分析指標の設定等に係る検討方針(案)

【調査問題に関する基本的な考え方】

○ 義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、学習指導要領の理念・目標・内容等に基づき、全ての児童生徒に身に付けさせるべき基盤的な内容とする
○ 学習指導要領の理念・目標・内容等に基づき、学習指導上特に重視される点や身に付けるべき力について、各学校において具体的な指導改善に生かすことができる出題とする
○ 平成19年度調査からの10年にわたる調査の継続性に配慮する


1.分析指標の設定等の目的・検討の方向性

   各学校・学級、一人一人の児童生徒の学力の状況について、教科全体の平均正答率だけが注目されることのないよう、調査結果のデータに基づき、より多角的に分析できるような資料を提供する。
   また、各学級や一人一人の児童生徒の学習上の課題をそれぞれに対して、より明確に提示する。
  それらを通じ、各教育委員会における、人材・予算等の資源投入をはじめとした教育施策の改善・充実につなげるとともに、各学校における、教育指導の改善・充実につなげる。

(1)一人一人の児童生徒

○ 現在、一人一人の児童生徒に調査結果を提供する個人票は、設問ごとの解答状況などを示しているが、当該児童生徒にとっては、調査結果から何が課題だったのか、必ずしも明らかではないという指摘があった。
○ そのため、児童生徒に提供する個人票について、調査結果のデータに基づく全国的な傾向との比較等により、当該児童生徒にとっての学習上の課題を明らかにするなど、児童生徒が振り返りやすいように改善を図る。

(2)学校

○ 各学校に対しては、児童生徒ごとの解答・回答状況や学校全体の設問ごとの正答率などを提供しているが、各学校においては、当該学校や学級ごとの学習上の課題を様々なデータから分析することが、必ずしも十分にできていないという指摘があった。
○ そのため、各学級単位で、調査結果により明らかになった学習上の課題を分かりやすく参照できる資料を新たに提供する。そのことにより、これまでも学校に提供している「解説資料」や「報告書」を参照しながら、重点的な取組を行うことができるよう促す。
○ また、上記(1)のように児童生徒に調査結果を提供する個人票で示す学習上の課題を参考に、学校が一人一人の児童生徒に対し、補習や家庭学習などを含めた指導の改善・充実を図ることが期待される。
○ さらに、調査結果から、学校がより一層指導を充実すべき一定の学力層の児童生徒を示す。このことにより、学級担任や教科担任のみならず、指導教諭を含む学校全体の取組として、教育指導の改善・充実を図ることが期待される。

(3)教育委員会

○ 調査結果について、学校ごとの教科全体の平均正答率を中心に教育施策の改善・充実に活用している教育委員会も見られるが、教科全体の平均正答率が、学校の状況の全体像を示しているものではない。
○ そのため、上記(2)のように各学級単位で提供する調査結果によって明らかになった学習上の課題を参考に、教育委員会から学校に対する指導の改善・充実を図ることが期待される。
○ また、学校がより一層指導を充実すべき一定の学力層の児童生徒に関し、学校ごとの分布状況を参考に、教育施策の改善・充実を図ることが期待される。

2.教育委員会・学校に対する結果提供の一部早期化の検討

○ 学校によっては、できるだけ早く調査結果を教育指導の改善・充実に生かすため、調査結果が提供される前に、自ら採点を行うところも存在する。
○ そのため、教育委員会や学校において、できるだけ早く分析が始められるよう、例えば、速報値を示すなど、以下の方策を検討する。

  • 教科の設問ごとの正答率について、一定の幅を持った値で、できるだけ早期に提供
  • 個々の児童生徒の解答状況について、できるだけ早期に提供

3.国が行う都道府県別の結果公表の検討

○ 都道府県別の結果については、教科全体の平均正答率でもって、都道府県ごとの学力の全体像を示しているものではない。しかしながら、教科全体の平均正答率が、都道府県ごとの学力の全てを示しているかのような誤解を招いている現状がある。
○ そのため、国が行う都道府県別の結果公表については、序列化や過度な競争が生じないような公表方法について、引き続き、検討を進める。

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初等中等教育局参事官付学力調査室

(初等中等教育局参事官付学力調査室)