いじめ防止対策協議会(令和5年度)(第5回) 議事要旨

1.日時

令和6年3月29日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

Web開催 (Zoom)

3.議題

  1. いじめ重大事態調査に関する国の指針等の改定について
  2. いじめ重大事態に関する個別サポートチームの取組結果について
  3. いじめ重大事態調査報告書の分析状況について
  4. その他

4.出席者

委員

新井委員、遠藤委員、清原委員、高田委員、河野委員、玉井委員、田村委員、豊北委員、中田委員、春山委員、松谷委員、村山委員、八並委員、渡辺委員

文部科学省

伊藤児童生徒課長、仲村生徒指導室長、井川生徒指導調査官

こども家庭庁

菊地支援局総務課企画官

5.議事要旨

※事務局より資料1-1、資料1-2の説明があった。
【座長】  どうもありがとうございました。
 事務局の方から、これまでの議論の概要を御説明いただくとともに、それを踏まえて作成いただいているガイドラインの改定骨子案について御説明をいただきました。
 それでは、このあと先生方から、ガイドライン改定骨子案について、御意見や御質問をお願いしたいと思います。議事進行の観点から、大きく3つに分けていきたいと思います。
 まず、第1章から第4章まで、重大事態発生前の事柄、直後の事柄も入ってまいりますけれども、1章から4章まで。そしてそのあと、5章から8章まで、重大事態調査の実施に係る事柄について、意見や御質問をいただければと思います。そして最後に、第9章から第12章、調査後の事柄について議論できればと思っております。では、第1章から第4章、まずは重大事態発生前、そして、発生した時点について、皆さんから御質問や御意見をいただければと思います。
 盛りだくさんの内容が示されましたので、なかなか整理がつかないところもあろうかと思いますけれども、忌憚のない御意見を出していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。どなたからでも結構ですので。委員よろしくお願いいたします。
【委員】  おはようございます。いつもお世話になっております。
 1章からということではないのですけれども、はじめに確認させていただければと思いまして、今回すごくたくさん改定の内容というか、ポイントがありますし、よりよいものになっていくと思うのですが、現在のものもかなり大部にわたっていて、さらに改定されるものもそうなったときに、どのような視点で、どのポイントが改定されたか、という概要がはじめに、第1章の前とかに、全体像が示されるとか、この間、重大事態についても調査報告書の分析等がなされ始めていますので、そのことを踏まえて、あと、この間こういう協議をしてきて、というような、改定の趣旨、あるいは骨子、ポイント、それを最初に示すような、そういう予定が「はじめに」のところで、どの程度のボリューム感があるのかということをお聞きできたらと思います。
 と言いますのも、今までのガイドラインをかなり熟知していらっしゃる方にも、改めて新しいものをきちんと読んでいただく必要があると思うのですけれども、また全部読んでいくということは、なかなか大変なことになるかと思いますので、よく分かっている方は、ここさえ見ればある程度分かるというような示し方ができた方が、効率的かなと思ったものですから、お聞きしております。よろしくお願いいたします。
【座長】  ありがとうございます。事務局の方、いかがでしょうか。
【事務局】  ありがとうございます。
 改定のポイントについては、まだここではお示しできておりませんけれども、具体的には、冒頭のところでしっかりとポイントをまとめていく形にはしたいというふうに思いますし、特に「はじめに」の中で、今回の改定の趣旨ですね、そこについては触れていきたいというふうに思っております。ありがとうございます。
【座長】  よろしいでしょうか。
【委員】  ありがとうございます。
 ぜひ文章だけではなくて、何か図とか、ぱっと視覚的に分かりやすいものが入っているといいかなと思いますので、御検討いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
【座長】  見やすい形で、今回どのような改定の方向性があるのか、前のものとの異同等について示されるといいな、ということですので、その辺よろしくお願いしたいと思います。
 そうしましたら、委員、よろしくお願いいたします。
【委員】  よろしくお願いいたします。
 この協議会でも、皆さん御意見が過去にも出ておりましたけれども、やはり起きる前の未然防止というところは、非常にここは大事にしなければいけないところでありまして、そういう意味では、2章の平時からの備えのところに、校長のリーダーシップの下、平時から取り組む必要があるということで、ちょっと抽象的なところの表現になっているのですが、私も今、第三者委員会に加わらせていただく中で、校内のいじめ防止対策委員会等の校内委員会が、一応文章上には設置してあるのですけれども、1回も開かれていないとか、誰がメンバーなのかよく分からないとか、実際教員にヒアリングを調査のときにしても、なかなかそこが末端まで周知されていないという、ちょっとびっくりするような事態が明らかになっており、私が調査した範囲ではですね。
 なので、もう少しこの校内委員会のその位置付けでありますとか、平時からやはりちゃんとこの委員会を定期的に開くような、この校内のいじめ防止対策委員会等の役割とか、そこをちゃんとした開催をするというところを具体的に入れていただけるといいのかな、というふうに思いました。
 やはり、初動のそこら辺が、平時からのその辺りがちゃんと共有されていないと、いざ起こったときに全然機能しないということになるかなと思いますので、もう少し具体的に入れ込んでいただけるとありがたいなと思いました。以上でございます。
【座長】  ありがとうございます。校内のいじめ対策委員会の有り様、それから日常の動き等についても触れていく必要があるだろうという御指摘かと思います。
 そうしましたら、委員、よろしくお願いします。
【委員】  どうも、おはようございます。
 委員の御指摘のところと関連しますが、第2章の平時の構えで2点あります。
 第1点目は、やはり重大事態が起きないようにすることが一番大切です。しかし、現職教員の教員研修に関わっていると、いじめ防止対策推進法を含めて、基本的ないじめ関連の法律に関しての知識不足というものが非常に多いです。
 その意味では、2022年12月に公表した『生徒指導提要』を、全教職員に完読していただくことが重要だと思います。特に、第Ⅱ部の第4章「いじめ」や第10章「不登校」は、必読です。また、『提要』に基づく校内研修の学年当初の実施も有効です。教員のいじめ関連の知識不足による重大事態の深刻化を防ぐ意味でも、『提要』による基礎学習や校内研修を盛り込んでいただければと思います。
 第2点目は、国の基本的な方針では、学校いじめ防止基本方針は、入学時や学年の初期に、児童生徒・保護者に周知するとなっていますが、それを実施している学校は少ないと思います。また、教員が自校の学校いじめ防止基本方針を読み込んでいないので、保護者から重大事態の対応を指摘されることも多いです。その点で、学年の初期段階で、全教職員を含む校内研修で、自校の学校いじめ防止基本方針をきちんと読み込む、教職員の合意形成を図る必要があると思います。
 以上です。
【座長】  ありがとうございます。
 重大事態が発生した際に、という前に、重大事態を発生させないために、日常をどうするのか。教職員が法を理解する。生徒指導提要の4章、10章については熟知する。さらには、学校いじめ防止基本方針、これを教職員がきちんと共通理解するし、子供たち、あるいは保護者にしっかりと伝えていく、ということを、もう一度明記しておく必要があるのではないかという御指摘だと思いました。ありがとうございます。
 そうしましたら、委員、お願いします。
【委員】  ありがとうございます。
 事務局におかれましては、資料1-1のこれまでの私達の意見を最大限盛り込んで、資料1-2を作っていただきありがとうございます。ちょっと補強する方向での趣旨で発言をさせていただきます。
 4章まででは2点あります。1点目は、私達の意見の中で関係する、最初の第1章の「はじめに」というところに開いていただきたいのですけれども、「はじめに」のところで、今後の改定の経緯ということに、やはりいじめ防止対策推進法とともに、こども基本法を踏まえて、とありますので、改めて、子供の基本的人権の尊重、子供の最善の利益を保障すること、そして、自分たちに関わることについては、子供たちが自分で意見を言えるというような、その理念を踏まえて、このガイドラインを改めて改定しているということを明記していただければと思います。
 2点目は、私も委員と同じように、第2章のいじめ重大事態に関する、平時からの備えがなければ、第3章の基本的姿勢にもいきませんし、特に大切な重大事態の端緒という第4章、これはまさに、この第2章、第3章があったればこそ、第4章の重大事態を把握する端緒が適切に行われると思います。
 私達の意見の中でも、令和4年度の重大事態923件のうち、事前にいじめを認識できていなかったものが4割に上ると。これは端緒を判断するときに、やはり平時からの備え、そして、それに取り組む学校の基本的姿勢による、教職員一体となったアンテナが張っていなければ、急に重大事態の端緒を迎えても、判断が難しいと考えます。
 特に重大事態の端緒の判断に対しては、日頃からの校長を中心とした教職員の対応に加えて、スクールロイヤーとか、スクールカウンセラーとか、スクールソーシャルワーカー、あるいは専門家による客観的な判断が必要になってくることもあるかと思います。
 したがって、これまで委員の先生がおっしゃいましたように、重大事態の端緒の判断が適切に行われるためにも、平時からの備えの重要性を強調することが望ましいと考えます。以上です。よろしくお願いします。
【座長】  ありがとうございます。
 こども基本法を踏まえるということ、それから、かなり重なった意見になっておりますけれども、調査のガイドラインだけれども、重大事態を起こさないためにどうしたらよいのか、ということを、平時の備えというところに、もう少し詳しく書いた方がよいのではないかという御意見だと承りました。ありがとうございます。
 委員、よろしくお願いします。
【委員】  よろしくお願いします。
 まず、2点あるのですが、まず第…聞こえますでしょうか。
【座長】  はい、聞こえております。
【委員】  第2章のことについては、先ほど委員がおっしゃったこと、まさに学校現場としても必要性とともに、具体的にどんな取組が必要かということを、ぜひ入れていただきたいということが1点です。
 2点目、第3章のところで、やはりこれは学校の視点から考えると、加害生徒のことについて、この基本姿勢が書かれてはいないのですね。やはり、学校に在籍する生徒ですので、その加害生徒のことについての基本姿勢というものも、この第3章で載せることが可能であれば、載せるということを検討いただきたいなと思っています。以上です。
【座長】  ありがとうございます。
 第3章基本姿勢のところに、加害の可能性のある児童生徒、加害児童生徒への対応をどうするのか、ということも加えるべきではないかというご意見かと思います。あとで出てくるところもあるのですけれども、その辺、事務局としては如何でしょうか。
【事務局】  座長、ありがとうございます。
 接し方というところが第3節ですが、先生方がおっしゃるとおり、ここも非常に、加害とされた、本人が例えば認めていないとか、そういうこともいろいろとありますので、実際としては。その辺の対応をどうしていくか、ということも、中で一応、要素をしっかり入れ込んでいきたいというふうに思います。ありがとうございます。
【座長】  どうもありがとうございました。
 そうしましたら、委員、よろしくお願いいたします。
【委員】  まずは、今、委員から、学校現場に対する御指摘を受け止めました。真摯に受けとめたいと思います。
 その中で、やはり最初に、冒頭にある、いじめ重大事態を事前認知できていない4割という数字が、大変大きな数字だと思っています。私はこの4割について、学校現場にいると、この4割とは何なのだろうと、正直私には分からなかったです。ただ、4割という言葉は大きく歩き出す言葉なのだろうなと思います。
 例えば、本校は大変小さい、重大事態も起きていませんが、4割と言えば何だろう?と思ったとき、SNSを介することであれば、確かにボンと出てくるまで分からないということはありました。ただ、今回の出てくるものの中には、SNSに関することは基本的には入っていなかったかな、と思います。SNSでボンと出てきたから、分からなかったのです、という言い訳を言うつもりは毛頭ありませんが、この4割の中には、そういったステルス的なものはきっとあったのだろうなと思いました。
 また、学校現場にいると、学級担任、あるいは学年の子供たちへの細かい指導、本当に我が家族よりも、子供たちを長く見ている中で、放っておくようなことはあり得ないのですね。ただ、こちらに出ている重大事態になった学校には、そういうケースが多かったということは真摯に受け止めますが、通常では、なかなかここまで見放すことはないです。
 でも、こういうことが起きてしまっているということは、やはり教員の負担軽減を、常にやはり私は訴えていきたいと。初動、初動と言っていますが、どんどん学校の先生、教員に大きな負担を費やして、例えば、先ほど、委員会がちゃんと開かれていない、知識不足、全くそのとおりだと思いますが、それをきちんと伝えられる時間を確保できていないということも、また現実です。もちろん、管理職の責任もあると思いますが、確保して欲しいなと思っています。
 あとは、管理職の責任は、やはり大きいと思っています。こちらに、1行、2行で書いてありますが、やはり校長のリーダーシップという点においては、強く訴えていいのかなと思っております。
 あともう1点だけ、被害に遭った子供たち、あるいは、場合によっては加害者もそうですが、学校に来ていないことがあります。その際、例えば、オンライン授業をするとか、来られない子たちの手当についても、何かしら手立ての示唆があってもいいのかなと思いました。以上でございます。
【座長】  ありがとうございます。
 いろいろな問題があるのだけれども、教員の負担軽減、じっくり話を聞いたり、細やかに見たりということが、もう一つ可能になるような環境整備が必要ではないか、という御指摘だと思います。
 加えて、学校に来ることが難しくなった被害児童生徒、あるいは加害児童生徒に対して、オンライン等で学びを保障していく。そういうことも必要だということを、接し方の中に示す必要があるのではないかという御指摘と受け止めました。この辺も書き込んでいくように、よろしくお願いできればと思います。 そうしましたら、委員、お願いいたします。
【委員】  スクールカウンセラーの立場から少しお話させていただきたいのですが、平時の予防という観点からですが、いじめの予防として、我々スクールカウンセラーは、平時から心の健康について、いろいろと心理教育等の授業等で、先生方と一緒に協力、協働しております。
 いじめの予防として、いじめの理解であるとか、ストレスマネージメントであるとか、アンガーマネジメント、SOSの出し方であるとか、自殺予防の教育であるとか、そういうことを学校の担任の先生たちと一緒に授業の中で子供たちにいろいろと学んでいただくように関わろうとしております。
 しかし、授業の確保というところで、学校サイドの方で、どのような時間帯にそういう授業を確保できるのか、具体的に担任の先生方にお示しいただけると、このガイドラインでお示しいただけると大変幸いです。内容につきましては、十分研修等を行っておりますけれども、この授業のどこでやるか、どういうような形でやるか、ということについて、学校サイドの方から様々なお力を貸していただけると幸いです。以上です。
【座長】  ありがとうございます。
 心理教育に関する授業確保にも触れられれば触れてほしいという御意見かなと思いました。
 委員、よろしくお願いします。
【委員】  いじめの重大事態の調査の内容としては、非常に網羅的で、非常によい報告だろうと思います。
 それで、感想めいたことですが、昨日の町田のいじめの事件の報告を聞いていて、それで、学校でやっていることは確かに問題があったと。それを発見できなかったと言ったあとに、保護者が、保護者も知らなかった、と言っていたのですね。これは、私はその責任を早期発見も含めて、学校だけにするのはやはりまずいな、と思いました。
 それで、いじめ発見ですが、文科省のサイトも20年前から、いじめのサイン発見シート、今も出ておりますけれども、森田先生が元々作ったものを、文科省がアレンジして配布しております。これは、もう20年前から発見のサインシートはあるのですね。改定版がいっぱい出ているし、それから、自治体もこれに沿っていろいろなものを出していると。これをやはり参考資料として付けて、こういうチェックを発見のためにちゃんとやってきたかどうか、これは保護者も含めて、学校も、これをやはりやってきたかということは、やはり重要な資料になるかと思います。
 これは、いじめ重大事態の調査だけではないのですけれども、日常的なこのサインをどう把握するか。早期発見のポイントというものを、これを意識しておかないと、やはり日常的な学級の中で、例えば、担任が、子どもが前をしっかりよく見ているという状況を見ても、それでいじめを発見するということは、ほとんど不可能です。だから、やはり細かいちょっとした変化を見取るということを、この点検シート、サインシート、を元にしながら、発見を意識することがないと、なかなか発見できないと思います。
 参考資料として、こういう、せっかく文科省はこれまで作ってきた、サイン発見のシートみたいなものをたくさん作っておられるので、重大事態の答申の巻末にでも、過去の参考シートとして載せていいと思います。そういうものをちゃんと活用するように、ということを改めて強調してもいいかなと思います。以上です。
【座長】  ありがとうございます。
 未然防止というところに、かなり御意見が出ていると思います。重大事態の発見というか、重大事態に至らないように、どういじめを見つけていくのか、ということですが、このガイドラインは、あくまでも重大事態の調査のガイドラインですので、参考資料という形で巻末に付ける、あるいはリンクを貼るというような形で示すのが一つかと思います。未然防止ということが、一番の重大事態を防ぐポイントなのだ、ということを、調査のガイドラインではあるけれども、きちんと示せるように、入れ込んでいく。量が増える、ということもあろうかと思いますけれども、工夫をして考えていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 そうしましたら、ただいま第1章から4章までの意見ということで承りました。
 続きまして、また遡るところも出てくるかもしれませんけれども、第5章から第8章、重大事態調査の実施に関わる問題ですけれども、その点につきまして、また御意見や質問があれば、出していただければと思います。委員の皆様、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 委員に御発言の方をお願いしたいと思います。
【委員】  ありがとうございます。
 私は、5章の重大事態発生時の対応について申し上げたいのですが、これは4章の重大事態を把握する端緒との関連ももちろんあるわけでございます。
 先ほど、先生の方から、SNSの中でのいじめ等の関係について、把握しにくいことがあったかもしれないと、このようにおっしゃったことと関係するのですが、第4章の第2節に、重要な改定の方向性が書かれています。
 保護者等から重大事態の申立てを受けて、学校がいじめの事実関係等を確認できていない場合には、法第23条第2項に基づく調査を通じて、事実関係の確認を行い、まずは疑いがあるかどうかを調査するよう記載したいと。その上で、重大事態発生時の対応へとつながるわけですが、ここの第4章の記述と第5章の関係という、初動対応の関係というものは、極めて重要な指摘だというふうに思いますので、丁寧な記載を今後期待したいと思います。
 次に、第6章の調査組織の設置についてです。この間、委員の皆様から、調査組織の構成については、より一層、従来よりも、第三者性を確保する必要があるという御意見が出されて、このことにしっかり対応していただいていると思います。これはもちろん、いじめの当事者、すなわち児童生徒・保護者の視点からも第三者性は求められますが、私はこれまで委員をお引き受けいただいた委員の皆様や専門家の皆様にとっても、その立場を保証するあり方というものが重要だと思っています。
 せっかく委員をお引き受けいただいたのに、想定外のご批判を受けたりして、大変ご苦労されているということも聞いています。このままだと、この第三者性を担保するといっても、委員をお引き受けいただく専門家の方の人数が限定されていくことも危惧されます。
 したがって、調査組織の構成の検討において、多角的、総合的に信頼性を高めるあり方を、このガイドラインで提案していくということは、調査組織のあり方を持続可能なものにしていくために大変重要なポイントだと思います。
 特に、自殺や長引く不登校など、当事者や保護者との信頼関係担保のために、この調査組織の構成については、公平性・中立性だけではなくて、ひょっとしたらの信頼性という言葉も入れていただいて、より一層、確固たる調査組織の存在を保障していく方向性も必要ではないかなと考えました。以上です。ありがとうございます。
【座長】  ありがとうございます。
 調査に当たる組織、これが信頼できるものとして構成されるのだ、という点も強調する必要があるという御意見と承りました。その辺を書き込めるといいなと思います。
 委員、よろしくお願いします。
【委員】  座長、7章もよかったですかね、入っていますか?
【座長】  入っています。
【委員】  第6章の調査組織の設置で、被害者の生命・人権・学習権の保障は最優先するわけですが、「寄り添う」という言葉が、かなり拡大解釈されているように感じます。
 たとえば、調査組織の編成段階で、被害者側の方から専門家ではない方が指名される、あるいは、委員経歴、特に、元教員経験のない大学教員などの指定があることがあります。このような状況を踏まえると、調査組織の公正・中立性を保つという点は、丁寧な書き込みが必要ではないかと思います。
 また、第7章の事前の説明で、先ほど委員の方から、町田の事案の件が出ましたが、やはりこの調査では限界があるということを理解していただく必要があると思います。この調査では、警察関係の捜査ではないので、必ずしも、いじめと不登校や自死の関連性の因果関係が特定されるものではないわけです。
【座長】  ありがとうございます。
 調査組織、公平性・中立性プラス専門性というところを、先ほどの委員の考え方も含めて、強調していく必要があるのではないか。
 それから、調査の限界について、ということです。因果関係を特定していくための捜査権もあるわけではない。あるいは、加害児童生徒・保護者から聴取をするときに、同意がなければ聞けない。あるいは、3年、4年前のことに遡っての調査ということも出てくる。そういう限界の中で、事実解明と再発防止というところに焦点化して行われる調査なのだ、ということを明確にここで示して、そして、訴えのある被害児童生徒、あるいは学校が重大事態と認知した際の被害児童生徒・保護者への説明、これを今言ったようなことも含めて、きちんとしていく。そのことが、調査の継続性というところにもつながっていくのではないかというご意見と承りました。ぜひ、その辺を強調できればと思います。
 委員、よろしくお願いします。
【委員】  私も今、委員がおっしゃったことを御質問しようと思ったのですが、第4回の会議で、ある委員の方から、医療事故調査制度の例を出されて、やはり任意の調査で限界があると。結論が出ないことがあったり、因果関係が分からないという結果が出るということを明記すべきだという御意見があったのですが、そういったものを記載する仕方は難しいと思うのですが、第7章の前後で記載する予定があるかどうかをお聞きしたかったです。
【座長】  事務局の方、いかがでしょう。
【事務局】  ありがとうございます。
 説明事項というところを今ざっくりとしか書いていないですけれども、今いただいているような、この調査自体がどういうものであるのか、ということは、当然関係する、どちらと保護者の方が多いと思いますけれども、ご理解いただいた上で、やっていく必要があると思いますので、その点はしっかりと記載していきたいというふうに思います。
【座長】  ありがとうございます。
 そうしましたら、委員、お願いいたします。
【委員】  すみません、ありがとうございます。
 第8章というか、調査の進め方などのところも入っていますよね。
【座長】  入っております。
【委員】  今、御指摘があったように、調査にはなかなか限界があるというか、権限的には任意の協力のもとに行われるものであって、その協力を得ていかなければいけないわけですけれども、その関係で、例えば、ヒアリングなどをしたときに、あるいはアンケートを取ったとき、どういうふうに利用されていくのか、という辺りの説明の仕方のところの問題です。この説明をきちんとやっていくときに、例えば、公表しないでくれというか、私が言ったことについては秘匿してくれ、というような要望があったりした場合に、それにどう応えられるのか、ということについても、説明をしなければいけない。そうしないとヒアリングにも応じてもらえないということが出てきたりすると思うのです。しかし、実際に起こり得ることとの関係の中で、例えば、ヒアリングなどの記録について、情報開示求められたり、情報公開の対象になったり、あるいは裁判になった場合の文書提出命令が出てきたりとか、ということがあり得るわけです。それとの関係の中で、どういうふうになっていくか、という辺りの説明をどういうふうにしておけばいいのか、要点を案内するような形で、ガイドラインに書き込んでおく必要があるのかなと思います。そうしないと、安心して話をしたりとか、ということができなくなってしまうのではないか、ということが一つです。それとあと、実際に話をしてもらった場合に、録音などで記録するとか、ということについては、書いていただいているのかな。きちんと録音をするということ、その上でそれを反訳して実際に文章で起こすことの必要性。もしかすると再調査になっていったりということがあり得るわけで、検証可能性を確保するためには、そういった作業が必要になりますけれども、それには労力とか、費用がかかったりして、予算が確保されていなかったりすると、第三者委員になった人が自分で反訳しなくてはいけなかったりとか、ということが起こったりしているということを聞いたりするものですから、そういうことが起こらないようなところについても、反訳をして、適切に記録として保存するという、そういった辺りも含めて、調査のところに書き込んでおいていただけるといいのかな、というふうに思いました。
 具体的な、技術的なところの関係の内容になりますけれども、そういった辺りは、ポイントとして確認しておく必要があるのかなと思った次第です。
【座長】  聞き取りやアンケート調査を行う際の留意点という中に、御指摘があったところを入れていくということかと思います。秘匿性の問題、これをちゃんと伝える。録音をして、反訳をし、記録を残すということを明記することによって、予算やいろいろな問題もあるのだけれども、そのことをきちんとやっていくことが必要なのだ、ということを示していくことの重要性についての御指摘かと思います。
 この辺、事務局の方はいかがでしょうか。
【事務局】  ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、記録の保存ですとか、事前の説明ですね。7章の事前説明は全体の説明だと思いますけれども、実際に聞き取りを行う際、あるいはアンケート調査の調査様式の中で、どういうことを書いておく必要があるのか、ということは、しっかりと明記をしていきたいというふうに思います。
 また、記録の保存、さっき言われていたように再調査ということがあり得ますので、そういうことも含めて、こういうことがあるので、記録をしっかり作成する必要があるのだ、ということをしっかり書き込みたいというふうに思います。以上です。
【座長】  委員、お願いします。
【委員】  すみません、今の委員の御発言で一点気づいたのですけれども、第10章に、この度、重大事態調査の対応における個人情報保護という章が加えられていて、改正個人情報保護法に基づいた対応について整理するとともに、調査結果の提供や公表にあたって求められる基本的な対応を整理、とあります。
 したがって、こういうものは重複して書いてあっていいと思っているのですね。重要なポイントなので、先ほどの御指摘の部分に、きちんと配慮、留意点を書く必要もあるし、関連して、法との関係で書く必要もある。これは、必ずしも統合しにくいのかなと思いながら、関連性について配慮しつつ、丁寧に書く必要を感じましたので発言いたしました。ありがとうございます。以上です。
【座長】  ありがとうございます。
 委員、お願いします。
【委員】  レアケースかもしれませんが、第7章の第3節で、いじめを行ったとされる児童生徒等関係児童生徒と保護者に対して、説明事項を整理と書かれていますが、関係児童生徒が、断固として、自分はいじめ加害行為をしていないと主張している場合、また、当該児童生徒の保護者も同様の主張するという状況下で、この説明はどのようになされるのでしょうか。
 つまり、断固否定されても、あなたがいじめ加害児童生徒ということで、この調査を進めますと、説明をするということになるのですか。これは質問です。
【座長】  事務局の方、いかがでしょうか。
【事務局】  ありがとうございます。
 断固といいますか、自分はやっていないというようなことをおっしゃることは、当然あり得るというふうに思います。その子に応じた説明ということにはなると思いますけれども、一つあるのは、やはり、これ自体が再発防止を目的にする調査であるというところは、一つ大きなポイントだというふうに思いますし、調査組織についても、公平・中立に調査をして、事実関係を認定するということだと思います。なので、そういうような形のもとで調査をしていくということを説明するということだというふうに思いますし、特によく言われる、今のこの法律に沿ってのいじめの定義ということもしっかりとお伝えする必要はあるだろうというふうに思います。
 いずれにしましても、そういった場合も含めて、どういうことを関係児童生徒には説明するのか、ということは要素として入れていきたいというふうに思います。以上です。
【座長】  ありがとうございます。
 委員、いかがでしょう。
【委員】  関係児童生徒が、いじめ加害行為は断固していない、また、いじめ加害児童生徒と明記してほしくない、したがって、調査そのものに、異議申し立てをされた場合、どのように調査を進めるのでしょうか。何か、留意事項を付すのでしょうか。
【事務局】  冒頭にありますけれども、強制的な調査ではないので、いわゆる取り締まるような形で調査するものではないですよね。
 任意の調査ですので、そこは、先ほど申しましたように、公平・中立にしっかり調査をすると。その中で事実関係を明らかにします、ということは、当然説明をされるというふうに思いますけれども、それをもってしてもご協力いただけないという場合に、無理やり調査組織ですとか、学校設置者として、聞き取りの場に来てくださいということを言うところまではないので、そこはやはり調査組織としては、指導の記録ですとか、他の子ですとか、あるいは教職員への聞き取りの中で、状況を整理していくということで、調査を進めていくしかないようなことだというふうに理解をしております。以上です。
【座長】  よろしいでしょうか。
 そうしましたら、委員、お願いいたします。
【委員】  今の委員の御質問に関してです。委員は状況を分かった上で御質問されたのだと理解しているのですけれども、元々この重大事態調査というものは、被害者だと本人が言ってしまった段階で調査に入らなければいけないという、僕らからすると、被害者とされた方がそう言ったということだけで、疑いで調査に入る制度です。本当は法律等の立て付け自体に問題があって、委員はおそらくそれを問題視されたような意味で御発言されたのだろうと理解しました。
 本来は、先生がおっしゃるように、言った人が事実かどうか、ということを含めた調査ということに考えないと、この法律自体が成り立たなくなってしまうし、先生がおっしゃるように、本来その人に加害事実がない可能性も当然あることを含めた上での法律上の運用なので、委員がおっしゃられた問題提起を、絶えず考慮した上でこれを進める。あまりに公平性に欠けるということであれば、法改正も含めた形で検討していただきたいと思います。
 だから、今これは文科省になったのかこども家庭庁か知らないですけれども、報告書の分析状況でも、いじめがなかったという結果が、結構5%くらいでした。確結局、そのような形でしか対応できないのではないかと思います。
 だから、委員がおっしゃったことは、実際にあり得ることですけれども、それは粛々と行って、調査をした上で、その事実関係で、やはり加害者と言われた方の言い分の方が正しかったかどうか、ということを、最終的に任意ですから、白黒がつかないかもしれないけれども、結果としてこうだったということを提示するしか方法がないかなと思います。
【座長】  ありがとうございます。
 委員、関連してでしょうか。
【委員】  はい。学校の中で、そういうふうな被害者、加害者というようなことで関わるときに、最初から加害者で、本人がしまったと思ってくれればいいのですけれども、そうでないときには、そのことも含めて、事実関係をはっきりするから協力してほしいということで、最初からあなたが加害者だという疑いを持って関わるかどうかは、いろいろなケースがあるだろうというふうには思っています。
 ですから、本人が認めないときには、そのことも含めて、事実関係をはっきりさせるために、できれば協力してほしいということで、決して加害者にはならないこともあると。あなたが言っている、自分はそういうふうにいじめをしていないと言うのであれば、そのことも含めて明らかにしていきたいというふうな説明をしていって、できるだけ被害者、加害者と言われる人たちに協力を得ることが重要ではないかなというふうに思っています。
 最初から、あなたがいじめたと言って、その通りです、という子供達は少ないですので、そのことも含めて、両方に対して、教育としての指導的な立場も含めて関われると非常によいだろうな、というふうに思っております。以上です。
【座長】  ありがとうございます。
 そういう意味で、関係児童生徒というような言葉も使っているということだろうなと思います。
 委員、お願いします。
【委員】  ありがとうございます。
 関連して、先ほど私も1回読み上げさせていただいた、第4章の重大事態を把握する端緒の第2節に、今回の原案では、重大事態の発生に係る対象児童生徒・保護者からの申立てを受けた場合の対応としては、まず法第23条第2項に基づく調査、これは重大事態調査ではなくて、いじめに関する調査を行うというふうに私は読んでいるのですけれども、まずいきなり重大事態として捉えるのではなくて、学校が事実関係等を確認できていない場合には、まず、いじめのことについて、疑いがあるかどうかを調査するということを提案しているというのは、これが重要なポイントなのかな、というふうに思いました。
 要するに、いきなり重大事態に当たると判断する前段階で、少し丁寧に慎重にするという記述だと受け止めているのですが、それでよろしいでしょうか。
【座長】  事務局の方、いかがでしょう。
【事務局】  ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、即、全てを重大事態として扱っていくというよりは、まず学校として事実が確認できていない。これは法の28条というものは、学校又は学校の設置者が、そういった疑いを持ったときに調査を行うという形ですので、であれば、しっかりと学校として事実を確認する。その上で、やはり疑いがある。これは重大な被害は明らかであるということも前提ですけれども、そうであれば、ためらわず重大事態調査をしていくということが正しいというふうに思いますので、そういった手順を具体化していきたいというふうに思っています。
【委員】  そうですね。座長、ありがとうございます。
 そういうことでございますので、先程来の、何かいきなり申立てがあったら、直ちに重大事態とするということに関する、これまでの経緯からの一定のコース転換というのではないですけれども、申立てがあったら、直ちに重大事態と判断する前に、きちんと丁寧な調査をするということが、今回のガイドラインについては、重要な提案かなと思いまして、皆様と確認して、今のようなやり取りの中での問題の所在を少しでも少なくするためにも、こういう丁寧な手順が必要かなと、私はこの方向がよろしいのではないかなと思って受け止めたところです。ありがとうございます。
【座長】  先ほど指摘があったように、重大事態と認定するまで、いじめがあることが認識されていなかったケースが、約4割あるとということです。ですから、訴えがあったところで、つまり、重大事態という訴えがあったということを受け止めて、調査を始めていくことになる。そのような場合には、まず第一段階として、学校がいじめを認めていない場合には、法の第28条に基づいて、事実があったかどうか、という調査を行うということを、これまでもやってきているとは思うのですけれども、明記するということが必要だというご指摘かと思います。
 委員、お願いします。
【委員】  すみません、今の関係もあるかなというところです。つまり、いじめを否定している理由というものがいろいろとあったり、事実はあったのだけれども、これはいじめではないと思っているとか、そんな事実がそもそもないとか、あるいは、自分もこれまでいじめられてきていて、その子からいじめられてきたので反撃したのだ、というような、そんなことなども出てきたり、以前の全体の意見交換のときにも出てきましたけれども、双方がいじめをしてしまっているという例なども、重大事態調査をしている中で、はっきりしてきたりとか、ということがあると思うのですけれども、これまでの調査の経過の中だと、当該のいじめ関係というか、その関係だけが調査対象であって、いじめていたとされていた子が、いじめられていたという、双方いじめになってしまっている場合の関係での調査について、どうしていくのか、調査ができるのか、できないのか、ということが問題になったりしているケースがあるとも聞いています。そういうことが起こらないような形で、双方でいじめがあるとき、双方の問題について、調査ができるのだ、という観点での調査の進め方といいますか、その点の記述が必要なのかな、とも思っていたところですけれども、それはいかがでしょうか。
【座長】  事務局の方、いかがでしょうか。
【事務局】  ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、いろいろな複数の事案がある、加害だというふうに訴えた子も、自分もあの子から以前同じようないじめを受けていたという場合に、おそらく、そういった事案自体を全体を捉えて調査をしていくということが必要だろうと思います。そこは、先生がおっしゃるような形での調査の仕方が望ましいと思いますので、書き込みにいきたいというふうに思います。
【座長】  寄り添うということはもちろん大事であるけれども、言い出した方のことだけではなくて、事実解明をしていく中で、相互のいじめが認められれば、それをきちんと事実として捉えて、調査をしていくというようなことを改めて書き込んでいくということだと思います。そのようにお願いできればと思います。
 そうしましたら、時間の方もだいぶ経っているのですけれども、第9章から第12章について、御意見や御質問があれば、申し訳ありませんけれども、手短に1人1分程度で御発言をいただければと思います。よろしくお願いします。
 委員、お願いします。
【委員】  第10章の第3節、調査後に学校設置者において検討を要する事で、教職員のいじめの対応で、いじめの加担等が疑われる場合には、懲戒処分等必要な対応をとることを記載となっています。
 これは分かる範囲でいいですけれども、私が思い出すのは、今から8年前に、国立大学の附属高校いじめ重大事態が起きたときに、文部科学大臣への報告が遅れてしまい、教員5人ほどが懲戒処分になりました。過去10年で、公立学校で重大事態で、教員を懲戒処分にした例は何件くらいあるでしょうか。
【座長】  事務局の方、それは分かりますか。
【事務局】  すみません、把握はしてはいないです。
 懲戒処分事由自体は、別途調査はしていると思うのですけれども、具体的にいじめによって、というものは、事例ではおっしゃるとおり承知はしていますけれども、数字としては持っていないところです。
【委員】  このような記載をする場合に、過去において、公立学校で何件くらい懲戒処分があったか、ということも把握されておいた方がいいのではないでしょうか。
【座長】  ありがとうございます。
 示すにあたって、過去どのくらいあったのかということも書き込むかどうかは別にして、踏まえてやっていく必要があるのではないか、という御指摘だと思います。
【委員】  数などを書き込む必要はないと思います。
【座長】  その点、よろしくお願いします。ゼロではないと思いますので。
 思いますので、というのは、あるというふうに私は理解しておりますので、どのくらいあるかということを把握できる範囲で把握していただいて、それを踏まえるということで、お願いできればと思います。
 他にいかがでしょう。委員、お願いします。
【委員】  ありがとうございます。
 1点だけ申し上げます。新しいガイドライン、第12章の地方公共団体の長等による再調査についてです。
 この再調査についてですが、法の第30条には、本当に簡潔に地方公共団体の長は、公立学校の所管から、重大事態の調査報告を受けて、その重大事態への対処や発生の防止のために、必要があると認めるときは調査を行うことができるというくらいの非常に簡潔な条文になっています。
 そこで、いわゆる自治体の首長の総合的な判断というものが委ねられているわけでございますので、今回再調査を行う必要があると考えられるケースや、再調査の進め方を具体的に記載とありますけれども、もちろん、拠り所となる記載は必要だと思いつつ、やはり首長の総合的な判断というものを尊重するという方向性は貫いていただいた方が、法の理念からいっても望ましいのではないかなと思います。以上です。ありがとうございます。
【座長】  首長の総合的判断ということを大前提としながら、しかし、必要とされる場合として、こんなケースが考えられるというような例示をしていくという御指摘かと思います。よろしくお願いします。
 他にいかがでしょう。そうしましたら、本当に改定を進めていく事務局の方は大変だと思うのですけれども、様々な意見、これまでのこと、そして今日のことを踏まえて、より学校現場、あるいは教育行政の場、あるいは実際に調査にあたった委員の人たちが、うまく機能できるように、そして何よりもいじめに関係した子供たちが、きちんと心の傷を和らげたり、あるいはできれば関係修復ができたり、あるいは加害児童生徒がそのことをきちんと理解する、そして再発防止につながっていく、といった報告書になるようなガイドラインを作っていくということで、ご苦労ですけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 本当に活発な御意見、御提案をいただきまして、ありがとうございました。本日いただきました、意見、質問を踏まえて、引き続き、改定素案の検討を事務局の方で進めていただき、何とか次年度、令和6年度早々に、本会議において、改定素案を示して、具体的な記載事項の議論をしたいと思っておりますので、皆様またよろしくお願いいたします。
 続きまして、議題の2に入りたいと思います。議題の2、いじめ重大事態に関する個別サポートチームの取組結果についてです。事務局の方で、資料2のとおり、派遣概要をまとめていただいております。まずは、資料について御説明をお願いしたいと思います。
※事務局より資料2の説明があった。
【座長】  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、御質問、御意見、時間が押しておりますので、できるだけ簡潔に、ということでお願いしたいと思います。
 そうしましたら、お願いします。
【委員】  ありがとうございます。
 まずは、座長、委員はじめ、個別サポートチームの皆様の取組に感謝します。私はこのようなアウトリーチ、現場に出向いて、対話をしながら課題を抽出して、そして合わせてサポートしていくという取組は大変有用だと思いますので、今回のガイドラインへの反映だけではなくて、また適時にこのような取組を継続していただくことをお願いしたいと思います。本当にありがとうございます。以上です。
【座長】  ありがとうございました。お願いします。
【委員】  私は2点質問というか、お願いです。
 1つは、千人当たり重大事態発生件数を根拠に、対象自治体をお決めになられたと思うのですけれども、いじめの絶対数と重大事態の比率がもし分かっていたら教えていただきたい。やはり、いじめの報告の文化というものがどの程度あって、重大事態の中にどう占めているか、ということが分かった方が、状況が分かりやすいかなと思いました。もし情報があれば、あとでもいいので教えていただければ、ということが1点。
 もう1つは、3頁の自治体としての未然防止策、非常に参考になるのですけど、これは以前から言われていることでもあります。。お聞きしたいのは、実際になさっておられる自治体が、どのような利活用があって、どの程度の効果があったか、つまり、スキルが高い元校長先生を活用するということは非常によいことだと思うのですけれども、では、どのくらいニーズがあってどの程度活用されたのか。それから、1人1台端末を使って、ということは、これは不登校でもよく出てくるのですけれども、実際にこれがどの程度利活用されているか、ということがないと、文科省のいろいろな問題行動に対して、すぐにこの3番は出てくることですけれども、それが効果がなければ、文言に書く意味がないと思います。、実際にどのくらい生徒が活用したか、ということを、ぜひ継続して、先ほど委員が継続することが大事ですよ、おっしゃったことに、僕は全く同感で、ぜひこれは、情報が得られたが、その後どうなったか、ということ含めて、教えていただけるとありがたいです。以上です。
【座長】  ありがとうございます。事務局の方、いかがでしょう。
【事務局】  まず、取組については、まだ決めているものではないですけれども、継続して実施していきたいなとは思ってございます。
 数字のところの御説明ですけれども、まず、いじめのそもそも認知件数については、全国平均が大体その53.3件くらいになっていて、例えば、今回行った岩手県とかだと、いじめの認知件数が全国平均53.3件で、岩手県とかは70.9件というような状況でございました。
 ただ、重大事態について、全国平均が千人当たり0.07件であるところ、岩手県が0.13件ということで、要すれば、いじめの認知件数と重大事態を比較すると、一応理念としては、早期発見、早期対応するということが理念ですから、いじめの認知件数が多くて、重大事態が少ないということが、ある意味理想的ではあるのですけれども、いじめの認知件数自体は、平均よりもちょっと上くらいだけれども、重大事態の発生件数自体は2倍程度になっているということで、そういったところを抽出して伺わせていただいているところです。
 あと、そのほかいただきました、実際の効果検証のところは、先ほど申し上げたとおり、継続して、あるいは、いじめサポートチームで様々な指導、助言をしているところでございますので、それを受けて、どういうふうに活用されたか、効果が上がっているか、ということは継続して見ていきたいと思っております。以上です。
【委員】  ありがとうございます。
 この文章だけだと、重大事態件数だけを踏まえたように見えたので、ベースのいじめの報告件数と比較されたか、ということをお聞きしたわけです。ありがとうございます。
【事務局】  ありがとうございます。
【座長】  委員、お願いします。
【委員】  すみません、私もいじめ認知件数の千人当たりのところとの関係が、今回の調査といいますか、個別サポートチームの派遣の基準になったのか、という辺りをお聞きしたかったのですけれども、あと、行った先での、ガイドラインに基づいて疑いが生じた段階で調査を行った結果、重大事態調査の件数が増えているのだ、というような御意見も出てきたところがあったというところが、このあたりはどういうふうに受け止めになられたのかな、という辺り、どういう背景だったのかな、ということを教えていただければと思います。
【事務局】  文章のつくりとして、まず分析のところで要因として、①から⑧までの項目を挙げているところですけれども、こちらについては、まさに要因として掲げられるものなのかなと。
 ただ、敢えて別の行にしているとおり、この疑いが生じた段階で、というものは、そういうふうな意見もあったということで、当然ガイドライン上、取り上げるものは取り上げなければいけないことになってございますので、一応自治体の声として、参考として書かせていただいて、サポートチームの受けとめ、捉えとしては、いじめ重大事態の発生の要因として捉えているものは、主なものはこの①から⑧までという整理であります。
【座長】  委員、お願いします。
【委員】  サポートチームの直接的な仕事ではないのですが、学校の中で、やはり先生方が対応するだけでなく、予防としては、子供たちの主体的ないじめ防止キャンペーンとか、そういったことは結構重要になるのですよね。
 それで、例えば3頁のところで、市町村教育委員会から小学校の指導状況の中に、例えば、学校の子供を中心としたいじめの対策活動があるかどうかとか、子供たちを主体にして、学校全体でいじめ対策チームを盛り上げる取組などを例示として、指導するということも必要かなと思います。
 あと、いじめの問題をどこで扱うかが課題です。道徳教育で扱うことも例示にあるのですが、やはり学級会活動の中できちんと位置付けるということがやはり非常に重要です。学習指導要領は細かく何をするかということは決められているのだけれども、学級活動の中には、こういう問題をきちんと位置付けるということは明確でないのですね。
 だからそこを例示して、やはり学校全体で意識する必要があります。それから保護者会にも、こういったものをちゃんと例示して、保護者に学習してもらうことが必要です。こういったことを例示として入れることも必要かと思いました。以上です。
【座長】  ありがとうございます。他によろしいでしょうか。
 私も実際に行きまして、教育委員会の方が身構えているようなところも見受けられましたけれども、一緒に考えていく中で、どうしたらいいのかということが、我々と教育委員会、教育委員会の中でも県教委と市町村教委という間で、つながりが出てきたと思うのと、振り返りの大きい機会になっていると感じました。もしかしたら、やりっぱなしになってしまうところがあるかもしれないけれども、なぜ重大事態が起きたのか、どうすればよかったのか、ということを振り返る、教育委員会が。そういう意味では、非常に大切な場であったと思っております。
また、教育委員会にとって、特に小さな規模の教育委員会にとっては、本当に重大事態が1回起きたら大変なことになる、ものすごい負担であるとこともよくわかりました。そういう中でも、疑いがあるところで拾い上げてやってきたことであるということ、苦しいなかでなんとかやっているということ、そのような担当者の切実な思いも伝わり、しっかりと受け止めておく必要があると強く感じています。どうもありがとうございます。
 そうしましたら、最後になりますけれども、重大事態調査報告書の分析状況について、事務局の方から、現時点での状況をまとめていただいておりますので、説明をいただき、その後、限られた時間ですけれども、質問や御意見をいただければと思います。
 それでは、説明の方をよろしくお願いします。
※事務局より資料3の説明があった。
【座長】  ありがとうございました。
 現時点で収集できている報告書150件を基に、様々な観点から整理分析をいただいているところです。時間も過ぎておりますけれども、ただいまの説明について、御質問、御意見があればお願いしたいと思います。
 お願いします。
【委員】  すみません、1件だけです。
 内容ではないのですけれども、今回のガイドライン見直しをした根拠については、エビデンスがあって分析しているというよりも、やはり委員の皆様の経験値をもとに作成しているというところが否めないと思うのですね。
 せっかく、分析が今年度から始まったばかりなので、次回の見直しというものを、やはりガイドラインは何年か後に改定を行うという記載と、それから、その際は、エビデンスに基づいたガイドラインの改定を、ぜひしていただきたいと思います。
 そのためには、おそらく詳細にやろうと思えば時間はかかると思うのですけれども、この数値だけではなくて、内容の分析もぜひ進めていただいて、それを委員会の方に提示していただいて、改定に結びつけていただきたいと思います、以上です。
【座長】  ありがとうございます。
 そのような作業をして、継続して、次の改定になるかもしれませんけれども、分析をしていってほしいという要望というふうに承りました。ありがとうございます。他はいかがでしょう。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、本日の会議はここまでとさせていただきます。貴重な御意見、本当にありがとうございました。最後に事務局から発言を求められておりますので、よろしくお願いいたします。
【事務局】  児童生徒課長でございます。いつもありがとうございます。
 今回は、今年度、令和5年度の最終回ということになりますので、一言御挨拶申し上げたいと思います。
 先生方におかれましては、今年度大きく、いじめ重大事案にまつわる課題と、また対応というものが変わった中で、様々な御助言、御示唆いただきましてありがとうございました。振り返りますと、今年度令和5年度から、これまで設置者、そして学校で対応して報告を管理しておりました、いじめ重大事案の報告書、こちらにつきまして、国で、文部科学省及びこども家庭庁とも共有しながら、いじめ重大事案の今後の適切迅速な運用を図るためということで、報告書を収集し始めたと。本日、ご報告を差し上げましたけれども、こういった分析ということに国としても乗り出したといった局面ということ。
 また、この協力者会議におきまして、重大事案のガイドラインの見直しということで、本日も未然防止から、そして調査体制のあり方、そして内容に至るまで、多岐にわたる観点から活発にご議論いただきまして、本日取りまとめというところまでは至りませんけれども、改定の骨子をお示しをさせていただくところまでたどり着くことができました。
 これもひとえに先生方の御尽力があっての取組でございます。ありがとうございます。引き続き、この取組に関しましては、このガイドラインの改定をまとめるということで、次年度に続きますけれども、一旦区切りといたしまして、御礼を、事務局代表として申し上げたいと思います。誠にありがとうございました。
【座長】  ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして、第5回いじめ防止対策協議会を閉会といたします。委員の皆様、1年間本当にありがとうございました。来年度以降も、引き続き、よろしくお願いしたいと思います。ご苦労さまでした。
 

―― 了 ――

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