これからの博物館の在り方に関する検討協力者会議(第5回)議事録

1.日時

平成19年1月19日(金曜日)16時〜18時30分

2.場所

三菱ビル地下M6会議室

3.出席者

(委員)

佐々木秀彦、鷹野光行、高安礼士、中川志郎(主査)、名児耶明、水嶋英治

(事務局)

中田大臣官房審議官、平林社会教育課長、行松地域学習活動推進室長、宮田社会教育課長補佐 ほか 関係官

4.議事内容

(1)報告書骨子たたき台について

 事務局より資料2、3について説明の後、審議を行った。各委員からの主な意見については以下のとおり。

【委員】

 全体的なフレームワークについての御意見があるか。

【委員】

 異議なし。

【委員】

 3ページの「博物館の目的と持つべき基本機能」について、ご議論いただきたい。

【委員】

 5ページ33行目の「収集し、保管する」の表現については、収蔵施設とか収蔵庫という言い方が適当である。
 また、5ページ38行目の「来館者に足を運ばせ」と、同ページ26行目の「教育や楽しみを与え」等の、大きな主体が人々に何かさせるという書きぶりは変更した方がよい。
 また、6ページ35行目の「常設展示もしないが、企画展示を通じた教育普及」という部分も、現場では教育普及活動と勘違いしてしまうので、「企画展示を通じた調査研究を行っている館」か、「企画展示等」が適当である。

【委員】

 博物館を教育施設として位置づけることは外してはならないので、法の目的に規定されていてよいと思う。
 それから、調査研究という機能が資料の調査研究だけでなく、博物館そのものの研究の場でもあるということも確認しておきたい。

【委員】

 3ページの、博物館法の目的について、教育に異論はないが、文化振興とか、もっと大きなことを入れたほうがよい。
 資料の保存、次世代への継承とか、文化財保護法にもつながるが、資料を守っていくことも博物館の重要な役割だということを入れてほしい。
 それから、諸外国の博物館の定義を例に挙げ、また、5ページの32行目で、「1から3の機能を、不可分一体に有しなければならない」と言って、6ページの33行目から36行目のところで、「常に最新の科学技術を入れかえつつ展示してあるというところ」と、「資料を持たないプラネタリウム」、それから、「収蔵品を持たず、常設もしないが」というのは、若干ちぐはぐな感じがする。

【委員】

 3ページのところで、「たんきゅう」という言葉を「究」と「求」どちらかに統一したほうがいい。
 これから定義しようとしている博物館の性格から、生涯学習機関の一つというようなことを明確に言ったほうがいいのではないか。
 5ページの博物館の定義の在り方のところが、資料のことだけを言っているので、教育やその他のことも少し123の中に入れた方がよい。
 6ページ目の32、3行目あたりのことに関係しているが、24行目のところで「実物性」とか「常在性」という言葉が、ここで議論している意味づけを一般的に表現している言葉かどうかが疑問に感じた。

【委員】

 目的のところに、文化全体とか資料保存、あとは伝統文化が入った方がいい。
 あとは、6ページ33行目から36行目のところと、ICOM等の定義との資料を持つ、持たない、の整合性が気になる。資料を持たないところをどのように解釈して、位置づけるかは大きな問題なので、意見を聞いた方がよい。

【委員】

 博物館の定義は今度の法改正の中では極めて中心的な課題である。博物館がここに挙げている3項目を不可分に持たなければならないのかどうかという問題を、もう一度議論して結論を出したい。
 もう一つの問題点は、ICOMが非営利であることを強く言っているので、そこをどうするかということ。
 以上の視点について議論を深めていきたい。
 まず、定義についてはいかがか。

【委員】

 定義の問題と登録の問題とは別に考えるのであれば、定義においては株式会社立であろうが、個人立であろうが関係ない話ではないか。

【委員】

 今の御意見について、確かに登録のときには当然問題になるが、法に基づいて登録が行われるので、基本的にそこの部分が固まっていないと、登録のときだけの問題にはならないと思う。他に御意見があるか。

【委員】

 非営利も条件として挙げた方が良いのではないか。株式会社でも、非営利でなければ博物館の定義から外れるし、登録もできないというようになってもいいと思う。ほかにも条件があるかもしれないが、少なくとも収益については明確に出しておいたほうが良い。

【委員】

 博物館法で、博物館の性格を述べていて、最後に、登録を受けたものをいうという表現にするならば、これはかかわってくるが、今はその前の、博物館の定義を考えるという立場にいるので、分けていいのではないかと申し上げた。
 ただ、登録を受けたものをいうという表現をすることで、すごくわかりにくくなっているという現状もある。

【委員】

 その点は、ICOMにしても、イギリスの博物館協会にしても、アメリカの博物館協会にしても、博物館とはこういうものだということをまず定義するところから始めている。要するにこの3つが不可分に存在した施設でなければ博物館として認めないのか。つまり、日本科学未来館あるいは国立新美術館のようなものは、不可分に存在していないということになるので、博物館の範疇に入ってこない。それでいいのかということではないか。

【委員】

 この会議では、今まで想定していた資料以外のものも含めて博物館資料と定義しようというように議論してきた。従って、ここに書いてある1なり3の資料というのを、資料等というようにして、今までの実物資料、リアルなものということを幅広くとらえていることを明記してはどうか。

【委員】

 その場合、アーカイブとかバーチャルも入ると考えるのか。

【委員】

 画像も入ると考える。端的言って、日本科学未来館や国立新美術館も限りなく入るような定義の方向性でいいのではないか。

【委員】

 何でもかんでもコレクションがあればいいという、例えば今質問したアーカイブ、画像、バーチャルミュージアムとかそういうものは、基本的には賛成しない。
 やはり実物とか模型、二次資料も含めて、物志向、物質文化を追求すべきであって、物を介在した教育であるべき。イメージや概念だけで教育するというのは、極端なことを言えば図書で教えることもできるし、画像だけで教えることもできる。個人的には、そこは譲れない部分で、資料を収集し保管する機能、展示し教育する機能、調査研究、これはやはり不可分一体に有しなければならない。
 今、時代に即して議論を進めているので、6ページの33行目から36行目のものというのは、目録があるかないかということが基本原則だと思う。町並みミュージアムとかエコミュージアムという話も出ているが、歴史的資料ということでは、古い町並みとか産業遺産も含めていいと思う。ただし、点在している登録文化財でも、建物でもいいが、それらが、目録的に管理・保存・情報提供されていれば、プラネタリウムも科学館も含めてもいいと思う。

【委員】

 私も展示で本物に触れる、本物を見て何かを感じるというのが基本だと思う。補助的なものとして、映像も含めいろいろ有効な手段があるが、物を見る時間がほんの数秒で、それ以外を3分も4分も見ているというのはどこかおかしいと思う。つまりほんとうのことが伝わらないのではないかという思いがあって、ずっと否定的だった。
 テレビ、映像で動物園の動物を見て、においのない動物を知っていて、自分は象を知っているつもりになって動物園に行ってみたら、巨大だった。強烈なにおいがしたとか、そういうことは学べないので、やはり、動物園は物がなければいけない。
 例えばプラネタリウムなどへ行くと、継続的に蓄積、研究した資料があって、継続的に積み重ねた映像なりいろいろな資料があって、それを使って見せることができるとか、そういった形の資料なら許されるという気がする。従って、物が素通りするだけで、いつもそこに何もないというところはちょっと認められない。

【委員】

 ただ、バーチャルな世界というのは別だと思う。基本はやはり物なので、物から派生する二次的な資料、研究資料、研究の蓄積というのも入るだろうし、中心に物があって、それから派生するさまざまなものというのがあれば、いいと思う。そうすると、科学的な現象、パフォーマンス、例えば演劇であるとかも含まれて、言ってみればICOMの定義的に近くなる。

【委員】

 ICOMでも示しているように、何が大もとかというところははっきりさせる必要があるのではないか。

【委員】

 1つ例示的に申し上げると、一昨年の韓国で開催されたICOM大会でも、国際的な流れとしては、物がなければ博物館ではないという声は、今のところでは、むしろ大きく包含する方向に流れていると思う。ただ、今の博物館法というものを考えるときに、3つの丸で示したカテゴリーの中で、利用者が直接触れられるものは何かといったら、展示部門だけで、研究と資料収集はお客さんの前にあらわれてこないという部分がある。そうすると、一般の利用者は、日本科学未来館と博物館、科学館とどう違うのかというところの区別が極めてつきにくいと思う。
 これだけコミュニケーションの手段が多様化してきて、50年前と同じに考えるという考え方が今だんだん薄れてきている。そのあたりは、今度の博物館の定義を考えていく場合に押さえておかなければいけないのではないか。
 それから、ただ無防備に何でもかんでもいいということではなくて、ICOMと同じように、博物館とはこういうものだ、しかしそれに類似するものとして、類別性の博物館の定義というものがあってもいいのではないか。

【委員】

 4ページのICOMの定義の3行目以下に書いてあることを定義としていい思う。例えば教育センターという博物館とは全く関係ないところも、いろいろな資料があれば、教育博物館というものになり得るという発想で考えるなど、博物館の外側にあるいろいろな機関が博物館的な発想で自分の機関を見直して、より多くの仲間が増えるということもあり得るのではないか。そういう効果をこれから目指すというのも一つの在り方ではないかと思う。

【委員】

 無形というのも、初めからこうではなくて、その前にやはり物があって、そういう積み重ねの先の問題だと思う。

【委員】

 原則は、無形文化財であっても、例えば音楽だけじゃなくて、音楽をつくり出す楽譜だとか楽器というのがあって初めて無形文化財ということもあり得るので、そういう意味では、無形文化財は大事だと思うが、原則論は外してはいけないと思う。
 機能を重視するのか、物を重視するのかということになるかもしれないが、物があってほしいという原則は変わらない。

【委員】

 定義については事務局のほうで資料収集とリサーチ等をしていただいて、もう一度皆さんに諮るという方向で考えていきたい。皆さんもその間、お考えいただきたい。
 ただ、一般市民という人たちの視点と専門家で博物館人の視点というのはかなり乖離があるということだけは自戒していないと、とんでもない方向に行ってしまう可能性があるので、一つの考え方としては押さえておく必要がある。
 したがって、ICOMの考え方、イギリスの博物館の考え方等を踏まえて、イギリスは非常に資料というものを重視していて、資料がなければ博物館ではないという基本的な考え方がある。しかもその資料も、これは国民から負託されたもので、美術館の所有物ではないというように言い切っている。その辺のところを踏まえて、もう一度検討したい。

【委員】

 例えば展示活動あるいは展示教育活動を通じて、我が国の文化の向上とか文化の振興に寄与する機関であるとかいうようなまとめ方というのはできないか。物を基盤にした活動ということに重きを置いた定義というのも考えてはどうか。

【委員】

 次に登録制度の在り方について御意見いただきたい。

【委員】

 館同士のつき合いというのは、限られているので、具体的にどういう違いがあるのか、どういう統一の部分があるのかというのは意外と分からない。いろいろな分野から出てきて、一回統一を図るという議論が必要ではないかと感じている。

【委員】

 13ページ目の、「権威ある機関が」とか「権威ある第三者」というのは、専門機関という言葉があるので、「専門的な」とか「専門的知識を持つ」とか、という表現のほうがいい。それから12ページのところに書いてある、設立主体のところで、株式会社という言葉だけを限定して書くのはどうかと思う。株式会社はあくまで営利法人一つではないか。
 それから、県レベルで登録審査をやっている現状を考えると、現状の制度と新しい制度の移行措置というものを考えておくことが必要ではないか。

【委員】

 第三者専門機関については、法的なバックアップ体制があるかないかによって、登録審査が確実にできる、できないというのがある。法的なバックアップを明記しておかないと、後々崩れていくのではないかという気がする。
 それから、登録博物館の名称独占について、原則として賛成だが、そこまで言い切るならば、もう一段ハードルを高くして、外部評価を受けるということを法律で明記できないか。評価を受けるということが法的に保証され、なおかつそれが情報公開されていくと、博物館の活動がもっと市民に情報提供されていくのではないかと思う。

【委員】

 今度新しい制度をつくるときに、これまでの登録でいいのか、認証がいいのかということがある。同じ言葉を使うと概念が同じになってしまうのではないかという心配がある。

【委員】

 営利、非営利ということも公益性が高いかどうかで判断して、安定性、永続性を基盤にして公益性を追求しているという条件をクリアしていれば、当然登録の対象にしてもいいと考える。

【委員】

 登録制度を何とかしなければならないというのは事実だと思う。前回の議事録の中で書かれてあるとおり、従来のやり方には大きな欠陥があるし、新しい制度に改めたほうがいいというのが大方の意見だったと思う。
 今回の提案に対して、法的なギャランティーがあるのかどうかという問題について、今後大きな問題としなければいけいない。
 それからもう一つ、登録と呼ぶか、認証と呼ぶか、認定と呼ぶかという問題もある。
 それから、、プロフィット、ノンプロフィットの問題がある。しかしプロフィットだからといって門戸を閉ざすべきではないというご意見だと思う。
 また、登録制度というものについて検討していくと、あまり安易にレベルを下げることによって、博物館自体のレベルが落ちるのではないかという危惧をする面も当然ある。ノンプロフィット、プロフィットの問題を含めるべきか、ICOMのように峻別すべきかという部分についてご意見があるか。

【委員】

 教育機関ということで考えれば、利益を追求するものはここでは関係ない話ではないか。頭から排除するというのではなくて、原則として押さえておきたい。

【委員】

 私は、容認派だが、幾らやっても、入館者収入というのは10パーセント前後なので、それで利益を生み出すということは、現在は無理だと思う。それでもやろう、文化に貢献しようというところがあるならば、やっていただいたほうがいいと思う。

【委員】

 施設としてはきちんとした美術品を持っていて、公開している。その利益を私利私欲に使うのではなくて、蔵品を買うとかそういうものに使って、還元していたら認めざるを得ないと思う。

【委員】

 窓口は閉ざさない。しかし、登録審査の運用の中でセレクトしていくということ。これもかなり難しいと思うが、そういう考え方ということか。
 それから、安易に枠を広げることによって博物館の質そのものがレベルダウンするのではないかという危惧についてはいかがか。

【委員】

 登録制度と更新制というのは対のもので、登録制度をやるためには、博物館の質を維持したり、質を明示したりするための登録だというように考えるべき。従って、今どういう質を持っているかについて、常に登録制度で表示していくということが必要だと思う。
 登録制度では、何とかその趣旨に合うように、企業、会社などに何らかの会計上の処理をテクニカルの面でしてもらうということ等を付加したらどうか。

【委員】

 次に、具体的に、登録の基準の骨格について議論していきたい。現行の規定はだれでも判定できるというような内容であった。しかし、今後の基準は、数量的な基準だけではなく、博物館の使命、公益性を中心に置くべきではないかという意見もあるが、御意見をいただきたい。

【委員】

 ハードとソフトがかみ合った方がいいと思う。学芸員の数を決めるとかはできないと思うが、数値化できるものと、ソフト面の評価というか、事業評価も入れておかないとまずいのではないかなと思う。
 抽象的な言い方だが、間口は広いほうがよくて、審査で判断すればいい。永続的な事業を継承できるような体制がないとできないので、更新または評価すべき。
 資料3の参考1の2枚目に書いてある、基準の組み合わせ、これになるのではないか。これがないと、美術館、動物園、植物園が一緒に扱われることについてクレームも出てくるし、我々の特殊性、個性を、どう考えているのかということになる。従って、共通基準プラス別の基準という、この2点セットで登録審査となるのではないかと思う。
 ただ忘れてはならないのは、日本の全体の博物館の底上げを図るということである。

【委員】

 資料3の考え方で基本的にいいと思う。共通基準と、館種または館の特徴に応じた要件を幅広く、緩く書いておくのがいいのではないか。
 細かい話になるが、基準の観点の中に、7の「市民参画」という言葉が突然出ているが、あたかも市民参画が多ければ多いほどいいというふうな印象がどうしても出てくるので、これは本来、「使命と計画」の中でいろいろ考えるべきことではないかと思う。

【委員】

 共通の基準と特定基準を両方組み合わせるのがいいと思う。
 博物館が多様化してきたときには、何をしているかという活動が一番大事だと思う。
 そうなると、門戸を広げても、それなりに要件に合うものというのはセレクトされてくるので、そこで質を高める。質を維持していかなければ意味がないと思う。

【委員】

 マネージメント、コレクション、コミュニケーションという3つの要素があるので、その中に、どんな項目を下に落とし込んでいくと当てはまるのかという観点から、汎用性の高い項目設定をしたほうがいい。

【委員】

 特に事務局のほうで気にしているのは、最低基準だけでいいのか、それとも更新制の中で最低基準を更新するということなのか、グレードアップしていくのか、その問題があると思う。そうなるとまたシステムが違ってくるというのもあって、アメリカの博物館協会のように、グレードアップのための専門機関があって、常にそういう仕組みを各館が応用できるようなシステムを構築しているという部分もある。そこまで目指すのか、それとも最低レベルだけでいいのかという問題は、実は登録基準をつくっていく上でかなり重要な課題になる。
 それについては、どのように考えるか。

【委員】

 なるべく多くの博物館が登録という仕組みの中に加われるようにという意図からすると、最低基準になる。ただ、登録なり認証なりすることのメリットが単に名称独占だけでいいのか。

【委員】

 もう一つ、登録機関がミニマムからある段階にまで到達できるようなアシストをするという、アメリカの博物館協会がやっているような制度が組み合わされることによって、グレードアップシステムが登録制度とジョイントして進んでいくという形が望ましいと思う。そうすると行政のほうも、そこに到達すると世間的にかなり評価されるということもあって、社会的な評価を得る一つの手段になると思う。
 最近、国際ISOシステムの認証を受けているところでは、大きく広告を出している。あれと同じようなものがこの認証制度の中にシステム化されると、先程、委員からご指摘のあった部分については解決されるのではないか。
 したがって、今回の登録制度の中で、そこまで踏み込んでいくかどうかという問題になるか思う。要するに、みんなが受けたくなるという状況でなければ意味をなさないわけなので、その辺のところについては、やっぱり一緒に考えていく必要があるのではないか。

【委員】

 更新制を導入するならば、審査基準を公表して、5年から10年になると一回やった館はもう一回、次に更新するわけですね。そのときに、もちろん国と文科省と第三者機関が十分意見調整して、イギリスの場合、最初のレジストレーションスキームはプリザーベーションを重視しますよとして、、コレクションの保護を重点に見ますと。それを実質10年で、第2期のレジストレーションは教育を重視しますよというふうに表明して、更新した博物館は、今まで一生懸命プリザーベーションをやっていたら今度は教育かと、またそこで頑張るようになっている。
 そういう意味で、審査評価基準を明確にし、そしてそれを国民に公表し、今、委員がおっしゃったように、ISO9000というような形で、うちは取っていますということも表明してもらい、博物館政策と一致した審査登録制度にしたほうがいいのではないかなと思う。

【委員】

 最低基準を示しただけで質の維持ができるのであれば一番いいが、逆に登録したことによって、サービスが受けられるような制度にしてはどうか。つまり登録したときに、年に一度助言を受けられるようなことを考えるなど。

【委員】

 システムとして構築する場合に、単なる登録とか認証だけをするということでは物足りない感じがするので、博物館の力をパワーアップしていく一つの手段にならないといけないと思う。また、そういうものを競って受けるような社会風潮というものを成長させていくことが必要だと思う。

【委員】

 JSTがやっている理解力増進事業のようなものに博物館理解事業が入れば、毎年いくつかの館がサービスを受けられるという象徴的な出来事となる。そんな大きな金でなくても、何年間かやれればいいんじゃないかなと思う。

【委員】

 文化ホールでも、申請して助言、指導に行くというような仕組みもあるので、期間限定でも、パイロット的にそういうものとセットにやるといいという感じがする。

【委員】

 それでは、名称独占その他についての考え方は以上として、最後に1ページの「はじめに」という部分と「昨今の動向」という部分について、事務局からご説明いただきたい。

【委員】

 博物館の定義、登録制度の見直し、学芸員制度の見直しというのは確かに大きな問題だが、もう一つ問題として残っているのは、マネージメント、運営の問題である。今、各博物館で一番大きな問題になっているのは、地方公共団体では指定管理者制度である。指定管理者がだれのためなのかという部分が、もう一つ等閑視されているところがあるので、この部分は法改正の中で大いに議論されなければいけない。
 それからもう一つは、独立行政法人制度。市場化テストが指定管理者制度のデメリットと根っこのところで共通する部分が若干ある。それからもう一つは、地方独立行政法人について、今後選択肢としてこれを採用していくかどうかはかなり大きな問題なので、「はじめに」のところで、マネージメント、博物館運営という問題については避けて通れないという気がする。これについても議論する場を設けていただきたい。ほかに御意見があるか。

【委員】

 リード文のところで、未来志向の博物館の在り方を色濃く出したほうがよい。

【委員】

 他にご意見がないようなので、本日はこれで閉会とする。

以上

(生涯学習政策局社会教育課)