これからの博物館の在り方に関する検討協力者会議(第8回)議事録

1.日時

平成19年3月16日(金曜日)16時〜18時30分

2.場所

GRSビジネスセンター八重洲annex会議室1

3.出席者

(委員)

佐々木秀彦、鷹野光行、高安礼士、中川志郎(主査)名児耶明

(事務局)

平林社会教育課長、行松地域学習活動推進室長、宮田社会教育課長補佐、馬場社会教育実践研究センター所長、関根美術学芸課美術館・歴史博物館室長、一山美術館・歴史博物館室長補佐 ほか 関係官

4.議事内容

 会議における主な意見は次のとおり。

【委員】

 本会議のまとめについて、前回の会議終了後に各委員との意見交換を行ったところ、ヒアリングや意見聴取をしたほうがいいとの意見があった。また、一般からも広く意見募集して、そういった意見を集約しながら進めていくのがいいのではないかとの意見があり、事務局の方で今後の進め方を整理していただいたので、説明をお願いしたい。

【事務局】

 3月中に本会議の中間まとめを行い、これについて4月中にヒアリングと一般の意見公募を行い、それを踏まえてどうするかを5月中に御検討いただくこととしたい。

【委員】

 資料2−(1)について、明確な方向性が出ていないものについて、確認していきたい。まず、資料の定義について御意見をいただいていきたい。

【委員】

 博物館の定義と要件について、考え方を整理するためにお手元に資料をお配りしたが、今後の議論の整理としては、博物館の機能や資料を広げて考えることの、メリットとデメリットが何かを考えなければならない。または拡散せずに考える場合も同様の事が言える。

【委員】

 博物館の定義を広げることは大事だが、いろんなことがおきる可能性がある。本来の博物館の意味が崩れかねないので、広げるには段階的に現状を見つつ含めていくことが必要ではないか。

【委員】

 理工系博物館の立場からいうと代替資料や2次資料があいまいになってきているので、固有資料を持たないところでも博物館というふうに定義していくことのほうを選ぶべきではないかと思う。

【委員】

 資料という言い方をやめて、コレクションに言い換えてはどうか。コレクションを持たないのは博物館と言えないのではないか。博物館の定義で扱おうとするから難しくて、「(3)新たな博物館の定義」は登録の対象として扱うべきではないか。2次資料とは1次資料の情報をつなぐための資料といえるのではないか。

【委員】

 固有資料がなくても認めていくのかどうかはこれまでと違うところ。

【委員】

 定義とはあちらこちらにいってはいけない。博物館の3つの機能については問題がないのではないか。それらの3つの機能を登録基準で満たしているのか、その内容はどうなのかを審査するのではないか。1次資料、2次資料があいまいだという意見もある。内容については格差があるので、明確にしないといけない博物館の定義とは何か、資料とは何かを分けて考える必要がある。

【委員】

 「教育的価値のあるもの」というように資料の定義に加えてみてはどうか。

【委員】

 定義と登録の要件を2つまたは段階を設けて、登録の要件の一つの考え方として、登録の要件を考える際にはっきりさせるようにしたい。

【委員】

 登録制度の対象として、営利法人・個人立をどうするかという問題についてはどうか。

【委員】

 設置者ではなく、活動の内容で博物館かどうかを考えていくのがいいと思う。

【委員】

 公益性が前提に立てばいいという考え方があるが、それについてはどうか。

【委員】

 営利を目的としている営利法人が、利益を追求しなくなることで、かえって社会的な責任を果たせなくなるという面もあるのではないか。

【委員】

 個人の場合、資料の価値が個人の判断に偏らないか。また、作品に関連するものについて、価格を引き上げたり、価格を調整するようなことがないか。
 地方公共団体もコストを意識するようになっているし、企業も社会貢献を考えるようになって、お互いに近づいている面もある。公益性という部分は登録や博物館倫理で縛りをもたせてはどうか。

【委員】

 会社でも利益を上げてやっているところもある。チェック機能があればいいと思うが、何でもいいという訳ではない。文化財を守っていくという面もある。

【事務局】

 法律を作って守るべき法益とは何かを考えて、株式会社を入れて、公益法人の改革の議論でも指摘されているように、博物館でも企業ができるということにならないか。株式会社を対象に含めて博物館の活動に公益性があると言えるのかどうか。

【委員】

 これまでも公立館では、税金で国民の文化のレベルをあげるということでやってきた。そして、株式会社は株主に対して利益を分配するということでやってきたが、最近、CSRということで評価されることになってきた。ただ、ここでは文化を享受する国民はどうなのかというのが抜けている。
 このことは博物館の定義と同様に登録基準で判断していくということになるのではないか。

【委員】

 博物館がどうあるべきかの理由と博物館法があるべき理由は異なる。

【委員】

 一部のための利益というのはない。

【委員】

 更新制と連動しなければ、株式会社を入れる議論は成立しない。

【委員】

 最近、間口を広げると博物館のレベルが低下するという意識を持っている人がいるが、我々の討論のプロセスを踏まえて考えていただければ分かると思う。ただ、我々は日本の博物館をどうするか、21世紀の博物館をどうするかというベーシックな問題を検討しているので、この会議では営利法人・個人も包含していく方向で、さらに煮詰めていくことでご承認いただきたい。
 それから、学芸員制度について御意見があるか。

【委員】

 専門的職員の「的」という言葉によって、学芸員の専門性が評価されない理由になっていると考えられる。

【委員】

 専門的職員というのは、社会教育関係の資格ではこのような表現がされている。この会議では「専門職員」として扱う。

【委員】

 教育普及の「普及」よりも「活動」がいいのではないか。教育を市民と同じ立場で考えると、15ページの最後「1教育普及」のところだけでも「活動」にしてはどうか。

【委員】

 前回、大学院における専門課程についてはバイパス的な考え方があるという話だったかが、大学院の中で専門的な勉強をしてきた者には資格を与えるという方向でよろしいか。

【委員】

 大学院で取れるものも何でもいいということではなく、博物館理論、博物館学、博物館資料に対する専門的な科目と素案にはあるが、このところをしっかり担保することが条件。

【委員】

 それから、上級学芸員の問題については、博物館ごとに主任学芸員や首席学芸員がいて、実態としてはそういう方向で進んでいる。

【委員】

 上級学芸員の制度そのものはいいが、それに見合うだけの資質、力量というか、表のようなものが必要。

【委員】

 上級と認定するための基準、認定機関の道筋はつけておいた方がいい。
 次に、無料原則規定について御意見をいただいていきたい。

【委員】

 私立で児童生徒を無料にした場合に、どの程度影響があるのか。

【委員】

 館によって異なる。館が対象にしているのが大人であれば、子どもだけでくることはない。ただ、子どもを相手にしているようなところは困るところがあるかもしれない。

【委員】

 私立であっても、原則無料というのは極めて難しいと思うけれども、義務教育レベルに対して無料にする、あるいは低廉な価格にするということについては、抵抗はないのではないか。

【委員】

 多様な人材についての御意見はあるか。
 有資格者が毎年1万人出ることについて、昔もミュージアムナビゲーターとしての活用を図ったがうまくいかなかった。学芸員の有資格者をどう活用するかという議論はあるが、博物館の理解者になるうるのは、有資格者だけではない。国民全体が博物館の理解者として運動していくことが大事。

【委員】

 博物館倫理については、ボランティアというのが強調されすぎている気がする。今日、用意した資料では博物館倫理を3つの要素があるということで書いてはどうか。

【委員】

 ここのところはボランティアを強調する意味ではなく、ボランティアも含めて働くものの倫理であるということ。この会議では、各団体が博物館倫理を定めるべきであるというか望ましいとするかどちらの方がよいか。

【委員】

 言い切ってしまった方がいいと思う。

【委員】

 諸外国でも博物館倫理は持っていて、日本にはない。

【委員】

 登録基準に盛り込むことを考えれば、会計倫理もあると良いと思う。

【委員】

 博物館倫理の中身が細かくなると、さらに議論が必要となるので、ここでは博物館倫理を定めることが必要だということでまとめてはいかがが。
 ほぼ全章にわたって、まとめ的な意味で皆さんの意見をお聞きしたので、大体のまとめはできると思われる。ただ、今後ヒアリング等が加わるということで、若干の修正はあり得ると考えると、細部については主査あずかりということで、事務局のほうと相談させていただくことでよろしいか。

【委員】

 意義なし。

【委員】

 それでは、本日の協力者会議は以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

(生涯学習政策局社会教育課)