修学校の短期型教育プログラムを現在以上に活用しようとする場合、講座体系の開発・運用に関して従来の「短期型」にはない大胆な取組が必要。そのような工夫を行う専修学校について、社会人の学び直しを推進する国の立場から何らかの補助等が可能となれば、そのような取組は大きく進展していくのではないか。

(全体を包含する講座体系等の必要性)
○ 短期型教育プログラムは、時間的制約から講座内容が限定的になるほか、受講する社会人は、想定以上に実務経験の質・量、専門知識の習得度に個人差がある。この両方の問題を解決する手段として、レベル別・領域別に分割された講座群から構成され、一職業分野の全体を包含する講座体系を用意することが考えられる。受講者が、自身の実務経験・専門知識のレベルに合わせて、どの領域のどのレベルの講座からでも受講することができ、かつ、自由に移行できるような講座体系が必要。
○ 社会人の学び直しに関する給付金制度が数多くあり、それがかえって周知や理解を遅らせる原因となっている。学び直し講座の実施に当たり、関連する給付金制度を周知することで制度の利用率が上がる。

(e-ラーニング)
○ 夜間学科やe-ラーニング講座を開設する際の受講環境を整備するためには、教員の確保や受講管理システムの導入が必要であり、それらへの補助があれば、学び直しの取組は大きく進展するのではないか。
○ e-ラーニングについて、厚生労働省認可の学科は文科省ではなく厚労省基準で審査されることから、e-ラーニングは一切認められておらず、社会人の学び直しの拡大について、大きな壁となっている。
○ 社会人の学び直しには、e-ラーニングをどう進化させるかが重要。在職者だけでなく、無業者、専業主婦、退職者などの学び直しへの対応も考える必要がある。

(企業による学び直し支援)
○ 日本で社会人のリカレント教育が進まないのは、職業や仕事との関係や、ワーク・ライフ・バランスの確保などの課題がある。企業が個人の学習を支援する方向をもっと打ち出すことが必要であり、国からの呼びかけや支援も必要。
○ 年齢上の制約が強い職種について、学び直した社会人を雇用する企業等を支援するキャリアチェンジの助成金制度があれば、企業の雇用意欲が増加し、転職や再就職を目的とする学び直しが拡大するのではないか。

【論点3】 留学生施策の振興策

(グローバル化対応)
○ 日本の職業教育に国際通用性を持たせることは重要な課題。海外の職業教育機関や専修学校で学んだことが、共通の資格枠組みの中で位置付けられ、国際的に担保されることは重要であり、今後の検討課題。
2. 専修学校教育の質保証・向上(質保証・向上)
【論点4】 専修学校や職業実践専門課程の効果的な周知方策

(専門学校及び高等専修学校の特色・役割)
○ 高校生にとっての専門学校の強みは、自分の好きなことに特化した学びができること、仕事と直結した知識・技能が身に付くことが魅力となっている。一方、課題としては、高校教員は、中退率等の情報提供やAO入試の実施時期への不安などが挙げられており、保護者からは、経済的な情報の不足、学校種の違いの明確化などが求められている。
○ 高等専修学校の現状として、①国家資格の取得を目指す学校、②ファッション系やタレント養成系など夢を追いかける生徒のための学校、③職業教育を貫く従来型の学校、④不登校や発達障害の生徒を積極的に受け入れている学校、の四つに分類できる。
○ これまで「高校等」と記されていた高等専修学校が、教育再生実行会議の第9次提言や発達障害者支援法の標記の中に、「高等学校・高等専修学校」と明示的に盛り込まれることとなった。人材育成機能の強化というところで後押しとなることである。
○ 専修学校と各種学校の違いなどは社会に認識されていないと思われる。その辺りからも考えていく必要がある。

(高専等連携による具体的な取組の推進)
○ 教育委員会の進路指導担当部会と専門学校関係者が直接対話できる場が各地域で設けられることで、相互理解が進む。
○ 進路先として認識されるためには、パンフレットを送るだけでなく、専門学校と高校が連携して事業を実施し、専門学校への理解を深めることが重要。
○ 専門学校と高校が連携して、リアルな職業体験が実践できる機会が重要と考える。
○ 高等専修学校においても、職業教育推進のため出前授業などを行っているが、すべて手弁当であり、支援が必要。そのことで、さらに連携の強化が期待される。
○ 修学旅行の際に専修学校を訪問し、キャリア教育や総合学習を行う中学校が数多くあり、職業教育に一定の役割を果たしている。
○ 周知活動については、高校生や保護者、教員などターゲットを明確に意識して戦略を考える必要がある。学生募集パンフレットだけでは個々の専修学校の良さが伝わらないため、専修学校に高校生を受け入れたり、出前授業を行ったり、実態がよくわかる機会を設けることが重要。

(教員研修等)
○ 教育委員会が主催する専門学校への進路指導に関する研究協議会が設けられない地域が多い中、新任教員が全員受講する研修等において、専門学校への理解を深めてもらうことは重要。
○ 教職課程の中で、専修学校設置基準について学習することが必要。さらに、現職教員、新任教員等を対象とした研修を実施し、必修化してほしい。高等専修学校と専門高校や高等専門学校の違いなどを理解することで、進路指導にも役立つ。
○ 専修学校への進路指導の課題として、教員の経験値不足がある。研修機会の不足もあるが、教育委員会で教員向けの研修会を開催しても、出席教員数が増えていかない。

(専門学校からの発信のあり方)
○ 専門学校による高校訪問も大きなウェートを占める。(高校側としては、)専門学校でどのような教育を行っているか、卒業生がどのように育てられているかといった情報を得る機会としている。
○ 広報形態が、全体広報や学校単位だけでなく、(SNSのように)一対一のものが増えていることも考慮すべき。大学には国レベルで入学者選抜要項があるが、専修学校は都道府県単位であり、全体がわかりにくい。大学が高校訪問する時代になり、高校教員も時間が無い中で専門学校の高校訪問がうまくいかないということもある。
○ 高校教員は、自分の学校の卒業生を送り出した学校のことを気にするため、専門学校は教育内容や指導などを教員に響くように伝えるべき。
○ 専修学校が主催するイベントもあるが、他の学校種の主催するイベントに出て行って、比較優位を明らかにすることで、良さが伝わることもある。マスコミ向けに好事例を整理して公表することも大切。
○ 大学、短大、専門学校などが一堂に会する場を設定しても、参加したくない学校種も出てくる。大学ポートレートの取組も必ずしも機能しているとはいえない。そのような中で、どのようにして専修学校全体の価値を見せていくのかということと、個別の学校の価値を社会とどのようにつなげていくのか、ということを整理して考える必要がある。

(行政による情報発信)
○ 経験値が少ない中で、生徒はもちろん教員にとっても、将来の職業をイメージするのは難しい。国や教育委員会、専各団体が牽引役となって情報をまとめ、地域ごとに推薦制度や奨学金制度なども参照できる手引書のようなものを作成できれば、有用。併せて、職業教育や進路指導全体の中で生かされる授業案や実施マニュアルなどが必要。教育委員会が指針を提示し、進め方の方向性を提示することも重要である。
○ 大前提として、専修学校教育の良さを、経験的ではなく実証分析的に調査し、社会・経済的に貢献している姿や、卒業生の活躍などを具体的に示していく必要がある。その成果を行政がわかりやすく社会に示していくことが必要。

(自主的なルール作りの必要性)
○ 専修学校と生徒(保護者)がSNSを介して直接つながってしまい、学校側で状況を把握できないことが多くある。生徒や保護者にキャリア教育や進路指導が十分に行き届かぬまま、指導途中の3年生の4月・5月の段階で、AO入試の早期割引に気持ちが傾き、進路が決まってしまう状況が見受けられる。
○ SNSについては高校から専門学校や団体にクレームが寄せられることがある。高校と専門学校の間で話し合いの場があり、ガイドラインの作成などができれば、統一的な見解を持つことも可能と考える。

(地方創生と行政・専修学校の関わり)
○ 地方創生の観点から、様々な分野で、専修学校が積極的に地方行政の事業に協力していく姿勢を見せることで、行政に対するアピールができる。

(周知の前提としての質保証)
○ 周知活動の前提として、発信する情報が社会から信頼されなければならない。良いことばかりではなく、各学校で教育内容を十分に評価することが重要。


その他の意見

(水平的な観点からみた学校種の特色化)
○ 中教審における新たな高等教育機関の議論により、中等教育から成人教育に至る垂直的な展開には見通しが付いたところ。今後は、中等教育段階や高等教育段階における水平的な展開についても検討課題となるであろう。例えば、専門高校の普通教育化が進む一方で、高等専修学校の教育をかつての高等学校の専門教育プラスアルファとして位置付ける道筋をつけられないか。

(各課程の別を踏まえた整理)
○ 専修学校の議論をする際には、パイの大きい専門課程の話が中心となるが、将来的には各課程を分離して整理する必要がある。

(経済的に修学困難な専門学校生に対する支援の必要性)
○ 経済的状況から、専門学校への進学が決まった後に就職に転じる生徒も多くいる。専門学校へ進学し、知識・技術を身につけ、自分の力で生きる社会人になろうとする希望がある中で、進学を断念することの無いよう、支援が必要。

以上

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文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課

(文部科学省総合教育政策局生涯学習推進課)