幼児教育の実践の質向上に関する検討会(第1回) 議事録

1.日時

平成30年6月4日(月曜日) 14時00分~15時30分

2.場所

中央合同庁舎第4号館1階共用108会議室

3.議題

  1. 座長の選任等について
  2. 幼児教育の実践の質向上について
  3. その他

4.出席者

委員

無藤座長、神長副座長、東委員、新山委員、遠藤委員、古賀委員、佐々木委員、中山委員

文部科学省

髙橋初等中等教育局長、先﨑幼児教育課長、日野企画官、河合幼児教育調査官、小倉課長補佐、本田子育て支援指導官、山川専門官

オブザーバー

八田内閣府子ども・子育て本部参事官付(認定こども園担当)参事官、唐沢厚生労働省子ども家庭局保育課企画官

5.議事録

【無藤座長】  それでは早速,議事に入らせていただきます。
 検討会の開会に当たりまして,髙橋初等中等教育局長より御挨拶をお願いいたします。

【髙橋初等中等教育局長】  改めまして,初等中等教育局長の髙橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。座らせていただきます。
 本日は大変お忙しいところ,委員の皆様にお集まりいただいたことを,まずもって感謝申し上げたいと思います。幼児教育の実践の質向上に関する検討を行うために,今回は幼児教育に知見を有する学識経験者の方,地方公共団体の関係者の方,そのほか国公私立の幼稚園現場の方々にも御参加いただきました。私からは,この検討会の設置経緯も含めて簡単に御説明して,御挨拶にかえたいと思います。
 近年,幼児教育をめぐる国の政策が非常に大きく動いているのは,既に御承知のとおりでございます。幼児教育の段階的無償化が毎年進み,私立幼稚園教諭等の処遇改善や,幼稚園における2歳児の受入れなど,待機児童対策や保護者の負担軽減を主な目的とした幼児教育の,専ら量に関する政策が進められておりまして,社会的な注目を大変浴びているところでございます。
 一方で,提供される教育内容面での質の担保を求める声というのも強くなってきております。これについても今,制度的にはいろんな動きがございます。教育課程については,国において幼小接続の充実や,幼稚園,保育所,認定こども園の教育内容の整合性を図る改訂が,昨年3月に行われまして,今年度からは新課程がスタートしております。今後は,現場でのこの教育要領の理解,創意工夫,活用が求められる,そういった段階になっているわけでございます。
 それから,教師の資質・能力の向上につきましても,これは幼小中高通じた話でございますけれども,平成28年には教特法の一部改正が行われまして,校長や教員としての資質の向上に関する指標を全国的に整備すると共に,幼稚園教諭を含む教職課程の科目の大くくり化など,新たな体制の構築が図られたところでございます。今後は養成機関による創意工夫や現場における研修の体系化など,大学や地方公共団体においてこの制度を活用して,教員の資質・能力の向上の内容を充実していく,そういった段階にきているわけでございます。
 そういった中で昨年の秋,与党の選挙公約から幼児教育の無償化というのが一気に動き出した,これも御承知のとおりでございます。昨年12月には,いわゆる2兆円の政策パッケージで,3歳から5歳児の幼児教育,幼稚園,保育所,認定こども園の無償化を決めまして,そして先週には,これは無藤座長にも大変お骨折りいただきました,内閣官房で行われました有識者会議において,幼稚園の預かり保育や認可外の保育施設など,更に幼児教育の詳細な指針,方針も決めていただいたわけでございます。その実施時期についても当初を前倒しして,2019年10月からは一気に実施するといったような方向も示されまして,今後こういったものが骨太の方針に盛り込まれるかという議論を経て,いずれ法案化といったような動きになっていく,そういうことが今,見込まれているわけでございます。
 こういったような形で,いわば国民の血税である消費税を大胆に導入して一気に進めるということであれば,それに比例して,これまで以上に質の向上に対する社会的な責任を求める声というのはますます高まることが予想されるわけでございまして,冒頭申し上げましたような教育課程の改訂や教特法の改正によって,いよいよ現場レベルでいろいろな質の向上の施策をこれから実施していくわけでございますれば,そのときに現場がこういった制度を活用して行動していく,そのためには幼児教育に携わる関係者の方々がそれぞれどのような役割を担うか,どのように自ら積極的に取り組んでいけるのか,そういったことを是非分かりやすく示していく,そういう必要性を強く感じて今回この会を立ち上げたわけでございまして,そういう意味では現場を熟知した委員の方々に今回,御参集いただいたということでもございます。こういった背景での議論でございます。どうぞ委員の皆様の忌たんのない,活発な御意見,御提言を賜りますことを期待して,御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

【無藤座長】  ありがとうございました。
 続きまして,私の方から一言,御挨拶させていただきます。
 幼児教育の実践の質の向上と題してございます。私の理解では,まさに局長と同じことになるんですけれど,今ほど日本の歴史の中で幼児教育に対する期待,そしてまたその期待に見合うだけの,ある意味では公的投資が増えてきた時期はありません。しかしながら,幼児教育への期待が大きくなればなるほど,やはり質の高い幼児教育を提供する幼稚園,保育園,認定こども園等の在り方を求める必要があるというふうに思います。今まで以上にこの質の在り方が問われるということでもあると思います。その質の向上を図るために様々な方策があり,局長も幾つか触れていただきましたけれど,そういった国の制度,またこれまでの施策の在り方等も踏まえながら,また現場で各園,保育・幼児教育関係団体がまさに取り組んでいることを踏まえながら,更にその在り方をよりよいものにしていく必要があるというふうに思います。
 やはり,実践は最後は園の中の先生方の取組でありますので,そういった幼児教育を提供する先生方,また園,またそれをサポートする団体などの方々が更にその質を向上する方向で取り組めるにはどうすればいいか,また,文部科学省などがそれに対してどのような支援が可能なのかということを,ここで考えていきたいと思います。そういう意味で,幼児教育の質の向上,特に実践の向上を目指しながら,何年か先まで見通してここで検討し,現場がよりよいものになっていくことにつなげたいと思いますので,是非,委員の皆様の活発な御議論,御意見を頂戴したいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして,事務局より配付資料の説明をお願いいたします。

【先﨑課長】  失礼いたします,幼児教育課長の先﨑でございます。お配りした資料1,2につきましては,先ほどお諮りしたとおりでございます。
 私の方からは,資料3についてお話をさせていただきたいと思います。検討課題例というものでございます。4つほど挙げさせていただいております。もちろんこれだけに限らず,活発に御議論いただきたいということでございますけれども,私の方からは4点ほど御紹介させていただきます。
 先ほどからお話が続いておりますように,教育・保育の内容という意味におきましては,幼稚園教育要領が今年の4月1日から施行され,更には解説書,指導要録の見直し,様々な実践事例がこれから蓄積されようとしているところでございます。いよいよこれらを現場や各幼稚園等の団体においてどのようにして実践の質向上に結びつけていくのか,自治体や国はそれに対してどのような支援ができるのかといったようなことについて,御議論いただきたいということでございます。
 (1)として挙げさせていただいたのは,「幼稚園教諭等の専門性向上のための取組」ということでございます。預かり保育や子育て支援,様々な対応が増加していく一方で,新教育要領の着実な実施等が求められていると。各園における幼稚園教諭等の保育の専門性向上のために,各園においてどのような工夫が考えられるのかということでございます。特に,今の時代の保育の専門性というのはどういうものなのか,ということも含めて御議論いただけると大変有り難いかなというふうに思います。
 若年離職者が多い中で,経験豊富な専門性を有する幼稚園教諭等を育成・確保するためには,どのような工夫が考えられるかということでございます。御案内のように育成ということであれば,研修ということになるわけでございますけれども,研修といいますと,初任研でありますとか,あるいはいわゆる10年研,中堅経験者の研修というのがあるわけでございます。こういった法定の研修の中には,公立幼稚園だけではなくて,それ以外の保育所や認定こども園等もこれに参加することができることとなっている自治体もあり まして,初任研においては8割以上,10年研におきましても約6割の自治体において,公立幼稚園以外の方も御参加いただいているという実績があるわけでございます。
 他方,こういった限られた日程の中で行われる研修とは別に,幼児教育におきましては,園内研修というものが非常に重要であるということは申すまでもないわけでございます。先ほど保育の専門性の向上という話をいたしましたけれども,どうやってその質を担保し,更には向上していくのか。例として挙げております効果的な研修の実施・普及の在り方でありますとか,あるいは保育の実践知を可視化・共有化する方法。これらはベテランの先生がお持ちになっている知見やノウハウを,どのように若い先生方に円滑に伝え,また学び合っていくのかということも必要でしょうし,その中には最近話題の様々な科学技術の進歩ということも避けて通れない議論であろうというふうに思うわけでございます。
 更に,一種免許状の取得促進というのもございます。幼稚園は御案内のように一種免許状が27%,二種免が68%という状況にございます。小学校教諭は一種免が79%,二種免が14%ですので,かなり幼稚園と小学校の免許状の種類の構造というものは違いがあるわけでございます。これは様々な要因があるわけで,何か一つの要因でこうなっているということではございませんけれども,専門性の質向上という意味において,一種免許状の取得促進ということをどのように図っていくのか,またそのメッセージを若い保育者の方々にどのように伝え,その専門性を高めていくという中で,職場としての幼稚園なり幼児教育の現場においてどのようにやる気を喚起し,保育者としての成長というものに対して光を照らしていくのかということも,非常に重要になってくるだろうというふうに思います。幼稚園教諭の平均年齢は36歳,小学校教諭の平均年齢は43歳,また平均勤続年数も,小学校の先生と比べると大分短いということもございます。こういったことも踏まえて先生方のやる気,更には専門性の向上というのをどのように図っていくのかということでございます。
 (2)番目,「幼稚園等の運営の改善・発展を図る取組」ということでございます。各幼稚園等の独自性を確保しつつ,各園において運営の改善・発展を図り,全国的な教育水準の保証と向上を図るためには,どのような工夫が考えられるか。例として学校評価の普及促進・積極的な活用の在り方ということを挙げさせていただいております。御案内のように自己評価というのは,幼稚園,学校におきましては法令上の義務があるということでございますけれども,私立幼稚園の中にはまだ一部,実施途上というところもあるようでございます。更には関係者評価や,法令上の位置付けはありませんけれども,第三者評価というものについて,今後どのように活用しながら園の運営の改善・発展を図っていくのか。これは(1)で申し上げました研修,特に園内研との関係も非常に重要かと思います。
 御案内のように園内研は,行政研修のほかに各幼稚園団体が行っている研修などもあるわけでございます。そういったものがあって各園内研というのが実践されているということでございますので,このあたりをどのようにやっていくのか。特にこの評価については,園の開放ということとも絡んでまいりますので,そのあたり,園の開放と結びつけて研修,評価をどう広げていくのか。いずれも一連の話だろうというふうに思っております。結果の公表というのも,自己評価の場合は行われておりますけれども,一番多いのは学校だより等による掲載が6割強でございます。重複がございますけれども,直接保護者の方に説明する,これも半分ぐらいで行われて,更にはホームページで掲載している,4割というぐあいになっておりますけれども,果たしてこれを具体的に園の質向上につなげていくにはどうしたらいいのかということも,一つ大きな課題になるというふうに思っております。
 「外部有識者等によるサポートの積極的な活用の在り方」という論点を挙げさせていただいております。文部科学省では,幼児教育の推進体制構築事業というのをやらせていただいております。御案内のように,幼児教育アドバイザーというものの配置促進経費を私どもの方で措置させていただき,あとは幼児教育センターですね,併せて措置をさせていただき,これは幼稚園だけではなくて保育所や認定こども園,公立,私立関係なく横断的にということが条件で受託をしていただいておりまして,今,29ぐらいの自治体で実施していただいております。そういった取組の状況などを見ておりますと,幼児教育アドバイザーが各園に訪問するというと,やはり公立の幼稚園なんかはほぼ,アドバイザーは対応されるんですけれども,認定こども園や保育所などにおいてもアドバイザーの実施というのがそれなりに進んではいるんですけれども,私立幼稚園がやはり少し,数字としては低い数字になっています。
 例えば小規模自治体でいいますと,公立幼稚園は100%,次に多いのが幼保連携型認定こども園,89.5%,保育所では77.3,私立幼稚園では58.3ということでありまして,これはいろんな要素が考えられるかと思います。自治体サイドの問題,園側の問題,いろいろあると思いますけれども,こういった推進体制構築の中で,どのようにして外部の専門家等の意見をかりながら質向上を図っていくのかということも一つあろうかと思います。
 (3)「地域の幼児教育の質向上のための地方公共団体の推進体制を構築・活用する取組」,先ほど申し上げました幼児教育推進体制構築事業というのが,この(3)に当たるわけでございますが,国公私立の別や施設類型を越えた配置ということをお願いしているわけでございますけれども,地方公共団体がどのような推進体制を構築し,どのように活用することが考えられるのか。幼児教育の担当部局の一元化とございます。教育面,これは保育も含んでおりますけれども,教育面を担当するということになった場合,全てのお子様は皆,小学校に来るわけでございますので,幼児教育・保育の質というものについては当然,一定の水準をどの施設においても上回っている必要があるわけで,その内容を扱う行政部局というのは一元化しているということが一つあるわけですけれども,私どもの調査によれば,都道府県,市町村において一元化されているのは約4割ぐらいということでございます。この数字を多いと見るのか,少ないと見るのかというのもございますけれども,一元化の在り方,あるいは幼児教育センターの在り方というものをどのように捉えていくのか,今後どうあるべきなのかということがあろうかと思います。
 3つ目,幼児教育の専門性を有し指導・助言を行う職員の育成・配置の在り方ということでございます。幼稚園,学校でございます。当然,幼児教育担当指導主事というのがいらっしゃるわけでございますけれども,この方々のうち実際,幼児教育を御担当されていた方,いわゆる幼児教育籍といいましょうか,そういう方というのは全体の約半分ぐらいというふうに思っております。このあたりもやはり今後,幼児教育の質というものを考えていく上で,どのように配置を向上していくのかということも求められていこうかと思います。幼児教育アドバイザーの育成や配置の在り方,今は配置ということをさせていただいておりますが,今後,自治体がアドバイザーを自立的に育成・配置していくにはどうしたらいいのかということも,併せて課題になっていくだろうということでございます。
 (4)番目,「家庭,地域への幼児教育理解の普及を図る取組」ということでございます。家庭,地域の関係者が幅広く幼児教育の理解を深めるためには,どのような工夫が必要かということでございます。御案内のように,幼稚園におきましては子育て支援活動というのも幼稚園の園務だというふうに位置付けられておりますが,これはほぼ全ての園で実施されるに至っております。あと,この在り方をどうするのかということと併せて,保護者の方々はどのようなときに保護者自身の子育てに対する成長というものを感じるかというふうに聞きますと,大体,園生活での子供の変化,そういったものを踏まえて保護者自身も成長しなければ,あるいは成長したということを感じるということもございます。そうなりますと,専門機関であります幼稚園,保育所,認定こども園,そういったところでどのように幼児教育の理解というものを図っていくのか。特に,園が行っている取組というものを保護者の方が深く知ることによって,それをそれぞれの御家庭やそれぞれのお子様の子育てにどのように生かしていくのか。こういった取組というものがまず考えられるわけでございますけれども,そういった普及を図る取組,そのあたりをどうしていったらいいのかということを,ここで挙げさせていただいたわけでございます。
 私からは以上でございます。

【無藤座長】  ありがとうございました。
 それでは,今の主な検討課題例,例ですからほかもあるかもしれませんけれども,その資料を踏まえながら,委員の皆様方に御発言いただきたいと思います。今日は初回でございますので,自己紹介を含めて全員に是非,御発言をお願いしたいと思います。
 あと1時間ぐらいですので,大体,平均で言うと4,5分かなというところでございますけれども,古賀委員が途中退席されるということでございますので,最初に御発言いただいて,その後は東委員より順番にという形にしたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 それでは古賀委員,お願いいたします。

【古賀委員】  京都教育大学の古賀と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私の方では,大学の養成教育や現場の先生方の研修等に携わりながら,幼稚園の先生方の専門性とは何かというような研究をさせていただいております。その中で,今日の検討課題に沿って少し私の考えをお話しさせていただければと思います。
 まず1点目ですけれども,幼稚園教諭等の保育の専門性の向上のために,まず全国津々浦々で,やはり自発的な遊びを中心とする環境を通した保育の徹底というものがどのようにできるのかということと,養成教育の後,若年者の退職という問題があるわけですけれども,そこの,ミスマッチではないんですが,入職後のショックを受けたりする状況というのを,どのようにそのかい離をなくしていくかということや,フォロー体制をどのようにとっていくのかというようなことが,考えたいと思っている1つ目です。
 それから,教育課程外の活動の質保証というのが,京都などでも2歳児保育の研修等が始まっておりますけれども,その資格や内容や評価や研修といったものが,今明らかにされているものがない,手探り状態のものをやっているという現実がございますので,そのあたりの一定以上の質保証と向上の仕組みというのを,どのように考えていくのかということですね。
 それから2点目の,各幼稚園等の独自性を確保しつつ,運営の改善・発展ということが出てきていたかと思いますけれども,その独自性の幅というのをどのように考えていくのかということや,例えばそれに対して保育を公開する研修であったり,評価というものをどのように取り入れて,一定以上の質というものを担保して向上に向かっていくような仕組みを作っていくのかというところですね。最初に申し述べたところと関連してくるかと思います。
 それから3点目の,地域の推進体制についてですけれども,こちらの方は,現在は推進体制の構築事業を取り組まれているところは,非常に先進的な取組がどんどん進んでいらっしゃるかと思いますけれども,そうでないところとの格差というのをどういうふうに埋めていくかという今後の取組や,それから一元化したときに小学校以上との,いわゆる教育委員会とのつながりが途絶えてしまうというような,逆行現象が起こっている地域もあるかと思いますので,今までの教育のつながりというものを保ちながら,どのような推進体制を構築していくのが効果的なのかということを,保幼小の接続ということも含めて検討していきたいというふうに思っています。
 それから4点目の,地域や家庭とのことですけれども,京都は公立幼稚園が全園,学校運営協議会を設置するというような流れにありまして,かなり地域の方との協働であるとか,社会に開かれた教育課程の実現というのを幼稚園でやるということも,実践レベルでどんどん展開して,子供たちもかなり地域の方と一緒に活動していたり,それから地域の方に,幼稚園の教育というのはどういったことを狙いとしてやっているものなのかというような理解も推進しているところです。そのあたりのことで,更にこれをほかの団体ですとか他の園に広げていく取組としてはどのようなものが考えられるのかというようなことを考えていきたいと思います。
 ありがとうございました。

【無藤座長】  ありがとうございました。まだいろいろおありと思いますけれども,2回目以降によろしくお願いいたします。
 それでは,東先生。

【東委員】  失礼します,東と申します。全日本私立幼稚園連合会から推薦で,私立幼稚園,まさに現場の代表としてこの会に参画させていただきます。それから,長く短期大学,大学で養成課程の非常勤講師をしておりましたし,現在は特任教員という形で両方に籍を置いて,毎日行き来をしながら大学の学生や教員とも交流をしている立場でもありますので,場合によってはそのような立場でも発言させていただくことがあるかもしれません。今日は限られた時間ですので,どちらかというと私立幼稚園の立場で幾つか整理をしてお話をさせていただきたいと存じます。
 まず,課題例の1点目の,幼稚園教諭の保育の専門性の向上のための取組でありますけれども,まさにここ10年来,幼稚園教諭の現場,保育の現場での役割,仕事は非常に守備範囲が広くなってきておりまして,正課外の預かり保育に限らず,保護者支援,子育て支援等も含めて,特に中堅以上の教員の仕事量といいましょうか,質的な変化も伴ってきております。それと共に実力といいましょうか,能力の向上も図られているというふうに思いますが,先ほど来お話がありますとおり,ベテランの教員の若い職員への能力や知見の実践知のようなものの伝達が十分に図られているかというと,それが十分ではない現実は否めないということがありますし,ここ数年来,保育職の人材不足の影響,特に都市部であろうかと思いますが,保育職には勤務年数を重ねるんですけれども,施設をかわるという雇用の流動性の問題が非常に顕在化しておりまして,1つの施設や園に長期間勤務をしないということで,1人の保育者としての力が育っていかないということもありますし,園としての保育力が充実していかないという側面も否めないのが現実だというふうに考えています。
 そこで,例に挙げられたような効果的な研修の実施・普及の在り方ということでは,全日本私立幼稚園連合会,あるいは我々の財団では,10年来,研修俯瞰図という教育・保育職員のライフステージにあわせた研修内容を体系的に整理をして,その実績を付する研修ハンドブックというものを,ほぼ全保育職員が携帯して,仮に転勤など異動があっても,その1人の職員の研修履歴が継続的に記録できるようなもの,あるいはその研修の履歴がどのような体系の中で位置付けられているのかということの,整理できるような体制が整っています。
 また,可視化,共有化する手法として,これは(2)の学校評価にも関係するんですけれども,公開保育というものを一つのシステム化を図り,ECEQという手続をとっているんですけれども,アドバイザー的なコーディネーターが何度か,公開保育の前から幼稚園に入りまして,その園の保育者自らが自園の課題,あるいは自らが担任している学年やクラスの保育の課題を抽出していき,その課題に沿った公開保育を実践した上で,来園者から忌たんのない意見をワークショップ的に抽出するような手続もとっています。自らの課題を可視化する,あるいは伝える手段というものをトレーニングしながら,外部的な有識者からはコンサルティングを受けながら,自園の保育の向上を図っているというシステムを構築しているところです。
 ただ,いずれも各都道府県,これは私立幼稚園団体に限らずあると思いますけれども,特に私は北海道から来ていますので,北海道も市町の事情,特に地方の小さな単位の自治体と,札幌市のような政令市との比較をすると,研修の機会も大きく温度差がありますし,先ほど来お話がある教特法に定められている初任者研修についても,実は北海道の場合は市町によっては教育職の採用ではなくて一般行政職で採用されているということがあり,初任者研修から研修の機会が得られていない,保障されていない教育職員がいることも現実としてあります。そのような温度差の中で,どのように各園の保育の充実と併せて,その地域の保育者が育つ,各園の保育の質が向上する環境を担保していくかというのは,各園や各自治体レベル,教育委員会レベルの努力では限界にきていますので,今,モデル事業として取り組まれているような様々な取組をできるだけ一般化をして,限られた財政的な資源の中でも効果的な力を発揮していくようなシステム作り,あるいは人材育成というものが求められていると考えています。
 それと併せて,(4)番目になりますけれども,家庭,特に我々としては保護者が園を選択するステークホルダーでもありますし,実際に入園後も,これは認定こども園や保育園と差別的に述べるのではなく,協働して子供の育ちに関わっていく。幼稚園の保育者が考えている意図や狙いとするものと,実践との共通化を図りながら,保護者も共に子供と関わっていくという環境が,やはり幼稚園では今なお保障されていますので,それを充実していくためには子供の成長,発達がどういうものであるかというものを保護者に啓発して,共有化していくということ,あるいはその園の実践そのものの紡ぎ出しを保護者と共有していくかということが非常に重要な要素になっていますので,これも各園での取組と合わせて,地域や全体としての取組もある一定の水準で実践が図れるような努力が必要かというふうに考えています。
 最後に,この4つの項目にないことでありますけれども,幼児教育・保育における特別支援教育についても,やはり今般,議論に挙げていくべきだというふうに考えています。東京オリパラばかりではなくて,幼児教育段階,高等教育段階での障害のある人たちの教育機会の保障が,やはり日本はおくれているということは現実として否めませんので,様々な教育コストと併せて,そこにおける人材教育も含めてこれからの課題として位置付けてもいいのではないかというふうに考えているところであります。
 私からは以上です。

【無藤座長】  ありがとうございました。
 では新山委員,お願いします。

【新山委員】  よろしくお願いいたします。港区立青南幼稚園の園長の新山と申します。
 私は,全国国公立幼稚園・こども園長会の副会長という立場でも仕事をさせていただいておりますので,国公立幼稚園の立場という形になろうかと思いますけれども,幾つかお話をさせていただきます。
 皆さんの話の中にも出てきたことですけれども,幼稚園教諭等の専門性に関して複雑化している,それから働き方改革のことも言われていますけれども,課題が多いですし,配慮が必要なお子さんも,特に公立にたくさん入ってきているような現状がありますので,とてもたくさんの仕事を抱えている状況になっています。そんな状況の中で保護者の,親としての育ちを支えていくですとか,配慮が必要なお子さん,特別な支援が必要なお子さんの理解を保護者と共に寄り添いながらやっていくということは,とても難しいことです。
 私は東京都なので,東京都は特に若手が今,すごく増えています。団塊の世代がごそっと抜けましたので,その後,若い先生たちの採用がたくさんありましたけれども,その方たちを育てているところですけれども,ちょうどその方たちが,そろそろ保育の面白さが分かってきたようなときに結婚,そして出産,そして戻ってこようと思うけれども,皮肉なことに待機児童の問題に自らもはまってしまうようなことが,実はあります。うちの職場も今,そんなことでどうしましょうと相談を受けていたりもします。できたとしても,預けて復帰したとしても,自分の育児と,ブランクがしばらくあってから保育の現場に戻ってきたときに,年齢的には中堅ぐらいの,リーダー的な仕事もやってねという立場になったときに,我が子の子育てとの両立が難しいというようなところがあります。
 先ほど課長の話の中にもあったかもしれません,資料の中にもありましたけれども,幼稚園の教員と小学校以上の教員の勤続年数とか,復帰のことが資料の中に出ていましたけれども,僕は園長として10年目になりますけれども,ここのところ,女性の職場だということがとてもネックになっているんだなということを特に感じます。私は最初から幼稚園の教員として働いてきましたけれども,子育てもしましたが,実際に産んではいないので,子育てに協力はしてきましたけれども,自分が母親として子育てをしながら仕事をするとすると,相当なハンディがあるなということを改めて感じていますし,今の若い先生たちが,結婚し始めた先生たちがたくさん,私の周りにもいますけれども,その方たちが家庭と仕事との両立というのはとても難しいなということを特に感じています。それでも公立なので,私立などと比べれば少し給料がよかったりもしますけれども,全体的には幼稚園や保育園の先生たちの給料,社会的な地位とかがなかなか高まらないというところが,この職によりよい人材に入ってきてもらうためには,そこのところがやっぱりまだまだ足りない部分がたくさんあるんじゃないかなというふうに思っているところです。
 行政職で幼稚園の先生になっている方がたくさんいらっしゃるという話,それから非常勤で担任をしているという話も,特に地方に行くとたくさん聞きます。いや,それはないだろうというふうに僕なんかは思いますけれども,現実はそのような状態です。それではいけないということを,私たちは積極的に声を上げていっていますし,それからそういう立場であってもたくさん研修をしていただいてということを,我々の団体としてもやっているところです。
 それから(2)番目ですけれども,自己評価,関係者評価に関しては,公立はかなり高いパーセンテージで実施していますけれども,それが自分たちの園のカリキュラムマネジメントにきちんとつながっているかというところに関しては,更にしっかりやっていかなくてはいけないところがあるんだなと思っています。それから,外部有識者によるサポートのところですけれども,配慮が必要なお子さんだとか,支援が必要なお子さんのアドバイザーですとかカウンセラーみたいな方たちは,ここ何年かでかなり各現場に入ってきているように思っていますので,それを更にしっかりと充実させていってほしいなというふうに思っているところです。
 それから,3つ目の幼児教育センター,アドバイザーのところですけれども,これは今お話ししたアドバイザーとも絡んでくると思いますけれども,特に配慮が必要なお子さん,特別な支援が必要なお子さんなどに関しては,専門的な療育のところとの連携ですとか,それから私のいる港区は指導室,教育委員会に幼児教育担当専門官というのがいます。そうすると役所の中の様子をその専門官から聞くこともできますし,現場の声も上げやすいというふうになっています。でも,なかなか幼稚園担当の指導主事がいるところは全国的に見てもとても少ないと思いますので,その辺のところもしっかりと配置率を上げていく,幼児教育センターもまだまだ動き出したばかりという感じですので,是非それが全国に,各都道府県に1つは必ずあるような状況にしていっていただく必要があるんじゃないかなと思っております。
 それから,最後の幼児教育の理解に関することですけれども,公立は自分たちの町の幼稚園,自分たちの地域の幼稚園ということをとても大事にしています。その地域ならではの自然を使ったり,その地域ならではの文化,伝統をうまく保育の中に活用していくということをたくさんやっているところがあります。そこのところは,自分たちのふるさとになるんだぞということを先生たちも意識しながら,地域のお年寄りにいろいろ教えていただいたりということをたくさんしています。そういう実践はかなりたくさんありますので,私たちの団体からもいろんな事例を出すことができるんじゃないかなというふうに思ってるところです。
 以上です。

【無藤座長】  ありがとうございます。
 では,遠藤委員,お願いいたします。

【遠藤委員】  遠藤と申します。
 私は,もともとの専門は発達心理学でございまして,子供の発達の基礎研究というのを今まで細々と続けてきた人間でございます。ただ,3年ほど前に東大に,発達保育実践政策学センターという,保育・幼児教育というのを一体的に,専門的に研究するところを立ち上げさせていただきまして,今まで3年の間ではあるんですが,様々な調査というのをさせていただいてきております。
 そういう中で私自身も保育や幼児教育というところに,いろいろな形で携わらせていただくようになっているんですが,その観点から少しだけお話をさせていただきますと,私ども,1つ行わせていただいた調査に,全国の保育園,あるいは幼稚園,こども園,認可,無認可,様々な形態の園に対して質問紙を送付させていただきまして,結果,3万700人の保育・幼児教育に携わる先生方から御回答を頂きました。それを通じて明らかになってきたこととして,もちろんこれは自己評価ということですので,現実にそういう特徴があるかどうかというのは別にまた検討しなければいけないんですが,ただ,現場の幼児教育・保育に携わっている先生方というのは,子供一人一人の気持ちというところに十分寄り添っている,受容し,そして共感し,子供一人一人の声に耳を傾ける,そこは非常に高く自己評価がされておりました。基本的に,5点満点というあたりで考えていただきますと,平均で4.5ぐらいということでありまして,かなり高い自己評価がされているということですね。これはある意味,園の中で保育者,あるいは教諭が子供の安全基地となって,子供が感情的に崩れたときにはそれを十分に調節できると同時に,今度は基地として子供を自発的な探索というところにしっかりと送ってあげることができる,そういったことに関しては比較的,自分たちはできているのではないか,そういうふうなところが見えてまいりました。
 また,集団遊びのサポート,子供同士の相互作用ということ,それをサポートする,支える,促すということに関しても,かなり高い自己評価がされておりまして,5点満点中,4.5に近いような平均値でございました。それもまた,やはり子供というのは園の中で,大人との関係性の中だけで育つわけではなくて,子供同士の相互作用の中でも育つ,それをどれぐらい積極的に促すことができるか,それに関してもかなり配慮というのがされているんだなという印象を持ちました。そういったものがもしかしたら,日本の保育や幼児教育の強みとしてあるんだろうなということを,調査結果から実感させていただいたところがございます。
 ただ,その一方で一人一人の個別の子供の興味・関心を積極的に伸ばしてあげるような,そういった遊び,活動の支援ということに関しては,比較的自己評価が低くて,そこに課題を感じていらっしゃる先生方がどうも多そうだということが分かってまいりました。もちろんこれは,日本の園というのは物理的に狭いという制約の中で,一人一人の子供の個別の興味・関心というのをどういうふうに伸ばしていくことができるか,現実的に非常に難しいところがあるとは思うんですが,そういったところに苦悩を抱えながら子供たちと向き合っている,そういった姿が見えてきた。それは弱みというよりは課題ということだと思うんですが,そういう日本の保育・幼児教育の強み,弱みのようなことが見えてきた中で,じゃ,その強みを更にどうやって伸ばし,課題をどういうふうに改善していくことができるか,そういう調査をさせていただいたという観点から,幼児教育の質の向上として,特にどういうところにどういうふうな切り口をもって臨んでいけばいいかというようなことを,この会を重ねさせていただく中で検討させていただければなというふうに思うところがございます。
 と同時に,私どもそのセンターでは,最近,スマート保育という言い方をさせていただいておりますが,先ほどもお話がございましたように,今,科学技術というのは日進月歩で進展してきております。あるいはソサエティー5.0ということで,国全体の仕組み,あるいは社会生活というものの変革が今,大きく求められているところがあるかと思います。そういった先端の科学技術を,保育・幼児教育というところにどういうふうに生かしていくことができるか,そういうことに関しても今,検討を進めさせていただいているところでございます。
 もちろん,いわゆるセンシング技術というのを使えば,それぞれの園の環境のアセスメントなどは比較的容易にできるわけです。酸素濃度であったり,二酸化炭素であったり,湿度であったり,あるいは照度,明るさであったり,それが時々刻々とどういうふうに変化するか,そして例えば二酸化炭素濃度などが基準値を上回ったときにアラートを鳴らすとか,そういったことは比較的容易にできるわけですけれども,そういう環境のアセスメントだけではなくて,先端の技術を質の向上というところにどういうふうにつなげていくことができるのかということですね。
 もちろんそういう先端の技術というのは,一方ではやはり,先ほどもお話があったかと思いますけれども,現場の先生方は実際の子供との関わりだけではなくて,それ以上に事務作業というところに非常に大きい負担,ストレスを感じていらっしゃるところがございます。そういった負担,ストレスということの軽減に先端の技術を生かしていく,IoT,あるいはIT,そういったことを生かしていくということもあるんですが,それだけではなくて,保育の質の向上のために例えばどういうことができるかと私どもが考えまして,例えば保育者の先生方,幼稚園の先生方というのはどういったところに視線を向けることが多いのか,子供の活動のどういったところに視線を向けているか。子供全体,複数の子供がいる中で,複数の子供の誰にどういう形で視線を向けるか。全体に向けるのか,あるいは個別の子供というところに注意を向けがちなのか,それが例えば経験年数によってどう違うかとか,そういったところの個人差は,実はかなり明瞭に見えてくるところがございます。特に経験年数と視線の動きとは,かなりの強い関連性を持っていたりしまして,実はそういうところがもしかしたら,見えていない実践知というところを可視化できる可能性,そこにつながっていくような気もしております。
 そういった,ふだんどういうふうなところに配慮しながら保育・幼児教育をしているか,なかなか自覚されないところを一旦,可視化して,場合によっては数値化して,それを研修などに生かしていくということ,あるいは最近の技術というところで申し上げますと,今,非常に小型のカメラを例えば天井とか壁などに装置すると,複数の角度から子供たちの行動を捉え,そして記録するということができるようになっています。そしてまた,子供一人一人の顔の認識,個体識別ができるわけです。そうすると,例えばAちゃんが一日,園の中でどういう活動をしたか,それを実際に記録するということもできるようになってきています。そしてまた,その子供が保育者の先生とどういうふうな関わりをしたか,そういったことも見えるということがあります。あるいはどんなトラブルを起こしたかとか,そういう,一人一人の個別の子供の動きというようなものを把握することによって,例えばちょっと気になる子供の行動であったり,その原因がどういったところにあるかということを分析したり,あるいは保育者のそういったお子さんとの関わりの特徴をつまびらかにしたりというようなこともできるかと思います。
 更には,一日のそういった子供の行動パターンをそのまま記録に残すというよりは,それをデータ圧縮して,いわゆるダイジェスト版を作りまして,例えばAちゃんの一日というのを2分ぐらいに圧縮して,それを研修に活用するとか,そういったことも技術的には,今はまだそこまでは到達していないところではあるんですけれども,そういったことも可能になってくることがあるような気がいたします。
 そういった,実は様々な技術を使うことによって,言ってみれば研修の素材,先ほど園内研修をどういうふうにしていったらいいかというお話があったかと思いますが,その中でどういう素材を使いながら園内研修を深めていくことができるか,やはりその素材というのは,実は日常の子供の行動であり,そしてまた保育者のそうした子供たちに対する関わりであるような気がいたします。それを記録し,更にはある観点からデータを圧縮して,それらを用いながら園の保育・幼児教育の向上につなげていくことができるようになれば,かなり幼児教育というところに変革をもたらすこともできないことではないのかなという気もしております。
 そしてまたもう一つは,そういう幼児教育とか保育の効果というところの検証が,今までなかなか十分にされてこなかったということがあるわけです。それはやはり,子供たちの認知だけではなくて,非認知的な側面の子供の成長というのは特に捉え難いところがございまして,それを第三者が観察などを通して測定するということは,ある程度はできてもそれは非常にコストがかかる,時間がかかる,労力がかかるもので,容易にはできないところがあります。ただ,先端のそうした技術を使うと,全ての側面ということではないんですが,例えば子供の感情状態,そういったことがどんなふうに変化していったか。例えばネガティブな感情が優勢だった子供が,時間軸の中で徐々にネガティブな情動,感情を減らしてポジティブな感情優位に変わっていったかとか,幾つかの視点から考えると,実は非認知というところの変化なども,比較的効果的にもしかしたらそういう技術の中で捉えることができる。効果が検証できると,保育の振り返りにおいてどういう保育が子供たちの育ち,どういう側面の育ちにつながっていったか,それを実感できるということ。実感できると実は,これは当然のことながら幼児教育,あるいは保育を続けていくときの先生方のモチベーションに深く関わっていくものだろうという気がいたします。
 ちょっとずらずらずらっと述べてしまったんですが,様々な活用が考えられる気がいたしますので,そういう先端の技術というのを,できるだけ現場の先生の声とかい離しない形でそこに導入し,そしてそれを有効に研修に活用していただけるように,何かできることはないか,そういうことを少し,この会を通して検討させていただければということを考えております。
 それが(1)で,(2)に関して言うと,やはり先ほどの調査で私ども,園長先生であったり主任の先生のリーダーシップということに関しても調査をいたしました。そして日本の園長先生や主任の先生のリーダーシップの特徴というのをある程度,つまびらかにできたという気がしているんですが,やっぱりそこで重要だったのは,リーダーシップが発揮されている場合に,保育者の先生方のストレスは現に低くなる可能性があるということです。特に先ほどの調査の中で,保育者,幼稚園の先生というのはどういうことにストレスを感じているかというと,やはり事務作業量の多さというところ,非常にここに負担感を感じていると同時に,実は保護者との対応以上に園内の人間関係というところが一つ,ストレス源になっている。
 実はそういったストレスというものに対して,園長先生や主任の先生のリーダーシップが発揮されていると,そういったストレスは低くなっているという状態がございます。そういう意味からすると,リーダーシップというものの在り方をどういうふうに考えていくかということですね。ワンマン,カリスマ型のリーダーシップというのはなかなか効果を発揮しづらいということがどうもあるようで,やはり分散型,協働型のリーダーシップがうまく発揮されている場合にそうしたストレスの低減ということも考えられるだろうし,更にはそのリーダシップが発揮されている場合に,先ほどちょっと申し上げたような保育の質,受容,共感,傾聴であったり,集団遊びということのサポートであったり,そういったところもやはり正の相関ですね,リーダーシップが発揮されているほどそういった保育を実現できているという評価が高い,そんなところも見えてきたところがございますので,実はそういうリーダーシップという観点から運営の改善,発展,そういったことも少し考えていけばいいのかなということも少し思ったところでございます。
 (3)番に関しては,これも実は私ども,全国の自治体における保育・幼児教育の在り方ということに関しての調査をさせていただいたときに,やはり保育の質,幼児教育の質とかなり強く関連している可能性があるのは,一元化ということが実現できているかどうかですね。やはり一元化を早くから図って,実際,一元化の体制でいろんな政策の展開とかをしているところ,幼児教育アドバイザーの配置なども含めてなんですけれども,そういったところは現実的に,実際に保育・幼児教育がいい方向に変化してきているという傾向をやはり見てとることができました。
 そういう意味からすると,一元化ということを図り,そういう中で具体的に幼児教育アドバイザーの役割,どういうふうにしていくかというところですね。やはり園というところは内部リソース,脈々といろんな保育・幼児教育が実践されて,その記録というのは残っていると思います。ただし,恐らく園の幼児教育とか保育を変えていくときに重要なのは,外部リソース,外部の目,視点というところが非常に重要になるかと思います。そういう意味で,やはり幼児教育アドバイザーに期待されるところは非常に大きいのではないかというふうに思うところがあります。そういったところに関して,是非この会を通していろいろとアイデアが出てくれば,非常に望ましいかなというふうに思ったりするところがございます。
 あと,(4)番に関して言うと,家庭と園をどうつなぐか,やはりこれも先ほどの先端技術というところで,要するに双方向的なコミュニケーション,それをサポートしていくような体制というのも実現できる可能性というのはそれなりにあるかなということを考えております。ただ,やはりそのときに,少しこれは先ほどの(1),そういう先端の技術が園に入り込むということに関して言うと,幼児教育や保育に熱心な先生ほどそういうものに若干,抵抗感をお持ちということもございまして,そういう抵抗感ということにも配慮しながら,しかしながらそういう先端の技術を使って,家庭,地域と園をうまく結ぶことができれば,要するに園の中で子供たちはどういう活動をして,そこでどんな楽しい思いをしてどういう変化をしているか,それを要約してダイジェストになって,ある程度御家庭に,あるいは地域の子供たちをサポートしてくれる方に提供されると,それがまた園に対する協力を厚くしていくということにもつながっていくような気がいたしますので,そういうところにうまく先端の技術などを使える可能性なども考えてみたいなと思っております。
 ちょっと長くなりましたが,私からはここまでとさせていただきます。ありがとうございました。

【無藤座長】  ありがとうございました。では佐々木委員,お願いいたします。

【佐々木委員】鳴門教育大学附属幼稚園で園長をしております佐々木と申します。私は養成系で,若い保育者を育てるという立場の教育実習をする身でありますし,大学の先生方と連携しながら,いろいろと汎用できるようなキャリアアップのための研修内容を提案したりするような立場であります。実は今,教育要領など3法令の改訂の年なので,本園から徳島県教育委員会に私の次の者が出向しているのですが,10年前,私も県の方に出向しておりました。そんなふうに,幼児教育の変わり目のときには国立大学の附属幼稚園,全国に49園あるのですが,そういうところこそ力を出して専門性の知見とかキャリアを発揮できるようにと考えております。したがって,文科省の幼児教育の推進体制構築事業を徳島県は受けておりますが,その中でも自分の役割はスーパーバイザーということで,アドバイザーの先生方の研修や,あるいは現場に出向いての現場支援ということで進めております。
 保育の質の問題で現場の方で大変悩ましいことは,臨時の先生方が大変多いことです。公立の先生方も臨時の担任の割合が多いんです。地方自治体はかなり困窮しておりまして,なかなか難しいところがあります。更に,先ほど別の委員さんがおっしゃったように,産休,育休ということで働き盛りの先生方も抜ける場面が多くて,それの補充が十分でないというところもあります。これは私立の幼稚園,保育園,こども園関係なくそういう現状があると思います。
 幼児教育アドバイザーのことについて申し上げますと,私どもの徳島県は,圧倒的に公立の幼稚園,保育園が多くて,そして私立の保育所や認定こども園が今,特に企業型のこども園等が増えてきておるような状況にあります。そこで,幼児教育アドバイザーが現場に参ります,お役に立てますということについて県の方で宣伝しますが,なかなか受入れが,お呼びがかからないという現状があります。やっぱり現場の方の気持ちでは,いろいろなものを見て批判されるとか,あるいは指導されるということに対する一つの警戒感というのがあるので,教員養成もそうですが,上から目線ではない,下から目線の養成と,アドバイザーの支援ということで,具体的にできているところからリスペクトしていって,気になるところや改善すべき点が少しずつ自覚化できるような,そんな現場支援の在り方というのを本園の研究でも,あるいは養成でも,あるは県のアドバイザーの中でもやっております。
 今,それぞれの先生方のキャリアステージごとの人数が,大変若い方に偏っております。多分,あと3年もするとベテランの先生方はかなりの割合でいなくなってしまうと思います。3年前から私どもの研究発表会は,子供たちの3歳,4歳,5歳という発達年限に分かれての分科会ではなくて,先生方のフレッシュ,ミドル,ミドルリーダー,リーダーの4分科会に分かれてやっています。すると大変反響があって,毎回500人以上の参加者があります。去年は700人を超えました。やっぱりここまで育ってこいという上から目線の研修に対しては,なかなか意見も言えないし,参加もしづらいんだけれども,同年代のいわゆる部室文化のような,そこでしか受けないけれども,そこでは自分のことについてみんなが注目してくれるというような若い先生たちの側に寄り添っていくことについては,私たち昭和の人間も改めて目を当てる必要を感じています。そこを一つの足がかりにしながら,望ましい研修という体制を作っていく必要があるのではないかなと,今,反省的に捉えておるようなところです。
 あと,現場の方で言いますと,幼稚園と保育所の先生方の行政用語の違い,例えば私たちは教師と言うし,幼稚園では指導と言うんですが,それに対してすごくギャップがあって,嫌われます。でも実際,保育士さんも赤ちゃんを抱っこして,ほらほら,これ,あじさいよ,かたつむりさんとか言って指さして導いていって,個別のあじさいとはどういうものなのか,さらにはこれらは花の仲間なのだ,花も植物と言われているものなのだというような具体的なものから一般化したものへと,様々な体系的概念的なものについて触れるような,そんなことを教えているんですから,あなたがたがやっているのも立派な指導です。指して導いているじゃないですかと言うと,へーえなんて言うんですが,やっぱり僕たちは文化で違うところを生きてきたので,その辺も何とかクリアしながら実践者として一緒に高まっていく必要があるなと思って,そういう現場支援のプログラムと指導事例集を徳島県でも作っていこうということで進めているような次第です。
 以上です。

【無藤座長】  ありがとうございました。
 では,中山委員。

【中山委員】  高知県教育委員会事務局幼保支援課,中山です。どうぞよろしくお願いいたします。
 高知県では行政の窓口を,平成15年に幼稚園,保育所,一元化しまして,それからもう15年目というような歴史にありますので,今では保育所,幼稚園,認定こども園が一緒に研修を受けるということが当たり前に行われておりまして,先日も所長園長研修や主任教頭等研修で,県外に出るとまだなかなかこういった研修は少ないようですよと言うと驚かれるという感じで,全ての研修が,施設別で特に特化して行う研修でない限り,国公私立の別を問わず,また施設別を問わず御案内をかけるという形をとっております。そういった意味では非常に自然な形で意見交流もできますし,お互いの違いを認めながら自分のところには何が必要なのかということを考えていくということが,随分行われてきているのではないかと感じております。
 また,高知県は地理的に東西に非常に広いところで,特に公共の交通機関も発展しておりませんので,車で片道3時間,東西に行くとかかる,私たち指導主事も冬場の日照時間が短い時間は,お日様が出ているのは園にいたときだけみたいな感じになることがあるぐらい,支援も大変ですけれども,先生方が中央の研修,高知市内の会場に来て研修にあずかるということは非常に難しい。特に経験年数の高い先生になると,運転に自信がない先生になるともう遠慮されるということもありまして,できるだけ会場を分散して行うであるとか,サテライト会場と言いまして,同じ会場で同じ講師の先生に生にあずかることはできないんだけれども,別の会場でモニター越しに同時に研修を受けることができるようにという工夫もやっております。
 しかしながら,やはり自園で,臨時の先生方も含めて自分の園の課題に則して研修が受けられるというところが,一番,質向上には近いのかなと。また,集合型の研修で受けて終わりにならないためには,学んだことが実践とどうリンクしているのかというようなことが,振り返っていける園内研修の充実というところが大変重要だと考えておりまして,平成18年にアドバイザーの先生方への委嘱を始めまして,園内研修の充実を図ってきたところです。
 そういったところでは,随分と広がりは見せてきたかなというところでありますけれども,今お話にあったように,どちらかというと公立の園が比較的多いかなと,保育所は広がってまいりましたけれども,私立の幼稚園においては呼んでいただけるところとそうでないところというのが分かれてきたかなといったところもございます。ですが,園に行って継続的に支援を行っていくと,私たち指導主事であったりアドバイザーの先生方とも顔なじみになって,具体的に園で困られている話も園側から出していただいて,そこに寄り添った支援も可能となってきているということを考えると,1回で終わるよりは2回,3回と継続的に支援ができていく方が望ましいなと感じているところです。そして,文部科学省の幼児教育推進体制構築事業も受託しまして,その中で教育・保育の質向上ガイドラインというものも作りまして,日々の保育の振り返りが登園から降園後までの一日の流れに即して振り返っていかれるものでありますとか,経験年数,キャリアに併せて御自分でつけていきたい資質,指導力というようなものも振り返っていただける,あるいは自覚化していただけるというようなものも作ってまいりました。そういったものも使いながら,今後,支援を充実させていきたいと願っているところです。
 以上です。

【無藤座長】  ありがとうございました。
 神長委員。

【神長副座長】  私,幼稚園現場にも長くおりまして,行政にもありまして,今,養成校におります。そういう意味ではここのメンバーの中で一番古いかなと思いながら,いろいろな研修を受けてきた身だなというふうに思っております。
 皆さんの話と本当に重なるかなと思うんですけれども,幼稚園の先生の成長というのを,今,保育教諭養成課程研究会というところで追っているんですけれども,いろいろなケースがあるかと思うんですけれども,小中学校の先生と比べると,比較的,同質のところに長くいるという,私も国立大学の附属幼稚園に20年おりまして,行政に出たときにはこんなに幼稚園教育といっても研修の仕方が違うなとか,カリキュラムの考え方が違うなとか,いろんなことを思いながら,幼稚園における指導とは何かとか,教育課程とは何かということをずっと言ってきたような気がいたします。
 また,養成校に来ましたら,養成校に来てもう10年以上になるんですけれども,もっと様々でして,今回,無藤座長のおかげで,資質向上ということでは養成校も大分,今回の再課程認定にあわせながら,幼稚園教諭の領域に関する専門的な事項というところで,各養成校において,うちの大学は100人,学生がいるんですけれども,そこでは少なくとも4領域にわたる専門家を置かなければいけないとか,設置基準は今までもあったわけですけれども,今まで小学校以上の教科に沿って専門家が配置された部分が,領域ごとで配置されることになって,大分そこは関心も高まってきておりますので,教員養成自体も今,ようやく幼稚園教員養成として変わってくるかなというふうに思っております。
 非常に多様だなというのと,様々だなということで,意外と一人の教員に焦点を当てると,長いこと同じ環境の中にいるし,公立は転勤はありますけれども,やはり似ていますよね。それぞれの市町村の公立のカラーというものがあると思うので,研修とか成長というのは葛藤しながらというか,カルチャーショックを受けながら成長していく部分があるので,そういった意味では小中学校とはまた異なったカルチャーショックの受け方というのがあるのかなと,ちょっと言葉は過激かもしれませんけれども,やはり成長のプロセスを追わなければいけないなと思います。特に,幼児教育アドバイザーになると,これはいきなり(3)の内容になっておりますけれども,アドバイザーになってくるといろんな立場が分かるということが前提でアドバイスができる立場になっていくので,やはりその年齢になったからできるというものではないし,いろいろな立場をどうやったら研修の中で,制度そのものを大きく変えるという意味ではなくて,視野を広げる研修というものとか,時代に応じて変わっていくという部分をどうやって研修の中に織り込んでいくかということは,大事な視点かなと思っています。
 (1)番に戻りまして,今,私が属している保育教諭養成課程研究会という,幼稚園教員養成課程研究会から拡大してきている研究会なんですけれども,文部科学省の委託研究を受けて,新採から中堅の,特にミドル後期まで来たんですけれども,実態調査,国公幼の先生方に御協力いただいたり,私立の先生方にも御協力いただきながら,いわゆるキャリアアップというのをどういうふうに図っていくかということの実態調査と,教育委員会でそのことを踏まえてどういうふうに,どんな研修が必要なのかということのモデル案の提案という形でさせていただいたんですけれども,やはり一番難しいなというか,今注目というか,是非そこを深めてほしいというのは,中堅をどう育てていくかという課題は大きいかなと。意外と中堅ってどこから言うかというと,結構幅広くて,もう五,六年で中堅になっているところもあれば,ようやく10何年たって中堅ですというところもあるため,年数では中堅は計れないなということを思います。
 ただ,同じ中堅の研修の中でも,いわゆる後輩の保育を指導というよりは,一緒に保育をしながらそれを伝えていくという,園内研修などが中心となる,そういう中でちょっと後輩にアドバイスができるというような中堅と,やはりもう少し,その園と周辺の園との関係とか,また保護者との関係とか,専門機関との関係という意味では園以外と関わっていく,教頭先生の役にもなるのかもしれませんけれども,その前の段階なんですけれども,そういう中で受ける研修というのは,中堅に求められる研修というものがすごく幅広く求められているし,もう少しそこは整理していかなくてはいけないのではないかということも思っています。今回,多様なニーズに対応していくという形で幼児教育の中,特に幼稚園教育の中ではここでも預かりや子育て支援ということが話題に出ておりますけれども,また幼稚園から認定こども園というケースもありますし,いきなり荒波の中でどうしよう,どうしようというふうになる,そこの中でどうにかやっていくんですけれども,その変化を超えながら幼児教育の質をいかに担保していくか,柔軟に対応していくかということに関しては,やはり中堅あたりからしっかりと積み上げていく研修は必要かなというふうに思っております。
 もう一つの必要な研修としては,(2)に関連するんだろうなと思っておりますけれども,やっぱり園長先生のリーダーシップってすごく大きいし,園内研修の調査をさせていただいたときに,物すごく,園内研修と言っただけでも中身は多様にあるんですね。ですから一口に園内研修を活性化とか,園内研修の質と言っていますけれども,言葉は同じなんですけれども,我が園の園内研修というものに対しての現状と課題と把握というあたりは,大分差があるし,そういうことを意識していく,そういった研修も,要するに我が園というものを客観化していくようなことができるような研修も必要ですし,その辺は行政なのかな,どうなのかなと,むしろそれぞれの特質がある団体等が企画していくものなのかなと思ったり,多様な研修を企画していく,教育委員会だけに頼らずに団体や,養成校は養成校なんですけれども,やはりいろいろな場で発信していくということが,実は幼児教育全体の質を上げていくのではないかと思っております。
 以上です。

【無藤座長】  ありがとうございました。
 時間も迫ってまいりましたけれども,私も一委員としてほんのちょっとだけ申し上げたいんですけれども,1つは研修の在り方ということで,それぞれの先生方の研修についての研修履歴といいますか,学習履歴といいますか,そういうものを記録していく仕組みは,全日本私立幼稚園連合会では半分ですけれども,それをもうちょっと広げていくようなポイント制というものに行きながら,例えば厚生労働省の方の保育士のキャリアアップ研修ともつなげていくとか,何か必要ではないかというのが1つ思います。
 2番目は,園としての研修への努力というものをもう少し自己評価,また情報公開の中で見える化できないかということですね。頑張っている園などについて,今は公開してもしなくてもいいわけですけど,そのあたりのことです。
 3番目は幼児教育センターとアドバイザーの問題で,私はできる限り幼児教育センターなどの研修に協力したいと思って,いろんな県のところに行くんですけれども,アドバイザーって,最近気づきましたけど2種類ありまして,センターとして常勤あるいは嘱託として何名か抱えているアドバイザーと,センターは指導主事等がいて,アドバイザーを現場の現役なり退職した方を任命していくというスタイルとがあると思うんですね。どちらも大事なんですけれども,同時に両方必要だなということですね。センターに3人置いても,小さな県でも回り切れるはずがそうでもないので,やはり現場から上げて,その地域の研修の面倒を見てもらう仕組み,そこではアドバイザー研修に力を入れるんですけれど,そういう意味でそのあたりをどううまく組織化しながら,維持可能な仕組みですね,維持可能というのは,私が心配しているのは文科省の補助金がずっと続くといいなと思いますけれども,何かのはずみで切れたときに,じゃ,やめますというと困るなと思いますので,そういうことであります。
 最後に,教育要領保育指針が改訂された中で,やはりプロセスの質を高めていくというのが今回の改訂の非常に大きな趣旨だと思うんですね。資質,能力とか,幼児期の終わりまでに育ってほしい姿とか,実はそれらを生かすということが幼児理解と評価という部分になるんだと思うんですが,なかなか現場で使ってもらうのが難しいところがあります。そういう意味ではそのあたりの記録のとり方とか,見直しとか,そういうものについてどう共有していくかというあたりについて,もう少し踏み込んだ何か支援が必要だなということも思っております。ほかにもいろいろ,委員の皆様方と同じことを考えましたが,第2回目以降の議論につなげていきたいと思います。
 それでは,どうもありがとうございました。事務局より,今後のスケジュールについての御連絡をお願いいたします。

【小倉課長補佐】  資料4に今後のスケジュールについてとあり,次回,第2回は6月21日,木曜日,10時から12時を予定しております。その他,詳細は追って事務局から改めて御連絡させていただきます。
 以上でございます。

【無藤座長】  どうもありがとうございます。
 それでは,以上をもちまして幼児教育の実践の質向上に関する検討会の第1回を終了させていただきます。本日はありがとうございました。

── 了 ──

お問合せ先

初等中等教育局幼児教育課