教育安心社会の実現に関する懇談会~教育費の在り方を考える~(第3回) 議事要旨

1.日時

平成21年6月17日(水曜日) 14時~15時

2.場所

東海大学校友会館「阿蘇の間」
(東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビル35階)

3.議題

  1. これまでの議論の整理について
  2. その他

4.出席者

委員

安西委員、門川委員、木村委員、橘木委員

文部科学省

塩谷文部科学大臣、松野文部科学副大臣、銭谷事務次官、玉井文部科学審議官、森口官房長、清水生涯学習政策局長、金森初等中等教育局長、德永高等教育局長、合田総括審議官、河村私学部長、栗山生涯学習政策局政策課長

5.議事要旨

<教育費負担に関する基本的考え方>  

 ○ もう少し記述に踏み込みが欲しい。子どもは社会の宝としてはぐくむ、それは社会の責務であり、したがって、税金の負担、ボランティア、企業の貢献がある。親はそのことを自覚して子どもを育てるべきであるといった確認が必要。同時に子どもは自らを磨き、自らを高め、世のため人のために役立つことにより、それが幸せに、自己実現につながるといった人づくりの重要性を記述すべき。

 ○ P2.「どんなに教育の機会均等が図られても」と書いている部分について、「どんなに経済的に教育の機会均等が図られても」と修正すべき。

 ○ P2.「教育現場で基礎学力の向上や道徳教育など」と書いている部分について「教育現場で基礎学力の向上や家庭との連携による道徳教育など」と修正すべき。

 ○ P2.「公教育に対する様々な不安が指摘」と書いている部分について、学校の責任の部分と家庭や社会全体の状況とが混在しているため、「問題行動など公教育と社会全体として次世代をはぐくむ力の弱体化等、課題が噴出し、不安が指摘されている」と修正すべき。学校の責任ばかりを追及するのではなく、学校と家庭と地域の連携が重要。

 ○ 貧困家庭の子弟に対する金銭補助よりも大事なのは、エンカレッジスクールのようなすべてを含んだシステム的なサポートではないか。リーダーとなる、校長、副校長クラスを別に育成する機関を国でつくるべき。

 ○ 家計負担をこのままにすると大変といった国民に直接届くようなフレーズで訴えるべき。冒頭の一句が大事。

 ○ 公教育支出が減っているから家計の教育費負担が増えている、国際的にみて我が国は公教育支出が非常に少ないから、非常に悲惨な状況にあるということを、前面に出して国民の支持を得るべき。

 ○ P7.「所得等が子ども教育等に及ぼす影響」について、親の所得だけではなく、子どもの能力に応じて教育支出を増加したり、少人数学級で徹底的に教えるなどの政策について考えるべきか、問題提起をしたい。

 ○ 塾に頼らなければならない学校教育であってはならず、公教育の質の向上が問われている。私学や塾のいいところを公立学校が取り入れることによって、公教育の資質と信頼が高まるため、そのようなことを国が奨励し、よいモデルは全国に波及していくようなシステムが必要。

 ○ 教員の資質の向上とともに、教員の指導体制の量的な充実等があわせて必要。

 ○ 教員の質が高ければ、生徒も頑張るし、学力も上がる。教員の資質の向上のためには、教員の待遇アップにより教員のインセンティブを高めることを具体的な方策として掲げるべき。

 ○ 高校について、ある程度、義務教育と同じような就学支援等を創設する必要がある。一方、高校教育無償化については、個々の経済的な格差があることや、義務教育でないという議論があるため、有効に財政を使うためには、低所得者の人たちに就学支援をするという形で具体的に緊急に提言をしたい。

 ○ 英国の高等教育白書に書いてあるように、高等教育に参入すれば、個人にとって経済的な上昇の手段になり、そのような国民が増えれば、国際競争力が高まるといったようなメッセージを国として出すべき。

 ○ 英国では、ニートが増えれば、税金を払わないため必ず国の衰弱につながるという考え方のもと、ニートをつくらないように、経済的に恵まれない家庭から高等教育への進学率を増やそうとしている。エモーショナルな書き方ではなく、現実に国の将来に響いてくるというメッセージが重要。

 ○ 高等教育費が増加しているオーストラリアでは、高等教育の投資を増やせば、これだけGDPが上がるという詳細な計算をしているが、そのようなメッセージを教育界から出していくべき。

 ○ コストベネフィットアナリスを、教育分野に関して出せば、国民は教育支出を負担することに理解を示すのではないか。

 <各学校段階での方向性>

 ○ 幼児教育の無償化については、地域の経済力によって差が出ないよう、P4「幼児教育段階」の「施策例」のうち「就園奨励費の拡充」について、明確に「国の負担による」旨修正すべき。

 ○ 部活動が子どもの教育に与える影響は大きい。しかし、部活動は経費がとてもかかるため、P4.「(2)義務教育段階」の「学用品、修学旅行費等」に、部活動にかかる経費について記述すべき。

 ○ 年収モデルで、生活保護の1.5倍の年収おおむね400万円以下まで支援の対象とすべき。一遍に無理なら、段階的にすべき。

 ○ 博士課程のサポートが不十分であることは、将来の研究開発人材の育成上ネックになっていることを強調すべき。博士課程の人材を国がサポートして将来の基幹的な人材を育成していくことも大事なのではないか。

 ○ 高校と大学について国公立と私立とでは負担額がかなり異なるので、どちらの設立主体に、どれだけの軽減措置をすべきか数字で出した方がよい。

 ○ 4年制大学のユニバーサル段階をどう見るかだが、意欲と能力のある者であれば誰でも入学することができるようにすべき。そのために、国公私立を問わず、特に家計負担の重い家庭等を、どのように、どの段階まで支援できるかを考えるべき。

 ○ ファイナンシャルプランに関しては、多岐にわたる奨学金について受験生や親がその内容や種類等を全て把握するのは不可能であるため、大学の支援情報を見ることができたり、相談窓口をつくることができたりすれば、大学にとってもインセンティブになる。

 ○ 専門学校が果たしている役割に着目し、専門学校への奨学金、支援についても触れてほしい。

 ○ P5.「TA、RA等を通じた実質的給与型の経済的支援の拡充」について、優れた外国人にも我が国の大学に入学してもらうべきことを考慮すれば、300万円程度の支援が必要。

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