「学校から社会・職業への移行」に係る縦断調査に関する検討会(第3回) 議事要旨

「学校から社会・職業への移行」に係る縦断調査に関する検討会(第3回)が、以下のとおり開催されました。

1.日時

平成25年1月31日(木曜日)13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省国立教育政策研究所第一特別会議室

3.議題

  1. 学校基本調査とのデータ・マッチングについて
  2. 教育研究で近年実施されている縦断調査について
  3. OECD・「教育と社会発展事業(Education and Social Progress:略称ESP)」について
  4. 自由討議

4.出席者

委員

赤林委員、石田委員、妹尾委員、中村委員、樋口委員、深堀委員(五十音順)

文部科学省

生涯学習政策局
上月大臣官房審議官、西澤調査企画課長、亀岡主任社会教育官

国立教育政策研究所
尾﨑所長、杉野次長、笠井総務部長、小桐間国際研究・協力部長、萬谷研究企画開発部長、北風総括研究官

オブザーバー

国立教育政策研究所
笹井生涯学習政策研究部長、藤田生徒指導・進路指導研究センター総括研究官、宮﨑教育政策・評価研究部主任研究官

5.議事要旨

事務局より配付資料の確認及び資料の説明が行われた。 

(1)学校基本調査とのデータ・マッチングについて

事務局より、学校基本調査とデータ・マッチングについて説明があった。

(2)教育研究で近年実施されている縦断調査について

中村委員より、高校生の進路についての調査(東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策研究センター)、進路希望に関する調査(大阪大学進路研究会)、若者の教育とキャリア形成に関する調査(日本教育学会)、青年期から成人期への移行についての追跡的研究(お茶の水女子大学)の概要について説明があった。

(3)OECD・「教育と社会発展事業(Education and Social Progress:略称ESP)」について

国立教育政策研究所の笹井生涯学習政策研究部長より、OECDの「教育と社会発展事業(Education and Social Progress:略称ESP)」について説明があった。

(4)自由討議

データ・マッチングについて

  • 統計法に基づく統計調査以外で文部科学省が中学、高校、大学について集めている行政記録情報があれば、その情報とマッチングすることはできないか。インターンシップの実施やスーパーサイエンスハイスクールなど、学校ごとの事業の状況について利用できるデータはあるのか。
  • 国立教育政策研究所でインターンシップに関する調査をやっているが、市町村が都道府県の教育委員会に提出し、ある程度処理された統計データを受け取っているので、国では学校単位のデータは持っていない。
  • 縦断調査とデータ・マッチングするためには、しっ皆調査であり、学校の識別が可能なデータであることが必要。学校基本調査以外はこの条件を満たさないのではないか。
  • 学力調査、PISA、TIMSS、教育課程実施状況調査など、既存の学力データとのマッチングの可能性はあるか。

学力に関するデータについて

  • 学校段階から就業段階への移行を見るために、学校制度の中を渡っていく上で必要な学力をどのように身につけてきたかを把握する必要があるのと同時に、何かのプログラムの効果を測定する場合、学力を統制しないと見ることができないという意味においても、学力をとらえておく必要がある。
  • 文部科学省の施策が学力の向上にどのような影響を与えているかを把握する場合、エビデンスベースポリシーの観点からも、学力データの確保は大きな課題。
  • 既存の学力データが利用できない場合、独自にテストを開発する必要が出てくるが、民間と連携して開発する可能性はあるか。
  • 学校経由で調査する場合は、学力テストを実施することは比較的容易だが、個人経由で調査する場合には技術的な課題が残る。テスト問題を送付して回答してもらうやり方、調査員がいる前で回答してもらうやり方、インターネットでテストを受験してもらうやり方など、検討の余地がある。
  • サンプリングの際、エリアの抽出をある程度粗くしておけば1つのエリアに入るサンプルが大きくなるので、任意で集まってもらいテストを受けてもらうのもよい。
  • 学力のどのような面を見たいのかについて、併せて議論する必要がある。基礎的な知識・技能、態度、思考力・判断力など。高等学校の場合は、入試ではかられる大まかな指標もあるが、それで足りるのか、足りないとすればそれは何か。
  • 学力だけでなく、各省庁で規定している様々な能力についても(経済産業省「社会人基礎力」、内閣府「人間力」等)、就職との関連を見るために参考になるのではないか。
  • 学校で身につける狭い意味での学力については、本人が社会に出た後の状況との関連を見ることができるデータが整備されてきていない。学習指導要領を決めて、それに従って教えている以上、学力データを正確に把握しておく必要があるのではないか。

 回収率について

  • 学校経由の調査であれば、学校情報は集めやすく、学力テストの実施も可能になるが、学校卒業後に回収率が下がるリスクがある。学校卒業後の協力もどう得られるようにするかが重要。
  • 個人の情報をいかに詳細に入手できるかが問題。現在の住所、実家の住所、携帯番号、メールアドレスなど、できるだけ情報を収集できれば、コンタクトできる確率は高くなる。
  • 初年度から個人経由でやる場合も、最初は学校経由で卒業後から個人経由でやる場合も、回収率が下がるリスクは常にある。成績のよくない子が回答しなくなったというようなバイアスのある減り方が発生しないような設計を検討する必要がある。
  • 現在、博士課程修了者に対する調査を計画しているが、大学や回答者に回答のメリットがないと協力を得るのは難しいという議論になっている。

その他

  • 追跡年数を短くするために、事実については回顧情報を聞いてもよい。
  • 学校段階と労働市場段階を調査するということで、学校段階で何が生まれるかというところも研究対象として入ってくるのであれば、二つのコーホートを追いかけられるとよい。予算との兼ね合いも大きいと思うが、可能性はあるか。

 「教育と社会発展事業(Education and Social Progress:略称ESP)」について

  • このESPでは、いわゆるスキルという言い方をしているが、狭い意味での学力だけではなく、人間力や成人力といったものを含めて、広い意味での学力的なスキルと考えているのではないか。

お問合せ先

生涯学習政策局政策課