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「今後の家庭教育支援の充実についての懇談会」中間報告

平成14年3月8日
今後の家庭教育支援の充実についての懇談会

も   く   じ

はじめに

1. 家庭教育支援についての基本的考え方
    1 家庭教育は親の責任と喜び   
    2 子育てをめぐる社会環境の変化
    3 「社会の宝」として子どもを育てる

2. 現在の若い世代の特徴について
    1 育児能力につながる体験の減少、中高年世代との意識のギャップ
    2 意識・課題の多様化

3. 今後の家庭教育支援の充実のための基本的な方策
  (1) 全体的な考え方
      1 親の成長の支援
      2 父親の家庭教育参加の促進、企業等への働きかけ
      3 子育ての社会化を促すムードづくり、家庭教育支援の基盤整備
      4 行政、企業、市民等が一体となった取組の推進
      5 これまで手が届きにくかった親等へのアプローチ
  (2) 学習機会の充実のための方策
      1 子どもの発達段階に応じた子育て学習の全国的展開
      2 「子育てサロン」型学習スタイルの展開への支援
      3 子育て情報の発信、学習機会や情報提供の工夫
  (3) 地域における子育て支援の充実のための方策
      1 地域一体となった子育て支援
      2 子育てネットワークの形成の支援

4. 子育て支援を進める際の留意事項
  (1) 学校や地域の団体との連携
  (2) 子育てネットワークの形成のために
  (3) 子育てネットワークの運営について
  (4) 子育てサポーターの養成について
  (5) 父親の家庭教育参加の促進について
  (6) 家庭教育手帳、家庭教育ノートの活用の促進の方策

附   属   資   料

今後の家庭教育支援の充実についての懇談会について(生涯学習政策局長決定)

今後の家庭教育支援の充実についての懇談会委員

「今後の家庭教育支援の充実についての懇談会」における審議の経過について



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はじめに
   最近、児童虐待の増加や校内暴力、不登校といった子どもの問題行動が深刻化しています。こうした問題の背景として、近年の都市化、核家族化、少子化、地域における地縁的なつながりの希薄化等により、親の間に、子育ての負担感や子どもの教育の仕方がわからないといった育児に関する悩みなどが広がっていることが指摘されています。
   本懇談会は、こうした状況を踏まえて、平成13年9月に、今後の家庭教育支援の在り方について検討を行い、関連施策の充実に資することを目的に発足し、家庭教育支援に携わっている方々による事例発表を含め、これまで7回にわたって議論してきたところです。
   こうした事例発表や議論を通じて、今日の子育てをめぐる社会環境の変化により、家庭教育が困難な状況になっていることや、こうした状況を背景に、各地で、行政と地域の子育て関係者の連携による家庭教育を支援する取組が少しずつ進む傾向がみられます。今後、こうした取組が全国各地で広がっていってほしい、また、そのためには、各家庭、特に父親、企業、行政関係者、地域の人々を含め、私たち大人一人一人が、それぞれの立場で、この問題に関心を持ち、行動していくことが大切だと感じ、中間報告をまとめました。
   今後、本懇談会としては、本中間報告に対する各方面からのご意見に耳を傾け、より充実した報告となるよう努めていきたいと考えています。



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1. 家庭教育支援についての基本的考え方
    1 家庭教育は親の責任と喜び   
      家庭教育はすべての教育の出発点であり、乳幼児期の親子の絆の形成に始まる家族とのふれ合いを通じて基本的な生活習慣・生活能力、人に対する信頼感、豊かな情操、他人に対する思いやりや善悪の判断などの基本的倫理観、社会的なマナーなどを身につける上で重要な役割を担うものです。さらに、人生を自ら切り拓いていく上で欠くことのできない職業観、人生観、創造力、企画力といったものも家庭教育の基礎の上に培われるものです。
      子育てには多大な努力が必要であり、困難も伴いますが、親にとって子どもの成長は何ものにもかえがたい喜びでもあります。家庭教育は親の責任であると同時に、親の権利や喜びでもあるということを明確にし、親が子育てに喜びを見出せるような支援の在り方を検討していきたいと考えます。
    2 子育てをめぐる社会環境の変化
      近年の児童虐待の急増等の背景として、家庭の教育力の低下が多く指摘されています。今日の家庭教育については、個々の親の問題だけにとどまらず、社会の大きな変化の中で、子育てを支えるしくみや環境が崩れていることに目を向けなければなりません。
      昔の日本では三世代同居型の家庭が多く、親以外に多くの大人が子どもに接し、それらが全体として家庭教育を担っていました。地域住民相互の人間関係も今より密接で、人々がどの家の子どもたちも「地域の子ども」として見守り、育てていたものです。
      ところが、急速な都市化の進展、職場と住居の分離などに伴い、家族の形態や生活様式は大きく変わり、核家族化や地域内の人間関係の希薄化が進んだ結果、今日では、子育ての負担が親にのみかかるようになってきました。
      それに加えて、少子化が進む中で、現在の若い世代の多くは、実生活において乳幼児に接したり、幼い弟妹の子守りをしたりする機会が少ないまま大人になってきています。このため、親の中には、乳幼児とはどういうものか、親として子どもにどのように接したらよいのかがわからず、育児不安を持つ親が増えています。
      また、父親の家庭教育参加が少ない状況の中で、孤独な育児により困難な状況に追い込まれる母親がいる一方で、働く母親には仕事と子育ての両立に悩むといった問題があると指摘されています。家族を構成する男女が相互に協力するとともに、社会の支援を受けながら家族の一員としての役割を円滑に果たし、家庭生活と仕事や地域生活との両立を図ることができるように支援することが、男女共同参画社会の実現の観点からも大切だと考えます。
    3 「社会の宝」として子どもを育てる
      家庭は本来私的な領域であり、家庭教育はそれぞれの親の責任と自覚に委ねられるべきものですが、こうした社会状況を踏まえると、家庭における子育てや教育を社会全体で応援し、支えていくことが求められています。
      その際、親が「子育ては苦しい面もあるが楽しい」と感じ、子どもや親の気持ちが安らぐようにすることが大事です。このため、子育て家庭の「支え」となる新しい人間関係、家族関係、地域社会をつくっていくことや、「子どもは社会の宝」として親と子と家族全体が育っていくのを社会全体で支援していくことを提案したいのです。



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2. 現在の若い世代の特徴について
    1 育児能力につながる体験の減少、中高年世代との意識のギャップ   
      現在の若い世代の多くは、乳幼児の世話をするといった経験だけではなく、様々な人と接したり、育児能力につながる様々な体験を持つ機会も、以前の世代に比べると大幅に減っています。また、子育てに関する知識や情報についても、親になる前に触れる機会が少なくなっているため、妊娠・出産してからの子育てを育児書に頼り、育児書と現実とのギャップに思い悩む人も少なくないようです。また、子育てに関する情報が氾濫し、混乱をもたらしている一方、親として育つための学習機会は少なく、社会環境もこうした親の現状に即したものとは言い難い状況にあります。
      このような状況の下で、自分の子育てに対して戸惑いや不安を感じることもあり、それをなかなか解決できない現状があります。また、そもそも子どもを持つことを「人生のリスク」のように考える人さえ出てきています。
      また、社会の価値観が多様化する中で、若い世代の多くは就労をはじめ多様な形態で社会に参画していますし、子育ての目標も確固たるものではなくなっています。
      このため、「子どもだけを生きがいとした生き方」には共感できない人も多くなっていますし、中高年世代の人が時代の変化を考慮せずに「自分たちの子育てはこうだったからこうすればよい」といった成功体験のみに基づいた話をしてもあまり理解されません。
      さらに、成果重視・効率重視の社会的風潮の下で育った世代は、「プロセスの大切さ」を見落とす人が多いという指摘もあります。

    2 意識・課題の多様化
      現在の若い世代のライフスタイル・意識は男性、女性ともに多様化しています。仕事を持ちつつ子育てをする女性が多くなり、男性の方が主に家事や育児を担う夫婦も一部で見られます。また、ひとり親など家族の形も多様化しており、それぞれが抱える課題も一様ではありません。
      例えば、仕事を持つ男女は子育ての時間の不足に悩み、日々の子育ての閉塞感は専業主婦に強い傾向があります。
      また、母親の中には、周りの人の助けを上手に借りながら子育てをしている親もいる一方、一人で子育てを抱え込みこれ以上追いつめてはいけないというほどがんばっている親もいますし、家庭教育に無関心な親もいるなど、その状況は様々です。
      さらに、30代、40代の親の中には、子どもの教育と自身の転勤の問題など、仕事と生活の両面で困難な問題を抱えている人も少なくありません。
      このように、男女、ライフスタイルにより育児の課題が大きく異なることを認識することが重要であり、今後は、一人一人の親に合わせた多様な支援を展開していくことが大切と考えられます。
      もっとも、多様で個性的な生き方は十分尊重しながらも、社会生活をしていく上で重要で基本的な事柄は家庭できちんと押さえていくことが大事でしょう。



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3. 今後の家庭教育支援の充実のための基本的な方策
  (1) 全体的な考え方
      1 親の成長の支援
        本来、はじめから立派な親がいるわけではありません。子どもの成長を喜びとしたり、苦労して子育てしたりしながら親も成長していくものです。母親や父親が周りの人と一緒に子どもを育て、親として育っていくことで、子どももしっかりと育っていきます。
        このため、親と子の成長を社会全体が支えるという考えの下に、様々な支援策を設けていくことが求められています。その際、たとえ時間はかかっても親自身による選択や親の自立に対する支援をするという視点が大切ですし、子育ての当事者に軸をおいて施策を進めることが大切だと考えます。
        また、若い親が過度に緊張せずに、気楽に子育てができるように配慮することが大事だと考えます。
      2 父親の家庭教育参加の促進、企業等への働きかけ   
        父親が子どもの教育に関わることは子どもの成長にとって好ましい影響を及ぼすものです。
        しかしながら、我が国では、ともすれば母親に家庭教育の責任が委ねられ、父親の存在感が希薄になりがちであり、父親の家庭教育参加が国際的に見ても極めて少ないことが問題とされています。
        そこで、まず、父親には、家庭教育に対する役割の重要性を認識し、責任を自覚することを求めたいと考えます。
        また、父親は、子どもと積極的にかかわることにより、子育ての喜びを感じることができることや、父親自身が人間的にも成長することを知ることが大切です。
        さらに、父親は、夫婦の関係においても、母親の人格を尊重し子育ての努力を認めることが、いかに子育てによい影響を与えるかを知ることが大切です。
        しかしながら、企業経営者や職場の管理者が男性社員に対して一般的に持っているイメージは経済の高度成長期から続いている「企業戦士である父親」像と考えられ、子育てに積極的に関わりたいという意欲を持つ父親に対する理解は少ないのではないのでしょうか。
        本懇談会は、各企業等において、子育ては将来の人材を育成するものであり、「家庭における子育てや教育は重要な社会的営みである。」との認識の下に、職を持つ父親・母親がもっと子育てに関われるような環境をつくるように努めることが求められていると考えます。
      3 子育ての社会化を促すムードづくり、家庭教育支援の基盤整備
        本懇談会は、文部科学省と地方公共団体が、家庭教育支援を21世紀の教育行政の重点課題として、予算措置を含め施策の充実を図ることを提言します。
        しかしながら、家庭教育支援については、行政の取組だけでは限界があり、直接子育てに関わっていない大人も含め、市民一人一人の活動、子育てネットワーク、サークル等の主体的な活動を基盤として、その連携の下に共同して取り組んでいくことが不可欠です。そうした観点で、子育てを社会全体で支えていくこと、いわば「子育ての社会化」を促すための機運を醸成していくことが求められます。
        「子育ての社会化」を図るためには、社会全体の課題として、家庭における子育てや教育の問題点についての意識を共有することが必要ですが、現状は、親世代の未熟さの指摘に偏っている感が否めません。このため、行政関係者等が子育ての現状についての理解を深め、意識を変えていくことが求められます。
        また、子育てへの無理解、親への無理解は、子育てに社会の目が向けられていないことも一因と考えられます。
        このため、文部科学省と教育委員会は、社会教育関係の事業が子育て中の親に門戸を広げ、子連れでの参加(保育付き、または子連れ参加を許容する。)ができるよう、努めることが期待されます。
        さらに、現在求められている家庭教育支援事業は、講座・学級などのこれまでに実施されてきた社会教育関係の事業とは大きく異なる要素を持ち合わせています。このため、地方公共団体が実際の事業を地域において効果的に展開するための基盤整備や先進的な事例の紹介などの支援が求められますので、文部科学省または関係機関が、子育てネットワークの構築や各種事業を展開するためのサポートの機能を強化することが期待されます。
        そのための一つの方策として、文部科学省または関係機関が、今後、ホームページ、広報誌などを通じて、家庭教育支援の情報を提供し、各地の取組事例や研究発表を行う経験交流の場を設けることを望みます。
        なお、家庭教育の支援に当たっては、各地方公共団体において教育委員会が中心となって様々な施策を行うとともに、母子保健・福祉の面からの施策を担当する部局との連携を強化していくことが求められます。
      4 行政、企業、市民等が一体となった取組の推進
        家庭教育の充実のために今最も重要なことは、社会全体が「人づくり」、「子育て」、「家庭教育」等について共に考え、行動していくことです。そのためには、親だけではなく、高齢者、これから親になる世代の若者、企業経営者等も含め、大人社会の一人一人が家庭における子育てや教育の充実に向けた「意識改革」を行い、できることから行動に移していかなければなりません。このため、家庭における子育てや教育の充実のための、行政、企業、市民等が一体となった取組を推進することを期待します。
        近年、地方公共団体では、毎月一回の日曜日を「家庭の日」として、市民に広報したり、施設を無料開放するといった取組が行われるようになっていますが、今後、こうした取組が増加していくことが期待されます。
        また、「家庭教育」という名称そのものが市民に十分浸透しているとは言えません。そこで、文部科学省や地方公共団体が、テレビ、新聞、広報誌等を活用しながら、親が自ら家庭教育の在り方を見つめ直すことや、各地の家庭教育支援のための取組への参加を促すメッセージを送ることを検討することを期待します。
      5 これまで手が届きにくかった親等へのアプローチ
        「学校の保護者会や学習会などに是非参加してほしいにもかかわらず、参加してもらえない」といった親に対する効果的なアプローチを行うことが大切だと考えます。   このため、今後、地方公共団体が、家庭教育という視点からの地域づくりを目指し、これまで手が届きにくかった人々に働きかけるといった、「戸口まで届く、心に迫る」取組を積極的に進めていくことが期待されます。具体的な方法としては、行政、学校、地域団体・サークル、ボランティアの連携により家庭教育のサポートチームを形成したり、幼稚園や小中学校に「子育て語り合いサロン」のような場を設けることにより、保護者リーダーの養成と保護者の輪を拡大することが考えられます。
        また、今後、共働き家庭と潜在的な共働き家庭が増加することを考えると、家庭教育の支援に当たっては、共働き家庭の子育ての在り方や子どもへの接し方といった内容とともに、仕事と子育ての両立方法や仕事への復帰の仕方などキャリアに関する視点も踏まえた支援が重要になります。
        このため、地方公共団体は、家庭教育の面で課題を多く抱える保護者、職業を持つ父親・母親、ひとり親家庭などに効果的に働きかけていくため、身近な地域の中での働きかけやインターネット等のITの活用による情報発信、企業等の協力を得た職場での取組を充実していくことが望まれます。

  (2) 学習機会の充実のための方策
      1 子どもの発達段階に応じた子育て学習の全国的展開
        出産から1歳6ヶ月、3歳、小学校入学時、思春期といったように、子どもの発達段階に応じて子育てのことを学習していくことは子育て学習として有意義だと考えます。
        文部科学省では、平成13年度から「子育て学習の全国展開」事業として、就学時健診(小学校入学前に実施)や乳幼児健診(1歳6ヶ月健診、3歳児健診等)の機会を活用した家庭教育の講座を全国的に実施するための助成事業を開始し、さらに平成14年度予算案には妊娠期の講座と思春期の子どもを持つ親のための講座を全国的に実施するための経費が盛り込まれています。
        したがって、本懇談会は、今後、文部科学省と地方公共団体が、健診等の機会を活用して、すべての親が家庭教育の講座に参加できるような機会を設けるとともに、地方公共団体が講座内容の充実に努めることを提言します。なお、乳幼児健診に参加すると子どもの発育の問題を指摘されるのではないかと不安に思う親もいますので、親を安心させるよう十分に配慮してほしいと考えています。
        また、未来の親を育むという観点から、中学生や高校生の保育体験は男女を問わず生徒にとって非常に有益な体験となります。このような取組は、乳幼児の親にとっては、地域の中学生や高校生とのつながりができることで子育てについての見通しを持てるようになるなどの点でも意義があると考えられます。今後、地方公共団体が、家庭科の時間や夏休みなども活用して、男女ともに中学生や高校生などの若者の保育体験の推進を図ることが期待されます。
      2 「子育てサロン」型学習スタイルの展開への支援
        子どもが0歳から1歳頃の子育てが最も孤独でつらいという人が多いので、そうした人がごく身近に人とふれ合ったり、学んだりできる場、出かけられる場が求められています。
        近年、各地で、そうした親のニーズに応えるため、子どもと手遊びなどしながら、同じような年齢の子どもを持つ親や先輩の親と話ができる場としての「子育てサロン」や「子育て広場」が公民館などに設けられています。こうした「子育てサロン」等には、従来行われていた家庭教育学級のような学習機会を求める親に限らず、多様なニーズや価値観を持った親が来ています。しかしながら、こうした学習スタイルについての社会教育の関係者の理解がまだ十分ではないことが指摘されています。
        本懇談会としては、今後、社会教育の関係者がこうした学習スタイルに対する理解を深め、「子育てサロン」等が全国的に設置されるよう支援していくことを提言します。
      3 子育て情報の発信、学習機会や情報提供の工夫
        子育てについての悩みや不安に対応するため、最近、地方公共団体の中で、家庭における子育てや教育関係の情報の提供や相談等を行うためのホームページを開設するところが増えており、今後とも、地方公共団体が、マスコミ、ミニコミの双方によるこうした情報の発信に努めていくことが期待されます。
        また、家族形態が多様化する中、今日的な課題である「ひとり親家庭」や「職業を持つ親」、家庭教育に重要な役割を果たす「父親」など、従来、十分に支援できなかった層に焦点を当てて学習機会の提供を行うことが大切であり、今後、地方公共団体は、平日の夜や週末の学習機会や情報の提供に努めることが期待されます。

  (3) 地域における子育て支援の充実のための方策
      1 地域一体となった子育て支援
        多くの地域では、従来型の地縁に基づいた「地域」というものはもはや機能しなくなっていることから、どの地域でも、子育て支援や人の輪づくりを進める中心となる「場」をつくっていくことが求められます。また、若い世代には人間関係のつくり方が下手になっている人が多いので、上手にリード(サポート)していく人が必要であり、それが地域一体となった子育て支援の成功の鍵になっていると考えられます。
        したがって、地方公共団体は、行政組織のみで対応するのではなく、地域、企業での取組を支援し、共に取り組む社会的なサポートシステムを構築することが期待されます。
        また、地域によっては、子育てに関する話し合いの場としての子育てサークルやスポーツ少年団などの各種団体の活動が市町村全体に広がりを持ち、地域一体となって人づくり・子育てに取り組もうとする活動が広がりつつあります。また、幼稚園においても、地域の「親と子の育ちの場」として、子育て相談や未就園児への園開放、地域の人と一緒に楽しむ活動の場づくりなどの子育て支援活動が行われており、保護者同士の子育ての学びの場となっている例もみられます。
        本懇談会としては、地方公共団体が、今後、そうした活動を一層促進・支援し、個々に行われているそれぞれの活動をつなげていき、地域全体で取り組む子育て支援活動となるように支援することを期待します。その際、家庭にいる女性の中には様々な力を持ちながらその力を活かしておらず地域で何かの活動をしたいと考えている人も多いので、地方公共団体は、今後、こうした、子育て経験の豊かな人達の力を借りていく工夫をすることも考えられます。
        また、地域の各種団体が横の連携をさらに深めることとともに、子育て現役世代であるPTAやそのOBがあらゆる活動の場に積極的に参加するようになることによって、地域一体となった子育ての機運が高められることが期待されます。
      2 子育てネットワークの形成の支援
        地域の親を中心とする子育て関係者から構成される子育てネットワークが市区町村単位でできていくことが家庭教育支援の受け皿となっていくと考えられますが、子育てネットワークの形成の状況、社会教育行政の支援の状況については、現状としては地域間でかなりの格差があると思われます。
        現在、文部科学省は、「子育て支援ネットワークの充実」事業において、市区町村が、親に対して気軽に相談にのったり、アドバイス等を行う「子育てサポーター」の配置や養成を行う事業や、公民館や学校の余裕教室等を活用した子育て支援の交流事業などに対して助成しています。
        本懇談会としては、今後、文部科学省と地方公共団体が、子育てネットワーク関係者との連携を図りつつ、公民館や学校の余裕教室等の活用、公民館の職員などの必要な支援を含め、市区町村の子育てネットワークの形成の支援に一層力を入れることを提言します。また、市区町村間の取組の格差を是正するため、文部科学省または関係機関が草の根の子育て支援活動を支援していくことを望みます。



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4. 子育て支援を進める際の留意事項
  (1) 学校や地域の団体との連携
      地域で高齢者等に「地域の先生」として子どもたちに地域のルールを教えてもらうといった取組は意義あることと考えます。このため、地方公共団体は、今後、学校の余裕教室をふれ合いルームとして活用したり、学校給食における「ふれ合い給食」などにより、子どもたちが高齢者をはじめとする地域の様々な人との出会いや交流ができるような取組を促進することが期待されます。その際、父親も「地域の先生」として、子どもたちとの交流等に積極的に参加していくことが期待されます。
      また、子ども同士で教え合う子どものルールもありますが、今の子どもは群れて遊ぶことができなくなってきています。このため、今後、地方公共団体は、「プレイパーク」などの子どもの遊び場をつくり、子どもが異年齢の子どもや自分の親以外の様々な大人と関わる機会を設けるよう努めることが望まれます。
      このほか、学校の安全確保に留意することは当然のこととして、「地域に開かれた学校づくり」という観点で、学校に自由参観日を設けて、保護者や地域の人々が学校を訪問できるようにすることは地域と学校との連帯感を醸成するという点で意義があると考えられます。
      また、子どもが初めて通う集団生活の場である幼稚園において、父親・母親に「お父さん先生、お母さん先生」という形で参加してもらうといった取組は、親の長所を活かすと同時に、我が子だけでなく、様々な子どもとのふれ合いを通して子育ての楽しさを実感したり、接し方を学ぶ機会になっています。また、降園後の園庭開放は、地域の乳幼児を持つ親が気軽に自由に参加できる場として利用されていますので、幼稚園の関係者は今後、こうした取組の充実を図ることが期待されます。
      また、市町村等の関係者は、既存の民間団体の仕組みをもっと有効に活用することが望まれます。例えば、団体に参加する子どもの年齢によって、乳児、幼児、小学生といった部会に分けていくことで、継続して見守りあう仕組みをつくってはどうでしょうか。また、団体に入ることで、ファミリーサポートセンターや育児相談などの地域の子育て支援の情報も入手しやすくし、「ちょっと困った時に子どもを見ていてくれる仕組み」、「ちょっと困った時に相談できる仕組み」に誰でも参画しているようなシステムを構築することが期待されます。
  (2) 子育てネットワークの形成のために
      地域の中で子育て支援の必要性を感じて、自分が何かできるのではないかと思っている人やグループは必ずいると考えられます。そこで、地方公共団体がそうした人達のネットワーク形成の動きに刺激を与えて、支援することが大事だと考えます。
      特に、子育てネットワークや公民館の関係者は、公民館等が子育てネットワークを支援する場合の留意点として、最初は手取り足取り手伝いながらも、徐々に親達が自主的に運営できるようにすることが大切であると指摘しています。また、子育てネットワークの形成には、リーダーを育成することも重要なので、進んでやる気のある人、失敗してもまた挑戦するという人を大事にしながら、リーダーになれそうな人を個別に見出して育成することも大切だと指摘しています。こうした指摘を踏まえ、公民館の職員は、お膳立てをし過ぎず、全体として進んでいくようにネットワークの関係者の努力を認めて尊重することに心がけるとよいと思われます。
  (3) 子育てネットワークの運営について
      子育てネットワークの関係者は、ネットワーク活動が継続している一番の秘訣は「学びがある」ということであり、達成感を感じられることも大事だと指摘しています。
      また、地域に開かれたネットワークであることが重要であり、中心になる人が常にこのことを意識していることが大切です。また、犠牲的精神ではなく、親自身が楽しみながら、ネットワークの活動を通じて社会に参画していく力をつけていけるよう意識することや、ネットワークの形成や維持のために近隣の地域で刺激し合うことも大事なことであると指摘しています。
      さらに、ネットワークを実際に組織してきた情報を普及することは有益だと思われます。また、ネットワークの運営を継続的に支えていくためには、中高年世代の人達の支援を求めることを考えてはどうでしょうか。
  (4) 子育てサポーターの養成について
      地方公共団体や子育てネットワークの関係者が、子育てを終えた中高年世代の人に子育てサポーターを依頼する場合、サポーター養成講座のプログラムにおいて、母親を取り巻いている状況の違いなど今の子育ての困難さを理解してもらうようにすることが大切です。
      また、文部科学省は、市町村に配置されている子育てサポーターの養成講座の内容の充実など資質の向上を図る方策を検討することが望まれます。
  (5) 父親の家庭教育参加の促進について
      父親は子どもとふれ合う具体的な活動や父親を対象とした家庭教育学級などをきっかけとして家庭や地域に参加することが多いものです。そうした活動を通じれば父親の家庭教育の参加も継続するので、地方公共団体等の関係者がそのような活動機会の提供をする工夫を行うことが期待されます。具体的には、PTA活動や地域の行事、父親自身によるサークル活動等の中で、親子一緒に行動する機会や父親自身が楽しく交流できる場を工夫し、それらを通じて得た経験や人とのつながりを家庭教育に活かせるようにしていくことが大切と考えます。
      また、企業が所有する施設をこのような活動に対して提供することを含め、父親がこうした活動に参加しやすくなるようにするための理解と協力を行うことを企業に求めたいと考えます。
  (6) 家庭教育手帳、家庭教育ノートの活用の促進の方策
      家庭教育手帳、家庭教育ノートは、一人一人の親が家庭を見つめ直し、それぞれ自信をもって子育てに取り組んでいく契機となるようにするという観点から、平成11年度から、文部科学省から、市町村の保健センターや学校などを通じて、妊産婦や、乳幼児、小中学生等の子どもを持つ親に順次配布されています。
      また、最近は、公民館や学校の家庭教育学級やPTA主催の学習会、子育てサークル等での利用が進んできています。
      本懇談会は、家庭教育手帳、家庭教育ノートの内容は充実していると考えていますので、今後、市町村や学校の関係者がこれらを親に配布する際にビデオ等を用いた説明会を行うことなど、より多くの家庭で子育ての際のヒント集として手にとって活用されるようになるための工夫をすることを提言します。
      また、今後、地方公共団体等の関係者は、家庭教育手帳、家庭教育ノートについて、「配布する資料」から「活用する資料」へと発想を転換し、これらの内容を様々な広報誌等で取り上げたり、各地域の子育て情報誌に転載することや、各種の学習会等でより積極的に活用していくことを望みます。また、文部科学省は、各地域で活用するための工夫ができるものになるよう見直すことも考えられます。




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附   属   資   料

今後の家庭教育支援の充実についての懇談会について

平成13年9月11日
生涯学習政策局長決定

1. 趣旨
    最近、児童虐待の増加や校内暴力、不登校といった子どもの問題行動が深刻化している。こうした問題の背景として、近年の都市化、核家族化、少子化、地域における地縁的なつながりの稀薄化等により、親の間に、子どもの教育の仕方がわからないといった育児に関する悩みなどが広がっていることが指摘されている。このため、今後の家庭教育支援の在り方について検討を行い、もって関連施策の充実に資する。

2. テーマ
    (1) 子育て学習の機会の提供の在り方
    (2) 子育て支援のためのネットワークの充実方策

3. 実施方法
  別紙の者による懇談会を行う。

4. 実施期間
  平成13年9月11日から平成14年3月31日までとする。

5. その他
  実施に当たっての庶務は、生涯学習政策局男女共同参画学習課において処理する。


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今後の家庭教育支援の充実についての懇談会委員

大下   勝巳 おやじの会「いたか」世話人
川崎おやじ連代表
座長 大日向   雅美 恵泉女学園大学教授
門川   大作 京都市教育委員会教育長
北村   節子 読売新聞社調査研究本部主任研究員
河野   真理子 キャリアネットワーク代表取締役社長
兒玉   夏子 品川区立八潮わかば幼稚園長
坂本   純子 新座子育てネットワーク代表
嶋崎   悦子 横浜市PTA連絡協議会会長
福内   浩明 日本青年会議所副会頭
宮崎   次郎 「子ども未来研究室」代表公文教育研究会教育主幹


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「今後の家庭教育支援の充実についての懇談会」における審議の経過について

第1回   平成13年9月18日(火)
自由討議

第2回   平成13年10月19日(金)
新座子育てネットワークヒアリング

第3回   平成13年11月21日(水)
伊丹市教育委員会ヒアリング

第4回   平成14年1月17日(木)
貝塚子育てネットワークヒアリング
京都市教育委員会ヒアリング

第5回   平成14年2月7日(木)
議論のまとめ骨子素案について審議

第6回   平成14年3月1日(金)
中間報告案審議

第7回   平成14年3月8日(金)
中間報告案審議

(生涯学習政策局男女共同参画学習課)

-- 登録:平成21年以前 --