柏木委員提出資料

進まない我が国の男女共同参画を進めるために

三重県男女共同参画センター 柏木はるみ

 進まない男女間格差をなくし、性別に関わらず個々の能力や個性を活かして「誰もが生きやすい、より豊かな社会」を、これが男女共同参画社会の必要性の側面のひとつです。
 2つ目は現在の社会生活を維持・継続させるために、変化した日本の社会構造に合わせて固定的性別役割意識など「既成概念に捉われない、新しい仕組みづくり」に取り組む必要性の側面です。
 2011年3月に発災した東日本大震災では、平時から男女共同参画の重要性が改めて言及されたばかりです。我が国は災害以外でも様々な困難な課題や転換点に直面しています。
 21世紀我が国がそれらの課題に総力戦で立ち向かい更なる平和と繁栄を享受し発展させていくためには、「男女共同参画社会」の実現が真に緊要な政策課題として標榜されるようになってきました。
 男女共同参画は、経済・財政政策等と比べて国民全体の注目度が高くはありませんが、いずれの政策課題の根底にも男女共同参画の横串が通っていることが不可欠です。
 国立女性教育会館では35年の長きに亘って女性教育、男女共同参画に関わる事業を実施してきました。会館が果たしてきた役割と成果の対する評価は在り方検討会の委員が共有したところです。国立女性教育会館の今後の役割としては『国の第3次男女共同参画計画策定に当たっての基本的考え方』に則って実効性のある成果を出すため新たな役割を担う覚悟が求められています。
 男女共同参画社会を実現させていくことは、国民全員に自らの生活スタイルを考え直して、生活スタイルを変えてもらえなければいけない困難な問題です。

 「男女共同参画」は「人口の半分の男性の問題」であることは明らかです。しかし、男性にとっては、「仕事をしているのに家事も育児も介護もしなければいけないの?」と不満になりますし、女性にとっても「家事、育児、介護の殆どを自分がしているのに賃金労働もしなければならないの?」と不安になります。全国津々浦々のあらゆる分野に男女共同参画の意識を持った人材が育っているとはいえません。過渡期の今こそ、国と国立女性教育会館が一体となって3次男女共同参画計画を推進しなければならない時です。

《提案1》

名称:「国立女性教育会館」を『国立男女共同参画学習センター』等役割にふさわしい名称変更して、嵐山の施設を国の男女共同参画推進の拠点として維持、機能を強化する。

■目的

  1. 政治の目的は国民自らが自己の目的、幸せを選べる権利を保障することです。男女共同参画の目的は、『性別に関わらず人間が特有の能力として持っている「善く生きたいという自己実現の欲求」と人間としての尊厳を最大限尊重することです。よき市民を育成し、よき人格を涵養し、人間が本来持っている人間特有の能力と個性を発揮する権利を保障することで自治に参画できる人材を育成しようとするものです。『国立男女共同参画学習センター(仮称)』は、グローバルな成熟社会を牽引する能力を発揮できる男女のエンパワーメント(意識覚醒)、男女の対等な関係(ジェンダーバイアス、ジェンダー格差の解消のための学習と研修)と個の自立を学び、学びを活動に移していける人材排出の国の拠点施設とする。

■国の「第3次男女共同参画基本計画」(平成22年度12月17日閣議決定)

「第3部 推進体制」より

 男女共同参画社会の形成には、第2部の各重点分野において述べた施策を総合的に展開するとともに、あらゆる施策に男女共同参画の視点を反映することが必要である。また、国の施策のみならず、地方公共団体、民間団体等が連携して国民全体で取組を推進していくことが重要である。さらに、第3次基本計画、女子差別撤廃委員会の最終見解の実施状況を監視し、その後の取組に反映していくことが不可欠である。このため、国内本部機構(ナショナル・マシーナリー)を強化するとともに、地方公共団体、民間団体等と有機的に連携しながら、男女共同参画社会の実現に向けて取り組むよう推進体制の強化を図る。

ジェンダー・ギャップ指数(男女平等指数)2011発表、日本は98位

  •  法制度は整いつつありますが、国内本部機構と省庁、地方公共団体、あらゆる分野の組織、団体とが有機的に繫がっているとは言いがたい現状です。地方公共団体、男女共同参画センター等地域の中での推進拠点においてその機能を発揮する人材育成、推進のための研修、学習、プログラムが提供できているとは言いがたいのが現状です。

     もし、我が国の男女共同参画推進のための拠点である国立女性教育会館がその機能を失った場合、地方公共団体、民間団体、男女共同参画センター等にとっては心理的なダメージは計り知れず、男女共同参画推進の遅滞が懸念されます。推進拠点が拠点として機能を十分に発揮するためには国と国立女性教育会館が対等なパートナーとして連携してこそ機能を十分発揮することが重要です。

■  国の拠点センターとして現代の課題、ニーズに対応できる機能

  1.  「国立教育会館法」の改正
  2.  宿泊棟の業務委託(活性化と自己財源の確保、人員を事業部門に集中させる)
  3. 事業部門の強化(新たな連携先との事業構築)
  4. 国内外のアーカイブ、調査研究機能の充実
  5. 国際的な役割の強化(人材交流、調査研究、ネットワークの構築)
  6. 企業はじめあらゆるステークホルダーとの連携強化
  7. 宿泊等を最大限活用した事業企画
  8. 国及び地方自治体への政策提言
  9. 男女共同参画推進のためのプログラム開発と提供
  10. 講師、専門家等の派遣による地域支援

《提案2》

嵐山の施設は残し、旧「女性と仕事の未来館」に嵐山のサテライト機能を持たせ推進を強化する。

  • 国の「第3次男女共同参画基本計画」(平成22年度12月17日閣議決定)

*  「第3部 推進体制」より

男女共同参画社会の形成には、第2部の各重点分野において述べた施策を総合的に展開するとともに、あらゆる施策に男女共同参画の視点を反映することが必要である。また、国の施策のみならず、地方公共団体、民間団体等が連携して国民全体で取組を推進していくことが重要である。

■地下鉄出口から徒歩1分の好立地に来館」(東京・港区 /2011年3月閉館)の機能の吸収し、「貧困」「働く」「生きる」等労働分野の課題解決を特化建つ「女性と仕事の未させ、相乗効果を図る。

お問合せ先

生涯学習政策局男女共同参画学習課男女共同参画推進係

(生涯学習政策局男女共同参画学習課男女共同参画推進係)