夜間中学設置推進・充実協議会(第3回) 議事要旨

1.日時

平成31年2月25日(月曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. オブザーバー・委員からの現状説明(テーマ「未設置の自治体における夜間中学設置推進策について」)
  2. 事務局説明(教育機会確保法施行状況を検討するに当たっての論点について)
  3. 意見交換

4.出席者

委員

浅田和義  大阪市立天満中学校長(全国夜間中学校研究会会長) 
江口怜  東北大学高度教養教育・学生支援機構特任助教
榎本博次  NPO法人松戸市に夜間中学校をつくる市民の会理事長
岡田敏之  京都教育大学教職キャリア高度化センター教授
小島祥美  愛知淑徳大学交流文化学部准教授
野川義秋  埼玉に夜間中学を作る会代表
牧野英一  東京都世田谷区立三宿中学校長(前全国夜間中学校研究会会長)
桝田千佳  大阪府教育庁市町村教育室小中学校課長

文部科学省

望月 初等中等教育局初等中等教育企画課長
田中 初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室長
大類 初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室室長補佐
丹野 総合教育政策局地域学習推進課長補佐
上久保 初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室専門職

オブザーバー

森田吉信  川口市教育委員会学校教育部次長兼学務課長

5.議事要旨

(概要)
提出された資料に基づき、森田オブザーバーと馬場委員の代理として事務局が現状を説明。
 説明に対する質疑応答については以下のとおり。


【岡田座長】
全国のモデルになるような夜間中学を設置したいという熱意を感じる。その熱意はどこから来るのか。
【森田オブザーバー】
外国人居住者や不登校児童生徒の多さから、市長が必要な取組だと思っている。
【浅田委員】
外国人に対しては日本語指導、義務教育未修了者に対しては小学校段階の指導、入学希望既卒者に対しては心のケアなどを行う体制が必要となってくる。川口市においてはどのような体制を組む予定か。
【森田オブザーバー】
いわゆる法令上の教職員の数では、なかなかつらいところである。まず、指導面においては、埼玉県から非常勤講師を多く配置いただくことで個別の支援を充実させるとともに、日本語指導を行う教員も配置いただく予定である。また、市独自でアシスタント・ティーチャーや学習支援員を配置する予定である。
また、運営面においては、分校に法令上、事務職員や養護教諭は配置されない。そのため、市費で養護教諭を配置する予定である。設置に当たって、いくつかの夜間中学を視察したが、特に養護教諭の必要性を感じたところである。合わせて、校務員も配置する予定である。
日本語指導については、市において通訳(中国語、韓国語、トルコ語、英語)の役割を担う職員に協力をお願いする予定である。
心のケアについては、本市の教育研究所のカウンセラーが対応する予定であるが、将来的には夜間中学へのカウンセラー配置も検討しなければならないと考えている。
【榎本委員】
市のランニングコストはどのくらいの予定か。
【森田オブザーバー】
地方交付税で賄われない部分として、人件費に年間700万円弱を予定している。地方交付税で賄われない部分については、生徒が居住する自治体に応分負担を求めることとしており、その方法等については、埼玉県が設置した会議で関係市町村と現在調整中である。


〇 各委員からのこれまでの意見を論点別に整理した資料を事務局が説明


〇 野川委員、小島委員、浅田委員から机上配布された資料を説明


〇 意見交換については以下のとおり


【野川委員】
教育機会確保法第15条に規定される協議会は都道府県知事や市町村長を構成メンバーとしているが、例えば、実際に夜間中学設置に向けた検討を行っている埼玉県の関係市町村連絡協議会や民間団体との連絡会には知事も市町村長も入っていないことを参考に、構成メンバーを見直してはどうか。
【事務局】
文部科学省が把握する範囲において、教育機会確保法第15条に基づく協議会が設置されている自治体はない。ただし、埼玉県のほかにも、神奈川県や北海道などにおいては協議会に近い又は類する検討組織を教育委員会が立ち上げ、設置に向けた検討が進められている。
また、第15条は、いわゆる「できる規定」であり、義務ではない。
【岡田座長】
全国の設置状況を踏まえて、第15条も努力義務化すべきではないか。
【榎本委員】
第14条の努力義務によって松戸市では夜間中学設置に向けた取組が進んだ。第15条も努力義務化すべきである。
【江口委員】
文部科学省が実施した調査結果の中には、協議会に係る要件の緩和を求める自治体の回答もある。埼玉県では、民間団体との連絡会と、関係市町村の連絡協議会を分ける形で設置されていることなどを参考に、構成メンバーだけではなく、協議会が担う役割についても、もう少し自治体が柔軟に対応できるようにすることが考えられる。
【牧野委員】
国が説明会を実施することで、自治体の中の担当者が明確になる。説明会の実施などを通じて、国は引き続き教育機会確保法の趣旨や埼玉県での取組などを積極的に自治体に周知する必要がある。
【小島委員】
夜中未設置の東海地域では、進学を望む外国人青少年が多い。日本語教室でなく、学校内で学ぶ機会を確保するために、第15条のような協議会を地域で設置できるとよい。また、自治体や学校は、不登校児童生徒等に対して行われている場所として、フリースクールやオタナティブの学校、外国人学校などを第13条の多様な学びの機会として認めるべき。
義務教育9年の扱いを全国で統一すべき。日本にある外国人学校の中等部修了者の扱いが自治体間で異なる。夜中未設置の東海地域では、例えばブラジル学校9年修了者は公立高校の受験資格さえも認められず、夜中もないために、進学のスタートラインにも立つことができない。
【牧野委員】
国においては、協議会で出された意見を踏まえ、必要な予算の確保をお願いしたい。
【浅田委員】
中学校の教師ですら、夜間中学の実態を知らない。未設置の自治体においてニーズ調査を実施する際は、まず夜間中学の認知度を上げる必要がある。国においては、政府広報を活用するなどして、全国的な広報を検討すべき。
【桝田委員】
大阪府においては、夜間中学の活動を周知するため、行政や教師に対して見学や研修の機会を設けている。また、民間(大手企業やコンビニエンスストアなど)も依頼すれば、色々な広報の機会を提供してくれる。
第15条については、首長まで動かすことはすぐには難しい自治体もあることを踏まえ、努力義務にすべきではないか。
外国人への日本語指導のほか、入学希望既卒者に対する心のケアなど夜間中学に求められる役割が多様化している。今後、外国人への支援については別途検討していく必要がある。
【岡田座長】
今後、増加が見込まれる外国人や入学希望既卒者に対応していくには、現状の教職員体制では無理がある。

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