幼児教育に関する調査研究拠点の整備に向けた検討会議(第2回) 議事要旨

1.日時

平成27年11月9日(月曜日)10時00分~11時40分

2.場所

文部科学省5階 5F1会議室

3.議題

  1. 幼児教育に関する調査研究拠点の整備に向けた論点整理

4.出席者

委員

無藤座長、秋田委員、岩城委員、岡上委員、斎藤委員、坂﨑委員、高岡委員、田中委員、柳生委員

文部科学省

淵上幼児教育課長、成松幼児教育企画官、今村幼児教育課長補佐

オブザーバー

田口国立教育政策研究所研究企画開発部長、里見内閣府子ども・子育て本部参事官補佐(認定こども園担当)、馬場厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課保育指導専門官

5.議事要旨

【議題1】幼児教育に関する調査研究拠点の整備に向けた論点整理
○今村幼児教育課長補佐から、資料1、2に基づき、前回会議のまとめや、本検討会議の論点整理(たたき台)について説明があった。
○田口国立教育政策研究所研究開発企画部長から、資料3に基づき、国立教育政策研究所(以下「国研」と言う。)における幼児教育に関する機構・定員要求等の状況について説明があった。
○本検討会議の論点整理(たたき台)(資料2)について、各委員から発言があった。

(無藤座長)
○本日は論点整理として資料2を事務局でまとめていただいた。これについていろいろ御意見を頂きたい。資料2の論点整理は、この検討会議全体として年度内に報告書を取りまとめる骨格である。今日の議論を受け、直す必要があれば直していくもので、委員の皆様の御意見を受け修正していきたい。


〈「1.幼児教育に関する研究の推進と調査研究拠点の必要性」及び「2.調査研究拠点の使命及び果たすべき役割」について〉
(斎藤委員)
○前回会議の内容について、福井県内の市町村幼児教育アドバイザーや園内リーダーの方々に報告したところ大変喜んでいただけた。幼児教育の公的な意義を明らかにして、幼児教育が生涯の学びの根幹として広く理解される、そういったシンボルになると伝わったようだ。自治体が幼児教育の改革の流れに乗り、幼児教育の大切さを訴えられないかと考えており、幼児教育の意義が伝わり質の向上を行うためにも、公的な意義が目に見える形で出てくることを期待している。1.や2.に記載の調査研究拠点の必要性や役割に記載の文章は現場にとって後押しになる。

(田中委員)
○エビデンスを集めるような長期にわたる研究体制を国研としてどのように構築していこうと考えているのか。短期的なものやエビデンスが集められないような、今までと変わらない形で政策提言するのでは意味がない。日本の場合、ペリー就学前計画のような条件整備をしたデータを取ることができるのか、危惧があると思う。アメリカだからできたという部分もあると思うが、日本に置き換えたときにどのようなことができるのか分析が必要である。また、脳科学などの先端分野や赤ちゃん学などとの関連についてどのようなアイデアで行うのか。

(岡上委員)
○調査研究拠点の使命及び役割の中で、新しく国で幼児教育センターを作ろうとしているが、県レベルでは5つしかない。国で最新レベルの研究をするときに、県レベルの幼児教育センターのリーダーとしての役割を、その使命の中に入れていただけると、
研究が現場に近づいていくことになるのではないか。そのようなことを使命・役割の中に含めていただけると、国で研究していることがつながりやすく、ネットワークになりやすいので、入れていただくと良いかと思う。

(無藤座長)
○それぞれの自治体の中心的な部分と連携するといったことや、その力を引き出すといったことや広げるといったことが重要である。

(坂﨑委員)
○国の調査研究拠点が立ち上がった際に、各都道府県の幼児教育センターがすることがきちんと整理されていないと、関係性が分からなくなる。各都道府県で格差が出てしまうのは避けてほしい。
○全てのことがいわゆる学校教育というところにシフトしているわけではないと考えている。新制度が始まる前まで1,2歳児の就園率は22%だったが、44%にするというのが、新制度の目的だが、現在では、1,2歳児の就園率が6,7割という都道府県もある。そういうことを考えると、このような調査研究を行っていく際には、優先順位はあると思うが、乳児も入っているということも考えなければならない。さらに、脳科学の問題や妊娠期の問題も含めた大きな形での調査研究機関になることが望ましいのではないか。
○少子高齢化の中、何らかの形で家庭にいたとしても園が関わりを持たなければいけない。裏に隠れている虐待のような問題も含めてきちんと対応していかなければならないことを考えれば、大きな視点での研究機関が国としては必要なのではないか。調査研究機関が地方公共団体や施設や学校を指導することによっていろいろなことが解決されるのではないかと考えられる。
○非認知能力の問題についても1,2歳児も絡んでくると思うので、大きな形での調査研究機関になることがふさわしい。

(高岡委員)
○乳幼児期の教育は、家庭での教育と園での教育の両方で育つと考えられるので、幼児教育の対象に家庭と園が両方含まれるという形で設計することを検討できないか。非認知能力については、保護者の養育態度や、保護者との関係もこの時期の子供の成長に大きく影響を与えるものなので、そのあたりも御検討いただきたい。

(柳生委員)
○現在、子供たちは、幼稚園だけではなく多様な保育施設に通っている。全ての子供たちが質の高い教育・保育を受けられるように、「幼児教育」を、乳児を含め広く捉えてほしい。たとえ直接的に学校教育につながる部分だけを考えても、様々な人や同年齢の子供と一緒に過ごす中での多様な経験を伴う教育は、0歳からつながっていると考える。その点も踏まえて研究に生かしていただければと思う。

(岩城委員)
○現場の立場から言うと、県の幼児教育センターが少ないという話が出たが、そのような機関が地域に作られることが、現場とつながる上で重要である。先日、本園で研究発表をした際に、幼稚園だけでなく保育園からもたくさんの方が来てくださった。現在、様々な施設の人が教育の質に対して関心を持っていることを実感した。幼児教育センターやアドバイザーが、きめ細やかにいろいろなところでの研究を支えていく仕組みが作られると良いと考えている。

(無藤座長)
○1.2については大体これで良いが、幾つか論点を加えられると思う。

〈「3.調査研究拠点を中心に取り組むことが期待される研究課題」について〉
(岡上委員)
○幼児教育の質を評価する指標の開発は非常に必要である。誰にでも通じる指標を作ることに難しさも感じるが、開発する際は共通に理解される言語で指標を示すことが必要であり、また身に付けた力の測定に関する研究についても必要である。
○到達目標ではなく、幼児教育における方向目標である、ということと齟齬(そご)がないような研究、説明の工夫が必要である。
○どのような力に将来つながっていくのかという追跡研究は国でなければできないような大きな長い期間の研究になると思うので、このようなことができるような設計に是非していただきたい。

(坂﨑委員)
○指標開発の前提として、一つは、幼児教育そのものがどのようなことにつながるのかといった研究が必要である。もう一つは、研究されていることが、例えば今後の「子ども・子育て支援新制度」や保育の制度、幼児教育の制度、家庭教育の制度といった、制度そのものの在り方にきちんとつながる必要がある。将来的にそういうことにつながる調査研究の仕組みになれば良いと思う。

(無藤座長)
○研究課題としては、短期・中期・長期それぞれ必要だと思うが、短期は1年、2年というように、そのとき政策的に必要なことになるかと思う。中期は数年を単位としている。もう一つ大事だと思うのが10年単位というものである。ペリー就学前計画は20数年間の単位で実施されている。イギリスの研究では、中心部分は3歳から5歳くらいだが、データそのものは小学校入学から15歳くらいまで取っている。研究を計画してデータ収集プランを立て、多少成果が出始めるのに最低5年、国の政策にインパクトを与えるのに10年はかかる。目の前のことには間に合わないが、そのような長期的な研究を国がするべきである。大学でできるかというと、多くのところは向いていない。というのは、大学では教員が動くことに加えて、科学研究費は例外を除いて4~5年で終わるため次の保証がないからである。そういった点を考えると、国で行うことが望ましい。

(田中委員)
○質の評価の指標は非常に大事だと思うが、幼児期の育ちに一番大切なことは、何が育つかという結果ではなく、どのような道順で育ったかという経過を重視するという育ちの視点を持つことである。能力が身に付けば良いということではなく、どういう道順の中で試行錯誤しながら身に付けていくのか、ということ。最終的に非認知能力や社会で役立つスキルの育成などが、どう幼児期と結びついているのか、ということが世界的な流れだと思う。そこに幼児期の特性があり、注目が集まっている由来である。身に付けていく力ではなく、身に付けていく力の経過といった、結果ではなく経過という部分を重視した研究を行っていただきたい。そのような研究を行うと、指標に関してもこの指標が良いというのではなく、地域の実情や園の様々な状況に合わせた参考指標が出てくることになるが、それが絶対的な指標であるべきかどうかについては、もう少し慎重に考えるべきだと思う。そのような視点を持っていただきたい。

(柳生委員)
○子供たちに視点を当てた研究をすることは重要であるが、それと同時に保育者に視点を当てた研究も必要ではないか。就労期間が数年で、次々に保育者が変わっていく園もあると聞く。長期に就労しスキルを積み、質を高めていくことや人員配置などがどのように子供の育ちに影響するかも見ていけないだろうか。
○ペリー就学前計画については、それが日本において可能かどうか、どのようにやっていくのかということをこれから考えなくてはならない。

(無藤座長)
○日本の就園率はほぼ100%なので、研究において就園の有無で違いを見ることは難しい。世界的には先進諸国では100%に近い。そういうところでどのような研究がなされているかというと、幼稚園や保育園などその質を評価して、それによる違いがあるのかないのかということである。これでいうと、日本では保育・教育における最低基準が明確なので極端に低いところが実際にはほとんどない。諸外国は必ずしもそうではないので、質の幅が広く、比較しやすくなる。例えば韓国などは、幼稚園を含めた保育所の就園率は日本と同じだが、質の幅は相当広がりがあるという。日本でこういった研究ができるかは微妙だが、就園する時期は一つの指標になる。優れたデータになるか分からないが、一定の自治体の全ての幼稚園や保育園を調べられればできるのではないか。やはり、調査の規模が小さい場合や、調査協力してくれる園に頼む場合、どうしても良いところばかりになり、調査結果も平均レベルや良いレベルとなる。そういう意味では、やはり全数調査や全園の中からランダムサンプリングが必要である。そこが研究の難しさである。

(柳生委員)
○日本においても、いろいろな幼稚園や保育施設があり、様々な保育がなされており、質も様々であると感じている。京都市では、国公私立の就学前施設の保育者を対象とした研究・研修を行っているが、今の段階では意識のある園や保育者の自主的な参加となっている。全体の質の向上を願うのだが、行政レベルではなかなか立ち入れないところもあり、もどかしさも感じている。研修を受けてもらえる仕組みも一緒に考えていただきたい。

(無藤座長)
○現場を研究対象とするだけでなく、一緒に研修をするということはおっしゃるとおりである。

(斎藤委員)
○ 福井県の場合、園種や公私を越えたところに踏み出したとき、大きな流れを生み出すエネルギーや方向付けが必要だと考え、新しい幼児教育研修システムを構築するに至った。市町村単位・園単位のリーダーを通して、幼児教育を取り巻く情報を提供し、これからの幼児教育の在り方を共に考え、県内全体が一体化していくという試みが続いている。そこでは園種や公私に関係なく、幼児教育に携わる方々の「情意」(意欲と意志)に支えられて流れができている。幼稚園教育要領や保育所保育指針は現場に狙いや道筋を示すものであるが、どの園でも共有できる未来への確かな方向付けという意味で、幼稚園教育要領と通じる核となるものを示していただくことが、現場では必要とされている。

(高岡委員)
○目に見えない質の評価は課題だと思っており、どういった形で提示されるかについては、一緒に検討できればと思う。
○質の評価が指標化されていく中で、保育の実践者や保護者の方々にも理解可能な形でまとめていただけると非常に有り難い。短中期的にそのような成果が出ることで、各園の中で保育の質を上げられるような園内研修の仕組みや、保育者同士の理解が深まるような活動につなげていけるようなもの、保護者が園の選択を保育の質ということをキーに選んでいけるような形にうまくつなげていけるような成果として、研究がなされていくと良いと思う。
○長期的に見た場合は、幼児期の研究ではあるが、社会で求められる力を背景に押さえていただけると良いかと思う。小学校、中学校と成長していくにつれて身につきやすいものと、変わらない・変わりにくいものが出てくるかと思う。そういうものが成人になったときにどういった力につながるのかという観点も含めていただけると有り難い。
○指標や質に関する研究を波及させるためにも、様々な手法が試されると思う。その研究プロセスについても広く公開すれば、国内の他機関も試みることができると思うので、他機関との連携という点からも是非よろしくお願いする。

(岩城委員)
○20年前くらいの新聞記事で小学校のグループ学習と幼児期の接続について追跡調査の結果が出されていたかと思う。その調査は子供たちの学習しているときの態度を見たものであり、子供たちが課題に向かうときに、リードする子や追従し協力する子など、そのようなことが新聞記事に載っており面白いと思ったことがあった。プロセスを外に示すのは難しいが、やはり子供がどう関わって何を獲得していくか、見えにくい部分を長期で見ていく研究ができれば思う。

(無藤座長)
○幼児教育の質というときに、保育者の関わりと園の環境の在り方が基本的な部分で、その上で子供がどう活動するかという話になるが、その際に、保育者の質をどのように確保するかについても考える必要がある。小中学校であれば教師の質の評価については日本にも研究がある。
○経験年数で力量が本当に上がるのか、上がらないのか、といった研究はたくさんあるが、クリアな結果が出ていない。経験年数に応じて力量は上がらないというのが小中学校の教員に関する研究の結果の一つであるが、幼児教育についてはほとんどそういった研究はない。また、我々は経験年数が多い人が増えることが大事だとは言っているが根拠がなく、更に研修が大事でもっと実施しようというが、本当に研修に効果があるかと聞かれると、エビデンスは乏しい。研修をするといってもどういう研修をすれば良いかが明確になっていない。研修をしても話を聞くだけでは駄目で、園内研修が大事と言われているが、それについてもエビデンスが必要である。
○保育者の力量をどう評価するかについても指標開発が重要である。良い指標を開発するのは難しいかと思うが、小中学校についてはある程度提案があるので、参考になるかと思う。
○ここ数年で幼児教育において研究が進んだのは運動領域である。この要因は、小中学校については文科省が標準調査を行っており、これを幼児においても大規模に実施した調査や検討、実験的な訓練プログラムなどにより、文科省が幼児期の運動指針というものを作ったので、現場で理解が広がり、現場の受入れが良くなった。これは限定された領域であり、規模は小さいが、研究によって動いていくという例である。

(田中委員)
○保育所には第三者評価の仕組みがあり、「子ども・子育て支援新制度」の中では、その延長で認定こども園では教育機能に関する評価も行われているということが自治体ベースでは起きている。教育に関する評価は文科省の学校評価の延長上にあるべきであるが、認定こども園では実態から動いてしまっており、経営コンサルタントとしての評価の延長に教育評価が置かれる形で動き始めてしまっている。きちんとした体制を提言していかないと文科省の学校評価からずれてしまう。

(無藤座長)
○頂いている御意見には調査研究拠点に反映する部分と、文科省の政策的な部分とがあると思う。保育所の第三者評価では最低基準のチェックが中心なので、ここで議論している教育の質とは異なるのではないか。

(坂﨑委員)
○例えば八戸市では学校評価における自己評価の流れの中で、評価を受けなければ加算対象とならない仕組みができている。これは自治体ごとで実施されており、全国的に進められているわけではないので、保育所界に提言しておく。

〈「4.調査研究拠点に求められる体制」及び「5.調査研究拠点の整備を進める際に配慮すべき事項」〉
(斎藤委員)
○求められる体制について、各都道府県・市町村の核になるところへの情報提供を積極的に行う必要がある。現場に届くまでにスムーズに行かないこともあるのではないか。都道府県レベルが広域行政として行う必要もあるが、ここに行けば分かるというポータル的なものを用意することや、国が自治体を通してこれは大事だと思う情報を複数の形で提供してほしい。また、全国の取組を集約して発信できるネットワーク体制があると良いと考えている。

(柳生委員)
○ほかの自治体の情報が入手しづらい状況がある。どこでどのような研究をされているかや、発信されている取組や冊子等の成果物などが、どこかに集約、一元化されることで、互いに学び合うことができ、全国的に質を向上させることにも役立つのではないか。

(岡上委員)
○どこもホームページを持っていて、情報発信をしているが、一括して全体を俯瞰(ふかん)して見られるようなものができないかと思っている。そこを国で立ち上げていただいて、自分たちがしていることがその中で見えると良い。
○研究における経過を聞くことで何を研究したら良いか分かるので、経過が分かることも必要である。

(坂﨑委員)
○現場との緊密な連携により調査研究したことが現場にフィードバックされ、幼児教育の質の向上につながると分かれば、全国的なものを作る大きな意味合いとなる。県や市を通して保護者や社会に影響を与える仕組みを作ることが必要である。

(高岡委員)
○ウェブサイトの仕組みについて、幼児の生活を考えて地域、園、家庭における実践事例を集約したものになると良いと考えている。
○単に集めるだけではなく、アクセスのしやすい構造を作っていただけると良い。それを基に現場で議論できるような素材となるものにしてほしい。また、海外の文献なども含めてもらうと有り難い。

(秋田委員)
○実践の場への貢献は最終的な狙いとなる重要なことである。
○国研の役割として日本が行っている政策研究などを、国として海外に発信していくことが重要である。日本の乳幼児教育の質は高いが、海外へ発信するパイプが少なかった。外から見て日本がどうかという情報を得る機会が少なかった。各自治体の取組を集約して、国際発信するというのが国としての拠点を作る意味である。内向けだけではなく、外向けでも日本の良さを発信できなければ後進国となってしまう。拠点を作るからにはそれを担うにふさわしい方をセンター長として採用し、進めていただくことが重要である。
○どういう文脈であればどういう質が必要なのかという研究がない。質の評価をして高めていく上で大体何が必要かは分かってきているが、例えば、北欧のような人口規模が少なく、福祉にかけられるお金があるところの質の戦略と、日本のように少子化が進んでいる地域が質を上げるための政策や、待機児童対策で保育士の規制をどうするかといった地域で質をどう上げるかの政策などがあり、一律な指標が作られることを危惧している。施設も多様になっており、一律な指標作りについては慎重にならないといけない。20年、30年、50年後を見通した研究課題を設定する必要があり、長期的に安定した体制作りが重要である。
○拠点での他機関とのネットワーク構築については、基礎科学的な部分は必要な測定機材を持つ大学の強みであるし、教育委員会や自治体などの取組とのパイプであればやはり国研が強い。そういった分業の中で、連携していくことが必要。例えば乳幼児の睡眠などは子供にとって極めて重要な問題であり、運動や食なども重要ということが分かってきている中、大学コンソーシアムは、学術的なネットワークとして、それぞれの強みを生かした連携を図り子供の育ちの基礎科学を提供していきたいと考えている。
○東大の発達保育実践政策学センターでは、公私立幼稚園、認定こども園、保育所、小規模保育など全ての施設種に質問調査を実施中である。この中で「質とは何か」という問いを立てている。「質」についての考え方が違うかもしれないと考えており、何が大事にされているのか現場の声を明らかにしたいと考えている。

(無藤座長)
○国研では日本の幼児教育・保育全体の仕組みといった構造を明確にする作業を行っていただきたい。海外と比較してみて、日本はかなり民間団体や幼児教育関係団体の力が強い。幼保小接続のカリキュラムを作っている自治体もあるが、各自治体が作成したものを全部持っている人はおらず、カリキュラムだけでも数百以上あるはずだがどこにも集約されていない。世界の国の中でも、数百の自治体がカリキュラムを作って持っているという国は非常にまれであり、日本の教育力の現れではないか。そういった日本の幼児教育の構造に関する研究もしてほしい。
○教科調査官という仕組みも海外にはないものであり、全体の仕組みを構造的に捉え直してみることが必要なのではないか。日本の幼児教育を構造的に捉え直した政策研究的なことが必要である。幼稚園教育要領の改訂の際の伝達では、市町村の行政担当者や養成校が抜け落ちやすく、そういった観点からの行政研究もしてほしい。

(秋田委員)
○国のデータで重要なのは、自治体や施設レベルのデータを持っていることである。研究者は子供レベルのデータは持てるが、自治体や施設レベルのデータを厚く持つことができない。
○幼保小連携カリキュラムについて、海外では国レベルではなく自治体レベルの発表も行われている。日本としてもグッド・プラクティス的なものを整理すること、インターフェースとしての仕事をしていただけることを国研には期待している。

(無藤座長)
○頂いた御意見を整理した上で、次回は年度内の報告に向け、報告書の原案に近い形で今後議論を深めてまいりたい。

(以上)


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