教育相談等に関する調査研究協力者会議(平成27年12月4日~)(第8回) 議事要旨

1.日時

平成28年12月5日(月曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省15F1会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 教育相談等に関する調査研究協力者会議最終報告(案)について

4.出席者

委員

市川委員、岩永委員、加藤(崇英)委員、加藤(寿一)委員、加勇田委員、小泉委員、佐々木委員、鈴木委員、中西委員、中根委員、永山委員、野田委員、笛木委員、福田委員、森委員、山野委員、横張委員

文部科学省

小松文部科学審議官、藤原初等中等教育局長、瀧本大臣官房審議官、坪田児童生徒課長、松林生徒指導室長、髙橋課長補佐

5.議事要旨

(1)教育相談報告書(案)について、資料1の説明を事務局が行った。

(2)事務局の説明に関する質疑応答を行った。質疑応答の概要は次のとおり。

【委員】  いじめ、暴力行為等の問題行動、子供の貧困、児童虐待は、やはり対応という言葉が適切かもしれないが、不登校は問題ではなく、問題を抱えさせられた子の表出しているものということなので、対応という言葉だと、不登校が課題とか問題であり、不登校の子自体が問題であるとつながりかねない。やはり支援という言葉で表記することは、そういった意味があると強く思う。不登校に関する調査研究協力者会議においても最終のところで、対応という言葉はできる限り支援という言葉に置き換えていこうという方向性があった。教育相談報告書において、早期支援・対応という表記をしていただいたということで、共通理解を図るとともに、すごく大切な言葉の使い方だと思う。

【委員】  資料1の8ページの1のところに、発達障害に起因する困難や問題という文言を、児童虐待の後に入れてください。9ページ、ガイドラインの31ページについても同じである。理由としては、今学校で非常に発達障害の子供が、学級づくりで非常に担任にとって困難を来している。非常に発達障害をテーマにして研修会開くと、たくさん集まる。それだけ先生方の需要が、ニーズが高い。外される理由について、答えていただきたい。

【事務局】  スクールカウンセラーの職務としては、学習面や行動面で何らかの困難を示す児童生徒、障害のある児童生徒・保護者への支援に係る助言・援助等のためと書いている。個別に記述しないのは、支援の対象としないということではない。

【委員】  スクールカウンセラーの職務の中では、不登校、いじめ等だけではなく障害のある児童生徒、あるいは保護者への支援に係る助言・援助という形で入っていて、さらには、この報告書全体が、全ての子供たちが様々な抱える課題であるとか、あるいは特性であるとかというのを持っている。それを極力丁寧に、しっかり早期に、必要な場合には関わって、あるいは、予防的視点から、学校が取り組むことを支援するという、構造なので、特段、発達障害だけを取り出して、頭出ししていないというニュアンスと私も理解をしている。

【委員】  8ページの2の8行目あたりに、「なお、これらの会議には、校内の生徒指導、教育相談担当教員、特別支援教育コーディネーター、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等」とあるが、校内の生徒指導や教育相談が入っており、特別支援教育コーディネーターも入っていることから、養護教諭も入れていただきたい。

【事務局】  こちらの方に養護教諭という文言を入れさせていただく。

【委員】  15ページの(エ)の6行目あたりに、児童生徒と保護者が併記という形で書いてあるが、場合によっては児童生徒と保護者の意向が合わない場合もある。また、虐待になると、なかなか保護者の意向というわけにもいかない部分があることから、基本的には児童生徒の意向に沿うという形で、あるいは保護者という部分を削除していただきたい。また、その下の2行目。その二つ下の部分、同じように児童生徒及び保護者の気持ちという部分があるが、そこの保護者という部分も削除してもらいたい。
 次に、17ページの(ウ)の2行目のところに、コミュニティソーシャルワーカーという部分があるが、まだなかなか知られていない部分もあるので、福祉関係職員ぐらいの方が理解しやすいと思う。
 さらに、18ページの上から2行目のところに、スーパーバイザーは、学校教育分野の経験や知識を有しとあるが、ガイドラインは一定のスクールソーシャルワーカーとしての在職年数等を有するということになっているので、そのガイドラインに合わせた形に変えていただきたい。
 23ページの(カ)の活動環境の整備の下から2行目あたりだが、スクールソーシャルワーカーは家庭訪問したり、関係機関に同行したりという形で、いろいろ外で動くことが多いということから、通信手段とか確保等、迅速かつ効果的なという文言があるが、車を運転する機会も多く、事故等のリスクが心配だという話も現場のスクールソーシャルワーカーから聞いたりするので、保険とか保障ということを入れていただきたい。

【委員】  15ページについて、生徒本人がうまく自分の気持ちを表現できないケースがかなり増えてきていたりすることから、「あるいは保護者」であればいいと思う。

【委員】  コミュニティソーシャルワーカーについては、いろいろな社会資源使いましょうという趣旨で文言を整理させていただく。

【委員】  8ページの1について、ここには未然防止という言葉が入っているが、9ページの(1)、のマル1には未然防止という言葉が入っていないのと、併せて14ページのスクールソーシャルワーカーにおいても、未然防止という言葉が入っていない。また、10ページ、11ページについて、10ページの(イ)に社会的スキルを育てる心理教育プログラムを実施する必要があるとあるが、この部分は未然防止に入る。11ページの一番上の(エ)に、児童生徒への理解、児童生徒の心の教育、児童生徒及び保護者に対する啓発活動という言葉が入っているが、こちらも未然防止に入るので入れていただきたい。
 2点目として、19ページの3に、児童生徒及び保護者との信頼関係の構築、養護教諭、特別支援教育コーディネーター等との連携について記載がある。後述の学校の対応、体制において、教育相談コーディネーターの配置・指名について書いていることから、こちらのスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーのところにも教育相談コーディネーター、若しくは担任等の連携について書いていただきたい。
 23ページの(オ)の3行目の最後についてだが、この節に、学校及び教育委員会における体制の在り方について書いてある。スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの専門性についての理解を図るため、校内研修を充実させる必要があり、そのことについても記載したほうが良いのではないか。なお、それに先駆けて、教員養成課程にスクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの専門性や連携の図り方について知ることができる科目を置くことも重要であるという記載にしたらどうかと思う。

【委員】  14ページの2の(1)のマル1について不登校、いじめ等にまとめられた形になっているが、以前までは、暴力行為や、貧困というワードもあった。不登校やいじめ等と記載してしまうと、学校が見たときに、やっぱり不登校といじめのみに見える可能性がある。削除された理由を教えていただきたい。
 2点目は、同じ14ページのところで、スクールソーシャルワーカーは2の直後に職務内容がある一方で、スクールカウンセラーは2の(1)の直後に記載されている。整合性があった方がいいと思う。
 3点目は、22ページの教育相談コーディネーターの配置・指名について、これを学校が見たときに、どういう体制が作られるか懸念される。コーディネーターは、要になっていき、重要なポストだと思うのでもう少し意欲のある人という表現が入ってもいいのかなと思う。

【事務局】  元案では不登校、いじめ、暴力行為、問題行動と子供の貧困、児童虐待と、言葉が非常に多く並んでいて、見出しとして何行も続いてしまっていたため、8ページの1、未然防止、早期発見、早期支援・対応等への体制構築の上から2番目のところで全て列記した上で、以下、不登校、いじめ等と言うと、等でまとめて整理させていただいた。

【事務局】  どの言葉の範囲まで広げるかというのはあるが、読み手が誤らない形は、いろいろな工夫があると思うので、また御相談させていただく。

【委員】  ガイドラインについて、スクールソーシャルワーカーでは42ページの頭、スクールカウンセラーで言うと31ページの頭のところだが、現在の地域・学校の実情を鑑みると全ての事項を盛り込むことは困難であると考えると一番初めにきていて、やらなくていいのかって、安易な方に流れないかなというのを、ちょっと懸念している。

【委員】  スクールソーシャルワーカーのガイドラインの試案の45ページのスクールカウンセラーとの連携について、スクールソーシャルワーカーは法律や制度を活用してという形になっているが、ソーシャルワークの技法を活用してといった形で、ソーシャルワークが表現されるような形で記載していただきたい。
 2点目は、その下に配置形態のそれぞれのメリット、デメリットというところがあるが、学校配置型のメリットとして、児童生徒が直接相談できるという部分が考えられる。
 次に、教育委員会配置型のデメリットで、上から五つ目のところには、1回で適切な見立てと援助が必要な場合が多く、スクールソーシャルワーカーにはかなりの力量が求められるということが書いてあるが、実際には1回で行うのは難しいため、デメリットとして記載するのであれば、1回で適切な見立てと援助が求められるといった記載が良いと思う。

【委員】  ガイドラインの31ページのスクールカウンセラー導入のねらいというところで、心理の専門家となっているが心理・教育ということにしていただきたい。あるいは学校における心理の専門家という記載にしてほしい。理由は、未然防止ということが今回の報告では強調されており、未然防止ということを考えたときには、学級づくり、子供たちの人間関係づくり、ソーシャルスキルも含めて学校で年間を通してガイダンス・プログラム、あるいはグループ・ダイナミクスを活用した活動などが導入されなければ未然防止にならなく、そういう面でいくとまさに教育である。
 次に、9ページでは、ガイドラインと同じように、スクールカウンセラーは心理に関する高度な専門的知見というところに、やはり心理・教育、あるいはそれでなければ学校において心理に関する高度なと、強調していただきたい。また、9ページのスクールカウンセラーの職務の(1)の最後の2行目の心理学的側面から学校アセスメントを行いというところに、心理学的、教育学的という記載にしてほしい。

【委員】  これまでの議論も踏まえて、この心理の専門家の心理というニュアンスが、教育領域、学校においての子供たちの心理関係者の、個人の心理だけでなく集団の心理、グループの心理も踏まえたところであるということを踏まえつつ、私の結論は、このままでいいと思う。

【委員】  17ページの上から4行目の民生委員、児童委員のところは、ここだけは中ポツになっていないので修正をお願いしたい。

【委員】  先ほど話であったガイドラインの最初の部分について、現在の地域・学校の実情を鑑みて全ての事項を盛り込むことは困難であると考えるという文は、できるだけ後ろの方に持っていって、そうであるけれども、このガイドラインに基づいて指針を作ってください、その上で確定後も改良、改善していくと、そういう流れにしてもらった方がいいと思う。

【委員】  ガイドラインに(試案)と付けてあるのは、いつか取れるのか。

【事務局】  こちらは試案という言葉は、このまま残る。今は今の配置状況を勘案して、今このガイドラインは作っているが、配置状況や理解が進んだ際には、ガイドラインを改訂していくということも考えられるので、試案と書いている。このガイドラインを全国の自治体にお示し、活動方針を各自治体の方で定めていただきたいという趣旨で、このガイドラインはまとめていただいている。

【委員】  15ページの上から10行目のスクールソーシャルワーカーは相談内容に応じての部分について、これを(ウ)の最後に持ってくとより説得力を帯びてくると思う。

【委員】  36ページの校長の役割というところと49ページで校長の役割というところについて、学校として、36ページはスクールカウンセラーとの協働ビジョンを作成、49ページは、もっと具体的に活動方針等に関する指針を作成となっているが、21ページ本文の校長の役割では、教育相談を学校運営の中に位置付けという表現になっており、こういったビジョンという言葉よりは、自校の教育相談体制の構築に向けての考え方といった形でまとめていただけるいいと思う。
 二つ目として、教育相談コーディネーターについて、本文の中に副校長、教頭といった形で管理職を入れているが、管理職を位置付けるのはどうなのかと思う。

【委員】  校長先生、教頭先生は、こういったことにかかわらず学校全体を見ていく必要がある立場だと思うので、主幹教諭は入ってもいいと思うが、副校長、教頭先生は教育相談コーディネーター役という文言は削除した方が適切ではないかと感じる。

【委員】  ここに書くか書かないかは、非常にメッセージとしては大きいというか、決定的だと思う。ある程度大きな学校では今の御意見でいいと思うが、子供の問題が起こる起こらないというのは、小さい学校が起こる確率少ないとか、そういう話ではないと思うので、比較的小さい学校でも大丈夫かというところまで考えないといけないと思う。
 チーム学校のこれまでの流れからすると、教頭先生や副校長先生がこれを担うと大変になってしまうので、管理職がやるのであれば、それ相応の職員であるとか、支援職員であるとか、いろいろな配慮のようなものを併せて書いていただかないと、今みたいな御意見というようなことになると思う。

【委員】  管理職が結果的に兼ねることになったとしても、形としては、教育相談コーディネーターは教員の中の誰かが担うといった形が自然かなと思う。外部機関とのいろいろ折衝とか何かのときに管理職が出ざるを得ない場面というのは、それはコーディネーターとして出るわけじゃなくて、管理職として、学校の責任者として出ることになると思う。人材がいないのは確かなので、なかなか現実の状況にマッチするかどうかというのはともかくとして、原則、管理職は除いていただけるとありがたいなと思う。

【事務局】  これは最後の学校の実情に応じて柔軟な対応というところに全てが表されているので、一番ふさわしい人にしてくださいという意味で、別に管理職が全部、相談を実際に対応するわけではなくて、外とのつなぎとか、全体で会議を開くという仕切りだけをやるというやり方もあるし、実情に応じて、規模に応じて、教職員の構成に応じてやってくださいというような意味であることを御理解頂きたい。

【委員】  学校の実情になればいいが、設置者ごとに判断が分かれるみたいなことになると、ちょっと問題だと思う。ある市町村は管理職ベースにこれを作って、ある市町村は一般教員、これベースに作ってといったように、ぶれが出るということが起こる可能性があり、それはないようにしてもらわないとまずいと思う。自治体が作る方針というのは、ある程度、日本全国共通であって、その自治体の中の設置の学校の規模とか実情に応じて、今の議論というのがあればいいが、書き方を間違えると、自治体ごとに、バランスが崩れるようなことが起こるのではないかというのが心配である。
 学校の実情というのは分かるが、制度としての固め方は、国の議論の方がある程度責任を持たなくてはならなく、余り自治体で柔軟にとか、学校で柔軟にと言って、いろいろなランダムな実態が表れてくるのは、ちょっとまずいと思う。そういう方向にならないようにというところで、はっきりメッセージを記すべきであると思う。

【委員】  今までの議論を聞くと、この文章のままがいいのかなというのは、私の意見。ただ、今幾つかの議論というか、御意見があり、今までの議論に戻るかもしれないが、それがそうであるならば、そういう議論をしないといけないと思う。

【委員】  学校の校務分掌とかそういったものを考えたときに、学校規模によって違ってくるのは当然あると思うが、基本的には、やっぱり教諭のレベルで学校分掌の項立てをしていることから、校長に代わって、広い意味で学校の運営ということを考えたときには、やっぱり副校長なり教頭なりの役割があるかなと思う。
 それと、教頭なり副校長の職務というか、多忙というか、そういうことを考えたときに、主観的であるが、また新たにこういったものを付けることがどうかと思う。

【委員】  議論し出せば、そして、とりわけガイドラインの方に踏み込みますと、各地の状況を背景に、いろいろな論点出てくると思うが、おおむね出ておりますものについて、事務局と調整させていただいて、最終報告という形でまとめさせていただきたいと思う。
  それでは、今後の進捗状況等々含めて、事務局の方からお話しいただきたい。

【事務局】  ワーキングも含めた、かなりの回数御議論いただきまして、御協力いただき感謝。まだまだ、これは成長している分野であるので、より良いものに、より良いものにと、我々も制度変更や運用の改善を今後やっていく。今日の文言等の修正は座長と、また御意見頂いた方に、ここはいいかという確認もさせていただく。そしてガイドラインの方は、まさにバージョン1.1という感じで、現実から理想に近付けながら、また、運用も見ながら、これをバージョン2.1にして、3.0にしていく。予算の確保の方は我々でしっかり頑張りたいと思う。
 今後も、これをきっかけに、皆さんにアドバイザーとして、こういう運用の、ちょっとここにこう書いたけれどもうまくいかない、どうしたらいいというサポートも、永遠にとは言わないが、引き続き御協力を頂く、御支援を頂くということを本当に心からお願いし、ひとまずの取りまとめということで、また次に向かって一緒に歩んでいきたいと思う。
 今後大きな相談体制の新しい姿を生んでいくので、一緒に育てていっていただければと思う。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第二係

電話番号:03-5253-4111(内線3289)

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第二係)