これからの専修学校教育の振興のあり方検討会議(第3回) 議事録

1.日時

平成28年6月27日(月曜日)15時30分~17時30分

2.場所

経済産業省別館3階312各省庁共用会議室

3.議題

  1. 専修学校教育の振興策に関する主な論点項目(例)について
  2. その他

4.出席者

委員

浦部ひとみ 東京都立青井高等学校主幹教諭、東京都高等学校進路指導協議会事務局長
大井川智明 日本商工会議所企画調査部担当部長
小方 直幸 東京大学大学院教育学研究科教授
河原 成紀 学校法人河原学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会常任理事
黒田 壽二 金沢工業大学学園長・総長、日本高等教育評価機構理事長
小杉 礼子 独立行政法人労働政策研究・研修機構特任フェロー
小林 浩  リクルート進学総研所長、リクルート「カレッジマネジメント」編集長
小林 光俊 学校法人敬心学園理事長、日本児童教育専門学校校長、全国専修学校各種学校総連合会会長
今野 雅裕 政策研究大学院大学教授
清水 信一 武蔵野東高等専修学校校長、全国高等専修学校協会会長、全国専修学校各種学校総連合会常任理事
寺田 盛紀 岡山理科大学教授、名古屋大学名誉教授
前鼻 英蔵 学校法人西野学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会理事・全国専門学校青年懇話会会長
吉本 馨  大阪府教育庁私学課長 

文部科学省

有松 育子 生涯学習政策局長
岩本 健吾 生涯学習総括官
里見 朋香 生涯学習政策局 政策課長
岸本 哲哉 生涯学習推進課長
白鳥 綱重 専修学校教育振興室長
星川 正樹 専修学校教育振興室室長補佐 
牧野 浩司 専修学校教育振興室専門官

5.議事録

【黒田座長】  それでは、時間でありますので、ただいまから、これからの専修学校教育の振興のあり方検討会議(第3回)を開催いたします。皆様には、御多用中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日も、報道関係者より写真撮影と録音の申出がありますので、委員の皆様におかれましては御承知の上、発言を頂きたいと思います。
初めに、本日の配付資料について、事務局より説明をお願いいたします。

【白鳥専修学校教育振興室長】  議事次第に続きまして、資料1は主な論点項目、資料2-1は第1回の会議における主な意見、資料2-2は第2回の会議における主な意見でございます。資料3は小杉委員御提出資料、資料4は前鼻委員御提出の資料でございます。最後に、資料5は今後の予定、参考資料といたしまして個別論点に関する資料を配付させていただいております。
以上でございます。

【黒田座長】  それでは、早速、議事の方に入りたいと思います。
まず、前回、御議論を頂いておりました中で、社会人の学び直しの振興策に関する資料を小杉委員から御提出を頂いておりますので、御見解を含めて10分程度、御説明を頂きたいと思います。その後、前回のおさらいをする意味で、意見交換をしたいと思っております。
それでは、小杉委員、よろしくお願いします。

【小杉委員】  お時間いただきまして、ありがとうございます。前回、ちょっと間に合わなかったので、積み残しということでお願いいたします。
私がきょう用意しましたのは、学校の視点からではなくて、労働者、あるいは企業の視点から見た調査の中で、専修学校がどのような位置付けにあるかという外から見た視点も必要ではないかということで、少し用意させていただきました。ほとんどが政府統計と私どもでやった調査ですが、サンプルの代表性についてはかなりあるものだと思っております。
まず、資料3の最初のページですけれども、これは厚生労働省が毎年やっています能力開発基本調査という、常用労働者の規模で30人以上と比較的小さいところは外していますが、そういった企業、及びその企業に所属する労働者に対する調査です。
これは労働者調査のところを持ってきていますけれども、まずどのぐらいの人が自己啓発をしているか。自己啓発というのは、ここでは職業に関する能力を自発的に開発し、向上させる、そういう活動のことを言っています。ある意味では、この中に学び直しというものが含まれると思います。
実施率は、正社員42.7%、非正規16.1%です。これまでこの分野の調査、いろいろあるんですけれども、どの調査でも非正規は正社員の3分の1ぐらいと言えます。
自己啓発の障壁は何か。これもいろいろな調査でやっていますが、まずどこでも必ず出てくるのは時間とお金です。ここでもそうですね。時間の方は、一般には仕事が忙しくてなんですけれども、女性については家事、育児が忙しくてという条件も入ってきます。お金は、もちろん費用の問題です。
3番目に上がってくるのは、これもいろいろな調査で上がってくるんですけれども、何を学んだらいいか分からないということです。ここでは、どのようなコースが自分の目指すキャリアにふさわしいか分からないとか、自分の目指すキャリアが分からないとか、学ぶ方向性が分からないから学べないのだと、そういう指摘です。これは年齢別を見てみますと明らかに若年層です。若い人が最も、学びたいんだけれども、何を学んだらいいか分からないということを言っています。
次のページに行っていただきまして、上の表です。自己啓発をしている人が過去1年間、どのようにしたかを調べています。圧倒的に多いのは、やはり一番お金の掛からないラジオ、テレビ、あるいはインターネットなどでの学びで、半分ぐらいの人がこれをやったとしています。ここでは専修学校だけでは取れなくて、専修学校・各種学校という一くくりなんですけれども、そこで学んだという人は正社員で2.4%、非正規で4.8%と、かなり少ないことは少ないんですが、隣の大学等に比べると倍以上ということで、体系的な学びの場としてはかなり影響力があるのではないかと思います。
そういうところで学んでいる労働者の特徴は何か。勤めている先の企業規模と本人の年齢が分かるんですけれども、正社員の方が圧倒的に能力開発していますので、そちらに注目しますと、やはり30人から49人という比較的小規模の企業に属している方で、かつ年齢が若い方が専修学校・各種学校を使った学びをする確率が高いということが言えると思います。
次は、また違う調査ですけれども、若い人たちだけに特化した、34歳以下の労働者を対象にしたものです。2ページの下、黒ポツで文章にしてありますが、そこだけちょっと確認させていただきますと、34歳以下の若年労働者の8割以上が能力開発をしなければならないと思っている。その思いと企業の行動との相関を取ってみますと、明らかに相関があるのは、能力開発の必要性を認識している人というのは、OJTというのは企業主導のオン・ザ・ジョブ・トレーニングで、OFF-JTは企業主導の職場を離れた訓練なんですけれども、企業が方向性を示すことが、やはり本人が何を学べばいいか分かるので、自己啓発にもつながり、非常に相関がある関係です。
それから、誰が学んでいるかというと、本人のこれまでのキャリアが分かるのですが、学びたいと強く思っているのは実は生え抜きの正社員なんです。その方たちが一番学びたいと思っていることが多い。それから、非正規の中では、正社員になりたいと思っている人が一番学ぶ意欲が強い。
次のポツは、どういうように学ぶか、企業主導で学ぶのか、個人主導で学ぶのかという選択肢を示しまして、企業と個人、両方でというのも合わせまして、自己啓発で学ぼうする人が大体7割と、かなりの人が自分で努力して学びたいと思っています。
その学ぼうと思っている人のうちというのが、次のページにあります大きな表です。学びたいと思っている人のうち、どういう機関を使って学びたいか。その表の一番下の合計欄を見ていただきたいんですが、全体として、通信教育とか、その他は多分、自学・自習だと思うんですが、こういうものが多いんですけれども、各種学校・専修学校を使いたいという人も15.8%いる。比較的多くの人が各種学校や専修学校を使って勉強したいと思っています。
その中で、本人のキャリアはどうなのかというと、合計の上の欄を見ていただくと、正社員転職希望ありとありますが、正社員で転職希望がある人という意味です。男女とも正社員の場合、転職希望のある人が今、各種学校・専修学校で学びたいと思っている。非正社員では、正社員になりたい人が使いたいと思っている。これは多分、基本的に資格職業を念頭に置いているんだと思います。キャリアを変えたいとか、ほかの企業で新たなキャリアを開きたいという人が、資格をキーに、特に女性で非正規から正規になりたい人が強く専修学校を使いたいというのは、多分、医療、福祉系などの資格がかなり意識されているんだと思います。こういう状況あるということです。
次にお示ししますのは企業の態度です。これは私どもがやった調査で、比較的大きい100人以上規模の企業を調査しています。専修学校・各種学校における学びについて、企業はどういう認識を持っているのか。
次のページを開いていただきまして、ちょっとコピペなのでいろいろな番号が付いて申し訳ありませんが、図表6-1を御覧いただきますと、一番上、業務命令で受講させている。それから、業務命令の受講はしていないけれども、会社として支援している。企業の方が前向きに支援しているということです。これは各種学校・専修学校だけではなくて、大学、大学院を全部含めなんですけれども、そういう学校体系の中で、現在の従業員にどれだけ学びを推奨しているかということですけれども、合計すると22.7%の企業は、企業外での体系的な学びに対して好意的な視点を持っているということが分かります。
その下の図表6-4ですけれども、では一体どんな支援をしているのか。やはり多いのは、ここでは学校別に分かれていますが、専修学校・各種学校での受講を支援している企業が230社ありました。そこで、授業料の一部又は全部の会社負担、お金の面での負担、それから右側にあります、授業があるときはフレキシブルな勤務体系にするというお金と時間、ここに対する支援をしているということが分かります。もう一つ、フレキシブルの隣、通学が不利にならないような取り扱いをしているという、実はそうしなければ不利になるかもしれないということが含まれているわけですけれども、支援をしているところは前向きであるということが分かります。
次のページ、どんなコースかということが表の上にありますが、ここは時間の都合で飛ばします。
下の図表6-7は、支援している企業さんが受講後、人事管理上どんな取扱いをするか。32%は異動や配転で考慮する、学んだことを評価しているということです。あるいは、昇進に当たって配慮する。その結果、成果をそこそこ評価しているということが見えます。
次のページは、棒グラフが分けてあります。薄い方は、前向きに評価して、外での学びを支援している企業さんの特徴です。何を評価しているのかというと、専門性を高めたことに対して一番評価が高いんですが、併せてその下、幅広い知識を習得する。単にその企業の専門性だけを高めてくるというよりは、もう少し幅広く、結局、体系的な学びというのはそうですよね。スポットでそこだけ、その機械だけ動かせるようになれという話ではなくて、その背景にあるものも全部分かるようになると、そういうところを評価しています。
そして、下の真ん中辺りにある、ちょっと棒が長くなっているのはモチベーション、やる気を高めることです。やはり外に出て学んできたということがモチベーションにつながっている、こういう評価があるということです。
私のまとめですが、下の方に1ブロック書きました。現在のところ、専修学校・各種学校での学びの中心は、やはり資格取得によって転職とか、正社員就職を目指す、そういうキャリアチェンジをしようとする人たちに対しての教育というのは比較的多く行われていますけれども、今後、考える方向は、やはり最も学びたいという人が多い正社員定着層ですね。こういう人たちを対象にする必要があるのではないかということです。最初のところでお話ししましたけれども、今、企業の中で必要とする能力というのは、より体系的なもの、より専門性の高いものが求められて、そして、それがどんどん変化している。そういう事態はこれからも進むと思います。やはり企業側もだんだん認識が変わってきて、企業外での学びに対する考え方、私、この調査を見て、22%の企業が前向きに評価しているというのは、今までの企業観からしてみれば、企業側はかなり変化してきたなという認識を持ちました。そういう状況が起こっている。
これに対応するような学びを提供していくということがやはり大事なのではないか。そのためには、私はやはり職業実践専門課程における産業界との連携という、その一歩先まで進んでいって、産業界にこれから入る人たちに何を学んでほしいかではなくて、今いる人たちに必要な能力開発というのは、実は専門学校が提供できる、こういうことなら可能であるという、交流の中で新しいプログラムを作っていくことが必要なのではないかと思います。
高等教育の新しい体系というのがもう一方でできるんですけれども、そちらの方は完全に学位を出す機関なので、国際通用性のある学位としていくので、実はそんなにフレキシブルにできるはずがないんです。そことはまた違う路線を、残る専門学校はそちらの方を目指すことが必要なのではないか。フレキシブルさを生かしていくような仕組みを作っていく、ここが大事なポイントではないかと思います。
後に挙げた参考というのは、そのフレキシブルさがまだ足らないのではないかと一言言いたいという資料です。ちょっとだけ時間を頂きますと、言いたいことは何かというと、厚生労働省側の仕組みである離職者訓練を、附帯教育としてやっていらっしゃる専門学校さん、いらっしゃると思いますが、それ以外の様々な機関が離職者訓練をやっています。
この調査そのものは、訓練のPDCAが回っているかを調べたものです。訓練需要をきちんとキャッチして、それを提供して、それに対するチェックを掛けて、その内容を更にまたより適切なものに変えていくという訓練のPDCAなんですけれども、それがどれだけ回っているかを調査したものです。
離職者訓練をやっているほかの機関との比較の中で、専門学校・専修学校はそこそこ回ってはいるんですが、ある意味で新参者の株式会社に比べると、これまで実績がある分、需要をよりキャッチしようとか、講師等を含めて評価を厳しくしていこうというところが、ちょっと弱いかなという思いがあります。フレキシブルに現実に対応していくためには、その辺のところをもっと強化する必要があるのではないかということです。
以上です。

【黒田座長】  どうもありがとうございました。
それでは、皆さんからの御意見を伺いたいと思いますが、今、小杉委員からの発表のとおり、社会人の学び直しと専修学校との間でのミスマッチというのも多少あるような気がします。それから、前回、論点3で留学生の問題について余り御意見が出ませんでしたので、留学生施策についても併せて御意見を伺いたいと思いますが、どなたからでも結構です。まず、小杉委員の今の発表について、御質問、御意見ございましたら、お願いします。

【寺田委員】  じゃあ、一つ。

【黒田座長】  寺田委員、どうぞ。

【寺田委員】  単純なことですけれども、3ページの上の表、自己啓発を行いたい労働者の希望する自己啓発方法で、その他というのが圧倒的に多いんですが、多分、これ、記述式にされているんでしょうね。その主な内容、どういう方法を希望されているのかをちょっと知りたいと思います。

【小杉委員】  これは厚生労働省がやっている調査の2次集計で、厚生労働省がやっている調査はその他に自由記述はないです。恐らく考えられるのは、この中に自学・自習が入っていないので、一般に自学・自習が最も多いので、その部分がその他だろうと。要するに、お金の掛からないインターネットや、ラジオでの勉強ということだろうと思います。

【黒田座長】  よろしいですか。

【寺田委員】  まあ……。

【小林(光)委員】  じゃあ、いいですか。

【黒田座長】  小林委員、どうぞ。

【小林(光)委員】  大変すばらしい発表を頂きました。ありがとうございます。
資料の見方のところで、確認をさせていただきたいんですが、今の3ページ、民間の各種学校・専修学校は15.8%、大学、大学院が6.2%、通信教育は30.8%となっています。そして、先ほど御質問のあった、その他が全体で37.5%となっております。実は私どもの専門学校グループで一般的には正規の学科という位置付けではなくて、附帯教育という位置付けで通信教育の学生をかなりの人数、教育しておりますが、こういったものは、通信教育に入るんでしょうか、どこへ位置付けられているのでしょうか。

【小杉委員】  附帯教育で通信教育をやられているところは、全部これに入っています。

【小林(光)委員】  ここへ入っていますよね。

【小杉委員】  ええ。そういう意味では、ここにもう含まれているので、もっと多いということになると思います。これはあくまでも個人側から見てどんなところでということで、各種学校・専修学校は通学というイメージで丸を付けていると思います。

【小林(光)委員】  分かりました。私どもの学校のグループですが、通信教育で受講している学生は3分の1ぐらいの人数、ほとんどが学び直しの学生で、それも大卒生ばかりです。ですから、ここへ入ってきているのだろうと思います。それを含めますと、やはり専修学校で学び直しをしている社会人及び大卒生というのは随分多い。特に、大都市などは大変多いということが言えるかと思います。ありがとうございます。

【黒田座長】  ほか、ございますか。河原委員、どうぞ。

【河原委員】  小杉先生、いろいろありがとうございます。
7ページのところで、企業、産業界のニーズについての情報収集の面など、やや課題も感じられたということですが、先生の言われた有用なカリキュラムを開発し、成功モデルを築いていくという上で課題等はどのようなことでしょうか。これからだとは思いますがよろしくお願い致します。

【小杉委員】  これからだと思いますけれども、課題と考えているのはやはり産業界のニーズをどうキャッチするか。図表2-21を挙げたのは、専修学校・各種学校がうまくやっているとは、もっと一生懸命やっている機関もあるんだぞということで、まだまだやれる余地があるのではないか。今のところ、職業実践専門課程はプロセスの中に全部入れるということが制度化されましたけれども、更にもっと優良なカリキュラムとするには、個人が何を学びたいかということは実はなかなか分からなくて、企業側がやるOJT、OFF-JTをやった人が、こういう方向なんだと分かるという話も入れましたけれども、結局、企業とうまくつながっていく。個人に直接、何を、こういう勉強方法というような形でプログラムを提供するよりは、企業との連携の中で、企業が認めるようなプログラムを作っていく。ここがポイントかなということで、産業界との連携を進めるという表現になりました。

【河原委員】  ありがとうございます。

【黒田座長】  よろしいですか。
ほかにございませんか。

【小林(光)委員】  先ほども小杉委員からおっしゃっていただきましたが、若い人たちは学び直しについて大変前向きな人が多いということは、このデータからも言えるわけです。例えば、5ページの図表6-7、受講後の人事管理上の扱いのところでは、配慮すると言っているのは全部合わせると70%近くになりますよね。70%ぐらいの企業が学んだ者に対してそれなりの配慮はちゃんとしていると取ってよろしいということでしょうか。

【小杉委員】  これは複数回答なので、足してはだめなんです。両方ともやっているところがあるかもしれないので、単に足し算するわけにはいかないということです。

【小林(光)委員】  なるほど。分かりました。ありがとうございます。

【黒田座長】  ほかに。よろしいでしょうか。
個人の人たちから見た学び直しの機会を、企業側はこういうように捉えているということでありますが、逆に専修学校側で社会人の学び直しのためのシステム、これと同じようなデータを出すとしたら出せるんでしょうか。小林委員にお聞きしたいんですが。

【小林(光)委員】  実は、そういう調査を定期的にやっているところと、やっていないところがあり、全体的な傾向は分かると思いますが、きちんとしたデータはまだ確定していないのではないかと思います。

【黒田座長】  これから専修学校は社会人の学び直しに力を入れていくということであれば、学校側としてもそれはデータとしてやはり取っていく必要があると思うんです。

【小林(光)委員】  おっしゃるとおりです。私どもの学校ではそういうことをきちんとやっていますが、やっていない学校もかなりあるように思います。ですから、全体としてはまだまとまっていないのではないかと思います。ありがとうございます。

【黒田座長】  是非、団体として、そういう方向も見据えていただきたいと思います。

【小林(光)委員】  はい。特に、ここ近年、学び直しの学生が増えてきています。中教審の部会の報告のときにも申し上げたのですが、私どもの学校でも学ぶ学生の約8割が学び直しの学生ということになっております。大都市ほど、そういう傾向が多いと思います。ありがとうございます。

【黒田座長】  それから、留学生の施策について何か御意見、前回、余り出なかったんですが、何かございますか。前回の程度でよろしいですか。特段なければ、次に進みたいと思いますが。

【寺田委員】  すみません。

【黒田座長】  では、寺田委員。

【寺田委員】  留学生の話は、前回ちょっと発言させていただきましたので、今、専修学校関係の留学生は1万1,000人ぐらいですか。

【白鳥専修学校教育振興室長】  3万8千人です。

【寺田委員】  3万人ですか。ということは5%ぐらいですかね。そう多くはないんですけれども、私、見たところ、大学院に編入してこようというのが専修学校の日本語教室経由で結構いるものですから、ある程度知っているんですけれども、今のところ日本語コースの留学生がやや多いのかなという気がしています。これは一通り段階が過ぎると、次は本来の専門課程のところへ入ってくるんだろうと思います。そういうことになりますと、2つあって、これは前回言いましたけれども、彼らが帰国したり、日本国内で仕事をするときの何がしかのサーティフィケートなり、国際的通用性という観点からの資格の枠組みをきちんと作る、専門学校の方からも発信していく必要があるのではないかというのが1点。
それから、今、言いましたけれども、よく言われる出口の、やっておられると思うんですけれども、ケア体制といいますか、インターンシップだとか、出口の就職希望者が結構これから増えてくると思うんですけれども、これについて、いろいろな問題があると思いますけれども、考えていく必要があるだろうと思います。

【小林(光)委員】  よろしいですか、今の留学生の問題。

【黒田座長】  はい。

【小林(光)委員】  今、寺田先生から御発言いただきましたが、専門学校の留学生というのは、専門学校の日本語課程を学んでいる学生を含めて、たしか3万人を超していたと思います。それ以外の日本語学校では、もっとたくさんの学生が学んでいます。今、専門学校に留学生がなぜ来ないのか。これは、はっきり言って制度の問題です。
御存じのように、専門学校を卒業しても、現在、大部分の留学生は、日本国内で在留許可及び就労権がもらえません。これを開き、在留可能にするということで、今、介護人材が不足している中、まず介護の養成校へ入って、卒業して、介護福祉士を取った者に関しては在留許可、就労を認めようという入国管理法の一部改正法案がずっと継続審議になっております。参議院選挙が終わった後の秋の臨時国会で審議され、通る見通しであると聞き及んでいるところです。
介護の話をさせていただきましたが、私は、日本の経済が活性化すればするほど、人口減少社会ですから、今後、ほかの分野でも地方も含めて人材不足、労働力不足になっていくだろうと思います。その労働不足を何で補うかと言えば、今安倍総理が政策でおっしゃっている、出生率1.4を1.8にするということが有効でしょう。しかし、今、1.8、あるいは2にしたところで、生まれた人たちが本当に労働力として使えるようになるのは20年先です。20年も今の状況では、日本経済が活性化すればするほど労働力不足になって、待てない状況になるでしょう。そういう状況も踏まえて、日本で日本語を学び、そして日本の専門学校を卒業した人たちが、日本国内できちんと就労できるようにしていくことで日本の経済の活性化、あるいは労働力不足の一部補完につながっていくだろうと思います。
これは文部科学省だけの問題ではないんですが、入国管理局、法務省の問題、あるいは経済産業省等の理解も含めて、やはりそういった制度改正をしていただくということが必要でしょう。そうすれば、アジアや世界から日本の専門学校へ来た留学生が、職業教育を学んで、日本で就労し、実力を付けて国へ帰って、母国の経済のリーダーになる、また、それぞれの分野のリーダーになる。そして、日本文化の媒介者や日本の理解者になっていただくということにつながれば、国際貢献にもなると思うんです。
私どもは、ドイツ、フィンランド、オーストラリア等の職業教育の実態を見てきたのですが、これらの国の専門学校に匹敵する学校で学んだ留学生は、就労権、あるいは在留許可が与えられるという制度になっております。先進国の中で、日本はそうなっていない唯一の国ではないかと思われるほど実態的な鎖国状況になっていると、思うんです。ここを法制の整備により開くことを、ぜひ文部科学省を挙げて法務省やその他に働き掛けていただきたいと思います。
以上です。

【黒田座長】  ありがとうございました。
確かに日本の法体系というのは、改正が非常に後れているのは事実です。いろいろな場面で法改正が必要なところがたくさん出てきているわけでありますので、その辺のことはまた文部科学省としても力を入れてやっていただきたいと思います。
時間が来ていますので、次に移りたいと思います。質保証・向上の柱のうち、論点5から論点7について意見交換を進めたいと思いますので、資料の説明を事務局からお願いします。

【白鳥専修学校教育振興室長】  資料1の2ページ目をごらんください。本日は、資料1の論点5以降の御審議をお願いしたいと思っております。
論点5から論点7は、質保証・向上に関わる論点でございます。質保証・向上に関わります意見としましては、資料2-1が第1回目の会議で出された意見でございます。3ページの所に、職業実践専門課程についての御意見を書かせていただきました。本日の小杉先生からの御意見にも関わりますけれども、産学連携という枠組みの絡みで、職業実践専門課程における教育プログラムの策定ということで、産学連携の取組についての御意見を頂きました。また、職業実践専門課程については、その成果の検証と発信が必要だといったような御意見を頂きました。
論点5につきましては、まさしく職業実践専門課程につきまして、今後の在り方をどのように考えるべきかということで提起をさせていただいております。特にということで、今は認定の対象外である1年制課程の扱いについての言及をさせていただきました。
論点6は、職業実践専門課程を基軸とした質の保証・向上の振興策ということでございます。第1回目の会議におきまして、質保証・向上の更なる充実ということに絡みまして、どのように情報を発信できるかといったところが、今、求められているということ。あと、分野別の質保証、それから学校としての質保証が求められているといったことがございました。この職業実践専門課程を認定した後、あるいは認定された後の専修学校における質保証・向上の充実をどのように図っていくべきか、学校評価、情報公開、さらには第三者評価の位置付けについてどのように考えるべきかということでございます。
論点7ですけれども、専修学校の事務体制の充実支援策とございます。第1回目の会議におきまして、質保証・向上に関わりましては、教育をする側の教員の資質能力の向上も改めて課題になるといった御指摘を頂いております。そのような意味では、教員の資質能力向上を支える施策も考えていくべきだといったことや、専門分野の専門性だけではなくて、チャレンジ精神等々、いわゆる非認知的な部分を高める教育も学校において取り組まないといけないといったことで、教育の開発支援も進めていく必要があるのではないかといった御意見もありました。そうしたことを踏まえて、論点7は、教職員の資質能力向上に向けた支援の必要性と支援策等について、どう考えるべきかということで整理をさせていただきました。
なお、論点5から論点7に関わりましては、本日、参考資料といたしまして何点か資料をお配りしておりますので、お手元に配付をさせていただいております参考資料、個別論点用というポンチ絵を御覧いただきたいと思います。
資料の2ページから、職業実践専門課程の状況について整理をさせていただいております。4ページにございますとおり、現在、3分の1程度の学科において認定をされているところでございます。職業実践専門課程の効果としまして、5ページの所に簡単に整理をさせていただいております。
個別の内容はその次のページからになりますので、まず6ページを御覧ください。1つは、学校運営等の組織的な改善につながったということでございます。特に、認定を受けている学科ほど教育課程の組織的、定期的な見直しの実施であったり、外部組織との連携強化、組織的な連携強化という意味合いですけれども、そちらが図られた割合が多いという傾向がございます。
効果その2でございますけれども、認定を受けていることだけではなくて、その認定に向けて取り組む、あるいは準備をしていること自体により、教職員の意識向上であったり、指導力の向上につながっているといったことが、効果その2と書いてあるところに関わるデータでございます。
次の8ページ、シート8ですけれども、効果その3といたしまして、認定学科の学生の方が当該学科に優れた派遣講師が多いと感じているというところが見られるものでございます。
効果その4ですけれども、これは認定学科かどうかということではなくて、いわゆる企業内実習に関しての効果ということで整理をされているものでありますけれども、特に赤枠で囲った所は企業内実習を実施することによる効果として見られる傾向であります。一番上にあるのが専門分野についての知識、技能の向上につながっているといった観点、真ん中辺りにありますのがコミュニケーション力の向上といった観点、一番下のカテゴリーが論理立てて、あるいは筋道を立てて具体的に表現できたり、問題解決能力があったり、あるいは困難に直面しても諦めずにやり抜けるといったところが、企業内実習の効果としてあるということで、学生の実践力の向上という形で整理をさせていただいております。
その次のシート10、効果その5でございます。職業実践専門課程の認定学科となるためには、教育課程編成委員会というものを置く必要があるわけですけれども、そのように組織的に人材ニーズ、あるいは産業界におけるいろいろなニーズをしっかりと反映する仕組みが整っている学科ほど、業界の動向ニーズと直結したカリキュラム編成等を実現しているといったことが具体的に出ているものであります。
効果その6ですけれども、同じように教育課程編成委員会を置いているほど、実習・演習等の授業内容の充実につながっているということでございます。
続きまして、12ページからですけれども、今度は課題についてであります。
課題1ということで、シート13に認知度とあります。これまでも職業実践専門課程の認知度の課題については御指摘を頂いて、特に高校生が実際にこのことを知っているかといった点でも御指摘を頂いたところであります。実際にここで数字として出ておりますのは、専門学校に入学する前において、職業実践専門課程について知っていたかというものであります。本校への入学前という項目の所にありますとおり、名前を知っていたという場合を含めても、認知度については2割程度に留まっているところであります。また、企業からの要望についても、認知度について多く頂いているということであります。
その次のシート14になりますけれども、課題2でございます。各専門学校認定学科において、どのような点に課題を感じているかということであります。特に事務負担について多く掲げられていると整理できると思いますけれども、数値として多かったのは、赤い枠で囲っております学校関係者評価について、特に高校の先生方を委員として迎えるときに、その調整がなかなか難しかったと掲げられているケースがございます。この辺も、具体的に職業実践専門課程の意義等について、しっかりと関係者間で共有していることがやはり重要だというところにもつながってくるのではないかと考えております。
課題3でございます。認定後の取組の充実ということであります。先ほど効果のところで、認定学科ほど、より改善に結び付いているといったデータの御紹介をさせていただいております。同じデータに関わるものでありますけれども、少し字が小さくて恐縮ですが、幾つかカテゴリーがある中で、「わからない」というカテゴリーがあります。御覧いただいている課題3では、グレーの色付けをしてある所です。ここは個別に、平成26年に認定を受けた学科、平成27年に認定を受けた学科、この時点ではまだ未認定で準備中という学科、未認定で準備もしていないという4つの項目で分類しておりますけれども、特に初年度に認定を受けた学科ほど、「わからない」というグレーの欄が実は目立っているところがございます。
これから認定を受けようとするところはグレーに相当する部分が少ないのに対して、初年度の認定学科ほどそうしたところが多い傾向にあるのは、果たしてどういうことであろうか。その部分については、認定後においても積極的に改善・充実にしっかり取り組めているかといったところが、関わっているのではないか。そういう意味で、認定後においても取組充実・改善の充実が重要ではないかということで、整理をさせていただいております。
その次、課題4でございます。これは、企業がもともとどのような目的で学校と連携をしようと思ったかという目的に関わる部分と、実際に連携をしたことによって、当初、想定していたような目的が実現できたかという効果について、認識の差を数字で表したものでございます。したがいまして、この数字が大きいほど、そこにギャップがあったということで、課題が大きいということであります。
赤い枠で示している所が、特にその数字が大きいところでありまして、より教育の内容に関わる、あるいは教育の質の向上に関わるようなところに、課題認識が示されているということであります。他方で、ネットワークの強化といったところは、若干ギャップがある部分はありますけれども、当初、企業の方で想定されていたような効果は、比較的実現できているといった傾向はございます。ただ、教育の内容、質の向上というのは、当然ながら時間を要する部分もありますので、そういう意味で継続的な実態把握が必要であろうということで整理をさせていただいております。
その次の課題5であります。厚生労働省における取組としまして、前回、御質問を頂いたところにも関わりますけれども、専門実践教育訓練給付というものがございます。教育訓練給付の枠組みでありますけれども、特に職業実践専門課程であったり、公的資格を取得するための講座については、厚生労働省から講座の指定を受けますと、普通の教育訓練給付に加えて、受給が若干厚い形で教育訓練給付の支援が受けられるという仕組みになっておりますが、指定講座に比べて受給実績がある講座数はどれぐらいかを示したものが課題5になります。
受給実績が赤色で付けておる所であります。御覧いただいてお分かりのとおり、職業実践専門課程は、指定講座に対する受給実績という部分で言うと芳しくない状況がございます。内訳が一番下にありますけれども、昼間学科、夜間学科、土日学科といった観点で見てみますと、特に職業実践専門課程につきましては、また、全般的にもそうですけれども、昼間学科は受給実績が芳しくなく、夜間、土日の方が比較的受給実績が多いという状況であります。まさしく社会人が受講しやすい工夫といった観点での取組が、ここの受給実績を上げていく上では必要なところではないかということで整理をされております。
最後に、教員の研修ということで、シート18ですけれども、課題6。全般的にどのような内容の研修を産学連携で行っているか、企業連携で行っているかということで、特に専門的な知識、技能の向上に絡むような担当分野の実務に関する研修は比較的多く回答がありますけれども、その他、指導力の向上、あるいは学校運営に関する研修等については、それに比べるとまだまだ改善の余地は大きいところでございます。
それから、論点6に関係する部分でもありますけれども、学校評価に関わりましてシート21を御覧いただければと思います。専修学校におきましては、学校評価の枠組みといたしまして自己評価の実施と公表、これが法令上の義務になっております。それから、いわゆる情報公開、「情報提供」と法令上整理されておりますけれども、こちらも法令上の義務でありますが、残念ながら100%には至っていません。ただ、この辺りは年々、増加傾向にはあるわけですけれども、100%に至っていないという状況がございます。
学校関係者評価につきましては、職業実践専門課程の認定校であれば当然やっているわけですけれども、法令上の一般的な整理としては努力義務になっておりますので、現在のところ、実施率、公表率は御覧のとおりの数字になっているところであります。
それから、先進的な取組といたしまして、第三者評価の検証が今、進められておりまして、それはその次のページであります。表上は、ファッション分野から観光分野に至るまで11の分野が列記されておりますけれども、現在、検証が進められております。法令上の枠組みは一切ないわけですけれども、より先進的な取組、より質保証・向上の社会からの要請にどのように積極的に応えていけるかといった観点から、今、お取組を頂いております。
第三者評価については、それぞれの分野ごとに取組を頂いているわけですけれども、ある程度共通の基軸も必要ではないかということで、シート23、24、25は分野ごとに取り組みいただく際の共通の枠組みとして提示をさせていただいているものであります。学修成果ということが23ページの真ん中ぐらいに書いてあります。あるいは、シート25の(3)の所にあります学修成果。ここにより基軸を置いたもので検証を行っていただいています。
まさに社会との接続、あるいは何年間かの学校における教育によって、どのような力を身に付けることができたか、あるいは、どのような力を身に付けさせて、世の中、社会に対して学校が人材を送り出せているかといった点を、学校自身も振り返りますし、また独立した第三者からの評価の視点としてもやはり重視すべきだろうということであります。学修成果についても、それぞれの分野ごとの特性がありますので、それに着目した教育内容になっているかという観点をより重視した内容で、今、検証が行われております。
それから、論点7に関わりましてはシート27であります。これは小規模の学校が多いという状況のデータであります。ほかの学校種と比べてもということでありますけれども、専修学校は200人以下の学校が65%ぐらいということで、比較的小規模な学校が多いというデータでございます。
資料の説明は以上でございます。

【黒田座長】  ありがとうございました。
ただいまの説明に続きまして、きょう、前鼻委員から資料の提供を頂いておりますので、前鼻委員より提出いただいた資料や論点の御見解の説明、合わせて10分程度で済ませていただいて、その後、意見交換をしたいと思います。
前鼻委員、よろしくお願いします。

【前鼻委員】  時間の割にたくさん作ってしまいましたので、早口で参りたいと思います。論点5から論点7についてです。
論点5、2枚目になりますが、職業実践専門課程のあり方としまして、専修学校の質的なことに対する議論は職業実践専門課程で初めてなされました。量的拡大の意見交換はありましたが、卒業までの質的なことに対する議論は少な過ぎました。資質向上に不可欠な教員研修が、団体として近年やっと注目されるようになりました。認定を受けることによる質保証・向上の効果をしっかりと検証し、普及に努めるべきだということです。
3枚目、専修学校の質的担保は何かということですが、ざっといきますと、大学と比較しまして取組ができておりません。その中の一つが職業実践専門課程であると考えております。
4枚目、だからこそ鍵は、職業実践専門課程の認定と教育力向上という観点を重要視しなければならないのではないかと考えております。真ん中辺にあります3つのことにつきましては、大学の「三つのポリシー」と同じようなことですけれども、こういう観点がきちんと備わっているのかどうかということと、その下にあります下から3つ目のポツですが、業界を担える人材を育てているという自負ができているのか、ということが重要ではないかと感じております。
5枚目は、西野学園、私どもの学園の概要です。
6枚目にありますように、私どもの学園は、全校全12学科が27年度、職業実践専門課程の認定を受けました。
この認定課程の解説等をちょっとしたいのですが、7枚目です。職業実践専門課程の要件につきましては、3というのは条文によるもので、(1)から(8)までありますけれども、赤い字で書かれています部分が新たに認定しなければならないこと。逆に言いますと、黒い文字で書きました1番目の修業年限と、4番目にあります総授業時数、単位数のみが現況のものでありますので、いろいろと実施しなければならないということになります。
8枚目です。その中の1つ目として、企業等と連携体制を確保して教育課程を編成するということになっております。趣旨は、ここに書いてありますとおり、企業等の要請等を十分に生かしつつ、実践的かつ専門的な職業教育を主体的に実施しているものに対して、以下の人たちを編成した教育課程編成委員会というものを設置してくださいとなっております。専修学校の教職員、及び企業等の役員又は職員、その他必要な委員により組織される委員会や会議です。少なくとも2回以上開催しまして、意見を活用して、教育課程の編成を行っていることが、この委員会に求められていることです。
9枚目です。実際の状態としましては、実質2回から3回が開催される回数だと思います。ここに一応、もし3回やるとしたら、こういうような中身だと書いておきました。1回目は、学科概要等を説明して、自己点検評価の結果報告、自己点検表の結果を述べて、意見交換をする。2回目は、1回目の意見に対する対応報告、本年度の活動報告、次年度に向けた取組、3回目は今年度の振り返りというような循環をしていくということです。
こういったことをしまして、私どもの方で教育課程編成委員会の委員から得られた意見が10枚目になります。文書能力、コミュニケーション力、理系の能力の強化が必要だ。職業意識の低い学生も見られる。休退学者の改善より人材確保が大切ではないか。実習地で、許可や禁止などの指示がないと動けない学生が多い。現場の技師が講師として、授業や学会発表を担当したらどうか。実習指導者の話をする機会を設定できないか。実習地と学校が情報交換する環境を作る必要がある。医療職、他職種が入ったカンファレンスで発言できるかという点が必要になる、という意見が出されました。
それに伴いまして、私どもで取り組みました改善内容が次の11枚目になります。次年度に向けてカリキュラムを見直しました。入学前学習セミナーなどで、必要とされる資質や能力に関する講義・演習を実施しております。1、2年生において施設見学を早めに行っております。1年次の早期に学生個々の基礎学力を把握し、必要な補習授業や学習課題を与えて学力と自信を向上させた。入学時合宿セミナー等で実務者の講演や話し合いの機会を設け、早期に目的意識を定着。学生サポートセンターを開設し、学生の学習支援や生活支援をしていくということです。
上の方にありますのは、いわゆるリメディアル教育の中身になります。下の方には、学生サポートセンターというもので学生のサポート等を行いまして、補習等をするという委員の意見を反映した取組になっております。
次、12枚目は、更に改善内容としまして、ビデオや音声などの視聴覚教材を用いて模擬的な演習を取り入れる授業内容を追加した。
専任教員による学内実習では、常に現場での動きをイメージさせる授業を実施する。これはOSCEのことを言っております。OSCEは、医師教育、医学教育から始まりまして、現在、看護、リハ3部門、それから私どもの方では臨床工学技師などのところで、いわゆる対人コミュニケーションですね。模擬実習を事前に行う内容ですけれども、そういったことを行っております。
臨床実習では、実習時のオリエンテーション、終了時の振り返りの時間を取るということをしております。
他職種の連携を推進とありますけれども、なかなかこの辺は難しいところでして、特に医療系ではチーム医療が今、主流となっていますが、現在いる教員は現場でチーム医療を業務として行ったことがないものですから、それを学内でやるという難しさが出ております。
次、13枚目、企業等と連携して実習・演習等を実施するということであります。既に医療系、福祉系につきましては実習が義務付けられておりますので、この辺のところは結構早い段階から行っているということです。
15枚目ですが、学校関係者評価委員会の設置と開催ということで、学校関係者評価委員会が職業実践専門課程には義務付けられております。設置の規程としまして、私どもの設置条文には、本校はより実践的な職業教育を実施していくため、教育活動に関する意見交換を通し、学校の自己点検評価結果について評価することを目的とした委員会を置くということで設置し、自己点検評価の精査ですとか、委員の方を入れての自己点検評価などをやっております。ここに委員の選任として町内会と書いておりますけれども、地域連携という観点の中で、後ほどもまた述べますけれども、連携する上で町内会の方にも入っていただいております。また、地域振興策で誘致を受けた学校などは、やはり地域の自治体の方なども入れる必要性はあるのではないかと感じております。
16枚目、自己点検評価の精査としましては、25年3月に作りました、専修学校における学校評価ガイドラインに基づく自己点検評価を実施しております。
17枚目、結果の公表ということで、18枚目にガイドラインに基づく自己点検評価を載せております。この自己点検評価は(1)から(11)までですが、特に(11)の国際交流につきましては、ほとんどの学校さんはなかなか難しいというんでしょうか、一応、項目として設けられておりますが、多くの学校では実施していません。日本語学校や外国語学校などは必要で、交流は活発であると思いますし、調理、製菓、デザイン、一部医療系などの専門学校は外国の学校と提携していることがあると思います。
19枚目、次のページですが、評価委員会による評価としまして述べられたものです。学校による自己点検結果については、一定の評価を得ることができたということです。他職種についての課題が提示されました。カリキュラムの反映ができましたし、また地域貢献として学校祭を開催し、地域住民との交流をすることも、これをきっかけにできるようになりました。地域交流授業につきましては、委員会から要望が強かったのですが、まだ十分には実施されておりません。一部大学では社会貢献事業というような形にしていますが、企業寄附の講座が多いと思っております。ですから、専門学校は独自性でやっています。
次、20枚目ですが、地域、業界からの視線を認識しながら学校運営を行う意識が浸透したという形で、このようなことが述べられています。同じようなことがここに書かれております。
飛ばしまして、21枚目、平成27年度の活動について、認可後の変化です。自己点検評価、学校関係者評価、教育課程編成委員会の結果から、PDCAサイクルが機能するようになりました。従来ですと、どちらかというと教育計画、カリキュラムをして、授業を実施するということが中心で、それに対してのチェック、アクションが余り行われていなかったのが現実です。そこに学校関係者評価の委員からの意見ですとか、教育課程編成委員会からの意見が取り入れられて、教育課程の再編成、それから授業方法の改善ということが、ここに新たにローテーションとして入り込み、がっちりしたことにより、PDCAサイクルが機能するようになったと私どもは感じております。情報公開は、学校・学園の信頼性を高めるものであるということです。
この中には財務諸表の公開も入っているのですが、次はどこの学校が潰れるのですかという質問をよく受けます。そういった場合、財務諸表は大学に対して専門学校は公表していないということがありましたので、職業実践専門課程において財務諸表の公開によって、より経営の透明性もここで担保されるようになったと、私どもは感じております。
次、22番目、論点6、職業実践専門課程を基軸とした質の保証・向上の振興策に関連してです。特に1番目が大事なのですが、なぜ認定を受けるのかということをきちんと理解していただきたい。ある地域のある施設、限定された職種のみで通用する人材育成という形で、とてもドメスティックに考えているのでありましたら、職業実践専門課程の認定を受ける必要はないと私は感じています。大事なことは、自分たちが養成した人材が全国どこへ行っても通用する知識、技術、技能を持ち合わせているのか、そういうような職業人教育を養成する学校足り得るのか、ということを質的担保するために認定されているのだと認識しております。さらに、それを裏付けるべき情報が公開されることにより、広く世間に認知されなければならないのではないかと感じております。
次のページ、情報公開ということであります。現在、情報公開としましては、24枚目にあります、専門学校における情報提供等への取組に関するガイドラインに準拠して、ホームページなどを通じて恒常的に情報提供を行っていることとなっております。
なお、次のページですが、大学における情報公開としましては、平成23年、学校教育法施行規則の改正によりまして、第172条の第1項、第2項におきまして公表すべき事項が決定されております。また、平成26年から大学ポートレートがスタートしまして、大変詳しい形の中で情報公開がなされているという点に関しまして、まだまだ専門学校は足りないのかなと感じております。
論点7、専門学校事務体制の充実支援策に関連してです。大学のような、専修学校業界としてのFD・SD研究に関する集まりや相当する学会はありません。一部、厚生労働省所管学科の教員は指定の教員養成プログラム、例えば看護教員、リハビリテーション教員、介護教員などは、1か月から最大2年の養成期間を修了する必要があって、教員としての専門知識をここで学んでおります。しかしながら、それ以外はございません。全国の7割が小規模校では、単独の研修は無理があると感じております。業界・職能団体の教員研修は、基本的に専門知識・技術の研修が中心であります。大学職員向けの研修というのはあるのですが、専門学校職員向けの学校法人経営・運営に対する研修はほとんどございません。
そういった現状の中で、どういうものがあるかといいますと、27枚目です。一般財団法人職業教育・キャリア教育財団、いわゆるTCE財団です。24年度から26年度につきまして、中堅教員研修カリキュラムを開発、構築、実証しまして、それに基づいた中堅教員研修を今、行っております。これは大変中身が濃いもので、私どもは重要なものではないかと感じております。
それから、一般社団法人全国専門学校情報教育協会、通称INVITEですが、こちらの方でも、アクティブラーニングのファシリテーション研修ですとか、教授法とインストラクションデザイン研修というものを行っております。
それから、詳しくは述べておりませんけれども、公益社団法人東京都専修学校各種学校協会も結構、教員以外の学校職員向け研修を行っております。
それから、私の所属しております全国専門学校青年懇話会というところで、若手経営者を中心にした人材育成をやっております。
そのほかに、公益社団法人私学経営研究会、一般社団法人日本経営協会では、学校法人職員、教員向けの大変中身の濃い研修をやっております。また、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社でも、学校法人に特化しまして人事系の研修を行っているという現状です。
論点のまとめとしまして、職業実践専門課程認定は3割です。言い換えれば、7割の専門学校では同レベルの情報公開ができていないということです。大学は全て公開というこの差に、専修学校業界の質の担保が保証されているのかという疑問があります。まだ未実施の第三者評価委員会の活用を検討する時期に来ているが、職業実践専門課程認定との関連性も含め検討すべきだと考えます。教育課程編成委員会や学校関係者評価委員会を通して、PDCAサイクルが機能することが重要です。学校設置基準と学科設置基準の2つのスタンダードがあり、必ずしも統一基準ではございません。例としましては、厚生労働省医療系学科教員につきましては資格取得後5年以上の業務経験、歯科衛生士学科は資格取得後4年以上の業務経験とばらけております。教員要件のプラットフォームが必要なのと、非常勤講師に対する研修等は未整備であります。
次に、論点のまとめ2ですが、事務系職員に対する研修は外部依存である。先ほど書きました。教員研修も専門分野、教務分野の研修は出てきましたが、中堅者のマネジメント研修はまだです。大学と比べて小規模校が多いため、学内におけるコストが多大であるということです、ここを更に詳しくお話しさせていただきますと、このような研修を振興策として各都道府県がやっていくのですが、小規模校が多い県ではなかなか無理があるだろう。教育大学が各都道府県にございますけれども、職業教育に精通している研究者はおりませんので、ほとんどの県で職業教育に対して、若しくは職業教育を行う教員に対しての研修会というのは行えないのではないか。そういう意味ではTCE財団が行っておりますけれども、実施人数が少ないですし、東京でしかやっていないということもありますので、こういったことに対しての支援策が今後、重要になってくるだろうと考えております。
最後です。日本の教育制度の中に職業教育と職業訓練、それと資格をどう位置付け、国際標準化という潮流にどう対処していくのかが重要ではないかと思っております。先般、寺田先生と一緒に行きました豪州のTAFEとAQFという関係性は、オーストラリアの教育制度の中に非常にしっかりと根付いておりました。それから、専修学校は地元就職による地方人材確保に多大なる貢献をしておりますけれども、地域振興策として評価されておりません。各都道府県の専修学校に対する私学助成には大きな差があります。また、国からの大学のような私学助成はないため、ほとんどが学生負担です。日本の職業教育は国策として認められていないのではないか、そのためにも業界内で自助としての質保証は急務であると考えております。
以上、ちょっと時間を超過いたしましたけれども、私の報告に代えさせていただきます。ありがとうございました。

【黒田座長】  どうもありがとうございました。職業実践専門課程の実際の詳しい有りようについて、お話を頂きました。
ただいまから論点5から論点7について、質保証でありますが、職業実践専門課程制度のあり方、質保証・向上の振興策、事務体制の充実支援・強化策について御議論を頂きたいと思います。今の前鼻委員の御意見も踏まえて、御質問、御意見ございましたらお願いいたします。既に認定学科を受けておられる学校の先生もいらっしゃいますので、何か付け加えることがあったらお願いします。
それでは、河原委員。

【河原委員】  まずは論点5の職業実践専門課程について、教育課程編成委員会で企業から教育に対する要望をお受けしますが、コミュニケーション能力や社会人基礎力等のいわゆるハイパーメリトクラシーに属する能力の向上について、話をいただくことが多々あります。専門学校としては、企業から実務卓越性に関わる専門知識や技術を聞き出して、カリキュラム等に反映していきたいところがありますが、議論が大きくなり過ぎたり、非常に狭い実務領域に話題が集中したり、入り乱れてしまい、この点で議論がかみ合わない場合もあり、論点を整理しづらいという課題があります。

【黒田座長】  ありがとうございました。
ほかに。小林委員、意見ありますか。

【小林(光)委員】  前鼻委員、非常に端的にまとめて御報告いただき、本当にありがとうございました。
いろいろな課題も整理していただいておりましたので、私、2つの立場、すなわち自分の学校、それから全専各会長としての立場ということから申し上げます。いろいろな支援をきちんとしていかなければいけないのではないかという御提言を頂きまして、事務局、あるいは執行部も含めて、精査をして、できることからやっていきたいと思っております。始まってまだ2年ですので、卒業生が出て社会的な評価を受ける段階から、更に詳しいデータの分析を、文部科学省の御協力も頂いて進めていこうと考えているところです。
大変詳しく調査して自校の事例の御報告を頂いたことに、まずもって感謝をしたいと思います。どうもありがとうございます。

【黒田座長】  では、この制度創設に携わった寺田委員からお願いします。

【寺田委員】  制度創設もそうですけれども、その後の、今、紹介あった、例の効果検証の調査ですね、その取りまとめも関わっております。
今、小林先生おっしゃったとおりで、まだ3年目で、卒業生を出していないということがあって、私も常々言っていることは、学校経営だとか、企業との連携による学校運営であるとか、教育課程編成であるとか、そういう面では随分変わって、成果が具体的に、先ほどのデータでも出ているということはあるんですけれども、何しろ卒業生がまだ出ていなくて、一番肝心なのは、こういう制度を作って大事なのは、やはり従来とは異質の人材が出てくると。学生が大いに変化した、変わったというところを見たいんですよね。そういう意味では、この調査は多分、今年も続いていますね。

【白鳥専修学校教育振興室長】  はい。

【寺田委員】  継続して、是非そういう観点からの効果検証をやる必要があると思っています。
もう一点は、このことに関係して、職業実践専門課程の一番ポイントは、企業実習等、企業との連携による教育課程編成や学校運営なわけで、そこの検証というより、改善というか、実践性を高めるということの教育課程作りを大いにやらないといけない。そこがまだ、どうなのかなという思いはあります。
先ほど前鼻先生がちょっと触れられましたし、白鳥室長の調査報告の中にも少し出てきましたけれども、企業実習等というところで3つぐらいに分けて考えてみたんです。あれはどこでしたかね、前年度の調査を委託された会社の委員会で主張したんですけれども、一般的に企業実習等と言うと、何か短期の、3日、1週間のインターンシップとかなり混同されていたりして、余り専門性がはっきりしないという面があります。日本全体の風潮はそうなんですが、職業実践専門課程の場合は基本的に職業教育であり、専門教育であって、専門教育としての実習という要素をうんと強めないといけないわけです。それで、法令義務による企業実習、それから非法令義務による企業実習、やや職業啓発型のインターンシップと、3つぐらいに分けて調査を聞いてもらったということがあります。
その調査を継続したいわけですけれども、言いたいことはどこかというと、今の前鼻先生の話にもありましたけれども、法令義務だから企業実習は以前からやっていますということになるわけです。じゃあ、新たにやることないわけです。そうすると、やはり別なことを考えないといけない。ただし、非法令義務の企業実習という要素、あるいはインターンシップをもっと長期化していくというようなアプローチは他方でやりつつ、法令義務で実施している企業実習プラスアルファをやはり考えていく必要があるだろうと、僕は思います。今後のこの実践課程の発展ということを考えれば。
何かというと、法令実習に加えて、更にもうちょっと違う性質の実習をやるということもありだと思いますけれども、いわゆるコーオプ教育の考え方を、特に法令実習を既にやっているところ辺りは大いにやればどうなのかなというのが個人的な案です。どういうことかというと、コーオプ教育というのは広い意味で言うと企業実習、インターンシップを含みますけれども、それだけではなくて、むしろ企業から与えられた、あるいは企業から持ち込んできたいろいろなプロジェクトだとか、課題というものを、学校教育の中で実現する。いろいろな形があり得ると思うんですけれども、だから校内での産学連携教育みたいなものを、講師を派遣してもらうということだけではなくて、学生自身がそれに取り組む、また、成果を企業に返す、そういうことがあってもいいのかなと思っています。
職業実践専門課程については、取りあえずその2つです。
あと一つは、私、名古屋大学を退職しましたので、気楽に発言しますけれども、これも前鼻先生に刺激されて是非言いたいと思った、論点まとめ2にありました、文章では書いておられませんでしたけれども、いい話をしてもらいました。
大学が専修学校教員の研修であるとか、養成にほとんど関われないと。おっしゃるとおりでありまして、職業教育とか、産業教育という看板を背負っているのは、北海道大学教育学部と名古屋大学教育学部だけなんですね。私立で職業指導という領域を担当している教員は個別にはたくさんいますけれども、国の資源として大いに活用していただいていいのではないかという気がします。私、個人的にはやりたかったんです。どちらかというと控えめな方なものですから、文部科学省にそういう提案ができなかったんですけれども、大学の資源をもっと活用して、それだけでは不十分だということは分かっておりますけれども、その資源も活用するということはあってもいいのではないか。そういう予算措置もあったら、喜んでやるのではないかという気がしております。
以上です。

【黒田座長】  ありがとうございました。
今野委員、何かありますか。

【今野副座長】  職業実践専門課程、全体的に見て、非常にいい効果を上げながら進んできているのではないかと思っております。もっとも、これを制度化するときには、新しい実践的な職業高等教育機関の創設ということも念頭に置いて、その前段階ではないんですけれども、それを踏まえながら、意向に資するという観点で制度化されましたので、修業年限も一定期間以上ということで始まっているわけであります。
論点5に、特に1年制についてはどうなんだろうということが書かれてありますけれども、今の課程の成果を実証的に、卒業生も含めて検討していきましょうという段階ですので、少し時間が掛かるのかもしれませんけれども、そういうことを踏まえながら、私は前向きに考えていっていいだろうと思っております。新しい専門課程の認証ということは、全体として専門学校の水準を高める上で非常に役に立つということも目的だったと思いますので、1年制の課程についても、そういう観点からレベルを上げていく一つの重要なツールになるものだろうということで、今までの成果を十分見極めながら、順次、新しい1年制についても検討できる時期があるのではないかと思っております。
以上です。

【黒田座長】  ありがとうございました。
大井川委員から、産業界と専修学校の連携の観点で何か御意見ございますか。

【大井川委員】  職業実践専門課程の具体的な現場を余り存じ上げないので、もし間違っていたり、事実誤認があれば御指摘いただきたいのですけれども、職業実践専門課程の一番肝になる部分は企業実習であり、実践的な教育になっているということです。一方で、これを定量的に評価する基準があるのか、ないのかというところですが、27年7月に全専各さんの方でこの辺の指針を出されていると思うのですが、これは逆に質問になってしまうかもしれないのですけれども、もし基準が本当に存在しないということであるならば、質の向上という部分で、実習の割合についてどうすべきなのかということはやはり一つの論点なのかなと思います。
ただ、新しい高等教育機関の議論でもあったかと思うのですが、これも現場感覚が分からないので、ちょっとずれた物の言い方かもしれませんが、実習といっても、協力する側の企業の余力だとか、地域ごとの事業者数だとか、いろいろな条件がありますので、質の向上という観点はいいのですけれども、これを縛り過ぎると、そもそも成り立たなくなってしまうという状況が果たしてあるのか、ないのか。こういったことも、もしどなたかお分かりになる方があれば、逆に教えていただければと思います。

【黒田座長】  ありがとうございました。
今の御質問に何かお答えになられますか。

【小林(光)委員】  全専各としては、27年度に職業実践専門課程が始まるということで、3,200校ほどある会員校でできるだけ取り組んでいただこうと、手引書、ガイドラインをまとめて、何回か説明会をやらせていただきました。結果的には、この2年間で約30%の学校がこの課程の認定を取っていただいております。
アンケートにもあるように、取り組んでいないところが7割あるわけでありますが、今まで何回か議論した中でその人たちはどう考えているのか、3つに分類できるのではないかと思っています。
第一は、専修学校、あるいは専門学校、地方にある学校を含めて、データにも出ているように規模が小さい学校が多く、そういうことに対する人材確保に苦慮しているという側面があります。規模の問題で、トライするには人材不足があるということです。
第二の学校群としては、まだ始まったばかりで、若干様子を見て、よければトライをしようと、様子見の学校がもかなりあると思っております。トライできるある程度の力は持っていても、様子見をしているということです。
第三の学校群は、この制度に認定されればどういうメリットがあるか、そのメリットが明確ではない、分かりにくいので、苦労ばかりしても、本当にメリットがあるかどうかを見定めてからトライしようと、考えている層もあるのではないかと思っています。
70%残っている学校は、この3つぐらいに分類できるのではないかと思っています。全専各の立場としては、今後、教育成果をきちんと評価できるシステムを、文部科学省の御協力も頂き、構築したいと考えております。分野別に評価する評価システムなどにより、教育成果がきちんと証明されるよう、リサーチを更に進めていきたいと思っております。
今回の職業実践専門課程は、今まで都道府県の地方自治体が認可団体だったものが、文部科学大臣の認可、国の認可になったという意義は大変大きいと思っております。スタートしたところですから、これからますます、協会としても会員校を含めて充実を図っていこうと思っているところです。
それから、先ほど今野委員からおっしゃっていただきました論点5のところです。専門学校課程のあり方の中で、特に1年制課程をどうするかという話にお触れいただきました。私は、今野先生の御見解でいいのではないかと思っております。なぜかといいますと、私どもの学校でもやはり1年課程というのはたくさんあるんです。例えば、ほとんど厚生労働省の指定養成課程でありますが、社会福祉士の一般コースというものがあります。それから、精神保健福祉士も1年課程、あるいは通信教育課程も1年課程でやっています。る受けている人たちは、ほとんど大卒生です。こういう人たちに何千人も受けていただいております。
この1年課程を、今後、職業実践専門課程の中へどう組み込めるのか、組み込めないのかということを、また検討していただく機会があってもいいのではないかと思っております。これはいずれということでいいと思っております。先生がおっしゃっていただいたように、職業教育のレベルを全体的に上げていくツールという意味で、いずれは1年課程もちゃんと何らかの形で認定できるよう考えていただいた方が、職業教育のレベルアップにつながると思っております。
以上です。

【黒田座長】  ありがとうございました。
小林委員。

【小林(浩)委員】  ここで前鼻委員、あるいは小杉委員のお話をいろいろ聞きまして、職業実践専門課程は外形基準で決められていて、やはり学ぶ側のメリットみたいなものがまだ伝わっていないのではないかと思います。特に私がショックだったというか衝撃的だったのは、白鳥室長から御報告いただいた、参考資料の17ページ、専修学校の質保証の課題5、社会人向けの講座開設の職業実践教育訓練給付金制度の受給状況が非常に低いというところです。
今から12年ぐらい前ですか、教育訓練給付金というものがありまして、そのとき、私は実は社会人教育の担当をしておりまして、これは認可校だけではなくて、無認可校も含めて、社会人が学び直しに行くということがムーブメントになった時期がありました。では今、教育訓練給付金制度はブームになっているかというと、それほど話題にもなっていないような気がします。先ほど小杉委員の方から、社会人の不満は何かというと時間とお金だというところがありました。社会人の時間で言うと、夜間とか土日では非常に使われているけれども、講座数は昼間が多いというということで、ここら辺の社会的なニーズと現状とのギャップがあるのではないかと思います。
多分、皆さんがおっしゃるとおり、卒業生が出てきて、成果が見えてきたら、もっと社会人は学ぼうという気になるのかもしれませんが、今、そこら辺が見えていないという現状だと思います。やはり卒業した学生の定量的な面、あるいは定性的な面も含めてメリットが見えてくるといいなと思っています。特に、職業実践専門課程は普通の人から見ると、プログラム認定だと思うんですけれども、一般人から見ると学校なのか、課程なのかというところも理解されていなくて、先ほど情報公開のところも、課程なのに学校が大丈夫かというような質問を受けたりとか、いろいろ混乱しているような気がします。実は、私の社内でも、職業実践専門課程を正しく言える人間が少なかったり、まだ順番が入れ代わってしまったりするような認知度だと思います。まず、ここら辺の認知度を高めるとともに、卒業生が出てきたら、学ぶ方の学生のメリットをきちんと社会に発信していくということが非常に重要ではないかと思いました。

【黒田座長】  ありがとうございました。
今、給付金制度の話も出てきましたが、最後に残っています学びのセーフティネットについて、論点8から論点10までありますので、事務局から説明を頂いて、その議論の中でまた職業実践専門課程の話もしたいと思います。
まず、説明をお願いします。

【白鳥専修学校教育振興室長】  資料1の3ページ目を御覧いただければと思います。学習環境についてです。論点8から論点10まで整理をさせていただきました。
論点8は、修学支援策ということでございます。第1回目の会議におきまして、これは資料2-1の一番最後の所にありますけれども、修学支援に関わりましては、修学困難な専修学校生の修学支援について具体的な方策を見出したいということで、特に、この後、述べますけれども、専門学校生の経済的支援について実証研究を行っているところでありますけれども、そうしたことに絡んでの御意見なども頂きました。
それから、その部分につきましては、情報公開など質向上に向けた取組と絡めながら、都道府県単位、あるいは学校間連携により、そのような支援を進めていくことが必要であるといった御意見であったり、高等課程につきましては、大阪府においては支援が大変手厚いということで、その取組をモデルにしたいといった御意見も頂いております。
論点8におきましては、今の修学支援ということに絡めまして、特に経済的に修学困難な専修学校生の実態を踏まえて、国としてどのように支援策を講じていくことが適当かという問題提起をさせていただいております。
論点9につきましては、教育基盤整備支援策ということでありまして、耐震化への対応も含めて、教育施設整備に向けて、国はどのように支援を進めていくべきかという整理をさせていただいております。
論点10につきましては、障害者差別解消法等に基づく推進策ということで、具体的に障害のある子供たちの社会的、職業的自立に向けたセーフティネットの保障ということで、どのように推進していくべきかという整理をさせていただいております。
これらに関わりまして、本日、参考資料を御用意させていただいておりますので、参考資料の28ページ以降を御覧いただきたいと思います。
29ページの所に、論点8に関わるものが書いてあります。専門学校生の経済的状況ということで、こちらは専門学校生と大学生の家庭の年間収入ベース等の状況でございます。専門学校生は大学生に比べて、低所得者層が比較的多いという状況であります。年間収入300万円以下というところが一つの目安としてありますけれども、専門学校生は大体18%であるのに対して、大学生については8%という状況でございます。
その下の中央の所にありますのは、収入源の内訳状況であります。家庭からの給付が専門学校生、大学ともに多いのですが、専門学校生につきましてはその割合が大学生に比べて少なくなり、それに対して定職・その他という欄が若干多くなっております。こちらは貯蓄の取り崩しであったり、借金をしたりといった欄になりますけれども、そのような形での収入状況ということであります。
一番下にありますのは、専門学校生の授業料、生活費を本人が負担している割合がどれくらいかということであります。授業料、生活費について本人負担をしているケースは、特に低所得者といいますか、300万円未満かどうかということで区切っておりますけれども、300万円未満の専門学校生については、6割ぐらいは本人が授業料、生活費の両方、又は片方を負担しているという状況でございます。
その次の30ページになりますけれども、これは授業料等の学生納付金の状況で、大学等と専門学校との対比でございます。私立の欄を御覧いただきますと、専門学校は全体で110万円ぐらいの学納金という状況です。これは大学、短大に匹敵するぐらいの金額ということであります。
その下にありますのは、中途退学者の状況でございます。特に中退者の中で、様々な事由により中退している方がいらっしゃるわけですけれども、経済的理由により中退している方が1割ぐらいで推移しているということであります。
32ページですけれども、これは比較表になります。具体的には、高校や大学と専修学校の比較になります。1条校とあるのは高校や大学になります。特に、後期中等教育段階と高等教育段階で、それぞれ区分けをさせていただいております。
後期中等教育段階におきましては、高等学校等就学支援金というものが高等学校の方の欄に書かれております。併せて、奨学給付金等についても書かれておりますけれども、こちらは私立高等専修学校においても同様の支援がされているということであります。授業料の減免につきましても、交付税の種類は違いますけれども、交付税措置が同じようにされているということであります。
高等教育段階につきましては、私立大学と書いてある欄にありますけれども、いわゆるJASSO(日本学生支援機構)による奨学金。この同じ枠組みで専門学校生についても奨学金の支給がされております。他方で、授業料減免につきましては、大学についてはいわゆる私学助成、私立大学等経常費補助金の枠組みの中で支援がされているのに対して、専修学校についてはそのような措置がないということであります。そこについては、[参考]とありますけれども、実証研究事業ということで、現在、進められているということでございます。
33ページ以降は、今、申し上げた高等学校等就学支援金、あるいは大学生に対する日本学生支援機構等の奨学金の概要等の資料が続いております。
37ページの所を御覧いただきたいと思います。実証研究事業ということで、27年度からスタートしている事業でありますけれども、特に経済的に修学困難な私立の専門学校生に対する経済支援、併せて修学支援全般ですけれども、そうしたことを実証しながら、その効果を検証しながら、今後の支援の在り方を考えていくという事業でございます。委託先については、都道府県と調査研究機関ということで書いてあります。
各都道府県への委託事業の中で、具体的なメニューといたしまして、修学支援アドバイザーといった方を各県で、奨学金情報の提供であったり、個々の学生さんの経済状況に応じたアドバイスなどを行っていただくような方ですけれども、こうした方の配置を行っていただくということ。あとは、2つ目の所にありますが、経済的支援を行います。協力者と一番右の所に書かせていただいておりますけれども、支援を受けた学生さんがそれによってどのように学業成績が伸びたか、実際に希望する就職に結び付いたかといったところも含めて、効果をしっかりと把握していきながら、それを収集したものを、最終的には調査研究機関の方で全体としての効果検証につなげていきたいという枠組みでございます。
その次のページに、具体的に支援の枠組みの要件等が書いてあります。生活保護世帯、及びそれに準ずる世帯の学生さんを対象としております。また、個人に対する支援でありますけれども、学校を経由しての支援の枠組みになっておりまして、そのために学校から支援を必要とする学生さんに必要な支援が渡っているといった透明性の確保もしっかり講じる必要がありますし、そうした観点からの要件も学校の方には課されているところであります。
また、前提といたしまして、これは大学の場合も同じ枠組みになっておりますが、まずは学校が授業料を減免するといったことが前提になっておりますので、今回の実証研究事業は個人に対する支援という枠組みをベースにしておりますけれども、個人に対する支援についても、まずは学校、専門学校の方で授業料減免を行っているということをベースにした枠組みになっております。その支援額を踏まえて、その2分の1の金額を学校とは別に国が学生さんに支援していくという枠組みであります。イメージ図等は、38ページの所にあるとおりであります。
なお、39ページは、学校であったり、都道府県がそれぞれ積極的に域内、あるいは学生、高校生に対して広く周知をしていただくために、私どもの方で提供させていただいている、周知に活用していただけるような周知文といいますか、チラシ的なものとして用意をさせていただいているものであります。
40ページ以降は、論点9に関わるものであります。特に、教育基盤の整備としましてハードに関する支援を続けておりますけれども、専門課程2分の1、高等課程3分の1の補助ということで実施をしております。
その次の42ページは、特に耐震化対応ということに絡んでの支援の状況でございます。併せて、バリアフリー化の支援についてもこの枠組みの中で入れております。
あと、耐震に関係いたしまして、平成28年熊本地震の被害状況も触れさせていただいております。人的被害としては、基本的には軽傷、打撲、やけど等が多いわけでございます。それから、物的被害に関わりましては、専門学校の場合は大破と言われるものはないのですが、天井、壁等のひび割れ、個別設備等の破損等があるということで、御覧の件数がございます。
併せて、熊本地震に関しては、日本学生支援機構の緊急採用奨学金等の受付や、いろいろな幅広い支援の情報を、私どもとしても各種通知等で発出させていただいて、よりきめ細やかな支援が各現場にて実現できるよう、支援をさせていただいているところでございます。
最後に、論点10といたしまして、障害者差別解消法に基づく推進策ということでございます。46ページから47ページにかけて、最近の特別支援教育についての大きな流れを書かせていただいております。平成18年12月に障害者権利条約の採択がございます。この中で、最近、特に聞かれるインクルーシブ教育システムの理念というものが具体的に打ち出され、日本としてこの条約に関して国内法で対応したのが、平成23年8月の障害者基本法の改正ということになります。
それに先立ちまして、平成19年に大きな動きがありました。特別支援教育というものを真正面から位置付けるといいますか、今まで特殊教育というような位置付けであったわけですけれども、それを特別支援教育という形で捉え直しをして、ここについての本格的な支援のスタートをしたということでございます。
それから、障害者差別解消法というものが平成25年6月にできまして、こちらで差別的取扱いの禁止と、合理的配慮の法的義務というものが出てまいりまして、この法律の改正法がこの4月に施行されたという状況であります。
この障害者差別解消法についての概要が、その次の48ページにあります。今申し上げた2つの事項が、中央の赤い枠の所にあります。なお、合理的配慮については、民間事業者、具体的に私立学校は、努力義務という扱いにはなりますけれども、こうしたものについての配慮も当然やっていかないといけないという位置付けになっているということでございます。
この辺りの指針などは国の方でも提供させていただいておりまして、そうしたことが49ページから50ページの所に書いてあります。
なお、最後、51ページの所に、それより先立って成立した法律ですけれども、発達障害者支援法。これは前回、清水先生から御発表いただいたところでありますけれども、こうしたものもあるということで、特別支援に関しての資料を提供させていただきました。
以上でございます。

【黒田座長】  ありがとうございました。
それでは、学びのセーフティネットの保障に関わる論点8から論点10について、御意見をお伺いしたいと思います。

【清水委員】  それでは、お時間を頂いて、高等専修学校の立場でお話しさせていただきます。第1回の会議のときにもお話しさせていただいた高等学校との格差是正についての話となります。論点7の学びのセーフティネットについてお話させていただきます。
高等専修学校は、各都道府県の助成も非常にまばらな状況で、また生徒募集も非常に厳しい状況で学校運営をしています。その様な状況下で、やはり教員の確保やプラスアルファの事務体制を整えることなど、人員確保に非常に苦労しています。その中で是非知っておいていただきたいのは、私立高等学校の経常費補助と、我々の高等専修学校が各都道府県からで頂いている補助金の対象科目の差があるということです。経常費補助は、教職員割という補助金があり、東京で言うと、私立高等学校1人に対して420万円出ています。しかし、我々、高等専修学校の助成の中には最初から含まれていません。ですから、ある程度の教職員を確保するのに非常に苦労しているということを、情報までに覚えておいていただければと思います。
論点8の修学支援のところでお話しさせていただきたいのは、今、室長から話がありましたけれども、おかげさまで私立高等学校と同様な体制に今あります。特に、高校生等の就学支援金等については、遜色なく対応していただいています。
シートの35を御覧いただきたいと思いますが、私立専修学校高等課程の授業料減免の特別交付税措置を、平成25年から実施をしていただいております。都道府県別の補助状況を見てお分かりになると思いますが、25年度は20の都道府県であったのが、年々増えまして、27年度には26の都道府県がその対象になっています。
これは非常に有り難い対応をしていただいているところではありますが、昨年のブロック会議の資料「専修学校・各種学校をめぐる最近の動向について」の中で、平成26年度の授業料減免の予算措置状況(都道府県別)というものがございます。これを改めて見直しをいたしましたところ大阪府は他の都道府県と桁が1桁違う予算額となっていました。当然、各都道府県の授業料減免の施策ですから、国がどうこう言うものではないとは思いますけれども、非常に格差が出てきているといことに気付きました。
せっかくの授業料減免の予算措置でありますから最大限に活用できるように、担当者の研修会のような周知徹底のできる会議等を開催するように国からも働きかけをしていただければ有り難いと思いました。
あと一つは、論点10のお話でありますけれども、本日、の資料の中に関連資料を付けていただいています。シート46をご覧ください。こちらは平成18年12月の条約の採択からスタートをしておりますけれども、御存じない先生方もおられるかと思いますので、是非この機会に御承知いただければ有り難いです。
平成17年4月に、発達障害者支援法という法律ができました。これによって、発達障害はIQを撤廃した範疇になりました。今までは、IQ75以下が発達障害、知的障害という一つのくくりでしたが、この法律が施行されてから、学習能力の高い子どもたち、一般的にはアスペルガーとか、ADHDとか、高機能自閉症と呼ばれる子どもたちが含まれることになりました。ですから、範疇が広がったということで、施行前と比べるとその割合は非常に多くなってきており、実際、私立高等学校には在校生の2.2%、私どもの高等専修学校には15%在籍していると言われています。数年前からこの話をいろいろな所でさせていただいています。
このような状況下で、助成の状況について申し上げます。特別支援の経常費補助というものがございます。私立の幼稚園、小学校、中学校、私立高等学校に対してでるものです。その中で私立の小・中・高に関しては、特別支援学級若しくは特別支援学校というくくりの中で補助金が支給をされています。発達障害者支援法が成立したことにより、IQが撤廃されて、普通学級にも発達障害の子どもが在籍していることになりましたが、これを基準にして補助金を支給していくことには、まず大きな問題点があるのではないかと、いろいろな所で意見を述べさせていただいているところです。
また、アメリカにおいては、特別支援は3歳から21歳までが義務教育になり、無償になっている事があります。この機会に、第124条の私立学校振興助成法対象外の高等専修学校について対応をお願いできたらと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。

【黒田座長】  ありがとうございました。
前鼻委員、何かございますか。

【前鼻委員】  最初のときにもお話ししたのですが、発達障害という観点、手の掛かる子というのは、今、幼稚園で6.5%という数字ですので、高等学校2.2%というのも増えていくのかなと思っております。ですので、今後ともセーフティネットの拡大を示唆するところであります。
それから、就学支援につきまして、いろいろとありますが、私学助成の問題もありまして、まだまだ不十分なところが非常に多いです。雑駁でありますけれども、私どもの学園でも奨学金をもらう場合には収入証明書を頂いていますが、年収300万円以下というのは結構おります。この数値以上の部分があるのかなと思っていますが、特に福祉分野において親御さんの収入層が低いという傾向がございます。ですので、実際的には数字以上の逼迫感があると、私は印象として持っております。
今後とも、ここにつきましてはより一層の支援策を拡大していただきたい。今回、実証研究は3年間でありますけれども、これにつきましては今後とも継続できるようなフレームワーク、スキームを作っていただきたいと思っております。
以上です。

【黒田座長】  ありがとうございました。
はい、どうぞ。

【河原委員】  論点8ですが、地方の専門学校は所在地県内からの進学者が多く、その地域に就職することも多い状況です。専門学校、専修学校への就学支援は、地域産業振興及び地域経済に寄与できるかと考えています。
また、オープンキャンパス等で高校生に話を聞くと、専門学校に進学したいが経済的な部分で進学できないということが多くあります。高校からそのまま企業へ就職し、その後の離職率のことを考えると、しっかり学ばせてあげたいと感じています。このような点で支援策等が完備できることを望んでいます。
あと、専門学校への効果的な経済的支援の在り方に関する実証研究事業で専門学校独自の授業料等減免を実施しているが、都道府県によっては実証研究事業に取り組んでいないために事業の恩恵が充分に受けられない学生がでないよう、地域による差のない実施を望んでいます。
論点6に戻っていただきまして、実務卓越性の内実が反映されたカリキュラムが開発の最大の問題であると考えています。企業によって技術領域に幅があるので、教育課程委員会で企業委員の意見や情報を学校側が評価してそしゃくする必要があります。そのためには教員に相当の見識が必要となります。そこで論点7で、専修学校の教員として、それぞれの専門分野の研修がしっかり受けれるように、国が専門学校教員研修の組織やネットワーク作りを支援していただき、定期的な開催、研修制度を構築することはできないかと考えております。
また、論点6の第三者評価で、それぞれの職業分野について、教育内容まで踏み込んだ評価視点を設定するのか、若しくは教育目標の設定と、達成プロセスの管理等を主としてマネジメントを中心とした評価視点に留めるのかで第三者評価の意味合いが変わってくる可能性があります。そういった意味では、もし教育内容にまで踏み込んで評価するとすれば、それぞれの分野の実務卓越性の内実を明確にしたうえでで第三者評価を実施しなければ、専門学校のカリキュラム・ポリシーに優れた独自性があったとしても、逆に阻害される可能性があると感じております。

【黒田座長】  ありがとうございました。
それでは、もう時間が来ていますので最後に。

【吉本委員】  先ほど清水先生もおっしゃっていたんですけれども、発達障害の子を高等課程でかなり受け入れているという実態がありますので、幼稚園であれば特別支援ということで国庫補助制度があるんですけれども、高等課程ということで補助制度がないという形になっていますので、そこのところは是非、補助対象に含めていただけたら助かると思っています。

【黒田座長】  ありがとうございました。
まだまだ御意見はたくさんあると思いますが、次回、また時間を取りたいと思います。きょうはちょうど時間が来ましたので、この辺でやめさせていただきたいと思います。きょう出ました意見は、また事務局の方で論点整理をしていただきまして、次回につなげたいと思います。
それでは、事務局から今後の予定についてお願いします。

【白鳥専修学校教育振興室長】  資料5を御覧ください。次回、第4回目になりますけれども、来月、7月21日の木曜日に開催予定でございます。会場につきましては、この建物の1階の114各省庁共用会議室となります。また、次の第4回目から、その次の第5回目にかけまして、本日までの御意見を踏まえて、論点を整理し、審議経過の報告をお取りまとめいただく予定でございます。その後、9月以降は3回程度、専修学校関係者、また有識者等へのヒアリング、そして意見交換を実施したいと考えております。詳細につきましては、座長と御相談をさせていただきまして、日程を含めて改めて御連絡をいたします。
また、本日の資料につきましては、机上に置いていただければ郵送させていただきます。
連絡は以上でございます。

【黒田座長】  ありがとうございました。
皆さんの意見を十分に聞かないうちに時間が過ぎまして、申し訳ありません。また次回、7月21日、よろしくお願いしたいと思います。
きょうは、これで閉会といたします。ありがとうございました。




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