これからの博物館の在り方に関する検討協力者会議(第1回)議事録

1.日時

平成18年10月11日(水曜日)17時〜19時

2.場所

三菱ビル地下M8会議室

3.出席者

(委員)

佐々木秀彦、鷹野光行、高安礼治、中川志郎(主査)、名児耶明、水嶋英治

(事務局)

中田大臣官房審議官、平林社会教育課長、行松地域学習活動推進室長、関根美術学芸課美術館・歴史博物館室長、一山美術館・歴史博物館室長補佐 ほか 関係官

4.議事内容

(1)主査・副主査の選任及び会議の公開について等

 会議の冒頭に中田大臣官房審議官より挨拶があり,続いて事務局より当会議の公開について,資料2に基づき説明を行い,案のとおり了承された。
 引き続き,主査・副主査の選任について諮った所,中川委員を主査に推薦する旨の発言があり,中川委員を主査とすることで,委員全員の了承を得た。また,副主査については中川主査の指名により,水嶋委員とすることで委員全員了承を得た。

(2)会議の進め方及び博物館制度の過去の検討結果の整理と現状について

 事務局より資料3〜7について説明の後,審議を行った。各委員からの主な意見については以下のとおり。

【委員】

 過去の検討結果の資料から、これまでも登録制度、学芸員資格、評価、博物館の定義をテーマとした議論がなされてきたことが確認できた。

【委員】

 大きな関心事は2つある。まず、博物館の範囲をどうするか。現状の博物館は地方公共団体を中心として考えられているが、21世紀の博物館を考えた時、地方公共団体を主として考えるよりも会社や民間の力を借りるように対象を広げてはどうか。
 イギリスではLMA(ライブラリー、ミュージアム、アーカイブ)といって、博物館を大きな概念の中の一つの機能として捉えている。日本であれば、「C:コミュニケーション(公民館)」が加わって「LMAC」の概念で博物館を考えることはできないか。博物館の教育普及活動でも資料にこだわらない教育もあり、公民館の活動と似ている。

【委員】

 LMACの考え方は社会教育の概念ではないか。設置主体の枠をとっぱらって考えるということになるのか。

【委員】

 博物館活動との共通性に着目した考え方である。全体的な方向性として打ち出すというよりも、特殊なケースとして取り扱ってみてはどうか。

【委員】

 やはり資料を扱うところが博物館であって、大きな枠組みの中で資料を持っていない博物館があってもいいと思うが、資料を持っているところと、そうでないところは分けて考えた方がいいのではないか。

【委員】

 イコム規約に沿って、幅広く捉えてはどうか。ただ、博物館学の研究機関までは含める必要はないと考える。

【委員】

 設置主体のことを言えば、公益性を果たしているのは公立の博物館だけではなく、博物館がどう公益性を果たしているかが重要ではないか。私立の博物館や民間の博物館でも公立館以上にすばらしい博物館活動を行っているところはある。
 博物館の専門家集団として様々な主体が公益性を持つことが重要と考える。

【委員】

 イコム規約にもあるように、公益性というだけでなくその継続性も重要であると考える。過去はそれを担保できるのが教育委員会であるとの判断で現行の制度が作られている。それを担保する仕組みを考えることが必要。

【委員】

 10年、20年先を視野に入れて考えた時、専門機関の強化が必要でありそれによって評価・認定機関として機能してくる。

【委員】

 話し合いをすすめるためにはフレームワークを決めなければならないが、事務局としての意見はあるか。

【事務局】

 登録制度や学芸員資格を考えていくなかで、現行の博物館の対象者や事業に何を新たに加えていくかということをご議論いただきたい。

【委員】

 博物館法は私立博物館向きに作られていない。先程、私立や民間でも良い博物館があるとの意見が出たが、私立は指定管理者が導入される前から博物館活動の創意工夫や効率化を行ってきたという違いである。

【委員】

 公立博物館では、1990年頃までは予算があったが、毎年20パーセントもカットされ続けているところもある。数年で景気が回復する見込みがない状況では博物館の専門性が生かされない。

【委員】

 同様に学芸員職員の専門性も確立されてこなかった。設置主体を限定するのではなく、大きく捉えて考えてはどうか。

【委員】

 フレームワークは見えてきた。事務局でまとめていただきたい。

(3)論点と今後のスケジュールについて

 事務局より資料8及び9について説明の後,審議を行った。各委員からの主な意見については以下のとおり。

【委員】

 法改正について、技術的な理由ではなく、なぜこのような方向で考えるかという大義名分が必要ではないか。

【委員】

 その指摘は大変重要である。

【委員】

 現状の登録制度について、登録博物館とそうでないところにはどのような差があるのか、登録制度があることで質の向上につながっているということが証明できないか。

【委員】

 資料8についてはよくまとめられているが、利用者から見た場合のニーズが論点から見えてこない。ただ、外形審査に留まっている地方公共団体の審査は見直す必要がある。

【委員】

 一般の人から見ると博物館と名のついているものは全て同じ。とりあえず全ての博物館を対象にして、そこから段階的に良い博物館が認定されて、それを利用者が認識することが大事ではないか。

【委員】

 登録制度において、昭和48年に制定された、「公立博物館の設置及び運営に関する基準」のようなミニマムの基準を作って、評価制度を厳しくするという方法もある。そのためには評価に堪えられる博物館になる必要があるが、裾野を広げるのであれば、学芸員の質の向上も大事。現行の博物館実習については、大学も博物館もずさんである。役にたっていない。

【委員】

 なぜ法改正をするのかという議論が十分になされないと、制度だけを議論しても元に戻ってしまう。法として改正するのであれば、一般国民に対して博物館法を改正する大義を説明できなければならない。国民の多様化したニーズに応えられるだけのフレームワークづくりが必要。

(4)博物館に関する調査について

 事務局より資料10について説明の後、以下の意見があった。

【委員】

 このような調査は大変有効である。是非、お願いしたい。

 最後に事務局より次回の会議の日程(日時:11月1日(水曜日)17時〜19時、場所三菱ビル地下M1会議室)について確認した後、散会となった。

以上。

(生涯学習政策局社会教育課)