学校における外国人児童生徒等に対する教育支援に関する有識者会議(平成27年11月5日~)(第6回) 議事録

1.日時

平成28年5月30日(月曜日) 15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 3階 3F2会議室

3.議題

  1. 外国人児童生徒等教育に関する政府の方針等について
  2. 学校における外国人児童生徒等に対する教育支援の充実方策について(報告)(案)について
  3. その他

4.出席者

委員

池上委員、伊東委員、各務委員、佐藤委員、菅原委員、高橋委員、竜澤委員、樋口委員、藤巻委員、柵木委員、松本委員、高橋委員代理

文部科学省

小松初等中等教育局長、藤原大臣官房審議官、浅田大臣官房審議官(内閣官房教育再生実行会議担当室長)、小林国際教育課長、齋藤国際教育課主任学校教育官、木下国際教育課係長、松木大臣官房国際課国際協力企画室長、岸本国語課長(文化庁)

オブザーバー

石田内閣府政策統括官(共生社会施策担当)定住外国人施策推進室参事官、小川外務省領事局外国人課長、北村法務省入国管理局入国在留課在留管理業務室法務専門官、庵田総務省自治行政局国際室総務事務官、伊藤厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部外国人雇用対策課長補佐、酒井経済産業省経済産業政策局産業人材政策担当参事官室係長

5.議事録

【佐藤座長】 定刻ですので、会議を始めたいと思います。本日はお忙しいところ御出席いただきましてありがとうございます。学校における外国人児童生徒等に対する教育支援に関する有識者会議、本日、6回目となります。この報告書の取りまとめに向けた議論をこれからしていきたいと思います。是非活発な議論をお願いしたいと思います。
なお、事前にプレス関係者と傍聴者の傍聴登録がありましたので、これを認めております。
それでは、まず事務局の方から、本日の配付資料について御説明をお願いします。よろしくお願いします。

【齋藤初等中等教育局国際教育課教育課主任学校教育官】 よろしくお願いいたします。それでは、事務局の方から、本日の配付資料について御案内申し上げます。
お手元の議事次第をごらんいただきまして、4番の配布資料のところでございます。資料1が外国人児童生徒等教育に関する政府の方針等についてということで、A4の横版の資料でございます。資料2が、学校における外国人児童生徒等に対する教育支援の充実方策について(報告)(案)概要ということで、これもA4の横版の1枚の紙でございます。資料3が、この報告の(案)ということで、A4の縦版の報告書の案の本体でございます。
それから参考資料といたしまして、基礎資料ということで、A4の横版の分厚めのものを用意させていただいております。そのほか、机上資料は従来と同じようなものを御用意させていただいております。過不足等ございましたら事務局に御一報ください。
以上でございます。

【佐藤座長】 ありがとうございます。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、まず議題1に進みたいと思います。報告書の議論に進む前に、前回の会議以降、政府の基本的な政策の取りまとめについて動きがあったようでございますので、事務局から御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【齋藤初等中等教育局国際教育課教育課主任学校教育官】 それでは、資料1をごらんください。今、座長から御紹介ございましたように、前回、4月18日の会議以降、政府の基本的な方針、それから与党における方針、提言等につきまして、外国人児童生徒等教育に関するものが幾つかございましたので、資料1という形でまとめて、この場で御紹介させていただきます。
資料1の、まず一番上の部分、これは以前からあるものでございますが、第二期の教育振興基本計画、平成25年に閣議決定されたもので、「海外で学ぶ子どもや帰国児童生徒、外国人の子供に対する教育の充実」ということで、こういった記述がされているという前提でございます。
それから2つ目以降が最近の動きでございますが、まず、「『日本再興戦略』改定2016(案)」ということで、これはまだ案で、予定ですと、あすに閣議決定される予定の案の段階でございますが、この中で、まず1つ目といたしましては、外国人材の活用といったところの一環として、外国人受入れ推進のための生活環境整備という項目がございます。この中に、赤字の部分でございますが、「特に、教育環境については、日本の一般的な公立学校においても日本語指導を受けながら学校生活を過ごせるよう、可能な限り早期に日本語指導を必要とする外国人児童生徒の日本語指導受講率100%を目指すとともに、特に日本語指導の必要な外国人児童生徒の多い地域においては『JSLカリキュラム』における指導が確実に実施されるようにする」といった内容のことが記載されております。
それから2つ目は、その下に、対日直接投資誘致の強化ということで、これも先ほど申し上げましたものと同じような文脈でございますが、外国人児童生徒の教育環境の改善ということも記載されております。
2ページ目にお進みください。2ページ目でございますが、「経済財政運営と改革の基本方針2016」、いわゆる骨太の方針というものでございますが、これもあす閣議決定の予定でございますけれども、こちらの、まず1つ目、教育の再生というところで、「希望する教育を受けることを阻む家庭の経済事情、障害、不登校、日本語能力の不足など様々な制約の克服に向けた取組を進め」という形で言及がされております。
その下が、「TPP等に対応した海外の成長市場との連携強化」の中で、やはり「外国人材の活用」というところがございまして、この最後のところでございますが、「外国人の子供の教育環境を含む生活環境整備を進める」という記載になっております。
続きまして、「ニッポン一億総活躍プラン(案)」でございます。こちらも明日まで、まだ案ということでございますけれども、赤字にございますように、「貧困による教育格差やいじめ・不登校、障害のある子供、日本語が通じない子供など、特別な配慮を必要とする児童生徒にきめ細かく対応した指導を行うため、担当教員の配置充実等の学校指導体制の確保に取り組む」ということでございます。
その下、「外国人材の活用」でも、先ほどと同様の記載になっております。
一番下のところでございますが、「グローバル・ハブを目指した対日直接投資促進のための政策パッケージ」ということで、これは5月20日に推進会議で決定されたものでございますが、「外国人の生活環境の改善」というところで、2020年までに、日本語指導を必要とする全ての児童が日本語教育を受けられるようにするといったこと、それから、JSLカリキュラムの導入校の比率を拡大するといったこと、それから、外国人と日本人の子弟が共に学べるスーパーグローバルハイスクール等の取組を促進といったことが書かれてございます。
それから、3ページ目が、これが教育再生実行会議の第九次提言でございます。これは5月20日に決定されたものでございます。こちらの方で、「日本語能力が十分でない子供たちへの教育」という項が設けられておりまして、この中で、かなり詳細な形で提言を頂いているところでございます。点々囲みの中身をごらんいただければと思いますが、まず、不就学の子供の実態把握ということで、教育・福祉部局や住民登録の担当部署等が連携して不就学の状態となっている外国人の子供の実態を把握する仕組みの整備を図るといったことの提言がございます。
2つ目の「支援人材の確保など地域ぐるみで支援する体制の整備」のところでは、2行目にございますように、子供の日本語能力に応じた特別な指導を担う教師に係る定数の計画的・安定的な充実や、養成・研修を通じた専門性の向上とともに、外国人・大学生・日本語教師などの地域の人材を、通訳、日本語指導、学習サポート等に当たる支援員・ボランティア等として安定的に確保できる枠組み作り、専門性の向上といったことが書いてございます。
その次が、「日本語能力が十分でない子供についての情報の適切な引継ぎ」ということで、各学校が個別の指導に関する支援情報資料を作成、これは個別の資料計画等が想定されているところでございますが、その内容が適切に引き継がれる仕組みを構築するということでございます。
それから、「特別な教育課程の編成・実施等」につきましては、小中学校段階で可能となっている特別な教育課程の編成・実施について、地域の状況に応じまして、拠点校方式も含め活用を促進するとともに、取組状況を検証した上で、適用範囲の高校への拡大も検討するという内容でございます。
その下、そのほか、ICTを活用した教育の推進、開発といった中身、それから、就労を見据えたキャリア教育等の充実といったことについても提言いただいたところでございます。
それから4ページ目でございますが、次は、文部科学省内で、義家副大臣をヘッドに設置されました次世代の学校指導体制強化のためのタスクフォースにおける中間まとめということでございますが、この中で、次世代の学校像を実現するための教職員定数の改善の方向性ということで、29年度要求で対応すべき事項の1つとして、この2つ目の丸でございますけれども、単なる日本語指導ではなく、日本語と教科の統合指導、生活指導等を含めた総合的な支援を行う観点から、外交人児童生徒等の指導を担当する教員の定数について大幅な充実を図る必要があるという中身でございます。
以上が政府、文部科学省関係の方針等についてでございました。
以降は、与党、自民党における提言でございます。様々な部会がございます。教育再生実行本部という自民党の会議の中に部会がございまして、その中で様々な提言を頂いております。
格差克服のための教育部会というところでございますが、個々の日本語教育に応じた日本語指導や教科指導による学力保障のための支援体制の充実、企業等と連携したきめ細かな進路指導・キャリア教育の取組といったこと、それから教育環境整備部会では、日本語能力が十分でない子供たちへの支援など、ICTの活用を通じて充実すること、それから特別支援教育部会におきましても、拠点校を中心とした教育体制整備のモデル構築等につきまして提言いただいております。
それから5ページ目でございますが、こちらは、フォローアップ特別部会という部会の方で、これはかなり細部にわたりまして、グローバル化する我が国における日本語指導が必要な児童生徒に対する教育についてということで提言を頂いております。この4番の提言のところから次へと3ページにわたって細かに提言がございますので、一つ一つの御紹介は割愛させていただきますが、項目といたしましては、日本語能力が十分でない児童生徒への指導・支援体制の整備・充実というところ、それから6ページ目に教員等の養成・研修の充実、それから日本語能力が十分でない児童生徒への指導内容の充実、それから7ページ目に、外国人児童生徒等の就学・進学・就職の促進ということで、本有識者会議での論点とも沿う形で御提言いただいているということでございます。
以上、最近出されました政府の方針等、案も含めてでございますが、御紹介申し上げました。
以上でございます。

【佐藤座長】 ありがとうございました。
今の説明について、何か御質問等ございますでしょうか。様々なところで、政府関係の報告の中に、私どもが、今、議論しようとしている外国人児童生徒教育に関わるものが取り上げられているという印象を受けます。私どもの議論の方向性ともかなり一致する方向だと思いますけれども、特段よろしいでしょうか。
それでは、また何かございましたら、後ほど併せて御質問いただければと思います。
それでは、本日のメインになります議題2でございます。事務局で作成いただきました「学校における外国人児童生徒等に対する教育支援の充実方策について(報告)(案)」に関して議論をしたいと思います。
まず、事務局の方から資料の説明をお願いします。よろしくお願いします。

【齋藤初等中等教育局国際教育課教育課主任学校教育官】 それでは、引き続き事務局の方から御説明申し上げます。資料2と資料3がございまして、主に資料3を中心に御説明をさせていただければと思います。
まず、前回、4月18日の会議におきまして、骨子案という段階の案につきまして各委員の皆様から貴重な御意見を頂いたところでございます。その後、メール等でも、後日、お届けいただいた意見もございまして、そのあたりを反映しつつ、全体を報告書(案)ということで、骨子ではなくて文章の形でまとめさせていただいたものが資料3でございます。
それでは、まず資料3の1ページ目をお開きください。こちらに、骨子にはなかったものでございますが、「はじめに」という文章を入れております。こちらにつきましては、有識者会議の設置、それから議論の経緯を書きつつ、最後のパラグラフでございますが、主にこの報告書が誰に対してどういうことを求めているのかということをある程度明確にするという意味で、一番下にございますが、「有識者会議では、国、地方公共団体、学校、その他の関係者が今後取り組むべき施策の基本的かつ具体的な方向性について、とりまとめ、提言を行うものである」という形で入れさせていただきました。
それから、2ページ目をお開きください。2ページ目以降が「外国人児童生徒等を巡る状況と基本的な考え方」のところでございます。まず、1.の最初の丸のところでございますが、我が国の在留外国人数のトレンドについて記載しているところでございます。ここは、前回のところで、国によって伸び縮みがかなり違う部分があるということで、少し記述を加えさせていただきました。具体的には、ブラジルやペルー等の南米系の在留者数も減少傾向である一方、フィリピン、ベトナム、ネパール、タイ等の諸国の在留者が増加するという形で、少し記述を加えさせていただきました。
それから、そのページの一番下の丸の「更に」というところでございますが、そこと併せて、実際に減少しているブラジル、ペルー等の南米系のところも、減少していると言われるが様々な状況があるというところの御意見がございましたので、それを踏まえまして、例えば、在留外国人の第二世代などの日本生まれ・日本育ちの子供が現れる一方、日系外国人の我が国への定住者の第二世代が多いとされてきたブラジル、ペルー、フィリピン等においても、新たに本国から来日する者もいるという形で入れさせていただいております。
それから、3ページ目の上の丸の赤字の部分でございますけれども、ここも、実際に母語及び日本語の能力という意味で、多様な方がいらっしゃるという御指摘がございましたので、具体的にはということで、母語及び日本語両方においてコミュニケーションや学習が可能な児童生徒、その一方、母語においても日本語においても学習が困難な児童生徒という形で、少し記述を追加しております。
続きまして、3ページ目、4ページ目のところは、文章化しておりますが、特に追加して記載しているものはございません。
5ページ目の基本的な考え方の部分でございますが、ここは、前回の会議で、まず項目の順番を精査してほしいという御指摘がございましたので、順番を精査した上で、小見出しを入れさせていただきまして、ある程度グループ分けできるように工夫しております。
まず1つ目の小見出しが、「多文化共生に基づく外国人児童生徒等教育」という形でさせていただきました。その上で、1つ目のところで、その多文化共生の考え方を少し書いた方がいいという御意見を踏まえまして、記述を入れております。最後の3行あたりを読んでいただきますと、「我が国の学校において、異文化理解や多文化との共生の考え方に基づく教育がますます求められていく中、外国人児童生徒等教育はその中心的な課題として捉えられるべきである」という形としております。
それから、その下の丸の部分からが、いわゆる受入れのメリットという形のところでございます。そこにつなげるために、この赤字の部分として、学校が抱える諸課題への対応という形で受動的に捉えるのみならず、積極的意義・効果の観点から位置付けるというようなつなぎの文章を入れております。
6ページ目でございますが、その上で、2つ目の丸以降のところで、「体制整備」という形で小見出しを入れて、その全ての自治体に関係し得る問題というところと、それから、国、地方公共団体、学校、地域等の役割分担、連携についての記載をまとめて書かせていただいております。
7ページ目の1つ目の丸からですが、ここは「総合的・多面的な指導としての外国人児童生徒等教育」という形にさせていただきまして、いわゆる日本語指導だけではない、教科との統合指導、生活指導等も含めた多面的な指導という部分の記述、それから、「外国人児童生徒等教育」という言葉を使っていくというところの記述、それから、具体的な指導法、例えば取り出しですとか入り込み、それから在籍学級における配慮といったきめ細かな指導をするといったところを併せて、この項目の中に入れさせていただいております。
それから、最後の小見出しが「ライフコースの視点に立った体系的・継続的な支援」という形でまとめております。この一番下の丸の部分でございますが、こちらにおいて、具体的なロールモデルを提示することが学びの動機付けの観点から効果的であるという部分につきまして、少し具体的なイメージを書いた方がいいのではないかという御指摘がございましたので、例えば、我が国の小学校・中学校等で教育を受けた児童生徒が進学・就職して、いわゆる個性を生かして活躍する等の、そういった書きぶりを少し入れてみました。
それから、8ページ目の最後でございますが、外国人児童生徒等教育を担う人材育成ということで、教員養成、それから現職研修の部分について入れております。
それから、次以降が第2章で、指導体制の整備・充実というところでございます。こちらの9ページの2.から、今後の方向性及び具体的方策・提言というところでございますが、これ以降の具体的方策・提言のところにつきましては、前回、取組を行う主体、提言を届ける主体が明示された方がいいという御指摘を踏まえて、それぞれ「国は」若しくは「都道府県は」といった形で主語を入れるように修正しております。
その上で、(1)「拠点校」等を中心とした指導体制の構築につきましては、2つ目の丸以降のところで、これも前回の御指摘で、いわゆる拠点校というのがどういうイメージなのかというのが、いろいろなタイプのものがあるというところの御指摘がございまして、そこをある程度書き分けるというところで、具体的にはa、b、c、dの4つのカテゴリーで、そういったケースを列挙させていただいております。
それから10ページ目に行きまして、その上で、2つ目の丸、3つ目の丸でございますが、そういった拠点校の様々なモデルを踏まえて、都道府県・市区町村が行うべきこと、それから国が行うべきことということで、2つ丸を分けて書かせていただいております。
それから、3つ目の丸でございますが、こちらにつきましては、広域の学校、基礎自治体間にわたる指導・支援体制の構築の際、都道府県が主体的な役割を果たすべきだという御意見を踏まえて、そちらを入れた上で、国がそういったところに対する重点的な支援を行うというような流れとさせていただきました。
それから最後の丸でございますけれども、こちらは、いわゆる外国人児童生徒等教育が、その指導を担当する個々の教員の問題だけになってしまうという御指摘がございまして、その学校全体の体制といったことで、4行目あたりで、校長をはじめとする学校管理職のリーダーシップが求められるといったこと、それから、市町村において、そういった指導のために、例えば特別の教育課程を導入すること等をきっかけにして、そういった体制整備に取り組むことができるような支援が必要であるというような書き方とさせていただきました。
11ページの2つ目の丸でございますけれども、こちらは、もともと連携体制の構築というところでございましたが、ここは、アクションを行う主体が明確でないといったこと、具体的な中身を記述すべきだということを踏まえまして、2つ目の丸で、都道府県・市町村の役割といったこと、それから3つ目で、国の方が、具体的には情報の収集、情報提供、それから国の補助事業のおける連携を促すための具体的・効果的な仕組みの検討という中身でございますが、こういったことを明示させていただきました。
それから、これとの関連で、旧虹の架け橋事業の成果といったところについても、前回御指摘がございましたので、成果を踏まえて、今後も同事業の充実・強化に努めるという中身を加筆しております。
それから、(3)が教員の配置の拡充というところでございますが、これも11ページの一番下の部分で、いわゆる教員の定数の大幅な充実を図るという、先ほどのタスクフォースの提言とも少し平仄(ひょうそく)を合わせまして、国の行う取組ということで明示しております。
それから、12ページ目でございますけれども、それに対しまして、県費負担教職員の配置というのは、最終的には都道府県でございますので、こちらの都道府県等の役割というところで「適正かつ十分な配置に努めるべきである」というような表現としております。
その下の丸が、年度の途中で編入学されるケースの場合のそういった配置のところの配慮といったことの御指摘がございましたので、記述を加えさせていただいております。
(4)が支援員の人材確保・配置の推進でございますが、こちらも、最初の丸のところが、まず、国・都道府県・市町村が支援員の配置を促進するための財政的な支援を充実すべきであるといったところを入れさせていただいております。
それから、13ページ以降が教員・支援員等の養成・確保でございます。こちらの方は、現状のところで、多少、都道府県の研修のところの記載を加えておりますが、メインの部分といたしましては、14ページ目以降のところでございます。こちらも、前回、モデル・プログラム等の開発の主体につきまして御指摘がございましたので、国が行うということを明示した上で、丸の3つ目でございますが、プログラムの内容を踏まえた関係科目の設置ですとか、そういったところにつきましては、基本的には教員養成系大学等が当該大学等の所在する地域の必要性に応じて取り組むということですので、これを明示した上で、国・都道府県等はこの取組を支持するという形で、役割を明確化させていただきました。
それから、14ページの一番下から15ページ目にかけて、現職教員研修に関しましては、ここにつきましては、前回、こういった研修プログラムの具体的な中身につきまして、少し丁寧に書いた方がいいという御指摘がございましたので、この初任者研修、10年経験者研修等の研修の一環として実施するといった中身、それから免許状更新講習等においても、選択必修領域、選択領域の講習の一部として取り扱うといった中身を加筆しています。
それから、2つ目の丸の部分でございますが、こちらが、前回、いわゆる資格の話についてもう少し踏み込んで書くべきではないかという御指摘がございました。ここにつきましては、最初の部分のところで、なぜ必要かという前提のところとしまして、外国人児童生徒教育に関わる教員の専門性を高めていく観点からは、以上に加えて、専門的な教育・研修等の履修の成果を対外的に証明する仕組みが必要であるという前提を設けさせていただいた上で、現在、日本語教育に関わる人材の養成、資格のところにつきましては、文化審議会国語分科会で議論が行われておりますので、こちらの方で、日本語教育に携わる人材に求められる能力について整理して検討するといったことに触れさせていただいております。その上で、「国は」というところで、「以上の検討内容を踏まえつつ、外国人児童生徒等教育に携わる教員や支援員に必要となる能力や資格等の在り方について、検討を行うべきである」と、こういった表現とさせていただいているところでございます。
それから、(2)のところでございますが、こちらが、前回、大きく議論になりました、いわゆる教員の採用・配置の部分でございます。こちらは、基本的には都道府県等の責任で行われているものがございますが、そこにつきまして、1つ目の丸で、「都道府県等は」という形で、外国人児童生徒等教育に関係する経験を積んだ者を、より積極的に評価して教員として採用できるように、教員採用選考において考慮するということ。それから一番下の部分が、経験豊富な教員ですとか専門性の高い教員、それから教育に携わる意欲を有する教員ということで、前回御指摘がございましたが、そういった教員を配置するなどの配慮に努めるといったことで、少し項目を分けて書かせていただきました。
16ページの(3)が支援員の育成の部分でございますが、ここも、誰が何を行うのかというところを少し追記させていただいた上で、16ページ目の一番下の丸でございますが、ここの部分で、いわゆる母語による支援員というのが様々な形態の方がいらっしゃって、そこが、求められる役割と能力というところがなかなか一致していないという御指摘がございましたので、そこの部分を踏まえて、都道府県・市区町村がこういった指導・支援体制の実情を踏まえて、どのような母語支援員を必要とするのかというのを明らかにしていくということを記載しております。
それから、次から第4章で、指導内容の改善・充実というところでございます。こちらは18ページ目以降になりますけれども、こちらも少し多岐にわたる内容がございますので、小見出しを追加させていただきまして、JSLカリキュラムの普及というところにつきましては、前回、新しいマニュアルを作るというところにつきまして既存の活用できる資料があるという御指摘がございましたので、それを踏まえた修正をしております。
それから、その下の「中学・高校段階における指導内容の検討」のところでは、中学におけるJSLカリキュラムの指導についての課題と、何をすべきかというところが、前回、かなり明確でなかったということがございましたので、そこの記述、具体的には、日本語と教科指導の統合的指導の方法だけでは対応が難しいケースというのが想定されるので、母語による支援員による教科指導や、翻訳版の教材の活用等の様々な手法を組み合わせるといったことにつきまして、国の方で検討するという中身としております。
それから、18ページ目の下から3つ目の丸でございますけれども、ここにおいて、いわゆるJSLカリキュラム、ここでの導入といったことについて検討が必要だという御指摘がございましたので、ここにつきましては、国はそういう小・中学校段階でのJSLカリキュラムの内容、それから特別の教育課程の取組状況を検証した上で、高等学校段階への拡大に着手するという中身としております。
18ページ目の下から2つ目の「在籍学級における指導との関係」でございますが、こちらは、在籍学級の担任と、それから外国人児童生徒等教育の担当との連携を図るといったところの追加をしております。
19ページ目の一番上の記述でございますが、こちらは、在籍学級における配慮という、配慮事項の具体例を少し明示した方がいいと御指摘がございましたので、少し加筆しております。
19ページ目の(2)の初期日本語指導の実施のところは、ここは、就学の初期段階におけるものと就学前の幼稚園・保育所と連携する部分を2つの丸で書き分けて、多少記述を詳しく追加しております。
(3)の20ページ目に行きまして、2つ目の丸のところでございますが、「かすたねっと」の利用のところの課題のところにつきまして、少し丁寧に加筆をさせていただいております。
それから、20ページ目の後段以降が第5章の就学・進学・就職の促進でございます。こちらの21ページ目のところの一番下からでございますけれども、「就学促進の取組の一層の充実」という小見出しでございます。ここは、こういった就学促進の取組につきまして記述すべきだという御意見がございましたので、ここを1つ項目を設けて加筆しております。
それから、その下、「保護者とのコミュニケーションの促進」、それから「外国人児童生徒等を巡る諸課題への対応」という形で、少し小見出しを付けさせていただいております。
それから、23ページ目の(2)外国人生徒等の高校進学の促進のところでございますけれども、「高校入試の特別枠の設定の促進」のところで、前回、「高い学力を持つ者が」という記述がございましたが、「高校での学習を通じて複数の言語コミュニケーションをする力等の個性を伸ばして、自立できる可能性のある者が含まれている」というような書き方とさせていただきました。
それから、そういった高校の特別枠の取組は、今、行われている都道府県だけではなくて、広く広めるべきだということがございましたので、その一番下のところで、全国の都道府県へ促すべきであるということを入れております。
それから、その下に、「高校における指導の充実」というところで、高校段階も指導の改善・充実が必要だという御指摘がございましたので、加えております。
それから、それとの関係で、23ページ目の一番下の丸のところで、先ほども出てきましたJSLの高校への拡大のところ、これは再掲になりますけれども、入れてございます。
それから24ページ目のところでございますが、こちらは、企業等との連携によるキャリア教育・インターンシップ等の推進というところで、ここに関しましては、必ずしもキャリア教育・インターンシップといっても、工場を体験するだけではなく、様々なものがあるという御指摘がございましたので、どういったものがあり得るかというところを少し細かく書いた上で、3つ目の丸のところで、学びの動機付けを図っているような事例といったことで、少し事例を加えさせていただいたところでございます。
それから、最後の「外国人生徒等の個性を伸長するための特例的な学校の推進」というところでございますけれども、教育課程特例校の中身が少し分かりやすいようにということで、イマージョン教育などといった形で追記した上で、25ページ目の最後のところでございますが、これは大学の部分についても対応が必要だということで加筆させていただいております。
それから、26ページ目のところで、「おわりに」という形で、一言、簡単に付記しております。こちらの方は、今後何が期待されるかといったところで、2つ目の段落で、地方公共団体、学校、その他の関係者において、この報告に盛り込まれた内容を十分に踏まえて施策の実施に当たることを期待するということ、それから、国はこの提言の方向性につきまして、周知を図るとともに、提言の実施状況を把握・検証して一層の改善・充実に努めるといったことを明記しております。
その後、今回の有識者会議の設置の経緯、設置要綱、名簿、それから検討経過を付けさせていただきまして、報告書の出来上がりのものにつきましては、これに加えて、今、参考資料でお配りしております机上資料の方も併せてデータとして付けていただければどうかというふうに考えております。
大変長い説明になりましたが、以上が報告案の資料3の説明でございました。

【佐藤座長】 ありがとうございました。
前回、皆様から頂いた意見を反映して、しかも分かりやすく小見出しを付け、それから文章化していただきました。まだ文末で、若干、体言止め等がありますので、それは後でまた修正できればと思いますけれども、これから、前回の会議と同様に順にそれぞれ皆様から御意見を頂きながら議論を深めていきたいと思います。時間が大変限られており、1項目15分ぐらいの時間配分で議論を進めていきたいと思います。早速、「はじめに」と1の部分です。前回よりも読みやすくなっていると思いますし、前回の意見も反映していると思いますけれども、何か御意見があれば伺っていきたいと思いますので、どうぞ。

【池上委員】 池上です。とても分かりやすくまとめていただいて、本当にありがとうございました。
まず、「はじめに」のところに文言を加えていただきたいという案件が1つです。「はじめに」の最初の段落の下から2行目、様々な連携の取組のところに、「学校、行政機関、企業、NPO団体との連携」となっているんですが、それ以降のところでは「大学」というのも書いてありますので、是非、この段落、最初のところですので、「企業、大学、NPO等」という言葉にしてみてはどうでしょうか。今日、実際、現実問題として、大学はかなりこの問題に関わっているところが多いですし、これからますます大学の地域貢献というのが求められる時代ですので、最初の段落にも入れておいていただけるといいかなと思います。
これが具体的な提案で、あと、1つだけ、簡単なコメント。ページで言うと5ページから6ページにまたがるところです。この会議の中で私が何度も何度もお話しさせていただいたところですけれども、外国人児童生徒をめぐる問題、課題を、取り組むべき課題というだけではなくて、その積極的な意義について、今回、書き込んでいただいたことをとても高く評価したいと思います。ありがとうございます。

【佐藤座長】 ありがとうございます。「はじめに」のところは、下の方と文言も合わせる必要もございますので、御指摘のようにしていきたいと思います。
ほかにどうぞ。

【樋口委員】 樋口です。前回のいろいろな意見を取り入れていただき、ありがとうございます。
まず「はじめに」のところですが、文言で言いましたら「公立学校に就学する」とありますが、後で「在籍」という言葉が混在をしていますが、「在籍」の方がいいと思います。統一していただきたいと思います。
それから3行目、「小・中学校における」という言葉がありますが、やはりこれから中学校を卒業して高校進学を目指す生徒たちへの支援、入学後の高校での支援をどうするのかということが大きな課題です。後の文章でも、高等学校について記述していただいていますので、ここでは是非「高等学校」の文言を入れていただきたいと思います。
それから3点目、先ほど池上委員から、「大学」の文言を入れていただきたいということがありましたが、そこに「国際交流協会」という団体も入れていただきたいと思います。子供に対する日本語指導は学校が行い、大人に対する日本語指導については国際交流協会が主に地域で担ってきていますが、国際交流協会との連携は大切であり、是非入れていただきたいと思います。それ以降についても、いろいろなところで「国際交流協会」の文言を可能な範囲で入れていただければ有り難いと考えています。
それから、「国と地方公共団体」という言い方をされていますが、教育委員会では「地方公共団体」という表現はぴんと来ないです。やはり県教育委員会であるとか市教育委員会と。地教行法の関係で、基本的には別の組織です。それを一層連携するために、新しい教育委員会制度の中で、総合教育会議で議論・協議をしていくという流れです。ここに教育委員会という名前を書いていただいた方が、うちのことだという意識が生まれてくると思います。
それから2ページに入っていきまして、細かい話ですが、丸1のところの「中国及び韓国からの在留者数は」という表現がありますが、特に「韓国からの」という場合、韓国籍の方はほとんどが特別永住者で、新たに渡日されたということではないと思います。恐らくこの有識者会議の中で、新渡日のことか大きな話題になっていると思いますが、そこは「韓国籍の」・「中国籍の」と、国籍を書かれた方がすっきりすると思います。例えば、中国からの新渡日の出身国というと、一世なので、出身国は中国ですが、二世となると、生まれは日本になってしまいます。そこのところを工夫していただいた方がよいと思います。
以上です。

【佐藤座長】 まず最後のところは、これは、在留外国人統計で、今年度、前回調査から、多分、韓国を独自に取り始めたはずですね。これまでの在日韓国・朝鮮は朝鮮籍というふうになっていると思いますので、これは、調べていただければ有り難いです。もし修正が必要な場合は修正しましょう。
それから前の方については、在籍、就学云々(うんぬん)の話は、全体の統一の話ですので、工夫していきたいと思います。
それから、学校段階のところで、小・中学校が今までやってきたけれども、更に高等学校段階までも含めてという御指摘だろうと思いますので、「はじめに」の書きぶりをどうするか、最終的な調整を図りたいと思います。
国際交流協会については、これは組織の形態がそれぞれによって違うパターンもございますので、どのように表記するか検討させていただきたいと思います。
ありがとうございます。ほかに何なりと。
どうぞ、お願いします。

【吉住委員代理(高橋課長)】 吉住新宿区長の代理で出席しております新宿区教育委員会の高橋でございます。よろしくお願いいたします。
先ほどの池上委員の意見と一部重複するんですが、5ページに、外国人児童生徒の教育について、より積極的な意義・効果の観点から位置付けることが求められるといった記載を頂きまして、これは非常に重要な点と考えております。この点について、「はじめに」というところで書き加えていただければと思っております。今の「はじめに」の書き方ですと、課題意識を挙げているんですが、その後にどういったことを目的としているのか、目指す姿はといった部分が加えられると、より有意義かと思いますので、御検討いただければと思います。

【佐藤座長】 ありがとうございました。この「はじめに」を、事実だけを記述するのか、それとも方針などについても記述していくのかということだと思います。積極的な意義が打ち出されたということで大変高く評価したいと思いますが、それを「はじめに」に書くかどうかということだろうと思います。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょう。はい、どうぞ。

【柵木委員】 柵木です。お願いします。
6ページから7ページにかけてのところですが、7ページにあります「総合的・多面的な指導としての外国人児童生徒等教育」、この見出しのところで、2つ目の丸に、「以後、『外国人児童生徒等教育』の用語を用いる」というふうになっております。総合的・多面的という大きな部分から入っているので、この部分を丸々、5ページの「多文化共生に基づく外国人児童生徒当教育」の後に持ってきた方が、この用語を用いるという定義もするので、読みやすいのかなと思いました。
それから、6ページにあります体制構築の中で、主語を明確にして、国は、都道府県は、市区町村はということで、大変分かりやすくなったと思います。これに「学校は」というのがあった方がいいのではないかなと思いますので、10ページにあります一番下の丸の「なお、学校における外国人児童生徒等教育は」というところで、学校がすべきことがここで具体的に書いてあるので、これを大きくこちらに書いておいた方が、全体を見渡す、俯瞰(ふかん)する上でいいのではないかなという気がします。
以上です。

【佐藤座長】 ありがとうございました。順番の入替えということでございます。何かございますか。

【齋藤初等中等教育局国際教育課教育課主任学校教育官】 順番につきましては、むしろ皆様方がどの順番がいいのかという御意見を頂ければいいのかなと思っております。

【佐藤座長】 ありがとうございます。全体を俯瞰(ふかん)するためというのであれば、学校というのもここに入れるのも一案だと思います。
はい、どうぞ。

【樋口委員】 樋口です。
5ページのところで、「多文化との共生」という文言が、今回、文科省としては新しく入ってきたと思いますが、もう少し詳しく説明がある方がよいと思います。人によって理解が違うのではないかなという心配をしています。兵庫県では、国籍や民族の違い、生活習慣や文化の違い、それをお互いに理解をしながら豊かに共生をしていく態度や行動を身に付けることだという説明をしています。実は生活習慣や文化の違いからトラブルとなって、「国に帰れ」と心ない言葉をかけられる場合があります。その中で、仲間外れやいじめが起きています。結局、子供たちの学習意欲が低下したり、不登校になったりします。そうならないように共生の心をはぐくむと兵庫県では説明しています。そういった説明書きをしていただくと分かりやすいと思います。
それから、6ページの丸の下から4つ目、それから2つ目ですが、1つは、「国は、外国人教育等の基本的な方針の策定に加え」とありますが、実際、県や市町で外国人児童生徒等教育の予算をとろうとしたときに、なかなか財政当局の理解が得られないという大きな問題があります。それは国だけではなくて都道府県あるいは市区町村で、外国人児童生徒等教育の基本方針を作り、そのことによって予算が円滑につくことにつながります。そういうことも、特に都道府県、市区町村のところにも、明確に書いていくことが大切であると思います。
それから、外国人児童生徒の公立学校への受入れについては、地域や自治体によって認識が違うと感じています。例えば新渡日の子供に対して、日本語ができてから学校に来てくださいというような認識の教育委員会もあると聞いております。そういう意味で、文部科学省の就学・編入の考え方について、再度、説明、周知徹底が大切であると思いますので、そのことも明記をしていただければと思います。
以上です。

【佐藤座長】 はい、御意見として承っておきたいと思います。取り入れるべきところは取り入れていきたいと思います。
2の外国人児童生徒等教育の指導体制の整備・充実に移っていきたいと思います。8ページから12ページまでのところでございますけれども、ここの点に関して何か御意見があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ。

【池上委員】 池上です。10ページの一番下の丸のところ、その段落の下から2行目です。「校長を中心とする学校全体の体制整備」というところに関して意見があります。私は、特別の教育課程を導入すること等を契機に校長を中心としてというのはとても重要だと考えています。そこで、例えば具体的に、「管理職研修等の機会を通じて、校長を中心とする」というような書き方をしてみてはどうかなというふうに考えました。ちょっと文脈的に、今の挿入がしっくり来るかどうかはまた考えていただきたいんですけれども、例えば教育委員会が紙を1枚出すだけでは、とてもとても校長先生、管理職の意識を変えることにはならないと思いますので、少し具体的な、対面的な関係を通じて、管理職の皆さんの意識統一を図るような、そういう働きかけが必要なのではないかなと感じている次第です。
以上です。

【佐藤座長】 大変重要な指摘でございます。ただ、しっくりいくかどうかという御指摘も頂きましたので、校長の研修を体制整備がいいのか、他のところがいいか検討しましょう。非常に大事な指摘ですので、何らかの形で反映していければと思います。
他にいかがですか、どうぞ。

【松本委員】 松本でございます。10ページの下から2つ目の丸のところでも書かれているように、全体を通して、拠点校を中心とした指導・支援体制というふうに書かれているんですけれども、その指導・支援体制の中に相談業務も必要なのではないかと思いますので、下から2つ目の丸の、「体制構築に必要な専門的アドバイス・コーディネートや」というふうに書かれているところに、「相談業務を含めて」という文言が必要かと思います。

【佐藤座長】 ありがとうございます。重要な指摘でございます。
ほかに何かございますか。どうぞ。

【吉住委員代理(高橋課長)】 12ページの(4)の1つ目の丸の部分、今回、全部を加筆していただいた部分でございます。この「支援員の配置を促進するための財政的な支援を充実すべきである」とあるんですが、これが具体的にどこに対する支援なのかというところを加筆していただければと思っております。当区でもこういった支援員の配置を進めているところですが、やはり事業者、あるいはNPO等の連携・活用がないと、なかなかこれが十分に行き届かないところがありますので、そういった民間団体も含めて支援するような取組にできればよろしいかと考えております。
それからもう一つ、やはり同じ箇所なんですが、この支援を行うものの中に市区町村が入っておりますが、これは市区町村が自ら行うと、外国人児童生徒の多い市区町村と少ない市区町村との間でかなり大きな差が生じてまいりますので、ここについては、やはり国あるいは都道府県により積極的に支援をしていただければと考えております。

【佐藤座長】 ありがとうございます。そういう御指摘ですので、少し検討できるところは検討していきたいと思いますが、ほかはいかがでございましょうか。

【松本委員】 済みません、もう一つお願いします。12ページの(4)のすぐ上のところですけれども、「(1)の『拠点校』等の設置や広域に渡る指導・支援体制の構築の取組にあわせて、少数在籍学校においても担当教員が配置するような工夫も必要と考えられる」と書かれている、その工夫なんですが、具体的なイメージがちょっと浮かばなかったんですけれども、これは何を想定してこのような表現になっているのか教えていただきたいと思います。

【佐藤座長】 「少数在籍学級においても担当教員が配置するような工夫も必要と考えられる」というところですよね。その工夫のところですよね。

【松本委員】  はい。

【齋藤初等中等教育局国際教育課教育課主任学校教育官】 御指摘ありがとうございます。ここの部分は、確かになかなか都道府県でも苦労されている部分であるというふうに考えています。実際は、いわゆる都道府県の加配の基準というのが、どの都道府県でも、ある一定の人数以下の在籍の学校にはなかなか教員が配置できないという現状があるかと思います。この中で、例えば連携体制を築いて、複数の学校間で連携して巡回指導ですとか、そういったことをした場合には、そこに対して教員を配置するというような考え方が考えられるのではないかというような趣旨でございますが、ただ、そこについて御意見等がございましたら頂ければと思います。

【佐藤座長】 これは、拠点校の設置に伴って、少数在籍学級でも担当教員を配置するようにするというふうに読み取ればよろしいんですね。

【齋藤初等中等教育局国際教育課教育課主任学校教育官】 今までなかなか配置が行き渡っていなかったところも、拠点校を中心とした連携により、というような趣旨です。

【佐藤座長】 何かうまく例示ができればいいかなという感じがしますけれども。
ほかにいかがでしょうか。
私から1つ、よろしいでしょうか。9ページの、この拠点校方式というのが、a、b、c、dと並んでいるんですが、これは並列でいいのかな、つまり、これまでa、bについては多少なりともやってきているわけですよね。今回新しく提案する拠点校というのが、更にそれを整備・充実させるとともに、c、dについて、積極的な拠点校として打ち出していきたいというような文言にできないかということです。a、bについては、教員を拠点に配置しているようなところもあろうかと思いますし、子供のところもありますよね。ただ、cについては非常に少ないということ、それからdは新しく提案していくことになると思います。具体的には、その上のところに、これまでも教員の拠点校、児童生徒の拠点校については先進的な事例はあるけれども、更にもっと今回は新しい形態の拠点校として整備していくというような書きぶりの方がより積極的に打ち出しやすいかなと感じました。その辺の書きぶりを工夫していただければよろしいかなということが1つです。
それから、12ページのところの一番上の、この「県費負担教職員の配置」という用語の表記です。県費負担というのは、「都道府」もありますので、どういう表現がよろしいんでしょうか。「県費等負担教職員の配置」にするのか、まあ、これは文言ですので、この辺のところは後で統一を図っていただければと思いますが。
それでは、次に、この有識者会議の中で非常に大きな論点になってまいりました教員・支援員の養成・確保というところです。3の外国人児童生徒等教育に携わる教員・支援員等の養成・確保というところについて御意見を頂ければと思いますが、よろしくお願いします。
はい、どうぞ。

【藤巻委員】 藤巻です。日本語教員、外国人児童生徒教員に関わる教員の専門性について書き込んでいただいてよかったと思います。そこの15ページの13行目に「外国人児童生徒等教育に携わる教員や支援員に必要となる能力や資格等の在り方について、検討を行うべきである」と書かれているんですけれども、この資格というのは、例えば日本語の教員免許新設みたいなことも含まれているのかいないのか、それをちょっとお聞きしたいということと、実は8年前の報告書にも、そういう日本語教員免許の創設を視野に置いてこういった文言が入っているわけですけれども、あれから8年たって、それをどう総括するのかという意味で、更に進めるということであれば、その「資格等の在り方」というところに「資格・免許」というふうな文言を入れるというのも1つの考え方だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

【佐藤座長】 お願いします。

【齋藤初等中等教育局国際教育課教育課主任学校教育官】 ありがとうございます。藤巻委員からそういう御指摘は事前にもお伺いしておりまして、現在、こういう表現になっておりますが、ここの我々の考え方を少し申し上げたいと思います。こちらにつきましては、御指摘のように、教員における外国人児童生徒等教育の専門性に関する議論でございますので、教員免許を有する教員の専門性を証明する形として免許というのも可能性の1つとしては考え得ることかと思っております。
ただし、今のいわゆる教員免許の制度の現状から踏まえまして、現実的な案といたしまして、こちらに書かれてございますような既存の免許制度の枠中において、その履修科目としてカバーしていくのかということ、それから、その成果を対外的に証明していくための方策を少し書き表させていただきました。それに加えて、能力や資格等の在り方について検討を行うとしているところでございます。
実際に、例えば日本語教育の免許を創設ということになりますと、具体的に、じゃあ、どういった資質・能力が求められるのかといったことですとか、そもそも日本語教育がいわゆる教科でもないという点など、検討にあたって、かなり多面的な対応が求められることにもなりますので、現状といたしましては、こういった形で記載させていただいているところでございます。

【藤巻委員】 免許のことも、多少視野に入っているといいますか、大きなくくりの中で、資格というものの在り方について今後検討していくという理解でよろしいですか。

【佐藤座長】 この先は個人的な意見ですが、長期的視野から言うと、まさしく免許というところまで本当は踏み込んでいくべきだろうとは思います。現実的にはなかなか非常に難しいと思います。今の説明のように、クリアすべき課題が多く、具体的にどこからクリアしていくのかというところがなかなか見えてこないというところがあります。長期的な視点から言えば、今のような議論になっていくんだろうというふうに思いますけれども、その辺のところの含みを込めてどうするか検討しましょう。
ほかに、どうぞ。

【高橋委員】 高橋です。今、藤巻委員から御指摘があった15ページの下から2つ目の丸のところですけれども、その上の「外国人児童生徒等教育を担う人材の確保をするため」等々のところで、日本語教育、それから外国語教育と、その後に国際理解教育というのがあるんですけれども、先ほど樋口委員も御指摘のあったような、多文化共生というところを盛り込むとしたら、やはり大学の中でも、多文化共生という観点での教育という専門性をここで書き込む必要があるのかなというふうに思います。

【佐藤座長】 ありがとうございます。御指摘、ここですね。

【高橋委員】 15ページの下から2つ目のところです。

【佐藤座長】 分かりました。了解しました。
どうぞ。

【樋口委員】 研修のところですが、先ほど池上委員からも、学校の管理職の研修は大切であり、通知文を出すだけでなくてという話がありましたが、学校管理職のリーダーシップは非常に大切だと思います。担当者の力量によるところが非常に大きいことは事実ですけれども、担当者が替わってしまった場合に、また一からスタートをしていくという問題点もあります。ですから、管理職のリーダーシップのもと、計画的、組織的に取り組んでいくために、やはり管理職に対しての研修を行い、そのことをしっかり学校全体で取り組んでいくという組織作りのための研修を明記していただければ有り難いと思います。
それから、13ページの全体的な文言ですが。例えば13ページ、下から3つ目で、「乏しい」は、事実なのかもしれませんが、否定的な言葉は気になります。国の方針であれば、日本語能力が「乏しい」ではなくて、日本語指導が「必要だ」とか、日本語の「理解が不十分である」など、もう少しやわらかい表現が使われています。「乏しい」と言われると、少しむっとされるところもあると思いますから、もう少しやわらかい表現を全体的にしていただければ有り難いと思います。
それから、14ページの丸の一番上のところですが、これから「外部の人材を、学校における支援員として活用するための研修機会の充実が課題」であると書いてあります。兵庫県においては、国際交流協会や県教育委員会、関係団体が研修会を実施し、ボランティアの養成を積極的に行っています。それは、ボランティアが学校に入っていき、放課後の日本語教室で活躍されていますが、うまくいっているところとうまくいっていないところがあります。
いろいろな要因がありますが、1つポイントは、学校とボランティアの方、外部指導者の方をつないでいくコーディネーター役が非常に重要な役割を果たしています。指導内容をどうするのか、学校で教えている内容と、放課後、外部の方が教える内容をどう調整をしていくのか、あるいはいつやるのかなどの調整が必要です。学校行事が急に入ってきたときに、「放課後の教室は、学校行事がありますから、できません」と急に言われて、変更になってしまいます。ボランティアの方からすれば、「え?」という話になります。そうすると、円滑に連携していくために、コーディネーター役が必要になってきているというのが兵庫県の状況です。そういうことも明記をしていただければ有り難いと思います。
それから、16ページの一番下側のところになります。「どのような母語支援員を必要とするのかを明らかにしていくべきである」という文言がありますが、国の提言としては非常に弱いという印象を持っています。やはり母語支援員の役割は、学校に入った場合は、学校生活への適応の支援、心のケア、心の安定、授業における翻訳や通訳による学習支援、保護者とのコミュニケーションを図るための通訳や翻訳、あるいは母語・母文化の紹介、そうしたことが考えられると思います。そういうことを明らかにした上で、その人材を確保することが大切であるという文言にしないと、課題だけ明らかにして、どうするの? ということになり、弱いというような印象があります。
以上です。

【佐藤座長】 はい、どうぞ。

【松本委員】 今のところに付け足しですけれども、「どのような母語支援員を必要とするのかを明らかにしていくべきである」というのは、やはりこれでは何を要求するのかというところが曖昧だと思うんですね。「母語による通訳や学習支援などを行う支援員となる人材の確保が困難な場合が生じており」というのが8ページにありますし、それから14ページのところにも、4行目、5行目あたりに、「必ずしも児童生徒の発達段階に応じた日本語教育や、学校の教科学習の文脈に精通した者でないことがあるため、これらの外部の人材を、学校における支援員として活用するための研修機会の充実が課題」というふうに書かれていますが、ここの母語支援員は、ただ2言語ができるからできるというのとは格段の差があるんですね。保護者の相談の通訳と、母語を介して学習支援をするというところには、能力的に求められるものが違うと思うんですね。ということは、たくさんの母語支援員を養成したり、育成したりということは非常に厳しい状況だと思いますので、安易に、母語による学習支援というところは使わない方がいいと思います。
資料2の概要のところは、「母語を介した教科指導」というふうに書かれているんですが、この母語を介した教科指導というのは、教材等も含めた教科指導なので、含みがあるわけですけれども、2言語ができる方なら誰でも教科指導までできる方だという解釈をされないように慎重に記述していただきたいと思います。

【佐藤座長】 この母語指導員という文言の問題と、この表現ですね、もう少し付け加えるという提案です。

【齋藤初等中等教育局国際教育課教育課主任学校教育官】 ありがとうございます。そこの部分は、我々も、とりあえず書いてはおりますけれども、もう少し実態ですとか、そのあたりも、委員の皆様の御意見を踏まえながら、より正確な表現にできるようにしていきたいと思います。
また、いわゆる課題の提示だけではなくて、具体的に何をというところも、日本語指導の場合の方はもう少し具体的に書いているところがございますので、そこも踏まえながら、もう少し詳しく書いていきたいと思います。

【佐藤座長】 ほかにいかがですか。

【竜澤委員】 15ページから16ページに係りまして、経験豊富な教員や専門性の高い教員をということで文言を付け加えていただきまして、非常に評価しております。ありがとうございます。その16ページの一番上から3行目にありますけれども、「配慮に努めることが重要である」というような表現がありますが、様々なところで、「検討すべきである」、「必要である」、あるいは「考えられる」等々の表現がありますが、これは意図的に表現が違っているのか、その強さが違っていくのか、提言の度合いが違っているのか、その辺も含めて分からないところですが、現場を預かる者としては、「検討すべきである」というような表現を是非お願いしたいと思っているところであります。
また、今、松本委員がおっしゃったところ、私もそこで発言をしたかったところでありますが、実際、日本語指導に関わって、私ども、日本語指導員と本市ではお話をさせていただいていますけれども、通訳業務の要望が非常に多く、財政的にもかなり無理をしているところがございますので、当然、日本語指導員、母語指導員の研修についても、当然文言を付け加えていただくことは有り難いですが、財政的な支援という側面でも何かしらの文言を付け加えていただけると有り難いと思います。

【佐藤座長】 はい、これも御要望でございますね。それから、「重要である」ではなくて「検討すべきである」という、そういう語尾の問題ですね。これも検討をしましょう。
どうぞ。

【齋藤初等中等教育局国際教育課教育課主任学校教育官】 御指摘ありがとうございます。そこの表現の書きぶりにつきましては、ある程度、やはり強い・弱いというのを意識しながら書いているところがございまして、特にこの(2)の今の御指摘の部分は、やはり実際の採用・配置の部分につきましては都道府県の方で主体的に行われるという原則の中で、どこまでやっていただけるかというところを踏まえて書いてございますが、その中で、どこまで強い、積極的に求めるという表現にできるかというのは、少し御指摘を踏まえて検討したいと思います。

【佐藤座長】 どうぞ。

【池上委員】 14ページの下から2つ目の丸のところについて、ちょっと御見解を教えていただいた上でコメントをしたいと思っております。教員養成系大学等の話ですね。その地域性に応じて関連科目を設置したり、教職を目指す学生が履修することが可能となるような取組を推進せよということで、これは先ほど冒頭で、私が連携の主体の中に是非大学も加えてほしいと言った手前、また私が大学に所属する者である手前、とても重要なことだし、私たち自身の責任も考えたいと思っています。
問題はその先で、「国及び都道府県とこれらの取組を支援することが求められる」とあるんですが、大学の側からすれば、こういった課題を大学のある地域の課題と認識して、カリキュラム改定等を行って科目を設置することそのものについては、大学のイニシアチブで十分に対応できると思うんです。そこに対して国や都道府県が支援をするというときに、文部科学省としてはどんな支援を思い描いているんだろうか。ちょっと考えると、その2つ上の丸のところに、必要なモデル・プログラムの研究・開発というようなことが国のイニシアチブとして書いてあるんですけれども、そこで開発したプログラム等を情報提供するということをイメージされているのか。だとすると、都道府県等は一体どんな支援をするんだろうということをちょっとすり合わせてみたいと思いますので、まずはこの御質問ということで聞いてみたいと思います。

【佐藤座長】 どうぞ。

【齋藤初等中等教育局国際教育課教育課主任学校教育官】 御指摘ありがとうございます。今の、国及び都道府県等が支援するという具体的中身でございますが、国の部分につきましては、おっしゃるように、いわゆる情報提供ですとか、あとはそういった、この教員養成系大学の課程の、実際の、この教育内容につきまして、委託事業等で支援を行っているようなものもございますので、そういった情報提供、それから実際上の支援といったことも含めて想定しております。

【佐藤座長】 外国人児童生徒等教育を大学で果たして専門にしている人たちがいるのかどうかという問題でもあります。例えばその現場の実務家教員というような方々の協力を都道府県教育委員会に仰ぐといったイメージを持っていました。教職大学院あるいは教員養成系大学が、都道府県教育委員会と連携して実習校をお願いをするとか、市町村教育委員会と連携して具体的な外国人児童生徒等教育の学生の実習を深めていく、あるいは授業研究を深めていくというようなことがここでは想定されるのかなと私は思っていたんですけれども。

【齋藤初等中等教育局国際教育課教育課主任学校教育官】 済みません、1点、申し忘れていた部分がございまして、15ページの上から2つ目の丸のところで、前回もございましたけれども、中央教育審議会答申で提言されている仕組みの中で、今、座長の方からも御指摘がございましたように、例えばその地域の教職大学院等と教育委員会等が連携した研修のプログラムというようなことも提言されておりまして、そういったことも含まれ得るのかなというふうに考えております。

【佐藤座長】 済みません、時間が押してまいりましたので、次の4のところにうつり、一通り御意見を伺いたいと思いますので、外国人児童生徒等教育における指導内容の改善・充実というところに入らせていただきたいんですけれども、池上委員、それを踏まえて何か御意見ということだったので、そこだけまず伺った上で4に入りましょう。

【池上委員】 ありがとうございます。私のところは教員養成系じゃないものですから、今、佐藤座長のおっしゃったようなところまで現実の業務としてないので思い至らなかったんですが、御指摘いただいて、なるほどと思いました。ちょっと具体的に少し書き込んでいただくといいかなというふうに思いました。ありがとうございます。

【佐藤座長】 ありがとうございます。
それでは、16ページの下から20ページの真ん中ほどまで、4のところ、外国人児童生徒等教育における指導内容の改善・充実について御意見を承っていきたいと思います。いかがでございましょうか。
はい、どうぞ。

【菅原委員】 学芸大学の菅原です。よろしくお願いいたします。
2点ございますが、まず1点目です。提言のところの(1)のところ、「『JSLカリキュラム』、『DLA』及び『特別の教育課程』による指導の普及」というところなんですが、中身を拝見すると、指導の方にかなり中心が置かれていて、前の課題のところに書いてある特別の教育課程の推進というのがここに出てこなくていいんだろうかということを強く感じました。特別の教育課程、今のところ、できる規定なものですから、一生懸命普及しようということなしに自然に広がっていくということは難しいでしょうし、まだ短い期間ではありますけれども、ここが難しいというような現場の声は幾つか上がってきていると思いますので、それを踏まえて、こうしていったらどうかというような提言が入るとよろしいのではないかなと考えました。それが1点目です。
もう一点は、「中学・高校段階における指導内容の検討」の「中学校におけるJSLカリキュラムは」というところなんですが、3行目、「日本語能力に課題がある状態で学校入学・編入学する場合、日本語指導と教科指導の統合的指導の方法のみでは十分な対応が難しい場合も想定される」とありますが、JSLカリキュラムは、「のみ」で指導するということは想定されていないと私は理解するのですが、いかがでしょうか、座長。

【佐藤座長】 本語指導、教科指導、JSLカリキュラムというように、幾つかの指導の1つとしてJSLカリキュラムを位置づけているところでございます。中学校の場合は、日本語指導と教科指導の統合的指導のみでは十分な対応が難しいということを言っているわけで、JSLカリキュラムそのものだけで対応できないと言っているわけではないという文脈で読み取れば大丈夫なのかなというふうに思いました。
ただ、前半の方の特別の教育課程については個々の中に散らばっていますね。菅原委員からは、小見出しがあった方がわかりやすいという御指摘だと思います。特別の教育課程を高等学校へ拡大するとか、その下の18ページの在籍学級における特別の教育課程の記述、その下も特別の教育課程の記述がありますので、その辺のところを整理して、小見出しを付けていくというようなことで対応できるのではないかと思いますけれども、よろしいでしょうか。

【齋藤初等中等教育局国際教育課教育課主任学校教育官】 ありがとうございます。御指摘の方向で書いていきたいと思います。特別の教育課程、いわゆる体制に係る部分と指導内容に係る部分、総合的なものでございますので、ちょっと両方に散らばっている部分がございますが、なるべく、現在の制度利用にあたっての課題を解決していくという趣旨が明確になるよう記述したいと思います。

【佐藤座長】 ほかにいかがでしょうか。
どうぞ。

【高橋委員】 高橋です。20ページのところの最後の丸に当たるところで、「かすたねっと」の運用のところの記述ですけれども、「かすたねっと」がいろいろな各地域で使われている、翻訳資料とか教材がたくさん集まって活用されているという良い状態で、有り難いのですが、逆に言うと、たくさんあり過ぎて、どれを使ったらいいのかな、というようなところもあります。そこで、1つの観点として、いろいろな地域でいろいろ使いやすいように作られた文章を翻訳されている中で、何かプラットフォーム的なもの、各学校で共通に使えるようなものを、文科省の方でひな形化して翻訳したものを作ることができないでしょうか。例えば、保健室で病気のことを外国人児童生徒が訴えるときに使えるものを作る。病気の名前の翻訳は、そんなに学校によって変わるものではないので、1つプラットフォーム化したような全国共通で使えるものを翻訳して提供する方向と、もう一方で、集めて活用するという方向とを、是非検討していただけないかなと思います。

【佐藤座長】 分かりました。ありがとうございます。
はい、どうぞ。

【吉住委員代理(高橋課長)】 19ページの初期日本語指導の部分で、意見と質問と両方の意味があるんですけれども、1つ目の丸の「このため」以降、今回、加筆をしていただいている部分で、「初期日本語指導に取り組んでいるところであるが、国、都道府県、市区町村はこれらの取組に対する支援を強化することが必要」とあるんですけれども、これは、市区町村というのが、まさに教育委員会のことであれば、学校もこの教育委員会の中に含まれているので、ここは、支援をする側ではなくて、やはり受ける側に入るのかなと考えておりまして、これはどういった意図で、この支援を強化すべき側に市区町村が入っているのかお伺いできればと思います。例えば学校に対して支援をということで、もし考えているのであれば、ここはやはり一体的に取り組んでいるところですので、市区町村、学校がこの日本語指導に取り組んで、国と都道府県とがそれを支援するといったように明確化していただければと思っております。
もう一つ、これは文言ですけれども、次の丸の4行目の後半から5行目です。「日本語指導を実施する等の取り組みが行われている地域もある」とあるんですが、これが、ここでなぜあえて「地域」という言い方をしているのか。これもやはり同様に市区町村ということであれば、このあたりの主体的に取り組む団体と、それからそれを支援する団体と、ということを明確にした方がよろしいかなと思っております。

【佐藤座長】 ありがとうございました。
どうぞ。

【松本委員】 松本です。2点お願いいたします。
18ページの上から2つ目の丸のところに、「母語による支援員を介した教科指導」というふうに書いてあるんですけれども、このような場合、母語による支援員を介した教科指導が最初にあるのは、先ほど申しましたように、ちょっと、これが非常に有効的で、どこでも使えるような印象を与えてしまうこともあるかと思いますので、ここは「母語を介した教科指導」というふうにしていただいて、その中には翻訳版の教材の活用だとか、母語による支援員による指導というものもあり得るという、そういう含みの中で書いていただいた方がいいのではないかなと思いました。だから、最初に、この母語による支援員を介した教科指導が簡単にできるものではないというふうに読んでもらえるような表現にしていただけるといいと思いました。
それからもう一つは、19ページの一番下の丸ですけれども、この「乳幼児健診等の機会を捉え、保護者に対して初期日本語指導の必要性の啓発活動を行ったり」というところは問題ないと思うんですけれども、「親子で受講できる地域の日本語教室の情報の提供」という場合に、子供にも日本語教育が重要ですよというような印象を与えてしまうのはとても問題だというふうに思うんですね。私は、この乳幼児健診のときに保護者に伝えるべきことは、親の一番強い、自信の持てる言語で子供をしっかり育てるということが、特に就学前、ゼロ歳から5歳までの子供にはとても大切で、そのことがおろそかにされていて、保育園だとか、周りの人から、お母さん、日本語頑張って、子供に日本語で話してあげてくださいというアドバイスをうのみにして、片言の日本語で子供とコミュニケーションをとっていて、子供の母語が消えてしまったりだとか、子供のもともとの育つべき言語習得に支障を来してしまっているというところが、学校に入ってからの子供の学習に非常に大きな障害になっているというところがありますので、ここが間違って読み取られてしまうといけませんので、その言語習得の留意点ですね、とにかく親が片言の日本語で子供と関わるようなことがあってはいけないので、そこのところをしっかり強調した文言を入れていただいて、それで親が子供の成長に従って、親もしっかり日本語を身に付けるということはとても大切ですので、そのことについては触れていただくことは大切だと思うんですけれども、子供の母語を大切に育てるのはやはり親の仕事だと思いますので、周りは母語の重要性を親に伝えること、両方大事だよ、日本語も母語も大事だよと、特に母語の重要性を伝えることが必要なんですが、そこが抜けていることが問題ですので、そこを強調していただくようにお願いしたいと思います。

【佐藤座長】 2点ございましたので、この辺のところをどう書き込んでいくのか検討しましょう。今の親子でというところも誤解のないようにという御指摘でございました。
最後、残り、済みません、時間だけ気に……、じゃあ、もうお一人だけどうぞ。

【樋口委員】 樋口です。
  まず18ページの丸の下から3つ目ですが、「高等学校段階への拡大」ということが書いてありますが、全国を見たときに、神奈川県立鶴見総合高校や大阪府立門真なみはや高校などの先進的な取組をされている学校があると思います。そうした取組は、校名まで出す必要はないと思いますが、そこの先進的な取組を発信するなどのニュアンスを出していただければよいと思います。
ICTの活用がいろいろなところに出てきます。例えばiPhoneで、「ヘイ、Siri、リンゴの絵」と言うとぱっと「リンゴの絵」が出てきて、子供に見せることができます。特別支援教育においてICTの活用が大きく出ていますが、外国人児童生徒等教育においても、今後、ICTの活用は1つの大きな柱になってくると思いますので、そこは1つ項目立てをして書いていただきたいと思います。
以上です。

【佐藤座長】 それでは最後のところでございます。外国人の子供等の就学・進学・就職の促進というところで、そして、最後の「おわりに」までいきましょうか。ここのところで御意見を承りたいと思いますけれども、どうぞ。

【池上委員】 時間が限られているので先に発言します。池上です。
25ページの一番後の3行について、これに関して3つ問題提起をしたいと思います。「大学に進学した在留外国人学生等」という表現を使っているんですが、留学生も国の統計上で言うと在留外国人なんですね。私どもの大学では定住外国人学生という言葉を使っています。つまり留学生を除いて、日本の教育課程から大学に進学したという学生なんですけれども、ちょっとその「在留外国人学生」という言葉、実はほかのところでもたくさん出てくるので、それをどういうふうに使うか考える必要があるなというのが1点です。ここでは特に留学生が出てくるので、それとの言葉の違いをどう明確化するか。
2つ目は、大学に進学した定住型の外国人学生と簡単に言うんですが、数的な把握はなかなか難しいです。恐らく全国統計はないと思うし、各大学も、その統計を持っていないと思います。そういった把握にまだまだ制度的困難があるぞというのが2点目。
3点目は、その個性を伸長するための各大学の自主的な取組を促すべきだ、国はと書いてあるんですが、一体どうやって促してくださるんだろう。奨学金を作ってくれるんだろうか、あるいは何らかの方法をお考えになっているんだろうかというあたりをちょっと聞いてみたいです。例えば留学生については何らかの制度があるんですけれども、定住型の外国人学生について、国はと書いたときに、どんなイメージを持っているかを教えていただければと思います。

【齋藤初等中等教育局国際教育課教育課主任学校教育官】 ありがとうございます。今の在留の部分は少し言葉を精査させていただきたいと思います。
いわゆる国が促すべき、基本的には各大学の自主的な取組を促すということでありますが、イメージしておりますのは、御指摘がございましたように、今、留学生に関しては、グローバルな環境の中で個性を伸ばすための大学の取組があり、そのための国の支援施策がございます。その中で、留学生だけではなくて、定住外国人をプログラムの対象として含めているものも結構ございます。そういった既存の施策の中で取り組まれているものを想定しているということでございます。
【佐藤座長】 はい、どうぞ。

【樋口委員】 樋口です。
  21ページのところですが、外国人児童生徒の問題を考えるときに、教育と福祉との連携が課題であり、ほかにも出てきますが、「SSW、スクールソーシャルワーカーを活用して」という文言を入れていただきたいと思います。文科省の施策において、補助事業で配置されていますので、SSWの活用を是非していただく方向の文言を入れていただきたいと思います。
それから、24ページの上から、2つ目の丸で、ここは、特に小・中学校で頑張って高校に入学し、頑張っている高校生がいます。中学生から見たら身近な存在ですので、高校生を大学生の並びに入れていただけないかなと思います。
それから3点目ですが、24ページの下から2つ目の丸で、「イマージョン教育」という言葉が出てきますが、もう少し説明がないと分かりにくいと思いますので、何らかの説明を入れていただければと思います。
以上です。

【佐藤座長】 ありがとうございます。その最初の点は、スクールソーシャルワーカーという文言は22ページの方に、「外国人児童生徒等を巡る諸課題の対応」ということで文言は入っているようでございますが、2点目の方は御意見としてうけたまります。
イマージョン教育、確かに業界用語で、一般には分かりにくいかもしれませんので、少し説明書きがあれば非常に分かりやすいなというふうに私も思います。
ほかにどうでしょう。はい、どうぞ。

【高橋委員】 高橋です。2点あります。1つは、22ページの下から2つ目の丸のところで、貧困等の諸課題のところで、不就学・不登校ということが書いてありますけれども、私がいろいろ関わっている中で、今、切実なのは、非行というか、どういう書きぶりをすればいいのか難しいですが、例えば、川崎で起きた事件も、加害者が多文化の背景を持った家族であったということがあって、神奈川の人間としては、あの川崎の事件は地域として何とか食い止められなかったかなという思いはすごく強いです。そういう中で、学校は一生懸命考えて取り組みをと考えられていますが、地域のいろいろな居場所というところはもっと学校と連携できないかと、居場所を運営するNPOとか、組織からは非常にそういう声が聞かれます。
もしそういった居場所が、もう少しそういった外国につながる子供の、例えばその子の、あの加害者の場合は、定時制をやめてしまって就職もうまくいかなくてみたいなことを繰り返して、そういった非行化ということになってしまったのですけれども、その部分で考えると、そういった子供の支援が、スクールソーシャルワーカーとか、民生委員とか、児童委員とか、公的な部分の機関は書かれていますが、NPOとか、居場所とのつながりも進めていくという観点があるといいかなと思います。
それから2つ目ですけれども、23ページのところです。高校のところの進学の状況については、すごくいろいろ書いていただいて、本当に有り難く思っています。その中で、高校における指導の充実の丸の2つ目、「都道府県においては」という記述のところですけれども、「外国人生徒等の就学の状況や、進学・就職の動向を踏まえつつ」という、この状況とか動向を踏まえるということは、もうちょっと積極的に調査をする取組をしないと、実際の就学の状況、進学率とか、そういったことがわからないと思います。今回の発表の中でも、市町村できちんと就学の状況を把握されているところもありましたから、やはりそういうところまで取り組むということがないと、なかなか実態が見えない。何となく、なかなか高校に入れないかなぐらいの感じになってしまうので、調査という形で取り組むようなものが表記できたらいいかなと思っています。よろしくお願いします。

【佐藤座長】 いずれも大事な視点だと思いますので、取り入れられるところは取り入れていく必要があろうかと思います。
ほかに何か、どうぞ。

【各務委員】 22ページの「保護者とのコミュニケーションの促進」のところですけれども、さっき高橋委員が言われたように、学校と保護者のコミュニケーション、それから保護者と子供のコミュニケーションの不足で、中学をドロップアウトしてしまったりとか、家に居場所がなくて非行に走ってしまったりというケースは私の周りでもよく聞かれる、実際に目の前にする子供たちが多いですけれども、ずっと今まで、子供のためには母語の支援員ということがすごく出てきていて、松本委員の指摘のように、役割として分けるべきだというのは、かなり今までも議論がされていたところですけれども、保護者に対しては、そういう母語の支援とか通訳という言葉が出てきていないのですが、もう少し、本来、言語対応というのは保護者にこそ強く支援がなされるといいかなというふうに思います。うちは結構、通訳の依頼がありますが、例えば学校が終わってからの時間、なかなか学校に所属されている方が出ていけないとか、それから市役所の相談員さんが出ていけないということがあると思います。
もう一つ、ちょっと教えていただきたいところは、「人的・資金的・物的な支援の充実を図るべきである」とあるんですけれども、物的な支援というのは具体的にどういうことになりますか、教えていただきたいと思います。

【佐藤座長】 よろしゅうございますか。

【齋藤初等中等教育局国際教育課教育課主任学校教育官】 ありがとうございます。具体的に想定しているものは、いわゆるコミュニケーションを助けるためのツールになるようなもので、いわゆるICT等を活用した支援というのも考えられるかと思いますし、教材ですとか、そういった資料のようなものというのも考えられるかというふうに考えております。

【佐藤座長】 松本委員、どうぞ。

【松本委員】 2つあるんですけれども、1つは、イマージョン教育についてです。イマージョン教育は、想定されているものは英語イマージョンでしょうか、それとも日本語イマージョンでしょうか、それとも双方向イマージョンでしょうか。これは、相当な内容のことを用意しないと難しいというふうに思うんですね。ですから、ここにある教育課程特例校の制度を活用してイマージョン教育を行うというのを、最初に例として出されたというのは現実的ではないと思います。むしろ例として出されるのであれば、先ほども少し出ました翻訳版の教科書だとか、内容のレベルを落とさないリライトの教科書版だとかというのは、散在地域・集住地域ともに活用できるものですので、まず第一に必要なのではないかと思います。群馬の国際アカデミーとか、沼津の加藤学園のような取組を見ていましても、やはり前提となる子供とか、子供の背景というのがイマージョン教育の場合にはとても大切な要素だと思います。
それからもう一つ、22ページの発達障害の可能性のあるケースについて、最後のところに指導・支援の在り方について「情報収集を図るべきである」というふうに書かれているんですけれども、現実に発達障害のある子供に関しては、外国人の占める割合が13%の学校でも、特別支援学級で占める割合が50%だったり、50%以上だったりというケースが至るところであるわけですね。特に集住地域はそういうところが顕著に見られます。でもそれは、いまだに、特別支援学級に入れるか入れないかという判断をする検査を日本人用のWISC(ウィスク)に頼り切っているところがとても問題だと思います。非常に有能な通訳の方にお願いして、生育歴等、全てお聞きして、文化的背景・行動様式等の違いを理解した専門家に慎重に判断してもらわないと、いたずらにそういう子供たちを増やすことになります。ここはやはり、検査方法も含めて、もう少し踏み込んだ表現を書いていただければというふうに思います。
以上です。

【佐藤座長】 ありがとうございました。御意見として承るということでよろしゅうございますか。
全体的にわたって、積極的に様々な御意見を頂きました。予定している時間が5時ということでございます。あと残り七、八分でございます。かなりうなずく意見も多くございました。頂いた御意見については、報告書に是非反映できるところは積極的に反映していくように、事務局と相談をしていきたいというふうに思います。
最終的な報告書の取扱いについては座長に一任いただければ有り難いと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【佐藤座長】 ありがとうございます。
それでは、議題の3でございます。その他ですけれども、本日が有識者会議の最後の会合です。座長と伊東副座長から一言ずつというふうに事務局の方から申出がございましたので、まず伊東副座長の方から一言よろしくお願いします。

【伊東副座長】 どうもお疲れさまでした。私、最後、報告書に関して一言申し上げて終わりたいと思います。やはり今回の報告書で出されたことを具現化するところは、9ページにある、「拠点校」と書いてあるところです。拠点となるような部署や学校、あるいは教育委員会等の中に構築することが要になるかなと思います。ありとあらゆる拠点に関わる機能をもう少し明文化することによって、拠点に課せられた使命や役割を全員に共有できるような形にできたらなと思いました。日本語指導、派遣事業、教材、情報提供、そして様々な翻訳云々(うんぬん)、いろいろあると思いますけれども、それが集約された形で、拠点部署に行けば、学校であろうが、教育委員会であろうが、そこに行けば、1つのワンストップオフィスのような形になって、多くの方々が情報が得られるという機能が、ある形で実現できたらなと思いました。
今回、6回、この有識者会議に出て、次へのステージにつながるような形で提言を是非概算要求に結び付け、社会が変わるように、子供たちの生活が変わるように御尽力いただけたらと思います。本当にどうもありがとうございました。

【佐藤座長】 最後に私の方から。まず、委員の皆様方、本当に積極的に参加していただいてありがとうございました。私も長年、この教育に関わっておりますけれども、この有識者会議の提言が、ある方向転換、かじを切ったのではないかというふうに感じております。これまで文科省の施策としては、日本語指導、日本語教育ということが中心だったわけですけれども、これを広くとらえ外国人児童生徒等教育というふうに広く位置づけるという積極的な視点を打ち出したという意味です。そういう意味では、皆様方からの積極的な御意見を頂いて、本当に有り難く思っております。
あと、今、伊藤副座長がお話ししていただきましたように、目玉は何なのかということですが、やはり拠点校方式ということだと思っています。特に散在地域の支援をどうしていくのかということが長年の課題でございましたので、この拠点校をベースにして、どういう整備が可能なのか、そして、指導者の充実ということで、教員定数の増加も積極的に書き込んでいただいております。この後、概算要求なり、財務省との交渉の中で、積極的にこういう有識者会議の意見を反映していただきたいと思っているところでございます。
それから、今まで義務教育のみを中心にしてきたものを、就学前教育と高等学校段階の教育へというふうに視野を広げて、この提言が成り立っているのも新しい観点ではなかろうかと思っています。
最後に、外国人の子供たちの教育が、より積極的に日本の教育の中で位置付けていくことが、これからの日本のグローバル化に対する1つの方向だろうと思っているところでございます。この報告書、提言がそういう形で位置付くものと思っておりますし、これからそのような位置付けになることを期待しております。
本当に委員の先生方、ありがとうございました。
最後に、事務局から御挨拶を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

【藤原大臣官房審議官】 報告の取りまとめに当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと存じます。
6回にわたって、この会議を進めてきていただきました。有識者会議の佐藤座長、それから伊藤副座長を始め、委員の皆様方に改めてお礼を申し上げたいと存じます。また、オブザーバーとしてこの会議に参加をしていただきました関係各府省の方々にもお礼を申し上げたいと存じます。
それで、ただいま座長からもお話がございましたけれども、今回のこの報告は大変包括的な内容になっておりまして、今後の、この施策を進めていく上で大変大きなターニングポイントになるような、そういった内容になっていると私どもも思っているところでございます。
その基本的な考え方のベースといたしましては、まさに座長からお話がありましたような、いわゆる適応型だけではなく、こうした外国人の子供たちの教育を1つの大きなきっかけとして、日本の教育自体の国際化、国際化への対応といった視点も十分盛り込んでいくような、そういった施策にしていく必要があるだろうという考え方が、私どもも基本として持っているわけでございます。
そして、この外国人児童生徒の教育の関係の話は、先日、取りまとめが行われました教育再生実行会議の第九次提言にも記述されておりますし、そのほか、政府の様々な、今後閣議決定されていくような内容のものにも盛り込まれておりまして、日本の成長戦略そのものの中に位置付けられているような、そういった状況になってきているということで、大変大きな注目もされている施策だろうと思っているわけでございます。
文部科学省といたしましては、この会議の報告を踏まえて、まずはしっかりと夏の概算要求につなげ、その他の施策も含めて対応をしっかりと本格化させていきたいというふうに考えているところでございます。
委員の皆様方におかれましても、引き続き、それぞれのお立場で、この問題に対する一層の御尽力をお願い申し上げますとともに、これまでのお力添えに改めてお礼を申し上げまして、最後の御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

【佐藤座長】 ありがとうございました。
それでは、これで閉会とさせていただきたいと思います。本当に皆様これまで御協力いただきましてありがとうございました。感謝を申し上げます。



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