専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議(第29回)議事録

1.日時

令和5年7月4日(火曜日)15時30分~17時30分

2.場所

5F2会議室(WEB会議併用)

3.議題

  1. 東京都専修学校各種学校協会「専修学校振興構想懇談会専門学校検討部会」報告書の報告と意見交換
  2. 留学生の卒業後の進路と教育の質保証について

4.出席者

委員

芦田 宏直  人間環境大学統括副学長
植上 一希  福岡大学人文学部教授
浦部 ひとみ 東京都立葛飾総合高等学校進路指導部、東京都高等学校進路指導協議会事務局次長
大谷 武士  全国中小企業団体中央会労働政策部長
多 忠貴   学校法人電子学園理事長
河原 成紀  学校法人河原学園理事長
小杉 礼子  独立行政法人労働政策研究・研修機構研究顧問
佐藤 由利子 東京工業大学環境・社会理工学院融合理工学系地球環境共創コース准教授
寺田 盛紀  京都先端科学大学客員研究員、名古屋大学名誉教授
冨田 伸一郎 株式会社ウチダ人材開発センタ代表取締役社長
野田 文香  独立行政法人大学改革支援・学位授与機構研究開発部准教授
前田 早苗  千葉大学名誉教授
吉岡 知哉  独立行政法人日本学生支援機構理事長
吉本 圭一  滋慶医療科学大学教授

文部科学省

藤江 陽子  総合教育政策局長
里見 朋香  大臣官房審議官(総合教育政策局担当)
神山 弘   生涯学習推進課長
中安 史明  専修学校教育振興室長

5.議事録

【吉岡座長】  定刻より少し早いですが、皆様お揃いですので、始めたいと思います。ユーチューブで配信しておりますので、その点御留意いただければと思います。
 ただいまより、専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議を開催いたします。本日、御多忙の中、御出席いただき、誠にありがとうございます。今回も対面及びオンライン会議の併用開催で、かなりの方に対面で御出席いただいておりまして、議論も活発にできるのではないかと思っております。
 それでは、議事に移りたいと思います。最初に、東京都専修学校各種学校協会「専修学校振興構想懇談会専門学校検討部会」報告書の報告と意見交換についてという議題でございます。公益社団法人東京都専修学校各種学校協会、東専各と略称されておりますが、東専各では昨年度報告書をまとめておられ、この報告書の内容がこの会議における議論にも資するものであるため、今回この議題を設けました。本日は、東京都専修学校各種学校協会の副会長及び特定非営利活動法人職業教育評価機構の副理事長であられる関口先生にお越しいただいております。また、本会議の委員である吉本委員におかれましてもこの報告書に携わっておられます。これを踏まえまして、まずは関口先生及び吉本委員からこの報告書について御報告をいただきたいと思います。
 まずは、資料1について関口先生から御報告をお願いいたします。では、お願いいたします。
【東京都専修学校各種学校協会(関口副会長)】  御紹介いただきました関口でございます。表題ですが、「専門学校における第三者評価導入に当たっての考え方について」ということでございますが、この背景といいますか、ベースになる話で御紹介いただきました東専各の構想懇談会の状況についても御報告させていただきます。
 それでは、2ページ目をお願いいたします。特定非営利活動法人職業教育評価機構(旧私立専門学校等評価研究機構)でございますが、これまでの取組を御紹介いたします。
 3ページ目ですが、ここで第一次構想懇談会、平成15年に報告書が出たものでございますが、そことの関わりというものがございます。このときの主な委員は、多胡輝先生はじめ、東京都の生活文化局長名がございますように、東京都との強い連携の下になされました。業界、産業界その他、そこにございますような委員の方に御協力をいただいた次第でございます。
 4ページ目です。この第一次構想懇談会の報告書、平成15年に出た「専門学校の新たな取り組み」という中には、主として5つの提言がなされております。①高度な職業教育を提供する専門学校を伸長して、それを核として将来像を構想する。つまり、良質なといいますか、高度な部分をまず先行して、世の中の信頼を獲得することで専門学校全体をよくしていこうという方針を打ち出しているということ。②専門卒・大卒を入学資格要件とするマイスターコースを提唱いたしました。③分野ごとの「産学連携会」を構築ということで、業界・企業との連携の強化。そして、下線が引いてありますが、④第三者評価団体、これは私立専門学校等評価研究機構(現:職業教育評価機構)をつくって、受審と公表を通じて専門学校の社会的信頼の確保を図る。そして、⑤専門学校の制度的地位獲得を目指して職業教育体系の再構築を図るという提言をいたしておりました。
 5ページ目、その現職業教育評価機構の活動でございますが、①第三者評価の実施について、受審校は64校で、毎年、増減はありますが、第三者評価を行っております。そして、評価システムの開発・更新も努めてまいりました。②学校評価の促進ということで、自己評価等の研修を実施し39回、1,800名の受講ということと、学校評価ハンドブックというものを販売・配布させていただいております。③学校評価制度の普及ということで、これも講演会等の実施を、資料に記載の回数と聴講者数で行っております。
 6ページ目、ちょっと小さくて見にくいですが、117校の会員の分野別の名簿でございます。
 7ページ目の右側に、これも小さくて恐縮ですが、平成26年度からのこれまでの取組を記しております。今回の令和5年度の事業の概要は左側に書いてありますが、右側の平成26年度からの取組は、最初、11の分野の分野別評価の取組とモデル事業の実施等々を積み重ねてまいりまして、その途中から今度は全体の共通の評価の仕組みの構築とモデル事業を繰り返してやってまいりました。直近の令和4年度においては、そのような質の保証という手前の適格認定版の第三者評価を第1段階としてつくろうじゃないかということで、何を適格認定するかというと、例えば職業実践専門課程の認定要件をクリアしているかというような適格認定版でございます。
 8ページをお願いします。それで、専門学校教育に第三者評価を導入するに当たっての要検討事項ということで、現状でございますが、請け負うことができる機関があるのかということにつきましては、御案内申し上げましたように、着実に第三者評価の実施と、普及といいますか、認識を深めるということもさせていただいております。また併せて、一般社団法人専門職高等教育質保証機構等々、分野別評価団体もできて、連絡協議会等もこの受託事業の中で進行させていただいておりますので、一定の準備はできていると考えております。それから、第三者評価を受ける対象となる専門学校の範囲については、ここは先ほどの適格認定という発想と一体化し、職業実践専門課程を有する専門学校から始めたらどうかと考えております。そしてその場合、適格認定版ということですと、評価費用というものも取り組みやすい金額になるのではないかと考えてございます。
 ここまでが第三者評価についての現状と展望ということで御案内申し上げました。これが第一次構想懇談会から出発しているということでございます。
 10ページ目です。第二次構想懇談会は、ちょうど前の懇談会から15年経ち、平成30年からということで、目標としては、①第一次構想懇談会の継承ということで、専門学校の諸課題を分析し、課題の本質を明確にして今後の新たな専門学校像構築の土台とするということ。そして、職業実践専門課程の職業教育の在り方、つまり、一つの職業を源泉として、その方向に向けて、どのような育成目標、学修成果目標を立てるのか、そして、その目標を達成するためにカリキュラムをどうつくるのかと。職実が職業教育そのものを表わしていると捉えて、それを基本形として、さらにその充実・発展をもって専門学校の振興と社会的な信頼を得ていくということ。そして、②同じくこの職実の在り方を軸として、職業教育機関をその考え方の下に関係づけ、そのことによって職業教育体系の構築を図っていく、その可能性を探る。さらにそこから、③職業教育体系の確立への動きと併せて、学び直しや留学生問題など幅広い観点から、NQFの構築を提唱する。このようなことが東専各の捉え方としての目標でございます。
 11ページ目です。実施体制としましては、第一次と異なりますのは、専門学校だけではなく、高等専修のほうにも部会を設けまして、併せて報告書が出揃ったところで、本部会を令和6年の4月から開始する予定でございますが、ボリュームとしては専門学校のほうが大きいんですけれども、こちらはこの間ずっと、部会長として吉本先生、それから東専各の現会長の多先生と私が副会長という体制で、以下、資料に記しております皆様に委員として御参画いただいているという状況でございます。
 12ページをお願いします。構想懇談会の報告書についての詳しい御説明は吉本先生に譲りますが、大まかな構造といたしましては、①構想懇談会の位置づけ、これについては第1部ということになるんですが、専門学校への政策・改革動向からという視点と第一次構想懇談会の継承の視点というところから構成しております。それから、②制度の体系的整備ということなんですが、これについては第2部として、高度専門士についてと、職業の専門分野の分類ということは、東専各の中で委員会をつくって、ずっと研究及び発表もしてまいりましたので、それらも踏まえた上での、またNQFへつながるような制度の体系的な整備という課題を扱っております。③職業実践専門課程の充実と職業教育のマネジメントにつきましては、この間、数年にわたり文部科学省から、指針といいますか、見解が発出されておりますので、三菱総研さんの調査結果も踏まえ、東専各としても第3部、第4部でこの点についてまとめております。④多様な学生の受入れと質保証という観点で、助成措置、留学生と日本語教育、リカレント、学校評価等々の幅広い課題について第5部、第6部で扱っている。全体としてはこういう構成でございます。
 13ページですが、私が担当したところで2点取り上げさせていただきます。まず職業教育のマネジメントについては、記載のとおり、企業側の役割ということについて、実習は成果目標の設定であったり、指導方法であったり、カリキュラム開発であったり、評価方法を開発することや教育指導、評価を行うんですが、この場合、企業側は、単なる協力者ではなく、実際に実習という場面では学校側と対等の教育指導者であるべきだろうということで、企業の立ち位置も同じだということなんです。そういうふうに見ますと、職業教育のマネジメントという点で、企業との連携という局面において、そのマネジメントは、学校内のPDCAサイクルという形で完結するものではなく、企業という外部へと開かれたマネジメントとして捉えなくてはならないのではないかということを職業教育のマネジメントの特徴として書かせていただいております。
 それから、14ページは分野別の評価についてなんですが、前提として、職員教育の分野分類というものが確立していません。これは大変重要な点ですが、これも報告書の中に入っています。それから、分野別の評価基準というものはなくて、専門分野の評価者を起用すればいいのではないかという考え方がありますが、評価の厳密性・公平性が担保されないということで否定しております。それから、分野別評価の広がりに求められることは、当然、業界と学校双方が人材要件・育成目標の明確化に取り組む必要があるのですが、多くの分野でこのどちらも機運に乏しいという状況であります。それに手をこまねいてはいられませんので、まず先進校からそういう体系についての取組と業界への働きかけに期待したいわけですが、分野分類が未着手の専門職大学院、専門職大学を含めて、職業教育の体系化と国際通用性の観点から、やはりこれは国の意志と関与がなければ大きな前進は望めないと考えております。
 15ページですが、この検討部会の報告書のテーマは「職業教育体系の確立に向けて」ということで、この後吉本先生がお話しになりますが、私なりにその5つの観点をまとめました。職業教育体系の確立に向けてという視点からこの全体ができているということで、詳しい説明はいたしませんが、やはり4番目に書きましたNQFがないと、内外の人材流動性が本当に確保できないだろう。それにはやはりこのNQFがあってこそだと考えておりますことを最後に申し上げまして、私の説明とさせていただきます。
 以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございます。
 それでは、吉本委員から資料2について御説明をお願いいたします。
【吉本委員】  それでは、関口先生のほうからも報告がありました報告書がこの3月に出ましたので、このエッセンスをお話ししたいと思います。資料としても報告書の15章の要旨は添付されていると思いますので、後ほど御覧いただければと思います。
 結論的に言いますと、「職業教育の体系の確立に向けて」ということで東専各として話をしてまいりました。当然、職業教育体系を確立するのは東専各だけでできることではありません。これは、東専各が自らの範囲の学校に、ったその確立に向けてこういうような取組をしましょうという、本調査研究協力者会議の場でもやっているような、各学校へのメッセージというのもあります。しかしそれ以上に、東専各がどういう事業をやるかということを考え、さらには東専各以外の関係者への声を伝える、さらに、そういう意味で、この質保証・向上会議に関わるような文部科学省の政策への意見ということも含めてまとめました。もちろん、今回、専修学校教育振興室向けにメッセージを届けることになりますけれども、文部科学省だけでできることではないことも含めて書いてありますので、これをどういうふうに扱っていただくかは、ぜひ広く検討いただければと思っておるところです。
 2ページ目「報告書の構成」として、背景・経緯を説明し、特に高等教育としての専門学校というスタンスから、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」をどう考えるかということを我々考えていったところです。そして、ステークホルダーとの連携を通した教育指導体制の在り方として、現実に学校がどんなことをするか、さらに、マネジメントと点検・評価、最終的に専門学校制度を充実することが職業教育体系の確立の要と考え、一番の先導的な牽引役になり得るという思いで、このように報告書をまとめております。
 3ページ目、背景と経緯については、もう既に関口先生のほうからありましたような形で、20年前の第一次懇談会の提言も一定の現実へのインパクトをもたらし、成果があったと考えて、第二次懇談会として、それを引き継いで20年後の議論をしたということです。
 報告書全体を1枚の絵にまとめると、4ページ目のとおりです。文字ばかりで恐縮ですけれども、「職業教育の体系の確立に向けて」、現場のレベル、政策レベル、こういうミクロからマクロまでの広い視野を持って検討しました。
 まず、高等教育としての専門学校教育が目指すべき姿から始まって、職業教育体系の確立まで行く流れの中で、各パーツを少しお話します。最初は6ページ目からになりますが、中教審のグランドデザイン(答申)について専門学校の側から問題提起してみようということを考えました。グランドデザインに専門学校がどう対応するかということをしっかり考えた上で、しかし、高等教育の一翼を担う専門学校は、グランドデザイン(答申)の中で十分に光が当たっていないようにも見えます。なるべく、基本的にこの答申に沿って考えていこうとしました。そうすると、「学修者本位の教育」という課題は、専門学校、当然ながら進めてきたことでもありますし、それを充実させるというのは当然のことだということで、職業教育の各分野や職業教育の体系的なビジョンを専門学校から補完して発信することが必要ということを確認しました。また他方で、グランドデザイン(答申)は、一言でいうと「多様性と柔軟性」を強調しています。しかし、専門学校は既に十分に多様であり柔軟であり、他方で言えば、教育プログラムの標準化や可視化が困難であり、そここそがむしろ専門学校では課題だということを考えます。それは、特に教育の質の保証と情報公開というようなパーツで、関口先生のほうで既に指摘いただきましたけれども、専門学校の学校評価の仕組みとして、小学校の学校評価制度が準用されているために、高等教育の政策上は見落としが生じていることを指摘させていただいていますだと。
 7ページ目、高等教育としての専門学校が目指すべき姿は、グランドデザインの考え方を踏襲すれば、もちろん「予測不能な時代を生きる人材像を探求する」ことです。それは、専門学校においては、「専門的な能力を持って社会を牽引していく態度とそのための社会に関わる経験を持つ人材像を確立する」ことと理解しました。グランドデザインを解読したところ、暫定的ですけれども、このような結論に至っている。他方で、何を学び身につけることができたのか、個々人の学修成果を可視化するという課題については、職業教育のステークホルダーが参画する学修者本位の職業教育体系を確立すればいいのだと理解しました。そのために学位・資格枠組み(NQF)を開発するということが課題になるということが、グランドデザイン(答申)から専門学校として読み取れたことです。
 そこで、職業などのステークホルダーと連携した教育研究指導体制ということが重要なポイントになってくるわけです。この質保証・向上の会議では、2014年に職業実践専門課程が制度化されてから、制度創設数年はどのぐらい普及したか、またさらにどのように普及の可能性があるかということを調査し議論していたわけです。その後数年にわたって「実質化」という課題が登場し、「さらなる充実」に向けて繰り返し繰り返しそのトライをしていきました。これはこれで重要なポイントでもあります。
ともあれ、9ページ目、産業・職業・地域のステークホルダーと連携した職業実践専門課程のさらなる充実のポイントを3つあげておくと、1つはマネジメントに係るPDCAで、2つ目に、人材要件の標準化、評価の基準化、そして3つ目に教員と教員組織のありようとなります。特に、ここには書きませんでしたけれども、基幹教員や新しい教員を含めた教職員によるマネジメントが課題になっている。こういうことをしっかり充実させると。
そして、このブロックでは、特に高度専門士課程の充実について検討しました。典型的に、国際通用性を論じる際に高度専門士の称号の位置づけを明確にすることが重要だということを確認したわけです。そして、この職業実践専門課程の充実の次のステップを、我々は質保証・向上会議で進めるべきだと思います。東専各でも、この職業実践専門課程のステークホルダー参画モデルを、ほかの学校段階、ほかの学校種へ拡張していくこと、まさに職業教育のモデルを広げていくということが大切であると考えました。その広げていく対象としては、1年制の専門課程、それから高等課程をどのように位置づけるかということが課題です。高等課程の場合でも、地域のいろいろなステークホルダーと関わりを持った教育課程のプログラムの開発を関係者が進めていますので、そのような職業実践専門課程のモデルを職業教育を担うさまざまの学校段階、プログラムに広げていくことが課題であると書きました。
 そして、10ページ目の教員のところでは、特筆していますけれども、教員の学術経験と職業経験を評価し、能力開発のための研修を充実させることを提言しています。まず、実務家教員、あるいは最近の基幹教員の活用については、それぞれの定義がしっかり示されていないことが問題となっている。理論的な検討の結果、4つの概念が必要となってくる。資質としては、学術卓越性、職業実務卓越性、教育指導、教育マネジメント、こういう4次元の能力の養成について適切な担保が必要になってくる。現行の専修学校設置基準では、専門課程の教員に、「学校・研究所等の経験」年数によって、それが高卒プラス6年以上であれば専門学校の教員になれるというような非常に緩い規定です。しかも、職業教育ということが想定しにくい「学校・研究所等」の経験として概念化される方向性の規定になっている。これは少し見直してもいいのではないかと考え、報告書にまとめています。少なくとも職業実践専門課程については、認定要件にある教員の研修ではなく教員要件自体を見直すことの検討があろうと考えています。いずれにしても、このような形の規定の話は、国にお願いするほかない。他方で、こういう能力・資質概念については様々な団体を含めていろいろ研究・検討していくことが必要でしょう。もう一方では、教育指導や教育マネジメントについて、大学等では教職員一体となったFD・SDは当然大学設置基準等の中に入っているので、そういうものは職業実践専門課程ならずとも、専門課程全体で組み込んでよいことではないかとここでも議論しました。とはいえ、外に向かってメッセージを出すというだけではなく、東専各としてやっていることも自己点検し、振り返ってみました。東専各では、これまでも職業教育・キャリア教育財団の基準に沿って、新任教員の研修をしてきたわけです。上述した教員の能力要件からすると、職業教育・キャリア教育財団の基準も少し古いのではないかと考えました。マネジメントというような考え方が抜けているということで、これは東専各として、新しくテキストをつくり、新任教員の教職課程の研修を始めています。できればこういう東専各の動きは、もっと拡大したらいいと思うのですけれども、東京都の新任教員が推定で毎年700人程いるなかで、この研修に来ているのが60人、僅か1割弱をカバーするにすぎない。もちろん、大きな専門学校グループ等は自分の学校グループである程度の研修をしています。ただ、ここにあるような、25回50時間の研修まで実施しているところは少ないかなと見ています。このような研修が、東京都内の普及だけでなく、全国的なモデルにならないかなと考えています。近年の研修実施は13都道府県にとどまっており、近隣の都道府県での受講を促すというケースもあるようです場合が、それでは広い普及ということで限界があるだろうと思います。全国でいうと、専門学校1校あたりの教員数は平均で13名程度しかいないんですよね。そのうちの1人を25週にわたって、学校から離れて研修させるというのは負担があるので、もう少し工夫ができないかと考えました。例えばオンライン活用を含む工夫など、職業教育・キャリア教育財団へのメッセージではありますが、そういうことを国としても応援して欲しいと考え、この場でも報告させていただきます。もちろん東専各自身でもこれを更に見直し充実させる方向にあり、このことを広くアピールしていきたいというまとめです。
 11ページでは、多様な学生へのアプローチを検討したものです。主に3つのポイントがあって、1つは広く学生支援として公的財政支援の検討をしました。今、専門学校の職業実践専門課程に対する特別交付措置が創設され、現在25都道府県まで拡大していますが、これを更に進めていくことが大切であると考えました。また、本来、地方交付税そのものの積算根拠に専門学校分が計上されています。地方交付税の積算根拠になっているのだから、職業実践専門課程ならずとも専門学校には適切な支援があってもいいわけです。地方自治体に対して、何らかのしっかりとしたアピールが欲しいものだなと考えています。本調査研究協力者会議などで声を発していくことも重要と考え、このような事実をまとめ、またこの場で報告しているものです。
2つ目の留学生については、東専各の立場としては、ガイドブックをつくるなどしていますけれども、専門学校の枠内に留まらず、日本語学校との連携が課題となっています。
3つ目の学び直しへの専門学校の取組については、リカレント学習、リスキリングだとかいろいろ議論があるんですけれども、それが本当に国の政策の中にきちんと統合された形になっているのだろうかという疑問を提示していますところも含めて、リカレント学習についての課題は大きいと考えました。この質保証・向上会議の範囲で考えると、リカレントな学修を始めるにあたって、それまでの学修や経験を通して学んだものを認めることで、プログラム修了までの時間的な配慮をするための、高度専門士課程の区分制導入を提言しています。区分制でも、専攻科スタイルでもいいのですけれども、極端に言うと、専門課程を終えた人たちが学ぶ専門課程というのが幾つかある中で、専門課程修了を前提としているプログラムは、高度専門士課程の上級段階、3年生・4年生の部分という理解ができるのではないかなというのが区分制の考え方です。専攻科という扱いもありますでしょうし、こういうことはぜひ考えてもらいたいところです
国全体で議論すべきところというのは、文部科学省サイトではリカレント学習者へのモジュール化や長期履修学生制度などの、時間的な工夫をすることで成人に学びやすい環境を提供しようとしています他方で、厚生労働省は、職業教育におけるリカレント学習支援のために専門実践教育訓練給付金など経済支援を用意していますが、そこでは労働市場への再参入などの効率的な支援のためのものであり、長々だらだらと学ぶのでは雇用保険の投入はできないとして、先の文部科学省のアプローチと両立しません。完全にバッティングしており、ぜひとも調整していただきたいと考えています。これは、私の勤務する大学院でも認定されている「職業実践力育成プログラム」なども同様に該当しますが、じっくり学ぶために履修期間を長くすれば専門実践教育訓練給付制度から除外されるという困難を生じます。こういうことはもう少し議論が欲しいなということをメッセージとして報告書では書いています。
 少し飛ばして16ページ、5番のところで、ここで直接に文部科学省の政策へのメッセージとなります。1点目は、単位制度による制度の可視化を進めていただきたいという結論です。それから、新しい専門分野分類、学位・資格枠枠組み(NQF)、そして、単位制度の導入によって専門課程と高等課程の修了概念を可視化し、また学校教育法での位置づけを再考することができないかと考えているわけです。
 制度の複雑さの解消と可視化の課題ということで言うと、今の現実として、2年制以上4年制未満の専門課程は、全てが専門士を授与するというわけではありません。また、全てが大学編入学の指定を受ける課程とはなっていません。それぞれの要件が別々の告示の下で、都道府県等の所轄庁を通して認定されるものですから、職業一線専門課程の任\艇の有無を組み合わせて、2制年以上4年制未満の専門価値には実は8タイプが存在している。こんなに面倒なことが放置されたまま、職業教育の可視化ができるのだろうかと考えます。、修業年限4年以上の専門課程についても、同じく大学院に入学できるとみんな言っていますけれども、その課程が認定されるためにはまず申請しなければならない。そうなると、外国の学校教育における16年の課程を修了した者には自動的に大学院入学資格が認められるのに対して、同じ年数をの学校教育を修了する4年制の専門課程修了者には自動的には認められない。こういうことは、普通に考えれば差別だとか、そのような議論をしなければならない話だと本当は思います。この辺りはどのように考えるのかと思います。
 最終的に18ページ、ここでの提言は、単位を基礎として「学修の成果を証す」ことです。専修学校設置基準の19条には、学修の成果を証する必要があるときには単位制を使うことができるということになっています。本来、高等教育のプログラムでは全て、授業時数ではなく、修得単位数に改めることが大切だと考えます。それで、例えばこの報告書にあるような条文をそのまま学校教育法に追記すれば、都道府県を煩わせることが一切必要なくなるわけです。そして、もう一つは、専修学校の設置基準において、専門課程1年当たりの最低修得単位数を31単位とするということです。専門課程はどこでも800時間以上の授業は確保しているので、800時間以上の時間を全部実習や訓練だけやっていたら31単位の学修にはなりません。しかし実習が時間数でいうと6割を超えない限り、残りの演習や講義を合計して31単位は超えるのです。単位数換算でいうと実習が4割を超えない限り、こんな密度の濃い訓練のようなことを学校教育でやることはないので、また訓練だけやるのであれば専門学校ではないので、現在ある全ての専門課程は、年31単位以上の単位制へ移行できるという報告内容になっています。混乱を生じない制度の可視化を実現できるということが今理解できるわけです。
 専門分野の分類について言えば、20ページを御参照いただければと思います。こういう形で、国際的な職業教育の分類、ISCED2013-fの分類と対応させて、職業実践専門課程の分類(TSK分類)がここに出来上がっている。これは東専各での何年にもわたる検討の結果で、こういう対応ができています。もちろん日本全体として議論するときには、大学や短大も巻き込んで議論し、また家政学の分野のようにISCED2013-fで対応できないところは日本固有の分類をしなければならない。しかしそれは職業教育においては特に必要であり、本当に議論する、関心があればできることなんです。
 学位・資格枠組み(NQF)のところのまとめに行きます。21ページを御覧ください。学位・資格枠組み(NQF)は、ここにあるような歴史をたどって国際的に発展・普及してきました。東専各においてもNQFへのアプローチのひとつとして、専門分野の分類を整備しました。しかし、もう一つの、業種別の技能標準委員会(ISC:industrial Skills Council)というような組織もどこかでつくることを議論しなければならないと考えています。
NQFについては、レベル、タキソノミー、ディスクリプター、こういう要素の検討が必要になってくるのですけれども、このNQFの国際動向の検討並びに分野ごとの学修成果ディスクリプターの開発については、九州大学において2013年から2019年まで文部科学省の「成長分野等における中核的専門人材等の育成事業」の委託事業を受けて、また途中からは「職業実践専門課程等を通じた専修学校の質保証・向上」の委託事業を受けて成果を出しましたので、またスライドにあるように「第三段階教育と学位・資格研究会」のウェブページに全ての研究・委託事業成果が提示されていますので、これを御参照いただければと思っています。
 22ページ目です。日本版NQFにおける学位・資格のレベルは8段階で設定できる。専門学校に関するところで言えば、レベルの2から6までのそれぞれの課程をカバーしているということなんです。
 そして、23ページのとおり、NQFは学修成果でもって示す必要がありますので、知識、技能、態度、応用の4次元のタキソノミーに基づいて、また資料に列挙したような2層目のタキソノミーをつくることによって、ルーブリック評価の各レベルごとの達成目標が設定できるということになります。
 ということで、以上、東専各の報告書では、職業教育の体系の確立化に向けて、こういうメッセージを示したところです。25ページ目の問合せと、それから、26ページの研究成果というのがありますが、現在ここの独自のホームページを作っており、皆さんに御覧いただけるようになっておりますので、文部科学省ホームページの委託事業の報告書のURLからも飛べるように調整させていただこうと思います。
 以上、報告をさせていただきました。
【吉岡座長】  ありがとうございます。
 それでは、今のお二人の御報告を基にして議論を進めていきたいと思います。まず、吉本委員、それから関口先生からの御報告について御質問等があればと思いますが、まず寺田委員、お願いいたします。
【寺田委員】  まず関口先生のところで、ちょっとびっくりしたことがあるんですけれども、これは平成15年の第一次構想報告書のことなので、平成15年というと、20年以上前です。ですので、ちょうど若者自立・挑戦プランとか何とかがいろいろあって、マイスター高校であるとか何とか、いろいろ言われた時期なのでやむを得ないかなと思うんですけれども、専門学校卒・大卒を入学資格要件とするマイスターコースを設置するというのはどういう展望だったのでしょうか。後の職業実践専門課程ともつながらないし、専門職大学でもないので、これは要するに、マイスターコースというよりマスターコースですよね。マスターコース相当の課程をつくるということだったんですけれども、これはどういうものだったか、あるいはこれが現在どうつながっているかということを説明いただけるとありがたいんですけれども。
【東京都専修学校各種学校協会(関口副会長)】  これは実際には実現はしておりませんが、どこにつながったかというと、高度専門士の創設というところには影響を与えたと総括されております。この時点のところは私は直接関わっていないのですが、後で確認したところによると、要は、大学院というか、一定の資格なり、専門的な教育等々を受けた人が、業界との関係を前提とした実習であるとか、さらにその練度を高めるというのを現場性の高い状況で学修するという課程を上につくることで職業教育というものを完結させようという意図の下に提言されたものであります。ということは、吉本先生に御説明いただきましたが、今、高度専門士の区分制というところで、後期課程の発想というのは、例えば医療系であれば、実際に有資格者になって、現実に施術ができるという状況の中でいかに教育するかという、現場実習的な教育のようなものがここでも一定程度想定されていたということであります。これを高度専門士の4年制の区分制という形には持っていきませんでしたが、やはりそういう2つの段階を1つの職業教育として取りまとめていこうという提言でございました。直接何かにこれが結びついたということはないのですけれども、あえて言えば、区分制化された高度専門士というものにつながったと解釈できると思います。
【寺田委員】  いや、僕が言いたいのは、あまり安易にドイツモデルの名称を使わないほうがよい。国際的にはまずいのではないかという気がしたものですから。
【東京都専修学校各種学校協会(関口副会長)】  それは、すみません、私も引っかかっております。
【寺田委員】  それから、吉本委員の関係で、関口先生も触れておられましたけれども、3つ程申し上げたいので、説明いただければと思います。
 1つは、例えば3-1のところ、職業実践専門課程のさらなる充実というところがあって、これはやはり高等専修学校なり専門課程との関係で鍵となるような問題かなという気がしています。それで、PDCAのことが書いてありますが、そういう形式よりもう少し、今後の職業教育体系の確立との関係で、学校の特性というものを出すこと、あるいは戦略的な目標というのをもっと打ち出したほうがいいのかなというのが感想です。
 それからもう一つは、EQFやNQFの問題で、前回も申し上げましたけれども、今示された表には出てきませんでしたけれども、事前説明の際にいただいた資料では5-6の日本版NQFという、ディスクリプターの問題ですね。職業コンピテンシーとレベルを組み合わせたマトリックスによる説明。吉本さんはどうも1から8段階のところをどう区切るかというところに主な関心を持っておられるようで、私はむしろ、1―8というのは国際標準で、12段階に区別しているオーストラリアみたいなのもありますけれども、私はいいと思います。問題は、その右側の列の知識、技能、態度、応用というところで、前回も吉本さんとやり取りしましたけれども、これは国際標準のためのディスクリプター、あるいはアメリカ的に言うとインディケーターをつくるのにちょっと国際的、現代的でないのではないかなと思います。
3つ目ですが、特に態度、応用というところですね。応用と言ってしまうと、そこに書いてあるとおり、知識、技能、態度の応用で、まさに身につけたものを実践で応用するというプロセスを非常に重視しているわけで、問題は、特に職業教育だとか実践課程の場合は、実践教育の中で身につける固有の側面というものがあるので、そういうものが入ってこないなという印象を受けるんです。それから態度、これはいかにも古いので、文科省の10年、20年前までの知識、技能――技術なんていう言葉を使っていましたけれども、知識、技術、態度と。現在ではほとんどそういう言い方はせず、思考力であるとか倫理観であるとかという言い方をしていますけれども、ここは人格的側面ですよね。ということで、国際的な動きからいうと、アメリカだとかOECDのキーコンピテンシーであるとか、それからEUのクオリフィケーションの知識、技能、コンピテンスという並べ方であるとかの中のこのコンピテンス、あるいはOECDの3キーコンピテンシーの中の一つである自律性とか責任性とか、責任意識だとか、そういうことが入ってくるので、もう少しここを検討してほしいなと思います。態度という言葉を使っているところもあります。オーストラリアとASEANですかね。応用という言葉もヨーロッパでも2つぐらいの国が使っているんですけれども、応用の中身はやっぱり今言ったような自律性や責任性であるとかということなので、もう少しはっきりさせたほうがいいのかなという気がしております。
 その3つにとどめておきます。よろしくお願いします。
【吉岡座長】  それでは、吉本委員からでよろしいでしょうか。
【吉本委員】  はい。今ちょうど話が出ているNQFのところから逆に話をしますけれども、ディスクリプターの議論というのは、実際にビジネス分野、それから看護、保育、介護の分野で、ある種レベルに合わせたルーブリック表現ができるディスクリプターを開発できています。これが2層目のタキソノミーに相当してできるもので、今寺田委員がおっしゃった自律と責任というのも開発当初から検討しておりまして、それぞれ第2層に入っています。倫理観と責任というのは職業の領域では、どの職業でもそれぞれに出てくるので、この態度の中に入っている。知識、技能、態度というのは、「21世紀スキル」とかOECDでも普通に出てくる言葉ですし、学校教育法の各学校の目標規定の中に態度が明記されています。古いといえば古いかもしれませんけれども、そうした学修成果の普遍的なタキソノミーということになります。また、態度という中の責任感や倫理観というのは、態度と価値観の中の重要な要素で、これは産業界・職能団体の声を聞くと、必ず出てくるものです。それから、現場の文脈での応用という意味で、単なる学術の応用ではなくて、現場の文脈での応用というので職業教育に固有のものが、自律性、それから協働というような形が見える用語となっています。もちろん、このタキソノミーについては、開発完了形ではないので、これからも寺田先生はじめ皆様に御意見いただきながら開発を進めていくことになります。ここでは、東専各としての現段階を提案させていただいたということになります。
 それからもう一つの、3-1でしたよね。これは確かに、「さらなる充実」の方向というのがどこにあるのか、ここでは学校の特性を意識しつつ、個別に戦略的な目標を立てたらいいのではないかということを思っていますこれはこの質保証・向上会議の2022年のまとめの段階までのことを酌み取って方向性を議論していますので、そのまとめの議論と方向性として共通のものを考えていますが、今後もう少し深く検討していく必要があると考えてもおります。特に、高等課程における展開というようなことを考えたときには、学修者のインクルージョン(包摂)という議論を高等課程では強調していますので、そのような形の学修者を意識した字句をもう少し入れていく必要があるかなということを考えているところです。しかしこれについては、今この報告書までの段階ではまだ入っていませんので、御意見、検討していきたいと思っております。
 以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございます。
 寺田委員、いかがでしょうか。
【寺田委員】  結構です。ありがとうございます。
【吉岡座長】  それでは、ほかに御意見。だんだん専門的な議論になっているようですが、もう少し。小杉委員、お願いいたします。
【小杉委員】  ありがとうございます。お二人の御説明を聞いて、東専各の先進的かつ先鋭的な議論が分かってよかったです。
 その上で、一つ少し不思議に思ったところがあるので、関口先生にお伺いしたいんですけれども、関口先生の資料の中の「職業実践専門課程の認定要件」というタイトルが入っているページの中で、「企業は、協力者ではなく学校側と対等の教育指導者」という、これがちょっと腑に落ちないというか、教育の責任はあくまでも学校にあるのであって、協力ではなくて、教育に対して対等な責任を企業が持てるかといったら、そうではないのではないかと思います。企業ごとで採用した人を教育していただくのは、それはそう言えるかもしれませんけれども、一般的な教育の段階で、この対等というのは、一体どういう議論で、どういう範囲で対等とおっしゃっているのか、教えていただければと思います。
【吉岡座長】  関口先生、どうぞ。
【東京都専修学校各種学校協会(関口副会長)】  少し過激な表現だったかもしれませんが、私の将来構想的には、一つの職業に関わっている企業の団体というものがあって、そこがそれぞれの職業に関わる人材像や人材育成を含めて熱心な団体であってほしいということがございます。そして、学校のほうも、一つの職業分野においての学校協会というものが現に存在しているところもありますけれども、そういうものがそれぞれにできて、それぞれが別個にあるのではなくて、修学段階のところで教育しているもののゴールが、その一つの職業の一人前の人材像とか人材要件に向けたものであるというように、職業実践専門課程の在り方というのはそういうものですので、そうすると、そこから先ということは、実際に仕事に就いて、さらに仕事の現場で学びつつ一定の段階まで到達していくというふうなことですから、できればここは、職業教育はさらに現場の教育ということで一本に連結していくということが一つの姿ではないかというように、私としてはそういうことを期待しているというか、そういう方向に行かないと分野別評価もうまくいかないなと常々思っているところであります。そういうところから言いますと、職業実践専門課程の特に教育課程編成委員会といったときに、どのような育成目標を定めるかということは、企業側もといいますか、企業・団体側は、自分たちが考える一人前の人材像や人材要件に向けて、学校段階ではどのレベルまで修得してもらいたいのかということは、その後自分たちが受け入れた人材を育成していくということについては、極めて重要なといいますか、企業の死活を握る問題としての視点ということになるわけですから、例えばそれが教育課程編成という場であっても、そこで、単なる協力者ではなく、同等のというのは少し過激かもしれませんが、やはり自分たちにとっても、本格的な、真剣な、人材育成上の連結を考える課題と捉えることを学校のほうとしては求めたい。そういう形での企業との連携というように言いたいということであります。それは、ここで書きましたような、より実習の場面では、単発に、ちょっと指導をお願いしますという話ではなくて、現に必要としている人材を企業のほうも扱っていただくわけですから、それをどう育てていくかという視点の中で実習に取り組むという点では、同等といいますか、人材育成という真剣さにおいては同じレベルでいてほしいという意味で表現させていただいたということでございます。
【吉岡座長】  いかがでしょうか。
【小杉委員】  ありがとうございます。ここまで言われてしまうと、参加する企業がたじろいでしまいますので。
【東京都専修学校各種学校協会(関口副会長)】  おっしゃるとおりですね。
【小杉委員】  長い時間軸の中だとか何かそういう、今のようなお話の中ではちょっと分かったような気がしますが、このまま出すとどうかなと思いました。
 以上です。
【吉岡座長】  多委員、先ほど挙手されていましたが、よろしいでしょうか。
【多委員】  ありがとうございます。私のほうから少しお話をさせていただければと思います。東専各協会のほうで議論を進めてきました、専修学校振興構想懇談会の専門学校検討部会の趣旨、それから内容といったものにつきましては、関口東専各副会長、また吉本委員から詳細な御報告をいただきまして、誠にありがとうございました。職業教育体系の確立という非常に大きなテーマを踏まえまして、この検討部会に参画した1人として、振興構想懇談会の今後の本部会に向けて重要な論点として捉えているのは、私は3点あると思っています。1つが職業実践専門課程のさらなる充実、2つ目が職業教育の質保証、国際通用性を念頭に置いたNQFの確立に向けた検討、そして3つ目が高等専修学校と専門学校における職業教育の連続性です。これらについて、少しお話が長くなるかもしれませんけれども、御容赦いただければと思います。
 まず、職業実践専門課程の充実というところに向けましては、この質保証会議の23回から25回の中で集中的に議論いたしまして、その結果として、今後の専門学校における職業実践専門課程制度の充実に向けてという取りまとめを公表したところであります。この場でその内容を詳細に振り返るということはいたしませんけれども、専門学校が進める職業教育の言わばデファクトスタンダードとも言える職業実践専門課程の今後に向けましては、実習の充実ということと第三者評価への取組に向けた検討、この2つが肝要ではないかと考えています。まず、実習の充実に向けましては、御存じのとおり、専門職大学において4年間で600時間以上の臨地実務実習が設置基準になっているということを踏まえて、職業実践専門課程における実習の量というものについて、寺田委員からこの質保証会議で種々御教授をいただいたところです。また一方で、前回の質保証会議では、芦田委員から、実習はどれくらいやったかということよりも何をやったかが大切であるといった、言わば質に重点を置いた趣旨の御指摘もいただきました。専門学校の生命線とも言えます、この実習というものにおける量と質がともに重要であるということは言うまでもないわけでありますが、肝腎なことは、この実習の計画から実施、また評価といったところに至るまで企業が密接にコミットしているかということだと思っています。この点を企業、さらには業界団体といったものにも十分に御理解いただいて、量と質をともに充足させた実習の構築に向けて企業と専門学校が連携していくということが肝要であると思っています。また、評価ということに関しましては、さきの取りまとめに向けた議論の中でも触れましたが、職業実践専門課程の認定要件の一つであります学校関係者評価、これが文字どおり、学校関係者のみと言ってもいいと思うのですけれども、学校関係者による評価であるということから、職業実践専門課程の質というものを明確かつ公正に担保していくためには、より実効性の高い学校評価が重要であると考えております。よって、先ほど関口副会長から御説明いただいた、職業実践専門課程における第三者評価の適格認定版の評価基準の適用というものについて検討を進めていくことが望ましいと考えております。
 次に、NQFの確立に向けた検討につきましては、先ほどのお二人からの御説明に加えて、政府の教育未来創造会議の第二次提言のほうで具体的な取組として掲げられているということからも、重要な論点に位置づける必要があると思っています。この第二次提言に向けましては、コロナ後のグローバル社会を見据えた人への投資の在り方というものをテーマといたしまして、具体的な論点が3点掲げられました。この中の1つが教育の国際化というものでございました。この会議に全専各学連を代表して構成員として参画させていただいた私のほうからは、高等教育レベルの職業教育における質保証、それから国際通用性の担保といった、この2つの観点から、NQFの確立とISCEDにおける高度専門士の位置づけの見直しというものについて言及させていただきました。具体的には、先ほど関口副会長も触れられておりましたが、留学生を含んだ今後の人材の国際的な流動化というものを見据える場合に、東京規約を活用して締約を果たした国々が相互に高等教育の資格を承認、評定する枠組みを整えていくことが肝要でありまして、そのために日本におけるNQFの確立が不可欠であるということを申し上げました。また一方で、職業教育においては段階的な体系化というものが欠かせないということの中で、高度専門士の位置づけに課題があるということについても触れました。具体的には、4年制の専門学校を卒業して高度専門士の称号を取得した者については大学院への入学資格が付与されているわけですけれども、ISCEDにおいてはレベル5の短期高等教育相当に位置づけられているというのが現状でございます。海外における留学生の卒業後の学修歴評価という観点からも、レベル6の学士号相当とする必要があるということを要望いたしました。その結果として、第二次提言においては、教育の国際化の推進に向けた具体的な取組として、国際標準教育分類における高度専門士の位置づけの見直し、それから国家学位・資格枠組みの検討、これらを加速化するということが明文化されたわけであります。こうした政府としての見解も十分に踏まえながら、振興構想懇談会の本部会において議論を進めて、同懇談会からの提言につなげていきたいと考えております。
 最後に、この質保証会議は専修学校が主語になっておりますので、高等専修学校と専門学校における職業教育の連続性というものにも触れておきたいと思います。構想懇談会の検討部会は、先ほど関口副会長から御説明があった実施体制にも記されているとおり、専門学校検討部会と高等専修学校検討部会で構成されております。高等専修学校検討部会での論点というものは、高等専修学校のさらなる振興に向けてということをテーマといたしまして、社会的認知度の向上と一条校との格差是正という、この2つが論点でありました。この2つの論点には高等専修学校関係者の言わば積年の思いというものが含まれていることは論を待たないわけであります。一方で、専門学校検討部会のテーマは、冒頭でも申し上げましたとおり、職業教育体系の確立というものでありまして、その実現に向けては高等専修学校と専門学校における職業教育の連続性というものを視野に入れる必要があると認識しております。職業教育を通じて社会人、すなわち職業人を形成するということは、この2つの学校種の共通した責務であるという観点からも、その連続性について今後議論を深めていきたいと考えております。
 以上、すみません、長くなりましたが、私から3つの論点について触れさせていただきました。ありがとうございました。
【吉岡座長】  多委員、ありがとうございました。非常に明確に整理された議論だったと思います。
 それでは、河原委員、お願いいたします。
【河原委員】  企業連携についてですが、地方というか、現場サイドから申し上げますと、企業側の知識、リソースをいかに適切な授業や教材へ落とし込むかということが重要ではないかなと思っております。企業側は、「協力者ではなく学校側と対等の教育指導者」とあるように、企業側と適切な授業の方法や教材の作り方を積極的に共有していくことが必要ではないかと考えております。
 以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。それでは、植上委員、よろしくお願いします。
【植上委員】  吉本先生、関口先生、ありがとうございました。専門学校に関わる論点が網羅的に盛り込まれて、非常に勉強になりましたし、協力者会議でも今後これをたたき台にしながら議論していくべきだなと思いました。3点質問をさせていただければと思います。
 1点目は、先ほど小杉先生からあった、理念として企業との対等な教育指導者と、私、これについては非常に共感する点なのですけれども、これをどう進めていくのかというところの具体的なイメージや議論がどうあったのかというのを教えていただければというのが1つ関口先生への御質問です。
 また、吉本先生への質問が2点ありまして、ステークホルダーの議論と関係するんですけれども、先生が、地域というのを、産業・職業・地域という形で連携していくということを示されているところが非常に大事だなと思っておりまして、特に私、地域というのが今後、専門学校、特に地方部の専門学校の死活の問題になっていくのではないかなと思っているのですけれども、この懇談会の中で地域との連携ということに関して、具体的なモデルや方策、どのように進めていくのかということに関して議論があったら教えていただきたいというのが1点です。
 もう一点、すごく細かい点ですけれども、専門士、準専門士などの体系化は非常に大事だなと思っています。伺いたいのは、準専門士なんですけれども、1年で多分準専門士というのをつくるということなんですけれども、これ、私が分からないだけで恐縮なんですけれども、先ほどの高度専門士の区分制の話と絡んできたときに、例えば2年の後、1年行かれるような場合もあるじゃないですか。区分制が実現された後にはスムーズにいくかなと思うんですけれども、区分制が実現されない前に準専門士というのをつくってしまうと問題が起きないかなというのがやや懸念しているところです。このあたり、どういう議論がされているのかなというのを伺いたくて質問させていただきました。
 以上、よろしくお願いします。
【吉岡座長】  まず関口先生から。どうぞ。
【東京都専修学校各種学校協会(関口副会長)】  ありがとうございます。かなり前からイメージとしてありますのは、職業能力基準の問題ですね。こういうものがきちんと整備されていなくていいのかと、産業界の側にですね。もちろんそういう取組があったのも知っております。しかし、頓挫というか、途中のままになっていますよね。これは、どこがどういうふうに主導したらそういうものが進んでいくのかといったことが見えないままになっているわけですけれども、そういう中で、そういう圧力や指針が示されないからといって、個々の職業を扱うところが、人材育成上の考え方とか、例えば医療系には明確に示されているようなラダーといいますか、段階といったところで、知識や技能であったり態度といったことをきちんと書き出しているような領域も存在するわけですから、こういうものが存在していれば学校協会との連携の中で、ちょうど間にある育成目標というゴールのところで業界と話合いができるというモデルがあるわけなので、これは1つの職業について存在しているわけだから、持っていきようで、できないはずはないのではないかということがございます。
【吉本委員】  2つありましたけれども、1点目の3-1の産業・職業・地域。私は常にこのセットで物事を考えていて、以前、ここの職業実践専門課程を立ち上げていく際の議論のときからこうしたセットで議論させていただきました。ある段階で、「企業等」というだけだったところを、今は「企業・団体等を略して企業等」という表現になっていますけれども、私としてはこの団体、それから、その団体というのは結局、ある程度地域を単位としてクリアなニーズが出てくるので、地域というのがセットでなければいけないと考え、こういうセットで議論しています。ただしこの東専各の懇談会専門学校検討部会の中では、東京都の範囲の中で、そういう意味では、高校と、それから商工会議所という企業等ですね。その範囲の中での議論をしましたから、実際にはある種緩いメッセージ性を持っている地域というのを具体的に取り出して議論するということまではやはりやっていなくて、なかなかそこは確かに難しいと思っています。しかし、これはグランドデザイン等にあるところの3つの類型の中の地域・職業に焦点を当てた高等教育のありようということを意識していく必要があり、これからもう少し議論していきたいと思っているところです。
 2つ目のポイントのところの準専門士というのは、まだ仮の用語です。ここの懇談会で、東専各から提起されたというよりも、私自身が提起したものですが、東専各の懇談会メンバーの中でも特にこれがノーという議論もまたありませんでした。ただし、この議論は、近年の高等教育政策における理解を問い直すという意味で重要です。専門職大学創設時に、1年制や2年制というのは高等教育にふさわしくないという議論があったようですし、だから「職業実践的な高等教育の枠組み」は、大学制度の枠内でなければいけないのだという議論になったのかと考えると、この高卒から1年間でのプログラム修了というものを認定することができるのかできないのかというのは、実は重要な課題です。準専門士は、イングランド、スコットランドなど旧英連邦諸国では、サーティフィケートがあります。2年制であればディプロマですが、それらが高等教育プログラムとして認定されています。専門学校1年生課程は専門課程学生数の1割程度ですか、決して規模は大きくないけれども、、東京規約の発効によって高等教育のプログラムにおいて、実質的な相違のないものを相互に認定していこうとする原則的な考え方の中で、1年制課程を相互に実質的に差異のない課程として認めることができなくなってしまうのは国際的な問題を生じるという意味で、ここはかなり必須のポイントかなと思っています。1年制で準専門士、高卒から2年のところで専門士、高卒4年の高度専門士課程は4年間一貫のもあれば、後期2年間だけのもあるというように、こういう形が今後考えられるのではないかなと思っているところです。
【植上委員】  ありがとうございました。
【吉岡座長】  いかがでしょうか。それでは、冨田委員、どうぞ。
【冨田委員】  冨田でございます。
 関口先生から、職業実践専門課程の企業との連携というところ、議論集中しました。こればっかりやっていてもしようがないのですけれども、企業側として一言意見を述べさせていただきたいと思います。小杉先生からも御指摘ございましたけれども、「対等の教育指導者」と、これを見たときに、私、企業側としまして、ここまで対等ではないなと、なかなかそういうことは難しいなというのは思いました。ただ、ビジョンとしましては別に反対すべきものではないと思います。私どもも、この職業実践専門課程に実際に協力をし、教育課程編成委員会に参加をしてまいりました。これは実は1年2年ではなくて、継続していくということがとても大事で、その中で、学校側さんもやっぱり協力してくれる企業を探すというのがとても大変だと。我々としても、ずっと継続していくということに対してのメリット、それと動機づけですね。継続する動機、こういったものを持ち続けないと、なかなか協力することが難しいなというのが実感でございます。また、専門職大学におきましても、大学もそうですけれども、インターンシップというのがございますが、実はこれ、量は確保されているんですが、質は保証されていないんです。これに対して大学なんかは単位認定しているのですけれども、本当に単位認定していいのかなと。要は、量は確保できたということは非常によかったと。だから、今度は質の保証だよねということを言いたかったんです。そこのところをどういうふうにやるかということを今後一緒に考えていけたらなと思います。よろしくお願いいたします。
【吉岡座長】  ありがとうございます。恐らく、いや、実態は分かりませんけれども、インターンシップに行きさえすればそのまま単位というふうにはあまりしないで、恐らくその後のレポートとかというような形で、要するに授業の中に組み込むと。
【冨田委員】  それはそうですね。
【吉岡座長】  そういう考え方だろうと思います。
 それでは、芦田委員、お願いいたします。
【芦田委員】  いろいろな議論が多岐にわたって行われているので、一つ一つ言いたいことはあるのですけれども、関口さんの発表は、当時のこのまとめに至ったところは私も結構関わっていて、東専各の自己点検・評価の運動は大反対したほうだったので。我々、そのときの論点は、今でも私は間違っていないと思いますが、専門学校のような経営基盤の非常に薄いところ、あるいは教務課題よりは募集課題に一喜一憂している状況で、一律の点検項目でやってしまうと、数値の実質化や精緻化というところがやはり対マーケットを意識しすぎて、信頼性の高い“公表”になりづらいのではないかというのが我々の意見でした。一律の点検項目は相対比較の対象にとどまりがちだからです。だから公開のための配慮に充ちた内容にとどまりがちです。東専各は経営者の団体であるにもかかわらず一律の項目を出したということは、“標準化”に関して一歩進んだという点ではよかったことだと思うのですが、そのとき我々はやはり、それこそ多様でいろんな種類の学校があるというのが専門学校の特色なので、それぞれの学校が一番大事にしていることの数字を、誰が見ても分かるように、ごまかさずに、ちゃんと出していくということをやっていかないと、専門学校の多様な分野と多様な在籍人数、平均で言えば<学校>と言えないぐらいの体制しかない学校群のほうがむしろ多いところで、一律評価でやってしまうと、それは大学のまねごとをやって、少しは大学っぽいことをやっていますよということを高等教育局なり文科省に示して、あるいは都に示して、予算を取ってくるために体裁は整えましたということにとどまってしまう。専門学校の、対大学との比較で何とか<学校>(一条校)の体裁を整えようという路線はわからないわけではないが、膨大な文書にまみれた事務方の苦労が集積しているだけの大学の自己点検を、今さら多種多様な専門学校が真似てもそれ自体が対大学格差の象徴でしかない。一律評価はかえって自殺行為になるのではないかというのが我々の議論でした。
そこは、吉本先生が言われた17ページと今回の40年答申と比較する言葉と、ちょうど重なった言葉が使われているので印象的だったのですが、吉本先生はその当時、専門学校を一条校化していいかどうかのキーマンとして動かれていました。専門学校と一口に言っても、もう規模から何から、いろんな学校、教育の種類が存在していて、規模も極端にばらばらで専門学校を一条校化するという話は、話としてはあり得る話かも分からないけれども、実質困難ではないかと。
それの一番ネックになったのが、これは「『非一条校』としての」という形容詞が入っていますけれども、40年答申の多様性と柔軟性とちょっと違うという話も出てくるかもしれませんが、しかし、これは非常に密接に絡んでいて、専門学校に一番足りないのは標準性の部分なので、高等教育局も2008年の学士課程答申では、多様性と標準性との調和が大事だと言って、少しは特色ある学校づくりの前に標準性を担保しろというふうに動きかけたときに民主党政権になってしまって飛んでしまったということがありました。
専門学校は特にこの多様性と柔軟性というところが、いい面であるとともに命取りになっている部分があって、これは専門学校、私も関わっていますけれども、専門学校でどうやって標準性を担保して、少なくともこれだけのことはやりましたということを数字をごまかさずに、誰が見ても、なるほどと言ってもらえるような数字を出していく体制というのはどうやっていけばいいのかというところは、2005年あたりから、吉本先生や東専各、全専各が一体になって一条校化運動が起こってきたときから、もうかなり年数が経ちましたけれども、この非一条校としての多様性と柔軟性からの脱却というところは、少なくとも私が関わっている学校、あるいは知っている学校を含めて、何にも変わっていないというのが実感です。
多分そこの一番大きな溝は、前回からNQFの話を含めて学位・資格というような基準の話がありましたけれども、専門学校自身は、学位から見捨てられてきた学校として出てきて、学位保証や学校教育体系の中に入っていない部分は何で社会的な評価を得てきたかというと、結局、経産省だとか国交省だとか厚労省の非文科系の資格のプレゼンスあるいはその公平性というところで自分たちの教育の信頼を保ってきたという部分があります。「資格の専門学校」という認知であったわけです。先ほど企業と対等というような、対等ではないのではないかということを含めて議論なされる部分も、まさに非文科系の括弧つきの「学校」の、ある意味で生命線というか、特色だったわけですから、ここでまた40年答申の「学修者中心」だとか何とかという話をしながら専門学校の質保証を考えていくという方向性の議論はいいかげんやめるべきかと。
ここは総合教育政策局の委員会なのですから、新しい学校概念を、専門学校の職業教育ということを通じて打ち立てていって、それを――高等教育局だって結構いいかげんな施策しか出していませんから、大変ですから、大学も。大学も、多様とか柔軟とか、多様な評価とか言って、期末試験さえもその「多様な」評価によってまともにやらない大学が多くあるわけで、それであれば、厚労省や経産省や国交省絡みの外部資格を標準形としながら、その上で、標準性を担保した多様性や柔軟性のある教育というのをどうやって目指していくかというところへ舵を切っていかないとなかなかうまくいかないのではないか。一条校化挫折以降の、あるいは自己点検・評価も、これも本当大学の真似事のようなことをやってしまって、身も蓋もないことになってしまっているというのが私の実感で、もっと責任を持って、自分が出せる数字とは何なのかということをきちんともう一度各専門学校が自分たちの特色に応じてつくり出していくというのが専門学校らしい自己点検ではないか。もともと「自己点検」と言っているわけですから、自分たちは本当は何ができるのかというところを究めるべきだということを、今日の議論を聞いていても、なお思いました。
 ちょっと最後に質問です。これ、技能という区分けになっていますが、専門学校の中では技能というのは、専門学校は技能の教育で、技術教育はやれないみたいなことも言われていて、例えば、調理とか美容の分野だと留学生が取れない。そういうときは、これは何省の管轄になるんでしたっけ。それは技能教育をやって、技術教育をやっていないからだと。つまり、経験的に時間が経てば身につくような技術教育は、専門知識がないと適応や応用ができないような体系を技術教育と言っていて、専門学校の一部の分野は技能教育に属している分野がまだ多いので、留学生をそのまま受け入れることはできないみたいなところで結構差別されてきている言葉でもあるので)、それを文科省の方に言ったら、いや、この技能は技術も入っていますというように訳の分からない回答をされている現状があるのですけれども、専門学校が自らここで技能教育という言い方を国際的な動向も含めて使っているところに僕はすごく違和感があって、技能教育と言われている部分も技術化していくべきだと私は思っていますし、もっと専門的な、ITの時代の中で、どうやって技能を技術化していくかというようなことは、少なくとも専門学校の一部ではそういったことに取り組んでいる学校もあるわけで、ここで技能と言っている言葉の意味をもう一度聞かせていただきたいなというのが私の今日の感想です。
【吉岡座長】  かなり根本的な議論になっています。では、関口先生、短めにお願いいたします。
【東京都専修学校各種学校協会(関口副会長)】  これは、どういう現実を見ているかということの違いだと思っています。専門学校の社会的な信頼を得るということをどう考えるかといったときに、多様で、しかも、東京・地方併せて大小様々ある、組織的な体力も様々だと。これらを全て包含する形での専門学校の信頼を得る道はないというのは、これは全専各も、東専各も、そのように判断しています。だから、こちらの私のところで最初に、第一次構想懇談会の一番最初に書きましたように、高度な職業教育を提供する専門学校をまず伸長させて、それを核として将来像を構想するということに基づいて全専各も東専各もやってきている。ですから、いろいろ制度的にも、学校法人立の専門学校の団体をつくったり、少し曲折はありますけれども、現在一つの中心になっているのは、職業実践専門課程という明確な考えの下で、きちんとした成果を出している学校をくくり出して、さらにそれの充実を図るという方向において、第三者評価ということも結びつけつつ、そこにおいてまず信頼を得るということを通じて、専門学校全体をどうするかという次のステップで信頼を得るという道を探っていくというのが、一種の方向性というか、戦略なんですよね。この戦略を、それには乗れないと言うのであれば、最初から土俵が違うということです。
【吉岡座長】  ここで今その論争を展開するのはちょっと難しいので。先ほどから浦部委員が挙手されているので、浦部委員、よろしいでしょうか。
【浦部委員】  よろしくお願いします。私、高校の立場からということで、ちょっと一言お伝えいたします。ここのところの専門学校への進学者は確実に減ってきております。手元の資料によりますと、令和3年3月の高校卒業者数は101万人を超えていたんですけれども、令和4年には99万人となり、専門学校への進学者も、令和3年3月時点では全体の17.3%、17万5,185人であったのに対し、令和4年3月では16.8%で、16万5,906人に減っているという現状です。一方、大学への進学者が令和3年では57.4%だったものが59.5%へと伸びています。限られた数の高卒生を「奪い合う」事態も現実化しつつあります。私が一部聞いた話では、専門学校への進学を考えている生徒や、専門学校生も大学のほうに引き寄せる方針だとのことです。ですので、高校生が進学する際の大きな選択肢の一つである専門学校が時代の流れの中で進学者が減っていくというところを、やはりいろいろな議論を深めていく際には押さえておく必要があると思います。
 また、吉本先生のお話の中で、単位を基礎として学修の成果を証するというのがありますけれども、単位とそれから授業時数の問題といったところも分かりにくいというところも1つ高校のほうでも感じているところですし、また、職業実践専門課程に関しても、前回の会議でもお伝えしていますけれども、学校のホームページによっては、公表様式や情報がなかなか探せない、むしろ見えないような作りになっていたりですとか、しっかりとホームページからすぐにつながるようになっていたりですとか、その学校によって様々な取組み方とか見せ方というのをしているのが現状です。職業実践専門課程に関わっているからといって、伝達方法一つとっても一律ではありません。実際、高校生にとっても、職業実践専門課程が自分の学校調べや進路選択の一つの指標となるよう、各学校では意識して工夫してほしいと考えます。
 以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございます。
 芦田委員、一言でお願いいたします。
【芦田委員】  はい。ここで決着がつく話ではないと思うのですが、一条校が信認を受けているかどうかはまた別の話ですが、学校として一条校並みの信認を受けようと思って自己点検をやってきたときに、例えば私、新宿の西口で、ある専門学校をやっていたときに、二級建築士を100%合格させたので、我が校は二級建築士合格率100%ですよという看板を西口のイベント会場(東専各の主催イベントだったと思いますが)で掲げようとしたら、100%という数字を出すのは誰も信じないからやめてくれと東専各の事務局メンバーから言われたんですね。これ、例えば今の自己点検項目も、最初の頃と変わっていないですよね、関口さん。例えば資格の合格率や就職率を入学者分母で出すだとかすべきなのにそうなっていない。例えば就職も、就職の専門学校なのに、就職希望者を分母にして就職率を出しているとか、これは恐らく大学もそうだからやっているんですよね。だって、就職率を上げようと思ったら分母を下げていけばいいし、資格の合格率を上げていこうと思えば同じように分母操作をやればいい。専門学校がそんなことをやったら自殺行為でしょうと。つまり、一条校並みの信認なしに社会的な評価を受けようと思ったら、むしろ大学より厳しい、あるいは質の異なる点検項目と分母の設定の仕方を公開して、何の分母で合格率を出しているのかということを出す必要があるけれども、当時、我々は期待していましたけれども、東専各の最初の提案は、就職率だとか資格合格率の中にはそのような点検項目が全くない状態で始まったわけです。すべて希望者分母になっていた。だから、本当に一条校のプレステージなしに専門学校が自律的な職業教育機関として、先ほど高校のほうからもありましたように、どっちみちいいかげんなのであれば大学に行ったほうがましだというような選択になるのは当たり前で、むしろ専門学校こそが大学よりもきちんとした評価数字を出して、専門学校もよくやるじゃないかみたいな評価を、幾らお金の助成が少ないとか、いろんなことを言っていても、それはもう認められない話なので、自ら厳しく律していくという姿勢を出していかない限り、こんなおざなりな点検項目を出して、十分かなっているというような話をしてもしようがないのではないかというのが私の感想です。
【東京都専修学校各種学校協会(関口副会長)】  いくつか訂正させていただきます。評価項目にも入学者就職率、在籍者就職率、専門就職率等というのはちゃんと入っていますので、よく御覧いただければと思います。それから、専門分野への就職率ということもずっと前からちゃんと記載するようになっています。
【芦田委員】  はい、分かりました。じっくり見たいと思います。
【吉岡座長】  すみません。過去の経緯というのを私全く知らないでこの座長におりますが、その人間からすると、お二人の間の議論というのは、必ずしもどちらかでしか成り立たない議論ではないと思います。伺っていて1つ思ったのは、私は完全に大学の人間だったので、本当にここの議論に参加するようになって視野が開けているところがあると思うんですけれども、大学でもやはり基準を立てて国際的な通用性というような議論をしていくと、必ず多様性というのはどこかで失われていくわけです。教育にせよ、技術、技能もそうかもしれませんけれども、ある基準を立てるということ自体が非常に難しいし、特に成果ということを考え出すと、成果はどこで出てくるか分からないので、たかだか2年や4年、6年で成果が完全に分かるわけではないので、そこは個々の人間についてはある程度測れるかもしれませんけれども、それを教育の内容の評価に結びつけるというのは恐らくすごく難しいことだろうと思うんです。ただ一方で、何らかの標準化が必要だということは確かなので、その部分をどういう形で考えていくか。しかも、実際にそれが現に存在している学校や大学に受け入れられて、そういう部分がついていけるというか、考え方としては、理念はそうかもしれないけれども、実際にはできないということはあると思うんですね。いわゆる認証評価にしても、設置基準をめぐる議論にしても、非常に難しいのは、教員の問題だけではなくて、事務方まで含めてどれだけの体力を使うかというと、ものすごく大変なわけです。認証評価の評価疲れ問題というのはもう繰り返し言われていますけれども、実際に認証評価も私は関わったことがありますし、それから設置の審議にも関わったことがありますけれども、やはり事務方の負担というのはものすごく大変だろうと、書類を見ればすぐ分かるわけです。だから、何らかの基準をつくっていって、それを評価に結びつけてというとき、方向性としてそれを取っていくときにどれだけの労力を必要とするかということは常に考えていかないと、全然フィージブルなものにならないとは思います。
 それからもう一つ、今の議論として、質を高める必要があるというのは絶対にそうだと思います。でないと、通用性というか、国内でもそうですし、まさに国際的な議論をしていくときには、それが必要だということが非常に重要だということですけれども、今の議論も、その前の御報告を伺っていて思うのは、1つはやはり、法律改正レベルのものと、それから省令レベル、あるいは行政の対応である程度できるという幾つか段階があって、それがやれることの距離ですね。時間的なものとか労力ということ。少しその辺は精査していく必要がある。やれるところからやはりやっていく必要があるだろうと思います。
 さらに、前にもここで申し上げたんですけれども、日本の高等教育は、要するに、技能とか―技能と技術の区別は別にしても、職業ということについてまともに考えてこなかった。それはどういうことかというと、欧米で起源まで考えてユニバーシティーと言った場合には、要するに職業訓練とは別だったわけです。今でも、東京工業大学もインスティテュートなんです。あれはユニバーシティーじゃないんですね。要するに、世界中でユニバーシティーと言っているところは仕組みが全然違う。つまり、工学とか技能というのはユニバーシティーの範疇では本来なかったものなわけです。それを、日本は最初から工学部からつくり始めた。東大、京大もそうだし、国立大学も工学系からつくり始めて、職業訓練校的な仕組みで大学をつくってきたという歴史があるので、非常に複雑だと思うのです。そこに専修学校のような学校形態があり、それから専門職大学ができてきてとなっているので、かなり根本的な問題に突き当たっていると私は思っています。例えばフランスなんかだったら、エコール、グランゼコールというのはユニバーシティーとは全然別の組織で、専門学校ですね、ユニベルシテよりもずっとある意味では難しくて、もう本当のエリートをつくるためにつくられたエコールなんですね。学校なわけです。そういう仕組みの中で、しかも国際通用性ということを考えるときに、その問題も考えなければいけないので、一筋縄ではいかなくて、その辺りは文科省もきちんと整理して、名前の問題まで含めて考えていく必要があるし、ここの議論はそういう意味では非常に重要な議論に突き当たっているというのが、直感的といいますか、前回から考えていることです。まとめるつもりは全然ないんですけれども、少々長めの意見を申し上げました。
 お二方の議論は、それはよく分かるんです。大変興味深い議論だったのですが、かなり本質的な問題に関わっていると私は理解いたしました。ということで、一旦ここで議論をとどめてよろしいでしょうか。ぜひ今の流れの中で発言しないとまずいという方がいらっしゃればですが、よろしいでしょうか。
 それでは、すみません。次の、もう一件議題として上げている外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定に関する規定についてですが、これは事務局から資料説明をお願いいたします。
【中安専修学校教育振興室長】  お時間をいただきまして、ありがとうございます。外国人留学生キャリア形成促進プログラムという制度を新しくつくらせていただきました。資料3でございますけれども、この制度は、もう今までいろいろいただいた御意見を踏まえまして、6月21日に施行させていただいております。中身としては、経済団体等の要望があったということを踏まえまして、対応については、留学から就労時の在留資格の変更における扱いを大学卒業生と同等とするとか、日本語が達者であれば、就労在留資格として認められる特定活動46号についても、4年制の高度専門士の学校まで大学と同じように広げるという効果のため、認定要件に掲げますような4要件を満たす専門学校を文科省が認定させていただいて、そういう効果を法務省と連携して対応していくという内容になってございます。
 後ろの資料は大体がもう御説明済みですが、4ページを御覧いただければと思いますけれども、6月21日に制度を公布させていただきまして、電子ファイル等で今申請を受け付けております。8月4日まで受付をさせていただいた上で、9月には認定学科を公表し、法務省との相談では、今年度の卒業生から認定校に対しては先ほど申し述べました効果を付与していくと、そういうふうに考えております。専修学校の在り方について、今ほど多様な、深い御議論をいただきました。一方で、人手不足分野という現実に目を向けたときに、様々な国家資格、例えば介護であっても看護であっても、それは大学から輩出される部分もあるんですけれども、ざっくり言うと3分の2以上は専門学校から輩出されているという状況があって、高校生が専門学校を選んでくれないという状況にかかわらず、そういった分野に社会全体としてどう対応していくかというときに、専修学校の振興という観点からでも重要だと思っておりますので、そういう意味では留学生ということについても積極的に取り組んでいくということから、この制度を進めさせていただければと思っております。
 以上です。
【吉岡座長】  今の点について何か。では、佐藤委員、お願いします。
【佐藤委員】  御説明ありがとうございました。非常にいい制度だと思います。留学生はやはり日本で就職したいと考えている人が多く、特に専門学校の留学生には日本就職の希望者が多いので、それを後押しする大変いい制度ができたと思います。
「日本社会の理解の促進に資する授業科目300時間以上」という認定要件については、企業のほうで留学生の日本語力、コミュニケーション力への期待が高く、日本の企業、組織で働くに当たって、日本社会、文化の理解、働く文化の理解が必要だということから設けられていると想像しますが、1つ気になったのが、先ほど吉本先生の御説明で、1年間に31単位以上の専門課程修得を目指すべき、というお話がありました。単位数の要件によって、専門性の習得を見える化していくということだと思うんですが、専門学校で学んでいる留学生に話を聞いたときに、学校の中で、日本語の授業がある代わりに専門の授業が少なくなっているという指摘がありました。このため、専門科目を31単位履修しつつ、日本社会の理解の促進に資する授業を300時間受講する、という両立がうまくいくのか少し気になりました。御検討の過程で、その辺をどう考えられたのか伺えれば幸いです。
【吉岡座長】  何か。では、中安室長。
【中安専修学校教育振興室長】  この300時間というのは、特に留学生が多い専門学校だけが対象です。留学生が定員の半分以下であれば、おっしゃったとおり、専門重視で教育をやっていただいて、それで卒業してもらってこの制度の適用になるのですけれども、ここは、留学生が定員の半分以上というちょっと例外的な場合にあって、それがどういうところかということを想定したときに、少し変な言い方になりますけれども、日本語教育機関の延長のようなことをやっているのではないかと思われるところが一部あるという意見もあるので、そういったところに対してしっかりと歯止めをかけていくという意味で、少々厳しめの要件をここで設定させていただいております。
【神山生涯学習推進課長】  補足ですけれども、今の御指摘については、同じ資料の中の後ろから2枚目、別添3となっているところにQ&Aなどもつけておりまして、下のほうにあるQ6を御参照いただければと思いますが、日本社会の理解の促進に資する授業科目というところで認めるようなものというのは、単純に日本語を勉強するだけということではなく、日本人でも必要になるような内容のものにしてくださいというのをQ&Aのような形でお示しして、今中安室長が申し上げたようなところをしっかり周知していきたいと考えてございます。
【吉岡座長】  大谷委員、どうぞ。
【大谷委員】  私も質問なんですけれども、特定活動46号という形になりますと、かなり取得は難しいのかなと思うんですが、実際にこちらを取得して、どのような業種で活躍していただきたいのかというスキームとか目標とか、何かそういったものがあれば教えていただきたいと思っております。
 また、先ほど介護・医療の分野のお話がありましたけれども、実際に人手不足という形になりますと、それこそ来年の2024問題、トラックドライバーとかいったようなものもあります。その中で、外国人がなかなかそちらのほうに進出していけないという状況もあるので、そういった面での何か手だてというか、今後の方策みたいなのがあったら教えていただきたいと思います。
【中安専修学校教育振興室長】  特定活動46号は少し例外的な話なので、どちらかというと技術・人文知識・国際業務のほうでいうと、典型的には、この資料の6ページで、経団連さんから御要望いただいていますけれども、例えばホテル・観光業界でマルチタスクが認められない例があった、それはコンビニも同様であったというようなことがありますので、そういった商業実務やホテル分野で学ぶ留学生の人たちがこれを機に就労しやすくなる等々といったことが想定されるかなと思っております。
 ドライバー関係はこの制度で直ちにというわけではないと考えております。
【吉岡座長】  ほかに。どうぞ。河原委員。
【河原委員】  すみません。専門学校の現場で運用する場合の形について、別添3のQ4のAですが、外国人留学生が占める割合が2分の1の範囲内という条件を満たしていても、選択科目を除く大部分の授業において日本人生徒と外国人留学生を別々に履修させるなどの教育環境である場合、本認定要件の趣旨に照らして認められないとしています。確かに、日本語能力に差があっても、日本人学生と外国人留学生を一緒に履修させることで両者の交流は促進するかもしれませんが、肝腎な専門知識修得の面では、先ほど佐藤委員も話されていましたが、授業運営が困難になることも考えられるのかなと運用上検討しているところです。例えば日本人生徒と外国人留学生に同じ授業でプログラミング言語を学ばせるような場合、両者の日本語能力に少なからず差があると、実質的に一つのクラスの授業として成立しなくなる可能性もあるのかなと現場では考えています。
【中安専修学校教育振興室長】  運用に当たって参考にさせていただきます。ありがとうございます。
【吉岡座長】  ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 今日はいろいろなところに議論が広がりましたけれども、それでは、本日の議題は以上とさせていただきます。何かその他ということで御意見等ございますでしょうか。
 事務局から何か、よろしいでしょうか。
【中安専修学校教育振興室長】  次回は9月、秋頃をめどに開催させていただければと思ってございます。
【吉岡座長】  それでは、また日程調整の連絡があると思います。
 本日の会、これにて閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
―― 了 ――  

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