免許外教科担任制度の在り方に関する調査研究協力者会議(第4回) 議事録

1.日時

平成30年5月29日(火曜日)

2.場所

一橋講堂会議室201-203

3.議題

  1. 全日本中学校長会の説明
  2. 全国高等学校長協会の説明
  3. 免許外教科担任制度の在り方に関する自由討議
  4. その他

4.議事録

【加治佐座長】
 それでは、どうも皆さんこんにちは。定刻の2時よりは少し早いんですが、予定されている方が全員おそろいですので、始めさせていただきます。ただいまから免許外教科担任制度の在り方に関する調査研究協力者会議(第4回)を開催させていただきます。本日は、御多忙の中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。議事に先立ちまして、新年度になったということがありまして、事務局に人事異動がありましたので、御紹介をお願いいたします。

【柳澤教職員課長】
 失礼いたします。4月から教職員課長になっております柳澤と申します。この3年間は大学振興課というところで教員養成企画室長をやっておりましたので、そこでは国立教員養成大学・学部あるいは教職大学院、さらには附属学校の担当をさせていただいておりましたので、教員関係という意味ではかなり本部署とも近い仕事をさせていただいていたところでございます。その知見も生かしながらうまく進めていけたらなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【長谷教員免許企画室長】
 併せまして、委員の方々の御所属に異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 太田修司委員、御所属は静岡県教育委員会静西教育事務所長に御異動されております。
 それから寺園伸二委員、鹿児島市立伊敷中学校長に御異動されております。
 以上でございます。

【加治佐座長】
 よろしくお願いいたします。
 それでは、配付資料の確認をお願いいたします。

【長谷教員免許企画室長】
 では、配付資料の確認をさせていただきます。配付資料としまして資料1から4がございます。資料1は前回第3回の会議の議事録、資料2が「全日本中学校長会説明資料」、資料3が「全国高等学校長協会説明資料」、資料4が「当会議でこれまでに指摘された点」の資料になっております。
 それから、今日の座席表でございますが、会議場のレイアウトの関係で若干変更がございますが、御了承を頂ければと思います。
 以上、資料にもし過不足がございましたら、事務局の方にお申し出ください。

【加治佐座長】
 それでは、本日の第4回の内容を申し上げます。本日はまず、山本委員から中学校の状況について御発表いただきます。そして、岡本委員から高等学校の状況について御発表いただきます。2つ併せて質疑応答を行いたいと思います。それから最後に、当会議でこれまでに指摘されていた点につきまして、事務局からまとめていただいておりますので、それを説明いただいて討議を行いたいと考えております。
 それでは早速ですけれども、山本委員から20分程度で御発表いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【山本委員】
 山本でございます。異動ではないのですけれども、少し変化がございましたので、まずそれを御報告させていただきます。教育研究部長ということで前回までの会議に参加させていただいておりましたが、先週行われました全日中の総会におきまして、第42代の全日中の会長ということで就任することになりました。このままこの会議は出席させていただきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、右上のところに資料2と書いてあるものをご覧ください。今回、よい機会を頂いたなと思いますのは、1番のところに触れてありますけれども、免外に関する状況は都道府県によって異なっているために、実はこれまで全日中としては、数の集計というのは行っていましたが、意見を取りまとめたということがありませんでした。今回、各地区から寄せられた回答を大きく集約すると、1、免外の解消に向けて積極的に県教育委員会や議会に対して要望書を提出しているという都道府県の校長会、2、特に検討していない、3、今後検討していく、この3点に集約されるということが分かりました。これまでの議論でも明らかなように、講師や免外による対応を必要とするのは教員定数が必要教科の数を下回る場合、あるいは実技教科をはじめとして教員免許保有者が確保できない場合です。また、免外解消のために複数免許の保有者の採用(教科の掛け持ち)や、あるいは複数校への配置(学校の掛け持ち)、これが現在具体的に行われております。行われていますけれども、寄せられた回答の中には、当該教員への負担はどうしても大きいという回答が目立ったということをまず大まかなところで報告をさせていただきます。
 2番以降は少し具体的になりますが、免外を出している場合の事例あるいはそれに対する支援策ということで、たくさん寄せられましたが、同様の意見も多かったので、幾つかに集約させていただきました。
 まず、免外を出している場合の事例につきまして、小規模校が地区内に多くて、その地区内全校で免外を有するケースや、1校で二、三教科の免外担任も珍しくないというようなところがあるというところ。それから全県で家庭科が97名、美術が80名、技術60名の免外は全国的にも上位に位置するというふうに認識をしていて、課題とされているところ。政令市を除く県下135校のうち116名の免外がいて、特に今、技術、家庭が多いということで、これまでの議論の中でも報告されている傾向性と比較して似たようなところがあります。さらに、220校中137校で免外が発生しているところや、美術が45名、技術が77名、家庭が90名、また、免外解消のための非常勤講師を67校に配置していて、音楽33名、美術36名、技術7名、家庭科29名といった状況のところがございます。
 それから、6学級以下の学校には、この県の場合には家庭科の配置が原則としてないため、複数免許保有者や特別支援学級担任に家庭科免許保有者を当てるなどして、対応している学校もあります。こうした対応ができないところでは、免外で全学級を担当したり、学年を分けて校内で二、三人で一つの教科を担当したりしながら授業に当たっているという実態があります。その他について、29年度は337件の免外が発生しているところ、これは政令市を含んでいるものです。教員数の約6パーセントに当たっているということです。それから、技術、家庭、美術の免許保有者が少なくて免外は技術120件、家庭70件、美術63件など合計330件に上っているということでございます。
 免外を受けているという実態はあるのですけれども、その許可を受けた者への支援策としてはいかがですかという問いに対して、県が3日間の研修を実施している。あるいは初めて免外となる教員に対して県が研修を実施している。教材研究の時間確保のため、校務分掌を軽減したり授業時数を軽減したりしている。年間計画や参考資料を他校と共有したり、定期テスト作成に係る配慮を行ったりしているということで、少しでも負担が軽減されるようにという工夫もあります。次に、担任を持たないことや持ち時数の調整を行っています。また、専門科教員からの助言やサポートを行っています。どうしても専門性というところで中学校教員の場合には不安を抱えている者もいることから、こうした助言やサポートも有効で部活動の軽減を行っているところもあります。中には、少し涙ぐましいのですが、配慮や支援策は特にありません、教頭が対応している例が多いですよというような実態が浮かび上がっているところもあります。
 3番のところで、免外解消に向けて考えられる工夫等ということで、かなりラフに書いてきてくださっていますが、これも全部を取り上げるのではなくて、幾つか項目に集約したというふうにお考えいただければいいかなと思います。1、教員定数増が現場としては第一です、適正な教員配置や加配としての配置が求められています。2、小規模校における定数の改善というものも必要ではないでしょうか。3、定数外の加配措置による実技教科の複数校兼務についても、先ほど学校の掛け持ちということで申し上げましたが、そういう人事配置というのも考えられます。4、複数校兼務しか解消策はないが、居場所感(所属意識)で問題が生じる可能性がある。これは幾つか掛け持つのはいいのだけれども、その教員の帰属意識、所属意識といったものでどうしても問題が生じる、心配ですと。5、免許更新の際にほかの免許を簡易的に取得できるようにする。ここの部分のハードルがちょっと高いものですから、せっかくの免許更新の機会なので、もう少し取得しやすくしたらという、計画的に免許取得という意味合いだと思います。
 裏面です。6、小規模校で必要な学校には1日4時間、週2日勤務の非常勤講師を配置する。7、少し大胆に、教科免許の統合といった方策も検討する余地がある。例えば、技術と家庭科を現在分けていますけれども、これを一緒に実施する教科免許取得のための方法の改正や、8、音楽、美術、技術・家庭を芸術として教えるなど、免許法等の変更も考えられる。9、センター校を設けて複数校を担当する方法もあるが、時間割の編成の難しさ、教員の負担などの課題はどうしても残ります。10、教科等を配慮し、定数の改善や弾力化を考えてもよいのではないか。11、前回の話題かと思いますが、大学との連携による複数免許の取得促進、また、現職中に免許が取得できるような体制整備というのもあるでしょうと。12、採用計画の段階で十分に需給を精査し、教員の必要数を確保するという指摘。13番、小中一貫校や併設校において、小の免許保有者が中の授業を担当している事例もある、これは実際にあるかと思います。それから14、サテライト授業の実施も一つ有効な手段ですよと。15、退職者等が十分活用されていないのじゃないか、マンパワーとして時間勤務で再雇用するというやり方も有効ではないかというような現場の声です。
 (2)のところに、免外解消が難しいと思われる事例が列挙されています。まず1が、6学級以下の学校では物理的に、定数的に全教科の配置がどうしても難しいという現状。2、教科の標準時数において実技教科の時数がそもそも減少している。また、学力向上の声に押されてテスト・調査対象の教科の配置を望む声が現場にある。つまり、足りないというふうになったときにどこを優先されているかというと、どうしても国・数・英だったり、あるいは理社だったりというふうに優先される、あるいは望む声が現場にあって、このような状況が生まれていますという指摘。3、地方においては教員採用数が少なく、免許取得者が減少傾向にある。特に採用数の少ない音楽、美術、家庭においてその傾向が顕著である。毎年ほんの数名程度の採用しかないという現状。4、学級数によって教員定数が決まっているために解消が難しい。5、技術、家庭の免許保有者の絶対数が不足している。これはしばしば指摘されているところでございます。6、山間部等では学校間の距離が遠くて複数配置が難しい。実際に掛け持ちするにしても通うことが非常に困難という事例。7、複数配置の際に、曜日、時間割の調整が必要。しかし、自治体をまたぐことが難しいために配置校が限られてしまうといったこともあります。8、兼任、兼務者の負担が大きい。9、本務校への影響、高齢化に伴う人材不足が課題。10、県の予算も限られており、採用人数の総数、教科担任の人数が限られてくるため、解消は難しい。現状を受け入れるしかないというようなところです。11、国からの免外解消のための予算措置がない中、県が定数を崩して講師を増員すると、他への影響が大きくなることを懸念。全日中の副会長クラスからの回答が多かったものですから、予算等についても、ただ増やせというだけではなくて、いろいろと気になる部分もありますと。12、離島や僻地では定数の関係で複数教科を担当せざるを得ない状況だが、臨時免許を取得させていて、免許なしの割合は実は少ない。13、特に技術の絶対数が不足している。また、県内で技術の免許を取得できる大学が限られているため、採用試験の際、確保が困難。臨時講師も不足しているということでございます。
 この技術の部分については、後ろの方に資料を付けていますが、後で少し触れたいと思います。
 ここまでで少し補足をすると、全日中としては、もっと悲鳴を上げているのかなとこの調査を掛ける前は思っていたのですが、生徒たちのことを考えれば少々無理をしてでも教科を設定しなければいけないという現状が各学校にはあります。何とか対応しているけれども、いろいろな課題については気が付いてはいるけれども、なかなか解消が難しい。決して後ろ向きではなくて、前向きにこのことについては対応しているなというふうに感じた部分がございますので、ちょっと補足として紹介しておきたいと思います。
 4、免外決定までのプロセスについては、多分時期であるとか方法であるとか、道府県によって異なる部分があると思い、知り合いの校長に伺いましたので、一例として参考になさっていただければと存じます。4番の(1)、免外決定までのプロセスとしては、校長が教職員の担当時間数、学級担任の有無、部活動の状況を考慮しながら、過去の免許外教科の経験等を把握した上で、面談をして決定をする。許可対象者については、主幹教諭、指導教諭、教諭(教頭が免許外教科の担任をする場合は教諭に兼務発令後)で、免許外は1人2教科まで、許可は年度単位というような形です。
 手続のフローにつきましては、そこに書いてあるとおりです。大体3月の中旬の作業、4月の初旬の作業、それから5月の初旬に至るところの判断、決定のところまで、このような形の流れということでございます。
 後ろに付いている2枚・4ページ分の資料につきましては、先ほど申し上げました、全日本中学校技術・家庭科研究会担当の校長から、こうした会議の機会に御紹介いただければ幸いですということで、資料提供がありました。1枚目につきましては、技術と家庭科の免外の実施状況の数の多さは、やはり他の教科と比べても多いという資料。それから2ページ目になりますと、実際に免許を所持している者と、それから免外を受けて授業をしている者との学校数の割合ということで、全くゼロというふうにカウントしているところもあれば、4対6の割合で免外が多いという道府県もございます。
 3ページ目になりますと、その普通免許所持者の人数、この場合には技術と家庭に限っていますけれども、それと免外の指導者の人数ということで、これも御覧いただくと、実際に免許保有者と免外がどのくらいの割合で実際授業を行っているかというような参考資料でございます。
 最後のところは、冒頭に申し上げた、全日中として毎年こんな形で数の調査は行ってはきたものの、実態についてはこれまで余り分かっていなかったということで、少し反省を含めて出させていただいています。
 一応ここまでが、全日中として免外に関する全国の中学校の状況ということで、やや生々しいところもあるかと思うのですけれども、報告をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。

【加治佐座長】
 ありがとうございました。それでは、質疑応答はまとめて行います。
 では続きまして、岡本委員から、高等学校の状況について20分程度で御発表いただければと思います。よろしくお願いします。

【岡本委員】
 岡本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私は全国高等学校長協会の管理運営研究委員会を担当しております。本日は、学校現場での状況についてお話をさせていただきたいと思います。
 私どもの委員会では、毎年7月、全国に向けて「学校の管理運営に関する現状と課題」というテーマで調査を実施しております。内容といたしましては、人事制度、人材育成、施設整備、管理運営、予算要望という五つです。この調査では今回のテーマである免許外教科担任についての設問はありませんでしたので、このたび東京都における状況について調査をいたしました。
 資料3を御覧いただきたいと思います。ページ数を振っておりませんが、1から5、6まで御覧いただければと思います。なお、5番、6番につきましては、この委員会の第1回で御提示いただいた内容を今回再度配付させていただいております。まず初めに全体的なことですが、5ページ目の教科別の許可件数を御覧いただければと思います。こちらの平成28年度の免許外教科担任の許可件数を教科別に見ますと、高校では情報が1,248件、公民が394件、工業が336件、地理・歴史が242件、福祉が191件となり、職業教科や実技教科、また希少免許教科が多い状況であるというところです。この中で東京都におきましては、情報において免許外の許可の件数はありませんが、情報の採用に当たっては、数学又は理科等の免許保有を受験条件としていることにあります。
 もう一つ、裏面の6ページを御覧いただきたいと思います。こちらの方では免許外教科担任の許可件数としまして、都道府県別でデータが出ております。全体では、平成28年度には、免許外教科担任の許可件数については高校では3,760件となっております。このうち東京都では31件が許可をされており、ここに焦点を合わせて調査をいたしました。その結果、東京都では7校から申請が出ていることが分かり、当該校に調査を依頼したところです。この7校の校種ですが、工業に関する学科、産業科又は科学技術科及び総合学科の高校です。それぞれ特色のある科目を設置しているところです。質問項目については6点ございます。1点目は免許外教科担任を実施している教科は何か、2点目として教科申請の理由について、3点目は免許外教科担任の課題はあるか、4点目として許可を受けた教員への管理職からの支援、5点目は解消に向けて考えられること、6点目は解消が難しいと思われる事例、最後にその他の質問をしております。
 それでは、具体的な内容につきましては1ページ目から御覧いただきたいと思っております。それぞれ質問に対して回答が丸1から丸7となっており、それぞれ高校ごとの番号という形で付けております。まず、丸1の高校につきましては工業に関する学科の回答です。丸2の高校につきましては産業科についての回答です。丸3、丸4の高校については科学技術科に関する回答、丸5、丸6の高校が工業に関する学科、最後丸7の高校が総合学科で、質問に対して丸1から丸7は同じ高校の回答に対応という形で御覧いただければと思います。
 質問の1点目ですが、免許外教科担任を実施している教科は何ですかという問いで、丸1から丸3については工業で、具体的には丸1、丸2はデザインという形で授業を担当、そして丸3、丸4については農業という形で実施しています。そして丸5、丸7がデザインということで、こちらにつきましてはデザイン又は農業という形での教科を実施しています。具体的には、丸3、丸4の科学技術科ですが、こちらでは、丸4のところに、農業系の教員が工業の科目を担当しているということで、後の2番のところでも御説明しますが、バイオテクノロジー関係のことを工業の免許がなく農業の方がやっているという形で許可申請を出しているということです。また、丸6の高校では科が多くあり、それぞれ専門的な内容がある高校です。アートクラフトであるとかマシンクラフト、インテリア、グラフィックアーツ、デザイン、それぞれが同じ工業の中でも特色のある科目があることで免許外の申請をしているという状況です。
 設問の2番について、許可申請の理由で、定数内では全教科の免許を持った教員が配置できないというのが丸1、丸5、丸6です。具体的には、定数がありますので、その中で工業科目という形でデザインをやるわけですが、そういった教員が足りないことで出している。その他では、先ほど話しましたデザイン又は農業で、それぞれの高校の特徴ある科目を教えるための教員がいないということで許可申請を出しているということです。そして、具体的に何が課題であるかというところでは、特になしというところが多いですが、丸2を見ていただきますと、デザイン分野の授業においては、工業の中でも特に美術や工芸に特化しており、東京都では指導できる教員が非常に少ないということで、免許外担任に頼らざるを得ないという回答がありました。こういったところが免許外担任の実際に許可を得るところの課題ということになっております。
 裏面を御覧ください。丸6のところ、こちらの方も美術、工芸免許所有者が工業科目を担当するということで、負担が大きくなっているというのが課題として挙がっています。そして4番目のところですが、免許外の担任許可を受けた教員への管理職からの支援ですが、特になしという高校が多い中で、例えば丸2であれば、授業観察で、毎学期、管理職が授業を観察しており、その中で指導・育成をしているとか、また、丸5の高校では、担当科目に配慮したり、研修等の実施、そして丸7では、具体的に支援という形ではないのですが、人事的な支援で、具体的な異動作業では残留申請というような人的な支援をしているところです。
 次に大きな項目としては5番のところになりますが、免許外教科担任の解消に向けて考えられることは何かです。まず、丸1の高校では、工業の中でデザイン系の採用をしてほしいというところが一つです。また、丸2の高校では、専門的な指導を行う必要があって、この免外が解消されては困るという切実な願いというところです。丸3については、領域が非常に多い学校にとっては、工業高校ではあるけれども、バイオテクノロジーといったところは工業科の教員では教えることができないということで、農業科の教員が担当しており、解消ができない。丸4も同じタイプの高校ですが、解消は想定外である。また、丸5の高校におきましては、専門教科を持っている人を採用してほしい。特に美術、工芸の免許を持って工業の免許を取得すること、これは複数免許になるかと思いますが、そういったことが考えられる。また、デザインや美術のスキルを持った教員の工業の免許の取得というところも一つの案として出ております。また、丸6の高校では、多様な科がある学校ですが、工芸作品の制作を学習するに当たっては、どうしてもその指導を行わなくてはいけない。定数を全て工業の免許の所有者で占めてしまうと、生徒にとって非常に不利になってしまう、必要な知識や技術を得るのが困難になってしまうということで、もし免許外教科担任を解消するのであれば、教員定数そのものを見直してほしい、また、このような高校は他県でもあるということですが、数校しかないという存在の中で、特殊な工業系の高校に見合った教員定数の特例を作ってほしいというお話もありました。
 そして逆に、これだけは解消が難しいと思われる事例として、丸6のところです。丸1の学校では、教職課程で工業・デザインを専門とする学科が少ないのではないかということ。また、東京では工業(工芸系)の新規採用を行っていない、これが難しい。また、丸3、丸4では、農業関係ですが、バイオテクノロジーを工業科の教員に担当させるのは困難であるということで解消は難しい。そして丸5の高校では、経験であるとか担当する条件を持つ人材が少ない。また、免許を取得する機会がないというところも挙げられています。次のページですが、丸6の高校では、工芸の科目を置いており非常に専門的な指導が必要であるということ。アートクラフト科では、彫金であるとかいろいろ伝統技法を利用した授業なども行っている。そういったところでは一般的な工業の免許だけではなく、それぞれに適した教員の採用が必要であり、要望としてあるところです。また、特別な専門性を持った高校には専門的な教員が配置されることが必要であるというところ、また、そういった生徒たちを伸ばしていく必要があるために不可欠であるというところがございます。
 その他の意見としては、やはり工業の方に傾いているところなのですが、ものづくりを支える工業教育では、いろいろな科目がある中で、極めて特徴的な特色のある科目の担当においては免許外に頼らざるを得ないという面もあります。こういった内容が東京都の高校現場からは集計することができたところです。
 具体的な調査の中でまとめますと、専門性が高いほどそれに見合った教員配置が必要であるということ。特に東京都では、各学校の特色化を出すということで、時代のニーズに合った科目配置により、免許外教科担任の制度は必要であるかというところです。また逆に、専門外の教員が授業を行っていることに対する教育の質、負担感というのは、確かにあるということ、こういったところでは解消が大切であると思います。それには、遠隔授業であるとか研修、複数免許の促進が必要であるかと思います。こういった中で具体的に免外をどのようにしていくかですが、東京都のような状況もある中で、基準をきちんと示すことが必要ではないかというところでまとめをさせていただきました。
 以上でございます。

【加治佐座長】
 どうもありがとうございました。それでは、お二人の御発表につきまして質疑応答を行いたいと思います。御質問等ある方は、挙手若しくはネームプレートを立ててください。いかがでしょうか。
 はいどうぞ、木村さん。

【木村委員】
 質問にはならないかもしれないんですけれども、山本委員さんのお話を聞いて、幾らか新しく教えていただいたことを含めてちょっとお話させていただきたいんですが、学校が思っていたよりもそんなに悲鳴を上げていないという話がありました。例えばの話なんですけれども、本県でいいますと、本県は6学級以下が大体60パーセントを占めます。だから、学校ごとの教員自体が少ないです。なおかつ、例えば10人の先生を自分の学校に配置するとすれば、どの教科を配置するかは校長が決めます。そのときに、教科で時数のバランスが違いますので、例えば数学とか英語に力を入れたいと思い、そこを2人にすればおのずとどこかが免外の対象となるということになります。
 もう一つは、例えば教員定数と、プラス加配というのがあるんですね。加配が学力向上とかに目的があるとすれば、当然のことながら、国語とか数学とか英語という先生が求められてくる、こういう構造的なものがあります。となりますと、校長先生はどういうことをするかというと、時数の少ない、今日話題になった技術とか家庭科を空けておいて、国語とか数学を増やす。ここで、本県の場合、一番現場の校長が望むのは、免許外指導を解消する免許を持った者を非常勤に充ててほしいということです。ところが、本県の場合は、免許外発生全体を100パーセントとすると、免外解消非常勤が充てられるのは約50パーセント。残りの50パーセントが充てられない。そこで、その中の15パーセントが兼務で対応をして、35パーセントが免外指導となっています。ところが、今お話しされたように、それは校長自体は経営で一定意図的に考えているところもあるので、やっぱり切実な問題になっていないのかもしれない。そういう現状を踏まえ免外指導の問題を経営の視点から見るのか、それともそもそもこの免外という状況を改善するといいましょうか、どっちにシフトを置くのかというのは一つ思いました。
 もう一つは、例えば、これは他県は違うのかもしれませんが、数学に体育の先生が入って2人で1教室を見れば免外にはならないんです。ところが二つの教室にしてしまうと、片一方は免外が発生するという状況になっている。このあたりも、もしも授業の主担当の先生が指導案を書いたとした状況で教室を分けたとすれば、それは一つのティームティーチングで考えるとか、つまり、免外の意味自体も考える必要がある。
 併せて言えば、教職員の定数が難しいという話があったんですけれども、中学校はそのような状況ですから、総枠の100人を採用するというのは比較的明確なんですが、そのうちどの教科を何人採るかというのは、どうしても、さっき言った加配等の状況とかという実績が後に付いてきますので、連鎖的に技術とか家庭科の先生が、結局定数とは違って必要じゃないというような状況が、何とか学校もしなければならないので生まれてくる。こんなところもきちっと変えていかないと、免外そのものが変わっていかない。ですが、どこに改めて比重と申しましょうか視点を当ててこの問題を考えていくかというのを教えていただいたということで、質問にはならないんですけれども、そんなことを今思った次第でありました。

【加治佐座長】
 なるほど。免外の仕組みを改善する、これは一つの狙いですよね。それで質向上を図る、あるいは配置が容易になるようにするということですよね。それを外的条件とすると、それに対してやっぱり学校の中ではいろいろな工夫をしているし、また、工夫の余地がいろいろあり得るというお話ですよね。それによって免外の活用法や、あるいは教員の負担といいますか、場合によっては教育効果もそうかもしれませんが、そういうものが非常に影響を受けるということですよね。ただ、その後の部分にまでわたってガイドラインで示していくのかどうかということになるんだろうということですよね。まあなるほどなという感じはしますね。ある意味、校長の経営力量の問題もあるかもしれないですね。ただ、そのときに、何でもかんでもやればいいというものじゃないですからね、何らかのやはりガイドラインで校長がいろいろ創意工夫する際の在り方みたいなものを書くとか、そういうこともあり得るのかなということじゃないかと思うんですけどね。非常に参考になりました。
 何か、よろしいですか。

【山本委員】
 御指摘いただいたとおりだと思います。私もてっきりこの調査を掛ける前、ここに至るところまでの議論を伺っていたものですから、調査を掛けたら悲鳴が上がるんじゃないかと思ったのですが、先ほど申し上げたように、現場ってまずは生徒たちへの教育ありきなんですね。現状の定数をはじめとするところのルール、枠組みの中でというか、それが決まっている以上、あとは現場で工夫するしかないという、いってみれば気概のようなものも感じるような道府県もあったなというふうに思っています。だから、もしそこに支援策として入れるのであるならば、今日資料として出させていただきましたけれども、配置の仕方とか、定数とか、あるいは何かのルールを変更するなりといったところがあれば、それぞれの現場というのはかなりやりやすくはなるのかなと思いました。現状に満足しているという意味ではなくて、みんな困ってはいるんだけれども、このルールの枠の中で何とか努力しているという、そういう現状が浮かび上がりましたというふうにとっていただければありがたいかなと思います。

【加治佐座長】
 分かりました。それでは村上委員、どうぞ。

【村上委員】
 今のやりとりの流れでいきますと、例えば北海道なんかも現実的に免外が多いので、その多い中でどうやってやっていくかとなると、先生方もむしろやらざるを得ないという気持ちが強いものですから、周りを見て、あ、私がやらなきゃならないかなといったところからスタートしているというか、学校が成り立っているのが現状かなと思っています。
 それで、質問の方なんですけれども、山本先生の2番の(2)の免外許可を受けた方への支援策のところで、もし把握していたら教えていただきたいんですが、北海道は現状でいうと、丸7の特に制度的な支援策というのがなくて、教頭先生が知っている専門の先生を頼って、例えば教材がこんなのを使っているよとか、プリントこんなの使っているよというのを情報提供するというのがせいぜい支援しているといったような現状にあります。それで、丸1の研修の実施というところですが、まずこういう研修を行っている県というのが割と多いものなのかということと、これは校内研修ではなくて恐らく集合研修のことかなと思うんですけれども、そういうものをどういった形でやっているのかとか、それをちょっと情報がありましたら教えていただきたいと思います。

【山本委員】
 免外許可を受けたというか与えた場合の支援策として、全県で集めて研修していますよというのは結構多くありました。免外の許可を出しているところの半分ぐらいがこうした対応を行っています。ただ、毎年行っているのか、初めて免外となる方に対して行っているのかというところで少し温度差というか、方法に違いがあるというふうに思っています。恐らく、県が許可しているということで、許可した以上は何らかの支援を行わなければいけない、その支援策としての研修という意味合いで、これを実施しているところはかなり多かったということになります。中身については、県内の指導的な立場にある方、あるいはその教科のエキスパートの方が講師になられたり、校長でその当該の教科の方が講師になったり、主としてはその教科の専門性を高めるというところに重点を置いて研修を行っているようでございます。
 以上です。

【村上委員】
 ありがとうございます。

【加治佐座長】
 ちょっとお待ちくださいね。長谷室長、何か全国的には、この免外担当者に対して研修を行っているという、何かデータはありましたかね。

【長谷教員免許企画室長】
 いや、今私もその観点で第1回目で御報告をしたアンケート調査を調べたんですが、その中には研修の項目はございませんでしたので、全国的な状況はまだ押さえていないところです。

【加治佐座長】
 はい、分かりました。では、どうぞ。

【寺園委員】
 鹿児島県は5月に毎年、総合教育センターで行います。離島が多いので、必ず泊を伴って出てきてもらわざるを得ない状況で例えば美術でいえば今回は十数名いたと思います。講座の中では、県の指導主事の学習指導要領等についての説明とは別に、私の学校、伊敷中のような学校から教員が行って実技の研修をする。主に実技教科が多いので、実技の研修の方が実際は喜ばれるという状況で、毎年行っています。そして、初めて免許外教科を担当するという者については全部声を掛けて行うというスタイルでやっています。
 それから先ほどの木村先生と山本先生が話題にされた、現状についてなんですけれども、もうお二人がおっしゃったとおりで、本県においても免外はどうしても必要なので、その中での工夫はいっぱいしてきています。たとえば免外解消の非常勤を探すというようなことをして許可の件数を非常に減らしてきています。だけど、もうある程度限界に来ていると、そういう意味では悲鳴を上げているという状況かなと。つまり、与えられた中での工夫というのは精いっぱいやってきました。だけれども、もう限界に近いので、この後は学校現場で工夫ができるのを越えた、何らかの手だてをどこかの段階でしていただければありがたいと考えております。
 以上です。

【加治佐座長】
 なるほど。じゃあ、富所さん、どうぞ。

【富所委員】
 どうもありがとうございました。ちょっと素朴な疑問なのですが、今年度こういうニュースがありました。島根と広島でしたか、今年4月から公立校で英語などの先生が確保できず、授業ができない学校があるということでした。近年、第二次ベビーブーム世代に対応するために大量採用した先生たちが退職期を迎えまして、若い先生たちが増えていると言われていて、それに伴って産休などで急きょ休みを取る先生なども増えていると言われます。その場合、先ほどの山本委員の報告にもあったように、免外の決定のプロセスや、どの教科に誰を配置するかというのは校長先生の裁量ということでしたが、教育委員会の支援とか広域的な調整はないのでしょうか。また、できないとすればどうしてそういうことができないのかお尋ねしたいと思います。もう一つ、免外を廃止・縮小するという方向になった場合、先ほど言ったような、先生が確保できないから授業ができず、影響が子供たちに及んでしまうという懸念はないのかという点も気になります。その二つについてお願いいたします。

【山本委員】
 全日中がというよりは、現場にいてその課題というのは毎年毎年突き付けられているようなところがあります。御存じのように小学校の英語科が始まるということもあって、非常に人材としては、枯渇しているのが現状です。どういうふうに対応しているかというと、裏面の丸15の話、現在本校で英語の時間を満たすための講師が足りないものですから、特任講師ということで67歳の方にお手伝いいただいています。本当でしたら、名簿登載の講師の資格はもう既に失ってしまっていますが、副校長、教頭が一生懸命つてを探して何とか引き留めてやっていただいているというような、そういう現実的な対応をしているところもあります。免許保有者がどんどん高齢化していく中で、ここの部分をもう少し計画的にやると、免許保有者がどんどん高齢化していく中で、まだまだできる、やりたいという方もいるんじゃないかなというふうに思っているところもあります。少し答えがずれるかもしれませんけれども、そういう現場対応を行っているということです。

【加治佐座長】
 分かりました。その退職者を活用することが、特に突然の事情があって教科の担当者がいないというときには有効であるというふうなお話ですよね。もう一つの、これはいかがですか、学校長が裁量でやっているということですけれども、何かそこに教育委員会が支援するとか何か。

【寺園委員】
 よろしいですか。システム的には、中学校の校長が人を探すということはしません。県費負担教職員ですから、定数の管理は県の教育委員会がしておりますので、例えば途中で辞める、若しくは休むとなった場合には、そのことを市町村教育委員会を通じて報告をして、その段階で県教委が人を探してきちっと責任を持って配置をするというシステムになっているので、教育委員会と何も関係がなく学校で独立してやっているというわけではないと思います。
 それから、途中で例えば産休、育休に入って人がいなくなったときに、免許外許可がなければ困らないかということについては、困ります。免許を持った人を非常勤として配置するというのは、通常の人事異動の中ではできていきますけれども、特に6月、教員採用試験の前の時期では、みんな採用試験までは勉強しているので、任用されるのを断るケースが多いので、そのときにはもう最低限学校の中で対応ができる、そういう余地を、カードを残しておかないと済まないと考えれば、免許外許可というのを全くだめとされると、なかなか苦しいのかな、現状ではというふうに思います。

【加治佐座長】
 今のケースですけれども、これはもう一般的というか共通だというふうに考えてよろしいんですかね。だから例えば、人探しは校長がするんじゃなくて、全部教育委員会がやると……。ではどうぞ。

【太田委員】
 よろしいですか。基本的に前年度末までであれば、県の教育委員会が事務所の中で学校長が言った教科の数をうまく広域的に人事をやるんですけれども、今言われたように、やはり年度を越えてからになると、県の教育委員会でなく市町の教育委員会であるとか、又はそこでも枯渇しているものですから、景気も割といい中で、免許を持っている人たちがほかの就職口へ行ってしまっていなくなるときにやはり困るものですから、場合によっては松江や広島は、年度の本当の最終段階ぐらいで急な退職者が出たとかということで補えなくなったのかなというふうに予想はしています。

【加治佐座長】
 ということです。それでよろしいですかね。

【寺園委員】
 分かりました。

【加治佐座長】
 それではいかがでしょうか。はい、松本さん、どうぞ。

【松本委員】
 よろしいですか。埼玉県です。先ほど鹿児島県さんの方から非常に厳しい状況であるというお話がありましたけれども、私ども埼玉県は免外が非常に少ない県なんですけれども、それを出さないためにかなり県教委が苦労はしています。予算措置をしっかりとするという部分では恐らくかなりの負担をしているのではないかなと思っています。先ほど長崎の方からも話があったんですが、8学級、7学級、6学級という小規模がどれくらいの数に上るんだろうかというのをあらかじめ精査しまして予算の上にのせまして、非常勤講師がどれくらい必要なのかと。で、数が分かっても、全部が予算で賄えるわけではありませんから、賄えない部分は兼務をするとか、あるいは複数免許を持っている者を充てることによってカバーをするとか、人事異動だとか、そういったことをやっているんですが、現在はゼロというようなことで中学校なんかは来ているんですけれども、そろそろ限界です。やっぱり人がいない。で、私どもも先ほどの東京都さんの話のように、年齢制限は非常勤は65歳ぐらいまでだったんですが、年齢制限を撤廃しました。もう働ける者は幾つになっても働いてもらおう、元気なうちはどこまでも働いてもらおうというような、そういう年齢制限とかを払う中で、何とかゼロという数をキープしているという状況でございます。

【加治佐座長】
 もう上限はない。

【松本委員】
 はい。年齢制限なしです。

【加治佐座長】
 それはいつからですか。

【松本委員】
 3年ほど前に年齢制限は撤廃いたしました。

【加治佐座長】
 そうですか。もう70過ぎていてもよろしいわけですか。

【松本委員】
 ええ、70過ぎていても非常勤講師の場合は採ります。

【加治佐座長】
 大丈夫ですか、中学生に対して。

【松本委員】
 意外とそこは経験のある先生たちが多いものですから、うまくやってくれていますね。
 それとあと、これは自分自身でもどうなのかなと思うんですが、やっぱり非常勤講師を確保する場合に、採用試験に受かっていない者も使わざるを得ないという、多分他県も同じだと思うんですが、質の低下という部分では心配な部分がございます。それは前の会議でも出てきたんですけれども、校長がどういうふうに考えて先生の教科配当をするんだろうという、かなりその辺までを我々の方も精査をして予算措置をしているんですが、なかなか細かいところまでは行かずに、先ほど教育事務所の所長さんの話もありましたけれども、教育事務所、市町村教委がよく連携をしないと、何とかゼロを続けていくのは難しいなというのが最近の状況でございます。

【加治佐座長】
 分かりました。それでは、川上さん。

【川上委員】
 済みません、遅れて参りました。お話を聞いていて、配置をするとか免許外の運用をするというところで悲鳴が思ったほど上がらないということは、多分、問題のなさというのと一緒かというとそうではないと思うんですね。観察されないとか、データとして上がってこない部分ですよね。授業は回るけれど、例えば子供の学力に影響が出ていますよ、子供の成果の方に影響が出ていますよと。免許外を現場の工夫として配置しているけど、授業の水準が追い付いていないので、人を配置して回す側としてはいいのかもしれないけれども、上がってきた成果を見てみると課題があるというようなケースは考えておかなければいけないところかなと思います。こういう話になると、つい配置して動かすというところで満足いくかどうかに焦点が行ってしまいがちですけれども、授業が埋まりさえすればいいのかという問題というのは、やっぱり一方で考えておかないといけないのかなというようなことを思っています。それから、先ほど出てきた、受かっていない人を充てているという問題ですが、これも教員採用試験の合格者数の決まり方が、受験者の水準だけでは決まらない点に注意が必要ですよね。要は、児童数、生徒数があって、学級数があって、必要な教員数が決まって、その中でおやめになる人が何人かというので新規の採用者数を決める。多分に受験者以外の条件によって採用数というのが左右する中で採用者というのを決めていて、その中でも、ちょっと詳しい話を御存じの方は教えていただければと思うんですけれども、恐らく潰しの利く教科の方を、要はいろんな各学校で必要になりそうな教科の採用数を確保して、希少免許科目は多分必要数よりもバイアスの掛かる形で採用数が少ないと思うんですね。必要コマ数ベースで見たときの人数というよりも、どの学校にも充てやすいからとかという理由で、多分教科の必要コマ数と採っている人数には何らかのアンバランスがあると思うんですけれども、そうやって考えたときに、希少免許科目で採用試験に受かっていない人というのが本当に水準として足りていないのかどうかということですよね。学校単位に配置するという事情のせいで落としてしまっているケースというのも、まああるのかもしれない、分からないですけれども。
 そんなことを思いながらちょっと聞いていたのと、もう一つ言うと、見えない部分の怖さというのが、教員養成系の大学で学生と割と親しくできて話を聞いた中でのことなので、計量的なものでも何でもないんですけれども、割といろんなことをよく考えている学生から順に教職に対して不安を持っているケースというのを見ます。待遇に展望がないだとかというので、こういう状況で自分はこの先教職を何十年も続けていけるんだろうかという不安を口にする学生というのが、こういう人から先生になってもらうとうれしいなという素養のある学生から順番だったりすると、結構先行きの暗さを感じてしまうというかですね。
 まあそれで何を申し上げたいかというと、先ほどの希少教科の件なんかについても、水準として受かっているか、受かっていないかの問題かどうかは分からないというところと、それから人不足、なり手がいないという、人が見つからないという話でいうと、給与水準に当たるようなところをいじるというのはなかなか難しいのかもしれないですけれども、少なくとも安定して雇用されていることの持つ意味というのは大きいと思うんですね。採用者と変わらない水準の人がいろんなところに出入りをして非常勤を幾つも兼ねながら食いつないでいくという中で、もっと安定した雇用があったら、もしかしたらそっちに抜けて行ってしまうかもしれないというふうに考えたときに、各学校に張り付けではないけれども、安定した雇用の中で働けますよということの持つ意味というのは、もうちょっと考えてみてもいいのかなと。まあ何回かお話をしているようなところに落ち着くわけですけど、ちょっとそんなことを思いました。

【加治佐座長】
 要するに、複数校を担当する人を置けということですか。

【川上委員】
 という形で、少なくとも雇用の安定を出してあげるというのは、一つの策として有効なのではないかなということを改めて思いましたという感想です。

【加治佐座長】
 はい。どうぞ。

【松本委員】
 雇用の安定というような部分でちょっとお話をしたいんですが、今、今年度の採用試験の志願がほぼ終わって、倍率がそれぞれの県で出切ったかなという状況だと思うんですけれども、じゃあ技術だとか家庭科だとかそういった技能系の教科をそれぞれの県が採っていないかというと、そうではない、ちゃんと定量的には、例えば10人なら10人、5人なら5人は採っていると。倍率を見ると、まあ3倍とか5倍とか、それもそんなに毎年大きな変化はないというのが私どもの分析しているところです。実際に技能系の科目よりも国語だとか体育だとか社会だとか、こちらの方は高いんですけれども、技能系の科目は大体3倍から5倍ぐらいで安定していると。採る方も安定して採っていますから、それほど受験をする学生の皆さん、あるいは臨時をやっていて受けている皆さんに苦労を掛けている部分はないのかなというふうには思っています。私どもも毎年15から20ぐらいは安定的に採っているんですけれども、やっぱりそれを採っていかないと、この免外は解消しないので、それは県教委としてしっかりと踏まえているところなんですけれども、でも、私どもも子供の数がもう減少傾向になりましたから、これまでのような形では採れないだろうなというふうには思っています。
 以上です。

【加治佐座長】
 県が大きいことと、県の方針でそういうことができているということですよね。必ずしもほかの県がそうではないかもしれませんね。

【寺園委員】
 よろしいですか。鹿児島もやはり技能教科、家庭、技術とか美術、そういうものについては採用が少ないときもゼロにならないようには必ず採っています。どこかに切れ目が出来てしまうといけないので、努力をして採っているんですけれども、先ほど長崎県さんの方がおっしゃったみたいに、校長になって、じゃあ何が欲しい教科かと言えば、やはり技能教科よりも高校入試にある教科であったり、国が少人数指導など施策として加配を付けているもの、そういう教科をやっぱり欲しいと、定数の中で考えるとそうなります。そうすると、先ほどから話題になっているやり方としては学校運営の努力はしていますが、もういっぱいいっぱいかなと思っているそれが変わるためには、国全体の中で、例えばこのままでいけば美術の教員はいなくなるというように、少なくなっているのは現状なので、それについて手だてを打つべきだというふうに考えたとします。それなら、例えば英語とか数学とか、5教科のどれかを加配でと考えるのを、そうではなくて、ほかの家庭とか技術とかそういうものも採ろうと思ったら採れるような何らかの支援というのがなされない限りは今の枠組みが変わらないという状況にあるのかなと。一番の根本はそこにあるのかなという感じがします。

【加治佐座長】
 まあ複数教科を持っていると使いやすいですからね。はい、太田さん、どうぞ。

【太田委員】
 今の鹿児島さんのと同じなんですけれども、結局、今うちも技術、美術それから家庭科は45歳以上の教員で7割なんですよ。途中、年齢の真ん中で教員を切ったとき、そうすると、若い半分のところには3割しかいないと。ですから、今後あと10年、15年したらその3教科の教員がいなくなってしまうという状況です。それがなぜ生まれているのかというと、今言われるように、現場のニーズがそういった教科になかったというところがあるものですから、対策を練ろうということで技術や美術とか家庭科を採ってくれる、中規模校で本来なら1人は要らないんだけれども、採るというところには何らかの非常勤を充てるからというふうなところをやらないと、学校現場は採ってくれないんですよね。ですから、今言われたように、加配がやはり国、数、英といった教科に偏ったように、何らかの方法で技術や家庭科を採るというような方策が加配の中で工夫をされたり提示をされれば、そういったものはやはり増えていくのかなというふうに思います。

【加治佐座長】
 分かりました。いかがでしょうか。どうぞ、木村さん。

【木村委員】
 この免外が話題になっているそもそもの根本は何かということを考えたときに、皆さんがおっしゃっていることが現状であったり、また、現状の中で打破するための課題であったりということなんですが、やはり川上先生がおっしゃった、なぜ免外はいけないのかと言われて一番の答えは、子供にとって不利益になるという一つの仮説が成り立たないと、免外でもいいということになるのか。

【加治佐座長】
 免許状主義ですよ。

【木村委員】
 ですね。ということになるんですよね。ですから、ここはうまく言わないといけないんですけれども、もともと何が一番の課題なのかということになると、免外で教えると、例えば子どもに不利益になるというのが一つあるのか、それとも、免許状主義に反するからだけなのか。ここのところの根本は改めて何なのかなというのを確認をさせていただきたいと今思いました。今自分の中では、やっぱり免外になると不利益が子供に生じる、だからやりくりだけではいけないというような流れなのかなと自分の中では少し思っているんですけれども、それで間違いないんですよね。

【加治佐座長】
 はい。非常に単純に言いますと、やっぱり免許状主義なんですよ。免許が子供に対する教育の質を保証するという大前提に立っています。これが日本の教員養成制度の根幹というか、もう本当に生命線ですので、その大例外が免外ですよね。大例外の一つが免外なわけですよ。だから、免外ははっきり言ってない方がいいわけです。だけど、現実にはそうはいかない。だから、その免外をいかに免許を持っている人と同じように近付けるかというのがここの課題です。単純に言うとそういうことです。だから、それに疑問を持ち出すと、それは分からないですよ、はっきり言って。実際調べてみたら免許を持っている人よりも免許がない、つまり主要教科を担当している優秀な先生がほかの技術系のものを持ったとするじゃないですか、そうすると、こっちの方がうまい可能性がありますよね。しかし、そういうわけにいかないわけでしょう、はっきり言ってね。だから、ある地方ではそういう優秀な先生、さっきの校長の工夫じゃないけれども、そういうふうに考えてやれるところがやったらいいかもしれませんが、ただ、全体として、つまり国としてはちょっとそういうわけにいかないということですね。

【木村委員】
 全く今の考え方に同感なんですよ。例えば免外の先生がとても上手だからそれでいいという話じゃないというところをまず置きたいと。だからここを解消するためにどんなふうにしていくのか。やっぱり運営ではないなという一つの考え方を感じたものですから、済みません、改めて申し訳ございませんでした。

【加治佐座長】
 だから、そういうこともガイドラインに書いていかなきゃいけないと思いますが、小規模化が一層進むわけですよね、小規模化が進むし、教員定数を増やす方が一番いいという意見がたくさん出ていますけれども、まあそのとおりなんですけれども、まあそうはいかないでしょう、はっきり言って。とすると、やっぱり免外は出てこざるを得ないと。ちょっと下手するともっと学校を小規模化すると増える可能性だってありますよね。そこを何とか減らす方向での方策を講じたいということと、免外での教育の質をできるだけ保証していく、この観点だと思うんですよね、改めて言いますと。
 いろんな基に返っての意見で非常によかったかと思いますし、かつ、またいろんな議論、課題が出まして、それでまた一層理解が深まったんじゃないかと思っています。資料3の方で岡本委員から高校の方の東京都の事例が出てきていますけれども、やはり高校で一番出された課題というのは、高等学校の非常に希少教科というか、あるいは最先端の教科で、内容が新しくなっていて、それに見合うような免外教員の確保をするのも難しいんだという御指摘ですよね。これも一つなるほどなという感じはしますですね。
 それでは、これまで4回やりまして、きょうを含めてですけれども、いろんな課題が出てきたと思います。いろんなまた方策も出されてきたんだろうと思います。それを事務局の方でまとめていただいておりますので、資料4の方ですね、こちらを10分ほど説明いただいて、その後でこれについてまた総合的な議論をしていただきたいと思います。それでは、説明の方、よろしくお願いいたします。

【長谷教員免許企画室長】
 資料4を御覧いただきたいと思います。先ほど木村委員からの根本的な御質問もございましたけれども、やはりこの会議は、基本的に免許状主義というのが子供に対する教育の質を確保する制度的な担保として最低限必要であるという前提の下に立ちまして、ただ、例外である免許外教科担任がどういう背景で生じてきたのか。それを解消していくためにどのような取組が可能であるのか。仮にどうしても使わざるを得ない場合について、どのように教育の質を少なくとも向上させていくのかという観点から御議論をこれまで頂いてきたというふうに思います。本日を含めましてこれまで4回の会合を開催させていただきまして、その中で、今申し上げましたような免外が用いられる理由ですとか、各教育委員会での取組、あるいはヒアリングの中で僻地における教育に対応した教員養成ですとか、遠隔授業の実施によって免許外教科担任の授業の質を向上させる取組ですとか、あるいは前回には、教員養成課程において複数免許を取得できるようなカリキュラムということについて御発表がございました。本日は学校現場からの御意見ということで、中学、高校の現状についても承りました。かなりこのように論点が多岐にわたってまいりましたので、実は前々回の会議で既に論点を整理してほしいという御指摘も頂いておりましたので、これまでに御指摘いただいた論点を1枚で整理させていただいたのが、こちらの資料4ということになります。
 まず、免許外教科担任制度が用いられる背景としまして、これは第1回の会議でも事務局から御報告をしました各教育委員会へのアンケート、それからこちらの会議でもお寄せいただきました御意見、御発表の中から見てまいりますと、一つは、一の1のところからですが、所要の免許状を保有する教員の配置上の課題ということで、例えば、小規模校ではそもそも全教科の教員配置が困難な場合があるということ。あるいは、配置される教員数に対して授業時間の持ちこま数が多くなる場合が出てしまうということ。あるいは技術、家庭、高校の情報等の免許状保有者がそもそも相対的に少ないということが挙げられておりました。あるいは、特別な指導を行う場合ということで、特別支援学級における指導、特別支援学級においても教科ごとにその相当の免許状を持った教員が指導することが必要ではありますけれども、1人の教員が複数の教科を指導する場合があるということがございました。あるいは、少人数指導ですとかティームティーチングで使われているような場合、あるいは今日まさに高校の方で御報告がありました専門教科、工業ですとかあるいは水産のような科目について、特別な特徴のある免許状が必要ということで免許外教科担任が用いられているということもございました。
 あるいはその他としまして、非常勤、臨時的任用教員を充てようとしている場合でもなかなか確保が困難な場合があるということですとか、これは文部科学省の過去の指導では抑制的にしてほしいということでお願いをしておりますけれども、やはり持ちこま数ですとか校務分掌などの勤務負担を考慮する必要があるということについてのところもございました。
 こういった現状に対しまして二つの方向性がございまして、一つは、二の免許外教科担任の縮小に向けた対応、それからもう一つが三の免許外教科担任によらざるを得ない場合の支援というところがございました。まずは、免許外教科担任の縮小に向けた対応としまして、1のところからですけれども、教員の採用・配置の適正化というところで、今御指摘ございましたように、教員定数の充実ということ、あるいは計画的な採用・配置を促進していくということ。あるいは、今日も御指摘ございました複数校での兼務を促進できるような仕組み、特に同一市町村内だけではなくて、設置者を越えて行う場合も含めて更に兼務が進むようなやり方についても御提言を頂いておりました。
 それから複数の免許状、希少免許状の取得の促進ということで、養成・採用段階における複数教科の免許取得の促進ということで、大学でのカリキュラムの工夫について前回御発表を頂いておりました。それから、現職教員の他教科の免許状取得の促進ということで、教育委員会の方でも取り組まれている例がございますし、文部科学省の方でも、特に希少免許を中心にしまして免許法認定講習の開設補助ということを予算措置でやっているところでございます。あるいは、そもそもの免許状保有者が少ないいわゆる希少免許状と言われるものにつきまして、これは養成課程自体がそれほど多くはありませんけれども、最低限必要な数は確保できるようにというようなところも御指摘ございました。
 では、その他としまして、これは各県の方で許可の基準を設けて、かなり限定された場合にだけ認めるような厳格な運用をこれまでもしてきていただいているというところ。あるいは、そもそも免外を担当されている方の授業の準備ですとかの時間を確保するために勤務負担を軽減していくといった取組をされているところがございました。
 それから、3番目の免許外教科担任によらざるを得ない場合の支援というところですけれども、これにつきましては、免許外教科を担任する者への研修の実施ということが本日も御指摘ございました。あるいは、ヒアリングの中でもございましたけれども、当該教科の免許を保有する方によって遠隔授業を通じた支援を行うということで、これにつきましては、免許を有する教員が授業を行うこと、あるいは合同授業を行うことによりまして、生徒への指導の向上に資するということのほかにも、この免許を持った教員と一緒に授業をすることで免許外教科の担任をしている教員の指導力の向上にも資するというような御指摘も頂いておったところでございます。
 こちらの資料ですけれども、これから御議論いただくために論点のそれぞれの位置付けが見やすくなるように見取り図を交通整理をさせていただいたところですので、しかも簡潔にまとめましたので、全ての論点を網羅できていないところがあろうかと思います。そうした点も含めまして御指摘を頂ければというふうに思います。
 以上でございます。

【加治佐座長】
 いかがでしょうか。この内容を深めるというか、あるいは違う観点を入れるとか、そういうところのいろんなアイデアといいますか、お考えを是非おっしゃっていただければというふうに思います。はい、どうぞ。

【村上委員】
 よろしいですか。免許外教科担任縮小に向けた対応というのがやっぱり一番大切なのかなというふうに思っているのですが、実際に現場の免許外教科担任をやっている先生のお話なんかを聞くと、教科書を使って座学をやっている部分には、教職としての専門性がありますから、ある程度対応できると。ですけれども、一番不安なのは技能系というか実習ですよね、そこが一番不安なんだという声をお聞きしますので、そういった面では、例えば複数校での兼務といったところで実習の専門性を生かせる教員が複数校を回っていただけるだとか、遠隔授業の中で実習系の方を対応、そういったところで専門性が高い部分を担ってもらうだとか、そういった方法というのが、実質免外の縮小にはストレートにはつながらないかもしれないけど、子供たちの教育の充実といったところでは方向性としてはありなのかなというふうに思います。

【加治佐座長】
 今の複数校兼務の仕組みは、決まっているわけですよね。

【村上委員】
 ええ。

【加治佐座長】
 せいぜい2校ぐらいですかね。

【村上委員】
 そうですね。

【加治佐座長】
 どこかメインの学校の教員がほかの学校を担任するという感じですよね。その仕組みは、中学校の場合ですけれども、市町村をまたがっても構わないということですよね。ただ、川上さんが言うのは、特定の学校で校務分掌を担当するとか、そういうことではなくて、むしろこの希少教科を担当するために置くということですよね。

【川上委員】
 そういう認識です。

【加治佐座長】
 そういう意味ですよね。はい、どうぞ。

【寺園委員】
 今の話でいえば、なので、例えば3校なら3校の中のどこかの学校の定数が1剝がれて、この人をフリーにして三つを回すというのであれば、多分反対すると思うんですね。なので、例えば先ほど言いました加配にはいろんな加配があるんだけれども、その加配の中で兼務をする、そういう加配があれば、できていくことになるかというふうには思うんですけれども。ただ、鹿児島は離島なので、それぞれの島の中に中学校が1校しかなくて、兼務についてはやはり免外解消非常勤の方に希望が多いのが現状ではあるんですけれども、まあそれはちょっと特別な事情がありますので。

【加治佐座長】
 ちょっと離島の場合は置いておいて、加配でそういう教員というのは置けるのか、今の仕組みではそういう加配はないでしょう。

【長谷教員免許企画室長】
 そこは加配の使われ方次第かと思うんですけれども。

【加治佐座長】
 あ、可能なんですか。

【寺園委員】
 ああ、なるほどですね。

【加治佐座長】
 あ、そうですか。だけど、どこかの学校に籍を一応置いてということになりますよね。その上で実質的には回るというか、そういう形。 【長谷教員免許企画室長】
 はい、現状では恐らく各県の方で定数を割り振っていくときにどこかの学校に張り付けていただいているというふうに運用されていると思います。

【加治佐座長】
 現行でもできるということ。ひょっとすると近いようなことをやっているところもあるのかもしれませんね。それでは木村さんからどうぞ。松本さんも。

【木村委員】
 本県の現状を以前もお話しさせていただきましたけれども、23校計28人の先生方に兼務発令を行っています。その内、20人は中・中で、8人は中・高です。併せて、学校間の移動を考えると本土部内とか、一離島の中ということになります。一方、非常勤講師が大変有効なのは、1島1校の学校に対してであり、行ける範囲の中で島間を動いております。もしもそういう非常勤講師が、これは現状ではなかなか難しいと思いますけれども、本務者扱いとして何校かわたっていけるようなことが可能ならば、この免外解消非常勤というのが本務者として、川上先生流で言えば安定したものが打てるということになります。ただ、そうなりますと、授業だけが対象となりますので、例えばその先生のモチベーションなり、教員になろうという意欲なりが、果たして採用というところの中で条件を満たすのかということ。今、非常勤をしている先生方は大体それぐらいの時間、自分の専門の教科だけをというのを選んで、長崎県の場合はしてくださっている人がいるので、そういう人材を、そういう制度にしたとしても、今からの中で採用できるのかというのを思いながら、現状と課題を考えていました。

【加治佐座長】
 まあ、新しい教員像ですよね。

【松本委員】
 今、長崎の木村先生の意見に非常に近いんですけれども、やっぱり技能系の科目の先生もきちっと本採用して採っていかないといけないんだろうと。そして、時数が少ないですから、兼務を掛けて2校なり3校なりできちっとやってもらうと。ただ、兼務を掛けると、本務校で担任ができないとか、あるいは校務分掌ができないとか、あるいは部活動の指導ができないとか、そういった弊害が出てしまうので、そこを何とかうまく加配等の措置ができるといいのかなと思います。私がなぜ本務者を採っておいた方がいいかなというと、やっぱりそれぞれの教科をきちっと指導できる先生をそれぞれの世代に作っていかなければならない。例えば、教育センターとか教育事務所に、あるいは本庁舎の方の教育委員会の方にそれぞれのスペシャリストを段階的に作っていかなければならないわけなので、やっぱり技能系の科目の先生たちを何らかの形で採るような、そういう措置を作っていきたい、そういう方向を模索しなくちゃならないんだろうなと思います。

【加治佐座長】
 いかがでしょうか。じゃあ川上さん。

【川上委員】
 どなたか詳しい方に教えていただければと思ったんですが、今、兼務のお話をいただいている中で、遠隔地の兼務をするというときに非常に煩雑になると。これはまあすごく想像がつくんですが、大学で時々しているような集中講義というのはできるんでしょうか、小・中・高校というのは。

【加治佐座長】
 中・高で?

【川上委員】
 ええ。要は、毎週遠隔で行くのが大変なのであれば、1日で数コマをまとめてやってもらうという形は非現実的なのだろうかという、済みません、思い付きです。

【加治佐座長】
 夏休みとかに?

【山本委員】
 現状の対応としてはあります。例えば年間を通して5期に分けて時間割を変更して教科はいろいろですけれども、音楽を重点的にこの時期はやりますよとか、この期間は技術を重点的にやりますよということは現実対応としてはやっています。ただ、偏った指導というのはまたそれなりのデメリットも生じるので、できるだけ年間を通じて平均的に配置したいというのは各学校の願いです。

【加治佐座長】
 大学は更に変わってきていまして、クオーター制、4学期制なんていって、むしろ1週間に2回ぐらいやった方が効果が上がるというふうにも言われてき出しているんですけどね。どうですか、事務局の方で制度的には。

【長谷教員免許企画室長】
 制度的にも集中講義の形でやるというのは問題ございません。

【加治佐座長】
 中・高とも?

【長谷教員免許企画室長】
 はい、そこも可能にはなってございます。

【加治佐座長】
 そういう裁量もあるということですね、教育委員会や校長には。だけど、一部そういう教育課程もあるということですね。

【木村委員】
 集中講義の期間とか内容がよく分からないんですけども、なかなか難しいなと思うんですが、長崎県でも一部、集中講義というんじゃなくて、合同授業はやっています。それは例えば体育科みたいに免外というよりも種目的なもので、やはり小規模校が多くございますので、指導の内容に合わせて近隣の学校が集まって、一定の期間の中で集団でするような種目をするというのはありますが、ほかには実践はされていません。 【加治佐座長】 ちょっとなかなか難しいかもしれないね。アメリカのスポーツの部というのはシーズン制ですよね。シーズン制みたいなやつを普通の授業、教科でやるというのはちょっとなかなか難しいかもしれないですね。

【川上委員】
 済みません。

【加治佐座長】
 まあ、いろんなアイデアを出さないと、なかなかこの困難な課題は対応できませんので、いろんなアイデアがあっていいと思うんですけどね。

【川上委員】
 ちょっとだけ補足をさせていただくと、引っ掛かっていたのが、最後に挙げていただいていた遠隔授業の件で、レギュラーで遠隔授業をやるのと、二、三週分まとめて行ける先生が行ってどっぷりやるのと、遠隔で御報告いただいたときに、やっぱり細かな対面でないと伝わらないニュアンスみたいなのがなかなか難しいんだというお話がたしかあったやに記憶しているんですけど、それであれば、毎週遠隔でやるぐらいだったら、二、三週分とかをまとめてやってしまって、対面でできる時間をとるというような運用をするというのも、まあ可能性としてはあるのかなというので、ちょっと1点引っ掛かるところがありまして、済みません、ちょっと不規則な発言をさせていただきました。ありがとうございます。

【加治佐座長】
 まあ一つのアイデアとして。なかなか現実を考えると難しいかもしれないですね。あと、いかがでしょうか。この論点についてはいかがでしょう。特に具体的にこういうふうな方向性のことを報告書やガイドラインに書いてくれとか、そういうことでもいいと思うんですけどね。はい、どうぞ。

【太田委員】
 よろしいですか。先ほど兼務の話が出たのですけれども、例えば通級の指導をする場合には兼務というのは、要するに発達障害等を持っているお子さんに対して、この学校で3人指導してこの学校でという場合は、サテライトのようにいろんな学校を回ることに対しては抵抗が無いんですけれども、例えば技術科をそういうふうにやるとなぜ抵抗が出るかというと、学級数等に応じて教職員定数が決まっているので、どこかの1人を取らないといけない、取られたというイメージにやっぱりなってしまうので、それが通級指導教室のように、もうその子供たちのためにというような形で別枠であればやっぱりうまく、その人が日ごとに行ってもどこの学校も納得がいくところがあるものですから、やはりそういった技術や美術や家庭科について、何かそういった訪問者なんだけれども定数の枠とは違うところでということであれば、兼務が非常に掛けやすくなるのかなという思いはします。

【加治佐座長】
 どうぞ。

【寺園委員】
 よろしいですか。先ほどの加配のこと、今おっしゃったとおりで、学校にいれば学校に教職員定数が配置されている、だけれども、学校はそもそも規模によってもともとの基礎定数が幾らで、加配が幾らというようなことなんか誰も意識していない。今もらっているのが何人という意識しかない。なので、極端にいえば、加配は全部一旦引き揚げて、基礎定数だけを一旦置いて、そして加配の項目を白紙にして、その中に例えば免外解消のための加配をつくって、もう一回改めて降りてくるというような状況であれば納得はされると思いますけれども、現状でというのは今委員がおっしゃった状況になると思います。加配というのは国の方針として、これが大切だと思って、定数加配を付けているわけですから。つまり、国の教育の方針を明確に形としたものが加配なんだから、その中に、ほんとうに音楽とか美術とか技能教科の教員がいなくなるという切迫感を感じて、施策として定数を確保する何らかの手立てを打って出る必要はないんでしょうか。定数改善をしてくれといっているというよりは、そういうことを提案しているというふうにとっていただければと思うんですが。

【加治佐座長】
 だから、この問題に対応するには、加配の純増が要るということですね。どうですか、そういう考え方については、何か実現可能性はありますか。なかなか難しいと思うんですが。  今、チーム学校ということが大きな流れとしてありますよね。そのチーム学校を推進するためには、それぞれの先生が本務に専念して、いろんなほかの業務についての専門性の高い人をまた別途入れてという方向ですよね。これは財務省を含めてそれなりに支持されていると思うんですよね。やっぱり先生方が本務に集中して、かつ教育効果を上げるためには、今その部活で忙しいとか、生徒指導で忙しいとか、家庭対応で忙しいとか、その部分はまあそれなりのスタッフは付けて軽減をしましょうという方向ですよね。それだけじゃなくて、やっぱり本務である授業の方も条件が変わってきて小規模化ということになってきて、免外を出さざるを得ないということになってきていて、教育効果が下がっている、少なくとも免許状を持っている人が担当できないという状況なのだったら、やっぱりそこに何らかの対応をしていくのは、これは必然じゃないかということが言えると思うんですよね。だから、場合によっては純増じゃなくても、加配そのものの総数が変わらなくても、そういう名目の加配を新たに付けるとか、そういうことというのはあり得るのですかね。

【長谷教員免許企画室長】
 そうですね、なかなか定数のことは申し上げにくいところがありますけれども、頂いた御意見を中でも検討したいと思います。

【加治佐座長】
 現場からはどうもそういう要望が強いということですので、それはそれで一つ受けとめなきゃいけないのかなとは思いますね。  あと、いかがでしょうか。はい、どうぞ。

【松本委員】
 じゃあちょっとよろしいでしょうか。技能系の教科の先生を確保するというのはなかなか難しくて、非常勤とかだと、1年ぽっきりというと、違う仕事に行っちゃうといなくなっちゃうんですね。ですので、安定して確保ができるというふうに考えると、やっぱりきちっと本務者にする、本採用にする、そこをやっていかないと、教科の安定性といいますか、そこの部分が担保されないんじゃないかなと。それには加配ということでも安定した加配というんですか、もうある程度5年なら5年間とか、そういった単年度の加配ではちょっと不安定過ぎるなという部分もございます。多分皆さんそういうふうに思いませんか、1年ぽっきりの加配だと、もうどうにも、また臨時の数が増えちゃって、これまた安定性を欠くと。ある程度の、できれば定数増置なんですけれども、そちらの方向に近いものをやっていただけるとありがたいというふうに思います。

【加治佐座長】
 それはよく分かりますが。はい。
 あと、いかがでしょう。とにかく免外をたくさん出している教科の人を得るために、やっぱり安定した雇用にする、そのためにはどうしたらいいかということでいろいろ意見が出ているわけですけれども、それはそれでよく分かりますので、一つ加配というのがあり得るのかなと思いますが、ただ、それはそれとして、何かほかの論点についてはいかがですか、ほかの方も含めて。じゃあ木村さん、川上さん、続けて。

【木村委員】
 先ほど少しお話させていただいたんですけれども、免外だという時間の捉えについてです。もちろん、教科の先生が学校の中にいなかったら、明らかに免外ということになるんですが、Aという数学の先生がいたとします。そこで、少し学級をばらして、例えば3つのレベル別にしたときに、1組はA先生がいて、数学の先生は1人しかいませんので、2組と3組には他教科の先生がいる。指導自体はA先生を軸に指導案を作って、やっていくというような授業があったとします。例えばこの2組と3組を免外とみるのか、見ないのか。これを申し上げますのは、長崎県は遠隔もやっております。高校の場合は生徒側に免許を持った教員がいなくても、相手側にいれば、一定制限はあるんですけれども、教科として認められます。中学の場合にはどちら側にも先生がいなければならない。要するに私が言いたいのは、この授業を免外と見るか見ないかという一つの基準あたりももっと柔軟に考えて、つまり、先生がその教室にいるかいないかだけではなくて、授業の形態とかありようというのもこういう中の工夫に入らないものかなという、これは一つの提案と申しましょうか、気付きであります。

【加治佐座長】
 遠隔授業で、今の場合は、3クラスあって、Aクラスには免許を持った先生がちゃんと指導計画を作っていると。その指導計画にのっとってB、Cのクラスで免外の人がやっているという、まあ免許を持っていない人がやっているということですね。

【木村委員】
 そうですね、例えばですね。

【加治佐座長】
 その場合は、免外なのかどうかという。まあ今の場合だったら免外ですよね、当然ね。そのB、Cというのは遠隔でやっているわけ?

【木村委員】
 今のは一つの例を挙げさせていただいただけで、これを今ここでどっちかと聞きたいわけではなくて、授業のスタイルで、免許を持った先生は教室にはいないんだけれども、十分免許の先生の指導の下にやっているというような授業に柔軟に対応するような考え方はできないものかという提案であります。本県の場合は、先ほどのように、例えば1組と2組と3組があって、習熟度又は一つのクラスで分けた場合に、免許をもった先生がいるところだけは免外じゃなくて、その他は免外。ところが、免許をもった先生が他の2人の先生と一緒に合同でみんなで授業するとしますね、90人ぐらい一緒に。そうしたら免外じゃないとしています。

【加治佐座長】
 免外じゃないね。

【木村委員】
 だから、授業の形態に柔軟に対応できるようなところも一つの視点としては入りませんかというような考え方です。

【加治佐座長】
 難しいでしょう。

【長谷教員免許企画室長】
 おっしゃっているのが免外というものを単に形式的に見るのか、指導の実態も含めて実態的に見ていくのかというところだと思うんですけれども、実はそこをクリアに整理したことがまだございませんので、少しそれは我々の方でも、どこを境界にするのかということについては検討させていただきたいと思います。

【加治佐座長】
 ちょっとこれは本質論から離れますが、かつ、極めて大事なんですけれども、もし免外ではないというふうにしていくと、教員数は減りますよ。だって、1人の人が3クラスカバーできるでしょう、それは。だから免外にしなきゃいけない。分かりますか、言っている意味。

【木村委員】
 そういうところを追求したかったわけではなくて、今おっしゃった余りクリアじゃないところが一つクリアにはならないのかなというような素朴な疑問でありますので。

【加治佐座長】
 いや、それでも質保証できるやつはそれでもいいんですけれどもね。

【長谷教員免許企画室長】
 補足させていただきますと、恐らく学級編成の基準というのはそれはそれとしてクリアにありますので、そこは守らないといけないんだろうと思うんです。ですので、1人の先生が見られる子供の数というのはおのずからそちらの方で決まってくると思うんですけれども、またその中で免外というのはどういう状態を指すのかというところは、もう少し整理が必要かなというふうに思いますので、そこは考えさせていただきたいと思います。

【加治佐座長】
 まあまあ一つの視点としてですね。では、村上さん、発言されますか。

【村上委員】
 違う観点なんですけれども。

【加治佐座長】
 はい、どうぞ。

【村上委員】
 いいですか。済みません。免外の縮小に向けた対応で、ここに書いてある、ほかの免許の取得促進といったところで、認定講習のところなんですけれども、是非これを充実していただきたいなというのが思いでございます。大学養成課程で複数の免許の取得というときに、将来的に使うか使わないか分からない、変な言い方なんですけれども、そういった複数免許を取るよりも、ちょっと個人的な思いもありますけれども、同じ複数の免許を取るのであれば特別支援の免許を取った方がより現実的なのかなというふうに思って、そういった時間、意欲というのを考えるのであれば、養成課程のときは特別支援なんかを取ってもらった方がいいのかなと。
 それと、実際に教員になった後であれば、一つの学校に、私どもの北海道であれば6年ぐらいいるわけですから、その中で免外を担当せざるを得ないようなときであれば、認定講習を充実された中で免許を取得してもらうといったことが、同時にその人の研修の支援にもつながるのかなというふうに思っているものですから、認定講習の充実というのもある程度お含みおきいただければなというふうな、要望みたいな話です。

【加治佐座長】
 認定講習については、文科省もいろいろ支援はされているんですよね。

【長谷教員免許企画室長】
 はい、何回か前の会議で御紹介しましたように、予算措置としまして、各県あるいは大学の方で開催される認定講習への補助というものを行っております。

【加治佐座長】
 どうぞ。

【寺園委員】
 1点よろしいですか。ちょっと聞かせてください。うちの県では臨時免許状を取ってもらって、免許外許可ではなくて臨時免許状を取ってもらってする場合があります。臨時免許状を取ったら3年間、本県内だけで担当可能となったときに、臨時免許状を持っている者が、普通免許状を取得するときに、優遇措置というか、その認定講習会で例えばとらないといけない単位が少なくて済むとか、そういうような措置はどの程度あるのかなと、そこをちょっと教えてもらえれば。本県には、かなり臨時免許状を取っている者がいるんですね。それが優遇されれば、せっかくだから普通免許状を取得すればどうかと言いやすくなる。そうすると、教員になってから複数免許を持っている者を増やすことができるんですけれども、そこはいかがですかね。

【長谷教員免許企画室長】
 今、網羅的にはお答えできないんですけれども、少なくとも別表第8の他校種の免許を取る場合、例えば中学校の先生が臨時免許を受けて小学校で教えたような場合に、その勤務年数を勘案して単位数を軽減するというような制度はございます。ですので、考え方としては免許法の中にもそういうものはございます。

【加治佐座長】
 あくまで経験年数が反映されるということですね。臨時免許状そのものというよりも、臨時免許状で教鞭を執った年数が勘案されてくるということですね。だから、直接的にということではないですよね。

【長谷教員免許企画室長】
 そうですね、臨時免許状を持っているというだけではなくて、それによって勤務した年数を1年当たり何単位というふうに置き換える考え方があるということでございます。

【加治佐座長】
 まあ、臨時免許を持っている人は必ず勤務はしますわね。勤務年数作りますからね。

【寺園委員】
 できるだけ優遇の度合いが大きければ普通免許状を取得するということが話しやすいなというのが現状ではあるんですけれども。

【加治佐座長】
 はい、どうぞ、川上さん。

【川上委員】
 ちょっと一回切れた話題で、先ほど来の加配の話なんですけれども。ちょっと一言だけ、加配の問題だけとも限らんなと思ってちょっと聞いておりました。何かというと、人を学校に張り付けますよというルールと、総額裁量制がセットになった結果として、各校ばらばらに非常勤を依頼して勤務時間を確保するという帰結を生んでいるのだろうということです。だから、学校に張り付けますよという基本的なルールが柔軟になると、総額裁量制の範囲内での工夫の余地というのも恐らく出てくるんだろうなということをちょっと1点御指摘申し上げたかったので、ちょっとお時間頂きましたというのが1点と、もう一つは、今ちょっと出ていた現職教員の他教科免許状取得の促進は、本当におっしゃるとおりだなと思って聞いておりました。複数免許を取る学部学生を前に、今、4年生とかだともう一つの免許の方の実習に行こうかというような時期なわけですけれども、やはり使うかどうか分からないとか、間近に迫った採用試験で受験するわけではない方の免許を取りに実習に行くというときに、モチベーションが低いわけではないんですが、まあ不安感の方が強い様子というのはよく見ます。これで取ったとして、さあ採用の都合でこっちでやってくれと言われたときに、果たしてちゃんとできるかどうかについては不安だと。とにかくメインで取った方の免許で採用してもらって、そこを生かしたいつもりでやってきているのでというような心持ちの強さを見ていたのと、ここの会議でもちらっとお話に出てきてはいたんですけれども、やはりそうやって複数免許を取って、じゃあ採用していきなり、じゃあもう一個の免許の方をやってくださいというのもなかなか難しい。最初のうちはそもそも採用された方の免許についてしっかり力を付けてもらうというのが優先していくことになると思います。そうすると、3年、5年たった頃には、二つ目で取った免許の方の即戦力としての意味というのはちょっと衰えている可能性があると。2種目めはそれほどの自信を持たずに取って、1種目めの方をメインで3年、5年しっかり力付けてもらいます、さあ5年たちました、二つ目の免許で声が掛かりましたといったときに、じゃあ何の講習もなしにいきなり複数免許です、やりましょうとはなかなかいかないだろうなと思うと、御勤務されている中で免許数を増やす方がすぐ使える感じにはつながりやすいのかなというのを今ちょっと聞きながら思ったところで、認定講習等々の敷居を下げて、より参加しやすくするというのですか、なので、講習を実施するところに手当てをするのもそうなんですけれども、認定講習に出やすくすることですよね、複数ライセンスを取ろうという状況をちゃんと作っていく工夫というのがもう一つ大切かなと思いました。それともう一つが、これはされている県があるのかどうか分からないんですけれども、複数のライセンスを使われているときに、処遇上のインセンティブというのは働くのかという話ですね。ライセンスを二つ使って仕事をしていたら、1個のライセンスで仕事をしている人よりも高い処遇が来るというのは、資格職であればありそうな話だと思うんですが、そういう話って余り耳に入ってきたことがないなということを思うと、まあそれも複数の免許を取ってそれを生かそうかというインセンティブにはつながりにくい構造なんだろうなと、ちょっとそういうことを思いました。なので、資格を取っただけで処遇上の何かという話には多分直結しないと思うんですけれども、取って使っている場面に何かしらのインセンティブが働くことというのは、やはり非常に大事なことかなと、取得を促進することにも行く行くはつながるんだろうなということをちょっと思いました。

【加治佐座長】
 二つほど大きく出たと思います、三つかな、三つあったとして、あとの二つの方、最初の方は置いておいて、その一番最後の方の処遇のことですね、インセンティブですよね。例えば具体的な手当が出るとか、そういうインセンティブはないということですよね。

【長谷教員免許企画室長】
 我々の把握している限りでは手当が出るというのは聞いたことがございませんけれども、むしろ委員の先生方にもし現状を教えていただければと思いますけれども。

【加治佐座長】
 何か手当を出しているようなところはあるんですか。

【松本委員】
 ないです。

【加治佐座長】
 ないんですね。ないというふうに考えていいみたいですね。

【寺園委員】
 手当を出す元がないからですね。

【加治佐座長】
 まあそうですね、給与法上何も措置がないですからね。ということですね。それは可能性としてはあり得ますかね、今後は。

【長谷教員免許企画室長】
 その点もちょっと、先ほどの加配と同じで、軽々に我々が申し上げられないところでありますけれども。

【加治佐座長】
 それから二つ目の、養成課程で複数免許を取ったときに、第一目的のものがあって、やっぱりどうしてもそこが中心になって、第二目的がおろそかになってくると。現状やむを得ないと思うんですね。ただ、理想的あるいは原則論的に言うと、二つの免許を取ったら二つとも力量を保証されなきゃいけないですよ。それでないとおかしいですよね。そうですね、本当はね。まやかしの免許ですよね、その二つ目の免許というのは。だから、そういうことを考えていったら、現実はそうだと思うんですよ、それはよく分かります。だからやっぱりちょっと養成期間を長くするとかいうような視点に立たないと難しいですね。4年間で二つというよりも、やっぱり5年目、6年目、大学院ですよね、教職大学院ですね、そこも視野に置いた複数免許の取らせ方をしないといけないと思いますね。教職大学院であれば、第一目的の教科だけでなくて、第二教科の実習もできると思います、十分余裕を持って。ということもありますので、ちょっとやっぱり養成期間のスパンというか長さをもうちょっと考えなきゃいけないのかもしれないですね。同時に、複数免許を持っている先生で、複数の教科で力量を発揮できる先生というのは、より高度な能力を持った先生だと位置付けられないといけないんだと思うんですね、これからの時代の要請としてはね。そういう意味でも大学院レベルが相当するのかなという気がしますね。
 それでは、大分時間もなくなってきたんですが、何かほかにはございませんか。よろしいですか。
 あと、私が思いますのは、認定講習のお話がありましたけれども、10年経験者の更新講習があるわけですね。ああいうものと認定講習とのシナジー効果というか、その両方をやったらそこで両方に使えてより免許が取りやすくなるとか、そういう措置とか、そういうのがあっていいのかなと思いますね。それは今そういう方向に進んでいるんですよね。

【長谷教員免許企画室長】
 平成27年中教審の答申でもモデルを示しておりましたけれども、例えば更新講習と認定講習を相互に両方とも認定を取るですとか、更にそれを例えば大学院の単位として認めることで最終的に専修免許状ですとか別の免許状につなげていくということをモデルとしては提示をしてございますので、そういったことが実際に出てこれるように我々も考えていきたいと思います。

【加治佐座長】
 そうですね。それから、免許状の10年ごとの更新講習のときに、これもこれまで出たことなんですけれども、現状では教科についての学び直しというのは必ずしも義務付けられてはいないんですよね、教科については。ですから、何回かそこも、1番目の教科、それから2番目の教科についてもやっぱりちょっと質保証をするような何らかのことをやられてもいいのかなという気がしますね。しかし、免外の先生は当然ながら更新講習の対象にならないですよね。どうやっているんですかね。ならないですよね。免許外担当を認められている先生は、免許がありませんから、当然ながら更新講習は受けませんよね。

【長谷教員免許企画室長】
 更新講習は、とりあえず免許を1個でも持っていれば、それを併せて全部更新をしていくことになりますので、免外かどうかというところには関わらないんですけれども、ただ、加治佐先生御指摘のように、教科に着目した更新講習というのは必ずしも今、必修領域ですとか選択履修の中に位置付けられてはおりませんので、そういうところはございます。

【加治佐座長】
 だから、そのときに、現実は難しいですかね、免外の先生にも何か今言ったようなことで、まあ免外でも必ず更新講習は受けるわけですよね。そうしたときに、自分が免外で担当している教科についての何らかの配慮をして、そこでの研修をするというか、あるいはリニューアル的な研修を受けるとか、そういうことも何かできるようになると、ちょっと質保証ということでは進むのかなという気がしますけどね。
 それではよろしいですか。非常にたくさん問題が出てよかったかなと思います。大体まあこういうことを整理することになるのかなと思いますね。ただ現実的にどこまで報告書に書くのかということは、またこれはちょっとよく考えなきゃいけないと思うんですね。とにかく皆さんが一番熱心だったのが、複数校での兼務の促進というこれですよね。加配も云々と出ましたけれども、ただ、やっぱり制度的にどこまで可能なのかということもよく考えて書かなきゃいけないと思います。ほとんど実現可能性がないようなことを書いても、ある意味仕方がないので、アイデアはいっぱい出していいんですけれども、その中で、実現可能性があって、それを実現するためにはどうしていくかということまでよく考えなきゃいけないと思うんですね。そうするとやっぱりそれなりに絞り込まれてくるのかなという気はいたします。ただ、皆さんがいろいろ言われたことは是非生かさないと意味がありませんので、それは基本的にはあるということだと思います。
 それでは、きょうはここまでにしたいと思います。
 今後の日程について、事務局から説明をお願いいたします。

【長谷教員免許企画室長】
 次回の会合につきましては、日時、場所が決まりましたら、後日お知らせをさせていただきます。

【加治佐座長】
 それでは、本日はどうもありがとうございました。


―― 了 ――

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