専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議(第31回)議事録

1.日時

令和6年1月24日(水曜日)10時30分~12時30分

2.場所

5F2会議室(WEB会議併用)

3.議題

  1. 報告書(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

芦田 宏直  人間環境大学統括副学長
植上 一希   福岡大学人文学部教授
浦部 ひとみ 東京都立葛飾総合高等学校進路指導部、東京都高等学校進路指導協議会事務局次長
大谷 武士  全国中小企業団体中央会労働政策部長
多 忠貴     学校法人電子学園理事長
河原 成紀  学校法人河原学園理事長
小杉 礼子  独立行政法人労働政策研究・研修機構研究顧問
佐藤 由利子 東京工業大学環境・社会理工学院融合理工学系地球環境共創コース准教授
寺田 盛紀  京都先端科学大学客員研究員、名古屋大学名誉教授
前田 早苗  千葉大学名誉教授
吉岡 知哉  独立行政法人日本学生支援機構理事長
吉本 圭一  滋慶医療科学大学教授

文部科学省

望月 禎    総合教育政策局長
淵上 孝    審議官
石橋 晶    生涯学習推進課長
中安 史明   専修学校教育振興室長

5.議事録

【吉岡座長】  それでは、定刻になりましたので、ただいまより専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議を開催いたします。
 本日は御多忙の中御出席いただき、誠にありがとうございます。
 大変な年明けになってしまいましたけれども、被災地の皆様には心からお見舞い申し上げたいと思います。また、幾つかの専修学校、大学も被災されているということで、本当に復興が一日も早く進むようにと願っております。
 それでは初めに、事務局に交代がありましたので、御紹介いたします。淵上審議官から御挨拶をいただきます。淵上審議官、お願いいたします。
【淵上審議官】  今、御紹介いただきました淵上でございます。1月1日付で放送大学から、大臣官房審議官総合教育政策局担当ということで着任をいたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
【吉岡座長】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 続いて議題の報告書(案)について、事務局から御報告をお願いいたします。
【中安専修学校教育振興室長】  専修学校教育振興室の中安でございます。それでは、報告書の案について御説明申し上げます。概要は資料1に記載をさせていただいておりますので、その内容に沿って報告書の中身を御説明させていただければと考えてございます。
 まず資料2、報告書の表紙を御覧ください。「専修学校の教育の質保証・向上と振興に向けて(案)」ということでタイトルを書かせていただいております。
 1ページ目、「はじめに」でございますけども、専修学校の概要につきまして、実践的な職業教育機関であるということ、また、学校教育法第124条に基づく教育課程の編成や教育体制の構築等において、自由かつ弾力的な教育が行われる学校であると、総論的に書かせていただいております。
 それから、2つ目の丸の最後から2行のところでございますけれども、職業に直結する様々な分野において、社会基盤を支えるために必要不可欠な人材を輩出いただいているということを書かせていただいております。
 3つ目の丸の下から3行目ですけども、少子化の加速化や大学への進学志向の高まりの中、専門学校の定員の総数の減少が生じているということを書かせていただいております。他方ということで、各地域や産業、特に生活に身近な分野のサービス提供などへの影響も懸念されるとあります。
 それから、5つ目の丸ですけれども、以上のような状況を踏まえつつ、専修学校の人材育成における教育の質保証・向上と、社会維持に必要不可欠な人材の輩出を引き続き進めていくために振興策をまとめるとさせていただいております。
 提言の概略でございます。高等教育段階における専門学校の教育の特徴ということで3つ書かせていただいております。1つ目に実践的な職業教育を通じて、専門的な知識・技術・技能等を習得し、資格習得や就職を可能とすること、それから2つ目、地域や人材不足が生じている産業の担い手となる社会人や留学生等、多様な人材を積極的に受け入れること、それから3つ目に、学費等が相対的に廉価であり、多様な生徒の学びに教育の機会を提供するということにつながっていると書かせていただいております。
 このためということで、同段落の文末ですけれども、「①実践的な職業教育の推進」、「②社会の変化やその要請を踏まえた社会人や留学生の受入れ拡大」、「③学修者を支援するための修学支援新制度等の拡充」の3つを専修学校の振興策として整理をいただくという形にしております。
 1つ目の括弧、実践的な職業教育の推進ですけれども、文末ですが、認定数の拡大と質的改善が重要であると書かせていただいております。それから、その次の丸です。この全体が制度改正につながる丸ですが、4行目の真ん中ぐらいからです。リカレント・リスキリング教育を含む職業教育の重要性が高まっていることなどを踏まえ、専門学校における教育と大学における教育との間の制度的な整合性を高め、両者の間の円滑な移行を可能とするとともに、専門学校卒業生の学修成果の社会的な評価の向上や学習継続の機会を確保するため、必要な制度改正が求められるとまとめていただいております。
 それから、その次の分野で、分野の見直しも併せて行っていく必要があると書かせていただいております。その次は、社会人や留学生の受入れについてさらに検討を推進していく必要があるということを書かせていただいております。それから4行目、オンライン教育の推進についても、あわせて進めていくべきと書かせていただいております。
 それから、その次、高等教育の修学支援新制度の中間層への拡充等への対応ということで、一番下の行ですけれども、少子化対策のための本施策における役割を専修学校においても一層果たしていただくことが期待されると書かせていただいております。それから、その次、情報公表の充実も進めていく必要があるということを書かせていただいております。
 以上、「はじめに」というところの上で、その次は、専修学校の現状説明ということになっておりますけれども、「はじめに」において書ききれなかったところの一つとして、5ページ目の「また」で始まる上のほうの段落ですけれども、企業等と連携した実践的な教育カリキュラムの実施が大きな特徴であり、その取組を取り入れた制度が、平成25年に創設された専門学校の職業実践専門課程であると書かせていただいております。
 それから6ページでございます。下のほう専門職大学と専門学校との関係についても触れさせていただいておりまして、その結論ですが、8ページの一番下の段落でございまして、専門職大学は、実践的な職業教育のみならず、大学としてふさわしい教育研究の水準が担保されたものであり、育成する人材像としては業務革新や新規分野を開拓する人材、現場のリーダーとしての専門業務を牽引できる人材の育成を目指すものである。一方、職業教育機関としての人材輩出及び職業分野の網羅性に鑑みれば、依然、多様な実務的な職業人材の育成を担う専門学校が、実践的な職業教育機関の中核をなしており、専門学校に対する社会的ニーズは維持されている状況と書かせていただいております。
 それから、9ページでございますけども、近年の社会の変化ということでございまして、1つ目は少子化の進行ということで、1つのファクトとして、グランドデザイン答申時は2040年の18歳人口は88万人と推計されていましたが、2022年の実際の出生数は77万人程度であったということを書かせていただいております。
 それから、その次の丸でございますけども、全産業での人手不足の顕在化・雇用のかたちの変化ということで、生産年齢人口が減少し、一人当たり労働時間も減少する中、全産業での人手不足が顕在化・慢性化しているということについて書かせていただいております。
 それから、そのページの一番下のほうですけども、日本の国際競争力については相対的な低下が指摘されており、約30年ぶりの円安水準という状況もあって、コロナ禍で急減した海外からの留学生や労働者の動向にも影響があると考えられると書かせていただいております。
 それから10ページ目、近年の政策の変化ですけれども、動向として1つ目、職業実践専門課程に上乗せ補助を行う都道府県に対する特別交付税による支援が始まっているということについて書かせていただいております。
 また、2つ目の丸ですけれども、高等専修学校においても、全国知事会要望において、学びのセーフティーネットとしての機能があるので、特別交付税等をはじめとした地方財政措置の創設など、十分な財政支援措置を講じることとの要望がなされているということを書かせていただいております。
 それから、高等教育の修学支援新制度については、2つ目の丸ですけれども、これは令和6年度、次の年度の入学生からは、特に中間層の多子世帯・理工農系分野の学生等に対象を拡大することになっており、令和7年度の入学生からは多子世帯の授業料減免について所得制限を設けることなく支援する方針が示されていると書かせていただいております。
 11ページ目、上から2つ目の段落に私立学校法の改正とあります。2つ目の丸ですけれども、実効性のあるガバナンス改革をこれに沿って進めていく必要があるということを書かせていただいております。
 それから、5ポツということで、2018年の高等教育のグランドデザインとの関係ですけれども、そこで示されている内容のうち、学習者本位の教育の観点について、専門学校も実績があるということについて書かせていただいております。
 その次の多様性と柔軟性の教育研究体制の観点については、特に2つ目でございまして、12ページの「また」の段落ですけれども、教育の体制や教員の資質の向上を図る必要があるということで、その段落の一番下のところに、教員研修の体系化やその充実を進める必要があると書かせていただいております。
 それから、12ページのもう少し下のほうに行っていただきまして、教育の質の保証と情報公表の観点ですけれども、これらについては、近年の進捗がある一方、さらに充実が必要であるということを書かせていただいております。先ほどの制度改正の話もここに含まれるわけでありますけれども、13ページでは、一番最後の段落に、情報公表等を十分に実施していない学校については、職業実践専門課程等の各種認定の取消しも含めた厳格な対応を進め、その徹底を図る必要があるということを書かせていただいております。
 ここからは各論の説明をさせていただきます。16ページを御覧いただければと思います。
 既に出てきている部分もありますけれども、職業実践専門課程の数の拡大、質的改善ということで、職業実践専門課程の認定数の拡大について、学校現場と行政が協力して進めるべきということ。それから2つ目の丸ですけれども、その質的改善も検討する必要があるということで、下から4行目ですけれども、実習の量的・質的状況や教員体制の状況について継続的な調査を行って、中・長期的には職業実践専門課程の認定要件の見直しの検討も含め、その充実に向けた取組を進めるべきであると書かせていただいております。
 それから、16ページの1-2-1、制度改正の必要性ということで、17ページの上から2つ目の丸に、「人生100年時代や」ということで、「はじめに」のところで申し上げた内容とかなり重複しますので、省略させていただきますが最後のところに、そういったことを踏まえて、学校教育法の改正を含む制度改正が必要である旨を書かせていただいております。
 それから、1-2-2、1つ目の大学等との制度的整合性を高めるための措置ということで、1つ目の丸ですけれども、専門学校における単位制の導入と、入学者要件を大学と同等にすることが考えられるということを書かせていただいております。
 17ページの単位制についての2つ目の丸です。単位制を取った場合は、学生の移動の円滑化等が可能になるということ、また副次的な効果ということだと思いますけど、履修主義から習得主義への転換・明確化が行われるということを書かせていただいております。
 18ページでございます。入学者要件を大学等と同等とすることについてということについて、その実情を書いた上で、19ページの一番上のところに、従来であれば専門学校の入学資格を得られていたが、今回の制度改正に伴いそれが得られなくなる者は、実態としてかなり限定的であると考えられる一方で、制度の変更によって予期せぬ不利益を被る者がいないよう、十分な配慮が必要と書かせていただいております。
 考えられる措置として、必要な準備期間を検討するとともに大学入学資格付与校になっておらず、技能連携制度の活用等も行っていない学校についても、所轄庁である都道府県と連携して必要な対応が可能となるよう支援を行っていくことが必要と書かせていただいております。
 それから、その2つ下の丸において、こうした措置を進めるということであれば、専門課程の在籍者を「学生」と呼称するのが適当であろうということについて書かせていただいております。
 その次の1-2-3は、専門課程修了者の学習継続の機会の確保や社会的評価向上のための措置でございますけれども、そういう措置として専攻科の制度化と、称号を学校教育法上位置づけることが考えられると書かせていただいております。
 専攻科についてということで、その丸の下から4行目ですけれども、教育課程として一貫性・体系性は明らかであるにもかかわらず、卒業生については、専門課程を2回卒業した扱いにしかならないようなケースへの対応を進めるためということで、20ページの一番上の丸に、一定の要件を満たした専門学校には専攻科を置くことができることとし、既に専門課程で一定の学修を積んだ者に対して、特定分野に特化したより専門的、実践的な教育や研究指導が行われるようなことが考えられると書かせていただいております。
 それから、その2つ下の段落です。一定の要件としては、具体的には教育課程の一貫性を客観的に確保、通常の専門課程と同等の教員配置・面積要件、独立した専門の評価機関による評価を受けること等を満たしたものを文部科学大臣が認定することが想定されると書かせていただいております。
 その下、称号についてでございますけれども、1つ目の丸で、専門学校を修了した者に対しては、現在、文部科学大臣告示に基づき、「専門士」と「高度専門士」の称号が付与されているということでありますが、その1つ下の丸の上から3行目で、国内の社会における通用性、国際通用性を高め、外国人留学生の帰国後の就職や卒業生が外国の大学への留学の際に学歴が適切に評価されることを促進するため、一定の要件を満たした専門学校を卒業した者について、「専門士」の称号を得られるよう、学校教育法に位置づけることが考えられると書かせていただいております。
 またその後に、修業年限が1年の専門課程の称号の在り方については、今後の検討課題とすると書かせていただいております。
 それから、1-2-4、教育の質の保証を図るための措置ということで、自己点検評価の項目の見直しと、外部の識見を有する者による評価の段階的導入と書かせていただいております。
 自己点検評価項目の見直しについては、今は学校教育法第42条、初等中等教育段階の学校評価の規定が準用されているということを書かせていただいております。翻って22ページの上から2つ目の丸ですけれども、専門学校についても高等教育段階の教育機関としてふさわしい教育の質を確保できるよう自己点検評価に関し、当該専修学校の教育組織及び運営並びに施設整備の状況に関して行うということで規定し、その結果の公表を義務づけるということを書かせていただいております。
 また、その下の丸で、専修学校の学校評価ガイドラインの見直しを図っていく必要があるということについて書かせていただいております。
 それから、外部の識見を有する者による評価の導入の必要性ということでございますけれども、2つ目の丸の文末に、全ての専門課程を置く専修学校に対して外部の者による評価を入れることが本来望ましいと書かせていただいております。その次ですが、これに対し、約7割が学生数200人以下の小規模な学校である専門学校は、事務処理能力や財源に限界があり、また、そうしたことと相まって学外関係者等による評価の意義の浸透が充分でない面があると考えられることなどの理由から、このような専門の評価機関による厳格な評価を一律に義務化することについては、実態に照らすと、直ちに実現できるものではないと書かせていただいております。そのため、その次の丸の終わりのほうですけれども、努力義務として求めていくということを書かせていただいております。
 また、評価機関や評価項目などについてということでございますけれども、幾つかの実績がある評価機関について書かせていただいた上で、その次の丸に、評価機関が評価を行う際に備えるべき独立性や、評価項目や評価基準について、参考となる情報を文部科学省が示すということが考えられると書かせていただいております。
 それから、その2つ下の、一部の学校に対する独立した専門の評価機関による評価の段階的な義務化についてということでございますけれども、1つ目の丸の3行目のところには、専攻科のうち一定の条件を満たすもの、またその次、外国人留学生キャリア形成促進プログラムなど、法令等による効果が付与される専門学校についても、独立した専門の評価機関による評価を要件化し、事実上その実施を求めることが考えられると書かせていただいております。
 また、24ページにある一番上の段落の最後から2行ですけれども、中期的には、職業実践専門課程の認定を検討して、独立した専門機関による評価の実施を求めることにより職業実践専門課程についてもそうしたことを求めていくことが考えられるということを書かせていただいております。
 それから、同じページの2ポツの社会人・留学生の受入れの拡大ということでございます。25ページですけれども、専修学校は以下のような学びのニーズに対応しているということで、リカレント・リスキリングでどのようなニーズに対応しているかということについて書かせていただいております。
 2-1-1として履修証明プログラム、その次の26ページの2-1-2として専攻科の制度化等によって制度的な後押しをしていくということについて書かせていただいております。
 それから2-2、留学生の受入れ・施策でありますけれども、その2つ目の丸、国別留学生としてはということで、留学生の状況について30万人計画が定められた頃は、漢字圏の中韓からの留学生が4分の3を占めていましたけれども、現在ベトナム、ネパールなど、アジアでも所得レベルが低く、非漢字圏からの留学生も増えているという状況等について書かせていただいております。
 2-2-1、27ページでございますけれども、外国人留学生キャリア形成促進プログラムでございます。1つ目の丸で、専門学校の留学生については、就労時、大学における留学生よりもギャップが大きいということがあったということを書かせていただいております。
 その3つ下の「以上を踏まえ」というところです。外国人留学生キャリア形成促進プログラムについては、令和5年6月に、本会議の御議論も踏まえて制度化されております。今後この認定制度に基づく在留資格の切替えが円滑に行われ、専門学校の留学生が専門学校での学習成果を生かし、日本社会で活躍することを期待すると書かせていただいております。
 その下になおという形で、留学生を受け入れる学校は、留学生を適切に就学させ、また、法令や在留条件の違反が生じないよう、その責任を担うため、本プログラム実施に当たっては、実績のない学校を対象としないなど厳格な運用を行うとともに、専門学校における留学生管理・関連施策に対する社会からの信頼に応えていく必要があると書かせていただいております。
 それから、3つ目の丸ですけれども、高等教育の修学支援新制度の中間層の拡充等への対応ということで、3-1、分野の概念の整理ということで書かせていただいております。29ページの上の段落ですけれども、令和6年度から中間層への支援拡大が実施されるということで、専門学校では工業関係、農業関係の分野と書かせていただいております。
 その2つ下の参考のところですけれども、調査した結果、社会通念上は他分野に属するが、個別の事情により、工業関係等の分野で一体的認可を受けていると考えられる例があったということでございます。同じページの下のほう、拡充対象となる理工農系分野の明確化ということで、一番下の段落ですけれども、各学科の教育実態と認可を受けている分野とを一致させることは、都道府県と文科省が連携して対応していくことが必要であり、その際、文科省で分野と認可に関する考え方の再整理や、学校基本統計の分類の見直しも含めた必要な情報の整備を進めることが考えられると書かせていただいております。
 また、その次の丸ですけれども、特別の事情により、本来属するべき分野とは別の分野で認可を受けているという学科に在籍する者は支援の拡大の対象外とすることも考えられ、その場合、判断基準を明確にするべきであるということについて書かせていただいております。
 3-2は情報系の学科についてでございます。1つ目の丸の2行目です。専門学校から毎年約1万人の情報系人材が輩出されているという状況がございます。一方で、IT産業は東京に集中している、東京偏在が顕著であるという状況があるということで、その次の3つ目の丸、「以上のような状況を改善するため」というところですけれども、地方の小規模な専門学校でも新分野の創設を容易とすることが必要ということで、情報系の学科に関しては、分野をひとまとめで案分し、加重平均できるという規制緩和を、令和4年の6月にこの会議の議論を経て行われております。理系分野への転換を希望している学科は、全国でも80件ほどあるということなので、この転換を着実に推進していくことが必要であると考えております。
 それからその他でございますけれども、4-2のISCEDのところでございます。国際教育標準分類での高度専門士の位置づけについては、ISCEDにおいてレベル5に位置づけられてきたという状況がありますけれども、その次の丸ですが、令和5年6月に、高度専門士がレベル6に位置づけられることになったということを書かせていただいております。
 また、教育未来創造会議の第二次提言においては、国家学位資格枠組みの検討の加速化ということが言われておりますところ、専門学校における職業教育の学習成果の国際通用性の向上等の観点からも取組の推進が望まれると書かせていただいております。
 それから、4-3です。高等専修学校の学びのセーフティーネットの機能の強化ということでございまして、32ページの一番上ですけれども、先ほど言及させていただいた全国知事会の要望等も踏まえ、高等専修学校の教育の質の向上につながる支援策を検討していく必要があると書かせていただいております。
 それから、その次4-4、国による広報活動、専修学校による情報公表の強化ということです。1つ目の丸で「#知る専」等の取組を通じて認知度の向上が必要だということを書かせていただいております。それから、2つ目の丸では、学習者本位の教育を行う観点、また学習者保護の観点からは、こういった広報活動だけでなくて、情報公表が着実に進められることが重要であるということを書かせていただいております。
 その2つ下の段落、「また」で始まる段落ですけれども、課題がある学校に対しては、職業実践専門課程等、各種認定の取消しなども含めた厳格な対応を行政が取っていく必要があるということを書かせていただいております。また、その下の段落の一番最後ですけれども、企業等においては、専門学校の卒業生の知識・技術・技能等を的確に評価し、適切な処遇が行われることを期待すると書かせていただいております。
 それから、33ページの4-5、オンライン教育のガイドラインということで、コロナ禍の中、専門学校でも遠隔事業の実践がかなり積み上げられたという状況があります。対面授業の重要性はあるという一方で、考え方を整理する必要があるということで、遠隔授業ガイドラインの整理が望まれるということを書かせていただいております。
 34ページ、本報告書の「おわりに」ということで、こういった教育の質の保証向上策と振興を通じて、専修学校の役割をさらに果たしていっていただくということを書いた上で、上から5行目ですけれども、職業教育体系の確立を望む意見もあったということでございます。そうしたことについても、様々な場で検討が深められていくということに期待をするというように書かせていただいております。
 概要について以上になります。よろしくお願いいたします。
【吉岡座長】  ありがとうございます。長い議論のまとめということになります。この件についての議論は、この後の各団体からの御意見の後に、まとめて討論の時間を持ちたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、引き続いて各団体からの御意見をいただきます。まず資料4について、大谷委員から説明をお願いいたします。
【大谷委員】  ありがとうございます。全国中小企業団体中央会の大谷と申します。
 まず、本報告書の取りまとめに当たられまして、事務局の皆様、また先生方の御尽力に敬意を表する次第でございます。私からは、資料に出ておりますとおり、中小企業団体全国大会決議(抜粋)というところと、今回報告書で取りまとめられました提言部分についての関連性等々につきましてお話しさせていただければと思っております。
 私ども中小企業団体中央会では、毎年10月頃に、各地の中小企業組合関係者が一堂に会する全国大会を開催しております。ここで国に対する要望を決議等々しておるわけですが、昨年につきましては、10月に宮城県の仙台市で決議されました。それが資料の左側にある全国大会決議です。中小企業につきましては、ここに書いてある項目以外にも、多々課題があるというところでございます。生産性向上ですとか、価格転嫁ですとか、賃上げ、それから年収の壁対策、事業承継など、労働人口が減少する中、特に人材確保が必要な必須の課題となっているところでございます。
 また、コロナが5類に移行した後も、中小企業の人手不足は深刻で、最近の学生は誰でも大学に進学してしまう、ですとか、大企業志向が強くて、なかなか中小企業に人が集まらないというような状況です。特に地域は、都市部への就職を希望する方も非常に多くて、人手不足が深刻になっています。
 また、外国人技能実習制度という、今回新しく育成就労制度ということで変わりましたけれども、こちらによって実習生の受入れをしております企業が地域にも多々あります。こういった外国人材の受入れに理解のある企業が多いので、今回の提言にもありますが、留学生にも中小企業への就職を検討していただけるように支援をいただければと思っています。
 また、学生だけでなく、社会人の学び直しの場としても専修学校が活用されているというところで、スキルアップをして、企業の成長を加速させてほしいといったことを切に願っている次第です。
 また、スペシャリストを育成するという専修学校の役割は、即戦力が欲しい中小企業にとって非常に期待しているところでございます。学びの場としての専修学校が選ばれるように、一層の認知度向上が必要になるかと思っております。
 企業としましては、せっかく採用した人材に定着していただかなければならないといったことがございますので、学生と企業のミスマッチを防ぐために、マッチング支援が非常に重要になってきます。地域の企業と連携をするのに、企業の選定プロセスを含め、学校側のアプローチを強めていただきたいと思っております。
 最後に、専修学校の魅力発信を行っていただくとともに、質保証・向上により一層の振興発展を図っていただきますようお願いいたします。それが地域の中小企業の採用につながるということを期待しております。私からは以上です。ありがとうございました。
【吉岡座長】  大谷委員、ありがとうございました。続いて、資料5について、多委員から説明をお願いいたします。
【多委員】  学校法人電子学園の多でございます。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、このたびの要望書を提出するに当たりまして、お力添えをいただきまして、誠にありがとうございました。このたび、全国専修学校各種学校総連合会の福田会長名で、お手元の資料5のとおり、「職業教育体系の確立に資する専門学校の制度整備についての要望」というものを当協力者会議の吉岡座長宛てに提出させていただきました。内容といたしましては、資料5の中盤に記してございます、東京都専修学校各種学校協会が所管をしております専修学校振興構想懇談会の専門学校検討部会において取りまとめを行いました「職業教育体系の確立に向けての提言」が、昨年7月のこの協力者会議において検討の課題として取り上げていただいたわけでございます。
 これを踏まえまして、全国専修学校各種学校総連合会といたしましては、国の制度改革の方向性、また経年にわたる全専各連の事業活動等々を踏まえた種々の課題について整理を行った上で、職業教育体系の確立に向けた専門学校の制度整備の方向性について、取りまとめを行わせていただきました。
 具体的には資料5の裏のページにございますとおり、職業教育体系の構築、また専門学校の質の保証・向上、さらには専門学校教育の国内外における通用性の確保といったこの3点に向けまして、必要と思われる制度整備を挙げております。具体的には1番から5番に記されております、「授業時数制」から「単位制」への移行、称号の位置づけ、高度専門士の区分制、在籍者の呼称を「生徒」から「学生」へ、第三者評価の導入の5点を挙げさせていただいております。詳細については、それぞれの項目をお読みいただければと思います。
 これらにつきましては、先ほど中安室長から御説明をいただきました報告書(案)でございます、「実践的な職業教育機関としての専修学校の教育の質保証・向上と振興に向けて」の内容とも合致しているわけでございます。これらの制度整備が職業教育体系の確立、ひいては今後の職業教育全体の発展の契機ともなることに期待をいたしまして、制度改正の実現に向けた要望をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。私からは以上です。
【吉岡座長】  多委員、ありがとうございました。
 それでは、資料6について、事務局から説明をお願いいたします。
【中安専修学校教育振興室長】  全国知事会に、今回の制度改正に係る意見について御照会申し上げたところ、御意見を頂戴しましたので御紹介させていただきます。
 1、専修学校における制度改正について。本制度改正は、専修学校の振興に資するものであり、所管する都道府県にとって有益と認められる。制度改正された場合、その施行に当たっては、都道府県の事務が円滑に進むよう、文部科学省としても努めていただきたい。1年以上の(施行は令和8年度以降とし)、十分な準備期間を確保するなど必要な経過措置を取られたい。あわせて、都道府県において必要な準備が行えるよう、制度改正の内容について早めに情報提供いただきたい。
 また、単位制への移行による各専門学校の事務への影響や、専門課程の入学資格の厳格化による高等課程在籍者への影響なども考えられることから、専修学校団体とも丁寧な意見交換を行いつつ、制度改正を進めていただきたい。
 就学支援新制度における授業料等の減免については、引き続き、国が責任を持って財政負担をしていただきたい。
 2ポツ、その他専修学校振興全般について。高等専修学校は、後期中等教育機関として職業教育を受けた生徒を地域社会に輩出してきただけでなく、多様な背景を持つ子どもたちを受け入れる「学びのセーフティーネット」として機能している。こうした高等専修学校が果たしている役割の重要性に鑑み、高等専修学校が安定的な教育活動を行えるよう、その運営に必要な経費に対して、国の責任において補助制度の創設や、特別交付税など地方財政措置の創設など、十分な財政支援措置を講ぜられたい。
 それから、全国高等学校長協会からも御意見をいただけるということで御承知いただいておりますけれども、本日の資料は暫定版ということで、現状のものを机上配付資料で置かせていただいております。確定版につきましては、後ほどホームページに掲載させていただきます。私からは以上になります。
【吉岡座長】  ありがとうございます。以上で資料に関しての報告等は終わりました。以上を踏まえまして、意見交換に進みたいと思います。ただいまの各団体及び事務局からの御報告を踏まえ、御質問や報告書で言及すべきこと等について御発言をいただければと思っております。どなたからでも結構ですので、挙手ないしはオンラインの方は挙手ボタンを押していただければと思います。よろしくお願いいたします。
 では、多委員からお願いいたします。
【多委員】  再び電子学園の多でございます。よろしくお願いいたします。
 私からまず2点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。その前に、こちらの資料1の主題と報告書の主題が違っているので、そこは修正かと思っております。その上で2点申し上げます。
 1点目は、26ページに記されております留学生の受入れ・施策というところです。28ページを見ますと、専門学校入学前に留学生が習得した日本語能力レベルがそのまま専門学校入学の学習成果に大きく影響を与えることも少なくないと記述をしていただいております。一方で、そのレベルを上げていくためには、日本語教育機関における日本語教育の質保証や向上を求めるといった旨の記載にとどまっているというのが現状であります。
 日本語教育機関認定法が施行され、日本語教育の質が保証、向上されていくことは望むところであるわけですけれども、漢字圏と非漢字圏の留学生につきましては、日本語を習得するという部分で比較すると、非漢字圏の留学生のほうが時間を要するというのは当たり前のことだと思います。加えて非漢字圏からの留学生が急増しているということも明白でありまして、こちらの報告書の26ページにも記されているところでございます。こうしたことから、日本語教育においては、この質という部分に加えて量をどう見ていくかということが必要かと思います。
 こうしたことを踏まえまして、教育未来創造会議の第二次提言では、在留資格における非漢字圏出身者も含めた日本語教育機関の在学期間の取扱いの在り方の検討を進めると明記されております。協力者会議におきましても、この点につきましては、私から御報告をさせているということもございますので、日本語教育機関における留学生の在籍期間延長に係る検討についても触れておく必要があるのではないかと思っております。
 この報告書の2ページ目の中段、社会人や留学生の受入れのところにも、留学生の受入れ施策をさらに検討していく必要があるとは書いていただいていますが、そこはより踏み込んだ形でもし書いていただけるのであればお願いをしたいと思います。
 もう一つが28ページ、分野の概念の整理というところです。分野の見直し、分野分類につきましては、修学支援新制度の見直しに係る中間層への拡大に向けて、分野の整合性を図ったという実態がございます。したがいまして、この章で、分野の見直しの必要性を述べるということには全く異存はございません。一方で、東専各協会でも分野分類についていろいろと議論をしてきた中で、分野分類そのものの趣旨は、国際通用性の展開に向けて職業ごとに共通した学習成果を可視化するために行うべきものであるという観点がございますので、質保証、また国際通用性といったものの中で論じるべきであるということも念頭に置く必要があると思っております。
 具体的には31ページに記してございます。ISCED(国際教育標準分類)の高度専門士の位置づけの見直しというところの中で、最終段に記されている、国家学位資格枠組みの検討の加速化の中で、その前提として分野分類の必要性について触れるべきではないかと考えております。このことにつきましても、東専各の専修学校振興構想懇談会専門学校検討部会の報告書として協力者会議に提出しているということにも御留意いただきまして、記述を検討していただければと思います。一旦私からは以上であります。ありがとうございました。
【吉岡座長】  ありがとうございます。何か事務局から一言ありますか。
【中安専修学校教育振興室長】  最初の2年から3年ということですね。日本語教育機関において。そちらはここに今ないんですけれども、まさに教育未来創造会議などでは言及がありましたので、その旨を何らかの形で記載させていただくことを検討させていただければと考えております。
【石橋生涯学習推進課長】  2点目の分野分類については、多委員のおっしゃっていることは、質保証の観点からも要は分かりやすい分類になっていないと国際通用性がちゃんと担保できないということかと思っておりますので、どの部分に位置づけて書くかについては少し検討させていただいて、その旨が分かるようにしたいと思っております。
【吉岡座長】  ありがとうございます。続いて吉本委員からお願いいたします。
【吉本委員】  たくさんあるんですけれども、5点だけお話しします。
 まず、最初の分野分類の、今の話の続きですけれども、もちろん国際的通用性からの必要性ということを書いていただきたいと同時に、大学制度との整合性ということで、大学、専門学校、短大相互の浸透可能性(パーミアビリティ)ということです。転入学でもいいのですが、大学・専門学校の双方の制度の整合性を図るために、大学のほうも変えなければいけないし、専門学校のほうも変えなければいけない。つまり国際的にだけではなくて国内的にもとても大切ですよということを、まず書いていただくことが必要かと思っています。
 具体的には、多委員の指摘のように、28ページの3-1に、そもそも分野概念の国際的・国内的通用性を満たす整理というのを一つ加える。28ページの丸段落3つと、29ページの最後の丸段落「このため」から始まる段落との、この丸の4つだけが、高等教育の修学支援制度に収まり切れないんですよね。だけれども、これを大きな柱に立てるわけにいかないから、新しい「3-1」として「分野概念の国際的通用性、国内的通用性を図る整理」ということにしておいていただければ、この丸の3つと、それから29ページの下の丸一つが生きるのではないかと思います。
 そのあとは、新たな「3-2」として「修学支援新制度の拡充への専門分野の対応」という見出しのブロックだと思います。ということで、見出しを一つ追加していただくのが良いかと存じます。基本的に、ISCED-F2013による国際的通用性、国内高等教育機関間の浸透可能性の促進、通用性の促進、これが一つのポイントです。
 2つ目は、専門職大学を専門学校に関する検討の報告書としてことさら強調して言及する必要はないように思います。特に6ページから8ページや、14ページあたりに書いてあることは、深く検討すれば関連してくるはずですけれども、そもそも14ページの2つ目の丸「実践的な職業教育の推進」は、専修学校振興の総論であり、専修学校のことを扱っているのですから、「平成31年度に専門職大学が制度化された」という部分は削除しても通用する。専門職大学の制度化は、それなりにこの調査協力者会議であったり、専修学校教育の質保証・向上の政策の流れであったりからいうと、とても大切だったことではあるんですけれども、この1文はこの報告書にはなくてもいいと思っています。
 ほかのところも専門職大学のことでは、8ページの2つ目の丸に「専門学校等からの転換が主となる」ということに関する文章があるんですけれども、注25には、23校の専門職大学が今あり、そのうち16校で専門学校の定員を削減と書かれています。しかし、定員が削減したことと転換ということは違いますよね。今世紀に入ってからの短大から大学への展開は、短大の学科を丸ごと潰して大学学部定員を設置したり、機関として制度的にも短大から大学になり短期大学部に移されるなど、いろんな形での動きがあり、これはまさに転換だと思います。しかし、16校で専門学校の定員削減ということ、例えば多委員が理事長をされる電子開発学園の情報経営イノベーション専門職大学と、日本電子専門学校とで、これは分野的にも性格が違いますから、「転換」という言葉はなじみにくいと思います。専門学校での教育の充実を踏まえて別の機関を展開しただけのことで、転換という言葉にはなじみがないため、この文章の言葉遣いは心配なところがあります。
 また、8ページの1つ目の丸には、専門職大学にはたくさんの「追加的な基準が付されている」と書かれています。どういう含意で読むべきか迷いますが、僕自身は、それは必ずしも称賛されることではないと思っています。1991年の大学設置基準等の大綱化の流れとには逆行しており、ここだけやたら基準が難しくなっている。7ページから8ページにかかる注では、文部科学大臣答弁、常磐政府参考人答弁が詳しく説明してあり、必ずしもこの学校種を拡大させ育てていくという考え方がなかったのかなとも読み取れる文章になっていると思います。
 無理に、ここだけ何か詳しく国会での答弁が書いてあるのですけれども、詳しく書いてある分だけ何か妙な感じがします。
なお誤植として、前期・後期制ではなくて、前期後期区分制ですね。
 3つ目は、本来のこの報告書の目玉の具体方策の単位制のことです。単位制の有効性は、皆さんから広く賛同が得られているし、私も賛成です。
なお、17ページの下から3つ目の丸で「専門学校を卒業して大学に編入学した学生について」とあり、これは4ページの専修学校の現状についての下から2つ目の丸で「専門学校を修了した後、大学に編入学する者もある」の文章を受けて、単位制の有効性の根拠を示しています。つまり、専門学校からの編入学者が多いことから、専門学校も単位制を取っておくことが有効であると言っています。もちろn、それも間違いないんですけれども、実数としては特別に多いというわけではなくて、例えば平成5年の学校基本調査報告書では、1,600人ぐらいです。逆の学生の流れとして、大学学部卒業後の専修学校進学者のためにも単位制は有効ですので、こちらも合わせて記載する方が良いかと思います。「専修学校、外国の学校等入学者」は平成5年度で5,600人ですから、外国の大学・大学院等とごちゃ混ぜになっているから専門学校だけの数は分からないのですけれども、相当数が、大学を卒業してストレートで専門学校に行っていることは強調されても良いかと思います。
 もちろん、大学・短大等を卒業してしばらくしてから相当数が専門学校に進学しており、それが社会人7%の中にもいますから、単位制はそうした層にも有効と考えます。
 単位制に関連して加筆いただきたいこととして、高度専門士だけでなく4年制専門課程と大学院入学資格の関係を少し書いておいていただきたいと考えます。ここには末尾を「期待される」という言葉で書いてもいいかと思っています。高度専門士の認定が今のままであっても、高度専門士以外の4年制課程の修了者にも、国際通用性の観点から全ての4年制課程修了者に対して、大学院入学資格が認められることが期待されます。これは専修学校教育振興室以外の部署が扱うことでしょうから、報告書としては「期待される」でいいと思うんですよね。高度専門士のことが出てきたところに、合わせて書いていただければと考えています。
 あわせて、高度専門士について、全専各連の先ほどの御意見にもありましたけれども、「専攻科を設けることにおり区分制を可能とする」という要望は報告書にも反映されていると思います。ここでは、区分制そのものではなく、その代わりに専攻科という考え方ですけれども、区分制は区分制固有の価値を持っています。
 典型的には、自動車整備の場合、2年制で2級免許を、4年制で1級免許を取るようになっています。4年制課程は、本科を2年制に短縮して専攻科を設置するのではなく、前期2年で2種、後期2年で1種とはっきり区分制を分けたほうがいいと思うんです。自動車整備士2級を持つ社会人が学ぶときには、自動車整備士1級だけの、後期の2年間だけを学ぶことで十分です。専攻科でも後期課程でもこの場合どちらでも良いのですが、本科4年制をわざわざ2年制に短縮する根拠がやや不明です。特に、4年制課程は、専門実践教育訓練給付金の指定対象外になっていますので、区分制を設け、それぞれ指定を受ければ、資格を持たない社会人が、前期2年課程で2級を取得し、3年間さらに働いた後で後期2年課程に進学すれば、両方の課程で専門実践教育訓練給付金を受給できる可能性が出てきます。つまり4年制だと、実践専門教育訓練給付金は今のところ適用外になっていますので2プラス2にすれば可能性が出てくると思うんです。
 4点目は22ページからの「外部の識見を有する者による評価の導入」のところです。22ページの最後の丸段落で、専門学校の学校規模は小さいから、「専門の評価機関による厳格な評価を一律に義務化」することは困難という表現がありました。規模が小さい学校がたくさんあるから、評価機関の一律厳格評価は勘弁してよねということですね。そのことも確かです。評価機関が定められたとして、機関評価をするにしても分野別評価をするにしても、3,000近い専門学校、職業実践専門課程が3,000以上あるとすると、それを全部訪問して実態調査までするという形を取るのは難しい。選択的にやるという考え方を導入すべきだろうと思います。
 大学のほうが内部質保証というアプローチで上手に動いている部分を考えてみる必要があると思っています。なので、文章としては、23ページの丸の3つ目の、「その際、例えば評価内容について、評価機関の業務の負担の軽減及び評価を受ける学校の事務的な負担等の軽減の観点から」というように、この段落のどこかに、評価機関の業務負担の軽減ということを入れておくことが、少し先取り過ぎかもしれませんけれども、考えているところです。
 それから5点目です。6ページの1つ目の丸です。「いわゆる『大学全入時代』の到来により、高校生の選択が大学に移っているという要因」という表現があります。しかし、事実としての選択が変化しているのかどうか、これは結論としてまだ確立していないように思うんですよね。書き方を見直してください。もちろんその可能性はあるんですけれども、この2年続けて減少したことだけで進路意識の動向について結論できないと思います。専門学校は大学入学の困難における受け皿であるという、専門学校受皿論は、時々に出てきます。もちろん、同じことをやっているんだったら全部大学に取って代わられるという議論はあるにはあります。1990年代頃にリクルート社がそうした受け皿論をもとに高卒進路予測をしましたが、それは結果としては間違っていました。今回どうなのか。僕自身はイノベーションを進める専門学校等が固有の価値を持っていると思っているんですけれども、ここまでにしておきます。
【吉岡座長】  ありがとうございます。かなりいろいろありましたが、後ほどまとめて事務局からお答えいただきます。では寺田委員、お願いします。
【寺田委員】  寺田です。事前に細かいことを含めて数点意見を申し上げまして、幾つか取り上げていただいていますので、今日は2点だけに絞って、従前意見と重なりますけれども、申し上げたいと思います。
 一つは、用語の問題です。1ページの提言の概略の頭から出てくる「専門的な知識・技術・技能」とあります。確か当初案では、「専門的な技術・技能・資格取得」という表現だったので、どうして専門的知識がないのかという意見に焦点を置いた事前意見を申し上げたところ、若干反映していただいています。
 気になるのは、これは、実は文科省の初中局が何十年続けてきた表現をどうも踏襲されているので、仕方ないなという感じですが、これは何であるかというと、知識と技術という言い方、ここでは技能というのをあえて取り上げているので、よいかとは思うんですけれども、文科省初中局あるいは教育行政は、技能という言葉を使いたがらなくて、それで、技術の主体的側面、人間的側面を強調するような言い方で技術という用語を入れているんですよね。
 となると、これ自体、検証課題だけれども、私は昔、金沢大学で教科の教育をやっていたものですから、ここはもう非常にきっちりやるんですけれども、技術と技能が重なってしまうという印象を持つんです。もう1回表現の工夫をして、例えば私だったら、こういう並びでいくなら、「専門的な知識、技術・技能」だと思います。技術というのは、これはいろんな論争、意見があるんですが、いろんな意見があって、先ほど申し上げたように、人間の主体的な側面を焦点化したり、他方で、私はこの他方のほうですが、客観的な対象であって、あるいは学習領域であって、学ぶべき対象ですよね。
 知識、技能とか、あるいは態度という言葉をもあるんですけれども、こういうのは学習のアウトカムというか、発達に関わる諸能力、人格の要素なので、ここの使い方はもう少し神経を使ってもいいのかとは思っています。これが1点目です。
 2点目はまた同じことを申し上げるんですが、先ほどの多先生の全専各の2番目の称号の位置づけに関することで、吉本委員も若干触れられましたけれども、全専各のこの称号の位置づけについて学校教育法で規定するという意見は初めて見ましたが、これはいいですね。ぜひそういうことを展望しつつですけれども、当面その頭出しとして、この報告書の中でどう書くかということがあると思うんですが、私が事前に考えていたこととしては、唐突に、専門士・高度専門士を定着させる、あるいはそういう方法を強化する、あるいは東京規約で言ったように、あるいは文科省が、本年度からやったように高度専門士を国際的な、EUレベルの、EQFでいうと第6レベルに位置づけたことを評価します。これ自体はいいと思うんですが、問題はその次です。
 それが展望できるということでないといけないと思います。第6レベルあるいは第5レベルに専門士、第6レベルに高度専門士を短期大学、準学士と、あるいは学士と同等であるかのような位置づけをしたとしても、実質名称がないと同等感にならないので、学校教育法の中で触れるか、あるいは、僕ならもう端的に今の専門職大学の学士名称と若干重なる可能性があるんですけれども、学士(高度専門士)、準学士(専門士)というものを展望しつつというぐらいの言葉を入れていただくといいなと思っています。展望しつつ、当面、専門士、あるいは高度専門士の強化、定着を図っていくことは良いが、目標が見えないような報告書というのは権威がないので、ぜひそうしていただいたらいいと思います。
 ちなみに関連事項で申し訳ないですが、専門職大学の学位名称は、僕個人としては不十分だったと思っています。意見を言いたかったんです。最後の設置基準のインフォーマルな議論もあったんですが、もう僕はそこで黙ってしまったんです。なぜかと言うとまず専門職大学を産むのを優先したいと思って、各論は横へ置いておこうと思ったんです。
 その理由の一つは、またドイツを持ち出すんですけれども、ドイツの専門大学の場合は、1970年、69年から始まって、その専門大学の学位名称というのは、ディプローム(FH、専門大学)という名称で、一般的な学位名称、学士名称と区別したんです。それだけ抵抗があるということだと思います。両方に抵抗があって、大学側にも抵抗がある、他方で職業教育の側にも割と保守的な抵抗もあるんです。そういうものとは違うんだという。しかし、現在は一般大学と同じく単に「学士」としています。
 同様のことは今回も言えるわけで、専門職大学、もう本来は、僕は「学士(分野名称)」で十分表せたのではないかなという気がしています。取りあえずその移行的措置として、さて、何年後にこういう私が言っているようなことが実現できるのか、あるいは国際的レベルで既になされていることが実現できるのか、10年、20年かかるのか分かりませんけれども、取りあえずは、「学士名称との接続を展望しつつ」、ぐらいの表現を入れていただければありがたいなと思っています。
 以上です。
【吉岡座長】  寺田委員、ありがとうございます。
 続いて、どなたか御意見はございますでしょうか。では、佐藤委員、お願いいたします。
【佐藤委員】  ありがとうございます。
 留学生の部分について、経済的な支援が必要という部分も含めて修正をしていただいて、ありがとうございました。
 11ページから12ページにかけての、「多様性と柔軟性の教育研究体制の観点」の最初の丸の下から3行目、「男女共同参画の推進や、障害を有する者の就労促進など」と書かれているところに、外国人も入れていただけないかと思います。留学生のことはたくさん書いていただいているのですが、留学生以外の外国人も国内に増えてきておりますので、多様性ということであれば、そういった人も含めた外国人にも言及していただけないかと考えております。
 以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございます。
 続いて、河原委員がオンラインで手を挙げていらっしゃいますので、河原委員、お願いいたします。
【河原委員】  河原です。よろしくお願いいたします。
 まず、単位制についてなんですけれども、資料の17ページから18ページのところになろうかと思うんですけれども、単位制に立脚するということは、履修主義から修得主義に移行することを意味することになると思います。修得を担保する仕組みが必要になってくると思いますので、そうすると現行の専門士規程に定められた試験等による成績評価を義務化するなどの措置が単位制への移行と共に必要になるのかなと思っております。
 あと、称号について、こちらは資料の20ページから21ページになろうかと思いますけれども、称号を学校教育法によって定め、その要件を専門学校設置基準によって定めていく方向性が示されております。最終的に、2年以上の専門課程の全ての修得者に称号が付与されるように改正されれば、専修学校で得られる学歴の分かりにくさが改善できるようになると思います。
 他方で、現行の専門士規程で定められた試験等による成績評価なのですが、「試験等」という表現で、実質的にいかなる評価方法も許容される表現となっていますので、試験方法に加えて、試験評価基準をシラバスに明記するなどの取組を求めていくことも必要ではないかなと思っております。
 あと、生徒から学生というところで、資料の19ページのところになろうかと思うんですけれども、専門学校の入学資格を大学と同じように高卒同等以上の学力とし、中等教育からの接続を大学と同じ位置づけとする以上、「学生」への公的な名称変更が適切だと思われます。他方で、専門学校卒業者の処遇は、大卒者の処遇を下回るとの指摘もありますので、専門学校における教育成果の認知度はもちろんですが、その固有の価値を高める努力がもっと必要であろうかと思われます。
 タキソノミーの観点から、高等教育段階の教育機関として、制度上ある意味で大学と同等の地位に配置することも大事ですが、大学に進学する学力や経済力がない場合の代替進路ではなく、固有の価値を持つ学校種としての実質を形成し、示すことも大事だと思います。そのためにも自ら教育目標の明確化や教育成果の可視化を推進することが不可欠の課題だと思います。職業実践専門課程の要件として考える場合は、どのような指標を教育目標として設定し、その成果を公表するのか、そこを議論していく必要があると思います。
 企業と連携した実習授業の充実についても、単に時間数ではなく、もっと内実を表す指標が必要になると思います。もし全校共通の指標だけでは実質を示すに足りないようであれば、学校固有の指標を設け、固有の教育実践と共に記載できる余地をつくる工夫が必要になるのではないかと思います。
 私からは以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございます。
 今、挙手されていらっしゃる方は、ほかにはいらっしゃらないのですが、久しぶりの会議ですので、皆さんに発言していただきたいと思います。事務局から今のところでフォローできるところがあればお願いいたします。
【中安専修学校教育振興室長】  まず、分野の分類のところで、ISCEDのところなどで、その相互の浸透可能性みたいなところから少し書いていくということが、もう少し言葉の整理ができるのではないかということで御示唆を頂きました。そこは少し検討をさせいただければと思っています。
 それから、専門職大学との関係が書き過ぎではないかという御指摘を頂きました。少し注書きのダイエットとか、あるいはその本文で具体的に指摘いただいた場所のダイエットを考えたいと思います。
 それから、高度専門士のところで、全て称号があれば大学院入学資格が付与できる、期待するというところを書けないかという御指摘がありました。これは認定制度のことについてどういう書き方ができるかということなんですけれども、認定を促進していくとか、そういう書き方にとどまる可能性もありますけれども、方向性をにじみ出せないか、検討をさせていただければと思います。
 それから、区分制ということと専攻科の関係で、特に実践専門教育訓練給付金の話がありました。これはまだ厚労省さんと詰めた話をしていないので、そこを相談させていただければと考えております。
 それから、評価について、評価機関の負担の軽減のようなことを少し文章に組み入れられないかというお話がございました。何か意見を後でまた具体的に伺いながら少し相談をさせていただければと思っています。
 それから、大学への進学志向が高まっているという分析をどこまで書くのかという御指摘がありました。これについても少し修文を考えられればと思っています。
 それから、寺田委員のおっしゃった、「知識・技術・技能」という表現は、前よりはよくなったけれども、どうなんだという御指摘がありました。これは、少なくとも今の時点で言うと、専修学校設置基準がそのような書き方になっておりますので、そこにそろえたというところがあります。その上で、何か注釈か、留保か、少し書けるのかどうか、こ先ほどおっしゃっていただいたような考え方もあるよねといったようなものが書けるかどうかを検討させていただければと思います。
 それから、称号について、学士を展望しつつというのはなかなか大変で、どういうことが考えられるかなと思いましたところ、例えば、おっしゃっていただいた、海外ではこんな例もあるよというようなことを注釈にするかどうかというぐらいかなと思っておりますが、検討をさせいただければと思っております。
 佐藤先生の外国人もというのは、書けると思うので書かせていただければと思います。
 それから、河原委員の修得主義の明確化ということから、試験等の措置の義務化ということと、その内実をもう少ししっかり明らかにしていくべきではないかということがありました。これは、方向性としてはそのとおりだと思っておりますので、どこまでいくかということは書かせていただければと思っています。
 修文の検討が必要かなと思ったのは以上かと思います。吉本先生の単位制のところは、最初の通用性のところと併せてお答えしたつもりですけれども、取りあえず以上になります。
【吉岡座長】  ありがとうございます。
 私も伺っていて、1つは、その分野の話のときに、そもそも分野とは何かみたいなことをほんの一、二行でも書くと、こういう意味があるので、今後このようにして考えていくべきだというのがつながりやすくなるかなと思いました。
 それからもう1点、セーフティーネット論といいますか、受皿論というのは、確かに書きようによっては何か変な感じになるので、これはそういう機能も果たしているというレベルにとどめるという感じかなと思います。実質的に、実際にそういう機能も果たしているわけで、それは重要な機能でもあるとは思いますが、ただ、おっしゃるとおり、それを表に出すのは明らかに変ですし、先ほどの河原委員の専修学校、専門学校が持っている固有の価値ということを表に出していくべきなので、その辺のバランスを付け加えるということかなと思いました。
 あとは、学士の問題で、寺田先生がおっしゃった、そもそもその「技術」とは何かというと、もうこれは昔から大論争、技術論という独立した議論のようなものがあって、「知識」と「技術」についても、例えば本を読むのだってある種の技術教育をしないと、テキストだって読めないわけなので、そこを「技術」とは何かというような議論に踏み込んでしまうと非常に難しいなとは思います。ただ、非常に重要なことで、その技術教育というものに正面から向き合っているのが恐らく専修学校であって、多分大学のほうはそういうふうにあまりよく考えていないという気がいたします。
 もう一つは、学位の問題で、ヨーロッパだと、学位を出せるのは、そもそも大学、ユニヴァーシティで、ホーホシューレとユニヴェルジテートというのは、恐らくその起源からして違っている。フランスなんかだと学位はユニヴェルシテしか出せなかったのではないかな。あとは、グランゼコールというのは、あれは技術学校として発達してきたということで、なかなか日本は、その辺の大学の制度自体がかなり混在してできてきたところがあるので難しいですね。
【寺田委員】  途中ですみません。フランスは、職業学士については、短期に限っていますよね。
【吉岡座長】  そうですね。
【寺田委員】  かなりそれも国際的には他国と比較すると特殊で、大体もうみんな2ないし3年、3年以上ですと学士(プロフェッショナル)という言い方ですね。あるいは、単にもう学士と、職業教育終了でも学士だけで終わるところもあるし、アメリカですとあれも短期、職業学位に関しては、短期に限って、アソシエート(イン何々)という専門分野名を表記するというやり方なので、いずれにしてもアソシエート、もしくはバチェラー、括弧何々という言い方が趨勢ではないですかね。
【吉岡座長】  なかなか難しい問題があるかなと思います。吉本委員、どうぞ。
【吉本委員】  そこは議論をし出すと、この会の性格とは違うんですけれども、結論的に言うと、日本の学位規則の中につくる必要があるという考え方そのものが、第三段階教育の枠組みとして、もう既に違うのだと思うんですよね。つまり、学術的な体系と職業的な体系という、先ほどグランゼコールの話がありましたよね。グランゼコールは、あれは修士レベルですから、修士レベルで修士とは言いませんから。しかし、全部政策を握っているENAみたいなところもありますし、それはそういう意味で体系が違うもので、今回ここに展望する、学士というのを展望する必要はないと考えています。その称号と学位というのを議論し出すと長くなりますのでこの辺にしておきます。ただし、その逆に言えば、1年制課程における称号というのを、検討課題として書いていただいているので、僕はそれで良いと思います。取りあえずそこは話が長くなりますから。
 あと、「知識・技術・技能」については、僕は、学校教育法の関係表現からも「知識・技能」で良いと考えます。国家学位資格枠組が重要なのは、そうした多様な目標を包含できることで、学術と職業の2系統を対等に評価していくドイツなどは、同じレベル6の知識について、「知識の批判的な理解(クリティカル・アンダースタンディング)」が大学のアプローチであれば、職業教育訓練によるマイスターでは、「今日的技術発達にかかる広範囲で統合された職業知識」を対置するなど軸が違います。軸が違う、そして学位資格の軸も違うのだと、こういうことをはっきりさせることが、学位資格枠組によってできる。それはもちろん学修成果のディスクリプターをつくらなければいけないから、ここから先はもう別の世界ではありますけれども。
【吉岡座長】  寺田委員短く、この議論に入るとあれなので。
【寺田委員】  今の件ですが、吉本委員は恐らく、ドイツに関しては認識が遅れているのだと思います。マイスターは、もう既に大学入学資格と同等だと、2000……、正確には思い出せないが。
【吉本委員】  マイスターは、大学卒業による学士と同等です。
【寺田委員】  ええ、ですが、大学入学資格と同等だというのが実質です。
【吉本委員】  マイスター修了はDQRのレベル6です。
【寺田委員】  マイスターってあれですよ、手工業とか商工業のマイスターですよ。違います。大学に入れるということと、それはともかく、その職業資格、マイスターの資格を取って、プラス継続教育、社会人教育を受ければ、バチェラープロフェッショナルとか、マスタープロフェッショナルという資格を取れるということなので、全く違う体系ではなくて、今アカデミックと職業資格を結合するというか、接合するという方向に向いているというのが動向ではないですかね。違う体系だという。もちろん違う性格があって、そこにこだわるんですけれども、その上で同時にこの共通性のところに焦点化して同等化するという。
 ついでに追加的に意見を申し上げると、制度的整合性というところについても僕は意見を上げたのですが、今日、文章を拝見すると、5のところでしたか、同等性という言葉を使っておられるので、良いのではないですかね、この言葉。制度的整合性というのは少し分かりにくくて、むしろ大学教育との同等性と表現しても良いのではないかなという気がしております。
 以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございます。この議論はここまでにさせていただきたいと思います。重要な議論ですし、本当に大学制度というか、高等教育制度全体をどうするかという話だったと思うので、恐らくここでは収まり切らない議論だと思います。
 それでは、ほかの方の御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
 芦田委員、どうぞ。
【芦田委員】  前回のフリーミーティングで問題を出させていただいた、その「はじめに」の第3段落の最後のセンテンスの話は、元どおりのままにとどまったのですが、これはどういうおまとめになったのでしょうか。
【中安専修学校教育振興室長】  ここは、そのままというわけではなくて、その前のところに、少子化の加速や、先ほど書きぶりが少し言い過ぎではないかというのがありましたけれども、「大学への進学志向の高まりの中、専門学校の定員総数の減少が生じている」ということで、そこの評価のところまではなかなか踏み込むのは難しいですねということを前回議論したつもりだったんですけれども、そういったサービス提供などへの影響の懸念ということだけではなくて、減少が生じているということを言い換え的なところはありますけれども、少し総括をしているというところで、言いっ放しというか、あるいは一定の方向性だけをつけるのではなくて、いろいろな含みがあるよねということを書かせていただいているつもりということでございます。
【芦田委員】  この段落の「はじめに」というところは、この全体の文章の基盤になっている部分で、そのまとめは、最後の5段落目の「専修学校の人材育成における教育の質保証・向上と、社会維持に必要不可欠な人材の輩出」ということで、社会人に必要不可欠な人材を専門学は出してきていると。非常に重要な意味合いがあるというのが一方の軸にあって、であるからこそなお一層の質保証に対する取組をやっていかなければいけないというように、「はじめに」の全体ができていなければいけないと思うんですけれども、その象徴的な「はじめに」の部分が、またこれも6ページで先ほど吉本委員が指摘された部分もあって、こんなに専門学校が必要とされているという書きぶりがあるにもかかわらず一方で減少が生じているというところが、記述としては、質保証なり、もっとしっかり頑張ろうよという部分の記述に当たる部分だと思うんですけれども、そうではないのかな。
 そんなに専門学校が必要だったら減るはずがないという面も。先ほど吉本委員が言われたように、専門学校の「受け皿」論は非常にややこしいところがありますから、ここでは議論を控えますが、一方で、我々専門学校の現場で言うと、高卒の求人がすごく増えていて、高卒の求人が増える分、専門学校の進学者が減る部分もある、つまり大学へ行ってしまう部分と、専門学校へ進学せずにそのまま高卒で就職する部分がある。上からも下からも専門学校は減少する要因を抱えている。就職に近い部分をマーケットにしている学科は減らざるを得ない。だけど、本当にそういう形で高校生をそのまま「高等教育段階」の教育を経ずに就職させて良いのかという問題は一方であって、それも振興策のポイントではあると思うんですけれども、だから、それゆえにこそ大学へ行って良いのかというのと、そのまま就職して良いのかということに応える専門学校の質保証が必要になってくるという、そういう感じの段落だと思って私はこの「はじめに」の第3段落を読んでいたんですけれども、最後の文章で、また外の需要のほうの話になってしまって、専門学校が減少している意味が再び宙に浮いた段落になっている。中等教育(高卒就職)と高等教育(「受け皿」論)の板挟みに遭っている部分で、どちらにも負けない質的な体力を専門学校はつけなければいけないという、そういう感じの段落になってないなという気がしたという指摘を前回したのですが、直っていない。そうでないと、「質保証」の観点は、「はじめに」の段落では何もないことになる。どうなんですかね。そこまでは考えなくて良いのですか。
【中安専修学校教育振興室長】  多分そんなに、本会議の委員の先生方を含めてと私が言うのもおこがましいですけれども、おっしゃっていることがそこまでずれているのかどうかというと、ここに関して言えばそうではない気もします。もう少し具体的な修正文で対応できるというところがあるのであれば、そこは相談をさせていただければと思いますけれども。
【芦田委員】  この「以上のような状況を踏まえつつ」という、その上に書いてある、3段落の状況が質保証と向上に取り組まなければいけない理由であるし、かつ社会に必要不可欠な人材を輩出していく専門学校の振興策をやらなければいけないのだというまとまり方なので、そうすると教育の質保証なりその向上というのが必要な段落なり記述は、この「はじめに」の全体の中でどこに存在することになるのか教えていただきたい。この3段落目のまとめのところが、専門学校が必要とされているよという話の、「他方」というところの解釈の問題なのかな。最後のセンテンスですけれども。
【中安専修学校教育振興室長】  そうですね。どういう表現がというのはあれですけれども、先生は今、初等・中等教育と高等教育の板挟みというようなおっしゃり方をされましたが、そうしたところも含めて、この「他方」の段落で少しニュアンスを入れているつもりでありますし、あまりにたくさん書いてしまうと文章が長くなってしまうというところもあるので、ある程度こういった形で書かせていただいているということのつもりではあります。
【芦田委員】  これは、例えば、より一層の質向上に対する取組が期待されるというようなまとめ方をすると書き過ぎになるのですか、この3段落目は。社会的な需要はあるが、一方で2年連続減少しているという事実もある。だからより一層「質保証」に務めて、その需要に応える必要がある、という「はじめに」の基調が、この答申の全体の基調なのではないでしょうか。
【石橋生涯学習推進課長】  すみません、我々がもしかしたらきちんと理解できていないのかもしれないんですけれども、今おっしゃってくださっているのは、要は、ニーズが下がっているように見える部分に関して、質向上できちんと挽回していこうよというようなメッセージにしたほうが良いという意味ですか。
【芦田委員】  少なくとも、前から言っているように、その高校の卒業者というのは、単なるステークホルダーの一部でしかないんですけれども、ただ、曲がりなりにも学校と言っている限りは、入学者がいない限り何にも寄与できないし、かつ高校側の需要にきちんと応えられる、すぐ就職するよりも、あるいは大学へ行くよりも専門学校に行ったほうが良いと考えてくれる高校生が2年連続減ってきているということを専門学校全体としてどう考えるかということが、6ページにもその部分がもう少し踏み込んで書いてありましたが、先ほど吉本先生の御指摘もありましたけれども、もう少しそういう、受皿という言い方は問題なんですけれども、きちんと評価を受けられるような学校になっていかなければいけないというところが、この全体の文章の中で、ところどころずっと触れられてきていることだし、また、タイトルにも質保証・向上への取組というのが今回の修正で入ったわけですから「はじめに」のところに、なぜ質保証が必要なのだろうという部分をにおわせるような段落を残すことは、すごく重要だなという気がします。
【石橋生涯学習推進課長】  ありがとうございます。
【芦田委員】  中途半端だと僕は思うので、こんなのは取ってしまえば良いのではとこの間言いましたけれども、非常に面映ゆい書き方がされているなというのが私の印象です。感想ですが。
 2点目は、それと関係して、この文章全体を読んでいると、質保証に関わる自己点検評価の形容詞が、例えば、2ページでは「的確な」という言葉になって、12ページは、公開の「さらなる充実」という書き方があって、15ページは、正確な公表という言葉があって、22ページになると「定義を明確化」すべきだというのがあって、32ページになると「丁寧に」という書き方があるんですけれども、ここはもうコンテクストの違いというだけで良いんですか。どうもこの点検評価や、専門学校が出している数値に関してのこの文章全体のスタンスが、こういう形容詞のまばらな使い方で分かりづらくなっていると思うんですけれども。
【石橋生涯学習推進課長】  全体の文章の中での収まり方は見ますが、「的確な」というのが恐らく正しいコンテクストだと理解をしていて、それは、高校生、それから進路指導をされる先生方にとって必要な情報が、正確にという言葉は使わないようにしますけれども、正確に出ているという、そこを「的確な」と言わせていただけると良いのかなという整理と考えておりました。
【芦田委員】  これ、このまばらな表現はこのままにされるのか、ある程度整理されるのか、どちらですか。
【石橋生涯学習推進課長】  「正確な」というのは、「的確な」に直したほうが良いと思うのと、「丁寧に」というところをどこまで言うかというところはありますけれども、全体を見て、「的確な」で統一できればそのようにさせていただこうかと思いますが、いかがでしょう。
【芦田委員】  単なる意見ですので。あと最後、資料1では、「教職員の資質向上(体系的・組織的な研修の推進など)」という書き方で、「組織的」と書かれていたのですが、本文では「制度的に」みたいな書き方になっているところが12ページ。これは特に意味があってのことですか。
【中安専修学校教育振興室長】  「制度的に」というのが出てきたのは文脈があると思うんですけれども、ただ、今後の進め方については、「組織的」というのもきちんとと書いたほうが良いと思います。
【芦田委員】  組織的と制度的は、まさに文脈による違いかも、意味がもうはっきり違うので、現場としては「組織的」という言葉を入れていただいたほうが進めやすいと思います。
【吉岡座長】  ありがとうございます。
 「はじめに」のところの3番目の丸のところは、確かに減少が生じているという事実の指摘のところと、その影響が懸念されるということがつながらないといえば確かにそうです。減少が生じているということの原因はもちろんいろいろあるだろうと思うんですけれども、ここの文が両方とも他方で始まっているのですが、下の方の「生活に身近な分野のサービス提供などへの影響」について、そういう実質的に非常に重要な機能を果たしているので、質の向上をして上げていかなければならないということをどこかに挟むと分かりやすくなると思います。何校か減っているという話と、事実必要なのに減っているという話のところがうまくつながっていないかなと思うので、そこは一文入れるということかなと思いました。
 大分時間が過ぎてまいりましたが、まだ発言されていらっしゃらない委員の方で、御発言があればと思いますが、いかがでしょうか。基本的には、最後といいますか、まとめですので、できれば一言でも御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。
では浦部委員、お願いいたします。
【浦部委員】  前回の打合せの会議の際に少し発言をさせていただきましたけれども、高等学校という立場から専修学校に対してなんですが、どうやったら信頼関係を構築できるかというところに正直私自身もまだ模索中であると言えます。高校生にとって自分の人生を定める本当に重要な場面において、専門学校だからということではないですけれども、専門学校さんのいろいろな対応に対して非常に不信感を持つ事例が起こったということで、御紹介申し上げました。
 高校側と真摯に向き合っていただいている専門学校がある一方どうしても不信感を抱かざるを得ない学校もあることから、その高校としては、それぞれの認識の差違に戸惑う場面少なくありません。
 本校の事例の場合、実際、専門学校への進学が決まっていた生徒にとって、年末に近づいた段階での進学予定先からの突然の科の閉鎖通告は、大きな衝撃でした。現状その生徒に関しては進路がいまだ定まっておらず、当該の専門学校の担当者や校長からの学校への連絡も途絶えてしまっています。そういった1校1校の事例を挙げていくと切りがない部分がありますが高校と専門学校との信頼関係の構築を考えていく際に、支障となりかねない非常に残念な例でございます。
 今後新たな時代を見据えて、高校と多くの生徒が進学先として選ぶ専門学校とが信頼関係を保ち、互いに力を出し合ってこれからの社会を担う人材育成へと繋ぐことができるよう、また、社会のニーズをも鑑みながら、より良い関係性へと作り上げていくという、そういうスタンスで進めていきたいと思っているところです。
 私の意見としては以上となります。ありがとうございました。
【吉岡座長】  ありがとうございます。実質的な質保証をどうするかということと、情報の共有というのは非常に重要なことですので、基本的な問題だということは認識しているのですが、場合によっては少しそういう言葉を足せればと思います。
 小杉委員、お願いいたします。
【小杉委員】  私、前回の案に対して社会人や留学生の受入れというのは、これは学校の都合で言うのではなくて、社会的要請であることを前面に出すべきだという意見を申し上げて、それからリスキリングについても同じようなことを申し上げて、それを全部反映していただきましたので、そういう意味ではこの案に基本的に賛成です。
 あとはもう一つ前から言っていました、地方の産業界にとって非常に重要な高等教育機関であり、何とかきちんと能力を発揮していただけるような仕組みが必要だということも色濃く出していただいたのでよかったなと思っています。
 それから議論の中であった、厚労省の教育訓練給付金の話ですけれども、あの給付というのはそもそも個人の能力開発を支援するためのもので、かつ財源にも縛りがありますので、1人の人が続けて2回受けるとかということはできない仕組みになっています。
 それから職業資格を取ることが重要なので、同じ職業資格を取れるとしたら短い年限のほうを認定する、そんな仕組みが考え方としてあるので、こちらの都合、学校側の都合でどんどんできるものではないことだけ付言させていただきます。以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございます。それでは前田委員、お願いいたします。
【前田委員】  このまとめそのものについてではないんですけれども、例えば質保証の枠組みというのは国によって大きく違っていて、ヨーロッパとアメリカでも大分違うと思います。二、三年前だったと思いますけれども、いまだに大学基準協会に丸々という大学はアクレディットされていますかという問合せが来たりする。もう日本は認証評価というシステムがあるんだけれども、それでもそういう問合せがアメリカの大学からあるそうです。
 このまとめで制度枠組みというのはかなり整理されてきました。これを踏まえて学位や称号が対等になったというときに、文部科学省として外国に対して、日本の学士称号の枠組みというのはこのように質保証がされていますということをきちんとうたえる状況に早くしていかないといけないのではないかと思います。国内だけこういうふうに位置づけましたよということで終わると、非常に外国から見えにくい。どうやら、大学とか短大は認証評価というのがあって7年ごとにやられているし、専門職大学院や専門職大学というのはプログラム評価まで5年ごとにやると。
 そういう中で、今すぐできないということは分かるんですけれども、それに代わるもの、もしくはそれを目指して今、この専門学校の制度も質保証というのはどのように取り組んでいるのかということをきちんと見えるように、特に外国に対して見えるようにしていかないと、その学校に行っている人たちの利益にならないのではないかなということを、次の段階のこととして心配をしているといいますか、しっかりしていただければなと思っております。
【吉岡座長】  ありがとうございます。とても大切なことだろうと思います。
 では植上委員、お願いいたします。
【植上委員】  植上です。ありがとうございます。私からですけれども、今回こういった報告案を取りまとめていただき本当にありがとうございます。全体として賛成です。
 私、特にこの数年、地方部の専門学校の先生方や、また企業の方々のお話を聞く機会が本当に多く、この数年でいろんな声が上がっているんですけれども、地方部の専門学校は非常に大変だという声をよく聞くようになってきたかなと思います。ここ最近もある経営者の方が言っていたのは、そもそも専門学校の教員がなかなか見当たらないんだというようなところとか、なかなか継続が難しいというお話もよく聞きますし、また、企業の方々も本当に専門学校、大切なんだけれども、なかなか専門学校から人が集まらない、専門学校自体がなくなってしまうケースがある話も聞いていて、本当に深刻だなと思っています。
 そうした中、今回の報告書が地方部の人材不足の問題並びに教員の採用や、また保証の問題も入れていただいたことは本当に大事なことなのではないかなと思っていますし、また、こうしたメッセージを地方部の専門学校にも届けていくことは非常に大事な役割なのではないかなと思っているところです。この報告書を基に、また私自身も地方部の専門学校の先生方や企業の方々にもいろんな形で支援、こういったことが報告書としてできましたよということを自信を持ってお伝えしていければなと思っていますので、今後引き続きよろしくお願いします。
 以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございました。吉本委員、どうぞ。
【吉本委員】  小杉委員の話もありましたけれども、僕自身が言った区分制の話ですね。区分制にすることによって後半だけ2年を、典型的には自動車大学校の区分制にしていれば、後半2年だけを教育訓練給付金の対象にすることができると。4年間だともともと無理なものだから、そういう意味でも実際に自動車整備の2級を持っている人たちがうまくリカレント学習に来れるようにするような仕組みが必要です。専攻科設置と同時に、既存の4年制専門士課程も区分する可能性をこれから検討するぐらいのことを書いていただくといいかなと思った次第です。
【吉岡座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。では多委員、お願いします。
【多委員】  先ほどの前田委員から質保証と評価についてお話しいただきました。私もそのとおりだなと思っています。報告書の23ページの評価のところについて、中安室長ともいろいろとお話を全専各連でもさせていただいて評価の努力義務という形になりました。なぜ努力かということになると、22ページのところにも記されております、学生数200人以下の小規模の学校が多い中で事務処理能力や財源に限界があることや、評価の意義の浸透が十分でない面が考えられることが理由だということです。
 一方で、小規模校で受審しているところはないのかといえばありますし、評価の意義の浸透が十分でないことに関しては、経営層の課題認識だと思うんですよね。ですから小規模でも受けられる、課題認識を変えれば評価に対して前向きになるということもあると思います。
 私、よく自分の学校の教員や職員に言っているんですけれども、専門学校が高等教育機関として信用を得るための3本柱とは、職業実践専門課程と修学支援新制度と第三者評価だと言っているんですよね。この評価の部分が圧倒的に遅れている。それが先ほどの前田委員のお話にもつながると思いますので、この努力義務として求めることが考えられるというものの後に、どう書くかというのもあろうかと思うんですけれども、先ほど来お話をした規模の小さい学校であっても経営層の課題認識を変えるなど、具体的な施策を講じていく必要があるというような、そんな書きぶりができないかなというような気がしました。私からの提案ですので、受け止めていただければと思います。よろしくお願いします。
【吉岡座長】  ありがとうございます。では芦田委員、どうぞ。
【芦田委員】  第三者評価をやれば何か解決するような感じもなきにしもあらずだと思うんですが、専門学校の10年間、職業実践専門課程でもステークホルダーになりますけれども学校関係者評価会議だとか、教育課程編成委員会で実務関連の人を入れたり、第三者的な評価をやってきているわけですから、この10年間でそういった括弧つきの外部の人たちを入れた評価を受けていくことによって、あるいは教員の研修の義務づけとかをされていく中で教員の質向上がこの10年間でどのように変化したかとか、あるいはそういう括弧つきですが、第三者的な評価の取組が10年もあるわけですから、そういったものがどう機能したのか、機能しなかったのかということの総括をきちんとやっていかないと、第三者評価に進んでも屋上屋を重ね儀式的なものにとどまり、「質保証」の実質化につながらないかと。この10年の実績をきちんと整理していくことが高校側からも企業側からも信頼に足る次の評価段階に進む最低限の条件かと思います。そういうところは今回のものにはもう全く触れられていなくて、数が増えたという話だけで。
 場合によっては数が増えているのは、評価や点検指標の仕切りが緩いことと相関しているかも分からないし、もっと質をきちんと見極められるような、実績を出せる第三者評価への取組が今後のポイントになるかと思います。その点、今回の報告書はこの10年間の総括がない分、残念だったかなと思っております。
【吉岡座長】  ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。
【佐藤委員】  ありがとうございます。前田委員がおっしゃった専修学校の制度枠組みを対外的に発信することはとても大事だと思います。専修学校で学ぶ留学生がかなり多いので、彼らが国に帰ってから、自分が日本で学んだ課程を知ってもらう意味でも、とても重要です。32ページの「国による広報活動、専修学校による情報公表の強化」のところで「#知る専」のことが書かれていて、私もこの「#知る専」のホームページを見て、とても分かりやすくて充実して非常にいいホームページだなと思っているんですが、この一部の内容でも英語化していただけると、対外的な発信につながると思いますので、御検討いただければ幸いです。
【吉岡座長】  ありがとうございます。第三者評価というか、評価の問題はとても難しく、これも前田委員がもう身をもって体験されていることだと思います。確かに芦田委員がおっしゃるとおり、何か制度ができたとき、あるいはこれまでやってきたことの検証が実は非常に重要なのですが、どの分野もなかなか検証というのが、十分に行われていないことは確かだろうと思います。
 外部の目を入れるとか、ある程度、第三者の評価をやることは一般論としては非常に重要ですし、有効だと思うんですけれども、ではその評価基準をどうするかとか、第三者を誰にするかとか、その辺になると各論は非常に難しいところがありますが、方向性としては外部から分かるようにすること、それから各機関がせめて公表をしていく、透明度を高めることは非常に重要なことですので、その辺のところは意識していきたいと思います。
 そろそろ時間ですけれども、よろしいでしょうか。様々な御意見をいただきましたが、これを踏まえて修正を行っていくことになります。具体的にここはこう入れたらどうかというようなことがありましたら、事務局に連絡していただければと思います。ここだけだと分かりにくかったところとかというのもあると思いますので、ここのところはこういう趣旨であるということも含めて、事務局に後ほど御連絡いただければと思いますが、最終的にはこの報告書(案)は座長に御一任いただければと思います。事務局と相談して、場合によっては委員の方々にも御相談させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【吉岡座長】  ありがとうございました。それでは、よろしいでしょうか、事務局から。
【石橋生涯学習推進課長】  ありがとうございました。事務的な御連絡で、次回の会議に関しては、また事務局と座長と御相談させていただいて、御連絡させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
【吉岡座長】  ありがとうございます。今年度の会議の最後ということで、しかも大きな取りまとめの会議になりました。
 それでは、局長からの御挨拶をお願いいたします。
【望月総合教育政策局長】  本日もいろんな観点からの御意見、御議論ありがとうございました。このいただいた御意見をどういう形で反映できるかというのは個々それぞれあると思いますけれども、最終的に座長と御相談をして一応、今年度取りまとめをさせていただきまして、この具体化を我々としてはしていく作業に移りたいと考えてございます。また、当然引き続いての課題、それから当然、ここだけでは解決できないこともございますし、また、今後のいろいろな状況の変化や社会の進展に伴って専門学校、専修学校の置かれている状況を教育制度全体の中でまた考えていかなければいけないところもあると思います。
 ただ、はっきりしているのは高等学校や大学というような、学校教育の一条校と同等の役割をしっかりと専修学校、専門学校が果たせるように、制度的にも、それから実際上の運用に当たっても関係者の認識を一致しながら、そしてまた高等学校側、あるいは企業側、それから多くの専修学校で学びたいと思っている方々にも届くような形で、しっかり専修学校の教育の充実ということを進めていかないといけないと考えてございます。これまでも各委員の御協力とそれから御私見、ありがとうございます。引き続き、またどうぞ御指導よろしくお願い申し上げます。
【吉岡座長】  ありがとうございました。
 最後に私から御挨拶申し上げます。私は第20回からこの会議に関与させていただきました。毎回申し上げていますが大変勉強になる会議で、今日の議論でも例えば技術とは何かというようなことというのは非常に大きな問題で、多分それは専修学校の問題にとどまらない、高等教育だけではなくて本当に教育の中核部分をどうするかということであり、それから職業というものをどう考えていくのかということにも関わっていることだと思います。
 先ほど寺田委員がおっしゃっていたように、ヨーロッパでもある時期まで技術教育と大学教育とが分かれていたのが今、むしろ統合していくというか、それぞれの重要性が多分認識されてきたということだと思いますけれども、そういうことも含めて、ここでの議論は恐らく日本の教育制度の根本に関わるような議論をしているのだなと思いました。文部科学省の事務局の方々も恐らく様々なことを考えるきっかけになったと思いますので、これを元にまた別の展開もあり得るかなと思いました。
 この会議といたしましては、このまとめが今回一応まとめられたということで本当にありがとうございました。修正をした上で、これを法案に結びつけられるところは結びつけていく、それから法案ではなくても制度上、あるいは政令等で動かせるところもあると思いますので、今後の参考にもなっていくと思います。大変重要なまとめができたと思っております。本当にありがとうございました。
 ということで本日の会議は、これにて閉会させていただきます。どうも本当にありがとうございました。

 
                                             ―― 了 ――

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