学校における外国人児童生徒等に対する教育支援に関する有識者会議(平成27年11月5日~)(第3回) 議事録

1.日時

平成28年2月1日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

中央合同庁舎第4号館 12階 1214会議室

3.議題

  1. 日本語指導に携わる教員・支援員等の養成・確保
  2. 日本語指導における指導内容の改善・充実

4.出席者

委員

伊東委員、各務委員、古角委員、佐藤委員、佐原委員、菅原委員、高田委員、高橋委員、竜澤委員、藤巻委員、松本委員、吉住委員

文部科学省

藤原大臣官房審議官、小林国際教育課長、齋藤国際教育課主任学校教育官、村松国際教育課専門官、松木大臣官房国際課国際協力企画室長、岸本国語科長(文化庁)

オブザーバー

浅田内閣官房教育再生実行会議担当室長、村田内閣府政策統括官(共生社会政策担当)定住外国人施策推進室参事官、小川外務省領事局外国人課長、山形法務省入国管理局入国在留課在留管理業務室法務専門官、庵田総務省自治行政局国際室総務事務官、久知良厚生労働省職業安定局は県・有期労働者対策部外国人雇用対策課長、古澤経済産業省経済産業政策局産業人材政策担当参事官室係長

5.議事録

【佐藤座長】  それでは,定刻になりましたので,会議を始めたいと思います。本日はお忙しいところを御出席いただきまして,まことにありがとうございます。本日,池上委員が御欠席ということでございます。
  本日,学校における外国人児童生徒等に対する教育支援に関する有識者会議,第3回でございます。日本語指導に携わる教員・支援員等の養成・確保,日本語指導における指導内容の改善・充実の2つのテーマについて,本日はヒアリングを予定しております。
  会議を始める前に,1点お願いでございます。本日,17時までの予定でございますが,2つのテーマで,ヒアリングは4件ございます。議論の時間を少しとりたいと思いますので,差し支えなければ予定の終了時刻から15分ほど延長できればと考えております。お忙しいと思いますけれども,御協力のほど,お願いいたします。なお,事前にプレス関係者等,傍聴者の傍聴登録がありましたので,これを認めております。
  それでは,早速ですが,議事に入っていきたいと思います。
  まず,事務局から,本日の配付資料について説明をお願いいたします。

【齋藤主任学校教育官】  それでは,配付資料の確認を申し上げます。お手元に議事次第がございますので, 4番の配付資料で御確認いただければと思います。まず資料1,本日の2つの議論のテーマに関わる参考資料ということで,A4横判の分厚い資料でございます。その後に資料2で,2枚の薄い資料でございますけれども,それぞれのテーマについて御議論いただく際の議論の観点例でございます。資料3がA4の縦判のヒアリング資料で,本日ヒアリングを予定しております4名の方の参考資料でございます。資料4が主な検討事項について(案),前回引き続きの資料でございます。資料5が,今後のスケジュール。参考資料に,これまでお示ししました参考資料を基礎資料として配付しております。そのほか,卓上の資料は前回と同様の,冊子のものをお配りしております。また,御欠席の池上委員から,本日の議題に関する御意見ということで,別途A41枚の資料。
  以上でございます。

【佐藤座長】  よろしゅうございますか。
  それでは早速,議事に入っていきたいと思います。議題1,日本語指導に携わる教員・支援員等の養成・確保について,ヒアリングに入っていきたいと思います。
 御発表者のプレゼンテーションの前に,事務局から,参考資料の説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【齋藤主任学校教育官】  それでは,引き続きまして,資料1に従いまして,本日の2つのテーマについて,参考資料を一括して私の方から簡単に御紹介申し上げます。
  資料1の1ページ目をお開きください。1つ目のテーマの日本語指導に携わる教員・支援員等の養成・確保に関する参考資料でございますが,まず前提といたしまして,大学における教員養成の仕組みについての簡単な資料でございます。
  まず教員免許状を取得するためには,ここにございますように,学位に加えまして教職課程での単位の取得が必要となりますが,教職課程そのものは免許状の種類ごとに大学の学科等を文部科学大臣が認定するという仕組みで,数多くの大学で設置されているところでございます。
  教職課程では,一定の単位数の取得が求められておりまして,例えば小学校の一種免許の場合,この下半分にございます例のとおり,例えば教科に関する科目を8単位以上,教職に関する科目を41単位以上等々,様々な科目の履修が必要となっております。
  本日,御議論いただいております日本語教育に関しましては,現状では必ずしもこういった教員の必修科目には含まれておりませんで,大学によって選択科目等で位置付けていただいているという現状でございます。
  2ページ目をお開きください。こちらが今申し上げました教員養成系の大学における日本語教育の位置付けの参考例ということで,幾つか事例を示しております。例えば一番上の事例にありますように,教員養成課程において日本語教育の専攻ですとか分野を特別設けている大学があるという一方,2番目,3番目にございますように,養成課程の特定の専攻,例えば2番目ですと国語領域専攻,3番目ですと現代教育コースといったものの中に,関係科目として日本語教育の科目が置かれているという例がございます。
  それから,一番下にございますように,教員養成課程以外の課程,いわゆる新課程といったものも含みますけれども,そういったところで日本語教育の関係科目を開設している例がございます。
  具体的な科目の名前ですとか内容につきましては,関係科目というところをごらんいただくと,日本語教授法といったもの,それから児童生徒のための日本語教育,それから多文化教育方法論等々,アプローチ,中身等も様々なものとなっています。
  3ページ目から5ページ目にかけては,参考のデータでございますが,3ページ目が教員養成課程の課程認定を受けた大学の数等のデータ,4ページ目が,各免許の種類ごとの教員免許取得者数のデータ,5ページ目が,公立学校における教員の採用数等のデータですので,こちらも御参考いただければと思います。
  6ページ目でございます。こちらは,学校ということに限らず,留学生や在留外国人向けなど,日本語教育全般に関する指導者の養成に関して,文化庁の平成12年に設けました調査研究協力者会議で,こういった教員養成において必要とされる教育内容が示されております。
  これはちなみに画一的に全てやらなければならないというものではありません。基礎から応用に至る選択可能な教育内容を示すもので,この中でどれを教育課程として選ぶかということは,各日本語教員養成機関の判断で行われているという状況でございます。
  7ページ目でございます。主に留学生向けの日本語教育を実施する日本語教育機関に関しましては,こういった法務省告示でいわゆる基準が設けられてございます。教員資格の要件のところで,一定のいわゆる取得単位数ですとか検定試験の合格状況とかが示されているという事例です。
  8ページ目,9ページ目は,日本語教員に関するデータですので,こちらも後ほどごらんいただければと思います。
  引き続きまして,2つ目のテーマ,日本語指導内容の改善・充実に関する資料でございます。10ページ目,これは学習指導要領の記述でございます。これは小,中,特別支援学校小・中学部,高等学校,特別支援学校高等部において,こういった記述がされているということです。具体的には学習指導要領の総則の中で,指導計画の作成に当たって配慮すべき事項というところで,海外から帰国した児童生徒などについては,学校生活への適応を図るとともに,外国における生活経験を生かすなどの適切な指導を行うことという記載がされております。
  ここの表現では,日本語能力が十分でない児童生徒に関する指導の点については特に記述はございませんが,この「学校生活への適応を図る」という記述の一環として,学習指導要領の解説には詳細に配慮事項について記載されているという状況です。
  11ページ目でございます。学校での日本語指導の流れがどうなっているかというフローチャートでございます。具体的には,まず受入れ段階で,日本語能力を含めた様々な児童生徒の状況を把握していただくと。その結果,日本語指導が必要である児童生徒につきましては,その下,中ほどにございますように,取り出し指導で在籍学級ではなく別教室で特別の指導を行う場合,それから在籍学級に日本語指導担当教員等の方が入り込んで指導を行う場合,それから担当教員や教科担当授業者が配慮しながら教科指導を行うといった場合等,様々ございます。
  このうち,特に取り出し指導を行う場合につきましては,「特別の教育課程」を編成して実施することが平成26年度から可能となっております。「特別の教育課程」の場合には,特に日本語指導担当教員の方と在籍学級の先生が連携されるということが必要なので,一番下にございますように,個々の児童生徒ごとに指導計画を作って,指導計画の見直し,学習評価を,PDCAを回しながら指導されることをお願いしているところでございます。
  12ページ目,これも参考資料でございます。これは児童生徒の日本語能力と具体的な指導のプログラムの関係を図式化したものでございます。上から4行目にJSL評価参照枠というのがございます。児童生徒の日本語能力を6段階にアセスメントする評価ツールがございまして,これを基に,ステージごとに,その下にございますような様々なアプローチで指導が行われているというものでございます。
  最後に13ページ目ですが,その中でも特徴的なものとしまして,日本語指導と教科指導の統合,いわゆるJSLカリキュラムにも取り組んでおります。こちらは平成16年に文部科学省のモデルカリキュラムとして委託し,実証研究を行ったものでございます。いわゆる具体的なトピックですとか教科の学習活動の中で,それに必要な日本語を学んでいくという統合的なアプローチということで,多くの学校現場ではこのような手法を用いて指導を行われていると理解しています。本日のヒアリングでもこういったアプローチの事例がお聞かせいただけると思っております。
  資料については以上でございます。

【佐藤座長】  ありがとうございました。それでは,今の説明も踏まえながら,ヒアリングに入っていきたいと思います。資料3にきょうの発表資料が配られていますので,御参照いただければと思います。
  ヒアリングはそれぞれ15分間,その後5分間ほど質疑応答を行うという形でお願いしてございます。
  では初めに,教員養成系大学における日本語指導の教員・支援員等の養成について,愛知教育大学の後藤ひとみ学長と上田崇仁准教授に発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【後藤学長】  御紹介いただきました愛知教育大学の後藤と申します。本日,このような説明の機会を頂きましたことに,まずはお礼申し上げます。
  本学ですけれども,日本語教育コースを1987年に立ち上げていますから,約30年近くたとうとしています。その間,日本語教育のみならず,外国人児童生徒の支援活動をしてきております。今,大学改革がありますけれども,その改革の柱の1つにこの外国人児童生徒への対応ということを掲げていますので,私の方からは,先んじて,簡単に大学のこれまでの経緯を御紹介させていただきたいと思います。その後に,本学の教員の方から,今と今後について少しお話しさせていただきたいと思います。
  まず資料の1枚目ですが,本学は,今申しましたように,昭和62年に総合科学課程に日本語教育コースを置き,その後,国際理解教育課程,それから現在の現代学芸課程というふうに名称変更しましたが,いわゆるゼロ免課程の中に日本語教育コースを置いて,現在ですと定員20名の学生で教育をしてきています。
  その間,法人化がなされた経緯もありまして,平成15から16年度のところで,学内で学長裁量経費を充てて,子供たちのための教科学習補助教材というようなものを開発しています。このときには,小学校1年生から3年生の算数の文章題というテキストを作るような,副教材を作るような活動でした。
  その後,17年度になりまして,学生のボランティアも含めていろんな活動をしていくためのリソースルームが必要だということで,外国人児童生徒支援リソースルームというものを開設しました。これは,いわゆる相談窓口です。この業務については,後ほど担当の方からお話しさせていただきますが,就学前の子供はもちろんですけれど,就学している児童生徒,それから親子,親御さん,それから教員も含め,様々サポートする対象が広がるにつけて,コースを置いている教育単位の教員だけでは対応できない状況が生まれてきたことから,こういうリソースルームを開設してきています。
  平成17から19年度,4枚目のシートになりますが,このあたりから,文科省をはじめとして,国からの助成を頂くことになりました。このときに,いろいろ作成補助教材というのも増やしましたけれど,この辺で一番ポイントになるのは,本学は刈谷市というところにあるんですけれども,近接している市を含めて,4つの市と提携を結びまして,現在ですと,各市から100万円の助成を年間頂いてリソースルームの運営に役立てています。
  その後,4番にあるような特別教育研究経費,それから21年度からも,更に地域貢献機能の充実ということで経費を頂いて,学内でも5番のところの経費に関わって,地域連携センターの中に外国人児童生徒の部門を置くような形で,少し組織作りに着手してきたところです。
  6番は,御承知のように虹の架け橋の事業に関わります。これは実は昨年で助成金が終わっていますが,いわゆる自治体とのつなぎとして,大学が機能していました。今は少し距離を置いた形で,実質的にはサポートしています。経費の方はプロジェクトが打ち切られているとお金を大学からは出せないものですから,違う形でお手伝いをするということで関係を続けています。7番にも今,助成いただいているようなものがございます。
  6番目のシートですが,これはもう御承知のデータになります。愛知県の状況ということで,これは26年5月1日現在ですから,現在ですともう少し子供たちは増えたデータになっていると思います。いずれにしても,愛知県はダントツに外国人児童生徒が多く,今,県の方でも特区申請をするなどして,いわゆる産業についての誘致を積極的に進めていますから,なおこれから子供たちが増えていくことが予想されています。近隣の静岡県や三重県も,他県に比べると非常に多いということで,本学に課せられている使命というものを非常に感じるデータでもあります。
  それで,私の方の最後の話は,7ページになりますが,本学は今,改組を準備中です。設置審にこれからかけていくのですけれども,来年の4月からは,先ほど言いました現代学芸課程というゼロ免を改組しまして,仮称ですが,高度教育支援員養成課程というものに変えようとしています。これはいわゆるチーム学校の考え方を受けて,教員の養成課程を教育大なればこその素養を身に付けさせて,専門家を作っていくというコースです。このコースの中に教育ガバナンスコースというのを置いていまして,いわゆる教育にたけた事務職員を育てていくのですが,こういうところにも日本語教育,簡単な英語の力も含めてですが,そこにいる子供たちに対応できるような高度な事務職を育てていきたいと考えています。
  特に,赤字で中段あたりに入れましたが,日本語というふうに大きく書きましたけれども,従前の日本語教育コースを,教員養成の方に持っていきます。現状では20名の定員のままですけれども,いわゆるゼロ免の方ではなくて,教員養成の方に,日本語教育にたけた教員を育てるということにまずはシフトしていこうと。さらに,先ほど言いましたように,事務職を含めてチーム学校に関わるような人材にも日本語教育等の素養を付けていきたいと。それを本学では教員教養の充実ということで,一般教員もそうですし,支援員の課程の学生たちにも学ばせるような,そういうカリキュラム設計を考えているところです。
  では,代わりまして,愛知教育大学の現在の取組とこれからについて説明いたします。

【上田准教授】  愛知教育大学日本語教育講座の上田と申します。よろしくお願いします。今から,愛知教育大学の現在の取組と今後の方向性について,8ページ目のスライドにあるような順でお話ししていこうと思います。
  先ほど学長の話にもありましたが,今,外国人児童生徒支援リソースルームというものを愛知教育大学で置いて活動を進めております。黄色い枠の中に,日常的にやっている活動を書いております。調査活動もございますし,3番目,学生の指導・相談対応という仕事もあります。また地域の方向けの講演会,研修会,そういったものも開いております。現スタッフは,日本語教育講座の教員2名と研究補佐員3名,事務補佐員1名という状況で進めているところです。
  最近作りました教材が,次ページに出しておりますが,「小学校ガイドブック」,「幼稚園・保育園ガイドブック」といったものです。全て5つの言語で作成しております。これは普通に配布するものをただ翻訳したのではなくて,幼稚園・保育園・小学校の先生方が,外国のお子さんや保護者に何か説明しようとするときに,何が問題になっているのか,何が前提条件としての情報がないのかということに配慮した教材です。
  そのままコピーして御家庭へ配っていただいてもいいのですけれども,保護者の方に対しては,日本でもらう学校のプリントなんかを見たときに,なぜこれが要るのかというのが分かるように作っております。例えば幼稚園の遠足のときに,ビニール袋を持ってきてくださいという1枚で,大体,日本の保護者の方には通じるのですけれども,外国の保護者の方には,それを何のために使うものなのかという記述を入れることで,大きさなどのイメージが湧くようにしています。学校行事につきましても,それぞれどういった意味があって,この学校行事が準備されているのかというものまで丁寧に書いているものです。現場の幼稚園・保育園・小学校の先生方の御意見を頂きながら作った冊子です。次の計画では,これの中学校版を作ろうとしているのが今の状況です。
  続きまして,平成26年度から,HATOプロジェクトの経費を頂いて事業を進めております。 今,HATOプロジェクトはこういった枠組みで,就学前からを視野に入れて考えている活動ですけれども,北海道教育大学,東京学芸大学,大阪教育大学の先生方と一緒にプロジェクトを行っています。今,それぞれの大学において教員養成の学生の意識調査アンケートなどをしているところです。
  続きまして,大学での教育について簡単に御説明いたします。私の所属しております日本語教育講座の専攻の学生は,今こういった学びになっております。設置された時点では,成人を対象とした日本語教員の養成を考えておりましたので,多くの授業が成人をイメージしたものになっており,上の段の4つがそういったイメージで書いてあります。下の方の段に,年少者日本語教育概説という授業を3年次に開講しているとありますが,ここで実際に現場の先生のお話を聞いたり,背景になっている時代的な状況を知ったり,それから実際に教材を作ってみたりするという活動の授業です。4年次には,中学校や高校で教育実習をするという活動になっています。
  そのほか,黄色い枠のところです。これは日本語教育専攻の学生だけではなくて,全学の学生が参加できる研修ですが,韓国の晋州教育大学校の附設小学校で,日本の文化を紹介するという研修をやっております。こちらは言葉を使わないでどうやって教育をしていくかということを実体験する機会になっていると私は解釈して,参加しているところです。ですから学生さんが,日本語や英語,自分の知っている言語では説明ができない,韓国語を一夜漬けでやっても伝わらない,そんなときに,どんな手順でやれば自分たちの指示が通る,どんな手順でやったら子供たちの理解が図れるかということを考えながら指導案を作って,実際に文化紹介の活動をしています。
  次のページは,教員養成課程の学生を対象にした活動です。現状,教員養成課程の学生さんが外国人児童生徒のことを知る活動としましては,授業では3・4年生対象の外国人児童生徒教育概説という授業がメインになります。1年次の日本語教育学入門というのは,選択科目ですので全員が取れるわけではありませんが,愛知県の教員になるということを考えて,この問題に触れた授業をしております。
  続きまして,学生ボランティアの派遣事業という愛知教育大学の活動の中で,1つの特徴的なものを御紹介します。先ほど学長から,近隣4市から経費を頂いているという話がありましたが,その経費を基に,この学生ボランティアの派遣事業というのを進めております。新入生ガイダンス,新学期ガイダンスで,愛知県で教員になる際には外国人児童生徒の問題が避けられないということを呼び掛けて,学生さんたちに座学だけではなくて,体験してもらいたいということを訴えます。
  過去5年,大体200人の学生さんがボランティアに手を挙げてくれて,登録をしてくれています。そういう登録した学生さんに対しては,勉強会や研修会を開催しています。また,研修会につきましては,現場の先生方に対するものも準備しているのですけれども,そこに学生も参加し,一緒に指導案を作ってみるというような活動をしております。これは学生からも現職の先生方からもお互いに刺激があってよかったというような御意見を頂いております。
  それからリソースルームのスタッフは,指導案の作成や教材作成の相談の対応をします。学生ボランティアは,小中学校へ行って,子供たちの日本語や教科学習のお手伝いをさせていただいていますが,その際,現場の先生から,こういうものを教えたいと言われたときに,こういうプランはどうですかというのを考えていくようなものをスタッフが指導している状況です。それから,外国人学校や夜間中学・高校,それから他大学の見学や交流の活動も,リソースルームで調整をして行っています。また,NPO団体での活動を知る機会や,年度末の報告書を通して,それぞれの学生が自分たちの経験などを共有できる機会もリソースルームの方では準備しています。
  こういった学生ボランティアの派遣事業の様子を,少し見ていただこうと思って次のページに写真を準備しました。背景は幼稚園,就学前の子供たちを対象にした活動で,工作をしながら,丸とか三角というような形の日本語を覚えたり,のりとかはさみという文房具のことを覚えたりというような活動の時間,それから,小さいスナップになっておりますのは,学校で支援に当たっている様子,それから学校で反省会などをしている様子の写真になります。これについてはまた今から申し上げます。
  「学校教育の場で」というスライドに入ります。18ページをごらんください。「子供たちに向けて」ということで,今,ボランティア活動がどういったことをしているのかというのを少し分かりやすく書きました。学期中の平日ですと,個別支援,集団支援という活動をしています。個別支援といいますのは,小中学校のお子さん,学校現場の方から要望があった場合,学生を1人ずつ派遣して,お子さんの時間に合わせて指導のお手伝いをしている活動です。一方の集団支援といいますのは,集住地区の学校にバスなどで学生をまとめて連れていって,教室活動で支援をしている活動になります。
  学期中の土曜日ですが,土曜親子日本語教室を大学のキャンパス内で行っております。成人に対する日本語教育は,日本語教育専攻の学生が担当しますが,小中学生,それから就学前のお子さんに対しては,全学の様々な専攻の学生が集まって指導に当たっております。夏休みは,宿題教室というのを開いて,実際に周りの市に出掛けております。
  虹の架け橋事業は,先ほど学長が申し上げたとおりです。今は学生ボランティアの派遣などの活動になっております。
  それから,現職教員の方に向けての活動は,先ほどお話ししました研修会や教材の提供というものになります。
  「地域の場で」というところで,私どもの活動は,日本語を母語としている方々向け,日本語等の支援をしている方々,NPO団体向け,それから日本語を母語としていない方々向けで考えているという図が次のものになります。
  最後,今後の方向性のスライドがございます。改組の話は学長からありました。これから全学部生必修で,外国人児童生徒教育の関連科目を置く予定になっております。1学年約900名の学生に同質の講義,体験,活動を提供したいと考えているところです。
  それから,日本語教育のコースをゼロ免のところから初等教員に移すということで考えております。課題のところに書いておりますが,ゼロ免のところですと,今66単位,専門の科目が学べるのですけれども,教員養成,しかも初等に移りますと,専攻科目は14単位程度に減ってしまうというところで,科目の精選が必要になってきます。日本語教育は学部生にとっては未知の分野です。小・中・高で日本語教育を受けた学生がいませんので,ゼロベースで知識を与えていかなければいけないというところで,私ども今,カリキュラムを作るときに頭を悩ませているところです。
  それから「学校教育の場」でですが,日本語指導を学んだ教員を育てていくということ,それから広く教員養成課程で生かせる骨格となる知識や技能を精選して伝えていくということを考えています。日本全国で共通に活用できるコアカリキュラムのようなものの作成が必要だとイメージしているところです。
  それから,現職の先生方を対象にした研修会で,学び続けることをサポートする体制というものを考えています。また地域では,地域の皆さんを対象にした環境の整備の支援,そのための講演会や公開講座を今後,開いていくと。そのために,学校教育と地域に向けて,AUE日本語指導員という資格を大学独自で作り,育成と認定を考えていこうとしております。これについても現場の先生方や地域の方のニーズ,教育委員会の先生方との話合いを経てカリキュラムを作っていこうと考えています。
  最後です。この活動,事業発表のための人材の確保と事業継続のための経費の確保が重要です。先ほど申し上げたスタッフでは人的にいっぱいいっぱいの状態になっております。また年限のあるプロジェクトですと,知見のある補佐員の方が年限の時点で契約が切れるということで,転出してしまうことがあって,積み上げがうまくいきません。そういったことで,国として活動を発展・継続させる財政的な支援が頂けると有り難いと考えております。
  以上,御報告を終わります。

【佐藤座長】  ありがとうございました。どうしても今,確認しておく必要があるところがございましたら,何かありますか。よろしいですか。後ほどまとめて,全体的な議論の中でまた御意見を出していただければと思います。
  それでは,続きまして,2人目の発表で,日本語指導に携わる現職教員の研修を中心にした事例について,菅原雅枝委員に発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【菅原委員】  東京学芸大学国際教育センターの菅原と申します。本日は,主に現職の方を対象とした研修について御報告せよというお話を頂いております。スライドはございませんので,お手元の資料でごらんください。
  本日は,まず当国際教育センターが主催する研修の概要,それからそこに参加されている受講者の方々の声,そして最後に,よりよい研修にしていくために,どんなことを今,考えているかという3点でお話をさせていただきたいと思っております。
  国際教育センターの研修会は,先ほどありましたJSLカリキュラム実践支援事業として開始いたしました。事業終了後,センターの独自の事業,イベントとして継続しております。現在の研修会は,学芸大学小金井キャンパスで行うJSL研修会と,私どもが外に出向いていって行うサテライトセミナーの2種類がございます。順番に簡単に御説明いたします。
  1番のJSL研修会,小金井で行っているものですが,これは私どものセンターがプログラムを構成しております。下に典型的なプログラム構成とございますけれども,JSL2・3というのが当初のJSLカリキュラム実践支援事業から引き継いでいるものです。それにJSL1といたしまして,日本語教室担当初任の先生方を集めて研修をしております。いずれも全体での講義や報告,それと分科会というような構成になっております。
  サテライトセミナーの方は,教育委員会さんとの共催によって実施しております。大抵,年に1回,多くて2回ぐらいです。共催先の教育委員会さんからの御要望を受けて,私どもでプログラムを考えるというのが典型的な例でございます。下に2つ,AとBとプランがございますけれども,教育委員会さんを通して,受講者の方たちを集めるということができますので,学芸大学でやるものに比べて比較的,管理職の先生方が多く集まってくださるという傾向がございます。そのために,皆さんに聞いておいていただきたいものは全体として講義や報告などをいたしますけれども,その後,コースに分かれて授業を作るコースと,体制作りというような管理職の方たちを中心とするコースというふうに構成してございます。特に教育委員会の独自の御要望にお応えして作っていくということがございますので,中には高校段階限定で研修をお願いしますというような御要望もございまして,Bはそのときのプランです。
  ここにどんな方がお集まりになるかということをお話ししたいと思います。2ページ目になりますが,小金井で行いますJSL研修,これは基本的にどなたでも参加していただけるということで行っております。ただ,1回目に関しましては,初めて日本語教室を担当することになった先生を想定してプログラムを組んでありますよということを周知して,場合によりましては,あなたのニーズは少し違うのではありませんかということで御連絡することもございます。
  参加してくださるのは,教員,それから支援員の方,これは登録だけして,まだ実際には教えていませんという方もいらっしゃいます。管理職,指導主事,それと学生さんや研究者の方もいらっしゃいますが,現場を知らない方々は,分科会でのディスカッションのときはオブザーバーになってくださいということでお願いしております。
  その下に,この6年,7年ぐらいの期間で変わってきたところを幾つか集めてみました。まず一番大きな変化として,支援員の方中心から教員中心になってきたなと考えております。平成23年から,特に1回目を先ほどお話ししましたように初任者のための研修会と位置付けまして,教育委員会を通して連絡を回していただくというようなことを始めましたので,特にその傾向が強まったかと考えております。そのため,1回目,初任者研修に来た方が引き続き事業作りに参加してくださるケースですとか,あとは担当の先生方,入れ替わりがかなり激しいのですけれども,引継ぎの段階で,学芸大学でこういう初任者用の研修があるよ,行ったらどうだい,ということも合わせて引き継いでくださるというようなケースが増えてきております。
  それから,2つ目,教育委員会の指導主事や管理職の方の参加,中学校・高校で教えていらっしゃる方の参加が,少しずつではありますが,増えてきております。
  3つ目の点になりますが,教科指導を学びたいという方々から,日本語指導を学びたいという方々にニーズが移ってきているように感じております。分科会を作る際に,いつも御希望の調査を取るのですけれども,当初,教科の教え方を学びたいという方々が多かったのが,最近は日本語,特に初期指導を希望される先生方が増えております。恐らく初期指導を教員が担当するというような地域やケースが全国的に増えてきているというようなことなのではないかなと推測しております。
  それから,最後になりますが,経験の浅い先生方の参加が増えてきております。かつては,経験はあるのだけれども教科の教え方は分からない,教科JSLに取り組んだことがなかったという方が多かったのですが,近年は,日本語担当としても教員としても比較的,経験の浅い方々が多くお集まりになっています。ですから,中身としましては,かつてはスキルアップを目指す研修であったものが,基本情報を提供する場というふうに研修の意義が移ってきているかなと感じておりまして,ここは1つセンターの検討課題であると考えております。
  サテライトセミナーの方ですけれども,先ほど来,お話ししておりますように,日本語教室担当の先生方,それから一般の教員の方々が多く参加してくださるというのが特徴かと思います。管理職や支援者の方々も多く御参加くださっています。
  それから,サテライトセミナーでは,教育委員会と共催で行っているのですが,私ども国際教育センターが関わるので,その市や県の枠を越えて,近隣の方々の御参加も認めてくださいねと要請しております。そういう方々も入ってきてくださっております。
  2番目です。JSL研修会参加者のアンケート・コメントから見えることというふうにまとめました。当然のことではございますが,立場や経験が違えば,何を学びたいかというニーズが変わってまいります。これを全体として1つのプログラムにまとめていくというのはなかなか大変なことです。1つ見ていただきたいのは,2つ目の大きな経験によるニーズの違いのところにあります初任者の声というところですけれども,本当に何をどうしていいのか分からない,何が分からないのかも分からない。日本語が通じないのに何を教えろというのだろうというようなところから御説明を差し上げる必要がある先生方がたくさんお集まりになっています。一方で,経験者の方々は,もっといい方法を,ディスカッションを通して学んでいきたいというようなお気持ちでお越しになりますので,1つのグループで活動するときにはなかなかその違いを埋めていくというのは大変なことになっております。
  それから,3つ目の中黒の丸ですけれども,研修機会についてというところでございます。当センターの研修にお越しになる参加者の方々に伺っていますけれども,自分のところでは研修対象にならないというような方々が存在しているということがございます。例えばa)中央研修に参加できないというのがございますが,文科省の中央研修を「高根の花」というふうに表現された現場の先生がいらっしゃいました。プログラムを見ると本当にすばらしいし,どうしても行きたい。でも参加できないという現状があるということのようでした。それは予算の問題であるとか。確か指導者コースは4日間ございますので,その間,学校の日本語指導を引き受けてくださる代わりの先生がいない。外国の子供たちのクラスを持ってくださる先生がいないというようなこと,この辺が大きな壁となっている。それから,これはどういう枠組みがあるのかちょっと私も存じ上げませんけれども,教諭でないから行けませんというような言い方をなさる方もいらっしゃいました。
  そのことと関連しますけれども,b)の教育委員会主催の研修会も,やはり何らかの形で資格という枠があるようで,教員のための研修会である,あるいは指導員のための研修会であるというような枠組みの中で,そこから外れてしまう方々がいるということのようです。
  もう一つ大きな課題として,研修自体を実施できない地域や自治体が日本国内に存在している。理由といたしましては,受講者となる日本語指導担当者の数が少ないですとか,予算の問題,それから研修を企画する指導主事御自身がこの問題についてよく御存じではないので,何をどういうふうに企画していいのか分からないというようなことになっているというのが背景にあろうかと思います。
  国際教育センターの研修というのは,こうした研修機会に恵まれない方々の受皿になっていると考えております。行く行くは私どもの研修が要らなくなるというのが望ましい姿ではないかなと思いますけれども,今の課題としては,ここが唯一の研修機会とおっしゃる方々もいらっしゃるというのが現状でございます。
  3番のところ,よりよい研修を目指してと書きましたけれども,まとめてまいります。評価された点,評価できる点,このあたりからだんだん私見が交じってまいりますことを御了承ください。少人数でのやりとりというのがいいと評価していただいております。研修を重ねるに従いまして,参加者同士のつながりというのが強くなってまいりました。私どもを置いてと申しますか,参加者同士の中で指導案の相談が行われたり,あるいは研修会や自分たちの授業公開の情報が交換されたりというようなことが起きてきております。
  それから2つ目,異なる専門性を持つ方々が集まって,一緒に小さいグループで学ぶ機会を提供できているということです。特に日本語指導員の方々にとっては,学校の先生たちと教科について一緒に考えていくというのは大変いい機会であったと評価していただいております。
  サテライトセミナーにつきましては,地域の課題に直結する問題について研修を組むことができる。同時に私どもが関わることで,地域だけに閉じることなく他県の様子,他地域の様子というのを研修の中で聞くことができるというところを評価していただいております。
  参加者の意識というところですけれども,一度かもしれませんが,研修に参加してくださることで,そこから先,参加された方々が,こういう研修が必要だということを認識して,現場に戻られていろいろと動いてくださるというような事例が出てきております。Bの方にも書きましたけれども,この話は担当者だけではなくて,全教員が聞くべきですということで,校内研修を企画してくださった先生方もいらっしゃいますし,JSL研修に来ていただいたことを契機に,教育委員会の方に働きかけてくださって,サテライトセミナーとして地域で研修を行ったというようなこともございました。
  まとめになりますけれども,研修としては,やはりテーマが絞られて,何らかのターゲットがあるということが望ましいと思いますが,当センターの研修ではそこが大きな課題になっています。ただ中身を見てみますと,講義も必要ではありますけれども,1方向ではなくて,双方向,多方向の情報のやりとり,あるいはグループ活動ということを入れていくことが求められているかなと。これが効果を上げるのかなと考えております。
  それから,本日のテーマに照らして,教員の養成,あるいは教員への研修ということを考えますと,学校の先生方には,「日本語指導者,日本語学級担当者としての専門性を高めるということ」,それから,「初めて担当される初任者を支えるということ」,それから「担当ではない全ての教員に広くこの件に関して知識を得ていただくということ」の3側面での研修が必要かなと考えております。
  最後になりますけれども,いかに教育のプロである先生方とはいえ,1回や2回の研修で日本語指導ができるようになってくださいというのは,やはり無理な話だと私は考えております。先ほど愛知教育大さんの方でも,教員養成をきちんとというようなお話もありましたけれども,そういうことがまず大切でありますし,現状では,日本語教育の素地をきちんと持っていらっしゃる専門的な指導員の方,支援員の方々に対して,例えば学校の中で年少者に日本語を教えるということについての研修をすることで,日本語教育の専門性を学校の中で生かしていただくといったような人的リソースを活用していくような研修というのが必要なのかなと思っております。今後もできる限りこの研修を続けていきたいと考えております。
  以上で御報告を終わります。

【佐藤座長】  ありがとうございました。何か事実関係で御質問ございますか。どうぞ。

【松本委員】  松本です。2つほどお聞かせください。年3回各回とも土曜日にやられていると存じておりますが,参加される方々が非常に初期的なものを求められているということですけれども,そういう場合ですと,当然リピーター,1回目から3回目まで継続してということになると思うのですが,3回目まで通して,この研修がかけがえのない場所ということで,いらっしゃる方の割合交通費等,公費でいらっしゃる方と,自費でいらっしゃる方の割合等をお聞かせいただければと思います。

【菅原委員】  ありがとうございます。3回通してというのはなかなか難しいようでございます。松本委員も御指摘くださいましたけれども,土曜日にやっているということで,まず中学校の先生方は,部活動があってこられないというようなお話がよく聞かれます。ですから何%というふうに申し上げることはなかなか難しいかなというのが現状でございます。申し訳ございません。
  それと,経費等の件ですが,これはきちんと調査したわけではございませんが,各分科会等で,私は出張で来ているという先生がいらっしゃると,「えー,うらやましいわ」という声が上がるというところから推し量るしかないかなと考えております。
  お答えになりましたでしょうか。

【松本委員】  はい。ありがとうございます。

【佐藤座長】  それでは,ここまで愛知教育大学,そして東京学芸大学の養成と研修の話をしていただきました。この後,20分ぐらいこの日本語指導の教員支援員の養成・研修の在り方について,自由に皆さんの発言を頂きたいと思います。どなたからでも結構でございますので,お願いしたいと思います。
  先ほど,きょう冒頭で,池上委員の方からこういう御意見が出ております。「大学等で日本語教員養成課程を修了,あるいは見込みをした受験生に対し,教員採用試験のときに一定の加算評価がなされることで,日本語教育に知識と経験を持った学生が教壇に立つことが推進できるだろう」と。養成・採用,この採用の在り方の提言だと思いますが。
  そのほか何か。どうぞ御自由に御意見,この養成・研修,前回も特にこの養成についてはいろんな議論がありましたけれども,いかがでございましょうか。どうぞ。

【竜澤委員】  竜澤です。愛知教育大学のシート18になりますでしょうか。4年次に中学又は高校で教育実習ということで書かれていますけれども,実際には通常の教員免許のための教育実習,数週間から1か月ということで,集中的に行くわけですけれども,この場合はどのようになっているのでしょうか。あるいは想定しているのでしょうか。少し教えてください。

【上田准教授】  お答えします。ここに書きました教育実習,今おっしゃったように,通常の英語又は国語の教員免許状を取るための教育実習でございまして,一般校や附属学校の方で中学又は高校で免許教科の実習をやっております。

【佐藤座長】  よろしゅうございますか。

【竜澤委員】  特化しているわけではないということでよろしいでしょうか。

【上田準教授】  そういうことです。

【佐藤座長】  どうぞ御質問も含めて。どうぞ。

【藤巻委員】  藤巻です。愛知教育大学のところで,日本語教育コースを現代学芸課程ですかね,ゼロ免課程から小学校の教員養成課程の方に移すということですけれども,これまでゼロ免課程で日本語教育コースを出た学生さんというのは,どういうところに就職しているのかという点と,先ほど科目数が大幅に減るという話もありましたけれども,このゼロ免課程から初等教育教員養成課程へ移設する大きな狙いを教えていただけますか。【上田准教授】  では,まず私の方から,卒業生の進路・就職先について簡単に御説明申し上げます。
  中高の教員免許状を取りますので,学年によって多少違いはありますが,半数ぐらいが中高の正規の教員として就職していきます。日本語教育で年少者,お子さんたちに対応したいという学生は,教員採用試験を受けずに,講師登録をして,専任講師として学校現場に入るというような形もあります。大学院に進学する者,民間の企業に就職する者,海外へ出るもの,そのほか数名ずつおります。

【後藤学長】  あと後段の方のお話ですけれども,先ほども触れましたが,愛知県の特殊事情,あるいは東海地区の事情というのもありますが,学校によっては,知立の学校だったと思うのですけれども,6割が外国人の児童生徒で占められているというような学校があるんですね。そういう状況になりますと,日本語の指導がちょっとできますというレベルではなくて,やっぱりきちんと日本語教育ができる資格を持った教員を現場に送っていくというのが教育大の責務じゃないかと思っています。
  ですから,まずは今,うちの教員の方からも話がありましたけれど,実際,教員免許を取って,現場に出て行っているという実績もあるものですから,それならいっそのこと,まずは初等の方に振って,確かな教員を作っていこうということです。ただ,それだけでも子供たちの現状を助けていくには人手が足りないので,地域社会の中に支援員を作ると同時に,先ほど言ったように,新しい支援人材を養成していくところで,日本語教育にも少し理解のあるスタッフを育てていきたいと考えたということです。

【藤巻委員】  小学校などの現場で,教員として専門的に日本語を教える人材を増やすという理解でよろしいですか。

【後藤学長】  そうですね。先ほどの池上委員の御意見にもあるように,もちろん採用のときの措置であるだけではなく,子供たちの現状を考えたならば,カリキュラム設計を含めて,学習指導要領の中身を含めてですけれど,そういう素養が生かされるような日本語教育の時間というのを考えていかなきゃいけない。そういう学校が増えているということかなと思っています。先んじてそれを担える人を育てていきたいと思っています。

【藤巻委員】  ありがとうございます。

【佐藤座長】  ほかにいかがですか。どうぞ。

【高橋委員】  高橋です。今後の課題にもちょっと関係あるんですけれども,当事者の子供たちというか,外国出身の子たちがそういった教員になっていく道というものがやっぱり保障されることも必要だという観点から考えると,愛知教育大の方で,特に愛知という土地柄というか地域柄で,外国につながる子供たち,若者がそういった教員を目指してそちらの大学で学んで教員になろうというようなケースというのはありますか。

【後藤学長】  残念ながら,現状ではそこは開かれていないと思います。というのは,日本語の理解ができていないので,御承知のことと思いますけれど,基礎的な学力がなかなか身に付かないですよね。例えばブラジルから来ているお子さんがいて,その子に教師の免許を持って日本で働く,あるいは母国に帰っていただいて働くというような,そういう教師性の高い人材も育てたいとは思うんですけれど,日本のこの入試システムの中では,なかなか入ってくることができないという現状があります。
  ただ,今,私たちが考えているのは,義務教育を終えた人たちの問題が大きいだろうと思っています。ですから高校進学のみならず,御指摘のように専門職として進んでいくための道筋を作るには,やっぱり学力の問題もありますし,そういう子供たちの行き場を作っていくということも社会設計としては必要だろうと。ただ,それは本学だけができることではないので,うちとしては,学んだ外国人児童生徒が日本人にだけ助けられるんじゃなく,日本語にたけて教育に関わっていくことは願っています。
  今は現実,実績を残しているのは,外国からの留学生ですね。留学してくる人たちが日本で,本学で学んで,そしてまた国に帰っていくということはやってくれています。ただ,それはここで言う外国人児童生徒とはちょっと違ってきますけれども,そのような形が今後できていったらいいなとは思っています。

【佐藤座長】  どうぞ。

【松本委員】  松本です。私の知る限りでは愛知県で3人います。大学を卒業して中学校の英語教師になった若者は10歳のときに来日した方です。それから小学校就学前から日本にいたという人たちも2人ほど,日系の方ですけれども,小学校の教員と,高校の教員で頑張っています。そういう人たちがロールモデルになっています。
  続けて,質問はよろしいですか。

【佐藤座長】  どうぞ。

【松本委員】  シートの28のところで,愛知教育大学の「AUE日本語指導員」育成と認定という形で,学校教育と地域に向けての取り組みを広げていくというふうにお話を伺ったんですけれども。池上委員の御意見にも少し書かれていましたが,日本語という,今は教員免許を取る際に,そういった教科がないので,是非,愛知教育大学の方で日本語という科目の資格を取るという声を上げていこうというのはなかったのでしょうか。
  一番そういうニーズが高いところで,是非,大学の方からも国の方にそういう声を上げていっていただきたいと思うんですけれども,いかがでしょうか。

【後藤学長】  いいですか。

【佐藤座長】  はい。お願いします。

【後藤学長】  そのとおり,そのような方向にすべきかなと思います。日本語の教科というよりも,このとき,第3期に上げているんですけれども,先ほど言いましたような子供たちが困っている状況を何とかするためには,経費の問題と同時に,専門的にサポートできるスタッフが本当に足りていないという状況があるんですね。うちは愛知県だけではなく,それから提携している市だけではなく,県外にも送り出しているものですから,とても今のリソースルームのスタッフと担当の教員だけでは回り切れない需要があるんです。
  まずは専門的な人をきちんと育てたいんだけど,そこには時間がかかるとしたら,サポートできる人をこういう資格として少し作り上げて,先ほど御指摘があったように,ちょっとステップアップしていくようなプログラムを考えて,役立つ人を育てようということで計画を立てています。
  御指摘いただいたことについては,そのような方向で努力したいと思います。ありがとうございます。

【松本委員】  よろしくお願いいたします。

【佐藤座長】  ありがとうございます。ほかにどうぞ。

【吉住委員】  よろしいですか。東京学芸大学の国際教育センターの菅原委員にお聞きしたいと思うんですが。私の,地元の区の場合は,今は9言語とか,十数か国語で,通訳を交えないとなかなかできないという多言語状況になっています。
  これは1つのいわゆる日本語指導とはこういうものだというテクニカルな基本が分かれば,あとはその通訳に入っていただくことによって,効果的な授業が行えるのかどうかということをお聞きしたい。それから研修の機会というところで,予算,日程の問題,それから資格の問題とありました。私どもは特別区という存在ですので,いわゆる東京都全体で多摩地域から島しょ部も含めて,全体で教員採用を行って,その中で人事運用をやっています。そうすると,新宿区で教員に講座も受けてもらって,育てた場合においても,他区に転出,あるいは市に転出というふうに入替えが定期的にシャッフルされています。今,現実に困っている子供がいる以上,私どももそこはやらなくてはならないという思いがございますが,予算がどのぐらいなのか,あと日程というところで,4日間という研修があると思うんですが,それはどのような場所で。東京なのかなと思うんですけども。
  あと資格の要件。これは教育センターの方の資格要件なのか,それともそこに派遣する自治体側の教員にはそういう講習,参加することについて支援するけども,講師の場合は駄目だとか,そういうことなのか,その辺につきまして,ちょっと教えていただければと思います。
  あと学校の方でも,あるいは自治体の方で講座をやっていただけるということですが,どの程度,対応していただけるのか,その点につきましてお聞きしたいと思います。

【菅原委員】  まず1点目の母語で対応していらっしゃる地域の中で,学校の先生方は日本語の基本のところができればある程度,対応が可能なのかというお話ですけれども,学校の先生方であっても,やはり日本語を指導するってこういうことですよという基本的な部分は是非分かっていていただきたいと考えております。その後の母語の対応がどんなふうに行われているのか,また母語を支援する方々がどんな方々なのかということによって,いろいろと差は出てくるかなと思いますけれども,基本の知識として,教員にも是非,日本語指導のスタートの部分は分かっていただきたいなと考えております。
  それから2点目に関しては,中央研修に関してですね。

【吉住委員】  ええ。

【菅原委員】  後ほど文部科学省にお答えいただいた方がいいのかなと思いますが,いかがでしょう。

【佐藤座長】  後ほど分かる範囲で情報提供していただくということでよろしいですか。

【齋藤主任学校教育官】  はい。結構です。

【佐藤座長】  正確を期すために,後ほど,何らかの形で具体的に中央研修への参加の費用であるとか参加の仕方,応募の仕方,参加費用の問題等についてお答えいただければと思います。
  多分,所管が違うと思いますので,即回答は難しいかもしれませんので。

【菅原委員】  私どものところでは,行きたいけど行けないという声だけが聞こえてくるものですから,是非,文科省の方から皆さん行けるようにしていただけたら,私どもも大変有り難いかなと思います。
  それから3点目が,サテライトのことですね。サテライトに関しましては,御要望があればこちらの担当者と先方の教育委員会との間で日程,人数,その他もろもろを詰めさせていただくというふうに個別で対応させていただいておりますので,是非お声掛けください。

【吉住委員】  ありがとうございます。

【佐藤座長】  よろしいですか。ほかにございますか。じゃあ,どうぞ。

【伊東副座長】  伊東祐郎と申します。本日の愛知教育大学,そして東京学芸大学の実践と取組に関して,非常に多くのことを学ぶことができました。将来の研修の在り方,内容等,体制作り,非常に大きな参考になるのではないかと思いました。
  やはり子供たちは学校に入るわけで,教科学習を学ぶということが最終的な目的になるということであれば,教科担任が全て日本語指導,あるいは子供たちの,背景の異なる子供たちがどういう問題を抱えているかということを,基礎・基本として学んでおくべきだと思っております。
  そういう意味で,教職課程の中にこれからの国際理解教育,そして外国人児童生徒,帰国子女を含めた日本語教育に関する科目を組み込むというのは必須だろうと思っております。
  じゃあ,現状はどうするかということに関しますと,中央研修が1つの研修の在り方だろうと思いますが,東京学芸大学,そして愛知教育大学の実践から,教員養成のためのカリキュラムというものを体系化し,構造化して,それを見える形,共有できる形にすることがまず必要ではないかと思います。
  それで,外国人児童生徒を誰が担当するかといったときに,日本語指導員に任せるのではなく,子供たちの学校での生き生きとした学びということを考えますと,教科担当がやはり責任持ってサポートすることが必要だと思います。今後,議論をして,サポートの体制も作っていかなきゃいけないかなと思っております。
  そういう意味で,内容と体制,そして現職教員の研修をどうするか,やはりインセンティブを与える必要があるだろうと思いますので,夏あるいは冬,春というような時期を活用した研修を受けることによって,資格認定ということもあっていいのではないかと思います。もう既に愛知教育大学ではそのような取組をなさっていらっしゃるということを考えますと,このような取組は非常に高く私は評価できるなと思っております。
  以上です。

【佐藤座長】  ありがとうございました。今,教員養成,研修の在り方でいろいろ御議論いただきました。外国出身の子供の進路として,教員の道というような夢を描かせていくためにも,そういうようなことが可能な在り方をちょっと検討していただきたいという。これは中国帰国者の例もございますので,いろんな事例はあると思います。
  それから,教員養成の核に日本語指導を位置付けることというような話もございました。そしてその教員養成の中にこの日本語指導を入れていくことの必要性と同時に,研修でも,今,任意研修から法定研修の中にもこういう研修を位置付ける必要があるんじゃないかというようなお話も頂きました。
  教科担任が全てこれを担っていくわけだから,やっぱり全ての教員にこういう研修が必要だということは,法定研修などの在り方も是非,御検討いただく必要があろうかと思いますし,私たちも議論をしていきたいと思っているところでございます。
  この教員養成,あるいは研修の在り方,かなり大事な点でございますので,これを踏まえながら,少しまた柱立てをして,最後の方で議論を深めていければと思います。きょうは愛知教育大学,東京学芸大学の事例を通して,私どもはいろんな現在の動き,そしてこれまでの研修の在り方等について報告を頂きましたので,更にこれを深めていければと思います。
  それでは,きょうの2つ目の柱でございます指導内容の改善・充実に入っていきたいと思います。
  まず1件目として,鈴鹿市教育委員会事務局の中川智子日本語教育コーディネーターから,鈴鹿市におけるJSLカリキュラムを活用した指導の実現について御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【中川日本語教育コーディネーター】  こんにちは。鈴鹿市教育委員会教育支援課で日本語教育コーディネーターをしております中川智子と申します。きょうはどうぞよろしくお願いいたします。
  お手元に資料があるかと思いますので,そちらを参考にしながら,お聞きいただければと思います。日本語指導の具体的な実践の成果と課題についての報告ですけれども,一応,鈴鹿市の概要と,それから日本語指導の実践を支えている鈴鹿市の日本語教育のシステムについても触れながら,その後で具体的な内容に入っていきたいと思っています。
  鈴鹿市は,自動車関連の会社が多い製造業が盛んな地域です。外国人労働者も多く働く町です。公立小中学校に在籍する外国人児童生徒は,平成27年5月現在で666人となっております。子供たちに関係のある国は24か国にわたっておりまして,多国籍化・多言語化が進んでおります。
  平成27年度は,鈴鹿市の小中学校40校中35校に外国人児童生徒が在籍しています。分散して在籍しているのも鈴鹿市の特徴です。その40校中30校で特別の教育課程による日本語指導を実施しております。年度途中での転・編入も多いですので,教員の配置とか,あと体制作りなどにはちょっと苦労しながら取り組んでいるところです。
  鈴鹿市では,循環型の日本語教育システムを作っているんですけれども,このプロジェクト会議,それから日本語教育担当者のネットワーク会議,それから学校がつながるようなシステムを作って取り組んでいます。このシステムを進めるに当たって,教育委員会事務局に日本語教育コーディネーターを置いております。特別の教育課程による日本語指導の実施に当たっては,このシステムは大変有効であったと思っております。
  少し詳しく,プロジェクト会議ですけれども,これは日本語教育の推進に向けて,基本方針を決定して,進捗状況を検証するための会議です。年2回です。教育長をはじめとするごらんのような方々で構成された会議です。
  それから,日本語教育担当者ネットワーク会議は,プロジェクト会議で決定した方針を受けて実践研究を行っていく会議になります。日本語教育コーディネーターが企画運営をして,年8回開催しています。
  更に学校の中でも国際教室運営会議というものを開いて,日本語指導体制について協議する機会を持っております。この会議にもコーディネーターが参加して,校内の日本語指導体制作りに関わることもあります。内容としましては,国際教室の運営や,指導体制作りについて,管理職,それから学年の先生,担当の先生が入る会議になっておりまして,そこで何が必要かということが共通理解でき,実行に移しやすいという利点があります。国際教室,それから在籍学級では授業を公開しながら実践研究を行っていきます。
  特別の教育課程による日本語指導の実施については,教育委員会が積極的に関わりながら,日本語能力の把握であったり,それからそれに関わる協議であったり,そういうものに関わりながら進めております。
  年間の流れとしましては,1学期に個別の指導計画を作成して,年度末に個別の指導計画の評価と考察を行うというPDCAサイクルとなっております。学期末ごとの学習評価と,それからJSLバンドスケールによる日本語能力の把握,それからDLAについても活用できるところで使いながら,指導や支援について生かしているところです。
  それでは,特別の教育課程による日本語指導の実践についてですけれども,プロジェクト会議での方針として,JSL児童生徒が主体的に学ぶ授業作りに取り組んでいくことを確認しています。その中でも,取り出し授業では,日本語で学習活動に参加する力を育てるための授業作りに取り組んでいます。その日本語で学習活動に参加する力を育てるというために大切にしていきたい観点を教育委員会の方で示させてもらっています。これが配付資料の方の資料4になりますけれども,これらの観点を踏まえた言語活動や体験活動を学校の方で作って,そして日本語を使って活動することで力を育んでいきたい。その活動を通して育まれた力,日本語での学びを評価していこうという取り組みの流れになっております。
  それで,子供たちの日本語能力に応じた多様な言語活動,体験活動の実際ですけれども,例えば教科の学習を活用した授業というところであれば,教科の学習に参加してほしいという先生方の願いがあって,その子の日本語の力を見たときに説明する力を付けてあげたいなという思いがあり,教材や活動を工夫して,授業をしています。
  このスライドにあるのは,中学校の国際教室での授業ですけれども,中学校は教科の時間に別室で指導を受けるということになりますので,先行学習,復習,補充学習等を含めたダイジェスト版のような授業で対応している学校も多いです。
  これはまた小学校での取組ですけれども,教科学習と連携した授業も行っています。社会科の授業とつながった例ですが,在籍クラスの方で買物調べの活動があるとなれば,その活動に参加するために必要な日本語の言葉や活動を意識的に取り出し授業の中でも取り入れて,授業をしています。
  こういう取り組みの中でも,例えば時間割をそろえてあるというような学校の場合には,教科での学習は進めていきやすいという状況にあります。子供たちにとっても,クラスでの学習とつながりますので,モチベーションも上がりやすいという利点があります。ですが,指導者1人に対してその時間に様々な日本語習得レベルの子供たちが10人ほど来てしまうと,その様々な日本語レベルに合った授業作りをしていくというのはすごく難しい。そういうところで悩まれている先生は多いかなと思います。
  一方で,ちょっと教科の学習とは外れますけれども,どの教科の学習にも必要な力を育てていこうという視点で授業をしている学校もあります。日本語での授業に対して前向きになれない子供たちも中にはおりますので,そういう子たちも日本語を使ってみんなの前で発表し,それが認められる中で,前向きな気持ちを育てていきたいという取り組みもあります。
  それから,日本で進路選択をする子供たちがほとんどになってきているんですけれども,そういう子たちが中学校の授業の中でも自分について知ったり,友達のことを知ったりという,そういう学び合いでの活動を通して,キャリア学習の第一歩といいますか,自分のことを考えて,それがまた社会でも生きるような力を育てていきたいという思いで取り組んでいる授業もあります。
  こういうふうな授業に取り組んでいる学校というのは,時間割がそろっていなくて,いつも同じメンバーで学習ができるわけではありませんので,教科の学習に継続的に丁寧に取り組んでいくというのをするのは難しい状況にあります。しかし,学年や教科を越えて様々な力を育んでいくといういい面も出ているところはあると思います。一方で,在籍学級での例えば社会であったり算数であったり,そういう教科の時間は抜けてしまうので,学習内容のフォローについては難しいなと。そういうところは課題だと感じている先生は多いです。
  このように取り出しの授業の中だけでは難しいところがありますので,在籍学級でも同じ願いを持って取り組んでいこうとしている学校もあります。どちらでも取り組むということが大切ということは理解はしていただいていますけれども,十分に取り組めているという学校はまだまだ少ないというのが現状です。
  このような活動を通しながら,日本語把握の中で見えてきた付けたい力を子供たちに育んでいくために,その子供たちに応じた多様な活動を学校の中で創作しています。その創作された活動の中で,子供たちがお互いに関わりながら,その中でそれぞれが付けたい力を育んでいく,その学びを評価していければというのが鈴鹿市の取組です。
  学習評価の現状としては,それぞれの学校で様々な子供たちがいますので,その子たちの多様な状況に合わせるということで,学校で日本語指導の観点,大切にしたい観点を取り入れながら,それぞれの学校で評価を作成して,本人や保護者に返しているというのが現状です。
  特別の教育課程による日本語指導も始まったばかりですので,取り組んでもらっている学校の実践を紹介して,学ぶ機会を作ったり,それからいろいろな学校の実践発表をみんなで聞き合ったり,質問し合ったりする場も設けています。成果も課題も共有して,共に考える機会も作っております。
  実際に,特別の教育課程による日本語指導に取り組んで,学校としてはどう感じたかというのを少し聞いてきております。法的にも整備されたということで,学校の中で日本語教育について在籍学級や国際教室の担当が一緒に話し合う機会が持ててよかった。そこから議論が始まっていくんだと前向きに捉えている学校もありますし,実際に子供たちの様子から,言葉を覚えるだけではなくて,日本語を使って,この社会で生きていくための底力というか,そういう力を付けていくということも大切だという先生方の声もあります。子供たちが生き生きと学んでいる姿が見られるようになって,手応えを感じているような指導者も見られるようになっています。
  最後ですけれども,成果と課題というところで,この特別の教育課程による日本語指導に取り組んだ成果ですけれども,教育委員会も学校も一丸となって取り組んできたということで,日本語指導が実施できているという状況はあると思います。その子供たちの日本語の力を把握して,その把握したことを基に,子供たちへの指導や支援について考えて,それが授業の中で生かされているという学校も多くなってきています。これは日本語の力について,学校の中や担当者で協議する場が設けられているということが大きいのであろうと思います。多様な活動が生まれてきていることで,生き生きとした子供たちの姿が見られて,近年では,多様な高校に進学するようになってきていますので,こういうのが続いていけばいいのかなと思っています。
  課題ですけれども,限られた条件の中で工夫をしていますが,なかなか全てに指導や支援がうまく行き届いているというわけではありません。個に応じた指導や支援を充実させていくという面では,やはり人的な配置は十分ではないと感じていますので,このあたりは行政としても考えていかなければいけないところです。
  それから,小学校と中学校での授業形態の違いというのもありまして,指導の内容としても連携というのがうまくいかないという現状もありますので,指導体制作りをどうしていくかということと,それからまだまだ進んでいない在籍学級での授業作りについて,学校全体で取り組んでいくためにどういうふうに活動を充実させていくかというところが課題かなと思っております。
  外国につながる子供たちを含む全ての子供たちが生き生きと学び合うような豊かな教育を目指して,実践に取り組んでいきたいなと思っております。ありがとうございました。

【佐藤座長】  ありがとうございました。今,中川コーディネーターの御発表について,今この時点で何か確認しておくべきことがございますか。よろしゅうございますか。後ほどまた議論の時間を取りたいと思いますけれども。
  それでは,次に小中学校の連携による日本語指導の事例の紹介を,岩倉市日本語・ポルトガル語適応指導教室の村瀬英昭室長,お願いできますでしょうか。よろしくお願いいたします。

【村瀬室長】  失礼します。岩倉市日本語・ポルトガル語適応指導教室室長の村瀬です。
  愛知県岩倉市といっても,どこにあるかも分からないような,多分そんな皆さんの認識だと思うんですけど,愛知県一面積が小さい市です。小学校5校,中学校2校の7校しかないんです。非常にコンパクトな市であるが故にできるという取組でもあると思います。
  今現在,県費加配の日本語担当者が13名,それから岩倉市採用のブラジル人講師2名の15名体制で行っておりますが,県費加配教員13名のうち,日本語を専攻していた人が6名,海外生活経験者が7名で,毎年毎年,入れ替わりはありますが,人材確保ということで毎年苦慮しております。
  今現在,日本語教育が必要な児童生徒が225名いるわけですけれども,その子たちに対して,スタッフ一丸となって,「日本一愛のある適応指導教室」というスローガンを立てて,5つの理念を挙げながら行っていますが,最終的には,やっぱり落ち着いた学校,落ち着いた地域作りというのを目指して進んでおります。
  特に岩倉市の特色ある取組としまして,各学校に担当者は在籍しているんですけども,教育委員会直系の独立した組織として,小中一体として自分たちの組織はあるということで,小中の垣根は全くないという形で,在籍しているその学校の仕事も当然するんですが,本務は日本語指導だという形で行っております。
  平成13年度開設当初から,ポルトガル語指導,母語指導ということを行っています。平成16年度から日本語能力試験への挑戦ということで行っております。それから学校生活適応指導,これは集中初期指導です。日本に来たばかりの子を1か月間,センター校である岩倉東小学校の方に,小学生から中学生まで集めて,そこで学校への橋渡しをしていくということを行っています。
  プレスクールは,一昨年から始めました。今年度は15名の対象幼児に,今週の金曜日からプレスクールを始めます。たった5回ですけれど,よかったら見に来てください。
  日本語指導については,1つの特色として,モジュール形式を取り入れた指導というのを行っております。それを岩倉市日本語指導方式と呼んでいますけども,日本語指導といっても,自分たちは教員ですので,学校教育の中での日本語指導だと。特に教科指導を通して日本語を習得させていくということが現実問題,必要だろうということで,独自のカリキュラムを作成しながら指導を行っています。
  指導の流れですけれど,1単位指導時間を4つぐらいの内容に分ける。それで1つの項目を5分から15分ぐらいで,外国人の子ってとても飽きやすかったものですから,すぐ嫌になっちゃう。だから飽きさせずに指導を行うということで,15年前,自分が1人で始めたときからこの方式を取り入れてやっています。できれば指導の型は一定していくということで,ユニバーサルデザインの考え方を取り入れて行っています。
  日本語能力はいろんな呼び方があると思うんですけども,岩倉市の場合はステップという呼び方で,4つの段階に分けています。ただし学校生活適応指導については,日本語指導を行う前段階ということで,ステップゼロ指導ということで,5段階に分けてやっています。
  その1単位指導時間,小学校45分,中学校50分を,ユニットと呼んで,その中の指導内容を4つのモジュールに分けて指導を行っていく。それで,その4つのモジュールの中に日本語能力に応じた指導内容,要は復習的な内容と,現学年の指導内容を2層に分けて,1つの時間の中に両方の要素を入れていくというような活動を行っています。
  ステップ指導というのは,先ほども言いました日本語能力に合わせた日本語指導,それから個々の課題に合わせた復習的な教科指導。現学年指導というのは,今,教室でやっている勉強の少し前を担任と連携を取りながらやる。そのことによって,教室で手が挙げられる,教室で活躍できるということを取り入れて,行っております。
  それから指導の方を,ア,イ,ウ,エと右側にあるんですけど,きょうはこういう勉強をするよというのを,形に表すことによって,子供たちに指導の流れを示すということを行っています。これは例えばですけど,指導項目関連一覧表というのがホームページに載せてありますが,中学校3年生で二次方程式を,数学で教えるときに,とても内容が難しくて理解できない場合に,ステップに応じて,どこまで戻ればいいのかというのを作っています。来年度,中学校用教科書が変わるものですから,その組替えとカリキュラムの改定を,急ピッチで進めているところです。
  指導例として,やっぱり子供が使いたくなるような場の設定をしていこう。興味を引く手法を取り入れよう。ICTを最大限使おう。特に視覚を重視してやっていこうということで行っています。
  教材は市販のものはいっぱいあるんですけれども,やっぱり子供たち一人一人の顔を浮かべて,この子の課題に合ったものは何かということで,その子に合ったものを,100%,できればオリジナル教材を目指していきたい。これが岩倉市の目指す愛の教育だと思っております。
  それから,レベルに応じた指導法ということで,違ったステップの子が同じ時間に来ることは当然あるわけですので,その場合に,文字あり,文字なしのものを渡すとか,飽きさせない指導の工夫ということで,例えば,シールを取り入れて興味付けをさせるとか,そんなようなことも行っています。
  教科力をアップさせるためにというのが一番の重要課題ですので,教科の力を付けるために,教科書に出てくる言葉の意味を理解しなきゃいけない。教科用語だとか学習用具の名前だとか,そういうものを,意味を理解できるようにしなきゃいけない。そのために視覚に訴えながらやっているわけですけれども,特に中学生になると,指導語彙,表現というのは非常に多くて,内容も深くなってきますので,そのステップに応じた指導語彙,表現の精選というのを行っています。ただし自分たち教員としての目線で,これは必要,これは必要じゃないとやっていますから,学識者の方が見られたら,これはおかしいと言われるかもしれませんが,担当者同士で相談しながら行っています。
  それから,例えば,ぱっと見たときに,こちらを向く手法ですねどこが違うじゃなくて,その名前は何というのを覚えさせたいがために,こういうような手法を取ってみたり,クロスワード的な要素を取り入れながら,理科の実験道具を覚えさせたりとか,楽しみながら,こっちも楽しみながらやらないと面白くない。教科書を使えれば一番いいんですけれども,教科書をやっているだけのとき間もない,教科書が理解できるだけの日本語力もないという場合に,限られた指導時間の中で,学習内容の要点をどうやって教えていこうかということで,要点をまとめたテキストを岩倉市では作っております。
  教科力アップのもう一つの側面として,日本語能力試験指導をしていく中で,子供たちの国語力がアップしていくというのは目に見えて分かるんです。能力試験というのは,あの子たちにとって目前の目標でもある。だからやる気もある。合格したい。親も合格させたい。これが現実です。日本語能力試験だと,文字,語彙,文法,読解と分かれていて,指導もしやすい。特にその中の読解,一番外国人が苦手な読解のやり方を,これは当然,市販のものを使っているんですけど,どこに着目したらこの答えが出るんだよというトレーニングを繰り返しやっていくことによって,国語のテストができるようになってきたという,中学生には効果的な指導方法だろうと思っています。
  指導していく中で当然,評価をしていかなきゃいけない。例えばモジュール指導を終わった段階で行う5問テストというのを大体の単元に作ってあります。それから,学期ごとに行っていくような語彙の到達のテスト,こういうようなものを行いながら,学期ごとに評価してステップの見直しをしていくということを行っています。
  評価についても,保護者に分かる伝え方ということで,これもユニバーサルデザイン的な発想で,まず言語対応をしよう。ただできるのは,岩倉市の場合は精いっぱい5言語までです。今,10言語ありますが,そのうち5言語対応しかできていません。これが精いっぱい。それからグラフとか色分けをして,視覚で親たちにも,今この子は何ができて,何ができていないかを分かるような形を取っています。
  担任の先生方には,全て同じ表集計のシートに作ってあるんですけど,点数を入力したら担任の先生用の一覧表が出る。担任の先生にも分かるように,教科担当の先生にも分かるように。その左側のが6年生の3学期なんですね。例えば,6年生の3学期のものが,岩倉市の場合は小中連携というより,小中一体ですので,次の学期は中学1年生の1学期になりますが,そこの指導計画表というのが出てくるわけなんですね。その指導計画では,単純に丸,三角,ペケなんです。だからこれじゃ分かりにくいのでということで,指導者には個人課題の一覧表というのが出るようにしてあります。それで,何ができていて,何ができていないのかというのを把握して,何を指導すべきかを,毎年,担当者が入れ替わるものですから,次の担当者がすぐ分かるような形を取っている。ただこれも完成形じゃないので,毎年いじっていますが。要するに指導して評価を出し,評価をして課題を出す。その課題に応じてまた指導していくというスパイラル的な形で指導を進めています。
  特別の教育課程による日本語指導が,昨年度,出ましたけど,岩倉市はもう10年以上前からこの形でやっていますので,どう対応しているのかなということでタイアップさせてみました。岩倉市,7校しかないんですが,一応,小学校センター校と中学校センター校は置いています。それから,市内の学校で平等な教育を保障するために巡回指導は15年前からやっています。自分1人で全部の学校を巡回していました。それが,小中連携の理念ですね。日本語指導の在り方というのは,当初は心の居場所でよかったんですけれども,やっぱり定住化が進んできた中で,教室で活躍できる力,これを付けてやらなきゃいけないということで,そのためには指導者のスキルアップが必要だろうと。
  指導内容についても,日本語指導は当たり前ですけど,それだけじゃなくて,上級学校進学を見据えた教科指導を当然やっていかなきゃいけないということで,担当者の指導力をアップさせるように,一生懸命やっているところです。
  指導形態については,原則,取り出し指導です。ただ学校によっては外国人が50%を超えるようなところがある。そのときに取り出しをやったら,教室はがらがらだという現状がありますので,じゃあ,少人数指導的なことだとか,入り込み指導も考えていかなきゃいけないなという,今これは課題です。
  評価と計画については,先ほどお話ししました。
  成果ですけど,上級学校進学率は,昨年度,100%になりました。グラフは100%になっていませんが,帰国がいますので。今年度も今のところ100%です。ただし,公立学校へ行ける子は20%ぐらいです。小学校高学年で来た子,中学校で来た子,この子たちを公立学校へ行かせる,これは無理です。ですから現実問題として,やっぱりまじめに学校へ来ている,部活もちゃんとやっている,課題もちゃんと出しているんだ,そういう子は推薦で私立の方に面倒を見ていただくというような流れを進学の担当の先生たちと相談しながら進めています。
  一番困るのが,定時制なんです。定時制は,子供が行きたくて行っているんじゃないんです。親にお金がないから,定時制に行かなきゃいけない。これが現実です。
  次に,日本語能力試験ですが,N1,N2というのが資格として認められるということで,教育課程にないものですから,岩倉市としてはこれをキャリア教育の一環として取り入れています。昨年度,大体N1,N2を中学生の在籍している子の中の50%ぐらいが取得しているという現状で,これもどんどん割合を上げていきたいんですが,難しいところです。
  次です。ポルトガル語指導を開設当初から行っています。最初は保護者とのコミュニケーションを取れるようにというのを主眼でやってきました。ただ,今はちょっと方向性を変えまして,できればバイリンガルになってほしいんだという,書けるところまで行ってほしい。それで実際,ちょっと統計を取ってみたところ,ポルトガル語指導をしている子については,書ける,少し書けるまでかなり来ているということで,それなりの成果は出ているんだろうなと思っております。
  それから,未就学,不登校ですけど,平成13年度から5年間の間は本当に苦労しました。学校へ行きたくない,やめちゃいたい,いろいろありました。家庭訪問もしましたし,夜回りもしましたし,5年かかってやっとゼロにしました。が,今でも危ない現状は幾らでもあります。これが現実です。特にフィリピンの子が急増してきまして,フィリピンの子たちは,小学校高学年,中学校で来る子が多いんです。その子たちに,じゃあ,どうやって学校が楽しいと思わせるか。だから日本語教室が心の居場所になっていなきゃいけない。その子たちにとって少しでも分かる喜びを与えてやらないと,学校が面白くない。できればこのゼロの状態を続けていければと思っています。
  学校生活適応,プレスクール。これについては,それぞれの在籍校だとか入学する学校への橋渡しで,これはものすごい成果を上げています。プレスクールは,たった5回しかやらないんですけど,昨年度,一昨年度,すごくスムーズに入ってきました。今年度も頑張っていきたいなと思っています。
  国際理解教育の推進ですけど,これは各学校7校,ばらばらの行事計画ですし,各学校の担当者の特性もありますので,それぞれの学校でという形でやっています。
  研修は公開性でホームページにも載せていますし,誰でもウエルカムの形でやっています。週1回,水曜日に担当者が全員集まって,担当者が順番に講師をしながら,それぞれ特性を生かした研修会をやり,そこにもいろんな方が見えますし,夏期の日本語教室研修会というのもやりました。これは県内・県外からもいろいろな方がいらっしゃいます。先生だけじゃなくて,ボランティアの方,NPO法人の方,教育委員会の方,いろんな方がいらっしゃいます。岩倉市としてもウエルカムですので,いつでもどうぞ。
  次に公開指導ですけれど,これは本当は地域公開指導なんです。研究指定でも何でもありませんので,岩倉市の地域の方々に現状を見ていただいて,理解者をたくさん増やしたいがために行っているものであって,議員さんを呼ぶ,区長さんを呼ぶ,民生委員さんを呼ぶ,団地の自治会の人を呼ぶというようなことで,地域の方の理解者を増やしていきながらやっています。右側は意見交換会の様子ですけど,今年度100名を超える方が岩倉市に参観に見えました。とてもとても,特別教室でも入り切らなかったものですから,体育館でやったんですが,ここまで岩倉市のファンが増えてくれたのが有り難いなと。リピーターもかなり毎年いらっしゃいますので,そのためにも頑張らなきゃいけないなと思っております。
  課題ですけど,主に3つ挙げさせていただきました。まず指導について,限られた指導時間の中でどうやって効率的に行っていくのか。モジュール形式をやっていますが,そうじゃないほかの方法はないだろうかと。
  それから日本語担当者の経験値と言いましたが,やっぱり指導者のスキルであり,長くやっていかなきゃいけない。自分たちも異動がありますので,ただし自分は異動しても同じ役割でずっとやっているということで,それも1つの方法かなと。
  それから2番目,真ん中のところですけど,これは児童生徒のことで,特に生徒についてです。中学校で編入した生徒の日本語力を,じゃあ,どうやって上げるんだ。どうやったら効率的にやれるか,短い期間の中で高校へ行かせてあげられるかということを考えています。
  それから下学年に編入ということが正式に打ち出されましたので,岩倉市も従ってやっていますが,これをやった子たちは,最初はいいんですけど,しばらくすると駄目になるんです。学校へ行きたがらない。これは個人的な感想として,問題ありと思っています。全員が全員,精神的に嫌になっています。
  保護者に関してですけど,保護者の日本語力がなかなか上がらない。やる気もない。だから学校への理解はするんだけども,学校のシステム,それから高校進学のこと,知ってほしい保護者がなかなか情報提供会とかに来ないというような現状です。
  家庭での学習指導のために保護者の協力と書きましたが,授業をまじめにやっている,取り出し指導もしっかりやっている,でもそれだけじゃ,ただでさえハンディキャップ持っている子たちが付いていけるわけがないんです。だから家庭でよりその子たちが自分で頑張らなきゃいけない。そのための学習習慣を付けてやらなきゃいけないのに,保護者の協力がないということが,これも問題です。
  生活基盤の安定ということで,正社員というのは20%ぐらいです。あとは派遣です。今は景気がいいからいいんですけど,そうじゃない場合に,お金のことで困っている保護者というのは今までもいっぱいいましたし,国へ送るお金とか,家を買うローンを払うお金はあるのに,子供を高校進学行かせるためのお金をとっていない。そういう親がいるということです,現実。
  外国人児童の割合が40%をこえる岩倉東小学校という学校があります。多文化共生の最前線の学校ですけれど,日本人も外国人も仲がいいんです。でも地域の方にとってみると,変わった学校なんです。これが現実なんです。きょうのレジュメの一番後ろのところに付けさせていただきましたが,岩倉東小学校の日本人の子が書いた作文の中に,こんなことが書いてあります。3つあります。1つ目は,差別をする人が誰もいないと書いてあります。2つ目は,言葉を学ぶチャンスだと。3つ目のところで,日本語教室で言葉が分かるようになったら,お互いの気持ちが分かるようになるんだと,これが日本人の児童が書いてくれたことに意義があって,児童生徒はいいんですけど,保護者の方の理解が進んでいかないなと。
  ですから,多文化共生で外国人がハッピーになるのは当たり前なんですけど,多文化共生で日本人もハッピーになればいいなと思いながら,日々活動を進めています。
  以上です。

【佐藤座長】  ありがとうございました。岩倉市の様々な取り組みを,短い時間でお話しいただきましたけれども,何かこの時点でどうしても確認したいようなことはございますか。どうぞ。

【各務委員】  各務といいます。村瀬先生にお伺いしたいんですけど,異動があっても同じことをやっていると言われたんですけど,どういうことか教えていただいていいですか。

【村瀬室長】  岩倉市の中で異動したものですから,学校を替わったということなんです。立場は変わらなかったという。岩倉東小学校で当時,今の日本語担当をスタートした。その次に,岩倉市内の別の学校に転勤した。そこで日本語教室がちょうどできる年だったので,自分は日本語教室の担当になった。だから継続しているということなんです。

【各務委員】  分かりました。ありがとうございます。

【佐藤座長】  それでは,もう全体的な質問と議論に入っていきたいと思います。きょう鈴鹿市と岩倉市の発表ございました。前回の体制整備にもつながりますけれども,できる限りきょうお話しいただいたように,指導内容の改善,指導方法の改善というようなところに関して,是非,御意見を伺わせていただきたいと思います。
  特に鈴鹿は,もともと鈴鹿モデルと言われて,我々の世界では有名な体制ですけれども,きょうの中でも評価の問題,そしてその評価と一体化した個別指導計画を作成していくやり方,さらには在籍学級とのリンクであるとか,それからきょうは将来や今について考えてほしいという,いわゆる生きる力,外国人の子供にとっての生きる力をどう育てていくのか。そのための授業実践をどうしていくのかというようなお話がございました。
  岩倉市に関しては,様々な面白い試み,報告いただきました。授業の流れ,1ユニット4モジュール,ステップ指導というようなこともございました。それから教材,独自の教材,特にICTを活用して,個に対応した教材をいかに作っていくのか。それから教科力のアップということで,教科用語であるとか学習用語であるとか,先生の言葉,指導用語とおっしゃっておられましたでしょうか,そういう理解を図っていくんだというような話。それから中学生には日本語能力試験の指導をしているというような,かなり独自の指導の在り方をきょう,御報告いただきました。
  どうぞ御自由に指導の内容・方法に関わって,もちろん体制に関わっても構いませんけれども,御意見,あるいは質問でも構いませんので,自由に出していただければと思います。いかがでございましょうか。
  どうぞ。

【古角委員】  古角でございます。きょうの2つ,鈴鹿市さんと岩倉市さんの例からも,公立の小学校,中学校でやはりこの外国人児童生徒,また日本語指導を進めるに当たっては,設置者である市教委の強力な指導力というのが非常に重要だなと。そういう中で,市内の日本語指導を行っている該当の学校どうしが,ある意味で切磋琢磨(せっさたくま)し,先生方も研修に励んでいく。支援対象の子供たち自身も伸びていくというのが見えるわけですが,私は,兵庫県教育委員会なものですから,よくできているところのノウハウがやっぱり近隣の市町に普及していくというんですかね,そのあたりでも,きょうの御発表の中にもあったと思うんですね。
  そんな支援を県の教育委員会がするべきなのか,きょうのような鈴鹿市さんや岩倉市さんのようなリーダーシップでするというのか,日本語指導に取り組む力,また,発信する力というのが,これまた県市両方からの取組が必要なのかなと思うんですが,そのあたりも少し鈴鹿市さんや岩倉市さんにお聞きしたい。ややもすると自分の市の中の子には支援はするけれども,その近隣の財政的にも弱いところとか,散在的なところというのはあるんじゃないかなと思うんですが,そういったところとの関係性というのが1つ。
  それから,取り出しの日本語指導をやはり進めていくとなると,加配教員の存在がなくてはならないのではないかと思うんですね。と同時に,入り込みや一定の教科型の日本語指導に持っていくとなると,やはり全ての先生の共通理解が要るのではないかと。そのことが,日本語指導が必要な子供たちだけじゃなくて,いわゆる日本の子供の学力の部分も,ある意味でその先生の指導がそういう低い学力の子にも行き渡っていくんじゃないかなと思いますので,よろしければそのあたりの状況も併せてお聞かせいただけたらと思います。

【佐藤座長】  どちらからでも,ということですけれども,中川さんからお答え願います。県と市,あるいは近隣との関わりの話と,それから全体取り出しの場合の加配の問題,あるいは入り込み指導における全教員の,学校における教員の共通理解をどう図っているかというような御質問だったと思いますけれども,いかがでございましょうか。

【中川日本語教育コーディネーター】  近隣の先生方,また市教委との関わりですけれども,子供の状況が様々であるというのは1つの要因としてあるのではないかと思います。なかなか一緒にできないという状況ですけれども,先生レベルにおいては,鈴鹿市がやっている研修なんかに参加してもいいですかといって声を掛けてくださって,市教委を通して参加してくださって,一緒に考えていくというような,横のつながりといいますか,そういうのは少しずつできているかなとは思いますけれども,県教委,近隣の市教委との連携というのはできていないのが現状かなと思います。私としては,やっぱり県教委さんにリーダーシップを取ってもらいたいなという思いはありますけれども,難しい状況にもあるかなと思います。
  それから,全ての先生の共通理解というところでは,私が校内研修に関わらせてもらうこともありますので,その中で,ユニバーサルデザインといいますか,どの子にも分かりやすい授業作りをというのでは,どの学校でも研修は進んできている状況はあると思います。ですが,やっぱり分かっていても,クラスに外国につながる子供が少ないとかいないとか,学校によっては意識がやっぱり低いとか,そういう状況はありますので,それはそれとして,研修の場では広めながら,理解はしていただきながら,地道に続けていくというのは大切なことだと思っています。
  それに伴って,個別の指導計画を作って,指導に当たっていくわけですけれど,この子にはこういう指導が必要,こういう力を付けたいというのが,10人いたら10通りあるわけで,その子たちを,限られた指導者の中で指導していく。そうなったときに,やっぱり加配が付く,付かないによって指導のやり方が変わってきますので,そういう面で,人的な支援があると,先生たちはもっといろんな想像力を膨らませて,指導について考えていくのかなと思ったりしています。

【佐藤座長】  じゃあ,村瀬室長,お願いします。

【村瀬室長】  ほとんど言っていただきましたので,1点,最初の部分ですね。近隣の市町との兼ね合いということで,大体どこの学校でも,ほとんどがその学校で担当者を作るということですので,孤独なんです。担当者は隣の学校の人とも交流がない。これがほとんどで,でも岩倉市の場合は,有り難いことに,岩倉市教育委員会主導の下,1つの組織ですので,その中でのお互いの情報交換というのはしょっちゅうやっていますし,火曜日に担当者会があり,水曜日に研修会がありと,顔を合わせています。
  だからそういうのがうらやましいといって,公開に来たり研修会に来たりするのですが,そういう人たちの声が少しずつ近隣の市町の方にも反映はされています。この前の公開指導でも,教育委員会がバスを出して,そこの担当者を全員連れて岩倉へ来るとか,そういうことが現実あるんです。
  だから少しずつ広がっていっているなというのと,岩倉は,先ほども言いましたように7校しかないからできるんです。でもこれが20校,30校,50校の学校であれば無理です。1人の力でまとめるなんていうことは無理なものですから,じゃあ,中学校区で1つにまとまってやったらどうですかと,そうやって話をしたりして,少しずつやっていこうというところも増えていますし,いろんな地区のそれぞれのやり方があればいいと思うんです。だから県教委が,また逆に,逆の意味でですよ,自分たち現場の人間としてですけど,県教委がこうやってどーんと動いてしまうと,自分たちがやりにくいという面は確かにあるものですから,ここまでやってきて,こっちに方向転換かというのもあるものですから,今現在としては,岩倉市は,こうやってやらせていただきたいなと。

【佐藤座長】  ほか,いかがでございますか。どうぞ。

【高橋委員】  高橋です。今,お2人にそれぞれちょっと質問させていただきたいんですけど,意見も入りますけども,まず鈴鹿市の方では,本当にいろんな取組がコーディネーターも含めて会議というか,連携して活動されているんですけども,1つ,やはりちょっと気になるのは,多分,言及されなかった部分だと思うんですけど,私は以前,特別支援学校にいたことがあって,特別なニーズのある子供の教育という視点から考えると,例えば個別指導計画なんかも含めて,同じスキルを用いて,その子供たちの教育について取り組むという視点では,神奈川県の例で言うと,国際教室と特別支援学校の担当者が入れ替わったりしている市もあるんですね。そういう意味で。また連携して,学校内での支援会議等をやって,そういうところの壁をなくしてやっていこうみたいな取組をやっているところもあります。
  最近やっぱり多いケースは,障害があるんじゃないかという外国につながる子が非常に多いんですね。そういう子の対応のときに,やはり連携をして関わることがすごく重要だというケースをたくさん聞いています。
  ですから,1つはそういうような部分も視野に入れて活動されているか。多分そういう問題意識は持たれているだろうと思うんですけれども,その辺の話を1つお聞きしたいのと,それから,岩倉市の村瀬さん,本当,率直にお話を伺ったんですが,1つだけ,やっぱり高校の進学率の状況というのはまずいですよね。公立の全日制高校20%で,それ以外は私立で,お金がない子は定時制に行かなきゃいけない状況というのは,僕はこれは何とかしなきゃいけない問題だとすごく思うんですね。これがもう当たり前になっている状態というのは,何とか。やはり教育委員会とかいろんな連携をもうされているわけですから。神奈川県の場合,特別枠がありますから,来て半年の子供でも,公立高校にどんどん入っています。
  多分,体制,やり方の問題もあるのではないかなと思うんですね。お金のない子が定時制に行くような状況というのは,悪く言うと貧困の連鎖につながるので,何とか改善する方策を考えていただければと思います。
  以上です。

【佐藤座長】  じゃあ,まず中川さんからお願いできますか。

【中川日本語教育コーディネーター】  特別支援教育との連携の部分についてですけれども,特別の教育課程に入って,個別の指導計画を作成したときに,資料にもありますように,こういう1枚の,資料2ですけれども,作りました。これは特別支援教育に関わっている子供たちに作っていた個別の指導計画の様式を参考にさせてもらっています。市内でもともとこういう特別支援の子に対する個別の指導計画をしてきていたという実績が,今回の日本語指導の必要な子供たちの個別の指導計画にも生きたと思っています。そういう面で,研修を先生方,在籍学級の先生方もそうですけれども,研修を積んできていたことが,割とスムーズな導入につながったかなとは感じております。
  特別支援学級に関わってくる外国の子供たちも多いというのは,印象としてあるんですけれども,それが言語の問題で判定が,正しいのかどうかというのを判定する側も悩み,悩みやっていて,将来的にどうなるかということも含めて,特別支援学級の方が,この子にとっては現段階では必要な支援が受けられるだろうかとか,このまま国際教室の方で在籍のまま,割と丁寧にやっていった方がこの子は伸びるだろうかとか,いろんな議論をしながら取り組んでいるというのが現状です。
  以上です。

【佐藤座長】  じゃあ,村瀬先生,お願いします。

【村瀬室長】  特別支援の方はもうお話ししましたが,障害のある子は確かに増えています。年々増えています。いろんな原因があると思います。自分はそれについてのコメントは控えますが,まずは,先ほどの公立学校の件ですが,自分の説明足らずというか,言葉足らずで申し訳ありません。
  結局,定時制に行かなきゃいけない子は,公立へ行けるだけの学力はないんです。行ければ公立でいいんですけど,行ける学力がないものですから,私立しか行けない。私立へ払うお金はない。だから定時制という選択肢なんです。
  ただし,愛知県の場合は私学助成がかなり充実していまして,私立にちゃんと入ってしまえば,何とか年収に応じた補助金の方で公立と同じようなふうで行けると思うんですが,その辺の理解も,最初に払うお金もないと言うんですよ。入学時に50万,80万がない。だから行かせられないというところで,そのお金さえあれば,あとは何とかなるというところがクリアできない。
  親の姿勢の問題は非常に大きくて,それを打破するために,小学校入学のときから,高校のお金について説明しているんですけども,これからの自分たちの課題として進めていかなきゃいけないということで御理解ください。

【佐藤座長】  どうぞ。

【高田委員】  愛知県の高田でございます。先ほど県の姿勢をというお話がありましたので,少しお時間を頂いて,お話しさせていただきたいと思います。
  実は本年度,本県の方から,アメリカの外国人児童生徒教育に関する視察に出掛けていったんです。それで,カリフォルニア州の例でありますけれども,カリフォルニア州は,アメリカにとっての外国人児童生徒が,非常にたくさん出入りしているところで,ここは外国人児童生徒が将来にわたってアメリカで生活していくためには,働く上での専門用語を英語で理解する必要があるということで,非常に英語教育の指導プログラムが充実しているんですね。御承知の方もあるかと思いますが。
  それから,外国人児童生徒の英語力を測る,日本で言うとDLAなんですけれども,カリフォルニア・イングリッシュ・ランゲージ・ディベロップメントテストと,こういうのを実施していて,保護者と相談しながら,授業中の取り出し指導や授業後のアフタースクール等,英語教育が充実していると。更に英語力を伸ばすためには,母語の能力もしっかりと身に付けることが重要だと考えて,カリフォルニア州では,母語指導にも力が入っていると。更に,アメリカに初めて来た外国人家庭に対して,周りの保護者が,教育の重要性,周りがです,地域がです,アメリカでの生活等について説明しながら,定住化に向けて,地域ぐるみで子供や保護者を支援していると。こういう手厚い地域ぐるみの外国人のサポート体制を取っていたということがありました。
  県としては,これにどこまで迫れるかということは分かりませんけれども,やはり外国人児童生徒の保護者間の連携だとか,大学生,あるいは地域ボランティアの活用だとか,そういった課題に前向きに立ち向かっていかなければいけないなということを感じています。
  きょう,それこそ愛知教育大学の方からも御発表いただきました。リソースルームの学生さんたちが県内の幾つかの市に出掛けていただいています。学生が来ると,子供たちはすごく喜ぶんです。日本語指導担当教員と日々やりとりをしていますけれども,それ以外の,自分に年齢の近い若い発想の中で,いろいろと個別対応してくれる。すごく成果が上がっていると思っています。
  是非,こういうリソースルームのようなところから情報発信ができるといいんですけども,しかしながら,大学の立地条件のことから考えると,県内全てということは難しい。そうなったときに,市町独自で何らかの施策を打っているところもあります。外国人の児童生徒教育体制整備委員会を立ち上げて,きょう話題になっている特別の教育課程についての勉強会を開いているとか,あるいは外国人児童生徒の支援員の養成講座を立ち上げて,そこに参加した人の中から,支援員を増やしていこうと,こういった取組も県では始まっているんですが,何せ温度差があります。
  したがって県としては,本当に散在地区になると,その温度差は顕著でありまして,担当者に丸投げというところもないわけではないんですね。ですから外国人児童生徒教育に関する研修会のより充実を図っていかなければいけないということを考えているところでありまして,先ほど市町村がやるのか県がやるのかという話がありましたけれども,県としてもしっかりとこの教員の指導力の向上等については責務を果たしていかなければいけないと,こんなふうに考えているところです。答弁になったかどうか分かりませんが。

【佐藤座長】  ありがとうございました。資料2にきょうのいろいろな論点が載っておりますけれども,きょうのお二方,あるいは前の愛知教育大学,東京学芸大学の話も,この論点に沿う形でいろんな提案をしていただいたと思います。
  もう少し,もう一方ぐらい。どうぞ。

【佐原委員】  愛知県豊橋市です。愛知教育大学の近くなのに,実は全然交流がないというのをちょうど担当者から聞かされてびっくりしているんですが。豊田市よりもたくさん外国人がいる,子供もたくさんいるところで。
  そんな中で,先ほど県教委の高田委員からちょうどお話が出たんですけれども,私どもも実はドイツに姉妹都市があって,そこが今,外国人というかイスラムの移民を引き受けるのにどういうことをという,この人たちをどうやって社会の中で受け入れるかというのを一生懸命やっているという話聞いて,そんな中で,今,出た話で大変大事な言葉,コミュニティーとしてその人たちを受け入れるための体制をしっかり作る。教育と直接つながりあるところももちろんあると思います。日本の場合は,そこの中でやっぱり高等教育,高校まではとにかく行って学ばないと,社会に出るのは大変だよということをしっかり家族に理解してもらえる体制を作るということがすごく大事ですよという話をされていました。したがって,是非,文部科学省,教育の部分に限ってという所管とかいろんな話はあるかもしれませんが,外国人児童生徒を取り巻く環境について少し考えていただけたらと。
  そして,先ほど神奈川ではという話が出たんですけれども,愛知県も実は特別枠を持っている学校もあるんですが,まだまだ少ない。東三河,今,豊橋西高という学校1校で,それで来年,今度の入学かな,専門学校,豊川工業高校という,駅伝で有名だった学校ですが,ここにもう一つ枠を作るという話を伺っています。
  もっともっとあってしかるべきだと思うし,もう一つは,どうして帰国子女のためには英語やフランス語やスペイン語で受ける試験が大学のレベルで許されているのに,もっと大事な高校へ上がる段階で,その子たちが一番得意な言葉で受験するということができないのかなと。その子たちは学びたいんだと思うし,もう既に私たちのような地方都市の地元の企業ですら,社内言語を英語にするという会社がこんなに出てきている。学ぶべきこと,基礎知識,必要な学力,これは何語で学んでも結果は一緒だと思うんですけれども,それをもうちょっと柔軟に,日本の教育体制の中で受け入れてもらえたら。さっきの高校進学の問題でも,もっと違ったものができるんじゃないかなということを。地元の企業の方たちも本当に英語のできる人,スペイン語のできる人,中国語のできる人,本当に人材として求めているんですね。それでできることなら地元出身者を雇いたい,そういう気持ちもすごく強い。でも供給する側がそういう学習指導体制になっていないというところに,せっかく人材が来ているんだったら,やっぱり私は生かせるような,高校へ上がれる仕組み,大学に行ける仕組み,そしてその中で改めて日本語教育を学んで,日本語教育の先生になりたい人が出てきたらすばらしいことだなと思いました。
  きょうは,そういった意味で,愛教大の取り組みを具体的にお伺いできたのは,私にとっては大変大きなことで,ありがとうございます。私たちの町も何とか上手に皆さんと一緒に成長していきたいなと思います。よろしくお願いします。

【佐藤座長】  ありがとうございました。
  今は高等学校段階での外国語活動として,外国語として,活動じゃなくて,正規の科目として,ポルトガル語とか中国語を入れて,そして正規の科目にして,実際に評価しているというような学校もございますので,そんな取り組みも是非,我々も評価していきたいと思っておりますけれども,貴重な御意見を頂きまして,ありがとうございました。頂いた御意見,多々ございますし,きょうのこの資料2の方の論点にも書かれておりますけれども,少しこういう論点に沿って,きょうのお話もまた含めて,事務局の方で整理させていただければと思います。
  少し時間をオーバーしておりますけれども,最後に議題3,その他として,今後のスケジュールを事務局の方から御説明していただければと。よろしくお願いします。

【齋藤主任学校教育官】  スケジュールの説明の前に,先ほどの吉住委員からの御質問に対して,菅原委員の方から御指摘があった中央研修の費用と資格の話でございますけれども,一応,資料としては,お配りしている参考資料という横判のものがございまして,そちらの11ページに研修の概要が書いてございます。独立行政法人教員研修センターが基本的には費用を負担しております。いわゆる講師の謝金など運営費用は全て教員研修センター。参加者は,実際に参加費を負担されるということで,宿泊費,旅費を負担されるということです。資格に関しては,教員と日本語指導に関わられている者ということで,この費用と資格ともに自治体の方で決めていただいているということですので,恐らくそこの自治体のこの限られた枠ということと,この時間を割いて来ていただくということもあって,そこの自治体の方で何らかの判断があるのかなと考えております。その点だけ1点補足でございますます。
  それから,スケジュールに関しましては,資料5をごらんいただければと思います。前回からの変更点といたしましては,第4回の有識者会議の予定ですが,調整の結果,3月7日の,2時から5時ということで,外国人の子供の就学の促進,進学・就職への対応とさせていただいております。それ以外にも,これまでの有識者会議に出てきている様々な論点についての議論等もあるかと思いますので,少し時間を長めに取らせていただくよろしくお願いいたします。
  以後につきましては,これらのヒアリングの内容を踏まえまして,事務局の方で整理いたしまして,またこれ以降,月1回程度でまた開催していきたいと思っております。
  以上でございます。

【佐藤座長】  ありがとうございました。次回,3月7日14時から17時までということで,予定に入れていただければと思います。
  では,本日はこれで閉会といたします。皆さん,お忙しいところ,ありがとうございました。

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