いじめ防止対策協議会(平成30年度)(第4回) 議事要旨

1.日時

平成31年3月25日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. いじめの重大事態に係る調査報告書の分析の在り方について
  2. 「SNSを活用したいじめ等に関する相談体制の構築事業」の結果について
  3. 自殺対策におけるSNS相談事業について
  4. その他

4.出席者

委員

新井委員,岡野委員,栗原委員,高田委員,佐藤委員,新海委員,水地委員,田村委員,針谷委員,笛木委員,松谷委員,道永委員,森田委員,渡部様(横山委員代理)
【ヒアリング対象者等】
アディッシュ株式会社,公益財団法人関西カウンセリングセンター,ストップイットジャパン株式会社,ダイヤル・サービス株式会社,トランスコスモス株式会社,LINE株式会社,千葉市教育委員会

文部科学省

永山初等中等教育局長,丸山大臣官房審議官(初等中等教育局担当),大濱児童生徒課長,松木生徒指導室長,粟野課長補佐,北崎生徒指導調査官,星専門官

5.議事要旨

※議事に先立ち,座長の挨拶と代理出席者の紹介があった。
※事務局より資料の確認と資料の説明があった。

≪議題(1)いじめの重大事態に係る調査報告書の分析について≫
 ※事務局より資料に基づいて説明があった。

【座長】  それでは、事務局の説明を受けての、いじめの重大事態の調査報告書の分析の在り方について、御意見、御質問があればお願いしたいと思います。
【委員】  きょうの文部科学省のレジュメを見ますと、原則として公開されている報告書をピックアップするという記載があったのは、ホームページ等で公開されている分を可能な限り収集するということでよろしいんでしょうか。それが1点です。
あと、時期的にも予算的にも、多分、次年度以降でさらに検討していくということは私も了解しました。ただ、私が弁護士をしていると、これまでもいじめに対するガイドラインであるとか、それから亡くなった場合や不登校の場合の指針等が出ていますけれども、私が伺っている事案では、そういう指針、ガイドラインと実態の乖離が物すごく甚だしい。むしろそれに反する行為をやっているという事案に私は遭遇するのですが、そういう実態を考えると、きょうのこういう整理したものを、さらに現場で、ライン的にはだんだん、さらに充実していくんだろうと思いますけれども、そのあたりを文部科学省としてはどういうふうに見守っていくのか。せっかく作っても、送るだけではだめで、送った後、各都道府県ないし中学校なり小学校にどういうふうにそれが生かされているのか、どうやってフォローアップするかということまでを聞きたい。
【事務局】  まず、きょうお示ししている個別事案分析と事案情報整理はそれぞれ1件と5件しか集められていないわけでございますので、これでは当然、数が不十分ということでございます。ですから、まずはこの場で再分析の在り方をまた検討するようなときもあると思いますけれども、そのためにもまずは数を増やしていきたい。併せて、ただのサマリーにすぎないという御意見も頂いたんですけれども、こういったサマリーでも十分意味があると考えていただいている方もいらっしゃいますので、こういった事案分析の数を増やしていきながら、それを適宜、私どもで年20回以上やっている行政説明の機会がございますので、そういった場で周知を広めていきたいと思っております。
そういったものが公表されている報告書の中から適宜収集をして、その際にできるだけ様々な事例が含まれるように、例えば、インターネットいじめの事例とか、インターネットを使っていないけれども希死念慮を何回も生活指導の記録ノートに書いているケースとか、あるいは中学生のケース、小学生のケースとか、様々なジャンル、あるいは不登校のケースとか、いろんなものが入るように、とりあえずはストックを充実させていきたいというふうに考えております。そういったものを徐々に充実させながら、フォローアップの仕方については今後また検討したいと思っております。
【委員】  私は報告書を幾つか集めて見ている限りでは、いじめの形でもいろいろあるように思うんですね。例えば、スクールカーストを中心にしたいじめの形態、これは(兵庫県)加古川市立中学生いじめ自死事件の報告書に書いてありますけれども、あと、囲い込みといいまして、グループに囲い込んで、先生からは1つのグループのように見えるいじめの形という分析が報告書の中に書かれたりしていまして、そういういろんないじめのパターンがある。外から見抜くと言うけれども、そういうところも注意して見てほしいという形で言えば、もし報告書にそういういじめのパターンの分析があれば非常に示唆に富むと思いますので、そういうところも追加していただいた方がいいのかなと私は思っております。
【事務局】  まさにそれは重要だと思いますので、それを踏まえて、今後ストックを充実させていきたいと考えております。
【委員】  先ほどの質問に対して、被害者の方の御意向だとか、各地の保護条例の関係があっていずれにしろ協力を求める関係なので・・・という御報告をいただいたんですけれども、公表事案については、各自治体のホームページとかを、一定のときにちゃんと見ていくとそれなりに出ているんですが、これを恒常的にやっていくのは作業的には結構大変なことで、向こうから必ずもらおうということじゃないと、たとえ事務局がされるとしても、定期的に各地の自治体とかのホームページを見ていく作業が必要になってくると思うんです。
例えば横浜市は公表の期間が決まっていまして、その期間は公表しているんだけれども、その後はもうホームページから削除するという扱いをされているんです。ですから、そういう意味で一定程度公表されているものだけはその時々に取るという作業までをするか、それとも、先ほど来御説明いただいているように、そういったものを見た中で適宜必要だと思うものを取っていく作業の仕方にするのかというのは、どれだけ事例を集められるかによって大分違うと思います。今の段階で多分お考えなのは、必要だと思うものをグループ別に、グループというか、何科目に付いたというか、意義があるものを幾つか取っていくという感じだと思うんですけれども、とりあえず取っておけばいいという発想ではないんですけれども、できるだけその事例の元はあった方がいいということからすると、少なくとも公表されているものについては何らかの、これは担当の方か何かで、ダウンロードは一定程度しておくとか、何かそういったことも、今後必要になったものを探すときのためにも、御検討いただけるといいかなと思いました。
【事務局】  いろいろな課題があるかと思いますけれども、引き続き検討が必要だと考えております。
【委員】  今の事案等はケースにもよると思いますけれども、学校現場から市町村教育委員会に報告書が実は上がるわけですよね、いじめ等々の大きな問題、事件、事故につきましては。そしてその報告が市町村教育委員会で検討され、都道府県教育委員会に上がると。そして、さらに大きな事案になりますと文部科学省さんの方に報告が上がるのではないかと思うわけでございますが、そこら辺はどうなんだろう。いろんなケースを文科省、児童生徒課ではないかもしれませんけれども、確実に上げる形を私どもが現職のときにはとっておったわけでございます。それがなかなか見つからないということであれば、都道府県教育委員会がそれぞれ事案を持っておりますので、そこから文部科学省さんがそれぞれホームページを開いて調べるということは至難の業でございますので、文書等で都道府県教育委員会に通知を出して、是非協力してくれということですぐに進む話ではないかなと思うわけでございまして、ケースを集めようと思えば集めることは大いに可能だと思って聞かせていただきました。
【座長】  一応、今の点に関しましては、全件を文部科学省に集めるという制度設計にはなっていない。むしろ地方に関しては御協力いただくというお願いでしかない。つまり、そういうシステムが法的に構築されていないといいますか、そういう問題がありますので非常に苦慮されているというのが、今の事務局の表情に表れているかなと思っております。
あと、これを法改正でどうされていくのかというところも関わっているところでございますけれども、これについては私も勉強会に出ておりませんので、どういう方向かは分かりませんが、恐らくはその点の議論で非常に複雑になってまいりますのは、例えば、地方自治体が報告書の中で墨塗りをいたします。場合によっては墨塗りの形をそのまま、墨塗りは除いてアップしていくということもございますので、公表データが必ずしも忠実なものであるとは限らない。もしも墨塗りを剥がすとすれば、それはいろいろな個人情報の問題がそこに隠れておりますので、それを国がわざわざそこの墨塗りを剥がすという行為まで伴ってまいりますので、今度はその国の行為の責任というものが非常に重くなってまいりますし、それなりの対応をしなくてはいけないということになってまいります。非常にいろいろな問題がここに含まれております。だから、私が見ていると、公表されるデータが必ずしも最良、最高の、質のいいデータであるとは限らないと思っておりますので、公表だけにこだわるということは非常にリスキーな問題だろうと私は思っておりますし、今の方針の中にありますように、いろいろな指標を立てて、こういうパターンだったらどういうケースという形で進めていかれるのが再分析、あるいは情報を集めて整理するには、今、事務局提案があった方がふさわしいんじゃないかなと思っております。そんな認識でございますので、その辺のところはまずこの仕組みそのものがちょっと御理解いただいていない部分もございますので、その点を踏まえて御検討いただきたいと思っております。
【委員】  私らも被害者側を2、3やりますけど、恐らく、本当にそういう事案をなくしたいという文部科学省の意図が分かれば、私の感覚では被害者が同意する可能性は物すごく高いと思うんですね。だから、各市教委とかそういうところだけじゃなくて、もし代理人がおるなら代理人に諮ってもらえれば、趣旨を確認して本人の同意を取るとかいうことは、弁護士は十分可能だと思うんですね。やはりたくさんの情報が入れば入るほど分析の意味が出てくるので、せっかく労力を費やすのであれば、多くの情報が入った報告書をとっていただきたいというのが私の意見です。
【座長】  ただ、情報は被害者の立場だけではなくて、加害側の問題、それから学校の組織の運営の問題、いろいろな問題を絡めながら最終報告書が出てまいりますので、ただ、被害者の観点からだけこの公表というものを迫るのは、ちょっとバランスがよろしくないかなというぐあいに思っております。
【委員】  今のは被害者に関する一定の黒塗りになっている部分の情報という趣旨ですか。
【座長】  はい。
【委員】  先ほど、詳細な分析のほかにサマリーも準備をしていただけるということでお話がありましたが、これについては、そのようにしていただけるということでよろしいでしょうか。
【事務局】  サマリーと申し上げたのは、まさに資料2でお示ししているようなものでございます。もともと報告書というのは100ページを超えたりとか、場合によっては200ページを超えることもございます。特にお子さんが命を落としているような事案では、それぐらいのボリュームになることがございますけれども、そういったものを現場の先生が全部読んでくださいといった形で活用を促すことは現実的ではないと考えましたので、こういったサマリーを作ってはどうかという考え方で資料2を作っております。こういったサマリーはどんどん蓄積をしていきたいと考えております。
【委員】  現場としましてはそのような資料を大変必要としているところでございます。詳細な分析はもちろん必要でございますけれども、このような資料が現場におりてきたときには、例えば職員研修などで理解を深めるというように活用ができるのではないかと思います。日々の指導に関して、児童生徒と接するに当たりましては、できるだけ多くの事例を把握しておいて、どのような傾向があるのかとか、全国的にどのような事例が多いのかとか、こういった具体的な傾向を捉えることが現場では非常に必要かと思われます。詳細な分析について必要であることはもちろん論を待たないところですけれども、是非ともいろいろな事例を集めていただきましてお知らせいただき、全国的な、あるいは今日的な状況を把握できるような形の資料を頂戴できればと思います。
 前々回に頂きましたこちらのいじめ対策に係る事例集ですが、このようなものが非常に分かりやすくて、現場としては大変助かると思います。このような形でなくても結構でございますので文科省からの通知という形で全国各校に通知が行き渡るようにしていただき、事例をお知らせいただけるようよろしくお願いしたいと思います。
【委員】  是非、重大事態に関してサマリーを作り、そして再分析していくという方向で進めていただきたいと思います。
出来上がったものの限界というのを私はどこかで指摘をしておいた方がいいかなと思うんです。というのは、私も調査報告書を何度か書いてまいりました。そして、実際に公表する段になると、先ほどお話がありましたように、黒塗り部分が相当数出てまいります。その中には個人の生育歴ですとか、本人の状況に関わるようなものが出てくる、それが黒塗りになった状態で公表されてくると、多くは学校の問題点というのが残っていく形になることが多いように思います。それはそれだけで出していくと、学校の問題だけに終始してしまうような懸念が私は少しあるんです。自分たちがまとめたものと公表されたものの出来上がり、受け止め方の違いが少しあるのかなと。
 そういう点で、分析してサマリーを出していくときに、個人の状況とか、家庭の状況とかというのは触れるのが極めて難しい。しかし、そこに関連しているものも場合によればあるということを、それぞれの事例に応じて違ってくるかもしれませんけれども、何らか留保するような限界点の指摘のようなものもちょっと考えていただけるとありがたいなということを感じております。
【委員】  先々の問題になろうかと思うんですけれども、やはりせっかくこういう分析のまとめができたところで、現場の先生に役立つような具体的なノウハウのようなものが表現できればいいのかなと思います。
 私も幾つか報告書に関わってきましたが、例えばこの事例に書いてあるような情報共有ができてなかった。情報共有ができたという学校の説明があっても、結局、こういうエピソードがありました、言いました、聞きましたでおしまいなんですね。そこで何らの評価、判断がなく、そこで関係している子供を指導した、具体的には口頭で言っておしまいなんですね。
そうすると、いわゆる被害者はそのままの状態で、周りは全てプラマイゼロで清算されてしまいますけど、本人だけは心の傷を負って、そのまま蓄積していくような話をたびたび耳にするところですけれども、先生方が共有するような言葉とか手法についても、どこかで子供の側の視点でこういう見方もあるよというものがあればよろしいと思います。
 あとは追加で、やはり保護者、家庭でのコミュニケーションの取り方も、表現は難しいと思いますけれども、そこら辺が学校の先生にとって具体的な対応として役に立つものができたらよろしいかなということで、1つお願いです。
【委員】  私は30年度から入ったので、前段階は分かっておりませんけれども、先生方の勉強をさせていただきながら感じたことは、私学はどうしても集まって連絡協議会を多くすることはできないとなると、やはり各学校への文科省からの文書の通達を、これで気付くというか、ここで把握できるところは多いと思いますので、今後もそういう通達をやっていただきたいということ、それと、やはりいじめ対策の事例集というのは非常に効果があると協議会でも話をしました。この事例集を基に、現場の教員が気付くというのは、今までのこういった問題構造の中の事例から同じような感じのものを早く気付くことが、やはり大きな問題につながらないのではないかと考えます。そういった意味でも教師が気付くためのそういう参考事例というのは是非、イメージで構いませんので、出していただきたいと思います。
【座長】  先ほど御報告がありました資料1、これが今後の報告書の分析の指針でございます。これを基にして、今後の分析の方針の進め方のまとめというものにしたいと思っておりますが、何か文言で、あえてきょうおっしゃった意見の中で、抵触のあるところはございませんか。
 (2)で「公表している調査報告書を対象として」というのと、それから丸の3つ目に「原則として」という、その後にちゃんと原則としての注釈が加わっております。この辺は整合性を取っていただいて、1番目の丸のところは少し余裕を持たせて、これに限るというわけではなくて、公表されてなくても報告書を用いることも考えられるがという、この方も生かしつつ含めて修正していただければというぐあいに思います。
 皆さん方の御意見は、再分析というよりも、まずできる限りケースを集めて、それで収集していただいて、それを整理していただくということだけでも非常に現場の参考になるという御意見がきょうございましたので、その辺あたりは、これはシステムとして全件集める、先ほど申し上げたように、文部科学省が通知で出してというよりは、むしろ御協力をいただくということで、いろんな機会をつかまえて、これは都道府県の指導主事がお集まりになられる機会も年に数回ございますので、そういう機会に協力を求めていきながら、各現場に対して要請していくということもあろうかと思っておりますので、その点も含めて、可能な限り多く、まず最初、整理の段階では集めるということも含めていただくということもきょうの議論から浮かび上がってきたことだろうと思っております。
あとは少し再分析の方法だとか、体制だとか、そういう点は次年度に御議論いただいて、とりあえず事例の収集ということに、まず努めていただくということもひとつよろしくお願いいたします。
しかし、それにしても年間477件ございますので、それを全てというわけにはまいりません。その点も、マンパワーの点も含めて考えなきゃいけない点でございますし、今後は文部科学省が何でもかんでも全ておやりになるのは、マンパワーとしては不可能でございますので、先ほどちょっと御意見が出ましたけれども、地方自治体の方でそれなりの収集と分析というのをお願いしていくというのももう一つの選択肢としてはありかなと。それが非常にそれぞれの地方自治体の学校、あるいは教育委員会にとって有意義なものだとお考えになられるとすれば、そういう方法も取り得るかなというぐあいに私、先ほどの議論を聞いていて思った次第でございますが、これは私の個人的な踏み込みで、皆さん方の思いと、それから事務局の方々のマンパワーと秤量しますと、どうしてもそういうことも必要があればお願いするということもありましょうから、次年度、これを検討していただきながら、まずは事例を集めていっていただいて、その間に浮かび上がってきた問題点として、課題として、またお出しいただければと思っております。
【座長】  それでは、次の議事に移らせていただきます。次の議題は、SNSを活用したいじめ等に関する相談体制の構築事業に係る取組状況について、まず、事務局から報告をお願いします。

≪議題(2)「SNSを活用したいじめ等に関する相談体制の構築事業」の結果について≫
 ※事務局より資料に基づいて説明があった。

【座長】  相談体制の構築事業の取組状況について、それぞれ委員の皆様から、あるいはヒアリング対象事業者の皆さんから御意見、あるいは御質問がありましたら、お願いいたします。
【公益財団法人関西カウンセリングセンター】  私も今年度、先ほど御報告のあった中で、10の自治体の相談を対応させていただきました。LINEを使った双方向の、いわゆるSNSカウンセリング、新年時を中心に10の自治体を行いまして、そこで感じたことを少し御報告させていただきたいと思います。
対応に関してなんですけれども、SNSカウンセリングを行う難しさみたいなことがそもそもあったわけなんですけれども、ならではの対応ということで、今年1年やりまして、傾聴技法だけでなく質問技法を組み合わせる、顔の見えない相手の状況を正確に立体的に把握するために必要ということで、これは引き継ぎの際、情報共有の際にも役立つやり方です。
 あと、解決志向アプローチということで、ブリーフセラピーなんかの活用もしたわけなんですけれども、これはどちらかというと、死にたいとか、教師が悪いといったような相談に寄り添い過ぎないというか、寄り添うとどんどんそっちの方に行ってしまう、例えば「先生が悪いんです」と言うのに、「そうなんだね」というふうに寄り添っていってしまうと余計関係が悪くなってしまうような状況がありますので、そういうことをし過ぎないという意味で、解決志向アプローチを活用します。
 実際、そういうことを、技法の言語化とか可視化を今後行っていって共有していくことが重要だと思っておりまして、私どもでは、一応、京都大学のこころの未来研究センターで、杉原保史教授を中心に相談ログの解析等の研究を行ってもらっています。
 あと、実際に相談を実施する際に、私どもでは相談員以外に1名、主任相談員というスーパーバイザー的な役割の相談員を配置しております。相談に対応しない者が1人おりますので、そういう意味ではコストが掛かるんですけれども、これがSNS相談の最大のメリットで、アドバイスを受けながら、相談しながらこちら側がクライアントに対応できるということですね。これはカウンセラーが1人で抱え込みませんし、自分の視点だけで行き詰まりませんし、文科省のいじめ対策の場合は、主任相談員はスクールカウンセラーとか、スクールソーシャルワーカーの経験者がやはり非常に活躍しているという現状があります。
 あともう一点、SNSカウンセリング協議会という民間団体が立ち上がっておりまして、きょうのヒアリング事業者は全て理事団体ですけれども、そちらで4月からSNSカウンセラーの認定登録制度が開始されまして、能力要件とか倫理規定の制定が行われておりまして、また、研修等も行われておりまして、そういう形で進んでいます。
【公益財団法人関西カウンセリングセンター】  今後の課題として、やはり告知の強化ということが挙げられると思います。
告知の強化の重要性は2つありまして、1つは、必要な子供たちに届ける必要があるということです。もう一つは、多くの子供たちにこういう相談があるということを知ってもらうということで、これはひとえに、この文科省の事業の場合は、教育委員会を通じて学校現場から子供たちに情報が行きますので、学校への意識付けが重要です。
これに対して、大阪市では、実際の相談現場を校長先生に見学していただくという機会を2回、今年度持ちまして、この反応がやはり非常に大きかったです。大阪市のいじめ防止対策会議でも事業を始める前に御説明をさせていただいたときには、校長先生から「何がLINE相談やねん」、「あほか」、「LINEで困っとんねん」という反応でけんもほろろだったんですけれども、1回見学に来ていただいて、実際にどういう子供たちから相談があって、カウンセラーがどういう対応をしているのかというのを見ていただいたら、これは必要だということで、一転、その報告の会議では、今後の課題について一緒にお話をさせていただいたという経緯がありますので、学校の現場の先生方はやはり問題は僕たちが解決すると思っていただいて、カウンセラーは何ができるんやと思っておられるんですが、実際問題としては、放課後にしんどい子のLINE相談を1時間、先生が受けるのは現実的ではありませんので、そういうふうに活用していただく必要があると思います。
 あともう一つは、告知チラシをビジュアル化しました。これは3月に厚労省で自殺防止対策の事業を実施しているんですけれども、そこも我々はやっているんですけど、そこにはインスタフォロワー20万人のふせでぃさんという、20代、10代の女の子に絶大な人気のあるイラストレーターを起用して、悩んでいる女の子が相談につながってほっとしたみたいな漫画を描いてもらって、大阪市なんかにも見せたところ、来年は是非こういうふうにしたい、大阪市なんかは全部字で、これ、誰が読むのという感じの案内を出しています。
あと問題点としては、女の子からの相談が圧倒的に多いので、男の子が使いやすい工夫が必要です。
あと、最後の問題点としてはつなぎ支援、学校現場であれば、先生やスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーとの連携、それ以外の地域支援としては、例えば児童相談所とか、不登校支援みたいなところとの連携の課題があると思います。
最後に、あくまでも子供たちのための相談で、匿名相談が原則ですので、子供たちとのインフォームドコンセントというか、約束は絶対に守るというのを我々は重要視しております。教育委員会から現場へ当然、情報提供をする必要はあるんですけれども、そのやり方を是非御検討いただきたいと。一部の教育委員会で割とすっと情報を出して現場から、これ、匿名相談じゃないのかよみたいな声があったという話も聞いておりますので、そのあたりも問題です。
ちなみに来年度、事業を受託させていただいたんですけれども、来年度の計画としましては、大阪市としては、通年週1回、実施をすることになっていまして、これがやはり必要だろうと。あともう一つは、集中期間としてゴールデンウイーク明け、夏休み明け、冬休み明けの3週間で、夏休みと冬休みの終了前にはお昼から相談をしようということになっています。
【LINE株式会社】  委員の皆さん方は、きっと本当にLINEで相談できるのか、若しくはSNSで相談できるのか、ノウハウがないんじゃないかという心配をしておられると思います。初年度は正直手探りでした。御懸念のとおりです。その上でやってみて、電話とLINE、それから電話とSNSを同時に告知したところ、SNSの方が各自治体、20倍から30倍の相談件数が来ています。その件数が多い中で、実はテキストが残っているものですから、実はそこからノウハウの研修をすることが非常にしやすいということが分かりました。
実はここに来ている各社全て出資し合って、全国SNSカウンセリング協議会という財団法人を立ち上げました。それ以外でもこの30自治体の事業を受けておられる各社で出資し合って、ノウハウの研究のための財団法人を立ち上げましたので、いよいよこれから共同での研究事業、特にケースカンファレンスといって残っているテキストを基にどう対応していったらうまく対応できるか、どういうときに話が続かなかったり、途中で切られてしまったのかなどを分析することを進めていきます。そこから相談員の研修をしっかりしていって、相談員の研修に基づく相談員の登録制度というのを事業者側でやっていきたいと思いますので、また御指導をお願いできればと思います。
最後にもう一つ、別の話になるんですが、SNSをもう少し上手に使っていただくことを考えると、実はいじめの啓発の情報発信にも使えるのではないかと思っています。今は相談事業だけをやっているんですが、文部科学省ではいじめ防止の動画などを作ったりもしておられますので、できたら今年度、その辺の権利の処理もしていただいて、30自治体、それからまた、ほかの自治体などがSNSのアカウントをせっかくいじめ用に持っておられるわけですから、そこで文部科学省のいじめ防止の動画などを流せるような、文科省と協力してやっていきたいと思っています。
【アディッシュ株式会社】  私どもは、昨年度のワーキングでも御紹介させていただいた、いじめ匿名通報アプリKids' Signというものと、あと、今年度、新たにLINEやウェブチャットで相談と通報が選べるサービスというものを2つ展開しております。
まず、Kids' Signについては1方向の相談、つまり我々は通報と言っているんですけれども、その情報については、より第三者からの通報、目撃情報ですね。本人はなかなか声を出せない、チャット相談のような匿名性の高いものであってもそれすらできないような子供たちについては周りが声を出すことでというところを促したサービスです。
結果として、Kids' Signについては、今年度の上半期の統計を取ったところ、かなり第三者通報が多い、いじめに関しては9割以上が本人ではなく、第三者からの声という結果が出ております。
一方で、今年度、LINE等で相談もできる、通報もできるというサービスを同じように展開している中で、当然、私どもとしてはチャットの相談と第三者からの通報というような打ち出し方をしていたんですけれども、意外とKids' Sign等の通報単体のものに比べると、本人からのものが多かったりとかいうことも出ているので、これは次年度以降の課題なんですけれども、やはり第三者の目撃情報をもっと、是非些細なことでも出してくださいということをLINEでも言っていきたいと思っています。
また、同じLINEの中で相談も通報も選べるサービスというものを提供している中で、例えば、相談はどうしても17時から21時ですとか、時間が限られている自治体様が多い中で、時間外の受け皿としても機能したということも今年度見えてきた部分でございます。
【ストップイットジャパン株式会社】  まさに周知の部分が大事だと思っているんですが、同時にやっぱり持っていない子も含めてケアが必要だと思いますので、今、SOSの出し方に関する教育の推進ということで、文部科学省が年1回努力義務として、推奨していきましょうというところがあると思うんですけど、そこはもう少し強化していった方がいいのかなというのは、個人的にはすごく思っています。
事業者としてSNS等の相談はすごく大事だよとつい言ってしまう部分もあるんですけど、同時に、例えば中学校であれば、7割の子がスマホを持っているとしたら3割の子は持っていない部分もあるので、そこはSOSの出し方に関する教育で、1つの手段としてSNSの相談もあるし、直接の相談もあるよというような、そこはどこか文言に入るのか、もう一回意識し直すのか分からないんですけれども、強化をしていくことでより全ての子供が救えるのかなと思っていますので、そこは御検討いただけたらなと思っております。
【委員】  もともと今、SOSの出し方に関する教育と出ましたけれども、座間の事件があって、SOSをどう出すのかという中で、適切な援助を求めると。SNSを使った相談体制というのが出てきたと思うんです。それで、中学生、高校生全体の件数が少ないですから数字として出てこないのかもしれないんですけれども、5の相談内容別件数のその他の中に自殺念慮を訴えた内容とかというのが入っているのかどうか、どのくらい危機の状態でこれを使ってきたのかということをちょっと知りたいなと思うんです。
それはSNSの相談体制の場合、学校に来ている、来てないとか、受け入れる、受け入れないというところで、登録がなければなかなか相談が来ない。もしかしたらそこに非常に危機に陥っている子がいる可能性があるというようなところも有効性というところに関連してくると思いますので、自殺念慮に関わるような相談内容がどのくらいあったか分かれば、教えていただきたいなと思います。
【事務局】  今回、内訳をお聞きする中で、自殺念慮が何件あったかということを聞いていないので、その件数については持ち合わせがないところでございます。
【LINE株式会社】  実は、文科省の相談のやつでも何件かはあったんですが、もう一つ、厚生労働省の自殺対策推進室のLINE相談のアカウントも3月の期間中、運営させていただいています。そちらはかなりの自殺念慮の相談が来ています。連日、警察とも連携した対応などを実際にはしております。
アカウント名によって自殺念慮が多い人が来やすいのか、いじめとか、友人関係のトラブルで相談が来るのかで、正直、その率は、文科省のアカウントと厚生労働省の自殺対策推進室のアカウントではかなり違います。多分、アカウント名をどうするかでそこに差が出てきたのではないかなと思っています。
【委員】  1つは、LINEでの相談のときに学校まで特定できるような形ではやれているのかどうか、ケースによってやれているのかどうか。じゃあ、学校が分かったときに市教委として当該学校に知らせるシステムが、これはそこだけの話じゃなくできているのかどうかが1つ、細かい連携システムの実行性のところですが。
それと、やはりいじめとか暴力とか、いろいろと利害関係が相反してきますよね。そういうときに紹介先として警察とか市教委、それ以外に最近、スクールロイヤー、弁護士会との共同があるんですけど、弁護士会もこういう連携先になっているのかどうか、なっている自治体が幾つかあるのかどうかということですね。
不登校事例がありますけれども、いじめとかを契機として不登校になった子供の支援というのは物すごく困難を極めるんですね。そのあたりの支援体制の充実というのが、全国的に本当により充実する方向を願っておるのですが、そこの実態がどうなのか、一旦行けなくなると、学校自身を見るとトラウマで行けなくなる子供を何人も見ていますので、そのあたりの支援体制、受ける窓口が広げると、今度は支援をどうするかという課題も考えていただきたいです。
【事務局】  受けた相談の内容によっては、SNSの相談だけでは解決できずに次につなげるということが必要になってくるという認識はございまして、それにつきましては、来年度、SNSに関する調査研究も実施したいと思っておりまして、その中では、まず、SNSから電話相談へのつなぎということを盛り込もうとは思っているんですけれども、それは調査研究の話で、一般的には、きょうの事例の中で警察へのつなぎという話はお示ししましたけれども、やはりその他の相談員である。スクールカウンセラーとか、スクールソーシャルワーカーとか、そういった他の関係者へのつなぎということも重要だと考えているところでございます。
【LINE株式会社】  まず、学校を特定するかどうかなんですが、各社それぞれのマニュアルが今のところずれたりしていますが、基本的には相手にどの学校ですかと聞くという対応で、そこから教育委員会につなげるような方向で今、進めています。ただし、どうしてもしゃべらなくて、どうしてもこれはまずいなという場合、警察を通じて捜査関係事項照会書を掛けて、アカウントを特定したりしている事例もあります。
さらにもう一つ質問にありました弁護士との連携につきましては、例えば大分県などの場合は、初めから弁護士さんがLINE相談を受けるというシステムになっています。ほかの自治体で言うと、正直、相談員をカウンセラーにするのか、弁護士にするのかによって、コストが大分違ってしまいますので、全てが全て弁護士と連携できているかというと難しいところも非常にあるかと思います。
【公益財団法人関西カウンセリングセンター】  具体的な情報の特定、我々の場合は、一番最初の段階で学年、性別と主訴、いわゆるどういう相談ですかということを聞きます。なので、具体的な名前とかいうことはまずは聞かない。その後で相談に入っていく中で、子供たちが、例えば教育委員会を通じてこういうことを訴えたいみたいな形になる場合は、「学校を教えて」、「名前を教えて」という形で聞く場合があります。
不登校への対応に関してですけれども、余りできてないんですけれども、当然、大阪にも不登校の支援をやっているNPO等がありますので、そういうところとどういうふうに連携していくかというところが非常に重要かなと思っています。
【ストップイットジャパン株式会社】  私はSTOPitという匿名で報告、相談できるものを広げていくんですけれども、それに関しては、学校と学年を一応、分かるようにはしています。
 ただ、すごく複雑なことをしているかというよりも、各学校ごとに、きょう、千葉市さんのこのカードもありますけど、このQRコードみたいなものを分けて配っているという状況です。なので、入り口の時点で分かるようにはしています。
 ただ、これもデメリットがあるのは、例えばこのQRコード自体をほかの人が知った、違う学校の人が知って使った場合は、それでも、違う学校なんだけど、同じ学校というふうに届いてしまうので、今のところはそういういたずらに近しいものもないんですけれども、そういうデメリットもありつつ、今はそういう形を取っております。
【座長】  ただいま千葉市の話が出てまいりましたが、続きまして、相談構築の結果について、相談事業の実施自治体であります千葉市教育委員会から事業報告をお願いしたいと思います。
【千葉市教育委員会】  まず最初に、SNSを活用した教育相談事業、千葉市LINE相談ということで名前を付けておりますけれども、これについて御説明したいと思います。
 まず、SNSを活用した教育相談のモデル事業として、LINEアプリを利用した教育相談窓口を昨年の10月後半から1月に掛けて実施いたしました。まずは趣旨・目的について説明させていただきたいと思います。
 まず、1人でも多くの子供たちの相談に応じたいという、相談したいという気持ちを酌み取るために、文部科学省のSNSを活用した相談体制構築事業の補助を利用しまして、子供たちの間に急速に普及している、また、子供たちにとって非常に身近な通信手段であるSNSを活用した教育相談体制を構築し、相談に係る多様な選択肢を用意する、ここが先ほどもちょっとありましたけれども、やはり相談の主体は対面をして相談することが非常に大事かと思いますけれども、1つの選択肢として用意することによって、いじめや不登校等の未然防止や早期発見、生徒指導上の諸問題の深刻化を防止すると、このような目的でスタートいたしました。
 続いて、事業の概要に移ってございます。相談受付期間でございますが、昨年30年の10月26日から31年1月31日、毎日受け付けをいたしました。なお、12月29日から1月3日の年末年始については相談をお休みとしております。
 受付時間につきましては、平日、土曜日、日曜日ともに17時から21時、子供たちが下校して、就寝時間等も考えると、この時間帯が適切なのではないかなと考えました。
 次に相談対象ですが、千葉市立学校の中高生、今回は小学生は対象にいたしませんでした。中高生、約2万5、700のうち、その中で希望する子供たちということにしております。
 なお、市内の中学校ですが、全部で55校、生徒数が約2万3、400、特別支援学校の中高学部も対象としています。生徒とすると200名程度、高等特別支援学校が1校、生徒数約100、それから市立の高等学校が2校あります。生徒については約2、000ということになっております。
 続いて、相談方法ですが、カードを配付いたします。きょう、皆さんのお手元に名刺大の青いカードをお配りさせていただきましたけれども、ここに印刷されました裏側にQRコードが出ておりますけれども、スマートフォンで読み取って、千葉市LINE相談、これを友達追加してまいります。
 これがカードでございます。
 続いて、カードの裏でございますけれども、相談方法とQRコード、それから千葉市教育相談ダイヤル、24時間の相談の体制です。この電話番号についても併せて記載いたしました。
 これらが千葉市LINE相談の画面になります。「相談したいと思っている皆さんへ」、これをタップしますと、いじめられている、学校に行けない、あるいは友達とうまくいかないなどの相談内容、これらの具体例が、それから「千葉市LINE相談について」、これをタップいたしますと、生徒及び保護者宛てに配付しましたプリントが表示されます。中央のボタンをタップしますと、相談を開始することができます。電話相談、こちらのボタンをタップしますと、市の教育相談ダイヤルへ電話を掛けることができる、このような形になっております。
 それでは続いて、本事業の成果について少しお話をさせていただきます。
 まずは友達登録数です。登録者についてですけれども、最終的な登録数は1、028人となりました。登録率は約4%になります。友達解除やブロックしたものを除く有効友達数につきましては748人、登録率は約3%ということになります。
 これはまた他の自治体さんと期間、あるいは実施時期が異なりますので、単純に比較することは非常に難しいんですが、若干千葉市は高い登録率になっていたかなとは考えております。
 続いて、相談件数でございます。10月の終わりから1月末まで、約3か月、92日間、相談件数は1,010件となりました。1日平均すると11.0件となります。一番多かったのは相談窓口の開設初日、これが41件と最も多い状況になりました。
 相談内容別件数の傾向は、多い順に友人関係、これが一番多く32.0%、心身の健康・保健、11.5%、学業・進路について、これが10.7%、恋愛に関する悩み、8.9%と続きます。不登校のことにつきましては、3.2%、いじめ問題は0.4%と余り多くありませんでしたけれども、最初にありました友人関係というのが非常に多かったということが、これはいじめの未然防止という観点から言うと、いじめの防止、友達関係のところが多かったというのは関係してくるのかなと我々としては捉えております。
 それから、全ての相談期間が終わった後に、千葉市LINE相談登録者へのアンケートというのを実施いたしました。その結果でございます。千葉市LINE相談受付期間終了後にアンケートを依頼するメッセージを発信いたしました。そのメッセージにアンケート画面へのリンクを張り、登録者が直接、回答内容を入力する形でアンケート調査を実施いたしました。
 アンケートは2月1日から9日に実施しました。全部で166人から回答を得ることができました。その結果ですが、「相談したことで、安心したり気持ちがすっきりしましたか」という問いに対しては、「とてもそう思う」、「そう思う」という肯定的なものが合わせて80%以上の回答となりました。相談者の満足度の高さはこの辺からうかがえるかと思います。
 続いて、「今後、悩みがあったときには、千葉市LINE相談を使ってみたいですか」という問いでございます。「とてもそう思う」、「そう思う」を合わせると90%近い相談者が千葉市LINE相談を使ってみたいと回答しています。相談者の悩みをしっかりと受け止め、適切に相談に乗っていただいた、この辺が成果として、この数字に表れているのではないかと考えております。
 次年度のことにつきまして、今年度秋から1月末に掛けてモデル事業として実施しましたけれども、来年度も同じように実施していく予定でございます。千葉市LINE相談が相談窓口の1つとして認知されたことを生かして、次年度は1年間を通して子供たちの悩みに寄り添える環境を提供してみたいと、このように考えております。
 実施期間でございますが、5月のちょうどゴールデンウイーク明け頃から3月まで、実施日は週2日を予定しております。千葉市の子供たちの1人でも多くの相談したいという気持ちに寄り添えるよう、次年度もSNSを活用した教育相談事業を展開してまいりたいと考えております。
【座長】  それでは、ただいまの千葉市の報告に関しまして、単純な御質問だけにとどめていただいて、御意見はまた後で頂きたいと思います。
【委員】  成果のところでお伺いしたいんですけれども、相談件数1,010件ということですが、これは実人数ではなくて、1回相談が入るごとに1件とカウントされているということでしょうか。
というのが1点と、それからもう一点が、丸4に児童虐待とあるんですけれども、この児童虐待というのは、ほかのと比べると、ほかの相談は自分がいじめられているとか、学校に行ってないとかということかと思いますが、自分で児童虐待ですとおっしゃるのか、それとも誰かから暴力を受けているということをそちらで虐待と認定されているのか、その2点をお聞きしたいと思います。
【千葉市教育委員会】  まず1点目ですけれども、相談が始まり、それで一応、それが完結するという時点でこれを1件とカウントしておりますので、1つの相談がまとまって1件というカウントと捉えております。
 それから虐待は、2点目については、親御さんからというようなことの訴えであったと思っております。
【委員】  親から相談が入ったという意味ですか。それとも親から暴力を受けているという相談という意味ですか。
【千葉市教育委員会】  相談者は中高生ですので、保護者の方からではありません。
【委員】  ですので、保護者から暴力を受けているんですと御本人がおっしゃったということですか。それとも虐待を受けているんですとおっしゃったものをそのまま虐待とカウントされているんでしょうか。
【千葉市教育委員会】  カテゴリー的には虐待というところに入ると思うんですけれども、保護者との間がうまくいかなくて、それで保護者から悪口を言われたりとか、そういったところだったように記憶しています。
【委員】  相談の人が臨床心理士等と書いてありますが、どういう方がいらして、あと、全部で何人ぐらいいらっしゃるんでしょうか。1人で全部対応するわけじゃないですよね。
【千葉市教育委員会】  基本的には、相談に応じてくれる方が2人というのが常駐となっていたと思います。
 ただ、非常に相談が重なる時期がありました。こういうときにはそこで少し増員していただいて、相談に応じると。実際に相談が重なったときには、混雑の状況になって応じられないというケースも発生したことが当初ありました。
 それから、臨床心理士さんがそこへ対応していただけるんですが、先ほども話題になりましたが、スーパーバイザーさんがそこに付いて、一つ一つの事案についての助言をしていただいているということになります。
【座長】  続きまして、自殺対策におけるSNS相談事業、これについて厚生労働省から御説明をお願いします。

≪議題(3)自殺対策におけるSNS相談事業について≫
※厚生労働省より資料に基づいて説明があった。

【座長】  ただいまの厚労省からの御報告でございますが、これに対する質問と御意見も含めて、先ほどの千葉市も含めて、皆さん方に御意見を賜りたいと思っております。
【委員】  日本の若い人の自殺率が高いというのは、文科省、それから厚生労働省の方はどういうふうに分析されているのか、びっくりしたのが女性が圧倒的に多い、高齢になるほど女性が減っていくという、そのあたりはどういう事情なのか、お聞きしたい。
【厚生労働省】  その要因というのは、これがというのはなかなか申し上げにくいんですけれども、日本というのは全年齢で各国と比べて高いという状況にありますので、若い人も同じように高いという状況だとは認識しております。
 女性の方が相談が多いということなんですけれども、やはり女性の方がこういったSNSなどを用いて相談しやすいのかなという印象は受けております。
ただ、自殺をする方というのは男性の方が多いとなっておりますので、そこをどうしていくかというのは課題であるなとは認識しております。
【座長】  それでは、ただいまの御報告も含めまして、SNSの相談事業につきまして、きょうの全体を通して御意見、あるいは御質問がございましたら、お出しいただきたいと思います。
【委員】  要するに、早期発見して、いじめを予防して、心の傷ができるだけ軽いうちにちゃんと対応していくというのがこの協議会の趣旨だろうと思うのですが、SNSは、むしろ相談がしやすいし、多分、これから窓口としては発展するだろうし、相談件数も増えるだろうと。肝心の早期の窓口という、そこの後の体制と最終的に支援してやはりちゃんとケアをする、そこには重症、軽症あるんですけれども、そのあたりのきめ細かな一連の流れとしての体制の整備が私は必要だと思うのですが、それからあと、学校現場に回ってきたときの対応の仕方、プロの方が対応して今のカウンセリング方式とかをやる場合、あと、先生がやった場合に、また子供が「ん、何か違うな」とか感じることができてしまう、それと支援が全く不十分だと、せっかく開いてもというところがあって、そのあたりは今後どういうふうに充実させていくのか、予算の問題もあるでしょうし、スタッフの問題もあるだろうし、そのあたりは私としては物凄く気になります。
【座長】  何か具体的な御提案、その点について、つまり課題に関しましては、先ほどLINEさんからもつなぎ支援だとか、いろんな問題を提起していただいて、来年度もそれに取り組んでいただくということを伺いました。
【委員】  学校安全保健法なんかで、保健指導とか保健相談というのは教師の義務化、その中で養護の先生なんかはリーダーシップ体制を取って情報共有しながら、いろんな心のケアを、いろんな形で負荷を追った子供たちをケアしていこうというのが何年か前に整備されたと思うんですけれども、そういう法体制との関係で何かリンクしながらより進化できないのかなというのは、私の現時点での、薄いですけど、そういう考えです。
【座長】  先ほど御提案いただいたテキストがLINEさんで残っていますので、それをいろいろとまとめていただきながら、共同事業でおまとめいただくというお話もいただいております。これなんかも随分現場にとって、取組あるいは対応に関して非常に示唆に富むものがあるだろうと思っております。
学校保健法にある養護の先生だけじゃなくて、あれは教員全般に関する義務として位置付けられておりますので、その点も踏まえ、健康観察を通しながら学校の中での早期発見といいますか、あるいはそれに基づく相談事業というものも展開可能な形で今、整備されております。そういうものも活用していただくというのもこれからの1つの課題でしょう。
【委員】  厚労省さんでなさった実施結果の分析のところで、30年3月に1万何件で、その後、4月から9月までで9、500件ぐらいというのは、これは曜日とか、そういうところを変えられたということなんでしょうか。決して需要が下がっているわけではないと思うので、ちょっとその辺の実施のところを具体的に教えていただけますでしょうか。
【厚生労働省】  需要は恐らくあるんだと思います。ただ、実際、予算の関係とかでして、3月は13の団体で実施していただいたということなんですが、4月以降は6団体で、実質的に中心的にやっているのが3団体ということで、多く取っているのが3団体だったということで、体制がかなり縮小したというのが実態です。恐らくその影響で件数というのが1か月分と6か月分とで大体同じぐらいになってしまっているという状況になっております。
【委員】  来年のところの予算も、厚労省としては30年度と31年度、同じような感じ、全体としてはですけれども。そうすると、今後もこの感じの規模で続けていかれるということなんでしょうか。文科省の資料の4-5によると、SNS等を利用した相談事業のところの予算額がかなり増やすようになっているようなんですけど、要するに、両方それぞれで進んでいくという理解でよろしいんでしょうか。
【厚生労働省】  両方ともそれぞれやっていくという状況になっておりまして、我々は予算が内数になっておりまして、実際の事業の規模というのはかなり拡大する予定でございます。 
【委員】  SNSを活用した相談体制ということの必要性はもちろん私、認めておりますし、相談の窓口の選択肢、オプションを増やしていくというのはとても子供にとって大事だと思うんですね。
学校の中で言えば、一方ではSNS等、スマホに依存しないようにという教育もある、相談といったときに、SNSだけではなくて、当然ながら対面の相談もある、そういう全体的な状況の中で、SNSをどううまく活用するのか、それと教育相談体制の中でSNSをどう位置付けるのか。一方で学校で遅い時間に使うな、持ってくるなという中で、これをどう位置付けるのかとか、あるいは信頼できる大人に直接相談しましょうねと言っているのと、オプションとしてもちろん必要なんだけれども、SNSを使ったもの、何かそれを総合的に捉えていかないと、今、このことが議論になっているからこれが浮かび上がっているわけですけれども、全体の相談体制の中でどう位置付けるのかとか、SNSの活用という中でどう位置付けるのかとかいうことをきちんと押さえていかないと、なかなか難しいところもあるし、学校の現場で、この体制について検討していただき、実施に向けていくということを進めて、慎重に行っていただければありがたいなと思います。
【委員】  先ほどのSNSの相談の話で、高校2年生の子で薬物を大量に摂取したというお話がありましたよね。安否確認をしたということは、本当に薬物は大量に摂取していたんですか。でも、無事だったという意味ですか。私はこのSNSは成り済ましというのがあるんじゃないかと思って、それがとても心配なんですけど、それはどうなんでしょうか。
【事務局】  ここで紹介した事例は本当に摂取をしていた事例でございます。
【座長】  今の成りすましの御懸念に関してはいかがですか、相談事業者の方。
【LINE株式会社】  SNSの成りすましについて言いますと、ツールによって全く違います。ここにおられないのであれですが、例えばツイッターさんであれば、1人で何アカウントも作ることができるので成りすまし等がありますが、例えばLINEで言いますと、1端末に1アカウントしか持てないので、成り済ましというのはほぼ無理です。2台目、わざわざお金を払って買ってくればできないこともないんですが、ほぼ難しいかと思います。
【公益財団法人関西カウンセリングセンター】  実際問題はどういう状況なのか分からないです。例えば3月の厚生労働省の、これは自殺対策の相談だったんですけれども、鹿児島の18歳の女性から自殺企図の相談です。鹿児島の港から今から飛び込みますということで、5時間ぐらい対応したというケースがあるんですけれども、これも実際そこにいるのかどうかというのは確認のしようがありません。とにかくつながっている間は大丈夫だろうということで、一応LINEさんにも鹿児島県警にも連絡は取って、万が一相談が切れた場合には動いていただく形ですけれども、それは本人から場所を特定するような情報を頂かない限りは、我々はそのつもりで対応しなければならないということで、そればかりは本当になかなか難しいところです。
【事務局】  今後の協議会の進め方等につきましては、本日、様々な御意見を頂きましたので、議論の内容を整理いたしまして、お示ししていきたいと考えております。
【座長】  ありがとうございました。それでは、以上をもちまして、今年度最後となります第4回の会議を閉会いたします。皆様方におかれましては、貴重な御意見どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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