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「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議(第10回) 議事録

1.日時

平成28年11月30日(水曜日)14時~15時30分

2.場所

3F1特別会議室

3.議題

  1. 最終まとめ(案)の審議について
  2. その他

4.出席者

委員

堀田座長、天笠座長代理、新井委員、井上委員、尾上委員、金子委員、黒川委員、神山委員、近藤委員、高梨委員、中川委員、東原委員、福田孝義委員、毛利委員、山内委員、若江委員

文部科学省

浅田大臣官房審議官、望月初等中等教育局教科書課長、宇高教科書課課長補佐、松本情報教育課課長補佐

5.議事録

【堀田座長】 それでは定刻より少し早いですが、ただいまから、「『デジタル教科書』の位置付けに関する検討会議」の第10回会議を開催させていただきます。皆様、本日もお忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日は、福田純子委員が体調不良により御欠席と伺っております。

今回は報道機関等から写真撮影等の希望を頂いておりますので、議事の冒頭のみ、これを許可することといたします。

それでは、議事に入る前に、事務局より資料の確認をお願いいたします。

 

<事務局より資料について説明>

 

【堀田座長】 ありがとうございました。

ビデオカメラ、写真等は、ここまでとさせていただきます。

それでは、議事に入りたいと思います。前回は、中間まとめの後、パブリックコメントや関係団体からの意見を踏まえ、最終まとめに向けての審議を行いました。更に議論が必要と思われるようなことについて、幾つかの論点を提示し、そこについて皆さんに御議論いただいたところでございます。

その後、会議中の発言では足りなかった部分につきましては、委員の皆様から御意見を頂き、事務局でそれを整理し、私と事務局の方で、皆様の御意見を踏まえた最終まとめ案を用意させていただきました。最終まとめ案も皆様には事前にメールで送付し、既に御確認いただいているところではありますが、まずは、事務局から、簡単に御説明をお願いします。

 

<事務局より最終まとめ案について説明>

 

【堀田座長】 ありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からの御説明を踏まえながら、審議に入りたいと思います。皆様から前回頂いた御意見と、前回の会議から今日までに頂いた御意見につきましては、だいたい反映されていると考えておりますが、追加で御意見があれば頂ければと思います。

また、最終まとめの策定後、中長期的に検討すべき観点、あるいは導入後のデジタル教科書のあるべき方向等につきまして、少し先の話も含めてお話しいただければと思います。先の話についても、この最終まとめ案には書いてございますけれども、強調すべきところがありましたら御意見を頂ければと思います。

御意見のある方は、いつものように札を立てていただきたいと思います。

高梨委員、お願いします。

【高梨委員】 本日マスコミ等で、国際学力調査で我が国の小中学生が、確か数学と理科だと思いますが、過去最高点を取った、と報道されています。

現に、先生方は、毎日多忙の中、子供たちの理解度を上げたり、授業内容を分かってもらうために、日々いろいろな工夫をしたり、研究をしたりしています。

今回、教育におけるデジタル教科書の活用の方向性について、最終的な取りまとめがなされているところであり、我が国の将来を担う子供たちの学力や生き抜く力の向上を心から期待いたします。

一方で、現場ではICT教育が取り入れているものの、コンテンツが不十分であるという状況があります。最終まとめが取りまとめられることによって、今後さらに、国によってICT教育が推進されるとともに、民間の事業者についても、最終まとめを生かした形で、コンテンツの充実等、ICT教育の更なる充実のためのお力添えを期待しております。

【堀田座長】 ありがとうございます。

新井委員、お願いします。

【新井委員】 最終まとめ案を拝見して、かなり多岐にわたることが盛り込まれてきていると思います。今後、教材教科書等を開発、製作、改訂する段階や、採用、使用、流通等の段階、中期的に使用する段階において、それぞれ検討が必要なことがあると思います。それらについて事務局を中心に整理をして、それらに関する議論ができるように、例えばガイドラインや著作権の問題について、学習指導要領改訂に間に合わせるならば、恐らく来年度あたりには検討する必要があり、同時に、予算等の準備についても必要かと思います。

ですから、次のアクションを早く実行するために、最終まとめを受けて、次にするべきことを整理すると良いと思います。

以上です。

【堀田座長】 ありがとうございました。事務局、お願いします。

【事務局】 ありがとうございます。最終まとめ案に至るまで、これまで10回にわたって議論していただきました。今後、これまでに決まった大きな方向性に沿って、着実に進めていくためには、段階的に周知・普及をしていく必要がありますので、御指摘、御意見も踏まえまして、こちらとしても目に見える形で段取りを考えていきたいと考えます。

【堀田座長】 ありがとうございました。

この検討会議は、デジタル教科書をどのように作るかを決める会議だと、しばしば誤解されるのですけれど、位置付けの検討の会議なので、そこまでは行きません。そのような意味では、教科書に関する現行の様々な制度を鑑みて、デジタル教科書を導入する場合にはどのような課題があり、それらをどのように整理する必要があるか、ということについて検討をしてきており、最終まとめにおいて、様々な課題があるということが記載されることは致し方ないことです。今後は、それらの課題をカテゴライズして、急ぐべきものと、中期的なものを整理して提示できるようにしてはどうかという意見を頂いたと理解しましたので、そのような形で事務局と進めていきたいと思います。

若江委員、お願いします。

【若江委員】 ありがとうございます。最終まとめ案を拝見して、いろいろ不明確だったところがクリアになってきたと思っております。

その中で、デジタル教科書の導入に関することや環境整備等について、教育委員会等の判断に委ねているところが多く見受けられます。したがって、全ての教育委員会において、デジタル教科書やデジタル教材の扱いについての正しい理解が不可欠だと思われます。

そこで、最終まとめにおいては、26ページの最後のところに、教育委員会の正しい理解に向けての早期かつ計画的な情報伝達や研修について、また、教育委員会からの、環境整備等の予算に関わることの首長への啓発等について記載するなど、文部科学省からも情報の発信が必要だと思います。

加えて、2020年の学習指導要領の改訂に向けて、教育委員会の理解度や実情を文部科学省が把握することも必要だと思います。

以上です。

【堀田座長】 教育委員会への啓発の必要性について御意見を頂きました。ありがとうございます。

山内委員、お願いします。

【山内委員】 東京国際大学の山内です。将来のことについて2点お話をさせていただきたいと思います。

一つ目は、ガイドラインの設定についてです。ガイドラインは、デジタル教科書の第一歩ですので、対象別に丁寧に作成する必要があると思います。想定される対象として、教員、管理職、教育委員会、更に保護者、教科書会社が挙げられます。教員を対象としたガイドラインについては、デジタル教科書の活用授業事例集を盛り込んだり、オンライン等で配信されると良いと思います。また、各教育委員会が作ればいいのかもしれませんが、地方議会向けのガイドラインがあると、教育委員会としても助かると思います。さらに、民間事業者の中でも、ICTサポートといった支援業者を対象としたガイドラインがあれば、教育委員会や学校が業者と契約を結ぶときの参考になると考えられます。

二つ目は、最終まとめ案の12ページの動画や音声に関する記載についてです。動画や音声にアクセスするためのURLやQRコードが紙面に掲載されれば、デジタル教科書の音声面と紙の教科書の音声面が近くなると思います。

ただ、一方で、URLやQRコードを紙の教科書に掲載する場合、実際に作成する教科書会社にとって大きな負担になる可能性があります。

また、実際に使う児童生徒にとっても、タッチするだけで音声が出てくるデジタル教科書と、URL等にアクセスした上で、更に再生する音声を選ぶ必要がある紙の教科書では、学習効率に差が生じる可能性があります。

そこで、教科書会社の不安を解消するためにも、教科用図書検定調査審議会等におけるURL、QRコードを紙の教科書に掲載することに関する検討状況について随時共有すると良いと思いました。

以上です。

【堀田座長】 ありがとうございました。これは教科用図書検定調査審議会などとの関係かと思いますが、事務局、何か一言ありますか。お願いします。

【事務局】 今、御指摘の点については、教科用図書検定調査審議会の方で、議論いただいているところです。URLやQRコードを紙に掲載をすることについて、教科用図書検定調査審議会においても、載せること自体は意義があるという意見がある一方で、今英語の音声の話がありましたが、実際、音声等について一定のチェックをする場合、現実的にどの程度できるのかということについても議論されています。

今後のスケジュールとしては、来年の1月頃に論点を整理し、5、6月頃に最終的な報告を取りまとめる予定で審議が進められると考えております。

【堀田座長】 ありがとうございました。

福田委員、お願いします。

【福田(孝)委員】 福田でございます。今、議会向けガイドライン等々の話が出ましたが、実際のところ、デジタル教科書については、県や市、町の議会等でもよく取り上げられます。教育というのは皆さんにとって、身近なもので、それぞれが思いを持っており、テーマにしやすいものです。一方で、その思いが、新しいことに対しては、賛成も反対も両方あるので、国がこのデジタル教科書や教育の情報化に関する、リーフレット等を作成するのは有効であると思っております。その際、課題が山積していることは、分かった上で各自治体も進めておりますので、今後の方向性についても、明記する必要があると思います。

もう一つ、それ以上に私が今感じているのは、年間指導時数が、ゆとり教育のときとは若干趣を異にしていることもありまして、特に小中学校の先生方を見ておりますと、かなり授業時数が切迫していることが見受けられます。その中で、先生方は電子黒板や情報端末を使った授業を行う場合、電子黒板や情報端末に対する子供たちの興味関心が非常に高く、紙の教科書を使用した授業に比べて、進み方が少し遅くなるという不安を持っている先生もいらっしゃるようです。

そこで、国や教科書発行者によって、デジタル教科書の導入に伴って、動画や音声の効果的な使用のための指導案のようなものが作成されれば、現場の先生方の助けになると思います。

以上です。

【堀田座長】 ありがとうございました。

中川委員、お願いします。

【中川委員】 最終まとめ案を拝見させていただき、事務局によって、問題点も非常に分かりやすくなったと思いました。ありがとうございます。

短期的に検討すべき点について一つと、中長期的に検討すべき点として一つ挙げたいと思います。

先ほど来、ガイドラインの作成について、教育委員会や学校向け、それから議会の対応という話がありました。加えて、我々のようなITを提供するベンダー、特にオペレーティングシステム、プラットホームを提供するベンダーに対するガイドラインの作成も必要かと思います。国から教育で使う端末が満たすべき要件について明示されれば、ベンダーが次のオペレーティングシステムを開発する際に、そういった機能を実装していくことを意識でき、ベンダーとしても国の要求に的確に対応できると思います。

具体例として、少し古い話になりますが、JIS2004というフォントの実装を挙げます。これは漢字の文字数をどのように持つかということだったのですけれども、このJIS2004フォントが搭載されるまでは、実は「辻」という字は1点しんにょうでした。広辞苑を見ると2点しんにょうの「辻」です。これはどちらが正しいのかという議論はさておいて、JIS2004のガイドとしては2点しんにょうの「辻」となり、文字数も大幅に漢字で表現できる文字数が増えています。

つまり、教科書における標記について検定が行われ、教科書をデジタル化したときにも同じ表記をする必要がある場合、コンピューターも当然それを実装した形で提供されるべきです。先ほど申し上げた具体例は、少し古いケースですけれども、こういった事例がたくさんあると思います。また、今はフォントの話だけしましたけれど、ネットワークの要件とか、セキュリティの要件等も多くあると思います。まずはコンテンツファーストで教科書が作成され、デジタル化されたときにしっかりと表示されることが求められます。この論点は別の会議だと思うのですけれども、デジタル教科書の導入を進める際には、教育委員会が検討することは不可能ですので、国からITベンダーに対して、ある程度の方向性を示す必要があると思います。以上が1点目の意見であり、これは、今後すぐにやるべき作業だと思っています。

2点目の意見は、将来に関する観点です。11月23日に九州大学でラーニングアナリティクスによるアクティブラーナー育成のフォーラムがあり、参加いたしました。

九州大学は、国立大学として恐らく最初に学習者のPC必携化というのをやり、今では、1年生から4年生まで皆さんPCを持ち、それを用いて学んでいます。また、指導者の教材も含め、全てのコンテンツがデジタル化されています。

実際に、日本最先端の取組を見せていただいたところ、先生は、自身が教えているコンテンツと学習者が見ているコンテンツの両方をリアルタイムで見ながら授業を進めていました。先生は、学習者が理解できているかについて確認し、リアルタイムでフィードバックすることができます。

フォーラムでは、ラーニングアナリティクスによるアクティブラーナー育成についての結果も発表されました。デジタルコンテンツが普及することにより、あらゆる可能性が出てきます。コンテンツ自体が分かりやすくなるということだけではなくて、学習者の学習記録を取り、これを専門家が分析する、ラーニングアナリティクスが、高等教育機関において、大分進んできています。その研究を初等中等教育に流用できるかどうかは議論の必要がありますが、初等中等教育におけるデジタル教科書の普及のメリットをしっかり見いだしていく取組も、今後、1、2年の間にやっておくべきだと考えます。またそれは、最終まとめ案の10ページの、「よりきめ細やかな個別指導」というコメントに対する根拠になると思います。根拠等をしっかり示すことは、理解促進にも資すると思いますので、こういった取組を、今後継続的に行うと良いと思いました。

以上です。

【堀田座長】 ありがとうございました。

私どものこの会議では、ICTの整備までは余り深入りせず、教科書のデジタル化について中心に議論してきたので、最終まとめ案は、そのような形でまとまっています。ただ、実際、デジタル教科書の開発や導入の段階となると、今、中川委員がおっしゃったことは大きな課題になると思います。そこで、デジタル教科書を支える技術的な基盤について、国が具体的にどのような方向性を示すか、ということが次なる課題だと思います。

次に、東原委員、お願いします。

【東原委員】 最終まとめ案の15ページのところからの、「3 .デジタル教科書の導入に伴う関係制度の方向性」の直前に書かれていることに関して1点意見を申し上げます。ここでは、文部科学省や教科書発行者をはじめとした関係者が綿密に連携する必要があるということや、デジタル教科書に関する普及や啓発等によって国民の理解を促進する必要があるということが記載されています。国民の理解促進に関するアイデアなのですが、パブリックコメントの結果や報道関係の記事を拝読しても、なかなかこの会議の趣旨が伝わっていないように感じます。

そこで、最終まとめが取りまとめられた際には、デジタル教科書の位置付けに関する結論について、関係者や国民に、普及・啓発することが大事だと思います。そのためには、具体的な対策や方策を立てる必要があり、また、新井委員がおっしゃったように、どのように製作するかということが大事になってくると思います。

デジタル教科書の普及・啓発とデジタル教科書の製作、これら二つに関係することでの一つのアイデアについて1点申し上げます。かつて、教育の情報化ビジョンによって、指導者用と学習者用のデジタル教科書が定義され、続いて行われた学びのイノベーション事業によって、当時の名前でいうところの学習者用デジタル教科書が実際に製作され、使用されたことによって、その可能性が広く理解された一方で、作り方の難しさ等の様々な課題が明確になりました。

その経験を踏まえると、最終まとめに基づいて、国や教科書会社、発行者が連携できる仕組み作りなど、情報化ビジョンに対する学びのイノベーション事業のように、この位置付けのまとめに対する何かプロジェクトのようなものを具体化し、早めにスタートすることが大切だと思います。

以上です。

【堀田座長】 ありがとうございました。

近藤委員、お願いします。

【近藤委員】 初めに、最終まとめ案において、デジタル教科書が、外国人や不登校、発達障害、その他様々な障害を含め、多様なニーズのある生徒を排除しない教材であるという位置付けについて強調していただいたことに、まず感謝を申し上げます。その点に関しまして、2点ほどアクセシビリティのガイドラインということについての意見を述べさせていただきます。

まず、最終まとめ案の20ページの下から2番目の丸のところに、アクセシビリティを最大限確保するためのガイドラインの策定と標準化について言及していただいております。デジタル教科書のビューアとコンテンツの在り方について、アクセシビリティの確保の具体的な進め方や、デジタル教科書の性質上、副教材であったり、ドリルであったり、ワークブックであったり、それから試験であったりというように、様々なところにデジタル化の影響がありますので、そこを含めたアクセシビリティに関するガイドラインの策定について、早い段階で手を付けることは重要なことだと思います。

もう1点、ガイドラインの作成に当たって、デジタル教材と対となる指導法の在り方という観点を必ず含めていただきたいと思います。というのは、教室がデジタル化されることによって、指導の在り方がデジタル教材に支配されていくことが、今後起こり得ると思います。例えば、なぞり書きをすることが、デジタルコンテンツの中の、ある中心的な単元の指導の一つになっていた場合、参加することが難しい障害のある学生がいた場合に、彼らがこうした教材を使わない別の教室に行きましょうということになってしまうと、結果としてデジタル教科書が排除につながります。今回の最終まとめの中で、デジタル教科書が多様な人を排除しない教材という位置付けがされているにもかかわらず、そうなってしまうと非常に悲しいことです。従いまして、合理的配慮の在り方として、その教材の教育目標に、障害のある児童生徒をどのようにインクルージョンしていくのか、それを支える視点を含めた、教師向けのガイドラインを作っていくことが必要だと思います。

最後に、合理的配慮の在り方の検討においては、質の高い調査研究を通じて客観的なエビデンス、つまり根拠に基づいて、その結果としての具体的な、妥当な在り方の判断ができるように調査研究が行われるべきだと考えます。その点では、例えば学習効果であったり、理解度であったり、若しくは先ほど中川委員がおっしゃったような技術的な背景まで含めて、科学的に妥当かつ適切な根拠に基づいた多面的な検討が行われることを強く希望いたします。

以上です。

【堀田座長】 ありがとうございました。

黒川委員、お願いします。

【黒川委員】 発行者への要望が高まるとともに、かなり苦しい思いも持っております。今回のデジタル教科書、あるいは教科書のデジタル化という問題は、世間的にも話題性がありながら、ICTという新たな方法を活用している事業の形態のためか、制度面や実態面について、一般の方に対して分かりにくく、見えにくいものであったように思っております。しかし、今回の検討会議を経て、かなり明確化され、方向付けられたことは大きな意義があり、成果だと思っております。

さて、そこで様々皆さんから御意見が出ている、作る側の話は今回の議論の対象ではないのですけれども、今後の実現に向けての課題について、大きく3点ほど提示して意見に代えさせていただきたいと思います。

一つ目は、標準化についてです。デジタル教科書は紙の教科書と同様に、極めて多くのユーザーが発生します。そのことを鑑みますと、発行者のみならず関連業界においても企画やデータの連係、ビューア、アクセシビリティの要件定義が必要となります。余り締め付けても要件を満たすものを作れませんので、2020年以降現場に混乱を与えないよう、まずは緩やかな標準化からスタートすることも必要ではないかと思います。

二つ目は、供給についてです。具体的には、どのように注文を先生方から受け、届けて、そして今回有償というフレームになっていますので、下世話な話になりますが、集金、年度ごとの更新といった問題があります。そして、実際に感じているのですが、そのメンテナンスの在り方についても検討する必要があります。これにどう対応するかというのは、教科書発行者の業界だけではできないことでありますので、関連業界が協力する必要があります。

三つ目に、低廉化の実現についてです。最終まとめにおいては、デジタル教科書を無償措置の対象にすることは直ちには困難としているので、低廉化の実現への努力が重要だと思います。ただ、今申し上げた標準化や供給システムの構築と併せまして、今後検討されるだろう著作権の法整備等をクリアせずには、低廉化の実現はかなり難しいと思っております。よって、2020年までどこまでやるかということを、発行者や関連業界で決める必要があると思います。

一方で、そうは言いつつも、教育ですので、次の学習指導要領に記載されているような学びの方向性を見失わないという信念が、ものづくりにおいて必要です。それと同時に、使いやすく、分かりやすく、購入しやすいといった、市場の求めるものを提供する勇気、ここでは勇気と申し上げますが、それも必要かと思います。

最後に、子供たちにより豊かな学びのツールを提供するというのは、作り手の側の夢であり、そのような思いを持って進めていきたいと思っております。

以上です。

【堀田座長】 今、黒川委員のおっしゃったことは、現実的な課題として横たわっていまして、文部科学省においても、いろいろな部署で、いろいろなことが進んでいるわけですけれど、ハードウエアの整備や、ネットワーク、ソフトウエアの購入といった話は、主に生涯学習政策局の情報教育課において検討が進められており、他方、教科書のデジタル化に関することについては、初等中等教育局の教科書課において検討してきました。

今、中川委員や、黒川委員のおっしゃったことは、情報教育課と教科書課が検討してきたことの間にあるような話です。結局、どのようなコンテンツを、どのようなビューアで、どのように見せる、そして、学習のしやすさをどう実現するか、それらについて、いろいろな関係者が早急に検討する必要があると思います。

天笠委員、お願いします。

【天笠座長代理】 最終まとめ案が、全体的にバランスの取れた結論に至っているという感想を持ちました。最終まとめ案に至った背景を、どのように実際に授業を担当している先生や学校に届けるのか、ということが課題であるということについて、私も同様に受け止めております。

そのような観点から3点意見を申し上げたいと思います。

一つ目は、教室における学習あるいは生活の環境を整えることについて、我が国の多くの先生方が長けていて、これは一つの財産だと思います。教室の学習環境を整えるノウハウは、現場が長年掛けて作り上げてきたもので、アナログとデジタルという分け方をするならば、基本的にはアナログでとどめられてきたと言えると思います。教育の情報化とは、アナログでとどめられてきた教室にデジタルという新しい文化が入ることであり、アナログとデジタルが融合する空間が必要です。デジタル教科書の導入は、その一つの呼び水になるのではないか、と考えます。そこで、学級経営に長けた先生に、アナログとデジタルを融合させた新しい学校の教室空間創りに、取り組んでいただける方向性や視点も大切だと思います。

それから二つ目として、現在審議が進められている、学習指導要領の改訂の審議のまとめの中に、授業研究について触れた一節があります。それは、我が国は文化として授業研究があり、それは世界からも注目されている、というものです。よって、デジタル教科書を導入する際は、授業研究という文化にうまく融合させることが大切だと思います。

そのときの伝え方としては、ハードとソフトに分別する必要があると考えます。ハードとは、整備であり、その中で工夫するのがソフトです。その区分の仕方に従って、デジタル教科書を分別すると、デジタルを整備することはハードで、それを工夫するのがソフトだと言えます。このような区分の仕方だと、ハードとソフトが分別しづらく、なかなかその先の授業研究の際に、苦戦する可能性があると推測します。ですから、デジタル教科書を使った授業改善の方策はソフトの世界の中で行われることが大切だと思います。

もちろん、これはハードの整備が欠かせないことは言うまでもありませんが、整備の仕方あたりに、授業研究ということをうまく取り入れて、デジタル教科書を位置付けると良いと思います。なお、その際に、小学校と中学校で授業を行き来するような、あるいは教師の間で授業研究するような、空間や機会等を設ける中で、デジタル教科書を位置付けていくのも一つのアイデアではないかと思います。

最後に、デジタル教科書の導入による指導計画への影響に注目したいと思います。

というのも、教科書に連動した指導計画の存在は、現場の中では大きなウエートを占めています。ただ、指導計画が新たなアイデアを引き出すというよりも、授業を固定化してしまう方向で機能している実態があると思います。そのことについても見つめ直す必要があり、デジタル教科書の位置付けについての提起がそのきっかけになれば良いと思います。

啓発のための資料やパンフレットを作成する場合は、今申し上げた三つの観点で整理していくやり方もあると思います。

以上です。

【堀田座長】 貴重な意見ありがとうございました。

尾上委員、お願いします。

【尾上委員】 本当にうまく取りまとめていただいていると感じています。ただ、保護者の立場から考えますと、まだ課題があると思います。特に、最終まとめ案にも書かれているように、経済格差が教育格差につながったり、教育委員会や自治体ごとに温度差やタイムラグが生じたりする可能性があることは不安材料です。なので、早い段階から、ガイドライン等によって、国民の理解を促進することが大切だと思います。

以上です。

【堀田座長】 ありがとうございました。

井上委員、お願いします。

【井上委員】 最終まとめ案について、保護者の立場から意見を申し上げます。最終まとめ案の中にも様々な課題が挙げられておりますが、デジタル教科書の導入が進む際に、保護者が置いてきぼりにならないような形で進めていただきたいと思っています。

現場の先生方と学校、子供たちが意欲的に取り組める授業を実現するということを念頭に、今後いろいろな課題に着手していくべきであると思います。

【堀田座長】 ありがとうございます。

神山委員、お願いします。

【神山委員】 岐阜特別支援学校の神山です。

学習上の多様な配慮が必要な子供たちへの項目が一つ明記されたことは、非常にうれしく感じております。事務局に、まず感謝申し上げたいと思います。

学びに困難がある子供たちへの配慮を通常学級の中に広めたことで、多くの子供たちの学びが保障され、ユニバーサルデザイン授業というような言葉が広まりつつあります。音声教材等が先行して進んでいるように、デジタル教科書についても、学習者向けのものが先行されれば、製作者にとって学習者への配慮するべき点などが明確になるように推測されるので、学習に困難がある子たちへの使用がよりスムーズにいくと感じていることです。

もう1点意見を申し上げます。今後は、現場の先生と製作者側との密な連携がより必要になってくると思います。しかし、いろいろな便宜が図られた等の理由で、現場にいる者には、管理職から業者とのやりとりは控えるようにという話も出たりしており、現場では連携しづらい雰囲気があります。

ただ、デジタル教科書が導入された場合は、現場の意見を製作者側にフィードバックし、現場の先生と製作者がより連携し、いいものを作っていく、それがカリキュラムにも反映されて、よりよい学びが実現されると思います。なので、現場の先生と製作者が堂々と連携できるような視点をガイドラインに盛り込むことも必要だと感じております。

以上です。

【堀田座長】 貴重な意見をありがとうございました。

それでは、皆さんから御意見を頂くのは、ここまでとさせていただきたいと思います。今後の様々な課題の整理や、ガイドラインの作成等に関する御意見もありましたが、内容について大きな修正を要するものではなかったと理解しておりますので、私と事務局で最終的な取りまとめについて、文言の修正等を御一任いただいてよろしいですか。

 

(「異議なし」の声あり)

 

【堀田座長】 ありがとうございました。では、後は私と事務局に一任していただきます。それでは、最終的な文言の調整につきましては事務局と相談し、皆さんに御報告し、その後、公表という段取りで進めてまいりたいと思います。

今回は最終回ですので、座長としてお話をさせていただきたいと思います。

昨年の5月にスタートしたこの会議は、全10回にわたり開催してまいりました。注目度も非常に高く、平均して100名以上傍聴希望を頂き、また、マスコミ等でも多数取り上げていただき、大変有り難かったと思います。また、この検討会議は委員の出席率が非常に高く、皆さんお忙しい中、無理をして参加いただいたおかげだと理解しております。どうもありがとうございました。

この会議では、現行の制度上、紙しか認められていない教科書について、様々な関係者からの御意見を頂きながら、デジタル教科書も認めていくという方向性で進めてまいりました。学校の先生、もちろん管理職も含めてですけれど、教育委員会と保護者、特別支援関係者、教科書発行者と民間企業、研究者、中央教育審議会や教育の情報化、教科書検定に関わっている方、といった様々な方々に様々な角度から非常に有益な御意見を頂き、おかげさまで何とか最終まとめまで来たと思っております。

また、関係団体や有識者からのヒアリング、視察等も行かせていただきましたし、パブリックコメントでも前向きな御意見を多数頂いたところでございまして、この場を持ってお礼申し上げたいと思います。

一定の方向性を示したと同時に、課題が明確になり、山積しているので、今後とも皆様それぞれのお立場で、教科書のデジタル化、デジタル教科書に関する施策に御協力いただければと思います。

座長としての挨拶は、ここまでとさせていただきますが、毛利委員、せっかくですから、願いいたします。

【毛利委員】 大変遅くなり、申し訳ございません。つくば市の毛利です。

私も最終まとめ案を見せていただき、まだデジタル教科書を導入していない自治体等への配慮も感じられました。

今、堀田座長からもあったとおり、これからが本格的なスタートになると思います。一方で自治体にとってはタブレットの導入以前に無線LANや電子黒板など、学校に導入する必要のある機器が多いので、前もって整備できる手立てを考えていただくとともに、自治体も、必要な整備等についてPRをする必要があると思います。

是非、未来の子供たちに、どの自治体においても整備された環境を享受できると良いと思っております。

ありがとうございます。

【堀田座長】 ありがとうございました。

それでは、本検討会議の設置者側としまして、浅田大臣官房審議官に御挨拶を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

【浅田審議官】 浅田でございます。今日が一応この会議の最終ということですので、事務局としてお礼も兼ねて御挨拶をさせていただきたいと思います。堀田座長、それから天笠座長代理を始め、委員の先生方には本当に毎回審議に御出席、御参加いただきまして、どうもありがとうございました。堀田座長からも御紹介いただいたように、この会議は非常に関心が高くて、今日もそうですけれども、毎回100人以上の方々にお越しいただいているということで、どうもありがとうございます。

どうしてそんなに関心が高いのだろうということを考えると、教科書というのは基本的に全ての子供たちが授業で使い、それだけではなくて、当然授業外、家庭学習などでも使うものであり、子供たちにとって一番身近な、教育を支える教材です。ひいては、一人一人の子供たちの学力を支えるだけでなくて、日本の学校教育全体の水準を担保するという大きな支えになっているものだと思います。

そのように非常に大事な教科書が、教育の情報化という大きな世の中の流れに、どのように対応していくのが望ましいのかということについて、皆様関心をお持ちであるために、本会議についてもこれだけ高い御関心をお寄せいただいたのだと思います。

座長からもお話がありましたが、マスコミでも本当に度々取り上げていただきました。今日の会議でも御意見がありましたが、是非この検討会議での検討の成果が、関心を持っていただいている世の中の多くの方々に正確に伝わるように、そして、御理解いただけるように、マスコミの方々のお力をお借りできればと思っております。

これまで10回の非常に密度の濃い議論をしていただきました。そのような大きな期待、大きな関心に応えるかのように、委員の先生方の会議の出席率は、全体を通しても9割以上というなかなかない高い出席率かと思います。そのように非常に熱心に、かつ中身の濃い議論をしていただき、文言については座長御一任ではありますが、大きな方向性として、これからの教科書のあるべき姿をお示しいただいたと思っています。

そうすると、今度は我々文部科学省として、教科書発行者を含めて、現場の関係の方々と連携を密にしながら、取りまとめいただいた御提言を実行、実現に移していくということが我々の仕事であると思っています。その方向で、我々も努力をいたします。

この会議自体は今日で一段落でございますけれども、先生方には引き続き、またいろいろなところでお力をお借りできればと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

本当にどうもありがとうございました。

【堀田座長】 ありがとうございました。

それでは、この会議、ここで終了とさせていただきます。皆様、どうも今までありがとうございました。


お問合せ先

初等中等教育局教科書課

-- 登録:平成29年01月 --