専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議(第21回) 議事録

1.日時

令和3年3月25日(木曜日)13時30分~15時00分

2.場所

WEB会議

3.議題

  1. 令和2年度委託事業成果ヒアリング
  2. その他

4.出席者

委員

伊与 浩暁  東京都生活文化局私学部私学行政課長
植上 一希  福岡大学人文学部教授
浦部 ひとみ 東京都立葛飾総合高等学校進路指導部、東京都高等学校進路指導協議会事務局次長
多 忠貴   学校法人電子学園理事長、全国専修学校各種学校総連合会理事
川口 昭彦  大学改革支援・学位授与機構顧問、一般社団法人専門職高等教育質保証機構代表理事
小杉 礼子  独立行政法人労働政策研究・研修機構研究顧問
佐久間 一浩 全国中小企業団体中央会事務局次長、労働政策部長
寺田 盛紀  京都先端科学大学客員研究員、名古屋大学名誉教授・客員研究員
前田 早苗  千葉大学大学院国際学術研究院教授
松本 晴輝  株式会社進研アド専門学校事業部長
吉岡 知哉  独立行政法人日本学生支援機構理事長
吉本 圭一  滋慶医療科学大学教授

文部科学省

根本 幸枝  生涯学習推進課長
金城 太一  専修学校教育振興室長
河村 和彦  専修学校教育振興室長補佐
濱野 怜   専修学校教育振興室専修学校第一係長

5.議事録

【金城専修学校教育振興室長】 本日は、傍聴につきましては、「YouTube」文部科学省会議専用チャンネルにてライブ配信をしております。傍聴される方は会場全体を映した映像を視聴することになりますが、委員の皆様におかれましては、御自宅や職場からの接続に関しては、背後やお手元の映り込みに御注意をいただければと思います。
次に、WEB会議運営に当たっての留意事項でございますけれども、画面に投影をいたしましておりますとおり、発言に当たっては、インターネットでも聞き取りやすいよう、はっきり御発言をいただきたいと思います。また、発言の都度、お名前を名乗っていただければと思います。発言時以外はマイクをミュートにしていただきたいと考えております。発言に当たりましては、「手を挙げる」ボタンを押していただき、発言が終わったらボタンを解除していただきたいと思います。御不便をおかけいたしますが、どうぞ御協力をお願いいたします。

【吉岡座長】 座長の吉岡です。皆さん、こんにちは。こちらの声、資料、よろしいでしょうか。
それでは、ただいまより専修学校の質保証・向上に関する調査研究協力者会議第21回を開催いたします。皆様には、御多用の中お集まりいただき、ありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図るため、WEB会議方式にて開催させていただきます。会議はライブ配信されますので、委員の皆様、またヒアリングで発表される皆様におかれては、その旨御留意の上、御発言ください。
まず初めに、事務局より本日の配付資料の確認をお願いいたします。

【金城専修学校教育振興室長】 本日の配付資料は、議事次第に掲載していますとおり、資料1-1から1-5、また資料2-1から2-3、そして資料3、資料4、資料5、また参考資料といたしまして1から4までございます。
以上でございます。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
それでは、議事に移ります。前回もお知らせいたしましたとおり、本日は最初の議題として、令和2年度職業実践専門課程等を通じた専修学校の質の保証・向上の推進委託事業の取組状況や成果等についてヒアリングを行います。発表される専修学校関係者の皆様におかれましては、御多用の中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
初めに、ヒアリングの方法等について事務局より説明をお願いいたします。

【金城専修学校教育振興室長】 資料1-1に基づきまして、御説明申し上げます。事業の概要につきましては、前回の会議でも御説明しておりますけれども、本事業は大きく3つのメニューに分かれております。
本日御発表いただきますのは、実施機関にございます4事業者でございますけれども、こちら資料1-1に掲載しております番号がヒアリングの順番を表してございます。
今回御発表いただきます4つの実施機関でございますけれども、そのうちの3つは複数のメニューでの受託をされておりますので、そのような形で、それぞれ事業者ごとに御説明いただくことにしております。
3枚目お願いいたします。ヒアリング方法でございますけれども、こちらの3枚目の下にございますように、発表者4事業者ございますけれども、事業者ごとに御説明をいただくことにしております。全部で9事業ございますけれども、1事業者除いては複数の事業の受託でございますので、事業者ごとにまとめて御説明いただきます。
説明につきましては、1事業当たり5分以内となってございます。複数の事業を受託している機関におきましては、説明時間は、例えば2事業でしたら10分、3事業の場合は15分となってございます。
発表者ごとに説明後、それぞれ質疑応答として10分を用意しております。
円滑な議事運営のために、配分時間の遵守には御協力を願えればと思っております。
説明時間の終了5分前には5分前になった旨、また1分前には1分前になった旨、口頭で事務局からお知らせ申し上げます。
質疑終了後、委員以外の発表者の方は、そのまま傍聴いただいても構いません。その場合には、発言時以外はマイク等をミュートにしていただきたいと思っております。
発表者の発表順でございますけれども、まず最初が株式会社三菱総研様、2事業ございます。それから2つ目が一般社団法人専門職高等教育質保証機構、こちら3事業ございます。代表理事の川口様から御説明いたしますが、川口理事は本会議の委員でもございます。また3番目が一般社団法人全国専門学校教育研究会の岡村様から3事業分について説明いただきます。最後に4件目でございますけれども、特定非営利活動法人私立専門学校等評価研究機構、関口様より1事業、御説明いただきます。
説明は以上でございます。

【吉岡座長】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、ただいま説明のあった順に進めたいと思います。時間内にヒアリングを行うために、委員の皆様におかれても、円滑な進行に御協力をお願いいたします。
それでは最初に、三菱総合研究所の沼田主任研究員、よろしくお願いいたします。

【三菱総合研究所(沼田)】 三菱総合研究所の沼田でございます。私のほうからは資料1-2に基づきまして、当社2事業、御説明をさせていただきます。
まず、3ページを御覧ください。1点目、職業教育マネジメントにおける教育課程・学習成果等に係る実証研究調査について御説明をさせていただきます。
こちらの調査の背景及び目的でございますけれども、専修学校の教育の質保証の重要性が高まる中で、教学のマネジメントというものは非常に重要と考えられてまいりましたけれども、専修学校に特化した検討というものは、これまで十分になされていない状況にございました。
そのため、本事業では、職業教育のマネジメントの取組状況に関する実態調査、アンケート調査と好事例の収集・分析、それらに基づく手引・好事例集の作成、研修会の開催というものを行ってまいりました。2か年事業の2か年目となります。
手引の内容に関しましては、前回の会議の資料にもなっておりますので、そちらを御参照いただければと思います。
4ページを御覧ください。職業教育マネジメントの定義について記載をしてございます。
職業教育のマネジメントとは、職業教育の質の維持・向上のための、それらに関わる人・組織・教育業務・資源の組織的運営(管理)というように定義をしております。
向上を図るための各種取組の全てを指すものでございますけれども、本事業では、主に教学面を取り扱うということにいたしました。
また、昨年度の本件調査の結果で得られた示唆というものを下の欄にまとめてございます。
職業教育マネジメントの各事項、例えば体制整備、研修、学習目標の具体化、教育課程編成とシラバス作成、学習成果の把握・活用等に関しましては、各学校において一定の取組が既に実施されているということが明らかとなりました。
一方で、各取組を形式的に行うだけでなくて実効的に行うということによって、教育の質向上の実感というものを各学校様が得ているということが分かっております。
また、職業実践専門課程の認定を受けている学校に関しましては、その趣旨のとおり、各取組というものが既に深化しているということが分かりました。
そして職業教育マネジメントへの取組方というものは、例えば職業実践専門課程の認定を受けているかどうか、あるいは資格の指定養成施設かどうか、分野、修学支援新制度の対象機関かどうかといったことによって異なっておりました。各制度で求められている事項、あるいは各分野の特徴を生かした職業教育のマネジメントの実施あるいは方法の共有といったものが今後も必要と考えられます。
今回の調査について説明をさせていただきます。5ページを御覧ください。
今回の調査では、職業教育マネジメントの実施というものが経営状態にどんな影響が与えるのかということと、職業マネジメントの実施を阻害あるいは促進するような仕組みがどのようなものなのかということに着眼して調査を行いました。
調査概要に関しましては、5ページ目下部を御覧ください。
6ページ目にて結果を御紹介させていただきます。
まず、1点目の経営状態に影響を与えるかということでございますけれども、卒業認定に関する方針や要件の内容変更や見直しというものを行っている学校様に関しては、ある程度、経営指標の高さと関連している可能性があるということが分かりました。
また、常勤教員に関して、採用時に職業教育マネジメントの能力を重視することであるとか、人事制度と連携して進めているというようなことは、経営指標と関係している可能性があるということが分かりました。
また、実習・演習の改善というものを進めていることが、「就職率」や「専門就職率」の高さと関係しているということが分かりました。
そしてまた情報把握・活用に関する仕組み、例えば卒業生の追跡調査であるとか、計画的な情報把握や活用をしていること、集計分析をしていること、あるいは学校のあるべき姿、期待すべき姿を確認しているというようなことが経営指標に影響を与えるということが明らかとなっているところでございます。
7ページは分析のイメージになりますので割愛させていただきまして、8ページを御覧ください。2点目の検証事項に関しての説明でございます。
こちらに関しては、多くの取組の実質的な実施に寄与するであろうという点が幾つか明らかとなっております。
右側の枠囲みの部分でございますけれども、学校全体で職業教育のマネジメントを検討して、それを会議体で行っていること、また常勤教員に職業教育のマネジメントを浸透させる取組としては、人事制度との連携であるとか主体的な活動を促進するというようなことが効果があるということ、また職業教育のマネジメントに関する研修を実施しているということも効果があると考えられています。
教育の質向上のための情報把握としては、現状だけではなくて目標の達成度というものを確認するということ、また学校の運営改善のための情報把握としては、学校に期待されている姿というものを確認していること、これらの情報を集計・分析していること、卒業生の追跡調査を実施していること、こういったことが実質的な実施にとって非常に重要と考えられているところになります。
9ページは、行った研修会等の内容になりますので、割愛をさせていただきます。
本事業から得られた示唆を10ページにまとめております。
全学で検討することが実質的なマネジメントの実施につながる。常勤教員にマネジメントを浸透させる仕組みを整備するということがマネジメントの実施であるとか教育の質に関わってくる。また把握した情報について集計・分析をする、卒業生の追跡調査を実施することが非常に重要であるということが分かってきております。
これらの仕組みあるいは取組を推進していくために、職業実践専門課程の認定要件あるいは設置基準や修学支援新制度等において、これらの位置づけということを検討していくことが実質的な実施に寄与すると考えられます。
以降のページに関しましては、アンケートの集計結果になりますので、P22ページ以降で、2点目のほうの御紹介をさせていただければと思います。

【三菱総合研究所(薮本)】 三菱総合研究所の薮本でございます。2つ目の事業について御説明をいたします。23ページを開けてください。
カメラのほうの接続ができておりませんので、カメラをオフのままで失礼いたします。
次のページ、23ページに進んでください。本事業の主な目的は、職業実践専門課程の認定後に行われるフォローアップの見直しに向けた実証です。現在フォローアップは別紙様式4、職業実践専門課程の基本情報についてという資料で行われております。こちらは情報公開用の資料で、これを文部科学省へ提出することで、フォローアップを実施されております。
このフォローアップを文部科学省において一番最初の年に行ったところ、まず1つ目、件数が相当多いため審査にかなりの時間がかかること、2点目、別紙様式4は認定要件と直接関係のない項目も多数含まれており、審査の労力が相当かかるにもかかわらず、認定要件を形式的に充足するだけではなく、職業実践専門課程としての質の保証や向上に向けた取組がなされているか、これをこの調査では実質化と呼んでおりますが、こういった実質化状況について確認することが、かなり難しいという状況でした。
また3点目、多数の学科で誤記、資料不備がかなりあって、円滑な審査が難しいということ。これたが、まず初年度に確認されました。
そこで、この事業の中で、フォローアップの見直しに向けて、どのようなフォローアップ方法がよいか、また何をどこまでフォローアップすべきかについて実証を行っているところです。
こちら、過去の調査がございまして、こちらの調査の結果として、認定要件のマネジメントサイクルを自覚的に実施できている学科が非常に一部にとどまること、また認定要件についての学科の理解が十分ではないということが分かってきました。
こちら三角形の図がありますが、認定学科間の格差がかなり広がっているということが指摘されております。
今年度は、過年度の調査様式を改定しまして、フォローアップの新しい方法を試行するとともに、学科ヒアリング、都道府県ヒアリングを行いまして、フォローアップの見直しに向けての学校現場の事例や意見を収集いたしました。
24ページに進んでください。ここでは、主な調査結果のみを御報告いたします。
まず、今年度は調査対象が多い年度に該当いたしますため、調査対象を全体の約3分の1に絞り込み、436学科といたしました。また、これらの学科を学科提出資料に基づき、ABCの3分類に分類いたしました。ABCについては資料のとおりです。
これらはもちろん、あくまでも書面調査の結果にすぎず、この結果が各学科の取組状況そのものであるわけではございませんが、大臣認定を受けている学科として、認定後の取組状況を対外的に、かつ認定を行った文部科学省において適切に確認することができる方法で、学科は説明する必要があると考えられましたので、提出資料に基づく書面調査で分類をいたしました。
結果については御覧のとおりですが、Aが全体の約24%、Bが全体の約40%、Cが全体の35%となりました。
続きまして、25ページに進んでください。今年度、新しいフォローアップのための実証結果をまとめました。
まず、現行の別紙様式4によるフォローアップとは異なる方法が必要ではないかという提言をさせていただきました。また、この資料につきましては、専修学校の実態や学校評価に従事した経験のある専門家を取り入れて審査体制を組むことが必要ではないかと考えます。
また、フォローアップで何をどこまで求めるのかについて、認定学科自身や書類を取りまとめる都道府県にも認識をお持ちいただくことが重要ではないかと考えます。
続きまして、26ページに進んでください。調査全体を踏まえて示唆をまとめております。
まず、既に述べておりますけれども、フォローアップの目的や趣旨を整理することが必要かと考えます。現在は、これらがきちんと明示されていない状況です。
また、こうしたフォローアップの目的や趣旨について、認定学科や都道府県と認識を共有することが必要だと考えます。
また、この円を重ねた図で示しましたように、認定学科間の格差が広がっていることを前提として、それぞれの層に向けた施策が求められると言えます。
最後、27ページとなります。27ページに進んでいただけますでしょうか。
これらの認識の共有を行うために、本事業では普及啓発のための資料を作成しております。過年度は好事例をまとめておりましたが、今年度は、問題のあった資料提出方法、認定学科が認定要件を充足できていない事例などを解説した資料を追加しております。
また、今回調査では職業実践専門課程制度全体についても提言を行っております。特に意欲的な取組と考えられる項目、例えば生徒の満足度向上の取組や就職支援の取組についても認定要件に組み込んではどうかという提言をしております。
御報告、以上となります。

【吉岡座長】 ありがとうございました。では、ただいまの説明について御質問等あれば、どなたからでも結構ですので、御発言ください。
多委員、よろしくお願いします。

【多委員】 電子学園、多ですが、私でよろしいでしょうか。

【吉岡座長】 はい、どうぞ。よろしくお願いします。

【多委員】 学校法人電子学園の多でございます。まさに、この職業教育マネジメントと職業実践専門課程の実質化というものは、教育はもとより、専門学校全体の質保証や向上に向けた車の両輪という認識が持てるような報告をいただきましたことに、改めて感謝申し上げたいと思います。
その上で、今期調査について2点触れたいと思いますので、見解をお聞かせ願えればと思います。
まず、職業教育マネジメントにおける教育課程、学習成果等に係る実証研究調査についてでございます。
職業教育マネジメントの議論というものは、ややもすると、いわゆる教育の実践というところに集約されがちでありますが、その意義というものは、職業教育の質の維持・向上のために、それに関わる人や組織、それから教育業務、また資源といったものを組織的に運営管理することと認識しています。
よって、法人部門と教育部門、これが一体となって取り組むべきものであるということであります。これを経営のルーチンとして捉えれば、職業教育マネジメントというものを中長期計画に反映させて、そこから単年度の事業計画に落とし込んで、そしてPDCAのサイクルを回しながら継続的改善を図っていくという、極めて必然的な取組ということも言えるかと思います。
今回頂いた調査報告書の10ページには、本事業により得られた示唆というものが書かれておりまして、その中には、職業教育マネジメントを全学の会議体、いわゆる経営会議等で検討している学校は実質的なマネジメントの実施につながっている可能性があるという見解も示していただきました。これは言い換えれば、法人としての意識改革というものがなくして全学的なマネジメントには至らないということではないかと思っております。
多くの専門学校では、その規模感から、法人部門、そして教育部門の双方の距離が近いために、こうしたマネジメントに対して、いわゆるIRという観点を交えて、法人がどのようにコミットしていくことが効果的なのかという視点で、さらなる好事例の実態調査等によって検証、また検討する必要があると感じました。
続きまして、職業実践専門課程の質保証・向上のための実態調査についてですが、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関として専門職大学というものが創設されましたけれども、その先導的試行として位置づけられて、文字どおり専門職大学の創設というものを先導した職業実践専門課程は、今どこへ向かっているのかという明確な目標が示されない現況に、専門学校関係者からは戸惑いが出ていることは否めないと感じています。
職業実践専門課程は、専門職大学と肩を並べて、日本の高等教育機関における職業教育を複線化していくというビジョンを持って、それを具体のものとしていくために、実質化を評価するための指標というものを定めて運用していくことが強く求められていると感じております。
そうした意味におきまして、今後のフォローアップの在り方につきましては、報告書の26ページ、調査全体のまとめにおけるフォローアップの目的の再整理というところに記されておりますとおり、フォローアップでは最低限充足の可否は確認すべきで、一方、実質化状況についても一定程度判断すべきという示唆は至極当然であると認識しております。
一方、この一定程度の判断を具体的にどう位置づけるかという課題もありますけれども、職業実践専門課程に取り組む以上は、認定要件の充足というものが当然であり、その先にある実質化に向けて、職業教育マネジメントというものの観点からも、先導的試行という位置づけにふさわしい実質化を評価するための指標を検討する必要があると感じました。
以上2点について、総研さんの御見解をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【吉岡座長】 多委員ありがとうございました。ほかに前田委員と松本委員が挙手されておりますので、前田委員と松本委員の御意見を伺った後にまとめて、順番変わっても構いませんので、お答えいただければと思います。
では、前田委員お願いいたします。

【前田委員】 ありがとうございます。私からの御質問は、スライド24ページにあります、いわゆる審査結果で、認定要件を充足できていないと推測される学科等ですけれども、主にどの点で充足できていないというような、何かそういう傾向が見られたら、お教えいただければと考えた次第です。よろしくお願いいたします。

【吉岡座長】 ありがとうございます。では、松本委員お願いいたします。

【松本委員】 ありがとうございます。進研アド松本です。私は御質問ではないのですが、27ページに記載されている「職業実践専門課程の要件追加・修正などを検討してはどうか」の中で、職業実践専門課程の認定学科として何を評価してもらいたいですかというアンケートがあったかと思います。この中で一番多かった回答が、生徒の満足度向上の取組であったというのが非常に印象的でした。
やはり取組が始まって、例えば、しばらく時間が経ったりですとか、複雑になってしまうと、本来の目的がどこにあったのかが見失いがちになってしまうということがしばしばあると思います。
本日のこの会もそうですが、職業実践専門課程も、やはり一番は「学生の成長のため」これが一番の目的であると私は考えています。ですので、常に主語は学生ではないのですが、これは学生のためになっているか、彼らが喜ぶ取組になっているのかと、この視点で各学校様の取組を評価することが重要だと思いますし、加えて学校様においても、「これが学生のためになるのであれば」という動機であれば、より前向きに取り組んでくれるのではないかなと考えました。
私からは以上となります。

【吉岡座長】 ありがとうございます。それでは、三菱総研さんのほうから、まとめてで結構ですので、今の御質問、御意見について御発言いただければと思います。

【三菱総合研究所(沼田)】 御質問いただいた職業教育マネジメントの件、回答させていただきます。おっしゃるとおりでございまして、法人と各学校の学務、教務の連携というものが非常に重要になってまいりますし、調査上も、中期経営計画を策定しているところも一定数あるというところも分かっております。今後の課題として、今年度、昨年度は基本的な実態把握というところもございましたので、法人との関係というところまで深掘りできておりませんけれども、その点をさらに深めていくことが非常に重要というように認識をしているところでございます。
フォローアップ調査に対しては薮本から回答させていただきます。

【三菱総合研究所(薮本)】 御質問ありがとうございます。
御指摘のとおり、フォローアップにつきまして、やはり書類の不備があるということ自体は非常に明確なことではございますが、何をどこまで職業実践専門課程として行うべきかが分からないというのは、いわゆる好事例と考えられる学科においても戸惑いの声が聞かれたところでございます。その中で、充足以上の実質化について指標を設定すべきというのは、御指摘のとおりですが、ただ指標を設定するだけではなく、正式に認定要件として何をどこまで求めるのかを、実施要項、もしくは記入要項上明記し、位置づけていくということが非常に重要かと考えております。
また、2点目でございます。前田委員から御質問がありましたCの分類の学科、どのような傾向が見られるかという御質問と承りました。Cの分類につきましては、まず書類の不備が比較的多かった結果となりました。
今回はエビデンスと言われる、例えば議事録とか、学科の学則ですね、そういったものも御提出いただいておりますけれども、こういった資料が一部しか提出されていない。また、別紙様式4という書類はありますが、これがエクセルのシートで複数枚にもわたっておりますが、これらの全てが提出されていない。また、これが別のシートからの参照を引っ張ってきているケースがあるんですが、その参照が適切に反映されていない、こういったようなことがあり、C分類に分類せざるを得ないというところがありました。
また、職業実践専門課程の認定要件の中で、例えば教育課程編成委員会の委員構成に不備がある。比較的多いのが、学校関係者評価委員会の委員の構成メンバーに学校の中の教職員が入ってしまっているというような、認定要件に対する不十分な理解が原因となっているケース、こちらも見られました。
3点目の松本委員については、御感想ということではございましたが、御指摘のとおりで、学生の成長のための制度であるべきというのはそのとおりなんですが、当社の印象といたしましては、職業実践専門課程は今、学生への効果にまだ波及できていない段階の学科が多いのではないかという印象です。
これは職業実践専門課程の認知度が極めて低いということとも関係していますが、学校の組織を立て直したりですとか、組織を高度に組織化していくというようなところでは効果が一定規程見え始めていますが、例えば教育のアウトカムですとか、学生の満足度に反映されるといった段階にまで職業実践専門課程の取組が及んでいないというのが印象でございます。
以上でございます。

【吉岡座長】 ありがとうございました。非常にオープンな言い方をすれば、そもそもの制度の目的というものと、そのフォローアップも含めてですけれども、制度の目的というものがきちんと、まだ認識されていないところがあるという御指摘だったのではないかと思いました。これは一番重要なことですし、それの浸透ということも、またこれから図られなければならないということだろうと思います。
ほかによろしいでしょうか。ありがとうございました。
それでは、続きまして、専門職高等教育質保証機構から川口委員、お願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

【専門職高等教育質保証機構(川口)】 川口でございます。示していただきましたスライドの順番に従って、そちらの資料1-1の順番とは変わりますけれども、御報告させていただきます。
3件ございますが、1件ずつ5分程度お話しさせていただいた上で御質問頂いて、3件お話しさせていただきます。
本日は資料1-3に3事業に関して、かなり詳しい資料をお渡しいたしましたが、最初の二、三枚のスライドが今年度の仕事のまとめでございまして、それ以後は、資料を全部つけておりますので、それを御参考いただければと思います。
すみません、最初に戻していただけますか。2枚目に。
それで、昨年までに、このレベル定義として、8段階のレベルの目安を作成しました。
次のスライド。次お願いいたします。
これが、8段階、知識あるいは技能、それから責任と自律性ということで、これを概要としてまとめたものがここにございますが、それぞれの特性に関しては、もっと細かいことがありますが、本日省略させていただきます。
次お願いいたします。ここに一応、学修者プロフィールをまとめました。
それで、専修学校でございますので、レベル4以上に関して学修者プロフィールをまとめました。
次お願いいたします。これが昨年までの事業でございます。本年から、ここにありますように、私どもコンピテンシー事業と呼んでおりますが、これの全体計画で、左側が今年度の結果の御報告でございます。
次のスライドに今年度事業の概要をここにまとめてございます。
第1が、この共有システムに関するニーズ調査、これは産業界及び各専門学校にお願いいたしまして、まとめました。
この結果はスライドの7番から13番まで、これも膨大な資料でございますので、本日は一つずつ御説明する時間ございませんが、ニーズ調査を行いました。特にニーズ調査で、産業界からもいろいろ御協力いただいて、結果をまとめました。
その次は、昨年度作成しましたレベル定義の見直し、簡単な修正を行いました。
それから、この資格枠組みを、中国語版と韓国語版、あるいはベトナム語版の作成を進めています。英文版は既に昨年度済ませて、今年度は特に中国語版と韓国語版を作成しました。
これに基づいて、ガイドラインを作成し、これを各学校あるいは各産業界でお使いいただく時の使い方に関するガイドラインの作成を始めています。
実際にこのシステムを使う時に、ポートフォリオが非常に有用でございますので、これを作成し、これの試用を私どもの協力会員校にお願いして始めております。
それ以外に昨年度および今年度末に既にオンラインで報告会を行いました。
以上が概要で、時間もございませんので、次のスライドだけちょっとお見せして終わりにいたします。
次お願いします。この学修成果情報共有システムを、考え始めております。一番右が産業界で、各学校に関してアンケート結果を踏まえて、こういうことを今後考えていく予定です。
以下は、種々のニーズ調査の結果の詳細などなど全部まとめてございますので、ぜひ後ほど御覧いただきたいと思います。
どうもありがとうございます。

【吉岡座長】 ありがとうございました。それでは、今の御報告に関して御質問、御意見があれば挙手をお願いいたします。
寺田委員、お願いいたします。それから次に小杉委員が挙手されておりますので、またまとめてというのは変ですけれども、御質問の後にお答えいただければと思います。
では、寺田委員お願いいたします。

【寺田委員】 幾つかお聞きしたいんですけれど、今日あまり詳しく説明いただかなかった1枚目、2枚目の資格枠組みのところ。これ、吉本さんが大いに関心あると思いますけれども、幾つか質問というか、あれっというところもあります。
まず、1枚目の令和元年までの成果というところのレベル8まで書いてあるんですけれども、専修学校。多分これ何か具体的なことがあると思うんですが、専修学校が5、6、7、8と4つ続いているというところが、今後課題なんだろうなと。ここをどう区分けしていくかということですよね。
それが課題で、非常に私、興味があります。先ほども出ましたけど、専門職大学との関わりなども考えながら、この専修学校。先ほどの専修学校の行き着く先という話になるんですけれど、この専門課程のレベル化というものを今後考えていかないといけないのかなという気がします。多分、専門学校だけでできることではないという気がしている。これが1点目。
それから2つ目は、3ページの枠組みレベルの定義のところです。多分これEQFのものを、ほぼ写されたんだろうという気がしていますけれど、そうですよね。EQFでは責任、自律性というのはコンピテンスという。シーじゃなくてコンピテンスとやっていますけど、こういう整理がされていると思います。
私が言いたいのは、実は昨日、今日と文章を書いている中でも書いたことなんですけれど、これについて吉本さんも言っていますけど、なかなかこの資格枠組みが日本では定着していないという、いわゆる内部労働市場の問題というのはあると思うんですけど。
そこで、そうであっても、やはりこういう枠組みを出していくというのは非常に重要だと思うのです。ただし、その場合、各企業の職能、いわゆる職能等級制度というのが企業が、かっちりと持っていると思いますけれども、こういうものであるとか、それから非常に、あまり不発でしたけれども、キャリア段位制度、3つぐらい、こういうものをつくっているようですし、それから医療関係とか、例の看護師なんて典型的に、非常にしっかりとしたキャリアラダーというか、クリニカルラダーをつくったりしていますので。
もう一つ言えば、EQFより、むしろ私はアジアAQFかなという気がしていまして。アジアですね。アジア資格枠組み。こういうものとの関係で、今、企業だとか、キャリア段位とか、クリニカルラダーだとか、いろんな例出しましたけど、こういうものとよくにらみあいながら具体化されていってほしいなという気がしています。大変、僕、ここは期待しています。よろしくお願いします。

【吉岡座長】 ありがとうございます。では、小杉委員お願いいたします。
それから、すみません、ちょっと司会の不手際で、川口先生は、この後、まだ、あと残り2つプレゼンがあるということですので、小杉委員の発言の後に残りの2つをプレゼンしていただいて、その後まとめてというふうにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

【専門職高等教育質保証機構(川口)】 最後にまとめてでしょうか。

【吉岡座長】 はい、そのように。

【専門職高等教育質保証機構(川口)】 3事業ご報告してからですね。

【吉岡座長】 はい。今、小杉委員が挙手されているので、小杉委員、簡単に、御意見があれば今、御発言いただければと思いますが。

【小杉委員】 後ででいいです。

【吉岡座長】 そうですか。分かりました。では、小杉委員、最後にまとめてということにさせていただきます。
すみませんでした。では川口委員、続きをお願いいたします。最後にまとめてというふうにさせていただきます。
では、川口委員お願いします。

【専門職高等教育質保証機構(川口)】 今のお答えでいいんでしょうか。

【吉岡座長】 簡単でしたら、今のにお答えいただいて、その後の残りの2つに入っていただいて結構です。

【専門職高等教育質保証機構(川口)】 忘れないうちに、今の答えだけ。2ページ目の御指摘のように、ここは、まだ専修学校の部分が、7、6、5、4まで出てまいりまして、まさに御指摘のように、整理する必要があると思います。これ、最初につくった案でございますので、ぜひ皆さんの御意見を頂ければと思います。
それから2番目の、3枚目のこの定義は、確かに御指摘のようにEQFも参考にいたしましたが、ASEANのが例最近出てまいりましたので、これも参考にしまして、作成しました。もちろん完全でないということは、もう十分承知しているつもりでおります。
これは各学校の各分野ごとに、これに基づいて、それぞれの分野で、その分野での資格とか、それとどうつながるかということを今検討していただいております。
それから、さらに企業には、これをお渡しして、それぞれの企業のお考えについてアンケート調査を始めております。これは始めたばかりですので、最終的な結論にまでというところにはございません。
それからもう一つは、昨年末、私どものところで国際会議をやりまして、ASEANおよび香港の方にも、当時は、これが英文化したものができておりましたので、それをお渡しして議論を始めていますので、そういう情報もインプットして、これをさらに完成していきたいと考えております。
以上でございますが。

【吉岡座長】 ありがとうございます。それでは川口委員、続けて、残りの部分というのも変ですけれども、後の2つについても御報告願えればと思います。

【専門職高等教育質保証機構(川口)】 そうしたら、次のテーマでしょうか。

【吉岡座長】 はい。よろしくお願いいたします。

【専門職高等教育質保証機構(川口)】 次が、ポートレート事業です。

【吉岡座長】 はい、お願いします。1-3の17だと思います。

【専門職高等教育質保証機構(川口)】 8番になります。ポートレート事業は、基本的には、御存じのように、ユネスコの東京規約に従って、今、大学では、このポートレートというものが稼働し始めました。それに合わせて、専門学校、特に職業実践専門課程の基本情報として、そういうものに乗せるようにしていきたいというのが、この事業の目的でございます。
今回は、ここに今ちょうどスライドが出ておりますが、職業実践専門課程の基本情報で、様式4に出ているのが、そのままでございます。こういう情報を取りあえずまとめました。
次のスライドをお願いします。ここに、その目的、あるいは、どういうことを考えているかということをまとめてございます。
次お願いいたします。これもやはり3年計画で、1年目、一番左側のところを今年の事業として行いましたので、これを次のスライドでまとめてございます。
それで、お詫びしなきゃいけない。実は、ここの各項目に、後ろに番号がついておりますけど、この番号は、この今お見せしているスライドの最初からの番号でございまして、通し番号になっておりません。ですから、これ何番から始まるのかな。17番から始まって、ですから、これに17足せば、それぞれの番号になりまして、先ほどと同様に、いろんな調査結果、あるいは結果は、全部そこのところにまとめてございますので、後ほど御覧いただければと思います。
今年度の第一作業は、多言語化です。日英・日中、これの事業を始めました。それが、ここにまとめてございます。
ここに出ていますのは、私どもの機構の会員校の情報をこういう形でまとめてみました。
すみませんが、前に戻していただきましょうか。これが多言語化でございます。これ、ちょっと概略やってみましたら、数字も多いということもあって、Googleの自動翻訳機もかなり使えるので、これを利用すれば能率も上がるというのが今年度の結論でございます。
その後、そのデータを使って、そこに2番目にありますような比較・分析をやってみました。これも資料を御覧いただければと思います。非常に細かい数字になっていますので、今見ていただいても多分、分かりにくいと思います。この点、学校検索あるいは学科検索して、それぞれの学科や学校がどういうことができるかということが検索できるようなシステムにいたしました。
すみません、さっきのところに戻していただけますか。21番です。
3番目が、先ほど申し上げましたように、高等教育、資格証認情報センターとの連携です。ここには、専門学校の学校名と英語名は既にここに入力されております。最初にお示ししていましたような多様なデータの入力は、今後の作業です。
それから、こういうデータを、ここから充実させる。
それから最後は、先ほどと共通でございますが、こういうことでセミナーを開催したということが御報告でございます。
細かいことは、これ以後のスライド、少し数が多くなっていますけれども、御覧いただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。

【吉岡座長】 ありがとうございます。それでは続けてFD・SD事業のほうも御報告いただけますでしょうか。川口委員、すみません。続けてFD・SD事業のほうも御報告いただければと思います。

【専門職高等教育質保証機構(川口)】 3番目の事業は、いわゆるFD・SD事業です。すなわち教職員の研修プログラムの改善あるいは普及・展開というものを目的としています。
次お願いします。これが一応、今回の3年計画でございますので、過去の令和2年の御報告を次のスライドにまとめました。
これも、それぞれのところにナンバー。これは32から始まった、これ32をプラスしていただければ、このページ番号になると御理解いただければと思います。
昨年度は、この「実証講座」を開設いたしました。これは、私どもの機構の会員校の方に御参加いただき、大体トータルして120名の方が二、三週間の講義に参加していただきました。これで昨年は、パイロットテスト的に行いました。
今年は、履修証明プログラムに発展させてほしいという要望も非常に多く寄せられましたので、今回は、そのモデル的なことを考えました。これも多くの会員校の方々に御協力いただいて、今年は、こういう試みを行いました。
そのために、最初にやりましたのが3番目で、履修証明プログラムの実態調査をやりまして、これらの情報を収集いたしました。これも後のほうで御報告、詳しいことは書いてございます。
その結果に基づいて、研修プログラムの開発を試みました。例えば、制度とか、広報とか、などなど、こういう実用化に向けた要件を定義しました。
それに基づいて、令和元年度とは違って、受講者数を20名程度に限り、その代わりレポートも出していただき、それから採点するということも実際に試みていました。こういうこともあって、将来の履修証明プログラムを目指した動きを今回いたしました。それに関してアンケート、参加者のアンケートは取って、これは12番目のスライド、ですから32足す12のスライドのところにまとめてございます。おかげさまで評判はよかったのではないかなと思いますので、これは将来もっと、これを発展させるような形にしていきたいと考えています。
以上でございます。簡単ですけれども。

【吉岡座長】 ありがとうございます。それでは、御意見、御質問に入りたいと思います。
では、小杉委員からお願いいたします。

【小杉委員】 ありがとうございます。お聞きしたいのは、では、学修成果情報共有システムについて、これはどのような運用を想定されているのかということです。と申しますのも、やはり学修成果というのは、非常に高い個人情報でもありますので、セキュリティーがかなり問題にされていましたけれども、企業応募に当たって本人が選んで提出するならともかく、企業のほうが自由にアクセスできるというのは、これはかなり問題があると思いますので、その点はどう考えていらっしゃるかということです。

【専門職高等教育質保証機構(川口)】 ありがとうございます。まさにそのとおりでございまして、これは今おっしゃったような問題点が一つあり、もう一つは、今回はこういう形で事業ということで文部科学省から御支援いただいて、こういうものをつくりましたが、今後どのように運用していくかという問題です。この事業は研究開発ということですので、これをずっとこのままというわけにまいりませんので、これからどのようにつくり上げていくかが問題です。今回は、NICとリンクするめどが立ちましたので、大学とも詰めて、今後どのように運用していくか大問題です。

【小杉委員】 ありがとうございます。

【吉岡座長】 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
では、川口委員ありがとうございました。
それでは、続きまして全国専門学校教育研究会、岡村理事、よろしくお願いいたします。これも3事業ございますので、3事業を終えた後に質疑にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、岡村理事お願いします。

【全国専門学校教育研究会(岡村)】 よろしくお願いいたします。資料のほうはよろしいでしょうか。
まずは、このような機会頂きまして、ありがとうございます。資料が出ていないようですが。始めてもよろしいですか。
それでは、始めたいと思います。全国専門学校教育研究会の事業報告を発表させていただきます。お手元にあるかと思いますが、資料の1-4になります。ページ順に説明をさせていただきます。
1ページ目になりますが、まずは全学的な職業教育マネジメント確立のための必要な専門スタッフの育成と情報公開促進体制の整備事業についての発表となります。
当事業では教育資源の効果的・効率的に活用し、その教育効果を適切かつ魅力的に公開していくための担当者の状況把握をすることを目的として、本年度は113校の回答を得て、各種の申請・届出書類の作成・提出に関するアンケート調査を行っています。
次のページ、3ページになります。調査対象としては、これらの20の書類を想定をして聞いております。
次お願いいたします。申請書類については、学校運営責任者が担っている割合が高く、グループ校においては「法人本部」にて業務を集約しており、単独校の場合は「学校運営責任者」に多くの業務が集中しています。「事務責任者」を含めると、64%が責任者において業務を担当しているという実態が分かりました。
次お願いいたします。次に、申請・届出書類の作成・提出に関するヒアリング調査の結果ですが、単独で学校運営を行う中・小規模の学校5校を選定し、書類作成、確認作業を担っている担当者の経歴とかスキルの確認を行いました。業務上の課題点やスタッフの育成の要望を確認もしております。
次お願いいたします。ヒアリング項目として、担当者の経歴などは、このような内容を聞いております。
次お願いいたします。ヒアリング調査結果概要としては、多くの業務を進めながらOJTでスキルを身につけている様子がうかがえ、専修学校設置基準等の関連法令については、必要項目のみ確認し理解している状態です。
関連書類の情報公開については、「認定要件」について認識し、積極的な情報公開とまではいっていないようです。
また、後継者の候補者を想定している学校は少なく、本調査対象の多くが複数の役職・部署を兼任しているケースが見受けられます。
以上のような状況から、養成プログラムとしての要望として、好事例紹介、組織・業務を俯瞰できる行動様式、行政文書を読み解くスキルや文書表現力、学校運営に関する数値の体系的な理解、学則の理解、そして専修学校運営関係法令の基礎的な知識が挙げられると考えています。
次お願いいたします。モデル研修開発のプログラムのために、74校のアンケート調査も行っております。
次お願いいたします。その結果として、記載のような項目が研修として浮かび上がってきております。
次お願いいたします。令和2年度の調査で明らかになったことから、人材育成への要望は多くあり、中堅管理職のスキルの維持・向上が専修学校の教育の質向上・魅力的な情報公開の発信に必要だと思われます。
よって、令和3年度事業概要と到達目標としては、ここで挙げています真ん中のAと分類した研修3項目の開発テストを運用していく。また、Bと分類している研修の開発のために、マネジメント関係の研修を実施している民間教育機関や、三菱総研さんが行っているような情報収集を行っていきます。それから、Cと分類している研修の情報公開セミナーを開催したいと考えています。
以上が情報公開促進体制の整備事業でした。
次にお願いいたします。次の事業として、真ん中の職業実践専門課程の充実に向けた自己点検・評価システムの検証と質保証・向上のための取組事業について発表いたします。
次お願いいたします。本事業の3か年の初年度として、自己点検・評価標準モデルの開発と第三者評価受審校の実態調査を行っています。
次お願いいたします。開発プロセスとしては、本事業の最終成果物である第三者評価、スタンダードモデルの検証及び開発を視野に、学校評価の全体のプロセスを整理した上で、質向上・保証の視点で、具体的な4つの開発目標を設定しています。
まずは、規模の大小にかかわらず活用可能な自己点検・評価標準モデルのプロトタイプの作成、エビデンスを示すことで、評価に関して客観的で、客観性や信頼性を高めること、改善すべき点を明らかにして、質を向上させる機能も付加させること、第三者評価への取組が可能なように第三者評価機関の視点も取り入れること。
次のページをお願いいたします。実態調査アンケートを実施し、第三者評価受審校の聞き取り調査、各校での実施している自己点検評価表の回収と点検項目の整理を行っています。
職業実践専門課程認定校1,032校に、自己点検に関する実態調査を行っています。回収数は558校で、回収率は54%でした。
また、第三者評価アンケートも行っておりまして、回収数は466校の45.1%の回収率でした。
次お願いいたします。調査は以下のような方法で行っております。
次お願いいたします。自己点検評価に関するアンケート調査結果を集計、分析した結果、本対象者では自己点検評価の実施状況は、ほとんどの学校が取り組んでいるようです。
教育の質保証・向上への取組が進んできていることがよく分かりました。
なお、取組はエビデンスの不足、内部質保証や国際交流の評価項目は学校間でばらつきがあり、全ての項目においてエビデンスが明示されていると回答した学校は全体の3割程度にとどまっています。
文部科学省の自己点検評価ガイドラインにて事例として記載されている項目のうち、この内部質保証と国際交流の2項目については、およそ半数の学校での採用にとどまっています。
また、求人企業、団体等に対する説明責任、入学者への説明、募集対象者への情報提供や募集対象者の所属する高等学校等への情報提供などは、外部向けに役立っていると回答したのは二、三割程度で、ある程度役立っている等を加えても、必要は8割程度にとどまっています。
改善に関する質問に関しては、全職員、教職員での共有という回答が五、六割にとどまっており、是正に関する人材不足が考えられます。
また、第三者アンケート調査では、8割弱が実施したことがない中ではありますが、自己点検評価とほぼ同様の評価項目で、職業実践専門課程の評価基準を多く採用されています。
分野別第三者評価モデル基準、あるいは専修学校、職業実践専門課程第三者評価試行評価基準以外ではリハビリの教育評価機構、あるいはISOの29990、あるいは専門学校第三者評価基準など、第三者評価機構の設定している評価基準が上がってきています。
なお、課題として、第三者評価は費用対効果が問題があるという指摘もありました。
次お願いいたします。自己点検・評価標準モデルを開発しましたが、大項目・中項目・小項目に分類しています。
次お願いいたします。小項目は、各項目に御提出いただきました自己点検評価の小項目を集計し、内容を検討して作成しています。
ガイドラインをベースに各校が使用している自己点検表の大項目を考慮して作成をしています。
次お願いします。モデルはAからCとカテゴリー分けをしています。専修学校は、学校規模や自己点検の取組状況から、3つのカテゴリーに分けて自己点検・評価標準モデルをつくりました。
カテゴリーAは、自己点検評価をするに当たり、基本的な事項としています。Bは、職業実践専門課程の認定を受けている学校向けの自己点検表です。Cは、第三者評価の導入に向けての、さらなる質向上を目指す学校用としてつくっております。
次お願いいたします。御覧のようなカテゴリーで表に分けて整理をしています。
次お願いいたします。利用方法についても概要案を、このような形で、定量的な評価と定性的な評価を小項目と大項目で行うように考えております。
次お願いいたします。なお、次年度はモデルの検証と完成版の作成のために、第三者評価機構の実態調査と「質向上」「質の保証」の推進役の育成するプログラムの開発と検証などを進めていきたいと思っています。
次お願いします。最後の事業になります。専修学校教員の質向上・保証を進めるための必要な教職員研修プログラムの開発についての事業です。
次お願いいたします。2つのワーキングの1つは、職業教育で重要な非認知能力を評価するための教員研修プログラムの開発です。
次お願いいたします。非認知能力の評価基準に関する実態調査をアンケート調査から行い、ヒアリング調査の実態、対象を抽出し、協力校の調査を行いました。
次お願いします。量的・質的調査を行うことは、今年度、コロナ禍の中では若干、一部調査の変更をしております。
次お願いいたします。現場の教員は、非認知能力に関わる評価をどのように実施しているか、評価を行っている場合、どのような評価を、どのような方法で実施しているかという問いを、126校の教務責任者と教員に行い、回収率として90.5%でした。
次お願いいたします。新型コロナウイルス感染のため、アクションリサーチがちょっと困難なことから、インタビュー調査を行い、モデル事例の生成に向けた論理整理を行っています。
次お願いいたします。本年度の調査で明らかになったのは、ベテラン教員は卒業生からのフィードバックや教育実践の積み重ねにより、言語化や教育実践に十分な成果が出ていると思われます。
一方で、実践はできているけれども言語化ができていないケースや、言語化の次元が多種多様で共通した能力観として把握されていないという課題も分かってきました。
ベテラン・新人とも非認知能力の育成の意義を理解し、言語化し、外部に発信していこうとする指向性も若干弱いということが見えてきています。
次お願いいたします。もう一つのワーキングです。多様な学習者のニーズや能力に合致した教育のアダプティブラーニングという言葉で表現して、デジタルコンテンツを活用して実行できる教員を育成するための研修プログラムの開発をテーマにしています。
次お願いいたします。今年度は取組にアンケート調査とヒアリング調査を実施しています。
次お願いします。調査対象は、ここに書かれているような内容になっています。
次お願いいたします。200校のうち、全専研の加盟校126校を含めて、専門学校が135校と短大・大学20校、そして高校と学習塾を行っています。
次お願いいたします。デジタルコンテンツを活用したアダプティブラーニングに関する先進的な取組を行っている学校は複数ありましたが、そのうち対面とオンラインでヒアリング調査を行いました。
35ページになります。ヒアリング結果から見えたものとして、研修プログラムの開発ポイントが8点ありました。
以下のようなものです。マインドセット、事前のアセスメント、授業設計、eラーニングコンテンツの制作。36ページに移りまして、学生・生徒へのアプローチ、ICTを活用した具体的な授業手法、評価基準と学習過程・成果の可視化、そしてICT基礎リテラシーがあると整理しました。
37ページです。次年度は、令和2年度のアンケート並びにヒアリング結果を基に、この以下の要素を加えて、授業準備に関する授業デザインと、授業と授業外での学生への関わり、そしてICT技術の有効的な活用のための必要なスキルを検討していきたいと思っています。
以上になります。御清聴ありがとうございました。

【吉岡座長】 ありがとうございます。それでは、今の御報告に対しての質問、御意見ございますでしょうか。
寺田委員は、今、手を挙げていらっしゃいますでしょうか。ありがとうございます。
どなたか御発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。最後にもし時間があれば、また御発言いただければと思います。
それでは、続きまして関口理事ですね。私立専門学校等評価研究機構、関口理事、よろしくお願いいたします。1事業でございます。

【私立専門学校等評価研究機構(関口)】 第三者評価機関の確立に向けた定義・要件に関する提案事業の御報告でございます。関口です。
まず1ページ、この事業の前提、第三者評価はなぜ必要かということです。
マル1、平成26年の教育再生実行会議第五次提言では、専門学校教育は、教育の質が制度上担保されていないこともあり、必ずしも適切な社会的評価を得られていないとされています。この第五次提言は、専門職大学設立への流れの起点でございました。
専門学校は、この専門職大学との間に不連続を感じ、結局、専門学校は第五次提言の適切な社会的評価を得られていないとされたままなのかというくすぶり感を持っています。
ここから再度、職業実践専門課程、以下、不本意ながら職実と言います。職実を起点とし、社会的評価を得るために、教育の質の担保としての第三者評価の推進が必要であるという現状認識が本事業の前提でございます。
マル2、この事業に関係する最近の動きですが、幾つか触れます。
ⅲ、職実認定後の公表様式「別紙様式4」には、第三者評価受審の有無と受審機関記載欄がございますが、第三者評価と評価機関の定義はなされていません。
ⅳ、学校評価ガイドラインにおける職実の学校評価は、小中学校の学校評価と大学の認証評価との混合になっていて、第三者評価の定義等の見直しが必要になっています。
ⅴ、医療系養成施設への第三者評価義務化の流れが加速していることなどなどが事業の前提に関わる動きとして認められます。
2ページお願いします。2ページです。
マル1、今年の事業は、平成26年度からの第三者評価関連事業の延長上にあります。
これまでは、ⅰ以下の記載のような多様な分野におきまして、分野別第三者評価の評価基準策定とモデル事業などをやってまいりました。
こうした事業実績やこれまでの検討を踏まえ、マル2、第三者評価の在り方については、本年度事業では主にこのように考えました。
ⅰ、まず評価の対象です。職実と、これを有する専門学校及び設置者といたしました。これは、職業教育共通の考え方を企業との連携、具体的には教育課程編成、実習などをその認定要件と明示していて、学修成果の可視化が容易であるなどをその理由としております。
ⅱ、第三者評価の主体ですが、学校評価ガイドラインでは、小中学校の学校評価の観点からか、主体は学校となっています。本事業では、主体は独立した第三者評価機関であり、専門学校は自ら第三者評価機関に会員として参画し受審するという主体性を持つとします。
ⅳ、分野別評価は、職業教育の学修成果の質の高い評価に不可欠であるといたしております。
ⅶ、職実で必要とされる学校関係者評価ですが、ステークホルダーの意見を聴く場としては有効ですが、教育活動や、それを支えるマネジメントの厳密な評価にはふさわしくないとしています。
さて、3ページから4ページに移ります。今後の課題です。
マル1、分野別評価ですが、今のところ、可能な分野は限定的です。業界と学校双方に人材要件・育成目標の標準化に取り組む機運が乏しいという事情があります。
そこで、飛びますが、5ページの参考1を見ていただきたいと思います。すみません、一度。そうですね。
まずは、人材要件の標準化等に熱心で求心力のある職能団体があって、これと連携し、学修成果目標を明確にしようという学校協会が存在するようなケースでは、これまでの文科事業で分野別評価をつくる際にも大変うまくいきました。医療系など少ないケースでございました。
また、この職能団体と学校協会の連携は、職実の認定要件である教育課程編成においても重要な前提となると思います。1つの企業、学校は、団体の標準化された人材要件を踏まえて、教育課程編成に臨めるからでございます。
すみません、元の3ページに戻ってください。業界と学校のこうしたモデル的な関係を増やすためには、まさに分野別評価推進を一つのきっかけとして、各分野の先進校が協力して、学修成果の標準化に取り組み、また業界にも働きかけることが有効であると考えます。
さて、結論めいた話になりますが、最終的な課題と言える点です。飛んでマル6ですが、第三者評価の自主的な推進、いろいろお話もあります職実の実質化の先に、本当に「専門学校の社会的評価・信頼」の獲得があるのかということです。
ⅰ、もし当面の着地点が見えなければ、一部の専門学校にとっては第三者評価は負荷が大きいと言えます。大き過ぎます。
ⅱ、また、社会的評価獲得に、そこに記したような他の方法もあるのではないか。それらと第三者評価という手だてとの関連はどうなのかという課題でございます。
ⅲ、最後に4ページ目でございますが、日本の職業教育が合理的な職業教育分野分類とレベルごとに標準化された学修成果指標によって体系化され、またその体系が国際通用性を持つ方向へ、国全体として大きな動きが形成されることが必要です。
専門学校の第三者評価も、さらには第三者評価が目指す専門学校の社会的な評価・信頼も、結局、職業教育全体のこうした体系化への国の動きがあってこそ大きく促進されると思われます。
以上、課題を述べさせていただきまして、本事業の報告とさせていただきます。ありがとうございました。

【吉岡座長】 ありがとうございます。それでは、御質問、御意見を受け付けたいと思います。
浦部委員、よろしくお願いいたします。

【浦部委員】 すみません、実は先ほど1回手を挙げてしまって、ちょっと時間がまた次に進んでしまったので、まとめて御質問させていただきたいと思うんですけれども。

【吉岡座長】 失礼いたしました。

【浦部委員】 今、関口先生のほうの、ちょっと負荷が大き過ぎるというお話もありましたけれども、やっぱり評価の問題で、先ほどもございましたが、自己点検、評価アンケートの件で、高校向けになかなか発信が難しいということの理由の中に、人材不足というところでお話がございました。負荷が非常に大きいということと人材不足ということと、それからやはり先ほども三菱総研様のほうのお話もありましたけれども、何か専門学校内部でも、なかなか内部で共有が難しい部分があったり、それを充実させた形で外部に発信することに非常に負荷がかかっているということを考えると、なかなか高校という立場で、質保証の職業実践専門課程の内容について把握して、それを実際、進学していく生徒たちに向けて発信をしていく、あるいは生徒たちが自分たちが教育内容に、それ実感をして進学をしていくというところにまで至っていかないと思います。質問というわけではないんですけれども、高校側としては、かなり乗り越える壁が高いような、そのハードルが高いような、そのような印象を受けております。

【吉岡座長】 ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
では、今の点につきまして、関口理事から。

【私立専門学校等評価研究機構(関口)】 ちょっと御趣旨に答えられるかどうか分かりませんが、1つは、そこにも記しましたけれども、こうした第三者評価等々学校評価をやっていくときには、例えば今の学生支援制度に対しても対応しなくちゃいけないとか、様々な事務局側の負荷がかかるということもございまして、組織的な体力を持った専門学校でないと、なかなか対応できない。人材不足ということも、それに関わるんでしょうけれども、そういうこともあるかと思います。
もう一つは、やはりそういうことをやってどうなるのかと。つまり、第三者評価をすること自体は、高校への発信ということとはまた別だと思いますけれども、第三者評価を進めていく先に、結論のところで申し上げましたように、専門学校の信頼が大きく得られて、その結果として、自分たちの学校にも最終的な恩恵があると。高校にも、保護者の皆さんにも、社会全般にも、専門学校というものが認知されていくんだということがはっきり見えれば、ぜひ頑張ろうじゃないかということになっていくんだろうと思うんですね。
ですから、高校の先生方の感じ方と距離があるかもしれませんが、そこのところを大きな課題と、それから我々自身のほうも、一つ一つ業界との関係を、それぞれの分野ごとに構築していくという難題に取り組んでいかなくちゃいけないと、そういう我々の課題というものがございますので、おっしゃるとおり、大変大きな壁があるとは感じておるところでございます。
お答えになったかどうか分かりませんが。

【浦部委員】 ありがとうございました。

【吉岡座長】 ありがとうございます。では、吉本委員お願いいたします。

【吉本委員】 いいですかね。

【吉岡座長】 はい、どうぞ。

【吉本委員】 関口委員が今、職業実践専門課程と専門職大学が不連続であると報告されました。しかし他方で、これらの事業は2年制の専門士に対応した職業実践専門課程を中心としており、それとほかの専門課程、1年制課程や3年制、4年制課程というのは連続しているんでしょうか。
特に、これは前回の会議でも発言したのですけれども、NIC(国内情報センター:大学改革支援・学位授与機構「高等教育資格承認情報センター」)は大学における「大学ポートフォリオ」に対応して専門学校の情報提供をしていますが、そのNICの専門学校についての情報提供は専門学校の多様な課程を十分に理解していません。1年制課程が高等教育としての認知をされていないのです。例えば、NIC、高等教育資格承認センターの専門学校検索で中村調理製菓専門学校のページを見ますと、1年制課程については、「授与する資格」が例示される学位・資格のうちの「いずれでもない」と書いあります。いずれでもないというようなものは、全く質が保証されていないということになるでしょう。いくら職業実践専門課程の実質化を続けていったとしても、あるいは職業実践専門課程のポートフォリオを大学と同様に進めたところで、その完成まで1年生課程は取り残される存在になるのでしょうか。
吉岡部会長が座長をされている中教審大学分科会の質保証システム部会のほうでも、2020年9月28日の第4回で、専門学校が質保証されていないという議論がありました。議事録には、「実際に十分な質保証をされていない高等教育を名のっている機関からの、大学への編入とか、大学院への進学とかそういうものの質を、どのように国として担保していくのかということを考えていかないと、共倒れになってしまうのではないかと思っております。」という高等教育関係者の意見があります。その後の質疑応答からも専門学校を示唆しているものと読めます。
これは、むしろ金城室長にお聞きすることなのかもしれませんけれども、東京規約に基づいた専門学校の課程についての情報提供システムは、1年制課程も高等教育のレベルであると考えて作成されているはずですが、この「いずれでもない」という資格、制度として認知できる資格も称号も出していない、そういうものをどこまで放置するのが、専修学校の質の保証・向上になるのでしょうか。関口先生、吉岡部会長、金城室長それぞれに、お聞きしたいと思っているところです。
諸事業の報告を聞いてみますと、みんな一生懸命、専門学校職業実践専門課程の質の保証・向上を進めていただいているのですけれども、多様な課程にかかる取り組みの「不連続」がいろんなところに、もっとあるように思うのですけれども、どうでしょうか。

【私立専門学校等評価研究機構(関口)】 じゃ、私からでよろしいですか。

【吉岡座長】 どうぞ、関口理事。

【私立専門学校等評価研究機構(関口)】 吉本先生、私は、1年制とかいうことについても、基本的に職業実践専門課程の考え方が大事で、企業との連携ということですね。企業と連携して、認定要件、具体的な教育課程編成を行うとか、実習をきちんとやるとか、企業実習をやるとか、教員の鮮度を保つ研修をきちんとするとか。教員の実務家教員の規定は必要だと思いますけれども、そういうふうなことが大事であって、それであれば、1年制であっても、2年制であっても、3年制、4年制であっても、これは基本的にあれば、それは職業実践専門課程の内実ですから、それを1年制が職業実践専門課程であっても私は構わないと思っています。
むしろ、1年制、2年制、医療系に多い3年制、あるいは高度専門士課程という4年制の学修成果のレベルというものですね。標準化された学修成果のレベルというものは、むしろそこで企業は求めるものとの関係の中で、はっきりさせていくということのほうが大事じゃないかなと思っております。
それと、不連続の話というのは、ですから、これ最後に私述べさせていただきましたような、職実の実質化をずっと頑張りますと。また第三者評価も自主的にやってきますといった先に、どういう職業教育全体の社会的認知に係るゴールがあるのかというところが不透明なところからも、この不連続というものは感じると思っております。

【吉本委員】 その点、同感です。

【吉岡座長】 では、事務局お願いします。

【金城専修学校教育振興室長】 どうも御質問ありがとうございました。1年制の課程をどうするかというところですけれども、まず設置基準で申し上げれば、修業年限1年以上、授業時数800時間以上というのが、専修学校の要件といいますか、最低基準になっておりますけれども、それを上乗せしたプラスアルファして、一定の質、授業時数の固まり、そういったもので2年制以上というところで、専門士の称号を付与する、また職業実践専門課程も同じように2年制以上とは考えております。
ですから、今、先生が御指摘いただいたような1年制以上もどうするかということにつきましては、今後そういった課程も含めて質保証をどうしていくのか、専修学校制度をどう考えていくのかというのは今後、先生方から御意見を頂ければと思っております。

【吉岡座長】 吉本委員、どうぞ。

【吉本委員】部会長にお話をお聞きしようと思いながら、今の金城室長のお話で、ちょっと続けておきたいと思います。NQF(国家学位資格枠組)をつくろうとしたらば、高卒者のレベルがおよそのベースラインになります。それにプラス1年の学修を行う1年制プログラム、プラス2年の学修を行う2年制プログラムというレベル設定が必要です。アングロサクソン圏であれば、「サーティフィケート」と「ディプロマ」という定番的な学位・資格の呼称があります。きちんとそれぞれのプログラムの積み上げのモデルがあるわけです。「サーティフィケート」に対応する学位・資格・称号を日本でも学校教育法等にきちんと書くことが必要です。職業実践専門課程を創設し、多数集まったが、まだ実質化ができていないと改善方策を探し続けること自体は悪くないと思います。しかしそれだけでは、何か重箱の隅を一生懸命つついているようです。特に職業実践専門課程が完成しないので、ほかの1年制課程のところが後回しになっている。そのうち、この東京規約での情報提供があるために、1年制課程は授与する学位・資格がないという共通理解が進んでしまう懸念があります。そうなれば、「質の保証をされていない高等教育と名のる制度」という、ある種の揶揄が正当化されてしまいます。こういう現状というのは、やはりこの会議の重要課題として考えていただきたいと思います。

【吉岡座長】 吉岡ですけれども、今おっしゃられたことというのは非常に根本的なことだと思っております。例えば学位とは何かということであったり、あるいは個々の科目レベルでも単位とは何かということに、ある意味で根本的に関わってしまうことで、非常に難しいことだろうと思います。
それから、やはり日本の学校制度がいろいろ複雑になっていて、それぞれの間の行き来といいますか、が難しくなっている一つの原因でもあるだろうと思います。
ただ、これから変えていくというときに、例えば非常に客観的に、ある種の技術であるとか技能であるとかというのは、ある程度の指標を立てて客観化できるだろうと思うんですが、教育の成果というように漠然としたものになった場合には、漠然というか、非常に重要なんですけれども、評価しにくいものになってくるというので、それを、今の学校制度の外側にそういうものをつくるというのはなかなか難しいのではないかと思います。
そういう意味では質保証というのは、やはりそれぞれの学校が、まず自分たちの目標であるとか目的ということをきちんと立てて、こういう学生を育てる、こういう技能を身につけさせるということを明示して、それについての自己評価及び相互のピアレビューのようなシステムをつくっていくということが、まず行われていく必要があるのではないかとは思っております。
なかなか根本的に組み直すというのが難しい以上、大きな問題だと思いつつ、具体的にどうしていくのかなというのは難しいなと思っております。
ただ、同じように第三者評価機関の、先ほども議論の中にありましたけど、第三者評価機関につきましても、例えば、ある種の職業に特化している場合には、例えば企業であるとかそういうもの等を含めた第三者機関というものを組み立てていく必要がありますけど、同時に、やはり基本的に、ある種のピアレビューとして、学校間のお互いの評価というものを基準にしていくということは外さないほうがいいかなと考えているところです。
あまりお答えになっていませんが、いかがでしょうか。
吉本委員、どうぞ。

【吉本委員】 いいでしょうか。「学校制度の外側に何かつくる」というのは、学位・資格枠組み(NQF)の話と関わってのお話かと思います。私の理解は、学位・資格枠組みとは、むしろ学校制度に沿って、教育プログラムの成果を、測定しにくい学修成果を理念的なベースにしながら、そのベースを特定の教育・資格レベルの共通の目標基準として教育プログラムの質保証の要にしていくものです。そのNQFを国際的に構築し相互理解を深めることで、お互いの高等教育の国際通用性ができると思うのです。そして、職業教育の場合には、基本は同じことなのですが、関口さんが説明されたように、一言追加して、学校サイドの学校関係者の内部だけで、ピアレビューするのでは社会的に認められていかない部分があると思うのです。ちょっと僕ばかり時間取ったらいけないので、ここまでにしておきます。

【吉岡座長】ありがとうございます。今おっしゃられたことは、私もそのとおりだろうと思います。
いかがでしょうか。何か特に今、発言があればと思いますが。今の問題、非常に大きな問題で、今後も多分、議論の中核部分をなしていくことだろうと思いますので、今後に引き継いでいきたいと思います。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、以上で事業の取組状況のヒアリングを終わらせていただきたいと思います。
前回会議において専修学校教育をめぐる今後の論点について検討いたしましたが、これらの事業の中でも調査分析、それから検証、手引などの作成、プログラム開発などが行われております。具体的な成果も必要に応じて会議にフィードバックしていただいて、議論を進めていきたいと思います。
発表者の皆様、お忙しいところ、どうもありがとうございました。大変勉強になりました。
それでは、次の議題に移りたいと思います。検討すべき具体的な論点について、事務局より資料の説明をお願いいたします。

【金城専修学校教育振興室長】 まず、資料2-1に基づきまして御説明申し上げます。
まず、1枚目の下方でございますけれども、前回会議における主な意見からの論点ということで、前回の御議論の概要は資料2-2につけておりますので、そちらをまた適宜御参照いただきたいと思いますけれども、主立ったものを5点ほど挙げてございます。
地元産業界、企業や専門学校、高校との連携強化は必要であろう。また、今後リカレント教育がますます重要になってくるのではないかといったことですとか、あと、こちら座長のほうから最後ございましたけれども、企業や、あとNPOも含む地域社会、そういったものと大学、専門学校との連携、これはリカレントの文脈でございましたけれども、必要ではないかと。そのためには企業のニーズや地域のニーズをしっかり把握することが必要だろうという御意見もございました。
また、制度的な話で言いますと、都道府県等も含めた財政支援をはじめとする専修学校教育の質の確保のための改革方策の検討が必要だろう。
また、先ほどもございましたけれども、2年制未満、また4年制以上の課程も含めた国際通用性等を意識した質保証における専修学校制度の点検が必要ではないか。そういった御意見がございました。
この1枚目の一番上のほうに参りますけれども、今後の論点につきましては、前回の会議でも御意見を頂戴しておりましたけれども、その際、具体的な論点として、職業実践専門課程制度の充実、また今後の専修学校教育の在り方の2つの観点から6つ例示をさせていただきました。
このうち、ちょっと薄くなっていますが、(1)の1ポツ目の教育の体系化・可視化や職業教育のマネジメントの視点につきましては、前回イメージを提示させていただきまして、御意見も頂戴いたしました。今後この会議で具体的内容について検討していただくことにしております。
本日は、前回の議論も踏まえ、その他の観点例のうち、適切な情報公開の在り方、そして学校評価の在り方につきまして、考えられる論点を次のページ以下で紹介させていただいております。
2枚目を御覧ください。認定課程を有する学校につきましては、全ての専門学校の4割弱、また2年制以上の学科の4割となってございます。認定学科を持たない新規の学校からの職業実践専門課程の新規認定の比率は近年横ばいになっておりまして、ある種、固定化が進んでおります。ここでは、職業実践専門課程としての情報公開に特化して資料を御用意していますけれども、認定を受けるためには、それにふさわしい学科を都道府県が推薦するということになっておりまして、文部科学省で審査、認定を、各専門学校が推薦の際に提出した書類に記載の情報と同一のものを、各学校が認定課程として情報公開することになっております。先ほども三菱総研様の御説明でもありました別紙様式4という様式でございます。
制度の趣旨を踏まえて、一層の質の高い教育活動を継続していただくために、これらの要素について審査、情報公開の両面から、修学支援新制度との情報公開項目の重複なども踏まえつつ、より情報の体系化や複層化等を行って、かつ企業等と連携した教育体制などの特徴深く審査できるような在り方を検討し、職業実践専門課程を実質化するなどが今後考えられるのではないかと考えております。
次に、3枚目を御覧ください。学校評価につきましては、専修学校制度においては、自己評価を義務としつつ、学校関係者評価が努力義務とされております。職業実践専門課程では認定要件となっております。
今後、さらに第三者評価との関係についても整理していただく必要がございますけれども、ここでは、まず認定要件になっております企業等委員が参画する学校関係者評価における運営方法等の改善の観点を示しております。
論点としましては、委員の構成ですとか、委員会の運営など、外部性の確保、また評価項目の追加の検討、また第三者評価の記述の整理などが考えられます。
下のほうに図がございますけれども、例えば右下のほうの、ちょっと小さくなっておりますけれども、平成30年度の実態調査の結果ですと、下から2番目に、その他の1つ上に、この評価委員会の長ですけれども、委員長を選任しておらず、学内の教職員が委員会の司会・進行を行っているといったような事例が、まだ4割ほどあるように、委員会の運営方法等についても、今、具体的な指定もございませんけれども、こういった観点も一つ、今後の検討課題になってくるのかなと考えております。
説明、以上でございます。

【吉岡座長】 それでは、2-2、続けてお願いします。

【河村専修学校教育振興室長補佐】 資料2-3を御覧いただきたいと思いますけれども、こちらについて、私から御説明をさせていただければと思います。
職業実践専門課程におきましては、先ほど三菱総研の委託事業ヒアリングでの御紹介ありましたように、認定された学科が引き続き認定要件に適合しているということを確認するために、おおむね3年が経過するごとにフォローアップを、平成29年から実施をしているところです。
この目的でありますけれども、外形的には、認定した課程として要件を引き続き満たしているかどうかを確認するということが、まず、ありますけれども、職業実践専門課程の教育の質というものについて、新規認定審査をするという入り口だけではなくて、その水準を、年数経過しても維持できているかということを確認する必要があろうという視点ということで、フォローアップは進めてまいります。
こうした中で、認定後3年目を見ますと、やや形骸化が見られるとか、取組の減速が生じている可能性があるのではないかと思われるような学科も見られるようになってきたということがあります。
こうした課題意識の下に、認定課程としての取組を継続していくということのためには、そもそも職業実践専門課程が、どういった趣旨で認定を行っているかということ、在り方を踏まえた、そういう点を含めて確認をするというような方法を検討して、それぞれの認定要件というものが有機的に連携をして、実質的に機能しているかどうかを審査する方法がないかということを、先ほどの御紹介にありましたように、平成30年度からフォローアップ審査の方法ということを、プロセスですね、これを毎年検証を行いつつ、行いながらフォローアップを進めてきているということがあります。
具体的には大きく2つの観点がありまして、右側の検証例マル1にありますように、認定を満たして取り組んでいることを効果的、実態的に確認するための調査票というものを、どういった形がいいだろうかということの検証。
それから、2ページ目を御覧いただきたいと思いますけれども、検証例のマル2がございますけれど、それでは、それで提出された調査票を基づいて、確認結果をどのような視点で評価すべきだろうかという大きく入り口と、実際のその評価の方法という2つの観点から検証を進めてきているところです。
これらは毎年度のフォローアップの検証結果を踏まえて、そこでまた、なかなか課題等も見えて、あるいは改善点も見えてきますので、次の年度の検証に、その改善を生かしていこうということでブラッシュアップしながら手法を取ってまいりました。
3枚目御覧いただきたいんですけれども、来年度、令和3年度は、一応この検証も3年目ということになりますけれども、引き続き検証を、最終年度ということでありますけれども、この中では、現行、このフォローアップというものを実施要項、こちら局長決定の文書でありますけれども、ここに実施要項の中にフォローアップを定めているわけですけれど、これを令和3年度の検証に合わせて、これまで検証して開発をしてきました確認票というものを念頭にして、実施要項に、まずは、そのフォローアップの仕方について少し位置づけた上で検証を実施していきたいと考えているところです。
なお、ここのフォローアップの検証でありますけれども、既に複数年度で実施してきておりまして、こうした調査票の作成というものが、毎年度、その対象学科を有する学校にはお願いをしているわけですけれど、この実施要項の改正で、それに加えて新しい負担が生じるというものではないわけですけれども、位置づけというものを少し整理しつつ、検証を今後進めたいということであります。
それで、併せまして方法の改善という観点ですけれども、その対象学科の抽出の方法とか、あるいは添付資料、エビデンスをどうあるべきかとか、あるいはヒアリングを組み合わせる場合に、どうした効果的な方法があるかといった手法全体についても、併せて検証していきたいと思っております。
なお、下の矢印のところですけれども、中期的と書いてありますが、将来的には、今後このフォローアップの方法とか効果を踏まえながら、様々な活用の方策とか、あるいは先ほども御紹介いたしましたように、教育の体系化・可視化といった視点との関係とか、あるいは先ほどの情報公開のところでも御紹介させていただきましたけれども、推薦のプロセスとか情報公開といった在り方というような運用面での改善とか、あるいは第三者評価との仕組みとの関連性といった様々な検討課題、今後議論していくべき課題との組合せの中で、職実の運用改善とか制度改正ということにもつなげていければ、つなげていきたいと思っているところであります。
御説明は以上でございます。

【吉岡座長】 ありがとうございます。それでは、今の事務局からの説明について御意見等ございましたら御発言ください。
浦部委員、今、何か御発言、挙手されていますか。これは違います。はい、分かりました。
では、寺田委員お願いいたします。

【寺田委員】 どうもありがとうございます。事務局が期待されるような発言ではありませんけれども、2点、取りあえず申し上げたいと思います。
1つは、今日、再三出てきまして、先ほど関口先生もお話に出ました出口の話ですね。今、河村さんの話でいうと、今後の職業実践専門課程の改善とか改革とかということに関係する話です。
ちょっと思い出話を含めて触れますけれど、この10年以上、専修学校の質保証だとか、それから専門職大学に関わってきまして、印象からすると、平成25年より前から新たな職業教育機関の構築の話をやっている途中で、25年度途中から実践課程が立ち上げられたという経緯ですよね。
そのとき私たちは、もう放心状態になったんですけれど。えーっという感じで。全専各は、これを割と前向きに評価していて、実践課程というのは専門職大学、短期大学の「見える化」という役割を果たしたんだと言っていますね。私に言わせれば、クッションといいますか、中二階といいますか、ということで、先ほどどなたか言われたように、専門職大学、短期大学との関連、もちろん旧専門課程との関連だとか、これもあるんですけれど、これを基本に何か考えていかないといかんのではないかと思います。
ちょっと思い切って言いますと、一つの方策としては、専門職大学あるいは短期大学に実践課程を近づけるという、場合によっては、それを超えてもいいというぐらいの特色を出していって、全体として、この実践課程が高等職業教育のレベルのどこかに位置づいていくという、そういう必要があるのかなと思います。
そういう点では、例えば学位機構であるとか、いろんなところと連携しないと、なかなか進まないのかなという気がしております。これが1点目です。
もう一つは、今も出てきた実質化の話です。これは今の河村さんじゃなくて、前の河村潤子さんが局長だったときから議論が始まっていて、実質化ということが課題になっているんですけれど、今日の話を聞いていますと、実質化というのは、一番最初の三菱の報告が典型的にそうでしたけど、認定要件を満たしているか満たしていないか、満たしていることを実質化というふうに、どうも理解しているようで。私はそうじゃなくて、それはもちろんですけれども、職業実践専門課程の最も特色である実践的教育ということに関して大いに充実、拡充していくということを僕は実質化と捉えたいなと思っているんですね。
そういう点で言うと、今日の資料の令和2年度における検証例マル2、書面調査の結果判断方法などのAのところ辺りに出てくるんですけれども、企業と連携した教育課程編成であるとか、あるいは実習、実技、実験または演習、特にこれは企業実習ですね。こういったことに関して、一定の量的な基準というのを設定してみたらどうか、そういうことを考えてみたらどうかと私は思っています。それなしに、高等教育機関との関連だとか、接近だとか、あるいはそれを超えていくということは非常に難しいと思いますので、そんなことを今、考えているということで、意見に代えさせていただきます。失礼しました。

【吉岡座長】 ありがとうございます。では、多委員お願いいたします。

【多委員】 職業実践専門課程の推薦・公表の在り方の検討という2枚目のスライドでございます。職業実践専門課程の認定要件に関わる企業等連携の取組の情報というところで、皆様も御存じのとおり、言うまでもなく、職業実践専門課程の趣旨というものは、企業との密接な連携ということでございます。主な認定要件は、その企業等との連携によって教育課程の編成、演習、実習、それから教員の実務研修、学校評価の実施ということになりますが、これ果たして企業でいいのかと。企業ではなく、企業を包括的に見たときの業界、もしくは分野という位置づけである必要があるのではないかと思っています。
この点は、前回のこの会議でも少し触れましたけれども、企業連携ということが、一つの企業ではなくて、その分野とか、もしくは業界、先ほど関口先生のほうから職能団体というお話も出ましたけれども、そういった分野や業界としての統一した見解とか要望といったものを基に、各学校が養成すべき人材像を明確化した上で、認定要件を満たしているのかという点に着目をしないといけないと思います。
専門学校の優位性というのは、取りも直さず社会や時代のニーズというものを的確に捉えた特色ある教育を行うことということは間違いないわけですが、いわゆる、この自由度の高い教育というものを行うことの前提といたしましては、それぞれの分野、もしくは業界の標準というものが満たされていること。その上で、企業とどのように連携をしていくかということが大切であると考えております。
よって、これから先、職業実践専門課程の実質化等々を考えていくときには、企業というよりも、業界、団体、そこからの統一した見解、要望というものがきちっと反映されているのかという点に着目する必要があると考えています。
以上であります。

【吉岡座長】 ありがとうございます。では、前田委員お願いいたします。

【前田委員】 ありがとうございます。私も今の議論の方向性とはちょっと合っているわけではない意見を述べさせていただきたいと思いますが。
まずその前に1つ、今の御説明にあった資料の中で、認定要件を充足できていないと考えられる学科、または認定要件の充足状況を、資料を通じて説明できない学科という、その中に、修業年限が1年以下であるとか、総授業時数、単位数が必要数に達していないというのが出てくるのが、ちょっと信じ難い気がしていて、これは、どうしてこういうことになるのでしょうか。もし、単なるその資料が提出が間違っていて確認できなかったというんだったらいいんですけれども、これはかなり大きいことではないかなと感じたので、もし何かお分かりになることがあれば、後で教えていただければと思います。
もう一点は、寺田委員が先ほど川口委員の御発表の後でおっしゃっていたAQF、EQF、これは大学も見据えて、全体で見てつくっていかなければいけないのではないかとおっしゃったことに関して、例えばEQFとかAQF、アジアは、やはりある意味、後発なので、モデルをヨーロッパに求めてつくっていっているのではないかと思うんですけれども、アメリカは、たしか、ほとんどつくられていないと思っています。それはなぜかというと、これは完全に私の推測なんですけれども、大学にはいわゆる教養教育の部分がありまして、いわゆる大学型の教育機関と職業教育を主とした教育機関の、いわゆるクオリフィケーションフレームワークが総合的につくれるのかどうかと、この辺りがちょっと気になっていまして、例えば寺田先生、川口先生、吉本先生から、もし御意見があれば伺いたいと思います。
ちょっと本筋から外れているんですけれども、気になりましたので、発言させていただきました。

【吉岡座長】 ありがとうございます。では、佐久間委員の御発言を伺った後、そろそろ時間なんですけれども、少し時間を取って、今の御意見に対する対応を考えたいと思います。
では、佐久間委員お願いいたします。

【佐久間委員】 佐久間でございます。私のほうから、前回も申し上げたところですが、やはり企業との連携を図っていく点が必要であると考えます。専修学校、専門学校については、「即戦力となる人材を輩出する」という観点から、中小企業、特にその地域の中核となるような中小企業はもちろんいっぱいありますし、個別の中小企業としては、人材の確保として期待しているところがすごく大きいといえます。ただ、実際には、それがあまり専修学校、専門学校と、その個別の企業や、先ほど業種別の団体等々のお話が出ましたけれども、団体・組合との連携があまり進んでいないのではないか、というのが率直な実感であります。
私も、文部科学省の職業実践教育関係や専修学校による地域産業中核的人材養成事業等の審査をさせていただいている関係で応募事例を拝見させていただいていると、どうしても自分のところの出身者とか、今まで仲よくつきあいをしてきた企業に、多くの卒業生を送り込んでいる事例が多く、もっとその対象範囲を拡げていかなくてはならず、現状、範囲がすごく狭いなという感じがしておりました。
そういうためにも、各県には同じような、技能・技術を養成する、例えば理・美容業者とすると、各県の生活衛生同業組合、これはコース科目を設定している皆さん方の方がどのような業界団体等が存在しているのかお詳しいと思いますけれども、そういう団体・組合があったり、地域を代表する業界などに接していくというのが、今後ますます必要になってくると思います。県内地域には、様々な業種の団体・組合が多数ありますから、そこは、各都道府県にある中小企業団体中央会に相談をしていただきたいと思います。
あとは、文部科学省様から提示いただきました資料ナンバー2-3のところにフォローアップの方法について記載がありますが、フォローアップを行うことは重要であり、その流れは、当然、記載のとおりに実施していただくことが有効なのではないかと思います。
ただ、フォローアップの期間がちょっと長いような気がしています。これだけの人材というか、人づくりということになれば、それだけの養成する期間が必要になるかもしれませんけど、技術・技能をすぐ生かせるような、即戦力というか、即効性というのが求められています。フォローアップを実施した成果を何か取りまとめる方法というのも全体的に検討する必要があるのではないかなと思います。
最後、繰り返しになりますけれども、地域の中小企業にとって、専修学校、専門学校の卒業生を欲しい、というのは、若い人材を採って、育成したいということです。それは、やっぱり中小企業にとって、非常に有効な方策だと思っています。今後は、専修学校、専門学校と地域の中小企業が両方からアプローチをして、何か工夫を図っていくことが必要であり、ただ単にその職業の紹介の場面を持っていくということではなく、行政等が間に入っていただいて、お互いを結びつけることが重要であり、そこに中央会を何か役立てていただければ、効果的になるのではないかと考えております。 以上でございます。

【吉岡座長】 ありがとうございます。
あと、小杉委員が挙手されています。小杉委員お願いします。

【小杉委員】 どうもありがとうございます。時間がないから、やめようかなと思ったんですが、せっかくですので。
気になっておりますのは、先ほど業界団体とか、職能団体とか、団体としての関係を持つということが、私も大変大事だと思っています。そこで、大学のほうで出てきていましたが、地域連携プラットフォームというのは、これは職実なんかが、むしろ中心的な役割を果たすべきような機関なんじゃないかなと思いまして、地域連携プラットフォームとの関係はどうなっているんでしょうかということ、これは文科省に聞きたかったことなんですが、もし時間があれば教えてください。

【吉岡座長】 ありがとうございます。それでは、事務局のほうで、先ほどの前田委員の認定条件を満たすものと全く満たしていないものの扱いというようなことと、それから今の地域連携プラットフォームとの関係で何か御意見あれば、お願いします。

【金城専修学校教育振興室長】 ありがとうございます。先ほどの資料2-3の2枚目でしょうか。こちらはCとか、ABCと記載したものは、検証例でございまして、こういった事案が実はあるわけじゃなくて、こういったCのような修業年限が1年以下であるとか、企業との連携が十分なされていないと。ですから、実際には、こういった要件を満たしていないような事例があった場合には当然、取消しといいますか、退場していただくような事案になるということで記載したものでございます。
ですから、要件の逆を書いたというものでございます。

【吉岡座長】 あと、地域連携プラットフォームのことは何か事務局のほうでお考えがありますでしょうか。

【金城専修学校教育振興室長】 専門学校に特化して何かということはございませんけれども、高等局とも連携しながら、こういった動きがあるというのは承知しておりますので、各地域のほうで、地域連携プラットフォームに専門学校も参画できるように、我々としても情報をお届けしたいと思っております。

【吉岡座長】 ありがとうございます。ほぼ時間になってしまいましたが、今是非ということがあれば。川口委員、何かございますでしょうか。短くお願いいたします。

【川口委員】 いや、もう時間ないので、手を下ろしたつもりだったのですけど、一言だけです。先ほど前田さんおっしゃったアメリカは、確かに国全体としてはないのです。ああいう国ですから州ごとには結構幾つかあるということだけ、それだけ申し上げます。時間がないから。

【吉岡座長】 ありがとうございます。産業のというか、産業社会の組み方は、国とか地域によってものすごく違うので、特に職業を中核に置いた教育を考えるときに、外側との連携といいますか、出口の連携を考えるときに、やはり国ごとの違いがいろいろあるので、直ちには参照しにくいということは、かなり大きな問題だろうと思います。
それから、職能団体ということについても、やはり日本における職能団体というのは、それ自体が議論のあるところだと思うので、なかなか難しいと思いますが、今後考えていく重要な観点だろうと思います。
全体として、やはり、それぞれの制度の目的ということについて、もう一度確認し、それこそ目的がうまく浸透していないということも一つ大きな問題だと思いました。その点も含めて今後、考えていく必要があるだろうと思います。
それから、これは私の意見ですが、やはり個々の学校が、自分たちの学校が何をしようとしているのかという目的をきちんと自覚していて、それがどこまで教職員に浸透していて、学生といいますか、生徒も、それを理解した上で入ってきているかということがうまくいけば、マネジメントというのは、そもそもうまくいくわけなので、やはり、そもそも浸透していないのが結構大きい問題かと思いました。
あと、やはり職員の役割ですね。職員の役割が非常に重要だというのは、これまでの幾つかの、先ほどのプレゼンの中で発表されたことの一つの課題だろうと思いました。
それでは、すみません、何となく不消化な状態ですけれど、消化不良ですけれども、ほぼ時間ですので、今の議論はここで終わらせていただきます。
それでは、報告事項を、事務局からお願いいたします。

【金城専修学校教育振興室長】 もう時間超過しておりますので、手短に申し上げます。
まず、資料の3でございますけれども、今年度の職業実践専門課程の認定結果が出ましたので、御報告でございます。認定状況のR2年度と書いているところが今年度の結果でございます。86校が新たに認定学科になりまして、学科数でいいますと131学科、合計でいいますと38.5%の学校、学科ベースでいいますと42.3%となってございます。
引き続き、その過去の経緯を見ますと、若干ではございますけれども、増加傾向ということでございます。
それから、資料の4でございますけれども、この3月9日に、新しい広報プロジェクトとしまして、「専修学校 #知る専」という取組をスタートいたしました。先ほど来、広報の話もございましたし、職業実践専門課程の認知という話もございました。まず中高生たちに専修学校の魅力をしっかり伝えるということで、ポータルサイトを中核にしまして、あとツイッターですとか、YouTubeとか、あとインスタグラム、こういった中高生になじみの深い媒体を使って、ポータルサイトのほうに誘導していくと。しかも、そのポータルサイトのコンテンツは、専修学校の皆様から作っていただいたものを掲載するということで、現在100以上のコンテンツが掲載されております。
次年度も引き続きコンテンツの募集をかけますので、こちらを充実させながら、職業実践専門課程を中心に、各学校の取組をしっかり発信したいと思っております。
以上でございます。

【吉岡座長】 ありがとうございます。もう時間ですので終わりにしたいと思いますが、何かどうしても発言しておくべき方がいらっしゃれば。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、これに加えて何か事務局からございますでしょうか。今後の予定等。

【金城専修学校教育振興室長】 最後、資料の5でございます。今後のスケジュールでございますけれども、令和3年度につきましては、おおむね3回程度を予定しております。次回は6~7月と記載しましたが、6月頃を予定しております。その後、秋口、冬場に、また開催をと考えておりますので、また改めて先生方には日程調整をさせていただきます。
以上でございます。

【吉岡座長】 ありがとうございます。コロナ禍で何となく議論も不消化な感じがいたしますが、今年度の会議は以上で終了ということにさせていただきます。どうもありがとうございました。

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