平成27年度英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会(第2回) 議事録

1.日時

平成28年3月25日(金曜日)9時30分~12時00分

2.場所

文部科学省 3F1特別会議室

3.議題

  1. 連絡協議会の当面の取組及び「民間の英語資格・検定試験の大学入学者選抜における活用実態に関する調査研究事業」調査結果の概要について
  2. 資格・検定試験団体における取組について
  3. 立教大学の取組について
  4. 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」について(報告)
  5. 「高等学校基礎学力テスト(仮称)」について(報告)
  6. その他

4.出席者

委員

多田座長、塩崎委員、島村委員、柴田委員、船津委員、大塚委員、根本委員、圓月委員、平方委員、小椋委員、松本委員、三橋委員、安河内委員、青山委員、山崎委員、四方委員

文部科学省

小松初等中等教育局長、常盤高等教育局長、伯井大臣官房審議官、塩見大学振興課長、橋田大学入試室長、小林国際教育課長、葛城英語教育改革プロジェクトマネージャー、齋藤主任学校教育官、今井高校教育改革PTリーダー、梅澤教育課程研究センター長、清原主任視学官、太田視学官、向後教科調査官、平木教科調査官、直山教科調査官

5.議事録

【多田座長】  定刻になりましたので,平成27年度第2回英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会を開催いたします。本日は,お忙しいところ御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 本日の第2回は,3つのテーマに従って会議を進めさせていただきます。まず,連絡協議会の当面の取組及び「民間の英語資格・検定試験の大学入学者選抜における活用実態に関する調査研究事業」の概要,調査結果について,事務局より御報告いただきます。続きまして,資格・検定試験団体における取組,立教大学における取組について御議論いただきます。最後に,「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」及び「高等学校基礎学力テスト(仮称)」について御報告いただく予定です。2つ目の資格・検定試験団体における取組の御発表後に,皆様から1人一,二分ずつ御意見をいただく予定ですので,よろしくお願いいたします。
それでは,事務局より配付資料の説明をお願いいたします。
 【齋藤主任学校教育官】  それでは,お手元の議事次第に沿いまして,配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の4番,配付資料というところを御覧ください。まず資料1でございますけれども,本連絡協議会及び作業部会の設置を,ステープラどめでとまっている資料でございます。
 続きまして資料の2関係が3種類ございまして,色刷りのA4の横になっておりますものが資料2,当面の取組でございます。それから,A4の縦判で資料2-2と書いてございますのが,作業部会における主な意見でございます。それから,資料2-3が通知の写しでございますけれども,27年3月31日に発出しました通知の写しでございます。
 続きまして,資料3関係でございますけれども,これは2種類ございまして,右肩に資料3-1とございますものが,調査研究報告書の概要でございます。その後にかなり分厚い資料で用意させていただいております資料3というものが,調査研究の報告書の本体でございます。
 資料4が,これは1つでございまして,英語力調査結果の概要でございます。
 資料5が,後ほど立教大学の松本委員に御説明いただきます資料でございます。
 資料6は,資格・検定試験団体の活動についてアップデートいただいた資料の取りまとめたものでございます。これもステープラで1つとまっているものでございます。
 資料の7関係が7-1から3までございますが,これは1つにまとまってございまして,こちらも基礎資料ということでございます。
それから,資料の8が,1枚紙の英語4技能の情報サイトの情報でございます。
 最後に,高大接続の関係で資料9-1から3までがひとまとまりの資料となってつけております。そのほか試験団体からの参考のパンフレット等をつけさせていただいております。以上でございます。
 【多田座長】  ありがとうございました。
それでは,議題の(1)に進みます。連絡協議会の当面の活動及び「民間の英語資格・検定試験の大学入学者選抜における活用実態に関する調査研究事業」の調査結果につきまして,事務局より説明をお願いいたします。
 【葛城英語教育改革プロジェクトマネージャー】  失礼いたします。私の方からは,3点ほど御報告をさせていただきます。まず,先ほど座長の方から御案内ありましたとおり,連絡協議会,作業部会における当面の取組について及び本日の会議のスコープについて御説明をさせていただきます。2点目は,作業部会におけます主な御意見について御紹介させていただきます。3点目は,民間の英語資格・検定試験における活用実態に関する調査事業に関して御報告をさせていただきます。使用させていただきます資料は,資料2,資料2-2,そして資料3-1と,この3つの資料を使って御説明をさせていただきます。
まず,当面の取組及び本日の会議のスコープについて御説明をさせていただきます。使用させていただきます資料は,資料2のスライドになります。資料2の下段の方,中段の方に,黄色の楕円(だえん)形で赤文字のものが3つございます。こちらが平成27年度におきます連絡協議会/作業部会における当面の取組でございます。まず一番左側の,得点分布と活用レンジに関する情報収集に関しましては,こちらは各試験団体の皆様より,第1回の連絡協議会にて御報告いただきました。真ん中の大学入試での活用に当たっての促進・阻害要因の分析・活用導入事例の情報収集につきましては,こちらはこの後私の方から御報告させていただきます。一番右側の,受験料負担や受験機会確保についての議論のための情報収集に関しましては,この後私の発表の後に,各試験団体の皆様よりアップデートされた情報を御報告,御提供させていただく予定でございます。この3点が,本年度におけます当面の取組及び本日の打合せのスコープでございます。
そして,平成26年度及び27年度に関しまして,資料2の真ん中の青い水色のボックスでございますが,情報共有という形で書かせていただいておりますが,26年,27年通じまして,3点ほど情報共有ということで実施させていただきました。1点目は,英語4技能試験情報サイトということで,こちらは平成27年1月31日より運用させていただいております。2点目の英語力評価及び入学者選抜における資格・検定試験の活用促進に関する通知に関しましては,平成27年3月31日付で発出の方をさせていただいております。3点目が,大学入学者選抜・教務関係事項連絡協議会につきまして,平成27年の6月10日,6月18日ということで,それぞれ1,000人,1,800人の入試関係者の方にお集まりいただきましたが,こういったものを通じて当連絡協議会等の情報発信に努めさせていただいた次第でございます。
 続きまして,作業部会におけます主な意見について御説明させていただきます。使用させていただきます資料は資料2-2でございます。縦書きのワードの資料になります。こちらの方,作業部会,松本主査の方におまとめいただきまして,主に6つの御意見を頂きました。それぞれ御説明させていただきます。まず一番初め,1点としまして,導入検討のポイントということで,なぜ民間の英語資格・検定試験を大学が導入するかは,大学自体も更に検討する必要かあると。例えば,「○○という人材を育てる。そのためにアドミッション・ポリシーとして英語力に関しては○○というレベルを求めている」といったものを各学部・学科でもう少し明確にする必要がある。ディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,アドミッション・ポリシーの視点からも検討する必要があるといった御意見を頂きました。
2点目が下段の方になりますが,受験料(検定料)の減額・補助制度でございます。こちらに関しましては,民間の英語資格・検定試験の受験料の減額補助制度については,試験団体と文科省の方で引き続き検討すべきであるという御意見を頂きました。児童・生徒や教員への減額,補助,助成の支援制度も継続してもらいたいという御意見を頂きまして,SGHにおける受験料支援についても再検討してほしいといった御意見を頂きました。
 資料2-2をおめくりいただきまして,2ページ目になります。3番目です。対照表・換算表についてでございます。各試験間の互換性(換算表)については,昨年から多く御議論いただきましたとおり,それぞれの資格・検定試験は,目的や主な受験者層が異なるので,国が策定するのは困難と思われるといった意見を頂戴いたしました。一方で,各試験団体に引き続きデータの御提供や御協力をいただき,CEFRとの対照(対照表)に関する情報の収集や提供を継続して行うべきであるといった御意見を頂きました。
そして,4点目でございます。実施上の課題について(特に「話すこと」(Speaking))についていただきました。多くの受験生が一斉受験するような試験を開発,実施するのであれば,大人数を短期間で採用するための方法や,「話すこと」の実施のための環境整備について,実施上の課題について改善検討も必要だといった御意見,御提案を頂きました。
そして5点目が,下段になりますが,高等学校教育への影響ということで,学習指導要領を踏まえた英語4技能の育成のための授業の位置付けや,授業の効果を測定するにはどのような試験がよいかということは,高校側も検討すべきであるといった御意見を頂きました。民間の英語資格・検定試験は様々なものがありますので,その中で各学校に合ったものを選択するのも必要といった御意見を頂きました。
おめくりいただきまして,最後6番目のポイントになります。最後のページになります。本取組に関する情報共有・拡散につきましては,英語4技能情報サイト等,情報共有に努めているが,イベント,例えばシンポジウム等も含めまして,何か更にインパクトがあることも検討すべきであるといった御意見を頂きました。今回の「民間の英語資格・検定試験の大学入学者選抜における活用実態に関する調査研究事業」についても,これ自体についても幅広い周知が必要だといった御提案を頂きました。この6点が,作業部会における主な御意見で,四角囲み以外にも様々な御意見を頂きましたので,併せて記載をさせていただいております。
 続きまして,3番目としまして,資料3-1を御覧ください。こちらの方は,続きまして民間の英語資格・検定試験の大学入学者選抜における活用実態に関する調査研究事業(概要)について御説明をさせていただきます。1番の調査の目的・概要でございますが,今回のこの本連絡協議会における議論を受けまして,3点のアプローチをいたしました。まず1点目としまして,大学入試における民間の英語資格・検定の活用に関する調査,こちら国公私立大学様695校に御協力いただきました。そして2番目としまして,活用を行っている大学への個別インタビューということで,9校の大学様にお伺いいたしました。そして3番目としまして,民間の英語資格・検定試験に関する学生の受験状況及び意識調査ということで,こちらの方,国公私立大学生の1万3,514名の方に御協力いただきました。
 具体的なリサーチ内容としましては,大学サイドにおかれましては,活用状況ですとか活用方法,活用している理由,活用されていない理由などをお伺いしました。学生の方には,民間の資格・検定試験の受験の有無,そして受けたことがある方に関しては,所有スコアレベルとか,こういった民間の英語資格・検定試験を入試に活用することに対する意識等を調査・分析を行った次第でございます。
 主なポイントは,2番目の調査結果・概要の方に記載させていただいているとおりではございますが,次ページ以降,データを見ながら少し補足説明をしながら御説明をさせていただきます。おめくりいただきまして,2ページ目を御覧くださいませ。2ページの下段の方にローマ数字1-1,活用状況ということで四角囲いをさせていただいております。活用しているのは,現状で43.6%。ただし,その内訳としましては,推薦入試が29.2%,AO入試が24.2%という一方で,一般入試ではまだ6.3%の導入にとどまっているというのが現状でございます。そして,次のページ,3ページ目です。下段の方になります。こちら,活用している理由と活用していない理由になります。まず活用している理由になりますが,一番多かった理由は,より優秀な,グローバルで意識が高い学生を確保するためというのが一番多い理由でございました。
おめくりいただきまして,4ページになります。次は,活用していない理由になります。活用していない理由に関しましては,一番多かった理由としては,自校で行っている入学者選抜の方法で十分と考えているというのが74.2%で,最も多い理由でございました。その内訳としましては,中段に記載をさせていただいておりますとおり,一番多いのが4技能の能力を測定しなくても,優秀な学生が確保できる。そして,現行のカリキュラムでは4技能の能力を必要としないというのが主な理由でございました。また,活用していない2番目に多い理由としては,一番上段にまたお戻りいただきまして,現在の選抜方法では十分ではないが,民間試験導入は困難といった御意見を頂きました。これの内訳は,このスライドの一番下のところに主な詳細の内訳を記載しておりますが,具体的には適切な合否ラインの設定が困難ですとか,民間の資格・検定試験の内容や評価方法に関する情報が不足しているといった理由が挙げられました。
スライド5ページ目にまいります。活用されるために必要なこととしまして,合否,加点ラインについて,現在御設定いただいているところについて御回答いただきました。現在設定していただいているラインとしてはB1が最も多く,44.9%。A2相当が35.3%といった割合になっておりました。そしてまた,活用するにはどのような条件が必要ですかという質問に対しましては,一番多かったのが,適切な合否ラインの設定を行うための情報というのが一番多くて,続いて民間の英語資格・検定に関する情報というのが2番目の理由でございました。
おめくりいただきまして,ローマ数字2,大学インタビュー調査についてでございます。こちら,各大学様に様々な御協力をいただきまして,既に民間の英語資格・検定試験を入試に活用されている大学様にインタビューを行いました。なお,9つの大学様を選ばせていただきましたが,これは幾つかの観点,例えば地区ですとか,国公私立の区分ですとか,導入方式,英語免除ですとか出願要件,みなし満点といった導入方式のその様々な観点から,多様な内容になるように,9校にインタビューをさせていただきました。
 次のページにまいります。7ページになります。頂きましたインタビューの中から,主な御意見としましては,一番上のボックス,導入の経緯になりますが,こちらは学長ですとか学部長さんのリーダーシップのもとで導入されたですとか,現在独自で行われている試験への実施の限界ですとか,大学の国際化推進の方針ですとか,高大接続の4技能化の方向性を鑑みてといった御意見が多かったです。2番目の箱になります。意義と効果についてでございます。こちら,高校生の英語力向上に役に立っているという,よいウォッシュバック効果を起こしたいといったような声が多くございました。そして,このようなことを行うことによって,大学が4技能を求めているというような情報発信につながるといった御意見も頂きました。
 四角囲いの3番目になります。活用方法,試験の選択,合否ラインの設定に関してでございます。こちらは多くの大学がCEFRの対照表などを参考にされながら設定していて,またそれをベースに独自の合否ラインを設定されている大学さんがございました。
 四角の4番目でございます。活用に当たっての課題でございます。一部の試験に関しましては,レベルが高過ぎるといったお声もございましたし,現時点ではまだ発生しておりませんが,事務処理が今後場合によっては増える可能性もあるといったような御意見も頂きました。
一番下の四角になります。今後の展望についてでございます。こちらは大学の入学者選抜において4技能が求められる一方,高校,授業での取組が更に重要,必要になるといった御意見を頂きました。そして,入学後に学生の期待に応えられるようなカリキュラム開発も重要であるといったような御意見を頂きました。なお,インタビューの詳細内容につきましては,お配りさせていただきました資料3,少し厚めの冊子になります。この厚めの冊子の中の51ページから133ページに,具体的にさせていただきました御質問内容,そして各大学様に入試御担当責任者,場合によっては学部長に出ていただきまして,多大なる御協力をいただきまして,導入された経緯ですとか,現状ですとか,また今後の展望ですとか,そういったものを御回答いただきましたので,お時間のあるときに是非御一読いただければと存じます。
もとの資料に戻っていただきまして,8スライド目になります。3番目,学生アンケート調査についてでございます。こちらは次の9ページ目以降で御説明をさせていただきます。9ページ,ローマ数字3-1でございます。1万3,514名の学生の皆様からアンケートを御回答いただきました。そのうちの5,043名,37.3%が受験経験がありと御回答いただきました。CEFRのレベルではA2相当が43%,B1相当が31.9%ということで,こちらは資料4の高3の英語力調査,文部科学省の方で実施させていただいている英語力の調査でございますが,こちらの結果と比較しますと,比較的英語力が高めと言えるような状況が出てきております。
そして,下段の方になります。民間の資格・検定試験を受けた理由,受けなかった理由でございます。まず,受けた理由でございますが,一番多かったのが,学校の学習活動の一つとしてと。要は授業の一つとしてやってますというのが一番多くて,その次に個人のスキルアップのためという形で,自発的に受けましたという方が2番目に多い回答でございました。
おめくりいただきまして,10ページ目になります。逆に今度は受験をされなかった理由でございます。第1位が,試験を受験する必要性がなかったから。2番目が,英語が苦手,若しくは嫌いだからといった理由でございました。そして,中盤になりますが,大学入試に活用したかどうかという話でいいますと,民間の英語の検定試験のスコアが高いほど,積極的に入試に活用している傾向がございました。
そして,続きまして11ページになります。活用しなかった理由でございますが,一番多かったのが,自分の点数が大学が求める基準に達していなかったというのが25.8%という形で一番多いような状況でございました。そして,個別試験でよりよい点が取れる自信があったというのは111名で,全体の5%弱という形でございました。そして下段の方,じゃあ今後,民間の英語資格・検定試験が大学入試で使いやすくするにはどのようにしたらいいですかという質問に対しましては,より多くの大学が民間の英語の資格・検定試験の結果を入試に活用するようになるというのが一番多くて54.7%という形でございました。なお,御参考までにお伺いしたんですが,どのくらいの受験料が望ましいですかという回答に対しましては,平均値として3,739円といったデータもいただきました。
おめくりいただきまして,12ページ目になります。志望校を決める際に,学生の皆様が取得した民間の英語資格・検定試験が入試に活用できるかどうかという観点が影響したかという質問に対しましては,現時点では52.7%が全く影響しなかったといった回答をいただいております。そして,民間の英語の資格・検定試験を活用して入試できる大学が増えることが,高校生に有益だと思いますかという質問に対しましては,「有益だと思う」,そして「まあまあ有益だと思う」という合計が65.7%,人数で申し上げますと8,583名という形になりました。そして更に65.7%の内訳のうち,38.1%の学生の方が,民間の英語検定試験の未受験者であり,こういった点を踏まえますと,民間の試験の受験の有無によらず,民間の英語資格・検定試験が大学入学者選抜に活用されることは,高校生側にとっては有益であると考えられている傾向が見られました。
そして,どのような活用法がいいですかという質問に対しましては,下の棒グラフになりますが,順番に英語免除,出願要件,点数加点,みなし割合,みなし満点といった順番の優先順位でございました。
 資料3-1の1ページ目に戻っていただきまして,もう一度サマライズをさせていただきますと,ポイントとしましては各大学さん,実は活用されている大学さんも活用されていない大学さんも,両方とも優秀な学生が欲しいという御回答。一方で,学生さんの方ですが,CEFRのレベルでは,民間の資格・検定試験の受験経験のある学生の英語力のレベルはCEFRではA2,若しくはB1という形で比較的高いと。そして,個人のスキルアップのためと回答された学生も29.6%おり,学習意識も比較的高いというような状況になっております。こういった点を鑑みますと,一番下の点線囲みであります。こちらは考察になりますが,活用している大学も未活用の大学も,優秀な学生がキーワードとなっておりますが,英語の民間の資格・検定試験が受験者の英語力及び学習意欲を鑑みますと,民間のこういった試験の活用は,優秀な学生確保の有効な手段の1つとなり得るのではないかというようなことが考察して導かれました。
 済みません,早口で長くなりましたが,以上で説明の方を終了させていただきます。ありがとうございました。
 【多田座長】  ありがとうございました。
 次に議題(2)資格・検定試験団体における取組につきまして,各団体よりそれぞれの試験に関して,資料2に掲げられている観点などにつきまして,9月の連絡協議会以降の進捗状況を中心に発表いただきます。恐縮ながら,各団体の割り当てた時間を厳守しながらよろしくお願いいたします。
 最初に,ケンブリッジ大学英語検定機構の青山委員,よろしくお願いいたします。
 【青山委員】  ありがとうございます。
それでは,まず1番のスライドを御覧ください。試験に関する情報更新,スコア化ということで,資料を順に御説明してまいります。全ての試験の成績が,Cambridge Englishスケールという1つの尺度で表されるというものですが,2月の試験から完全導入されております。5つの試験同士はもちろんですが,私どもが開発しておりますIELTSとのスコアも,これにより可能になっております。
また,スライドの3枚目と4枚目ですが,資料の場所はお分かりになりますでしょうか。
 【葛城英語教育改革プロジェクトマネージャー】  資料6になります。
 【青山委員】  よろしいですか。
3枚目と4枚目のスライドですけれども,このような形でスケールが理解しやすい成績表示になっております。
それでは,5枚目,新センター誕生,こちらのスライドを御覧ください。昨年11月よりZ会グループの会社であります,基盤学力総合研究所が新試験センターとして加わっておりまして,その分試験会場が増え,今年度は全国12会場で実施するようになりました。3月23日に日本初公開テストでのCBTの受験も,同センターにて滞りなく終わったという報告を受けております。
6枚目のスライド,受験料についてです。各試験センターに設定する裁量があるということで,多少ばらつきはございますけれども,こちらにお示ししております参考価格は,一番多数の試験センターが採用している価格です。新試験センターもこちらの料金を採用しております。
 次に,導入事例です。2.1でお示ししておりますのが,まず工学院大学附属中学校・高等学校,こちらの学校に採用していただいておりまして,また鹿児島の池田中学・高等学校でもこのような形で,ヤングラーナーズ(YLE)からずっと使っていただくというようなこともしていただいております。2.2では,大学の2017年度の導入のニュースを掲載しております。
 次に,今までの入学者選抜における活用の一覧ということでまとめております。
2.3の神戸市外語大とのパートナーシップですが,昨年同大学がJALT(全国語学教育学会)分野別研究部会の会場となった際に,スピーキングテスト試験管のトレーニングを行いました。そのときに,実際ボランティアで外語大の学生さんに御協力いただいたことが御縁で,このような形での公立大学とのパートナーシップが発足しておりますという報告です。
 次の,よくある御質問では,よく入試室の方から受ける質問ですが,学校が会場の場合,「テスト運営のセキュリティーは大丈夫ですか」というものです。こちらに書いてありますように,試験監督者は事前にトレーニングを受けているスタッフのみ対応できるということもありまして,かなりセキュリティーは高いとお考えいただいてもよろしいかと思います。
 最後のスライドにありますように,私どもは試験実施だけではなく,様々な活動をしております。ケンブリッジ大学出版と一緒に,ケンブリッジの総力を挙げて,教員の方の能力向上のお手伝いですとか,大学入学希望者学力評価テストの問題イメージ作成に関する調査研究委託事業の受託など,幅広く活動しておりますということを最後に報告させていただきました。以上です。
 【多田座長】  ありがとうございました。
 続きまして,日本英語検定協会の塩崎委員,お願いいたします。
 【塩崎委員】  それでは,私の方から,弊会主催のテストでございます,英検・TEAP・IELTS,3つのテストにつきまして御報告をさせていただきたいと思います。下の黒のページ番号8ページ目を御覧いただけますでしょうか。来年度から様々な改善を進めてまいりたいと思います。8ページ目の上段,まずリニューアルを予定させていただいております。目玉となりますのが,4つほど書いているうちの2級のライティング導入による4技能化,そして4・5級のスピーキング導入というところでございます。
 下段にまいりまして,まず2級のライティング導入でございますが,こちらは4技能化をさせていただきまして,その上の準1級・1級もライティングのタスク,マイナーチェンジの方をさせていただきたいと考えております。
 続きまして,ページをめくっていただきまして9ページ目の上段を御覧ください。4級・5級,なるべくたくさんの方にスピーキングの機会を提供したいということで,来年度第1回からスピーキングテストを導入させていただきます。こちらは下段にまいりまして,1級から3級までの現状のスピーキングテストと多少違う点がございます。合否に関係なく,誰でも受けていただけるという点,それから,パソコン,スマートフォン,タブレットなど,録音形式で自宅や学校などいろいろなところで受けていただける点というところが違う点でございます。なるべくたくさんの方に機会を提供していただきたい,そのような観点でございます。
 右にいきまして,10ページの上段,それから下段に,4・5級のスピーキングテストのサンプル問題を掲載させていただいております。おなじみのこちらの面接カードがございますが,パッセージのリードアラウド,それからパッセージからの質問,イラストからの質問,そしてパーソナルクエスチョンというような構成になっているというところでございます。
ページめくっていただきまして,11ページ目の上段,もう一つ大きな改定ポイントでございます,CSE2.0のリリースを来年度第1回から始めてまいります。今年度から合否とともにCSE1.0の付与を始めておりますが,来年度より英語力評価,大学入学者選抜への活用を見据えたより精密なスコア,CSE2.0での合否判定を含めて進めさせていただきたいと思っております。そして,大学入学者選抜への導入が英検もどんどん進んでいくに当たり,より堅牢(けんろう)な試験体制をとっていくということで,下段にございますとおり,ICレコーダーを面接試験に導入させていただきまして,録音をさせていただくというところもスタートさせていただきます。
 右側にいきまして,続きましてTEAPの御案内でございますが,TEAP,今年度もたくさんの方に受けていただきまして,30%増の1万3,000人の受験者ということになりました。下段にまいりまして,来年度10月,ついにTEAPのCBTバージョンの方もリリースさせていただきます。TEAPのコンセプトを継承しつつ,CBTの特性を生かし,複数の技能を統合的に運用する能力,ICTを活用した思考力・判断力・表現力などを要する出題を行い,更に実践的な英語運用能力を測定するテストとして開発をさせていただきたいと思います。後ほど資料の7-1を御覧いただく機会がございましたら,こちらにTEAP CBTのCEFRとの対照表の方も掲載させていただいているというところでございます。
ページめくっていただきまして,13ページ目の上段,今度はIELTSになります。世界の受験者数,日本の受験者数,共に毎年非常に伸びている試験でございます。スーパーグローバル大学,グローバル人材育成推進事業に採択された大学様におきましても,留学生入試を含む約9割で各種入試の一部としてIELTSの方を採用いただいているというところでございます。
 下段にまいりまして,英検・TEAP・IELTSの近年の主な活用事例を掲載させていただいております。一番右側に星印で,来年度以降新しく導入をしていただくパターンの御紹介をさせていただいております。お気付きのとおり,TEAPの採用というのが非常に進んできておりますので,来年度CBTも含めて,引き続き採用が進んでくるものというふうに思います。様々な改善を行いながら,今後とも営業力評価及び大学入学者選抜への活用を見据えて,改善の方を進めていきたいと思っているところでございます。以上,英検からの御報告になります。
 【多田座長】  ありがとうございました。
 続きまして,ベネッセコーポレーションの山﨑委員,お願いいたします。
 【山﨑委員】
ベネッセの山﨑でございます。本日はありがとうございます。本当にこの連絡協議会の動きを受けまして,高等学校の現場においては急速にこの4技能への意識が高まっていると思っております。私どももしっかり学校現場に寄り添いながら,この英語の4技能化を進めていくことの一端を担いたいと思っております。
それでは,GTECの担当責任者の込山から,商品の御報告をさせてもらいます。
 【込山氏】
 私,込山智之より御報告させていただきます。15ページをお願いいたします。まず上段を御覧ください。私からはGTEC CBTとGTEC for STUDENTSについて進捗を御報告します。左側のGTEC CBTは,パソコンによる4技能オールインワンのテストになっており,大学入試のための厳密な検定になっております。右側のGTEC for STUDENTS,こちらは紙,そしてスピーキングはタブレットということで,学校の中での指導改善,主にアセスメントとしての機能で使っていただいているテストになっています。これらを順に御説明を差し上げます。
それでは,まずGTEC CBTについて御説明させていただきます。下段を御覧ください。大学入試における活用大学数の推移について御説明いたします。1年前の入試に関しましては20大学だったところ,現高校3年生の入試では49大学。そして,今の高校2年生の1年後の入試では59大学という形で増えてきております。9月の御報告時には,この高校2年生の一番右側の部分は49大学でしたので,この半年間の中でも更に10大学増えている,つまり4技能の導入する大学数が増えてきているという傾向も見えると思っております。右のページの上段に関しましては,その59大学のうちの内訳になっております。国公立が19大学,そして私立大学が40大学という状態になっております。
 続いて下段を御覧ください。パソコンを2人の女性が見ているページになっているかと思いますけれども同じタイミングで異なる問題を解いております。こちらは夏の7月回から全3回,リーディングとリスニングに関してはComputer Adaptive Testingということで,受験者の英語力に応じて,英語力の高い生徒さんにはしかるべき高い問題が,それほど高くない生徒さんに関しては比較的易しめの問題が出題されています。このような形式でしっかり推進しながら,この連絡協議会における主要な検定においては唯一の技術を用いた最先端のテストということで運営しております。
19ページまで進めていただけますでしょうか。19ページの下段に,CBTの受験者層のレベル感を示すものをお示ししております。先ほど葛城様より,学生アンケートで,やはり外部検定試験を使う学生の英語力は比較的高めであるとありました具体的にはA2,B1が多いということですけれども,こちらもまさにその傾向が出ておりまして,パーセンタイルの積み上げのグラフからは,A2に関しては51%,そしてB1に関しては16%,合わせて7割程度がやはりA2以上の生徒になりますので,まさに先のアンケートの傾向は,GTEC CBTに関しても出ていると感じております。
 続いて,20ページの下段を御覧ください。GTEC for STUDENTSの説明に移ります。こちらは学校現場からの御支持をいただきまして,今年度まず3月末には81万人の受験者は全て超える予定になります。本当に高校生にとって受験者数が最も多い英語検定にようやくなることができました。こちらは文部科学省様の現行の学習指導要領に基づきコミュニカティブな指導がしっかり定着し始めているというところも,こちらの検定の人数が増えているところに十分関連していると確信しております。
 続いて,21ページの上段を御覧ください。特にコミュニカティブな指導という観点で,弊社独自の取り組みとしまして,「GTEC通信」という形で約10年間,1か月1事例という形で学校の事例を収集しております。こちら,特に赤囲みしている7事例,直近1年未満の事例になりますけれども,スピーキングやICTを活用したアウトプットの活動という内容が多くなってきておりまして,そのような学校が,これまでは特別な学校という位置づけでありましたが,他の多くの学校においてもSpeaking活動に取り組むことが普通になっているという点で,スピーキング指導も徐々に広まりつつあると思っていただければと思います。
そして,下段になります。その評価の観点において,当連絡協議会の作業部会でも話すことの評価の環境整備という話が出ておりましたけれども,1人1台のタブレット端末で,学校で全員受験ができるということで,紙面に掲載しているタブレットのスピーキングテストが今急速に広まっておりまして,2013年のリリースから2年目になりますけれども,既に数万人が受けているような状態になっているとその環境変化を把握していただければと思います。
そして,22ページの下段を御覧ください。先ほども資料を基に葛城様よりお話がありました,「英語教育改善のための英語力調査」に関しまして,平成26年度に引き続き,平成27年度も高校3年生対象,に加えて中学3年生対象の両調査をベネッセコーポレーションで受託しております。これもGTEC for STUDENTSをベースにしたテストということで,我々の方で取り組ませていただいております。
そして23ページの下段に,具体的に中学生の英語力調査の問題を掲載しております。中学3年生にも高校3年生と同様にタスクベースの,実際に遭遇し得るような場面で使える英語の力測るテストを御提供しております。また最後に,紙面にはございませんが,大学入学者選抜学力評価テスト(仮称)のにおいても大学入試センターから受託を受けておりまして,問題イメージの作成・納品にも努めております。引き続きGTECを通じた御支援を続けて参りたいと思っておりますので,引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
 【多田座長】  ありがとうございました。
 続きまして,国際教育交換協議会の根本委員,よろしくお願いいたします。
 【根本委員】  それでは,国際教育交換協議会(CIEE)の根本から,TOEFL iBTテストについて御説明させていただきます。24ページからになりますが,25ページの方をおめくりいただきまして,上段からになりますけれども,まず試験についてですが,TOEFL iBTテストについては,2005年9月の導入時からコンピューターのテスト,それから4技能,スコアが均等ということで実施をされております。
 評価方法について若干書かせていただいておりますけれども,先ほど作業部会の方の御意見ということで,採点の中で,機械による採点も検討してほしいという御意見が出ておりましたけれども,TOEFL iBTテストについては,現在ライティングについて自動採点プログラムを導入しております。それと公式テストではありませんけれども,オンラインで行う模試については,スピーキングについても採点を行っているという形で,自動採点の方もTOEFLの方は既に導入されているという段階になっております。
 受験費用の割引についてですけれども,そちらに記載させていただきましたが,小中高,英語の先生方を対象に,特別受験制度ということを3年前から実施をしております。
 下段になりますが,試験会場についてですけれども,現在33都道府県88会場で,年間の運営をさせていただいております。
26ページの上段には,テストセンターの御案内がされておりますけれども,会場については広く募集され,管理するプロメトリック株式会社の方できちんとしたテストセンターの運営がなされているというところで,資料を掲載させていただいております。
26ページ,導入事例,下段のところからですけれども,こちらに2つ学校さんの取組を,私どものサイトに載せている事例を掲載させていただいております。
おめくりいただきまして,27ページでありますが,やはり上段の方に,その他各高校様の事例を掲載しております。特に大阪府においては,骨太の英語育成事業ということで,こちらにも三国丘,北野高校さん2校掲載させていただいておりますが,トップ校17校,全てTOEFLのコンテンツを利用した英語力の育成事業を図っているということがなされております。
 下段にいきまして導入事例ということですが,私どもCIEEで隔年で実施をしております,iBTスコアの利用実態調査というものがございまして,2015年に行いました結果を,その前の結果と対比で掲載させていただいております。資料にもありますように,活用校については,返答いただきました547校中257校が活用いただいているということで,国立,公立,私立大学それぞれの数値を掲載させていただいております。
 入試形態別ですけれども,27の下段の右側のところになりますが,一般入試については,こちらの返答で51校ということになっております。これは先ほど葛城様から御説明がありました内容で,一般入試の導入6%というところですが,ほぼこの数値はそれに等しいものでありますので,今一般入試で導入されている大学様については,TOEFL iBTはほぼ導入されているという実情があるかと思います。
28ページの上段になりますけれども,こちらが今,一般入試における活用状況ということで,御返答がありました大学様の名前と,利用方法等について掲載させていただいております。利用方法については,出願要件,あるいは加算,満点換算等,あるいはスコアについてもそちらに掲載されたとおりになります。こちらの方の詳細については,本日の一番後の資料になりますけれども,冊子の形でTOEFL iBTのテストスコア利用実態調査報告書をそれぞれの方にお付けしておりますので,お時間のあるときに御覧いただければと思います。なお,こちらには掲載しておりませんが,大学の中でも単位,それから卒業要件ということで活用されておりますので,それらの情報もこちらの調査報告には記載がございますので,是非御覧いただければと思います。以上です。
 【多田座長】  次に,グローバル・コミュニケーションズ&テスティングの小椋委員,よろしくお願いします。
 【小椋委員】  そうしましたら,資料31ページから,資料に沿って御説明をいたします。昨年9月ですけれども,この会がありましてからの変更点を中心に,そこに絞って御案内をいたします。
とはいいますものの,TOEFL Junior Comprehensive,31ページの下になりますが,TOEFL iBTと全く同じテスト設計思想のもとでできたものでございまして,レベルでいいますと,CEFRのB2まで測定ができるテストということで,日本の高校生にはちょうどのテストであるというポジショニングのテストでございます。
32ページに移っていただきまして,来年度ですが,4月からですけれども,公開テストと団体受験テストという2つのテスト実施を提供しておりまして,公開テストに関しましては,左にございますが,7月と12月の2回実施をいたします。受験料その他はそこにあるとおりでございまして,全国の47都道府県で実施をいたします。団体受験の方は毎月実施が可能になっておりまして,各月ですけれども,ここに出ている期間の間で受験いただけるというところでございます。受験料に関しましては,来年度も,今年度も同じ価格だったんですが,ここに明記している価格で団体受験を実施していただけます。
 次のページですが,大学での入試の活用事例ということで,9月の後,新たに明治大学様を始め大学での入試活用が進んでおります。この資料を御提出した後なんですが,幾つかまた新たにテスト活用をということで御連絡いただきまして,国立大学でも東北大学様,あとは広島大学様などでTOEFL Junior Comprehensiveを活用しようということで,アップデートをいただいております。入試もそうなんですが,33ページの下になりますが,スーパーグローバルハイスクールにおいても4技能のテストをということで活用が進んでおりまして,ここに事例として出しておりますけれども,徳島県立の城東高等学校様で,TOEFL Junior ComprehensiveのIPテストと申しますけれども,いわゆる団体,学内でやっていただくテストということで御活用をいただいております。9月からのアップデートに絞りまして,以上,御報告いたします。
 【多田座長】  最後に,国際ビジネスコミュニケーション協会の三橋委員,よろしくお願いします。
 【三橋委員】  それでは,TOEICにつきまして報告させていただきます。資料は34ページから最後までとなりますけれども,途中赤字で書かれている部分が前回の報告から更新されている内容ということになりますので,そのように御覧ください。
まず35ページのテストの内容に関する情報更新でございますけれども,基本的に受験料関連での変更はございません。
35ページの下のところに書いてございますけれども,実施形態といたしまして,TOEICの場合,公開テストはリスニング・リーディングとスピーキング・ライティングは別実施でございますけれども,スピーキング・ライティングの方は,これまで必ず同日に両方受験しなければならなかったものが,スピーキングのみの受験が可能になったということが新たな変更点でございます。ライティングのみの受験というのはありません。それからもう一つ,こちらは昨年の11月に公式に発表しておりますけれども,リスニング・リーディングの方の試験内容が一部変更といいますか,従来の形態は維持したまま,一部新しい形式の問題が加わるということで,アップデートされたということになっております。これは今年の5月の公開テストから,こちらの新しい形式の問題がスタートするということになっております。ただし,内容は変わりましても従来の評価スケールでございます10点から990点のスコアの持つ意味,従来の500点と5月以降の500点は全く同じ意味であるということは変化ございませんので,その点は改めてここで御報告申し上げます。
36ページ目以降で,大学等での導入事例を御紹介しておりますけれども,TOEICの場合,どうしてもビジネス界で多く使われるということで,そういった社会に出てからということを見据えた活用が大学では多いんですけれども,その中でも特に今回は,入試,それから単位認定,進級・卒業要件,そういったところで御活用いただいている事例を,こちらでは御紹介させていただいております。
あと,今回こういった形で大学の入試でもTOEICが一部使われるようになったということでございまして,それを受けまして,今まではそれほど導入が多くなかった高校におきましても,TOEICを導入するという事例が幾つか増えてきております。顕著な例といたしましては,この後御発表されます立教大学様がいち早く使われるようになったということで,立教大学への進学希望者の多いような学校,具体的な名前を出しますと,まさに立教女学院のような,そういった高校が大学の入試に対応するということで,高校でもTOEICを活用するといったことが,今回新たな動きとして出ております。こういった事例が幾つか他の高校にも見られますので,TOEICが高校でも広がりつつあるという事例になるかと思います。私の方からは以上になります。
 【多田座長】  ありがとうございました。
ここで若干質疑の時間をとりたいと思います。後ほど意見交換の時間をまとめて設けたいと思いますが,現時点で議題(2)の文部科学省からの説明及び議題(3)の各試験団体からの発表内容につきまして,特に何か御質問があればお願いいたします。いかがでしょうか。松本委員。
 【松本委員】  英検さんにお伺いしたいんですけれども,よろしいでしょうか。12ページの上段の部分なんですけれども,1万3,126人とのことですが,これについての質問が3つあります。1つ目は,これは2回以上受けている方も含まれていると思うんですけれども,実数というか,受けた人の数を教えていただきたいということ。もう一つは,この人たち全てスピーキングを受けているのかということを教えていただけますか。それからあと3番目に,その下段のCBTについてですけれども,これは今までのTEAPとは点数のスケールが違うんですよね。これは今後,併存すると考えてよろしいのかという,3点です。簡潔にお願いします。
 【塩崎委員】  ありがとうございます。まずこちらの人数は,実数ではなく延べ人数でございます。内訳の方は,今のところ一般公開はいたしませんが,大学様から御要望があれば,お伺いしてお答えするというポイントでございます。それから,この内訳でございますが,昨年度よりはかなり4技能を受けた方が多かったということでございます。具体的な内訳につきましても,こちらも一般公開をしておりませんので,またお伺いして。ただ,来年度はより4技能を受けていただく方は非常に増えてくるというふうに予測をしております。それから,TEAP CBTとTEAP,こちらはTEAPの遺伝子を継いだテストではございますが,問題の内容がよりCBTならではではかれるものを含んでおりますので,こちらはスケールも違いますが,しっかりとした換算はございますが,併存をしていくというような形で進めていきたいというふうに思っております。以上でございます。
 【松本委員】  ありがとうございます。
 【多田座長】  ほかにはいかがでしょうか。安河内委員。
 【安河内委員】  本当は皆さんにお伺いしたいんですけれども,とりあえずTOEFL iBTさんにお伺いしてよろしいですか。大学での導入例を見ると,例えばこの地方国立大の英語試験免除の基準は,TOEFL iBT100点です。一方で他大学では40点のところもあるんですね。これはTOEFLさんだけではないんですけれども,いろいろな試験で,得点の設定がどう考えてもちょっと高過ぎたり低過ぎたり,そういう事例をたくさん見るんですよ。試験機関さんから,試験の得点設定とかレベル感に対する大学への説明をしっかり行った上で行われているんでしょうか。こういう得点設定というのは,大学に対して,例えば,この地方国立大学さんに対してやられているんでしょうか。
 【多田座長】  お願いします。
 【根本委員】  それでは,根本の方からお答えさせていただきますが,導入事例で今,名前が挙がっている大学さんがございますので,大学さんからお問合せがあれば,当然説明もしますし,それからどういうスコアの利用があるか,実態事例も当然ありますので,お話しすることもできます。ただ,今私どもがいろいろな大学さんとお話ししている限りでは,入試の部門と英語教育の部門というのは,それほど密接に関係性がない。あるいは,学内では関係性がおありになるんでしょうけれども,外部にはやはり入試関係のところの情報というのが,非常にセンシティブになさっているケースがあると思います。私どもの方ではもちろん御説明もできますし,お話しすることもできるんですけれども,同時に問合せが全くされないで設定をされた場合に,それが目的が何で,どういう意味があるんですかということを私どもからあえてお聞きすることは,正直余りないですね。
 【安河内委員】  了解しました。ありがとうございます。前回も作業部会で話が出たと思うんですが,受験生の実情とずれた得点設定をされる大学って結構たくさんあると思うんです。やはり必要なのは,大学の入試担当者の皆さんに対して説明をする正式なイベント,シンポジウムのようなものですね。ここで推進するのであれば,同時に並行していっていかないといけません。4技能の試験を導入するのはいいんですが,生徒にとって余り適切でない得点設定,ばらばらの得点設定になってしまうと,私たちがやっていることと大学がやっていることがずれてしまうと思うんですね。だから,そういったイベント,シンポジウムなどを行うのはどうでしょうかと提案させていただきます。
 【多田座長】  ありがとうございました。
ほかには。圓月委員。
 【圓月委員】
Cambridge Englishさんに御質問したいと思います。6ページの下のところに関する質問です。教員の英語力向上支援にまで視野を入れた取組をしておられるのは,本日の配布資料を見るかぎり,Cambridge Englishさんだけで,御見識のある取組かと思いました。特にこの3つの中で,右側の方が大学教員の養成課程となっているのですけれども,100名以上の団体対象ということになると,簡単に利用するのが難しいように思います。利用実績及び成果などについて,少し補足説明いただけたらと思います。

【青山委員】  御質問ありがとうございます。なぜ100名以上かといいますと,こちらのコントラクトが日本支部とではなく,ケンブリッジ本部とになりまして,彼らが通常行っておりますのが国単位ですとかそういったものになります。ただ,日本でのこういった広がりも非常に注視いただいておりまして,実は今年度の取り組みですが,国立高等専門学校機構様にこれを実施してみたいということをおっしゃっていただいたので,100名ではないのですが,約40の規模で,パイロットとして実施することになっております。今後導入した段階で,どういった感想をお持ちなのか,そういったものをまたこういう連絡協議会の場等々で御報告できればと思っております。ありがとうございます。
 【圓月委員】  どうもありがとうございました。了解しました。
 【多田座長】  ありがとうございました。
まだ少し手が挙がっていますけれども,時間が押しており,後でまとめて質疑等の時間をとりたいと思いますので,それまでにまた今回のことを含めて,お考えいただければと思います。ただし,このセッションの座長コメントとしましては,今回の資料3,資料6を見ますと,資料3は,非常に多くの750校に対して調査を行ったとあり,それに対して,92%以上に当たる695校の国公私立大学からの回答が出ている。若しくは学生・受験生に対する意識調査でも,同じ750校のうち500校以上から1万3,000人という非常に大きな母集団の内容が出てきたとあります。これはもう少し我々としても情報共有していってもいいのではないか。及び資料6に関しましては,前回の我々の協議会から,更に各団体の方々がシステムの向上とか,特にiBT,CBTといったところで改善の方向に向かっているという,このベクトルを我々としては共有して,周知徹底していただければなと思っております。
それでは,これまでの発表があった内容や連絡協議会の活動なりについては,また委員の皆様からの御発言をお願いしたいと思います。試験団体の方につきましては,先ほど御発表いただいておりますので,それ以外の方からまず御発言をお願いしたいと思います。恐縮ですが,御発言,皆様にいただけるように,時間は1人3分以内でお願いしたいと思います。また,残りましたら全て意見交換の方に残しておきたいと思いますので。まずは委員名簿の最後の方から御意見を頂戴したく思いますので,四方委員からよろしくお願いいたします。
【四方委員】  御指名ありがとうございます。いつも最後ですので,最後かなと思いましたが。ここまでのところの資料,アンケート,それから各社さんがいろいろな前進があり。すばらしいと思いました。しかし1件,中立の立場で気になったところがありました。1万人以上の学生の方が答えた中で,たくさんの種類の試験がある中で,何を理由に選び取るかを考えたとき,費用や受験の場所という部分を取り上げていらっしゃるようです。それらは必ずしもそれぞれの試験の特徴や,何をはかれるかという内容より,安易な観点に学生は流れるとみられます。受験料は各社いろいろ差がありますし,もう少しこれらにおいて,ある程度の平準化されると,より発展していくと思いました。
特に質問はありませんが,この資料3がたくさんの情報が包含されており,私自身も精査していませんが,ここからの声が重要であると思います。
ありがとうございます。
 【多田座長】  ありがとうございました。続きまして安河内委員。
 【安河内委員】
 得点設定などに問題はあるものの,4技能の試験がどんどん導入されているというのはすばらしいことだと思いますし,これから2020年に向けて,更にこの動きが加速していくだろうというふうに予測できます。この2020年に控えた大きな新テストというイベントなんですが,この新テストが動きをとめることにもなるし,拍車をかけることにもなる,どちらの可能性も持っていると思うんですね。じゃあどうすれば新テストがこの動きに拍車をかけることができるかというと,これは間違いなく4技能試験の導入になると思います。ここでもしも新テストが2技能や3技能になるということになれば,この4技能の動きに完全に冷や水をかけてしまって,とめてしまうということになるんだろうと思います。
ただ,この4技能テストというのは,ただ4技能を導入すればいいというわけではありません。例えば形式的にちょっとスピーキング入りました,ちょっとライティング入りましたというように,低い得点で導入すると,結局そこは省かれてしまうことになるんですね。例えば,現在のセンター試験の読解部分とリスニング部分は,とてもいい問題だと思うんですが,筆記が200点,リスニングが50点,リスニングはわずか20%なんですね。高校生を教えていると,やはりリスニングは後回し,リスニングはやらないという子が多いです。同じ2技能試験でも,TOEICのLR試験を受ける人というのは,やはり半分リスニングはやるんですね。リスニングを非常に重視する。
だから,やはり得点配分に応じてやってしまう。バンド型になるか得点型になるか分からないんですが,4技能均等にすべきなのです。もちろん,試験対策ばかりやるのはよくないんですが,やっぱり一方で,試験のことは常に高校生は気になっているわけですよ。試験を気にしないで勉強しろといったって,なかなか試験を気にしないで勉強する高校生もいないでしょうから,やはり得点の比率,そしてそもそも4技能であるということが大切です。新テストこそが,ここで起こっている,そして世の中全体で起こっている4技能の動きをとめるのか,進めるのか,この分かれ道になっていくのではないかと思います。新テストの設計に関しては,今後も4技能というこの路線をしっかり堅持していただきたいと思います。
 【多田座長】  ありがとうございました。松本委員,お願いします。
 【松本委員】  後で私の発表の機会をいただいていますので,簡単に1点だけ。4技能の試験を活用するということが推進されていることは大変うれしく思っております。ただ,先ほど安河内委員がおっしゃったような,どういうふうに活用するかという点については,大学の教職員の間でまだまだ理解が深まっていないというのも現状だと思います。よくある話は,要するに受験者がこれで集まるのかという話になってしまいがちです。ですから,この4技能試験を活用するということの意義というのを再確認するべきだと思います。
 立教大学の場合もそうですが,2つ大きなポイントがあると思っています。1つは教育内容とか学習環境のグローバル化のために必要であるということ。もう一つは,高大接続にとって重要であるということ。これらの点をいつも踏まえてやらないといけないと思います。立教大学も今年導入しましたけど,さほど受験者が集まらないんじゃないかとか,いや,1回目にしては集まりましたよ,みたいな話になりがちですので,骨幹の部分について忘れないようにしなければいけないというふうに思います。
 【多田座長】  ありがとうございました。続きまして,平方委員はまだ遅れているということですので,船津委員,お願いいたします。
 【船津委員】  ありがとうございます。トランスコスモスの船津でございます。新経済連盟の教育改革プロジェクトチームの立場から,また企業サイドの当事者といたしまして,本件について御意見を申し上げたいと思います。
ちょっと振り返りになりますけれども,平成25年6月に閣議決定されております第2期教育振興基本計画でうたわれていますように,実践的な英語力をはじめとした語学力の向上は,国の重要施策の1つとして認識しております。そして平成27年の大学実施選抜要綱においても,英検やTOEFLなど,「聞く」,「読む」,「話す」,「書く」の4技能をはかることができる資格・検定試験の活用について記載されております。加えまして,現在議論されております高大接続システム改革会議においても,民間の資格・検定試験について,学力評価テストの英語科目を代替するものとしての活用や,個別選抜における活用が提案されております。それらを踏まえまして,大学入学者選抜に4技能の能力を測る仕組みを導入することが極めて効果的であると認識のもとで,高大接続システム改革会議で検討されている新テストにおいては,4技能を評価する英語試験を取り入れること。また,個別の大学入学者選抜においては,アドミッション・ポリシーに基づき,4技能をはかる民間英語試験の活用をすることを確実に推進していくことが重要だと考えております。
また,グローバリゼーションの進展の中,ビジネス,調査研究,各種プロジェクト,ボランティアをはじめとしまして,あらゆる活動を行う際に,国際社会とのかかわりは不可避になっております。次代を担う若い世代はもちろんのこと,社会人を含めて,4技能を含めた実践的な英語力は必要な能力となっております。実践的な英語力向上は,企業においてもその重要性はますます高まっているのが実情であります。
 先般,新経済連盟では,企業における人材活用,育成の際の英語力の扱いにつきまして,その実態調査のため,会員企業を対象としたアンケートを実施いたしました。ちょっとかいつまんで40社の回答の結果をお知らせしたいと思います。5点ほどございまして,まず回答は40社ございました。1つ目,半数以上の企業が採用時に英語力を考慮しております。採用の可否を決める基準の1つとなっているということです。2つ目,採用時に英語力を考慮している企業の中においては,6割以上の企業でTOEFL iBT,あるいはTOEICなどの民間の英語資格・検定試験の結果が使用されております。それ以外につきましては,英語面接,あるいは独自の筆記試験等を実施されています。3つ目,9割以上の企業が,書く若しくは話すという発信型の技能を評価しておりまして,4技能全てを考慮している企業も3割程度ございました。4点目,採用の可否だけではなくて,採用後の人事配置を決める基準として使っている企業も約6割程度ございました。5点目です。社内に英語支援の仕組みがある企業も3割以上ございまして,研修実施,研修費用補助,あるいは民間の英語資格・検定試験受験費補助などが多く利用されているという状況でございました。
こうしたアンケート結果から,4つのことが示されていると考えております。1点目,企業では英語力の高い人材を求める傾向が強まっております。人材採用における英語力評価の比重が高まっております。2点目,企業の英語力評価の際は,発信型技能を中心とする4技能が相当程度重視されております。3点目,企業の英語力評価の基準としては,民間の英語資格・検定試験が使用されている傾向が強いことであります。最後4点目ですが,各企業においては,社内英語力の向上のため,様々な支援の取組がなされているということでございまして,今日先ほど来プロジェクトマネージャーからの御報告,あるいは検定に関わる皆様からのお話をお聞きしておりまして,先ほど来も御意見ありましたが,やはり企業側としては,大いに4技能の教育,そして民間の経験を強くお持ちですので,大いに利用されるということが推進されれば有り難いなと思っております。
こういう企業の現状と認識を踏まえまして,日本におきまして,英語は生きる上での必要能力であるという社会は,着実に近付いていると言えると思います。「聞く」,「話す」,「読む」,「書く」の4技能を,小学校,中学校,高校,大学,社会を通じてバランスよく育成して評価していくことが大変重要であるというふうに考えております。以上です。
 【多田座長】  ありがとうございました。続きまして,島村委員,お願いします。
 【島村委員】
 実際に企業側として申し上げますと,最近は日本の企業も,特に小売業などは日本のマーケットが大体頭打ちになっています。そのため,海外に出ようということで,実は私どもも昨年初めて海外進出をいたしまして,中国に出店いたしました。私もオープンのときに現地に行きましたが,やはり飲食店などには結構日本の企業さんが出ているのですよね。中国なので中国語がもちろん最優先なのですけれども,例えばホテルに泊まったりしていると,結構英語で通じるということがありました。中国も恐らく,英語をグローバル言語にして,中国企業が外に出ることもあれば,逆に入ってくることもある。そういう意味では,グローバル言語が確実に英語になっているということを実感いたしました。
 今後,企業として成長戦略をとる中においては,海外進出が必ず起こりますので,人材を採用するときに,どれだけの語学ができるかということは重要となります。もちろん既に社内言語を英語にしているという会社も何社かあるんですね。私どもはまだまだ国内が主力なのでそこまで入っておりませんが。私は創業者ですが会長になっておりまして,2代目が今40歳ぐらいなのですけれども,彼は結構なグローバル人材で,アメリカのノースウェストのケロッグ校を出て,NBAを持っている男ですので,とにかく英語はぺらぺらで,そういうこともあり,ちょっと余計なことですけれども,私どもは楽器店としては日本でトップの企業になっているんですね。
 私が仕事を始めたときの夢である,日本一の楽器屋になるということは自分で達成することができました。2代目はどうするんだと聞いたら,世界一を目指すと言っているんですね。そのときは為替の影響で世界4位で,更に為替が変わっちゃったので今は6位になってしまったのですけれども。しかし,彼は国際進出するための人材を採用するときに,やっぱり語学力のある人を最優先で採用すると思いますし,逆に中国人の海外留学生を三,四年前から採用しております。そういう人材を確保したので,中国に進出したわけです。
そんな意味で,語学というのは,事業展開をするために絶対必要な要因だと思います。こういう委員会での,特に資格・検定等のいろいろな教育機関が,学校とは違った形で,学校側とうまくコミットして,グローバル人材を育成していただけるようになれば,非常に産業界としては有り難いと考えております。以上でございます。
 【多田座長】  ありがとうございました。続きまして,柴田委員,よろしくお願いいたします。
 【柴田委員】  私は,利用大学という観点から,先ほどからの御議論を見ていて,随分と進展が4技能についてはあるんだなというので心強く思っておりますし,特にこういう議論を通して,高等学校の教育が随分変わってきている印象がございまして,そういう生徒たちを大学でどう受け入れて教育するかというのが,我々に課されているところでございまして。これは選抜に利用する観点から見てみますと,既に推薦入試とか,英語ではかなりの大学で利用しておりまして,ただこれを一般入試まで汎用するという場合に,今まで私の経験からだと,この利用方法が志願者の自己申告に基づいてやっているというのが一般的だったわけです。今後,一般入試で公平性,公正性というのが強く求められるようになった場合に,自己申告ではちょっと厳しいんじゃないかと。今,センター試験なんかでやっているように,直接の情報といいますか,成績の提供というのがやっぱり基本にかわるのではないかと思っているんですが,そういう場合,それが一般的になった場合に,大学の利用料というのがどのぐらい課されるのかというのが少し気になるところだなというのは,先ほどのお話を聞いて思っております。
それから,私,作題の関係でちょっと……,これぐらいにしておきましょうかね。論点は1つぐらいにしておきます。
 【多田座長】  御協力ありがとうございます。続きまして,大塚委員,お願いします。
 【大塚委員】
 大学入試センターの大塚です。新テストに4技能を導入するということにつきましては,この午後に開催される高大接続改革システム会議などでも議論されてきていることでありますけれども,新テストをどういう形で実施するかというところがまだ余り具体的になっておりませんので,少なくとも現行のセンター試験のスケジュール等の形を前提とするのであれば,これは私の立場からすると全く不可能と言わざるを得ないと思います。50万人以上の受験生を対象に一度に4技能試験を実施して,短期間に採点するということは,選抜試験というハイステイクスな試験においてはかなり不可能に近いことです。その導入の実現のためには,まず,作業部会のまとめにも書かれていますように,資格試験的な形をとれるかどうかが鍵となると思います。GTECのようなCBTで実施するとして,テストセンターのようなところに受験生の都合に応じて適宜受けることができて,自分の目標とする成績がとれるまで何度もチャレンジできるといったようなことが,新テストの制度設計の中で実現できるのであれば,4技能試験ということも現実味を帯びてくるのではないかなと思います。とにかく50万人以上の受験生に対して,今のスケジュールでやらねばならないというのは,まず考えられないことだと思いますので,まずはその制度的な改革の部分の議論を進めていただければと思っているところであります。
それから,地方などに出向いた際に,その地域の高校の先生方に,今の試験のスケジュールというのを前提にしたときに,なかなか4技能の試験の導入は無理ということで,民間の資格・検定試験の活用の促進ということも議論されているということをお伝えして,それに関してどう思われますかと問うてみました。そのときに,真っ先に出てきたのは,そのような地方では,「比較的安い受験料であっても,それを出せない家庭があるということも絶対に配慮していただきたい。そうでないと,格差が広がるばかりです。」という訴えでした。ですから,資料2-2にもまとめられていますけれども,受験料をいかに抑えるかということが重要な課題になると思います。そういう意味で,幅広く調査によって意見を吸い上げるということは非常に重要と思いますが,その調査結果を読み解くときに,平均値とかパーセンテージだけで議論をするのは危ない部分がありまして,例えばそこにも3,000円という受験料の要望金額の平均値が出ておりますけれども,平均値が3,000円ということは,もっと安くしてほしいという人もいるということでありまして,実際にそういう制度を導入しようとするときに,そういった層を無視することは必ずしも簡単にできないだろうと思います。平均値が3,000円だから3,000円にすればいいということではなく,そのデータのばらつき,分散がどの程度あって,そのばらつきの中にどういうような理由が潜んでいるのかということも的確につかんでおく必要があると思います。
4技能を入れるということで,高校教育に対する影響というのは確かにありますし,ウォッシュバックということが重要であることは間違いないんですけれども,ウォッシュバックの効果の在り方もいろいろあって,教育に及ぼすのと同時に,高校生自身にも及んでいって,ある層に関しては,調査結果の中にもありましたけど,英語の苦手意識とか,英語が嫌いだとかという部分が助長されてしまう層も出てくる可能性もありますので,その辺も我々はしっかり把握しておく必要があるんだろうと思います。
その個人差に関わることとして,それぞれが何のために英語を活用したいのかということについてもいろいろな可能性があるということも考慮しておく必要があると思います。それに対応して,各民間の資格・検定試験にも,それぞれ目的の違いがありますし,大学の英語についても,English for Academic Purposeと,General Purposeといった形で,大きく目的を分けて捉える考え方もあります。検定試験等の活用の仕方についても,それこそ個々の大学のアドミッション・ポリシーに応じて違ってくるということもあると思いますので,その方針と,共通テスト,新テストとがどう整合的であるかということの検討,そして,個別試験との役割分担などを明確にしていく必要もあるだろうと思います。
それから,4技能試験を何らかの形で導入することには,とにかくコスト,労力が多大にかかることは間違いないことでありまして,そういう意味で,これはここでお願いしていいかどうか分かりませんけれども,産業界などで是非こういった試験を導入してほしいという要望が強くあるのであれば,是非何らかの形で寄附とか,そういう形のものを投入していただくということを積極的に考えていただかないと,結局受験料は高くなってしまうことになるでしょうし,さりとて国からは多分継続的に予算を付けていくのも難しい時代であると思いますので,4技能試験の推進に向けての支援方策を積極的に提案をしていただけると有り難いと思います。以上です。
 【多田座長】  ありがとうございました。続きまして,圓月委員,お願いいたします。
 【圓月委員】
 先ほど1件質問させていただきましたので,できるだけ手短に述べさせていただきます。まず,4技能の習得という動向というものは,もう今では避けられないものかなと思っております。私の本務校においても,今,来年度の重点項目,重点課題というのを策定しているところなんですけれども,入学者選抜制度の見直しと,高大接続の改善というのは避けにくいので,それを取り上げる予定であります。
TOEFLなどに関しましては,学内推薦入試や公募推薦などの出願要件としては既に取り入れています。特に学内推薦の場合には,高大接続の1つのモデルになるということですので,大学で英語検定試験などが出願要件にあったとき,高校も4技能の授業をしてくださるというようなことが実現しつつあります。ですから,いろいろな形で英語教育が変わっていけばと思います。
 先ほどCambridge Englishさんに質問させていただいた意図としましては,そういうふうなことをすると,大学の授業も変えていかなければならないと思ったからです。学内の抵抗要因というのはいろいろあるんですけれども,英語教員が,自分たち自身が4技能の教育を受けてきたわけでもないのに,その授業ができるのかどうか不安に思う部分というのはあります。授業のやり方自体が分からない。ですから,高校に対しての情報発信もさることながら,大学教員向けのいろいろな啓蒙(けいもう)活動,啓発活動というものなんかも併せてしていただきたいなと思っています。
 今,そのことを言うと笑っておられる委員がおられました。多分,運用能力の低い日本人教員を想像なさったのではないかと思いますが,少なくとも私の大学では,抵抗感が強いのは,ネイティブスピーカーの英語の先生です。おまえたちの勝手な試験で,なぜ私の本物の英語の授業が影響を受けなければならないのかという不快感をお持ちなのです。英語でいろいろな質問を受けたとき,英語での情報公開が不足している部分があって,私自身も4技能で教育を受けておらず,最新の英語検定試験を受験したわけでもないので,説明がしどろもどろになってしまう部分もあります。ですから,英語での情報発信もあわせてやっていただければ,英語教育の質向上にもつながっていくんじゃないかと思っております。この程度にさせていただきます。
 【多田座長】  ありがとうございました。
これからまた意見交換の場を設けたいと思いますけれども,それでは今回は試験団体,先ほど御発表いただいた方々を含めて,更に御意見,御質問等がありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。では,柴田さん。
 【柴田委員】  先ほど遠慮して発言しなかったもので,先ほどの圓月委員との関連したものなんですけれども,やっぱり学内,英語教育を受けた先生ほど,よく分からないんですけれども,アメリカ英語なのか,イギリス英語なのかというような議論が必ず作題のところから出てきまして,このあたりを試験機関の方々はどうお考えになっているのかなというのは,常々気になっているところでございます。
 【多田座長】  ほかには。青山委員,どうぞ。
 【青山委員】  今の議論としては,確かに日本においては,アメリカ英語の教材の方が,どうしても子供たちがそれで勉強する機会が多いというところがありますので,そういった議論もあると思いますが,ただ,ヨーロッパですとか,今では中国,ベトナム,そういったところを見ますと,アメリカ英語なのかイギリス英語なのかというよりは,英語で何が伝えられるのか,自分の考えをちゃんと話せるのか,そこに議論が集中しているので,理想としてはアメリカ英語でもイギリス英語でも,もっと言うとカナダでも,オーストラリア,ニュージーランドの英語でもちゃんと分かるように,そうしたことを実現できるような教材,試験等を,私どもは開発しております。
ケンブリッジの英検を例に申し上げますと,例えばA2ですとかB1,そのあたりですと多少ライティングの問題でスペリングが混在しても減点にはなりません。何を伝えたいかというところを押さえていれば。ただ,もっと上のB2,C1になりますと,やはりどちらかで統一して書くことが期待されてまいります。それはライティングのぱっと見た感じ,与える印象というのが一貫性という観点で「きれいな」英語が書けているのかということで,やはり採点基準が変わってまいります。ですので,レベルに応じてそういう対応はしますけれども,最初,入り口部分の初歩の学習者にとってみれば,成功体験がやはり続けていくには大切ですので,そこで書いた英文がちゃんと,あるいは話した内容がちゃんと伝わっていれば,評価され「成功体験」となり,自信がついてどんどん次のレベルへと引き上げられていく,階段を一段ずつ登るようなかたちで持っていっております。済みません,ちょっと脈絡がない説明になっているかもしれませんが。
 【柴田委員】  ありがとうございました。
 【多田座長】  それ以外では。
 【根本委員】  CIEEの根本です。今御質問と,その前に圓月先生からの御質問と,2つほどコメントさせていただければと思うんですが,これは各団体さん,テスト団体さんが作っておられる4技能のテスト,ほぼほぼそうだと思うんですけれども,話すと書くをどういうふうに評価するかというときに,アクセントだとかなまり,今青山委員からもありましたけれども,そういうものよりは,むしろどういう内容を発展させて,どういう中身のある文章を書く,若しくは話すということが,やはりきちんとした評価基準として表示されているかどうかというところが一番ポイントになるところだと思いますし,それが高校と大学のそれぞれの英語を教えていらっしゃる先生にも,非常に有効になるものだと思います。それを指標にして,どういう形,例えばあるときにはリンゴとミカンどちらが好きかということと,電車と飛行機どちらが好きかということでも,違う問題でも同じように答えがどちらのレベルでも評価されるというようなことが平均してなされていくというところが大事になってくると思いますし,それが入っているテストということで,今回ここに各テスト団体の方が呼ばれていらっしゃると思います。
それと圓月先生からの,学校の先生方への啓蒙(けいもう)ということですけれども,やはり高校の先生方にとっても大学の先生方にとっても,今のお話はどういうふうに基準を見ながら教えていかれるかというようなことは,各団体さん取り組まれていらっしゃると思いますし,私どもも4年前ぐらいですかね,スピーキングとライティングに焦点を絞った先生方へのワークショップというのを日本の各地で進めてきて,これはTOEFLの対策をするというよりも,日々の英語の授業,高校のレベルであっても,あるいは受講者の中に小学校の先生も参加されていらっしゃるんですけれども,いろいろなところで役に立っているというところがあると思いますので,それを各団体のできる範囲の中でいろいろ取組を進めていかれれば,それは各高校,大学さんと協働して進めていくことで,より効果が高まるということはあるのではないかと思います。
 【多田座長】  ありがとうございました。ほかには。安河内委員,お願いします。
 【安河内委員】  先ほど大塚先生からすばらしいアイデアが出たので,ちょっと進めさせていただきたいんですけれども。当初,この4技能の話が出たときから,常にコスト,コスト,コストというのがあったわけですよね。トビタテ!Japanというすばらしいプロジェクトがあって,これ,企業の皆さんからの御寄附によって,若者を世界に送り出している。世界に若者を送り出すのと同時に,大学入試の改革の4技能化というのは,同じぐらい日本のグローバル化,将来のグローバル化に影響を与えることだと思うんですが,新経済連盟さん,そして多田さんにもお伺いしたいんですけれども,財界の方で声がけをしていただいて,そういった資金をこの目的のために確保していくという可能性というのは,実際にあるんでしょうか。
 【多田座長】  まずは新経済連盟さん。
 【船津委員】  既に個別の企業,当社もそうですけれども,数多くの新経連の企業は,個別に大学生を,これはちょっと筋がずれますけど,留学に対する支援とか,そういうのは結構やっています。ただ今回,今お話のここで議論されている国家の教育のインフラとしての教育システムということを議論していると思いますので,やっぱりそこはそういう浄財というか,企業の個別対応ということとは別に,やはり考えるべきだろうと思います。先ほど3,000円,4,000円,お金の話が出ましたけれども,あるいは50万人が一緒にやることは難しいというのはありますが,そもそも教育って何なんだという,我々はそういう視点で立っていますので,大学での,あるいは高校,中学全部そうですけれども,英語教育が時間をかけているわりに,実学じゃないというところに問題意識をすごく持っていますので,レベルを一気に何かアカデミックに,じゃあブリティッシュ英語とアメリカ英語を全部聞き分けるとかそんなことを言っているんじゃなくて,余りにも今は実学としての英語力が,これだけ10年間もやった人たちにしては使えないんじゃないかと。これを言っているわけですので,何ていうんですかね,それはやっぱり根本的に社会インフラとしての,教育システムとしてのお金が必要であれば,そこに金を使うべきだし,国家としてですよ,ということを申し上げています。ですから,部分的にはやっていますし,何か必要があれば個別対応というのはあり得るんでしょうが,そのこととこの今回のこの議論は,やはり分けて考えるべきだという立場だと思います。
 【多田座長】  せっかくこの協議会は,経済界からも各団体来ておりますので,特に四方さんにまた御質問したいんですが,今のお話ですけれども,四方さんは経済同友会では,学校と経営者の交流活動推進委員会の副委員長というお立場ですので,コメントいただけますでしょうか。
 【四方委員】  最初に,トビタテ!の話は,経済同友会でも是非支援していきましょうということで,その活動についても報告があったりしまして,非常に関心があるところだと思います。ですので,経済同友会だけではないと思いますが,企業としてそういうものを応援しようというところはたくさん多くの企業は持っていると思います。今回のお話なんですけれども,やはり費用の部分は常に問題になりますし,何か企業が応援できるかという部分はあると思うんですけれども,船津委員がおっしゃったように,やはり個々の企業が何かの判断でそれを支援するということはあるものの,経済団体としてというのはちょっと違うのではないかなというふうに思います。
ただ,私,1つのアイデアとして,こういうことはすごくできるかなと。経済団体,どの団体であろうが,今,結構企業が,先ほどの数社のお話がありました,ああいったものを,企業の中でも英語力をはかるということで取り上げている企業は結構あります。結構あるといっても,やはり大企業であったり,若しくは外資系に限られていますので,この裾野をより広げることで,こういったテストを提供していらっしゃる会社さんにとってみれば,そのボリュームが大きくなる。若しくは裾野が大きくなる。つまり,企業でもそれをはかるものとして,この何種類かのどれかをとりましょうよということを推進することで,結果としてボリュームが広がることで,費用がもう少し安くできるというのが,それは学校においても企業においても両方メリットがあることにつながるのではないかなというふうに思っています。実際に学校との,中学校,高校,交流する中で,英語について関心があると同時に,じゃあ本当に企業で,社会に出て,それがどのぐらい必要とされるのか,どのぐらい活用されるのというのは,やはり常に関心がありますので,両者でそれをより活用すること,推進することで,全体のコストを下げていく,若しくは費用を下げていくことができればすばらしいなと思います。
 【多田座長】  では安河内さんから御指名いただきましたので,個人的にお話ししますと,私,企業で働きながら,かつ大学でも教えておりますので,両方のことを勘案してお話ししますと,先ほど安河内さんからお話があったトビタテ!ニッポン,企業としては相当の金額の寄附をしている。それだけじゃないんですね。やっぱり役割分担としましては,例えばトビタテ!ニッポンで外に出ていった人を,海外の我々企業の出先でもって研修を受け入れるとか,インターンシップとかいったようなところで,勉強するためのインセンティブを与えるというようなこと。これは先ほど島村委員の方からもお話ありましたけれども,我々は勉強した後にどういう世界が開けるかというところに大きな役割を担っていると思います。やはりチャレンジしてくる学生の方々に対しては,いろいろな形で提供していきたいということで,単に費用対効果とかお金ということだけじゃなくて,その先にあるものに対しての,社会的責任というものを我々は持っているのではないかと思っております。
 続きまして,最後に,これまでの議論で,事務局の方に何か補足するような説明とか資料があったら。特になければあれですけれども。
 【葛城英語教育改革プロジェクトマネージャー】  この件は,特に資料はございません。
 【多田座長】  分かりました。では,この議論まだまだ続くと思いますが,後ほどまた意見交換の場をもちたいと思いますので,次に進めさせていただきたいと思います。
では続きまして,議題(3)の立教大学の取組について,松本委員より御説明をお願いいたします。
 【松本委員】  松本です。よろしくお願いします。時間が押しているようなんですが,何分まで大丈夫でしょうか。短くしても構いませんが。
 【多田座長】  とりあえず予定通りの時間帯ぐらいでお願いします。
 【松本委員】  予定どおりって何分でしたか。
 【多田座長】  七,八分ぐらいでまとめていただければ。
 【松本委員】  それでは,資料5を御覧いただきたいと思います。立教大学における取組事例をお話しさせていただきます。本日,このような機会を私に与えてくださったのは,民間の英語外部試験・検定試験を,全学部全学科を対象に,しかも一般入試で導入することを全国の大学で最初に決め,発表し,実施したということではないかと推察しております。私も文部科学省の様々な委員会で発言させていただいている立場から,大学人としての責任として,個人としても,この4技能の試験の推進というのを,まず自分の大学で始めない限り,文科省の委員として発言する資格はないと思い,執行部にこの件について強く働きかけをし,実現にこぎ着けたという背景がございます。
 先ほど他大学の例として,様々な抵抗勢力があるという御発表もありましたけれども,確かにそういう面もあるかと思います。我々,英語教育を推進するためにいろいろ議論していくのも大事ですけれども,実際に自分の大学で何をするのかということに関して,施策をいいと思う方向へ,学内のいろいろな方々と時間を使って折衝しながら,時間を使って実施していくということがまずもって大事なのではないかと考えております。
 立教大学は,今回の導入に関して2つの大きな目的をもって決めました。1つが,2ページにございますグローバル化の推進ということです。スーパーグローバル大学として選んでいただいたということの責任において,どうやって大学の教育の内容及び学習環境をグローバル化していくかということに関して,この4技能の試験の導入というのは絶対的に必要であるという考えに至っております。
そして2番目に,高大接続への寄与ということです。立教大学としては,現行の高等学校学習指導要領で示している指導法は優れていると評価しており,これを更に推進していただきたいという考えです。立教大学は,英語教育に何億円も毎年かけております。これを何とか減らして,要するに大学では英語を教えるということを早くやめて,英語で専門を教えるということに転換していきたいと考えているわけです。そういう意味で,小・中・高の英語教育を更に充実していただいて,4技能のバランスとれた英語力を持った高校生が大学に入ってきていただくということが絶対的に必要であると考えて,高大接続,連携という意味で,4技能の試験を導入するということを決めました。
4ページをごらんください。2月に,まだまだ少人数の定員ですが,全学部全学科を対象に,グローバル方式の4技能入試を実施いたしました。基本的には4技能をバランスよく点数を設定しているテストについて全て導入するような方向性です。1つのテストにした方が選抜としては簡単ですが,受験生に様々な機会を提供したいということで,ここに掲げてある全てのテストを活用しております。
5ページ目ですけれども,この辺安河内委員からも御批判いただきたいと思いますけれども,私たちとしては,一般入試においてはCEFR-B1ということをレベル設定しました。これに到達しているのであれば,立教大学のアドミッション・ポリシー,それからカリキュラム・ポリシーに則(のっと)った学習ができる学生であるという判定であります。留学をしていただくことの推進をしているのですけれども,最低でもB1で入ってきていただければ,数年後に交換留学の協定校に留学できるレベルの英語力の習得に結び付くと判断して,この設定にしてあります。これは全学部全学科共通です。
6ページを御覧ください。今年は,131人を定員として募集をかけ,志願者数が374です。これについては,先ほど申し上げましたように,多い少ないという議論が学内の確かにございます。立教大学の場合には,学部によって違いますが,一般入試では7倍から十数倍という倍率ですので,それに比べればぐっと少ないということでございます。1回目にしては多いのではないかという意見など,様々な意見がございます。やはり異文化コミュニケーション学部のように,英語を重視しているということが社会的に認知されている学部に関しては応募者が多かったようです。私が所属しています経営学部については,英語教育に力を入れている国際経営学科についてはかなりの数になっておりますが,経営学科についてはそれほど多くないという結果になっております。合格者191名ということで,実質倍率2倍ということで,今回は終了しています。
7ページを御覧いただきますと,その内訳がございます。まず右側の緑色の円グラフを御覧ください。9割の受験生がB1レベルであったということです。1割がB2になっています。C1も入っていると思いますが,B2以上とお考えください。そして,利用したテストに関しては左ページを御覧ください。TEAPが8割,英検1割,そしてその他1割という分布になっています。このTEAPがなぜ多かったかということについての検証は,今のところまだ行われておりませんので,理由ははっきりしたことはございません。例えば上智大学さんとうちを併願した受験生が多かったというような事情もあるのではないかと推測されております。
そして,8ページです。これはこれまでも行われていた特別入試での活用でございます。いわゆるほかの大学でいうとAO入試,帰国生入試,国際バカロレア入試。それから指定校に関しても4技能のテストを課しているという学部もございます。これらについては,ケンブリッジ英検,TOEFL Junior Comprehensiveも活用させていただいているという状況です。先ほど青山委員からも御報告がありましたが,どちらかというとこれまで英語教育には熱心ではなかった経済学部もケンブリッジ英検を採用するとかというようなことも起きているのは,立教大学の中では画期的なことだと思っております。
ですから,4技能試験については様々な活用の仕方が考えられると思います。私が所属する経営学部では,先ほど申し上げましたように,指定校に関しても,英語力に関しては4技能であるレベルを最低条件です,と提示しております。立教学院の関係校に関しても,例えば経営学部の国際経営学科に入れば,短期留学があり,それから英語で経営学を学ぶというプログラムなので,それには最低限の4技能レベルが必要ですという話はさせていただいております。以上でございます。
 【多田座長】  ありがとうございました。ここでまた若干質疑の時間をとりたいと思いますが,ただいまの御説明につきまして,質問のある方は御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 【塩崎委員】  感想でいいですか。
 【多田座長】  はい,塩崎委員。
 【塩崎委員】  当初,こちらのグローバル方式,基準が立教大学様にしては割と低いのではないかというお話も巷(ちまた)ではあったかというふうにはお伺いしているんですが,私自身立教大学様のディスカッションクラスを何度も拝見させていただいて,B1を持っていればB2に引き上がるというのが非常に肌身をもってすごく実感をしたところでございます。とかく入試の外部試験活用ですと,そこだけにフォーカスされた議論になりがちな部分もあるかとは思うんですが,やはり大学に入ってからどのような教育が行われているからこその,このレベル設定であったり,検定というものを広げられれば,より活用が進んでいくのではないかなというふうに思いますし,我々検定団体の方も,一体的にどうなっているのかというのを情報発信としてやっていけたら,より進んでいくのではないかと思います。これは7ページに素敵な資料を出していただいたからの力説ではなく,実感として感じたところでございます。
 【松本委員】  おっしゃるとおりだと思います。B1の設定というのは低いかもしれません。学部によってはレベルを変えるということもありえたのですけれども,CEFRを大前提にして,留学に結びつく最低限のレベルを設定しました。先ほどお話がありました相関というのは,恣意的な部分もございますので,各テスト団体のエビデンスを信用して,B1の下限で設定しております。来年度,再来年度以降どうするかは分かりませんが,学部によってはB2に変更するということはありえるかと思います。ただ,少なくともこの一般入試に関しては,あくまでもCEFRのレベル設定をそのまま使い,B1上位の点数を下限にするといったことは多分ないと思います。
 【多田座長】  ありがとうございました。では,四方委員。
 【四方委員】  大学の事情を余り存じ上げないので,基本的な質問なんですけれども,こういうふうに新しいことを始めるには,必ず慎重に思う方,若しくは懐疑的に思う方がいらっしゃると思うんですが,これを導入していく議論の中で,どういう点の懸念があって,慎重論であるとか,懐疑的な御意見があったんでしょうか。何か主なものを1つ2つ共有していただけると有り難いと思います。
 【松本委員】  何だか内部の恥をさらすようですけれども。まず,「何で最初に立教大学がやらなきゃいけないのか」というのは,最初の疑問として提示されてました。それから,先ほどから出ていた「公平性」ですね。「地方の高校生にとって不利なんじゃないか」というような議論もありました。それから,「最終的にはこの方式の入試に,何人応募するのか」というような,財政的な話がありました。あとはそれほど強い疑義ではなかったですが,「それぞれのテスト団体で行われている試験に不正がないのか」といったような質問もございました。
 【多田座長】  ありがとうございました。ほかに。では,安河内さん。
 【安河内委員】  これ,単純に入試方式に関する質問なんですけれども,このグローバル方式と一般入試というのは,両方併願して受けることはできるんでしょうか。
 【松本委員】  グローバル方式で受験する同じ日に行われる全学部対象の試験についてはできません。ほかの日に実施される一般入試を受けることは可能です。
 【安河内委員】  この倍率を考えるときに,例えば上智大学とかだと,TEAP利用型と一般と2回やってますから,学生には2回チャンスが生まれるじゃないですか。そうすると倍率高くなりますよね。立教の場合は,これを受けて,もう1回合格するチャンス,2回チャンスがあるんでしょうか。
 【松本委員】  あります。個別学部の入試のときには,通常の英語のテストを使った試験を受けられます。そのほか,センター利用入試もありますので,希望する学部の試験を3回受けられます。
 【安河内委員】  なるほど,分かりました。それを考えて,この倍率を見ないといけないですね。
 【多田座長】  ありがとうございました。事務局。
 【葛城英語教育改革プロジェクトマネージャー】  済みません,事務局から1点だけちょっと補足させていただきます。先ほど四方委員から御質問ありました各大学さん,多分いろいろな御懸念とか検討背景があったのではという御意見なんですが,まさにそこは我々も実はすごく重要な部分だと考えておりまして,ちょっと厚めの冊子の資料3の方に,各大学さんがどういう経緯で導入されたのかとか,極端な話,導入に賛成の方も反対の方の意見も含めて,かなり実は大学の入試御担当者の方,若しくは学部長にお話をいただきました。それが資料3の51ページから133ページまでになっています。立教大学さんのケースにおかれましては,117から126ページで,特に117ページのところで立教大学さんに語っていただいているんですが,真ん中ぐらいのところですね。高校の学習指導要領に総合的4技能の育成が記載されて,文部科学省の中でも大学入試は変わらなければいけないという声が増え,高大接続の観点から立教大学が先駆けて取り組む意味があると考えたという形で,かなりここに関しては皆さん御議論されて,松本先生のフォローというわけではございませんが,今いろいろな観点から御判断されたのかなというふうに存じ上げております。
 【多田座長】  ありがとうございました。この点に関して,松本委員,何か補足ありますか。
 【松本委員】  いや,ここにあるとおりでございます。問題ございません。
 【多田座長】  ありがとうございました。そのほかには何かありますでしょうか。圓月委員,お願いします。
 【圓月委員】  貴重なお話ありがとうございました。スライドの5ページのところに,英検のところだけわざわざ英検2級は今年度までは3技能のため不可と書いてあるのは,いろいろな問合せ等想定なさっているか,実際にあったのかなというふうに想像します。今日の英検さんにつきましては,リニューアルについて非常に丁寧な御質問をいただいたんですが,私の大学なんかの方でも,この英検さん,変わっていくと,どの段階のどれを認めるのかというふうな,語学試験についていろいろな質問なんかがあって,なかなか即答するのが難しい状況になっているんですけれども,どういうふうな問合せがあったか,代表的なものを幾つか聞かせていただけたりするでしょうか。
 【塩崎委員】  ありがとうございます。今,圓月先生がおっしゃっていただいた質問が非常に多うございます。こちら,今年度までの2級と来年度の2級どのように違うのかというところでございます。大学様のアドミッション・ポリシーによって,2級は2級でどの年度でも認める,あるいは立教大学様のように,4技能縛りをかけて,4技能になってからのものでしか導入しないという2通りございます。そこがまず一番の大きなポイントでございますので,我々も資料なんかを作って,どっちでもいいという場合には大した問題にはならないんですが,ここで区切るという場合には,例えば入試要項なんかを拝見させていただいて,こういうふうに記述したらいいんじゃないでしょうか,処理はこういうふうにしたらいいんじゃないでしょうかというような御提案というか,アドバイスなんかをさせていただいているところでございます。
 【圓月委員】  分かりました。どうもありがとうございます。
 【多田座長】  それでは,一旦ここで区切りまして,次にまいりたいと思います。
では最後に,議題(4)大学入学希望者学力評価テスト(仮称)及び議題(5)高等学校基礎学力テスト(仮称)について,事務局から資料の説明を続けてお願いいたしたいと思います。よろしくどうぞ。
 【橋田大学入試室長】  それでは,資料の9-1以降をベースにいたしまして,大学入学希望者学力評価テスト(仮称)を始め,高大接続の全体の議論の中での位置付けを説明させていただきます。本日の午後,高大接続システム改革会議が予定されておりまして,現在最終報告の取りまとめに向けた最終の議論がなされているというところでございます。今月中を目途に最終報告の取りまとめをしていくということで議論がなされているところでございます。
まず資料9-1でございますけれども,今回の高大接続改革の全体像のイメージ,概要の部分でございます。簡単にポイントの部分だけ説明させていただきます。まず今回,高等学校教育改革の部分でございますけれども,この学力の3要素の確実な育成という観点で,現在学習指導要領の抜本的な見直しに向けた議論が,中教審の方でもなされているところでございます。その中で,育成すべき資質・能力を踏まえた教科・科目の見直しの議論もなされているところでございます。
また,学習指導方法の改善の観点からは,アクティブ・ラーニングの視点からの学習指導方法の改善ということで,教員の養成・採用・研修の見直しの議論がなされているところでございます。
また,多面的な評価の推進の観点から申しますと,多様な学習成果を測定するツールの充実の一つということで,高等学校基礎学力テストの導入の議論がなされているところでございます。詳細は,また後ほど御説明いたします。
 続きまして,大学教育改革,右下の方でございますけれども,高校時代に培った学力の3要素,このさらなる伸長ということで,3つの方針,卒業認定・学位授与,教育課程,入学者受入れという3つの方針に基づく大学教育の質的転換ということで,こちらの方は今,中教審の大学教育部会の議論を踏まえてということになりますけれども,関係省令の改正ということで,3つの方針の一体的な策定・公表の制度化ですとか,この策定・運用に関する参考指針の作成ということで,今月中を目途にこの制度改正,ガイドラインの作成がなされる予定になっております。こういったことに取り組みながら,各大学におきまして大学教育を充実するためのPDCAサイクルを強化していくというところでございます。
また,認証評価制度の改善の観点から申しますと,この3つの方針に基づく大学教育の質的転換,内部質保証を重視した評価ということで,30年度から始まるサイクルの評価に反映していくというところでございます。
その上で,大学入学者選抜改革の部分でございますけれども,学力の3要素の多面的・総合的評価というところで,まず個別入学者選抜改革,右上の方の部分でございますけれども,明確な入学者受入れ方針に基づきまして,学力の3要素を多面的・総合的に評価する選抜へ改善していくということで,入学希望者に求める能力と評価方法の関係の明確化,それに基づく選抜ということで,この中では資格・検定試験の活用も評価方法の1つとしては想定されるというところでございます。また現在,推薦入試,AO入試,一般入試という選抜がございますけれども,こういった3つの在り方,これを見直しまして,新しいルールを構築していくという議論がなされております。また,調査書ですとか,本人が記載する学修計画書,活動報告書を充実していこうという議論がなされております。こちらの方は,最終報告を受けて,国公私立大学,高校関係者による入学者選抜方法の改善に関する協議の場で,具体的な在り方を検討していくということで,32年度に実施される選抜から適用されていくということを視野に,検討を進めるべきといったような議論がなされております。
 左下の方が,大学入学希望者学力評価テスト(仮称)の概要の部分でございます。32年度の実施を目指しておりますけれども,32年度からは,まず現行の学習指導要領での取組となります。また36年度以降は,新学習指導要領に対応したテストを導入していくというところでございます。今回のこのテストでは,知識・技能の評価はもちろんですけれども,思考力・判断力・表現力の評価を一層重視していくということで,この中では,マークシートの質的改善とあわせて,記述式の導入ということで,当面は国語,数学でございますけれども,32年度からは短文記述式,36年度はより文字数の多い記述式の導入を目指していくというところでございます。英語の4技能につきましては,4技能の評価を重視していくということで,また後ほど説明させていただきます。
更にCBTの検討・導入というところも論点になっておりますけれども,この点につきましては,高等学校基礎学力テストの導入状況ですとか,CBTに関する検証事業,コスト等々の課題,そういったものを検証しながら,36年度以降の導入を目指すというところでございます。複数回実施の部分につきましては,日程上の問題との兼ね合いで,高校の教育課程との関係で,どういった時期に設定できるのか,また,CBTの導入,等化の在り方といったようなことを中心としながら,引き続き検討を進めているというところでございます。
この最終報告を受けまして,文部科学省において関係団体等の参画を得て,実証的・専門的な検討を進めていくということで,新テストの実施方針というのを29年度初頭に示す予定にしておりまして,テストの出題教科・科目,記述式,英語の実施方法等を含めて明らかにしていくということで,実証的・専門的な作業を進めていくという議論がなされています。
その上で,去る3月11日の改革会議の最終報告のベースで説明させていただければと思います。この資料の54ページの部分をお開きください。黄色のマーカーの部分が,特に中間まとめ以降に加筆している部分で,英語の多技能を評価する問題の導入,この点については4技能の評価を重視するというところでございますけれども,この具体的な在り方については,民間の資格・検定試験の知見の積極的な活用を含め検討するということ,また,基礎学力テストの検討とも連携しながら進めていくというところが整理されております。更にこの4技能のうちの「話すこと」につきましては,録音機能のついた電子機器で音声吹き込み試験とするといったようなことも考えられますけれども,特に環境整備,あるいは採点等の観点から,32年度当初からの実現可能性について,十分検討する必要があるといったようなところが整理されております。
また,検討に当たっては,現行学習指導要領,次期学習指導要領との関係,入学者選抜としての妥当性,信頼性,実施体制,費用負担の在り方,継続性・安定性,そういったものを含めて,留意しながら検討を進めていく必要があるとされています。
 実施時期につきましては,受験生,大学の負担,あるいは採点期間の確保ということで,マークシートとは別日程で実施することも検討していくというところでございます。この場合,記述式問題と同日に同一会場で実施することも考えられるということで,ちょうど記述式問題につきましては,マークシートと同一日に実施する案,別日程で実施する案,それぞれについて検討を行うということになっております。この記述式の導入の部分も横目ににらみながら,この英語の部分も検討していくというところでございます。
55ページの上の部分でございますけれども,こういった新しいテストでの取組はもちろんですけれども,大学入学者選抜全体として,英語の4技能の評価を実施するということで,各大学の判断で,民間の英語の資格・検定試験を新しいテストの英語の代替として活用したり,また個別選抜において活用していくといったことも有効であるといった形での整理がなされているところでございます。
 資料の詳細は説明いたしませんけれども,英語の4技能,特に「話すこと」,「書くこと」につきましては,改革会議の議論の中で,参考資料ということで,英語力の調査事業の問題例をお示しさせていただいたりしております。実際この大学テストに即した作問の在り方といったようなものも,引き続き28年度に向けて検討していきたいと思っております。以上,大学テストの説明でございます。
 【今井高校教育改革PTリーダー】  失礼いたします。続いて,高校教育改革,高等学校基礎学力テストの検討状況について,最新の状況を御報告,御説明させていただきたいと存じます。
 先ほど橋田室長より,資料9-1の1ページ目,カラーの図にございますように,高校教育改革につきましては3つの柱でございまして,生徒に身に付けていただきたい,高校生に身に付けていただきたい教育の内容を精選していく学習指導要領の改訂,そしてその内容をきちっとアクティブ・ラーニングの視点を踏まえて生徒たちに教えていく,そういった技能を身に付けていく,それを磨いていくという意味での学習・指導方法の改善であります。そして,そのような形できちっと生徒に教えたことが,どういう形で身に付いているのか,何ができるようになっているのか,どこが弱点なのかを見ていくための,まさに多面的な評価の推進ということで,1つのテストに依拠するといったものではなくて,日々の学習活動の改善から,これから御説明をいたします高等学校基礎学力テストを導入していく。また,加えて校長会などで実施をいただいている検定試験や,当然英語に代表される民間の検定試験なども,当然積極的に利活用していく中で多面的に評価をしていく,そういった形でこの高校教育改革を進めていきたいということでございます。
 資料につきましては,9-1の後にあります本体の方の資料でございますが,ページ数は恐縮でございます,9ページ目以降から,今の検討状況について御報告をしたいと思います。資料,通しページ9ページから,高校教育改革の観点を書いてございますが,ただいま御説明したような3つの観点で,10ページ目以降の下段で改革の方向性といたしましては,教育課程の見直しの議論。それから,12ページ目で,学習・指導方法の改善と教員の指導力の向上を前提とした上で,13ページ目をお開きいただけたらと存じますが,多面的な評価の充実でございます。特に中間まとめから最終まとめに向けて,13ページ目以降の多面的な評価の充実がかなり議論が深まってきたというところであります。14ページ目以降にありますように,具体的には14ページ目の下から始まりますが,各教育課程の成果の中での学習評価の在り方といたしまして,まさに観点別学習状況の評価を推進していくというところなどの議論をしながら,15ページ目の2番にございますように,高校生が多様な学習活動をしているということを前提とした評価の在り方を議論しておりまして,丸の3つ目にございますように,高等学校での活用を念頭に置いた,英語をはじめとする民間検定等についても積極的に活用していくという方向性が打ち出されているところであります。またあわせて,その下の丸にありますように,専門高校の校長会などを中心とした検定試験などもセットで議論していくということでございました。
このような多面的な評価の検討の議論がなされた上で,18ページ目以降でございますけれども,高等学校基礎学力テストの導入に向けた議論を,より具体的にしていただいているというのが今の状況でございます。例えば19ページ目から20ページ目にかけてでございますが,今回明示的に最終まとめのところで議論がなされてまいりましたのは,19ページの4にございますように,高等学校の段階において,基礎学力の定着度合いを把握する仕組みを構築していこうということを強く明示していただいております。その結果,20ページ目の上から1つ目の白丸にございますように,高等学校基礎学力テストの導入につきましては,高校生の多様性を踏まえた上で同一問題一斉実施の方法ではない,複数レベルの問題から,学校や受検者が選んで受検し,生徒の基礎学力の定着度合いに応じた評価,これを段階的に提示できるような仕組み,また実施時期等については,学校が柔軟に設定できる仕組み,こういったことを目指していこうということであります。
また,同じ20ページの目的にございますように,これまで高等学校基礎学力テストの目的が少し分かりにくかったという御指摘がございましたので,その点を踏まえまして,2つ目の白丸にございますように,それぞれ生徒,学校,設置者でどういった目的で取り組んでいくのかということを書き分けさせていただいた上で,高校教育の質の確保,向上のためのPDCAサイクル,これを回していくためのテストであるということを明らかにさせていただいたところであります。
また,21ページ目にございますように,高等学校基礎学力テストにつきましては,コンピューターをベースとしたテスト方式,いわゆるCBT方式を前提として,かつ問題を大量に集めて作成,精選,蓄積,そして提供していくという,いわゆるアイテムバンク方式を念頭に考えていくということで議論を進めていきたいということであります。また,21ページから22ページにかけて,定着度合いを把握し,結果提供するための方法を併せて整備をしていきたいということが大きな議論としてなってきているところでございます。
そういった中で,例えば22ページ目以降,具体的な実施がありますが,英語に関係いたしましては,24ページで改めて確認でございますが,英語については「聞く」,「話す」,「読む」,「書く」,この4技能をバランスよく育成することが重要で,高等学校基礎学力テストにおきましても,4技能をはかることができる問題構成を目指すということは,この方針に変わりはございません。ただ,25ページ目にございますように,コンピューターベースのテストということで,特に公のテストではまだ導入ができていない仕組みでございます。
このため25ページの真ん中にあるCBT導入のうち,丸の3つ目以降に,CBTについては,基本的には現在高校に配備されているパソコンを使っていくという,いわゆるインハウス方式をベースに考えるといったことでございますとか,それを進めていく中で,最後の白丸でございますけれども,特に英語につきましては,是非4技能を測定していくということではございますが,例えば「話す」に関する問題,これをどういった形で出題,そして解答していくのかといった形で,CBTでどういう実施ができるのかというのは,これから検討していくということでございます。なので,特に高等学校基礎学力テストにつきましては,現在議論が進められております,全国学力・学習状況調査での英語調査,この導入の動向なども参考にしながら,更にその検討を深めていきたいという方向性で議論ができればということでございます。
その他高等学校基礎学力テストについて26ページ目以降,細かい御議論をいただいておりますが,その具体化に向けて更に本日御議論いただければ,来年度以降,高等学校基礎学力テストの実施に向けた,より具体的な検討に着手していきたいというふうに考えているところでございます。初中局からの説明は以上でございます。
 【多田座長】  ありがとうございました。ここでまた若干質疑の時間をとりたいと思いますが,ただいまのお二人の御説明につきまして,質問のある方,コメントでも結構ですが,いただけますでしょうか。まず,安河内委員。
 【安河内委員】
 評価テストの方に関しての質問なんですけれども,4技能のうち「話すこと」については,録音機能のついた電子機器による音声吹き込み試験とすること。これが早期実施の可能性については検討する必要があるというふうに書かれてあります。一方で,新テストの代替として,各種4技能民間試験の活用も視野に入れて新テストを設計すると書いてあります。まず本試験の評価試験の方なんですけれども,4技能目の「話すこと」についてなんですが,これはICレコーダーやタブレットに吹き込むという前提で設計されているんでしょうか。例えば,IELTSという試験であれば,面接形式で世界中で約300万人,複数回ですけれども,やっているわけです。あとはiBTでも,結局端末の反対側に人間がいて,人間がルーブリックを見て採点しているわけですね。英検なんかは,既に数十万人,年間で,面接方式でルーブリックを使って採点しているわけです。
そして,やはり最初から4技能で走り出さないといけません。やっぱり,人間というのは,ずるずるずると,技能数少ない方に逃げていきますから。スピーキングとライティングを省けるようにすると,結局限られた技能で,大多数が受験するという最悪の事態になる可能性があるわけです。
 「実際に完全にCBTとかICレコーダー,タブレットを前提に考えられているのか,それから面接というオプションも同時に考えて試験設計をされているのか」,これが1つ目の質問です。あとサンプル問題を見てみると,ルーブリックの上限が,ライティングとスピーキングで不均等,4点と3点だったかな,5点と4点かになっているんですけれども,これ,「最終的には4技能均等にする設計で考えられているんでしょうか」。この2つが質問です。
 【橋田大学入試室長】  まず,この実施方法をどういうふうにするかというのは,実はここには整理されておりますけれども,いろいろな可能性は当然探っていかないといけないかなと思っております。ただ,これは50万人規模の受験生を対象に,どういう形で,ある程度効率的にやることも考えながらやっていかないといけないというのが1つ。また,コストの面を含めて考えていかないといけないというところ。また,CBTそのものについては36年度以降を想定しているという中で,32年度にまずやるとすれば,こういった録音機能のついた電子機器の吹き込みというのが,1つはまずは有力視されるのではないか。ただ,それ以外の方策を別に否定しているわけではございませんでして,今後28年度に向けては,かなりフィージビリティーの検証作業を行っていかないといけませんし,今私どもの方でも,民間の団体さんとはいろいろ意見交換させていただいておりまして,それぞれの団体さん,いろいろ工夫してやっておられるところもございますので,そういう知見を踏まえながら,大学テストとしての望ましい在り方を決定していきたいと思っております。
また,ルーブリックの関係ですけれども,採点基準との関わりで,実際どういったものを捉えるかというところは,ある意味難易度設定ですとか,採点基準の在り方を含めて,作問と評価の考え方の構造化を図らないといけないかなというところで,そこも併せて民間の知見を踏まえながら検討を進めたいと思っております。
 【安河内委員】  ということは,これは仮で,まだ得点配分などについては検討中ということなんですね。是非4技能均等でお願いできればと思います。
 【多田座長】  ありがとうございました。ほかには何か。
よろしいでしょうか。膨大な資料を提示されましたので,なかなか読み解くのは難しいと思いますけれども,この協議会の趣旨としては,情報共有とさらなる改善に向けて力を合わせていければなというふうに思っております。今回も多くの御議論を通じて御意見を頂きましたけれども,検証に関する御意見に関しましては,私,座長預かりという形で取りまとめさせていただければと考えておりますが,よろしゅうございますか。
                              (「はい」の声あり)
 【多田座長】  ありがとうございます。それでは,頂きました御意見を踏まえまして作業を行って,またまとまり次第,共有させていただきますのでよろしくお願いいたします。
それでは,そろそろ予定された時間になってきましたので,今後のスケジュールにつきまして,事務局の方から説明をお願いいたします。
 【齋藤主任学校教育官】  それでは,事務局でございますが,資料はございませんけれども,今年度の本連絡協議会の予定された会合は,本日をもって終了というふうになっております。委員の皆様におかれましては,お忙しい中御参加いただきまして貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。来年度以降の進め方につきましては,先ほどの資料2の説明の中でも少し触れさせていただいておりましたけれども,最後の御議論にありました高大接続の今後具体的な検討の在り方というのが議論されることもございますので,その動向を見ながら,また本日御意見いただいたその他の議題等も踏まえて,また来年度以降,改めて調整をさせていただきたいと思います。来年度以降も引き続きこの協議会の運営に御協力いただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【多田座長】  どうもありがとうございました。これにて本日は閉会といたしたいと思います。皆様,御協力まことにありがとうございました。


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