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全国的な学力調査に関する専門家会議(平成29年6月12日~)(第2回) 議事要旨

1.日時

平成29年8月31日(木曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 東館15階 15F特別会議室

3.議題

  1. 平成29年度全国学力・学習状況調査の結果公表について
  2. 平成28年度全国学力・学習状況調査における経年変化分析調査の結果公表について
  3. その他

4.出席者

委員

耳塚座長、福田座長代理、片平委員、鎌田委員、齋藤委員、柴山委員、清水(静)委員、清水(美)委員、鈴木委員、髙木委員、田代委員、垂見委員、土屋委員、戸ヶ﨑委員、長塚委員、針谷委員、淵本委員、吉村委員、渡部委員

5.議事要旨

議事1:平成29年度全国学力・学習状況調査の結果公表について

・資料1-1、資料1-2に基づき、事務局より説明の後、各委員より意見を伺った。主な意見は以下の通り。


【委員】
質問紙調査について。主体的・対話的で深い学びの視点による学習指導の改善に関する状況について、新しく学習指導要領が改訂されたことを意識して各学校で授業改善を行っている成果が出てきているのではないか。

【委員】
先生方に対する問いと子供に対する問いで、先生方の認識と子供たちの認識との間にずれもある。学びというのは自覚を持つことが非常に大事だと言われているので、子供たちがよくできたと自覚を持てるような授業改善が求められていくのではないか。

【委員】
既に、新しい学習指導要領に書かれた主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善が行われているということを今回認識した。自己肯定感については、自己肯定感が高いほど平均正答率が高い傾向にあるが、教育再生実行会議の中では、子どもの頃の体験活動が多いと自己肯定感が高い傾向にあるといった関連を言われており、学力、自己肯定感、体験活動のそれぞれの関係など、関心を持っている。

【委員】
教科の立場から見ると、問題も非常によく工夫されて、子供たちの実態をうまくつかまえていると思う。その一方で、例えば中学校1年生で勉強している内容について、3年生の出口で調査が行われる仕組みになっているので、1年生や2年生がどういう学習状況にあるのかということも併せて見てみたいと思っている。学力調査の仕組みとしては、調査対象は小6と中3となっているが、そこに至るまでの過程にも少しメスを入れてみたい。調査自体の仕組みもまだ工夫できるところはあると思う。

【委員】
質問紙の項目で、自分の考えを深める、あるいは高めるというのは従来から強調されているが、その前に、きちんと自分の考えを持てているかということが気になる。中学校の数学の記述式問題で、無回答率が高値安定という状況にあることから、考えを深める前に、自分の考えを持とうとしているのか、持てているのかをえぐり出すような工夫が必要。

【委員】
教育において数値的エビデンスを見るときのコツとして、全国学力・学習状況調査は、一つ一つの分析的な視点にほぐして数値化することによって客観的な見方ができるというところに特徴があると思うが、逆に一つ一つを分析的に個別に見るものだからこそ、一つの数値が悪いからといって、そこのみに集中するのではなく、現場の先生方には、全体的なことを広く見通しながら、データを利用していただければ良いと思う。

【委員】
学校の先生方の取組が成果として表れてきている結果だと思う。子供たちの学力を伸ばすという施策に対して力を入れていただきたいという本音はあるが、今、教職員の勤務時間が問題化されている中で、うまく効率的に伝えるという観点も持って学校現場に指導いただけたらと感じている。

【委員】
結果の公表内容を一面的に捉えるのではなく、学校と教師が、子供たちが自分自身をつくるためにはという視点で深い見方ができるようになることが望ましい。正答率のみを見るのではなく、子供たちがいかに人間として成長していっているか、そのための自己理解をどう深めていっているかという視点で、子供の育ちを見なければならない。同時に、これを授業改善にどうダイレクトに結び付けていけるのかということが非常に大事である。

【委員】
調査結果に関して、質問紙項目と関係性が深まってきている、あるいは高まってきているという結果がほとんどだが、「当てはまらない」とか「そうは思わない」という変化していない項目に関しても検討する必要があるのではないか。また、調査問題等に関しては、問題作成の意図を本専門家会議と十分に共有しておくと、分析結果の考察が更に良いものになっていくのではないか。

【委員】
得点だけを公表するのではなく、どういうところができて、どういうところができなかったかについて、絶えず繰り返し伝え続けることが必要だと思う。総合点で見ることはあまり重要ではなく、細部に渡って見るという習慣を付ける必要がある。また、総合得点に関連して、得点だけではなく、どのぐらいの点数の子供が多くいたのか等につき、公表する必要はないと思うが、何らかの形で伝えられれば、より充実した情報になるとの印象を持った。

【委員】
そもそも発達の状況に応じた作題がうまくいっているのか疑問に感じた。それと連動して、問題を作成する立場と教える立場とに乖離があるのではないかという印象を持った。
また、指導につながる実態を把握するには、教員調査を通じて、個別具体的な指導に生かされるような調査・分析になるのではないかと思った。

【委員】
今回、主体的・対話的で深い学びについての結果が良かったということだが、具体的な取組方法について共有がなされていないと、回答を甘くつけたり、逆に辛くつけたりするところがあり、ブレが生じる。授業公開の日常化や、協働による自主的な授業研究を行う学校が力を付けるという検証も重要である。
全ての問題とは言わないが、多様な答えがあるものについては、できるだけたくさんの誤答と正答を(答えのバリエーションの全国の様子)出してほしい。
来年、公表が7月になるのはとてもありがたい。7月であれば2学期の授業に生かせ、いろいろな研究会で活用できるのでうれしく思う。

【委員】
公表の時期だが、今年8月中に公表いただき大変ありがたい。ただ、8月の後半からは学校が始まっているので、もう少し早く結果を頂ければなおありがたい。
一つ一つの質問紙とその結果をどこまで見ていくかという点は課題であると思う。今回示された主体的・対話的で深い学びの視点による学習指導の改善の調査結果については、学校の認識と子供の認識とのずれがある。このずれの要因については、これから見ていく必要がある。また、学校としては、主体的・対話的で深い学びがどういう授業スタイルなのかがまだあいまいで分かりにくいとしている中で、先生方が工夫をしている段階だと思う。

【委員】
授業アンケート評価を行うと、先生は双方向的に行っていると言うが、生徒は自分からはあまり主体的に行っていないと言い、いつも差がある。日本の子供たちの特質なのか、全体として主体的になるにしてもどこか遠慮してしまうようなところがあるのではないか。その点に関して、自己肯定感が高まっているというのは非常に良いことだと思う。正解だけでない答えを自分で引き出していくことにもっと積極的になるためにはどうしたらいいかということに、先生たちや学校ももっと注力する必要がある。
部活については、学習以外のところでの主体性を引き出しており、とても大事である。

【委員】
解説資料、学校ごとの結果が収録されたDVD、報告書、授業のアイデア例が全学校に渡っていると思うが、ネット上にアップされている報告書と解説資料は、学校に1冊でもいいのではないか。アイデア例は全教員の手に渡るように検討してはどうか。そのアイデア例を活用した「How to」研修だけでなく、解説資料にある課題や報告書の結果から、何をすべきかという「Wat to」研修こそ充実させていくべき。そのために、業務改善や効率化の視点から、教員研修センター(NITS)の動画配信のように、全国学調の解説等の動画配信とそれを活用した校内研修パックを開発したらどうか。

【委員】
今年度の学力調査の問題も非常にいい問題だと感じた。
国語や算数・数学では、問題文あるいは資料の内容を理解できているかという読解力を問う一方、質問紙調査の文言を100%理解できているという前提の下で質問紙調査を行っているわけだが、これだけ長い文章を理解できる子は恐らく学力層が高い子であろう。そういった視点でもう一度、質問紙全体を見直すことが必要ではないか。

【委員】
報道でトップページに出るのは、平均正答率、そして県の比較である。そもそも比較の単位が県というのが妥当なのかというところを問うこともできるし、平均正答率を比較するからには、各県内の正答率のばらつきも併せて考えるという視点が重要で、それをメディアがトップで取り上げるくらいの発表の仕方が重要だと思う。
また、この10年、経済状況や就労状況の変化がこれだけあった中で、当然保護者調査がないと十分には把握できず、そのための保護者調査だということも理解しているが、やはり毎年の学力調査でも学力格差の程度を把握し、発表することが重要だと感じる。

【座長代理】
この調査は実態をいかに正確に捕捉できるかということが前提となるため、調査に当たっては、ある程度、国として、同じような条件の下で皆さんが取り組んだその成果であることをまずしっかりと押さえておく必要があるだろう。
結果の公表を早期化していくという取組に関しては、是非推進していただきたい。
何を公表するかということに関しては、調査結果から何を皆さんに訴えていくかということについて、検討していくことが必要ではないかと感じている。
また、学校の担任や管理職だけでなく、全員がこの結果を共有して改善に努めていこうというメッセージを強く出していってほしいと願っている。

【座長】
情報の受け手として今回の公表を見ると、指導改善の方は別だが、調査の大きな目的の一つになっている国としての施策の検証について、発信力が不十分ではないかと思った。
政策課題に関する事柄については、状況把握のツールとして質問紙上の工夫も必要であり、今後検討していかなければならないと思った。
全ての施策の検証をこの全国学力・学習状況調査だけですることができるわけではなく精密検査に該当するような別立ての調査も必要になってくる。重要な政策課題であればあるほど、そういう別立てのものもやっていかなければ、施策の検証にはならないと思う。    
この会議の課題はまだまだ多く、例えば平成30年度変更されるデータ返却方法や学力を多面的、多角的に見ていく上でのデータの見方についてのメッセージもある程度は工夫していかないと、相変わらず平均値だけで見られてしまうことにもなりかねないと思う。

議事2:平成28年度全国学力・学習状況調査における経年変化分析調査の結果公表について

・事務局より、資料2-1に基づき、事務局より説明の後、意見交換が行われた。主な意見は以下の通り。

【委員】
この経年変化分析は、悉皆調査とは見ていただく角度が違うということを申し上げたい。
学力の経年変化というのは経済指標の変化ではない。経済指標は、非常に敏感な動きをするけれども、学力は本当に動かないものであり、異常なし報告が基本ということが重要。経年比較分析のデータは、毎年変化するのではなく、ずっと動かない中で、数十年かけてじりじりと変化していく、そういう見方をしていただかないといけない。そのあたりがまだまだ誤解があるというのが一つ。
また、今回、平成25年度と平成28年度の比較調査をしたが、平成28年度調査の方は、アメリカで1990年代に確立した方法を、20年後に何とか技術的に追い付いて導入できた調査である。平成25年度のときには、そこまで技術開発が進んでなかったため、そのときにできるやり方として、IRTではなくて、その以前の測定技術の古典的テスト理論を使っている。

【委員】
学力の定義が変わるとテストの作り方も変わる。経年変化を見ていても、そこを踏まえた上で結果を見ていかないといけないと思うが、その点、学力の定義を今からどうつなげていこうとお考えなのか、何か示唆を頂ければ。

【委員】
学習指導要領は、確かに各項目で見ていくと非常に変化は激しい。ただ、その裏側にある英語の力、国語の力、数学の力というのは、相対としてはそんなに大きく変わらない。学習指導要領が変更になったときにどう尺度を一定に保っておくかというのは、むしろ技術的な問題だと考えている。

【座長】
御指摘のように、10年、20年と、ある程度の時間的な長さを置いたときに意味を持ってくる調査かと思うけれども、全国学力・学習状況調査が始まったときから時系列的な学力の変動が捉えられないというのは弱点とされてきたことであるので、着実に継続をしていく必要があると思う。

お問合せ先

初等中等教育局参事官付学力調査室

(初等中等教育局参事官付学力調査室)

-- 登録:平成29年10月 --