平成27年度英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会(第1回) 議事録

1.日時

平成27年9月29日(火曜日)9時30分~12時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館東館3階 3F1特別会議室

3.出席者

委員

青山委員、三橋委員、石鍋委員、小椋委員、圓月委員、大津委員、大塚委員、奥田委員、尾関委員、日下部委員、塩崎委員、島村委員、新庄委員、宮本委員、多田委員、田原委員、船津委員、鈴木委員、根本委員、平方委員、松本委員、三島委員、三宅委員、村田委員、安河内委員、吉田委員、四方委員、込山氏(山崎委員代理)

文部科学省

小松初等中等教育局長、常磐高等教育局長、伯井大臣官房審議官、義本大臣官房審議官、藤原大臣官房審議官、新田主任大学改革官、小林国際教育課長、塩見大学振興課長、他

4.議事録

【小林国際教育課長】  それでは,定刻でございますので,平成27年度第1回英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会を開催いたします。お忙しいところ本日御出席いただきまして,まことにありがとうございます。
私は初等中等教育局国際教育課長の小林と申します。座長が選任されるまでの間,進行を務めさせていただきます。
本来ですと,ここで委員の皆様を御紹介させていただくところでございますが,大変人数が多いので,お手元の委員名簿と座席表をもって,大変失礼ながら代えさせていただきたいと存じます。
まず,文部科学省初等中等教育局長の小松から御挨拶申し上げます。
【小松初等中等教育局長】  皆様おはようございます。まず,大変お忙しい中を,この平成27年度の英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会に御出席いただきまして,まことにありがとうございます。昨年度に引き続きまして,今年の第1回の会議でございます。
それで,そういうこともございまして,御挨拶に代えまして,今までの状況と,それから今後お願いしたいことを,ごく簡潔に申し上げさせていただきますが,まずこれまで政府全体としては,グローバル化や英語教育の充実の必要性の中で,官邸の教育再生実行会議第三次提言,あるいは日本再興戦略といったところで,英語教育の抜本的な改革に関する提言などが出されて,これを踏まえまして資格・検定試験を活用した生徒の英語力の検証や大学入試におけるいわゆる4技能の測定可能な試験の活用といったことを掲げて,政府として様々な政策に取り組んでいるというのが基本でございます。
そこで昨年度,この会議におきましては2回の連絡協議会と,それから2回の作業部会をしていただきました。大変貴重な御議論を頂きまして,実際にも,まず一つは英語4技能試験情報サイトの立ち上げができたこと,それから英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する行動指針,これを策定することができたこと,それから高大接続改革における英語の試験の在り方に関する御意見を頂いて関係会議と連携を図らせていただくということ,これが昨年度でございまして,非常に大きな成果を上げていただいたと思っておりまして,改めて感謝申し上げたいと思います。
その背景と昨年度のこうした成果を踏まえまして,今年度につきましても,まず英語の4技能の試験情報サイトが立ち上がっておりますけれども,これを通じた情報提供を進めて,更に先へ進んでいくということと,それから行動指針,これもできたばかりですので,どういうふうになっていく,これをフォローアップしていくこと,これが必要でございます。それからさらに,大学入学者選抜での資格・検定試験の活用の一層の促進のための今度は調査研究に取り組んでいただければ有り難いなというふうに,実は期待をさせていただいているところでございます。
併せまして,高大接続システム改革会議で議論されております大学入学希望者学力評価テストの方でございます。これ,仮称ですけれども。それからもう一つ,高等学校の基礎学力テスト,こちらも仮称ですが,この二つの測定,手段について検討が行われております。この専門的な検討が進めていかれますけれども,その中でも,昨年度と同じようにいろいろと御見解,御意見など,本協議会での取組を参考にさせていただいて,より良いものにしていければと考えているわけでございます。
今年はそんな考え方で,更に先へ進めるのにお力をおかしいただければ有り難いと思います。我が国の生徒・学生の英語力向上に必要な英語教育の一層の改善・充実ということ,大変重要な課題でございますので,お忙しいところ恐縮でございますが,是非皆様方から様々な御意見を頂ければ有り難いと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
【小林国際教育課長】  では,議題の1といたしまして座長の選任を行います。文部科学省といたしましては,昨年度の連絡協議会に引き続きまして,多田委員に座長をお願いしたく考えております。委員の皆様におかれましても,このことでよろしいでしょうか。
     ( 拍手 )
【小林国際教育課長】  ありがとうございます。では,多田委員に座長をお願いいたしたいと思います。恐縮ですが,では今後の議事進行は多田座長にお願いいたします。
【多田座長】  皆様おはようございます。改めまして,よろしくお願い申し上げます。
それでは,議事を進めたいと思います。まず,議題2作業部会の設置及び議事の公開について,事務局より御説明をお願いいたします。
【小林国際教育課長】  それでは,お手元の少し厚い資料の1をごらんいただけますでしょうか。冊子をお開きいただきまして,3ページでございます。
本協議会では英語の4技能の評価及び入学者選抜の改善及び英語の資格・検定試験の活用の在り方について専門的・技術的見地から集中的に調査・検討するため,昨年度と同様,連絡協議会の下に作業部会を別途設置したいと考えております。作業部会の委員につきましては,多田座長と御相談しながら,今後,事務局にて選任を進めさせていただければと思います。
なお,この作業部会につきましては原則非公開とさせていただきますが,議論をまとめさせていただいた内容を適宜適切に,この連絡協議会において報告させていただく予定でございます。
次に,議事の公開につきましても昨年度と同様,原則公開としたいと思います。また議事録,会議資料につきましても昨年度と同様,原則公開としたいと考えております。
【多田座長】  ありがとうございました。それでは,ただいまの事務局のとおり,作業部会を設置し,議事の公開について定めること,また作業部会の委員の選定につきましては私と事務局に一任させていただくということでよろしゅうございましょうか。
     (「異議なし」の声あり)
【多田座長】  ありがとうございます。
それでは,プレス関係と傍聴者の登録があるようですので,ただいまより入場を認めたいと思います。
     (プレス・傍聴者入室)
【多田座長】  それでは,議題3当面の取組について,文部科学省より資料の御説明をお願いいたします。
【小林国際教育課長】  それでは,お手元の資料3を御準備いただけますでしょうか。冊子の16ページ,17ページでございます。16ページをお開きいただけますでしょうか。
現在,この英語力の評価及び入試における英語の資格・検定試験の活用に関する連絡協議会の方針ということで整理させていただいております。上のパワーポイントの,これ二つのパワーポイントが一つのページにまとまってございますけれども,上段の一番上のところにございますように,まず学習指導要領につきましては現在,まさに平成27年度審議しているところでございます。このスケジュールは,過去の改訂を踏まえればこういったスケジュールになるであろうというところで若干の想定も含まれておりますが,その予定と,またそれと並行して,後ほど進捗状況について御説明させていただきます高大接続改革につきましても現在,新たなテストの在り方等を含めて検討中でございます。
それと並行いたしまして,こちらの連絡協議会でございますけれども,これまで英語の「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を総合的に評価できる学力検査等の在り方の検討や,各学校などにおけます入学者受入れ方針,いわゆるアドミッション・ポリシーとの整合性を図ることを前提に,英語の資格・検定試験の活用促進することを目的として様々な取組を進めていただいてまいりましたけれども,連絡協議会と図の緑の上段のところにございますように,昨年度は主に,一つは情報発信ということで,リーフレットの作成それからポータルサイトの作成ということで情報発信を中心に行ってまいりました。
また,指針の作成ということで,本日参考資料としてお手元にも配付させていただいておりますが,学習指導要領との各テストとの関係ですとか,あるいは適正・公正な試験実施体制,受験のしやすさ,評価の妥当性などにつきまして取りまとめていただきました指針の作成ということが,昨年主な取組だったわけでございます。
今年に関しまして,平成27年度につきましては,調査研究と引き続き高大接続改革との連携といったことがテーマになろうかと考えております。
資料の16ページの下段の部分でございますけれども,「連絡協議会における当面の取組について(案)」ということで少し御提案の方を書かせていただいております。この連絡協議会で,この課題につきまして主に三つのテーマがあるのではないかということで,茶色の三つの四角に整理させていただいております。一つは日本人の現状の英語力を踏まえたテスト開発の在り方をどうしていくかという課題,2番目に様々な試験間の得点換算あるいは対照表の作成,活用等の検証の在り方,それから三つのテーマといたしまして受験料負担など経済格差や受験機会の地域格差による機会の不均等等の解消ということが主なテーマとしてございましたけれども,それにつきまして,それぞれ昨年度,平成26年度におきましては,まず英語力の現状といったところでは,文科省におきまして4技能の高校3年生の英語力の調査・分析を実施したところでございます。
それを踏まえまして,こちらの連絡協議会での議論の論点といたしましては,そういった現在の生徒たちの英語力を踏まえた試験といったものを今後,国と民間のこれまでの各団体のノウハウを生かして実施するような方策を検討できないかといったこと。それから二つ目の各試験間の関係等につきましては,各試験,資格・検定団体等におきましてCEFRとの関係性を既に調査研究し公表,あるいは様々なデータを基に対照表を作成・情報提供させていただいたところでございますけれども,連絡協議会での議論の論点としましては,昨年度は,こういったことにつきまして,目的や出題意図がそれぞれ多様で異なる複数の試験間での精度の高い検証といったものは,相当なデータですとか,あるいは裏付け,時間などが必要になってくるのではないかといったような御意見を頂いたところでございます。また,むしろ当面,各団体が既に実施されている検証状況について積極的に情報提供を行ってはどうかといったような御議論を頂いたところでございます。
また,三つ目の受験料負担や経済格差,様々な機会の不均等の解消といったことにつきましては,その現状を踏まえまして,こちらの協議会での論点といたしましては,そういった経済負担の観点あるいは公平性の観点といったものについて方策の検討をする必要があるのではないかということでございました。
この三つの点を踏まえまして,平成27年度につきましては,これから詳しく御説明させていただく部分もございますが,一つは,一番左側の英語力の現状を踏まえたテスト開発の在り方につきましては,まず現在の各試験を受験した,例えば大学の得点分布に関する情報提供などを頂きながら,得点分布と活用レンジに関する情報収集を進めたらどうかということ。
あるいは2番目につきましては,まず各試験間の対照表,得点換算などにつきまして行うというよりも,まず先に各大学の入学者選抜におけます民間の資格・検定試験の活用方法について,例えば利用側である大学に対するアンケートですとか事例研究,受験生の意識調査を行うということで,大学入試での活用に当たっての促進,あるいは阻害要因の分析,そういったものの情報収集を進めたらどうかというような御提案でございます。
また三つ目につきましては,平成27年度におきましても引き続き受験料負担や受験機会確保についての議論のための情報収集を継続するといったことで,これら三つにつきましては,いずれも現状での大学入試試験等での,あるいは教育における4技能の様々な各団体の試験の活用といったことにも資するわけでございますけれども,併せて一番下にございます現在進行中の高大接続システム改革会議における検討にも大学入学希望者学力評価テスト,あるいは高等学校基礎学力テストの枠組み,そういった検討に関する情報提供に資するのではないかと考えているところでございます。
まず資料3につきましては以上のとおりでございます。
【多田座長】  ありがとうございました。
それでは引き続きまして,議題4の「民間の英語資格・検定試験の大学入学者選抜における活用実態に関する調査研究事業」につきまして,文部科学省より資料の御説明をお願いいたします。
【葛城英語教育改革プロジェクトマネージャー】  私から調査研究事業の概要について御説明させていただきます。資料は18ページ,水色の資料の方を御確認ください。
この調査研究事業の目的,狙いの部分について御説明させていただきます。一つ目は活用要因,阻害要因を把握・分析いたしまして,更に活用が進むための打ち手を考えるというのがございます。二つ目は積極的に活用している,若しくは活用を予定している事例を集めまして,活用事例集とかを作っていき,情報共有を行っていく予定でございます。
そして,18ページの上段の方の調査の内容をどのようにして行うか,Howの部分でございますが,一つは大学における活用事例としてアンケート及びインタビューによって行います。二つ目は,大学受験生に対しまして民間試験の活用に関する意識調査をアンケートによって行います。この大学に対してのアンケート,大学に対するインタビュー,そして大学生に対するアンケートという三つのアプローチを予定してございます。
そして調査対象者,誰に対して,Whoの部分でございますが,1番のaの大学に対するアンケートに対しましては,全国の国公私立大学さんに対しましてアンケート調査を実施するという予定でございます。そして1のbの大学に対するインタビューに関しましては,4技能のホームページに掲載している大学ですとか,スーパーグローバル大学などの含めた,既に積極的に御活用,若しくは御活用を予定されている大学様に対しましてインタビューを行いまして調査を進めていく予定でございます。
2番目の大学生に対するアンケートにつきましては,主なターゲット層といたしまして,高校在学時に民間の資格・検定試験のいずれかを受験した大学生を想定しておりますが,受験していない大学生も含めて実施をさせていただく予定でございます。
資料,18ページの下段の方になります。調査研究の実施方法とスケジュールについてでございます。こちらは,When,いつのタイミングで行うかという話でございます。調査研究につきましては委託して実施を行う予定でございます。また調査の設計・結果の分析・検討を行うために,検討委員会を設置して行う予定でございます。
そしてスケジュールでございますが,10月からスタートいたしまして,2月に報告書を取りまとめいたしまして,3月に,この英語4技能連絡協議会にて報告をさせていただく予定でございます。
資料,続きまして19ページ上段を御確認ください。こちらの方,質問項目のイメージということで,こちら,何をということでWhatの話でございます。1のa,大学事務担当者向けに関するアンケート項目に関しましては,例えば活用している民間の資格・検定試験名ですとか試験の方式,一般入試なのか,AO入試なのか,推薦入試に活用しているのか等についてでございます。活用方法については,みなし満点で活用しているのか,加点方式で活用しているのかなどでございます。加えて,活用している理由,活用していない理由についてもお伺いする予定でございます。
1のb,大学事務担当者向けのインタビュー質問項目でございますが,こちらの方は民間の資格・検定試験の活用に当たっての考え方,アドミッション・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,ディプロマ・ポリシーとの関連性,そして民間試験の導入・具体的な合否,加点ライン等の設定に関する意思決定プロセス等をお伺いする予定でございます。
そして2番の大学生向けアンケートでございますが,高校時代,1年生から3年生時代に受験した民間の英語の資格・検定試験名の時期及び得点についてです。そして各資格・検定試験の受験の目的についてもお伺いする予定です。例えば大学入試への活用目的なのか,留学目的なのか,高校活動の一環なのか,個人のスキルアップのためなのか。そういうことをお伺いして,試験結果を大学入試に活用した,若しくはしなかった,そしてその理由についてお伺いします。そして,このようなアンケートを通じて民間の資格・検定試験が更に活用されるための条件を受験生自体にお伺いするということを計画しております。
資料は19ページ下段の方になります。アウトプットにつきましては,質問項目の結果に基づきまして1のa,統計データ,1のb,活用事例集,そして2番の意識調査,こういったものをアウトプットとして予定してございます。
資料の方おめくりいただきまして,20ページになります。そして,このような調査結果を本協議会のメンバーの皆様方はもちろんのこと,各大学関係者へ情報提供していくようなことを計画している次第でございます。
以上になります。
【多田座長】  ありがとうございました。
それでは次に,議題5の高大接続システム改革会議「中間まとめ」報告につきまして,文部科学省から御説明をお願いいたします。
【新田主任大学改革官】  失礼いたします。高大接続改革プロジェクトチームでございます。資料は引き続き21ページ,資料5,それから資料5の別紙でございますA4の大きな資料の方,カラフルなものございますが,これと併せてごらんいただければと思っております。
まず21ページ上段のところでございますが,高大接続改革につきましては,昨年12月の中教審の高大接続改革答申,ここでの提言の方向性を踏まえまして,これを具現化する観点から,本年1月に高大接続改革実行プランが文部科学大臣決定により策定されております。これを具体化するため,また具体的な制度設計につきまして御検討いただきます高大接続システム改革会議が3月から開催をされておりまして,このたび9月に中間まとめが取りまとまったというものでございます。
1枚おめくりいただきまして22ページでございます。この22ページが,先ほど大きいものが別紙資料5でございます。こちらでごらんいただければと思います。
高大接続システム改革は,上段にございますとおりに,学力の3要素。いわゆる知識・技能と思考力・判断力・表現力,それから主体性・多様性・協働性といった,この学力の3要素を,二つ目の四角にございますとおりに,高等学校教育,それから大学教育,そして大学入学者選抜,この3者を通じて育成し評価されるといったようなシステム改革にしていくのが眼目でございます。このため,改革のフィールドは高等学校教育の改革,大学教育の改革,そして間をつなぎます大学入学者選抜の改革という三つの大きな部分があるということでございます。
このうち高等学校教育の改革でございますが,こちらの方は,まず引き続き23ページの上段をごらんいただければ,こちらが高等学校教育の質の確保・向上に向けた全体的な取組ということ,全体像でございます。
左の下にございます教育課程の見直し。その中での学習指導要領の改訂とございます。そして,そのような指導を行うにふさわしい,十分な,上の段でございますけれども,学習・指導方法の改善と教員の指導力の向上。そして,その指導と相まりまして,右側の緑のところでございますけれども,多面的な評価の推進とあるわけでございますが,この多面的な評価の推進につきましては,一つ目の四角にあります学習評価の改善,そして一番下の学校評価の改善という,その間のところに多様な学習成果を測定するツールの充実ということで,二つ目のポチにありますような,校長会等が行っております農業,工業等の検定試験の活用促進,それから三つ目の英語等の民間試験等の質的向上と普及促進と並びまして,一つ目のポチにございますとおりに,高等学校基礎学力テストの導入が提言されているということでございます。
なお,下の欄をごらんいただきますと,三角の逆のところがございますが,高等学校教育というのは義務教育の上に必履修教科・科目,選択科目,専門科目,そしてボランティア等,あと学校行事等の活動が総体としてあるわけですが,このうちの特に必履修教科・科目の部分の,要は基礎学力の定着を図る観点から,右側にございますような高等学校基礎学力テストが,幾つかの評価の在り方の一つとして創設をするということでございます。
次のページめくっていただいて,24ページ上段でございます。このような取組を含めて,高等学校におけるPDCAサイクルを構築するという中。この中の緑のところでございますが,このチェックの一つの仕掛けとして高等学校基礎学力テスト(仮称)の創設,活用が求められるということでございます。
この高等学校基礎学力テストでございますが,24ページ下段でございます。基本的事項といたしまして,目的の一つ目の丸,中ほどからございますとおりに,高等学校における基礎学力の定着度を提示できる仕組みを設けることにより生徒の学習意欲の喚起,学習の改善を図るとともに,その結果を指導改善等に生かすこと,これらを通じて高等学校の質の確保・向上を図るということを目的とし,対象者の一つ目,真ん中にございますとおりに,学校単位での参加を基本とする。
また,2の具体的な制度設計の考え方の2問題の内容のところの一つ目の丸でございますが,ボリュームゾーンとなる平均的な学力層や,底上げが必要な学力面で課題のある層を主な対象として出題をするという内容。
それから一つ目の丸でございますが,対象教科・科目として,導入当初は国語,数学,英語,特にこれら共通必履修科目の内容範囲として,そこからスタートするということでございます。
3番,出題・解答・結果提供方式として,一つ目の丸にございますとおりに,試行を通じてCBT-IRTを導入する方向で検討する。また三つ目の丸,10段階以上の多段階での結果の提供。
そして4実施回数・時期・場所でございますが,CBT-IRTが円滑に活用されますと,時期・回数の問題は解消するんでございますが,二つ目の丸,導入当初は高校2年生,3年生で,それぞれ年間2回まで受検できる仕組みとして随時見直すと。
25ページ上段でございますけれども,下の段,次期学習指導要領下,平成35年度以降ということで,対象教科・科目として,次期学習指導要領において示される必履修科目を基本として実施するということで,地歴・公民,理科における必履修科目についても順次拡大をしていく方向性ということでございます。
以上が基礎学力テストを含めました高等学校教育改革でございます。
大きな全体資料,資料5別紙の方,戻っていただきまして,今度,青いところ。大学教育改革でございます。
大学教育改革につきましては,一つ目の四角にございます,三つのポリシーとございます。出口基準としてのディプロマ・ポリシー,そして真ん中のカリキュラム・ポリシー,そして入り口基準としてのアドミッション・ポリシーを一体的に策定し,二つ目の四角でございますが,これらの策定を通じて教学マネジメントを確立し,入学から卒業までの大学教育全体を改革するということ。そして,この改革につきまして一番下の丸にございます認証評価制度の改革と相まって,その実効性を担保するという考え方でございます。
25ページをごらんいただければと思いますが,こちらが三つのポリシーに基づく大学教育の実現のイメージということでございます。アドミッション・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,ディプロマ・ポリシーの一体的策定及び公表。これを通じて1体系的なカリキュラム編成,それから2能動的学修への転換,そして3学習成果の把握・評価,そしてこれらの取組を支えます4実践を支える体制の整備ということ。これらを通じて大学教育の質的改善を図っていくということでございます。一番下にございますとおりに,認証評価制度の改善と相まって実効性を確保していくということ。これが大学教育改革でございます。
今度,全体資料,真ん中,緑の部分の大学入学者選抜改革でございますけれども,これにつきましては,一つ目の四角にありますとおりに,今の三つのポリシーのうちアドミッション・ポリシーに基づき「学力の3要素」を多面的・総合的に評価するものへと転換するということ。ここで,現状では抽象的なものにとどまっていることが多いアドミッション・ポリシーについて,その内容を明確化し,これを実現するための入学者選抜方法という関係性に具現化していくということでございます。
取り組むべき方策の部分の丸の1でございますけれども,アドミッション・ポリシーにおいては,一つ目のポチにございますとおりに,「学力の3要素」につきまして,具体的にどのような能力・レベルを求めるのかを明確にし,またさらに,それらを適切に評価するためには,入学者選抜における評価方法を組み合わせて,どのような水準を要求し,どのような比重を置いて評価するのかということを各大学で明確にし,表示していただくと。また,これに基づいた入学者選抜を行っていただくという関係性をすることを通じて,入学者選抜改革を図っていくこと。これが個別選抜改革ということでございます。
それから,今度,ページで,下ですと見えるんですが,一番下にあります大学入学希望者学力評価テストでございます。こちらは26ページ上段からをごらんいただければと思います。
大学入学希望者学力評価テストの導入ということでございますが,こちらは1の1目的・対象者の一つ目をごらんいただきますとおり,これからの大学教育を受けるために必要な能力について把握することを目的として,知識・技能を十分に有しているかの評価も行うことに加えて,「思考力・判断力・表現力」を中心に評価をするものとしていくということでございます。
このため,2の具体的な制度設計の考え方のところで,次期学習指導要領下(平成36年度~)ということで六つほど丸,地歴・公民,それから数理探求,数学,理科,国語,英語と順次書いてございますが,基本的には今の考え方に基づきまして,知識・技能に関する判定機能に加えて,思考力・判断力・表現力を構成する諸能力の判定機能を強化するということが基本的な考え方でございます。英語については後ほど,また加えて御説明いたします。
そして下の段でございますけれども,2問題の内容,出題・解答・成績提供方法ということで,一つ目にございますとおりに,多肢選択式問題に加えまして,記述式などを導入するということ。この記述式につきましては,四つ下下がっていただいたところで,32年~35年は短文記述,36年度以降でより文字数の多い記述式の導入というようなこと,あるいは次の丸でございますけれども,CBTの導入につきましても,高等学校基礎学力テストにおける検討状況・実績等も踏まえながら段階的に実施をしていくことというようなことなどにつきましても記述されているということでございます。
なお,今申し上げました高等学校基礎学力テスト,それから大学入学希望者学力評価テストにおけます英語の扱いということにつきましては,まず47ページをごらんいただければと思います。47ページ,中間報告本体でございますけれども,47ページの一番下の丸でございます。これは高等学校基礎学力テストの具体的な内容について記述しているところでございますが,一番下の丸で「また」のところで,英語については,「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能をバランスよく育成することが重要であり,4技能を測ることができるテストを導入する。その際に,記述式に掲げた課題や対応方策等も勘案するということでございます。以上が高等学校基礎学力テストについての英語の扱い。
それから71ページが今度,大学入学希望者学力評価テストにおける英語の扱いでございます。71ページの上半分,三つ目の黒ポツでございますけれども,大学入学希望者学力評価テストにおける英語につきましては,書くことや話すことを含む4技能について,例えばで2行ほど,これこれこれを伝えるための思考力・判断力・表現力を構成する諸能力を評価する。また,この実施に当たって,民間との連携の在り方を検討するということで記載をされているということでございます。
以上が中間報告の概要でございますけれども,システム改革会議においては今後更に最終報告に向けての検討を進めていくことになっているということでございます。
以上でございます。
【多田座長】  ありがとうございました。それでは,ただいま事務局から御説明ありました三つの議題,当面の取組について及び調査研究事業の概要,そして高大接続システム会議「中間まとめ」につきまして,質問や御意見等がございましたら挙手をお願いいたします。なお,この後,高大接続担当の事務局の方が退席されると聞いておりますので,特に今の議題5の高大接続について御質問ある方はこの時間にお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか。安河内委員。
【安河内委員】  大学入学希望者学力評価テスト,そして高校生基礎力テストについては今御説明があったんですけれども,アドミッションにおいては,大学の個別試験,この取扱いが非常に重要になってくると思うんです。現状では,まだこの個別試験に関して改革するという明確なプランが,この資料から見てとれないのですが,そちらはアドミッション・ポリシーとの整合性をとるということ以外に,英語のテストに関して,何か議論は進んでいるんでしょうか。
【新田主任大学改革官】  まず高大接続システム改革会議における入学者選抜の改革につきましては,一つ目の共通テストとしての大学入学希望者学力評価テストの制度設計,それから大学の個別選抜の改革という二つのフィールドで議論しているということです。特に個別選抜の改革につきましては,一次の利用の方も含めまして,アドミッション・ポリシーに基づいて,そこでの求める能力像から評価基準,そして入学者選抜の実際の評価方法を組み合わせて明示をすることを通じて改善をしていくということでの基本的な考え方を取りまとめているということでございます。
これは各得点,英語も含めました教科ごとに,どのように落ちていくのかということについて議論しているわけではございませんので,あえて申し上げますと,65ページに注のところで,前提といたしまして,いわゆる,この中間報告の中では,大学入学希望者学力評価テストで知識・技能等,思考力・判断力・表現力等の基礎のところは評価することを前提として,二次においては多面的・総合的な評価をしていただくということ,基本的な考え方の下で。
ただということで,一番下,注の44というところございますけれども,個別の入学者選抜において,各大学のアドミッション・ポリシーに当該大学の定める「知識・技能」,「思考力・判断力・表現力」の水準を明記するとともに,それらを適切に評価するため,特定の教科・科目の「知識・技能」,「思考力・判断力・表現力」について評価する方法も活用することはあっていい。これは,ですので,各個別大学における二次試験における知識・技能,思考力・判断力・表現力を評価する問題の活用についてもあっていいということで提言しているにとどめておりますので,これは教科横断的な考え方でございます。
この中で特に英語についての特出しをした議論のところまでがスコープとしてシステム改革会議の方で,これは入試全体について議論していただきますので,英語だけを取り出しての部分についてまで,どこまで突っ込めるかというのはあるんですが,むしろ,こちら側も踏まえてのフィールドでも御議論いただければと思います。
【多田座長】  ありがとうございました。そのほかに,どなたか。
きょうは本当に長丁場なんですね。2時間半ということなので。ただ,まだいろいろな議題がありますので,各委員には,後で御発言の機会ありますので,そちらの方で,また取りまとめてお話しいただければと思います。
では,続きまして議題6に移りたいと思います。英語4技能試験情報サイトの運用の状況につきまして,日本英語検定協会教育事業部,塩崎部長より発表し頂きますので,よろしくお願いいたします。
【塩崎委員】  それでは,試験団体を代表させていただきまして,4技能情報サイトの御紹介をさせていただきたいと思います。お手元の同じ資料の資料6,ページ数でいいますと82ページからになります。
こちら,今年の1月に,この英語4技能サイト,立ち上げをさせていただきまして,非常に多くの教育機関様等から,見やすい,分かりやすいといったお声を頂いております。こちらの4技能のサイトのコンテンツ,大きく分けて三つの分野がございます。一つが文部科学省様や,あるいは英語教育に関するコンテンツ,それから資格・検定に関するコンテンツ,そして三つ目が事例紹介などに関するコンテンツというところでございます。
おさらいも兼ねまして御説明の方をさせていただきたいと思いますが,84ページ,ごらんいただけますでしょうか。ちょっと小さくて恐縮でございますが,こちら,文科省の本連絡協議会の立ち位置,あるいはその背景にある英語教育に関する情報を,どなたが読んでも分かりやすくなるような形で並べてあるコンテンツ,掲載させていただいております。
それから,次の85ページでございますが,こちら,そういった英語教育のあらゆるサイトにリンクなども張らせていただきながら,このサイトからいろいろな情報に飛べるというところになっております。
続いて86ページ,87ページ,ごらんいただけますでしょうか。こちらは今度,資格・検定試験の関連情報のコンテンツ,このような形で載せさせていただいております。現在,この連絡協議会に参加いただいております試験団体の皆様と協力しながら,比較表を公開いたしまして,それぞれの持つ特徴や違いについて比較可能になるようなページというものを掲載させていただいております。
そして88ページにおきましては,この各検定の,また同じ項目,CEFRとの関連性等についても掲載をさせていただいているというところでございます。
それから89ページ,ごらんください。こちら,同じ項目比較で,各試験,分かりやすく情報ページを比較しておりますので,ユーザー様の方がこちらを見て,各試験をどういった用途で使うのかというのを比較できるようになっております。
それから90ページ,本連絡協議会で昨年発表された資料も掲載をさせていただいておりますので,より詳しく知りたいという方は,こちら,それぞれの試験クリックしていただいて,ごらんいただくことが可能でございます。
続きまして92ページ,ごらんください。こちら,ウェブの巻頭でスペシャルインタビューの掲載させていただいております。多田座長にはじまり,現在は吉田研作先生にインタビュー。本連絡協議会の有識者の方に英語教育に関する,あるいは大学入試に関する熱い思いを語っていただいております。
それから93ページでは,大学入学者選抜の先進的な取組事例というところで,率先して外部試験導入を行っている大学様の事例を詳しく掲載させていただいております。
94ページはスーパーグローバル大学,それからハイスクールにおける取組を紹介させていただきながら,95ページ,こちら,授業などで資格・検定試験を積極的に活用している中学校,高校ということで,現在,佼成学園女子中学高等学校の方が掲載をさせていただいているところでございます。
続きまして96ページでございますが,こちら昨今,続々と大学入試に外部試験の活用が発表されてきておりますので,発表されるごとに,こちらに掲載をさせていただきまして,情報を各大学様のページにリンクを張りながら紹介をさせていただいております。
98ページでございますが,1月公開されてから,このようなコンテンツが加算されましたというのを時系列ごとに書いてあるということでございます。
今後も検定団体,協力しながら情報の充実に努めていきたいと思います。
以上でございます。
【多田座長】  ありがとうございました。
それでは議題7,資格・検定試験団体におきます取組(報告)に移りたいと思います。各試験団体より,それぞれの試験に関しまして,資料3に掲げられているような観点につきましても,昨年度以降の進捗状況を中心に発表していただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
最初に,ケンブリッジ大学英語検定機構の青山委員からお願いいたします。
【青山委員】  ありがとうございます。それでは,お手元の資料について順に説明させていただきます。資料7をごらんください。よろしいでしょうか。
五つのレベルの試験及びIELTSを共通の尺度で示すスケールの導入が2016年2月に完了する予定です。そして,コンピューターベースの試験ができるセンターが誕生しています。以上が更新された情報です。
そして次に導入事例についてですが,大学入試では,2ページ目の資料にある大学様に活用いただいております。導入事例(大学入試)とある資料です。
次に,下段のスライドをごらんください。授業への導入事例として,東京都のかえつ有明中・高等学校様のAdvanced PETについて御紹介いたします。中3から高1の2年間のコースで,帰国生では通常生として入学してきた生徒さんのうち,努力して基準に達した生徒で当該コースを編成し,高1の秋までにPETの合格を目指すコースです。PETはB1のコースなんですけれども,週6コマのうち3コマが,PETを用いたコミュニケーション力重視の授業を展開していまして,合格者の中にはコース修了後に帰国生クラスへと編入する子もいるそうです。
そして次のページ,インターンシップへの活用に関して御紹介いたします。近年,北海道のニセコは国際リゾート化が進み,海外に行かずして英語によるインターンシップが可能な環境になっています。インターンシップを実施している北星学園大学短期大学部では,受入先の外資系企業の求める英語力へのディマンドの高さから,インターンといえどもグローバルに通用する英語力を示す国際資格のニーズの高まりを受け,今年5月にPETの受験を実施するなどの取組を開始しました。
次に,スコア分布分析に関する資料をごらんください。ケンブリッジ本部提供の日本の高校生の受験者データです。上がA2のKET,下がB1のPETで,垂直に入っている線がカットオフポインツ,いわゆる境界ポイントで,受験者最多のボリュームゾーンを表しています。これからKETはA1とA2の力を,PETがA2とB1の力を精度高く測っていること,KET,PET,いずれも英語力のボリュームゾーンがCEFRできっちり分かれているのがお分かりでしょう。
そして最後の研究調査関連の項目ですが,ケーススタディとして御紹介していますのが中国河北省の事例です。このケーススタディが示しているのは,英語4技能試験の導入にはティーチングとラーニング,この両方がしっかり計画に組み込まれている必要があるということ,段階を踏まえて進めていくことの重要性です。生徒の英語力向上には年齢,レベルに応じたCambridge EnglishのKET,PETを活用し,先生方にはTKTやコミュニカティブ教授法を用いた再トレーニングを行っております。
その結果が次のページの上段の導入成功事例です。数値の上で進学実績でも十分な成果が現れており,またKET,PETのパスで合格した割合が,中国全体はもちろん,世界平均よりもずっと上の数字を示しております。
最後のスライドはGrade Statisticsと呼んでいる実績データで,国別のデータをウェブサイトで公表しています。
以上です。
【多田座長】  ありがとうございました。続きまして英検,IELTS,TEAPに関しまして塩崎委員,お願いいたします。
【塩崎委員】  ありがとうございます。それでは私の方から英検,TEAP,IELTSに関する情報更新,導入事例,受験状況の3点を御報告させていただき,最後,センター試験との対応付け調査を行いましたので,こちら,弊会研究員の仲村にスイッチして御説明させていただきたいと思います。
それでは,7ページをごらんください。最初に英検の情報更新でございますが,7月15日に2級にライティング導入を発表させていただきました。これにより2級も2016年度第1回から4技能化されるということになります。
具体的な問題例が,下段にございます問題例でございます。短いセンテンスに対して理由と意見を二つ書く,80ワードから100ワードの間でというのが現在の例題になっております。これにより,現在4技能である1級,準1級,来年度から2級が4技能化されるということになりまして,準2級と3級に関しましては,早期実現を目指して現在,検証を進めているといった段階でございます。
続いて8ページの方ごらんください。今年度から進めております検定のCSE化。1本の尺度で各種検定を測るというものでございますが,現在,英検,英検IBA,TEAPは,この尺度に乗せさせていただいて活用いただいているところでございます。
下段の8ページ,英検の方,CBT化もどんどん進めております。現在,一次試験は全国13都市で実施,17会場実施できる会場がございまして,二次試験はオンライン,それから人,どちらか選べる方式になっているというところでございます。
続きまして9ページでございますが,検定料助成制度,こちらも充実をしております。現在5タイプの検定料助成制度を展開しておりまして,最大50%程度の助成をしながら,広く英検を英語力指標として活用していただけるように展開をしているといったところでございます。
続きましてTEAPの情報更新。下段にまいりますが,2016年度入試においてもTEAPだけを基準点とした利用型入試が少しずつ広がってきております。パイオニアであります上智大学様,昨年度,TEAP利用型と学科別入試で過去最高志願者を記録したというのも記憶に新しいところでございますが,今年度は約3割の学科にて4技能のスコアを導入しております。青山学院大学様においても1学科2学部,東京理科大学様でも経営学部の一つの学科でTEAPのみを基準点とした入試を開始しております。
続きまして10ページでございますが,2017年度入試においてもTEAPの採用が進んできております。昨今,早稲田大学,明治大学,筑波大学様でもTEAP,IELTS,英検,この三つの試験を利用した外部試験の導入が発表されているといったところでございます。
そういった影響もあってか,今年度第1回のTEAP,受験者が約4,800名と,対前年162%ということで,非常に増えているといったような状況がございます。
11ページ,IELTSに関する情報更新でございますが,2014年世界受験者数が250万人を突破いたしました。留学に使われるテストとしましては最もポピュラーなテストという位置を,ここ数年キープし続けているところでございます。イギリスのビザ取得においても唯一の国外受験できるテストとしてIELTS,認定されております。国内におきましては昨年度3.1万人を突破して,5年間で約4倍,受験者が増えておりますし,最近発表されております大学入試への外部試験導入においても高い採用率を保ってきているというところでございます。
11ページ下段には,最近発表されております外部試験の大学入学者選抜の導入に関しまして主なものを一覧でまとめさせていただいておりますが,各大学様アドミッション・ポリシーに応じて英検,TEAP,IELTS,採用している試験を選んでいるというようなことでございます。
続いて12ページでございますが,上段,下段で英検,IELTS,TEAP,それぞれの経年の受験者数を掲載しております。どれも総じて上昇傾向にあるということが見てとれるかと思います。
続きまして,担当替わりましてセンター試験,TEAP,英検,対応付けの調査結果報告をお願いいたします。
【仲村氏】  失礼いたします。報告者替わりまして仲村から報告申し上げます。
13ページの上段をごらんください。こちらはセンター試験,TEAP,英検の対応付け調査結果を行いましたので,そちらの報告させていただきます。
同じページの下段に目的が書いてありますが,本会議を含めまして,大学入試における外部資格検定試験の活用を進めるという枠組みにおきまして,現在はCEFRをベースにした対照表というものが参考として,各大学様にも使われているかと思います。弊協会といたしましては,その対照表を補完するという意味も持ちまして,データを用いた弊協会が持っている試験とセンター試験さんを同時に受けていただいて,より精緻なデータを提供することで,その活用を進めることを目的に,この研究を行いました。
具体的には本年度のセンター試験,1月に今年あったんですが,そちらを受験いただいた方を対象に,英検とTEAPをそれぞれ受けていただきました。ですので,同一受験者が三つの試験を受験したことになります。
このような試験は通常,例えばセンター試験さんの場合ですと,アンケートを用いてスコアを後から記載いただくということがあるんですが,今回はセンター試験の成績通知書の提出ができる方に限ってやりましたので,その精度の信ぴょう性を確保するために,このような手続を踏みました。
その結果が14ページになります。14ページの上段をごらんください。こちらはセンター試験の筆記とリスニング250点満点と,TEAPのリーディングとリスニングの結果を示しております。
まず概要といたしましては,相関係数という試験間の相関性を示す値が0.8弱になりまして,高い相関係数となりました。その結果を基に,こちらの回帰直線を示しましたが,センター試験の全国平均が現在150点前後なんですけれども,それに対応するTEAPの得点,200点満点でいうと87点程度になることが,この結果から分かりました。
同じページの下段をごらんください。こちらはセンター試験の250点満点の結果と,英検のリーディング,リスニングのスコアをCSEという尺度に直して示した結果を示しております。同じく全国平均に当たる結果は2級と準2級と,このような関係になることが分かりました。
また,センター試験と英検の相関係数は0.9弱ということが分かりましたので,こちらは非常に高い試験間の相関が得られたかと存じ上げます。
続いて15ページの上段をごらんください。こちらは弊協会の商品であります英検とTEAPの間の相関を示しております。まず相関係数といたしましては0.844と,こちらも高い係数を示しました。ですので,試験間として相関が高い試験であることが示され,こちらも同じようにCSE化した2級と準2級の合格ラインが,TEAPでいうとどのぐらいの得点になるかということが模式的に示しております。
こちらに関しましては今後も入学者選抜の外部資格・検定試験を御利用いただく教育機関様と連携をさせていただきますので,次の下段にありますような連絡先まで御連絡いただければと存じ上げます。
英検からの報告は以上です。
【多田座長】  続きまして,GTEC CBT,GTEC for STUDENTSに関しまして,込山委員代理,よろしくお願いします。
【込山氏(山崎委員代理)】  ベネッセコーポレーションにてGTECの責任者をしております込山智之でございます。よろしくお願いいたします。私からはGTECの最新情報を御説明させていただきます。
それでは,16ページをごらんください。下段から始まりますが,シートの左上に番号が1と振っております。これから,この番号で順に話を進めさせていただきます。
まずGTEC CBTとGTEC for STUDENTSの比較を改めてお示ししております。一番上,コンセプトですが,4技能,思考力・判断力・表現力を測定することは共通です。中段のテストの主目的ですが,CBTは大学進学,for STUDENTSは教員・生徒の振り返りという違いがございます。また実施形態では,CBTは4技能,パソコンでのオールインワン,for STUDENTSは3技能を紙で,スピーキングをタブレットで実施をしております。
まずはGTEC CBTについて御説明をします。隣のページ,上段シート2をお願いします。CBTの大学入試活用についてです。現段階で全国49大学において活用が進んでおります。
下段シート3では,具体的に,その国立11大学,公立3大学,私立35大学を一覧で示しておりますので,また別途,御確認いただければと思います。
次のページ,上段シート4をお願いいたします。CBTのポイントとしまして1点,CAT,Computer Adaptive Testingについて御説明をいたします。その仕組みについて,CATはその人に最適な問題が出るため短い時間で測定が可能となります。
例えば今,AとBの2人の受験者がいたとします。最初に同じ問題が出たとします。下段シート5のように左のAさんは正解,右のBさんが間違えたとすれば,隣のページ上段シート6のように,Aさんには難しい問題が,Bさんには簡単な問題が出題されます。そして下段シート7,またAさんは正解し,Bさんは間違えたとします。次のページ,シート上段8をお願いできればと思います。Aさんにはますます難しい問題が,Bさんには更に簡単な問題が出るという流れになっております。
まとめますと,IRTにおいて測定に意味のない問題を受けなくて良いということになります。どの英語力の受験者でもレベルに合った問題が出題されます。そのためにGTEC CBTは,CEFRのA2からC1まで,幅広い英語力を短い時間で測定することができています。4技能検定としては世界で唯一のCAT技術を用いたテストとして今実施がされているということで,最新情報で見ていただければと思います。
続きましてGTEC受験者のレベル感をお伝えします。対象は全て高校生になります。下段シート9になります。パーセンタイルを示しておりますが,この累積グラフ,A1は約30%,A2までで約80%,B1以上は約20%存在していることを示しています。
同じ見方で,右ページのシート10をごらんください。こちらはGTEC for STUDENTSの4技能のパーセンタイルです。A1は約35%,A2までで90%を超えて,B1以上は数%となっております。
ちなみに,この4技能のfor STUDENTS,年間,約70万人の受験者の中でも,コミュニカティブな英語指導に積極的になっている,例えばスーパーグローバルハイスクールのような学校で年間数万人が受験をしています。そのため3技能よりも高めの分布となっています。それでも,先ほどの大学入試向けのCBTと比較いたしますと,いわゆるCBTの方が,より英語力が高い層が受験していると捉えることができるかと思います。
最後になります。GTEC for STUDENTSについてポイントを1点のみ説明差し上げます。ページをおめくりください。下段シート12になります。
for STUDENTSはスピーキングをタブレットで,このように実施をしております。右,シート13をごらんください。タブレットでのスピーキングテストのCEFR関連付けが完了いたしました。そのため表の中央のとおりのスコアとなりましたことを御報告いたします。
なお表記に関しましては,3技能のスコアを考慮しまして,より分かりやすく今後提示をしてまいります。
以上になります。微力ではございますが,引き続き英語4技能の普及に努めてまいります。引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【多田座長】  続きまして,TOEFL iBTにつきまして根本委員,よろしくお願いします。
【根本委員】  それでは,TOEFL iBTについてCIEEの根本から御説明させていただきます。資料の28ページからがTOEFL iBTの話になります。
4点ほど挙げさせていただいておりますが,最初に試験に関する情報更新です。現在,TOEFL iBTの試験会場は30都道府県90会場,設定をされています。新しい情報としましては,受験者は各自のスコアをPDFでオンラインでダウンロードできるようになったということで,有償で受け取る必要がないということです。
それから,そのPDFについてのスライドが29ページの下にございます。
めくっていただきまして30ページですけれども,スコアユーザー,つまり,例えば大学様あるいは教育機関様でスコアを受け取る際にオンラインで受け取るサービスというのを開始しておりまして,確実に受験者のスコアを受け取れるサービスをETSが開始しているというところが30ページの上のスライドのところになります。
導入事例についてです。30ページからの下のところですが,ここでの取組について資料,こちらはページですと35ページから40ページ,それぞれ授業での実践事例というものを付けさせていただいております。
特に2番の大阪府立三国丘高等学校の柿本先生ですが,大阪府ではスーパー・イングリッシュ・ティーチャーということでTOEFLのスコアが100点以上の教員を採用しまして,現場の先生と協働で授業を開始しておりますけれども,そういった先生の取組になります。
3番の英語教育での活用事例の御紹介については,今,ETSの公認トレーナー,TOEFLのトレーナーが日本に4人いらっしゃいますが,そのうちの1人として宇佐美修先生の授業実践を掲載させていただいております。
いずれについても思考力それから表現力を問う形のテスト,学習ということで,授業での実践例を出していただいております。
またスーパーグローバルスクールでも,31ページの上になりますが,各校での取組がいろいろされているという事例が出ております。
大学入試,これは一般入試の方ですけれども,現在CIEEで調べている範囲では35大学での決定,若しくは利用開始が始まっております。また利用予定として筑波大学さん,明治大学さんで予定がされているという現状がございます。
めくっていただきまして32ページのところですけれども,受験者のスコアについてです。これは2013年にETSの研究者がデータを持ってきたものですが,2012年の日本全体の受験者,更にその中で,例えば大学院に進学,大学の学部進学,高校生,あるいは語学学校への留学ということで,それぞれ母集団について平均点を出しまして,日本の高校生の平均,2012年のときはTOEFL iBTのスコアは64点であったというところでデータが出ております。ちなみに日本全体のスコアは70点,世界全体の平均のスコアは80点という現状がございます。
こちらのスコアですが,高校生といっても,その先に海外の進学を目指している受験者が多いですので,日本の高校生の平均としては,かなり高い方であるということが言えると思います。
32ページの下のところは,それぞれ各受験者層別の差ということで,高校生については,日本人の平均が上にありますように64点でしたけれども,世界全体としては74点となっております。
また32ページの下の段,右側のところですけれども,こちらは日本全体の受験者のスキル別,リーディング,リスニング,ライティング,スピーキング,それぞれの世界と平均したパーセンタイルが出ております。
研究調査関連についてです。33ページに記載させていただいておりますが,一つはCEFRとの関連のレポートについて出されております。
もう一つはTOEFL iBTのテストスコア利用実態調査ということで,現在,私どもCIEEで集計をしておりますけれども,500超の大学様から回答を頂いておりまして,利用状況についてまとめて,今年度末に発行予定ということになりますので,また発行になりましたら,サイト等を通じまして御報告させていただきます。
【多田座長】  ありがとうございました。続きましてTOEFL Junior Comprehensiveにつきまして小椋委員,よろしくお願いします。
【小椋委員】  それでは,私からはTOEFL Junior Comprehensiveの更新情報と新しい情報ということでお話をさせていただきます。資料,41ページからになっております。
41ページ下段は既に出されているものですけれども。テストそのものはETSの制作でございまして,世界基準の中学,高校生向けのテストであるという位置付けはもちろん変わっていないところですけれども,ここに概要として出させていただいております。
次のページに参りまして,スライドの3枚目です。このスコアレンジですが,今,リーディングとリスニングがレンジとしては20点分といいますか,140~160というところ,スピーキング,ライティングに関しては0~16ということになっているんですが。こちらは,実は世界的なニーズもマッチしているということで,来年度,日本においての来年度ですけれども,こちらが均等配分のスコアになりますということですので,均等配分化されましたら,また皆様に御連絡いたします。
その均等化に当たりまして現在,世界で数千人の高校生,大学1年生までなんですが,対象に,このTOEFL Junior Comprehensiveを受験してもらっておりまして,このデータを基にETSがリサーチを掛けまして,現在のTOEFL Junior Comprehensiveのスコアと4技能,均等になったときのスコアと換算される換算表が皆様に御提供,近々できると思います。
その下です。今年度11月1日にテストが行われますが,来年度からは秋の推薦入試などに間に合うように,今のところ3日程を設定する予定にしております。これは実は今年度から既に始まっておりますけれども,テスト受験可能な都道府県ということで,全国47都道府県での受験が可能になっております。
次のページに参りまして,大学での入試の活用例として幾つかこちらに挙げさせていただいております。こちらは先ほど塩崎委員からもございましたように,4技能のサイトで細かくは見ていただけると思いますので,詳しいところはそちらの方でごらんいただければと思います。
その下です。ここからは新しい情報ということで共有させていただきますけれども,調査研究ということで,一つはテストの実施方法,インフラといいますか,もう一つに関してテストそのものの内容の方で調査が進んでおります。これはスクリーンショットを載せております。ちょっと小さくて見にくいとは思うんですが。一つはタブレットでPCの内容と全く同じComprehensive4技能のテストが受けられるというものですけれども,こちら,かなり実用に近いアウトカムが調査で出てきておりますので,今,実施に向けて世界でフィールドテスト,実際に使って,どうワークするのかというところが行われております。日本でも,少ない高校様ですけれども当該のフィールドテストが同様に行われております。
並んで,いわゆるインターネットベースということで,ネットにつながった状態でのテストだけではなく,モバイル環境(オフライン)によるテストの実施ということも研究が進んでおりまして,こちらもフィールドテストに進んできている状態です。ネット環境がない部屋でも実施が可能になってくるのではないかということで期待をしております。
それから,その下の方ですけれども,4技能テストに関する学術的研究ということで,今年度の6月にETSよりペーパーが出ておりますので,TOEFL Junior Comprehensive,4技能のジュニアのテストに関するペーパーとしては初めてのものだと思われますので,御興味ある方は是非御一読いただければと思います。
最後のページになりますが,実践例ということで,東京都立の高校で初めて実施をしていただいております。こちらは特徴的な英語の学習・指導されている学校様ということでもありますけれども,いずれにしましても,ふだんの英語の4技能の評価をTOEFL JuniorでIP,インスティテューショナル・プログラムとしてなんですが,団体様で学内でやっていただいている例として今回一つ挙げさせております。
そのほか,今年度,約30校で,このように学内でTOEFL Junior Comprehensiveのテストを受けていただいている学校様がございます。
最後です。先ほどGTEC CBT様からもございましたけれども,TOEFL Juniorを受けていただいている方のパーセンタイルの分析ということで,こちらに載せております。一番右の一番濃い部分がCEFRのB2レベルの方で,左に向かってB1,A2,それからA2以下ということで,このような結果が出ております。
少し参考のために幾つかの大学様の基準といいますか,採用,活用の状況を下の方に載せておりますので,またごらんいただければと思います。
今回は4技能合計したスコアのみの公表ということにとどめさせていただいてはいますけれども,何か御不明な点などありましたら,また後ほど私の方までお問い合わせいただければと思います。
以上でございます。
【多田座長】  試験団体の最後の発表としてTOEIC,TOEIC S&Wに関して三橋委員,よろしくお願いします。
【三橋委員】  それでは,TOEICプログラムにつきまして御紹介させていただきます。
まず資料7の45ページ下段になります。試験の情報ですが,ここは大きな変更はございません。ただ,各開催都市における頻度に関して年10回の実施日のうち年3回とか年5回とかしか実施していなかったところが,年6回とか年8回実施に増えているといった事例が幾つか出てきております。詳細につきましてはここに書き切れませんでしたので,4技能サイト等で御確認いただければと思います。
続きまして46ページに写りまして,入学試験での活用事例。これは4技能,すなわちTOEICのL&RとS&W両方を課しているところの事例になります。これが例えばL&Rのみで入学試験における加算点とか何らかの形で使っているところを加えますと,全国で600校ぐらいになります。
あと導入事例のほかの例としましては,TOEICの場合はどうしても企業で使われているという事例がかなり多いものですから,入学した後の学内における進級要件,あるいは卒業要件で使っているという事例も,かなりございます。
さらには,大学が国際化していく上で,学生だけではなく大学の職員も国際化する必要があるということで,職員に対してもTOEICを課しているといった事例が大学等では出てきております。
高校レベルでいきますと,高校の先生もある程度の英語能力がなければいけないということで,教員採用試験におけるTOEICの活用,あるいは既に教員になられた方に対しても研修等でTOEICを課しているという事例も,かなり全国的には出てきております。
続きまして47ページ,48ページにTOEICのスコア分布を載せております。47ページの下段は,高校3年生の事例でございまして,1万6,000名ほどのデータがございましたので,割ときれいなS字カーブになっております。ほかの資料で,たしか8万人規模の高校生のデータによりますと,「読む」,「聞く」のレベルはA1からA2の下位レベルにかなり集中したとございましたけれども,このTOEICのスコアで見ますと,A2レベルに77.7%とかなりの数が固まっておりますので,高校レベルでTOEICを活用しているところというのは,現状ではかなり特殊な,英語のできる生徒が多い,あるいは英語に力を入れているといった学校の生徒のデータであるということを御理解いただければと思います。
48ページの上段にはスピーキング,ライティングの分布が載っております。こちらはL&Rに比べますと受験者数がまだまだ少ないものですから,形も非常にいびつなものとなっております。また先ほどのL&Rでもそうでしたが,スピーキング,ライティングは,より特殊な高校生しか,まだ御受験いただいておりませんので,あえてここでは,大学入学時点の,まだ大学の授業を受ける前の時点で受験された大学一年生の分も含めたデータになっております。これで見ますと,S&WのスコアはL&R以上にCEFRの低いレベルに多く分布しているというのが分かるかと思います。
49ページの資料は,文系理系それぞれ大学生就職企業人気ランキング上位100社のうちTOEIC採用企業をハイライトしたもので,やはりTOEICの場合は,学校内もそうですけれども,企業における活用が多いということが分かります。
それから最後の50ページの上の段では,企業において英語が必要だということは前々から言われてはおりますけれども,その中でも4技能で分けてみると,どの技能をよく使っているのかという調査をいたしました。以前の調査結果では「読む」「書く」の2技能が,かなり割合としては高かったのですが,最近の調査では4技能ほぼ均等に必要だという事例が出てきております。この辺からも4技能の促進は,やはり学生レベルから必要なのかなということが見てとれるかと思います。
TOEICの方からは以上になります。
【多田座長】  ありがとうございました。
それでは,試験団体以外の方から,これまで発表のあった内容やその他御関心の事項について,御発言をお願いしたいと思います。恐縮ですが,各委員の発言時間を公平に確保するという観点から,御発言は1人3分まででお願いしたいと存じますので,よろしくお願いいたします。
それでは,圓月委員から順番に御発言をお願いしたいと思います。
【圓月委員】  圓月です。自己紹介,よろしいですね。
資格・検定試験団体における報告,非常に大きな刺激を受けました。この4技能の推進に当たって問題点を確実にクリアなさっていて,いろいろと参考になるところがありました。
私は大学の方ですけれども。大学の方も,やはり,この促進する要因,あるいは阻害する要因,それぞれいろいろな心当たりがあるんですけれども,そういうのを参考にしたりしながら,また今後,大学でも促進できるようにと,少しでも貢献していきたいと思っております。一般的なコメントですけれども,その程度でよろしいでしょうか。
【多田座長】  ありがとうございました。続きまして大津委員,お願いいたします。
【大津委員】  だんだん4技能試験が広く使われるようになって,本来のこの協議会の趣旨も広まってきて,望ましいことだと思います。
学生の実際の受験状況を見ますと,現状では,やはり4技能試験を受けているというのは,かなり英語能力がもともと高い,相当に高い学生に限られています。一方,例えば現状のセンター試験というのは,1学年50万人,現役生が40万人というレベルで受けている試験ですので,今4技能を受けている層と,その40万人という層の間には,かなりの開きがあります。その40万人に対して新たに4技能試験をするということは,かなり困難です。現状で,試験団体さんが行われている4技能試験を行うというのとは,かなり違う次元で物を考えなければいけないなと,現在の課題としては思っております。
以上です。
【多田座長】  ありがとうございました。続きまして大塚委員,お願いいたします。
【大塚委員】  同じく大学入試センターの所属です。共通テストをどうしていくかということは,これから高大接続システム改革会議を中心に議論されていくことになると思います。先ほども説明がありましたが,個々の大学において,ディプロマ・ポリシー,それにつなげるカリキュラム・ポリシー,そして入学者選抜に関わるアドミッション・ポリシーを明確にしていくことが求められています。どう明確化するかということは必ずしも簡単なことではないと思いますけれども,そのアドミッション・ポリシーに応じた個別試験の在り方というのが,これからの多様化の時代を考えますと,非常に重要になっていくだろうと思います。そして,個別入試においてできることは何か,それに先立つ共通試験がどういう役割を担うのかということを考えていく必要があると,私は個人的に思っております。
そういう意味で言えば,今,大津からもありましたけれども,共通テストは非常に幅広い層を扱わなければいけないということもあって,共通テストはできるだけ軽量化して,きょうもお話伺って,改めてそれぞれの民間の資格・検定試験というものが充実してきていると感じましたので,それをそれぞれの大学においてアドミッション・ポリシーに即して活用していくということを考えていくとよいと思います。共通テストで4技能の試験をやろうとすれば,受験料にはね返っていくことですので,共通テストの受験料を更に値上げしてまで,その多様な受験生のすべてのレベルに対して一律に4技能の試験を導入することが得策なのかどうなのかということはかなり微妙なことであると思います。逆に,センター試験では英語のリスニングの試験を実施しておりますけれども,新テストでは,場合によっては,軽量化するという意味で筆記試験だけにするということもあり得るのではないかと思います。筆記試験で,4技能に関わる総合的なコミュニケーションに関わる力を測定するということを目標に,特にボリュームゾーンに対する試験を行うという方向性もあり得るのではないかと私は考えております。もちろん,いわゆるウォッシュバックということは重要で,高校教育にどういう影響を及ぼすかということも,もちろん慎重に見ていく必要があると思いますけれども,私は,そういった役割分担を考えていくことが重要であると思います。
あと1点,選抜試験にスピーキングやライティングの試験を入れるときに,非常に問題になるのが採点です。都立高校などで採点ミスということが社会的にも話題になっておりますけれども,そういったことは不可避のことであって,選抜試験で,そういったパフォーマンスを評価するということが,どれだけ「公正性」ということを担保できるかというと,これはなかなか難しいということがあります。調査では許されることが選抜試験では許されない,選抜試験ならではのそういった特性もおさえておく必要があると思っています。
以上です。
【多田座長】  ありがとうございました。続きまして奥田委員,お願いします。
【奥田委員】  短期大学協会を代表しているんですけれども。先般申し上げましたが,短期大学協会の方で検定試験,英語導入というのは,これから考えていかなくてはいけないことなんですけれども。我々,今回の事例の中で,北海道の短期大学部が御紹介に入っていたんですけれども。その学科というのは英文学科系なんですけれども。現在の短期大学は大体が幼児保育系,栄養士系が多くの学科を占めております。そういう学科でも,やはり必要性はあるとは思うんですけれども,ただ,資格系の学科が多くて,2年制の短大でありながらも80単位から90単位を2年間でとらなくてはいけない。一方で4年制大学は4年で120から130前後の単位をとらなくてはいけないと。現実問題として,試験のときに英語を導入した後,更に学生の間でも英語を勉強させるには,少しこれから十分に検討していかなくてはいけないと,そういう実情はあります。
ただ,こういう形でどんどん進んでいく中で,現場である幼稚園とかでも英語教育というのが導入されつつありますので,そのあたりもしっかりと見ながら検討していきたいと思っております。
以上です。
【多田座長】  続きまして尾関委員,お願いいたします。
【尾関委員】  この連絡協議会では大学入試に民間の試験を活用するということですが,うちの大学の,うちの学部の留学生用の試験で一つ非常に困ったことが起こって。ある試験団体の試験を使っていたんですが,10月に受験してスコアを出してきて4月に入学したら,5月になってから,そのスコアを取り消してほしいという手紙が来たんですね。事務の方から,どういうことがあったのかと問いただしたところ,言えませんということだったので,もう一度しつこく問いただしたところ,何か抜き出して,ランダムサンプリングで調べたところ,このスコアは不自然であるということで取消しになったそうなんですね。非常に困ってしまって。もう入学許可をした後なので。顧問弁護士に相談して,教授会で検討した結果,その時点で入学試験を受けた時点では,そのスコアは有効であったことから,有効であることにして,このまま入学を認めるということにしたんですが,外部試験を利用する際に,そういうことは本当に困るので,非常に,もうちょっと慎重にやってほしいなと思いました。
それからもう一つ言いたいことは,先ほど安河内先生が大学の個別試験について御発言なさいましたが,私もそこは非常に重要な問題で,個人的に思っているのは,この連絡協議会が作られた理由というのは,やっぱり大学の個別試験に大きく問題があるからだと思うんですね。個人的な試験をいけば,センター試験の方は非常に,英語教育者として見た場合,妥当で,いい問題が多い。リスニングとリーディングしかないですが。ただし,非常に問題なのは,それより大学の個別試験なんですね。
アドミッション・ポリシーと合致していれば大学の個別試験はいいのではないかという意見がありますが,例えば日本語と英語の表現力を養成するようなことをアドミッション・ポリシーに入れたら,もうそこで,今までと同じように日本語の訳をしたりとか,英語を訳したりとか,そういうくだらない問題がいっぱい出てくると思うんですね。アドミッション・ポリシーとの整合性という言い方は,すごく甘いと思うんです。私は二次試験を,もっとしっかり監督すべきではないかと思います。
それからセンター試験を,先ほど何か筆記だけにという逆行した意見が出てきたんですが,もともと4技能でやるということが前提だったと思うので,そこはコンピューターを使うなりして,しっかり4技能の大学入学希望者学力評価試験を推進していただきたいと思います。
以上です。
【多田座長】  ありがとうございました。続きまして日下部委員,お願いいたします。
【日下部委員】  日下部でございます。私は国立高専から参っております。前回も御紹介申し上げましたように,私どもの学校種というのは学生数5万人で,極めて小さく,それから,いわゆる高大接続に言われているような直列型の教育でございません。英語教育に関しては,恐らく普通の高校の6割ぐらいの授業時間しか,専門教育とのバランスでとれないという特殊な状況でございますけれども,現在の51高専の学生の4割から,多いところは90%ぐらいが大学に進学するということで,この議論を我々も注視しているところでございます。
この外部試験については,私どもの1,2,3年,すなわち高校生と同じ学年についてはGTECの受験を実施しておりまして,ここ一,二年の私どものデータを,公開していただいたデータと対照すると,ほぼ3年次で高校卒の平均値と同じということで,6割程度の授業時間割でございますけれども,同等のレベルには達しているなということを確認しております。
それから4年,5年はTOEICを実施しているわけでございますけれども,5年生のTOEICを大学の2年生と比べると,やや劣るかなと思いますけれども,そんな大きな差はない。
私どもは英語授業が普通高校の6割ぐらいでございますので,専門授業の中で,どうやって英語を導入するかということに注力をしております。20%ぐらい英語で授業を実施していますが,あわせて,現在専門教育の担当する教員の英語力をどうやってレベルアップするかというプログラムを進行させております。
今年度から筑波大学のドクターの留学生と私どもの専攻科の1年生と,研究の連携等をやっておりますが,お互いのやりとりとか研究の発表を見ていますと,英語については同等の運用能力を持っていることを確認をしておりますので,外部試験結果に表れない実際の英語の活用能力に関しては,高専教育の中でもそれなりの成果を上げているのではないかなというのが,私どもの今の印象でございます。
本協議会を通じて,様々なデータを公開していただき,情報を提供していただくことは私どもにとっても大変有意義に感じておりますので,是非今後ともよろしくお願いしたいと思っております。
【多田座長】  ありがとうございました。続きまして島村委員,お願いいたします。
【島村委員】  商工会議所の島村です。本日の資料にもあるように,英語の入試改革が進んでおり,また民間の英語の教育の推進も非常に進んでいると思いますので,これから初等・中等教育段階を含む英語教育全体を変えていくことができるのではないかと思っています。逆に,入試が変わらなければ英語教育そのものが変わっていかないと考えております。
昨今,中小企業においても海外との取引関係を持つことが当たり前になってきており,語学力という点から,即戦力となる外国人留学生の採用も非常に活発になっております。それだけ外国人とある程度コミュニケーションをとれる日本人の学生が少ないということでもあり,このままではハングリー精神旺盛な中国や韓国の若者に比べて,ますます日本の若者,ひいては日本経済そのものがグローバルスタンダードに乗り遅れるのではないかという危惧もあります。
当社は,ヨーロッパやアジア各国のメーカーとの取引をしており,今月19日には北京のイオンモールに初めて海外出店をしました。私は20年ぶりに北京へ行ってきたのですが,外国人が非常に多く,現地の空気は20年前とはまるで違っていました。また,英語を話せる中国人が多いことに驚き,勢いを感じました。
政府では,2020年までに日本人学生の海外留学を倍増させる目標の下で鋭意取り組まれており,非常に良い取り組みだと思いますが,そもそも留学生数の伸び悩みは,日本の若者が内向き志向の証左ではないかと思っています。
当社でも毎年新卒の学生を採用しておりますが,男性より女性の方が強いというか,お客様に評価されて成果が出るのが女性の方が多いということを感じております。どうして,最近の若者,特に男性は弱いのかと非常に気になっていまして,これは私だけじゃなくて,中小企業の皆さんが同じような意見を言っております。
したがって,これから国際化する上で,英語の教育改革は英語というコミュニケーションとしてのはんちゅうにとどまらず,それをグローバル教育の一環として捉えて,よりグローバルな視点や精神性,外向き志向の積極性を併せて育成できる教育方法は何かという点で,引き続き御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
【多田座長】  続きまして新庄委員,お願いいたします。
【新庄委員】  新庄でございます。中学校の立場からお話しさせていただきます。
今,中学校では生徒の活動を中心とした授業,特に4技能をバランスよく取り入れた授業を進めています。ALTが入りまして,日本人の教員だけではなくて,英語を母国語とする人たちと一緒のティーム・ティーチングを行っているところでございます。
各中学校におきましても,先ほど御説明があったような民間の検定試験を受検する取組は積極的に実施されているところです。生徒にとって自分の英語力を知る目安となるということとともに,卒業までに何級ぐらい取得すると,そういう目標を持って英語を学んでいく一つの目安となることがあります。もう一つは,高校入試の受験の際に,学校によっては何級とか何点以上取得していることが一つのアドバンテージになっているということもありまして,生徒たちは励みにして勉強しているという現状がございます。
ただ,その中で一つ課題となると思われるのは,受験に伴う検定料です。自治体によっては検定料の何%かを補助するようなシステムがあり,保護者負担軽減を図っているというところもあります。先ほどの試験団体の御説明の中にも助成制度のことがありましたが,やはり,この検定料の負担というのは,義務教育段階においては少し課題となるかと思います。
あともう一つお話ししたいことは,このような検定試験の活用促進の流れですね。こういうことが行われているということは,やはり教員側もよく知っておくことが必要です。客観的に子供たちの英語力を見ていくための民間試験団体の活用というのはすごく大事なことですし,もちろん学習指導要領に即した授業を進めているわけだから,このような流れを知った上で教員が,更に4技能をバランスよく取り入れた授業を進めていくことが重要であると感じています。
以上でございます。
【多田座長】  ありがとうございました。次に鈴木委員,お願いいたします。
【鈴木委員】  岩手県立大学の鈴木と申します。今年4月から学長になり,これまでと違った,見ること聞くこと全てが新しい環境に移りました。今日の話も全て新しいことずくめです。この半年間で,高校の現状にも触れることができました。そこで感じたことは,一律の入試方式の疑問です。高校にはスーパーサイエンス・スクール等,様々あるように,大学も様々です。特に,私のいる公立大学では,今は,地方創生に絡めた特色を出すことが必須です。この観点から,日本全体が同じような色をした大学になる必要はなく,入試選抜も多様であって,各大学が特色を持った方式で行うことが要求されるでしょう。
特に最近の高大接続の議論を見ると,人を評価する,人を選別するところに力が入っていて,本来の目的である人を育てる観点が見えてこないようです。高校の先生の話を聞きますと,入試で作文,コミュニケーション等々のいろんな能力が要求されることから,高校生の中には早い段階から,自分にはそのような能力がないんだと判断して落ち込んでしまう,そのような生徒が増えているそうです。人には十人十色の可能性があり,それらをいかにして育てるかが大事であって,必ずしも評価・選別のみに固執すべきではないと思います。これらを考慮した上で,入試選抜をどのようにするかを考えるつもりです。
【多田座長】  ありがとうございました。続きまして田原委員,お願いいたします。
【田原委員】  田原でございます。私は公立高専協会の方から参りました。国立高専については,先ほど日下部委員から御紹介ありましたけれども,私ども国立ではなくて公立ですので,全国で3校しかございません。
高等専門学校は,中学校卒業生を受け入れて5年間,あるいはその上にプラス2年間,合計7年間になり,これで高等教育を行うという機関ですので,入試からいうと,入ってくるのは中学生ですから,世間で言えば高校入試と同じような位置付けになるかと思います。その中で英語の4技能をどう見極めていくかというのは,今後,中学校の教育がどうなっていくのかというのも見ていきながら考えていきたいと思っています。
それから,5年の上の2年の専攻科というのがございまして,この入試には,既にこういう検定試験を取り入れております。
それから,もう一つは英語教育なんですけれども,これは先ほどお話ありましたように,時間数は足りないんですが,私どもの高等専門学校は,これからどう技術者教育の中で生き残っていくかと考えたときには,必ずグローバル,海外というものがキーポイントになります。ですから,英語教育の中で4技能をどう学生に身に付けさせていくか。それも少ない時間数で身に付けていくかというのは,私どもにとって喫緊の課題になっています。
それから,5年から後,大学に入る場合には編入学という形になります。大学の3年生に入っていくことになる。今後,大学教育が専門教育を英語で行うような方向に流れた場合に,私どもも当然その準備をしなければなりませんし,そういった意味で,専門教育を英語で行う,そういうようなことを我々の学校もやっていかなければならない。これは教員の教育が必要になってきます。
そういったような位置付けで,この会議の内容を十分考えながら今後の教育に生かしていきたいと思っております。
以上です。
【多田座長】  ありがとうございました。続きまして平方委員,お願いいたします。
【平方委員】  大学受験をする高校生を抱えている側から発言させていただきます。まず4技能を大学入試に入れるということで,今いろいろなところで教員研修が行われておりますけれども,ここに関しては,私立高校に関しては,かなり公立高校に比べると,その回数,チャンスが少ない。独自にそれぞれの学校がやっていかなければいけないというところで,かなり苦悩しているところがあると思います。それは今後,文科省の方で是非いろいろ支援をしていただきたいと思いますけれども。
今回,先ほど英語の資格・検定試験,各団体からのお話を伺いまして,前回伺ったときよりかなり,いろいろな意味で工夫,進化しているんだなということは実感として分かりました。そこで,この資料の中の10ページのところに,これは前から出ていると思いますし,ホームページにも掲載されていますから,よく分かっておりますけれども,10ページの下段のところに,各試験団体のデータによるCEFRとの対照表というのが載っております。このCEFRとの対照表は,それぞれの試験団体の方たちが,その内容からして,どういう基準であるかというところで,そこに置いたと伺っております。各大学がこれらを活用しているときの状況を見ますと,複数の試験団体のものをそれぞれ採用していると思いますけれども。実際にそれぞれのCEFRの基準と,この団体の基準がどのぐらい合っているかということを,失礼な言い方かもしれませんが,当然,大学の方では追跡調査をおやりになるんだと思いますけれども,それを是非やっていただきたい。あるいは,第三者的というか,公平なところで,この表をしっかりと検証できるようなものが,文科省の中で作っていただけると,なお一層いいのではないかなということを感じます。
以上です。
【田邊委員】  ありがとうございました。続きまして船津委員,お願いいたします。
【船津委員】  新経済連盟で教育改革プロジェクトチームを担当しております幹事の船津でございます。本テーマにつきまして,新経連を代表いたしまして,四つの角度から意見を申し上げたいと思います。
まず1点目,先ほど島村委員からもございましたが,英語教育の充実ということですが,グローバリゼーションがビジネスの社会。ビジネスだけではなくて様々なところで国際社会との関わりが不可避となっております。ますます日本人は,より高度なコミュニケーション能力,あるいは情報発信力が求められるだろうと思います。その中で国際共通語であります英語の能力,これはグローバルな舞台で活躍する人だけではなくて,あらゆる職業,あらゆる分野で活動するために必須だと思います。そういう意味では,21世紀型の素養の核となるべきものと位置付けるべきだと思います。
国民の英語能力,とりわけコミュニケーション能力,情報発信力を高めてくことが不可欠であります。それが国際社会においての競争力の維持,あるいは拡大ということにつながっていくと思います。
既にアジア諸国では英語の早期教育,着手しております。中国,韓国,その他の国で大変進んでおりまして,そういう意味でも国際的な舞台で,これらの国々とやりとりするためにも,我が国が後れをとるわけにはいかないと思います。
2点目であります。目指すべき姿ということを考えると,この協議会のテーマでもありますが,高校卒業時に「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を積極的に使える英語力を全国民が備えているというような教育基盤の充実が必要だと思います。また,社会に出たら英語を使うのは当たり前だと。企業に就職するのであれば,英語ができなければ,いい就職ができない,就職が難しくなるような社会で生きる上で,英語が必須能力だという認識が形成されるべきだと思います。
そのためには,学校において,これは本テーマでは高大接続ということでありますが,本当のことを言うと,多分,小中高大きれいに流れていくような英語教育,英語に触れる場を増やして,小中高校生から海外留学が珍しくないという交流環境と制度設計が必要なのではないかと思います。
3点目のお話として,このまさに本協議会のメーンテーマであります大学入試における英語についてコメントを申し上げますが,昨年12月22日に発出されております中央審議会の答申では,センター試験に代わる学力評価のための新たなテストにおける英語評価について,民間の資格・検定試験を積極的に活用するという旨が述べられておりました。これは先ほど事務局からもるる説明がございましたが。また本年8月27日の高大接続システム改革会議「中間まとめ」におきましても,4技能を重視する観点から,民間の資格・検定試験の知見を積極的に活用することについて,民間団体との具体的な検討の在り方を検討すると明記されておりまして,この点に関しては強く賛同をいたします。
加えまして,中間まとめにおいては平成32年度から,英語については書くことや話すことを含む4技能を重視して評価すると明記されておりまして,まさに望ましい方向であります。今後は平成32年からの4技能の試験実施に向けて,民間団体との連携の在り方について作問,運営,採点等に関して,具体的な実施体制も含めて早急に検討を進めるべきものと考えております。
最後に,4点目として英語教育全般についてコメントさせていただきます。これも先ほど事務局からございました,平成26年高校3年生の英語力調査の結果から見ましても,英語授業の中でのスピーチやプレゼンテーションを実施している時間は少ないということが明らかになっております。そういう意味で,コミュニケーション能力,また発信力を強化する教育に特に注力すべきものと考えます。そのためにも,先ほど申し上げました,やはり小学校からの英語の授業時間を増やす,あるいは小中高を通じての,大まで続けて小中高大通じて4技能をバランスよく育成するということが大事だと思います。その促進のためにも,本連絡協議会のテーマであります入試において4技能を測定するということが大変重要なのだと思います。
また,英語教育の充実を実行するためには,教える側が高い能力を持つことが同時に求められます。教員の能力向上施策を更に進めるとともに,外部人材の活用のための環境整備も推進すべきものであると認識しております。
以上,新経済連盟からのコメントとさせていただきます。ありがとうございました。
【多田座長】  ありがとうございました。続きまして松本委員,お願いいたします。
【松本委員】  学習指導要領にのっとった英語教育の推進や,大学入学後の英語力の基礎を高校段階で育成するといった観点から考えると,今年度に入りまして,各試験団体の皆さんがテストの改善や開発に注力されたことについて,まず敬意を表したいと思います。例えば英検2級でライティングが導入される,GTEC for STUDENTSでタブレットを使ったスピーキングテストを導入する,TOEFL Junior Comprehensiveで4技能均等配分というように,4技能化に向けて御努力されていることについて,大学人としてうれしく思っております。
先ほどから,何大学に採用されましたといったお話があるわけですけれども,ほとんどが各試験団体さんの営業努力によって,活用が進んでいるという状況だと思います。だから,大学側が何をすべきなのかということをもっと考えなければいけないと思います。また,皆さんは,かなりのスピードで増えていますといった印象を与えるようなプレゼンテーションをされたのですが,私が考えるには,このスピード感が全く不十分だと思います。この認識を,この協議会のメンバーで共有したいと思っています。このスピードでいいのかということを大学側は考えなければいけないと思います。
この協議会が今後どうしたらいいのかということを,きょうは考えるべきではないかと思います。99ページの今後のスケジュールですと,作業部会を含めて今年度あと2回しかないことですが,まずはこれでいいのかということを検討していただきたいと思います。
その上で二つの点を挙げたいと思います。入試での活用拡大のために具体的な方策をどうするのかという議論が,今のところ全くされておりません。採用していない大学にどう働き掛けるのかということを考えるべきでしょう。一応,立教大学はやりますというと手を挙げて,ほとんど全てのテストを全学部,全学科で導入することを決定しましたが,後についてくる大学が余りない。この状態をどうしていくのかというのを真剣に考えないとまずいと思います。お仕置きをするのか,あめ玉をあげるのか分かりませんけれども,何らかの方策が必要だと思います。
大学側から言いますと,各試験団体のスピーキングテストを大学で実施してもいいよという考えがありますが,スピーキングテストを実施するためには各テスト団体さん,隣の受験者と何メーター離れていなきゃいけないとか,様々な基準があります。それは当然のことだと思うのですが,例えば大学のコンピューターの部屋を改善するに当たって,国から補助が出るようにしていけば,テストセンターの数を増やすことができますし,大学もそういうテストであれば無償,若しくは極めて低額でテストセンターとして御利用いただくということも協力できるかと思うんです。ですから,その辺の抜本的な方策をこの会議で議論しないと,テスト団体の方の御努力に頼りきりで,何ら施策に結び付いていかないと私は思います。
それからもう一つ,大学がこのテストの結果を活用するに当たって,立教大学のように全てのテストを活用しようとすると,入試のコストが余計掛かるという試算結果が出ています。ですから,この協議会で,各高校生が幾つかのテストを受けているのであれば,それをどこかに一括でデータを集めて,各大学が,その受験者のテスト結果を見に行けるといったシステムを構築してくださると有り難いです。様々な問題をクリアしないとできないとは思いますけれども。そういうふうに大学側がテストの結果を活用しやすくなるシステムの構築に向けて,この協議会で議論しないと,多分,今後採用がどんどん進んでいくというのは難しいと思います。
高校側には,多額のお金を使って生徒さんが英語の外部試験を受けるのだから受験料を下げてほしいという考え方があると思いますが,現状では下げられないような問題があるというコストの問題についても是非考えていただきたいのですが,どこで議論するのかといったら,ここで議論するしかないと思います。となると,あと2回の,こういう会議体の在り方で,それが決定できるのかということについて,問題を提起したいと思います。以上です。
【多田座長】  ありがとうございました。続きまして三島委員,お願いいたします。
【三島委員】  東工大の三島でございます。いろいろ委員の皆様から御意見ございますように,この半年ぐらいで,やっぱり外部試験の4技能に対する評価の仕方が非常に進んで,非常にすばらしいなと思っております。こういう形で高校,更に中学といったときから,こういう試験を受けて,自分の英語の実力が上がってくることによって,英語をもっとやりたい,英語を使ってみることの楽しさをどんどん覚えていくような形になっていくということが進んでいくんだろうと思って,非常にいいと思います。今の松本先生のお話からいくと,大学側が,こういう4技能の試験がこれだけ進んでいるということは,早くもっと察知して,どうやって自分たちの入試に取り入れていくかと考えていくことが,またそれを更に発展させることになろうかと思います。
それからもう一つ,ここでは的外れなことになるのかもしれませんけれども,やはり,もうちょっと日本の社会自体が,英語がもう少しいろいろなところにあふれている形にしていくようなことが,英語を知ることが実際に社会の中で,普通の生活の中で必要なんだということを若い人たちがもっと早く考えていくのに必要なんじゃないか。
いろいろレベルの話はありますけれども,例えば英語の,オバマ大統領が何か発言しているニュースがあったときに,必ず上から同時通訳の音をかぶせてしまっているんだけれども,そういうのを原語で聞くこと,字幕で何を言っているかを確認するようなことをもっと増やしてもいいと思いますし,いろいろな道路標識であるとか,いろいろなものも英語表記にしていくとかいうようなこと。せっかく2020年にオリンピックがあって,いろいろな国際的なことが行事が多くなってくる中で,日本の社会の中にもっともっと日常的に英語がたくさんあふれている形にしていくようなことを,マスコミの方だとか,いろいろなところで考えていくべきじゃないかなと思います。
以上でございます。
【多田座長】  ありがとうございました。続きまして三宅委員,お願いします。
【三宅委員】  ビジネスの現場で感じていることを申し上げたいと思います。ビジネスはどんどんボーダーレス化しており,英語でのコミュニケーションがとれないと,やれる仕事自体がどんどん狭くなってきているという状況かと思います。確かに,全員に英語が必須なのかという声がないわけでもなく,また英語を使わずに仕事がやれるかというと,やれる仕事も多いと思いますが,英語力があれば更に見える範囲が広がるということで,チャンスがどんどん拡大していくような状況にあろうかと思います。今は,英語から目をそらしますと,そのような仕事の広がり,可能性を奪うという状況に,もはやなっているのではないかと思います。
そのためには,正しい英語というよりも,使える英語力の獲得が必要ではないかと考えております。「使える」という意味では,4技能への取組はまさにその実現につながると考えており,是非推進いただきたいと思います。
英語のコミュニケーション力という観点で,現場を見ていますと,語学的なスキルだけでは駄目であり,積極的にコミュニケーションをとろうとするマインド,この両方がないとコミュニケーション力とは言えないのではないかと思っています。
これはなかなか表現が難しく,誤解をうむかもしれませんが,語学的な正しさばかりが評価されるとなりますと,間違ったことを言ってはいけないということで,発言を控えるなど「コミュニケーションをとりたい」という本来のマインドを阻害してしまうのではないかと懸念しております。文法という形も大事ではありますが,間違っても良いからコミュニケーションを繰り返すという実践的なプロセスの中から,言葉がだんだんと洗練されて真意がより正確に伝わるというような経験,体験が必要なのではないかと思っております。
教育の現場におかれましては,積極的にコミュニケーションをとろうとするマインドを育てるような教育というものを是非お願いしたいと思っております。
以上でございます。
【多田座長】  ありがとうございました。宮本委員,よろしくお願いします。
【宮本委員】  高等学校の立場からお話をしたいと思います。高等学校においても英語の4技能をバランスよく育成していくという考え方が大分広がってきていて,都道府県それぞれ英語の充実に向けての様々な取組が進んでいますし,かなり高等学校においても,この4技能をバランスよく育成するという動きが出てきていると思います。
ただ,この外部の試験を使うということについては,学校によって実態は様々です。御報告にもありましたように,いわゆる一般的に進学校と言われているところは,比較的この4技能の検定を早く取り入れてきていますけれども,それ以外のところは,まだまだそこまでいかない。私も,いろいろな校長先生とお話ししますけれども,まだ様子見をしているという状況が多いと思います。
取り入れているところは,自分たちの学校に通っている生徒のことを考えると,これから大学,社会に出ていくためには,もっともっと英語の力が必要だ。だから,やはり4技能をしっかり身に付けさせたいと思っている,そういう校長先生と,受験ということを考えて,生徒が受験する大学がそういうものを求め始めているから,じゃあ,そういうこともしなくちゃいけないと考えて取り組もうとしている,そういう側面があると思います。そういう意味で,もっとこの4技能をバランスよく育てることの必要性を広くアピールしていくということも大事だと思います。
きょう御紹介のありました,この英語の4技能の情報サイトについても,ほとんどまだ知らない校長先生が多いと思います。そういう意味では,広くそういうことを周知していくということも必要だと思います。
それともう一つは,やはり日常の学校における英語の授業と,この資格・検定との関連ということです。教員から見ると,自分たちが日々の授業を通して教えた力を正確に測ってもらうという形でこういう試験が位置付けられれば,もっと使われると思います。学習指導要領に示された評価基準の整合性ですとか,かなり今努力をされていると思うんですけれども,そのあたりとの関連がどうなのかというところが,ポイントだと思います。
それから,実は私の学校も,つい先日,初めてこの4技能の検定試験を取り入れました。校内では結構反対もありましたが,まず一度やってみようということで実施しました。結論的には,非常に効果がありました。我々は分からない,本当に英語の能力の弱いところというのもはっきりと見えてきました。
ただ問題は,やっぱりこれを1回受けたからいいというものではないよねという話になってくるわけで,本来は英語教育を充実していくための学校の中でのPDCAのサイクルの中に入れていかなければ,結局,子供たちの英語の力は4技能バランスよく育たないと思います。ところが,そうしますと,やっぱり費用の問題です。何回も受けるとなるといわゆる一般の大学入試の模擬試験よりもはるかに高い値段ですので,何回も受けられるかというと,まずこれは非常に難しい。
それから,実施の形態もです。オフィシャルスコアをもらえるというのは,もう時期が決まっているわけで,そこでしかスコアはオフィシャルにならないとなると,学校行事等の関係で学校にとってはまだまだ使いにくいところがたくさんあるということです。
ですからそのあたりのところを,是非改善をしていただければと思います。
以上です。
【多田座長】  ありがとうございました。続きまして村田委員,よろしくお願いします。
【村田委員】  私は私立の高等専門学校の立場で参加させていただいておりますが,高専というのは地方にある場合が少なくありません。地方創生が叫ばれている中,やはり地域志向の人材を育てるということが一つの使命になっております。地方でもグローバルな人材教育ができることが重要であり,そのグローバルな人材の育成と確保を目指しておるわけですけれども,やはり都会と地方との意識格差というか,これは小さくないと思います。
私の高専においても確かに英検とかTOEIC等を受けさせてはいますけれども,以前からと同じように,やっぱりリスニングとリーディングが主体であり,特に私立の高専ですと,学生の学力にある程度の幅がありますので,全員が全員受けさせるということは,保護者を説得するにも,なかなか難しいところがあると思います。やはりモチベーションを向上させていく必要が,まずは必要と思います。
ただ,最近は高専から大学3学年に編入学していく学生が少なからずおります。編入学試験においても,こういった資格・検定試験が採用されるという通知が大学側から送られてきており,学生にもその旨,周知し,モチベーションの向上に努めているところですが,やはり英語のこま数が少ないということもあって。先ほど高専の先生からもお話が出ておりましたけれども,私立高専でも専門授業の中で英語を取り入れるという工夫を,高専教育の高度化の一つとして取り入れようとしているところでございます。
以上です。
【多田座長】  ありがとうございました。続きまして安河内委員,お願いします。
【安河内委員】  それでは,私からは三つお話しさせていただきたいと思うんですけれども,まず学習指導要領と大学の個別入試との親和性という点が一つです。学習指導要領では4技能のバランスのとれた指導をするように先生方に求めているわけです。更に学習指導要領解説の中では,和訳中心教育,文法中心教育を避けるようにとはっきりと書いてあるわけですね。それに基づいて先生方は現場で一生懸命教えられているわけです。
なのに,個別の大学の入試問題は1技能,2技能,そして更に和訳問題,文法問題と,全く指導要領と反対のことをやっているわけです。さらに,それをやっている大学がスーパーグローバル大学と呼ばれているわけです。これ,入試の評価に関しては,スーパーガラパゴス大学ですね。(笑)ここを改善しないことには,大学入学希望者評価テストが4技能になっても,問題は残り続けるんじゃないかと思います。逆に生徒たちは,二つの価値観に向かって勉強しなければならないから負担が増えますね。
2番目の問題です。じゃあ何で4技能なのかという話なんですけれども,世界では,2010年頃までに2技能試験や,3技能試験には信頼性がないということで,ほとんどのトップ大学が,先進国からの留学生の判定に関しては,その使用をやめているわけです。4技能試験にしか信頼性がないという判断を世界は下しているわけです。
じゃあ,なぜ4技能試験なんでしょうか。例えば日本のセンター試験を例にして考えてみます。センター試験ではリスニング,リーディング,二つのセクションがあるわけですけれども,実はこれ,2技能試験の中で,4技能を測ろうとして,大津先生なり,大塚先生なりが苦労して作られていると思うんですね。センター試験の筆記の部分を分解すると,前半の部分で話す力を間接的に測定しようという発音の4択問題があります。皆さん,発音の4択問題で話す力が測れるんでしょうか。そしてその次に文法問題と並べ替え問題があります。これは書く力を間接的に測ろうとしているんです。並べ替え問題で書く力が測れるんでしょうか。そしてその後,会話のスクリプトが印刷された問題があって,それで話す力を試しているんです。スクリプト読んで,話す力が試せるんでしょうか。
問題は,それだけじゃないんです。そういったいびつな問題に対する対策ビジネスというのが,悪いウォッシュバックを生んでいるわけです。よく対策が悪い,対策が悪いと言うんですけれども,試験があるところには対策は絶対に生まれるわけです。フランスでも,ドイツでも,イギリスでも対策はあるわけですから。
ここで私たちが考えなければならないのは,悪い対策を引き起こしている問題と,ましな対策を引き起こしている問題があるということです。もちろん,対策が良いとは言わないんですけれども。最悪の対策を引き起こし,そして現場を荒廃させているのは,明らかに和訳問題,文法問題,間接的な測定を図っている問題なんです。これらをなくさないことには,幾ら新テストの方が,4技能直接測定,世界基準だと言っても,生徒たちが,そして先生たちが苦しむ結果になるだけだと思うんですね。これが2点目です。
3番目に,採点の信頼性なんですけれども,世界のトップ大学100のうち97の大学は,例えばハーバード大学も,イェール大学も,オックスフォード大学も,ケンブリッジ大学も,留学生の就学基準として,試験機関で作られている4技能試験のスコアを信頼して採用しているわけです。それを信頼していないのはほんの一部の大学だけです。97の大学のうち,まだ2技能試験を信頼しているのは,三つの大学,日本の2大学,韓国の1大学だけなんです。何で世界のトップ大学,ハーバードも,ケンブリッジも,オックスフォードも,イェールも信用していない2技能試験を日本の大学が信用するのか,非常に不思議です。また,果たして個別試験の下線部和訳の採点の方が,検定試験よりも信頼性が高いのか。和訳・英訳問題を採点して,結果だけが,合格,不合格と出てくる試験の方が信頼が高いのか。CEFRにも準拠していない,そういった問題の方が信頼性が高いのか,私は非常に不思議に思います。
試験機関が作っている試験というのはルーブリックも開示するし,採点方法も開示する。複数の試験官が採点して信頼性を確保する努力がされているわけです。このような点を,この連絡協議会でしっかりと認識した上で,ここで個別試験の改革を一歩進めなければ,大学入学希望者評価テストが4技能になりましたというだけで,それで終わってしまったら意味がないと思います。
以上です。
【多田座長】  ありがとうございました。続きまして吉田委員,お願いいたします。
【吉田委員】  私も高大接続の委員もやっているんですが,先ほど大塚委員がおっしゃった大学入学希望者選抜のテストですね。これに関しては基本的には民間の知見も活用しながら考えていきましょうというのが今,現段階なわけですから,具体的に果たして,その民間の知見をどう活用するかに関しては,現在まだはっきりとした方針は出ていないというのが本当のところです。ですから,それをうまく活用することによって,新しい,今のセンター試験に代わるテストというものが4技能化できるか,できないか。4技能化するということに関しては,既に報告書の中に相当書いてある。先ほどからも大勢の方が既に言っておられるとおりなので,その方向で行くことは私は変わらないと思うんですが,それが可能かどうかということは別問題なんですね。
ですから,そのときに,じゃあ民間の知見をどう活用するのか,活用できるのか。場合によっては基準というものを設けて,その基準に見合ったような。先ほど各試験団体さんが相当いろいろ工夫されているのも,すごくよく分かりましたので,それの基準にきちんと合ったようなものであれば,ある意味では,これをセンター試験の代わりに使っていいよという方向に行くことだって,可能性としてはないわけではないわけですね。
ですから,そういう意味で,どういう形で民間の知見を今度の新しい試験の中に活用していくかということを今後考える必要があると思います。
ただ,現実的な問題として,なかなか独自の全く新しい,先ほど大津委員もおっしゃったけれども,本当に千差万別の学生を対象としたテストというのを果たして作れるかって,非常に難しいと思います。そうなってくると,大事なのは何かというと,各大学が,それこそ自分たちのアドミッション・ポリシー,カリキュラム・ポリシー,ディプロマ・ポリシーに合わせて,うちはこうこう,こういうような学生を輩出したい。したがって,こういうカリキュラムを作っている。したがって,こういうような学生が欲しいというポリシーを明確にすることによって,そのためにはこのテストに受かることが大事である,そのためにはこのテストが大事であるというような選択の幅をきちんと明確にさせてあげる方が,私は有効かと思います。みんなに当てはまるテストって,なかなかこれは難しいし,ほとんど不可能じゃないかと思うんですね。
もう一つは,換算表のような形で出しているのは分かるんですが,それぞれのテスト,違った目的で作られていますから,同じになりっこないんですね。絶対同じだとは言えませんので,むしろ,余り換算表,換算表ということを言い過ぎない方がいいのかなというのは,私なんかは思います。
今あるCEFRで,大体うちのテストはこれぐらいですよというようなものだけでも十分役に立っているかな。少なくとも,うちの大学では,こういう目的のために,こういう授業をやっている。したがって,こういう学生が欲しい。だから,このテストを採用したいんだというような持っていき方が一番,ある意味では合理的なのではないかと思います。
学部によって当然採用される試験が変わってきてもおかしくない。学科によって変わってきてもおかしくはないと思いますね。それぐらいの幅を持たせてやる必要があるのではないかなと思っています。
もう一つは,先ほど松本委員がおっしゃった,この情報をどうやって広げていくかという問題ですね。これは一応,英語の4技能の測定する資格試験に関する指針の検討と策定というところで,前も一度,指針ということで出させていただいたことありますけれども,ほとんどあれ役に立っていないんじゃないかという気はするので,それがもっと各大学にきちんとした形で受け止められるような,そういうものを,ある程度の強制力を持ちながら,持たせながら広げていくということが必要なのではないかと思うんですね。その辺の,やはり,きちんとした方法というんですか,やり方を,この会議の中でも提案していく必要があるかなと思います。
繰り返しになりますけれども,各大学がそれぞれアドミッション・ポリシーとカリキュラム・ポリシー,ディプロマ・ポリシーをきちんと策定しなきゃいけないということは,これからかなり義務化されてきますので,その中できちんとした形で,だからこういう英語能力が必要,こういう学生が必要だ。それを,しかも基本は全て4技能テストを使いましょうと言っているわけですから,4技能の中で,したがって,じゃあこういうテストをうちでは採用しますと,そういう方向性を打ち出させるというんですかね。そういう方向をできるだけ策定して,こちらでも考えて,情報を提供していく必要があるのかなと思います。
以上です。
【多田座長】  ありがとうございました。最後に四方委員,お願いいたします。
【四方委員】  経済同友会から参っております四方と申します。約半年前にこの委員会がありました。その後の6か月,7か月の間,どんなことがなされてきたかというのは,前半報告を伺いました。本当にいろいろな進展があり,着実に前に進んでいるなと思いうれしく思っております。
実際にこの四つの技能というのは社会において,英語ができるといったときに何をもって,という点で,ある種当たり前の4技能の分野ですので,これに関しては全く異論はないですし,是非四つの技能の強化のために進めていくべきではないかと思います。
そして,この委員会の取り上げられているテーマであります,例えば高校の学力テスト,それから大学の入試,そして実際には企業でも英語能力を測るために行われている外部を使った,いろいろな試験があるわけですけれども,それが共通の尺度であることがすばらしいことだと思います。そういった試験の中にも種類があり,目的があると思いますけれども,そこに見合ったものを共通で使っていくというのが,一番ではないかと思います。
今後は,費用の問題などハードルが幾つかありますので,そのハードルをどうやって解決していくかという実行のところに力を入れていくことにエネルギーと知恵を使うべきではないかと思います。
また大事なのはこの先の話で実際に実力を測った後に四つの技能の足りない部分をどうやって強化するかという部分が,本来の教育において一番力と時間を掛けるべき大事な部分です。また今回いろいろなところに出てくる,日本における今後の教育の方針が思考力・判断力・表現力。日本の社会における日本語においてもそうですが,英語を使ってグローバルな世界でも,特に表現力は重要です。また英語が持っている日本語にはない思考力を鍛える部分もありますので,その能力が高まることで,私たちが期待する人材を日本から輩出できるのではないかなと思います。
この委員会は,英語力の評価とか,検定試験の活用というテーマではありますが,何のためにこれをやっているかを考えると,グローバルにおいて英語を使えて,人材を輩出できることがゴールです。そのために掛けなければいけない時間は限られていますので,私も含めてですが,前に進めていかなければいけません。 以上です。
【多田座長】  ありがとうございました。残り時間が少なくなってまいりましたけれども。
それでは,これから試験団体の方々も含めて,最後に何かまた追加で御意見,御質問等ありましたらお願いしたいと思いますが,どなたからでも結構です。いかがでしょうか。奥田委員。
【奥田委員】  お願いという話なんですけれども。先ほど申し上げましたように,短期大学で2年の間に勉強するというのは非常に大変で,先ほどからお話がありますように,アドミッション・ポリシー,ディプロマ・ポリシー,カリキュラム・ポリシーと,当然それは考えていくんですけれども。入り口のところで英語というものをいかにアドミッション・ポリシーに入れていくか,そして2年の間にそれをどうやって学生たちに伝えていくかというのは,やっぱり高等学校と大学,我々でいう短大との連携,そしてその後まで続けなければならないんですけれども,その英語の能力を続けさせていくためには,やはり今の社会の中では非常に厳しいと思っています。
お願いというのは,だからといって短大生,英語は必要じゃないとは全然思っていないんです。必要だと思っています。ですから,今の社会の状況であれば,例えば2年制の大学生に対しては継続的に,生涯教育も含めて,勤めてからも,その4技能というものを常に勉強していけるような,そういうメッセージをできたら子供たちに送っていきたいなと。
ですから,入り口のところで,検定試験という観点で今回のこういう話合いが伝わるのではなくて,やっぱりちゃんと英語は必要ですよと。持続的に継続的にしっかりと英語はずっと勉強しなさいよというのが,高校生にも,短大生にも,しっかりと伝わってほしいなと。場合によっては4年制大学の,こういう言い方はよろしくないんですけれども,偏差値50以下の,そういう4年制大学の学生たちにも,僕は英語は嫌いなというのではなくて,常に英語を勉強していって,社会では必ず必要だと,そういう観点で,もしこの検定の外部団体の試験というのが,ずっと子供たちと一緒に育っていくというんですかね。そういうふうになっていけばいいなという思いと,先ほど申し上げたようなお願い。持続性という観点を少し入れていただきたいなというのが私からの意見です。
【多田座長】  ありがとうございました。その他。松本委員。
【松本委員】  質問ですが,安河内委員がおっしゃったように,国公立大学の個別試験における英語の問題の改善又は廃止というのは非常に重要な問題だとは思います。そこで,小林課長にお伺いしたいのですが,その問題はこの会議体の課題のはんちゅうに入っているのかどうかということをお尋ねしたいです。それから橋田室長にお聞きしたいのは,はんちゅうに入っていないとした場合に,国公立大学の個別入試の英語の問題の改善あるいは廃止に向けて,今後何か対応をお考えなのかどうか。その2点,お願いいたします。
【小林国際教育課長】  まず,この協議会のはんちゅうということでございますけれども,それは高校の下から,いわゆる学校教育の部分と大学教育,あるいはその更に先まで,様々な,この会議の表題の中で発信していただくことはもちろん可能だと思っております。ただ,ここで様々な,そういった御提案なりを頂いた上で,それを恐らく高等教育の,例えば制度ですとかシステムに係るようなものですと,それを具体的にどのようにこなしていくかというのは,また別のテクニカルな検討が必要になるかと思っております。
【荒木大学入試室長補佐】  橋田室長が先ほど退席しておりますので,入試室の室長補佐をしています荒木と申しますけれども。先生,御質問いただいている件でございますけれども,こちらは高大システム改革会議の当然議題にはなってくるかと存じますので。当然,中心は新テストが中心になってまいりますけれども,そのあたりについても,御意見いただいたことを踏まえて,また議論に上げていくという感じになっていこうかと思います。
【松本委員】  ありがとうございます。
【多田座長】  ありがとうございました。時間が迫っていますので,では最後に大塚委員,よろしくお願いします。
【大塚委員】  共通テストについて,英語はリスニングも止めてペーパー試験だけに軽量化してはと,先ほど,やや極端なことを言いましたけれども,今の大学入学者選抜のスケジュールを前提にしたときに,4技能すべてを導入するということは不可能に近い話ということです。コンピュータ導入ということも考えられておりますけれども,今のリスニングに利用しているICプレイヤーなどの単純な機械でも500人ぐらいの受験生はうまく動かないと訴え出てくるということがあって,その8割以上は機械ではなくて操作のミスなどから来るものです。恐らくより複雑なコンピュータを利用するとなると,そういった問題が更に増えて出現することが想定されます。50万人規模ですと,わずかな出現率であっても,人数的には千オーダーなどの大きさになりますので,実施を担当する側としましては,今の一斉に50万人を対象とするような形では簡単にCBT導入に踏み切れるわけではないということも御理解いただければと思います。CBTの導入にしても,また,4技能などのパフォーマンスに関わる試験を導入するにしても,それを実現するためには,入試制度全体を変えていく必要があるのだろうと思います。
例えばイギリスなどでは,先日たまたま入試センターでも公開研究会を行ったところですが,1年ぐらいかけて選抜を行っているということです。日数をかけることがいいかどうかは,高校教育への影響などを考えると,日本の場合にいいことかどうかは微妙かと思いますが,少なくともスケジュール的に余裕を持たせないと,記述式だけでも導入は難しいということがあります。
それから,先ほど,いろいろな資格・検定試験があって,その情報を処理し切れないというようなお話もあったかと思いますが,イギリスの場合ですと,The Universities and Colleges Admissions Service (UCAS)という組織があって,そこに願書を一括して出願して,そこを通して志望大学に出願者の情報が提供されるという,いわゆる共通のアドミッション・オフィスみたいなものが設置されているということです。これも,イギリスはほとんど国立の大学という違いもあって,日本に合うかどうかは微妙ですが,そういった工夫もあるということは一つのヒントになるのではないかと思います。
いずれにしても,そういった制度的な工夫をまず講じていかないと,今の入試のサイクルの中でいろいろ変えていけと言われても,共通テストを実施してきている入試センターにおります関係上,それぞれシミュレーションなどを試みてみる中で,やはりこの導入は難しいという話になってしまわざるを得ないということがあります。
こういった制度的な変更とか導入などについては,この協議会から,どういう形で発信していけるかは分かりませんし,制度となると英語だけの問題ではありませんので難しい部分もあるかと思いますけれども,それも含めて検討していかないとなかなか前に進めていくのは難しいのではないかと感じています。
また,アドミッション・ポリシーに関しては,確かにアドミッション・ポリシーと試験との対応関係をどう作っていくのかということも難しいことであって,各大学でアドミッション・ポリシーに応じた試験を作っていくのは大変ということはあると思います。ただ,少なくともアドミッション・ポリシーについてはこれから少しずつ具体化されて提示されていくということもあると思いますので,英語の資格・検定試験に関わる各試験団体から,それぞれの試験の特徴に応じて,こういうアドミッション・ポリシーには自分のところは向いているというような発信もしていっていただけるといいのではないかということも感じました。
以上です。
【多田座長】  ありがとうございました。
長時間ありがとうございました。御意見いただきました内容に関しましては,今後の作業部会での活動とか,次回での連絡協議会の議論に行っていきたいと思います。
今,大塚委員からもお話のあったことなども,一部は配布資料の中にありますように,既に取り入れられているようですが,貴重な御意見として参考にさせていただければと思っております。
また文部科学省から御提案のあった「調査研究事業」については,案のとおり進めていただくようにということでお願いしたいと思います。
また,試験団体から発表のありました内容につきましても,「英語4技能試験ウェブサイト」などの情報を更に更新していっていただければとお願い申し上げます。
それでは最後に議題8ですが,その他というところで,今後のスケジュールについて,事務局から説明をお願いいたします。
【小林国際教育課長】  それでは,資料8,厚い資料の一番後,99ページでございます。
本日の予定を含めまして,この後の作業部会,連絡協議会,それぞれ年度内は1回を予定しておりますが,これは最低限,先ほど文部科学省から御提案させていただきました調査研究――これはまさに今,先生方からも御意見いただきました一般の入試試験での4技能の資格試験の活用ということに大きく関係する調査研究でございますけれども,その御報告のために最低限一度は必要だと考えておりますが,これ以外に更にもう少しペースアップをするための作業部会,あるいは更にインフォーマルな形での検討ができないか,また座長とも御相談させていただきたいと思います。
【多田座長】  ありがとうございました。この連絡協議会は,非常に多様な意見を何とか集約していこうという,皆様の意気込みに支えられているところですので,また引き続きよろしくお願いいたしたいと思います。
では,本日はこれにて閉会といたします。皆様お忙しいところ,まことにありがとうございました。

     ―― 了 ―


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