「デジタル教科書」の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン検討会議(第2回) 議事録

1.日時

平成30年9月14日(金曜日)15時から17時まで

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に係る調査研究事業について
  2. 各教科等(国語・社会・算数・理科・外国語・特別支援教育)におけるデジタル教科書の活用について
  3. ガイドライン骨子(案)について
  4. その他

4.出席者

委員

堀田座長、中川一史座長代理、明石委員、加藤委員、黒川委員、駒崎委員、佐野委員、柴田委員、白井委員、中野委員

文部科学省

森友初等中等教育局教科書課長、春田教科書課課長補佐

オブザーバー

中川哲オブザーバー

5.議事録

【堀田座長】 それでは、定刻より少し早いですけれども、皆さん、おそろいでございます。ただ今から、第2回「デジタル教科書」の効果的な活用の在り方等に関するガイドライン検討会議を開催させていただきます。
 前回に引き続きまして司会を務めさせていただきます堀田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回は、明石委員と白井委員がこの会議に初めての御出席となりますので、まず、冒頭に一言御挨拶を頂ければと思います。明石委員からお願いいたします。
【明石委員】 江戸川区立西葛西中学校で英語を教えております明石達彦と申します。よろしくお願いいたします。
 去年からいろいろとこの会議に参加させていただきまして、英語科でございますので、英語の授業の中で、あるいは、デジタル教科書を使いながら、どのような効果的な学習が保証できるかということについて、考えてまいりました。実際に今年からいろいろと具体的なことが始まるということで、更に深く考えながら、良い使い方を模索して考えていきたいなというふうに考えております。
 どうぞよろしくお願いいたします。
【堀田座長】 ありがとうございました。
 白井委員、お願いいたします。
【白井委員】 荒川区立第三峡田小学校の校長、白井一之と申します。
 私個人は算数教育について、これまでずっと研究をしてきております。それと、本校第三峡田小学校ですけれども、平成25年から荒川区のタブレットパソコン一人一台のモデル校として継続して研究をしているところです。昨年は学習者用のデジタル教科書も少し導入させていただいて、子供たちと一緒に使って学習をしているところです。そのようなところから、少しはお役に立てるのかなというふうに思っております。
 よろしくお願いいたします。
【堀田座長】 ありがとうございました。
 それでは、開催に先立ちまして、事務局に人事異動があったとのことですので、事務局よりお願いいたします。
【事務局】 教科書課長の梶山の後任として、本年7月に着任いたしました森友でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
【堀田座長】 では、続いて、配布資料の確認について、お願いいたします。
【事務局】 続きまして、本日の配布資料でございますけれども、議事次第を御覧いただければと思います。議事次第のとおり、資料1から資料5まで、そして、机上には机上資料として、前回第1回の資料を配布させていただいております。不足等ございましたら、事務局にお申し付けください。
【堀田座長】 ありがとうございました。
 それでは、本日の会議の趣旨や目的と、本日の会議の議事の流れにつきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【事務局】 議事次第を御覧いただければと存じますけれども、議事として、(1)から(4)まで、となってございます。
 大きく前半、後半に分かれておりまして、前半としては、(1)デジタル教科書の効果的な活用の在り方等に関する調査研究事業ということで、今回、三菱総合研究所様に委託事業を実施していただいている中で、本格調査を今後行っていくに当たって、実際のアウトプットのイメージとしての実践事例集を御覧いただきながら、御議論いただければというふうに考えてございます。
 後半部分は、(2)、(3)ということで、各委員の先生方から、各教科の活用方法について御説明いただき、こういった具体的なイメージの下で、ガイドライン骨子(案)について御議論いただければと考えてございます。
 以上でございます。
【堀田座長】 ありがとうございました。
 ここから議事に入らせていただきますが、カメラやビデオカメラ等による撮影はここまでとさせていただきます。大変恐縮ですけれども、御協力よろしくお願いいたします。
 それでは、議事の一つ目です。デジタル教科書の効果的な活用の在り方に係る調査研究事業につきまして、受託先である株式会社三菱総合研究所から資料の説明をお願いいたします。

<三菱総合研究所より資料1について説明>
<引き続き、加藤委員、白井委員より資料2、3について説明>

【堀田座長】 それでは、一つ目の議題は、三菱総研にお願いしている実践事例集、今、随分進んできているところかと思いますけど、この具体的なフォーマットについて御意見いただきたいというようなことと、あと、加藤委員と白井委員には、実際に御同行いただいたというか、御自身の実践も含めて御紹介いただきましたけれども、これらにつきまして、議論をしたいと思います。
 質疑等ございましたら、それぞれからお願いしたいのですが、その前に、話の整理をしておきます。
 まず、私どもの今回のガイドライン検討会議は、今、2回目で、1回目は6月でしたけれども、昨年度にデジタル教科書の効果的な活用の在り方等に関する専門的検討等として非公開の形で文科省を中心にいろんな人にデジタル教科書の活用についてどうですかねとか、あるいは、使っているところを見に行ったりとか、そういうようなことがあって、やはりガイドラインという形である程度、規制し過ぎない程度の留意点をまとめたものを作る必要があるということと、それから、デジタル教科書を使ったことがない人が多い現実から考えると、実践事例集のようなものを、ポイントも含めて、提示する必要があるというようなことが定まってきたという経緯があります。
 そのデジタル教科書は、この度の改正学校教育法でいうデジタル教科書ですから、制度的には紙と同等のものを示しているわけですけれども、それが様々なデジタル教材と一緒に使われ、そして、それは一人一台を中心とした情報端末の上で使われる、それを使う子供たちにはある程度の情報活用能力の育成が必要になる、そういう状況があるので、ガイドラインについては、この部分がデジタル教科書だということは明確にしつつも、そのほかの関連の部分とどのように関連し、相まって効果があるのかということについてはちゃんと掲載していくという方向にしたいと、座長としては考えているところです。
 かといって、デジタル教材だけのことを載せても、それはほかの委員会でいろいろやっていることと重なってしまうので、飽くまでデジタル教科書を中心とした形での実践について載せていきたいということになっていると、ここまでが話の整理でございます。
 そこで、その実践事例集をどういうふうに作っていくかということにつきまして、三菱総研の方で今御検討いただいているところですが、一つ目の私の質問は、15件の事例について、たくさんいろいろ見ていただいて、実際、事例集に載せるべきと判断されるのがこの15件だと思うのですけど、本当にこの事例でよいのかということについては、どうやって決めていかれますか。
 どの事例でもいいというわけでもないと思うのですね。文部科学省のクレジットで出ますから。この15事例を決めるときのプロセス等について、まず質問させてください。
 この後は、皆さん、是非御質問ください。お願いします。
【三菱総合研究所】 御質問、ありがとうございます。
 座長がおっしゃるように、学習者用のデジタル教科書を使用している事例を選択するということが重要です。つまり、デジタル教材のみの事例は掲載しないという方針です。
 その上で、教科のバランスを考えております。そうしますと、国語、算数・数学は、それほど事例が多いわけではありませんが、ある程度の数は見つけられるところでございます。他方、理科、社会などは学習者用デジタル教科書を購入されて実際に使用されている学校は、それほど数としてはないのが現状でございます。
 また、国語、算数を含めまして、複数事例がある場合に、その中からどうやって選定するかといったことにつきましては、事前にアンケートを簡易的にさせていただきまして、その中で、事例の重なりをなるべく排除するような形で、例えば、目指している効果や、国語であれば物語文だけを事例として収集しないという方針で15件を絞り込んでまいりたいと思っております。
【堀田座長】 ありがとうございます。
 そのアンケートは実践している事例を取るということですね。
【三菱総合研究所】 はい。学習者用デジタル教科書を使っているという情報を得られました学校様にお送りいたしまして、アンケートに御協力いただいております。
【堀田座長】 ありがとうございました。
 それでは、ほかの皆さん、是非御意見や御質問等がございましたら、まだ修正は可能な範囲ですので、御意見いただければと思います。いかがでしょうか。では、明石委員。
【明石委員】 例えば、マーカーを引くというような一つの事例については、結構どの教科でも、国語でもマーカー、英語でもマーカーということがあります。例えばマーカーを引くというようなものは一つに絞ると、そういう意味でよろしいでしょうか。
【三菱総合研究所】  御質問、ありがとうございます。事例の選定においてバランスを取るという方針に関連した御質問かと思います。使用されるデジタル教科書の機能というのは、どうしても重なりは出てくると思っております。我々がバランスを取りたいと考えておりますのは、その機能の活用で期待される効果について、バランスを取りたいと思っております。
 つまり、同じ書き込みの機能であったとしても、例えばそれが一斉授業の中で使われるのか、若しくは、個別授業の中で使われるのかによって、出てくる効果は違ってくると思います。そういったところで異なる事例を選ぶことになると思います。
 また、もちろん使用機能の全てが書き込みといったようなものになるのではなく、文科省から後ほど御発表されます、ガイドライン骨子案に記載されている機能については、なるべく全ての機能がこの15件の中で取り上げられるように心掛けたいと思います。
【明石委員】 ありがとうございました。
【堀田座長】 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。佐野委員。
【佐野委員】 全体のフォーマットの内容についてのことになると思いますけれども、活動内容に書かれていることがほとんど全部、使役形で書かれている。何々させるということですね。例えば、書かせるとか、色分けさせるとか。使役形で活動内容が書かれると、デジタル教科書を使っていく際、教師の指示がすごく強くなるというような懸念とか、それから、デジタル教科書に沿って教師主導が授業を進めるというような誤った考え方や、見方、メッセージが伝わることを防ぐためにも、ここは子供がすることというフォーマットで書いていった方が伝わりやすいのではないかなというふうに思いながら見ていました。
 教師がすることについては、活用ポイント・留意点にまとめて書いていくという方針で書かれた方がメッセージとしては伝わりやすいかなというふうに見ていました。
 以上です。
【三菱総合研究所】 御指摘、ありがとうございます。そのように記載を変更してまいりたいと思います。
【堀田座長】 ほかにいかがですか。白井委員。
【白井委員】 先ほど、加藤委員の、国語を中心にした実践事例を伺って、教科によってかなりデジタル教科書の使い方が違うのかなと思いました。算数は、先ほどお話ししたように、デジタル教科書を、最初からずっと開いているわけではなくて、必要に応じて出す、あとはしまってしまうのですけれども、国語はデジタル教科書をずっと開いているというお話がありました。
 来週、本校では社会科でデジタル教科書を使った授業をいたしますが、そこでは、資料を映して、それを大きくして、項目細部について調べてみるという授業をいたします。恐らく教科によってデジタル教科書を使う際の違いがあって、教科の特性によっての違いが明確に出るようにするとよいのかなというふうに思いました。
【三菱総合研究所】 白井委員、ありがとうございました。今回は、2件、国語と算数の事例を調べさせていただきまして、委員御指摘の内容について私も実感したところでございます。今後、そういったことに心掛けまして、事例集を作成してまいりたいと思います。
【堀田座長】 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。駒崎委員。
【駒崎委員】 今の、白井委員の意見にもあったのですけれども、恐らくデジタル教科書を使うときにピンポイントでの活用になると思うのですが、1時間丸々デジタル教科書を使うという授業はなかなかないと思いますので、そうすると、導入、展開、まとめというフォーマットでいくと、間延びしちゃうような事例も実際出てくるのではないかなと思われます。
 それと、もう一点ですが、活用により期待される効果の部分をもう少し丁寧に作り込んだ方がいいかなという感じはしています。恐らく、デジタル教科書を使った書き込みというのは、何度も消したり書いたりできて試行錯誤ができるというところが一番のメリットだと思いますので、そこら辺がうまくデジタルを使った部分の効果というのを表現できると、やってみようかなという感じになるのではないかなと考えます。
 以上です。
【三菱総合研究所】 御指摘、ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、1時間全てにおいてデジタル教科書を使っている事例ばかりではございません。その辺りは、例えば授業のどの時点でタブレットのスイッチを入れるとか、電子黒板に掲示するとか、そういったメリハリにつきましても、分かりやすく示していけたらと思っております。
 また、効果のところにつきましても、なるべく御指摘を反映して、作成をしてまいりたいと思います。
【堀田座長】 今の話にちょっと関連してなんですが、場合によっては、3時間ぐらい掛けた授業で、デジタル教科書の中から何かを選んで、自分たちで何かを作り込んで、それを3時間目になってようやくディスカッションに使うということもあり得るかなと思うのです。つまり、実践によるケース・バイ・ケースで、1時間の流れで書いたり、1時間を越える流れで書いたりするようなことで構成していただければというふうに思いました。
【三菱総合研究所】 ありがとうございます。御助言を踏まえまして、左側のページについても工夫を加えてまいりたいと思います。
【堀田座長】 ありがとうございます。黒川委員。
【黒川委員】 ほぼ皆様と同じ考え方ではございます。
 一方、今日お示しいただいたこのページは、教科書の単元や教材など、その一連の学習活動の中での展開であり、これはこれで必要だと思いますが、駒崎委員がおっしゃるように、これだけでは苦しくなってしまうと思います。
 デジタル教科書独特の機能、特性を生かした事例はピンポイントであるので、何か少しフォーマットが違う形でピックアップしてはいかがでしょうか。各教科に適用できる機能があるかと思います。例えば、マーカーや線を引いたり、拡大したりするという機能はいろいろな教科にあって、学習活動の流れの中だけでなく、それだけでも示されると先生方には分かりやすいのではないでしょうか。これはたくさんのアイデアを示すという、飽くまで例ですが。
 一方、今出ている、試行錯誤が重要だという点は全体に通じるところなので、そういうデジタル教科書の特性を生かした切り口がもう一つあってよいのかなと思いました。
【堀田座長】 今の話は、ガイドラインに何を載せるかという、少し汎用的な話と、個別の事例をどういうふうにフォーカスするかという話が並行に動いていて。
【黒川委員】 はい。
【堀田座長】 今の黒川委員の御意見は、それがガイドラインの中にそのような共通的な話があってもよいということですか。それとも、事例集の中にも入れるべきだということですか。
【黒川委員】 事例集の中に一緒に載せてもよいのではないかと思います。1枚の見開きページの中に8コマぐらいの使い方をピックアップして掲載するイメージです。例えばマーカーの引き方だけでも、内容によって色を変えるとか、文や図を囲うとか、いろいろな方法があって、少し学習内容とは違うところなのですが、なるほどここで使えるなという、そのようなページがあった方が分かりやすいかなと思います。
【堀田座長】  ありがとうございました。
 8コマということであれば、かなり具体的なイメージがあるので、後でまた個別にお伝えいただければと思いますけど、何かありますか。
【三菱総合研究所】 今日は、事例集のうちの事例の紹介の部分が中心になるので、その部分を御紹介差し上げましたけれども、事例集全体としては、その前半に、機能であったり、効果であったり、そういったところを、イントロダクションとして紹介する予定がございます。そちらの方で扱うということも選択肢としてあるのかなというふうに思いましたので、詳細はまた御相談差し上げながら進められればと思います。
 全般としては、やはり教科の特性を、文章表現としてどう扱っていくかというのが大きなポイントというふうに、御指摘を踏まえて認識しましたので、この辺りも各教科の御専門の方々から指示も仰ぎながら、仕上げていきたいと思います。
 どうもありがとうございます。
【堀田座長】 中川座長代理。
【中川(一)座長代理】 二つあるのですけれども、一つは、先ほど出ていた活用効果の書き方について、今、おっしゃったことに関連するかもしれないのですが、十何事例出すと、活用効果が非常に似たものがたくさん出てくると思うので、活用効果の1に、国語なので、「登場人物の感情の理解が容易となり」という一言がありますよね。こういうふうに、各教科の特質とその活用効果がうまくクロスするような書きぶりが必要じゃないか。そうしないと、あっちにもこっちにも似たことを書いて、と・・・・・・。大事なことは何度も出てくるのかもしれませんが、それがまず一点です。
 それから、二点目は、事例集は今までやったもの、あるいは、これからやるもの、両方を含むのか。
【三菱総合研究所】 基本的には、これまで実践されたものを基に構成、又は再構成をさせていただいております。
【中川(一)座長代理】 分かりました。
 今、三菱総研から出ている案の、画像についてなんですけどね。三つとも、画面が映されて、非常によいと思うのです。そうでなければ、子供がグループで話し合っているといった、似たような写真ばかりになってしまうので。ただ、なぜ先ほどの質問をしたかと言うと、これからやるものであれば、画面をしっかりと撮るようにしてくださいという要望を言おうと思ったのですが、これまでのものとなると、できるだけ収集というか、お願いをして、その中から最適なものを選ぶことが必要になるかなというふうに思います。
 以上です。
【三菱総合研究所】 ありがとうございます。
 具体的に授業を見学させていただける学校様もあります。なかなか、画面をのぞき込んで写真を撮るのは児童生徒さんのお邪魔にはなりますので、学校の先生から写真の御提供をお願いする予定です。その際は、そういった具体的な活動の様子が画面から伝わってくるような、そういった写真の御提供を依頼させていただきたいと思います。
【堀田座長】 中野委員、お願いします。
【中野委員】 二点ございます。
 一つは、児童生徒の声を入れることができないかということなのですが、特別支援でずっと実践をしていると、デジタル教科書を使うことで、例えば、自宅学習に利用できるとか、学校内で持ち運びながらいろんなことを調べていくという、非常にアクティブな学習へとつながっています。
 そういう話は授業を見ているだけではなかなかピックアップすることができないところがあると思いますので、全部とは言いませんけれども、児童生徒の目線で、デジタル教科書を使うことでどういうふうに自分たちの学びがプラスになっているかといった声もあるといいかなと思いました。
 それから、もう一つは、特別支援の位置付けで、今回、特別支援学校に行っていただくことになりますが、特別支援は通常の学級、特別支援学級、通級指導教室、特別支援学校というように四つの場面が考えられ、それをどのように有機的に絡ませていくかはちょっと難しいかなと思っています。どのようにお考えでしょうか。
【三菱総合研究所】 御指摘、ありがとうございます。
 まず、児童生徒の声につきましては、自覚的にそのような効果を実感している児童生徒ばかりではないですので、全ての事例で入れるのは難しいかもしれません。
 また、どこの事例で入れるかということにつきましては、実際の先生方と御相談をしながら、考えさせていただきたいと思います。
 また、先ほどの御指摘のとおり、特別支援につきましては、学校種、障害の状態、様々でございます。まずは、特別支援学校での事例を一つは取り上げたいというふうに考えております。
 ほかの、通級や特別支援学級等をどこまで区別して載せるかは難しいですが、数少ない事例の中で、様々な先生にヒントとなるようなことを、事例だけではなく、この事例以外の部分、例えばコラムや機能紹介の部分などで、様々な特別支援の在り方を、散りばめるところまで十分にいくかどうかは分かりませんが、そういった工夫をしてまいりたいと思います。
【堀田座長】 ほかに。駒崎委員、柴田委員の順番でお願いします。
【駒崎委員】 いろいろ考え方はあると思うのですけど、右ページ上の分類表はこの位置に置かなければならない理由があるかどうかを聞きたいところで、教員の視点で見ると、期待される効果が上にあった方が非常に目にとまるかなと思います。この分類が教員の視点からは余り関係ないと言ったら失礼かもしれませんが、下に動かした方がいいのではないかなという意見です。
 以上です。
【三菱総合研究所】 ありがとうございます。こちらの配置については、引き続き考えていきたいと思いますが、現場の先生からの御意見として参考にさせていただきます。
【堀田座長】 柴田委員。
【柴田委員】 先ほどまでの委員の先生方のお話なども聞きながら思ったのですが、例えば授業では、ずっとデジタル教科書を使う場合や、ピンポイントでタブレットやデジタル教科書を使う場合があります。さらには、3コマの授業のうち、3コマ目に使う場合もあるというお話がありました。ICT機器の利用という観点から考えますと、通常の授業を行っているときには、カーテンを開けて、明るい教室環境を作っているかと思いますが、タブレットを使いましょう、あるいは、電子黒板を使いましょうといったときには、カーテンを閉めたり、蛍光灯などの映り込みに対する配慮をしたりすることになろうと思います。
 それで、これは一つのアイデアですので、御検討や議論をしていただければと思うのですが、例えば、この別紙の左側の活用ポイントの、マーカーや付箋を付けるといったデジタル教科書を、特にピンポイントで使うようなときに、カーテンのマークみたいなアイコンを入れておいたりすると、ICT機器やデジタル教科書を使い始めたばかりの先生方に向けての配慮となり、子供たちの健康面に関して配慮すべき点が先生方に自然に伝わるのかなというように考えた次第です。
 以上です。
【三菱総合研究所】 柴田委員、ありがとうございます。
 どのようなアイコンを付けるかということも含めまして、例えばカーテンのマークだけでよいのかとか、御指摘を何らかの形で検討いたしまして、反映できればというふうに思います。
【堀田座長】 中川オブザーバー。
【中川(哲)オブザーバー】  私も駒崎委員と同じく、右ページ上については下でいいのかなと思うのと、あと、一つ追加しないとよく分からないなと思うところが、例えば、白井委員の御発表で、画面を共有するという使い方がありましたけれども、これは多分、デジタル教科書ではなくて、授業支援システムのような類いのものをお使いになっているのでないかなと思うのです。
 デジタル教科書を使って、何らかの狙いを達成しようとしたときに、ICT機器としてハードウエアしか書いていないので、デジタル教科書以外の、ICT環境そのものについて、何を使ったからできたものだというのが分からないと、初めて使おうと思った方は、何か魔法のツールのように全部できるのかなという誤解を少し与えてしまうのかなと思いまして、ICT環境について、1行追加した方がいいのではないかなというふうに思いました。
 以上です。
【三菱総合研究所】 ありがとうございます。
 この部分にどういったタグを作るかは、文部科学省のガイドライン上の記載と平仄を取ってまいりたいと思います。
 その上で、例えば現在、ICT機器のタグの中に、高速インターネット/無線LANと電子黒板とが共存している状態でございますが、この分類をどうするかは、ガイドラインの記載と併せまして、読まれる方の混乱が少ないようにしてまいりたいと思います。委員の御指摘はおっしゃるとおりかと思いますので、今後、検討の際には、文科省と協議をしてまいりたいと思います。
【堀田座長】 ありがとうございます。
 授業支援システムはシステムなので、ハードウエアでもないし、ネットワークそのものでもないし、その辺はICT整備指針もありますので、うまく平仄を合わせていただければと思います。
 私から質問があるのですが、せっかく加藤委員と白井委員が発表されたので、お二人に聞きたいことなのです。今から言うことは、ガイドラインに載せることなのか、この事例集に載せるべきことなのかも含めて、僕らが検討しなければいけないことだと思っていることなのです。
 加藤委員の発言の中に、子供たちが毎日のようにデジタル教科書を使った授業をやってきたからこそできることというのがありますと。これはICT活用が盛んな学校では結構経験することで、一つは子供たちの情報活用能力の高まりだと思うし、デジタル教科書を用いた学習への慣れみたいなこともあると思うし、紙でやっていることと少し違うことが子供のスキルとして発達して、それによって授業がより効果的になるみたいなところがある気がするのですね。そのことを、このガイドライン、この事例集にどのように載せるとよいと加藤委員が思われているかということが一つと・・・・・・。これは飽くまで御意見を聞きたいということです。
 そして、そういう子供たちになってくると、もしかしたら、従来の授業の仕方を前提にデジタル教科書をこう使えばよいということのみならず、進んできたら、こういうこともできるよということで、先ほど使用禁止の話や板書の話がありました。僕も全く同感なのですけれども、一方で、そういうふうに子供のスキルが進んできたときの授業スタイルはどういうふうに考えていけばいいのだろうかいうことについて、従来に機器を合わせるとか、ソフトウエアを合わせるとかのみならず、これからの新しい授業の展開を、白井委員はどのように思い描かれているのかなということを伺った上で、そのことを、ガイドラインか、この事例集かに埋め込む必要があるのではないかと・・・・・・。
 だから、今回、まだ事例が極めて少ない状況の中で、三菱総研は苦労されて、事例を掘り起こしされているわけですけれども、それは恐らく、デジタル教科書を使ったらこんなに便利だよという話ばかりが出てきて、今の授業場面に置き換えると、こっちの方が便利だよという話に終止してしまう気がしているので、もっと長期的なスパンで、子供の育ちや授業のスタイルを検討していく必要があるのかなと思い、聞いてみました。
 加藤委員、お願いします。
【加藤委員】 先ほどの話にも出てきたように、教科によってかなり違いがあるなと思っています。私の協力校では国語だけデジタル教科書を使ってきたので、国語に関して言うと、研究授業だったら別ですが、日々の授業の中でピンポイントでデジタル教科書を使う形はなかなか考えられにくいです。
 ガイドラインでも、やはり教科別にこういう形が理想というものを見せた方が良いだろうなと。ピンポイントで使えると示すと、使ってみたら大したことないということになりかねないかなという気もします。もちろん言い過ぎかもしれないですが。
 使い慣れてくると、こういう授業になるよということが見せられれば良いかなと。今までの授業スタイルに合わせた記述もないと困ると思いますが、多分調査でも見えてきているとは思うので、先を見据えて、若しくは、こうなっていくよというのも見せられればよいなと思っています。
【堀田座長】 ありがとうございます。
 白井委員。
【白井委員】 先ほど、教科書は開かせたくないというお話をしました。そればなぜかと言うと、教科書を開いてしまうと、いろんな情報が書いてありますよね。子供たちはいろんな情報を見てしまうのですけれども、ただ、デジタル教科書を使って算数の授業をしていますと、この部分を押してごらんというようにポップアップの形で見せるので、ほかの部分は見ないのですね。
 ですから、そういう使い方をすると、先生がわざわざワークシートを作らなくてもよくなるのではないかなというふうに思っております。
 それから、学習のログもデジタル教科書に記録できるのでしたら、デジタル教科書を中心とした授業がこれからはやっていけるのではないかなと少し期待感を持っているところです。
【堀田座長】 ありがとうございました。
 非常に長期的な話なので、これを事例ベースでどこまで書けるかは分からないと思うのですけれども、それはICTに対する慣れなのか、デジタル教科書に対する慣れなのか、それを活用する授業に対する慣れもあるかもしれませんし、また、スキルと言っても、操作スキルなのか、学習スキルなのかの判別もなかなか付かないところもあるかと思いますので、これは私も含めて、どういうふうに盛り込むかを検討したいと思います。
 今、いろいろ御意見を頂きましたが、ほかにも議事がございますので、先に進めさせていただきます。
 続きまして、議題(2)各教科等におけるデジタル教科書の活用について、それぞれの担当の委員からの資料を御説明いただくということになります。
 この会議体には、国語、社会、算数・数学、理科、英語の科目につきましてそれぞれの専門の先生にお越しいただいておりまして、その先生方の宿題として資料を作成していただいておりますので、御説明を頂きたいと思います。
 最初は国語で、渡邉委員ですが、今日は御欠席ですので、春田補佐に代読をお願いします。

<事務局より資料4-1について説明>

【堀田座長】 ありがとうございました。
 四つの典型的な、効果のある学習場面を整理していただいたということになります。
 続いて、社会科の、佐野委員、お願いいたします。

<佐野委員より資料4-2について説明>

【堀田座長】 ありがとうございました。
 白井委員、お願いします。

<白井委員より資料4-3について説明>

【堀田座長】 ありがとうございました。
 続いて、理科の、伊藤委員が欠席ですので、春田補佐、お願いいたします。

<事務局より資料4-4について説明>

【堀田座長】 ありがとうございました。
 では、英語科の、明石委員、お願いします。

<明石委員より資料4-5について説明>

【堀田座長】 ありがとうございました。
 続きまして、特別支援教育の観点から、中野委員、お願いします。

<中野委員より資料4-6について説明>

【堀田座長】 ありがとうございました。
 それぞれの専門分野の観点から御説明いただいたことになりますが、これらについては、個別に質問を取らずに、この後、議事(3)ガイドライン骨子(案)を説明していただいて、それにどのように盛り込むかという形で検討したいと思います。
 では、お願いします。

<事務局より資料5について説明>

【堀田座長】 ありがとうございました。
 このガイドライン骨子案は、前回第1回の会議で、ガイドラインに盛り込むべき事項についてたたき台を出していただいて、皆さんに御意見を頂いて、事務局でまとめていただいたと・・・・・・。
 今日、また御意見を頂いて、素案として文書化していく形になりますので、この段階でこれを入れておいた方がよいとか、この部分を強調しておいた方がよいとか、この項目はこっちにあった方がよいとか、そのようなことについて、是非、忌たんのない御意見を頂きたいと思います。
 今日はこの議題が最後になりますので、あと30分弱よろしくお願いいたします。
 まず、事務局に私から聞くのですけれども、先ほど、各教科と特別支援の観点から、いろいろと専門的な御意見を頂きました。これらについては、このガイドラインに盛り込むのでしょうか。それとも、事例集に取り入れるのでしょうか。
【事務局】 事務局としては、ガイドラインの別添資料のような形でまとめさせていただくのがよいのではないかと考えてございます。
【堀田座長】 ガイドラインの別添資料であって、事例集ではないということですね。
 しかし、各教科等の中の典型的な機能との関係については、このガイドライン骨子案の中にもある程度同じようなものがありますので、吸収されるようなことになろうかと思います。
 それでは、皆さん、是非、御意見お願いいたします。では、中川オブザーバー。
【中川(哲)オブザーバー】 前回お話しした点を盛り込んでいただきまして、ありがとうございます。
 少し追加の点ですけれども、クラウドの利用に関して、クラウドの環境面について記載をするべきではないかなと思っております。というのも、デジタル教科書を使って授業をする際、線を引いたり、注意すべき点に書き込みをしたりしますが、特に小学校、中学校におきましては、端末が学校の設備であることから、端末は持ち帰れません。ですので、家で学習しようと思ったときは、その記録したものが見られないという状況がよく指摘されていまして、そうであれば、教科書に書き込み等して教科書を持ち帰った方がよいという話であって、授業がデジタル教科書によって有効に行えるというメリットを伝えられないという問題があります。もし、その記録したものがクラウドにあり、自宅の端末からでも見られるように環境が整備されますと、メリットが最大化されるのではないかなと考えています。
 これは、多分デジタル教科書のライセンスといったところにもなると思うのですけれども・・・・・・。私はKindleでよく本を読むのですが、Kindleはどの端末からでも読めて、線を引いた部分も全部見られますから、そのような仕組みがデジタル教科書でも実現されるようなことがガイドラインとしてしっかりと書かれていると、多分いろいろな工夫がなされるのではないかなということです。
 具体的な文章ではないのですが、その点を少し問題提起したいと思います。
【堀田座長】 ありがとうございました。
 今の御意見はこのガイドラインというよりも・・・・・・、そうなればいいなという少し中期的な見通しというふうに思えばいいですか。
【中川(哲)オブザーバー】 このガイドラインの有効性というか、教科書を出版されている方に対してどの程度の効力があるものかに依存するかと思うのですが、クラウドで利用が可能で、かつ、ライセンスが家での学習にも対応可能であることと書かれていれば、皆さんは多分そのように御努力されるのではないかなと思い、これに書かれるといいなと・・・・・・。
【堀田座長】 なるほど。
 事務局、お願いします。
【事務局】 御意見ありがとうございます。
 この度のデジタル教科書は、法律上、紙の教科書と同等である部分でございます。今おっしゃっていただいたように、ネットワーク環境において記録が保存されるようにするといったことは今後、教科書発行者の創意工夫によってそういった機能を持つものも、そこまで有しないものも出てくるのが実際かと思ってございます。
 ただ、今回のガイドラインには、(5)その他の留意点という部分で、ICT環境整備によって、デジタル教科書の特性・強みを十分に活用するということを盛り込ませていただいておりますので、その中で、例えばネットワーク上にそういった保存ができるようになれば、家でも連携しながら活用できるようになるといったようなニュアンスを出すことは可能なのかなと思いますが、いかがでしょうか。
【堀田座長】 これは、デジタル教科書の開発に関するガイドラインではなくて、活用に関するガイドラインであって、確かにそういうことがあったらよいねという気持ちは僕も同じなのですが、この会議体でどこまでできるかは、著作権法の問題など、いろんな問題があるので、文科省も慎重なお答えをされたのだと思います。
 ですが、そういうことは、中期的には何らかの形で実践として期待され、法整備がそれに向かっていけば、十分に機能することが考えられると思うし、技術的には、デジタル教材であれば、恐らくもうすぐ実現可能なことだと思うので、デジタル教科書においてもそういうことを期待するというメッセージ、そうなったら学習のスタイルもこういうふうに変わるというポリシーは見せたいと思います。
 その書き方は、また文科省と調整させていただきます。
 加藤委員、お願いします。
【加藤委員】 今の話にも関係することですが、まず、クラウドは少し先の話で、教材はかなり近い話だと思っています。例えば、授業支援システムがあることを前提にした効果も書いてありますよね。
 ガイドラインに記載するデジタル教科書の範囲について、書き込みはデジタル教科書の機能として書いてよいのでしょうが、文章を抜き出して新しいページに貼り付けてそれに書き込める機能は書くのか、書かないのか、共有機能は書くのか、書かないのか。現在、デジタル教科書は教材として販売されていますが、多分2年後、新学習指導要領に準拠したデジタル教科書が・・・・・・デジタル教科書」として出てきます。それらも、恐らくいろいろと機能が違うと思います。
 そういったことを踏まえてガイドラインでどこまで書くかということを私も分かっていなくて、確認しておければと・・・・・・。
【堀田座長】 事務局、どうぞ。
【事務局】 まさに今、御指摘いただいたとおりでございまして、例えば、3ページ目以降に、デジタル教科書を情報端末で使用する、他のデジタル教材と一体的に使用する、他のICT機器等と一体的に使用するという形で、現時点で実現が想定される、若しくは、実現している機能については書かせていただいているところです。
 ただ、必ずしもその全てが、あらゆるデジタル教科書に搭載され、使えるようになるものではないという前提の下で書いているものです。今おっしゃっていただいた書き込みもそうですし、先ほど中川オブザーバーから御指摘があったものは、3.(2)(ウ)丸2の、ネットワーク環境を利用して教科書の紙面に書き込んだ内容を共有するといった部分に関係するところでございますので、そういった関係部分はあるけれども、具体的にどこまでが本ガイドラインの対象であるかは、現時点で実現しているもの、実現が想定されるものについて盛り込むことになるのではないかと思っております。
【堀田座長】 難しいところかと思います。
【加藤委員】 すみません。
【堀田座長】 いえいえ。僕も同じ気持ちですから。ですが、この会議でどこまで決定できるかはどうしても限界があります。基本的には、今回のミッションは、デジタル教科書をどのように授業で使えばどのような効果があるかが、現場に伝えるべき、あるいは、教育委員会に伝えるべきメッセージであって、ICT環境も十分に整備するように、いろいろと書きたいですけれども、このガイドラインには留意点として書いてあるという点で、難しさもあるところなのかと思います。
 ですが、委員の僕らはいろんな意見を言って、それを文科省が調整し、この会議体でどこまで書けるかは案としてお持ちいただければと思います。デジタル教科書・デジタル教材と、先ほどのツールやネットワーク、クラウド、そして、ハードウエア、それらを一体的に使用して初めて効果が出るという事実は恐らく変わらないと思うので、どのように書き分けるかというテクニカルな部分は事務局に頑張っていただくところかと。
 ただ、僕らは、事務局の苦労も気遣いながら、できるだけ意見を言っていただくという形で進めていければと思います。
 それでは、黒川委員。
【黒川委員】 まず、骨子案につきましては、先ほど中川オブザーバーからお話がありましたが、一体誰に向けてのガイドラインであるかをクリアにしておく必要があると思います。特に今年度中に発行する予定とお伺いしておりますが、来年度は、新しい教科書の採択があり、それに加えて、デジタル教科書も発行されるという話になるわけです。ですから、デジタル教科書の効果的な活用を目指す自治体や学校に向けてのガイドラインなのか、もっと広く、多くの先生方や保護者に向けてのガイドラインなのか、私としては今の文体だと前者なのかなと思っておりますが、その辺をクリアにしておかないといけない。ただ、先生方であっても、デジタル教科書と漠然と言われても、今のところ、学習者用デジタル教科書を使用している事例は非常に少なく、デジタル教科書を見た方は大変少ないはずですので、両方への説明が必要なのかなと思っています。そのためには、少し定義付けの部分を厚くしておかなければならないかなということと、教育委員会の方や保護者の方が興味を持って読んでも、分かりやすい説明にしたいなと考えています。それには、文字ベースだけでなく、イラストや分かりやすい写真などを取り入れるといった配慮も必要かなと。前回も申しましたけれども、使ってみたいなとか、これは何だろうかとかと思っていただけるガイドラインを少し配慮したいなというわけでございます。
 それから、デジタル教科書は、先ほどから何度も出ているように、単独で成り立つものではありません。しかし、学習環境に関しては、4.(5)その他の留意点に含まれてしまっています。もちろん、これまでも様々なICT環境に関するガイドラインが発行されているものの、デジタル教科書を使うには、最低限はこのような環境が必要であるといった、簡易ではあるけれども分かりやすい図や、目指すべき学習形態などについて、学びのイノベーション事業の実証研究報告書のように、是非お示ししたいと思っている次第です。
 もう一つ続けて。
【堀田座長】 どうぞ。
【黒川委員】 中野委員から特別支援に関して大変貴重な御意見を賜り、これからデジタル教科書を作る側としては、大きな宿題を賜ったと思っております。既に様々な研究をしてきており、また、子供たちのためにできる限りのことをしたいという気持ちで研究を進めているところですが、ただ、今回御提示いただいた内容に関して、2020年、2021年使用の小学校、中学校用のデジタル教科書がどこまでそれを搭載できるかは、全体的なレベルで言うと、不透明であるというのが率直なところでございます。
 宿題とさせていただくところが多いのですが、正直、技術的に対応できないのではなく、多くの時間と手間が掛かるということです。例えば、動画再生時に、手話の画像を表示することは可能なのですが、大変な労力を必要とするなと・・・・・・。また、発行までの時間が限られておりますので、宿題になる部分もあるのではないかと思っております。
 それから、その他の特別支援用の教材との連携に関して、現在デイジー教材などいろいろなものがございますが、それらを含め、子供たちにカスタマイズできることが大事だと思います。そういった支援を複合的に考えるアイデアも示していかなければいけないかなと思っているところです。
 このように、デジタル教科書には、ICT活用的観点と、特別支援的観点の両面があって、重なるところがあるとともに、クロスしないところもあります。この点は、非常に大きな課題であると思っていまして、まずは、リフロー、自動音声再生、総ルビなどの操作性の改善について、各社それぞれで着手していきたいと思っておりますし、宿題になったところについては、更に次の改訂に向けて、できれば、文部科学省との連携の下での実証研究等を行い、課題を見つけて、解決の道を見つけていきたいと思っております。
 デジタル教科書は新しい学習ツールと考えておりますので、やはり今求められる価格の低廉性とか、どのくらい需要があるかという市場の問題とかも併せて考慮していかなければいけないところです。発行者サイドからは、一度にできることは限られているので、中教審でも示されたとおり、段階的、かつ、慎重に進めていくということでやらせていただきたいと思っている次第です。必ず一つずつ解決したいと思っております。
【堀田座長】 ありがとうございました。
 この会議の趣旨が第1回会議の資料1に書いてあるのですけれども、これによれば、学校教育法等の一部を改正する法律により、デジタル教科書を使用することが可能になるという制度化に伴って、教育委員会や学校等がデジタル教科書を導入するに当たっての判断に資するよう、デジタル教科書の効果的な活用の在り方や、その導入に当たっての留意点等に関するガイドライン等を作成するための検討会議を開催する、と書いてあるので、デジタル教科書の開発についてはこの会議の直接的なミッションではないというわけです。
 ただ、議論している私たちも、調査していただいている三菱総研の皆さんも、ICT機器のどこまでを議論の対象にすればよいか、また、本当にデジタル教科書の範ちゅうだけで議論することができるかを念頭に、デジタル教科書の活用に重点を置きつつも、その周辺もフォローアップできるようにするほかないかと思っています。
 あと、中教審でも議論になりましたけれども、段階的に、というのは、慌てなくてもよいという意味ではなく、制度改正を伴う以上、一つずつやっていくが、併せて市場が働くことも前提に進めていくしかないという意味であったかと思います。教科書会社が最も御苦労されているところかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いします。
 というわけで、もう少し、このガイドライン骨子案について御意見を頂ければと思うのですけれども、いかがでしょうか。では、中野委員。
【中野委員】 特別支援の話に言及していただき、ありがとうございました。黒川さんがおっしゃったとおり、資料4-6は、今後の課題も含めて書かせていただいていますので、今、各教科書発行者が対応しなければならないというわけではありません。その点は誤解のないようにお願いしたいと思います。
 むしろ、今、各教科書発行者は、デジタル教科書に関して、制作前に特別支援教育の専門家の意見を聞いてくださっています。紙の教科書はアクセス可能にするためにものすごく長い時間が掛かったのですが、デジタル教科書は最初から制作者が専門家と議論しているので、その点で非常に画期的な取組が行われていると理解しています。
 そういう点から考えると、1.の、ガイドラインの趣旨に、「障害のある児童生徒たちへのアクセシビリティを最初から考慮することで、インクルーシブ教育を推進するという役割をデジタル教科書は果たすのだ」ということをもう少し強く書いていただいてもよいかなと思います。今の、各教科者発行者の取組は十分にそれに値するかなと理解しています。
 それから、6ページ目の、障害のある児童生徒等の学習上の困難の低減について、前回も少し議論させていただいたとおり、「アクセシビリティ」と表記した方がよいのではないかと思います。確かに、「学習上の困難の低減」に資することになるのですが、「アクセシビリティ」という言葉でもよいか、再度検討していただければと思います。あと、二つ目の丸に、「障害のある児童生徒等のニーズを適切に把握することが重要」と書いてあるのですが、障害者差別解消法の趣旨にのっとると、「障害のある児童生徒等のニーズに適切に対応することが重要」となるかと思いますので、修正を御検討いただければと思います。
 最後に、7ページ目の、(4)丸2に、「引き続き、音声教材等の教科用特定図書等の活用も検討すること。」と書いてあるのですが、前回整理していただいたとおり、音声教材等はデジタル教科書に含まれないということなのですよね。ただ、デジタル教科書だけでは十分なアクセシビリティが確保されていない可能性があるため、特別支援教育においてデジタル教科書が効果的であることが分かっていても、デジタル教科書だけでは不十分な場合があり得ます。他方、音声教材等は、紙の教科書の内容を全て収録しているとは限らないため、デジタル教科書と音声教材等は、お互いに相補いながら使っていくべきと理解していますが・・・・・・。そうであれば、前回もお願いしたとおり、音声教材やPDF版拡大図書もデジタル教科書に含んでほしいなと思うのですが、音声教材やPDF版拡大図書のみを使用することが、この度の改正により可能かどうかは、この文章だけでは少し分かりにくいかなと思うのですね。と言いますのは、2ページ目にある表の、「その他補助教材」に音声教材等が含まれると、それらはデジタル教科書そのものではないので、当然ながら、特別支援教育の中で、紙の教科書に代えて使用することはできないという理解になってしまいかねないかなと思っていまして・・・・・・。ただ、特別支援教育の実情から言うと、学習者用デジタル教科書及び音声教材やPDF版拡大図書などを紙の教科書に代えて使用することができるという形になる方が望ましいかなと思うのですが、その点に関してはいかがでしょうか。
【事務局】  御意見いただき、ありがとうございます。
 文言の修正等については、頂いた御意見を検討させていただきたいと思います。
 そして、最後の点でございますけれども、どういったものがデジタル教科書に該当するかについては、今後、その省令等の検討の中で定義がなされていくものでございますので、その結果をこのガイドラインにも正確に書き写すという形になるかと思います。
 以上でございます。
【中野委員】 ありがとうございます。
【堀田座長】 また中野委員のお力をお借りするのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 そのほか、ガイドラインについて御意見をお願いします。では、駒崎委員。
【駒崎委員】  環境整備の面で、もう一点付け加えさせていただきますが、基礎自治体で、学校のネットワークシステムを設計してきた経験から言えば、恐らくデジタル教科書が現場で使われるようになると、同じ時間に40台とか、複数のコンピュータが一斉にネットワークにアクセスする事態が生じます。そうすれば、恐らくページを開くときや保存するときに、かなりネットワークに負荷が掛かることになるので、しっかりと帯域を準備しておかないと、残念な結果になってしまうと思います。教科書発行者側のデジタル教科書作りにも関係するかと思いますが、ネットワーク上で、家庭でも、学校の教室でも使える環境にするのであれば、それなりのデジタル教科書でそれなりのネットワークでなければならないと認識しておかないと、なかなか厳しいかなと・・・・・・。
【堀田座長】 なるほど。
【駒崎委員】 議論を聞いていて感じているところです。
 以上です。
【堀田座長】 今の話は、デジタル教科書が有効に活用されるための整備に関する留意点を少し書ければよいなということですね。
 それでは、佐野委員。
【佐野委員】  先ほど、各教科等における学習者用デジタル教科書等の活用例は、本ガイドラインの別添資料という形になる見通しとのことでございましたけれども、今回、資料を拝見し、発表をお聞きしたところ、育成する資質・能力に言及されている教科から、1授業のうち、ピンポイントでの時間を想定して書かれているものまで、結構様々かなと思いました。もちろん、教科領域の特性もあるので、全てのフォーマットをそろえて、というわけにはいかないかなと思いますけれども、もう少し検討の余地はあるかなと感じたところです。
 それから、もう一つ。今後10年を見通した場合に、例えば、小学校であれば14の重要教科領域があって、その中で、今回は、六つの教科等におけるデジタル教科書等の活用例を例示するという形にしかならないということだとは思うのですけれども、それは、現状を考えると少し不十分かと思う。ただ、でも、今後10年、20年にわたって、例えば図画工作とか、算数とか、音楽とかといったものが市場に出てくる場合を見通しておくことは、現段階では少し難しいなと思いますが・・・・・・。
 感想程度になってしまいましたが、以上です。
【堀田座長】 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。中川座長代理、どうですか。
【中川(一)座長代理】 ありがとうございました。まだこれから検討が必要かと思うのですが、事務局から出されたガイドライン骨子案は、ガイドラインという性質を考えたときに、大筋、バランスよく、配置をしてくださっているなと感じました。
 その上で、今日、便利ばかり出ると意味がないという話があって、全くそのとおりだと思うのですが、一方で、これまでの大事な紙の教科書文化の中で、学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議などにおいて、3クラスに1クラス分程度の学習者用コンピュータの配置を想定することが適当であるという話もあり・・・・・・。
 ただ、まだそれは実現していないタイミングで、このガイドラインが出来上がることを考えますと、これは良い、これは使えるといった部分については、少し重みがあるような形でまとめる必要があるのではないかなと感じました。
 と同時に、新しい学習指導要領の実施が予定されるタイミングですから、例えば、児童生徒の情報活用能力の向上がデジタル教科書の活用とどのように連動するのかとか、今日前半に話題のあった授業スタイルの変化ことが一体どのようなもので、それがどのようにデジタル教科書の活用と結び付くのかといった絵を描いていくこともすごく大事だなと思いますので、その辺も、第3回、第4回の会議で検討を深めたいなと思いました。
 以上です。
【堀田座長】 ありがとうございました。
 多分、毎回、たくさんの傍聴の方々がお越しになっているのも、これによってデジタル教科書の在り方が多少変わってくる部分があって、特に、たくさんの教科書会社の方々がお越しになっているのだと思いますけど、先ほど春田補佐がおっしゃったように、これから省令の中で検討していくようなところもある中で、この段階でガイドラインを示すということの意味は、これから、デジタル教科書を活用して効果的な授業をしてほしいという国の願いがあると・・・・・・。
 なぜこのタイミングなのかと考えると、学校教育法等を改正するほど、新学習指導要領の下での各教科等における見方、考え方を目指して、思考力・判断力・表現力等を身に付けさせるような授業を実現するには、デジタル教科書等があった方がよいのだという強いメッセージが含まれているのだと思います。
 そういったガイドライン、事例集だと考えると、それぞれの教科特性を、各教科で求める資質、能力に還元する形で書くことは大事だろうと思いますし、そういったメッセージがうまく伝わるように、次の素案の段階では、事務局と協力して、このガイドラインの前の部分で今のようなことを書き足しきたいと思います。
 もちろん、いろいろとこのガイドラインで書き切れないこともあるかと思います。ただ、文部科学省クレジットで出すという点で重要なものですから、各課で調整していただくことも含めて、事務局には御苦労をお掛けするかと思いますが、よろしくお願いいたします。
 さて、少し早く始まりましたので、少し早く終われればと思っているのですけれども、どうしても言っておきたいことがあるという方がいらっしゃれば、どうぞ。
【中野委員】 すみません。
【堀田座長】 中野委員、お願いします。
【中野委員】 申し訳ありません。特別支援でいろいろと実践をしていると、学校現場からは、セキュリティに対する不安が非常にたくさん出てきまして、例えば、タブレットをどこかに忘れたらどうなるかとか、データが抜かれることはないかといった不安があります。そういったこともデジタル教科書・教材を活用する際には非常に重要なことの一つになるのかなと思いますし、著作権等の関係で利用制限も当然あるわけでしょうから、セキュリティや権利に関することも、(5)その他の留意点に入ってもよいのかなと思いました。
 以上です。
【堀田座長】 ありがとうございます。
 では、この辺りとしたいと思うのですけれども、今後の予定につきまして、事務局からお願いいたします。
【事務局】 今後の予定でございますけれども、第1回で配らせていただいたスケジュールどおり、第3回を10月から11月、第4回を12月という方向で、日程調整させていただければと存じます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
【堀田座長】 ありがとうございます。
 経験的には、今回は骨子案の形ですので、次回はガイドライン案の形で、皆さんに御意見を言っていただいて、最後の、第4回で、ガイドラインとしてほぼ確定という形になろうかと思います。今日も時間は限られていましたし、この会議体の守備範囲に関する話もあって、御意見を差し控えられたところもあろうかと思いますので、御意見がありましたら、事務局に御連絡いただきまして、是非、たくさんの情報を御提供いただければ幸いと思います。
 それでは、お時間がまいりましたので、会議をお開きとしたいと思います。どうもありがとうございました。


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