免許外教科担任制度の在り方に関する調査研究協力者会議(第3回) 議事録

1.日時

平成30年3月22日(木曜日)

2.場所

文部科学省(中央合同庁舎7号館)13階 13F1会議室

3.議題

  1. 千葉大学・千葉県教育委員会の取組に関するヒアリング
  2. 信州大学・長野県教育委員会の取組に関するヒアリング
  3. 免許外教科担任制度の在り方に関する自由討議
  4. その他

4.議事録

【加治佐座長】
   どうも、それでは、皆様おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから免許外教科担任制度の在り方に関する調査研究協力者会議(第3回)を開催させていただきます。本日は、御多忙の中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
   また、本日は、教員養成の観点からお話を伺うために、千葉大学教育学部の藤川教授と、それから、信州大学教育学部の茅野教授にお越しいただいております。更に、各大学の地元の都道府県教育委員会から、千葉県教育委員会の日根野室長、長野県教育委員会の濱野主幹指導主事にお越しいただいております。お二人からは、教育委員会から見た各大学の取組の感想や、それぞれの県における免外の状況についてのお話を伺えればと思っております。
   議事に先立ちまして、事務局より、本日の配付資料の確認をお願いいたします。

【長谷教員免許企画室長】
   配付資料につきまして確認をさせていただきます。  資料1から、前回第2回の議事録、それから、資料2としまして、中学校・高校教諭の免許取得方法等に関する資料、事務局から御説明させていただく資料がございます。それから、資料3、千葉大学藤川先生の御説明資料、資料4、千葉県教育委員会の日根野室長様の御説明資料、それから、資料5、信州大学教育学部茅野先生の御説明資料、最後に資料6、長野県教育委員会の濱野主幹指導主事様の御説明資料がございます。それから、この別添3のA3の資料がございます。これは机上配布のみの資料とさせていただいておりますので、御注意いただければと思います。もし、過不足等ございましたら、事務局の方までお知らせください。

【加治佐座長】
   ありがとうございました。
   本日の内容を御説明いたします。まず、事務局より、複数免許取得に関する免許制度についての説明を頂きます。その後、藤川先生から千葉大学における取組、日根野室長より千葉県教育委員会での取組を御発表いただきます。続きまして、茅野先生から信州大学における取組、濱野主幹指導主事より長野県教育委員会での取組について御説明を頂きます。まとめまして、質疑応答を行います。最後に、複数免許取得に関する討議を行いたいと考えております。よろしくお願いいたします。
   それでは、早速ですが、事務局より複数免許取得に関わる免許制度についての説明をお願いいたします。

【長谷教員免許企画室長】
   教員免許企画室長の長谷でございます。
   それでは、お手元の資料2、中学校・高等学校教諭の免許取得方法等に関する資料を御覧いただきたいと思います。本日は、養成段階での複数の免許取得について御説明いただきますので、その基礎資料といたしまして、基本的な制度・データについて御説明を申し上げます。
   1ページおめくりいただきまして、中学校・高等学校教諭の免許取得方法について(別表第1、第4)という資料を御覧ください。まず、この別表第1の方が、大学の教員養成課程で単位の修得をして免許を取得する場合のことを示しております。このマル1にございますように、大学における養成が基本となっております。第1回にも御説明申し上げましたように、免許の取得には学士の学位等の取得、それから教職課程の履修が必要となっております。この教職課程の履修には教科に関する科目、教職に関する科目等の履修が必要となっております。
   なお、この後は現行の教育職員免許法をベースに御説明をさせていただきます。平成28年11月の法改正によりまして、この科目の区分等が変更になっておりますが、総単位数は変更にはなっておりませんので、基本的には現行の免許法をベースに御説明をさせていただきたいと思います。
   まず、中学校の場合の修得単位でございます。ここにグラフが出ております。緑色が教科に関する科目、オレンジ色が教職に関する科目、青色が教科又は教職に関する科目の必要な修得単位数を示しております。例えば、一種免許状、中ほどのところで申し上げますと、学士の学位に加えまして20単位の教科に関する科目、31単位の教職に関する科目、8単位の教科又は教職に関する科目の履修が必要となりますので、合計59単位の履修が必要となっております。それに加えまして、米印の3にございますように、下に(注)として出ておりますが、このほかに、日本国憲法、体育、外国語コミュニケーション、情報機器の操作、それぞれ2単位の修得が必要となっております。更に、小中の場合には介護等体験が必要となっております。
   次に、一番下の高等学校の場合の修得単位です。例えば一種免許状で申し上げますと、学士の学位に加えまして、20単位の教科に関する科目、23単位の教職に関する科目、16単位の教科又は教職に関する科目、合計59単位の修得が必要となっております。
   それから、右側に移っていただきまして、別表第4とございます。これは既に大学における養成の方で免許を取得したその免許を基礎としまして、同じ校種、中学校の教諭であれば中学校の同一校種のほかの教科の免許を取得する場合が、こちらの別表第4となってまいります。要件としましては、基礎となる免許状に加えまして、教職課程や免許法認定講習と呼んでおります文部科学大臣が認定をする講習を履修することによりまして、別の教科の免許状が得られる仕組みになっております。
   中ほどのところです。中学校の教諭の場合に、他教科の免許を取得するために必要な単位数を見てまいります。例えば、一種免許状につきましては基礎免許状に加えまして20単位の教科に関する科目と8単位の教職に関する科目の履修が必要となっております。二種免許状では、10単位の教科に関する科目と3単位の教職に関する科目の履修が必要となっております。それから、高等学校の場合、他教科の免許を取得するためには、基礎免許状としまして高等学校の一種免許状又は専修免許状が必要となっております。例えば、一種免許状の他教科を取得する場合には、20単位の教科に関する科目と4単位の教職に関する科目の履修が必要となっております。
   1ページおめくりいただきまして、次のページに出ておりますのが、今御説明申し上げました別表第4に基づきまして、同じ校種で他の教科の免許状を取得した方々のデータを示しております。左側の中学校の教員の免許状で申し上げます。合計のところを見ていただきますと、過去3年間大体450件前後で推移をしております。多いものとしましては外国語がございます。それから、右側のところで高等学校教諭の免許状で申し上げますと、一番下の合計のところにございますように、過去3年程度では大体1,200件から1,300件程度で推移をしております。比較的多い教科としましては、上の方から御覧を頂きまして、「地理歴史」、「公民」、「数学」、それから少し飛びまして中ほどの「情報」、それから一番下の方の「外国語」が多いところでございます。
   1ページおめくりいただきますと、縦の資料になっております。現職教員の新たな免許状取得を促進する講習等開発事業があります。文部科学省としましても、各教育委員会・大学でこの免許法認定講習を開設していただきまして、別の校種又は教科の免許状を取得していただけるように予算措置をしているところでございます。平成30年度の予算案では2,081万7,000円の予算を計上しております。
   この中で、中ほどの1ポツです。免許外の教科担任の縮小に必要な教科等に関する講習の開発・実施で、認定講習の開発に対して支援をしております。それ以外にも例えば、2ポツのように、小学校と中学校の免許状併有のための講習の開発についても支援をしております。
   それから、次のページ、更におめくりを頂きます。本日のこの後の御発表との関係で、教員養成課程で中学校教員の免許状を例としまして、複数教科取得する場合のパターンをここで2つだけ例として取り上げさせていただいております。
   まずマル1でございます。中学校教諭の一種免許状に加えまして、中学校教諭の他教科の免許を取得するケースでございます。例えば、中学校教員の一種免許状の理科の免許状を取得するとします。先ほど御説明しましたように、59単位の教職課程の科目、それから8単位の日本国憲法、体育等の科目の履修が必要となっております。更に、免許法別表第4を利用しまして、他教科の免許状を更にもう1つ取得をしようとする場合には、一種免許状であれば28単位、二種免許状であれば13単位の履修が必要となります。ですので、必要総単位数を左側に示しておりますが、一種免許状で両方取得する場合では95単位、一種免許状の例えば理科と二種免許状の技術を取ろうとしますと80単位の履修が必要となってまいります。
   次に、小学校教諭の一種免許状と中学校教諭の一種免許状を取得することが教員養成系の大学では多いです。更に、その場合で他教科の免許を取得するケースを考えてみました場合には、上の箱の中にございますように、小学校教諭の一種免許状と中学校教諭の一種免許状、それぞれ59単位の履修が必要になるところに加えまして、下の箱のところで、免許法別表第4ですが、中学校教諭の一種免許状の技術であれば28単位、二種免許状であれば13単位の履修が必要となってまいります。ですので、これを単純に合計いたしますと、左の必要総単位数のところで一種免許状を全て取得する場合であれば154単位、それから他教科の免許については二種を取る場合であれば139単位となってまいります。これはあくまで単純な計算でございます。教職に関する科目につきましては、教員養成系の大学では小学校と中学校とで共通開設している場合もあろうかと思います。その場合であれば実際に履修をすべき単位数は減少することになってまいります。
   それから、最後のページを御覧いただきます。複数免許状を保有している者が教員採用試験を受けた場合に、加点をすることで複数免許状を養成段階で取得をするインセンティブになろうかと思います。これは第1回の会議でも御報告を申し上げました資料でございます。中学校教諭と高等学校教諭で全国の状況を見てまいります。18都道府県又は政令市で、中学校か高等学校教諭の方で加点をしている取組がされております。
   例えば中学校教諭で申し上げますと、音楽、美術、技術、家庭の教科を持って他教科の免許を保有している場合は加点の対象となっておりましたり、高等学校教諭で申し上げますと、例えば情報や公民、地理歴史を保有している場合に加点の対象となる例があります。
   それから、一番下の米印でございます。ここの表は試験の中で加点を強いる取組だけをアンケートで聞いておりましたので、これ以外の取組としまして、例えば複数免許を持っている方に対しまして特別枠で選考している例、あるいは大学推薦によって選考している例がございます。本日お越しいただいております千葉県、それから長野県ではこういった取組もされております。
   事務局からの説明としては、以上でございます。

【加治佐座長】
   ありがとうございました。
   それでは、続きまして、千葉大学、千葉県にまいりたいと思います。千葉大学の藤川先生から、複数免許取得に関わる千葉大学の取組について、15分程度で御発表をお願いいたします。よろしくお願いします。

【藤川教授】
   おはようございます。千葉大学の藤川と申します。教育学部の副学部長として教務、附属学校運営等を担当しております。本日は、千葉大学教育学部の特に中学校の複数免許取得に向けた取組についてお話申し上げます。
   まず、1枚目の下の2ページを御覧ください。千葉大学教育学部では小学校教員養成課程、中学校教員養成課程など学部で5つの課程を設けております。小学校と中学校を分けているのは、全国の教員養成系大学でも珍しゅうございます。中学校の課程があることが本日ご説明させていただく取組をしやすくなっている1つの背景でございます。なお、中学校教員養成課程は10分野ございます。定員が課程として85名であります。ですから、1つの分野は7名から10名とかなり少ないのですが、そういった体制でやらせていただいております。
   めくっていただきまして、上の3ページでございます。これまでの経緯を記しました。千葉大学では当然ながら千葉県教育委員会、あるいは千葉市教育委員会などと様々な意見交換をさせていただいております。かなり前から中学校で複数免許を持っている人がほしいというお話を公式、非公式に伺っておりました。平成16年度の改革を行った際に第2免許制度を中学校教員養成課程に導入いたしました。すいません。これは間違いがございまして、教科教育9分野となっておりますが、10分野でございます。今ある10の分野です。当時ほかにも3つ、総合教育、教育心理、情報教育といった分野がございました。これらは別の要素がございますので、第2免許は必須としておりません。教科を主とした分野につきましては、必ずもう1つの教科で免許を取る制度を設けました。
   これはかなり運営が複雑であり、また様々な配慮が必要でございます。中学校課程会議をこのとき設けまして、ここで各分野等から出てきた教員が教授会から選出された課程長の下で会議を行い、きめ細かい対応をしている、そういう体制を取っております。
   また、その後も教育学部改革に向けた議論を様々している中でも県教委・市教委などから、複数免許保持者の輩出は求められ続けてまいりました。
   平成28年度から、教育学部改革を行いました。ゼロ免課程はスポーツ科学と生涯教育でしたが、それと中学校の教科を冠していない3分野については廃止をすることにいたしました。その結果、残された10分野では全て第2免許を維持することになりました。
   平成29年度より、この後お話があると思いますが、千葉県・千葉市、この千葉県と千葉市は一緒に教員採用試験をされています。ここで2教科の枠を設けられております。大学側と教育委員会側と双方で、2教科の免許を持っている人を育てていこうという体制が整ってまいりました。
   今、31年度に向けた改革を検討中です。この改革においても複数免許保持者が出せるようにしていこうということで、県教委・市教委とは協議をしておりますので、その方向での改革になるだろうと考えております。
   下の4ページが卒業要件でございます。先ほど御説明がありましたように、第2免許を取るとなりますと、少し単位数が必要になります。私どもとしては、第2免許は最低限の単位数で要するに10プラス3、二種免許を必ず取得することにしております。そのための時間割も特別に組んでおりますが、理科だけはどうしても10単位だけの教科専門では物理・化学・地学・生物全て網羅的に学ぶことに限界がありますので、理科を選んだ者だけ2単位多いという変則的な第2免許にしております。専門科目の第2免許に関する教科専門科目は教科専門であります。教科教育法については教職に関する科目に含まれております。このように卒業要件を設定しております。
   めくっていただきまして、5ページの上です。これは今年度、昨年4月の1年生向けの掲示を持ってまいりました。このようにガイダンスを重ね、希望を出させ、調整をし、そういうことを重ねながら第2免許を決めていく手順を取っております。このようにしないと、なかなか受入のキャパシティの問題もございますし、学生の希望に沿うことも行いたいので、丁寧な対応が必要だということでこのような対応を取っております。
   実際にどのように選ばれているかが、6ページでございます。大体毎年このような人数になります。各教科である程度の受入人数を考えていて、それを超える場合には第2希望などに回ってもらう調整をした結果このようになります。どうしても、音楽は専門的な技量が必要になりまして、希望者が少ないことがございます。技術についても、実習の負担が多いなどの理由から例年希望者が少ないです。ほかの教科については、概ねある程度の人数があります。
   特に技術について人数が少ないことは課題ですが、他方で技術科教育分野という分野があって定員7名おりまして、その者たちは確実に技術の免許を取ります。技術プラスもう1教科という人は必ず7人はいるわけです。むしろ技術については専門性が高いので、一種免許を持っていて専門的にやっている方がお役に立てるかという判断もございます。従来から、県教委などからも技術科の免許を持つ者についての要望は頂いております。技術科の専門分野を残すことで技術科については対応していると受け止めていただけると、有り難いと思います。
   次のページでございます。7ページですが、第2免許の教科を決めたからすぐにうまくいくかというと、1つ目の免許だけでも学生にとってはかなり大変でございます。2つ目の免許となりますと、どうしても後回しになることもございますし、余り元々得意ではない者もおります。毎年状況を確認し、必要があれば対応する体制を取っております。
   ここに載せましたのは、少し見づらいですが、毎年1回4月に行っている学年ごとのアンケート用紙でございます。つまり、具体的に第2免許に関する授業科目をきちんと取得できているのか。取り残しがないのか。取り残しがあればそれはどの授業なのかを詳しく聞きまして、必要があれば個別に相談をし、そういった授業についての履修がうまくいくように関係の教員で相談をする体制を取っております。これはそれなりに相談がありまして、きめ細かく対応をしております。例えば、時間割上の相談に乗って、2つの授業が重なってしまうけれどもどちらから取ったらいいだろうかなどについて相談にのりながら対応しております。
   下の8ページでございます。中学校教員養成課程卒業生の進路であります。85人しかいない課程でありまして、また必ずしも教員になる者ばかりではない上に、小学校の教員になる者も多いです。そして更に、千葉県出身者が千葉大は4割ぐらいでございます。元々千葉県出身でない者が多いこともありまして、他県に就職するものもおりますので、これは掛け値なしの数字を持ってまいりました。卒業生がこれまで、過去ほかの分野もあったので98.3が平均人数です。千葉県・千葉市の公立の中高に就職している者は25.7人でございます。千葉は20名強が2つの免許を義務として持っているものとなります。教科別に数字は御覧いただきたいと思います。ただ、傾向を見ておりますと、大学院に進む者もそれなりにおりますし、企業などに勤めて以降数年たってから教員になる者もおりまして、その数字は入っておりません。実態としては、もう少し多くの者が千葉大学の卒業生として教員になっていると思われます。
   最後9ページでございます。ここは丁寧に申し上げたいと思います。長らく第2免許制度を設けて、中学校教員養成課程の学生には2つの免許を取得させておりますが、様々な課題がございます。今回こういった機会を頂きましたので、改めて関係の教員に情報提供を求めまして、出てきたことを挙げさせていただきました。
   上から申し上げます。まず、教科ごとに定員がございますので、第2希望までに第2免許の教科が決まらない学生がおりまして、時間をかけて対応しております。本来希望する教科でないとなかなか関心がなかったり、元々の資質がなかったりいたしまして、免許取得に苦慮するわけでございます。そういった学生にも丁寧に指導することで対応しております。本来的には希望するところに行けた方がいいということがございます。
   2つ目に、時間割の作成が困難でございます。これはあらゆる組合せを全て認めておりますので、主たる免許と第2免許と両方をどのような組合せでも4年生までに履修できなくてはいけないと。しかも、どうしても単位を落とすこともございます。再履修等にも対応できなくてはいけないので、少なくとも各授業を2回ぐらい取る機会がなければいけない。時間割は本当にパズルのような形になっています。最初のときに何とか成立するような時間割を組みまして、その後は担当教員が代わろうが、ほかにどういう事情が生じようが、枠は変えてはいけないと。決まった枠の中で時間割を維持することをやってまいりました。この後また改革を行う中で時間割編成は難しくなります。これについては、とにかく枠を変えないことを原則にして、どの組み合わせでも免許が取れるようにしていくことを維持していく予定でございます。
   3つ目に、第2免許に必要な単位の取得に苦しむ学生がいることがございます。これは第2免許を取れないと卒業要件を満たさないので、卒業は延期になってしまいます。非常に深刻でございますので、所属する主免許の教室ではなくて、第2免許の担当教室の教員が親身になって話を聞き対応することでやらせていただいております。
   4つ目です。どうしても免許に関わる科目は2教科ございまして、早めに取りたい心理が働きますので、1年から2年次に集中して履修する学生が多いです。キャップ制、つまり年間の上限単位数の制限もございます。ほかのもの、例えば自由選択科目や大学全体の共通科目、そういった免許に直接関わりのない授業科目が後回しになるということです。これは本来の私どもの想定しているカリキュラムの履修順序と変わってきてしまうことがございます。これはカリキュラムの考え方については詳しく説明をし、そのように取るようにと言っております。計画的に3年次以降にも幾つかの授業科目を取るようにと指導しています。学生たちは卒業に必要なものを先に取るとなりますので、抜本的な対応にまで至っていないことがございます。
   その後、5点目でございます。本来少人数で中学校・高校の免許を取るための学生の指導をしていました。第2免許制度を設けたことによりまして、第2免許の学生も各授業に入っております。しかも、そうした学生は授業科目も最低限しか履修しておりませんし、元々得意でない教科について取り組んでいる者も多いので、レベルを下げて指導することも必要になってまいります。このために主専攻の学生の学習の質が下がる恐れがあるのではないかということがございます。これについては教科によりますが、第2免許の学生と主専攻の学生で指導内容をある程度分けるような対応をしている部分もあります。つまり、第2免許の学生には基礎的な事項を中心に指導をし、主専攻の学生には発展的な課題を与えることで同じ授業の中でも課題をある程度分けて対応することも行っております。
   次に、6点目でございます。第2免許につきましては最低限の単位数にしておりまして、この教科のための教育実習は行っておりません。教育実習については、1つの教科で実習を行えば十分と制度上なっております。スケジュール的にも2つ組むのは難しいことがございます。第2免許の教科については実習を行っておりません。実習も行っていない上に授業単位も最小限でございます。当然ながら、学生の専門性を高めることは難しいことがございます。こういったことについて、県教委・市教委などにも御理解を頂いていると認識しております。2つ目の教科については、まずはとにかく免許を取得させることを最優先にして、仮に2つ目の教科で早いうちから指導する場合には、OJTや研修等を行っていただいて、卒業生の力量向上に努めていただくことが必要であるとお願いしております。
   下から2つ目です。中学校の複数免許取得でそれなりに負担がございます。ほかに小学校あるいは特別支援学校などの免許も取ってほしいことはあります。これについては、ほかの小学校、特別支援学校等の免許を取得する者は減少しております。これは残念なことではあるのですが、中学校教員養成課程の学生についてはやむを得ないと判断をしております。小学校教員養成課程や特別支援の課程の学生にほかの免許、中高などの免許も取らせることで、小中併有、特別支援も持っている人を増やそうとしております。先ほどのお話にもありましたが、どうしても3つ免許を取るとなるとかなりの単位数が必要で、取っている者もいますが、だからといって余り推奨できる状況ではないと考えております。2つとにかく取らせることで対応しております。
   一番下でございます。主専攻の授業、つまり元々の所属の免許について最低限を越えて選択授業科目を多く用意しております。そういった取らなくてもいいものについての履修科目数が減っている状況も見られます。これもやむを得ないところでありまして、抜本的な対策はできておりません。どうしても全員に必須で取らせることになりますと、軽くこなしてしまう学生がいる一方で、かなり苦労する学生がいるのが実情でございます。とはいえ、免許を出すわけでございますので、最低限の学習はきちんと保証した上で出さなくてはいけないと考えております。極力丁寧な指導をしておりますが、本来もっと学んでほしいことを思いつつもできない部分もございます。この辺は痛しかゆしのところがあることを御理解いただきたいと思います。
   私からは、以上でございます。

【加治佐座長】
   どうもありがとうございました。質疑応答はまとめて行います。
   続きまして、千葉県教育委員会の日根野室長から、千葉県教育委員会の取組について10分程度で御発表いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

【日根野室長】
   それでは、おはようございます。千葉県の日根野でございます。
   千葉県は、実は免許では逆に全国的にも御迷惑をおかけしている臨免も免外も非常に多いです。お電話がかかってくると、ドキッとしてしまうときが多いです。「今回は違います。千葉大さんとの連携を御紹介していただければ」と。「そういうことでしたら」と今日はずかしながらまいりました。
   めくっていただいて、千葉県の免外の状況を見ていただきます。まずここで言い訳をさせていただきますが、ずっとこの平成25年度ぐらいまでは、免外が230から280ぐらいの間で推移をしておりました。ここで一気に100件ぐらい増になっているのが、更にその前、千葉県は臨免の方が400を超える数を発出している時期がございました。このときは25年度ぐらいに臨免を何とかしないといけないと御指導も受けました。臨免は削減しますと。安易に享受しないと。その反動と言ってしまったらもう大変申し訳ないですが、臨免は400だったものが250ぐらいまで減っております。その分100件ぐらい増えてしまっている状況でございます。ただ、臨免もかなり厳しめにしましたが、この免外についても許可基準の見直しとありますが、安易に渡すことがないようにと。中高でどうしても教育課程を運営するのに厳しい場合、そして校長が指導できると判断した場合のみに渡しましょうという基準をもう一度見直しまして、削減に努めていきますということで始めております。
   めくっていただきまして、千葉県の免外の状況でございます。27年度372件の内訳ですが、一番多いのが技術、119件の32%です。次に、家庭科の75件で20%、美術61件の16%で合わせてこれで約7割で、技術、家庭、美術でどうしても免許外でお願いしている状況でございます。原因としましては、小規模校で技術、家庭科など授業時数が少ない教科で担当教科の教員数の持ち時数がほかの教員よりも極端に少なくなる状況があります。
   この持ち時数の平準化では使っていけないのは分かっていますが、免許所有者の配置自体が小規模校では困難になってしまうときがございまして、免外になっていると。また、中規模校、大規模校でも1.5人分の教員が必要な場合です。2人配置することが難しくなり、そこでどうしてもということで免外を出してしまっている状況がございます。
   一方、最後にもありますように、全国的に当該免許状、技術、家庭、美術の免許状を取得できる大学自体が少ないということで、不足しているのは承知なので採用で充足したいと思っているのですが、そこで千葉大さんにかなりお願いをしている状況がございます。
   そして、この免外の削減に向けた本県の取組として、2ページにまたがりますが、大きく3つです。人事配置での工夫、免許取得の工夫、そして、教員採用選考での工夫で3点挙げさせていただきます。
   まず、人事配置ではそういったところを免外に頼らないようにするために、中学校教科担任講師、非常勤を100名単位で配置をしております。それから、2つ目が、免許法の免許を現職の人にもどんどん取ってもらいましょうということで、千葉大学さんにかなり会場等にも指導にも御配慮いただいて、特に一番必要である技術科の免許の認定講習を、これは多分全国的にも少ないのではないかと思いますが、26年度からやっている。この4年間でということで第1期が今年度末で終わって、16名が取得できたと。とてもすばらしい試みでしたので、第2期も来年度からまたお願いをしようとやっています。
   めくっていただいて、教員採用選考で特にイシューとなると思いますが、中学校複数教科枠と免許枠を昨年度の選考から設けました。これもとにかくしっかり免許を持っている人を適正に配置しましょうと、特に今足りない先ほどから免外を輩出している技術、家庭、美術のいずれかの免許状とそれ以外の免許を持っている者は、30名程度の枠で特別枠で選考していきましょうとやっております。
   今年度、来月4月1日採用となる者に関してのデータでございます。志願が26名おりました。合格者が16名でした。16名のうちのなんと9名が千葉大の卒業生であった。技術、美術、家庭科の技術7名のうちの3名が千葉大、美術は3名とも千葉大、家庭科も1名が千葉大、そのほか保健体育、音楽も1名ずつ千葉大学の卒業生が今回も合格となっております。とにかく千葉大学さんとの連携なしにはもう本県の免外解消はなし得ない状況にございます。
   下の大学の養成課程に期待することでは、どこの自治体も採用選考をするに当たっては求める教員像をお示しします。これもコアカリキュラムでやるべきことがまた整理されましたし、育成指標を作りまして4月から発出されるのに伴って、求める教員像を千葉県は四本柱から五本柱に変えました。特に変えたのが、5つ目の「組織の一員としての責任感と協調性を持ち」といったところです。これまでも上の4つの中に包含されてはいたのですが、これを付け加えました。
   具体的にもう少しお願いしたいことを、これはトピックスとして取り出していってみますと、小学校では今は英語の指導力向上が必須であると。中学校では、先ほどの現状から見ても、複数免許状があると助かる。高等学校の声から聞こえるのは、道徳をどうしようかです。そして、全ての教員の養成課程でメンタルで悩んでしまったり、道半ばでいるのも事実です。人間性を豊かにするためにもインターンシップ、これは千葉県は「たまごプロジェクト」ということで、千葉県教育委員会独自でインターンシップをやっております。毎年1,300人規模で大学生をインターンシップに年間30日行っております。
   それから、最後に免許法認定講習を、今も千葉大さんに物すごくお世話になっていますが、今後も是非お願いしたいという期待でございます。
   今日こちらに来るので、千葉大学の出身の方の状況を調べてみました。複数免許状を取得して、千葉県内の公立中学校で勤務をしている千葉大卒の教員です。調べたら、さかのぼったらきりがないので、採用3年間で見てまいりました。平成27年採用、今でいうと3年目となる者は20名おりまして、そのうち5名が現在複数教科を実際に担当しておりました。2年目の教員に関しては、20名複数教科免許状を持って千葉県で採用になりましたが、そのうちもう既に8名が複数教科を担当しております。今年度採用になった条件付きの初任者に関しましてはこの8名でしたが、全員今のところまだ複数教科は担当しておりません。
   これは多分いろいろな配慮があったと思います。初任者研修があります。初めての学級担任があったり、様々な、学校にすると初めてのこと、いろいろなことをやらせる。まずは主免許の自分の主たる教材研究でしょう。それから、持っている教員の免許状の組合せ等によっても、学校事情によりというところもあります。ここから見えてくるのが、2年目以降になって少し落ち着いてくると、「では、君、2つ目の免許があるからどうでしょうかね」という配置になっているように考えます。
   合わせると48名です。この48名の配置校の全ての校長から聞き取りをしてみました。「どうですか」と。実際13名が担当していたのですが、副免の教授内容に心配があるところもあるかということもあって、こういう質問を投げました。「問題なくやっている」と。それから、複数教科を担当することで逆に指導の幅が広がる。体育と例えば家庭科というと、全体を掌握するところ、個別に対応するところ、両方が磨かれているようだという声です。それから、割合が高いのは、先ほど申し上げましたように、若年層の負担過多とならないように配慮している表れなのかということでございます。それから、「副免許のところで不安がありますか」に関しては、今のところそれほど問題視する声は挙がっておりませんでした。先ほど藤川先生の声もあったように、これはOJTによるサポートをしっかり機能させていく必要があるし、何とかなっているということでございます。48名の校長先生全てが本当に有り難いと100%肯定という回答でございました。
   最後に、とにかく教員養成課程で免許状を複数取っていただくことに関しましては、ここにありましたように、たくさんの免許状取得者が輩出されていること、合格者の半数以上が千葉大出身者であること、それから、実際に複数免許を持っていても実際に携わらせる場合には十分配慮していくことを、取組に対してのお答えとしたいと思います。
   最後に、この認定講習はもう本当に今は切っても切れない状況にございます。これを、特に技術をやっていただいている千葉大学さんに感謝、感謝の一言でございます。
   千葉県からは、以上でございます。

【加治佐座長】
   ありがとうございました。
   それでは、続きまして、信州大学の茅野教授から、信州大学の取組について15分程度で御発表いただければと思いますので、よろしくお願いします。

【茅野教授】
   よろしくお願いいたします。信州大学の茅野でございます。お手元の資料の資料5に基づきながら説明をしていきたいと思います。
   まずは、1ページの1を見ていただきます。私どもの信州大学教育学部で目指している教員像はそこに書かせていただきましたように、初等教育と中等教育の連続性を重視し、社会の変化や児童・生徒の成長・発達過程で生ずる多様な問題に迅速かつ柔軟に対応できる高度な専門性と実践的指導力を身に付けた教員を目指しています。
   ただ、このようなことを掲げるに当たって、少し御理解いただきたいのは、私どもは信州大学教育学部ですので、長野県の教員だけを輩出しているわけではないのですが、長野県の地域事情を御理解いただければと思います。下にポツで書きました。これは長野県に限ったことではないです。中1ギャップという問題に対して我々はどう取り組むかということがございました。
   2つ目のポツが、長野県ならではの特性になります。1つ目は小学校と中学校とでの教員人事の交流があることです。小学校に行ってしまったら小学校という方ももちろんいらっしゃいますし、中学校が長い方もいらっしゃいます。その小学校と中学校をまたがって人事交流が行われている、こういう事情がございます。ですので、後から出てきますが、複数といったときにこの小学校と中学校の免許状を持っていることが大変長野県にとっては必要というか、不可欠である状況にあります。それと、もう1つ恐らく想像していただけるかと思いますが、長野県ですので中山間地がございます。そうなりますと、免許状の問題でいろいろな意味で複数の免許を持っているのは大切になると考えております。それともう1つ、地理的な特性で、先日のオリンピックでもありましたが小平奈緒選手も実は教員免許状を取得されていますが、長野県の地理的な地域特性です。こういう野外教育や冬季スポーツやそういうものを背景にした、例えば山に登る学校登山も長野県では盛んでございますが、そういったことを含めた安全教育も対応したい背景としてございます。
   最後のポツとしては、これは長野県に限ったことではございませんが、高度な個別なニーズへの対応も重視したいとこういうことがございました。そういったことがございまして、先ほど掲げたような教員養成を目指しております。
   続いて、それに基づきまして、ではどのように実際しているのかということで、1ページの2に移りたいと思います。まず、卒業要件として課している免許状に関して、どのように考えるかと申しますと、教科名を付しているコースがございます。
   ページを飛んで申し訳ないのですが、お手元の資料の前から見ていただいて5ページの後ろに6ページ目に相当するところを見ていただきます。現在の信州大学教育学部の組織の配置を右側に記しております。
   実は、信州大学教育学部は改組に改組を重ねておりまして、平成23年度までは教科名を付したコースであったとしても、小又は中学校の免許状のいずれかを卒業要件としては課していました。それを平成24年度の段階で、教科名を付したコースに関しては、小の一種かつ中の一種、その対応する教科名の免許状を課すように変えました。平成28年度の改組ではゼロ免を廃止することもございまして、専門性を豊かにしながらその専門性を豊かにするコースに関しては、小若しくは中学校の免許状の形で1つだけでございますが、そういった形を整えることになりました。
   1ページのところに戻っていただきます。教育職員免許状取得に関する運営方針として、信州大学教育学部は大きく4つ方針を持っていると認識しています。1つ目が今申し上げました卒業に必須な要件としての教員免許状に対する方針です。今申し上げましたように、教科名を付しているものに関しては小学校一種と中学校一種の免許状を取得していく方針を立てています。したがいまして、教育実習も小学校と中学校それぞれで行うことになります。実際には3年次と4年次に行っております。それ以外の教科名を付していないコースに関しましては、先ほど申し上げましたように、小若しくは中学校の免許状とそれぞれの専門性に応じたものを深めていただくと。実質それが2つの免許状に相当するくらいの負担になるのではないかと私たちは考えております。
   めくっていただきまして、2ページになります。そうしますと、我々の言い方でみますと、複数免許といった場合に教科名を付したコースに関しては、もう小学校と中学校は卒業に必須です。我々は副免という言い方をしますが、本人たちの希望に応じてエクストラ取っていく免許に対しては、どういうポリシーを持っているのかが、2ページの(2)になります。
   まず、申し上げたいことは、我々はその副免と呼んでいるエクストラの免許が取れることのために、例えば教育課程や時間割を整備する方針は有しています。これはかなり後で述べますように、徹底的に有しています。一方で、エクストラの免許をできるだけ取りなさいと学部全体としては行っておりません。むしろ、私も教務部会に所属しておりますが、そのガイダンスで何を申し上げているかというと「自分の専門性を大事にしなさい」と、このことを申しております。ただし、そこに例外として書きましたが、例えば家庭科教育コースの例を挙げました。幾つかのコースに関しては複数の免許、とりわけ中学校での複数の免許と言ったらいいでしょうか。それを持っている方があらゆる意味で今後考えると有利になるということで、コースごとの対応では複数免許、エクストラ免許を取ることを推奨することはあり得ます。
   また、全体の方に戻ります。先ほど申しましたように、ガイダンスでは全体的には専門性を高めなさいと言っています。そのほかに、複数免許を取るときのエクストラに関して副免試験を我々は課している免許があります。例えば、中学校免許状の理科、音楽、美術、保健体育に関しては、副免試験を履修に入る前に課しています。これはある意味入学試験を課していますので、それに相当するような能力をある程度担保したい、あるいは学力を担保したいことがございます。あるいは、英語の中学校免許状に関しては、これはエクストラの免許に限らず卒業要件になっている免許状を履修している学生に対しても同じですが、一定水準の英語力を保とうと、外部資格で大体このくらいは取っておいてという要件を設けています。あるいは、特別支援学校免許状を取りたいという学生もおります。この学生に関しても副免試験を課したり、実習に行くまでに少なくともこういうものは取っていなければいけませんというものをかなり厳密に指定しております。こういった現況もあります。
   更に、また各学期の履修単位登録数の上限、キャップ制と言われるものを設定していますので、基本的にはこのキャップ制を超えた場合には主導教員とまず相談をしなさいと。まず履修に無理がないかということと同時に、ある意味本人の意思としてたしかにエクストラである免許を取りたいという強い意識があるかどうかを確認している状況がございます。
   続いて、こうしたエクストラの免許を取ることの背景にあることの1つとして、これは長野県教育委員会さんとの関係になるかと思います。1つには、長野県で大学推薦が行われています。この大学推進の選考に関して行われている中で、ちょうど(2)の中ほどに四角で囲ませていただきました。実は、中学校普通免許状については「国・社・数・理・英」のうち1教科以上、これに加えて「音・美・保体・技術・家庭科」のうち1教科以上計2教科以上の複数免許状を有している者が推薦をするに当たっての条件となっております。
   この詳しいものにつきましては、先ほど見ていただきました前から見ると6ページ目の次の7ページ目、また1ページとなってしまいますが、7枚目を見ていただきます。7枚目が平成30年の大学推薦選考に関する募集要項です。更にその後ろに付けておりますのが、最初にこの大学推薦選考が始まった平成25年度の選考に関するものを資料として付けさせていただきました。先ほど見ましたどういう免許状を持っていたら望ましいのかという意味での中学校の複数免許の書きっぷりは変わっているわけですが、基本的に求められていることは同じと思っております。
   ここで、申し訳ありません。委員の先生方だけになりますが、別添の資料を見ていただけますでしょうか。別添3と書きましたA3版の資料になります。こちらは少し詳細な資料で個人名は付していませんが、今申し上げた大学推薦でどのような学生さんがどのような免許状を取得した上で、この選考によって選ばれているかについての情報でございます。
   例えば推薦年度29年度と書かれた場合で、所属の音楽教育コースの学生さんの場合です。推薦校種枠は小中で申し込んでいます。採用は既に決まっているはずですが、現時点では私どもとしては未定とさせていただいております。この学生さんの場合には、例えば小学校一種を取り、当然音楽教育コースでしたので、横をずっと見ていただきますと、中学校音楽の一種を取っています。当然高等学校の一種も持っているわけですが、それ以外にどういうものを持っているかというと、国語の二種を取得していると横で見ていただければと思います。そのような形でそれぞれの学生さんの状況を見ていただければと思います。
   元の資料の2ページに戻っていただければと思います。今申し上げましたのが、免許状に対する我々大学のポリシーです。それ以外に運用に当たりまして、2つポリシーを持っています。それが(3)です。まず、1つ目は教科に関する科目という免許法上の科目があります。これに関して私どもがどういうものを考えているかということで、平たく言えばできるだけスリム化を図ることです。
   先ほど千葉大学さんの発表にもありましたが、複数の免許を取ろう、あるいは我々も小中の免許を取ろうと課していますので、当然中学校の立場から見るとそれぞれの教科で、法律上必要な単位数を取ろうとだんだん薄くなる傾向は、我々も危惧はしています。したがいまして、しっかりここは取っていただこうというものをきちんとコアをはっきりさせようとスリム化したのが3番のポリシーです。
   一方で、そうは言ってもそれぞれのところで深めたいという大学教員の専門性を要求する気持ちもございます。では、どうするかということで、それが免許科目としては設定しないけれども科目としては残すと。したがってより深めたい、より専門性を高めたいという子たちが学べる仕組みを残したのが3番でございます。
   4番目は、先ほども千葉大学さんの話にありましたが、我々も時間割編成はかなり腐心をしております。先ほど見ていただきましたように、平成23年度までは「小又は中」という卒業要件でしたので、それほど時間割に関してはナーバスではございませんでした。
   しかし、24年度に「小又は中」という体制から「小かつ中」という体制になった瞬間に、実は時間割を作り直しました。これは勝手に教員が時間割を動かしてしまうと、先ほども話がありましたように、まず履修がままならなくなってしまうという状況がございました。そのために時間割編成ワーキングというものを設けまして、それ以降はその時間割に関して、もし変更が必要、あるいは科目が加わったりして、例えば小学校の外国語などは後から加わってきたわけですが、そういうものをどこに位置付けるかといった場合には、教育課程委員会が、時間割の変更が適切であるのかどうか、あるいはどこに配置するのがよいのかということをコントロールする役目を担っていただきながら時間割を管理していることになります。
   めくっていただきまして、3ページです。こうした方針決定の経緯につきましては、長野県教育委員会さんと我々信州大学教育学部は、幾つかの協議会等あるいは会議等を持っております。そこで意見交換をしながら、どういう教員養成が望ましいのか。あるいは、信州大学教育学部としてどういう教員を養成するのかを練ってきました。
   途中でも申し上げましたが、小中両方の免許を取得すると舵を切ったその背景にあるものは、実は平成23年度まで、小又は中学校の卒業要件であった時代だったのですが、その時点でも、実は卒業生の多くは小学校と中学校の免許状を取得していたというそういう土壌がございました。ですので、いきなり「小又は中」から「小かつ中」になったことによって、学生が混乱したことは実はそれほど多くはございませんでした。元々卒業要件とはしていなかったけれども、そういう両方の免許を取得していた土壌がございました。
   こういった方針の共有につきましては、ワーキングを立ち上げております。先ほど申し上げました免許科目のスリム化に関してもワーキングが立ち上がっておりますし、時間割編成に関してもワーキングが立ち上がっております。そうしたことを繰り返しながら、そのワーキングを元に教授会に諮りながら、我々はその方針を共有していきたいという経緯がございます。
   実際の学生の免許取得や修得単位数の状況について、少しお話をしたいと思います。これは又、委員の先生方だけで申し訳ないのですが、お手元の資料の先ほどの別添3の資料をめくっていただきますと、別添4という資料がございます。まず別添4の最初のページは、平成26年度の卒業生です。平成26年度の卒業生というのはどのような状況かといいますと、小又は中学校の免許状で卒業要件が課されていた時代でございます。ですので、例えば言語教育専攻(国語)と、上から2行目のところを見ていただきますと、言語教育専攻(国語)ですので、このときは小学校の免許状でもいいですし、中学校国語の免許状でも構わないという状況でした。
   このときに、少し色が付いているところを見ていただきますと、免許状を一つだけ取得した学生さんは1名だけいるということです。小又は中ですので、そのような学生さんもいました。二つ取得した学生さんが6名いるというように見ていただければと思います。お隣に移っていただいて、三つの免許状を取得された方が7名いるということです。多くの場合、この7は、小学校、中学校、高等学校というパターンが一つ。それともう一つは、小学校、中学校、特別支援というようなパターンがあるかと思います。四つ目、これになりますと、多くの場合は、小中高それと特別支援というように見ていただくとよいのかなと思います。もちろん五つ目、六つ目ということで、五つ目の学生さんが1名います。他教科、中学校教科の複数の免許を取られたのではないかと思っています。
   その内訳をずっと横の方に見ていただきますと、コース全体となっておりますので、一人一人がどのようなものを取ったのかは分かりませんが、それぞれのコースに所属した学生さんが、最終的にどのような免許状を取っていったのかというのが見ていただけるようになっているかと思います。
   1枚めくっていただきまして、少し途中に黄色い色が出てくるかと思います。平成27年度の卒業生の様子です。表の見方は先ほどと全く同じですが、平成27年度の卒業生からは小と中の免許状が両方必要になった時期でございます。したがいまして、先ほど見ていただきました、例えば国語教育コースというのが、ちょうど中ほどにあるかと思いますが、国語教育コースを見ていただきますと、当然のことながら、一つだけ免許状を持っていたという、先ほど見ていただいたものでいけば、一つだけというのはございません。ゼロになります。複数という意味で、二つというのが3名。ですので、小学校と中学校の免許状を取った方というのは、卒業要件で見た場合には3名しかいない。
   隣を見ていただくと、三つというのは12名いる。これは多くの場合、高等学校の国語免許状を取っていたことが多いというようになるかと思います。もちろん特別支援との組み合わせということもあり得るかと思います。四つ目が5名。五つ、六つ取得した学生さんはゼロという形になります。先ほどと同じように横に見ていただくと、国語教育コースの学生さんが、どのような免許状を取得していたのか見て取れるかと思います。
   その後ろに付けましたのは、28年度のものでございます。
   申し訳ありません、元に方に戻っていただきまして、3ページに戻ってください。概要的なことで申し上げますと、平成26年度の卒業生の卒業要件として必要な単位は124単位でした。このときは小又は中学校の免許状です。それに対して平成27年、28年度というものは卒業要件としては143単位となります。現代教育コースの場合は140単位となります。
   見ていただきましたとおり、実は中学校教科の複数免許の組み合わせについて、目立った傾向はございません。先ほど確認していただきましたように、二つの取得者、あるいは三つの取得者、四つの取得者というのは、どのような状況かというのは、細かなものは先ほど別添3あるいは4あたりを見ていただければと思うわけですが、徐々に恐らく四つ以上の取得者は減ってきているという現状になります。したがいまして、途中で触れましたように、小中それと高、若しくは小中、あと特別支援というパターンが多くなってきているかと思っています。
   皆さん気になる、負担過重ではないかということに関わっての資料ということで、当然のことながら修得単位数の平均は、26年度から27年、28年度に掛けて増えてございます。ただ、この増えた理由は、10単位程度増えているわけですが、一つ理由がございまして、実は免許科目法上、法令上でいくと4欄科目といっている中で、その中に、途中にも書かせていただいたのですが、教育課程の意義及び編成の方法ですとか、道徳の指導法ですとか、特別活動の指導法ですとか、教育の方法及び技術、及び教材の活用を含むという内容に関わって、実は平成28年度卒業生のときには初等と中等を厳密に分けて授業科目を設定していました。ですので、実はその部分が10単位ほど増えてしまったというのが実情なのです。
   これは平成29年度の入学生から初等と中等共通開設に戻しましたので、多分この10単位分の増加は減りますので、実質的には平成26年度の卒業生の平均取得単位数に戻っていくのではないかと考えています。
   4ページの方を御覧ください。4ページ、6に関して、複数免許を取得するための履修指導に関して、特別な履修指導ですとか工夫しているのかということは、実はございません。後に述べる時間割の工夫というのが大きなところかなと考えています。したがいまして時間割の編成についてお話をしたいと思います。これもうちの大学の特殊性を御理解いただきたいと思うのですが、信州大学は総合大学なのですが、実は分散キャンパスですので、私たちは長野にあるわけですが、教育学部は単独のキャンパスとなっています。ですので、大きな教室を確保しようと思っても、教室数が限られています。ですので時間割を固定しなければならなかったということがございます。
   そこで幾つかのものに分けながら、必修である、一番下に書きましたけれど、教職科目ですとか、小学校の科目に関するものを、まず時間割に配置してしまいました。それから次に中学校の免許科目を配置。やがて徐々に右側に行くに従って、それぞれの教科の専門性に関わった科目という形で、徐々に配置をするという形で時間割を固定しました。このような作業を、実は1年間掛けて確定をいたしました。
   ですので、現在も小中両免ですとか、複数の免許が取れる仕組みというのは、実はこの時間割編成によっているところが多いのかと思っております。
   時間を超過して申し訳ありません。5ページの最後でございます。専門性の低下や学生の負担に関してということで、私どもは複数の意味を少し考えた方がいいかなと考えております。我々は複数といった場合に、小中といった場合には義務教育というものを見通した教員の養成ということがうたえるのではないかと考えてございます。それと、小中高と取った場合には、12年間を見通した専門性の深化。あるいは、小中と特別支援という免許状を取った場合には、教室における多様なニーズに対する対応力を高めるということに貢献するかと考えています。
   我々としては中学校の免許に関しては、複数免許をできるだけ取りなさいということは、学部としては推奨してございませんので、基本的には本人の意思に任せているかと思います。そのような意味で、本人の意思に基づいた免許の取得ということができる体制を整えることは大事かなと思っています。
   なお、最後に付記で書きましたが、教育実習、小学校と中学校両方必要になりますが、万が一、疾病等々によって両方の実習がかなわないといった場合には、特例措置というものを我々は設けてございます。現在のところ、その適用はございませんでした。
   時間を超過して申し訳ございません。以上でございます。

【加治佐座長】
   ありがとうございました。
   それでは最後に、長野県教育委員会の濱野主幹指導主事から、長野県教育委員会の取組について10分程度でお願いいたします。

【濱野主幹指導主事】
   長野県教育委員会の濱野と申します。よろしくお願いいたします。今、信州大学の茅野先生から、長野県の地域的な特性、長野県教育委員会と信州大学教育学部の連携等に関わっての話、それから信州大学で目指している、最後8番のところで述べていただいた、それぞれの免許を取らせる意図や狙いについて、かなり細かく説明をしていただきましたので、私はそれを補う部分についてお話をさせていただきます。
   資料は1枚でございます。1番は、大学推薦選考について、信州大学教育学部の学生が中学校の免許を複数取る一つのモチベーションになっていると考えられます。これについて、長野県はなぜこの制度を採用してきたかということについて、若干だけお話をさせてください。
   平成24年度まで、長野県の教員採用選考の中には大学推薦選考はございませんでした。当時の記録を追ってみますと、他県ではもう既に近隣の7都県市で大学推薦選考等を実施しており、信州大学教育学部からも優秀な人材が流出している状況を、長野県教育委員会としては危惧をしておりました。
   更に長野県の地域特性として、中学校の山間小規模校における非免許解消加配、それから免許外の教科担任対応、これが非常に多くなっておりました。平成24年度は、非免許解消加配が34件、免許外の教科担任対応が54件、これは中学校のみでございます。このような形で対応させていただいていました。
   更に、そのようなところで免許外とならないようにしたいわけですが、中学校教諭合格者のうち、技能教科免許を含む中学校の複数免許取得者については、合格者の中の12名というような状況でございました。
   これらのことを解決する方策として、平成25年度の教員採用選考から、課題解消につながる大学推薦選考を導入しようと行ったのが、先ほどの信州大学の説明にもあった推薦要件を付した大学推薦であります。長野県教育委員会から、近隣の大学でこのような免許を取得可能な大学を中心にお声掛けをさせていただきながら、現在も行っているところでございます。
   選考の中では、1次選考は専門教科のみ2次選考の参考にするという形で受験してもらい、1次選考の大部分を免除する形で行わせていただいています。
   この結果、この3年間を見ますと、技能教科を含む複数免許を持っている採用者は、大学推薦選考の合格者も含めて、それぞれ平成28年度から30年度、およそ20名前後のところで推移しています。中学校の採用人数が、この3年間およそ100名程度で推移しておりますので、約20%の教員になった方たちの約20%は中学校の複数の免許を持っている、技能教科を含む複数免許を持っているということになります。技能教科以外の複数免許の方も、これ以外にありますので、実際に2教科以上を指導可能な教員の人数としては、これよりも若干増えると考えられます。
  2番として、長野県が免許外教科担任対応等の現状、それから長野県教育委員会の取組についてです。今のような大学推薦選考、それから信州大学教育学部で行っているような、中学校の複数免許を取得して卒業してくる学生さんが多くおりますので、今のような取組の中で、平成29年度は、先ほども申した非免許解消加配が14件、それから免許外教科担任対応が36件と、平成24年度当時と比べると大分少なくなってきていると捉えております。
   これまでの免許外教科担任対応等の取組として、まず複数の学校で兼務ができる計画的な体制作りというようなことを考えてまいりました。例えば、近隣の学校で技術と家庭科の教員の両方を置けないような状況が生じたときに、それぞれの学校に技術と家庭科別々に配置して、それぞれの教員が兼務をするという形の対応等を進めてきております。これについては、中学校と中学校以外にも小学校と中学校、中学校と高校というようなパターンでも考えて進めているところでございます。
   それから、今回のテーマである複数免許を活用する機会がある教員配置と研修の実施であります。先ほどの千葉県の発表にもございましたように、採用された20名程度の複数免許を持っている方が、採用されてすぐに複数の教科を指導するということはあまりございません。主となる免許で教える教科指導力の向上が、先ほども出てきましたが、副免教科の指導力の向上にもつながると考えておりますので、まずは主たる免許での指導を中心に、そして学級経営の力を付けていくことを大切に考えておりますが、初任2年目、3年目、それから2校目というところで、副免教科の指導ができるような体制を作れるように努めているところでございます。
   それから長野県では、そういった副免教科の指導力について、その向上につながる研修を幾つか用意をしてございます。長野県の教育センターでは、教科指導についていえば、各教科に10程度、教員が希望して取れる研修がありますので、そのような中で、例えば副免教科の指導に不安がある教員につきましては、そういった副免教科の研修講座を年間複数取って、指導力の向上を図ることが可能であります。
   また、教育課程研究協議会は、どの都道府県でも重視しているものでございますが、長野県におきましては、これを大切な研修の機会と捉えて、文部科学省からの伝達講習に加えて実際に授業を参観することや、授業研究会を行うことを組み合わせて行っております。このようなことも、副免教科の指導力の向上につながることだと思います。
   それから、直接長野県教育委員会の主催で行っていることではありませんが、長野県では郡市単位の同教科の研究会も大変盛んに行われています。特に、先ほどから出てきている山間小規模校につきましては、小規模校が何校かで合同の教科会を行って、お互いの指導力を高め合ったり、又は、例えば評価の場面でテスト問題を共同で作成し、活用したりする等、進めているところでございます。
   このような形で、大学で複数の免許を取り、教員になった方について、更に学校現場等で指導力を向上させていくことを考えて進めております。
   今後、更にというところにつきましては、そこに2点挙げさせていただきました。長野県では、「信州型コミュニティ・スクール」という、地域の方と共に学校づくりを進める仕組みが、今年度100%の小・中学校で実施されるようになり、地域との連携が非常に密になってきております。このような地域人材の中にいる専門家を活用して、例えば特別免許状等を利用しながら進めていく、そういった学校の中に地域の方を取り組むようなことが今後出来ないかというようなことも考えております。
   それから、これまでのこの会議の中で発表等もあったかと思いますが、ICTを活用した遠隔授業についても長野県でも研究を少しずつ進めているところでございます。
   そのような中で、今現在は小学校と小学校を中心に、それぞれのクラスに学級担任がいる形で行っている遠隔授業でありますが、例えば中学校と中学校で進めていくようなことも、免許外教科担任対応として考えていけるのかなと思いながら、今考えているところでございます。
   いずれにせよ、信州大学教育学部から長野県の教員になる方が、全体の中で非常に多い割合を占めておりますので、そのような中で、中学校の複数免許を取得した教員を長野県教育委員会としても研修でしっかりサポートしていく、そのような体制をとりたいと考えて進めてきているところでございます。
   以上で説明を終わらせていただきます。

【加治佐座長】
   どうもありがとうございました。
   それでは、これまでの発表に対する御質問や、最初に事務局からの説明もありましたが、そのようなことも含めまして御意見のある方は、挙手若しくはネームプレートを立ててください。
   どうぞ。

【村上委員】
   北海道でございます。千葉大学と千葉県教委さんの取組、大変興味深くといいますか、参考にしたいと思って拝聴させていただきました。
   それで、私、複数免許の方に関わって、採用後の専門性の維持向上といいますか、むしろ維持の方が課題かなと思っていまして、特に北海道ですと、採用後、管理職になるまでの間に、一般教員としては恐らく4校か5校ぐらいの経験だと思っているのです。その間に、ずっと持っている免許を常に両方使っていく状況にあれば、専門性の維持向上というのは図っていけるのかなと思っているのですけれど、担当を離れている時期もあろうかと思うのです。
   OJTで専門性の維持向上を図っているということで、県教委さんの方からもお話しいただいたのですけれど、副免の方を使って小規模校でやるとなったときに、OJTの方でいくと、先輩教員がなかなか職場にいないということもあろうかと思うのですけれど、もしOJTの具体の内容といいますか、このような取組をしているのというのがあれば、御教示いただければと思います。

【日根野室長】
   今、長野県さんの方にもありましたように、市町村レベルで教育研究会というものが頻繁に行われまして、例えば私がいた船橋などでは、毎月教科ごとの研修会がございます。ですから、そこで例えば家庭科と美術を持っています、本当は主は家庭科で採用されたのだけれど、今、美術で。そうすると毎月美術の方の研修会に行って、プロパーの方から御指導を受けるというような環境は、千葉県内のどこでも整っているような状況です。

【村上委員】
   北海道レベルの話になりますが、14の管内に分かれているのですが、管内ごとで教科の研究会をやっているのですけれど、管内によっては教科のそもそもの教員数が研究会レベルになっていないという状況で、研究会の組織自体が出来ていない管内もあって、その辺でOJTといいますか、ふだんの研修機会というところに課題を感じているものですから。
   ありがとうございました。

【加治佐座長】
   いかがですか。
   では、寺園さんと、それから続けてお願いします。

【寺園委員】
   鹿児島県も離島が多いので、なかなかサポート体制を整えることは難しい状況かと思っています。今のお話でいえば、例えば美術と音楽と持っていて、本来音楽の先生が美術の先生になったときには、それまでの間に専門性を高めていなければ、熟練していない者が美術を教えるという状況になって、教えることになった後に勉強会に参加するという状況になるということでよろしいのですか。
   もう一つ、大学推薦選考という長野県さんのお話ですけれども、両方の県とも大学が卒業要件にするというのは、かなり学生にとってもハードルの高いことで、実際にそれをされるということは、学生にとってもメリットがある。つまり採用されるときに、複数免許を持っている者が優先して採用されるということが、ある程度メリットとしてあることで、納得している状況に思えるのですが、例えば長野県さんの大学推薦選考の場合は、それは一つメリットになると思うのですけれども、県内にはほかにも大学はいっぱいあるわけです。そうすると、どの大学はお願いしますという指定を県教委がするところに、ハードルはなかったのかという点が少し気になるところではあるのですけれども、その点を教えていただけないでしょうか。

【加治佐座長】
   まずOJTから。

【日根野室長】
   例えば千葉県の方は、複数教科枠というのは、まだ始めたのが昨年度からでして、中学校の複数教科の免許を持っている人を積極的に採用していきますよといったのは、始めてまだ新しいのです。では、これまで複数教科を持っている方が現場にいなかったかというと、いるわけで、そのような方々は現場の誰でも彼でも、20年選手に、あなたは家庭科の免許を持っているからやりなさいよとは、なかなか言えないわけで、そこで必ず管理職が、その人の指導力等を見て、指導をお願いしていきますし、大体二つの免許を持っている者は、管理職というのはまず学校内での教科の教育課程を配置する際に、まずそこに目を付けますので、その人が出来るか出来ないかといったところは比較的若いうちから、この人は二つ出来る器用な方だということで、だんだんサブの方もプロフェッショナルになっていく。
   私は昨年度まで管理職だったのですけれども、そのようなイメージで捉えています。ですから、何年かたって急にというのは、余り想定されないのではないかと考えています。

【濱野主幹指導主事】
   大学推薦選考における、大学の指定に関するご質問だったかと思います。この制度をスタートする時点で、もちろん長野県内には幾つかの大学がございますので、教員免許の取れる大学につきましては、要件を満たし得る可能性があるかということについては、全て確認をさせていただきました。これは長野県内のみならず、長野県近隣の都道府県についても、長野県の教員採用選考をこれまでに受けた方が比較的多い大学を中心に、このような大学推薦を行ったときに、そのような免許取得ができる可能性があるかどうかということについて確認をした上で、これまでの実績等を鑑みながら、長野県教育委員会で人数等も含めてお願いをしているということでございますので、年度に応じて、そのあたりについては見直しをさせていただいているところであります。

【加治佐座長】
   現在は、その推薦ができる大学というのは幾つぐらいあるのですか。

【濱野主幹指導主事】
   全ての大学に当たっているわけではありませんので、何とも申し上げにくいところでありますが、長野県の採用選考を受ける方が多い大学につきましては、今現在八つくらいの大学はそのような学生がいる可能性があるということです。

【加治佐座長】
   ですから、大学は指定していないのですね。指定しているのですか。

【濱野主幹指導主事】
   最終的にはこちらで判断して、指定をしております。

【加治佐座長】
   それは募集要項とか、そのようなことは出ているのですか。

【濱野主幹指導主事】
   出ております。長野県教育委員会が指定した大学と記載してあります。

【寺園委員】
   ありがとうございました。今、授業ができるためには、相当免許状主義で、結局教科、校種の免許があれば1種、2種にかかわらず授業はできる状態という前提があって、採用する側はそれについて公平性が求められるというように若干思うのです。したがって、希望できる状況は当然間口は広がっているのでしょうけれども、採用人数が非常に多ければよいのですけれども、非常に少なくなった段階で特別選考であったり、大学の方の推薦という枠を指定することで、全体的に説明をする場合に、どのような説明をすればいいのかなと思ったものですから。これは質問の意図がそのような意図です。

【加治佐座長】
   いかがですか。それでは、松本さん、お願いします。

【松本委員】
   丁寧な説明ありがとうございました。埼玉県の松本でございます。千葉県、それから長野県、千葉大学、信州大学の方で小中の免許、あるいは中学校で複数免許を取らせていただいているというようなことで、大変ありがたいことなのだなと思います。
   ただ、学生が、それぞれの都道府県の採用試験等を受けるときに、こちらが意図したような形で受けてくれない場合が多いのではないかと感じることがあるのです。もう少し詳しく言いますと、小学校の免許と中学校の技術の免許を持っていた。県教委としては、中学校の免許を持っているならば、技術の免許を持って受けてくれるとありがたいなと思うのだけれども、小学校に行ってしまう。あるいは中学校の複数の免許、例えば数学と技術を持っていたとすると、数学に行ってしまう。先ほどの教科の専門性の担保ではないのですけれども、最初に受けたところを最優先に県側としては採用しますから、そういったところ、育成の段階に起きますから、どうしても副免といいますか、技術の部分が磨かれないという状況が起きてしまうのです。埼玉でも、そのようなことがかなりあります。初めから技術で採りたいのだけれども、そうすれば技術の指導力、質が担保できるのですが、小学校に行ってしまうと、なかなかそれが担保できない。数学に行ってしまうと、技術が担保できないというようなことがあるのですが、その辺のところは、大学さんと県教委さんで多少連携をしているとか、そのようなことはあるのですか。
   埼玉の場合は、まだそこまで行っていないのですけれども。

【藤川教授】
   では、千葉大学について申し上げます。第2免許制度を導入する以前は、中学校教員養成課程の学生が小学校を受ける事例が非常に多かったのです。当然、複数免許を取ることを推奨しておりますし、学生としては受かりやすい方に受けたいということがあるので、当時、小学校の方がかなり合格しやすかったということもございまして、おっしゃるように小学校を受ける者が多ございました。
   第2免許制度は、中学校課程のものは中学校でやってもらいたいという願いで導入した部分がございまして、小中、小も取る者もいますが、基本的には中学校2教科取りますので、そうすると中学校でやっていこうという意識はかなり高くなるようでございまして、今でも小学校に行く者は多少いますが、多くの者が、千葉県では中高なわけですけれど、中高で受けるというようになっています。
   また、教科については、主免許が1種で、第2免許が基本的に2種で、希望する者は1種も取れるのですが、大体9割以上の人が主免許の方で受けているようでございます。その結果、もともとは入学者が7から10というバランスなので、それぞれ数名ずつぐらいは、ほぼ千葉県の中高の各教科で採用されているということになっているかなと思います。
   大学としては、とにかくバランスよくいろいろな免許を持った人を、それなりに輩出したいということで、千葉県と意見交換をしながら進めているので、何となくは出来ているかなとは思います。

【茅野教授】
   信州大学教育学部の場合は、先ほど申しましたように、小学校1種と中学校1種を取っている場合に関しては、どちらが主かといわれると、苦しいところがございます。例えば教育実習に行くときに、どちらの方から行きますかという順序性はどちらかに決めなければいけませんので、例えば小学校の方を先にやり、その後、中学校に4年次になってから行く学生さんもいれば、3年次のときに中学校を先にやってから、その後4年次に小学校という、これは順序性はどうしても生じてしまいますけれど、それで例えばその学生さんがどちらを希望して行くかというのは、そこまで我々は追えていないというか、学生はニーズに応じてそれぞれ受験しています。
   途中でも申しましたように、もし長野県の採用試験を受けた場合には、入り口が例えば小学校で合格をしたとしても、その後の異動でもって中学校に移ることもございますし、逆のパターンもございます。
   ですので、一概にこちらになってしまったのだけれど、それでどうなるのですかということはいえないというのはあります。ただ一方で、途中で話題になりましたように、小学校に行っている間、中学校の免許は教えていないわけですから、その専門性はどう担保するのかというのは課題になるかと思いますが、長野県の中では、それぞれの教科に応じた研究会というのは、公的な研究会とは別に、同好会という形でもって研究会が行われています。そういったところに参加しながら、そこには小学校も中学校の先生も両方参加しますので、情報交換をしているというのが実態かなと思っています。

【加治佐座長】
   ちなみに、免許更新制がありますが、その仕組みを説明してほしいのですが。今、二つ教科の免許を持っていて、一つの教科を担当しているケースが多いということです。そうすると、もう一つの教科を担当するときには、質保証をどうするかということなのだけれど、免許は更新制ですね。更新制でこの教科の扱いはどうなっていますか。

【長谷教員免許企画室長】
   御指摘のように、免許というのは10年間の有効期限が付いておりまして、10年ごとに免許状の更新講習というのを受けないといけないということになっております。それで30時間の免許更新講習を受けましたら、それによりまして全ての免許状が一気に更新をされるということになっておりまして、それでそれぞれの更新講習の内容としましては、基本的に必修の領域につきましては、教員に横断的な、例えば教員としての自覚ですとか、そういったことを促すような内容になっておりますし、あと、選択必修につきましても、例えば学校に関する課題ですとか、教育相談、進路指導といったような、大体いろいろな教員の先生方に共通するような課題というものを選択必修の中でもお願いをしております。
   あとはそれぞれの教科の専門性ですとか、興味関心に応じて受けていただくのが選択領域というところになるのですけれども、そこでそれぞれの教科ですとか、御関心に応じた科目を受けていただくということになっております。

【加治佐座長】
   分かりました。そのようなことですね。ですから、今お話があるように、更新制は現代的な課題に対応する。新しい課題が次々出てきますので、それに対応するということが主目的だと思うのです。ある先生が複数の教科、小中かつ複数の教科の免許を持っていた場合は、全て一括で更新されていくということですね。
   だから、そのようなことになると、更新制というのは必ずしも二つ目の教科の質保証を制度的に保証するものであるとは言い切れない。

【藤川教授】
   一つ目もそうだと思います。更新講習というのは、教科の内容は必須ではないのです。

【加治佐座長】
   そこは確認した上での対応ということになると思うのです。

【佐藤教職員課長】
   今の座長のおっしゃるとおりなのです。そこを、今、長谷から申し上げましたように、選択やら選択必修やら、その中で自分の弱い部分をいろいろとサポートしてもらえるような形で利活用していただければと。
   ただ、そこは十分マッチングが今出来ているかというと、受け入れのコース設定であるとか、あと時間がお忙しくてとか、そういったところで十分今の更新講習が、そのような先生の副免にしても、主免にしても、サポートし切れているかというと、もう少し考えていく必要があるかなということはありますし、ニーズをもう少し幅広く拾い上げて、受けたい先生が受けたいときに、できるだけスキルアップのために、若しくは自分の副免の質の維持のためにいろいろと活用していただきやすいような環境というのを、いろいろ我々も考えていく必要があるかとは思ってございます。

【加治佐座長】
   分かりました。第2免許というか、副免の質保証ということが、今、非常にポイントになっているということです。
   それでは、ほかの話題で。本図さん、山本さん、それから富所さん。

【本図委員】
   少し視点を変えてというところで、お尋ねしたいと思います。丁寧な御説明ありがとうございました。茅野先生と藤川先生にお尋ねしたいのですが、ややお尋ねしにくいところではございますが、教科の専門性と大学内の人的配置という点で、音美体と、それから今話題になっています技術家庭科、先生方の大学では、専修免許も取れるのですか。今後もそれは維持されていく御予定なのですか。

【藤川教授】
   当然ながら、大学院教育にも力を入れておりまして、今のところ全て学部で出しているものについては専修免許に対応しておりますし、今後も、許されるのであれば大学院をむしろ拡充したいというのが私たちの考えでございまして、専修免許について、減らすということは考えておりません。

【茅野教授】
   二つあるかと思います。一つ目は、修士課程は基本的に全ての教科で専修免許状を、それぞれの教科に応じて出しています。もう一つ、教職大学院がございます。こちらの方は教科という形では現在の体制としては出せなくて、教職に関する科目というものを満たすことによって、専修免許状を出しているという形になります。
   以上です。

【加治佐座長】
   よろしいですか。
   それでは、山本さん。

【山本委員】
   現場の立場から伺いたいのですけれども、今日丁寧に説明していただいて、教育学部の学生に対して複数免許取得のための養成課程、大変制度を整えていらっしゃるということで感銘を受けました。
   ただ、現場の立場で見たときには、実際には中学校の現場では他学部、教育学部ではない学部の出身者というのも相当数おります。例えば、希望する他学部の学生さんに対して門戸を、複数免許の取得ということですけれども、開いていらっしゃるのか。あるいは、可能性はあるのかというところを伺っておかないと、これから今の現場の配置のことを考えると、教育学部出身者ばかりではないということを不思議に思っていることが1点。
   それから、免外よりは複数の免許保有者の方を養成をしていただいて、今日的な課題の解決にはなっていくのだと思うのですけれども、長野県の教育委員会さんから説明を受けているときに、兼務ができる計画的な体制づくり、あるいは信州型のコミュニティ・スクールの活用ということがあって、主たるスキルを深めていくということと、それからもう一つ、複数の免許によって課題解決をしていかなければいけないということと、今、両面取り組んでいらっしゃると思うのです。
   ただ、負担になっている、負担を抱えるというのは、どうしても想定されることですし、全日中の立場で地方の方々に伺ったときに、驚くほど現場では対応しているのです。余り不満の声も実はなかったのですけれども、ただ大変な思いはしているということは声として上がってきますので、できればこの方向が、頑張る人や二つ以上免許を持っている方への負担が増える方向で何とか課題解決をしていくばかりではなくて、負担減を図る方向で長期的には考えていかなければいけない。
   何を言いたいかというと、制度を整えることも重要だけれども、現場レベルで見たときには、教育の質を高めていくためにはどうしたらいいかという視点も絶対必要かと思いますので、できれば二つの大学さんの、先ほど申し上げた他学部に対する学生への対応ということと、それから長野県さんで是非お願いしたいのですけれども、専門性を高めること、あるいは今後の方向性というところで、もう少し詳しくお話しいただけるとありがたいと思います。

【藤川教授】
   他学部出身の者に関してですが、まず前提として、今、教員養成系学部の小学校教員養成へ重点化について文科省から示されていまして、非常に悩ましく思っています。これは是非ここで声を大にして言いたいのですけれども、このように中高の教員養成についても、教員養成学部でないと出来ないことは多々あるのですけれども、なかなかそこが一部で御理解いただけないようでして、かなり以前の改革のときにも、中学校教員養成課程は本当に要るのですかと、かなり言われて、そのような話を県教委等にも申し上げたところ、絶対教育学部でやってくれというお話をいただいて、何とか維持しているようなところでございます。
   どうしても中高については、どこの学部でも採れるではないかという議論が多くのところでいわれてしまっておりまして、危機感を抱いております。
   実態として千葉大学でも、文学部、理学部等の幾つかの学部で免許を出しておりまして、年間100人近くの者が中高免許を取って卒業いたします。ただ、カリキュラム上というか、もともと学科ごとに設置されている免許が限られておりますので、基本的に複数教科で取る者はほぼいない状況です。ウルトラCのように、ほかの学科の科目を重ねて自分で申請すれば、制度上取れなくはないのですけれども、ほぼそのような者はおりません。
   ただ、大学院に他学部から来る者も相当数おりまして、教育学研究科の修士課程では教科教育などを行う者について、教科の枠を超えた学習を多く行わせております。その結果、学部の授業なども改めて取って、二つ目の免許を取る者はそれなりにおります。これは教育学研究科の修士課程や教職大学院の学生が、教員免許取得のために学部の授業を取ることについては、科目等履修生という制度を利用するのですが、その費用は無償にしているのです。そのようなこともございまして、二つ目の免許を取る者は相当数いるという状況でございますので、千葉大学としては大学院も含めて考えて、学生のニーズに応じて必要な免許を出していくという考え方でおります。
   ただ、2教科の免許を取らせるのは、中学校教員養成課程を中心であることは間違いございません。
   以上です。

【茅野教授】
   信州大学教育学部の場合は、他学部から、もし教育学部の授業を受けたいといった場合には、基本的には審査が入ります。他学部受講というものを認めていいかどうかというのが入ります。ですので、それを認められれば出来るわけですが、これは現実的に、先ほどお話にありました、他学部から教育学部に来て履修できるかといったら、ほぼノーと言わざるを得ません。なぜかといいますと、先ほど途中で申し上げましたように、教育学部は単独キャンパスでございます。例えば人文学部ですとか理学部がある松本とは、約70キロメートル離れています。かなり近い工学部であっても、長野駅を挟んで正反対側にありますので、そのような実情ですので、他学部からは事実上ほとんどないと考えていただければと思っています。

【濱野主幹指導主事】
   お願いします。県の教育委員会の立場で若干補足させていただくと、当然のことながら、合格者にはかなり多くの教育学部以外の方も含まれておりますので、今回は中学校の複数免許所有者にかなりフォーカスした議論になっていますけれど、実際のところ、そのような方たちばかりではないということで、当然、教員採用選考の結果を踏まえて、特に人物的な部分については大事に評価しているところであります。
   それから二つ目の、特に複数免許を所有している教員の負担というお話もございました。複数免許を所有している人がどのように勤務しているかというパターンとしては主免のみで勤務している状況、副免のみで勤務している状況、及び主免と副免を両方とも教えている状況があります。主免のみ、副免のみについては、一つの教科を持っている方とほぼ同様でありますし、副免のみという状況の中で指導力に不安のある場合には、先ほど申したような研修を用意しているというところであります。
   主免と副免を両方とも教えている場合もございますが、これについては学校体制の中で時間数又はそれ以外の校務等中での負担軽減ということも考えられます。個人的な話になりますが、私は信州大学の教育学部の卒業で、複数の免許を所有しており、採用されたのが副免教科の方での採用でした。自分なりに非常に苦労したところもございますが、長野県の中のいろいろなシステムの中で育てていただいて、先に副免教科の指導の自信が付いたという状況でございました。その後、主免教科も教えられるようになって、ちょうど今申した、主免と副免両方を教えた期間が約8年間ございました。自分が複数免許を取り、複数教科を教えた立場で言いますと、先ほどから出ていますように、副免の教科を教える状況、それを学ぶ必然のある状況にならない限り、副免教科の研修をしたいという気持ちはなかなか湧いてこない。これは正直なところであります。
   ですので、人事的な配置の工夫や、又は学校内の工夫の中で、少なくとも2校目くらいまでに副免教科の指導をしないと、自分が学んだ時期からどんどん離れていってしまうので、副免教科を指導することが難しくなってしまうかなと思います。そのような点でいえば、早い段階で副免教科の指導をする場面があり、それについての問題意識とか、自分の状況が分かって研修等を利用していける、そのような状況になることが望ましいと考えています。

【加治佐座長】
   ありがとうございました。
   富所さん。

【富所委員】
   どうもありがとうございました。今の山本さんの御質問に重なるのですけれども、皆さんのお話をお伺いしていて、複数免許の取得の促進が、免外を減らしていくための一つの力になるのかなということを非常に感じました。一方、大きな課題となってくるのが、過重な負担だと思います。
   先ほどのお話の中でも、校長先生の立場からすると、複数の免許を持っている教員というのは割と目に付くという話がありました。ただ、ユーティリティプレーヤーがいるから、その人に全部お願いしましょうという形で、免外を減らしていく形でいいのかは、議論が必要なところだと思います。
   先ほどの千葉県教委さんの発表の中にも、複数免許を持っていても、実際に2教科担当していない方もかなり多いというお話がありました。ですので、複数免許を持っている教員が実際に複数教科を担当するに当たって、どのような負担軽減策が考えられるのか。若しくは、現在複数教科を教える教員が在籍している学校では、どのような対応をとられているのかを、それぞれ千葉県教委さんと長野県教委さんにお伺いしたいのですが。

【加治佐座長】
   時間も迫っておりますので、簡潔にお願いします。

【日根野室長】
   分かりました。先ほど正に申し上げましたとおり、採用即複数免許はゼロでした。というように、まずは様々な要件を学ばなければいけない初任者の負担を考えているということ。
   それから、どうしてもそのようなことをお願いしなければいけないときには、授業時数を軽減する。それから再任用教員とか指導教員として入る場合もあります。そういったようにしてサポートというのはいろいろな形で行っているということで、御理解いただければと思います。

【濱野主幹指導主事】
   お願いします。長野県におきましても、今、千葉県さんの方でおっしゃったことと、ほぼ同様だと考えております。とにかく新規採用の段階での大きな負担が離職率にもつながる部分もございますので、そのような点について、本当に初任の段階については、かなり丁寧に配慮している部分もございますし、先ほども申したように、もちろん授業の持ち時間数のことも当然でありますが、それ以外の校務の部分も教員にとって非常に大きな部分でございますので、そのような点については、それぞれのところで過重な負担にならないように配慮して進めていただいているのが、今の状況につながっているのではないかと思っております。

【加治佐座長】
   それでよろしいですか。
   それでは、川上さん。

【川上委員】
   兵庫教育大学の川上です。御発表ありがとうございました。少し視点が変わる部分かなと思うのですが、教員養成に携わる大学の人として、気になった点をお話しいただければと思うのですが、信州大学さんの方の資料で、実際の取得している免許数、かなりリアルな数が出ていたかと思います。1点、事実確認としては、千葉大学さんの方の中学校教員養成課程、卒業要件126で、要件内で、この二つがきれいに収まるものなのか、実数がどのくらいなのかという話が1点です。
   それは事実確認としてなのですが、もう1点、両大学の御説明の中でもCAP制という言葉が出てまいりました。CAP制の導入自体が大学における学びの質を保証しましょうという文脈だったかと思います。空き時間に目いっぱいこま数を詰め込んで、1単位、2単位と称するに満たない学習量で単位を出すということを極力避けましょうと。授業の前、後の学習時間も含めて2単位、1単位というのを実質化しましょうという議論の中でCAP制というものが出てきたかに記憶をしております。
   そうした中で、信州大学さんの方で出していただいていたような卒業要件140で、マックスで200単位オーバー、平均しても160、170単位というのはかなりな単位取得量になる印象を持っています。CAP制を含めた単位の実質化、大学生の学びを実質化しましょうという議論との間に、恐らくかなりのジレンマというか、御苦労された部分があったのではないかと思うのですが、学内的にそれをどのように消化されていったのかという点について、少しお話が伺えればと思います。
   よろしくお願いします。

【藤川教授】
   では、手短に回答いたします。まず、事実的なことでございますが、卒業要件は資料の4ページにあるとおりでございまして、これで第2免許までの必要な単位数は全て入っておりますので、中学校の二つの免許ということに関しましては、卒業要件内で全て取得ができるようになっています。
   ただし、当然ながら小学校の免許を取るとか、2教科目を1種にするとか、特別支援を取るとか、そのようなことになりますと、これを超えて取りますので、多い学生は160とか170とかという単位数になることは事実でございます。
   CAP制については、私ども導入してまだ2年ぐらいなので、今状況を注目しながら対応を進めているところでございまして、学生の授業以外の学習時間などについて調査をしながら、まだ余り多くないので、どうやったら増やせるかという議論をしているところでございまして、当然ながら、現状余り進んでいないので、改善をしていこうというような段階でございます。

【茅野教授】
   先ほどCAP制の方で、200を超えているのではないかということがありましたけれど、これは最大数でございまして、該当する学生が何名いるのかというと、手元に細かなデータはございませんけれど、これはかなりまれなケースであって、そのような意味では、外れ値という言い方をしては大変失礼かもしれませんけれど、極端な例ではないかと考えております。多くの学生は卒業要件が143でやっていますので、それに合わせてプラス、あと高等学校の免許状も取っていくこともあったりして、プラスが加わるので、150とか、そのくらいで実際には済んでいるというのが実情だと思います。
   CAP制を設けているのは、お話があったとおり、質保証をやりたいということで、例えば我々は1日が5こまの体制で動いているわけですけれど、5こまぴっちりということはあり得ないだろうということは議論になっています。
   以上です。

【加治佐座長】
   それでは、もう時間になりそうなので、ここまでにしたいと思うのですが、よろしいですか。
   本当にどうもありがとうございました。千葉大学、千葉県、そして信州大学、長野県、本当に内容の濃い御報告いただいたと思います。簡単に感想だけ述べさせていただきますが、大学が教育委員会のいろいろな要望を受けられて、苦労していろいろ対応されているという様子がよく分かりました。複数免許取得は、当然免許法施行規則に規定されますので、最初の御説明があったように、おのずとどうしても単位が増えていくわけです。複数校種あるいは複数教科の免許を取るということになると増えていきます。ただ、現実は教育委員会の方がよくおっしゃるように、そのようなニーズが非常にあるわけです。
   川上さんが最後に言われたように、質保証ということが問われます。開放制もそこには絡んでくるのですけれども、他学部の問題もおっしゃいましたけれど、それも絡んでくるのですけれど、一つは、これは言ってもしようがないですが、あえて言いますけれど、免許制度の在り方を抜本的に見直すということをしないと、単位数という問題の根本的な解決にはつながらない。ただ、これはここの任務ではないと思います。
   今の制度内でいろいろ工夫して、やらなければいけないと思います。そのためのいいガイドラインが作れればと思うのですが、もう一つの視点としては、先ほど大学院に来られた方が、新たに学部に行って他教科の免許を取るということも言われましたけれど、そのようなことも既に我々もそのような事例はたくさん知っていますので、4年間ということだけではなくて、教員養成というのは5年とか6年とかというところまで含めて考えていかないと、恐らく今の制度の中では、この問題には対応できないと思います。4年間で小中を取り、特別支援を取り、更に複数教科を取るなどというのもありましたけれども、そのような事例もないわけではないのだけれど、すさまじいことです。そうすると、履修期間を長くすることも、一つの視点としてはあり得るのかと思います。
   だから、大学が現在の制度でも、そのような取組をしようと思えば出来ますので、そういった方向があるのかなと思いました。
   それから二つ目は、現場の方で副免許の質保証といいますか、それに非常に苦労されている。それに絡んで、負担軽減です。こちらもいろいろ取り組んでおられていることは、これまでもあったのですけれど、今日もよく分かりました。本当にいろいろ苦労されていると思います。
   だから更新制も、その観点からいうと、もう少し工夫があってもいいのかなという気がします。ガイドラインにも、全体としてそのようなことを書き込めないのかなということを思います。
   それからもう一つは、負担軽減も大事なのですけれども、何らかのインセンティブを付けないと、複数持っていても、もう両方やろうというようにはなかなかいかない。現実には二つ持っていても、一つしかやっておられない方がたくさんいるわけです。何らかのインセンティブというのを、インセンティブは何なのかということはありますけれども、今、働き方改革もありますけれども、あれも絡んで、待遇とかの面でもそれなりの考慮をしないと、これはなかなか難しいというのは分かります。働く先生の立場に立ってみると、それはそうです。それは分かります。だから、そのようなところもガイドラインに書き込めれば書き込んでいいのかなと思ったりしたところです。
   どうも、本当に有用な報告と、それからいろいろな御質問、御意見をありがとうございました。
   それでは、これにて終わりたいと思うのですが、今後の日程について、事務局の方から説明をお願いいたします。

【長谷教員免許企画室長】
   第4回につきましては、今、調整中ですので、日時、場所につきましても、後日御連絡させていただきます。

【加治佐座長】
   それでは、どうも本日はありがとうございました。どうもお疲れさまでした。


―― 了 ――

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