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資料3 学校図書館の整備充実に係るこれまでの意見を踏まえた論点整理(修正案)

1 現状と課題,対応策の方向性

(現状と課題)
○ 学校図書館の利活用の状況は,日常的に学校図書館を活用している学校や地域もある一方で,学校図書館の活用が十分でない学校や地域もあるなど,学校間,地域間の格差が大き学校司書の資格・養成等に関する作業部会(第1回)の開催についてい。
○ 図書館資料の面では,学校図書館図書標準の達成学校数の割合は増加したものの,依然として図書標準を達成している学校の割合は小学校で約6割,中学校で約5割にとどまっている。また,社会状況の変化や学問の進展により利用価値が低下した図書がそのまま置かれていたりする状況も一部にある。
○ また,これからの学校教育を考えた際,アクティブ・ラーニングの視点からの不断の授業改善のほか,小学校における英語教育,特別支援教育や外国人児童生徒に対する対応,いわゆる主権者教育の推進など,学校教育への新たなニーズに図書館資料の観点からも応える必要がある。
○ 人材の面では,まずは,司書教諭が十分な役割を果たすことが重要である。また,平成26年の学校図書館法の一部改正により新たに学校図書館法に位置づけられた学校司書もその役割を果たすことが重要である。特に,学校司書の専門性に学校間等の格差があり,改正学校図書館法の附則を踏まえつつ,水準の確保に向けた取組が必要である。

(対応策の方向性)
○ 本調査研究協力者会議における審議を踏まえ,学校間等の格差の解消に向けて,今後,国として,図書館資料の整備の在り方や学校司書となる要件等,学校図書館の運営上の重要な事項について,教育委員会や学校等にとって参考となるよう,学校図書館としての望ましい基準を定めることが必要である。
○ また,国においては,地方公共団体等における取組の標準化を推進するため,様々な支援を継続・充実していくことも必要である。


2 学校図書館に関する基本的な考え方

○ 学校図書館は,学校図書館法(昭和28年法律第185号)において,学校教育において欠くことのできない基礎的な設備であり(第1条),その目的は,学校の教育課程の展開に寄与するとともに児童生徒の健全な教養を育成すること(第2条)とされ,学校に設けなければならない(第3条)とされている。

○ また,学校図書館法においては,学校図書館が児童生徒や教員の利用に供するものであることが明示された上で,その方法として,以下の例が挙げられている(第4条第1項)。
・ 図書館資料を収集し,児童生徒及び教員の利用に供すること。
・ 図書館資料の分類排列を適切にし,及びその目録を整備すること。
・ 読書会,研究会,鑑賞会,映写会,資料展示会等を行うこと。
・ 図書館資料の利用その他学校図書館の利用に関し,児童生徒に対し指導を行うこと。
・ 他の学校の学校図書館,図書館,博物館,公民館等と緊密に連絡し,及び協力すること。

○ 学校は,これらの方法を講じることで,学校図書館に期待されている,児童生徒の想像力を培い,学習に対する興味・関心等を呼び起こし,豊かな心や人間性,教養,創造力等を育む自由な読書活動や読書指導の場である「読書センター」としての機能と,児童生徒の自発的・主体的な学習活動を支援したり,授業の内容を豊かにしてその理解を深めたりするとともに,児童生徒や教員の情報ニーズに対応したり,児童生徒の情報の収集・選択・活用能力を育成したりする「学習センター」及び「情報センター」としての機能を,学校図書館が最大限に発揮できるようにすることが重要である。

○ このような機能を最大限に発揮できるようにするためには,学校図書館が育てる力は,児童生徒の「生きる力」の育成に資するものであり,さらには,生涯にわたる学習の基盤形成にもつながるものである。学校図書館を学校の中で機能させ,その活動の充実を図る上では,学校図書館における図書館資料の充実を図るとともに,学校図書館の運営に当たる専門的人材の配置やその資質能力の向上の双方を図ることが極めて重要である。

○ また,義務教育を行う学校である小・中学校等はもとより,いまや98%の進学率となった高等学校や特別支援学校における学校図書館の整備充実も重要な課題である。


3 図書館資料について

【基本的な考え方】
  図書館資料の計画的・組織的な整備の推進が必要である。また,教育課程の展開に直結する図書館資料を整備することが必要である。

【具体的な事項についての考え方】
(図書館資料の選定)
○ 学校図書館が「読書センター」,「学習センター」,「情報センター」としての機能を発揮できるよう,学校図書館の図書館資料は,児童生徒の発達の段階等に応じたものであるとともに,教育課程の展開に寄与する資料構成とすることが重要である。
  このため,図書館資料の選定が適切に行われるよう,各学校において,明文化された選定の基準を定めるとともに,基準に沿った図書選定を行う必要がある。
○ また,図書館資料の選定等は学校の教育活動の一部として行われるものであり,特定の職員だけが図書館資料を選定することのないよう,基準に沿った図書選定を行うための校内組織を整備し,学校組織として選定等を行う必要がある。
○ さらに,現在の学校図書館には,「文学(読み物)」が多く配架されているが,教育課程の展開に寄与するという観点から,自然科学や社会科学等の分野の図書館資料の割合を高めるなど,児童生徒及び教員のニーズに応じた偏りのない調和のとれた蔵書構成となるよう,見直しを進めることが必要である。

(図書館資料の廃棄・更新)
○ 学校図書館には,刊行後時間の経過とともに誤った情報を提供することが明白になった図書や,汚損や破損により修理が不可能となり利用できなくなった図書等が配架されている例もあるが,児童生徒にとっては最新の正しい知識に触れる環境が適切である。
  このような環境の実現・維持のためには,図書館資料の適切な廃棄と更新が重要であり,各学校等においては明文化された廃棄の基準を設けるとともに,基準に沿った廃棄を行うことが必要である。
○ なお,廃棄と更新を進めるに当たって,貴重な資料が失われないようにするために,学校図書館での利用・保存が困難な貴重な資料については,公共図書館に移管することも考えられる。

(図書資料の整理)
○ すべての図書館資料は,児童生徒及び教員がこれを有効に利用できるように整理して配架する必要がある。なお,図書の分類は日本十進分類法(NDC)が活用されることが一般的である。
○ 児童生徒の読書意欲を喚起するような,季節や学習内容に応じた掲示やコーナーの設定なども必要に応じて実施することが有用である。

(新聞の配備)
○ 平成27年に公職選挙法等の一部改正が行われ,選挙権年齢の引下げが行われたことに伴い,これからの我が国を担っていく児童生徒が,現実社会の諸課題について多面的・多角的に考察し,公正に判断する力等を身につけることが一層重要になっており,このような観点から,新聞を教育に活用するための学校図書館における新聞配備の充実が必要である。

(ICTの活用等)
○ 小学校英語を含め,とりわけ外国語教育においては特に音声等の教材に,理科等の他の教科においては動画等の教材に学習上の効果が見込まれることから,教育課程の展開に寄与するデジタル教材を図書館資料として充実することが必要である。
○ また,障害のある児童生徒の自立や社会参画に向けた主体的な取組を支援する特別支援教育の観点から,在籍する児童生徒の状況に応じた様々な形態の図書館資料を選定することも考えられる。


4 学校図書館の運営を支える専門的人材について

【基本的な考え方】
  採用時の要件や研修の水準を全国的に高めることにより,司書教諭や学校司書の専門性を確保し教育水準の向上を図ることが必要。

【具体的な事項についての考え方】
(司書教諭と学校司書のそれぞれの職務,役割分担)
○ 司書教諭と学校司書の職務や役割分担については,平成26年3月の報告書(別紙)における整理を前提とすることが適当。


(司書教諭)
○ 司書教諭が学校図書館の利活用の促進に十分な役割を果たすことができることが必要。このため,教職員の協力体制の確立や校務分掌上の工夫などの配慮が重要。

(学校司書としての資格の在り方,その養成の在り方等)
○ 学校司書には,学校図書館の「運営・管理」に関する職務に携わるための知識・技能と児童生徒に対する「教育」に関する職務に携わるための知識・技能が必要。
  このような学校司書の資質能力は,採用時や配置換え時の資格の確認のみによって確保することには限界があり,現職研修との組み合わせで伸ばしていくことが必要。
○ 学校司書については,独自の新資格を求める意見がある一方,早急に新資格を創設することは現実的ではなく,また,学校司書の配置は地方自治体や私立学校の自主的な取組により進んで来た経緯があること等に配慮すべきとの意見がある。
これらの意見を踏まえつつ,既存の様々な資格が存在する状況の下で学校司書に係る共通基盤を作っていくという観点からは,学校司書の要件について,例えば,各地方公共団体等において以下のいずれかを求めていくことが考えられる。

  1. 教諭等として任用されていれば司書教諭となることができる者については,教員となる資格を有し,かつ,図書館情報学についても一定の知識を有する者であり,「教育」及び「運営・管理」について一定の知識を有するものと考えられることから,
     学校司書としての採用時等の要件を必要十分に満たす者と位置付けること
  2. 公共図書館等の司書となる資格を有する者については,図書館情報学等について一定の知識を有する者であり,「運営・管理」に関する知識技能は有していると考えられることから,
     「教育」に関する知識技能については採用後の研修等で補うことを前提としつつ,学校司書としての採用時等の要件を満たす者と位置付けること
     が考えられる。また,現に学校図書館に勤務する者や非常勤の学校司書については,
  3. 司書教諭となる資格や公共図書館等の司書となる資格を有していない者についても,学校ボランティア等として「運営・管理」等に関わる経験を有している者もあり,
      「教育」及び「運営管理」に関する知識技能を研修等で補うことを前提としつつ,一定の経験等に基づき採用時等の要件を満たす者と位置付けること
     が考えられる。
     また,今後は,大学における履修証明や地方公共団体の実施する講習等の活用も考えられる。

○ なお,以上の要件に関しては,学校司書の配置が地方公共団体や私立学校の自主的な取組により進んで来た経緯があり,また,実際の職務に当たっては資格や経験に加えコミュニケーション能力等の資質も重要であること,
  また,公共図書館や大学図書館において司書としての役割を果たす者の要件については任命権者の判断に委ねられていること
等を踏まえれば,文部科学省はこれらの要件をガイドラインとして示すことが適切。

(学校司書の研修について)
○ 現職研修は,採用時等の要件では確保しきれない資質能力を補うもの。また,一人職であることが多い学校司書が学校外の取組を知る機会としても重要。
 小規模の地方公共団体等においては単独で準備することも困難であること等を踏まえれば,国においてモデル的な研修プログラムを作成することが必要。


【今後更なる検討が必要と考えられる内容】
(司書教諭について)
○ 司書教諭の専門性の向上のためにどのような施策が考えられるか。

(学校司書について)
○ 現状,常勤の学校司書と非常勤の学校司書が存在するが,当面,求められる職務の内容や役割分担をどのように考えるか。
○ 学校司書の専門性を高めることと併せ,その専門性を踏まえた職務の安定性・継続性等への配慮を進める方策としてどのようなことが考えられるか。
○ 例えばアメリカの学校司書は識字障害を有する者に対する読書指導を行える等の指摘があるが,我が国における学校司書の在り方を考えていく中で,他の教職員が有していない専門性をどのように確保していくか。
○ 学校司書については,新資格を考えるべきとの意見や,大学・公共図書館の司書との関係で共通性を整理すべきとの意見があるが,こういった意見についてどのように考えていくか。

5 学校図書館の運営について

【基本的な考え方】
  校長をリーダーとする学校運営全体の中で学校図書館を適切に位置付けるとともに,その運営を地域の視点も入れたPDCA サイクルの中で改善することが必要。

【具体的な事項についての考え方】
(運営体制の在り方)
○ 校長をリーダーとする学校運営全体の中で学校図書館を適切に位置付けることが重要。
○ また,学校司書がその役割を果たすとともに,学校図書館の利活用が教育課程の展開に寄与するかたちで進むようにするためには,学校司書が職員会議や学校におかれる各種組織に参加することも重要。

(利活用の在り方)
○ 学習指導要領等を踏まえ,各教科や総合的な学習の時間等の中で,学校図書館を積極的に利活用すること。その際,各教科等を横断的に捉え,学校図書館の利活用を基にした情報活用能力を学校全体として計画的かつ体系的に指導することにつながる観点も重要。
○ 学校図書館は,学校になじめない子供の居場所となること等も踏まえ,登校時から下校時までの開館に努めることが重要。

(評価の在り方)
○ 学校図書館の利活用の状況の評価は,予算の投入量ではなく,アウトプット(学校目線の成果)・アウトカム(児童生徒目線の成果)ベースで行われるべき。
[評価項目の例]
(アウトプット)学校図書館を活用した授業の実施状況,学校図書館の開館状況,図書の貸出冊数等
(アウトカム)読書習慣の確立(不読率の低下,読書好きの児童生徒の増加,学校図書館の利用者数)等
○ 評価は組織的に行うことが必要。また,学校運営協議会(コミュニティ・スクール)の活用等,外部の視点を入れることも重要。

【今後更なる検討が必要と考えられる内容】
○ 学校ボランティアの位置付けをどのように考えるか。

6 その他の論点について

(教育委員会による支援,公共図書館等との連携について)
○ 教育委員会は,域内における学校図書館の利活用の標準化の観点から,教育委員会における担当組織の明確化,司書教諭及び学校司書に対する研修の実施,各学校における学校図書館の運営状況の評価の推進等を行うことが必要。
○ 図書館資料の利活用促進のための域内のネットワーク化に関し,公共図書館と各学校図書館をつなぎ,図書館資料の相互貸出等を円滑に進められる仕組み作りが必要。

(民間事業者との連携について)
○ 現在,学校図書館支援員の派遣により学校図書館の運営を支援する実績のある民間事業者があり,これらの事業者との連携を図る地方公共団体等がある。
○ 他方,民間事業者が派遣等する者は,学校図書館法上の学校司書ではないとの位置付け。また,学校図書館は校長のリーダーシップの下で適切に運営されることが重要。
○ こうしたことを踏まえれば,民間事業者との連携は,事業者における法令遵守はもとより,当該事業者による学校図書館支援員の研修等を前提に,
 アウトプット・アウトカムベースでの学校図書館の利活用の状況の向上の観点から,その有効性等が判断されることが必要。

【今後更なる検討が必要と考えられる内容】
○ 公立図書館の司書が学校図書館の整備充実に果たしている役割をどう考えるか。公立図書館の司書を学校図書館に派遣する取組をどう評価するか。



(別紙)

「これからの学校図書館担当職員に求められる役割・職務及びその資質能力の向上方策」
(平成26年3月学校図書館担当職員の役割及びその資質の向上に関する調査研究協力者会議報告)

(司書教諭の職務)
司書教諭は,学校図書館の専門的職務をつかさどるための所定の講習を受講し,単位を取得した有資格者として,学校図書館の経営に関する総括,学校経営方針・計画等に基づいた学校図書館を活用した教育活動の企画・実施,年間読書指導計画・年間情報活用指導計画の立案等に従事する。
○ また,司書教諭は,学校図書館を活用した授業を実践するとともに,学校図書館を活用した授業における教育指導法や情報活用能力の育成等について積極的に他の教員に助言することが期待されている。

(司書教諭と学校司書の役割分担)
○ 学校図書館の経営・運営に関する方針や,利用指導・読書指導・情報活用に関する各種指導計画等は,教育課程とどのように結びつけるのかということが重要である。したがって,一般的には,教育指導に関する専門的知識等を有する司書教諭がその立案・取りまとめに従事し,学校図書館担当職員は,図書館資料とその利活用に関する専門的知識等に基づき,必要な支援を行うという形態が想定されるが,実際には両者は協働して当たることが求められる。
○ 司書教諭と学校図書館担当職員は,それぞれに求められる役割・職務に基づき,連携・協力を特に密にしつつも,具体的な職務分担については,各学校におけるそれぞれの配置状況等の実情や学校全体の校務のバランス等を考慮した柔軟な対応も必要となる。

(学校司書の職務)
○ 前節においては,学校図書館の主たる3機能に応じた標準的な職務を
1. 児童生徒や教員に対する「間接的支援」に関する職務,
2. 児童生徒や教員に対する「直接的支援」に関する職務,
3. 教育目標を達成するため
の「教育指導への支援」に関する職務として例示したが,こうした学校図書館担当職員に求められる資質能力の観点から,学校図書館担当職員に求められる最も基本的な役割を再整理すると以下の2 つとなる。
・ 児童生徒の読書活動や学習活動,教員の教材研究等,利用者が使いやすく,求める資料を探しやすいよう,学校図書館を日常的に整備するとともに,利用者から資料に関する質問を受けた際には適切な資料の提供及び利用の支援を行うこと。(学校図書館の「運営・管理」に関する役割
・ 学校図書館を活用した授業等の教育活動を推進・充実させるため,教員等と日常的にコミュニケーションを図りつつ,児童生徒の発達の段階や学習指導要領に基づく各学年・各教科等の学習内容に応じ,図書館資料の活用や教員との協働等を通じて,授業等の教育活動に協力・参画すること。(児童生徒に対する「教育」に関する役割
○ これらの全てを学校図書館担当職員が単独で扱うという趣旨ではなく,職務の内容に応じて,司書教諭等の学校図書館に関係する教職員と協働・分担して当たることが求められるものである。また,個々の学校や学校図書館の状況,校種により,それぞれの学校図書館担当職員が担う職務の優先順位や校内における役割の分担方法は異なってくる。

お問合せ先

文部科学省初等中等教育局児童生徒課

(文部科学省初等中等教育局児童生徒課)

-- 登録:平成28年06月 --