国立女性教育会館の在り方に関する検討会(第6回) 議事録

1.日時

平成24年7月18日(水曜日)  10時30分~12時30分

2.場所

文部科学省3F2特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 報告書とりまとめに向けた審議
  2. その他

4.出席者

委員

赤井伸郎委員、浦野光人委員、大日向雅美委員、柿沼トミ子委員、柏木はるみ委員、堂本暁子委員、坂東眞理子委員、樋口恵子委員、藤原和博委員、山田昌弘委員

文部科学省

合田生涯学習政策局長、杉野生涯学習総括官、笹井男女共同参画学習課長、湯澤女性政策調整官

オブザーバー

内海房子(国立女性教育会館理事長)、山根徹夫(国立女性教育会館理事)

5.議事録

【大日向座長】  皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから国立女性教育会館の在り方に関する検討会(第6回)を開催いたします。
 本日は、お暑い中、朝早くからお集まりくださいまして、本当にありがとうございます。
 はじめに、本日の配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。
【湯澤女性政策調整官】  それでは、資料の確認をさせていただきます。
 本日は資料を2種類御用意させていただいております。まず資料1が、こちらの国立女性教育会館の在り方に関する検討会報告書の素案でございます。資料2が、今後の日程についてでございます。
 以上でございます。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 前回の終わりに、本日、第6回目の検討会では、今までの皆様の御意見をまとめてペーパーにしたものを、事務局と御相談の上、準備をいたしますので、それをもとに御審議いただきたいと申し上げました。今回、検討会報告書の素案という形で御用意をさせていただきましたので、本日はこれについて御議論をお願いしたいと思います。
 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。
【湯澤女性政策調整官】  それでは、資料1について御説明させていただきます。こちらは、本検討会でおまとめいただきます報告書の素案でございます。
 まず資料1の表紙をおめくりいただきまして、1ページ目を御覧ください。こちらは、まず1としまして、ヌエックの成果と情勢の変化ということで、ヌエックの開設の経緯、ヌエックのこれまで上げてきた成果、それから、ヌエックを巡る情勢の変化についてまとめております。
 次に、3ページ目を御覧ください。こちらは、2つ目としまして、男女共同参画の現状と課題ということでまとめております。まず男女共同参画の意義、それから、男女共同参画の現状ということで、我が国の男女共同参画の現状がこちらでまとめられております。例えば、女性の社会参画が進んではきているけれども、進学率の男女格差が残っていたり、結婚・出産・子育て期に就業を中断する女性が多いなど、多くの課題が解決されていないなどが挙げられるかと思います。また、政策・意思決定過程への女性の参画も、国際的に見てもまだまだ低い状況であるというような、こういった我が国の男女共同参画の現状についてまとめさせていただいております。
 こういった現状を踏まえまして、(3)として、戦略的推進機関の確立ということで挙げております。こういった日本の男女共同参画の現状、厳しい現状があるわけですが、こういったことを打開するためには、制度、慣行、環境、意識など様々なレベルでの改革が必要であるけれども、男女共同参画会議におきましては、その男女共同参画が進まない理由の主なものとして3つ挙げておりまして、まず1つ目が、固定的性別役割分担意識がまだ根強いということと、2つ目としまして、男女共同参画が働く女性の問題と認識され、男性を含む多くの国民の共通認識となっていないこと、3つ目としまして、社会の各主体のリーダーの認識が不足しているということが挙げられております。こういったことを踏まえますと、男女共同参画を今後進めていくためには、「意識の変革」こそ最大の課題であるということを示唆しております。
 しかしながら、「意識の変革」ということは、国民自身の主体的な「学び」や「気づき」を十分に尊重しつつ、対象者の違いに応じた戦略的な対応を必要とするものでございます。そういったことからすると、「広報や啓発」といったものにとどまらず、より踏み込んだ「教育・学習支援」の対応が不可欠でありますが、国としまして、そういった効果的な政策ツールを持ち合わせていないのが現状ということでございます。
 そのため、国としては、こういった「意識の変革」を巡る現状と課題を正確に認識して、「意識の変革」への対策を施策の中心に据えるとともに、戦略的なアプローチを可能とする政策ツールとして、男女共同参画に関する「教育・学習支援」のための「戦略的推進機関」を確立する方向で、施策と推進体制を見直すべきということでまとめております。
 続きまして、5ページ目を御覧ください。先ほど御説明させていただきました「戦略的推進機関」について、こちら、3番として挙げさせていただいております。こちら、「戦略的推進機関」を男女共同参画を進めるに当たっての機関として置くわけですけれども、こういったことが、ヌエックが果たしてその適格性があるかどうか検証する必要があるだろうということで、こちらで挙げさせていただいております。
 まず検証する中で、ヌエックの課題と強みということで分けて整理をしておりますが、まずヌエックの課題としましては、これまでのこの会議の議論にもありましたとおり、法律の目的が「女性教育」に限定されているため、男女共同参画の実現に必要な業務や、特に男性に対する働きかけを本格的に実施することが困難であったということと、それから、所有施設における研修中心の運営のために、なかなか関係者へのアプローチが消極的になりがちであったということと、これから戦略的な教育・学習支援を行う上で不可欠な調査・研究やプログラム開発のための推進体制が弱く、その能力に欠けている、それから、利用者について、男性が38%、50歳以上が約半数であり、3回以上の利用者が9割、関東地域の利用者が9割ということで、国立ということではありますが、著しい利用者の偏りがあるということで、国民の幅広い層への対応ができていないなどの課題があります。それから、これも課題の一つとして挙げておりますけれども、宿泊施設などの「ハード」の維持管理に固定的コストを要する一方で、収入拡大がなかなか進まず、結果的に「ハード」が「ソフト」を圧迫しているというような課題がヌエックにはございます。
 一方で、強みというものもございまして、強みというものは何だということでありますと、男女共同参画を進める上でも引き続き不可欠な「女性教育」の分野では、日本で最も豊富なノウハウを蓄積しているということと、それから、地域の男女センターとか民間団体、女性団体等のネットワークが構築されておりまして、男女共同参画の全国展開を図る上で活用が期待できるということと、大学の教育研究への支援、客員研究員制度などの調査・研究・プログラム開発機能の強化を図る上で効果が期待される大学との連携・ネットワークの実績があること、それから、日本において女性教育の中核的機関としまして、国際的なネットワークを持っておりますし、国際的に相当程度の知名度・信用力を獲得しております。それから、宿泊施設や会議場、研修室・スポーツ・文化施設など、運営方法の見直しや活用次第で、これから自己収入を増加できる手段を既にもう保有している。こういったことがヌエックの強みではなかろうかというふうにまとめております。
 こういったことを踏まえた上で、先ほど御説明しましたとおり、今後、男女共同参画を効果的に進めていくためには、男女共同参画に関する教育・学習支援のための「戦略的推進機関」が必要であるということではあるんですけれども、こういったこれまでの強みとか課題を踏まえますと、ヌエックは、これまで培ってきた貴重なネットワークですとか、そういったことが今後とも効果的・効率的に男女共同参画を進めていくためには有効ではないかということで、こういったヌエックが持つ貴重なネットワークなどを生かしながら、今後、ヌエックが男女共同参画の推進に基幹的役割を果たせるように、今までどおりではなくて、ゼロベースで一旦ヌエックの在り方・機能を見直しまして、そういった上で、教育・学習支援を通じての男女共同参画社会の実現を図る国の「戦略的推進機関」としての新たなというか、これはまだ名称も決まっておりませんが、こういった機関を創設する方向で検討することが適当ではないかということでまとめております。
 それから、次の7ページを御覧ください。先ほど申し上げました男女共同参画を進める上での「戦略的推進機関」としての、まだ名前はついておりませんが、その機関がどういった存り方であるべきかということで、こちらの4番でまとめております。
 まず中心となる機能・取り組みでございますが、まずこれは、対象者に応じた戦略的な教育・学習支援と、それから、調査・研究・プログラム開発、情報・資料の収集・活用が中心となるのではないかというふうにまとめております。
 まず対象者に応じた戦略的な教育・学習支援についてですが、こちらについては、一般の社会人(特に男性)を対象に、職員研修とか、各種研修機関等と協力しまして、女性登用の意義、成功事例やワーク・ライフ・バランスの重要性を学習するための研修プログラムを提供したり、講師の紹介・派遣等を行ったりするということと、それから、企業や官公庁、大学等の管理職や人事担当者等を対象に、各機関の統括団体等と協力して、男女共同参画の意義やメリット等を国内外の成功事例を含めて学習できる研修を実施するということと、それから、生徒・学生を対象に、各学校や学校団体と協力して、教育活動の一環して、女性の多様なキャリア形成の可能性や雇用・社会保障等の社会の仕組みを学習する教育プログラムを提供したり、講師の紹介・派遣を行うといったこととか、地域の男女センターの職員を対象にしまして、地域社会における身近な男女共同参画の取り組みとか、高齢者への働きかけを進めるための関係施策や学習プログラム開発等に関する研修などといったことが挙げられるかと思います。
 それから、続きまして、調査・研究・学習プログラム開発ですが、こちらについても、例えば、国の内外の様々な分野において男女共同参画の先進事例とか成功事例などを調査・分析しまして、教育・学習支援の効果を上げるために必要な調査・研究・学習プログラム開発に重点的に取り組むということが挙げられるかと思います。
 3番目としまして、情報・資料の収集・活用ということで、これまでの調査・研究・プログラム開発等のために必要となる各種情報・資料を重点的に収集しておりましたけれども、引き続きまして、収集しました情報や資料、調査・研究等で得られた知見を活用しまして、必要に応じ国や地方自治体等への政策提言を行うといったことが挙げられるのではないかということにまとめております。
 次ですが、8ページ目になりますけれども、ここで機能・在り方の見直しの方針としまして、まず5点ほど挙げさせていただいております。
 まず1つ目が、「女性教育から、男女共同参画の教育・学習支援へ」ということで、これまで女性の地位向上のための女性教育ということをやってきておりましたが、今後は「男女共同参画社会の実現」ということを目指しまして教育・学習支援を担う機関に発展させるということと、2つ目としまして、「専ら女性から、男性もターゲットに」ということで、先ほどの1番とかぶるところもございますけれども、これまで女性だけを主に対象としまして教育・学習支援を行ってきたんですけれども、男女共同参画の実現ということで、男性についてもターゲットとして、それから、男性の中でも管理職等を重点対象とするなどの、対象者を絞り込んではどうかということで挙げております。
 それから、3番目としまして、「自前の研修から、研修プログラムの提供へ」ということで、これまでは所有施設での自前の研修が中心でございましたけれども、今後は開発した研修プログラム等を各機関に提供しまして、自主的な教育・研修活動を支援する機関に転換するということです。
 それから、4番目としまして、「“唯一のNational Center”の視点に“Center of Centers”の視点を加えて」ということで、今後は多様な機関とのネットワークを活用し、「ハブ機能」を重視するということを挙げさせていただいております。
 最後、5番目としまして、「ハードを分離し、ソフト中心の機関へ」ということで、宿泊施設等の「ハード」の管理運営を全面的に民間に分離・委託しまして、効率的運営とサービス向上を図りつつ、資源を「ソフト」に集中できる構造に転換するという、この5つの見直しの方針を挙げさせていただいております。
 続きまして、(3)としまして、業務・組織・運営の見直しの方向ということですが、こちらについて方向性を挙げさせていただいております。
 まず、これまでの主催研修につきましては、地方自治体や男女センターの職員、各機関の管理職等を対象とするものとか、先導的・モデル的なもの等の中から精選するということと、それから、交流事業につきましては、今までのヌエック主導の運営から、施設等を活用しつつ、女性リーダーのグループとか民間団体等の主導による運営の方式に移行させるということと、それから、女性教育にとどまらず男女共同参画推進の視点から、諸外国の関係機関等との国際的なネットワークを構築し、「ハブ機能」を発揮するということと、共同研究の実施とか学生指導への協力など、大学等との間に有機的な連携を強化する。
 それから、客員研究員を大幅に拡充しまして、研究職と客員研究員による戦略的な調査・研究・学習プログラム開発を担う体制・組織を確立する。
 それから、外部研究資金の活用を図るとともに、寄附金拡大や学習プログラムの提供等による自己収入確保の仕組みを導入する。
 それから、資産の有効活用とサービス向上のために、本来目的利用の利便性にも配慮しながら、施設の管理運営を全面的に民間に分離・委託するということ、最後に、9ページになりますけれども、所在地につきましては、今所蔵する膨大な資料の管理といったものがございますので、移転費用の問題等を総合的に考慮しまして、当面は現在地にて引き続き運営をするということで、見直しの方向性としてまとめております。
 最後、見直しの進め方ですけれども、今後、本報告書を踏まえまして、施設部分と委託方法の専門的な検討など移行準備のために検討を進めることしまして、必要な法改正についても行いまして、移行準備が整い次第、新しい法人としての運営を開始するということでまとめております。
 そういったことで、新法人の中期目標期間終了後に、改革の実績を検証・評価した上で、必要であれば、また更なる抜本的な見直しを検討することが妥当ということで、全体をまとめております。
 資料1につきましては、以上でございます。
【大日向座長】  御説明は以上でよろしいですか。
【湯澤女性政策調整官】  はい。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 報告書素案につきましては、ただいま事務局から御説明いただいたとおりでございます。これから12時半まで約90分、皆様にこの報告書素案について、いろいろ御意見を頂きたいと思います。
 はじめに、本日の進め方についてお諮りしたいと思います。この報告書素案、皆様のもとに届いたのが昨日の夕方だったと思います。作成と調整に大変時間がかかりまして、十分お目通しいただく時間をお持ちいただけなかったことを、まずおわびしたいと思います。それもありまして、ただいま事務局から丁寧に御説明を頂いたわけでございますが、できれば1ポツから4ポツまで、一つ一つ区切って御意見をいただければと思いますが、その前に、そもそも全体の流れ、構成に関して、そういう形で御議論いただくということでよろしいかということも、是非御了解いただいた上で進めていきたいと思います。
 ただいまの事務局の御説明を繰り返すようで恐縮ですが、この報告書素案作成に当たって、これまで委員の皆様から頂いた御議論を整理すると、以下のような柱になるかと思います。
 まず男女共同参画推進の意義は、昨今の日本の現状を見ても、非常に大きい。この点に関しては等しく委員の皆様共通の思いでいらしたと思います。しかしながら、国際的にも、日本の現状は非常に遅れている。とりわけ意識改革の必要性は急務だということだったと思います。それもあって、この男女共同参画を強力に推進していくための戦略的な推進機関が、今、是非とも必要だということです。
 一方、ヌエックは、それを果たす上で適格性がどこまであるのか。ヌエックが35年の間にわたって果たしてきた実績を精査した上で、この「戦略的推進機関」たり得るか、その強み、課題について書いてございます。当然、そこには、ヌエックは大変な努力をして払ってきたんですが、法律上の制約があり、目的上、女子教育に特化していたという、その制約も改定するということを前提としているということも、改めて申し上げておきたいと思います。
 そうしたことを踏まえた上で、ヌエックの機能、在り方をゼロベースで見直して、新たなヌエックの在り方を提言する。
 こういう構成になっている柱立てでございますが、いかがでございましょうか。また後でいろいろ構成を変えるというような御意見もあろうかと思いますが、大体この構成を御了解いただいた上で、一つ一つ文章の中身に入りながら、御意見を頂いてもよろしゅうございますか。
 御異義はないと思ってよろしいですか。ありがとうございます。それでは、この構成を現段階では前提とした上で、一つ一つ細かく御意見をいただければと思います。
 まず最初は、1ポツの、ヌエックの成果と情勢の変化、1ページから2ページにわたっております。これにつきまして、加筆、修正等、御意見をいただければ幸いです。どなたからでも結構です。よろしくお願いいたします。
【堂本委員】  すみません、少し手を挙げるのが遅かったんですけれども、私は、今座長のおっしゃった、今ずっと国としての必要とか戦略的とか、こういうことが段取りで書かれているんですけれども、私は、構成自体が、最後の7ページの4のところ、そこが頭に来るべきだろうと思います。ただ、ここに書いてあることが少し細か過ぎるので、その中でも本当に必要なことが何なのかを絞り込むことと、それから、6ページというか、5ページからになると思いますが、5ページの最後のところにある役割、ヌエックが持つネットワーク等を生かしつつ、ヌエックが来るべき日本社会に求められる男女共同参画推進の基幹的役割を果たすように、ゼロベースで機能・在り方を見直すという、ここのところがとても大事なので、ここは最後のところに入れなければいけませんが、構成としては、私は、ここまでずっと説明して、最後にあるのではなくて、頭に出てきているいろいろなものと、最後のところが重複しているところもありますので、最初に言うべきことは、6ページのところに書かれている日本国としては、非常に男女共同参画が必要であるということと、それから、戦略的な推進機関としてヌエックが果たすべき役割は何なのか、大胆に改革はどういうふうに行うのか、そして、その内容をたくさん書くのではなくて、例えば、大学との連携を徹底的に強化するとか、ITを使った21世紀型の、国際的に通用するものとしてどうなのかというような、何本かの柱を今までに検討してきた中で、それから、特に企業の方たちが、浦野委員のおっしゃっていたようなキャリアアップの問題、多様性の問題、そういったものを目ぼしいものをお書きいただいた上で、この運営、その後の戦略的な推進機関の確立というところが頭に出る方が、ずっと印象が強いと思っておりますので、構成の問題として、それを申し上げてから始めたいと思います。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 大変貴重な御指摘を頂いたと思います。確かに、いろんな論文等は、最初にアブストラクト、要約的なことが書かれておりまして、読むときに、この報告書がそもそも何を目的として、何を改革し、どうしようとしているのかということが半ページでも書かれていれば、その後読み込みやすいという御指摘、そのとおりかと私は拝聴いたしましたが、ほかの委員の方、いかがでいらっしゃいましょうか。
 坂東委員、お願いいたします。
【坂東委員】  私も少し発言が遅れましたけれども、ざっと拝見した中で、一番のポイントは、3と4だと思うんですけれども、中でも5ページの3の(2)「○○○○○○」の創設の部分が、3の中のヌエックの適格性の検証の中に位置づけられているというのが少し違和感がありますので、むしろ「戦略的推進機関」の必要性というところをもう少し書き込むべきではないか。今、そうした機構が、私はネーミングとして機構がいいのではないかなと思うんですけれども、そうした戦略的機関は必要であるということが3に来るべきである。そして、その中で、(1)がヌエックの適格性の検証ということが出てくるのではないかなというふうに、少し位置づけをお考えいただければと思います。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 では、樋口委員、お願いいたします。
【樋口委員】  お二人がおっしゃったのと共通していると思いますけど、やはりこういう文書は、何を言わんとしているかということを一番先に宣言することが必要だと思います。それに、この問題は確かに仕分けから出発したことですけれど、今の情勢を踏まえれば、そうしたマイナスからの出発ではなくて、むしろ積極的な、NWECしかできないことがたくさんあるのだからという攻めの姿勢、クリエートする、そんな感じでいってほしいと思います。最初の鑑(かがみ)文のようなところで、「はじめに」で、これはこういうことだと、今の情勢を踏まえてというのを入れていただいた方がよいと私も思います。
 それから、私は拝見したのがここへ来てからです。でも、大変詳しい御説明を頂いて、大体理解できましたし、大きな問題というところは余りないのです。ただ、やはり鑑(かがみ)文というか、「はじめに」がないせいか最後に結論がどこへ行き着くのだろうかというところを気にしながら読んでおりました。それで、読んだ後の読後感は、積極的な意味は随分書かれてはいるものの、一種の工程表に似たものをつくらないと、施設等のハードの切離しとか民営化ということの方が先へ進んでしまって、戦略的にこの「仮称ヌエック」を新しく打ち立てるという方の方向性というものが、少し具体性を欠くように感じました。どうかするとハードの部分だけはつぶれて、肝心の男女共同参画への機能の方がうやむやになったということに絶対ならないように、しっかりした報告書にしていただきたいということでございます。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 ほかにいかがですか。
 柿沼委員、お願いいたします。
【柿沼委員】  私もそう思いました。例えば、忙しい方がそのペーパー1枚を見ただけで理解できるような、新しい何かを創設するという、戦略的な機関の確立をするんだというようなことがぱっとアピールできるような、前文というか、そのようなものがあった方がいいのかなと思いました。
【大日向座長】  前文ないし鑑(かがみ)文を冒頭につけるべきだという御意見が四人の方から出ていますが。
 どうぞ、堂本委員。
【堂本委員】  私は前文とか鑑(かがみ)文ではなくて、結論の集約したものを出すべきだということです。そこに結論を、一番大事なことを書いておく。そのあとに、「はじめに」とか鑑(かがみ)文――論文と報告書って本質的に違うと思います。これは政策を提言するものですから、その政策として、ここの検討会の結論では、こういう結論が出たということを頭にしっかり、1枚でわかるように簡潔に書くことが大事だというふうな考えでございます。
【大日向座長】  前文なり結論なり、多少ニュアンスは違うかと思いますが、手に取った方が、まず私たちが何を議論し、何を結論としたかということが1枚でわかるようなものを最初にということでございますね。
 堂本先生、恐縮ですが、先ほどどこの部分を最初にとおっしゃったのか、もう一回繰り返していただいてよろしゅうございますか。
【堂本委員】  私は、これで申しますと、最後のところ、少し細か過ぎるので、これは省略する必要があると思うのですけれども、7ページの、中心となる機能・取り組みということがございますね。ここのところに、前の方の戦略的な問題と、それから、国家としての必要性として、それで戦略的な位置づけ、それは書き足さなければいけないのですが、それは前の6ページにございます、基幹的役割を果たせるよう、ゼロベースで機能・在り方を見直すこととし、これによって、教育・学習支援を通じた男女共同参画社会の実現を図る国の戦略的推進――機関なのか機構なのか――として創設する方向で検討することが適当という、ここの部分は、前のネットワークのところは切らなければなりませんが、このことを頭にうたって、それからあとで、4のところの、在り方というところの中の一番大事なポイント、ここは大きいものと小さいものと両方入っているのですけれども、男性というようなことは、もう当たり前のことだろうと思います。例えば、企業、官公庁、大学等の管理職や人事担当者等を対象にという、こういうことは新しいことですね。そういったような、これはどこが大事かということの幾つかの柱。
 そして、次に、8ページの方の、業務・組織・運営の見直し、ここのところで、樋口さんも今おっしゃいましたけれども、とても怖いのが、ハードの方のことだけで終わることがとても怖いと思います。したがって、ソフトに特化するという言い方はいいのですけれども、しかし、その場合に、ハードの方を完全に別の民間組織でやった場合に、使いにくさ――この前の会のときに申し上げましたけど――をもたらしてしまうと困るので、そこのところをどう上手に書き込むかという問題。
 それから、もう一つは、女性の団体というのは、ここではなかったでしょうか。女性団体が運用、ここのことは、前の前の理事長さんや前の理事長さん、いろいろお話を伺っている中で、一度試みたけれど、大変いろいろ問題が起こったということを伺っています。したがって、ここの書き方については、相当注意を必要とすると思っております。
 以上でございます。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 6ページから8ページのところを要約ないし精査して、冒頭につけるという御意見でございましたが、そういうこともあって、一つ一つ、今度は文言を細かく見ていただくということをしていきたいと思います。
 皆様、冒頭に結論ないし方向性を明確に書くということでは、御了解いただいたということでよろしゅうございますね。
 では、そういうことを前提とした上で、一つ一つ精査していきたいと思います。ここの部分を冒頭に移そうということになりますと、繰り返しになっても、同じ文言が別のところ入っていても構わないわけだと思います。ここから抜き出して前文につけるという形で御議論いただければと思いますので。それでは、ただいまからは一つ一つの内容について御意見いただきたいと思います。とりわけ6ページから以降を重点的にお時間をちょうだいしたいと思いますので、そのようなお心づもりで御議論いただければ幸いでございます。
 それでは、一応流れといたしましては、ヌエックの成果と情勢の変化、これもきちんとどこかで書いておく必要があると思いますが、この1ページ、2ページの記述に関して、今、修正、加筆が必要だという御意見があればお願いしたいと思います。
 では、山田委員、お願いいたします。
【山田委員】  だいたいこれで結構だと思うんですけれども、ヌエックを巡る情勢の変化の中で、是非グローバル化というのは1つ入れていただきたい。ローカルも含めてですけれども、やはりここ20年の大きな変化というのは、社会学ではグローカルとも言いますけれども、グローバルな視点で見なくてはいけなくなっているということが1つと、あと、逆に、それだとローカルは置いてきぼりになってしまいますので、地方分権などもあるように、地域社会の重視みたいなものもありますので、是非是非、グローバル化だけでもいいですし、グローカルを含めまして、グローバルかつローカルな視点の重視があったというのを入れると、あとのつながり、あとでもグローバルの記載がありますので、つながりで非常にいいと思いますので、入れていただければと思います。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 ほかにいかがですか。
 ここの部分はこのくらいでよろしゅうございますか。また後でお気づきのことがありましたら、どうぞおっしゃってください。
 それでは、次に3ページから4ページ、2ポツの、男女共同参画の現状と課題について。
 柿沼委員、お願いいたします。
【柿沼委員】  3ページの、男女共同参画の現状で、下から3行目に、「これらの状況を見る限り、これまでの取り組みは『失敗ではなかったか』との評価を払拭し得ない」という文言ですけど、「失敗ではなかったか」というのは少し言い過ぎではと感じます。徹底が足りないとか、不十分だとかということは言えると思いますが、全く全否定的な失敗という文言は、少し直した方がいいのではないかと思います。
【坂東委員】  十分ではなかったということですね。
【柿沼委員】  ええ、十分ではなかったとか、そういうふうな。
【樋口委員】  でも、多少変わりそうだと。
【柿沼委員】  ええ。多少なりと成果は上がっていますので。
【大日向座長】  それでは、ここのところは、不十分であったとか、必ずしも十分ではなかったとか。
【柿沼委員】  はい。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 藤原委員、お願いいたします。
【藤原委員】  ここから6ページぐらいに、「戦略的」という言葉が十数回出てくるんですね。先ほどから、事務局の説明でも、聞いていても非常に気になったのですが、だれに聞けばいいのかわからないのですけれども、「戦略的」という言葉をどのような意味で使っていらっしゃるんでしょうか。戦略とは何かということについて、わかって使っているのでしょうか。この意味について、だれに聞いたらいいのですか。これは事務局ですか。
【大日向座長】  杉野総括官、お願いいたします。
【杉野生涯学習総括官】  もともとは、戦略的にやるべきだという、ここの検討会での1つキーワードとして、これまでも何人かの方がおっしゃったということを踏まえて、「戦略的」という言葉を使わせていただいたということでありますけれども、実際にこの文章、それから、その中で感じましたのは、端的に言えば、ターゲットを明確にして、そのターゲットに対して最も効果的な対応をする、そういうことであろうかと思いまして、そのつもりで書かせていただいたということでございます。
【藤原委員】  であれば、私のとらえ方にも近いのですけど、古川国家戦略大臣もいらっしゃいますけれども、私、この政権は、「戦略的」という言葉を使って予算の増額を図るということを、幾つかの局面で目撃しているわけです。例えば、この間、雇用戦略対話というのがありまして、厚労省を中心に、文科省と経産省と内閣府、横断でやったはずですけれども、若者の雇用の拡大について、雇用戦略対話をやるという前提だったのに、全く戦略的な対話は行われておりませんでした。ほとんど、もっとハローワークに予算の増額をとか、キャリア教育に予算の増額をと、文科省もそのような要求をしておりました。
 そういうことを「戦略的」とは言わないんですよ。今おっしゃったようなこと、つまり、ターゲットを絞って、そこに集中投下して、必ず成果を出すということを「戦略的」と言うので、私が正確にものを言えば、次の3つの条件が必要です。
 まず、目標が絞られていることです。今回、例えば女性教育会館の目的を拡大するというようなことを、大日向さん、意図されているようですけれども、拡大した場合でも、絞られていなければ、拡大したことで男女共同参画社会が実現するわけではないですね。目的が絞られている。目標が絞られていることが、1つの条件。
 2つ目は、限られた資源があるということですね。「限られた」というところがみそです。資源が限られていなければ、「戦略的」という言葉は出てこないんです。限られているからこそ、それを有効に使おうという話なので、予算や人員を無制限に投入できるのだったら、戦略というのは必要ないです。限られているから、戦略が必要と。
 つまり、もう一度言いますけれども、絞られた目標に対して、限られた資源があると。それを、3番目に、絞られた目標に対して、限られた資源をどのように有効に投入するかという、これが戦略性というものなので、集中して投入して、その成果によって、常に対処、修正しながら、必ず目標を達成するというのが、「戦略的」というものの意味ですね。もし私が間違っているとすれば、御指摘いただきたいと思いますし、マッキンゼーでも、ボスコンでも、戦略の専門家に聞いていただければ、言葉は違うかもしれませんけれども、同じような定義をしてくださるはずだと思います。
 なので、とにかくこの機関が、ただの推進機関ならいいのですけれども、そうではなくて、戦略的推進機関というのであれば、あれもこれもということはあり得ないんですね。何度も私は言っておりますけれども。
 それから、もう一つは、目標を達成することに責任を持たないような、そんな手続を戦略的とは言わないので、私は、このペーパーの冒頭には、目標が掲げられるべきだと思います。何が目標なのかです。それがもし3ページの真ん中辺に示されているような、「また、政策・意思決定過程への女性参画も、政府目標(2020年に30%)に比べ、低い水準(国会議員11.3%、企業の課長7%)にとどまっており」と。これを、この順位を上げる、これを2020年に30%というのを必ず達成させるということが目標ならば――私はそれがいいと言っているわけではないですが、それが目標ならば、それを書くべきだと思いますし、きちっと目標がなくて、手段だけが先行して、新しい名前になりますよという、それはあり得ないと思います。
 以上です。
【大日向座長】  では、浦野委員、どうぞ。
【浦野委員】  今の藤原さんのおっしゃったこと、私もそのとおりだと思います。
 ただ、私は、もう少しこの中での戦略を広義にとらえていまして、全く同じ、戦略として定義は同じですが、もっと広くとらえています。したがって、私の目標は、大きなことを言いますけれども、このことによって日本の産業構造が変わっていく。それが、例えば、古い定義でいけば、一次産業の比率がうんと下がって、二次が増えて、その時代から、また今三次産業が増えてというようなことを言いますけれども、そういうことよりももう少し違った定義の中で、このことによって日本の産業構造が変わる、新しいどういったサービスなり商品が生まれてくるのだという、そのことが私は究極の目標だと思っています。
 したがって、女性の参加が、例えば主要な管理職で3割というのは、1つの手段ですね。そうなったら、多分、大きな目標も達成できるのではという、そういう中間段階のレベルだと思っています。
 そういう意味では、3ページと4ページ、不満はないのですけれども、私的には、もう少しつけ加えていただきたいというのは、やはり今はもう男女共同参画というような段階ではないんですよ。そのことを変えていこうと思ったら。もうまさに多様性そのものですね。企業は、そういう立場で今闘っているというか、頑張っているというか、20年間成果が出ていないのは大変申し訳ないとは思いますけれども、そういう思いでいます。
 そうなると、やはりこの意義の中で、暮らしや社会を見つめる「目」も多様化している。そして、ダイバーシティの必要性が指摘される中ということで、うたってはいただいているんですけれども、結局、男女共同参画にまた戻ってくるということがあって、私は、できればですけれども、ここを思い切って、男女共同参画を超えて、ダイバーシティという中で、日本の産業構造の在り方が変わってくるのだというぐらいのことを言っていただくと、大きな意味での戦略ということが絞られてくると思うのです。
 日本の産業構造が変わってくるのだという、そこにターゲットを絞っていただければと思いますので、この3、4のところがそういうふうに変わってくれれば、私はうれしいですけれども、このこと自体について異論があるわけではありません。この3、4ページでは、そういう意見です。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 このあたりは非常に中心的なことになると思いますので、どうぞ御意見をお願いいたします。
 坂東委員、お願いいたします。
【坂東委員】  私は、3ページの(3)戦略的推進機関の確立のところですけれども、「意識の変革」こそ最大の課題であると言ってしまっているということに、少し問題意識を持ちます。なぜ意識の変革が進まないかというと、それについての必要性を客観的に説得する材料が十分ではないとか、推進力がないとか、もっともっといろいろな広がりがある。だから、意識の変革のために、教育・学習支援だけをすればいいかというと、ぐっと狭くなってしまって、先ほど浦野委員がおっしゃったような、私は産業構造の変化だけではなしに、それに伴ういろいろな社会、家庭ですとか、そういったことにかかわる変革にもつながると思うんですけれども、そこの視点が抜けて、教育、お勉強でその意識が変わりますということではなしに、もっともっと分析し、提案しなければならないのではないか。そのためには、しっかり研究しなければならない。働きかけるためのエンジンを持たなければならない。そういった部分が抜け置いているので、戦略的推進機関という言葉に少しそぐわないのではないかなというふうに皆さんお思いになられたのではないかなと思います。戦略を策定する機能が必要なのではないでしょうか。
【大日向座長】  では、柿沼委員、樋口委員、堂本委員の順でお願いいたします。
【柿沼委員】  坂東委員のお話の続きのようになりますけど、例えば、土曜週休というのも、最初は非常に抵抗があったかと思いますが、取り入れているところが過半数に達した段階で、もう制度的にも意識的にも変化が起こって、定着していったわけです。そういった中で、戦略的推進機関が、この「意識の変革」こそ最大の課題であるということを前提として、ほかの国のように、クオータ制をどういうふうな形で浸透させるのか、それこそ戦略をつくり上げるのかなど、そういった働きかけをここでつくるような研究機関は行うことも必要なのではないか。
 要するに、意識の啓発という、一般的なビラをまくようなことはずっとやってきているわけですけれど、そういう受動的なことではなくて、例えば、フランスのように、閣僚の半分を女性にしてみるとか、法律で国会議員はどういうふうにしなくてはいけないとか、そういうことを積極的に働きかけるような研究機関がここにあってもいいのではないかというふうにもとれるのですけれども。一つの意見です。
【樋口委員】  「戦略的」という言葉をあえて使ってくださったことは、議論の中でもこの言葉は使われたと思いますし、藤原委員が定義してくださったようなことだと思いますけれど、ただ、戦略を定義せよと言われて、定義できる人がそう何人いるかわかりませんし、私にもとっさにできません。解釈も多様でしょう。別な言葉を使ってもいいと私は思っております。
 ただし、「戦略的」というのは、少しショッキングで今風な言葉です。「意識の変革」と同じで、何回か前に申し上げたと思いますけれど、制度ができれば意識が変わる、その制度を通して、また意識変革が行われ、意識の変革が、新しい風土を生みそこで新しい制度がつくられる。循環型の動きが必ずこの社会にはあるわけでございまして、あえて戦略的というなら、今柿沼委員も言われましたけれど、そういう構想を立てて、研究をし、そして、モデル試行をしてみる。企業でいうPDCAを新しいNWECでやっていいのではないかと思います。
 それから、少し前へ戻るようですけれど、どうも少しもの足りないような気がしておりましたのは、1つが、冒頭に目指すもの、結論というものを書くということ。それがないので、どこへいってしまうかが見えなかったということが1つと、やはりもう少し今にふさわしい理念というか、ビジョンというか、単に男女共同参画だけが実現すればいいのだろうか。あえて言えば男女共同参画は、広い意味で言えば、戦略に入るのではないかと思うぐらいで、それは多少議論のあるところでしょうけれど、やはり男女共同参画とか、いろんなことを通して、今の日本――日本だけではありません、余りにもバランスの悪くなってしまった社会を取り戻す。
 それから、グローバルは私も結構だと思いますし、今、日本の女性たちに本当に力を発揮してほしいと思う場面の1つは、グローバルです。けれど、一方でこれから当分のキーワードの1つは、やはりコミュニティ。コミュニティとあえて言うのは、今までの自由で平等な力の発揮を阻んだため人々が逃げていきたがった、かなりの人が逃げていってしまって、その結果崩壊しかけてしまった、昔ながらの地域とは違う、村八分のない、ダイバーシティの上に立ったインクルージョンといいましょうか、そういう包括性のある、しかし、地理的には昔と同じで、よい意味で伝統も受け継ぐ新しいコミュニティです。地域でないと少子高齢社会、サポートを必要とする人の増える社会なんて支えられません。地域というものを新しく創造することが、やはり21世紀の最大の課題だと思いますし、もちろん、男女を問わぬ課題ですけれど、やはりある意味で一種のアドバンテージを地域について――これは分業の結果ですけれど――女性が今まで地域に果たしていた能力を資源に女性が頑張らなかったら、こんな人生百年、少子高齢社会を支え得る社会なんてできません。
 1つはグローバルにどう対応するか。私、この間スウェーデンへ行ってきて初めて国歌を訳してもらいました。「我ら、この北の国に生まれ、そして死ぬのだ」。私、感激しまして。もちろん、グローバルに動くのは当然です。やはり国民のマジョリティは、ここのこの島国に生まれ、そして死ぬのだという、そういう覚悟を持ってやはりこの社会をつくっていかないと、急激なこの超高齢化の波に対応できないと思っております。ですから、地域の中で大きな役割を果たすということも必要ですし、21世紀のこの日本を含めた社会の理念というか、ビジョンみたいなものをやはりどこかで書いていただきたいと、皆様おっしゃっていましたけど、と思います。
【堂本委員】  ありがとうございます。大体私が言いたいことをお三方がおっしゃったので、少し私の言葉で言わせていただきたいと思いますが。
 1つは、浦野委員のおっしゃった、男女共同参画を超えてのダイバーシティということを、ずっと初回から産業人の視点でおっしゃっているのですけれども、私の場合は、むしろ福祉とか、環境とか、それから、今度の災害のところで、いつも言っていることは、男女共同参画という言葉を使っているけれども、それは障害者、あるいは外国人、あるいは、そういった高齢者との差別をなくしていくというようなことで使っていると、いつも言い続けているんですね。前々回に同じことを申し上げたばかりですが、最初にジェンダーという言葉が使われたときは、男女平等ということで、参政権を得るということだったかもしれませんが、それが男女の差別をなくしていく、そして、男女の共同的な参画、共同社会のつくり方といったときに、私はやはり今おっしゃったような、浦野委員とは観点は違うのですけれども、男女共同参画を超えた意味でのダイバーシティ、そういった文化的なダイバーシティもですし、それから、私は、バイオダイバーシティという、自然の方のダイバーシティのことをやっていますけれども、そういったダイバーシティということがない限り、やっぱり21世紀は無理だということで、産業的な意味からだけではなくて、社会的な在り方としての多様性というのをどう書くかという工夫が必要かということが1つです。
 次は、意識の問題ですけれども、坂東委員がおっしゃいましたけれども、私は、第3次の男女共同参画計画が結論として男女共同参画が実現できなかったことは、意識の改革ができなかったからだと書いておられるのですが、これに対しては大変不満です。意識というのは非常に不明確なものなので、もう今、樋口さんがはっきりおっしゃったので、繰り返す気持ちはございませんが、制度が変われば意識が変わるということで、制度がきちっと変わらなかったために意識が変わらずにきているのだというところが指摘していないことに、第3次計画は大変不満を持っておりました。そして、そのためにこそ、柿沼さんがおっしゃったように、何をヌエックが、新しい機構としてやるべきかと言えば、研究機関として、どういう制度改革を行うことによって、政策化されることによって、本当の意味での意識改革が実現するかということの研究をする場であってほしいと思うのですね。ですから、今お三方のおっしゃったことが、全部そこではつながってくるのではないかと思います。
【大日向座長】  山田委員、お願いいたします。
【山田委員】  すみません、私、第3次計画にも携わった者でもありますので、半分言い訳も含めて、少し誤解があるところがあると思いますが。第3次計画は、意識変革を最大の課題で、これさえやればいいと書いてあるわけではなくて、ちゃんと制度も変えなくてはいけない、慣習も変えなくてはいけない、意識も変えなくてはいけないという三本柱を出して意識と言ったわけですので、最大の課題というよりも、最大の課題の一つというふうに、少し直していただきたいというのが1つでございます。
 でも、その中でも、ただ、制度も変わればいいのですけれども、逆に言えば、もちろん、私、社会学者ですから、意識というものは、制度に影響されて意識がつくられるというのも正しいですけれども、制度をつくる人や変える人も意識を持っていますので、逆に言えば、制度を変える、つくる、影響がある人の意識を変えていくというところが、実は重要ではないかなと思っていますので、逆に、私、この書きぶりと、あとのところも、少し今見ただけですけれども、結構そこを焦点に当てているところが多いので、その点は書き込むということがいいのでは。つまり、坂東委員がおっしゃったように、戦略的な提言をするというのも、そういう政策をつくる人の意識を変えていくという意味で、広い意味で意識を変える、の中に含まれるのではないかなと私は思っています。
 それに、ここは制度を変える提言をするところでは多分、この機関というのはないと思いますので、逆に言えば、男女共同参画の意識の変革が最大の課題の一つであって、それを教育によって実現、広報とかありますけれども、教育活動によって意識の変革を実現する、そして、その中のいろんなレベルのターゲットがある中で、政策をつくるなり、企業の中でもトップレベルの人たちの意識を変えることによって、制度を変えていく道を目指すみたいなことが課題というか、要するに、全部やるわけにいきませんので、この機関ができるし、やってほしいことだと私は思っております。
 そうすれば、藤原委員が言ったように、「戦略的」というものが、制度を変え得る立場にある人の意識を変えていくというのが1つの戦略になると思いますので。もちろん、ここの中からやれば、いきなり管理職7%が20%になるわけはないので、その中の1つの機能としてここがあるというふうに位置づければ、少し変えていけば、私はこれがいいのではないかなと思っております。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 どうぞ、坂東委員。
【坂東委員】  私は、意識の変革が最大の課題の一つということで、非常にバランスがとれたと思いますけれども、それでも、今、山田委員がおっしゃいましたように、教育・学習支援だけで意識は変わるものではなくて、やはりそれを説得させるための材料を提示して、提案しなければならないのではないか。その機能をしっかりと持つ、これが戦略ということの意味だろうと思いますし、その背景としての研究、あるいは情報収集、そういったことをしっかりやっていかなければいけないのに、教育・学習支援だけだと、その部分が、意図は山田委員がおっしゃるように、広くカバーしているつもりでも、伝わらないのではないかなと思いますので、是非そうした部分を挙げていただきたいと思います。
【山田委員】  もちろん、そういうのも含めて、賛成でございます。これでいいと
言っているわけではなくて、そういうのもちゃんとわかるように書き込むことが必要だと思っております。
【大日向座長】  堂本委員、お願いいたします。
【堂本委員】  山田委員のおっしゃることはわかるのですけれども、スウェーデンに行ったときに、あちらは、その当時60年だから、80年ぐらい前に女性の参政権は得た国です。しかし、もうとにかく制度をきちっと言い続けていかない限り、常に男性主導の政策になってしまう、スウェーデンでさえということを言われたのですね。それで、私は、男性の側からそういうふうにおっしゃるのはわかるのですけれども、女性としては、もう痛いというほど日常的に、実際、もうすぐに非雇用になってしまうとか、それから、災害地でも、女性からクビになってしまう。あるいは、税金の問題、特に母子家庭の問題の貧困とか。そういうことになると、これは本当に、おっしゃったように、意識が変わって、制度を変える。それを女性たちが待っていられないというような境遇が今起こりつつあるように、その貧困の問題なんかでは思っています。
 なぜならば、やはり制度が変わらないために、それを言うことすらできない、そういう女性たちのグループというのがどんどん拡大しているように思いますし、やはり、これは卵と鶏の関係ではございますけれども、どっちが我が国において先なのか。ジェンダー評価の指数がこれだけ低い国。ここに書いてあるように、本当に国会議員にしても、何にしても、これだけ低い。GGIが135か国中98位になぜあるか。それはやはり意識改革より前に、制度改革を、国会の中に、あるいは意思決定の場に女性が少ないためにできないというジレンマの中にいるように思うのですね。
 ですから、おっしゃるように、3つ大事なことはあるのですけれども、やはり優先するのは、変えていく制度だ、それをヌエックでは研究してほしいと、とても強くそう思います。
【大日向座長】  山田委員。
【山田委員】  いや、第3次計画でも、制度が先にきて、意識の方は最後の方にきていたので、そういう認識はもちろん私も共有しているわけで……。
【堂本委員】  ありがとうございます。
【山田委員】  そのために、逆に、一般意識を変えるというのも必要ですけれども、むしろ政策決定をする人の意識を変える、重要な決定者の意識を変えるというところにターゲットを絞ると、制度も早く変わりやすいのではないかなと私は思っております。
【堂本委員】  おっしゃるとおりです。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 意識と制度改革の複合的・有機的相互連関に対して、大変熱い御議論を頂いたと思います。とても大事な点だと思いますが、これは男女共同参画を推進する上で、国の施策として、第3次計画でもきちんとそのあたりは精査し、書いていらっしゃるということですね。それを踏まえて、ヌエックに何ができるかという議論が、ここでは必要だということです。
 さて、3ページ、4ページにわたりまして、冒頭、藤原委員が投げかけてくださいました「戦略的」という言葉をもとに、大変深い議論がいただけたと思います。少しここについてまとめをしたいと思ったのですが、赤井委員がお手をお挙げくださいましたので、先にどうぞ。
【赤井委員】  もう既にいろいろ議論がなされて、私も同意するので、簡単に。
 この3、4ページがほぼまとめだと思うので、最後に1つだけ伝えたいのが、2ページの流れから、2ページの最後に、「女性の地位向上」から「男女共同参画社会の実現」に国の方針がシフトしたというふうに、これ、さらっと書いてあるのですけど、それを踏まえて、3ページ、男女共同参画というところにいくときに、今まで議論が出たように、だから、すぐにもう男女共同参画というよりは、3ページの一番上に、もう少しここを膨らませて、例えば、少子高齢化とかグローバル、その成長を導くために多様性が必要で、あらゆる政策の中で、今日本で足りないのが、男女共同参画だというような流れをもう少し詳しく書かれた方がいいのかなというのが1つと、もう一つは、多分、この(1)と(2)は、ヌエックというよりは、日本全体の話だと思うので、そのときに、例えば、日本で政策はたくさんあると思うんですけど、その中で特に足りていない政策をヌエックがやるとすれば、それがこの下のところにつながるのかなと思うので、これまでにどういう政策があって、今どういう政策があって、ほかの組織ではどういうことをやっていて、役割分担として残されているところがあって、そこをヌエックがやっていくべきだみたいな、少し今なされている政策との比較とか位置づけみたいなのが入っている方がいいかなと思いました。
 以上です。これは別にコメントで。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 柏木委員、どうぞ。
【柏木委員】  1ページ、2ページのところですけれども、1の丸ポツのところで、ヌエックの成果と情勢の変化というふうにまとめていただいていますが、これを読んでいて、何となく私の中で落ちなかったんですが、ヌエックの成果というのは、開設の経緯から成果というところは、1つのくくりとして大事なことかと思っていますが、情勢の変化というところも、これもとても大きなくくりとして、きちっと、「と」というのではなくて、取り上げる必要があるのかなと思いました。だからこそヌエックが変わらなければいけない、あるいは、どういう戦略的機関に変わるかどうかわかりませんが、変わっていかなければいけないのだという意味の背景として、情勢がこんなに変わったということは、別立てとしていただくのがいいかなと、読みながら感じておりました。
 その中の1つとして、2ページ目のところですが、「また、関連して、地域の男女共同参画センターが増加し、地域特性を生かした取り組みが期待されるなど、各センターの役割がより重要なものとなった」。何かわからないんですね。情勢の変化でこうなった、だから、どういうような連携が必要なのかとか、地域とセンター・オブ・センターズがどういう関係になっていったらいいのかというところが読み取れなくて、例えば、地域の中でセンターが388もできたということが何なのと私には思えてしまうのですね。例えば、これはいいことだと思うのですが、これで数が十分なのか、まだまだ足りていないのかというところも議論があるところだと思いますし、例えば、三重県の例で言いますと、三重県も人口減に、どこでもそうですが、なっています。少子高齢化、過疎化、グローバル化の中で、まさにいろんな産業が外へどんどん出ていく中で、三重県の中の企業というのはほとんどがもう、全国的にも99.7%は中小企業ですし、三重県においても、いわゆる大企業と言われるようなところは余りありません。そんな中で、一部地域においては、もう本当に企業そのものがなくて、就労する場所がないようなところもあったりもしています。各地域に全国にセンターができたことは、そういうことをヌエックが吸い上げる機会としてはとてもいいことであって、もっと連携を強化するとか、パートナーとして調査・研究をもっとしっかりしていくとか、だから、こういうふうに変えていかなければいけないとかということを戦略的には私はしていきたいと思っていますが、ここで取り上げていただいている情勢の変化というのが、基本法ができました、それから、センターが増えました、財政の悪化で2割を超える削減が行われました、だからどうなのか。もっと言えば、変化ということであれば、グローバル化、少子高齢化のあたりも、ヌエックを巡る情勢の変化で、あるいは男女共同参画、産業構造を巡る変化であって、何かこれは中途半端な書き方のような気がしておりますので、御検討いただけたらと思います。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 ただいまの柏木委員の御意見は、1ポツに関してのところですが、2ポツにつながる御指摘ということで、検討させていただきたいと思います。確かに、ヌエックを巡る情勢の変化は、ヌエックだけではなくて、日本の男女共同参画を巡る情勢の変化でもあるということで、2につながるような書き方を何らかの工夫をさせていただければと思います。そのようなことでよろしゅうございますか。
 先ほど、2ポツ、つまり3ページ、4ページに関して、皆様から大変深い、そして貴重な御意見を頂きまして、少しまとめに入ろうかと思ったところに、赤井委員がお手をお挙げくださいまして……。
【赤井委員】  すみません。
【大日向座長】  いえ、そうではなくて、私が申し上げたいと思っていたことは、そのまま本当に的確におっしゃってくださって、ありがとうございました。
 3ページ、4ページは、男女共同参画の現状と課題を書いていることであって、日本全体の問題です。その部分と、したがって、その中からヌエックが何を果たすかということは、すみ分けて、次に移していくということが必要ではないかと思います。
 もう1点、「戦略的」という言葉で、藤原委員が大変貴重な投げかけをしていただいたことで、議論が深まりました。ありがとうございます。それを受けて、浦野委員から、藤原委員がおっしゃったことそのものに基本的に合意されるけれども、もう少し戦略ということを広義にとらえて、日本の産業構造の変革というところまで踏み込んで考えるべきではないかという御意見が出されました。それに対して、更に堂本委員はじめ何人かの方から、やはり人々の生活、福祉というものも変わるということも含めた構造改革を、男女共同参画を手段として、目指すべきではないかという、そういう御意見であったと思います。
 「戦略」という言葉を使うか使わないかということをお諮りすべきかと思いますが、私は、この「戦略」は、先ほど藤原委員がおっしゃった意味について、同意いたしますが、一方、危機に対して、現状をきちんと踏まえて、あるべき方向を目指すものという意味で考えておりました。危機、つまりクライシスというのは、現状の問題をどう把握分析し、打つべき手段をとるかによって、改善の方向に向かうか、あるいは奈落の底に落ちるかという岐路だという意味でもあるわけです。そういう意味では、今こそ男女共同参画が目指すものは、それを1つの手段として、大いなる社会構造改革を目指すべきだというような高らかな理念を上げてもいいのではないか。そこには当然、産業構造の改革もあり、福祉の観点から人々の生活の改革ということも踏まえて、あるべき新たなグローバル、グローカル、コミュニティを含めた社会を目指すのだという、そういう意味も含めて、今、ここで本当に男女共同参画の在り方を根本から問い直すべきなのではないか。そういうような理念でまとめさせていただいてもよろしいでしょうか。
【柿沼委員】  はい。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 それでは、具体の方に入っていきます。3ポツ、ページで言いますと、5ページ、6ページ、このあたり、場合によっては、4ポツのところも重複した方が御議論なさりやすければ、どうぞ、3ポツにこだわりませんので、両方含めて御意見をいただければ有り難いと思います。
 浦野委員、お願いいたします。
【浦野委員】  3ポツ、4ポツまとめてということで、少しお話しさせていただければと思います。
 それで、これ、もしかしたら男性から見た、あるいは既存の社会から見た偏見かもしれないのですけれども、やはり男女が共同参画でいろんな事柄を解決していこうとするときに、その辺のルールがやっぱりあると思うんですね。それを一言で、企業用の言葉で言ってしまうと、マネジメント能力ということだと思うのです。例えばですけど、家庭においては、必ずしもマネジメント能力だけではなくて、例えば、妻の言った一言が、うんちくはなくてもぴんと響くことがあったりして、動いていくのですけれども、通常の社会でいくと、やはり組織で動いていますので、マネジメント能力というのは非常に必要だと思うんです。このことがやはり今決定的に欠けているのですね。
 先ほど始まる前にこの資料をちらちら見ていたら、本当に偶然に目に入ったのですけれども、この70ページを御覧いただくと、表5-12というのがあります。そこに、企業がどのような教育をしているかということが出ているのですけれどもね。下の表を見ていただきますと、正社員の女性に対して、左から2つ目のマネジメント能力を高める研修というのは、男性の半分です。その横のビジネスマナーになると、男性の倍、女性が教育を受けている。しかも、これは多分私の勝手な想像ですが、母数ははっきり出ていませんので、わかりませんが、多分、一般社員だと思うのです。
 今までの流れの中で、男性優位の社会でくると、もうほとんどの女性はビジネスマナーの先にマネジメント教育なんて受けないわけなんですよ。これは、そういう中でポジティブアクションをとっても、私、いつか申し上げたと思いますが、ニチレイでは失敗しました。ですから、今は、そういうマネジメント教育もない中でのポジティブアクションではなくて、しっかりしたマネジメント教育をした上でというふうに思っています。
 そういう意味でいくと、このマネジメント能力は、これも私の単なる経験ですけれども、やはり大学での勉強ですよね。マネジメント能力の基本というのは、やはりアカデミックスキルにあると思うし、それから、私、日本語に訳すのが非常に難しいので、あえて横文字で言ってしまいますが、いわゆるレトリックですよね。このことがわかっていないと、社会に出ても、マネジメント能力って身につきません。男性でもマネジメント能力が身につかない人はいっぱいいますけれども、それはやはりアカデミックスキル、レトリックがないのです。
 ですから、私はやはり、もう一度、そういう根本にさかのぼったときに、女性が単に参画します、地位を占めるんですということではなくて、どちらかと言えば、女性に対してそういう教育をしてこなかった、あるいは、もしかしたら女性もそういう意味での教育を積極的に受けようとしなかった――少々語弊はあるかもしれませんが、花嫁修業をすればいいとか、そういう視点でもし高等教育を受けているとしたら、これはやはり日本の社会にとって大きな難点だと思うのです。
 したがって、この3、4の中にそのことをはっきり入れていただきたいなと思って、例えば、7ページに、(1)中心となる機能・取り組みというのがありますよね。マル1、マル2、マル3、もうこのとおりですけれども、マル1の中に、もう少しかみ砕いて、対象者に応じた戦略的な教育・学習支援、それの3つ目、生徒・学生を対象に云々(うんぬん)と書いて、女性の多様なキャリア形成の可能性と書いてありますが、ここにはっきり、マネジメント教育、能力の開発とするのか、あるいはレトリックとするのか、アカデミックスキルとするのか、それはもう言葉の選び方ですからどちらでもいいのですけれども、そういったことがやはり絶対に必要だと。それ抜きで社会に参画されても、困ると。もしかしたら、これは企業経営者の偏見かもしれませんけれども、そう思っています。
 もちろん、女性、あるいは男性にしても、第六感というものが社会を推進していく大きな力だということは、否定はしませんけれども、大きな流れは、やはりきちんとしたマネジメント能力だということで、少し長くなりましたが、どうしても強調したかったので。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 柿沼委員、どうぞ。
【柿沼委員】  マネジメント能力については、やはりどちらかと言えば、管理監督者の人が、最初のスタート時点で男女を分けずに、そういうセクションにつけて鍛えるということがまず求められるかなと思います。
 実際の話として、女子学生の成績が悪いわけではないですけど、就職してからの職務の状況の中で、やはり鍛えられる場面が現実として男性とは違っていることが差を生んでいるという事実は、私も30年の職場生活の中でも見聞きをしております。ですから、本人ももちろん取り組む姿勢を見せることは大事ですけれど、現状では、管理監督をしている立場にある男性管理監督者に対して、もう少しそういった男女を問わない能力を開発することも求めるべきであると思います。現状では、です。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 坂東委員。
【坂東委員】  その件に関しましては、本当にマネジメント能力、レトリック、アカデミックなバックグラウンドを身につけることの必要性というのは、みんな認識していると思いますし、それを実施するのが全国の約780の大学の役目だと思うのですけれども、現状でそれが十分な機能を発揮していないのはなぜなのか。それをしっかりと身につけさせるためには、どのような教育を行うべきなのか。そういった提案・指導が、ここのセンター・オブ・センターズ、あるいは新しい戦略的推進機関として必要です。個々具体的な対象に対して、ここでマネジメント能力を身につけるトレーニング、教育をするというのは、かなり難しいのではないかなという感じを持っております。
 ですから、逆に言えば、この新しい推進機関で行うべき中で、一般の人、一般の生徒や学生を対象とする研修等は、外して指導者に行うべきではないか。その方が戦略的にできるのではないか。そうした学生や生徒、あるいは、もっと地域に根差して活動していらっしゃる方たちに対する教育や学習は、地方の男女共同参画センター、あるいは、先ほど申しましたような大学、いろいろ行うところがあるわけですから、そういう学習支援を行うところをサポートする機能を新しい機関は持つべきではないか。
 すると、それをサポートするためには、意識の改革と叫んでいるだけでは駄目なので、説得力のある、きちんとした、それこそレトリックを持って、どうすれば効果が上がるのだと。すべきだ、すべきだと叫んでいても駄目ですよ。そうしたことをしっかりと、エビデンスを含めて掲示できるような、こういう方向へいけば、より国民の総幸福度が増しますよとか、いろいろな形で説得する材料をつくって提供するというのが、新しい機関に求められる大きな役割ではないかなと思います。現場の教育は、それぞれもち屋さんに任せた方がよろしいのではないかというのが私の……。
【浦野委員】  今の坂東さんの意見に反対ではないのですけれども、私はそこに特化したらどうかと思っていましてね。これ、後ほど出てくるのですけれども。要するに、ヌエックはもう研修をやることはないと思うんですよ。ただ、その研修プログラムとか、その材料ですね。例えば、世界の――例えばスウェーデンでもいいですよ――女性がこんなふうに頑張っている。そのことの背景を探っていくと、実はしっかりした背景教育があって、彼女たちのやっていることは別に第六感でも何でもなくて、きちんとロジカルに回っているのだというようなことが事例としてどんどん収集されていく。そういったものをベースにして、企業に対して、こんなプログラムがありますよということを売ればいいと思うのです。
【坂東委員】  それは大変重要だと思います。
【浦野委員】  そこが、私、ものすごく大事だと思うので、そのことによって企業が動いていく。正直言って、今の企業の普通の人事部の担当が、女性向けに対してマネジメント能力をどう高めていくか、一から取り組もうと思ったら、「さて?」と多分なってしまうと思うんですね。そのときに助け船的に出てくると、「いやいや、もう女性が活躍している事例はいっぱいあって、こうですよ」みたいなことになると、売れていくと思うのです。私は、ですから、研究する一方で、そういう研修プログラムをどんどん売っていくというのが、ヌエックの1つの姿かなと思っています。
【大日向座長】  では、藤原委員、それから樋口委員。
【藤原委員】  5ページ以降ということになりますと、どうしても5ページの一番下もそうですし、7ページの一番上もそうですが、この「○○○○○○」がヘッドなわけですね。ヘッドで、ここがある程度イメージが共有されませんと、そのあとの細分化されたところの意見を討議するというわけにはいかない感じがありまして、これが、いわゆるここで流れとして言われている男女共同参画センターっぽい、そういうターゲットであるならば、中身は、女性の働き方と、男性側の変わらない意識をどう変えるか、あるいは、どういう行動を制度などによって強制するかという、こういう話にやはりなっていくんだと思うのです。
 そうではなくて、浦野さんがずっと言っていらっしゃるような、あるいは大日向さんが先ほど少し言われたような、あるいは私も当初からずっと言っているような、もう少し上の、上なのか土台の下なのかわかりませんが、ステレオタイプからダイバーシティへという、もう結論を言ってしまえば、多様化社会をどうやって実現するのかというような、そこまで持っていくのであれば、これが想定する仮称というのは、これは今から私が言う名前がいいとは思いませんが、アンチ画一化センターですよ。そうですね。多様化センターとか言ってしまうと、動物や自然の種を多様化しましょうみたいな感じがあるので、アンチ画一化センターですよ、コンセプトは。日本人としての精神、スピリッツや、あるいはルールの遵守の態度、あるいは公共の場での振る舞いとか、対話のマナー、公共心を含めて、そういうものを共有しながら、いかに多様化を許していくかという、そこを徹底的に、この制度とこの制度とこの制度を充てれば実現するのではないかという、そういうようなことではないかと思うのです。
 これは実は、今どこのニュースでもばんばんやっている大津市のいじめの問題、全然無関係かというと、全く無関係ではないのです。結局、もうみんな一緒じゃない社会になっているのに、まだみんな一緒の幻想の中ですべてが行われている学校という組織に無理が出ているのですよ。だから、いじめが極端になってしまうし、それを自殺にまで追い込むようなことまで起こってしまう。多様性というのは認めて、もっと、違って当たり前という、そういうことが実現されなければ、やっぱりああいう問題もなくならないんです。いまだに学校あるいは教育委員会は、不登校ゼロとか、いじめゼロ運動とかやっているんです。そんな不可能なうそを振り回して、それでまかり通っているという、義務教育の世界自体を改めないと、もっと多様性というのを認める社会に持っていくということの決意と覚悟がないと、これは実現しないと思うのです。
 そこまでではないと。そこまででなくて、やっぱり男女の共同参画というようなところに視線を定めましょうというのであれば、そこからまた具体策が出てくると思うので、この2つは相当レイヤーが違うので、はっきりさせた方がいいのではないかなという気がするんですけれども、どうでしょうか。
【大日向座長】  いかがでしょうか。今日は名称を決める時間はとりにくくて、むしろ中身をと思いますが、ただ、先ほどから皆さんがおっしゃっていらっしゃることは、確かにアンチ多様化です。同時に……。
【藤原委員】  画一化。
【大日向座長】  失礼しました。アンチ画一化ですね。多様化を認め、ただし、堂本委員ももう一言多分おありになると思うのです。差別のない、人を幸せにする社会。だから、男女共同参画はすごく大事だけど、それは手段であって、それを目的とするわけではないというところは合意されているということで、その辺を何となく心にとめながら、御議論いただいてもよろしいでしょうか。名称は、今ここで文言は決められませんが、今のようなまとめで、言葉が決まらないとイメージはわかないと、おっしゃるとおりですが、今申し上げたようなことを理念に皆さんお考えいただいて、中身をもう少し御議論いただければ有り難いのですけど。
 それでは、堂本委員、お願いいたします。
【堂本委員】  それでは、先に行かせていただきますけれども。今、坂東委員と浦野委員がおっしゃった、いろいろ人事とか、それから、指導的な立場にある方のための研修プログラム、それを上手に確立するというのは、やっぱりヌエックの本当に果たすべき役割だろうと思います。
 それをやるのと、それから、研修をなくしてしまうということとは少し別ではないかなと思いますのは、5ページの真ん中辺の、強みというところの2つ目の丸ですけれども、「地域の男女共同参画センターや民間団体とのネットワークを構築しており、男女共同参画の全国展開を図る上で活用が期待できる」という、ここのためには、私もこの間初めてその研修という現場に伺って、ひとつ話をさせていただいたのですが、それの構造を見せていただいたら、私が地方でやっていたときに扱っていた男女共同参画の政策化ということよりも、やっぱりヌエックは相当進んでいるなと思いました。
 そのことが、やはり地方からの行政のリーダー、これも産業の人事担当の方と似ているかもしれないのですけれども、やっぱり地方の方、それから、民間団体が圧倒的に地方では力を持っていますので、そういった女性民間団体、それから、女性のセンター、男女共同参画センター、そういったところのリーダー、そういう方たちが研修を受けるということの実績は、地方を回れば回るほど、今実感しておりまして、ここのところは、むしろ今までの経験に即して、できたネットワークも更に充実する必要があるし、それから、研修をなさるときのプログラムの組み方やなんかも上手ですね。それから、人材も持っていらっしゃる。どういう人をそこに充てて、どういうふうに活用すればよいかというノウハウもおありになるので、そこをますますこれからも充実、それから、時代に合わせて、きちっとつくり上げてほしいということを思いますので、お二人の委員の意見には大賛成で、それはやるべきだと思いますが、同時に、研修を、一般に対しての研修をなくすということなのかもしれませんが、一般の方への研修がなくなると、地方の人の夢がなくなってしまうんですね。今は大体リーダー研修ですけれども、一般の人でもとても来たがっている。そういった意味で、これからヌエックがそこの幅を広げるのか広げないのか、これは、先ほどの藤原委員の、資源をどう使うのかという限界との関係もあると思うのですが、そこの幅をどう持たせるのかということは、議論をする必要があるのではないかと思っております。
 ただ、そういった幅というのが、意外と地方の女性に夢を与えているというのも事実なので、そのことも少しお知らせしたくて発言させていただきました。ありがとうございました。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 柿沼委員、お願いいたします。次に樋口委員ですね。
【柿沼委員】  私も、この新しくスタートした施設を、地域から引き離すべきではないと思います。やはりコンセプトとして、新しくなっても地域との連携はあるのだということをきちっとしておく必要はあると思います。
 例えば、今、山口先生がおっしゃったように、リーダーに対して、新しいやり方、あるいはノウハウを教えるということが集約的にできたら、その人がリーダーになって、そこで一般の方を教えるということが研修の場ではできることになるわけですが、私も地元の地域の人間として、例えばおみこしとか盆踊りとか、様々な地域活動に毎年携わってきておりますけれど、40年の間には、やっぱり人々の意識も大分変わってきています。昔は長(おさ)の一声ですべてが決まったものが、今はいろいろな方がいろいろなことをそれぞれ話をして、それが何となく収まっていくようになっていますし、地域に帰ってきた男性が、何をしていいかわからなくて、うろうろしたりしております。しかし、先般の3月11日の大震災以降、またかなりまとまりがよくなってきているのも事実です。地域のコミュニティをつくっていくときに、新しい、もう一歩先の何かを教えてもらえるようなことが、この国立女性教育会館、今の名前ですけど、この国立女性教育会館がそのリーダーシップをとっていただけることは十分あるのではないかなと思います。
 昔と違うのは、田舎でもわいわい騒ぐ子どもたちが減ってきて、たむろしているのは年寄りだらけというのが現実ですが、その地域の大事さが増している。単身家族や、孤立した一人暮らしの方などです。しかし、全国の婦人教育会館が、全国にある女性センターに対して今までとは違う側面から指導的な役割を担っていく必要があると思います。今までは、災害や防災などの切り口ではできていなかったところが多いのではないかと思います。だから、直接的に全員にではなくても、この新しく脱皮した施設も地域とつながっているんだということは、是非どこかへ明記しておいていただきたいと思います。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 ただいま柿沼委員がおっしゃったことは、8ページの(2)のマル4がありますね。8ページのところに、地域との連携を切るのではない、しかし、“Center of Centers”の視点から、ハブ機能を果たす、多様な機関との連携、ここに書いてあることを指しておられるということでよろしいでしょうか。
【柿沼委員】  そうですね。それをもう少し膨らませた形にしていただければ。
【大日向座長】  わかりました。
 では、浦野委員、お願いいたします。
【浦野委員】  今の堂本さんと柿沼さんの意見に若干違和感があるのは、要するに、地方の女性センターなり男女共同参画センターって、全く変わらない、今のままですかということですね。これ、“Center of Centers”が変わるのですから、地方もそれに合わせて変わっていくべきだと思いますが、今の議論は、地方は現状のままで、だから、“Center of Centers”もそういう機能を残すべきだというふうに私には聞こえます。ですから、そこはどうなっているのでしょうかね。単に埼玉にある国立女性教育会館だけのことを言っているのか、それと一緒に今まで一生懸命頑張ってこられた地方の組織も、これに伴って変わっていくんだということを前提にしているのか。
【大日向座長】  堂本委員、お願いいたします。
【堂本委員】  ありがとうございます。とても大事な視点だと思いますが。
 今度の、今3.11以来変わっているとおっしゃいましたけれども、3.11のときに、やはり女性センターの果たす機能というのがひとつ問われたというふうに思います。と申しますのは、単にそこで女性が集まるとか、そういうところではなくて、どれだけ有機的に地域の中で、今まさに御主張いただいているような、産業をまたどう開発するのか、女性たちがどうそこで自分たちの仕事をやるべきなのか。地域で破壊された中においてですけども。そういったことを含めて、それこそ女性センター自体も脱皮していかなければならない、そういう事態を迎えています。
 これは山田委員の御説明で、先ほどから意識だけではないとおっしゃっていただいたので、私、とても心強く思っておりますけれども、これは男女共同参画社会基本法の方で、そういうセンター、あるいは男女共同参画の政策を津々浦々まで広げていくということが書いてございますので、そういうことで、まだ全部で350ぐらいでしょうか、センターありますけれども、まだ日本の約1,700ある自治体の中で言うと、少のうございます。そういうことで、単にお茶のお稽古をしたり、そういうところになっているセンターもないわけではございません。
 しかし、これからは、もっと本当の意味で、中央の大企業だけの多様化ではなくて、地方の中小企業が変わらなければどうにもならない。地方の中小企業の経営者、これは私が一番苦労した方たちですけれども、本当に何とかして女性の雇用、それから、育休とか、そういったものについても考えてほしいということをさんざん申し上げましたけれども、ここはとても苦労しました。そして、最後に、県レベルですけれども、経営者の方とそういった団体との間で、労働組合も含めて、そういった男女共同参画をどう実現していくかというようなことについての議論を展開させていただいたんですけれども。
 日本の産業は、経済の専門家ではございませんが、これからもっと地方に分散しなければいけないし、特に災害の後なんかではそう思いますが、そういったときに、男女共同参画センターの果たす役割というのは、まさに基本計画、これから4次を作っておられますけれども、そういう中で改革していかなければいけない。そういった意味では、ヌエックと双子の関係と申しますか、車の両輪、そういったことで、両方を改革していく必要があるのではないか。私見ですけれども、そう思っております。
【大日向座長】  ありがとうございます。
【坂東委員】  大変申し訳ありません。後で意見は出させていただきます。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 それでは、柿沼委員、それから柏木委員の順で。
【柿沼委員】  埼玉県の例ですけど、もう既に「ウーマノミクス」ということで、経済の視点とか、雇用とか、組織とは何かとか、単なる地位向上や勉強などの域を脱しています。このように、もう既に、地方の方が変わってきております。ですから、それを後追いでというのではなくて、既に変わっているという実態はあるということです。
【柏木委員】  ありがとうございます。地方のセンターにおる者ですので、発言させていただきたいと思って、手を挙げました。
 ヌエックは、ナショナルセンターとしてのハブ機能を持ったセンターですけれども、地域の男女共同参画センターは、要するに、プリフェクチャー(県)レベルでの拠点センターになっています。そして、既にもうカルチャー的なことは全く行われておらず、大分前にもお話ししましたが、ヌエックで学んだ人材たちが、そのセンターで十分に活躍できているような人材に育ってきていることも事実です。
 これからヌエックは、ハブ機能を持ったセンターとして、あらゆるセクターと連携をしながら、ウィングを広げて事業をしていくことになると思いますが、地域の男女共同参画センターは、既にある、スタートが早いところから、段階から連携ができていましたので、これから新しく取り組んで、企業とも連携をしていこうというところとは少しニュアンスが違っているような気がします。
 今、堂本さんの方から、双子のようなという言い方をしていただきましたが、双子か姉妹かわかりませんけれども、十分にそういう機能を持ったセンターであり、十分にお互いに補完し合えるものがあり、男女共同参画を推進していくためになくてはならないシスターセンターだと考えています。
 私どものセンターでも、既に啓発事業よりは、地域の産業を含めて、様々な課題を解決していくというところにもう既に入っておりまして、その課題を解決するために、啓発ではない、もう一歩踏み込んだプログラムの開発とか、提案というところまで期待もされていますし、していきたいと考えているところです。まさに同時に変わっていくでしょうし、お互いに相乗効果を発揮しながら変わっていきたいと考えております。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 樋口委員、申し訳ありません、何度もお手をお挙げくださっていたのに。
【樋口委員】  タイミングを失って、変なことを言うかもしれませんけど、御勘弁ください。
 先ほどの地域の話の続きですが、私は“Center of Centers”と、繰り返しているのですけど、それは地域の女性センターのこともあれば、もっと多様な企業・大学などの様々な機関であっていいと思いますが、特に今話題になっております女性センターとの連携の在り方は、やっぱり私は一見古くても新しいこれからの可能性の一つだと思います。今、柏木委員おっしゃったような、すばらしいところもあれば、はっきり言って、今度、私が幾つかの自治体の会館でこのヌエックの問題を話して、「困りましたね。何とか残りませんかね」という程度の反応しかないところもございます。これは、それこそ多様性というより格差ですね。
 今度、もう少し連携を強化して、多様性、ダイバーシティだけで終わってはならず、それはやっぱりその化学変化を含めたインクルージョン、多様性を認めた上での包括性といいましょうか、そこにくるような働きかけを今までもしていらっしゃるのでしょうけれど、今度新しく発足するときに、もう少しそこを強化し、あるいは、幾つかの研究などは、地方の手挙げ方式でもいいし、何でもいいですけど、地方のセンターと、ものによっては共同研究がなされるとか、そういう具体的な情報発信・交流と結びつきを地方と是非持ってほしいし、私は、国にぽつんと1つある機関だったら、これはこの男女共同参画にどれだけ影響力があるか疑問だと思っております。
 それから、さっきから出ている名前ですけれど、まさか「なでしこ」ではないと思っていますけれど、コンセプトが決まったら、是非公募していただきたいと思います。公募したものに決まらなくたって、構わないのですが、そこはまた選考委員会をつくって、いろいろ議論をすればいいので、せっかくのこの機会を、文科省の広報課にも、今、男女共同参画が新しい時代を迎えている今ですから、是非上手に広報をしていただいて、名称募集なども1つの注目を集める機会にしていただきたいと思っております。
 それから、浦野委員からお話がありましたとおり登用、ポジティブアクションが先行しては大体不成功に終わります。ただ、J-Winなどの経営者系の団体に加入した企業を見ておりますと、かなりそういうことをきちんと内部的に意識して、ポジティブアクションとのすき間を埋めていく、格差を埋めていく好事例なんかは大分出てきているように私は拝見しておりまして、むしろそういう事例をこのヌエックのこれからのところへ持ってきてほしいと。いろんなところから集めてくるのも、ヌエックの大きな機能だと思っております。
 その意味で言いますと、7ページの2と3というのを私は非常に重要に考えております。こういうのが、やっぱり中央でなければできないことの一つだろうと思いますし、この調査・研究・学習プログラム、情報・資料の収集・活用。私は今までのヌエックの活動をよく事細かに存じ上げているわけではありませんが、これまでにやってきた調査の知見の伝達や活用ということがどのぐらい十分だったのだろうか。あるいは、研究テーマにしても、文科省という立ち位置というか、地理的条件というものを生かした調査・研究というのがどのぐらいできていたのだろうかということは、後で教えていただきたいと思います。
 例えば、今のマネジメント能力は、実は会社・大学でやってももう遅いぐらいで、本気に取り組むなら小学校で、あるいは中学校で、リーダーシップとかマネジメント能力というのはもう培われてくるので、私、大昔に「女の子の育て方」という本を書きましたが、もう一度義務教育レベルから見直していただきたい。文科省だからできることです。
 文科省は、そういう教育の現場に果たして本当に女子が――フィンランドとか、そういうところへ行ってきても、本当に子どものときから、人のケアをするように男の子も育てられ、女性もリーダーシップを発揮するように育てられている。やっぱり子どものころからが大事なのでありまして、幼稚園から義務教育を担当する文科省の立ち位置をしっかり生かした研究テーマというのは、今までやっているかどうかは別として、是非これからトータルな生涯を通しての、教育という立場から是非やっていただきたい。これは希望でございます。
 以上です。
【大日向座長】  ありがとうございました。
 そろそろ予定された時間となりました。本日も本当に皆様から活発な、そして貴重な御意見を頂きました。ありがとうございました。おかげさまで、報告書素案の構成、そして、その根本をなす理念に関しては、随分と御議論を頂き、合意をいただけたのではないかと思います。
 なお、3ポツ、4ポツ、今後のことに関したところが、ちょうどもう少し時間をかけた方がよいのではというところで、予定の時間となってしまいました。できましたらといいますか、是非ともお願いですが、次回までに事務局にメール等で皆様の御意見をお寄せいただければ大変有り難いと思います。とりわけ鑑(かがみ)文として何を書くべきかというようなところも再度確認したいと思いますので、そのあたりもメール、文書でお寄せいただければ大変有り難いと思いますので、お暑い中恐縮ですが、是非ともよろしくお願いいたします。
 それでは、今後の日程につきまして、事務局からお願いいたします。
【湯澤女性政策調整官】  それでは、資料2を御覧ください。
 次回の会議ですが、8月10日金曜日の4時から6時になります。場所は、文部科学省の会議室で、この会議室の隣の3F1特別会議室となります。
 次回で最終回ということになりますので、報告書のまとめの審議を引き続きさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。
【大日向座長】  ありがとうございます。
 ただいまの事務局の御説明に対して、御意見、御質問ありますか。よろしいでしょうか。
 では、少々お待ちください。堂本委員から。
【堂本委員】  私も昨日少し用事がありまして、結局、今朝読むようなことになりまして、そうすると、意見を書いて出すという時間がございませんので、次回は早めに出していただきたいと思います。
【大日向座長】  冒頭おわび申し上げましたが、本当に申し訳なかったと思います。ただ、皆様から頂いた御意見をもとに、事務方と御相談して、最終案も練りたいと思いますので、今日からどうぞ、どんどんお寄せいただければと思います。
 なお、今、堂本委員がおっしゃったように、ある程度の完成版はもっと早く送らせていただくようにいたします。本当に御迷惑をおかけいたしまして、申し訳ありませんでした。
【赤井委員】  事務局へというわけではないんですけど、次回が最終回ということなので、これまでの経緯もあって、仕分けとかもいろいろ言われていて、やはり国民への説明責任は重要だと思うので、思い切ってこう変わったというのがイメージできるような形で、皆さんも意識して、最後につくり上げたらよいと思います。それは、ハードとかソフトの部分もあると思いますが。
【大日向座長】  大変力強いお言葉、ありがとうございました。是非ともその方向で御意見いただければと思います。
 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

── 了 ──

お問合せ先

生涯学習政策局男女共同参画学習課男女共同参画推進係

(生涯学習政策局男女共同参画学習課男女共同参画推進係)