(資料3)「デジタル教科書」の位置付けに関する検討に当たって

「デジタル教科書」の位置付けに関する検討に当たって

座長 堀田

 今後、前回の検討会議において示された「検討の視点」に基づいて議論を重ねていくこととなるが、本検討会議に課せられた使命はとりもなおさず「『デジタル教科書』の位置付け」に関する検討であり、その意味においては、主として「教科書としての位置付け」についての検討が求められることとなる。
一方で、前回の検討会議における議論からも明らかなように、「教科書」という言葉は、我が国において、知らない者はいないと言っていいほど広く普及しているものの、法制度上は多義的な意味を有していることから、今後の検討に当たっては、第一に、デジタル版教科書が教科書であることの意味について、委員間で共通認識を持った上で検討を進めていくことが必要

提案

 この点、参考資料のように、教科書であることの意味を大きく分けて言えば、
各学校において使用しなければならない学校教育法
・ 文部科学大臣による検定を経る必要がある(学校教育法
・ 義務教育段階においては児童生徒に対して無償給与される(無償措置法
・ 国から発行者に対して、発行指示、定価の認可等が行われる(発行法
・ 発行者は国等に対してデジタルデータの提供を行わなければならない(教科書バリアフリー法
・ 著作・編集に当たって、著作権の権利制限が認められている(著作権法
が挙げられるが、この中でも、各学校において使用しなければならないという使用義務が教科書であることの意味の中核となっているものと考えられる。

 つまり、使用義務が課せられていることにより検定による質の担保が必要となり、義務教育段階において無償給与される。その著作・編集・発行を円滑かつ確実なものとするために発行指示、定価認可、著作権の権利制限等が定められており、また、障害がある児童生徒の学びを確保するためにデジタルデータの提供が義務付けられる。

 この使用義務については、短期/中長期のいずれのスパンで考えた場合においても、教科書として最低限有すべき意義であると考えられることから、今後は、デジタル版教科書が教科書として最低限有すべき意義を「基礎的・基本的な教育内容の履修を保障するために、各学校において使用しなければならない」ものと捉えた上で、様々な課題について検討を進めていくこととしてはどうか。

 その上で、検討の視点にも記載されているが、「教科書の質の担保」、「デジタル版教科書の範囲」、「デジタル版教科書と紙の教科書の関係」、「『デジタル教科書』の各法律上の位置付け」といった課題の検討の際には、当面講ずべき措置と実施に向けて中長期的に検討していく必要がある措置とに区別して議論していくことが適当であると考えられる。

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初等中等教育局教科書課