主権者教育推進会議(第15回) 議事録

1.日時

令和2年12月7日(月曜日)

2.場所

文部科学省(13階) 13F1~3会議室

3.議事録

【篠原座長】 時間となりましたので、始めさせていただきます。
 本日は最終報告に向けての議論の第1回という位置づけでございます。そんなことで、回数がちょっと少ないものですから、いつも1時間半のお時間を頂いているんですが、今回から2時間ということでお願いしております。余れば早めに打ち切ることもあり得るということで御承知おきください。それから、本日の会議は、新型コロナウイルス感染症対応の観点から、対面会議とウェブ会議を組み合わせた方式にて開催することとしました。ウェブでの御参加は、清水委員と松川委員です。なお、本日は、神津委員、佃委員が御欠席となっており、11人中9人の委員がウェブも含め御出席ということになります。御多忙の中、ありがとうございます。本会議につきましては、報道関係者より会議の撮影及び録音の申出があり、これを許可しておりますので、御承知おきください。
 それでは、本日の配付資料について事務局から確認をお願いいたします。
【石田学校教育官】 先ほど座長から御紹介ございましたように、本日は対面とウェブを組み合わせた方式にて開催させていただきます。会場にいらっしゃる委員の先生方におかれましては、御発言に当たりまして、札を立てる、もしくは手を挙げていただく、また、インターネットでも聞き取りやすいようゆっくりはっきり御発言いただく、御発言の都度お名前をおっしゃっていただくようにお願い申し上げます。
 また、本日ウェブでの御参加は清水委員、松川委員でございます。松川委員は5時半頃に所用にて中座されると御連絡を頂戴しております。ウェブで御参加の先生方におかれましては、御発言以外はマイクをお切りいただく、御発言に当たりましては「手を挙げる」ボタンを押していただくようお願い申し上げます。
 それでは、資料の確認を申し上げます。お手元の議事次第を御確認いただければと思います。本日は、先般おまとめいただきました中間報告で「今後の検討課題」としてお示しいただきました論点を踏まえまして、「大学段階における主権者教育の在り方、教員養成の在り方」、並びに「政治的中立性の担保の方策、教員研修の在り方」の二つに分けまして、委員の先生方からの御提案と、それを踏まえた御議論を頂戴したいと考えてございます。それぞれの御提案の資料を-議事次第にございますとおり-資料1、2、3としてお配りしております。また机上には、今ほど御紹介いたしました中間報告並びに主権者教育推進会議のこれまでの会議資料をドッチファイルにとじたものをお配りしております。不足等ございましたら、事務局にお知らせいください。なお、本日は、それぞれの議事内容に合わせまして、大学の教育を担当している高等教育局の担当課、並びに教員の養成を担当している総合教育政策局の担当課に出席をお願いしております。以上でございます。
【篠原座長】 資料のほうはよろしいですか。それでは、議事に入りたいと思います。
 本日は、事務局からの説明にありましたとおり、前半は「大学段階における主権者教育の在り方、教員の養成の在り方」について、後半は「政治的中立性の担保の方策、教員研修の在り方」について、ヒアリングと意見交換を行いたいと思います。
それでは、前半は「大学段階における主権者教育の在り方、教員研修の在り方」について、2名の方から御発表いただきたいと思います。今回はヒアリングとして、小玉委員と小原委員に御発表をお願いしております。では、最初に、小玉委員から御発表いただきます。よろしくお願いします。
【小玉委員】 東京大学の小玉です。それでは、大学段階における主権者教育と教員研修の在り方ということで発表させていただきたいと思います。
 報告の構成としては、大きく5部構成、お手元に資料がありますけれども、それと同じ内容ですが、最初にちょっと前置きを1番でさせていただいて、2、3、4のところでは、現在私が実際にやっていることを中心に、全学共通カリキュラムと教職課程、それから、課外活動ということで報告させていただき、最後に、全体と通して今回強調したいポイントとして、萎縮しない主体性を育てるというところが重要なのではないかということを最後にまとめさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
まず1番目の前置き、探究の時代と高大接続改革ということですけれども、こちらにつきましては、私がこの会議において発表させていただきましたのが2019年、昨年の9月17日で、そのときに最後にちょっとお話をさせていただいたところから入らせていただきたいと思うんですけれども。そこでお話をさせていただいたのは、ここに書かれてある学習指導要領の改訂をめぐる動きと、それから、現在進みつつある高大接続改革というのは軌を一にしているというところを、やはり重要な確認事項として押さえておく必要性があるのではないかと。
 その背景には、18歳選挙権、あるいは、民法における成年年齢の18歳への引下げ等々にも象徴されるような日本社会の大きな転換の中で、人材育成の制度がやっぱり変わってきていると。社会の中で大人になっていくというシステムに、学校教育と大学教育とが正面から立ち向かえるような制度にしていく必要性があると。そのためには、これまで一定程度機能してきた受験制度を媒介にして学校と社会がつながってきたという、それは高度成長期の時代においては、人材育成という観点から、あるいは人材選抜という観点から成果を上げてきた側面があるわけですけれども、この受験制度を媒介にして、ないしは受験制度のみを媒介にして学校と社会がつながってきたこれまでのシステムというものを問い直していくということの中で、この二つの動きが進行しているというところが重要なのではないかと考えております。
 その際のキーワードが探究ということになりまして、探究的な学習、あるいは、高等学校の新しい学習指導要領では、総合的な学習の時間の名称が総合的な探究の時間というふうに変わっているわけですけれども、初等中等教育の教育課程改革を貫くキーワードとしては、探究という言葉が使用されるようになってきています。これは、これまでの問題を解く時代から問題を考える時代、つまり、「solve the problem」から「think about the problem」の時代へという時代の転換を意味していることでありまして、正解のない問題と向き合う、あるいは、論争的な問題と向き合う、そうした育成をするというところに、今次の教育改革の重要な課題があるということだと思っております。
 それを少し時間軸で考えてみますと、教育と研究の関係ということになるんですけれども、明治から戦前までと、戦後から2019年、昨年まで、つまり、高大接続改革が始まる前というか、センター試験が続いた時代、一応2019年とします。それから、2020年、これはセンター試験が廃止されて、新しい大学入学共通テストが始まる時代というふうに大きく時期区分をさせていただきますと、戦前の1877から1945年までというのは、教育と学問というのは区別されていて、初等教育というのは教育を行う場所で、高等教育は学問を行う場所で、この二つというのはある意味で別のものだった。例えば、教育勅語というのは初等教育段階で教えられますけれども、大学においては、研究の場で例えば天皇機関説のようなものが教えられたり研究されたりするという形で、教育で伝えられることと高等教育で研究されることというのを基本的には区別する。つまり、国民に対する教育と研究者やエリートに対する教育というものを分けるという前提で戦前はきたわけですけれども、それが戦後改革において、教育と学問というのは一体のものだというふうになって、これが私たちの現在の教育制度の基盤を形成していると思います。
 ただし、そこでも、確かに教育と学問というのは一緒になったんですけれども、その学問を教育するということと学問を研究するということについては相変わらず分離されてきて、高校までは学習、大学からは研究というふうに、大学で研究された知識を教わる場所が初等中等教育であり、知識の生産そのものは大学から始まるんだという、そういう前提というのは相変わらず続いてきていまして、高校と大学との間には大きな断絶が存在していた時代だったと思います。
では、高校と大学が断絶していたのを、どのようにこの両者をつなぐかというと、それが先ほど申し上げた受験制度というものでして、受験制度を媒介にして高校と大学が結びついてきたというのが、高度成長期の共通一次試験や大学入試センター試験に象徴されるようなシステムであったということだと思います。
 それが2020年から新しいシステムの模索が現在始まっておりまして、教育と研究を本当の意味で結びつける、乳幼児期から中等教育までで行われる探究というものと、大学における研究というのが、同時進行で研究のシステムの変革というのを促していく。その担い手として、乳幼児・初等中等教育の段階から研究的なマインドを持った児童生徒を育てるという時代に入りつつある。その中で、高校までと大学というのをシームレスに結びつけていくということが、高大接続改革で真の意味で要請されるべき問題と考えております。
 大学教育の課題というのは、その意味で言いますと、既に高校までで様々な現場で探究的な学習ということが進んでいて、正解主義から自由になっていく生徒というのは出てきているわけですけれども、逆に今、大学でそれを潰していくというか、高校までで培われてきた探究心が、大学の教員の正解主義で潰されていくという、それはやっぱり避けなければいけないことだということで、主権者教育においても、そこがやはり非常に重要な課題になっているのではないかと思っています。
 つい先日、NHKで「不可避研究中」という番組があって、そこで「選挙に行こうの“圧”がツラい」という特集があったんですけど、選挙に何で行かないかというと、正しい投票をしなければいけないという圧力があって、なかなか選挙に行きづらいみたいな。だけど、実際の投票行動というのは、正しい投票と間違っている投票というのがあるわけではなくて、どの投票も正解のない問題に向き合うという意味では質的にイコールであって、その辺りはやはり意識を変えていくというところが重要なのだと思っています。
そのように考えてきますと、大学教育を改革するときの一つの鍵として、大きく三つぐらいの分野があると。大学の中心である専門課程なんですけれども、専門課程というのは、従来の学問研究の枠組がやっぱりかなり固いので、本当は最終的にはそこが変わらなければいけないというのは私自身考えていますけれども、専門課程はなかなか従来の枠組から脱却できないという中で、まず始めなければいけない突破口としては、全学共通カリキュラムと教員養成課程、それから課外活動という、この三つがポイントになるのではないかなと思いまして、以下、それぞれに即して、私が現在実践している内容を紹介させていただきたいと思います。
 まず、全学共通カリキュラムにつきましては、現在、私、立教大学で授業を担当しておりまして、これは2017年、3年前に担当したときのシラバスになっておりますけれども。立教大学では全学共通カリキュラムという形で、昔の一般教養というのを1年生から4年生まで全体に広げて、全カリという形で全学共通カリキュラムを導入していて、その中にシティズンシップ教育というのを中心的な科目として位置づけておりまして、それを私も一つ担当させていただいておりまして、この2017年は衆議院選があった年です。ちょうどそのさなかだったので、10月6日に衆議院選をテーマにして授業をやり、明推協からも金井壮太さんに来てもらってお話をしていただき、グループからの発表をし、ということをやりました。
 当時の衆議院選、総選挙は、争点や政党の立ち位置について、私たちから見ても、どう考えたらいいんだろうと、いろいろ考えさせられるような選挙だったと思います。その中で、グループごとにテーマを決めて、例えば米軍基地の問題、あるいは地球温暖化の問題、あるいは差別の問題、人工知能の問題、SNSの問題といった問題それぞれについて、どういうふうに今世の中が論争になっているかというところを、グループごとにテーマ分けをして議論しました。
そして、高大接続改革というところとも結びつけまして、立教大学には一定程度の生徒を立教大学に推薦する系属校があり、その中の一つである香蘭女学校で立教大学に進学が決まっている高校生と、私の授業を取っている立教大学の学生との合同授業というのをやって、グループごとに分かれて、考えてきたテーマそれぞれについて高校生と大学生でお互い議論するということをやりました。
 この授業、今も続いているんですけれども、これは昨年の授業のときに、たかまつななさんをお呼びしてやったときの写真です。立教大学のホームページに載っているものですけれども、このようにゲストの人にもいろいろ来ていただいて授業をしているということで、このような形で、全学共通カリキュラムの中で主権者教育を行うということが、一つの可能性としてあるのではないかと思っております。その際に、論争的な問題から逃げないというところが非常に重要なポイントだと思っております。
続きまして、教員養成の話ですが、大学における教員養成課程というのは、主権者教育の担い手を育てていく上でも重要ですし、大学における全学的な教育の枠組を活性化していく上でも非常に重要なポイントなのではないかと思います。私も、自分の勤務校でもそうですし、慶應義塾大学で現在教職課程の授業を担当しておりまして、本日は、慶應義塾大学で現在私が担当している教職課程の授業、学校カリキュラム論という授業について紹介させていただきます。
 これは教育職員免許法で言うと、教育課程の意義及び編成と特別活動の指導法の両方を網羅する科目として慶應で位置づけられている科目で、これの2020年度の授業を少し紹介させていただきますと、カリキュラムの問題を考えていくときに、やはりカリキュラム・イノベーションの視点から、どういうカリキュラムをマネジメントしていくのかというところについての理解と実践を深めていくということで、その際に、学習指導要領の改訂の方向性を展望しながら、18歳選挙権の時代の政治的なリテラシーやシティズンシップをめぐる教育の担い手に自らなっていくための資質と素養を学ぶというところを重視して授業を行っております。今年はコロナ禍で、オンラインで授業をやっているところなんですけれども、この授業、今年は20人ぐらいの学生が取っているんですけれども、5人ずつの4つのグループに分けまして、それぞれのグループごとに一通りいろいろディスカッションを行った後で、現在、シティズンシップや主権者教育の視点から、総合的な探究の時間の授業案をどう作っていくのかということについて、それぞれのグループごとに今、授業案の発表というのをしております。
 これはその中の一つのグループが提案した授業案の報告事例になります。このグループは、最終的にクラスの首相決めというのを導入するというところを最終目標に置いて、それぞれの班が政党になって党首を決めて、班ごとに幾つかのテーマ、校則、まちづくり、日本を良くする政策づくりという、身近なところから地域、そして日本という、フェーズごとに政策を議論し、最終的にはクラスで首相を決めていくという、そういう授業を1年間かけて総合的な探究の時間で行うという授業案を報告しておりました。
 このような形で、教職課程の授業を取っていく中で、教職課程を履修している学生が、総合的な探究の時間で実際にシティズンシップ教育の視点、主権者教育の視点からこの時間をつくっていくときにはどういう授業案があり得るのかということを一緒に考えていく。そういう授業をしていく中で、教職課程において、主体的な教員としての資質、実践的な指導力というものを育成していくということが可能になっていくのではないのかなと考えています。
 最後に、東京大学で現在私が担当している課程外での実践例というのを紹介したいと思います。
こちらは、東京大学で現在フィールドスタディ型政策協働プログラムというのを行っておりまして、社会的課題に果敢にチャレンジするリーダー人材の育成ということを、自治体と連携して2017年から行っています。もともと、ふるさと知事ネットワークという、15の県の知事さんと東京大学とが協定を締結して出発したんですけれども、このふるさと知事ネットワークに加入していない県も一部入って現在は進んでいます。
 学生はチームを組んで、投げかけられた課題について事前調査や活動計画の立案をした後で、地域の現場に入っていく。そして、最終的には、課題解決への提案を行うという取組を行っております。
 その中で、飼い慣らされない主体性が育つというところが、一つ重要なポイントとして見えてきていると思います。東大生というと、受験制度の中で頑張ってやっと東大に入ったという形で東大に入っている学生が多いんですけれども、しかしながら、このプログラムは課外活動なので、取らなければいけないカリキュラムではないので、自主的に手を挙げて取ってくるわけですね。その自主的に手を挙げて取ってくるというところの中で、こういうところに吸いつけられてくる学生というのは、上からではなくて斜めから社会を見ているような、そういう層の東大生が一定数いて、そういう東大生をマグネット的に吸引するプログラムになっていると。そして、自治体と東大生の二つの層がつながることで、想定外の関係がそこから生み出されるというのが、このプログラムのいいポイントになっているのではないかなと考えています。
 自治体から東大を変えていく、そして、東大から自治体を変えていくという、双方向型の対話が行われているというところが、このプログラムの良さで、飼い慣らされない主体性というところに焦点を当てて、主体性の問題を考えていくということが非常に重要なポイントなのではないかと思います。
 詳細につきましては、このプログラムについて私が話をしたり、あるいは学生と対談したりしたホームページがありますので、こちらのほうもぜひ御覧いただければと思います。
 最後に、まとめとして、萎縮しない主体性を培うということなんですけれども、以上見てきましたように、全学共通カリキュラム、そして、教職課程、課外活動、これらの活動を突破口にしながら、大学の研究教育の構造を、冒頭で申し上げた高大接続改革の趣旨に沿うようなものに大学自身を変革していかなければならないということが大きなポイントで、その際に、これは初等中等教育にも同様に言えますけれども、論争的な課題に果敢に取り組む。バーナード・クリックが言っている「争点を知る」。論争的な課題というのは、当然のことながら、そこに正解というのは存在しないわけですので、論争的な問題に萎縮しないで果敢に取り組む。生徒も教師もそれを前にして萎縮しないということ。そして、正解主義の圧から解放されて、答えのない問いと向き合う探究的な主体性を備えて市民の育成をしていくということ。それが、これら三つに共通する軸として重要なポイントで、萎縮しない主体性を培うというところが非常に重要なポイントとして今後クローズアップされてこなければならないのではないのかなと思っておりますし、それから、最後に、教職課程、教員養成のところについて言いますと、現在、教職課程の中にコアカリキュラムというのがあって、そこに現在、主権者教育の観点というのは正面からは盛り込まれていないわけですけれども、私のような主権者教育に関心のある教員はこういうことをやりますけれども、全員が全員こういうことを最初からやっているわけではないので、主権者教育の視点をコアカリキュラム、特に、教科に関する科目ではなくて、教職課程を取っている全ての学生が履修する、例えば総合的な学習の時間の指導法であったり、あるいは、私が現在担当しているような教育課程の意義や編成に関わる指導法の科目、それから、教職の意義に関する科目、そういったところに主権者教育の観点を盛り込むことによって、全ての教職課程において、こういう主権者教育を担えるような教員の資質を養成するという観点を盛り込んでいくということが重要なのではないかと考えております。
 以上で私からの発表を終わります。どうもありがとうございました。
【篠原座長】 どうもありがとうございました。御質問、御意見あろうかと思いますけれども、次に小原委員から御発表いただいて、その後、質疑、御意見の時間にさせていただきたいと思います。では、小原委員、よろしくお願いします。
【小原委員】 では、玉川大学における主権者教育に関係するようなプログラムを紹介いたします。
まず最初にあるのが、『一年次セミナー102』というものです。一年次セミナーというのは、もう今からかなり前に特色ある大学教育支援プログラムで話題になった大学1年生向けのプログラムです。本学では全学必修科目として、学部に関係なく全員が一年次セミナー101と102を取るようになっています。これは学科にもよりますが、30から40人ぐらいのクラスにして、科目は、高等学校と同じように、クラス担任というのが担当することになっております。そのときに使われる教材として共通のものが用意されております。この中の第11章に、「市民としての社会参加」というタイトルで、大学生、あるいは卒業してから社会人として、どのようなことをしていくのか、あるいは、どういったことがそのために期待されているのかというのを1年生に教えるようになっております。第11章の構成は、ここにあるように、大学生は社会の一員であり社会人であることを学びます。今後、もし主権者教育ということを取り上げるのであれば、これは大学生も主権者というような表現に変えることも可能ではないかと考えております。そのほか、社会への参加であるとか、ボランティアということについて大学1年生に教えることになっています。そもそもこのFYE、一年次教育のスタートというのは、従来、2日とか3日かけていた大学オリエンテーションのプログラムだったのです。大学大衆化、さらにユニバーサル化するにつれて、大学そのものが高等学校の続き、いわゆるpost-secondary educationとしての意味合いが強くなってきています。といっても高等学校と大学というのは明らかに違うというところを教える必要がありますし、学びのスタイルも高等学校と大学で違います。例えば、大学設置基準では1時間の教室授業と2時間の教室外、合計45時間の授業をもって1単位ということなどについて、1年生のときにきちっと教えなければならないだろうということも含めて、この一年次セミナーというのはスタートしてきました。その中で主権者教育になじみのあるようなことも取り上げております。
 実際に学生たちと社会との関わりということになりますけれども、現在、玉川大学では、ここにある8つの市町村と連携協定を結んでおります。北海道の弟子屈と鹿児島南さつまは、たまたま私どもの施設があるところです。福島県玉川村とは、字が同じということで、この協定がスタートしたんですけれども、スタートしてからは、芸術学部の学生、あるいは、農学部の学生たちが地元に入って、いかにしてこの玉川村を盛り上げていくかということに関わっております。
 地元の町田市もそうですし、静岡県の下田は、ここは毎年黒船祭をやっていて、小学生が海兵隊員にまちを案内している、そのときのお手伝い役をやっております。古座川と久米島は、これは観光系で入ってきた話で、最近では山形市とDMOに関して、今、話を詰めているところです。これは大学と市がリーダーシップを取りますけれども、実際に活動していくのは大学生、そこには一市民としていろいろ参加するように仕組みがつくられております。
 次のページで、学生たちの取組例ということですが、弟子屈町では、教員あるいは英語教員養成課程の学生たちが現地の子供たちの英語教育のお手伝い、あるいは、大学教員による現地の教員に対する研修も行っております。同じように近隣の北海道の森町も、同じようなことをしております。先ほどの玉川村のは、地元の売りとなるものの候補の在り方であるとか、ジュースのパッケージのデザインだとか、そういったお手伝いを学生たちが取り組んでいるところです。
 あとは、下田、町田、久米島といったことも、こういった形で進めております。一大学生としてではなくて、日本の市民として、それぞれの市の活動に参加するようなことができる取組となっております。
 次に、授業ですけれども、特に玉川大学、政治の科目を中心とした学科はないんですけれども、その中にあって、全学共通選択科目をUniversity Standardと呼んでいます。これは学部、学科に関係なく選択科目として取れる中に、『政治学』という科目を取れるようになっております。その中では、学生たちに政治的な意識を持たせる、あるいは、積極的に政治に参加する基本となる知識といったようなものを取り上げております。
 それから、もう一つ、似たような科目で全学共通選択科目に用意してあるのが、『ボランティア概論』です。ボランティアをやっていく上で、ただ気持ちだけで行くのではなくて、それに必要な基本となるもの、あるいは、地域の自治体と市民としていかに関わっていくかということを取り上げる科目です。これを取ることによって、学生たちは長期の期間中にボランティア活動にも安心して取り組めるようなことを考えての科目構成となっております。
 もう一つが、授業外での活動の取組です。これは選挙のあるときにタイミングを合わせてやる場合もありますし、それとは関係なく行うこともあります。最初に行われたのが平成28年です。いろいろ企画等、労をねぎらってくれたのが篠原座長です。これは自民党、公明党、民進党、共産党の4党から若手議員を講師として招聘して、コーディネーターに篠原座長になってもらって、いわゆる選挙という具体的な行動を通して、いかに学生たちが政治に参加していくかということを企画したものです。
 この特徴は、大学1年生だけではなく、実は18歳になる高校生(本学では12年生と呼んでいます)、この科目に、高大連携科目として参加してきていることです。したがって、学校種で分けるのではなくて、18歳は誰でも、また、大学生は19歳でも誰でも参加できるようなシンポジウムがこれの特徴です。
 同じような取組が次に令和になって行われました。これはたまたま玉川の卒業生で4名国会議員がおります。小此木八郎議員、丹羽秀樹議員、与党です。それから、羽田雄一郎議員、田名部匡代議員、これは野党です。共に似たような時代に玉川の丘で大学生生活をしているので、お互いなじみのある方々で、それも篠原座長がコーディネーターとして、主権者教育の内容を持ったシンポジウムを開催いたしました。
 これも前回と同様、対象は大学生だけではなくて、11年生・12年生で政治に関心のある子供たちに参加の扉を開いて、大学での科目として開いたものです。御覧のように、時間が17時からというのは、高校生の授業が終わってから十分に間に合うようにということで、17時から始めて1時間半で一通りの主権者教育の入門に相当するような科目を設定しております。
 今後、こういったことを玉川では企画することによって、いかにして一票を持った社会人となるべきなのかということを教育していく予定です。ただ、既存の科目がある中で、新たに科目を追加するという難しさは高等学校及び大学でも抱えていますが、ある意味、政治に無関心なまま高等学校を終える、あるいは、大学を卒業させるというのは避けなければいけません。今後、我々としてはこういった科目、シンポジウム等も増やしていって、政治的意識を高めていこうという立場で、これからのカリキュラムの在り方を考えていくところです。
 以上、特に主権者教育としてまだまだ不十分ではありますけれども、こういった形で、大学においてもやっているという参考例として紹介させていただきました。
 どうもありがとうございます。
【篠原座長】 ありがとうございます。
それでは、お二方の御発表に対して御質問、または、御発表を受けての御意見など、自由にお述べいただいて結構です。どうぞ、御質問なり御意見なりおありの方は御発言を頂きたいと思います。では、小原委員、どうぞ。
【小原委員】 小玉先生、これは中学、高等学校の教職免許の科目ですよね。
【小玉委員】 慶應でやっているのは、そうです。中高です。
【小原委員】 教科ではなくて、教職のほうですよね。
【小玉委員】 教職のほうです。
【小原委員】 ということは、将来的には教職大学院でも使える科目になり得るということですよね。というのは、教職大学院は教職系できますから。
【小玉委員】 そうですね。教職大学院は、また別途、いわゆる教免法の適用ではないところですけれども、既に現場で出られている教員がたくさん入学されてきますので、教職大学院でも、こういう視点で授業の科目を設置しているというのは十分考えられると思います。
【篠原座長】 よろしいですか。ほかにございますか。
【近藤委員】 じゃ、私、いいでしょうか。
感想めいたことで恐縮なんですけれど、小玉先生のお話を伺って、教職課程の中で主権者教育に非常に関心を持って、意欲を持って現場に出て行える若手の教職員の方も大勢これから育ってこられるのかも分かりませんけれども、そう思ったときに、やはりやる気のある若い芽を現場が摘まないようにしなければいけない。まさにさっき大学の圧で潰されない主体性というようなことをおっしゃいましたけれども、まさにやる気のある先生が、現場の例えばPTAですとか、例えば議会ですとか、例えば校長先生、そういった様々な圧から守っていかないと主権者教育が展開できないということで、せっかく大学まで、教職課程まで育て上げていただいたものが、現場で力を発揮できないままに形骸化してしまうということがないように、これからそういった意欲のある先生方に力を発揮していただけるように、現場でも守っていかなければならない。
 それをうまくというか、じゃ、何が現場でできるのか、PTA、議会、そしてまた私たち行政、教育委員会、力を合わせてやっていかなければならないなと思いまして、ますます育てていただいている方々をお預かりする現場の立場の責任というものをひしひしと感じたところですが、その辺も含めて、後で少し発表の中でお話をさせていただきたいと思います。
【篠原座長】 小玉委員、それにコメントありますか。
【小玉委員】 本当に御指摘いただいたとおりだと思います。
まだまだ大学も正解主義の圧というのが存在していると思っておりまして。ですから、大学もそうですし、初等中等教育もそうですけれども、日本の教育システムはまだまだ正解主義、受験制度の枠組に大きく拘束されてきましたので、正しい答えを言うということに対する圧力が非常に強いということで、そこからいかに自由になって、探究的なマインドを持った生徒を育てていくのかというのは重要な課題で、実は、そういう生徒は、玉川の高校でもそういう生徒にたくさん出会いまして、刺激を受けたんですけれども、もう既に育ってきている。それを潰さないためにどうしたらいいのかというところが、大学の教育もそうですし、それから、実際に教員になって現場に出たときの教育行政もそうだと思うんですけれども、ポイントとして、圧で潰さず、萎縮しない主体というものをどうやって育てていくのかというところがキーワードになってくるのではないかと思います。
【篠原座長】 ありがとうございます。
では、清水委員、どうぞ。
【清水委員】 ありがとうございます。
 私は、玉川大学における主権者教育についての資料の中でお聞きしたいことがあります。
一年次セミナーということで、1年生1,670名がということで、クラス単位で受講される。その中で、その後出てくる大学の地域連携の活動というところがありますが、これは1年生の方々が、この連携を締結されている自治体へ全て皆さんが希望を出して行かれるということなのか、1年生の中で行ける方だけどうですかという形でやられているのか。この辺りは、どのようなお取組なんでしょうか。
【篠原座長】 では、小原委員、お願いします。
【小原委員】 特に科目と地域連携というのは、直接的には結びつけていないのが基本です。その中にあって、例えば、今、実際協議が行われている山形市の場合は、これはもう観光学部、あるいは、観光に関心のある者に特化されているプログラムです。
また、玉川村の場合は、農産物が中心なので、農学部が当然直接関わってきますけれども、いろんなものを売る際のパッケージデザイン等は、芸術学部のデザイン系の学生が参加できるようになっています。
 ですから、科目が直接紐づいてはいないんですけれども、こういう場があることを示しています。大学と地元の役所と連携を結んでいるので、受入れもしてもらえるよというような形で紹介しています。
【清水委員】 ありがとうございます。
【篠原座長】 では、松川委員、どうぞ。
【松川委員】 ありがとうございます。
小玉委員、それから、小原委員、それぞれ大変刺激的な御発表を頂いて、大学にいる者として大変参考になりました。ありがとうございました。
 その上で、3点ほど、私が勤務しております大学の現状も含めて、感想めいたことを言わせていただきたいと思います。
まず1点は、私も自分の勤務しております大学での主権者教育の現状というのは、ちょっと見てみたんですけれども、大学のカリキュラムの中にどう主権者教育を組み込んでいくのかというのは、小原委員もおっしゃったように、やっぱりいろいろカリキュラムが詰まっておりますので、その中でどういう形でやっていっているのかというのは、なかなか困難があると。
 私どものところでも全学共通科目、これは玉川大学とは違って、座学で大人数の講義なんですけれども、大学に入ってきたばかりの学生に社会の中での自分というのを考えさせる、うちの理事長がやっている科目があります。その中で、もちろん税の問題だとか、市民としての義務と責任というような話をして、そういう中で主権者教育に関わる話をするようなことをやっておりますけれども、それ以外は、例えば、政治学だとか、そういうような科目の中で、特に主権者教育そのものを扱っているというのはなかなかないわけです。
 先ほど小玉委員がコアカリキュラムというお話もされたんですけれども、カリキュラムの中にどう入れ込んでいくのかというのは、やっぱり大きな課題だと思います。
 それと、カリキュラムだけの問題ではなくて、例えば、小玉委員のような方がどこの大学にもいらっしゃれば、そういう講義なり授業を持っていただけるんでしょうけれども、なかなかそれをやってくださるような先生が各大学に必ずしもいるとは限らないわけでして、これから大学の教員をどう育てていくのかということも大きな問題だなと思ったところです。
 2点目は、小原委員のお話の中で大変共感したのは、地域連携活動ということなんですけれども、小中高大と学生が学んできまして、小中学校くらいまでは地域との結びつきというのは結構あって、地域課題を考えたりするような活動はやっているわけですけれども、高校になり、大学になるほど、地域とは離れてきてしまう。通っている大学生が必ずしもその地域の人ではなくて、全国から集まってくるというようなこともあるわけで、身近なところの地域課題を考えるということも大変少ないわけです。
 いろんな例、大変参考になりましたが、私どもの大学でも、うちは家政学部と文化情報学部という二学部制なんですけれども、例えば家政学部では、地域の高齢者の健康指導を授業の中で、それから、卒業研究の一環として、地域に出ていってやったりしておりますし、住居学専攻では、例えば過疎化が進んでおりまして、空き家のリノベーションというようなことを近隣の町とかと組んでやったりしております。それから、第三セクターの大変集客に苦慮している鉄道がありますが、その鉄道の観光列車の企画を考えるようなこともやっております。そういう中で、地域の課題として、過疎化・高齢化が進む地域の中で、どういう戦略が必要なのかというようなことを考えて、例えば、岐阜県全体で県の政策審議会などには若者がなかなか参加しませんので、岐阜県は毎年「若者ガヤガヤ会議」というのをやって、各大学の学生を集めて、いろんな課題を議論するような場を持っているんですけれども、そういうところにも積極的に参加するようなことをさせております。
 ですから、講義の中で主権者教育も大事ですけれども、地域課題を考えながらフィールドワークするようなカリキュラムの入れ方というのもこれから考えていきたいと思っております。
 最後にもう1点、ほかの委員からは出なかった点で、投票行動そのものにつきまして申し上げます。私、1科目、大学で講義を担当しているものですから、学生に聞いてみたんですけれども、学生それぞれ19、20歳くらいの学生ですけれども、みんな選挙に行ったことはあると言っております。ただ、本学の場合、6割くらいが他県の出身者なんですね。そして、大学に来たときに住民票を移しておりませんので、いろんな選挙があるときに、それが夏期休暇中とか休みであれば、帰省してそこで投票するということはあるんですけれども、そうではない時期に選挙があった場合は、なかなか実際には投票に行かないということが現実だということを改めて知りました。もちろん、不在者投票とか、いろいろあるわけですけれども、大学生の投票率が一般的に低いということの一因は、やっぱり住民票を持っているところからかなり離れた大学に行っているということが大きな原因ですので、これは選挙制度の問題もあると思うんですけれども、アメリカの大統領選挙ではありませんけれども、郵送の投票とか、新しい形を今後模索していく必要があるというようなことも考えました。以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。小原委員と小玉委員、何かコメントありましたら、どうぞ。
【小原委員】 カリキュラムの中に新たに加える難しさというのはあるのですが、ここで一つ可能性があるとすれば、選択科目で履修者の少ない科目を削って新たな科目を入れるというのは一つあります。もう一つ、恐らく一年次教育、先生のところでもやっていると思いますが、その内容は、私どもも何年かに一度内容を見直ししておりますので、そのときに、改めて主権者教育というタイトルで章を入れることができます。
 また、担当者がいないということですけれども、投票に行きましょうと皆さんに呼びかけている人は、特別に大学の先生の資格でも何でもない人がやっているわけですから、これについて、印刷教材だけではなくて、録画教材も使ったりすることによって、教員も主権者教育に関わっていくことは可能だろうと考えております。実際、うちの場合ですと、それぞれ専門分野は違いますけれども、一年次教育の二科目については、責任を持ってできるように研修もしていますし、実際、それに使う必要な補助教材も作っています。ですから、決して専門家がいないからできないということではないのではないかなというのが私の考えです。
【篠原座長】 ありがとうございます。小玉委員、何かコメントありますか。
【小玉委員】 カリキュラムが過密化するという問題は、初等中等教育と高等教育両方に言える問題で、先日のこの会議でも出ていたと思うんですけれども、主権者教育というのを、○○教育というのがもう一つ増えたというふうな印象を持たれると、あ、また増えるのかというふうになってしまうというところで、カリキュラム・オーバーロードというのをどうやって防ぐのかというときに、そういう○○教育というものの中に、もう一つ新たに主権者教育というのが増えるという、そういうことではなくて、既存のカリキュラムの中に主権者教育という視点が入っていくという。だから、何か新たに科目を増やすとか、そういうことではないんだというところをいかにして実質的に盛り込んでいくのかというところが重要なのではないかと思っております。
 やりやすいところは、小原委員からも私からもありましたが、全学共通科目の中にこういった科目を取り入れるというのは、比較的カリキュラム・オーバーロードを招かない現実的な案だと思います。
 それから、もう一つは、地域社会との連携というところで、やはり課外活動というのにもっと光を当てることが重要で、これはカリキュラム・オーバーロードにならないという意味でもそうですけれども、取る学生の側からいっても、どうしても授業というのは単位が必要だから取るという形で取るので、本当の意味でのモチベーションが内発的なのかというところが学生によってかなり様々なんですけれども、課外活動だったら、本当に取りたい学生が取ってきますので、東大だと、やっぱり受験志向みたいな学生ではない学生、あるいは、社会に対してより貪欲な関心を持って社会に貢献していきたい、あるいは、問題意識を持っている学生が自発的に取ってくるので、そういう学生をマグネット的に吸収するという意味では、東大だけではなくて、こういうフィールドワークとか地域社会との連携活動というのは、どの大学でも結構意味があるということで、東京大学のような、いわゆる研究主体の大学から、地方に存在している地域の中で結びついている大学まで含めて、全ての大学が地域社会ともっと積極的に結びついて、課外活動を中心に学生がそこから問題意識を発見していくという、そういう活動を広げていくことが重要になってくると思います。それによって、大学という場所が主権者教育の一つの拠点になっていくような、そういう構図も描かれるのではないのかなと思いました。
以上です。
【篠原座長】 ありがとうございます。ほかに御意見ありますか。どうぞ、中村委員。
【中村委員】 小玉委員、本当にすばらしい発表なんですけれども。正解主義という部分の改革みたいなのは、変容みたいなのが、大学において起こりつつあるのかどうなのかという部分ですね。そのとき、やっぱり入り口である入試という部分というのは、ある受験生を入学数に合わせて振り落とすぞみたいな性格があって、そういうものがどう変わっていくのかなとか、学生サイドもそういう成績というのが、点数が、やっぱりそういう志望校を決める一つの要素になっているんだろうと思うんですね。
 だから、私の考え方というところで、問題を解くから問題を考える方法というのは、これからの時代、一番大事なことだなと思うんですけど、社会全体がどう変化をしていくのかなという部分について、小玉委員の御見解をちょっとお聞きしたいなと思って。
【篠原座長】 ありがとうございます。では、小玉委員、コメントを。
【小玉委員】 大学入学者選抜というのは、当然、入学者選抜ですから、選抜というシステムは必ず残るわけですけれども、それを今までのように国民全体に網をかけてやるという仕組みは、もう2019年で終わったというふうに考えるべきなのではないかと個人的には思っています。だから、大学入学者選抜は、それぞれの大学でアドミッションポリシーに沿って選抜はやるんですけれども、それをナショナルなレベルで全体に網をかけてやると、やらなきゃいけないという圧が本当に高校生全体に広がっていくので、国民的な行事として、いつも「大学入試センター試験が今日ありました」というのがNHKのニュースの最初に出てくるみたいな、ああいうところから変えていくことがやっぱり重要なのではないかと思います。
 主体性を評価するというのも重要なんですけど、それが大学入試に役に立つから生徒会の役員をやっていこうみたいな、そういうふうになっていくと、飼い慣らされた主体性になるので、飼い慣らされない主体性というのは、しかし、多くの高校生は、生徒会の役員をそういう意識では多分やっていないと思いますので、本当の意味でやりたいからやるというところをもっとプッシュしていくということ。
 これは個人的にまだアイデアというか、具体的にどうするのかというところは専門家の方に詰めていただきたいんですけど、今、大学入試センターというのがあって、そこが大学センター試験とか今度の新しい共通テストをやっていますけれども、大学入試センターというのも、そういう国民的な共通試験を行うためのセンターとして、法律に基づいてつくられたもので、予算措置もされていますけれども。例えば、ああいうものも、もっと高大接続改革を推進していくための部局としてバージョンアップしていくというか、そういうやり方も含めて、やっぱり高大接続改革を入試制度に一元化しないような改革というのを考えていくことが必要なのかなと思います。
【篠原座長】 ありがとうございます。ほかに御意見ありますか。植草委員。
【植草委員】 植草です。意見というか、感想というか、という形になると思います。
今、お二人の発表をお聞きしまして、どうしても小中高というふうに校種が上がっていくに従って、教員層がやっぱり専門的になっていく。そういう中で、どうしても主権者教育というと、これはもう社会科の、特に公民科の教員がやるべきことでしょうというような、そういうニュアンスが非常に強くなっていく現状があります。ですから、そういう中で、総合的な探究の時間にある程度軸足を入れていくというのは、本当に大切なことだなと思っています。
 その中で、生徒にアウトプットをさせる、そういう技術、これが今、大学等でどういうふうにやられているのか。自分ももちろんアウトプットをするというところをやっていらっしゃると思うんですけど、人にそれをどういうふうにさせるというところ、その辺もこれからの教員のスキルとしてはすごく大事かなと思っています。それが1点。
 それと、地域連携なんですけれども、なかなか公立の小中高ぐらいになってくると、学校の外に出たり、外から学校の中に入れるというのが、まだまだハードルが高いところがあります。特に、大分中に地域の方が入ってきて授業をやったりとかというのは入ってきていますけど、生徒が直に外に行くといったときに、安全性の問題とか、そういうのが先に立ってきて難しいところがあるんですけれども。その辺を、例えば大学のほうと連携する中で、高校生がそういうフィールドに出ていくというところは、何か実践とかがあればお聞きできればと思います。
以上です。
【篠原座長】 これは小玉委員に対してですか、小原委員に対してですか。
【植草委員】 小玉委員、小原委員に。
【篠原座長】 両方。じゃ、小玉委員、どうぞ。短めにコメントお願いします。
【小玉委員】 一つは、社会科の先生は割と関心を持っているんですけれども、そうではない先生も含めてというところでは、総合的な探究の時間で。総合的な探究の時間というのは、特に、学習指導要領で指導案を作ってという授業にはなじまない授業なので、そこをやるために一緒に議論するというところは、まさに肝になってくるところで、一緒に議論して考えて探究的に課題に取り込むというところを、これからの教員の実践的な指導力として位置づけていくということ。
 実践的指導力という言葉が言われ出してもう20年か30年ぐらいになるんですけれども、この20年、30年の間で、実践的指導力というものの中身自体がもうかなり変わってきていると思いますので、そこの部分を主権者教育という視点から、内側から変えていくというところが重要なのではないのかなと思います。
【篠原座長】 ありがとうございます。では、小原委員、どうぞ。
【小原委員】 これ、直接教員養成に関わってくる話題だと思うんですけれども、今の免許科目が主権者教育以前の考え方でできている。ここへきて、もしカリキュラム・マネジメントで教科横断で取り上げるのであれば、そういった方法で免許関連科目を変えるべきだろうというのが一つあります。
 したがって、教職コアに新たに加えるか、中の一部を変えるかして、教員養成の段階から変えておかないと、学生たちが現場へ行って、「それはもう社会の先生がやればいいんだよ。私は自然科学だから」と言って逃げてしまうと思います。でも、彼らだって主権者ですから、やはりきちっと教育はできるはずだと思うんですね。そこが、これから会議をやっていく上で避けられない課題ではないかなと思っております。
【篠原座長】 ありがとうございます。ほかにございますか。
じゃ、私の意見をちょっとだけ言わせてください。小玉委員から出た高大接続の話、それから、小原委員から出ました、シンポジウムや何かをやるときにも、大学生ではなくて、高校3年生も一緒に巻き込んで、そういう場に参加させていろいろ深めてもらうと。こういう取組は僕はすごく大事だと思っているんですよ。なぜ大事かというと、高校までの主権者教育、特に18歳になったときからいろんなことで主権者教育を施しているんですけれども、そのときは投票率が上がるんですね。ところが、大学に入って、特に19歳になって、がくっと落ちるんです。これは先ほど松川委員がおっしゃっていたように、住民票の問題とか、いろいろあると思います。あると思いますけれども、本質的には、私は、18歳になったから、初めての選挙権だから行使してみようかということが先にきて、要するに、続かないんですね。続かない理由は、選ばれる側のほうにも問題があるかもしれませんけれども、やはり僕は、これから18歳成人になりますけれども、これから大人になって継続的に自然に投票所に向かうことが当たり前のことなんだ、という流れがきちんとできないと、高校と大学の間で投票率がこれだけ変わってくると、やっぱり根づいていないなということで、これをどうするかということが、僕は非常に大きな課題ではないかと考えています。
 それと小玉委員がおっしゃった、主権者教育というのは新しい科目でも何でもなくて、いろんなところに盛り込んでいけばいいと思うんです。その辺のところが、プログラミング教育もあり、何もあり、これにまた主権者教育かという大学側の受け止めはあると思うんですけれど、そうではなくて、いろんな授業の中でそれを実践していく、盛り込んでいくという工夫や流れをつくれば、僕はできなくはないのではないかなと。
 それで、僕は今小原委員のところで一講座持っていますけれども、これは政治学の一つだろうと思いますけれども、僕は授業の最初に学生たちにやってもらうのは、一週間の間に新聞を読んできてもらって、その中で興味のあった、関心のあった記事の見出しを、今、対面でできませんから、対面のときはホワイトボードに書いてもらって、オンラインのときは事前に出してもらいます。こういう形で、なぜこの記事を選んだのか、あなたの意見はどうなんだというところまで全部掘り下げて聞くようにしているんです。
 そうすると政治だけではなく、社会の動きとか、そういうものに学生たちがより一層関心を持ってきます。読まないと翌週の発表ができませんから。そういうことが、本当は高校の時代、小中高のときに身についていればいいんですけど、今、ほとんどの学生は新聞を読みません。そういうことをやらない限り、みんな、新聞についてはパスです。だから、私は無理矢理読ませることから始めているんですね。これは一例ですけれども、そういう工夫もいろいろやる必要があると思っております。それで、小玉委員に一つ質問なんですが慶應大学の教職課程の取組。これは前からやられていると思うんですけれども、その後のフォローアップというのは何か調査されていますか。つまり、こういうことをやったことで、現場で教える立場になったときに、こういうふうに役に立っているというような、フォローアップした調査はございますか。
【小玉委員】 私、慶應のほうは本務校ではないので、非常勤で教職課程の担当授業をしているんですけど。卒業生を同窓会に組織して、フォローアップ的なことはやっているはずです。
 三田教育会という、慶應出身の先生方の組織がありまして、田村座長代理のところの先生方にもたくさんおられると思うんですが、そういうOB組織みたいなところと連携したフォローアップ活動というのはそれぞれの大学でやられているし、それは結構重要なのではないかと思います。
【篠原座長】 田村座長代理の名前が出てきましたので、一言コメントどうですか。
【田村座長代理】 お二方の先生の御発表をお聞きしていて、とてもよくおやりになっている、こういうのを延長していけば大丈夫だというふうに、つくづく感じさせていただいております。リベラルアーツという言葉がありますが、これは、カーネギー分類で目的を整理しますと、二つ言われているんですね。一つは、一人一人がほかに代わる者がいない独立した個性があるということ、これを確認する。それから、もう一つが、人類の普遍的な意味での社会の一員であるということを意識する。これがリベラルアーツと言われる学群の目標だというふうにカーネギー分類ではされています。
 後者の、社会の一員であるという点で言うと、例えば、社会というのを人間がつくっているわけですが、地球上にいろんな生きものがいて、いろんな社会がつくられているわけですが、人間の社会に一番似た社会というのは、アリの社会だそうですね。ただ、アリと人間が違うのは、アリは一匹一匹が違うという意識がない、我々には一人一人が違うという意識が前提にある。そこに違いが出てるんだろうと思うんです。
 それから、文化という言葉がありますが、文化というのは、社会から学ぶものなんですね。社会から学ぶものが文化なんですね。したがって、その社会をどのように進歩させていくかというのは文化にとっては決定的に重要で、その中で今の主権者教育というのは、今言った文脈で言うと、ちゃんとリベラルアーツの考え方に沿った非常に重要な鍵だということを痛感しているところなんです。今の両先生のお話をお聞きしていると、そういうことを意識しながら、いろんなところでそれに触れて、次の世代の人がそのことの重要さを確認していくという、この積み重ねがとても大事なんだと思ってお伺いしておりました。
 特別、注文点はなく、よくやっておられるので本当に良かったなと思うのですが。これを小中高からどうやるかというのは大変難しいテーマだと思いますが、どうしてもやっていかなければいけない。積み重ねですから。人類にとって決定的な大事なテーマだと思っています。社会の問題ですね。
【篠原座長】 おっしゃるとおりで、小中高が本当にきちんと必ずしもやれていないということが、大学にみんなツケになって回ってきているという感じがしています。総務省の清田課長に一言お聞きしたいのですが、大学で、選挙の時に設けるのは、共通投票所と期日前投票所と、どっちですか。設けている大学ありますよね。
【清田総務省自治行政局選挙部管理課長】 期日前投票所を設けている大学はあると承知しております。
【篠原座長】 共通投票所ではないんですね。
【清田総務省自治行政局選挙部管理課長】 共通投票所は、まだ始まったばかりでして、どちらかというと、ショッピングセンターとか、そういうところに設けていると承知しております。
【篠原座長】 それは知っています。共通投票所、池袋のデパートとかにある。大学の場合は?
【清田総務省自治行政局選挙部管理課長】 期日前投票所が全国的にあると承知しております。
【篠原座長】 期日前投票所をやると、選挙人名簿との照合がありますよね。例えば、いろんな地域から学生が通っている。どういうチェックをしているんですか。
【清田総務省自治行政局選挙部管理課長】 そこは、あくまでもその市区町村の投票所になりますので、そこの選挙人名簿と、複数あれば何らか回線をつないでチェックをしているということになりますので、その地域の……。
【篠原座長】 その地域以外の人は駄目なんでしょう。
【清田総務省自治行政局選挙部管理課長】 ということになります。
【篠原座長】 だから、非常に限定的なんですよね。大学はいろんな地域から通ってきていますから。
【清田総務省自治行政局選挙部管理課長】 逆に言えば、学生さんだけでなく、その地域の方もその大学で投票されているということになります。
【篠原座長】 そうそう。あくまで地域の人を対象にしているのが期日前投票と。
【清田総務省自治行政局選挙部管理課長】 そういうことになります。
【篠原座長】 共通投票所でもそうですか。
【清田総務省自治行政局選挙部管理課長】 その市区町村単位になります。
【篠原座長】 市区町村単位になる。例えば、池袋のデパートなんかでやっているのは、豊島区の人でないと駄目なんですか。
【清田総務省自治行政局選挙部管理課長】 豊島区が設置されているということであれば、豊島区の有権者が対象ということです。
【篠原座長】 限定されているわけですね。
【清田総務省自治行政局選挙部管理課長】 はい。
【篠原座長】 この辺がまたいろいろ、期日前も共通投票所も、あまり使い勝手よくないんですよね。はっきり言ってね。大学だって、例えば、さっき松川委員が言ったように、住民票を移してないと。なぜ移さないんだと聞くと、いや、お母さんが住民票だけでも我々の地域に残しておいてよと言われて残しているとか、そういうのもあるんです。大学に行ったときに、そういう人たちも全部……。なかなかシステムは大変なんだろうけど、もう少し広げられないかなという感じがしますよね。
 あとは、いいですか。では、第1部はこんなところにいたしまして、第2部に移らせていただきます。今日は、お忙しい中、近藤委員にもお見えいただいていますので、それから、定野教育長にもお見えいただき、ありがとうございます。それでは、二つ目のテーマの「政治的中立性の担保の方策、教員研修の在り方」、先ほどは教員をどう養成するかということが一つのテーマだったんですが、今度は研修のほうに力点を置いて御発表いただきたいと思います。では、よろしくお願いします。
【近藤委員】 先ほどの主権者教育を担える教員として資質を育てていただいて、現場に送り込んでいただいているわけですけれども、様々なカリキュラムがある中で、主権者教育をあえてしたくないというか、様々なプレッシャーがある中で、どのように主権者教育を行っていくのかというのは、当の教員、もしくは校長にかなりプレッシャーがかかっているということで、先ほどおっしゃってくださった、何か特別に思いのある校長先生、教員の方、もしくは、そのノウハウを持っている方々に結局はおんぶに抱っこの状況で、そういう特別な方がいない学校ではなかなか主権者教育が進まないという現実がございます。仮に進んでいたとしても、何とか持ってこられるのは、先ほど来お話が出ているフィールドワークを中心とした地域課題をネタにした主権者教育というところが精いっぱいで、実際の選挙公報等を活用した模擬投票というようなところまで到達できる学校は、足立区でもほとんどないということでございます。
 ただ、そうは言っても、教員の指導力によって、実際の直近の参議院選挙の選挙公報等を活用して模擬投票を行って、実際に選挙の直前に開票してしまうとまた問題があると考えて、選挙が終わった後に開票をいたしましたら、実際の現実の選挙結果とはまた違った結果が出たというようなこともございます。
 実際に選挙公報をどのように読み解いていくのかというような力も、この主権者教育では身につけることを一つのポイントとしておりますけれども、だったらば、そういった教育が一校のもので終わってしまうのではなくて、どうしたらやる気のある先生方にやっていただける横展開ができるのかですとか、または、フィールドワークを超えた主権者教育を行うに当たって、心に留めるべき先生のポイントというようなものをお話しさせていただきたいと思います。
 私も教育長と共々、現場の先生にもお話を聞いておりますけれども、あくまでも四六時中現場にいるわけではございません。伝聞になってしまいますので、今日は座長にも御理解いただきまして、当区の定野教育長に、ここから詳しい内容について説明をさせていただきます。
 定野は、教育長の以前には、足立区の選挙管理委員会の事務局長も務めておりましたので、選挙の投票率を上げる努力の立場と、そしてまた、現在は主権者教育の立場と、両方からこのテーマについて考えることのできる職員でございます。お願いします。
【定野足立区教育長】 足立区の教育長の定野です。よろしくお願いいたします。
 私も、正解を求める圧力から解放されて発言をしたいと思いますので、よろしくお願いします。また、今、先生方から大学のカリキュラムの御紹介があったんです。そういう学生の中に、いや、そういうのって小学校のときにやったよとか、中学校のときに習ったことがあるよという学生が出ていないのが非常に残念だし、それは我々も努力しているわけですけれども、もしそういう原因が小中学校の教育に不足しているところがあれば、これからさらに強化していかなければならないと思いますし、これから御紹介する私どもの取組が、もしかすると中学校3年生ぐらいから高校受験とか、あるいは、高校生になると大学受験とか、そういうことでまた正解を求めるほうにシフトしてしまって、そういう意欲、モチベーションを下げてしまっているのではないかなというのが私の大きな問題意識です。
 松川委員からありましたけれども、不在者投票に手間がかかる、それと比べて、投票行動という、あるいは、社会を変えるというモチベーションがそこまで高まっていないというところにも課題があると思います。不在者投票というのは、現在地で選挙管理委員会に投票用紙を請求していただければ、滞在地で投票できるんですね。滞在地の選挙管理委員会で投票できる。こういう制度もありますので、その手間を少し簡略化できるかどうかというのは、今日、総務省の方もいらっしゃるので、ぜひお願いしたいなと思いますけれども、そういったモチベーションをどれだけ上げていくのか。
 もう一つ、座長からNIE、新聞を利用した教育、これも小中学校で足立区では毎日5紙、新聞を並べて、新聞の記事には必ず事実と意見が書いてあると。意見の部分は新聞によって違うわけですね。事実は同じですけれども。それを比較しながら自分の意見を持つ、こういう教育もやっているわけです。
【篠原座長】 5紙というのは。
【定野足立区教育長】 主要5紙と言ってよろしいんでしょうか。そういう日刊紙のことを言っています。
【篠原座長】 いやいや、主要5紙って、大体僕らは主要6紙っていうんです。
【定野足立区教育長】 6紙ですか。ごめんなさい。6紙だったかもしれません。
【篠原座長】 全部ですか。
【定野足立区教育長】 全部取っています。新聞協会のほうから御協力いただいて、取らせていただいて、それを比較してということをやっているということです。
【篠原座長】 新聞それぞれ主張が相当開きますから、バランスを取って読み込むとよいと思います。
【定野足立区教育長】 そういうことです。全紙比較をして、そこから事実と意見を分離して、自分の意見と違うのかどうかということをやるということです。
 今日お話しする中では、なぜ主権者教育は進まないのかというところを主眼にしたいと思います。既に学習指導要領の中でも、主権者教育ということはうたわれていませんけれども、学習指導要領に基づいて、主権者、国民主権を担う国民を養成するという立場から、いろんな教科でそういった言葉が包含されています。そういったところでは、やれと書いてあるわけです。ここに一覧表を出しました。ただ、一方で、様々な制限があります。こういった事象を取り上げる場合には、有益な教材に基づいて指導するとか、特定な事柄を強調してはいけないとか、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げてはいけないとか、裏には公職選挙法とか、中確法とか、教特法とか、地方公務員法とか、様々な法律で縛られているわけです。なので、教員たちはどう思っているかというと、どのような教材を使用すればいいのかとか、どこまで取り上げればいいのかということで、非常に不安を持っています。校長はもっと不安を持っていて、この教員に任せてもいいのか、この教員ができるのか、こういう不安を持っているわけです。したがって、こういった学校が推進する上での不安をどうやって解消するのかが重要だと思います。主権者教育がもしオプショナルだったら、やらないというのが一番安全で安心だというところです。萎縮しない体制の重要性を小玉委員は説かれていましたけれども、ここでも、萎縮しない校長や先生を養成しなければならないんだと思います。
 次に、主権者教育に関する教員研修ですけれども、やらないほうが安全・安心だということをどれだけ覆す教育をやっているかというと、非常に教員の研修は不足しています。ここにもさっと書いてみましたけれども、大学の先生方がお話しになったような教育を教員に向けてやっているかというと、そういうことはなくて、むしろ非常に後ろ向きとは言いませんけれども、前向きではないなと思います。
 これを充実するには、やはり主権者教育の位置づけを明確にする必要がある。どういうことかというと、指導方法の明確化、評価方法の明確化、それから、関係機関と連携した教員研修が必要だと思います。これから御紹介する学校でも、例えば、マニフェストを比較する、班の中で情報交換をする、議論に参加する、あるいは、選挙への取組を真剣にやっているか、あるいは、結果に対して自分なりに考えを持っているのか、こういう評価もやっているんですね。こういった評価方法が、まだまだオーソライズされていないのが今の現状です。
 次に、これは足立区の第四中学校の例ですけれども、外部の方、これは東京青年会議所のもっているプログラムをやったことがあります。その中身は、通学路の安全性について、小学生の立場だったら、子連れの母親の立場だったら、お年寄りだったらというような面からフィールドワークをして、そして、いろんな提言を最終的には模擬請願という形で請願書にまとめる、こういうことをやっているんですけれども、後から御紹介するように、足立四中ではさらに進んでいます。足立区では、小学校3年生の副読本で、「わたしたちの足立」というのがあるんですけれども、既に地域に興味を持って、調べて課題を見つけて、それを解決するというところまで小学生がやっていますから、東京青年会議所のプログラムは、小学生のレベルかなと思います。
 さらに、教科書の中でどう取り上げられているかということですけれども、公民の時間では、赤字路線バスに税金を使うべきかとか、あるいは、道路の拡張計画について考えるとか、こういったことを中心に主権者教育をやっているというのが今の現状です。
 もう一つ進んで、多分、これが今現在の中学校がやっている主権者教育の限界だと思いますけれども、模擬区長になろうということで、模擬選挙をやります。自分が区長になって、先ほど首長になってという御発言もありましたけれども、区長になって何をするんだということを、小玉委員ですか、35週とありましたけれども、足立区のこの模擬区長選は6時間でこれを投票までやるということになっています。ここまでが多分、平均的な主権者教育の限界なのかなと思います。
 さらに、足立四中では令和元年第25回参議院選挙の模擬選挙をやっています。これは7月ですから、先ほどお話のあった小原委員の6月に、この選挙、7月5日公示で7月21日投票ですから、極めて選挙に近いところでやるわけです。したがって、教員はどんなことに留意しているかというと、ここにある4項目ですね。生徒からの質問に対して、教員の思いが回答に含まれないようにするとか、疑問については、解決策を自分で見つけるようにさせるとか、そういったことを注意しながらやっているわけです。
その結果、ちょっと見にくいんですけれども、そこに一覧表があって、あの参議院選挙で幾つの会派があったか、皆さん御存じですか。13あったんです。さっき4党の方のディスカッションをとありましたけれども、多分、議席があるのはそのうちの8つぐらいの話でして、こうやって全部出さなければ駄目なんですね。さっきの主要というのと一緒で、切れないわけです。したがって、13の選挙公約を全部広げてやるわけです。また、選挙期日に近いということもあって、これ、選挙公報ですから、選挙期間中にやります。これについては、文科省のQ&Aでも、非常に注意してやるようにというQ&Aができています。これは中学生だからできるんだと思います。多分、高校生だったら、中に有権者がいます。したがって、できないだろうと思いますけれども、中学校ではここまでやって、縦は比較項目で、今度は首長になって例えばこのまちをきれいにしようとか、そういうのではなくて、消費税増税だとか、憲法改正とか、選択的夫婦の別姓、同性婚、年金、教育の無償化、こういうことを比較項目として上げて、選挙公報からこれを分類・整理して、自分たちでディスカッションをする。そして、最後に投票します。あの円グラフが最後の投票です。
 本当の選挙の開票日前にやると、これは公職選挙法に反するので、終わってから、自分のクラスの結果と実際の結果とどうなのかということを比較します。そしてまた、なぜ違っているのか、どこが違っているのかということもやるというわけです。教育の無償化の話、さっき項目の中でありましたけれども、無償化は、ただになることではなくて、誰かが負担することだということも子供たちは知っています。
 そこで、最後ですけれども、まとめで、これは最後に小玉委員のオーバーロードの話と重なりますけれども、新たな科目を設定するのではなくて、教科横断的な取組が必要ということは、私たちも同じです。中心的な役割を果たす学校を指定して、今、足立四中の話をしましたけれども、これを横展開にしていく。そのためには、新たな科目を設けるのではなくて、教科等に横串をさす、例えば、国語科の中では標語とかスローガンだとか、あるいは図画工作科や美術科の中ではポスターの話であるとか、算数科であれば、例えば多数決とかドント方式であるとか、様々なところでいろんなことが取り上げられると思います。プログラミング教育で言えば、例えばボートマッチなんかは、これにフィットすると思います。
 以上ですけれども、不安を解消するためにガイドライン、あるいは教員の研修、それから、教育委員会のバックアップ、それから、地域の理解、議会・社会の理解がやっぱり主権者教育には必要だと思います。校長や先生方の安心・安全に資するものが必要だということと、推進校を設けて、これを拡大発展していく、そして、最後に申し上げたいのは、こうした小中学校の取組が高校へ、そして大学へつながっていくことを願ってやみません。私からは以上です。ありがとうございました。
【篠原座長】 ありがとうございます。現場の実践例を踏まえて、大変分かりやすく御説明いただき、ありがとうございました。
一つ、私から最初に定野教育長にお聞きしたいのですが、先ほど小学生のところで、新聞を読ませているというのがありましたがマニフェストの比較を云々ということをおっしゃっていましたね。このマニフェストというのは各政党が出しているものですか。
【定野足立区教育長】 はい。今お話ししたのは、選挙公報を参議院選挙のときに生徒に分類・整理させて、それを比較して議論をさせています。
【篠原座長】 選挙公報に各党の主張が載っているものですね。
【定野足立区教育長】 そうです。それを班ごとに分類するんです。
【篠原座長】 なるほど。子供向けのマニフェストが自民党や公明党など幾つかの政党から出されているのを御存じですか。
【定野足立区教育長】 はい。この授業では大人の選挙公報を基にやらせています。中学生ですから。
【篠原座長】 子供向けのはどうされていますか?
【定野足立区教育長】 子供向けのは、まだ授業では使ったことがありません。
【篠原座長】 なるほど。分かりました。御意見、どうぞ。
【小玉委員】 小玉です。御発表、どうもありがとうございました。レジュメの5ページですか、なぜ、主権者教育が進まないのかというところで、学校経営を行う管理職と実際に指導する教員というのがあって、実際に指導する教員に関しては、教員に対する研修の位置づけの明確化というのがその次のスライドに出ているんですけれども、管理職に対する研修というか、校長研修みたいな、そういう管理職にどういうアプローチをしているかみたいなところは何かございますでしょうか。
【定野足立区教育長】 主権者教育に対する理解であるとか、あるいは、今後、子供たちが社会に出てどんな力が必要なのかということは、管理職に伝えているわけです。そういう研修はあります。ただ、管理職が一番不安なのは、実際に指導する教員がふとしたはずみで言った意見や言葉が、そのまま、例えば地域やいろんなところに伝わって、それは何やっているんだというときに、防衛する力がないというところが課題だと思います。
【篠原座長】 ありがとうございます。ほかにございますか。先ほどの御提案の6ページ目の一番下の右の「主権者教育」を推進するために教員が身につけるべき事項が明確になることで、研修も充実していくとあります。これは養成と研修ワンセットの話だと思うのですが、この辺は、小玉委員どうですか。
【小玉委員】 養成と研修をワンセットにというのは、現在の教員養成のシステムでもうたわれていることだと思いますので、この流れ、養成・研修ワンセットの中に主権者教育の視点を入れていくというのは、非常に重要なポイントだと思います。
【篠原座長】 しかしながら実際は現場からは具体的に何をどう身につけて養成・研修をしたらいいのかについて戸惑いがあるということでしょうか。
【定野足立区教育長】 そうですね。やっていけないことはたくさん書いてあるんですけれども、何をやれということが書かれていないということです。
【篠原座長】 どうぞ。
【近藤委員】 ですから、教職課程のカリキュラムと同時に、現場に出た先生に対する再教育と言っては非常に失礼ですけど、ブラッシュアップの研修をお願いしたいと思うのです。非常に驚いているのは、中学校の先生の主権者教育の研修が国会議事堂を見学してと、いや、もう本当に驚きましたけど。国会の参議院のほうで模擬議会のようなものをやっていただいているそうで、それはそれで何か非常に人気があると聞いておりますけれども、それでも、国会の雰囲気を味わっただけでも非常にありがたいというような現場の職員の話を聞きますと、本当にこの研修の在り方というのは真剣に考えていただかないといけないなというふうに実感いたしました。
【篠原座長】 ありがとうございます。どうぞ、小原委員。
【小原委員】 現職の教員の研修ですけれども、教職員支援機構、NITSがあります。そこで現職の先生を対象に、いろいろな指導法だとか、教科の内容に関する研修を行っているということを聞いておりますので、場合によっては、教職員支援機構で主権者教育を取り上げてもらうというのも一つではないでしょうか。主権者教育をカリキュラム・マネジメントで教科横断でやるのであれば、各教科の先生対象のプログラムを作ってもらえば良いのです。それは何も足立区だけではなくて、全国の先生方にとっても有益なことですから、これは文科省のほうからNITSのほうへ依頼して、そういうのを作るというのは一つあると思います。もう一つ、私が懸念するのは、カリキュラム・マネジメントも良いのですが、カリキュラム・オーバーロードをみんなで分かち合いましょうということで、各教科にそれぞれプラスアルファになってしまうので、ここは今まであるものの何かを削って入れるか、あるいは、今、小中は週の教育時間を1時間延ばしてそういった活動を可能にするとか、何か考えないと、結局、各教科としては、もう既に定まっている内容、いわゆる既得権みたいなのがあることから、そこに追加になるというと、またそこはそれでいろいろ、今度はいわゆる教職コアではなくて、教科コアで問題が出てくることを心配します。そこは注意深く進めていかなければいけない課題ではないかなと私は考えています。
【篠原座長】 ありがとうございます。一つの考えで、いいアイデアだと思います。ありがとうございました。ほかにございますか。どうぞ、植草委員。
【植草委員】 植草でございます。足立区の中学校を見に行かせていただいて、非常に四中の実践例、すばらしいなと思っていました。ただ、やっぱり私、高校の立場からすると、設置者が違うので、小中のやっていることというのは見えないんですね。足立区内にも高校、特に都立高校等あると思うのですが、ぜひ、そういったところとの合同研修みたいな形で、多分、四中さんがやっていることを足立区内の都立高校の教員が知っているかというと、知らないのではないかな。それを知った上で、「ああ、中学校でこういうことをやっているんだ。じゃ、高校では」という、そういう発想が出てくると思う。これが中学校だけではなくて、小学校まで下りていったほうがいいかなと思うんですね。そうすると、小中高の連携ができるのではないかなと思います。以上です。
【篠原座長】 いかがですか、そのあたり。
【定野足立区教育長】 今、中高の連絡会というのを催していて、そういう中で、どちらかというと不登校対策だとか、就労対策とか、そっちなんですけれども、今お話のあるように、こういった主権者教育が小中高の連携で、そして大学までということであれば、我々も力を入れていきたいと、このように思います。
【篠原座長】 ほかにございますか。田村座長代理。
【田村座長代理】 今のお話、ありがとうございました。大変いいお話を頂いたので、参考になりました。実は私どもの学校は渋谷にあるんですけれども、渋谷でLGBTQの問題を、実は高校の生徒が取り上げまして。それについて高校生の有志のメンバーが中心になって会議をやったんですが、区長をお呼びしたら、区長が直接来てくれまして、1時間半ぐらいやりましたね。もうびっくりしました。そんなに時間があるのかと思って、こっちが気を遣っちゃったんです。生徒が呼ぶという場合、区長さん、割に簡単に出られるんですか。
 遠慮されているような状況がほかのところでは見られるので、学校へ政治家が行くのはよくないという感じで受け止めておられるところが多いんですけれども、うちの学校を見ていると、それは生徒の意識をすごく高めました。びっくりするぐらい良かったと思っています。結論はさておき、考えるという点ですごい収穫だったですね。
【近藤委員】 私は「区長と語ろう」の授業に参りまして、これは将来のライバル誕生だなという感じがいたしました。なかなかお声をかけていただけませんが、ぜひ、そういうお声を地域から上げていただければ。いろんな考え方の区長さんいらっしゃいますから、皆さんどうかということは申し上げられませんが、少なくとも私なんかは積極的に出ていきたいと思っております。
【田村座長代理】 学校のほうが遠慮するということはあるんですか。例えば、教育委員会の方で遠慮する、とか。
【篠原座長】 あるでしょうね。
【定野足立区教育長】 うちの区長は、僕より多分学校へ行っているんじゃないかなと思うぐらい足を運んでいます。学校でも、例えば、給食であるとか、用務であるとか、いろんな事業もやっていますので。私、区長になろうという授業に、区長と一緒に行ったこともあります。そうすると、子供たちが区長になると立候補するんですけれども、区長、自分も立候補したいって。いや、それは公職選挙法に反するかもしれないのでやめてくれと私のほうからお願いをして。ところが、開票してみたら2票入っていたということもあります。ごめんなさい、つまらないことを言って。
【田村座長代理】 ありがとうございました。
【篠原座長】 よろしいですか。ほかにございますか。
このテーマは、次回もまた継続してやりたいと思っていますけれども、今日、近藤委員や定野教育長にぜひお聞きしておきたいということがあれば、どうぞ。
【近藤委員】 逆にこちらからお聞きしてもよろしいでしょうか。
一つ進まない理由に、先ほど申し上げたとおり、教える内容がそれぞれの教員に負担感があるということで、先ほど幾つか、赤字路線バスに税金を使って云々とかというようなテーマ例が出ておりましたように、最初の突破口として、一定程度のパッケージを作っていただけると良いのではないかと思います。そこから始めて、意欲のある方たちがそれを膨らませていくというような、幾つか事例があると良いと思います。
 なかなか展開が難しいと思いますが、先ほどの研修も含めて、一歩踏み出して、現場の教職員や管理職の負担を少し軽減して主権者教育を広めていこうというお考えは、おありなのでしょうか。
【篠原座長】 国に対する質問ですので担当の滝波課長、大丈夫ですか。
【滝波教育課程課長】 足立区のようなお取組を広めていくことで、他の自治体にとっても参考になるということはたくさんあると思います。パッケージということもおっしゃっていただいたので、いろんな優良事例は集めていきたいなとは思っております。その際に足立区さんのお取組というのもぜひ参考にさせていただきたいなと思っております。また引き続き御指導いただければと思います。
【篠原座長】 今日の議論を受けて、報告書をまとめていきたいと思います。この御意見、大変貴重な御意見だと思います。ほかに、いかがですか。
 定野教育長、先ほど各党の選挙公報は非常に大事だと思うのですが、先ほど私から少し触れました子供向けの政策集は、各党、特に主要政党は出してくれています。これを小学生などに活用してもらってはどうでしょうか。イラスト入りで、子供が興味の持ちやすい関心を持ちやすいテーマに絞って、漢字にはルビを振って。例えば自民党は2010年の参議院選挙から、国政選挙のたびにずっと今日まで継続しています。公明党もずっとやっています。
【定野足立区教育長】 ただ、全党はやっていない。
【篠原座長】 全党そろうとやりやすいと思いますね。確かに。
【定野足立区教育長】 全党そろえないとやりにくいということです。
【篠原座長】 それはありますよね。それと選挙公報もそうなのですが、比較する時のリテラシー能力が大切です。これが小さい頃から身についていくと、大学生になっても、圧力で投票するのではなくて、自然に投票に行こうかという気持ちにつながってくるのだろうと思いますので、やはり幼児や小学生の頃から扱っていく、そういうものが本当は一番大事なのかなという感じがちょっとします。
 ほかに御意見ございませんか。中野課長、どうぞ。
【中野教育人材政策課長】 教育人材政策課の中野と申します。今日はありがとうございました。先生方の研修につきましては、滝波課長の教育課程課と総務省とで一緒に主権者教育の教材を作成したり、その教材を教師の方にどうやって使っていただくのかというのをお示しいただいています。補足といたしまして、小原委員から教職員支援機構のお話がございました。独立行政法人教職員支援機構、NITSでは、校長先生や中堅教員といった職階、ステージ別の研修とともに、テーマ別の研修も実施しております。同法人はつくば市にありますが、そこに集まっていただく研修だけではなくて、校内研修シリーズといいまして、20分ほどの動画を見ていただいて、それを基に校内研修で話し合っていただくというような素材の提供もしております。主権者教育という観点でどのようなことができるか、研究させていただきたいと思っております。
【篠原座長】 なかなかいいお話、ありがとうございました。ほかにございますか。どうぞ。
【小玉委員】 今の話の流れで言いますと、例えば、教職員支援機構、NITSというところの動画配信のところに、主権者教育をテーマにした動画を作成するだとか、そういうのを具体的な提案として盛り込むことは、本会議の一つのやり方としてはできるかなと思いました。政治的中立性に配慮しつつ政治教育を前に進めるためには、やっぱり担い手を、現職の教員もそうですし、管理職の育成もそうですけど、そこは待ったなしの課題としてありますので、そのプログラムを実際にそういうセンター、あるいは、各自治体が持っている教職員の研修センターのところで実際に実施していくというところを提案していくと、それが実行に移されていくことで、流れができていくのではないかと思いました。
【篠原座長】 ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。どうぞ。いいですか。特にございませんか。
じゃ、もう大体時間になりつつありますので、最後に近藤委員から何か。よろしいですか。定野教育長から何かありますか。よろしいですか。では、本日予定していた議題はここまでといたします。次回の予定などについて事務局から説明をお願いいたします。
【石田学校教育官】 精力的な御審議、ありがとうございました。
 次回、第16回の日程は、改めて御連絡させていただければと思っておりますけれども、座長からもお話ございましたように、次回も引き続き、「政治的中立性の担保の方策、教員研修の在り方」について御議論を頂戴したいと考えてございます。
つきましては、お気づきのこと、あるいは御意見等ありましたら、事務局までメール等で直接御意見をお寄せいただければと思います。また取りまとめに生かしてまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。
【篠原座長】 ありがとうございます。
それでは、本日はこれで散会とさせていただきたいと思います。また、次回以降、よろしくお願いいたします。どうも、忙しい中、ありがとうございました。

── 了 ──

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