学校における外国人児童生徒等に対する教育支援に関する有識者会議(平成27年11月5日~)(第2回) 議事録

1.日時

平成28年1月18日(月曜日) 15時~17時

2.場所

中央合同庁舎第4号館 1階 108会議室

3.議題

  1. 散在・集住地域における日本語指導体制の整備について
  2. その他

4.出席者

委員

池上委員、伊東委員、各務委員、古角委員、佐藤委員、佐原委員、菅原委員、髙橋委員、藤巻委員、松本委員、遠山委員代理

文部科学省

小松初等中等教育局長、藤原大臣官房審議官、小林国際教育課長、齋藤国際教育課主任学校教育官、村松国際教育課専門官、松木大臣官房国際課国際協力企画室長、岸本国語課長(文化庁)

オブザーバー

浅田内閣官房教育再生実行会議担当室長、村田内閣府政策統括官(共生社会政策担当)定住外国人施策推進室参事官、小川外務省領事局外国人課長、山形法務省入国管理局入国在留課法務専門官、中谷総務省自治行政局国際室課長補佐、久知良厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部外国人雇用対策課長、松崎経済産業省産業政策局産業人材政策担当参事官室長補佐

5.議事録

【佐藤座長】 それでは,定刻になりましたので,会議を始めたいと思います。本日は思いもかけず大雪になりまして,私ども大学関係者は,きのうじゃなくてよかったとほっとしているところでございます。いずれにしても非常に大変な雪の中お集まりいただきまして,ありがとうございます。
  本日,学校における外国人児童生徒等に対する教育支援に関する有識者会議,第2回の会合ということでございます。本日,散在・集住地域における日本語指導体制の整備のテーマについてヒアリングを予定しております。
  なお,事前にプレス関係者,傍聴者の傍聴登録がありましたので,これを認めております。
それでは早速でございますけれども,議事に入っていきたいと思います。まず事務局から,本日の配付資料について御説明をお願いいたします。

【齋藤主任学校教育官】 それでは,事務局から配付資料の御説明ですが,その前に,前回御欠席されたため,今回初めて御出席いただく委員の皆様を御紹介申し上げます。
  まず,伊東祐郎委員でございます。

【伊東副座長】 伊東でございます。先回出張のため休みました。よろしくお願いいたします。

【齋藤主任学校教育官】 伊東委員には,本有識者会議の副座長もお願いしているところでございます。よろしくお願いいたします。
  続きまして,松本一子委員でございます。

【松本委員】 松本でございます。きょうはしっかり発表させていただきます。よろしくお願いいたします。

【齋藤主任学校教育官】 以上でございます。また,本日,新宿区長の吉住委員が御欠席ということで,代理といたしまして,新宿区教育委員会事務局教育支援課長の遠山竜多様に御出席いただいております。

【遠山委員代理】 よろしくお願いします。

【齋藤主任学校教育官】 それから,御欠席の御連絡でございます。甲府市教育委員会の竜澤委員でございますけれども,本日雪の影響による交通事情等でどうしても参加できないということになりましたので,御案内申し上げます。
  それでは続きまして,本日の配付資料を御紹介申し上げます。議事次第の4番に配付資料がございますので,御確認いただければと思います。資料1が日本語指導体制の整備に関する参考資料,それから,資料2が,今回ヒアリングを予定していますが,そのための委員提出資料,それから,資料3が主な検討事項,資料4が今後のスケジュールについて,それから,前回お出ししました基礎資料を参考資料として,それから,机上資料につきましても用意させていただいております。
  過不足等ございましたら,事務局に御一報いただければと思います。以上でございます。

【佐藤座長】 ありがとうございました。よろしゅうございますか。
  それでは早速,議題1,散在・集住地域における日本語指導体制の整備についてのヒアリングに入っていきたいと思います。本日4件のヒアリングを予定しておりましたけれども,先ほど報告がありましたように,甲府市教育委員会の竜澤委員が残念ながら欠席になりましたので,3件のヒアリングになります。少し時間的余裕ができましたので,議論の方を充実させていければと思っております。
  御発表者のプレゼンテーションの前に,まず事務局から参考資料の説明をお願いした後,ヒアリングに入っていきたいと思います。よろしくお願いします。

【齋藤主任学校教育官】 それでは引き続きまして,事務局から本日の参考資料につきまして御説明申し上げます。
  まず,資料1を御確認ください。まず今回の参考資料でございますが,ヒアリングに当たりまして,基本的な概念図とかデータ的なもの,それから,各自治体での事例等を簡単に紹介させていただくものでございます。
  まず1ページ目でございますけれども,外国人児童生徒の受入れ体制の概念図でございます。これは体制整備の議論をするに当たって,参考になります,関係するプレーヤー等の要素について俯瞰(ふかん)するために簡略化して示したものです。こういった形で実際行われているということではございませんが,ある程度俯瞰(ふかん)するというような位置付けでございます。
  ごらんいただいていますように,外国人児童生徒を学校に受け入れるに当たっては,学校内におきましては,日本語指導担当教員,それから,指導協力者,在籍学級担任,それから,管理職等がそれぞれの役割を適切に果たせるような体制整備が当然必要になってまいります。それに加えまして,学校における受入れを総合的に支援していく役割を担っております市町村,それから,都道府県の教育委員会の指導主事,教育委員会以外の関係部局,他の市町村・都道府県等を含めた体制整備がございます。さらには,そういったものの周りでございますが,日本語指導,適応指導,生活面の支援等を行うに当たりまして,様々な観点から外部から参画していただける可能性のある地域のステークホルダーとのネットワーク,連携体制も当然考えられるかと思いますので,こういったことを現場では考えながらされているということで御留意いただければと思います。
  2ページ目をお開きください。こちらは自治体における日本語指導担当教員の配置状況の例でございます。こちらは,先ほどの体制整備の中でも重要な役割を担うことを期待されているのが日本語指導担当教員でございますが,実際自治体でどういう形で,配置の規模感でやられているのかというところのイメージがつかみづらいということで出させていただきました。
  こちら,本有識者会議にも委員としてご参加いただいている,全国でもかなり力を入れて取り組んでいただいているA県の御厚意により,今回こういった数字を出させていただいたものでございます。これは日本語指導が必要な児童生徒数,それから,日本語指導担当教員の配置の関係について整理したものであります。
  主な点を申し上げますと,まず上の方の1の表でございます。1点目,この県内の平均では,加配教員,いわゆる専任教員1人当たりの日本語指導が必要な児童生徒数は,小学校で,一番右にございますように21人程度,中学校で15人程度となっているということです。これが多いか少ないかというのは議論があるかと思いますが,1人の専任教員当たりで,課題を抱え,かつ多様なステージの日本語能力,それから,多様な文化的背景を持つ児童生徒の指導が行われているということが,まず現状としてあるかと思います。
  それから,2点目,下の表でございます。同じ県内でも,在籍児童生徒数ごとの分布で見ますと,例えば赤で囲ってございます10人未満が在籍している基礎自治体におきましては専任教員の配置が不十分となっているような現実もございます。これはいわゆる県の加配基準というところで,例えば10人以上在籍児童生徒数に応じて教員を配置するという基準を設けられたようなケースが多くございまして,こういったことと関係しております。このA県のように国内でもトップクラスの手厚い対応をされている場合でも,少数在籍自治体,それから,少数在籍校がこの表の中にも出てくるかと思いますが,そういった状況が課題となり得るということでございます。留意点と致しましては,これは自治体単位で見た場合のアバウトな状況でございますので,学校ごとに見た場合には更に集中度合い,散在度合いは多様に出てくるということ,それから,このA県というのは全国で最も力を入れているということで,このデータも最新のデータであり,よりきめ細かに対応されたということで頂いておりますので,ほかの自治体は同様若しくはより厳しい状況ということも予想されるというようなことを御留意いただければと思います。
  それから,3ページ目でございます。3ページ目以降は,今度はそれぞれ簡単な事例として,ヒアリングの御参考とするために幾つかの体制整備の実例について御紹介するものでございます。こちら,かいつまんで御紹介申し上げます。
  実施例1ですが,これは最もシンプルな例ということで,拠点校に配置された日本語指導担当教員が,他校も含めた指導を行いつつ,左側の市町村教育委員会が教員以外の支援員の派遣を行うことで補って,サポートしながらやっていくという事例でございます。
  それから,スライド4,実施例2でございます。教育委員会にコーディネーターが配置されておりまして,自ら学校での日本語指導を行いながら支援員等の派遣のコーディネートを行っていくという,コーディネーターの拠点というような形で行っている例でございます。
  それから,スライド5が実施例3でございます。日常生活等の必要最低限の日本語習得のための初期指導教室がありますが,そういった機能を中心とした拠点校を整備いたしまして,域内の多様な在籍学校での指導を巡回指導によって行うといった例になっています。
  それから,事例4,スライド6でございます。児童生徒の日本語指導や教科指導のそれぞれの段階に応じまして様々な指導内容を行う拠点機能を,ある意味レイヤーで重層的に整備されているという例かと把握しております。
  それから,8ページ目の実施例5でございます。日本語教育センターが一番上にございまして,こちらにコーディネーターがおりまして連絡調整を行うのですが,その下に様々な児童のニーズに応じた指導の単位がございます。初期日本語集中教室,日本語通級教室,支援員の派遣,翻訳・通訳等の対応といった,こういったもの全体をセンターのコーディネーターがコーディネートしていくといった事例でございます。
  最後に,実施例6でございます。これは通常ですと,市町村教育委員会が支援員を派遣することが多いのですが,こちらは県の教育委員が県内広域にわたりまして学校に対する日本語指導の支援員の派遣をコーディネートしているというような事例でございます。
  以上,駆け足で,あくまで簡略化,モデル化した事例を紹介いたしました。もう少し特徴があるとおっしゃる自治体もあるかと思いますけれども,本日もヒアリングでこの中の事例も含む自治体に来ていただいておりますので,ヒアリングでより詳細な成果・課題をお聞かせいただけるのではないかと思っております。
  それから,スライド9は参考でございます。以上のような事例に関しまして,文科省では,地域の様々な実情に応じた体制整備を行う自治体の取組に対し,このような事業を行っております。今のような事例を把握いたしまして,今後の成果・課題等につきまして検証していきたいと考えております。
  以上でございます。

【佐藤座長】 ありがとうございました。
  それでは,ただいまの説明も踏まえながら,ヒアリングに早速入っていきたいと思います。初めに,集住地域における日本語指導体制の整備の事例について,福岡市教育委員会の武田綾子主任指導主事に御発表をお願いしてございます。大体20分程度をめどに発表をお願いしてございます。武田先生,よろしくお願いします。

【武田主任指導主事】 福岡市教育委員会の武田と申します。きょうはよろしくお願いいたします。座って失礼いたします。
  配付資料1,配付資料2,3と三つ,配らせていただいています。説明には配付資料1を主に使います。日本語指導が必要な児童生徒に対する支援体制について,福岡市の取組をお話ししたいと思います。福岡市では,全ての学校において,日本語指導の必要な児童生徒が生き生きと学校生活を送ることができるようにしたいという願いの下,平成26年度より日本語指導新体制をスタートしました。本日は1ページのスライド2に書いておりますように,3点から福岡市の体制についてお話をいたします。
  それでは,2ページ,スライド3をごらんください。1点目,福岡市の現状について述べます。福岡市は,平成24年12月に策定した基本構想で,「住みたい,行きたい,働きたい。アジアの交流拠点都市・福岡」を目指す都市像として掲げました。また,福岡市は,国家戦略特区,創業特区に指定されております。そこで,特区を生かした次のステージの都市づくりとして,外国人も暮らしやすいまちを掲げ,各局でいろいろな取り組みをしております。特区を生かした都市づくりに関する教育委員会の主な事業としては,子ども日本語サポートプロジェクトを実施し,日本語指導員の指導時間を拡充するなどのサポート機能の充実に努めています。
  次に,児童生徒の現状について説明します。スライド4に示しておりますように,外国人就学児童生徒数は増加傾向にあります。また,日本語指導が必要な児童生徒数も増加傾向にあります。
  3ページのスライド5をごらんください。福岡市の新体制で新たに設置した日本語指導についての相談を受ける日本語サポートセンターへの平成27年度の面談申請数は,平成27年12月の時点で,小学校80件,中学校22件の合計102件となっています。日本語サポートセンターに面談申請があり,平成27年度に日本語指導を受けている児童生徒は,平成26年度からの継続指導の90人を含め174人となっております。
  次に,特別の教育課程の実施状況をごらんください。新体制が発足したばかりだった平成26年5月の時点では47人の児童生徒,18の学校で実施をしておりましたが,平成27年12月には230人の児童生徒,79の学校で実施しております。このデータは,提出された個別の指導計画による数値です。なお,ここで日本語サポートセンターが把握している指導を受けている児童生徒数が174人で,特別の教育課程を実施している人数が230人というのは,サポートセンターが設立する前から継続して指導を受けている児童生徒数をこの数に含んでいるからです。
  まとめますと,福岡市では,外国人就学児童生徒数,日本語指導を必要とする児童生徒数とも増加傾向にあり,福岡市の施策からも今後も増加が予想されます。日本語指導に関しては,特別の教育課程の実施が平成26年度から平成27年度にかけて児童生徒数で約5倍,学校数で約4倍増加しております。これは平成26年度から福岡市で始めた新体制づくりを中心とした日本語指導体制の改善の成果だと考えております。
  次に,2点目,スライドは6になります。組織体制について説明をします。初めに,平成25年度までの体制について説明します。平成25年度までは,日本語指導が必要な児童生徒の人数が多い学校に対し日本語指導担当教員を加配しておりました。23名の加配教員を小学校11校,中学校4校に配置しました。児童生徒を取り出しで指導する学校は少なく,教室への入り込み指導が中心でした。また,日本語指導が必要な児童生徒が在籍していても,日本語指導担当教員の配置ができない学校には,日本語指導の専門性を持つ有償ボランティアである日本語指導員を上限66時間で派遣し,初期指導の取り出し指導を行っておりました。
  日本語指導が必要な児童生徒数も在籍校数も増加が見込まれることや,学校教育法の施行規則が一部改正され,特別の教育課程の編成・実施が可能になったことを受けて,福岡市では日本語指導の一層の充実を図り,新たな指導体制づくりや指導内容の充実を目指すことにしました。新体制を構築するために,日本語指導のあり方検討会を発足し,平成25年度にその検討会を9回実施いたしました。構成メンバーは,教育委員会の事務局と日本語指導担当教員配置校の校長でした。
  スライド8になります。検討会において福岡市内どの学校でも日本語指導が受けられる体制として,日本語指導担当教員の未配置校でも一定の質の担保された日本語指導が行われる体制になることが必要と考えられました。そのためには,日本語指導担当教員が自分の学校の児童生徒だけでなく,ほかの学校の児童生徒に対しても通級や巡回して指導できる体制づくりを行うことにしました。また,指導内容を充実させるために,一人一人の日本語能力に応じた指導を行うことも必要だと考えました。そのために,個々の日本語能力の把握及び個に応じた指導計画を立案し,実施できるように体制を整備することにしました。
  5ページ,スライド9をごらんください。平成26年度より児童生徒の日本語能力等の把握を行う日本語サポートセンター,初期指導を行う集中教室の二つを新設することにしました。また,日本語指導担当教員の配置校には,今までのように在籍校の児童生徒に対しする指導だけでなく,近隣校の児童生徒に対する通級,巡回による指導,日本語と教科との統合学習指導ができるという体制にしました。平成26年度は,日本語指導担当教員を日本語サポートセンターにはコーディネーターとして1名配置,集中教室には拠点校指導教員として3エリアに2名ずつ合計6名を配置しました。日本語指導担当教員の配置校には,担当教員として16名を小学校8校,中学校3校に1名又は2名ずつ配置しました。
  それでは,それぞれの組織について少し詳しく説明をしていきます。まず,日本語サポートセンターについて説明をします。5ページのスライド10をごらんください。日本語サポートセンターといいましても,小学校の1室を借りて設置をしております。
  日本語サポートセンターでは,コーディネーターが面談で児童生徒の実態を把握し,今後の日本語指導の進め方について指導・助言をします。この面談で得たデータを管理・分析し,研修会等で報告することも業務の一つです。この業務内容を見ていただいてもお分かりのように,コーディネーターには高い専門性と指導力,福岡市全体の日本語指導の実態を把握しているという必要性があります。そこで,福岡市では,長年国語科の研究を行い,日本語指導担当教員として5年のキャリアを持っていた小学校教諭を配置いたしました。
  コーディネーターは,面談で得た情報を基に,指導個票や個別の日本語指導計画の日本語能力に関する部分の作成の協力もします。
  次に,集中教室について説明をします。6ページのスライド12になります。集中教室は,福岡市内を3エリアに分け,各エリアに1校ずつ設置をいたしました。集中教室も小学校の1室を使って,エリア内の児童生徒への通級又は巡回による初期指導を行います。集中教室の拠点校指導教員は,先ほども述べましたが,各エリアに2名ずつ配置しました。有償ボランティアである日本語指導員と連携して初期指導を行います。そのほかにも拠点校指導教員は,コーディネーターが行う面談・測定に参加し,児童生徒の在籍校と連携を図ること,月に1回拠点校会議を開き,それぞれのエリアの指導状況や配置校の状況について情報交換することなどが仕事となります。なお,有償ボランティアである日本語指導員なのですが,そこのプリントに書いておりますとおり,三つのうちいずれかの要件を満たしたとき登録が可能となります。日本語指導員の登録者数は,平成27年4月の時点で141名です。
  拠点校指導教員と日本語指導教員は,拠点校指導教員の立てた個別の指導計画の下,共通のテキストなどを使って指導します。新体制を構築したことにより,拠点校指導教員が主たる指導者となり,日本語指導員の専門性を生かした初期指導が可能となりました。
  スライド13には一例を示しております。例えば,初期指導の必要な児童生徒が月曜日に集中教室に通級したとします。そうすると,集中教室で拠点校指導教員の指導を受けることになります。その他の火曜日,水曜日,金曜日は,児童生徒の在籍校に巡回をした有償ボランティアである日本語指導員からの指導を受けることになります。拠点校指導教員と日本語指導員はお互いに連絡を取り合いながら,進度や児童生徒の状況を確認し,指導を進めていきます。
  次に,日本語指導担当教員の配置校について説明をします。旧体制におきましては,日本語指導の必要な自分の学校の児童生徒に対する指導のみでしたが,新体制になって,近隣校,近くの学校の児童生徒に対する通級又は巡回による日本語と教科との統合学習指導もできるようになりました。
  8ページのスライド15をごらんください。日本語指導担当教員が配置されていない学校,未配置校について説明をいたします。先ほどからも何度か説明をしておりますが,平成25年度までの旧体制におきましては,有償ボランティアである日本語指導員の指導を受けることができました。しかし,上限が66時間と定められており,その後の日本語に関する指導は全て在籍校のみで行っておりました。平成26年度からの新体制では,児童生徒の実態を日本語サポートセンターで把握し,個別の指導計画を拠点校指導教員と立案し,指導を行うことになりました。児童生徒の実態に応じて,66時間を超えても指導を受けることが可能となったのです。
  新体制につきましては,月に1回の拠点校の会議,年3回の学校国際化問題推進連絡協議会を立ち上げまして,成果や課題及び改善策について話し合いました。
これらの会では,次のような成果と課題が出されました。9ページのスライド17をごらんください。日本語サポートセンターでは,面談を実施したことで実態を把握し,個に応じた指導が可能となりました。また,福岡市全体の情報の一元化にもつながりました。当初は日本語サポートセンターに児童生徒と保護者が面談に来るようにしておりましたが,取組を重ねるうちに,コーディネーターが児童生徒の在籍校に行って,在籍校の管理職や担任も含めて面談をする方が効果的だということも分かりました。課題としては,日本語サポートセンターの設置場所が挙げられました。
  二つ目,集中教室では,初期指導を繰り返し行うことで,拠点校指導教員の専門性や指導力が高まったことや,拠点校指導教員により在籍校に対する支援も行うことができるようになったことが成果として挙げられました。課題としては,日本語指導員との連携が挙げられました。
  三つ目,日本語指導教員の配置校におきましては,配置校の児童生徒に対する初期指導を実施するようになったことが成果として挙げられました。実は新体制において,当初は全ての児童生徒の初期指導は集中教室で行う予定にしておりました。しかし,開始してみますと,拠点校指導教員の負担がとても大きいということや,日本語指導の先生が在籍する学校にいるのにほかの学校に通級しなければならないということは児童生徒にとって負担が大きいという問題が出され,配置校での児童生徒の初期指導は配置校の担当が行うことに変更しました。課題としては,自校で指導すべき児童生徒が多く,他校の児童生徒の受入れが難しいということが挙げられました。
  これらのことを受け,平成27年からは大きく3点に関して変更いたしました。変更した部分を載せておりますので,ごらんください。スライドの18になります。一つ目は,日本語サポートセンターの件です。福岡市の中心部から離れた場所に位置付けておりましたので,コーディネーターの出張に関する負担が大きくなるという課題を受け,平成27年度からはより中心に近い場所に移転いたしました。
  二つ目は,集中教室のエリアの増設です。平成26年度までは3エリアに分けておりましたが,平成27年度からは一つ増やして四つのエリアに拡充いたしました。
  三つ目は,日本語指導員の指導時数の拡充です。拠点校指導教員と日本語指導員との連携が課題に挙げられましたが,拠点校指導教員がノートなどにより連絡を密にとることや,指導員に対する新体制の周知によって改善をしてきております。指導員の指導時数が拡充したことで,初期指導を中心に指導が充実することにつながると考えます。現在も体制につきましては検証を重ねております。今後も改善していきたいと考えております。
  それでは,3点目,人事に関することについて説明をいたします。福岡市では,日本語指導充実のための児童支援加配,児童支援教員を23名加配していただいております。この23名をコーディネーター,拠点校指導教員,日本語指導担当教員と役割を持たせ配置をしております。コーディネーターの専門性につきましては先ほども述べましたが,拠点指導教員にも専門性が必要です。拠点校指導教員には複数年日本語指導を担当している先生から選出をいたしました。教育センターで長期に研修を重ねた先生,つくばの研修センターなどで研修を受けた先生,日本語学校の講師の経験がある先生などで構成をしております。
  配置校の担当教員に関しては,できるだけ日本語指導の経験がある先生や,興味や関心を持っている先生を配置するようにしておりますが,毎年半数以上は日本語指導を初めて行うという状況です。初めての先生たちも日本語指導ができるよう,連絡会や研修会を計画的に行っております。この体制にしてからは,コーディネーターや拠点校指導教員が配置校の先生や在籍校の先生に対し積極的に支援することを通し,自らの指導力を高める姿も見られるようになりました。
  他校の児童生徒の指導を行うコーディネーターや拠点校指導教員は,それぞれの設置校に所属をしております。ですから,職務は校長が命じることとなります。学校長に対しては,日本語指導教員の職務内容について,年度当初に文書や連絡会で知らせております。学校が代休を伴う休業日の授業を設定するときは,コーディネーターや拠点校指導教員もそれに従います。
  これで配付資料1に対する説明を終わります。なお,配付資料2,3は,日本語指導に関するリーフレットです。新体制に対する理解を深め活用を進めるため,配付資料2は平成26年に,配付資料3は平成27年に学校に対して1部ずつ配付しました。新体制となり2年がたとうとしております。これからも成果と課題の検証を細かく行いながら改善を重ね,福岡市のどの学校においても日本語指導の必要な児童生徒が生き生きと学校生活を送ることができるようにしたいと考えております。これで福岡市の発表を終わります。

【佐藤座長】 ありがとうございました。
  ヒアリングの中身の議論は,全て発表が終わった後まとめてさせていただきたいと思います。現時点では事実関係でどうしても確認しておきたいこと等がありましたら一,二お受けします。いかがでしょうか。
  どうぞ。

【古角委員】 兵庫県の古角でございます。日本語指導員の待遇というのでしょうか,大変細かいところで申し訳ないのですが,謝金等について教えていただければ。

【武田主任指導主事】 謝金についてははっきりした数字が今分かりませんので,お答えができません。

【古角委員】 今の実際の指導員数とかというのは分かりますか。

【武田主任指導主事】 登録されておりますのは,先ほど説明いたしました人数になっております。登録が141名。

【佐藤座長】 141と言っていましたね。

【武田主任指導主事】 はい。

【古角委員】 どうもありがとうございます。

【佐藤座長】 ほかに。
 どうぞ。

【池上委員】 池上でございます。とても興味深い御説明ありがとうございました。私も浜松市の教育委員会のこういった協議会の座長をしている立場で,浜松と比較しながら,どうやったらこんなすばらしいことができるんだろうと思いながら聞いていました。質問は,この時点では1点に絞ります。

【佐藤座長】 どうぞ。

【池上委員】 校長先生たちがかなり関わっているシステムだなという印象を持ったんですけれども,ここ2,3年の大きな変化のイニシアチブはどなたが握ったんだろうということです。教育長が大きなイニシアチブを発揮されたのか,校長先生たちがかなり問題意識を全市的に共有されているのか,あるいは教育委員会が明確な道を示して,先生たちも付いてきているのか。これはいかがですか。

【武田主任指導主事】 検討会などのときには在籍校の校長がイニシアチブをとっているような形だったのですが,その在籍校の校長が教育委員会に次の年に入ってきたこともありまして,今は教育委員会が主にイニシアチブをとっているという形になっております。

【池上委員】 ありがとうございます。

【佐藤座長】 それでは,中身についてはまた後ほどまとめて議論をさせていただきます。武田先生,ありがとうございました。
  続きまして,2人目の発表でございます。同じく集住地域における事例として,豊橋市教育委員会の酒井憲一指導主事に御発表をお願いしております。同じく20分程度で御発表をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

【酒井指導主事】 愛知県にあります豊橋市教育委員会で外国人児童生徒教育を担当しております酒井と申します。本日はよろしくお願いいたします。
  配付されました資料の19ページからが本市の外国人児童生徒教育の資料になります。19ページの上に本市の外国人児童生徒教育の狙いについて3点にわたって書いておりますけれども,1点目のところで,自尊感情や自己肯定感を高めるとあります。半分宣伝になるかもしれませんが,本市の1つの中学校には約70名の外国人生徒が在籍しておりまして,ここの中学校に昨年度研究を委嘱いたしました。どういうことかといいますと,全校生徒は当然のことですが,中でも外国人生徒の自尊感情や自己肯定感を高める全校の取組という研究を委嘱いたしまして,研究3年目に当たる来年度に発表します。この発表の成果を生かして,更に本市の外国人児童生徒教育を充実させていこうと考えております。
  狙いの3つ目の右側ですが,自らの将来を切り開くとあります。最後の方でも触れますが,本市では,教育委員会主催で本年度まで9年間続いている外国人児童生徒と保護者に対する進路相談会を市役所本庁講堂の広い部屋を使って毎年行っております。それに合わせて各種言語の翻訳をした資料を充実させて,この狙いに向けて推進をしている次第でございます。
  それでは,その下にあります折れ線グラフの方の説明をさせていただきます。本市の外国人の児童生徒数は全国的にもかなり多い方だとは思っておりますが,平成12年からの在籍数を提示させていただきました。当然のことながら右肩上がりで伸びておりますが,平成22年はリーマンショックや東日本大震災などの影響で一旦落ち込んでおります。その後,再び平成23年より増加傾向になり,平成27年度の4月調査では1,398名でありまして当然過去最高を記録しております。直近の今月,調査をしたところによりますと,次ページにもありますが,1,467名ということで過去最高を更新中であります。
  その下の折れ線グラフであります。外国人児童生徒が在籍している学校数であります。上の方のひし形が続いている折れ線グラフは小学校でありまして,本市には小学校が52校ございます。つまり,右端には42という数字がありますが,52校のうち42校に外国人児童が在籍している。その下,右端には20という数字がありますが,これは中学校であります。本市には22の中学校がございますので,22校中20校に外国人生徒が在籍していると読んでいただければ結構でございます。ちなみに,平成23年度は小学校で46校,中学校では22校,いわゆる全中学校であります。最高に在籍した年度でございます。最近は横ばいであります。
  それでは,1枚めくっていただきまして,資料は20ページになります。本市に在籍します外国人児童生徒の国別の内訳であります。主な国を提示しまして,それ以外はその他とさせていただいております。まず一番上,これは全国的な流れだと思いますが,平成21年度はブラジル人児童生徒が74%余りを占め894人いたのが,一番右端,今月の調査では604名ということで全体の約41%を占めております。逆に真ん中辺りのフィリピンを見ていただきますと,平成21年度は95名で全体の8%ほどしか占めておりませんでしたが,一番右端,今月の調査ですと229名と急増しておりまして,全体では約16%を占めております。今後もこの増加傾向は続くかと思います。3番目の中国も緩やかな上昇でありまして,その他は横ばいであります。ブラジルと同じ南米でありますペルーも若干下がっております。
  その下の方は,在籍する外国人児童生徒のうち日本語指導が必要な児童生徒の数でございます。ごらんのとおりでありますが,最近の数字ですと,在籍児童生徒のうちの約75%,4分の3が日本語指導を必要としております。
  それでは,1枚めくっていただいて,資料の21ページに本市児童生徒の指導体制の図を示させていただきました。細かい説明は省きますが,まず真ん中より上の大きな四角囲みは,学校の中における外国人児童生徒を中心とした指導体制であります。当然外国人児童生徒に対しては,国際教室担当者,外国人児童生徒教育担当者が,二つの点がありますが,取り出し指導――当然,特別の教育課程によっております。それから,入り込み指導,この2点で外国人児童生徒に関わっておりますし,左側,学級担任とありますが,当然学級担任も国際教室担当者などと連携をとって指導の充実に当たっております。
  それとともに,プレクラスにおける初期支援ということがございます。これは後ほど説明させていただきますが,三つの小中学校にプレクラス,いわゆる日本に来たばかりの外国人の子供たちを支援する特別の教室がございます。それ以外はどうするかということは後ほど説明させていただきます。
  また戻りますが,外国人児童生徒に対しての指導の立場が,楕円形で囲んでおりますが,国際教室担当者とあります。これは県の加配教員と捉えていただければと思います。県の加配があって,その学校に国際教室が開設されます。その下の外国人児童生徒教育担当者というのは,加配教員がいない国際教室が未設置の学校でありますが,主に小学校では教務主任,中学校では教務主任を中心に複数の教員による交代の取り出し指導,入り込み指導を行っております。
  これらの学校に対して,右側ですが,関係諸機関として,本市の多文化共生・国際課を中心に,文部科学省の定住外国人の子供の就学促進事業等を利用いたしまして,就学前の子供たちの支援事業をしております。ここに括弧書きでカンティーニョ学園とありますが,本市には,カンティーニョ学園というブラジル人学校がございまして,この学校がブラジル人だけにかかわらず,就学前の子供たちの就学促進事業に当たっていただいております。
  その次,真ん中から下の大きな四角が本市教育委員会学校教育課での支援体制でございます。黒丸で白抜き数字のものがマル1,マル2,マル3とございます。まずマル1,人的支援でございます。本市では,これは昨年度からですが,外国人児童生徒教育コーディネーターを1名配置し,外国人児童生徒教育相談員を16名配置しております。この相談員という言葉は,多分この有識者会議では支援員という形で使われていることが多いかと思いますが,そのような立場の者と理解していただければ結構でございます。この相談員は,後ほど説明しますが,各学校を巡回する巡回型と,一つの学校にずっとおります常駐型に分かれます。それから,スクールアシスタント(SA)6名,登録バイリンガル,TBと言っておりますが,30名ほどでありますが,これらの方々は通訳支援を中心と致しまして日本語指導や翻訳を行っております。
  左側,マル2番,相談活動でございます。本市に外国人児童生徒相談コーナーという場所を設けております。教育委員会と同じフロアに設置しております。ここには,先ほど説明しましたコーディネーターが常駐しており,様々な就学相談,保護者との相談もありますし,学校や関係機関との相談,支援等もしております。後ほど詳しく説明させていただきます。
  その下のマル3,指導者の資質向上であります。教育委員会中心でありますが,まず教員指導・研修と致しまして担当者研修会,初心者研修会がございます。これは毎年4月に行っております。初心者研修会に至っては,9月から11月,秋にもう一度行いまして,初心者の方でもすぐに対応できるよう研修を組んでおります。それから,三つ目の指導員巡回指導でございます。これが本市では支援員,相談員とは別に,例えば国語科教科指導員,数学科教科指導員と同じ立場で外国人児童生徒教育担当指導員という者がおりまして,彼を中心に各学校の巡回指導を行っております。
  右側のリソースルームであります。ここは外国人児童生徒相談コーナーに併設されておりますが,書籍や資料の閲覧・貸出しもできますし,本市の相談員16名で開発しました教材等も様々並べております。本棚が四つほどありますけれども,有り難いことに近隣の市町村からの視察もあり,外国人児童生徒教育に携わる方々の貴重な資料提供の場となっております。今後も充実させていきたいと思っております。
  その下の黒丸でありますが,外国人児童生徒教育推進委員会は,いわゆる教育長の諮問機関と思っていただければ結構です。例えば,特別の教育課程を実施するに当たって,その様式はどうするかという検討をするなど,外国人児童生徒教育の充実に努めております。
  それでは,次の資料22ページをごらんください。実際の指導体制であります。まず4番の(1)日本語教育適応学級担当教員,いわゆる外国人児童生徒教育担当教員でありますが,これは県からの加配,本年度の数であります。本年度,52小学校のうち19校に,それから,22中学校のうち10校に配置されました。予算的には厳しい状況でありますけれども,文部科学省には手厚い支援をこの場をおかりしてお願いしたいと思っております。
  (2)でありますが,特別の教育課程であります。先ほど福岡市からも紹介があったとおり,本市でも実施をしております。特に本市では,昨年度平成26年度より全対象校,全対象児童生徒で完全実施をしております。していない学校は一切ありません。更に内容を充実させていきたいと思っております。
  どのような内容かということであります。真ん中少し下の黒点が二つありますが,一つ目の「特別の教育課程編成・実施計画」(市教委へ提出)というものです。これは学校における対象児童生徒の名簿と,それから,一人一人に対する指導法,例えば取り出しの時間等でありますが,そういうものを記載したものを教育委員会に提出して,各学校で実施いたします。
  そして,二つ目の点でありますが,個別の指導計画。これは様式1,様式2に分かれております。本日,その様式は提示しておりませんが,文部科学省から示されたものを基準につくっておりますので,大きな隔たりはありません。特に様式2の指導に関する記録でありますが,本市では1,2,3学期制ではなくて,前後期制でありますので,前期1枚,後期1枚ということで前後期合わせて2枚作成しております。また,戻りますが,様式1も含めてこれらの記録が適切に処理をされているかについては,相談員・指導員の巡回指導はもちろんのこと,毎年行います各学校の帳簿の点検の際に本市の教育委員会もしっかり点検をしております。
  続きまして,(3)相談体制のところで,相談員17名です。その17名の内訳はここに示しているとおりです。コーディネーターは,ポルトガル語に対応できるバイリンガルです。それから,日本語教育巡回相談員6名は,例えば日本語学校で教える資格を持つような方々です。それから,バイリンガル巡回相談員,バイリンガル常駐相談員と,このようになっております。
  先ほどコーディネーターが外国人児童生徒教育相談コーナーに常駐していると言いましたけれども,二つ目の四角囲みの中で平成26年度の相談状況を見ますと,656件の保護者相談や860件の学校・団体の相談を受けております。このコーディネーターは,相談業務をするとともに,各学校から依頼がありました通訳等の連絡・調整を行ったり,また,相談員の巡回訪問の連絡・調整などを行う立場でございます。
  語弊があるといけませんが,二つ目の点に「拠点校式の巡回訪問は」とありますが,これは本会議で示されている拠点校方式とは違います。いわゆる1人の相談員は,在籍校を1校決めて,その近隣の学校を巡回訪問するということでありますので,ただ単なる在籍校と捉えていただければ結構であります。外国人児童生徒が拠点校に指導を受けに行くことは一切ございません。昨年度実績ですが,市内小中学校合わせて74校のうち47校を定期的に巡回し,不定期に17校の巡回訪問をいたしました。基本的には県の加配教員が配置されている国際教室設置校ではなくて,それ以外の学校を中心に巡回訪問をしております。
  それでは,1枚めくっていただきまして,23ページでございます。そのほかの支援でありますが,マル2番,外国人児童生徒対応スクールアシスタントであります。これは午前中だけの勤務で,外国人児童生徒の在籍が多い6校に配置をしております。特に朝の出欠席の確認とか,また,取り出し指導における支援とか翻訳業務に当たっております。
  マル3番の登録バイリンガルでありますが,これは30名ほどが登録しております。保護者会とか家庭訪問とか非常に多くの通訳を必要とする時期,この時期に臨時で1時間単位で派遣しております。昨年は年間1,350時間の予算でありましたが,本年度は1,750時間に増加いたしましたが,それでも足りないような状況が続いております。この登録バイリンガルは,そのような通訳以外にも,日本に来たばかりの子供たち,初期支援をしようとする子たちの支援にも派遣されております。
  (4)初期支援は岩田小学校,多米小学校,豊岡中学校で実施しております。岩田小学校には外国人の子供たちが約150名,多米小学校には約100名おります。また,岩田小学校には,タガログ語対応が2名,ポルトガル語対応が1名の相談員又はスクールアシスタントが常駐しております。多米小学校にはポルトガル語の常駐相談員が2名,豊岡中学校にはポルトガル語,タガログ語それぞれ1名おりまして,豊岡中学校は60名ほどの生徒が在籍しています。
  その下に図がありますけれども,初期支援の選択肢が本市では三つあります。まず教育委員会に就学相談に来た場合は,左側の公立学校へ行くか,右側の虹の架け橋教室,つまり,先ほどカンティーニョ学園について申し上げました,いわゆる就学促進事業で受け入れてくださるところですが,どちらかを選択します。公立学校を選択した場合は,もし自分が住んでいるところが一番左端の岩田小学校区・豊岡中学校区であったら,そのままプレクラスに入級できますが,それ以外の学校においては,先ほど言いました登録バイリンガルや相談員を派遣して初期支援をしております。
  その下,(5)翻訳支援であります。マル1の外国人児童生徒教育コーディネーターへの翻訳依頼は,本市のコンピューターシステムにより翻訳依頼ができるメールボックスを設けておりますので,そちらに翻訳依頼をしたり,マル2番,文例の活用とありますが,ホームページ上に文例を示してありますので,日付とか学校名を変えるだけで使えるような状態にしております。外部の方は,一番右側の鍵括弧の言葉,「外国人児童生徒教育資料」というところで検索していただきますと,本市の資料が閲覧できるようになっております。
  最後,24ページをごらんください。先ほど本市では進路相談会を実施しておりますと言いましたが,毎年行っております中学校3年生の進路調査におきまして,一番上ですが,平成26年度末,いわゆる今の高校1年生の進学状況ですが,初めて90%に到達いたしました。進学先の「市立」,「普通」という欄に41という数字があります。本市の市立はいわゆる定時制でありますが,昼間も夜間もあります。こちらにほとんどの子たちが行かせていただいている。むしろ定時制が受け入れてくださっているおかげで90%まで到達したというのが実情であります。
  以上述べてきましたけれども,本市と致しましては,子供たちが日本語以外にも母国語を話せる又は習得できる環境にあります。このような優位性を将来どう生かしていくか,またこれらの人材を地域社会でどのように生かすかということが課題であります。そのためにも,就学前の支援,また義務教育並びに高等教育を卒業した後の支援体制が今後の課題になってくると考えております。以上でございます。

【佐藤座長】 酒井先生,ありがとうございました。
  同じように内容の話は後で議論させていただきますけれども,何か事実関係に関する御質問いかがですか。
  はい,どうぞ。

【松本委員】 松本です。22ページの相談員17名のところに書いてあります,外国人児童生徒教育コーディネーター1名というのは,日本人でしょうか。それとも,日系の方でしょうか。

【酒井指導主事】 日系の方でございまして,長年相談員として携わってくださっておりました。

【松本委員】 ありがとうございます。

【佐藤座長】 よろしゅうございますか。
  今まで二つとも福岡市,豊橋市,集住地域の日本語指導体制の話を伺わせていただきました。散在地域はどうなっているのかということで,長年全国各地を調査あるいはいろいろなところに御指導でも行っておられる松本委員にお願いしてございます。松本委員から発表をお願いしたいと思います。

【松本委員】 なぜ徳島県と山形市なのかということですが,私が文部科学省と教員研修センターが主催する研修のカリキュラム検討会のメンバーとして集住地区・散在地区の様々な取組を検討する機会がありましたときに,ゼロからスタートした徳島県の取組が特に印象に残っておりましたので,徳島県。
  それから,山形市の方は,平成20(2008)年にトヨタ財団の助成を頂いた散在地域山形・岩手の教育支援に関する研究のプロジェクトに3年間関わらせていただいた御縁ということで,徳島県と山形市の取組についてお話をさせていただきたいと思います。
  まず徳島県の方ですけれども,平成27年度の日本語指導が必要な児童生徒は15か国で67名です。先ほどの集住地域と比べますと,全県で67名。その中でも特に中国出身が19人,フィリピンにルーツを持つ子供が12人と,中国とフィリピンが抜きん出ています15か国に及んでいるということで,非常に多様な子供たちの背景がお分かりいただけるかと思います。
  学校の在籍数は,5人から10人が3校のみです。10人のところ,8人のところ,5人のところそれぞれ1校,それ以外は1校に1人から3人の在籍です。小・中・高校を合わせて県では67人で,その内訳がそこに書かれている数字です。徳島市に限りますと,小中高合わせて37人です。高校へはやっと平成27年から対応できるようになったということで,そこに数字が加えられております。しかし,日本語指導のための加配は全県で1人のみ,しかも2校兼務という状況です。帰国・外国人在籍市町村数は,24市町のうちの15市町です。
  この子供たちに対してどのような取組が進められているのかというところで,次,サポートシステム構築の経緯をお話ししたいと思います。まず平成22年度の段階で,県に担当者はおりませんでした。しかし,徳島県には,NPOのJTMとくしま日本語ネットワークという,今年で18年間活動を続けている日本語指導の団体があります。当初は大人対象だったんですが,子供の問題を何とかしたいということで,県の委託を受けて夏休みの日本語教室を始めました。その後,にほんご寺子屋という日曜日の放課後支援のような教室もスタートするというような状況があったわけです。
  そのときに,当然学校の方でも増えてくる子供たちへの対応に頭を悩ませていたわけですけれども,JTMとくしま日本語ネットワークの研修会に参加された県教委の先生がNPOと連携すれば,県で何か新しい取組ができるのではないかというふうに思われたことが原点です。それを即,行動に移されて,徳島県の地域子育て創生事業の補助金を獲得され,それが予算80万円だったんですけれども,学校の中で有償のボランティアが対応できるような形にされました。
  そのときに担当された主事が23年度,初めて県の担当者としてこのサポートシステムの構築に動かれたわけです。ちょうどNPOとの連携事業での補助金も確保し,23年3月に文部科学省から発行されました「外国人児童生徒受入れの手引き」,きょう配付された資料の中にもありますけれども,その第5章にあります「県教育委員会の役割」を参考にして,徳島県の受け入れ態勢の検討を始められました。学校に対しては,日本語講師の受入れの窓口として日本語指導の担当者を置くということをこの23年度に進められました。
  そして,24年度,初めて県費で300万円の予算を確保し,それまでの様々な行政機関や団体,大学等の連携の場,連絡協議会が開催されました。参加者は,そこに書きましたように,県教委,県の国際交流協会,鳴門教育大,徳島大,NPOのJTMとくしま日本語ネットワークの面々です。そこで決定されたことは,日本語指導に必要な教材・手引の作成,支援のためのウェブ作成,この手引を早速ウェブに載せようというような試みです。そして,日本語講師の人材バンクの構築,そして,日本語指導者養成研修会を実施するということでした。
  この連絡協議会で決定されたことが,24年度,「徳島県外国にルーツを持つ子どもの受入れ手引き」の完成につながり,人材バンクに50人の方々が登録されることになりました。主として教員OBで教員免許をお持ちの方がそれまでの経験を生かしてということになりますが,そういった50人の登録がありましたので,学校からの要請による日本語講師・通訳の派遣がスムーズにいき,なおかつ初期対応として生活言語支援,原則上限40回,学習言語支援,原則上限40回,1回に付き2時間ということですが,こういった支援が可能になりました。そして,連絡協議会や研修会が開かれたことで,問題点の話合いにおいて国際理解教育に留学生を派遣して,いじめへの対応をしたいというような活動の広がりも見られました。
  そして,平成25年度以降ですが,県費の300万円は平成28年度も頂けるめどがついているとおっしゃっていましたが,先ほどの「徳島県外国にルーツを持つ子どもの受入れ手引き」が県の教育委員会のサイトに掲載されましたし,26年度は更に自治体国際化協会(CLAIR)からの予算も加えて,活動の範囲を広げられました。「徳島の学校を知ろう」の中国語版が追加され,更に初期対応の強化として,タブレットを使った支援システムも開始されました。これはきょう配付されているこの緑色の冊子の国立教育政策研究所の研究の一つとして徳島県での取り組みが挙げられています。
  そして,研修内容につきましても,当初,教職員と日本語支援講師を分けた研修だったんですが,合同の研修で更に内容を充実させようという取組に変わり,更に27年度は高校生にも支援を開始して,「徳島の学校を知ろう」のフィリピノ語版も追加されるような状況になりました。ただ,課題としては,まだまだ日本語指導を日本語講師にお願いしている関係上,その日本語講師の方たちが教員OBで高齢化の問題もあり,なかなか免許の更新がなくて,特別の教育課程による日本語指導については導入が困難だということです。
  続きまして,山形市の取組についてお話をさせていただきます。山形市ですが,更に子供の数は少なく,平成27年度で日本語指導が必要な児童生徒33人で,センター校もありませんし,小中学校に日本語教室もありませんし,2人から4人の在籍が1校のみで,ほとんど1人在籍校という状況です。そこへ市教育委員会が9人の登録支援員を学校に派遣して,日本語指導,教科指導に当たるという状況です。
  1990年代の後半に山形県に中国帰国者の呼び寄せの家族の子供が増えてきたというようなことがありまして,その後,韓国やフィリピンからの結婚移住女性,国際結婚によって外国人女性が連れ子を呼び寄せるというようなことがありましたので,そういった子供への対応が非常に問題になっていました。
そのために,2002年にNPOの団体に県の国際課がアンケート調査やインタビュー調査の委託をして,その結果を,シンポジウムを開催して子供たちの問題を広く周知しました。そこに市の国際交流課が参加して,市での取組を平成16(2004)年にスタートさせたのが,在住外国人等日本語習熟支援事業です。
  平成27年度のところにその事業名が書かれていますが,これは平成16年から3年間,市としてどう対応するかということで,そのシンポジウムの後,推進委員会を設け,県や市の国際担当課だとか,県や市の教育委員会,小中学校の校長会や,山形大学や日本語の支援団体等がメンバーとなって,話合いがありました。それが現在の在住外国人等日本語習熟支援事業の土台になっているというものです。
  ですから,予算が突然450万円付いたような書き方になっていますが,この平成16(2004)年からの事業の重要性からこれぐらいの金額に設定されたということです。子供の数が非常に少ないがゆえに,現場の教員がなかなか日本語指導の経験を積み上げることができない,1人の子供に対応しても2人目が来ないというような一過性の指導になってしまっているところから,支援員が経験を積み,支援員に指導をお願いするような形になっているのが山形市の特徴ということになります。
  山形市として特に平成26年度,27年度を書かせていただきましたのは,特別の教育課程による日本語指導を山形市としてどう取り組んだらいいか,支援員任せの状況から何とか山形市のスタイルを作ろうという取組があるということです。
  そこで一番大きな変化といいますのは,それまでの取組は十分に生かしつつ――それまでの取組といいますのは,26年度の11月のところに書きました①の,国籍や在日年数等に関係なく,子供の実情を優先した配置・個に応じた支援を尊重し,地域とのつながりが薄い保護者に長期的な展望に基づく家庭支援をするというこの二つの柱を続けながら,特別の教育課程に結び付けるような仕組みを作ろうというものです。
  それが平成27年度の3番目のところに書きました支援員の委嘱と派遣で,支援員の中からコーディネーターを1名委嘱し,コーディネーターが教育委員会担当者と連携を図りながら,支援員の指導状況について年間を通じて調整・助言するということで,コーディネーターにも謝金が付いて,役割を明確にしたというところが大きな変化,大きな一歩というところだと思います。
  そして,支援員と学校の連携を密にして,特別の教育課程の編成実施に向けて担当主事が個別の指導計画のフォームを山形スタイルで作成し,教員が個別の指導計画を書いて評価もするというような方向で,支援員との情報交換・共有により,それを実践していこうというところが現状であります。
  ただ,課題として書きましたが,日本語指導が必要な児童生徒の増加に対応できる予算の計画が立てにくい。担当者の会議においても予算が出ないような現状の中で事業を増やしていくのはとても難しい。それから,児童生徒がほとんど1人しか在籍しないという学校ですので,教員が日本語指導の経験の積み上げをすることがとても難しいという現状があります。
  今,二つの散在地域のお話をさせていただきましたが,愛知県の中にも散在地域はたくさんございます。共通する課題としましては,予算がない。教員の経験不足だとか支援者不足,当然,指導力も教材も不足しているという状況,しかも数が少ないということもありまして,支援の重要性の認識不足,それは教員だけではなくて地域の支援者もなかなか意識を高めることが難しいような状況にあります。
  ただ,徳島県や山形市の取組が進んだ大きな要因としましては,それまで地域で活動されているような団体や大学や行政の担当者が,連絡協議会を設置して支援に関わる力を集約して何とか教育支援につなげるということをされたところではなかっただろうかと思います。
  ただ,課題としましては,支援員に頼っているようなところもありますが,やはり教育支援をする人の指導力を上げるための人材の配置をしっかりやるための予算の確保,非常に不安定な形での活動ではなくて,しっかりとした位置付けが求められるのではないかと感じています。以上です。

【佐藤座長】 松本委員,ありがとうございました。何か事実関係の御質問ございますか。はい,どうぞ。

【菅原委員】 ありがとうございました。菅原です。1点確認させていただきたいんですが,徳島県の取組の中で,成果の中に人材バンクに50人登録がございまして,その二つ目,初期対応として生活言語支援,学習言語支援というのがございます。それぞれ各上限が40回というふうに決まっているようですが,これは時期が違うのか,指導者が違うのか,何らかの定義によって生活言語と学習言語を分けているか,もし御存じでしたら教えていただきたいと思います。

【松本委員】 実は上限40回と書いていますが,「原則」というのが頭に付いています。子供によって柔軟に対応するというところが「原則」という言葉で表現されています。ただ,予算が限られているということもありまして,最低限ここまではという,その数字とお考えいただければと思います。

【菅原委員】 内容的にはどのように? 生活言語と学習言語という。

【松本委員】 JTMとくしま日本語ネットワークの活動の中で指導者のために必要な研修をかなりやっていまして,基本的な考え方は御存じなわけです。そういったところのノウハウと,大学の先生が講師として研修会を進めていらっしゃるというところでその内容については決められていると伺っています。

【佐藤座長】 よろしいですか。
  それでは,3名の発表をこれで終えました。残りの時間,各発表者への御質問なり,私ども,今,日本語指導体制の整備ということを議論しようとしておりますので,それに対する御意見などが多分皆さんおありだと思いますので,自由に御発言をお願いしたいと思います。
  ただ,きょう新宿区から別途,体制整備について配付資料を出していただいておりますので,遠山代理委員から御意見いただければと思いますが,いかがでございましょうか。

【遠山委員代理】 それでは,資料に基づきまして,簡単に御説明をさせていただきたいと思います。まず新宿区の状況でございますけれども,日本語指導が必要な外国人児童生徒は169名でございまして,小学校に116名,それから,中学校に53名という形になってございます。言語別には,韓国語が39%,それから,中国語が35%となってございまして,この2言語で74%を占めてございます。そのほか,タガログ語が8%,タイ語,ミャンマー語がそれぞれ5%という形でございます。外国人児童生徒もこの10年間で小学校が1.4倍,それから,中学校につきましては1.7倍の増加を見ているというところでございます。日本語指導が必要な児童生徒が10名以上在籍している学校がある一方,1名も在籍していない学校も区内に散在しているというような状況もございます。
  新宿区の特質と致しましては2点ございます。特質のところをごらんいただければと思います。1点目は多言語への対応ということでございます。今,28年1月,直近で11.5%という数字がございますが,新宿区には現在110の国と地域から人口の約1割,超える外国人が在住してございます。
  こうした状況や,いつ何どき,どこの国から来日されるということは予測できないということから,こちらで原則として対応できる言語については21言語を用意し,日本語サポート指導を行っている状況でございます。27年度につきましては,9か国の母語による日本語指導を実施しているところでございます。先ほど申し上げました言語のほかに,ネパール語,スペイン語,ポルトガル語,ベトナム語。今,特にネパール語やミャンマー語などの言語については指導員の確保がとても難しいといったような状況もございます。また,母国の事情によって入学時期等がばらばらなこともございますので,年間を通じて安定的に指導員を派遣することもなかなか困難になっているという状況でございます。
  2点目は,先ほど来お話も出てございますけれども,日本語指導担当教員の配置というところでございます。現在新宿区の場合は,日本語指導が必要な外国人児童生徒が5名以上在籍している小学校8校,それから,中学校については4校ございますけれども,担当教員の配置については日本語学級設置校2校を含めて8校という形でございまして,区全体で合計11名という形でございます。現在担当教員が配置されていても,在籍状況によっては,1対1の個別指導が望ましい場合であっても1対複数,あるいは年度の途中で対象児童生徒が増加しても教員数は変わらないといったようなものもございますので,一人一人に必要な時間数を十分確保することが困難であると。また,先ほど来御紹介いただいています巡回指導についても,現在では新宿区の場合ではなかなかできるような状況ではないというところでございます。
  左の下の地図をごらんいただきたいと思います。こちらは日本語指導が必要な児童生徒の在籍状況と教員の配置という部分を示したものでございます。小学校は丸印,中学校は四角で表してございます。色と大きさで規模を表してございまして,それぞれ赤が10名以上といったところでございます。ただ,10名以上と申しましても,学校によっては13名であったり,34名だったりいたしますので,その辺は御了承いただければと思います。
  この資料からは,傾向といいますか,そちらをつかんでいただければなと思ってございます。やはり大久保駅,新大久保駅周辺に多数在籍していることがお分かりいただけるかと思います。一方,その周辺におきましては,対象児童生徒がいない,あるいは少数という状況が見受けられるというところでございます。
  新宿区におきましては,こうした現状に対しまして次のように取り組んでいるところでございます。まず集住地域の側面におきましては,特に日本語指導が必要な外国人児童生徒が多く在籍している学校に,小学校,中学校各1校ずつでございますけれども,日本語学級を設置してございます。また,日本語初期指導を計30時間程度,教育センターで行っているところでございます。また,全体の74%を占めている韓国語,中国語を使った日本語指導ができる指導員を教育センターの方に常駐させて,学期の途中の編入学に対しましても登校の初日から対応できるような体制をとっているところでございます。
  また,散在地域の側面におきましては,当然のことですけれども日本語指導担当教員が全ての学校には配置されてございませんので,日本語指導に関する情報交換あるいは周知等を,研修会を通じて行っています。また,日本語サポート指導としまして,母語を使って日本語を指導できる指導員を各学校に派遣して個別指導を行っているところでございます。新宿区の場合は,小学校1,2年生までは年間50時間,それから,小学校3年生以上は年間70時間を用意してございます。
  それが終わった後には,日本語の学習支援という形で,また別の財団を使った委託という形になりますけれども,こちらは日本語の日常会話がある程度理解できて学習支援を希望する小中学生に対しまして,必要な日本語指導を行っているというところでございます。こちらは年間で約70回140時間を限度に現在行っているというところでございます。
簡単ですけれども,御説明の方は以上でございます。

【佐藤座長】 ありがとうございました。
  以上ここからは,御質問,御意見どちらでも構いませんので,どうぞ御自由にお願いしたいと思います。何かございますか。
  どうぞ。はい,お願いします。

【池上委員】 2回目の発言で恐縮です。池上です。時間が限られているので一つだけ,是非これは考えたいということをお話しします。最初の福岡の事例では指導員という形で名称があったと思いますが,日本語教育の専門性を持った方々が学校現場で活躍する場面が今増えてきていると思います。一方で,先ほども御質問があったように,そういった方々に対する謝金というのは非常に低額にとどまっていて,それで飯が食えないという状況が現状であろうかと思います。
  本学の場合も日本語教員養成課程を持っていて,そういったところで,例えばこの国で育った外国籍の学生たちが日本語教師としての資質を身に付けて卒業します。こんな人材を放っておくのはもったいないなといつも思うんですが,彼らは日本語の指導だけではなかなか飯が食えないという現状の前に全然違う仕事を選んでいく。今,第2世代が育っているということは私,前回も申し上げましたけれども,そういった子たちの中で自身の経験も踏まえて日本語指導のスキルもしっかりと身に付けた子たちが今増えています。こうした若い世代を何とか教育の中で,学校現場の中で頑張ってもらうようなことができないかなと,その点を是非考えてみたいと思います。以上です。

【佐藤座長】 とても大事な点でございます。これ,体制整備の中での指導員の在り方というところにも関わりがありますけれども,是非これは検討を深めていきたいと思います。特に今,日本語指導者養成課程のある大学,それから,大学の教員養成大学あるいは教員養成系学部等も今,大変厳しい状況の中で改革を迫られています。あるいは免許制度の問題にもつながってまいりますので,改めてここは少し深く突っ込めればと思います。
  そのほかどうぞ。
  はい,どうぞ。

【藤巻委員】 北海道教育大学の藤巻といいます。今の池上先生の御発言を受けて話したいのですが,本校でも日本語教員養成プログラムがあるんですけれども,やはり一生懸命勉強してもなかなか安定した就職先がないということが一つと,もう一つは,学校で教える日本語教師になろうと思うと,取らなくてはいけない科目が多く,ものすごく学生の負担が大きいんですね。日本語教員の免許というのはありませんから,国語や英語という,まずそういう免許を取って,更に日本語教員の養成プログラムをやるということで非常に大きな負担になっているということがあると思います。
  もう一つは,日本語教員になった人が実際に学校現場等に行ったときに,校長先生や教頭先生の理解があればいいんですけれども,日本語教員といっても年が若いとその学校で孤立してしまって,なかなか思うようなコーディネーター的な役割ができないというような話もよく聞きます。そういう意味で,学校現場における全校的な取組がないと日本語教員の人がなかなか仕事がしづらいという現状があると思います。その辺も含めて御議論いただけたらなと思います。

【佐藤座長】 ありがとうございました。指導者の問題,それから,学校全体での指導の在り方の問題ということで今,問題提起を頂いておりますけれども,特別の教育課程というのは,そのために学校全体での指導体制をどう作っていくのかということでも提案させていただいて,文科省も学校教育法施行規則の改正をしているところだと思います。これからの課題だろうと思いますので,これもまた議論を進めていければなと思います。
  そのほかどうぞ,何なりと。
  はい,どうぞ。

【佐原委員】 予算の話とかいろいろなものが出てくるので,行政がこの外国人問題をどう考えるかという原点で,日本ってちょっと変だなと私はいつも思っているんです。国の移民政策でもそうですけれども。せんだってドイツの姉妹都市に行って,ドイツは大量のイスラムの移民を受け入れて,これに対して市町村はどう考えていますかという話を議論したんです。外国の移民を受け入れて,その人たちを社会の中でどういうふうに受け入れるかという話になったときに,彼らが言ったのは,教育問題においては二つですと,こういう話でした。
  なぜならば,高等教育を受けた大変優秀な人たちも中にはいます。教育費を払わずにその人たちの技術を買うことができる。それが1点。2点目は,その人たちの中には大変な人脈を持っている人たちがいる。黙ってただで人脈を得ることができる。この二つがある限り私たちは進んで受け入れますと。ただ,もちろん社会の不安の問題とかたくさんの問題が残っていますが。
  そこで,私たち豊橋市で,外国人の問題をどう考えるかということでいつも議論するときですが,みんな,重荷だと思ってこの話をしていませんかというところが一つ。私は切り口としてちょっと違うんではないかと。外国人が黙っていてもたくさんいてくれるんだよ。少なくとも私の子供のときは,中学卒業するまでどんなに英語を習っても,修学旅行で行った鎌倉の鶴岡八幡宮(はちまんぐう)で英語をしゃべっただけです。そんなことないんだよ。外国人がいっぱいいるんだよ。これをプラスととらないでどう思うんですかと。
  もちろんその人たちには,日本語を教えるというすごく難しい過程はあります。それで,豊橋市は,先ほどお話がありましたように,とにかく御両親に教育をしっかりしてくださいという話をとことんお願いをする。そして,会話ができるようになっても,実は受験の日本語って難しいんです。先生方が,皆様がひっかけ問題を作りますから,それにひっかかるんです。大体ひっかかって落ちる。でも,勉強意欲がある人たちには,とにかく高等学校までは卒業しなくちゃ,そこから自分の人生考えなさいということで,市立の高校がとにかく意欲ある子たちはがんがん受け入れる。その子たちにはその代わりとことん日本語教育するし,日本で必要な生活のいろいろなことを教えるということをやっています。
  そういうことをやっていくことによって,私たちも当然人脈を得ることができるし,もっとダイバーシティー,いろいろな複雑怪奇なこの世の中を渡っていく知恵な何かもたくさん得ることができる。たくさんの得られるものがあるわけです。そのために私たちは外国人を受け入れて,この人たちに将来社会参加をしてもらう。
  現実に,私どもの,ちょうどそこにいる酒井君はブラジルや何かに行っているんですね。それで,何が起きたか。日系ブラジル人の下院議員と対等に付き合うことができる市町村は多分,日本広しといえ我々だけだと思っています。そういう道を開くことができました。
  このネクタイ,ど派手,格好悪いので嫌なんですけれども,わざわざしてきました。これはせんだっての「バクモン」のシンガポール編で春巻き王として出てきたサム・ゴイさんという人がいるんですが,そのお友達と多分一番の友達は私たちだと思います。この人脈は,実は中国からいらしていた豊橋の人脈経由で得ることができました。
  今,実は私たち,JICAと一緒に水道事業をインドネシアの山奥でやっております。これも実は私たちのそういった人脈の中から得た仕事です。
  今のところは,当然市はまだ負担に思っている部分が多い。でも,もし10年たったら,どこの市にも先駆けて私たちの町が国際的に活躍できる。そして,私たちの市で今学んでいる若い日本人の子供たちがそういう国際社会で活躍できるかもしれない。そういう道を私たちは作ることができるんだから,予算の話をするときに是非文部科学省の方たちには,日本にとって必ず役に立つことである,大事なこと,そのための投資なんですよということをしっかりと訴えていっていただきたい。これ,お荷物じゃないんです。私たちにとって得難い最大のチャンスなんです。是非そう思って取り組んでいただきたいなと強く思いました。以上です。

【佐藤座長】 ありがとうございました。とても大事な視点で,これ,ほんとに私ども,外国人児童生徒の問題を「問題」というふうにしてしまいますけれども,決してそうではないと。メリットをどう生かしていくのか。私どもJSLなどを開発していったときに,こういう視点というのは授業改善になりますということを盛んに申し上げてきた経緯もございます。つまり,こういう指導に携わることによって,自分の実践的力量が高まっていく,学校の力量も高まっていきますというような話をさせていただいてきているところですけれども,今,行政含めて予算を獲得していくときに,もうちょっとメリットを生かす,良さを生かすような視点を強調したらどうかという御提案だったと思います。
  ほかにどうぞ,何かございましたら。
  はい,どうぞ。

【高橋委員】 高橋です。今回いろいろお話しいただいた中で,NPOに関わっている立場として松本委員質問したいんですけれども。どういうふうにそういった支援の体制を作っていくかというきっかけのところで,この山形とか徳島を見ると,やっぱりNPOの役割というのは一つ大きいかなと思うんです。また,何が推進力になってそういった支援の体制が生まれていくかということもすごく興味があるというか大事な視点だと思うんですけれども。NPOの方たちと教育委員会がどういうふうに行政側と結び付くようなことができてきたのか,ほかの地域ではなかなかどうしてできないのかということと,徳島とか山形が更に福岡とか豊橋のようなきちんとした体制を作っていくためには,例えば文部科学省がどういうような取組を投げ掛ければ可能なのか,もし御意見があったらお聞きしたいんです。ちょっと難しい質問で恐縮です。

【松本委員】 今年で18年の活動経験があるJTMとくしま日本語ネットワークなんですが,スタッフが教員のOB,教員を経験した方が退職後日本語教育を勉強して,NPOの中にいらっしゃると,学校とつながるということがとてもやりやすいということがあります。
  それと,県の教育委員会がつなぐ役割を果たしました。子供支援のために大学が果たせる役割だとか,NPOが果たせる役割だとか,それぞれのそれまでの経験をどう生かすかというところで,教育委員会の方がうまくつなぐ役割をされた。もちろんその方は率先して自分でプレゼンもやって,県費がないときに,NPOとの連携だったら予算がとれるかもしれないというので予算を獲得されたという,その相互作用がいい結果につながったのではないかと思います。
  それから,山形市の場合には,県の方が2002年の段階で,地域に点在する問題を何とか浮き彫りにしたいということでNPOにアンケート調査とインタビュー調査を依頼して,その問題の深刻さを可視化しました。それをシンポジウムでオープンにしたというところで,行政,学校,地域の団体等に参加を求めて問題を共有しました。そこにキーパーソンといいますか,進めようとした人と,それから,ずっと継続して関わっている人がいたということが言えると思います。支援員の一番長い方は,17年半日本語指導に関わっていて,学校に関わってからは11年目というふうにおっしゃっていました。そういういろいろな要素の積み重ねだと思います。

【高橋委員】 もう一歩この体制を整備するには,例えば行政との関わり,特に文部科学省の関わりとしてどういうことが可能なのかということもお聞かせください。

【松本委員】 特別の教育課程もそうですけれども,最初は大変だけれどもやってくださいというふうに,行政の人が現場を見に行くことをやらざるを得ないようにすると,問題の深刻さというものがしっかり把握できて,その人が動こうとする力につながるのではないか。できれば少し強制力を持って地域を調べましょうというような仕掛けが必要なのかなというふうに思います。

【佐藤座長】 ありがとうございました。体制を考えていくときにこれからNPOの力というのも非常に大きいんだろうと思うんですけれども。こういう研究をされている方がおられて,連携という考え方がNPOと行政と学校では全く違うと言うんです。NPOというのは基本的には協働していくという考え方,行政はもう委託だと。学校というのはあくまでも協力だと。つまり,一定の枠があって,その枠組みの中で協力していけばいいんだという発想が非常に強い。それを越えていくときに個と個のつながりがあるんだけれども,問題は,人に依存してしまうと,人がいなくなると終わってしまうというのが今までのパターンだった。それをどうつないでいくのかというときに,きょうの山形や徳島の例にあるように,協議会を設立していくだとか,それから,必ず恒常的な予算を計上していくだとかというところが多分キーポイントになっていくんだろうと思います。これも地域によってかなりケースが違ってきますけれども,NPOの役割というものをどう考えていくのかということを少し議論する必要があるかなと思います。
  ほかに,御発言のない方で。
  どうぞ。

【各務委員】 ありがとうございます。きょう本当にいろいろな事例を聞かせていただいて参考になりました。可児市はすごい集住地で,いろいろな取組は進んでいるんですけれども,今,私たちはNPOとして,他の市町に協力して支援をしています。今,コーディネーターを配置して,日本語支援が必要な学校に巡回指導していくというような仕組みを作っていこうというところに来ている,可児市以外のところにも連携して支援をしていくという状況に来ています。
  議論というよりは,聞きたいことがいっぱいなんですけれども,一つ。きょうお聞きした事例の中でコーディネーターの役割がそれぞれに違っている。福岡市の場合は現職の教員の方がコーディネーターをされていますよね。今後私たちが体制を作るお手伝いをしていく市の場合,日本語指導をしている支援員さんをコーディネーターに想定しています。その支援員さんのお話を聞くと,例えば拠点校なり教育委員会に所属しないと,学校内のことを学校外の人がいろいろと意見を言うことはなかなかしづらい。先ほども,若い日本語指導の先生だとなかなかほかの先生に意見が言いづらいというような意見があったんですけれども,やっぱりうまく体制を作っていこうと思うと,自分自身も学校の中で支援をしていくという立場をとらないと,意見が通らないというような悩みがあるとおっしゃっています。コーディネーターとなる人は,現職の先生が望ましいのか,それとも,日本語支援ができる経験を積んだ支援員が望ましいのか。いろいろな市町の状況とかで違うと思うんですけれども。
  きょう聞いた散在地域,市内に三十何人もいないところにも私たちは支援を始めているんですけれども,そうなると,予算が全く付かない。同じ1人の子供に対して日本語支援も教科学習のサポートもすごく差が出てしまう。そういう状況に対して,私たちはNPOとして教育委員会と連携をしているんですけれども,教育委員会自体に予算がないと言われてしまうと,サポートが当事者負担という形になってしまう。義務教育の中でそんな当事者負担が発生していいのか,というところも悩みとしてあるところです。
  多分岐阜県だと県の教育委員会に協力してもらわないと,散在地域であり市町内で1人,2人のサポートをする場合,可児市の子と隣の町の子とすごい格差がでてしまうという現状があるので,この会議の中でそれをなるべく平等な形に持っていけるような体制づくりについて,私たちもヒントが得られるといいかなと思っています。

【佐藤座長】 ありがとうございました。コーディネーターの役割から,国,県,市がどういう関係性を作っていくのかというような話まで頂いておりますけれども,これもまた議論をこの点も少し深めていきたいと思っております。私どもも要望ベースというのは,この有識者会議として何を提案していくのかということはとても大事だと思いますので,この辺のところを事例のヒアリングをふまえながら,この後のスケジュールのお話を頂きますけれども,深めていきたいと思います。
  残り5分ということで,この後,事務局から具体的な今後のスケジュール等ございますけれども,何かもう一方ぐらい。ちょっと簡単に。

【伊東委員】 じゃ,最後,一言。伊東祐郎と申します。やはり支援体制ということでいうと,きょう御発表の集住都市と散在都市では随分違っているなと思いました。外国人児童生徒の編入というのは,やはり予期せぬときにいつ何どき来るか分からないというところで,体制整備が非常に難しいなと思いました。集住都市もここまで体制が整ったのも,やはり児童生徒数が多かった,そして,このままだと日本の学校システムが壊れてしまうというところから多くの方々が介入し,何とかしなければいけないということになったと思います。しかしながら,数の少ない散在都市ですとなかなか難しいことを考えると,今後どうしていくか。やはり現場の教員,学校組織にいる先生方の意識を多少変えていく必要があるかなと思います。
  今後の教員養成の在り方といったときに,教育の多様化の中に外国人児童生徒の受入れや,日本の学校の国際化という点でどう対応していくかということを,全ての教員を目指す人がそういうことに関して学ぶ機会あるいは認識を改める機会があるといいかなと思います。現状に関していえば,つくばの教員研修センターで行われている研修とか教育委員会等の主催する研修でその辺はカバーされていると思いますが,長い将来を考えるときに,やはり教員養成の段階でそういうシステムが組み込まれていくと,日本の学校も国際化に対応できるのではないかとちょっと思いました。以上です。

【佐藤座長】 教員養成については是非また議論を,大学もかなり厳しい状況に,教員養成系大学,ゼロベースは要らないと言われておりますし,非常に厳しい状況があるかもしれませんけれども,議論を是非深めていきたいと。
  それでは,ちょっと時間が押してございますけれども,最後に議題2,その他ですけれども,今後のスケジュールについて事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【齋藤主任学校教育官】 それでは,スケジュールの方を説明させていただきます。
  その前に,本日は多くの委員の皆様に御意見頂きまして,ありがとうございました。本日交通事情により御出席いただけなかった竜澤委員のプレゼンテーションにつきましては,また日を改めて御議論いただきますので,その際に今回の議論も含めていただければと思います。それから,我々と致しましては,小学校での体制整備ということもございますが,中学校・高校段階というのは更に厳しい状況もあるかと思いますので,そこも含めてまた次回以降御議論いただきたいと思っております。
  それから,最後にスケジュールでございますが,資料3と4を併せてごらんください。
  資料3は,前回お示しさせていただきました主な検討事項につきまして,前回の御議論を踏まえて多少修正させていただいているものでございます。
  今後のスケジュールにつきましては資料4でございます。おおむねこの検討事項に沿いまして,少しヒアリングを続けていきたいと考えています。具体的には,次,第3回の有識者会議を,御調整いただきまして,2月1日月曜日の3時から5時という日程で予定をしております。こちらでは,主な検討事項の2と3でございますが,先ほど来御議論ございます日本語指導に携わる教員・支援員の養成・確保,それから,日本語指導内容の改善・充実といったところにつきましてヒアリングをさせていただければと思っております。
  続きまして,3月も,現在のところ,3月7日の線で引き続き調整させていただいておりますが,こちらの方で主な検討事項の4番,子供の就学の促進,進学・就職への対応といったところにつきましてヒアリングを予定しております。
  その後,6月頃に向けて,引き続き月1回程度の開催を検討しております。以上でございます。

【佐藤座長】 ありがとうございました。
  この後,今御案内のように,2月1日,3月7日と予定されております。7日の方はまだ時間は調整中ですね。午前午後まだ分からないですね。

【齋藤主任学校教育官】 調整中でございます。

【佐藤座長】 日程はこれで確定したいということでございますので,このようなところでスケジュール調整していただければと思います。
  本日これで終えたいと思います。ありがとうございました。皆様,お忙しいところ,また足元の悪い中お集まりいただきまして,ありがとうございます。また帰りも,皆様,雪のため交通機関が大変乱れているようでございますので,お気を付けてお帰りください。どうもありがとうございました。


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