専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議(第28回)議事録

1.日時

令和5年3月30日(木曜日)13時30分~15時30分

2.場所

16F2会議室(WEB会議併用)

3.議題

  1. 委員の追加について
  2. 「資格枠組み」における位置づけに係る現状把握と意見交換
  3. 留学生の卒業後の進路と教育の質保証について
  4. 「今後の専門学校における職業実践専門課程制度の充実に向けて(とりまとめ)」の対応状況
  5. 専修学校設置基準の改正について
  6. 今後のスケジュール

4.出席者

委員

芦田 宏直  人間環境大学統括副学長
植上 一希  福岡大学人文学部教授
浦部 ひとみ 東京都立葛飾総合高等学校進路指導部、東京都高等学校進路指導協議会事務局次長
大谷 武士  全国中小企業団体中央会労働政策部長
多 忠貴   学校法人電子学園理事長
河原 成紀  学校法人河原学園理事長
小杉 礼子  独立行政法人労働政策研究・研修機構研究顧問
佐藤 由利子 東京工業大学環境・社会理工学院融合理工学系地球環境共創コース准教授
寺田 盛紀  京都先端科学大学客員研究員、名古屋大学名誉教授
冨田 伸一郎 株式会社ウチダ人材開発センタ代表取締役社長
野田 文香  独立行政法人大学改革支援・学位授与機構研究開発部准教授
長谷川 知子 静岡県スポーツ・文化観光部総合教育局私学振興課指導班主査
吉岡 知哉  独立行政法人日本学生支援機構理事長
吉本 圭一  滋慶医療科学大学教授

文部科学省

藤江 陽子  総合教育政策局長
里見 朋香  大臣官房審議官(総合教育政策局担当)
神山 弘   生涯学習推進課長
中安 史明  専修学校教育振興室長
船木 茂人  専修学校教育振興室室長補佐

5.議事録

【吉岡座長】  定刻になりましたので、ただいまより専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただき誠にありがとうございます。感染症の影響が収束に向かい、本日は対面で参加いただいている方が多いんですけれども、オンライン参加の方々もいらっしゃいますので、有意義な議論ができると思っております。
 それでは、早速、議事に入りたいと思います。本日は最初の議題として委員の追加について御報告いたします。資料1を御覧ください。
 今回から新たに芦田委員に御参加いただいています。芦田委員の御紹介につきましては、事務局からお願いいたします。
【中安専修学校教育振興室長】  芦田委員におかれては、これまで専門学校の校長先生を務められたほか、専門学校や大学でシラバスに基づく教育の推進をなさっていらっしゃったとお伺いをしております。
 これまで御参加いただいた委員の先生方からは、制度的な視点、あるいは学校運営の視点というところで御意見をいただいてきたところですけれども、今後新たに芦田先生に加わっていただき、教育実践的な視点もお持ちの方ということで御意見をいただく形で、今後の議論を進めていただければと考えてございます。
【吉岡座長】  ありがとうございます。それでは、芦田委員、一言、お言葉をいただければと思います。
【芦田委員】  専門学校については、2010年ぐらいまでのグランドデザイン論と一条校化の運動のところまではかなり詳細に追わせていただきましたが、その後、大学の運営に移りましたので、専門学校も大変だけれど、大学も大変だなと思っている今日この頃です。途中からの参加ですので、既存の議論も含めてとんちんかんなところがあるかもしれませんけども、精いっぱい務めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【吉岡座長】  ありがとうございます。
 それでは、会議における議題案等について事務局から説明をお願いいたします。
【中安専修学校教育振興室長】  それでは、お手元に第26回から第32回会議における議題案お示ししておりますので、そちらを御覧ください。
 本会議は、大体1年半から2年御議論をいただくということで進めており、最初に行われたのが令和4年の9月でございまして、通算で言うと第26回の会議でございました。そちらで、取り掛かりとして大学設置基準の見直しを受けた専門学校の設置基準の見直し等の議論を始めていただきました。
 それから第27回は、設置基準見直しの続きや留学生の話、また今回の第28回において、また、留学生の話や野田先生から資格枠組みの話等をいただく予定でございます。
 今後、どのように議事を進めていくかということについては、断片的にならないようにこのようなスケジュールをお示ししたつもりであるわけですけれども、次回は質保証全般というようなことについて、議論を大きく俯瞰するような形でご議論いただくということでどうかと。また、各論でオンラインの授業の在り方というようなことを進めてはどうかと考えてございます。
 以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございます。特に御質問はないと思いますので、次の議題に入りたいと思います。
 「「資格枠組み」における位置づけに係る現状把握と意見交換」ということで、本日は野田委員から御報告をお願いいたします。
 学位資格枠組みにつきましては、アカデミックにも議論の蓄積があるものと伺っておりますし、このメンバーの中にも一家言お持ちの方もいらっしゃると思います。
 野田委員は東京規約に基づき、大学改革支援・学位授与機構に設置された高等教育資格承認情報センターの業務に関わっておられることから、アカデミックと実務双方の観点から議論の呼び水を提供していただくという形で御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【野田委員】  ありがとうございます。大学改革支援・学位授与機構の野田です。よろしくお願いいたします。
 私からは、「日本における「資格枠組み(NQF)」の構築可能性をどう考えるか」というタイトルで、報告をさせていただきます。
 2ページ目を御覧ください。まず、NQFに関する背景の一つとして、ユネスコの国際規約を挙げたいと思います。ユネスコは各地域の経済・文化・技術の発展を目指し、国際モビリティを促進することをミッションの一つとしていますが、グローバル化が進んで、個人が国境を越えるようになりますと、進学や就職の際に、その人が持っている学位や資格の国ごとの制度上の違いが問題となってきました。
 そこで、ユネスコは高等教育の学位資格などのqualificationsを国境を越えたときにお互いに比較ができたり、互換できたり、相互承認できるような仕組み、制度を整えていくことを目的としまして、1970年代以降に地域ごとの規約を採択していきました。そして、日本はこちら赤字で示していますとおり東京規約と世界規約、この2つの規約を締結しています。
 3ページ目を御覧ください。現在、東京規約には御覧のとおり12か国が加盟していますが、お互いの高等教育資格を国境を越えたときに承認しやすい仕組みを整備していくことが求められています。その一つに、国内外の高等教育の情報を提供するNational Information Center、国内情報センター(NIC)を設置していくことが各締約国には義務づけられました。
 4ページ目を御覧ください。そして、日本では2019年に大学改革支援・学位授与機構内にNIC-Japanとしまして、高等教育資格承認情報センターが設置されたという経緯がございます。ここでは、教育制度や高等教育機関の種類、資格の種類、入学要件や質保証の仕組みなどについて情報を提供しておりまして、海外のNICやユネスコとの連携を図っています。
 この東京規約で、日本の専門学校は高等教育機関であると明確に位置づけていますし、したがいまして、専門士・高度専門士も高等教育資格として発信をしています。
 5ページ目を御覧ください。さらに、各地域の枠組みを超えて、世界規模でのモビリティを目指す世界規約についてですが、日本は昨年9月にアジア初の国としてこの規約を締結しまして、条件がそろいましたので、今月3月5日にこの世界規約が発効したばかりです。
 この規約の目的の一つに、国際的な移動を支援するために資格枠組みについても信頼できる正確な情報へのアクセスを提供し、その能力を開発することが求められています。
 6ページ目をお願いいたします。そして資格枠組み、NQFは何かということで、簡単ですが、概要を申し上げますと、国内で多様化、複雑化している様々なqualificationsの情報を一元的に整理して、水準とアウトカムを紐づけることで可視化を図る参照ツールです。特に留学や就職などで個人が国境を越えたときに、海外のある資格が自分の国ではどのレベルに相当するのか、これを共通の枠組みに照らし合わせることでモビリティを促していく、言わば翻訳装置としての期待があります。
 また、これまで別々に制度づけられてきた学術教育と職業教育との関係を明らかにしまして、それぞれの資格の同等性や、接続を確認するなどして、進学、就職など、次のステップにスムーズに移行できるような支援枠組みとして期待がされています。
 御承知のとおり、まだ日本ではこのNQF、制度化されていませんけれども、世界では、約8割を超える国々がこのQFの導入・検討をしていると言われていまして、これまで日本と並んでアメリカにもQFがないと言われ続けてきましたが、昨年、ワーキンググループを立ち上げ、US qualifications frameworkを今開発している状況です。
 7ページ目をお願いいたします。NQFには多様な役割が期待されていますが、こちらのリストの全てを一つの国のQFが網羅しているわけではありません。やはりその国の政治的な関心、社会的な関心に応じて、NQFを使って何をしたいのか、その優先事項は異なってきます。ただ、共通して重要なのは、分かりにくい学位資格をアウトカムと水準とともに見える化し、資格保有者の移動を支援する、これが第一義的な目的にはなります。
 ほかには、フランスやマレーシアのように、大学のプログラム評価の質保証のツールの一つとして、NQFを活用する事例もありますし、あるいは今NQFを構築している中国や韓国のように、職業教育のステータスを高める、そのことによって極端な学歴偏重主義の是正に努めると、こういったことに主眼を置いている事例も見られます。
 また、国際的にはリカレント教育、生涯学習を進める中で、QFをどう使っていくかという議論が今展開されています。
 8ページ目をお願いいたします。それでは、日本でNQFが今なぜ必要かという話なのですが、これも短期的、中長期的な視点と、教育サイドあるいは労働サイドから見た話といろいろあるかと思います。本日は、特に教育サイドから見た優先的な理由について4点、整理したいと思います。
 まず、1点目は、日本がユネスコの規約に加盟しまして、国際ネットワークに入り込んだことが一つの大きなターニングポイントだと感じています。東京規約で日本にNICが設置されたわけですが、実務の面からも学位や称号を含む教育資格と海外の教育資格の同等性に関する問合せが増えています。さらに、今回の世界規約でも資格枠組みについて何度か触れられていますが、今、NICのネットワークを含めまして、国際議論の中でモビリティや生涯学習を進めていく上でNQFがもはや共通言語、共通通貨になっていると思っています。非公式な会話のレベルですが、海外から見ると、日本でQFをなぜつくらないのかという疑問の声ですとか、期待の声が寄せられているという事実がございます。
 そして2点目、これがとても重要なのですが、進学・就職希望者のモビリティに関して、情報発信不足による不利益を起こしてはならないという点です。特に専門学校の称号を含めまして、学位以外の日本特有の教育資格の一部が国際的に分かりにくいという問題があります。
 9ページ目をお願いいたします。海外から日本のNICに対する問合せについては、例えば専門士・高度専門士の違いですとか、ほかの教育資格の違いについて分かりにくいという声があります。今、海外が参照する日本の教育情報の一つに、ユネスコの国際標準教育分類(ISCED)がありますが、ここでは、専門士と高度専門士が同じレベルに位置づけられていることで、海外から見たときに若干の混乱が見られます。例えばある北欧の国からの問合せで、修業年限や学習時間数の観点から、なぜこの2つの資格が同じレベルに位置づいているのかという御指摘や、高度専門士は学士と同様に修士課程に進めるのか進めないのかといった質問内容なども来ています。
 また、別のヒアリング調査ですけれども、特に東南アジアから日本の専門学校に学びにきた留学生が母国に戻ったときに、専門士・高度専門士の母国での認知度が低いこともあって、進学や就職の際に高等教育資格として扱われない、高校卒業程度の扱いとなっているケースが多く報告されていることが分かっています。つまり大学に編入ができないとか、大学院の受験資格が与えられないという事態が起こっていまして、特にタイ、ネパール、ベトナムでこの傾向が見られます。
 10ページ目をお願いいたします。日本で所定の要件を満たせば、専門士から大学に編入できる受験資格が与えられますし、高度専門士から修士課程の受験資格もあるわけで、その移動が実際このデータのとおり運用面でも行われているわけです。こういった次の教育課程との接続が国際的に理解されなかったり、高等教育資格として労働市場に認められないといったことで、称号の保有者や、これから専門学校で学びたい人、学修者が不利益を受けないということが、この資格枠組みの構築と発信を急ぐ大きな動機になると考えています。
 11ページ目をお願いいたします。日本にNQFが必要な3つ目のポイントですが、昨今の高等教育政策の中でも、学修者本位のアウトカムベースのアプローチへの転換が図られています。このときに各学位・資格保有者に求められるアウトカムや水準について、社会で共有できる枠組みがありませんので、質保証の根拠、土台が不明瞭になっていると、いわゆる出口管理不在の問題があります。
 そして4つ目の理由ですが、リカレント教育・生涯学習を進めるための環境整備、この一つとしてQFが必要であるという点です。東京規約、世界規約などでも強調されていますけれども、個人が生涯学びを続けていくには、正規教育外の学習も評価して認めていくことが今国際議論として進められています。例えばマイクロクレデンシャルや、デジタル化されたオープンバッジ、こういった学校内だけでなく、学校外で得た経験もどう認めていくのか、場合によっては高等教育の単位に振り替えていくという話にもなるわけですけれども、この資格枠組みが教育と職業をつなぐ有用なツールになっていくことが期待されています。
 12ページ目をお願いいたします。QFは、その国の教育訓練制度や、雇用の体制を含めた社会構造や政治的な関心が反映されていますので、その在り方というのは非常に多様だと思います。資格枠組みが網羅する範囲も職業教育と学術教育を含めた総合型のQFのほかに高等教育に特化したもの、学校教育、formal educationを説明したもの、あるいは職業教育や職業資格に限定した、いわゆる部分型、セクトラル型のQFもございます。
 そして枠組みを管轄、運用する主体者も、多くの国ではやはりトップダウンで、政府主導で進められていますが、ほかには質保証機関であったり、産業界であったり、これもQFの種類によって状況は異なりますが、ほかのアクターが扱っているところもありますし、また、現在、アメリカのように非政府組織が主導して開発している例もあります。
 13ページ目をお願いいたします。日本において、まずは国際規約に応えるために、枠組みの基本となる学校教育法にある教育資格の位置づけについては、特に海外に向けて早急に情報を整理して、発信する必要性を感じています。この教育資格枠組み(試案)は、どの資格がどの教育課程に進学が可能で、その際にどういう要件が求められているかという観点から、法的根拠に基づいてマッピングしたものです。
 特に留意点は、レベル6の高度専門士の位置づけでして、先ほど申し上げましたけれども、ユネスコ・ISCEDでは高度専門士・専門士がここで言うとレベル5に同列に位置づけられていることで、混乱が生じている点。また、繰り返しになりますが、日本への留学生が多い東南アジアなどで専門士・高度専門士が高卒扱い、いわゆるレベル3の扱いとなっているケースが多く指摘されているという点です。東南アジアに比べて、中国、韓国のほうが専門学校や称号への理解が進んでいる印象ではありますけれども、まだ、労働市場などで、一部に学歴とみなされていないケースも報告されていますので、十分にこの称号が国際通用性を持っているとは言い切れない状況かと思います。
 ですから、現在の日本の国際的な立ち位置から見ましても、せめて、教育資格については海外で適切に評価されるように、分かりやすい情報を発信していくことが重要だと考えていまして、この教育資格枠組みの発信について、試案として提示したいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【吉岡座長】  ありがとうございます。非常に重要な問題だと思いますけれども、ただいまの野田委員からの御報告につきまして、何か御質問あるいは御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。吉本委員、どうぞ。
【吉本委員】  最後の試案ですけれども、私自身、学位資格枠組みについて、様々な形で公表しております。これは東専各で、報告書をこのたび出しまして、中安室長とも一緒に検討してきたところですけれども、まず、基本的に前のほうで言うと、若干NQFの発展の経緯についての認識が野田委員とは異なります。EQFが学位資格枠組みのある種スタンダードのようなところになっています。EQFは基本的には、義務教育修了以降のレベルを設定するという形になっています。日本で言えば、レベル1は中卒以降からスタートするものとなります。小学校というのはいわゆる履修原理であり、修得による進級・卒業ではないので、そういう意味でも義務教育修了の中卒からスタートするのがよいと考えています。
 それからもう1点は、これは本来の我々の議論ですけれども、高等専修学校の高等課程をどういうふうに扱うかということですけれども、高等課程は2年制と3年制があって、とりわけ准看護師の養成課程の2年制課程をどう扱うかという課題があります。これは文科省だけで定めにくい話ではあるのですけれども、この2年制の課程というのは、一つのレベルとして設定しなければいけないと考えます。2年制課程というのは極めて重要であり、高校卒業と同等のプログラムと位置付けることはしないほうがよい。それを同等であると海外に発信しましょうというのは、これはよくない。
 高等教育段階だけでなくしっかり初中等教育から生涯学習の範囲までをしっかり検討してこのような試案をもう一度作り直すほうが適切かと思います。
 もう1点付け加えて言うならば、これは私も書くときに、例えばレベル5を典型的に専門士と呼ぶんですけれども、修業年限2年の専門課程であって、なおかつ専門士の称号を付与してないところがたくさんある。修業年限4年の専門課程だけれども、高度専門士の称号を付与してないところがたくさんある。そういうところも、この問題は今後は我々のところで「質保証・向上」の調査研究協力者会議の議論の中で、2年制の専門課程は全て専門士の称号を出すような方向でチューニングしていくということが必要かなと考えております。4年制課程は高度専門士と、それから、ここの4番のところのレベルですけれども、専門課程の1年制というのも固有のレベルが必要となります。調理なんかももうこれで完結する資格になりますので、英国等のナショナル・ハイアー・サーティフィケート(HNS)に相当します。そういう意味で、そういう互換性がある学位・称号等もしっかり示さないといけないということになると考えております。
 以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございます。寺田委員が手を挙げていらっしゃいます。寺田委員の御意見を伺って、ほかに御質問がございましたら、野田委員からまとめてコメントいただければと思います。寺田委員、お願いいたします。
【寺田委員】  寺田です。リモートで失礼いたします。
 今日のNQFの提案についてはようやく来たかという感じで、大変嬉しくは思っています。見えないでしょうけど、つい最近、NQFといいますか、EQF、ヨーロッパ、あるいはアセアン、それからそれ以外の国際諸機関、アメリカ等々の海外を見渡して、資格枠組みの問題についてまとめたんですけれども、その中にも書いていたことを幾つか今日の御報告との関係で4つ程度に絞って申し上げます。
 一つは資格枠組みのポイントは何かということで、次に言うこととも関係するんですけれども、もともとはECですね、英国のNQF、それからECレベルではフランスとドイツの職業教育の終了の資格対象調整ということから、1960年代終わり頃から始まった話で、2000年代に入って特にボローニャ・プロセス、1999年とか2004年以降のEQF、European Qualifications. Frameworkですね、この成立以降、うんと拡大されていって、高等教育であるとか質教育、一般を含めて、職業教育と教育全体を含めた枠組みをqualificationsということで整理したんだと思っています。
 ポイントは、要するに職業教育と普通教育及びアカデミック教育との同等性を示す、これが趣旨なんですよね。そこをはっきりさせないといけないというのが1点です。
 それから、2つ目はqualificationsと言うんですけれども、これがくせ者で、非常にヨーロッパ的な、EU的な成り立ちがあるので、いわゆる職別労働市場をメインとするヨーロッパならではの使い方で、多くの場合は就業制限のかかった職業資格というものを出発点にしてやっているので、Qualifications Frameworkという言い方をするんですけれども、となると先ほど言ったように、資料中の8段階表でいえば、例えば労働行政の職業資格であるとか、あるいは技能検定というのもありますけれども、それ以外のたくさんの職業資格があるんですけれども、そういったものも入れ込む可能性を示唆しておかないといけないなというのが2点目です。
 もう一つは、それに関連して2点目の延長で言うと、御提案にありましたけれども、学び直しだとか継続教育との関連ということも今テーマになっているという話がありましたけれども、ヨーロッパレベルだけで言いますと、特にドイツあたりの議論をこの間詳細に見てみたんですけれども、継続教育終了に資格を付与するという仕組みが急速につくられていて、かつ企業内昇進とリンクさせるという、そういう資格もこの資格枠組みの中に組み込んでいくという動きも出ているので、学校卒業をということだけに焦点化するのはまずいのではないかという気がしています。それが2つ目です。
 3つ目は、何枚目かのスライドに出てきましたけど、この前のですかね、よかったら開いてください。資格枠組みの特徴、NQFの多様性というところで、ちなみに3番目の枠組みのレベル数、余計なことですが、触れておきますと、オーストラリアなんかは南アフリカと一緒の10段階ですよね。いろいろあっていいのではないかなという気がします。8レベルを標準にするというのがいいと思うんですけれども、言いたいのはその下のアウトカム指標です。ヨーロッパレベルではディスクリプタと呼んでいますけれども、あるいはアメリカなどではインディケータと呼んでいますけれども、これは知識・スキル+αでは弱いのではないかなと、国際的ではないなという気がします。少なくともEU的に知識・スキル+コンピテンス、コンピテンシーじゃなくてコンピテンス。これをどう訳すかですけれども、ドイツあたりではレスポンシビリティーとオートノミーという意味で責任と自立性と訳すことができますけれども、ここが問題です。
 国別に見ると実に多様で、ヨーロッパでも全然、EU標準に従ってなくて、もうここで大きな差が出てきます。スキルのところにソーシャルスキルをどの程度入れるかとか、ヒューマンスキルをどの程度入れるかということもあるんですけれども、プラスアルファのところがポイントなんです。
 ちなみに4つめですが、つい最近、関連して高等学校の学習指導要領を見る機会もあって、その前には、専門職大学の設置基準を見る機会があって、よく掌握してなかったんですけれども、職業教育の目的というのがこの間、文科省で随分転換させたなという気がしています。つまり知識・スキルプラスアルファですよね。従来は学習指導要領用語で言うと態度という言葉で表現していたんですが、現在は思考力にさらに豊かな人間性と倫理観、職業倫理観、職業がついたかつかなかったか忘れましたけれども、倫理観というのが入り込んでいます。
 アメリカのいろんな労働行政関係のキャリアマトリックスであるとか、あるいはEUの国別にいろいろ見ていくとそうですし、アセアンもそうですけれども、この倫理観あるいは職業観というものを位置づけております。これが抜けるようではちょっとどうだろうかなという気がしておりまして、それで学習指導要領、高等学校学習指導要領なり専門職大学の設置基準の目的規定のところあたりを参考に、人格的側面を位置づける工夫をしてほしいなと思います。
 職業観と言うと望ましいなんていうことが以前、20年ほど前に形容されていましたけれども、それはいかにも国家主導という感じを与えるんですけれども、そこを工夫して書き込んでいくということが必要かなと思っています。
 取りあえずそれぐらいにしておきます。ありがとうございました。
【吉岡座長】  多委員が挙手されていらっしゃいますので、多委員、お願いいたします。
【多委員】  ありがとうございます。
 野田委員には丁寧な御説明をいただきまして、誠にありがとうございました。NQFの確立に向けましては、東京都専修学校各種学校協会、それから全国専修学校各種学校総連合会、この2つにおける経年の事業計画の中でも、職業教育の質保証と国際通用性という観点から、その必要性について論じてまいりました。その取組について少し委員の皆様方に共有をさせていただきたいと思います。
 まず、東専各が所管をしております専修学校振興構想懇談会の専門学校検討部会というのがあるんですが、その部会では、吉本部会長の御指導の下、NQFを整備する上では、職業ごとに共通した学習成果の可視化が肝要であるということを踏まえまして、その基礎となる職業専門分野の分類の開発に着手してきました。
 この分類に当たりましては職業に特化するという前提から、職業実践専門課程の認定学科に的を絞りまして、学校基本調査における専修学校学科コード表との対比をしながら、新たな職業分野分類を策定して、その上で国際通用性の観点から国際標準教育分類(ISCED-F2013)との整合に至った次第でございます。
 次なるステップといたしましては、ISCEDとの整合によって新たに分類された職業における共通の学習成果の可視化と捉えておりまして、この取組を進めていきたいと考えております。
 また、全専各連のほうでは、内閣府の教育未来創造会議における第二次提言に向けた論点案というものの中に、教育の国際化の促進が掲げられたということを踏まえまして、同会議のワーキンググループのほうで、東京規約を活用して相互に資格を承認、評定する枠組みを整えていくということが肝要であることから、日本におけるNQFの確立が不可欠であるという旨を教育未来創造会議のほうに提起をさせていただきました。
 去る3月27日に開催されました、同会議で示されました第二次提言に向けた論点の整理案におきましては、国家学位・資格枠組みの検討の加速化というものが、教育の国際化の推進に向けた検討の方向性として、明確に記されているところであります。こうした取組によりまして、日本におけるNQFというものは、その必要性から実装へと具体の議論に向けた転換期に入ったとも言えるのではないかというのが私の所感でございます。
 こうした状況を踏まえまして、文部科学省では今後NQFをどのように実現に導いていこうと考えていらっしゃるのか、現時点で思い描かれている構想など、お時間が許せば後ほどお聞かせいただきたいと思います。
 私からは以上です。ありがとうございました。
【吉岡座長】  ありがとうございます。ほかに御意見、コメント等ございましたら。
 では、吉本委員、短くお願いします。
【吉本委員】  寺田委員が最初に言っていた知識、技能、これは学校教育法の中のそれぞれの学校の目的ではなくて、その下にある目標の文言を整理すると、つまり日本の固有のディスクリプタをつくるという意味では、「知識」、「技能」、「態度」及び「その知識、技能、態度を現場の文脈で応用する」と、こういう4段階、知識、技能、態度、応用ということが読み取れます。
 私はもうこれでいくべきであって、実際にディスクリプタを分野ごとに、多先生がおっしゃったように分野ごとに検討しておりまして、看護、保育、介護、ビジネス、こういう領域で大体出てきたかなと考えているところです。
 これについてはいろんなところで見ていただければと思いますが、その知識、技能、態度、応用というタキソノミーは、特に態度は、アジア諸国のNQFの場合、結構たくさんの学位・資格枠組みが入っています。
 それから、当初は知識・技能以外をコンピタンスと言っていたEQFが、ドイツのDQRを基にして自律性と責任ということに変更しました。ある種その責任というのは態度の中の責任及び倫理観というグループの中で扱えるし、自律性というのは仕事における自律的に仕事ができることということで応用の中でカバーできる。やはり言葉の関係性を話し合うということを進める他なく、なおかつそれは分野別にやる必要が出てくるというようなことを考えているところです。
 もう1点だけ言いますと、特に看護という世界はとりわけ大切にする必要があります。ここでレベル4として高等学校専攻科とあるんですけれども、高等学校専攻科にもいろいろありまして、水産系の1年の専攻科もあります。いま、看護の場合、5年一貫の看護科を標準にしていますけれども、看護科と、昔の衛生看護科の3年プラス2年、この場合、大学編入学を可能にすべきところ、2009年の調査研究協力者会議でもう1回議論してその後に実現しました。ということは日本の国内においては、看護系の専攻科はレベル5、その他の1年制はレベル4と位置付けるべきとなります。そういう意味で、高等教育だけで学位・資格枠組みを考えていると、これはどこか矛盾を起こすということを、指摘をさせていただきたいと思っております。他方、そういう意味で学位・資格枠組み、寺田委員が言うように、職業資格のところまで考慮していくことは将来的には重要ですけれども、現在そこはまだまだ考えなくてもよいかと思います。少なくとも文部科学省内の各所の所管の部分がちゃんと整合するようにということは、ぜひとも考えていきたいところだと思います。
 以上です。
【吉岡座長】  冨田委員、お願いします。
【冨田委員】  冨田でございます。
 最後のページの試案と少し外れるかもしれませんが、企業の立場で11ページのリカレント教育・リスキリングのところです。ここが非常に気になっておりまして、今まで専門学校様あるいは大学様で、リカレント教育が行われているわけなんですけれども、それがやはり成功しているとはちょっとまだ思えないですね。
 一つ、企業としては、やはりこのリスキリングというときに、そういったその専門学校様の専門教育だとか、大学様の教育だとかというのに非常に興味があって、我々が例えばITを学びたいといったときに、やはり2か月とか3か月、それを勉強して、じゃあ勉強したらIT企業に入れるかといったら、なかなか入れないわけです。それはなぜかというと証明がないからなんです。
 ということで、やはりこのマイクロクレデンシャルの承認ですとか、あるいはオープンバッジですとか、こういったものがやはりどんどん多分日本だけではなくて世界で普及をしていくという流れがございますので、やはり13ページにあった以外の、こういったリスキリング・リカレント教育というところ、ここにやはり何らかの証明が必要なのではないかと。その証明をもって、企業のほうもこの方はこういうスキルを持っていらっしゃるんだなということが分かる、それをもっと進めていくと専門学校様のリカレント教育・リスキリングというのが進むのではないかなと思いますので、ぜひそういった観点も今後議論をしていただければと思います。企業の側からの意見でございます。
【吉岡座長】  ありがとうございます。芦田委員。
【芦田委員】  野田先生に御質問があるんですが、先ほど吉本先生が言われましたけれども、履修と修得という意味で言うと、これのそれぞれのタイトルの改定は単位制(いわば修得主義)の部分と時間制(いわば履修主義)の部分が一緒になっていて、例えば専門士や高度専門士も基本的には94年の専門士で、最後3番目に、試験をちゃんとやれということが入ったり、高度専門士では体系的な教育をやっているかどうかというのが、従来の専修学校の、専門学校の枠内とは違う要素として加わって、それらは単位制への移行絡みの動機が深く刻まれたと思うんですけれども、国際的なqualificationsといったときに、修得性と履修性との関係や基準というのは、国際的にはどういう観点で各国の教育制度のqualificationsに関わっているのかということについて、もう少しお聞かせいただければありがたいと思うんですが。
【吉岡座長】  ありがとうございます。
 幾つか質問、御意見がございましたが、ほかになければ、野田委員にそれをフォローしていただければと思います。
【野田委員】  たくさんの御示唆をいただきまして、ありがとうございます。
 このNQFについてはいろいろな見方といいますか、種類や求める機能というものがあるかと思っていまして、何をターゲットにするかによって在り方が変わってくるのはとても悩ましいところなのですが、まず、前提としまして御示唆いただきましたように、中長期的、将来的には職能評価や職業資格を含めた総合型の包括的な全国資格枠組みができればなと思っております。
 ただ、今回、日本の教育資格枠組み、Educational Qualifications Frameworkとセクター型に限定させていただいたのは苦肉の策といいますか、理想としては、日本のJQFとして発信するのが正しい形なのかもしれません。ただ、教育資格でさえも正しい情報が、具体的には専門学校の称号が理解されていませんので、それを今回規約が発効したこともありますし、日本として、この部分に関しては発信を急ぐ必要があると感じております。
 先ほど履修主義、修得主義の話と、またレベル1が義務教育を終えた中卒で小学校は入らないのではないかというところで、それも単位制と履修主義の問題も関わってくると思うのですが、これもいろいろ悩みまして、各国のNQFを参照しましたところ、確かにアングロサクソン系など先行して始まったQFは、レベル1は中卒などから始まっているところは多いのですが、レベル1を小学校卒としているQFも多くございます。例えばベルギー、ポーランド、ブルガリア、ラトビア、ブータン、パキスタンなどで、さらに今回、世界規約に加盟しているアルメニア、スロバキア、クロアチア、これも小学校から始まっています。
 といいますのは、やはりこのユネスコの学校教育に関する移動、学術モビリティという視点から見ますと、小学校で義務教育が終わっている国も幾つかあります。そういった面でも、小学校から見ていくというのが重要だと感じていまして、さらに日本においても去年の国勢調査で80万人以上の最終学歴が小卒で、50代以下の2万人近くが小卒であり、その半分が外国人国籍ということで、やはり小学校で教育が終わってしまっている実態があることも含めると、小学校というのはレベル1に置いたほうが適切ではないかという判断で、今この部分型の枠組みに載せているという形になります。
【吉岡座長】  ありがとうございます。文部科学省のほうから何かございますか。
【神山生涯学習推進課長】  ありがとうございます。生涯学習推進課、神山でございます。
 野田先生には、おまとめいただきまして、本当にありがとうございます。また、ほかの委員からも非常に活発な意見をいただきまして、非常にありがたく思ってございます。
 NQFの話はある意味、専修学校だけに限る話ではございませんので、そういう意味で、この場でいただいた議論、あるいは御提案いただいたことをベースに、文部科学省としても例えば、中教審などでも御議論いただくようなことが必要になってくるかなと思ってございます。
 ただ、今のお話の中で御示唆いただいた、例えば野田委員からも教育枠組みのところをまずは整理をしたらどうかと。吉本委員からも、将来的には職業のいろんな資格のものもあるけれども、という御指摘もあったように、その資格枠組み、教育以外の各種資格まで含めてどこまでできるかとなると、なかなか時間がある程度かかるかなと。
 一方で、世界規約ですとか東京規約との関係あるいは国際化の進み具合からいうと、少なくとも高等教育を含む教育部分の枠組みというのを早めに示すという必要もあるのかなと思っております。今日いただいた御意見、その細かいところですと専攻科の話ですとか、あるいは何年制かといった位置づけのところをもう少し詰める必要があるのではないかというのは御指摘のとおりだと思いますので、恐らくスコープとしてはまずは教育のところの整理を先行し、議論の場としても、こちらの質保証会議のほうとも行き来をしながらかもしれませんけども、ここでのメインの議論は専門学校の話、専修学校の話ということを考えますと、最終的には中教審も視野に入れた形で、一方で、スピード感との調整もしながら、何らかの形で外向けに出していく必要があろうかなと。
 もともとの課題意識のところでも、位置づけの議題として、高度専門士の話などもいただいておりましたので、そうしたところなどが国際的に明らかになるように、なるべくまずは教育の部分かとは思いますけれども、それを整理した上できちんと議論をし、できる限り早く、包括的なものというよりは、取りあえず国際的に相互の参照ができるような枠組み、教育についての枠組みをつくっていけたらなと、そのときはまた改めて御報告したり、御意見などをいただけたりできればなと思っています。本当に活発な御議論、また、野田委員には包括的に問題提起いただきまして、ありがとうございました。
【吉岡座長】  ありがとうございました。
 私の感想ですが、とても重要な議論だと思いますが、大学のいわゆる高等教育の質保証のシステムを考えるときも、同じような問題に実は突き当たっていたと思います。一つは典型的には単位とは何かという問題です。単位というものをどう考えるのかというのは、実はちょっと脇に置いた形でシステムの議論が進んでいた。何度もそこに触れたんですけれども、単位をどう考えるかということで、授業時間で考えていいのかという問題などがありました。ですから、これは非常に重要な問題だと思います。
 もう1点は、やはりここでNQFのようなものというのは、一つはヨーロッパの、もともと中世以来の職能団体的な仕組みという発想が恐らく基礎にあって、出来上がってこられたというふうに思います。職能団体的に考えると大学も、それぞれの職業団体も、ある意味で同等の団体だという歴史的には、そういう価値的には同等だったんだと思うんですね。
 だからある種のクオリティというものを審査する主体も、イメージできるというところはあると思うんですが、日本で、もう少し広くアジアかもしれませんけれども、最終的に誰が質の判断をするんだということの主体というのは必ずしも明確になっていなくてということ。
 それから、日本の近代は要するに結局、学校制度の中に全てが取り込まれてしまっているので、職能団体的な自立性というのは、先ほどオートノミーというのがありましたけれども、それが多分確立していないところがある。ヨーロッパのようにしろという議論ではないかもしれませんが、そこの違いというのを考えておかないと、話は混乱するなと思いました。これは印象ですけれども、非常に重要な議論だと思いますし、ここだけではなくて、それこそ文科省か中教審か分かりませんけれども、考えていく必要がある議論だと思いました。大変勉強になりまして、非常に刺激的な議論でございました。
 よろしいでしょうか、ありがとうございます。野田委員、非常に重要な問題を提供していただき、ありがとうございました。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。
 留学生の卒業後の進路と教育の質保証についてということで、事務局から説明をお願いいたします。
【中安専修学校教育振興室長】  ありがとうございます。専修学校教育振興室の中安でございます。
 先ほどの議論で1点だけ追加で、まさに専門学校のところの議論ということですけども、野田委員からお話のありました高度専門士の位置づけが専門士と同じということについては、まさにそれを受け止めて、現在、ユネスコとも交渉しているところでありますので、また、方向性が見えてきたら御報告をさせていただければと考えてございます。
 それでは、資料3について御説明をさせていただきます。質保証の文脈では、ここは専門学校の振興という観点も入ってきますけれども、留学生の卒業後の進路の関係でございます。
 1ページ目です。先ほど、多委員の話にもありました、教育未来創造会議のワーキンググループの論点整理というところで、専門学校の関係では点線枠囲いの3つに論点が整理されているんですけれども、今の話はこの2ポツの(2)の③のところ、在留資格の運用の見直しと周知促進ということで、専門学校の卒業者の専門、知識、機能や、その応用が発揮できる要件への見直しを技人国の滞在資格でありますとか特定活動について図っていくということについて、議論がなされているということでございます。
 2ページ目を御覧ください。背景でありますけども、留学生30万人計画が達成された2019年においては、25%が専修学校専門課程を御卒業されていたという状況があり、留学生施策全体の中で、専門学校が果たした役割は大きいというものがあります。
 一方、その卒後の地元の就職の成功率でありますけれども、ギャップが生じておりまして、専門学校生の場合はギャップが3割程度、それを大学のほうで見てみるとギャップが2割程度ということがありまして、これがその個々人の能力の問題という部分と制度的な問題との両方が絡んでいるのではないかというのが議論の端緒でございます。
 3ページ目でございますけれども、滞在資格の切替えということでこれはかなり制度的な話ですけれども、大学、専門学校、日本語教育機関というところを卒業した留学生が、日本国内で就職をするという場合においては、基本的には学校で学んだ内容と関係のある業務に就くという場合、技術・人文知識・国際業務、いわゆる技・人・国という滞在資格を得て就くわけですけれども、就職活動延長や、あるいは別途の日本語技能を評価されて就職活動する場合もあって、それが特定活動ということになってくるということでございます。
 4ページ目ですけれども、これもかなり行政技術的な内容でございますけれども、技・人・国の運用がどうなっているかということについて申し上げると、表の上半分の列が4つあるうちの右から2つ目の要件・基準等のところです。大学については、教育機関としての大学の性格として、、教養教育的なことをやっていますよねということがあって、関連性は柔軟に判断されると。技術・人文知識・国際業務の中で、技術が理系、人文知識が文系だとすると、そこの枠も飛び越えて柔軟に判断されているというような状況があります。
 一方で専修学校については、職業等必要な能力を育成することが目的とされているということで、関連性が相当程度、認定に当たって確認されてきたという状況がありました。
 その下の特定活動については、こちらは黒いポツの3つ目にありますとおり、本邦の大学または大学院において修得した広い知識及び応用能力を活用すると認められると。ライン工など単純な労働でないということは大前提とした上で、その直上にありますけども、日本語能力検定試験のN1合格ということで、日本語能力が極めて高いと評価される方については、かなり柔軟に日本での就職が認められるという状況がありました。
 一方で、これは4年制の大学と大学院に限られていたということで、ここについても、専門学校でも4年制、きちっとした同等の教育の質、確保できているところがあるのではないかという議論があったということでございます。
 少しページとんで7ページでございます。ここでは焦点が高等専修学校のほうに行きまして、高等専修学校は、上陸基準省令上は専門学校と同じ扱いでしたけれども、そうすると高等学校と要件がずれているという状況がありましたので、そこについて、高等学校と同じにしてはどうかという議論があったということでございます。
 8ページ目でございます。専門学校の関係でありますけれども、現状と課題というところで御説明してまいりましたように、下線引いておりますけれども、専門学校については専攻科目等従事しようとする業務の関連性が、大学に比べて厳格に審査されてきたという状況があって、就職促進をさらに進めるという観点から、ここを柔軟にしてほしいという御要望が、専門学校の関連団体のみならず、経済団体、具体的には経団連さんと日商、東商さんと新経連さんから御要望いただいているという状況がございました。
 こうした状況を踏まえての対応の方向性ですが、新たに文部科学大臣の認定制度をつくらせていただくということで、教育の質を保障されているという専門学校については、大学と同等の扱いを法務省の入管当局にもお願いしていくと、そういう仕組みをできないかということを考えてございます。その適用に当たっては、技・人・国については法務省における運用を柔軟にしていただくということと、先ほどの日本語ができれば就職できますよという特定活動告示の第46号については、これは高度専門士、もともとが4年制大学と大学院生だけなので、高度専門士に限るということでありますけれども、そこについては、大学と同等の扱いをしていくということでございます。どうやって学校に認定するかということですけれども、1つは職業実践専門課程の認定を受けていることということです。この職業実践専門課程は、企業等と連携した実習等がカリキュラムに組み込まれることになりますので、そういう意味では日本の商習慣のようなことに対する理解が深いだろうということで、まずこれを1つの要件と。2つ目の要件は、経営基盤に関して継続的、安定的な財務状況であることということです。経営が悪化し、その建て直しのために留学生を充てるというような状況があった場合、管理の面からも問題が生じる可能性がありますから、そのような場合は対象外にするということです。こちらは、中身としては、修学支援員制度と同じということを考えられないかと思っています。それから3番目ですけれども、留学生の割合が学科の2分の1の範囲内ということです。これも日本人生徒との交流の機会が確保されているということが日本社会の理解の促進につながるということで、条件を付させていただいております。ただし、この丸3だけは、仮に留学生割合が2分の1を超えている学校であっても、適正な進路指導、具体的には就職率が90%を超えているといったようなことがあるということとともに、日本社会の理解促進に関する授業科目が300時間以上開設されていれば要件を満たすと。この300の数字の根拠は、1つには日本語能力レベルがN2からN1に上がっていくというのに大体この程度の時間が必要だと言われておりますので、こうしたことを踏まえて条件とするということは考えられないかと思っています。あるいは、バスケットクローズ的な規定でありまして、問題のあった学校はこの対象にはしないということでございます。
 そのようなことで質の確保をした上で、特定活動46号でございましたり、技・人・国の柔軟活用をお認めしていくという制度を考えたいと思っています。
 9ページですけれども、高等専修学校についても高校と同じようにしていくことを考えておりまして、10ページにスケジュールをお示ししております。お示しした案のとおり、内部手続を経た上で、可能であれば6月中に公布・施行して、9月には認定をしていくと。その結果として、令和6年3月の卒業生よりこの制度が適用になって、専門学校の留学生のキャリア形成支援というものにつながっていくと、そういうことを考えさせていただければと思っています。
 以上です。ありがとうございました。
【吉岡座長】  それでは、今の点につきまして、何か御質問ございますでしょうか。吉本委員、どうぞ。
【吉本委員】  この300時間以上という要件をどうするのかという話があります。この場合に単位数を併記するような形をとり、芦田委員の話もありましたけれども、我々は単位、要するに履修というのは重要なポイントで、設置基準でも「学修の成果を証する必要がある場合」に単位制度を使うというのが原則だと思います。それは東京規約等も含めて学修成果を相互承認していく場合に大切です。いろんなところで単位制に置き換えていくということをやって、最終的に、これは専門学校法制の中だけで本来実現できることだと思います。最終的な単位制への転換を、改めてアピールというか、お願いをしておきたいと思っています。
【吉岡座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、芦田委員、どうぞ。
【芦田委員】  専門学校はかなり多様な学校があって怪しいぞと言われて、一条校化は叶わなかったわけですが、せめてこの留学生の対応について、日本語学校だけでということは別にしても、専門学校の経営者も、日本語学校のところぐらいはそれなりの条件をつけていただいて、大学並みの就職させる窓口ができてもいいかなと思っているので、全専各は、専門学校の本体にはいろいろ条件つけられるのは嫌だろうけれども、日本語学校のところは少しでも、さっきの単位制の問題も含めて、教育成果をきちんと示せるような体制を取れと言っていただいて、出口のところの条件は、時間がかかりそうな言い方をされていましたけれども、大学のような条件をぜひとも早いうちにやっていただければと思います。ここは、専門学校のほうが貢献できる要素はいくらでもあると思いますし、ここをきちんとやっていただけると専門学校全体のためになっていくと。こういうことをきっかけに、専門学校の質が上がっていくというきっかけにもなるかと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
【吉岡座長】  河原委員、どうぞ。
【河原委員】  経済団体等から専門学校留学生の卒業後の就職促進が求められている今日、妥当な案だと思います。
 また、専門学校に進学した留学生の本邦内就職の困難は、在留資格要件だけではなくて、前回佐藤委員の報告にあったとおり、特に非漢字圏出身者の日本語レベルの低さに起因するところもあると思われます。専門学校入学時の日本語能力の低さは深刻な問題でありますので、留学生の、日本語教育機関に在籍可能な期間の上限を、現行の2年から例えば4年程度に延長したらどうかと考えております。
 私からは以上です。
【吉岡座長】  分かりました。それは事務局のほうで何かありますか。いいですか。
【中安専修学校教育振興室長】  御意見として承りました。
【吉岡座長】  事務局で、今の御意見も含めて、調整していただければと思います。
 それでは、次の議題の職業実践専門課程制度の充実に向けてという、例の取りまとめの対応状況について、事務局から説明をお願いいたします。
【船木専修学校教育振興室室長補佐】  資料4を御覧いただければと思います。
 昨年度末、この会議におきまして、「今後の専門学校における職業実践専門課程制度の充実に向けて」を取りまとめていただいております。この取りまとめにおいて提言いただきました内容への対応状況を御報告させていただきます。
 資料、下半分の枠囲みに、専門士との連携及び職業実践専門課程のフォローアップ手法の見直しというところを抜粋させていただいております。今回は、この2件についての御説明をさせていただきます。
 まず、専門士との連携でございます。昨年度の取りまとめにおきましては、修業年限2年以上の専門課程の9割以上が専門士認定を受けていると。また、職業実践専門課程において試験等による成績評価に基づいて修了課程の認定を行っていることを制度的に担保するためにも、職実の認定要件として専門士の認定を受けていることを求めるということを頂戴しております。
 こちらの対応として、資料5を御覧ください。専門士との連携につきましては、この関係の規定を改正いたしまして、令和4年7月に公布・施行されているところでございます。詳細は、2ページ目を御覧いただければと思います。
 左側が改正の内容、右側が専門士及び高度専門士の要件を参考として記載させていただいております。
 左側、既存の要件、改正前の要件としましては、修業年限2年以上、または全課程の修了要件1,700単位以上というのがございましたが、これを削除いたしまして、その代わりとして、専門士または高度専門士の認定を要件として新設しました。
 この右側参考にございますとおり、専門士の要件につきましては、修業年限2年以上及び1,700単位以上に加えて試験等による成績評価に基づく課程認定というのもございますので、この改正により、結果としてこの職業実践専門課程の要件として、成績評価に基づく課程認定も新たに付加されるということにもなりますし、専門士を要件に加えるということが実現できているというところでございます。
 続いて、資料6をお願いいたします。職業実践専門課程のフォローアップの見直しについてでございます。
 職業実践専門課程のフォローアップにつきましては、現在認定後3年間を経過した学科を対象に、別紙様式4という様式による報告等を各学校に求めることによりまして、職業実践専門課程の質保証に資する不断の取組を促してきたところでございますが、今回は、さらなる質向上に資する見直しというところでございます。
 また、他方としまして、評価や情報公開に係る取組が既に様々行われておりますが、この質の保証をこのフォローアップにおいて根幹にするということはもちろんとしておりますけれども、学校担当者の目線、現場目線において関連しました、この取組の相互の有効活用というところを企図したものとしてお示しさせていただきます。
 見直しの内容は、1ページ目下部にございますこの4点についてであり追って個別に御説明させていただきますが、下のほうに米印で小さく記載してございます、この認定要件のいずれに該当しないと認められるおそれのある学科の確認を行う、これがまずフォローアップの大きな要点であることを申し添えた上で御説明させていただきます。
 では、2ページ目をお願いいたします。
 まず1点目、要件確認の運用の厳格化でございます。別紙様式4、ここではフォローアップ調査票とも書かせていただいておりますが、これが引き続き提出を求めるものになります。これが未提出の場合、当然に督促を行わせていただくわけでございますけれども、それでもなお提出がない場合、認定を取り消すというものでございます。また、文部科学省におきまして、この調査票に基づき確認した結果としまして、認定要件のいずれかに該当しないと認められるおそれがある学科がございました際には、要件確認に資する調査を行うということを、先ほどの認定取消しを含めて、関係規定において明確化していくというものでございます。
 2点目として、職業実践専門課程の質向上の観点からの定量的な記載事項追加でございます。企業等と連携した実習等の割合、教員の属性等を追加し、中長期的な視点での要件追加を見込むというものです。これまで別紙様式4においては、非常に多くの項目の記入を求めており、それが非常に煩雑だとの御指摘もいただいておりました。一方で情報公開という観点からかなり多くの項目を入れていたわけですが、そのようなところは割愛、削除しまして、その代わりとしまして、企業等と連携した実施の割合や教員の属性、具体的には専修学校設置基準の第41条第1項における、どのようなものが含まれるかというところを記入いただくとか、また、それを踏まえつつ、実務家教員的な分野における5年以上の実務の経験を有する者の数を伺うといったところを記載内容として入れていきたいということです。
 また、企業等と連携した実習の割合につきましては、これまでも委託事業等々でいただいてきた部分はあるんですけれども、例えば企業等と連携した実習の授業時数とか単位数というところの記入を全ての学校に求めた上で、そこの割合を確認していくために様式に追加していくということを考えているところでございます。
 続いて、3ページ目をお願いいたします。学校関係者評価委員会による確認でございます。
 ご案内のとおり、職業実践専門課程の要件においては、学校関係者評価委員会を開催し、学校における自己評価に基づいた関係者評価をいただいておりますけれども、今回この職業実践専門課程の全ての認定要件を満たしているということについて自己点検を行っていただいて、学校関係者評価委員会においても併せて確認をいただくというものでございます。こちらにつきましては、他の大臣認定制度も参考にしつつ、この形を取らせていただいております。
 続いて4ページ目でございます。こちらは、オンライン化ということで、あくまで負担軽減ということですけれども、これまでのフォローアップは別紙様式4という紙媒体を用いたアナログの手続が多うございましたので、こちらをデジタル化しまして、所定のフォルダにアップロードしていただくことで確認集計を簡便に進め、必要に応じて、RPAといったロボットによる自動化のプロセスも入れていきたいというものでございます。
 私からの説明は以上でございます。
【吉岡座長】  ありがとうございます。今の事務局からの説明につきまして、御質問コメント等あれば御発言いただければと思います。いかがでしょうか。多委員、お願いいたします。
【多委員】  ありがとうございます。先ほど説明していただいた資料の中に、職業実践専門課程の質向上の観点からの定量的な記載事項を追加するということが書かれていました。具体的には、企業等と連携した実習等の割合、また、教員の特性などを追加すると書かれております。これを踏まえて、2点ほど提起をさせていただきたいと思います。
 別紙様式4、いわゆるフォローアップの調査票というものがあるわけですが、その中においては、先ほど触れた教員の属性というものを記入する箇所があります。この中では、設置基準の改正によって位置づけられた、いわゆる必要な基幹教員のうち4分の1を上限とする兼務基幹教員というものの数、もしくはその割合を把握する必要があるのではないかというふうに思っています。
 もう1点は、これまで職務実践専門課程の充実に向けた取りまとめをつくっていく議論の中で、実習、実技、実験、演習といったものなど、講義科目と異なる授業形態についてそれぞれ定義する必要があるという議論をしたことがあるんですが、これは積み残しになっているというふうに記憶しています。それを踏まえて、調査票の中の企業等と連携した実習等の実施状況という箇所では、実験、実習、実技というものと演習に分けられているんですが、実験と実習、実技というものはひとくくりでいいのかなという疑問があります。特に、企業等と連携した実習、インターンシップに関しては、専門職大学は4年間で600時間以上と定められている中で、取りまとめに向けた議論の中では、職業実践専門課程のインターンシップ時間をどのように設定すべきかといった議論もあったはずであります。こうしたことも踏まえますと、少なくとも企業等と連携したインターンというものをどれくらい行っているかということについては、明確に把握すべきではないかと思いました。
 以上、2点であります。ありがとうございました。
【吉岡座長】  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
【佐藤委員】  東工大の佐藤です。今、多委員がおっしゃった御意見、特に企業と連携したインターンシップ実態の把握というのは非常に重要だと思いますので、私からもぜひ入れていただければと考えます。
【吉岡座長】  ありがとうございます。河原委員、お願いいたします。
【河原委員】  よろしいでしょうか。ありがとうございます。フォローアップの見直しについて、先ほど多委員が言われた職業実践専門課程の質向上の観点からの定量的な記載事項の追加についてですが、画一的な尺度によって、かえって分野の特徴等が阻害されたり、地方の特性が失われたり、認定が取り消されたりすることがないように、記載事項の設定を考慮する必要があるのではないかと思います。
 例えば、地方と首都圏では企業の規模が全く異なります。連携の形態は多様であります。個人経営や中小規模の企業が多い地方では、もともと社員教育部門を組織内に抱える大企業との連携だけでなく、現場の職人がそのまま手ずから指導するような連携形態もあります。また、教育分野によっても連携の形態は多様であります。例えば、看護等の医療分野では、もともとインターンシップ型の臨地実習が資格制度の一環として確立していますが、それを全ての教育分野に当てはめるのは難しいのではないかと思います。
 私からは以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。寺田委員、お願いいたします。
【寺田委員】  いつも同じことを言うのですが、この今の職業実践専門課程の、特に企業等での実習、多先生の2番目の意見に大賛成でありまして、他方で、今、河原先生がおっしゃったことも配慮しながらということになると思うんですけれども、今回、定量的な視点を定義するということをおっしゃったので、これはこれで前進だと思います。ここの具体策を、河原先生がおっしゃるように、本当にそうで、例えば介護実習なんかですと600時間ぐらいが法的に義務づけられているのと、他方で何も義務づけられてないけれども実践性が求められる分野というのはあるわけで、その辺を配慮しながら、具体的に検討したほうがいいのではないかと思います。僕も、全体が1本の基準ではやっぱりちょっと無理があるのではないかと。あまりにも不均衡が生じるのではないかという気がしますので、現在既に実践しているところが多いんですけれども、その辺の状況もちゃんと把握しながら、ぜひ具体的な検討をやっていただきたいなと思います。
 以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございます。事務局、何かございますでしょうか。
【船木専修学校教育振興室室長補佐】  ありがとうございます。まず、基幹教員等々の数字、こちらについては、どこまで取得できるかという点から更に様式を考えてまいりたいと思っております。
 それから、企業と連携した実習等の割合という観点におきましては、基本的には別紙様式4の後ろのほうに一覧表がございまして、そこから集計できるようにはしたつもりではありますが、その中の整理においての定義という観点は、確かに取りまとめにおいても御指摘を頂戴しているところであるということは十分に承知しておりますので、例えばこのフォローアップしていく際においても補足説明をしっかり入れるとか、そういうところは誤解のないようにしていきたいと思っております。
 実験、実習と実技と認証を分けさせていただいたのは、一部において、要件外ではありますが企業等と連携した講義という事例がございまして、このこととの整理がしっかり見えるよう、このように分けさせていただいたという経緯がございます。
 インターンシップについても非常に重要だという御指摘もいただいておりますので、様式にどう入れ込んでいけるかを考えてまいりたいと思います。
 いずれにしても、フォローアップについてはいろいろ考えながら進めているところもございますし、また、今後進めていく中において御意見をいただくこともあると思いますので、そういうところの見直しも十分図ってまいればと思っております。
 以上です。
【吉岡座長】  吉本委員、どうぞ。
【吉本委員】  いろいろ正確に把握しようとすると、次から次へとチェック項目が増える。河原委員がおっしゃるような形で、あまり細かく難しいところはちょっとやめておいたほうがいいというのが、これは2017年か18年頃、様式4を見直すときに「実質化」議論をずっとやっていたときに話した点もあります。当初の様式4の提案では、就職の項目で、「関連分野就職数」があがっていました。それは、本当は大切なんだけれども、こういうところに書いてしまうと、明確に定義できないものなのに数が違うだ云々というような形で問題にされるから、それは今やめておこうという話をしたんです。
 今この議論について言えば、2ページの、認定要件のいずれかに該当しないと認められるおそれがある学科に対して調査をするものであると。これは、いわゆる「リスク・ベースド・アプローチ」ということになると思います。一字一句間違っていたらそれでアウトというような話ではないということで、そういう意味では文科省も把握ができない情報をつかまえるためにやっているもので、これをもって揚げ足を取るというようなことをしないということを言っておられるので、僕はこれでいいのではないかと思っているところです。揚げ足を取ると言うとおかしいんですけれども、高度専門士と大学院の入学資格の要件というのは、それぞれ2つの認定の制度があって、ほぼ同じだから、一方に書いたことと違うことを他方で書いてはいけませんよ、というただし書きが示されている。そういうようなただし書きを書かなければいけないような、それで間違えたら何か却下されるのかというような話になってしまうんです。その辺を、それは単位制で制度を簡素化することで問題なくなるという議論につながるのですけれども、いずれにしても、今回大切なことは「リスク・ベースド・アプローチ」という方法を徹底させようということです。場合によっては、こういうリスク・ベースド・アプローチをオーストラリアのASQAは実施しているんです。全部の学校をチェックするわけにいかない場合の方策ですね。要するに、ある種のアクレディテーションですから、リスクがあるところを見つけて、ちょっと怪しいかなというところを調べることにすればいいという考え方です。全部アプローチされなくて、変な言い方ですけど、ちょっと欠けたところを見逃していることはあり得るということも含めて許容する。そういう仕組みの運用の仕方の考え方を変えていくということが大切なんだと思っています。
 ということで、場合によっては、そういうものは、私立専門学校評価研究機構のような団体に、まさに認証評価と同じですけれども、そういう認証団体として認めて業務をお願いするということもあり得ると思いますので、検討いただければと思っております。
【吉岡座長】  どうぞ、植上委員。
【植上委員】  植上です。
 フォローアップのことについては、おおむね賛成です。本当に細かい点ですけれども、別紙を読んでいて気になった点なんですが、教員の属性についての記述があります。ここに、実務経験の数というのがあるんですけれども、例えば、2つの学位を持つケースというのはありますよね。学士と修士を持つケース、また専門課程を修了した方と学士を持つケースというのはあって、現場サイドで、これを書くときに混乱しないように説明を工夫していただけると。恐らく、専任と基幹教員の総数と合わなくなりますので、例えば、それをどうするのかというところは工夫していただけるといいかなと思いました。
 また、恐らく、現場で悩まれるかなと思ったのは、先ほど吉本先生もおっしゃられた関連分野というところですけれども、この実務家教員で、分野におけるおおむね5年以上の実務というところがあるんですが、ここの判断は、各学校にお任せすることになると思うんですけれども、この辺りをどういうふうに書けばいいのかということも、簡単な例を示していただけると、現場としては書きやすいのではないかなと思った次第です。
 少し細かい点ですけれども、以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございます。その辺も事務局で御判断いただければと思います。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、芦田委員。
【芦田委員】  時間数の標準化だけでは解決しないという問題は、これも履修(時間)と修得(単位)の話じゃないですけれども、専門学校の場合(単位制の大学でさえもそうですが)、企業連携をしても形骸化している実態もありますし、企業連携やインターンシップを含めた、その実習のの修得性というものを、実施している主体なりを受け入れている企業側がどういう水準で、この人たちがこの時間を修了したかということについての履修の可視化を意識しているか。カリキュラムをつくっている側は専門学校ですので、時間時間というふうにやってしまえば、形式的に時間をそろえてくる学校もいっぱい出てきます。企業連携(企業実習)というのは、私の理解ではもともと、専門学校の教員条件を高度化するというのはなかなか難しい中で、せめて企業との連携をきちんと高めて、専門学校の教員にもその連携のフィードバックが行われる体制を取っていこうという、ある種、苦肉の策だったと思うんですけれども、こここそ時間規定ではなく、あるいは時間の多少の問題ではなくて、そういう連携によって何を学生に修得させるのかというカリキュラムとの関係、履修時間ではなく修得の質という観点においてアウトカムの可視化課題につながる必要がある。そのことこそが教員の質を問うきっかけにもなっていく。学内実習にしても学外実習にしても時間(履修)が倍になれば、修得性も倍になるというような単純なものではないのですから。したがって、この資料のような条件や項目を追加して書かせただけで内実が生まれてくるとは思えないので、もう少し、そこも今後検討できる余地があればしていただきたいなと思います。
【吉岡座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。浦部委員、どうぞ。
【浦部委員】  職業実践専門課程そのものというよりは、表示や情報提供という側面からですけれども、各専門学校のホームページ等の載せ方がかなりまちまちであると思っています。ですので、高校生、保護者がホームページを当たった際に、簡単にこちらの情報に行き着く専門学校さんのホームページと、そうでなくて、なかなか探せなくて、何なら載っていない学校もあったりするわけです。探せば、かなり込み入ったところにあったりもするんですけれども、簡単に見つかって、しっかり情報が提供できる、そういう共有といったところも踏まえていただけるといいかなと思います。
 以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございます。質を保証するときに、実は一番重要なのは情報公表で、それがみんなに分かるようにするということだと思うんですが、これがなかなか難しい。比較可能といった場合、数値化するといっても基準をどうするのかという、すぐ、そちらのほうの議論になってしまって非常に難しいんですけれども、非常に重要なことですので、今後の議論の中で考えていく必要があるだろうと思います。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、次の議題、専修学校設置基準の改正について、事務局の説明をお願いいたします。
【中安専修学校教育振興室長】  お時間をいただきまして、ありがとうございます。
 専修学校設置基準の一部を改正する省令の施行について(通知)、資料7を御覧いただければと思います。こちらの省令については、主に、大学の設置基準の改正を受けて、基幹教員を導入する。それから、インターネットを通じて通信制の学科における授業が行えるということを明確化する。それから、情報関係の学科について、工業関係の分野に属する学科として、設置基準の案分適用を認めながら設置ができるようにする。そういった内容のものになっておりまして、前回までの会議でお示しをさせていただいて、御意見をいただいたものに関する施行通知ということになってございます。
 そのときに様々に御意見をいただきまして、分かりにくい部分を簡単に書くとか、少し細かい条件を書くということで、2ページの第2の留意事項から、幾つか書かせていただいたということになっています。例えば、ここはいろいろと、先生方に御意見をいただいたこと、あるいは現場と意見交換をしながら詰めたようなことが書いてありますけれども、まさにこの場で出た話というところで申し上げますと、4ページの(4)で、これは寺田先生だったと思いますが、教員についてもしっかりと、今いる人でそのまま看板のかけ替えのようなことではないはずだとの御意見を賜りました。情報関係の学科に配置される教員について、学科の教育に関する専門的な知識、技術、技能を有することが必要であるということを、ここでは書かせていただいていまして、もとからそういう専門性を持っていらっしゃる先生であれば、最終的に看板のかけ替えのようなこともあり得るとは思いますけれども、基本的に教員の方の知識、技能について確保いただくようなことについて書いております。
 そのほかのことについても、ここでいろいろと明確化させていただいて、これは2月末でございますけれども、通知を発出させていただいたということについて御報告を申し上げます。
 以上です。
【吉岡座長】  ありがとうございます。
 これについて、何か気がついたこと等があればと思いますけれども、よろしいですね。このようなものを発出したということでございます。
 以上で、予定している議題は終わるということになります。その他ということで、何かここで御発言があればと思いますけれども、いかがでしょうか。吉本委員、どうぞ。まだ時間があります。
【吉本委員】  今後のアジェンダのことですけれども、前ほど、学位・資格枠組みの話でも出てきましたが、専門学校1年制卒業など称号がないところの扱いを考えてほしいと思います。NIAD-NICでの全ての高等教育プログラムの学位・資格の表示をしているホームページでは、「付与資格なし」と掲載されていました。付与資格なしというものを、どういうふうに相互に実質的な差異がないものとして認めてもらえるのかというのは疑問です。あり得ないことだと思うんです。だから、私が言いたいのは、ここにある今後のアジェンダですけれども、1年制専門学校卒業者への称号の認定というのは、よその関係部署にあまり差し障りなくできるのではないかと思っています。こういうことの延長に、やっぱり、こういうことをつくるためには、専門学校専門課程は、1年間につき31単位以上というように、800時間をさらっと変えて、31単位以上とすることで、同時に、ここの称号を付与すると。こういう方向を、アジェンダには載っているので、もう一度、ぜひ検討していただきたいなとお願いをしておくところです。
【吉岡座長】  それでは、事務局、受け止めていただいて、今後の議論の中で考えていきたいと思います。
 よろしいでしょうか。前田委員、どうぞ。
【前田委員】  先ほどの資格枠組みとの関連で、日本の場合は、どちらかというと設置基準に合致しているかどうかで考えていて、学位や資格のレベルから考えられない傾向にあると思うんです。例えば、MBAだったら、専門職大学院と一般の大学院と両方あるわけです。この辺りを資格枠組みでどう位置づいていくのかとか、専門職学士と高度専門士はどのように違って表現されていくのか。こういうことがきちんとできたとして、学校がその枠組みに即してカリキュラムを作れるのか、そのあたりのフォローアップを考えていかないといけないと思います。資格枠組みをつくるのは、今日の野田委員の御発表で非常に分かりやすくてよかったんですけれども、一体これは中身をどう定義づけて、それができて、また、絵に描いた餅にならないように運営していくのはどうやっていくのかということが、非常に気になって伺っておりました。その辺は文科省のほうでお考えいただくのかよく分からないんですけれども、そのことをお伝えさせていただきたいと思いました。
【吉岡座長】  ありがとうございます。
 今日の議論はどれも、実は非常に重要な本質的な議論だったと思いますし、先ほど少し言ったことですけれども、日本は、学力をどういうふうにはかるかということについては近代以来ずっと考えてきたんですが、職業とか技能というものをどういうふうに扱っていいのかということについては、実は、あまりちゃんとしてこなかったのかなと、今日の議論に参加しながら考えていたところです。
 この会議は割といろいろなことが議論できる場所でもありますので、ぜひ、これからの議論を充実させていきたいと思います。
 事務局から何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
【中安専修学校教育振興室長】  次回会議は6月をめどに開催をお願いできればと思ってございます。
【吉岡座長】  では、6月をめどにということで、日程調整は事務局から皆様のところにいくと思います。
 それでは、本日の会議は、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――

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