いじめ防止対策協議会(平成28年度)(第6回) 議事録

1.日時

平成28年10月24日(月曜日)10時00分~13時00分

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. いじめ防止対策推進法の施行状況に関する議論の取りまとめ(案)について

4.出席者

委員

相上委員、愛沢委員、新井委員、石鍋委員、高田委員、實吉委員、水地委員、種村委員、田村委員、廣瀬委員、東川委員、森田委員、横山委員

文部科学省

瀧本大臣官房審議官、藤原初等中等教育局長、坪田児童生徒課長、松林生徒指導室長、丸山生徒指導調査官、山本専門官

5.議事録

≪議題(一)いじめ防止対策推進法の施行状況に関する議論の取りまとめ(案)について≫
 ※事務局より資料の説明。

【委員】  七ページの記載で、前回の議論で就学前にこういうことをよく分かってもらうことは大事だよという話は十分に分かったけれども、幼稚園の場合には圧倒的に私立が多い。それから、個人立もある。宗教立もある。そういう意味では、幼稚園の設置者に対する徹底というのはなかなか難しいところがあると思うけれども、この辺のところは省としてはどんな方向性を考えているのだろうか。
【座長】  事務局、お願いする。
【事務局】  我々の方が想定するのは、就学予定の小学校が普通、年長の学年に対して健康診断もあるし、入学前のガイダンスなどもあるので、そういう機会をとらまえて、保護者と一緒の場面でいろいろとプログラムをやっていただくと。そういうことを実際少しずつやられているNPOとかと協力してやっているところもあると聞いておるので、飽くまでも主体は進学される予定の小学校なり、教育委員会が主体となってやっている。もちろん、幼稚園などの設置者とも協力する必要があると思うけれども、そういう支援する形でやるのかなと思っておる。
【委員】  一つは、学校基本方針なんだけれども、実際この中身について、二ページのところの新しく追加していただいた、達成目標を設定して、年間を通してどのように実施するか、取組結果を定めてくれということは大変いいことだと思う。ただ、実際、本県でもちょっと話を聞く範囲内では、やはり国の方針なり、あるいは県の方針なりを、基本的にそれをベースにしてそのまま作っているという例を聞く。
 なので、こういった内容がしっかりと盛り込まれるようにすることは大事だと思うけれども、ガイドラインにどの程度書いていただけるかによるのではないかなと思う。うちでは、研修のときに各学校の先生方から、それぞれの基本方針を持ってきていただいて、それを比較していただいて、どこが足りないのかとか、そういうことを議論していただくことも考えておる、今回こういった議論があったことを踏まえて。なので、それを実効性のあるものにしていただけるような内容にしていただければ、有り難いということが一点である。
 つまり、そういった具体的内容が、基本方針という名前自体が基本方針なので、何か基本的なことを書けばいいのではないかという、そういう誤解を招いているのではないかというふうにちょっと思うところがある。その辺を、行動指針を書くのだということもガイドラインに書いていただければいいのではないのかなと。これは、学校と教育委員会とは当事者としての立場が違うので、その辺のところを少し明確にしてもらえると有り難いのかなと思っている。
 あともう一つ、こちらが申し上げた件で、いじめの報告の件なんだけれども、六ページだ。このアスタリスクのところを付けていただいたことは大変有り難いんだけれども、一方で、その市町村でも、県でもいいんだが、行われているいじめの形態なり、あるいは対応なりがどのように行われているかというのは、やはり教育委員会なりでも把握をしたいということがある。
 もちろん、文部科学省において年に一回調査をしておられるわけであって、その結果はもちろん承知しているんだけども、うちの県では、学期ごとに対応なり、対処なりの結果なりを――件数だけでなくて、そういったものを実は頂いておる。それは、県の附属機関であるいじめ審議会の場で年に二回、その状況を踏まえて御審議を頂いておる。件数だけだと、そういった審議についても実情に応じた審議がなかなかできないということにもなりかねないので、こういうふうに書いていただくと、これでいいのだというふうにされてしまうと非常に、その真意が分からないので、的外れなことを申し上げているのかもしれないけれども、ちょっとその辺はお伺いしたいなと思っておる。
【座長】  今二点出てまいった。二ページの方だ。これは、恐らくもう少し砕いて書いた方が御理解しやすいかなと思うんだが、言葉が重なるので。前回、実は私がこれは申し上げたんだが、基本方針だけではなくて、その基本方針を具体化する目標、それは年間計画として。現在ある年間計画は、大体研修をここで行うとか、アンケートをここで行う程度のものであって、実際にはそれが組織としての機能を果たすような年間計画になっていないというところも散見されるので、年間計画の中で具体的に目標、方法――誰がどうやって、いつまでに、何を達成するのかという具体化したものを実施していくことが大切だ。
 つまり、基本方針は基本方針としながらも、それに基づきながら年間、年間でPDCAサイクルを回せるようにというのが大切なこと。その辺のところが伝わりにくいようだったら、文言を変えていただく必要があろうかと思うが、恐らくこれで書き込まれているようにも思われる。三年前の文部科学省の基本方針では、そのあたりはしっかり書き込んであると私も理解しておるので、その点を併せてお読みいただければいいかなと思っておる。
 それから、二点目のところ、先ほどの報告だが、これは事務局として御意見を求められておるので、説明を少しお願いする。
【事務局】  一点目についても、正に座長がおっしゃるとおりで、方向性として止まりなので、今後、これを国の基本方針なり、通知なりで具体化するときに、またちょっとこの協議会でお知恵を頂きたいと思っておる。その際、どこまで示すのかと。余り示し過ぎると、それに当てはめておけばいいんだとなってしまうのも、また主体性を失う。けれども、また任せ過ぎると、またまちまちになるという、その兼ね合いを御指導いただければというのがあるので、よろしくお願いする。
 次、今の件数の報告の方法である。我々も迷うところがあって、御意見を頂いて、確かにそうだなということで、これはちょっと重いものに重点を絞るという一つの考え方が現場のヒアリングで浮かんできているので、それをやる。しかも、軽微なものも見逃さないと。報告が大変だから、学校の中で少し限定して報告してしまうようなことがないようにということを踏まえて、件数のみでもという言い方で示させていただいているんだけれども。
 確かに対応とか対処の結果は、短期間だと途中経過になるかと思うけれども、どういう方向性で今対処しているかということ。これはレポート形式にすると、また負担が重くなるので、これを簡単に選べる形で、取り急ぎ月一でも得られるというような形で。これは、件数と言っているけれども、五W一Hぐらい、いつ、どこで、誰が、どういうことをしたか、プラスどのようなというところに多分対応が入ってくるのと、それにプラス、対処の結果とか、今の進捗状況みたいなことを簡単に選べる形でぐらいを収集するというのは、確かにその方がよろしいかなと。なおかつ、それ以上負担にもならないかなと思っておる。
 あと、ペースについて、学期ごとがいいのか、毎月がいいのかというのは、これもちょっと何でも短い方がいいという考え方もあるし、学期ごとの方が検証するスピード感としてはそれでもいいということもあるかもしれないので、それはちょっと御議論があるし、またちょっと御意見をほかの方からも頂きたいなと思う。
【座長】  ただいまの点に関して、ほかの委員の方々から、この報告ということに関していかがだろうか。
【委員】  報告ということは、今おっしゃったように、一定程度まとめてというようなことだと思うんだけれども、報告を上げるのは当面、期間内に上げなければいけないものとしては、確かに負担もあるので、件数とかというのもありだと思うんだけれども、意見でも書かせていただいたけれども、先ほどのお話だと、それが何件もあるとか、それがその後どうつながっていくかということがあるので、教育委員会に上げる当面のものとしては件数にしていくとしても、それを学内においてもちろん対処するとともに、個々のケースをきちんと振り返ることができるような把握をしておく。そうすれば、今おっしゃった学期ごとがいいかどうか、ちょっとその辺、私にはよく分からないけれども、そういった形でまとめた軽微なものについてどういう傾向があったみたいなことを報告し、検討していくためのこととして、学内で記録化されることが必要であろうと思う。
【座長】   学校側、この件に関していかがか。
 それでは、私の方からちょっと意見を。余り座長がしゃべり過ぎるとよろしくないんだけれども、御意見がないようなので。今、委員のおっしゃったこと、もっともなことだと思う。そもそもこの今の報告の前提だけれども、やはり軽微なものにしても、いじめと捉え得るものに関しては組織へ上がってくるわけだ。そこでいじめの認知を行い、あるいは対応を決め、いろいろな対策を講じていくわけだ。
 そのプロセスの中で軽微なものが上がってきた、報告が上がってきたときには、やはりそれを記録しておくことが大事だ。事実に関する記録と、それから組織がどう対応していったのか。この記録をしっかりとっておいていただかないと、例えばページ十三で、重大事態が発生したときにもそうだが、やはり学校の対応について調査が十分に行われていないというのは、行う方の側(がわ)が聞いても、それに値する事実が書類なり、メモ書きなりという形で残っていないというケースが随分ある。とりわけ軽微なものに関しての初期段階、重大事態に至る前の段階では、存在しない。重大事態に入ると記録は存在するんだけれども、それ以前の段階では記録が存在しないというケースが割に散見される。
 さらに、十ページで、いろいろといじめへの対処が書いてあるが、ここのところで保護者にも事実を正確に説明するということも非常に大事である。この保護者に説明するに当たっても記録というものをしっかりと、事実に基づいて、こういう事実がいつどこで、どうやって行われ、学校はこういうぐあいに対処したということを明記しておいていただくような記録なり、メモ書きでもいいが、そういうものを集積しておいていただくということがまず情報共有の前提になるだろうと思うんだ。
 それに基づいて、報告を軽いものについては件数のみにするかどうかという判断が、その後に伴ってくる。その前段階の記録を取ることを周知するように、ひとつ徹底するようにお願いできればと思っておるが、私の今の意見に関して、いかがだろうか。
 学校側、ちなみにいかがか。
【委員】  今、座長がおっしゃったとおり、記録をする、メモをするというのは、かなりここ数年、学校側でやられてきたとは思っている。ただ、全国的に調査したことはないので細かな数字は申し上げられないけれども、今座長がおっしゃったメモ書きでもいいんだよと、そこの部分をきちっと打ち出してもらうと、学校はメモは必ずと言っていいほどしている。
 ただ、それを記録と捉えていない場合もあるのは事実だ。記録となると、どうしてもパソコンできちっとまとめてやらなければならないという意識がある。だから、メモ書きでも集積しておくことで、それをその後まとめることでも十分対応できるということを伝えていただけるといいのではないかなと思った。
【委員】  今言われたささいなことでもというときに、それを最初にいろいろ理解されるのは担任の先生かなと思うんだけれども、どこの段階で……。先ほど言われたメモというのは、担任の先生が書かれるのかなと思っているんだけれども、どこの組織がきちんと書くのか。担任の先生か。それとも、いじめ対策組織が。いじめ対策組織まで上がるのは大きい問題かなと思ったりもするんだけれども。
【座長】  普通、通常だと、いじめと疑われる事案に関して、それを担任の先生が法に照らして、これはいじめに当たるのではないかと捉えられる。その捉えの事実を、まずメモ書きで書いていただく。これは、いつ、どこで、どういうことがあった、誰からどういうことを聞いたということは、ある程度の状況がしっかり分かる事実、そこへ至るどういう行為があったか、誰かがということも含めて、それを組織に上げていただく。
 そのメモ書きが組織でファイリングされていき、更に組織が少しその事実確認をされた場合、あるいは対応されていく場合には、こういう場合にはこういう判断で、この対応案はとらなかった。しかし、こういう対応は即時必要だったから、まずここから手を着けるという形でやっていかれる。そして、それが事実経過でずっと事実確認の進行の中で、また状況が変わってくれば、それをまたメモ書きでそこへ集積していかれると、こういうような手順になるだろうと思うんだ。
【委員】  その際、学校の先生方は教科の勉強もそうだけど、日常的な生徒指導とかいうことに関しても、いじめ以外のことも、そういうふうに保護者への連絡とか、いっぱいいろいろなメモをとられるのではないかと思うんだけど、いじめだけじゃない、今言われたようなことの対応というのは。
 それをとられていくときに、そういうことができる先生は既にしておられたりするのかなというふうに思えて、そういうことが気付かなかったり、難しいという方がおられるのではないかと。それを、そういうふうにとりなさいというふうに法律として押していくのかどうかということ。
【委員】  記録のとり方については、学校で違うと思う。ただ、今お話を頂いたように記録をしっかりとっておくということについては、明記をしておいていただいた方が有り難いなと。その明記の仕方は、担任の先生レベルでは、記録をとられる人もいるだろうし、口頭で報告をして、その後、それに関わる委員会で記録をとると。若しくは、学校によっては、うちなんかは委員会か何かで報告をして、記録簿に残しておくというのもあるから、是非そういう記録を。
 ただ、記録の中身をいじめの認知、又はその対応についてという、どういう点を記録するかということを明記していただけると、学校の対応がスムーズになるのかなと。ただ記録をとるだと、いじめがあったと同じで、それで終わってしまう場合もあるから、学校側のイメージとして、ああ、こういうふうに記録をとればいいのかなということは明記して。やり方については、周知を多分、こうやりなさいというのは難しいと思う。それは学校によってということでいいかなと。
【委員】  今の点についてだが、十ページの赤で追加していただいたところだ。弁護士などが、事実認定、その後、保護者への説明を行うということが、ここで明記された。弁護士の立場、事実認定をするという立場からすると、いつ、どこで、誰が、何を、どうしたかといった、五W一Hをしっかりととっておいていただくことが大事だ。
 先ほどのいじめかどうかというのは、評価の問題ではなくて、具体的な事実はどうかということがまず問題となる。最終的には、軽微からだんだん大きく発展するといった、そこの状況把握が非常に大事なことだと思うので。なかなか学校の先生方はそこの細かいところは難しいところかもしないけれども、最終的に保護者への説明なんかの場合には、事実経過はどうだといったところがどうかというところが一番、保護者の方が知りたいこととなる。事実関係の聴取というトレーニングが必要かもしれないので、そこはしっかりとしていただきたいなと思っている。
 聴き取りのメモがいっぱいたまってきて、例えば委員会、あるいは組織の中で事実整理をするときに、弁護士がそれを見て事実整理をするので、繰り返しになるけれども、どんなささいなことでも事実をしっかりと押さえていただくといったところで、記録をお願いできればと思う。
【委員】  やはり軽微なものでも、いじめ対策の組織で経過をきちっと見ていくということを決めたわけだから、そこに記録を集めるということを形として決めて、それでいじめ対策の組織が対応した経過をちゃんと残しておくという形を定めることが、落ちていかないようにできるのではないかなと考える。
【委員】  私もいじめの重大事態の背景調査とかをしているときに、今軽微という言葉が出たけれども、軽微という捉え方も問題がないわけではないんだが、そこへの対応の記録が残っていないということはたくさんある。それで、今皆さんのお話が出てきたように、当然担任はいじめだけではなくて、様々な児童生徒への関わりを実際にはしている。その生徒指導上の関わりをメモしている方と、メモしていない方に分かれる。
 じゃ、メモする習慣をどう付けるかというと、私は二つかなと思う。一つは、今おっしゃったように、組織へ上げると。だから、そこで組織で全てを議論するということではなくて、いじめ対策の組織の報告を受ける窓口をきちんと決めておいて、そこにこういうことがあったというのを、余り負担にならない事実を書く、それを上げるということを一つやるということが、大事かなと。
 それから、記録をとって自分の対応を振り返る、そういう習慣を付けていくという意味で言うと、やはり私は研修だと思う。それも、後で申し上げようかなと思ったんだけれども、十四ページに計画的に法の内容が位置づけられるようにということで、教員養成課程や免許更新、教員研修となっているけれども、併せて校内研修だと思う。校内で、実際にその学校で起きている重大なものだけではなくて、軽微と言われるものも含めて事案を取り上げて、模擬ケース会議みたいなものをやったり、そういうことを重ねていくことで、どこに着眼し、どこを記録として残し、どういう対応をすればよいのかということを、校内研修を通じてやっていくと。
 本当に時間がない学校で、学校によっては校内研修が年間一回とか二回というところもないわけではないんだ、今おいでになっている先生たちの学校はそうではないと思うけれども。一方では、悉皆(しっかい)の研修や体系的な研修はある。それはそれで大事なんだけれども、校内で起きた問題を事例検討したり、みんなで議論していくという校内研修、ワークショップ型の、そういったものをやっていくことが、体系的な研修と併せて必要かなと。そういうことが記録の充実というようなことにもつながるような気がする。
【委員】  いじめ対策組織でということだけれども、学校で実際にいじめ対策組織が開かれるのは、年何回ぐらいあるのか。
【委員】  事例ということで御報告するが、私どもの学校では月に一回、校長、教頭、教務主任、生徒指導主任、それから学習指導部長、養護教諭、教育相談室の室員ということで、月一回会議はある。それは定期的にやるということで、水曜日、私ども校務の委員会というのを毎週やっているものだから、その中に位置づけてやっている。
 そこでは、養護教諭のところに出てきた問題、各学年から上がっている問題、とにかく何でもいいから報告をし合おうよというふうにしているので。あとは、私がどう感知するかというか、認知するかという、私のセンスに掛かっているのかなと思うけれども、その辺は、そういう学校は多いと思う。
【委員】  月一回というふうに言われたので、小さいいじめとかいうところを、その月一回のときにこれをということでメモをのけていて、そこのところで提出するというので、ほとんど問題は過ぎているのではないかなという気がする。
 先ほど小学校の先生が言われたように、いろいろなことがその都度、校長先生とか、いろいろなところに随時話が来たり、朝礼で共有したりとか、そういうことが必要なのではないかなと思う。そのレベルで、メモをとるときに、担任の教員は教員で、自分の指導とか、いろいろあったことをメモ書きでもいいからとられるだろうし。また、会議を、朝礼をやられる人は、朝礼はやるだろうから、今日はこういうのが出たぐらいのことはとられるだろうし、あと職員会議でも、職員会議のそれなりの議事録はとられるというふうに思うから、これがあるときに、後を振り返ったときにいろいろなことがはっきりするんだろうと思うけれども。
 メモ書きというのがどこまで意味があるのか。例えば私の仕事でいうと、スクールカウンセラーをしているときに、実際の記録として残すものと、自分がメモを書くときとは違うと思う。メモはメモで回っているけど、公に校長先生やいろいろなところに回す記録はまた別物があるというふうに思っているけれども。
【座長】  大分業務が細かくなってまいった。要は、委員がおっしゃったように、まずやっぱり対策組織の方で、記録というのをメモ書きでも。そのメモ書きというのは、先ほど委員がおっしゃったように、五W一Hについてきちっと事実に関してやる。それから、対応はどういう対応をとった、当面どういう判断をしたということぐらいは書いていただくと。
 何も決まった様式で、ぱっとパソコンに打ち込むということでなくても、そういうものをファイリングしていく、その記録を基本的には組織で集積していただくということが一番大事である。あとは、上げ方、あるいは担任の扱い方は、先ほど委員がおっしゃったように、それぞれの学校の実情に合わせておやりになる方法であるので、そこのところはやっぱり学校側の一応主体性にお任せするというのがやり方かなと思っておる。
 記録で残しておくことは必要。あるいは、記録若しくはメモ書きで残しておくことで、集積することは必要だということは絶対にうたっていただく、周知していただく、これは組織の基本的な要件だと思う。
 あと、委員がおっしゃったように、それをどう扱っていくか。つまり、その出てきた事実に基づいて校内研修をやるのか、あるいはちょっと小グループでいろいろと議論していくのか。これは随分大事なこと。具体化を図っていき、全員が一つの共通理解を図っていく上では、やっぱりそういう場も必要なので、それはまたそれで対応策としてまた別途組織の方でお考えいただいて、そして、そういう議論を重ねていっていただきながら、教員の資質を向上していっていただくということは非常に大事だと思う。
 そういうやり方で少し抽象的に検討していただいた方が。あとは、教育現場の組織でお任せしていかざるを得ないだろう。余り細かいことを言うと、枝葉が随分多岐に分かれてくるので、ちょっとこれは取りまとめとしては非常に難しいと思うので。委員も、別に記録で、あるいはメモ書きで組織へ集積していくことに関しては、別段、それは必要なことだと、大切なことだと。
【委員】  それは絶対的に、はい。
【座長】  認識は共通していると、私も捉えておるので。
【委員】  ただ、余り先生方の負担が大きくなると、現場の先生は大変だろうなと思って。
【座長】  はい、よく分かる。だから、私もメモ書きと申し上げたのは、それである。しかし、一応メモ書きにしても、基本的な要件というのはあるので、そのメモには。だから、そこのところは遺漏なきようにということは、やっぱり言えるだろうと思う。
【委員】  国が出す文書として、方針となると、メモというよりも、やっぱり記録としていただいた方が、私は適切かなと。いろいろな状況があるので、対策委員会だけではなく、その前段に上がるいろいろな話合いもあるから、それを細かくこっちが指示するのは別として、しっかりそういう何々委員会「等」ぐらいを入れていただいて、記録をとるという方針を示していただければいいのかなと。あとは、具体的なやり方については、それぞれいろいろ考えていくということでお願いができればと。
【委員】  今の議論は、教育委員会のいじめの現状と課題がそう書いてあるものだから、そのように申し上げたんだけれども、記録は記録で、おっしゃったような形で非常に大切だと思う。ただ、一方で、どういう部分を教育委員会に報告するかということについて、先ほど事務局から話があったのだけれども、そういう形で御検討いただきたいということを申し上げたかったのである。よろしくお願いする。
【座長】  分かった。真意は了解いたした。
【委員】  今の委員と同じなんだが、やはり担任がそういうのを聞いたりなんかした場合には、メモ程度でしっかりとしておく必要があろうと思う。それを、今度は、学校の中で、学年、あるいは全体、研修会、そこに取り上げるかどうかというのも、これは大きな問題だから、学校側できちんと対応してもらうと。
 それから、いろいろの報告書を今度教育委員会に出すだろうから、教育委員会とすれば、先ほど校長先生がおっしゃったように、公文書としての形をとるから、メモというと、ちょっとやわらかいかなと思うので、記録になると思う。そういうものを出していくということ。
 そして、組織の委員会は、委員会なりにそれをどういうふうにしていくかということを、途中で議論したことも一緒に合わせて委員会の方に報告するか、その上に報告するかと、こういう形がいいのではないかと思うので。要するに学校の中では、担任がキャッチする。それをすぐに、中学校なんかの場合には、生徒指導委員会というのを空(あ)き時間に作ってあるから、四、五人の先生、校長、教頭を集めて、五、六人から七人ぐらいの人たちが会議をする。
 そこで、これは大事な問題だと言えば、今度は校内の職員の朝の集会やら何やらで掛けて、そして、数をもっと細かくやろうかとなれば、研修会を持つと。こういう手順を恐らく組むと思う。そういう流れを大事にして報告をするという、メモしておく、記録しておくということが大事だと私は思うんだけど。
【委員】  十ページだ。中学校は懲戒として、停学処分はしてはいけないというのが、まず法律的にはなっているので、出席停止という言葉がここに大きく出てきちゃっていいのかどうか、私は疑問なんだ。この辺は文部科学省としてはどういうふうにお考えなんだろうか。
【事務局】  これは、以前からいじめや暴力行為の事案があるごとに言われていることで、たしか平成十八・十九年あたりにも、これをより活用しやすいように修正がなされているという部分なので、これは全然懲戒ではもちろん、ない。飽くまでも学校の秩序を守る、被害者を守るためのやむにやまれない措置として行うということで、学校教育法にも定められているので、教育委員会の方でしっかりと判断いただくということになっておる。
 これについては、本当に更にこう書いてはおるけれども、御議論いただかないと、やはり実際のいじめなどに活用した件数が一桁の前半ということである。余りむやみやたらに使われることでは全くないと思うけれども、本当に必要な場合にもちゅうちょされているのではないかという疑問が、我々のこの議論の中で寄せられているので、そのあたりを議論しなくてはいけないと思っておる。
 飽くまで、これは公立の場合だ。また、私学の場合の措置のやり方とか、何が望ましいかということは、ちょっと並行して御議論いただかないといけないと思っておる。
【委員】  私が今申し上げたのは、教育機会を奪うということに対する懸念がある。どうしても出席停止というのはとりやすいものだから、指導としては一番やりやすい話になってしまうので、安易にここに行ってしまうことの怖さをちょっと感ずるので、こういう表現が大きなところに出てきちゃうのはどうかなという懸念なので、その点よろしくお願いする。
【座長】  私の方からまとめようか。これ、今事務局がおっしゃったように、以前、法令の一部改正のところでこの出席停止というのが議論になった。その際に、いろいろな背景を、文部科学省の方で検討し、なぜ出席停止が使われにくいのかというところの中の一つの要因として出席停止の対象者にかかわる問題があがった。もちろん、出席停止の目的は被害者を守る、それから学校の秩序を安定させるというのがこの目的。
 それが、短期間の五日、十日、ないしそのあたりの期間で可能なのかどうかということが一点。それから、もう一つは、出席停止の対象者になる、その子供の――先ほど委員がおっしゃった教育権の保障、これをどう付けるか。そして、それに関しての保護者と当人の理解と了解、これをどう得るかというところで非常に難しいことが出てまいって。
 だから、そういう意味でなかなか出席停止というのが及ばないという事実がある。だけれども、今、委員がおっしゃったことは、当然それを実施するに当たっては留意しなければいけない事柄と、あれはガイドラインで示されたのかね、たしか。そういう中で書き込んである。それを改めて周知していただくようにしながら、この今の赤字のところを書き込んでいただくということであれば、今の委員のおっしゃった点は含まれてくるだろうと。
 ただ、私が申し上げた壁が幾つかある。そこのところをどうするか。それから、出席停止の対象者が、いじめの場合は一人でいいのか、複数でいいのか、どの範囲までという、こういう厄介な問題がもう一つここに伴っておるので、現実的にはそれを実施するのは非常に難しい条件が幾つかある。これをどうやってくれと、支援を行うという、この支援の中にどういうことが文部科学省として盛り込めるかということを、少しお伺いしておきたいんだが、いかがか。それがないと、実施には、支援を行うことがなければ、現状のまま私は推移すると。
【事務局】  はい。大事なのは、被害者と加害者への手当てのバランスもあるので、被害者への支援手当てを万全にしつつ、加害者にも学習権の保障というところで措置することと、早く立ち直りを支援するということがあると思うので、その辺をどうするか。
 このあたりは、実はこれだけで議論するというよりも、むしろいじめの対応とか程度によって、どうこの被害者と加害者を両方同時にケアするかということは、またもう少し綿密でないと、全てがこういう措置でも駄目だし、その間もある。別室でいい場合と、ここまでやらなくちゃいけない場合とか。あるいは、そのままの形で被害者を徹底的にすきがないように守り通す、誰かを張り付けるということで防げる場合もあるということで、実はいろいろな程度とかパターンに応じて分けておかないと、いきなり全部これになるとか、ゼロ、一とか、ゼロ、百ではないというふうなあれを持っているので。
 その辺をしっかりやるために、加害者の支援について、今いろいろなやり方があると思う。家庭訪問とか、いろいろな手間を掛け過ぎるかどうかというのはあると思うんだけれども。
 あと、長期にわたることは想定していないと、出席停止についてはということなので、短期についていろいろ課題を与えるなり、遠隔でいろいろな支援をするなり、家庭訪問などをちょくちょくやると。今、御家庭に親御さんが日中いらっしゃらない場合もある。その場合に、加害者を家に一人で日中いさせることが本当に何らかの改善になるかという御議論もあると思うので、そこは多分、教育委員会の公的なところで少し学習支援するということとか、様々なやり方があると思うので、その辺も併せて多分示していかないと、この辺、どうやったらいいんだという話でとどまっていると思うので、そのように。あと、これは検討でまた一緒に御指導いただければと思う。
【座長】  やっぱり今のおっしゃった点だけでもかなり人的な支援というものが必要になってくる。家庭訪問にしても、あるいは学校で別室登校にするにしても、それに対して学習を保障していこうという側面が伴うとすれば、やっぱりそれに伴う人的な支援というのが当然必要になってくる。このあたりが一番大きな課題だろうと思っておる。
【委員】  今の支援ということで、ある教育委員会は、出席停止をしたときに教育センターに行かせると。そこの指導員さんが担当するというようなやり方をとっているところもある。
 それから、適応指導教室で、非行傾向の子供が適応指導教室に行くということが非常に難しいわけだ。そこが一番漏れてしまっているわけだ、不登校生徒の中でも。それで、いわゆる心理的な問題が大きい不登校の生徒と別に、非行傾向を持っている児童生徒のための適応指導教室というのを別枠で設けている市教委も、少ないんだけれどもあるんだ。そういうところは、私は奨励するという意味ではなくて、被害者保護という点で言うと出席停止という措置があり得るということをやっぱり知っておくべきだし、活用する場合もあるということを認識しておく。
 ただし、使い方が難しいのは、座長がおっしゃったように、ハードルがたくさんあって、特に学習支援なんだ。現実問題として、その学校の先生が毎日家庭訪問なんかする余裕は出てこない。その辺で、今言ったような機関を活用するということができれば、少し違ってくるなという思いはある。そうやっているところも、少数ながらあるということだ。
【座長】  今、委員がおっしゃったように、不登校にしても、いじめ等にしても、不登校の中の元気のいい不登校生という子供たち、それから、今の場合、こういう場合にはやっぱり非常に難しい課題がそこで伴ってきて、だから、今少数ながらとおっしゃった。不登校の施設にしても、元気のいい不登校生と、それから心因性の心にいろいろな傷みを持っている、こういう子供と一緒にするわけにはいかない。そうなってくると、非常に施設が限られてくる。
 それから、教育委員会の教育センターにしてもマンパワーの問題、スペースの問題、それから、やっぱり交わらないようにうまくコントロールしなければいけないと、いろいろなハードルがあって、これも非常に少ない。そのところで、やはりその少なさで、皆さん方、教育センターを活用してくれと。今、委員がおっしゃったような考え方もあり得るけれども、やはりもう少しこれを明記しておくことは必要だと思うんだが、実際に適用しなければいけないというときにまで、いろいろな資源の問題でためらわざるを得ないということになると、本来の加害者の側(がわ)の子供のためにもならないし、この出席停止の大きな目的である被害防止と、秩序の安定ということもかなわないということになってしまうので、文言だけがあって、なかなか目的が達成されないという状況は、やっぱり困るだろうと。
 この支援というのは、具体的に今後検討していっていただいて。今の委員のようないろいろな御意見があろうかと思うので、この点はもう少し、いろいろな事例を集めていただきながら、具体化の方向性を少し探っていただくという必要があろうかと思う。一応、ここのところはこの明記でとどめておくということは必要だろうかなと思っておるが、いかがだろうか。
【委員】  明記すること自体に反対ではないんだけれども、この文書がどのぐらいに、どのように使われるかが、そもそも余りよく分かっていないんだ。ここの取りまとめに書き込むということが、いかに、どう皆さんに伝わっていくか。使われ方によって、今、委員がおっしゃっていただいたような例ということも活用しつつとか、何かこのアスタリスクを入れるか何かでも、入れておくという必要があるのではないかと思ったのと。
 そうではないとしても、これはこれで取りまとめとしても、文部科学省の方で伝えていく際に、今言われたところをもっと研究を深めたものが入っていくというのであれば、必ずしもここに書くことが必須ではないかもしれないが、ある程度これはこれで一人歩きと言うのはなんだけれども動く、少なくともホームページにアップされて、皆さんの目に触れるというものであるとすれば、今おっしゃったようなことぐらいは書いていないと、やっぱりどうしようと、皆さん思われて、余り動かないのではないかと思うので、それによってはそういうことも必要かなと思う。
【座長】  事務局から先におっしゃっていただいてもいいんだが、あと、これ、事例集か何か作られる予定はないのか、これに基づいて、いろいろなところの各論点の。
【事務局】  事例があった方がいいものは、事例集は行かなくても事例は幾つかくっ付けて、この定義などもそうだけれども、示させていただくということになる。
【座長】  ということになると、今の出席停止の場合に、出席停止を扱われる事例と、それから、そうではなくて代替の措置をこういうぐあいに講じているところもあるという形で、そこのところへ盛り込むことは可能だね。
【事務局】  もちろん、可能だ。
【座長】  だから、ここの取りまとめの文章へ明記せずとも、そういう方法がとられるとすれば、そういうものを出される予定があるとすれば、そこへ盛り込んでおくと、そういう扱いもありだろうと思う。
【事務局】  はい、ありだ。ちなみにこの出席停止の記述は、ほとんどこれまでにも出している通知のものそのままだから。
【座長】  そうそう、同じなんだ。
【事務局】  ほとんど何も加えていないので、今後、次の段階どうするかというときには、事例なりを示してもっと分かりやすくしていくということになると思う。
【委員】  幾つかあるんだけれども、まず七ページで、二つ目の丸のところに、弁護士の先生方等による法教育でというふうに赤字が入ったところなんだが、前回、私、途中で退席してしまったもので、申し上げられなかったこともある。このいじめは重大な人権侵害で、被害者、加害者、周囲に大きな傷を残し、決して許されないということに関しては、弁護士等の専門家の教育でも必要だと思うんだが、その手前のところできちんとうたっておく必要がある表現ではないかと思う。その上の未然防止というところにもあることはあるんだけれども、ここにしっかりと、青字になったところに入れていただくべき表現のように思ったので、そのことをまずお願いしたいと思う。
 それから、八ページで、上から四つ目の丸のところに、スクールカウンセラーや教育センター等がというふうにある。そして、他の相談機関を余り利用されていないということと、それから、スクールソーシャルワーカーについては、スクールカウンセラーよりも歴史も浅いし、まだ余りよく知られていないということもあるかと思うので、逆に「等」ということで含めずに、「スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが」というふうに、青字に新しくしていただいたところにもスクールソーシャルワーカーという言葉を入れていただければと思う。
 似ている仕事をしているように見えるかもしれないんだけれども、スクールソーシャルワーカーの場合、いじめの加害者、被害者、どちらの御家庭にも、例えば経済困窮であるとか、御家族の中に要介護者や疾病、失業者の方がいらっしゃるとか、そういった背景の要因があって、そのことによってお子さん自身が不登校や、あるいは精神的にいろいろ問題を抱えていらっしゃると。
 そういったときに、他の社会資源等を活用することによって支援するというのは、広い意味でのいじめ防止にもなるかもしれないし、むしろその御家庭をより健全な生活に戻していく支援ということをさせていただいておるので、そういったことの周知をもう少し私たちの方でもしていくべきだと思うし、こういう表現の中にも、まず名称を入れていただくことをお願いしたいと思う。
 それから、十ページなんだけれども、これは質問になる。真ん中よりちょっと下の段の、いじめが解消に至っていない段階ではというところがあるが、このいじめの解消の定義ということについて、以前にこれは課題になるだろうというお話がどこかで出ていたと思うんだけれども、その後、このいじめの解消の定義ということが明確化されてきているのかどうか、ここについてはお伺いしたいと思う。
 それから、あと、もう一つ、表現の問題だ。五ページに戻るけれども、五ページの一番下のところで、自殺予防という表現が出てきている。もう一つ、取扱注意で今日配られた資料などを拝見すると、ずっと文科省でも「自死」という言葉を使っていらっしゃるかと思う。ここで自分を殺すという表現を使うことがいいのかどうかということもあるかと思って、五ページの方の自殺予防というのを自死予防にはしないで、自殺予防で行くのかどうか、そこは御見解をお伺いできればと思う。
【座長】  最初出た七ページのところだが、これは前回、委員がおっしゃった点と重なっておる。ただ、委員がおっしゃったのは、こういう犯罪に結びつく可能性が、いじめはあるんだよというロイヤーの説明だけではなくて、より人権という観点が子供たちにとっては大事なことなんだということで、今回、赤字で最初にこの人権を尊重するということが大事だと。
 あと、ここのところでスクールロイヤーの活用という括弧のところがある。ここはスクールロイヤーだけではなくて、これ、いろいろな方々がやられる。例えば警察OB、少年サポートセンターの方がいらっしゃって、そして、こういうことは、こういう事例があると、裁判例があると。百円の万引きでも、三十万円の罰金を食らった件もあるよと、いろいろなことをおっしゃる。そういう中で、こういうものが図られていくという、ある意味では法教育と絡んだ一つとして捉えていかれるという、こういうやり方もあるので。ロイヤーの方々も大変有り難い話で、御協力していただくと同時に、これは「等」とされておかれた方がいいだろうなと思う。
 それから、ページ八のSSW、スクールソーシャルワーカー、この点に関しては、私、異論もないが、皆さん方もそれでよかろうかと思う。右側の欄と、左側の欄と、両方、やはりこれを加えておく必要があるのではなかろうか。つまり、左側の方は丸の二つ目にスクールカウンセラー等と書いてあるが、これはSSWもそこへ入れていただくと。
 それから、右側の方も、上はスクールカウンセラー、及びスクールソーシャルワーカーの人材確保云々(うんぬん)と書いてあるのに、下は「等」になってしまっていると。こういう矛盾した表現があるので、ここもやっていただくということは必要だろうと。
 それから、十ページからの部分の質問になるが、定義の明確化というところだ。この点は、事務局としてどうお考えなのかということをお伺いしたい。私はここで一応定義を申し上げたんだけれども、それは私個人の定義で、その辺あたりをどうお考えになっているのか。解消率の解消の定義だ、そこから。
【事務局】  それは、これまで御議論いただいていて、これから皆様のお知恵をかりながら明確化していこうという方向性なので。
【座長】  方向性だね。
【事務局】  今の段階ではされていないという問題意識から、これを書いておるので、座長をはじめとして是非この辺のあたりで。今後、これを作っていかないといけないので、正に事例も含めてだと思うし、ある程度ロジカルに、分かりやすくするということも含めて、是非御提案、御提言を積み重ねていきたいと思っておる。
【座長】  それから、最後の自殺、自死の問題だ。
【事務局】  行政としての場合は、自殺予防対策推進法という法律に基づいて自殺予防教育をせよということなので、この文章の書きぶりとしては自殺予防ということでよろしいと思うし、実際配付させていただいておる教職員用の教材も自殺予防の手引等になっておるので。もちろん、いろいろ我々も御遺族とお話をするについては自死などという言葉を使う場合も当然あるけれども、行政としてまとめる場合は自殺者数とか、各種統計もそうなっておるので、自殺予防教育という形で、用語としては使わせていただいている。
【座長】  先ほどお触れになった委員の配付資料の取扱注意の、この事案は文部科学省の書類ではないので。これはNPOの方々がまとめていただいたものを、ここへ添付資料として取扱注意で出していただいたという資料だね。
【委員】  はい。
【座長】  ということになっておる。よろしいか。
【委員】  前回、途中から退席したものだから、議論に加わっていないので、もしかしたら出たかもしれないが、実はちょっと表現的に違和感を抱くものや感想をお話しさせていただく。
 一つ目は、いじめの定義の解釈の明確化はとても大事である。これをどういうふうに周知していくかということが、このいじめの対応についての一番の鍵になるところかなと思っている。これ、感想である。
 ちょっと違和感を覚えたのが何点かある。まず、一つ目は五ページだ。学校内の情報共有のところなんだが、その右のところの三行目だ。いじめは教職員の指導力不足により発生するものではない。こう言えるのかどうか、私も校長としてこうやって言い切っていいのかどうか。教員の指導力があればいじめが発生しないものもあるから、こう言い切るのはちょっと私はどうかなと、これが一点。私は、これ、削除した方がいいんじゃないかなと思う。例えば組織的な対応をしっかりやってくれということがここの柱であるのであれば、それを書いておけばいいのかなと。この二行はちょっと違和感を覚えた。
 あと、六ページの右の一番下の丸だ。いじめの認知件数が多いことは、肯定的に評価されることをと、果たしてそうなのかなと。いじめの認知件数が多いのは悪いわけではない。でも、いじめの認知件数が多いことは肯定的に評価されるというのは、一生懸命取り組んで件数を下げていくところもあるのに、これはどうなのかなと、表現として。目的は分かるんだが、ちょっと努力しているところに対しては失礼な表現かなという感じがしないではないので、この言葉は、私は気持ちは分かるんだが、表現を変えた方がいいかなとちょっと思った。
 あと七ページ、右の下から三つ目の丸だが、体験活動について望ましい人間関係の形成等の高い教育効果が期待される。長期宿泊活動、等も付かないね。長期宿泊体験活動となっている。これ、望ましい体験活動については、もうちょっといろいろなことがあるので。例えば異学年交流とか、異校種交流とか、いろいろな取組をしているので、もうちょっと例を入れて、などの取組は高い教育効果が期待されているということで、そういうのを推進していこうというトーンで書いたらいかがかなと。長期宿泊体験一個しかないので、そこまで行かないのであれば、「等」ぐらいを付けておいた方がいいかなと、ちょっと思った。
【座長】  六ページの方で意見が出た。最後の丸だね。ここのところは文言修正の要請が出ておる。現場で努力しておられる方々がいらっしゃる。実質減っていくことも肯定的に評価しなければいけないし、かといって、現状では認知件数が実態に即して上がっていくということも、当然その取組の成果としてやらなければいけない。
 つまり、成果としてどうそれを見るかという数字の判断のところなので、その両面はちょっと少し加えて、そこのところ、文言をまた検討させていただくということでよろしいか。
【委員】 いじめの認知件数だけれども、ずっと出ているデータだけれども、小学校四年から六年までにいじめられた経験があるか、又はいじめた経験があるかというのは、本当に九割が両方あって、みんなそういうふうな、いじめたり、いじめられたりする経験を通しながら成長していくんだというレベルのいじめであれば、僕はいじめの認知件数がそういうふうに多い、そこをクラスでそういうことがあるのを担任がよく気付くというのは、僕はすばらしいアンテナが立っていると思うんだ。
 だけれども、解決してあげなきゃいけないいじめが、物を隠されたり何かするといういじめが多いのが、先生方が多いのがいいというふうに思うのは僕は非常にまた矛盾があるだろうなと思う。その辺のところが、またいじめの定義にもよると思うけれども、あの定義によれば、僕はいじめの認知件数は多くならないとまずいとは思う。相手がいじめられたと思えばいじめということになれば、その辺の定義がいまいち学校の先生方に定着していないのではないかなということを強く思ったけど。
【座長】  多分、恐らく皆さん方がおっしゃりたいことは、基本的には大事なことの一部だ。だから、要するにいじめの認知件数が子供たちの実態、実情を反映するようにする努力というのは積極的に高く評価すると、こういうことであれば、私はここのところは問題がないだろうと。ただ、通知文との関係があるので、課長にはその点、お伺いしたいと思う。
【委員】  一ページのところ、同じその件だけれども、下の点線の四角の中に、教職員にいじめを認知することの抵抗感があると。いじめの認知件数が多いことはマイナス評価となると。これは前から言っていることだったんだが、それと、今度の今の六ページのいじめの認知件数が多いことは肯定的に評価されることを、改めて学校の管理職に対して周知徹底というところが出てきたんだけれども。この辺との関連がどういうふうに学校、あるいは教員、周りの人が見ているのかということは、ちょっと難しいかなという感じがする。だから、マイナスとプラス、肯定的に見る、その辺の調整だね。
【座長】  通知文との関係があるので、事務局、何かあるか。
【事務局】  我々としては、通知文はあえて摩擦を生むように出したと。普通、いじめが少ないことはいいに決まっているし、いじめゼロのキャンペーンなどもいいんだけれども、それが抱え込みとか隠匿につながってきているということが各種指摘があるし、実際個々の事案を見ると、そういう事案が起こっていると。
 ということなので、ある意味、いじめは究極のところ、本当の発生は我々つかめないんだけれども、減っていくことは当然いいことで肯定的で、すごく評価されないといけないんだけれども、今の定義だと、いじめが日常起こっていてもおかしくない。これを見逃していたり、抱え込んでいるのではないかということのため、また、マイナス評価を人事的に受ける。校長先生も教育委員会に報告したときに、何をやっているんだという学校運営のマイナス評価を受けるということが、どうも抱え込みとか、報告のちゅうちょにつながっているのではないかと。
 ということで、本当は両方言うべきなんだけれども、あえて強調するために出すことというか、出しているということなので、これをきちんとした長い文章でバランスよく書けば、両論併記になると思う。逆に二つ書くと、こっちでやっぱり減った方がいいんだと、うちの学校は減らしていくんだということで、無理に抑制的に働いていくことを我々は懸念していると。
 それまでの反省ということで、あえて去年通知を出させていただいたところ、結構現場からの反響は、よく言ってくれたと、そのおかげで出しやすくなったという評価も受けているので。究極は本当は減らすことだし、減らすこと、予防に頑張った人が評価されるべきだと思っているんだが、あえてこれを分かりつつ、書かせていただいていると。
 その観点で、さっきのメモ記録論についてちょっと懸念するところがある。メモの段階を奨励するというぐらいだったらあれだけれども、記録を義務的にすると、すごくいいことだと思うんだけれども、やっぱりできない人が絶対一定数発生すると。その先生がいじめを報告するときに、自分はちゃんとメモをきちんと体系的にとってこなかったので管理職に報告できないと。記録はとってきたんだろうなと言われたときに、いや、とっていないということを恐れて、ちゅうちょして、また義務違反ということで何か処分を受けるのではないかとか、そういうことで話ができなくなるといけないなと。
 本当に気軽に、とっていなかったんだけど、きのう報告、訴えを聞いたので、すぐに対策組織に報告するというふうな瞬発力でやっていただくということもないと、自分でじっと、どんなノートをとってきたんだと言われると、いや、全然記録はないんだと言うことを恐れてということも、半分懸念するということがあるんだけれども、いかがなんだろうか。
【座長】  ちょっと私の方から。本来、法に従えば、疑わしい事案があると気付けば、それを法に照らして、これはいじめとして捉えられると考えれば、すぐ報告する。すぐさま組織へ報告する。その組織が、先ほど委員がおっしゃったように、担任がきっちりとって、その報告をそのまま向こうで使う場合もあるだろうし、それから、組織でそれをヒアリングして、そして、それをメモとして、先ほどの議論だと記録として残しておく。
 記録と言ってもいろいろなレベルがある。書類の中に、物すごい項目を記録しなきゃいけないところから、それを全部パソコンに打ち込んでいないと記録じゃないというところまでいろいろあるけれども、その深浅のところはさて置いて、事実を、そして対応というのを組織で決められるわけだから、その対応の仕方に関してきちっと残しておかれると。
 それは、担任個々の技量という問題ではなくて、組織としての技量というのが問われてくるところ。そこを懸念されるとすれば、それは課題が出てくるなと思う。
【事務局】  今の座長がまとめられたことで明確化したところがある。というのは、やっぱり個人の技量を問うていけばいくほど、抱え込みとか隠匿が増えるのではないかと思っていて、組織に報告すれば、個人的にはそれで一応免れたと。
【座長】  いやいや、免れない。
【事務局】  免れてはいない、組織に報告をすることだ。報告の責任は免れたと。ずっとそれを持っていてはいけないということで、そこは免れると、一定の。その後のフォローは当然責任あるけれども。でも、対策組織が責任を持つんだと。対策組織がその後、どうその担任の先生に指示をしたかとか、教育委員会にどう支援要請をしたかというところは対策組織が責任を持つ、校長が責任を持つと。担任は抱え込まずに、すぐ言ったということで、まず報告責任は果たせたと。その指示に従ってやっていくということで、飽くまでも組織が責任を持つから、組織的対応が必要なんだということにしていかないと、まだまだ個人を問うというふうになると、逆に抱え込み問題というのは永遠に片付かないという意識でちょっと整理させていただきたいと思う。
【委員】  今の組織が責任を持つというのは分からなくはないんだ。ただ、先ほど、指導力不足云々(うんぬん)というのがあった。私はあり得ると思う。というのは、いじめ防止対策推進法でも、基本方針でも、教職員の言動がいじめを発生させてきたと。恐らくこの重大事態の中で学校の責任を問うときに、教員個々が生徒児童と相互作用をしているときに、場合によれば差別的な土壌を生んだり、いじめを助長するようなことがあった。
 それを指導力というふうに考えれば、指導力不足により発生するものではないというふうには、私は言い切れない。ここはもう少しいじめに気付いたら一人で抱え込まずにという形で、指導力不足で発生するものではないというふうに言い切るのは、ちょっと違うのではないかと思う。更に今ので事務局にかみつくようになっちゃうんだけれども、報告したら責任がなくなるかというと、そうではないね。
【事務局】  報告の責任だ。
【委員】  報告の責任だね。そこを何か強調し過ぎると、報告すればいいんだというふうになりかねない、一人一人の教員はそうではないと思うんだけれども。
 一方で、後で私、言おうと思っていたんだけれども、前回も言った、いじめ情報共有は懲戒に当たると、文言は少し変わったが、事例を周知すると。だけれども、今のことと含めて言うと、いじめに対して教員一人一人がどういうふうに向き合うか、気付き、どう解消していくか。
 と同時に、一人では解消、解決が難しいから組織で多角的にやっていくんだというところを両面強調していかないと。しているんだと思うんだけれども、一方でちゃんとやらなければ懲戒にもなるんだぜと。新聞に出たので、私、現場との交流があるから、随分と萎縮する、あるいは反発、抵抗するという感覚を持っておる。
 だから、これは文言の修正ということで、後でお願いしようかなと思ったんだけれども、いじめの情報共有はいじめ防止対策支援法に基づく義務であるということをしっかりと認識するというぐらいにとどめておいて、懲戒処分というのは、法の構造上そうなるのは分かっているんだけれども、余りこれを強調すると、力で抑えるぞという感じに私は受けとめてしまうところがある。
 だから、そこのところで一人一人の教員がしっかりいじめを見て、向き合っていこうよと。一人じゃ無理だから、組織でやろうよ。法がなぜできたかということを考えたら、社会総掛かりでやっていくんだということ、そして、教職員の責務としてこういうことがあるんだということを、しっかりもう一回確認しようよと。みんなで建設的に取り組もうというのが出た方が、私は学校現場に浸透していくのではないかと思って、赤字の部分については、後半はない方がいいかなという意見を持っておる。
【座長】  最後に出された論点は、いろいろな先生方、いろいろな委員の方々に御意見を伺わなければいけない点なので、これは休憩の後に持ち越させていただく。それで、あと、今まで出た点だけ、少し整理させていただく。
 最初のいじめの認知件数、六ページで取り上げた、これ、多いことは肯定的に評価さるという、ここのところ、課長の意図もよく分かる。だけれども、ちょっと前段、少し文章を補っていただいて、いじめの認知が子供たちの現状を反映するようにしなければいけないと。その結果として、いじめの認知件数が多いことは、上がることは肯定的に評価されると、こういうくだりを少し入れていただくと、今のような誤解は解けるだろうなと思う。いかがだろうか。よろしいか。
【委員】  認知だけではなくて、それをどう指導したかの数も要るんじゃないか。
【座長】  ちょっとそこまでここの議論を拡散させないでくれ。それはまた後で別の角度から。
【委員】  はい、はい。
【座長】  それから、五ページの今の最初の、いじめは教職員の指導力不足により発生するものではないという、この文言のくだりは確かに委員の御指摘のように、やはり問題があるところだろう。だから、先ほど委員の方からも提案があったように、いじめを一人で抱え込むということに関しての懸念というのを、ここで文章で書き表しておくと。そして、組織的対応によって複数の目による状況という形で少し修正していただくということは、これは事務局の方も御異論ないだろうと思うし、皆さん方も恐らくそうではないかと推測しておるが、いかがか。それでよろしいね。
 ということで修正していただいて、今、委員がおっしゃった最後の点は休憩の後に挟ませていただく。
                                  ( 休憩 )
【座長】   それでは、委員が最後におっしゃったもう一つの点、ここの五ページだ、情報共有のところ。これは、委員の方からは、地方公務員法の懲戒処分というこの四文字に関わるところを削除要請というのが出てきたということだろうと、私は解釈しておる。この件に関して、皆さん方の御意見を賜りたいと思っておる。非常に大事なポイントだろうと思っておる。
 非常に悩ましいところで、情報共有を図っていかなければいけない。しかも、それは法律で、法の構造上と委員はおっしゃったけれども、いじめ法でちゃんと規定されている教職員の責務に関わるところ、文部科学省的に表現すれば義務と言われるものになる。なおかつ、ここに書いてあるように公立学校の教職員というのは地方公務員法の規定を受けるので、それは遵守していただかなければいけない。それに当たっては、法令と、それから上司の職務、命令というものに従うという義務がある。
 委員がおっしゃるのは、前半の部分を強調すれば、それで当然後の部分は含まれてくるだろうとお考えで、そういう削除要請が出てまいった。いかがなものだろう、委員の方々、御意見を賜りたいと思う。
【委員】  そういう文言があるから報告をするとか、子供たちに指導するということを思う先生は、僕はごく一部の方だろうと思うけれども、ごく一部の方がおられるために、子供たちが自殺までしなきゃいけないいじめに追い込まれるということがあれば、これはやっぱり必要なんじゃないかなと思う。
 先ほど事務局が言われたけれども、そういうふうになかなかメモをとっていなかった先生が、また隠匿するような悪循環を招かないかと言われたけれども、一般の先生方は家庭訪問をしたり、親から連絡があったようなことを随分記録されるんだろうと思う。その人たちが追い込まれるから、そういうメモをとらないというのは僕は違うので。僕も、この会議に出るために学校の先生方からいろいろ意見を聞いてきたけれども、やはり一般の先生方はそういうふうにしておられる。
 自分にもしそういう指導をする技量がなかったときには、やっぱり生徒指導とか教頭先生、管理職にいろいろ相談したり、応援を求めると。そこをすれば、僕は隠すことはないんだろうと思う。自分の力量ではこのケースに対して支援ができないと思えば、学年主任とかいう方々にいろいろな意見を聞くということをすればいいと思う。それを自分ができないから隠すという発想の先生方は、僕は法律ででもそういうふうに、それは間違っているんだということを示した方がいいのではないかなとは思う。
 いじめの背景を考えたときには、やはり担任の先生だけで問題が起こるわけではないと思うけれども、私が考えた文章では、いじめは教職員の指導力不足だけに起因するものではないが、学校現場で一番多く児童生徒に関わる担任教師の影響力は極めて大きいと。そのことを自覚した上で、担任教師一人の指導力には限界があり、それを補うものとしてという文言が出てくるのではないかなとは思う。
 先ほどもあったように、学校の先生から言っていただいたから、私は非常に意を強くして言っておるけれども、そういういじめは教職員の指導力不足により発生するものではないというところだけでは、やはり世間の理解は僕は得られないのではないかなと思った。
【座長】  最後の論点はいいんだが、今意見を求めているのは、下の丸の赤字のところだ。この懲戒処分。
【委員】  だから、ある方がいいというふうに僕は思っている。
【座長】  ある方がいいと、そういう御意見だね。
【委員】  これは、私が実際にやっていることからお話しすると、私、こういうのがあると必ず教員には伝える、これが事実だよと。ただ、伝え方なんだね。これがあるから、やらなきゃいけないよという枠をはめるのではなくて、もしもやらないと、こういったこともあるんだよ、それを知っておかないといけないよというところが、教員との関係づくりには非常に重要だと思っている。それが最終的には教員を守ることになると捉えている。
 ただ、懲戒処分となった事例があることをと書いてあるんだけれども、どうしても世間一般には、マスコミの方も含めて、この間の幾つかの記事を読むと、これが見出しになるね。そうすると捉え方が変わってしまうので、それはマスコミはマスコミで別の意味もあるだろうけれども、我々学校関係者は、こういう事例があったのも事実だよという事実を伝えるのだというところを文部科学省の方でうまく打ち出してもらえると、現場としては使えるかと思っている。
【座長】  委員にお伺いするが、先ほど事務局に確認すると、幾つかのこれに関しての事例集が出てくるということだ。そうすると、今、委員がおっしゃった意見、それから、隠す必要がある……。先の委員はちょっとニュアンスが違うけれども、このお二方の意見と、それから委員の意見を忖度(そんたく)すると、今のところ、併せわざで、まずここのところでは義務、そして法律の構造ということにしていただいて、事例集の方で、今実際に山形県、あるいは恐らくこれから矢巾も出てくるだろうし、仙台もあるだろうし。こういう事例に関して、事例を挙げると、こういうことも可能だろうなとは思う。
 そうすると、懲戒処分という形で新聞の見出しに踊ったような効果は少なくとも、現場を萎縮させたり、反発させたり、あるいはいろいろな御意見で現場が混乱したりということはないだろうなとは思う。
 当然、義務、責務をこういう形で法、そして地方公務員法、それから校長の、あるいは組織の職務命令、職務執行、義務、責務という形で、法の構造をしっかりとそこで固めてちゃんとしていただかなければいけないよということを、改めて周知するということは必要だろうと思う。その上で今のような事例を、その事例集で扱うというやり方もないではないなとは思うが、ほかの方々の意見をお伺いする。
【委員】  ちょっと質問も加わってしまうんだけれども、ここで言われている懲戒処分の対象というのは、いじめを最初に発見した担任教員などが報告しなかったことについての懲戒処分ということなのか、例えば学校から教育委員会への報告というのが別のところであると思うが、そういうことに関しては特に報告義務や懲戒処分等はないのかとか、どこまでのことを指しているかというのがちょっと分かりにくいかなと思った。
 あと、上司の職務命令に従う義務がある中というふうについてくると、これは多分情報共有のことに限らず、基本的に上司の命令に従う義務があるということだとは思うんだけれども、上司がそれは黙っていてくれともしも指示した場合のこととかがちょっと気になったりもするので、書き方はかなり工夫が必要なのではないかと思った。
【委員】  私も法に明るくなくてはっきり分からないんだが、地方公務員法の中に上司の職務命令に従う義務というのがたしかあったような気がするんだけど。あったね。
【座長】  ある。
【委員】  この及びとなったときに、中にあるのに「及び」でこの文章でいいのかなと、ちょっと思った。
【座長】  この法令は、ここでは地方公務員法だけではなくて、いじめ防止対策推進法も含めてという意味だね、これ。
【事務局】  そうだ。
【座長】  そうだね、広くここの文章の枠を超えての法令と考えるところだろうと思っておる。
【委員】  上位層と。だから、何か読んで違和感を覚えた。それは分かるんだが、地方公務員法以外にもある。でも、これと、それ及びとなったときに、ちょっと文章がどうなのかなと思った。
【座長】  このあたりは、事務局、どうか、法の建て付けとして。
【事務局】  これ、ちょっと方向性ということで、言葉も少しぐっとまとめる中でそういうことになっているので、誤解がないように書くということと。座長が言われたとおり、ここは一応項目とまとめているけれども、それのどの部分を基本方針にするか、通知にするか、事例集にするかというのは、またこの後の具体的なやり方になってくるので、そこはやりようがあるし、またそういうことは御相談しながらやりたいということで、御理解いただけたらというのが大前提だと思う。
【座長】  とにかくここへ入れた趣旨は、先生方にこのことをよく理解していただきたい。責務であるよということを、しっかりと報告して共有していかなければいけないというのは法に定められた責務だよと。それをよく、皆さん方も、新しい教員の方々も、これ三年たっているので、入ってこられている。あるいは、教員の方々も御存じのない方もいらっしゃる。そういう方々にしっかり理解して、事に当たってくれよというのが本来の趣旨だろう。
【事務局】  そうだ。
【座長】  それが狙いだね。その中で、それを裏返せば、そういう処分の執行が出てくるということを、あえてそこで裏返せば、ここのところが出てくるよということを、この中へ書いてしまうかどうかについて、今議論が出ているわけだ。
【委員】  ここは確かに情報共有が義務なことは間違いないんだけれども、先生方の義務というのは情報共有だけではない。先ほどの報告すればいいというふうに流れちゃっても嫌だなという感じがしている。そういう意味では、このこと自体記載されること、情報共有が義務だというのはもちろんそうなんだけれども、先生方のいじめ防止対策の基本というか、全体の中の義務というのは、報告することだけではもちろんなくて、きちんとそれを理解して、指導していくというのが、大きなそもそものお仕事なのに、何かここだけが、それをちゃんとやらなかったら懲戒になるよというふうに特記される、そういう意味で違和感がある。
 そもそも組織自体がどういうふうに受けとめる体制ができているかによっては、なかなかうまくいかないことというのがあるかもしれないのに、そこのところだけ、受けとめる側(がわ)の、例えばちゃんと準備できていない方の人たちは全然懲戒されなくてと。そういう意味で、ここにケースとしてなるということがあるということ自体、もちろんそのとおりなんだが、場合によっては完璧削除なのか、もう少しうまい言い回しなのかは別として、例えば先ほどの出席停止のところについても、ここの書きぶりはここまでにして、あとは事例を出すという話があったと思うので、そういう意味では、情報共有をしなかったケースについての事例の方のところに、もちろん懲戒のところも出てくるみたいなふうにできないかなと思っている。
 やっぱり前回の報道、やや先走りなんだと思うけれども、やはりこういうふうにここに書いた場合に、そこが物すごく、そこだけに行ってしまうというのは、やっぱりこれが出ると、皆さんの真意がそこになくても、そっちだけに行くようなことも間々あるような気がするので。そういう意味で、私も懲戒処分が事例であれ、何であれ、ここにこの言葉がいきなり出てしまうことに躊躇(ちゅうちょ)は覚える。
【座長】  そういう意見がある。ほかにあるだろうか、今の論点で。
【委員】  確認だけれども、このいじめの情報共有というのは、いじめを認知したとか、そういうことがあったということだけではなしに、それに対してどういうふうな指導をしたというのも情報だよね。
【委員】  もちろん、そうだ。
【座長】  ただ、法律でここのところを解釈しているので。だから、教員の責務としていじめを発見したとき、あるいは疑いのあるもの、事例を知ったときには報告しなければならないと、こういう責務があるとここには書いてある。そこのところを取り出して。だから、指導は指導としてもちろん当たらなければいけないということは当然の義務で、またその中に幾つか項目がある。だから、保護者の方も報告の責務があるし、それから、教職員にもその責務があると書いてあるし。
 それから、いろいろな指導やら、保護者との相談だとか、いろいろなことがその後の条文の中の項の中に――あれ、六項目だが、記載されている。そういう構造になっている。
【委員】  繰り返しになってしまうところもあるんだけれども、私は法の八条で教職員の責務というのが明確に示されておるので、恐らく文部科学省の方では、むしろ教員を守ると。法を守ってちゃんとやらなかったら大変なことになる。教員を守るのと同時に、そうしないと子供が守れない現状があるんだよということを強く言いたいというのは、私も重々分かるんだ。
 ただ、懲戒処分というのを――私も現場の教員だったから、ずっと平だったし、それをぱっと見たときに、何か俺たち信用されてないのかなとか。法ができたということ自体が教職員、あるいは子供の自浄能力とかに委ね切れないから法ができたという捉え方もあるし、私はそういう思いを少し持っているんだ。だから、それはそうなんだけれども、法ができざるを得なかったということ、そして、義務がうたわれたということも踏まえながら、でも、教育の営みというのはそれだけではない。
 これを一方、認識しながら子供を守るということで、みんなでやっていこうねといったときに、もしかすると文部科学省が考えている意図と違う受けとめられ方をしてしまうのではないかという懸念が、私はあるし、懲戒処分という言葉自体が非常に権力的に押さえ込むようなイメージを持ってしまうという点では、危惧があるということなんだ。
【座長】  懲戒についてお願いする。
【委員】  教員の立場からすると、懲戒処分といったことがすごく大きくなるなというのは分かるんだが、一方で、例えば親や代理人の立場からすると、やっぱり義務違反というのはすごく大きなところなので、何らかの形で周知したいなという感覚もある。
 さっき委員がおっしゃったように、ここに載せるのか、事例集みたいな形でやるのかどうかというのはいろいろあるのかもしれないが、私としては、例えばこのいじめ防止対策推進法ができてからも、結局抱え込まれている重大事件がいっぱい出ているわけだ。三年間やっても、こうだったじゃないかといった反省という意味でも、何か出すという意味はあると思う。例えば今回のような報道の仕方が衝撃的だった、現場が萎縮するというのは、逆効果だが、ここのところはしっかりと押さえておく必要性はあるのではないかと思う。
 まだ自分の立ち位置もはっきりしない部分もあるんだけれども、余り抑制的にやることで、今までの重大事件が隠されてしまってきたというところを見直すという機会としては、もう一回、ここは強く出るという言い方は変かもしれないけど、懲戒処分になることもあるんだといったことは徹底する必要性はあるのではないのかなと思う。
【委員】  私は基本的には載せた方がいいかなという感じは持っている、現場として。校長がこういういじめ防止対策推進法の中にこういう義務があるという中で、こういうことがあると懲戒処分になるよというのは、校長としても先生方を守る上で、情報としてはちゃんと伝えていくことが必要かなと思っている。
 今、いじめだけではなくて体罰もそうなんだ。不適切なものも出てきて、どこからどこまでが体罰で、懲戒処分になるのかというのも、先生方にしっかり伝えている。それで、先生方は、ああ、それはいけないんだなという理解があるので、校長としては、何となく言うことによって、うーんということの時代ではないなと。しっかり情報としては伝えていくというようなことが必要かなとは思っている。
 私、こだわるのは、地方公務員法とか上司の職務命令に従う義務。多分、上司の職務命令に従う義務は、上司の方が、これについてはちゃんと報告してくれと言ったのにもかかわらず、報告しないというのでそうなったのかどうか。その辺が、これだけ載せておくと、何でというのが勘違いされるので、しっかりその趣旨はどっちかというと、現場の先生方がいじめについて適切に対応するために出していくのであれば、読んで明快な記述の方がいいかなと。ちょっと地方公務員法とか、上司の職務命令に従う義務という中で、内容が分からない人には突拍子もない記述かなと。
 どっちかというと、職務専念義務違反とか、地方公務員法ではそっちに問われるのかなと思いつつ出てくるので、この辺、何を載せるかはもうちょっと吟味された方がいいかなと。載せるのであれば、例の中で、こういうところで上司の報告をしなかったので義務違反とか、若しくはこういう場合というのを載せておくと。何もない中、ぱっと載せると、推測でいろいろ解釈も、その次が行かないなと、教員を指導する際に、という感じをちょっと持った。事例が出るというのであればいいんだが。
【委員】  やはり文言というのは一人歩きをするということも頭に置いておかなければいけないのではないかなと思う。私たちは、ここでずっと意見をみんなで話合ったり、これが出てきた背景も考えながらここを見ている。だけれども、ここだけを見て懲戒という言葉が出てくると、その言葉が一人歩きして本来の言いたいこととは違ったものにもなっていく可能性というのはとてもある気がしている。
 ここだけ見ると、懲戒という言葉が出てくることについては少し違和感を私は覚える。全体を見てみると、ああ、いろいろな流れの中でこの言葉があるなとは思うけれども、そういった意味では、先ほど委員がおっしゃったように、義務としての部分はちゃんと載せながらも、具体的な懲戒については、事例の中にきちっと懲戒例として明示するとか、そんな形の方が全体的にぱっと初めて見た人にはそういう形の方が理解しやすいのではないかなと思う。
【委員】  当日の各紙を全部読んでの比較ではないけれども、印象では、いかにもこれは文部科学省がこういう方向にかじを切ったような記事だったんじゃないだろうか。だから、やはり報道での捉え方というのが、私はとてもかなわなかったなと思った。ある教員に、先生、これ、何で否定しなかったのかと怒られた。ふだんの先生の言動から見ると、これはおかしいんじゃないかと言われたけれども、そんなことは申し上げておきたいなと。今日、マスコミの方もおいでなので、書きぶりというのは非常に大事だということは申し上げておきたい。
【委員】  前回、私は反対のことをここで意見として申した。報道でどう出るかいうのは分からなかったんだけれども、私は法に基づく義務であるということは強調すべきだと思う。先ほど法教育の中で、法によって守られているという部分、人権を守るという部分、そして、それが行為責任として法律に抵触してある種の処分に問われるという部分。この法律自体には罰則規定がないわけだね、いじめ防止対策推進法には。
 だから、法の責務という中で、それを怠ったから地方公務員法でという構造になっている。私は、やっぱり教員の立場で考えると、法がうたっていて、子供を守ろうということをしっかり守ろうよということを強調した方がいいのではないかと思うんだ。仮に事例集ができるのであれば、その中でこういう対応をしたり、こういうことをしていくと、このようなことになるよというのを示すと。飽くまでも法をちゃんと読んで、理解して、子供のためにやろうということを、もう一回強調するというのが、私、三年の見直しの一つの意味なのかなと思う。
【事務局】  でも、擁護というか、肯定的な立場もバランスよく出てまいったので、論点としては、ここは多分いろいろな考え方があると思うんだが。
【座長】  肯定もいろいろあるし、否定もいろいろある。
【事務局】  我々は、なぜここに入ってきたかというと、経緯は二回前のここで御遺族の要望というのも示させていただいた。特にそこでこれについて、正に懲戒処分とすべきということを法にも規定すべきということも説明させてもらって、あとは異論はなかったし。逆に、御遺族の思いを受けていると、近年発生させた実施事案について、教員はほとんど悪気はないと思うし、一生懸命やっていると。
 ただし、実際の事案を全て第三者報告書を見ると、善意も含めて担任が自分で何とかできるということで抱え込んでいらっしゃったと。結局状況を見誤って、対策組織にも情報が行かず、この法に基づく対応が適切になされずに自殺、自死に至ったということで書かれている。大体それが同じように、一つ、二つじゃなくて、施行後もかなりそういう事案が起こってきている。そういう反省から作られた法律なのに、守られていない。だから、ちゃんと守るべきだ、守ることが義務だということから、多分、それだけでは徹底できないということで御遺族の方はそういうような要望をされていると。
 我々は御遺族の立場に立って、今後、次の三年は絶対そういう事案を出してはいけないという思いから、じゃ、どういうことが必要か。御遺族の提案もあるということで、今回こういうことをお示しするということが重要ではないかということで、事務局として載せさせていただいたということだ。
 もしそれをやらなくても、どんどん推し進めというか、これをきちんとやっていこうということで防げたらいいと思っているんだが。ただ、やっぱりこの三年間の反省ということで言うと、やっぱり背中を押してあげる。決してあれではなくて、また教員を守るという立場できちんと果たしていくことによって、子供も救えるし、教員も逆に萎縮すしないと。そういうことも狙っているのかなということで、御遺族といろいろとお話合いをさせてもらっている中で、やっぱり徹底できないことについて、一つ、次の策としてこういうことが必要なのではないかということもありということで、お示しさせていただいているということだ。
 ここは飽くまで、ほかの事案もあるけれども、学校内の情報共有というところの、これは結構一番大事なところに絞って書かせていただいておるので、ほかのいろいろな事案について、特に話もここで全て網羅しているわけではないと思うんだけれども。余り複雑に全てについてそうなんだというよりも、抱え込み、情報の共有ができず、重大な結果を招いたということに対してどう対応するかということをシンプルに示すと、こういうことになるよと。
 委員がおっしゃるとおり、法令等及び上司の命令、この辺の文言についてはちょっと整理する必要が当然あると思うんだけれども、こういうことを示すことも、実際処分事案として複数件、事例が発生しておるので、この反省をして、これから二度とこういう抱え込みによって子供が追い込まれて自殺するということがないようにしていくということで、この案ができているということをちょっと復習も含めて改めてお示しした。
【座長】  今の事務局の御説明、御遺族の気持ちは非常によく分かる。痛いほど、私もよく分かる。御遺族の方の気持ちも、もちろん非常に残念だし、こういう遺憾な事実に至ったことは非常に我々も共感すべきところはあるんだが、もともとは、やはりそれはいじめの法律に基づく報告の義務、そして学校における周知徹底が至っていないというところに大きく起因するわけだ。
 その至っていないことへの対応策として、今幾つかの案が出ている。これは、ここへ盛り込んでおくべきだ。それから、ここは削除して事例集の中へ落としていって、あわせわざでそれを理解していただく。趣旨は、やっぱり先生方に、この御遺族の気持ちも酌みながら、このことを改めて徹底していくという方向を、ここでしっかりと方向性として出すということが趣旨なんだ。
 そこのところへこれを付けるか、付けないかというところにいろいろな判断が分かれているんだ。今おっしゃっている、例えば先の委員の意見と、それから別の委員の意見、このあたり、委員は事例として出されるならそれでよろしいという、先ほど発言があったけれども、このお二方は、事例集ではなくて、こちらで扱えという御意見なのか、それとも、事例集で、ここはしっかりと義務付けをして、法の構造を示しておくと。その法の構造について、しっかりと理解をしていただく。例えば法の構造を示すにしても、ここにあるような、上司の職務命令というところまで行くかどうかという構造の示し方はあると思うんだ。
 例えば教職員の場合は、いじめ防止対策推進法に照らして、いじめと捉え得る行為について、これは組織へ報告する責務がある。情報共有についてはそういうことは書いていない、法律には。報告する責務がある。なおかつ、もう一つ、いじめの組織の方は、それを受けた場合には、しっかりとそれをみんなで共有して対応していく。そして、組織としても報告ということは、職務の中の義務に入るよということを改めて繰り返していただくと。そこのところが抜けているんだ。
 いわゆる学校に設置されている組織そのものが、先生方に報告を求めるということを改めて周知徹底する。それは、職務であるよということを組織として捉えて、そして、皆さん方に改めて周知徹底していくと。こういう構えで行くと、当然組織は法律で義務づけられている組織がやる行為だし、そこには校長が入っているわけなので、これは上司であり、組織として裏づけられた上司の職務命令というものに当たっていくよという順番にはなるんだ。しかし、そこまで書き切らなくても、その手前で、そういう順番や手順として、法的な構造は示せるのではないかと思っておる。
 そういう形でやりながらしっかり守っていただきながら、しかし、さはさりながら、今までの遺族の方々がおっしゃるような、あるいはそのほかの今起こりつつあるような裁判、訴訟でそういう形で懲戒、処分が及ぶような事案があるので、それはそれとして事例で扱っていただくと、こういう流れの方向はあってもいいだろうなとは思う。
 やっぱりどうしても今、懲戒という言葉がここへ登場することが不可欠であるという御意見であるならば、それはそれとして、この場で扱う。これに関して、委員、どうだろう。事例として扱いながら、上へしっかりと法の構造を示していく。
【委員】  それも一つの考え方であるとは思うが、私としてはしっかりと明記する必要があると思う。書きぶりをどうするかといったところはあるとは思うんだけれども、そこのところをしっかりと明記する必要性というのは、今までの三年間を見てきた中であるのではないかなと思っている。大勢が事例集の方向の方に行っているのかもしれないけれども、そこはもう一回しっかりと、僕は見直しておく必要性があるのではないかなと思う。
【委員】  そういう先生方の議論の中であるような、先生方が最終的には子供たちのいじめの問題に対してそういう取組の姿勢を示されれば、僕は一番いいんだろうと思う。何度も言うけれども、多くの先生方は、そういうことがあろうが、なかろうが、やっておられる。一部の先生が何らかの状況でうまくいかないんだけど、その先生方が先ほどから言われるようなことを理解して、ああ、そういうふうにしなきゃいけないんだなと思われるのかね。
 僕はその辺は、ここのもう一つ上に書いてある、管理職としてリーダーシップをとって情報共有を行いやすい環境づくりに取り組む必要があるというところで、この管理職の方々が自分の学校を管理するところを、どのように先生方を指導しやすいかと。管理職の方々がやりやすい方法も僕は参考になるのではないかなとは思う。
 あえてここで出さなければいけないかどうかは、それほど僕はこだわるつもりはないけど、事例集でその辺が周知徹底できれば物すごくいいと思う。しかし、こういうスクールカウンセラーをしていて、いじめの研修会とかに参加したときに、学校で、夏休み等の研修会でユニフォームを着てその研修会に出てこられる先生もおられる。その先生を見ていると、この研修会より早くグラウンドに行きたいというのが顔に書いてある。
 その方々にどうやって管理職の方々が指導されるのかなと思って、そういう管理職の方々が指導しやすい方法があれば、僕はそっちの方で全然構わないと思っている。事例集であろうと、ここで書こうと、どちらでも構わない。
【座長】  これ、結論はつけるわけにはいかないし、抑え込むわけにはいかない。しかし、流れとして、方向としては、一つは、大きな多数意見の方々は事例集で落としていくという、この多数意見は今出ていると、流れとしては。しかし、やっぱりあえて書き込む必要があるという方もいらっしゃる。このあたりのところだが、これ、今日決めなきゃいけない?
【事務局】  この書きぶりの細かいところは十分あれだけど。
【座長】  もう一度、事務局で検討していただけるか、この今の書きぶりのところ。
【事務局】  書きぶりは、また座長と、今のを踏まえて相談したいと思っている。方向性というか、これは飽くまで方向性なので、そのあたりについては大方御議論を尽くされていただければと思っているけれども。
【委員】  全部の文章をずっと読んでみると、みんな語尾が周知するとか、促すとか、推進するとか、全部それなりに収まっているんだね。だったら、懲戒云々(うんぬん)をするとかいうのは、ちょっと強過ぎるのではないかと。だから、後の事例、あるいはこういうことも考えられるとか、そういうもので補充したらどうかと思う。
 それの方が学校もやりやすいし、教育委員会の方も頭ごなしに抑え付けていることもないだろうから、そういう方法の方がいいのかなと思う。
【座長】  今のは、この本文の方で考えられるという表現をとる、事例集ではなく。
【委員】  いや、ではなくて、事例集の方でね。
【座長】  事例集の方でね。
【委員】  そうだ。懲戒云々(うんぬん)というのは外す。
【座長】  削除する、ということだね。
【委員】  この文章を見ると、いじめの共有をしなかった場合、すべからく対象になるような、前段のところが非常に広範囲な感じを受ける。それが地方公務員法の規定があいまって、余計そういう感じを、これは個人的な印象だけども、受ける。ロジックから言うと、いじめの共有を怠ったということは、地方公務員法の義務に違反するので懲戒の対象になるというロジックだと思う。
 そういうことからすると、やっぱり地方公務員法の規定を持ち出すのは、ちょっと何となく大上段に構えたような、印象だけれども、受ける。なので、責務があるということと、恐らく懲戒処分の対象になるのは、結果だけれども重大事例の場合が多いと思うので、事例の周知、あるいは事例の紹介によって、そういったことがあるということは周知できるのではないかと思う。
【委員】  非常に難しいなと思いながら伺っておったけれども。当該遺族の観点から言うと、この懲戒処分という一言が出ることによって、なかなかの気持ち的な決着をつけるという意味では、あった方がいいような気がする。しかし、全国の多くの先生方のモチベーションという観点から言うと、これが出たことによって、先ほど委員からもあったように、何だよという気持ちはなくはないのかというような感じもする。この懲戒処分となった事例があるという文言もここにあるし、事実は伝えなければいけないといったところから考えても。
 ただ、あとは事実の伝え方というところで、私は事例集という形で若干やわらかい表現にしてしまってもいいのかなと、そのように思う。
【委員】  懲戒処分という言葉が厳しいというのも、もちろんそうだと思うし、私は御遺族のお気持ちを考えても、処分をしてほしいというよりも、そのぐらい真剣にいじめについて認知して、そして対応してほしいというお気持ちが、多分もともと御遺族の方々にもあるんだと思うので、教員の先生方に処分の対象になる可能性があるから、情報共有しようねという読み方をされるような書き方が、ここには上がらない方がいいのではないかと思う。
 ただ、本当に命を守ることを真剣に一人一人が捉えようという呼び掛けというのは、もっと強く出てもいいのかなという感じはした。その上で、懲戒処分の事例に関しては、もしこの中に載せるとしても、米印を付けて欄外にという扱い、若しくは事例集の方に移すというのが適切ではないかと考えた。
【座長】  先ほど事例集でもいいという御発言をされていたけれども。
【委員】  現場に周知徹底をする方法がよりそっちの方がよければ、それでも私はいいと思う。
【座長】  あと、お一人、少数意見になったけど。
【委員】  事例に落として、それが本当に周知できるのかどうかといったところも、一つ疑問に思う。なので、これ、書き方として、地方公務員法のことを細かく書くとすごくプレッシャーになるから、例えば括弧書きみたいなところでも何でもいいので、そういうことがあったというのは、先ほど委員もおっしゃったように、事実としてそういうことがあるんだよということを、この部分で周知徹底させるという意味は、僕はあるのではないかなと今思っておる。これ、なかなか交わらないところだと思うが。
【座長】  分かった。それでは、今、大体の方向、大方の意見をお伺いした。要するに義務の構造の書き方もまたいろいろと工夫、検討していただかなければいけない。地方公務員法もどうなるかということも問題になるので。しかし、問題としては、委員がおっしゃった子供を守るという、ここのところがやっぱり一番大事なところで、それに基づいて先生方が法に基づいて組織へ報告する、この責務はやっぱりあること。
 それから、組織としては、報告が教職員の職務上の義務というか、責務であることを改めて周知徹底を図る、こういうことが必要だろう。その上で、今いろいろな意見がまだ分かれているが、括弧書きにするのか、米印を付けて注釈にするのか、事例集を起こすのかというところの検討が若干残る。大体、大方の方向性としては事例集というところへ落としていくのが穏当なやり方だろう。
 しかし、それが不可能だとすれば、米印でいくか、括弧書きという手もあり得るというところが、今の大方の御意見の総括かなと思う。そういうまとめでよろしいか。これ以上は、ねじ伏せる形になるから、それはよろしくない。議論としては、こういう協議会の場としては、それぞれの立場からの御発言があるので。
 これを酌みながら、また事務局と私の方で検討させていただきながら、委員の方へそれをお返しするということが当然起こってくると思うので、そうやりながらこれをまとめていくということで、処理させていただきたいと思う。事務局どうぞ。
【事務局】  冒頭に申し上げているとおり、この全部、これ全体だけれども、これは方向性で、これを、通知なのか、事例集なのかというのは、あえてこの場では固めていないので。今も事例集にするという手段を、次どうするかというときに、また事例集がふさわしいかどうかということを、我々もしっかり検討をさせていただくので。
 だから、今の表現上でどのような結論にしろ、全て包含できていると。ただ、ちょっと文言的に誤解を生むところとか、修正しなければいけないと思っているので。また、そこについては、今後、この取りまとまった後に、いろいろなレベルで、これを基本方針なのか、通知なのか、事例なのかという検討をやっていくときにいろいろ御相談をさせていただきたいと思っておる。そこだけは、ちょっときちんと約束させていただく。
【座長】  いや、ちょっと、そこのところは私の捉え方と違うんだ。今後、基本方針なりいろいろなところに流していかれるけれども、この案自体は、取りまとめになっているんだ、この協議会の。だから、取りまとめとしては、やっぱり一定の形をつけておかなければいけない。あるいは、こういう多数意見、少数意見というものがあるということも、やっぱり併記しておかなければいけない。それが取りまとめというものなんだ。それに基づいて、あと具体化を図っていかれるというのが筋合いだろうと思うんだ。
 だから、ここはどうでもいいと、あとはこちら側でやるからと、いろいろな基本方針をやるからという議論は、僕は座長としては預かり難い。
【事務局】  いや、そういうことではない。事例集とか、そういう何か通知だとか、そういう文言が一つ一つに付いていくような取りまとめではないということ。
【座長】  そういうことは、もちろんそうだ。そういう取りまとめじゃないけれども。
【事務局】  そこを押さえているだけだ。
【座長】  削除するからには、やっぱりそういう形では強調しておくべきだろうということは、皆さん方、共通認識なんだ。だから、これは不必要だというわけじゃない、皆さん方の御意見は。そこの趣旨はしっかり酌んでいただきたい。
【事務局】  もちろん、それは間違いなく、共通認識で。
【座長】  このことに関してどう念を押すか、確認するか、周知するかということに関して、いろいろなやり方があるということ。
【事務局】  そういうことだ。
【座長】  だから、この前半、前段の部分に関しては、ここは共通理解が図られているんだ。文言はいろいろある。これは地方公務員法を挙げるかどうかという文言の問題はあるが、前半の部分に関してはいいんだ、これは。だから、子供を守り、皆さん方がこのことの責務に関してしっかりと認識していただくということは必要性がある。それを、法に従ってやっぱり認識していただきたいし、更に組織はそれをちゃんと遵守するように、皆さんに構成員に職務上の義務であるというぐあいに周知徹底を図っていただくということは、皆さん方、これは当然のことだと思っている。その裏側の後の懲戒処分に関してどうするかというところは不必要だというわけじゃない。本文から、取りまとめとしては削除すると、そういう形になる。
 しかも、その取りまとめとしては、削除するというのは本文から削除するわけではなくて、これは今後の措置の中で基本方針なり、事例集なりという形でやっていただくというのが、一つは大方の意見としてあり、もう一つの選択肢としては、まとめへ記載するならば、括弧なり、米印なりという注釈でそれぞれそういう事実があるよということを知らせるというやり方だ、今、意見が出ているのは。そこまでしか、取りまとめはできない。
【委員】  私も、この取りまとめという今作っている文章は、このものとしては、文部科学省において、我々の意見としてただ受けとめられるものなのか、一応こういう方向性として、今まで議事録とか資料もずっと公表されているけれども、これはこれとして、一つの取りまとめとして、今日の議論を含めたら、案が取れたものとして出されるものだね。
【事務局】  はい、そうだ。
【委員】  まずは。それを受けとめて、どう対応されるかは次の問題として、もちろんおっしゃるとおりあると思うんだが。そういう意味で、座長が繰り返しおっしゃっているのは、これとして、一つのまとめとして出ていくとすると、その先の文部科学省のその次の政策としてはいろいろなやり方があるかもしれないけれども、これはこれとして、我々の議論のまとめとして、それもかなり基本的に合意された部分として出るわけだから、そういうものとして出ていくものとして適切かどうかということを含めておっしゃっていると思うので。ちょっとそこが何か、そもそもこれが前々回ぐらいから出てきて、これは一体どういうふうに扱われるのかなと、私は思っていて。
 通常だと、これは何か対照表じゃなくて文章みたいになるのかなと思っていたら、そうではなくて、このものとして出ていくのかということも、多分何回か前に御質問したと思うんだが。そういうものとして、ある意味では、まずはこれだけが出てしまう。その先、もっと細かいものを作っていくという副案がもちろんおありだとしても、これはこれとして出るというものとして出すことが適切かどうかという御判断の下に出していただきたい。
 私も、そこのところを先ほど申し上げただけで、そういう事例とか何かで周知していくのは、もちろん重要だというふうに考えている。
【事務局】  そうだ。ちょっと誤解があったらあれなんだけれども、ここの例えば事例があることを周知すると最後になっているけれども、これは別に通知の本文であることを言っているわけでもなく、これがそのまま通知になるわけでもなく、事例集という手段。ほかもいろいろ事例を示すとなっているけれども、これが合わせることも含めて、これから一番いいやり方と、また、コンセンサスのあるやり方があるということを言っているだけだ。
 その分、ほかについても促進するとか、どうやってやるんだという話を、これからもいろいろと御相談しながらやっていきたいということだ。方向性なので、この最後の語尾については少しふわっとしているものもあるということ、文章の作りを述べているだけなので、しっかりとした取りまとめをまたしていきたいと思うけれども。
【座長】  取りまとめをしていきたいとおっしゃるんだが、私の理解は、この会議の取りまとめとしてまとめて、そして、これを私どもは諮問を受けているわけだから、だから、これを文部科学省に提出するということが我々の求められている行為なんだ。ということは、我々の意見としてこれを取りまとめるということは、総意をまとめなければいけない。しかし、全員一致というわけにはいかないと。
 先ほどから出ているように、今後、手引等を、事例集等を作ってくれよということは、一本、加えておかなければいけない、そこへ盛り込むという案があるとすれば。先ほどのこの問題だけではなくて、ほかのところでも出てきている。あるいは、基本方針というものを作るときに、そこのところへ、こういう文言、こういうことを触れてくれよというのが、削除案の方々の意見。
 載せるという方々は絶対表記するというのは一名の方。それから、あとは括弧付き、あるいは米印という方々もいらっしゃる。大方はそういう形で流していくのが、今の総意として出てきている意見なんだ。これを、我々はここの会議の意見として出すわけだ、あなた方が骨組みは書かれたり、文章を書かれたにしても、これは我々がやっぱり議論して、その文章でよろしい、ここはよくないと修正を求めたわけだ。その扱いなんだ、よろしいか。
 だから、当然我々のこの協議会としては、これを公表するわけだ。
【事務局】  座長、食い違っていないと思うんだけれども、確認すると。でしたら、ここにもう既に事例集という言葉を。
【座長】  ここだけでなくて、ほかのところもあるので、この取りまとめ意見を具体化するために、あるいは詳細を補うために事例集を出すということを、どこかの方向性で入れておいていただければいいわけだ。
【事務局】  なるほど。
【座長】  そうすると、削除案というのは生きてくる。
【事務局】  なるほど、いやいや。
【座長】  削るか、削らないか、ゼロや、ゼロ、一で考えると、どうにもならないんだ、議論はまとまらないんだ。
【事務局】  分かった。
【座長】  私、まとめなきゃいけないの。
【事務局】  じゃ、事例集のところは、はっきり言って事例集と書いたまとめを全体で整理していくという了解でいいか。
【座長】  そうそう、全体でいろいろな御意見を頂きながら。
【事務局】  食い違っていないんだけれども。ここは、どこまで書くかだけの議論をしているだけであるので。確認しただけなので、分かった。
【座長】  ということが必要だろうと。ここだけのみならず、ほかのところでもそういうところがある、様々な意見があるから。
【事務局】  そうだ。その書けるところはだね。ただ、今後、基本方針なのか、通知なのかというところが、どちらにも可能性があるところについては少し方向性だけにしておいて、今のような事例集とはっきり言った方がいいところは、事例集として明記するという、そういう整理だね。そういうことだね。食い違っていないので、お願いする。
【座長】  そういうところは。だから、重大事案のところも、やっぱり事例を出していかなければいけないというところがあるからね。当然、これに伴って出てくる問題なんだ。ということだ。よろしいね。
【事務局】  はい、全然食い違っていない。全然、全く。
【座長】  という取りまとめでよろしいか、今のその御意見。若干の方々は強引にそちらへ向けちゃうところもあるけれども、大方の大勢の意見として、今の文言をとにかく懲戒というところは少し削って、そして、この後ろの方へ、どこかへ事例集ということを事例として挙げていくということを、皆さん方、お考えだというまとめで、御意見は大勢としてそうまとめざるを得んと思う。
【委員】  大勢としてはそういうふうになったといったところで、少数意見も出ていたというところはしっかりと受けとめていただきたいと思う。
【座長】  分かった。よろしいか。
 それでは、ほかのところがまだ残っておるが、重大事案等について。
【委員】  ずっと前のところで、大変今更という感じがするんだけれども、一ページ目の認知の抵抗感のところだ。ここが抵抗感の理由として、マイナス評価云々(うんぬん)とか、この次のところも総体としてマイナス評価云々(うんぬん)というだけがどうにも引っかかる。やっぱり、法律上のいじめの要件の中に、この一ページ目の右の下のところのアスタリスクのあたりに、いじめという言葉を使わず指導するなど、柔軟な対応が可能であることを示すというところに出ていると思うんだけれども、そういうものについて、いじめというふうにカウントすること。
 それは、法の趣旨が通じていないと言えばそれまでなんだけれども、どうも、そこのそういう抵抗感がおありの先生方が結構いらっしゃるのではないかと思うところを、それは法の趣旨が周知されていないこととかいう表現でもいいんだけれども、何か御自分の評価だけから認知しないという、このまとめがどうにもちょっと気になって。そのあたり、確かにこの要素が大変強いのは分かるんだけれども、何かそこが入らないかなというのが、ちょっと前々から思っているところなのだが。今更議論の時間はなさそうな気もしつつ、やはりちょっと気になるので、最後に申し上げさせていただいた。
【座長】  ここは少し検討をしていただいて、また、加えるところ等を入れるなど、いろいろと勘案していただければと思う。
【委員】  二ページの赤い文字のところなんだけれども、学校基本方針をというくだりのところなんだが、そんなに難しい問題ではないと思うけれども、ホームページをいろいろな方法で周知をしていただくということに関してなんだけれども。例えばホームページで学校基本方針、いろいろな例えば小学校、中学校を見てみると、ほとんど一緒というようなところもよく見られる。
 恐らく何かのひな形があってということなんだろうなと思うが、これを、じゃ、保護者が周知しているかというと、ほとんど知らないという現状がある。これも、例えばホームページの作り方に関しても、それが得意な先生もいらっしゃれば、そうではない先生もいらっしゃるという中で、何かの発進力というところに対していろいろ御指導いただきたいというところ。それから、発信をするこの学校基本方針の重要度が非常に高いんだというところ、プライオリティーが高く、どんどん発信していただきたいというところの書きぶりを加えていただきたいなというお願いだ。
 もう一点は、後ろの方になって、これは報告でもあるんだけれども、先般、第五回の本会のときに、保護者及び地域に対する周知というところに関して、私ども全国のPTAでも勉強会等でやらせていただくということで、私どもの会に文部科学省の職員においでいただいて、全国の六十四のそれぞれの県及び指定都市の会長たちに法律の御説明であるとか、いろいろなものを周知徹底をしていただいた。それで、ちょうど今いろいろなところで勉強会をやっているので、今全国に周知しつつあるといったところが御報告だ。
【座長】  ただいま出た論点、またこれを検討して、修正等、必要があればお願いいたす。
 ちょっと話が戻るが先ほどの報告義務の取りまとめで、委員から少数意見とあえてこだわられて発言されたけれども、私もその辺は配慮すべきことだと考えている。この場で議論を、少数意見をねじ伏せるのは良くないと考えている。先ほどの意見として出た注釈なり米印ということの扱いというのは、他のところでも出てくると思う。なので、そのあたりも勘案しながらこの取りまとめをやっていただくということになると、本文の中へ出てくるよりは注釈という形で少数意見を反映されるという形になるので、その扱いも含めて、今後、事務局と検討させていただくという形でよろしいか。
(「異議なし」の声あり)
【座長】  それでは、そういうことで。
【委員】  三点、指摘したいと思う。まず、七ページのところだが、二つ目の丸のところだ。弁護士等の法律の専門家による法教育のところだが、これ、もうちょっと早く言えばよかったと思うんだけれども、最後のところで、スクールロイヤーの活用となっているんだが、今、日本弁護士連合会の中でもスクールロイヤーの立ち位置をどういうふうにすればいいのかといったところがまだ確定的になっていないんだ。
 なので、ここをスクールロイヤーの活用という形の括弧のところは取っていただいた方がいいのではないか。実際今やっているのは、各弁護士会の子供の権利委員会という委員会があるんだけれども、そこが中心となって法教育授業をやっているところがある。法教育委員会という委員会があるところは、そことタッグを組んでいるところがあるが、スクールロイヤーという形で入っていっているのはない。
 スクールロイヤーは学校側の方に入っちゃうのか、親側との関係はどうするのか、ちょっと悩ましいところがあるので、ここのところは弁護士の専門家による法教育というだけにしておいていただいて、括弧書きは取っていただいた方が実情に合うのではないかなと思っている。これは、後で委員の方からも補充で御意見を頂ければと思う。
 二点目だが、十二ページのところで、重大事態への対応のところの二番目、今回、追加していただいたところだ。これ、非常に私の方も前回申し上げたところで追記いただいたと思うんだが、やっぱり申立てがあったにもかかわらず、それが取り上げられていないといったところがかなり多いと。かなり多いという言い方はちょっとあれだね、そのような事例もあるやに聞いておるので、ここを是非現場の方に伝えるといったところ、この周知の仕方、これもしっかりとしていただきたいところだ。これは、非常に重要な論点を入れていただいたと思っている。
 それから、最後だけれども、今度は十三ページのところだ。再調査の要件だ。これが今、三番目のぽちを入れていただいて、調査が不十分、十分ではなかったときといったところも一個挙がっているんだが、この再調査の位置づけが、いわゆる裁判で言うと第二審、控訴審みたいな形で使っていっていいのか。現状どうなのか。再調査の首長の調査というのは並行してもできるという形で、方針では出ているね。最初の方向と並行でもいいと、その役割分担をしながらという形で出ているので。
 ここの取扱いをどういうふうにすべきなのか。例えば、親側の方の代理人をやっていると、首長の再調査で何か第二審的な感じ。やっぱり最初の調査がおかしい、結論もおかしい、一応事実上の調査をしているのかもしれないけれども、例えばその評価がおかしいとかいったときに、再調査ができるのかどうかといったところも、一つ、方向性を出しておいた方がいいのではないかなと思う。
【座長】  最後の点だが、よろしいか、事務局。
【事務局】  今の委員の最後の御指摘のところは、再調査をすべき事案というので、今現在ではどういったときに首長として再調査をするのかという観点が示されていないままなので、そこはある程度、今書いている当初の調査の人選だとか、この部分を調査してほしいと言われたのに、調査されていないとか、学校の責任が調査されていない、そういったところは示していくと。
 ただ、一方、遺族、被害者の側(がわ)から要望があったときに、すなわち全て調査するかどうかというところは論点として残っておるけれども、今の仕組みはそうはなっていないということだ。なので、今の書きぶりは、十三ページにあるように、しっかりと被害者遺族の方がそういった意見、所見を首長側の方に伝えられるように、そういった仕組みがあると、そういったことをしなければいけないということを教育委員会として、あるいは重大事態を調査する側(がわ)として徹底するということを示すところに書いておるので。
【委員】  七ページの青のところに、いじめは決して許されないことを理解させるということと、あと、九ページの青のところで、アンケート調査等において児童生徒がSOSの情報を出せば、必ず学校が対応する。これを書き加えていただいてとてもよかったと思うんだが、私自身は今まで加害児童についてもちゃんと配慮をということをお話ししてきた反面、これ全体を見てみると、議論はなかなか入れなかったんだが、やはりいじめの被害に遭った子供に対してのこととか、人権侵害を受けてつらい思いをしている子供がちゃんとSOSを出せるような教育についても、ここは触れるべきではないかなという気がしている。
 いじめはしちゃいけないよということについてはいろいろなところに触れられておるけれども、いじめに遭った子がちゃんと助けを求める。その助けを求める方法も、それは被害に遭ったときにはちゃんとそれを相談できるようにしなければいけないんだということも、ここに何らか一文を盛り込むべきじゃないかなという気はしておる。
【委員】  今のことに関連するんだけれども、やっぱり人権教育ということがすごく大事という話だと思うんだ。人の人権を守るということだけではなくて、自分で自分の権利を守る、そのすべを付けていこうというのが今の委員の御意見だと思う。そこは未然防止の今のところに、まず自分自身を自分で守るということ、それから、周囲に助けを求めるということ、そして人の権利を侵してはいけないということ、それを全部セットにして表現していただけるといいのではないかというふうに思う。
【委員】  今の自分を守るのは、大変そのとおりだろうと思っているけれども、自分が子供たちと接すると、自分のことを守れなかったのかと思う子供たちがいっぱいいるので、言葉に対しては非常に慎重に吟味していただきたいなと思う。自分を守ることは大切なんだけれども、いじめられているということは、守られていないと、自分はできていないと思う子もおりるので、その辺は慎重にというふうなことを思った。
【座長】  趣旨は、今おっしゃった点も含めて、被害者が個人責任というか、その子供の責任に帰すというところがないように、その辺あたりは非常に留意して文言に表していただかないといけないというぐあいに思っておる。
 それでは、今日は一応取りまとめの案、素案から案になり、あと若干修正点も含まれておる。今日の案の修正を事務局でまたやっていただきながら、私から委員の方々に共有していただくという手続をとらせていただく。
 その後、私の方から文部科学省に手交させていただく。協議会の皆さん方の御意見を取りまとめさせていただいたということで、手交させていただくということを挟ませていただこうと思っておる。いかがだろうか、御異議ないか。
(「異議なし」の声あり)
【座長】  ありがとう。
【委員】  最後に一つだけ聞きたいんだ。
【座長】  どうぞ。
【委員】  今日、取扱注意でお預かりした書類だが、二〇一三年九月、いじめ防止対策推進法が施行されて以降、こういう事案があったということがNPOの方から示されているという書類だと思う。これについては、文部科学省としては、これに対する見解はないんだね、まだ。
【事務局】  しっかり受けとめさせていただいているということで、今後。
【委員】  受けとめているということで、疑いを含むというふうに書いてあるので。
【事務局】  はい、そうだ。
【委員】  この全ての事案が、いじめを原因とする重大な事案だというふうには解釈しない方がいいということだね。
【事務局】  そうだ。それぞれの調査報告を持つ事案も含まれておるということなので、それも今後しっかりと我々も受けとめて、検証したりしていかなければいけないということで、貴重な資料が御遺族の団体から示されたということを、まず踏まえるということだ。
【委員】  はい、承知した。
【座長】  それでは、取りまとめも、先ほど申し上げたように、一方的に多数意見だから少数意見を考慮しないというのではなくて、様々なその意見の配分が分かるような、そういう記述も含めて修正を、今後、事務局と検討させていただくということにさせていただきたいと思う。事務局と相談して、文部科学省へ手交するという手続に入らせていただく。
 それでは、後日また連絡させていただくけれども、この取りまとめの論議については、今日で終わらせていただく。
【事務局】  最後、事務連絡をさせていただく。今回、施行状況の議論というのは一旦ここでということだ。あと、先ほど申し上げておった基本方針の改定だとか、ガイドライン、事例集等ということをどうやって作っていくかというところは、また先生方の御意見を頂きたい。

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