全国的な学力調査に関する専門家会議(平成27年6月24日~)(第8回) 議事要旨

1.日時

平成28年5月25日(水曜日) 13時~15時

2.場所

文部科学省3F1特別会議室(東館3階)

3.議題

  1. 平成29年度保護者に対する調査について【非公開】
  2. 中学校における英語調査に関する「中間まとめ」(案)
  3. 全国的な学力調査の今後の改善方策について「論点の整理」(案)
  4. 分析指標の設定等ワーキンググループについて(案)
  5. その他

4.出席者

委員

耳塚座長、福田座長代理、大津委員、鎌田委員、斉藤(規)委員、齋藤(芳)委員、柴山委員、清水(康)委員、清水(美)委員、垂水委員、土屋委員、寺井委員、戸ヶ崎委員、長塚委員、渡部委員

5.議事要旨

議事1 平成29年度保護者に対する調査について【非公開】

・事務局より、平成29年度保護者に対する調査について説明があり、その後、それに関する意見交換が行われた。


議事2 中学校における英語調査に関する「中間まとめ」(案)

・事務局より、「中学校における英語調査に関する『中間まとめ』(案)」についての説明があり、その後、これらに関する意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。


【委員】
前回国語について質問させていただいたが、本日の説明で、やはりきちんと英語と国語という観点で、国語への影響などを押さえているということが分かって安心した。
それから、英語4技能を含むパフォーマンスアセスメントについては、採点者の適格性がとても重要になると思うが、その点は、中間まとめの中にあった検収において考えていこうとしていると理解してよいか。


【事務局】
採点に関する御指摘の点については、「書くこと」と「話すこと」の、両方とももう少し丁寧に見ていく必要がある。仮に「書くこと」は別の場所で採点するとしても、英語の素養が、外部試験団体で行っている試験でも求められている。加えて、どのようなポイントで評価するか、また、その採点の仕方によって、必要な検収などが変わってくると思う。今年は、フィージビリティ調査で一部、事後の検収を行っていて、事前の研修から、採点者の適確性に関してどこに課題があるのかを見いだせれば、御報告できればと思っている。「書くこと」についても、事後の検収をした結果、何か課題が見えてくれば、それをどう次につなげていくかということについて御議論いただければと思っている。
なお、他国で話すことのパフォーマンス評価を対面でやっている国があるが、基本的には、例えばオンラインで研修をして、更に必要であれば集合研修をして、その中で徐々にぶれをなくしていく。事後の検収について、採点する側や指導する側に、何か課題があったのか、若しくは問題そのものに何か課題があったのかというポイントで、その事後の検収の結果を活用していくという例が幾つかあり、そういったことを含めて、今年度末までには御議論いただきたい。


【委員】
話すことを一人10分で調査すると、1学級で400分なので、7時間ぐらい掛かる。その調査は同時に採点していくのか、録画しておいて後で採点するなどの工夫が想定されているのか。あるいは、採点者として対応する教師は一人で対応するのか、複数の教師がお互いの採点のレベルを調整し合い、検証しながら採点の精度を上げていくのか。


【事務局】
フィージビリティ調査は10分でやってはいるが、1日で1クラスを終わらせる学校と、複数の日にまたがって行っている学校がある。他の試験では、5分前後で行っている例もあるので、そういった可能性についても、もう少し御議論いただきたいと考えている。フィージビリティ調査において、100人以下の1クラス40人ぐらいの学校と、100人前後の学校と、200人前後の学校で実施していただくときに、どのような体制で採点を行っているか、アンケート調査とヒアリングを行う予定である。問合せが多いのは、複数の教員で行う場合に、英語の教員でなくてはならないのかということや、英語を教えていなくても英語の免許を持っている教員や他校の教員と共同で実施してもよいかということ。そういった工夫も、御協力いただける学校には御検討いただきながら実施していただき、その結果を整理した上で御議論いただきたい。負担が大きいということを踏まえながら、できる限り負担を減らせるよう、効果的に実施できる体制を御議論いただくため、本年度のフィージビリティ調査で試行的に行いたいと思っている。


【委員】
これまでの全国学力・学習状況調査は、調査してから結果が出るまでに結構時間が掛かって、その年度内にその結果を生かした指導改善を行いにくいという批判がある。英語については、話すことなどは即座に採点者側にはデータが分かるので、これまで以上に、その結果を生かした改善策や施策を行いやすくなると考えられるので、その点についても盛り込んだ方がよいのではないか。自動採点などが出てくれば、結果がはっきり出ると思うので、それを生かす研修制度や授業改善の取組をあらかじめ設計の中に入れておくという構造が必要ではないか。


【委員】
その御意見はとても大事だと思う。この調査には診断という目的もある。したがって、学校単位や県単位の情報や、教員の情報になること以外に、受けた生徒たちに何ができて何ができなかったかを知ってもらう重要な機会になると思うので、診断の機能を持たせるとても大事なことだと考える。

議事3 全国的な学力調査の今後の改善方策について「論点整理」(案)

・事務局より、「全国的な学力調査の今後の改善方策について『論点の整理』(案)」についての説明があり、その後、これらに関する意見交換が行われた。主な意見は以下のとおり。


【委員】
悉皆(しっかい)という方法がかなり大きなメッセージ力を持っている。例えば、悉皆(しっかい)から標本抽出に変わると、それが日本の教育に関してはかなり大きなメッセージを発信することになる。調査結果を、自分のこととして意識せずに、他人ごととして意識するようになってしまうと、我々が進もうとしている方向と逆の方向になる。
前回の会議でも委員から、全国学力・学習状況調査を軸にした日本の教育改善がどの程度進んでいるのか、どういう課題があるのかということも発信すべきという御意見があったが、それは非常に大事な意見だと思うので、メッセージ性のようなものを高めていかないと、なかなか変わらないと思う。
調査結果をうまく授業改善や指導改善に生かしているところと、なかなかそれがうまくいっていないところがあるという点では、我々は少なくとも、教育委員会レベル、学校レベル、教員レベル、それから児童生徒レベルの四つぐらいのレベルで把握する努力をするべきではないか。それにより、実際に、学力評価を軸にした指導改善、授業改善がどの程度進んでいて、どのような課題があるか、ということが見えてくるのではないか。


【座長代理】
調査結果の提供の早期化について、現場にとっては、調査実施から結果提供までのタイムラグが非常に大きな意味を持つ。実際には、様々な資料提供があり、問題の趣旨や具体的な内容について説明があるが、それが十分に生かされているかという問題がある。それが徹底しない限りは、なかなか指導改善につながっていかない。現場がそれをうまく生かそうという気持ちになっていないのではないか。
また、自ら採点を行うところも存在することについて、何らかの形で利用方法を示すという点についても確認したい。


【座長】
これを強く進めるのは難しいのではないか。現場は相当な負担だと思うので、論点の整理にあるような記載をしただけで十分メッセージとしては伝わると思う。


【委員】
データの貸与について、私が委託事業においてデータを借りて分析した際、その中から必要なデータを抽出し、実際に分析に持っていくところまでがすごく大変だった。
PISAで行っているように、オンラインで必要なデータを誰でも使えるような方向も考えてはどうか。
教育施策や教育指導の改善・充実に資する調査研究であること、専門家のレビューを経ることという点については、そのとおりだと思うが、場合によっては、この専門家会議で決定されたようなことと真逆のデータ解析結果が出ても、フィルターで落とすことがないような、制度上の担保のようなものを今後考える必要があるのではないか。


【座長】
その点については、分析・活用等ワーキンググループでもう少し詰めていくことになると思う。


【委員】
小・中学校の最終学年での実施が続いているが、実質的に中学校2年生までの内容で中学校3年生の4月に調査するので、中学校3年生としての学力をうまく把握できていないのではないかという点は、大きな論点ではないか。


【委員】
全国的な学力調査の意義について、学習指導上特に重視される点や身につけるべき力を示すメッセージになると記載されているが、限られた時間で問題を解き、測定として意味のあることを行うという枠組みに、実際に日常の授業で教えたいことが全部当てはまるわけではない。うまく測れないようなものもある。余りこの点を強く示すと、測れないものを測ろうとしたり、試験に出ることだけが教えるべきものだと捉えられてしまったりするなどの懸念がある。限られた時間の中である程度の精度で測れるものだけに限定して調査しているということを、調査主体も現場もわきまえることが必要である。

議事4 分析指標の設定等ワーキンググループについて(案)

・事務局より、分析指標の設定等ワーキンググループの設置について説明があり、了承された。

議事5 その他

・事務局より、「第7回全国的な学力調査に関する専門家会議」における配付資料5-3「都道府県・指定都市による独自の学力調査について」に関して、訂正の説明があった。

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初等中等教育局参事官付学力調査室

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