全国的な学力調査に関する専門家会議(平成27年6月24日~)(第11回) 議事要旨

1.日時

平成28年10月7日(金曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省3F1特別会議室(東館3階)

3.議題

  1. 平成29年度保護者に対する調査について【非公開】
  2. 平成29年度全国学力・学習状況調査における質問紙調査の検討方針について【非公開】
  3. 分析指標の設定等に係る検討方針(案)について
  4. 全国学力・学習状況調査における指定都市の調査結果の公表方法の検討について
  5. その他

4.出席者

委員

耳塚座長、福田座長代理、大津委員、鎌田委員、斉藤(規)委員、齋藤(芳)委員、柴山委員、清水(康)委員、清水(美)委員、田代委員、田村委員、垂見委員、土屋委員、戸ヶ崎委員、長塚委員、吉村委員、渡部委員

5.議事要旨

議事1 平成29年度保護者に対する調査について【非公開】

・平成29年度保護者に対する調査について事務局から説明があり、その後、それに関する意見交換が行われた。

議事2 平成29年度全国学力・学習状況調査における質問紙調査の検討方針について【非公開】

・平成29年度全国学力・学習状況調査における質問紙調査の検討方針について事務局から説明があり、その後、それに関する意見交換が行われた。

議事3 分析指標の設定等に係る検討方針(案)について

・分析指標の設定等に係る検討方針(案)について事務局から説明があり、その後、それに関する意見交換が行われた。

【委員】
指導につながるフィードバックは、課題分析や項目分析を通して、項目の性質を把握した上で行う必要があると考えるが、課題や問題の分析までは踏み込まず、スピード感を重視するということか。

【主査】
国立教育政策研究所において良い資料を作っているということに加え、現在、いわゆる項目分析も取り入れたような形で返すような工夫を検討している。

【委員】
調査で分かったことと、今後の学習や指導に関するアドバイスがセットで返されることが重要だ。

【委員】
分析指標という概念自体をもう少し明確にしてほしい。現在、国立教育政策研究所が作成している解説資料や報告書は、正答率のみではなくて、典型的な誤答等を指摘した上で、それを解消するためにどのような指導が必要かということがまとめられている。課題が明らかにされ、指導上の改善事項も記載されており、それに基づいて授業アイデア例も示されている。それをより分かりやすくするということなのか。それとも、示し方自体を工夫するということなのか。

【主査】
分析指標については、かなり大きな枠組みで捉えている。今、御指摘のあった2点についても当然カバーするような形で、分析指標の設定等ワーキンググループで具体案を検討している。

【委員】
一人一人の児童生徒に、これまでよりも詳細な個票が届くのはよいことだと思う。一人一人の子供が学ぶ意欲や自己肯定感を持って暮らすことが、学力向上においては重要だと思うので、課題の指摘だけではなくて、ポジティブなメッセージになるようなものも個票の中に入るとよいと思う。このような形でより詳細なものを示すことが、悉皆(しっかい)でやっている意味でもあり、一人一人の子供に成果を届け、改善を促すことにつながり、良い方向の改善だと思う。

【委員】
詳細なよいものを作っても、それを現場で活用しなければ意味がないし、それをいつ誰が活用するかということが課題になると思う。現場の教員が使いやすく、児童生徒が自分を振り返って活用できるようなものが必要ではないか。
また、結果を早く学校に返却し、それを夏季休業中に研究・研修を行っていくことが重要だと思う。

【委員】
一人一人の児童生徒と学級に着目するという方向はよいと思う。平均正答率は、子供たちを成長させていく一つの切り口なのに、まるでそれがゴールであるかのような捉え方を訂正することは、特に重要だと思う。一人一人の子供と学級に着目していくのであれば、質問紙で一人一人の教員の声を拾い上げていく工夫も必要ではないか。
また、「全ての児童生徒に身に付けさせるべき基盤的な内容とする」という表現については、B問題に関しては習得だけではなくて活用も含めた幅広い部分を取り上げているはずなので、表現の工夫が必要ではないのか。

【委員】
できるだけ学校現場に役立つ指標にするという観点は重要だと思うが、自治体や国のモニタリングとしての指標も必要なのではないか。今は、平均正答率が注目されがちなので、例えば各自治体で学校間の学力のばらつきがどれぐらいあるのかということや、各自治体や学校の低学力層の割合など、詳細な分析を行った指標を検討することも重要ではないか。

【座長】
示されている案は、一人一人の子供や学級、学校の学習上の課題を国が指摘すると捉えられる可能性があると思う。教育委員会や学校、教員が地域や子供の状況を観察しながら、課題や指導方法を検討していくことが本来の在り方だと思う。飽くまでも国はそれを支援するためのデータや数値を提供するということなので、誤解の生じないような表現にする必要がある。

【主査】
分析指標の設定等ワーキンググループでも、そのようなことは考えておらず、飽くまでも現場で役に立つような資料を今まで以上に分かりやすく提供するための方法を考えており、現場の先生方や教育委員会の方の御意見を聞きながら、デメリットが生じないように注意をしている。

【委員】
結果の早期提供に関して、A問題は採点も早く済むのではないかと思うので、それを先に返却してはどうか。また、将来的には、知識に関する問題はCBTなどを活用して実施して、集計・返却を早期化することも検討してはどうか。

議事4 全国学力・学習状況調査における指定都市の調査結果の公表方法の検討について

・全国学力・学習状況調査における指定都市の調査結果の公表方法の検討について事務局から説明があり、その後、それに関する意見交換が行われた。

【委員】
指定都市全てが市全体の結果を公表しており、そのうち17市が平均正答率を公表しているとあるが、残りの3市は何を公表していたのか。また、指定都市別の結果を公表する場合の結果というのは具体的にどこまでのことを指しているのか。

【事務局】
残りの3市は、具体的な平均正答率を出さずに、全国平均を上回っているとか下回っているといったことを示している。
2点目については、現在、都道府県については、教科ごとの平均正答率や設問ごとの平均正答率、都道府県における正答数ごとの分布状況、児童生徒質問紙と学校質問紙の回答状況など、様々な情報を公表している。指定都市を公表する場合は、現在、都道府県について公表しているものと同じレベルで公表していく。

【座長代理】
都道府県に関しては、指定都市を含む場合と含まない場合を両方示した方が分かりやすいと思う。

【委員】
示されている方針に賛成する。このような形で公表することで、政令指定都市間で課題などを共有しやすくなり、協力しながら改善に努めていくことができると思う。

その他 平成28年度全国学力・学習状況調査の結果公表について

・平成28年度全国学力・学習状況調査の結果公表について事務局から説明があり、その後、それに関する質疑応答が行われた。

【委員】
質問紙調査の項目は自己申告がほとんどだが、客観的な数字で把握できることを充実させてはどうか。また、質的な研究も充実させることが重要だと思う。
将来、英語の調査を行う場合、英語のパフォーマンスには、更に多くの要因が関わってくると思うので、塾や海外滞在経験の影響だけではなく、学校教育がどのように貢献しているのかを把握していくことが必要だと思う。

【委員】
質問紙の項目の主体的・対話的で深い学びの視点による学習指導の改善に向けた取組は、次期学習指導要領の重要なポイントになることだと思うので、より強調して示してもよいのではないか。
平均正答率の差を設問数で自治体ごとに見るとほとんど差がないということは、まだ十分に伝わっていないと思うので、平均正答率で様々なものを計っていくことはさほど意味がないということを一層周知していく必要がある。

【委員】
都道府県別の学力層ごとの割合などを示せば、正答率だけではなくて、中身を見る必要があるというメッセージになるのではないか。

【委員】
概要資料をより分かりやすいものにしていく必要がある。また、就学援助率を統制するということは非常に重要であり、厳しい条件の学校であっても、学力が向上する取組などを明らかにしていくことは必要だと思うが、そもそも厳しい状況の中でどれくらいそのような状況を作れるのかとう点にも留意する必要がある。カリキュラム・マネジメントの取組状況については、肯定的な回答が実態よりも高くなっているのではないかと感じる。

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