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「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議(第5回) 議事録

1.日時

平成27年11月11日(水曜日)16時00分~18時00分

2.場所

文部科学省講堂(東館3階)

3.議題

  1. ヒアリング(教科用図書検定調査審議会委員 鈴木祐司氏、東京書籍株式会社ICT事業本部第一営業部長 川瀬徹氏)
  2. 意見交換
  3. その他

4.出席者

委員

堀田座長、天笠座長代理、新井委員、井上委員、尾上委員、金子委員、黒川委員、神山委員、近藤委員、高梨委員、中川委員、福田純子委員、山内委員

文部科学省

伯井大臣官房審議官、磯生涯学習政策局情報教育課長、望月初等中等教育局教科書課長、黄地教科書課教科書企画官、宇高教科書課課長補佐、浅田内閣官房内閣審議官(教育再生実行会議担当室長)

オブザーバー

教科用図書検定調査審議会委員 鈴木祐司氏
東京書籍株式会社ICT事業本部第一営業部長 川瀬徹氏

5.議事録

【堀田座長】 定刻となりましたので、ただいまから「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議の第5回を開催させていただきます。皆様お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、前回に引き続きまして、ヒアリングの後に意見交換を行いたいと思います。今回も報道機関等から写真撮影の希望を頂いておりますので、各ヒアリングの冒頭のみこれを許可したいと思います。
 なお、本日は、東原委員、福田孝義委員、毛利委員、若江委員が所用により御欠席でございます。また、天笠座長代理と福田純子委員が少し遅れていらっしゃいます。
 それでは、議事に入る前に、事務局より資料の確認をお願いいたします。
【事務局】 それでは、配布資料の確認をさせていただきます。議事次第の後ろに、資料1といたしまして、鈴木先生から御提出いただきました、デジタル教科書の意義―検定の立場からの考察―、その後ろに1枚で別紙という資料が付いていると思います。資料2といたしまして、川瀬部長からの提出資料の、「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議への提案。資料3といたしまして、「デジタル教科書」の位置付けに関する検討に当たって、資料4といたしまして、今後のスケジュールの資料を配布しております。
 参考資料1といたしまして、前回、第4回の議事録を添付させていただいております。こちらにつきましては、委員の方々には既に御確認いただいていると思いますので、特段問題がなければ、ホームページに掲載させていただきます。参考資料2といたしまして、関係法律における教科書の位置付けについてという資料、参考資料3として、これは前回、第4回の会議で配布させていただいた資料がそのままでございますが、検討の視点を配布させていただいております。
 そのほか、机上資料といたしまして、第4回までの検討会議の資料をまとめております。こちらにつきましては、会議終了後、回収させていただきたいと思います。
 配布資料は以上でございます。過不足等ございましたら、事務局の方までお申し出ください。
【堀田座長】 ありがとうございました。それでは、早速議事を進めてまいります。議題1、ヒアリングといたしまして、きょうは2件ございますが、最初に、教科用図書検定調査審議会の委員で、法政大学名誉教授でいらっしゃいます鈴木佑司先生にお越しいただいております。「デジタル教科書」と教科書検定との関係につきましては、鈴木先生と同様、教科用図書検定調査審議会委員でもいらっしゃる山内委員から、本検討会議の中で御意見を頂いているところでございますが、鈴木先生は、教科用図書検定調査審議会において、長年、社会科の分野で御活躍されているということでございます。本日は鈴木先生の専門分野の見地からも御意見を頂ければと考えております。
 なお、本日のヒアリングの流れですけれども、これまでと同様、約15分で御説明いただきまして、その後、質疑応答の時間を15分程度とらせていただきたいと思います。お一人に付き30分程度を予定しておりますので、皆様方、御協力をお願いします。
 それでは、鈴木先生、よろしくお願いいたします。
【鈴木名誉教授】 堀田座長、ありがとうございます。また、皆様方に、このような機会を与えていただきましたことを深く感謝いたします。
 最近、デジタルと言うと、ネットでそれぞれの問題について1万通を超えるモデル答案が出回っており、本当に本人が書いた答案かどうかの確認で、実は採点で非常に苦労するという経験がございまして、少し偏見のある意見を申し上げるかもしれませんので、それを最初に申し上げておきたいと思います。
 今日は、検定という日本の教科書が持っている独特のシステム、私の専門は実はアジアをめぐる国際政治なのですが、このような地域における検定制度とはまことに違うシステムについて、これから少し御説明いたしますが、このような経験を踏まえ、皆様方に簡単なレジュメを作ってございます。スクリーンで御説明しようと思ったのですが、画面ばかり見て、誰がしゃべったか分からないということになるかもしれませんので、アナログなやり方で説明させていただきます。
 まず、レジュメを御覧いただくと、教科書が一体どのように位置付けられているのかを記載しています。これは昭和58年からですから、非常に長い伝統がございまして、その一つは、赤字で書きましたように、「教育課程の構成に応じて系統的に組織配列された各教科の主たる教材であり、児童生徒に国民として必要な基礎的・基本的教育内容の履修を保障するもの。」です。これを保障する制度の一つとして、検定という制度が作られておりまして、2ページを見ていただきますと、これまで検定は様々な形で歴史を歩んでまいりましたけれども、最近のトレンドとして、基準の改善、手続の改善、同時に発行者における著作・編集の在り方の改善等が行われています。飽くまでも日本の教科書検定制度は国定教科書制度とは違い、多様な出版社による多様な教科書が多様な知識を必要とする時代にふさわしいという決断で作られておりますので、製作者の改善も常に問題になってまいりました。
 この(1)から(6)までのうち、赤字にしている(2)、(3)、(4)、(5)が検定の役割のポイントです。まず、質と量の両面での格段の充実を図ること。2番目は、ここが私どもにとって非常に重要だと思いますが、多面的・多角的な考察に資する公正・中立でバランスの取れた記述、3番目は、正確性、4番目は、意欲的に児童生徒自身が学習に取り組むための編集上の工夫でございます。
 3ページを見ていただきますと、高校公民科について5つほど特別に配慮をすべき点がございまして、この点が、デジタルにしたときに、一体どのように放送できるかということを考えておりまして、くどいようですけれども、読ませていただきます。
 未確定な時事的事象について断定的に記述したり、特定の事柄を強調し過ぎたりしていたり、一面的な見解を十分な配慮なく取り上げたりするところがないこと。今、世界遺産でこのことが大変問題になっておりますけれども、このような配慮を各国の教科書がしていかないと問題は解決しないわけですが、なかなかそうは行かない方向にございますので、せめてアジアで唯一の先進国であり続ける日本は、この点についてはきちんと判断をすることが必要だと思います。
 2番目、近現代の歴史的事象のうち、通説的な見解がない数字などの事項について記述する場合には、通説的な見解がないことが明示されているとともに、生徒が誤解する恐れのある表現がないこと。政治家が勝手なことを言うということはどこでもあり得ることでございますけれども、教科書には正確な記述をすることがどうしても欠かすことができません。
 3番目、閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解又は最高裁判所の判例が存在する場合には、それらに基づいた記述がなされていること。我々の社会が一体どのような公式的な立場をとっているかは、賛成、反対を越えてきちんと書くべきであり、それぞれの見解は別の形で述べてよいという、いわば多様性が担保される基礎でございます。これは、実は、平成26年1月に新設された新しい基準でございます。
 4番目、これがもう一つ、是非とも考慮いただきたいものです。近隣のアジア諸国との間の近現代史の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がなされていること。これも、非常に大切な、私どもが乗り越えていかなくてはならない、過去との対話の中で忘れてはならないポイントとして、私どもの固有の問題として、検定基準の中に書き込まれております。
 最後が、著述物、資料などを引用する場合には、評価の定まったものや信頼度の高いものを用いており、その扱いが公平である、公正であることであります。これはアナログ的な文書の場合には、かなりの程度捕捉することができ、修正することは可能であります。このような問題について、一体どうするかということを、少し御提案させていただければと存じます。
 4ページを御覧ください。検定実務上の困難についてです。多様なニーズにしかも多様に応えるということを旨とするのが検定制度でございます。その運用に関しては、本来抑制的であるべきだということは、どなたからでも御異議のないところでありましょう。なぜなら、検定制度は、出版物を止めるという行政処分が可能な、つまり、強権力を持っている制度でございますので、できるだけそれは抑制的に使われるべきであるということは、検定をされている全ての先生方に共通の認識かと思います。
 正確、公正、バランスの取れた教科書を子供たちに提供することが私たちの使命です。したがって、基準として定性的なもの、つまり、質的な問題として、欠陥がある場合にはこれを不合格とするという基準が定めてられてございます。もう一つは、定量的な、つまり、検定意見がある数量以上ということを大まかに決めているわけですけれども、定性的な方法、定量的な方法の一方に引っ掛かった場合には、行政処分として合格にしない、場合によって不合格にするということが、積み重ねられてきております。そのことは、かなり正確な読み込みと時間のかかる作業を必要とするということがお分かりになると思います。
 二つ目に、手続は厳格な不偏不党性が求められているだけではなく、申請から採用までほぼ4年という一周期の長期のプロセスでございますので、簡素化や透明化は避けることができません。お手元に、参考資料として教科書検定の手続という表がございます。発行者から申請が来まして、審査という真ん中の部分が、私どもが検定作業をするところでございまして、教科用図書検定調査審議会には、第1部会から第10部会まで、今度、道徳という新しい科目に関する検定が定まりましたので第1部会から第10部会までございますけれども、審査の過程から、検定通知をし、修正をしていただき、それについて再検討して、と検定が進んでまいります。
 義務教育諸学校用の申請図書については、一旦不合格になったものは、その年度内に再提出をし、更に再審査を受けるという権利が担保されておりますので、その点で申し上げると、かなり時間的には大変な作業になります。9月の半ば頃から今頃までに1回目の審査を終わりますけれども、不服があれば反論や意見の申立てをすることができ、再申請をまた一定期間でできるというようになっております。御覧になってすぐお分かりのように、公正で公平な、しかも正確な検討をするということは、時間的には極めて大変な、タイトな問題を残しているということが、ここで是非申し上げておきたいことです。
 では、お呼びいただきましたテーマについて、私が感じたこと、参考になればということを申し上げます。これが、5ページのデジタル化への対応というところでございます。これまでの皆様方の御意見を拝読いたしまして、「デジタル教科書」には、指導者用、学習者用の二種類があることを学びました。そのいずれにしても、検定という観点からすると、現在の教科書に取って代わる新たな教科書とするには多くの問題があると思います。第一に、デジタルとした場合の膨大な情報量を一体どのように扱うかということと、情報は止まっておりませんので、デジタル化により、変化の激しい情報を変化の激しい方法で捕まえるということになるかと存じますが、質と量の両面で、検定が、果たして今のようなやり方で耐えられるのだろうか、実務的に可能であろうかということを少し考えていただきたいという点であります。
 これが見つかるまでの当分の間は、恐らく皆様方のこれまでの御議論を拝読した限りでは、教科書準拠教材という位置付けとされるのではないか存じますが、その場合でも、アナログとデジタルを併用とするならば、アナログ教科書と同程度の検定を必要とするのではないかと考えます。とりわけ双方向性の強い「デジタル教科書」の場合、正確、公正、バランスを常に担保することは、どのようにしたら可能なのかという方法論の開拓が必要ではないだろうかと思います。この問題は、実は指導者用デジタル教科書に限って議論を提出させていただいたわけですが、その中で私が非常になるほどと学んだのは、指導者用デジタル教科書の効果として、分かりやすい授業、高い自由度、準備の効率化というものが挙げられていることです。これは、第2回検討会議において教科書協会が発表された「デジタル教科書の現状と課題」の資料の中に記載がございます。私のような教員の経験がある者からしますと、対面教育による人格的触れ合い、個性の尊重といった教育の特徴に対して、「デジタル教科書」は、やや画一化というものを推し進め、かえって教育の格差を拡充する危険性があると感じており、それを一体どうやって防ぐかを考える必要があると思います。とりわけ学習者用デジタル教科書の基準とは、この格差を生まないような工夫がされてきておりますので、この点で画一化と格差の問題にどのように太刀打ちしたら良いのかという問題を呈しているように思います。
 もう一つ、私のような国際関係の専門家にとってみると、実は次のような問題があるということを是非指摘させていただきたいと思います。社会科の場合、複数の国家にまたがる事象の取扱いには大変な慎重さが必要だということは既に申し上げ、検定基準でも明記されています。デジタル情報というのは簡単に国境を越えてしまいます。相互の理解や協調を損なうことがないようにするという工夫が必要になってくると思います。
 他方、自然科学の分野では、日本の科学技術、とりわけ基礎研究の知見というのは極めて優れておりまして、その普及へのニーズは日本だけではなく、ほかの国々にもかなり広く認識されておりまして、この分野でのデジタル教材には、恐らく爆発的なニーズがあると思います。このことから考えますと、日本の教科書であっても、少なくとも周辺のアジアの国々との間で最低限必要な相互尊重のルールをどこかで形成しておくことが、「デジタル教科書」を採用していくときの大変重要な手掛かりになるのではないかと存じます。
 一つ、大変参考になりましたのは、皆様方の議論の中の、iPhoneを使うに当たって、アメリカのお母さんが子供と18の約束をするという話であり、ものすごくインパクトがございました。理由は、私ども大学の教員から見ていると、デジタル化によって何が起こっているかというと、ディベートができなくなってきています。コミュニケーションはすばらしく上手になり、しかもあっと言う間にウィキペディアで情報を検索することができるのですが、それを表現し、相手を説得するというディベートが不得手になってきている、つまり、対人関係における言葉を失いつつあるということが大変気になります。この点で言うと、アジアだけではなく、ほかの国におけるディベート能力に比べますと、私どもの子供たちのディベート能力は、ある面で言うと危機的状況でございますので、少しインパクトがあることを生かすには一体どうしたら良いかということを考えさせられました。
 そこで、最後のページでございますけれども、デジタル化の可能性を最大限に引き出すことが合意できるところから始めていただけることが望ましいと思います。我々、社会科で日々、ほかの国々と、ある面で言うとどうやったらお互い説得できるかと苦心している立場から言わせると、できるところからやっていただくという一種のインクリメンタリズム、やり方を是非考えていただきたいと思います。
 もう一つ、学習者用デジタル教科書に関しましては、対面教育を前提とする「アナログ」型を保管する「教科書準拠教材」にとどめることが望ましいと思います。教科書は、生徒と生徒が同じ教科書をめぐって対話をする、先生と先生が教科書をめぐって対話をするという、個人の対話というものの大変重要な手掛かりになるわけでございますけれども、これを補完する「教科書準拠教材」ということであれば、そこにとどめるということが大変大切なことではないだろうかと思います。そのような規定をしていただくと、検定に関する合意というものを形成することがより易しくなるのではないかと考えます。
 3番目でございます。先ほど申しましたように、指導者用デジタル教科書に関しましては、教員と教員、教員と生徒、教員と生徒、生徒と生徒の対話を促進し、多様な授業スタイルを可能とする自由度の高い授業を導き、教育格差の是正に資するものが求められると思います。この前半については、既に本検討会議の中での議論の中に度々含まれておりまして、大変強い賛同を覚えますが、格差の問題に関しましては、もう少し突っ込んだ議論をしていただけると有り難いと思います。「アナログ」型を超える質と量の情報を必要とするために、その情報の正確さ、公正さ、バランスというものをどのように検定基準化するか、そして、どのように実務上可能なように作り上げていくかということが恐らくこれから重要なポイントになるのではないかと考えます。
 かなり率直な御意見を申し上げましたけれども、私の方から、検定という面から見たデジタル化の問題点について幾つか指摘をさせていただきました。失礼なことを申し上げたかもしれませんが、御容赦願いたいと存じます。ありがとうございました。
【堀田座長】 ありがとうございました。大変よく分かりました。
 それでは、ただいまの御説明につきまして、委員の皆様方から御意見、御質問等ございましたら、挙手をお願いいたします。
【山内委員】 東京国際大学の山内と申します。大変詳細な御解説、ありがとうございました。私も教科用図書検定調査審議会の委員をしておりますので、先生の御苦労が自分のことのように分かる思いがいたします。特に、資料5ページ目の、「アナログ+デジタル」併用とするなら、アナログ教科書と同程度の検定を必要とするのではないかという点について、非常に賛成でございます。
 また、教育の格差を拡大させてしまうということにつきましては、今、学習者の環境が、全国、北海道から沖縄までそれぞれどのくらいの端末が用意されているのか、どのくらい電子黒板が用意されているのか、どのくらい高速ネットワークが用意されているのか、いろいろと格差がありますので、このような格差を広げてしまってはいけないと思います。そのような点では、「デジタル教科書」というのは、内容を重要なものにある程度絞り込んでいく必要もあるのではないかと思います。
 二つ、質問がございます。一つは、資料7ページに、「アナログ」型を補完する「教科書準拠教材」にとどめることが望ましいとございますけれども、この「教科書準拠教材」については、電子黒板用のプレゼンテーション、教師用の教材が既にございます。反対に、「教科書準拠教材」にとどめた場合のデメリットとしまして、教科書は全国で使われることが義務付けられているものですが、「教科書準拠教材」にとどめてしまいますと、それが徹底されなくなるわけです。今、デジタル化という時代に入っている中で、「教科書準拠教材」にとどめてしまうことによるデメリットは何かないのかということについて、先生がどのように思われているのかというのが一点目です。
 二点目は、私の専門は英語教育ですが、言葉はまず音声から始まって、音声から文字というものが起こされたという経緯があります。そういう点で、英語教育にとって、デジタルで音声を入れていくことは非常に重要だと思うのですが、社会科という教科的な特徴から考えた場合に、デジタル化の必要性ということについて、先生はどのように考えていらっしゃるのか。この2点、教えていただければ有り難いです。
【鈴木名誉教授】 コメントに関しては全く同感でございます。なぜ準拠型教材ということに力点を置かせていただいたかというと、デメリットと申しますのは、韓国の事態、あるいは一部東南アジアのデジタル化に関する試みが及ぼした影響力というのは、家庭の力によって使える補助的なガジェット、道具立ては全然違いますので、貧富の格差が出てしまう危険性があります。その面で言うと、日本のように、比較的平等に機材も電波も使用時間も使用できるということを厳重に守るとしても、やはり使える補助的な能力を持っている人たちが得をしてしまうということに対してどうすれば良いかということは多少思います。
 そのような意味で言うと、アナログ型というのは、いかにも悪平等と言うくらい悪平等に徹していますので、教育の格差が拡大することを防いできた数少ない要因だったと思います。
 デジタルデバイドという、使える人と使えない人の問題で言うと、私どもが今、関心を持っているのは、6人に1人の子供たちが非常に貧しい家庭出身になり、学校に来ることが難しくなっているときに、ますますこの6分の1が遠ざかっていく危険性がございます。その意味で言うと、途上国に対する教育支援と同程度の力を入れなければ、落ちこぼれていくことを防ぐことは非常に難しいと思います。デジタルというものはどこまでも上手な人が上手になり、強い人は強くなりますので、やはり弱い人に対するある程度の補塡をしないと、このデジタルデバイドは明らかに教室で起こってしまう、というのが一点目でございます。
 二点目、「デジタル教科書」が社会科において極めてインパクトを持つ例として、地理や歴史的に関する偏見をなくしていくには、一番正確な写真や事実を動画で出したら、すごく効果があるだろうと思います。今の子供たちはどうしても映像的な世界で知識というものをため込んでいき、これに反応する訓練を学校に来る前からしておりますし、家庭の中でも、静止的、文字的な世界ではなく、動画的な世界で育っております。点より深く、より正確に、より精密にという点で言えば、私たちのところですらそのようなことがあるかと思います。二つ目に、相手の国はどう考えているか、同じ事象についてどう見ているかということを伝えやすくなります。正確に報道しやすくなります。しかし、これは一つ間違えると一方的になり、けんかの理由になりますので、取扱いは極めて慎重であるべきだと思いますけれども、実務上、それをどのように担保したら良いか、私もまだ十分な答えはございませんが、デジタル化には非常に大きなインパクトがあることだけはほぼ間違いないと思っています。
【堀田座長】 ありがとうございました。ほかの委員の方々、いかがでしょうか。
【新井委員】 改めて検定の中身がよく理解できました。本当にありがとうございました。
 私も、この5ページのところにありますように、現在の「デジタル教科書」と言われているものは、デジタル教材であって、今のところ教科書とは位置付けず、紙版とデジタル版が同程度の検定で良いのではないかという考え方を持っております。お聞きしたいのは、検定の範囲の考え方について、デジタル版になると、なぜ動画、音声を見なければならないのかということです。つまり、デジタル版のみに付いている音声、動画も検定の範囲に入れるということになると、逆に考えると、紙版と同程度の教科書という考え方からすると、紙版にも動画、音声がないといけないということになりはしないでしょうか。つまり、デジタル版は、紙版と同等のものであれば、先ほどの先生の御指摘には抵触しなくなるわけですね。それ以上のものを検定の範囲に入れず、教材として捉えれば良いのではないかと考えるのですが、デジタル版のときに動画、音声も検定の対象にしなければならない理由があれば、教えていただきたいと思います。
【鈴木名誉教授】 何人かの友人に聞いてみると、デジタル教材の手始めというのは、ホームページを考えると分かりやすいと思いますが、表面をクリックしていくと次々にいろいろなものが出てきます。動画も含めたすぐれたホームページがたくさんございますけれども、デジタルなものは、その中の補助的な役割を果たすということは間違いないわけです。つまり、ホームページという静止画面をクリックしていくことで、無限に情報を増やしていくのです。
 しかし、それらの動画等は飽くまでもホームページの一つの基準に沿っているということを考えると、クリックで出てきた動画は、その枠組みの中で動いていますので、極めて検定という制度で捉えやすいというのが、多くの人に共通の意見でした。しかし、アナログの教科書と「デジタル教科書」が別個のものだとすると、そのような理屈付けはできなくなるので、全く新しい基準と全く新しい考え方にせざるを得ないと思います。映像の専門家に聞くと、ここでも恐らくお聞きになったと思いますが、デジタルはアナログに比べると、はるかにポイントを絞らないとぼやけてしまい、何のことかよく分からなくなります。したがって、紙の教科書であれば10ページでも、「デジタル教科書」の場合には1点に絞ってやらないと、いろいろなことが教えるのが難しくなります。デジタルはたくさんの情報が出るようでいて、実は大変ポイントを絞らないと意味がなくなる。これはテレビの宿命、映像の宿命だそうですが、映像は、テーマをうんと絞り、ポイントについて限定に次ぐ限定をしないと伝わらないという非常に不思議な特徴があるそうです。
 その意味で、社会科において最もインパクトあるのは一体何だろうかということを考えてみると、映像でなければ伝わらない、音声がなければ十分に伝わらないというものを選択し、使っていくことが望ましいのではないかと考えます。
【新井委員】 ありがとうございます。今御説明いただいたのはデジタル教材の領域の話であって、「デジタル教科書」の範囲から外して考えれば良い話ではないかと思うのですが。
【鈴木名誉教授】 賛成です。
【新井委員】 ですから、デジタル版の教科書は紙版と同等とし、動画や音声は後から附帯させれば良い話ですので、検定範囲から外せば良いのではないかと思うのです。そこをデジタル版だと動画や音声を検定範囲に入れなければならないという何か特別な理由があればですが、そうでなければ問題はないと思うのです。膨大なものを検定することは不可能だと思いますので、そこはいかがでしょうか。
【鈴木名誉教授】 全く賛成でございます。どうやって限定するかが重要になるかと存じます。
【堀田座長】 高梨委員、お願いします。
【高梨委員】 まず一点目、デジタルデバイドですけれども、私ども荒川区では今、全小・中学校にタブレットを導入していますけれども、それはまさに、家庭の経済状況に関わらず、全ての子供たちに公教育において一定のICT活用能力を身に付けさせたいということから始めたものです。今の時代、子供たちが社会に巣立っていく上で、やはり情報活用能力、情報収集能力を一定程度身に付けさせることは、公教育の責務になりつつあるのではないかと思っています。どこまでそれを身に付けさせる必要があるのかというと、様々な議論があるかと思いますが、そういった時代に入っているというのが、私どもの実感でございます。
 あともう一点、「デジタル教科書」なり、デジタル副教材について、荒川区ではもう既に指導者用の教材等を使っているのですが、教科用図書検定調査審議会の委員としては、もしデジタル教材まで検定するとなると大変な状況になるということは重々承知してございますけれども、現場としては、やはり特に初等中等教育においてデジタル情報を児童生徒に活用させるためには、文部科学省等によって、一定この情報だったら子供たちが見ても大丈夫だというお墨付きがあると、教員も大変活用しやすいと思います。グーグル等で検索すると様々な情報が出てきてしまい、それを自由に子供たちに検索させて、自分の意見として発表させたら大変ですので、一定の範囲で検索・活用させるなど、デジタル教材がきちんとした形で出てくれば、教員も保護者も安心してデジタルを学校現場で活用できると思っています。
【堀田座長】 御意見ありますでしょうか。お願いします。
【鈴木名誉教授】 二点目に関しましては全く賛成でございます。検定は、元々誰もが安心して使える材料を提供するというものであったと思いますので、デジタルであれ、アナログであれ、検定は、先生方にとっても、生徒にとっても、お父さん、お母さんにとっても、許容範囲を知るという点ではとても大切なのです。
 一点目に関しては、私のような途上国を研究した人間から言わせますと、デジタルは、本来、貧富の格差を克服するために、誰もが使えるツール、平等化のツールとして、これほどすばらしいものはないというはずであったわけです。しかし、現実には、これほどのツールが逆の効果を生み出すということも事実であり、それは一体どこからどのように始まるかについて、確定的な意見はまだありません。その点、先生のおっしゃったように、全ての子供がタブレットを、そして、平等な形で情報を享受することができる仕組みを作っていくことは避けることができず、とても大切だと思います。しかし、それをどうやって使い、どういう格好で、違った意見であっても、違うということに同意できるような精神構造を作るかという点で言うと、教育の果たす役目は極めて大きいので、最低限の「デジタル教科書」に関するルールというものは作らざるを得ず、検定はある程度せざるを得ないのではないだろうかということを申し上げたかっただけです。先生のおっしゃったことは正しいと思いますし、必ずその時代は来ると存じます。
【堀田座長】 ありがとうございました。補足すると、今、高梨委員がおっしゃったように、教科書の検定範囲に入れるかどうかはともかく、安心して使えるようなデジタルの教材がまず欲しいという話ですが、それを国がある程度責任を持って用意し、発信するというのは、昔は教育情報ナショナルセンターという組織がやっていたのですが、ネットにいっぱい教材はあるから、廃止したらいいということになりました。その結果、良いものも、そうでないものも、それが情報社会だという言われ方で一緒になったという経緯があります。もし本当に、デジタル教材の部分もある程度お墨付きを、ということであれば、「デジタル教科書」の周辺の教材について、質の保証を真剣に考えていかなければならないと思います。
 では、最後にさせてもらいます。黒川委員、お願いします。
【黒川委員】 6ページの「グローバル時代の問題」のところで、ここは鈴木先生のイメージだけでもお伝えいただければと思うのですが、例えば教科書がデジタル化されて、誰でも世界中から見ることができるようになったとします。そのときに、見ることによって理解が深まっていく一方で、周辺のアジアの国々との最低限必要な相互尊重のルール形成は大変重要なことだと思うのですが、どのようなイメージなのかを教えていただけたらと思います。
【鈴木名誉教授】 ヨーロッパにおいて、歴史問題に関して、国境を越えた共通の教材を作るという取組がドイツとポーランドで始まりました。しかし、共通の教科書は一度も成功しておりません。
 他方、日本と中国と韓国は、教科書を一緒に作るということについては、一度も成功しておりませんけれども、世界でも例がないぐらい、良い共通の教材がたくさん作られております。既に、最低限お互いの意見が違うということを分かり合うような補助教材があるということを考えますと、デジタルの世界でも恐らくそのようなルールというものは可能だと思います。
 現在は、教材を作るルールは政府ではなく民間ベースで作成されておりますし、かなり質の高いものになっているということは共通の認識です。これをそれぞれの国々が認知する、しないというのは、なかなか難しい問題があろうかと思いますので、できるところからこのような共通の認識をルール化するという努力を、国にもしていただけると有り難いと思います。既に成功しつつある一つの例は、ASEANという10か国でして、共通の理解のための教材を作ろうという動きがございます。そういう意味で言うと、相互尊重のルールは不可能ではないと思いますし、事実、民間ベースでそのようなことが既に蓄積されてきているという点では、私たちの地域は決して遅れているわけではなく、ひょっとするとヨーロッパよりも進んでいるかもしれないと存じます。
【堀田座長】 ありがとうございました。それでは、大変恐縮ですが、お時間の関係がありますので、ここまでとさせていただきます。ありがとうございました。
 続きまして、東京書籍株式会社から川瀬徹ICT事業本部第一営業部長にお越しいただいております。川瀬部長は、黒川委員と同様、教科書発行者における「デジタル教科書」の第一人者として、これまでも「デジタル教科書」の企画、営業等に関わっていらっしゃいます。本日は、これまでの検討会議において余り議論が行われてこなかった著作権法制の課題も含めまして、「デジタル教科書」のあるべき姿について御提案いただけると聞いております。
 よろしくお願いいたします。
【川瀬部長】 東京書籍の川瀬と申します。私は、今、座長からお話がありましたように、「デジタル教科書」を作る立場から御提案していきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 最初に、「デジタル教科書」の現状ですが、先ほどから話がありますように、現在使われているのは指導者用デジタル教科書です。これは紙の教科書に演示用にいろいろなコンテンツ、我々はリッチコンテンツと呼んでいるものを登載しており、非常に製作費がかかるものになっております。指導者用デジタル教科書の製作費を押し上げている原因として、著作権使用料が非常に大きなものになっています。特に社会科などは、実は半分以上が著作権の使用料というのが現状です。
 現行の教科書の定価は、小学校の11教科1冊当たりの平均が393円であり、物価の優等生ではないか思っております。中学校の方でも平均540円という価格で、全児童生徒に供給されています。この価格で今の指導者用デジタル教科書を供給することは非常に難しいというのが現状です。
 それから、先ほどお話がありましたように、教科書は使用義務が課されておりますが、リッチコンテンツの内容を全て学習することは難しいと思っております。
 今の紙の教科書、「デジタル教科書」の状況に鑑みれば、ここで話し合っているデジタル版教科書というのは、もう少し別の作り方をしなければならないのではないかと思っています。個人的には、ベーシックコンテンツと言われている必要最小限のものを用意して供給するというのが良いのではないかと思っております。
 また、デジタル版教科書を現行の教科書と同じようにするには、今の使用義務と価格だけではなく、検定の問題もあり、著作権の問題もあります。そして、デジタル版教科書ができたところで、タブレットがなければ使えませんし、もっと使いやすいものにするにはやはり無線LANの環境を整えなければならず、この辺のところも課題としてあると思います。
 検定の話は、鈴木先生のお話と重なってしまいますが、やはり紙とデジタルとなれば2倍以上の労力は掛かります。リッチコンテンツにしてしまえば数倍の労力が掛かることは間違いありません。
 それから、デジタル版教科書を作る立場にしてみますと、検定で季節感のある動画に意見が付けられた場合、1年に1度しか直す機会がないので、修正しろと言われても期日内に出すことは不可能に近いと思っております。
 以上のことから、検定に関しては、デジタル版教科書は少なくとも当面の間、紙の教科書を前提としたものとして、検定の内容は、紙の教科書に掲載されている内容だけで対応するのが現実的ではないかと思っております。
 次に、著作権についてです。著作権については、著作権法第33条第2項の規定により、本来は、「著作物を教科用図書に掲載する者は、その旨を著作者に通知する」だけで結構なのですが、一々許諾を取っているのが現状です。
 それから、著作物を教科書に掲載する場合には掲載補償金を支払うこととなっており、この掲載補償金は非常にリーズナブルな価格ですので、我々としては助かっています。しかし、「デジタル教科書」は教材ですから、作るときは許諾を取っています。また、許諾を求めるに当たって、教材なのだから、このくらいの額は支払ってほしいという要請も出てきますし、場合によっては、デジタルというものはコピーしても全然劣化しませんので、載せてほしくないとお断りされることもあります。掲載不可の場合は、著作権のほかにも肖像権、所有権、営業権益といった問題が出てきます。その辺のところもクリアしていかなければならないと思います。
 以上のような現状ですが、教科書と同等の内容を保障するにも、教科書会社としては、デジタル版教科書についても、権利制限を紙の教科書と同じような扱いにしていただきたいと思っております。
 もう一つ、デジタル版教科書について、新しく想定されることとして、インターネットでの配信が出てくると思いますので、公衆送信についても法改正していただきたいと思っております。
 また、掲載補償金は、教科書の価格が一定であることを前提に、掲載する著作物の種類、発行部数、小・中・高の学校段階に応じて金額が定められていますが、デジタル版教科書も、教科書会社の区別なく価格の統一化を図る必要があるのかという課題もあります。
 それから、発行部数に合わせて決まってくるとは思いますが、公衆送信を行ったときに、発行部数を紙の教科書と同じように数えていいのかについても検討の必要があります。
 さらに、掲載補償金は、毎年、教科書定価の変動に伴い変動しますが、デジタル版教科書も同様の扱いとして良いのかといったところが課題として出てくると思っております。
 以上のことから、我々としますと、やはりデジタル版教科書はベーシックなコンテンツで作り、そこに連携するデジタル教材を、我々教科書発行者、教材会社、教育委員会、学校、先生などが、別途、連携できるものを用意するという形式が良いのではないかと思っております。
 デジタル版教科書の作り方に関しては、学びのイノベーション事業で体験しております、短冊型と言われるコンテンツ単位で提供するものもありますが、教科書使用義務の方から考えると、やはり紙面が入っているEPUB3という形態で供給するのが良いのではないかと思っております。
 EPUB3のイメージがつかない方がいらっしゃるかと思いますので、少しお話ししておきたいと思いますが、国語で実践したいと思います。ちなみに、EPUB3は日本が提唱し、今、国際標準になっております。横書きが多いヨーロッパに対し、縦書きが必要な日本では、このように作ってほしいと要請しているところです。これは、小学校2年生の「かさこじぞう」というものを出したところです。
 今、「かさこじぞう」を出したのですが、教科書そのままを出すことができるようになっています。本文は、私の手で小さくしたり、大きくしたりすることができるのですが、拡大した際、子供たちが自分で見やすいところに持っていったときに自動改行できるようにしてあります。リフロー表現という形式にしてあるのですが、こうすることによって、横にスクロールするだけですぐ見ることができるようになっています。
 それから、読み上げ機能というものも入っています。
( 音声再生 )
【川瀬部長】 音声のナレーションデータがあれば、それを読み込むことができますので、国語のナレーションデータだけではなく、英語のナレーションのデータがあれば、そのまま聞くことができるようになると思っております。
 また、今、フォントは明朝体で書いてありますが、「言う」という字は、明朝体でもゴシック体でも全部横棒になってしまいます。しかし、教科書体を入れると点になってくれます。この辺のところが学校の先生方からよく言われるところです。さらに、糸偏は明朝ですと画数が違ってきてしまうと言われることもあります。
 さらに、行間も広げることができますので、同じ行を読まなくて済みます。
加えて、背景の色と文字の色をいろいろと変えることができるようにしてあります。これは文京区の特別支援学校のホームページを見せていただいたのですが、この10種類が用意されていると、ほとんどの学校でほとんどの視覚障害のある子供たちが何らかの色で見ることができると言われております。
 また、読み上げ速度も速めることができるようにしてあります。視覚障害のあるお子さんは、聴覚が非常に発達していますので、速くしてほしいということを言われます。そのようなことができるようになっています。
( 音声再生 )
 ちなみに、今、緑の背景色に黒の文字色で終了させますが、一旦設定したものは、ほかの教科に行っても、先ほどの設定がそのまま記憶されています。
( 音声再生 )
【川瀬部長】 お分かりだと思いますが、数学や社会には朗読のデータはありませんので、合成音声を入れています。ちょっとイントネーションがおかしく聞こえるかもしれませんが、御容赦いただいて、全く視覚がないお子さんにとっては、この音声で全部確認することができるようにしてあります。ちなみに、現在、数学の3年生の数式を読ませています。
( 音声再生 )
【川瀬部長】 
今聞いていただいてお分かりいただいたかと思いますが、3分の2とすーっと読んだところがある一方、長い式の場合は、分数式を分けて読んでおり、子供たちが認識できるような読み方をしています。
 それから、PDFのデータで先生方のプリントを貼り付けることができるようになっています。加えて、プリントを拡大して書き込み、元の大きさに戻すという使い方もできるようになっております。ビューアは無料で供給できると思っていますので、今後、学校で使っていただければと思っております。
 以上のことから、我々として一番言いたいのは、拡大教科書と同じように、デジタル版教科書を紙の教科書の別媒体として位置付け、紙の教科書との併用が現実的な対応ではないかということです。英語に関しても、先ほどのような音声について配慮ができておりますし、また、ユニバーサルデザインという配慮もできています。
 もう一つ、文部科学省が別途進めておりますデジタル教材等の標準化も、今、EPUB3で進めていると言って聞いていますので、こちらとの整合性もとれるかと思っております。先生方が作ったものを使うこともできます。もう一つ、我々にとって非常に助かるのが、多くの教科書会社が紙の教科書を製作する際に使っているDTPの編集ソフトのデータを流し込むことによって、比較的簡単にデジタル版教科書をEPUB3で作ることができるという利点があります。
 また、今、アクティブ・ラーニングを文部科学省が提唱していらっしゃいますけれども、音声、動画、アニメーションなど非常に多くのものを使うことができます。
 それから、鈴木先生の話の中に、焦点化するという言葉がありました。拡大して焦点化するということが一つ一つのコンテンツでできるようになります。今の「デジタル教科書」以外にもノートや問題集、辞書などを入れることができますし、それから、授業の中で子供の思考の流れを把握し、思考の見える化ができます。この子は何を考えているか、先生がそのタブレットをのぞけば大体が分かり、発表の順番をどうしようか先生が授業中に考えることができるようになります。英語においても、紙の教科書では、4技能のうち、「聞く」、「話す」の学習ができなかったのが、デジタル版教科書ではできるようになると思います。
 ただし、全学年・全教科で用意する必要があるのかどうか、その辺は議論していただければと思いますし、また、デジタル版教科書への過渡期として、いろいろなものを補充しながら、格差が生まれないように配慮していただくことが必要になってくるのではないかと思っております。
 以上でございます。ありがとうございました。
【堀田座長】 ありがとうございました。それでは、今の川瀬部長の御説明につきまして、御意見、御質問等ございましたら、挙手をお願いいたします。
 では、山内委員、新井委員の順番で行きます。
【山内委員】 資料の3ページに、「「デジタル版教科書」はベーシックコンテンツで作り、連携するデジタル教材を教科書会社・教材会社・教育委員会・教員等が別途用意する形式を提案する」とございます。この場合のベーシックコンテンツと、それから、連携するデジタル教材、この境目について、今の川瀬部長のプレゼンテーションからしますと、恐らくベーシックコンテンツに含まれるものは、文字情報、それから、文字に対応した音声情報というところではないかと思います。そのほかに、この「デジタル教科書」が持っている可能性としては、視覚的な写真、静止画、動画であるとか、それから、情報の更新などがあるかと思います。情報の更新は、教員が新たなコンテンツを入れることができるというところにあると思われます。ベーシックコンテンツ、教科書会社や教材会社や教員などが提供していく連携するデジタル教材とを考えた場合、そのボーダーラインはどの辺に考えていらっしゃるのか、教えていただけますでしょうか。
【川瀬部長】 ありがとうございます。今、山内委員がおっしゃったように、ベーシックコンテンツは、私が考えているところは、文字と音声までです。実際に見ていただいたEPUB3の内容で良いのではないかと思っています。ただ、文字の背景色や文字の大きさについては、来年4月、障害者差別解消法が施行されるといったことを考えると、いろいろな子供たちが全部使えるようにすべきだと思います。しかし、特別支援の子供が使いやすいということは、健常の子供たちにも使いやすいと思いますので、そのように用意したいと思っています。ですから、連携するデジタル教材というのは、先ほどのリッチコンテンツの中に含まれている動画やアニメーション、シミュレーション、場合によってはリンク先も含んで良いのではないかと思っております。
【堀田座長】 確認ですが、静止画はどちらですか。
【川瀬部長】 最初のところで教科書紙面が出てきていましたから、その静止画を使っていただければ良いのではないかとは思うのですが、その挿絵や写真も、EPUBの段階では拡大ができますので、ベーシックの方に入れていただいて良いのではないかと思っています。
【山内委員】 ベーシックコンテンツを文字プラス音声、それから教科書に含まれている静止画に限定するとします。先ほど、「デジタル教科書」の製作には多大な費用がかかるというお話がありました。先ほど、現行の教科書の定価は、小学校では1冊当たり393円、中学校では540円というお話がありましたけれども、EPUB3を提供する場合はどうでしょうか。実際に予算を組む場合に、紙版と大きな差が生じないような日本津々浦々の地方公共団体の教育委員会で購入できるような価格に設定可能なものでしょうか。
【川瀬部長】 はい。紙の教科書の紙面を入れている段階で既に静止画が入っていますので、その辺のところは紙と全く同じで良いと思います。ただ、問題はやはりプラスアルファの音声をどこまで提供できるかということかと思います。多くの教科書会社は、それを指導書の方に付けていますが、指導書の中に入れたものを、例えば1学年100人いたらその100人の子供たちに振ったらどうなのか、その辺のところは計算してみなければと思うのですけれども、余り大きな金額なくしてできるのかという思いはあります。
【山内委員】 ありがとうございました。
【堀田座長】 補償金の問題は大丈夫ですか。紙に載せているけれども、デジタルで同じものをといったときの補償金の問題は新たに発生する可能性はありますね。そこは課題ですね。
【川瀬部長】 はい。そうですね。
【堀田座長】 では、新井委員、お願いします。
【新井委員】 具体的にいろいろな問題が出されて、とても分かりやすかったと思います。私は、著作権の問題で意見が一つと質問が一つ、それから、EPUBで先ほどに関連しますけれども、質問が一つです。
 著作権の問題は非常に大きな問題だと思っていまして、デジタルの場合、補助金の問題はアナログ、紙版でも出てくる話ですが、結局、つまずくのは、公衆送信のところが結構大きいと思います。そこはネックになるので、この検討会議でどこまで触れるかというのは少し議論をしておく必要があるのではないかというのが意見です。
 それから、著作権の特例は教科書に限定されていますが、教科書は主たる教材ですので、教材全般に適用した方が良いのではないかと思うのですが、そうしなければ、教科書と教材で違うコンテンツで学習しなければならないことになっていく可能性もあるわけです。デジタル版の拡張性を考えたときに、デジタル版の拡張性が担保されなくなる可能性があるので、いろいろハードルはあるでしょうが、できれば教材まで拡大した方が良いのではないかと思いますが、その辺はどうお考えかというのが質問の一つです。
 それから、EPUBについて、先ほどの質問に少し関連するのですが、検定を考えた場合に、EPUBによって生成された機能も検定の対象に含むということでよろしいでしょうか。
【川瀬部長】 本当に個人的な見解ですけれども、まず、公衆送信についてはこの検討会議でどうするか考えていただければと思いますが、それから、プラスアルファの教材のところまで広げていただければ、学校、教育委員会は楽になると思います。購入費用がかなり抑えられるとは思いますが、では、その学校でどこまで入れるのかというのは、上から決めてしまうのが良いのか悪いのか。それで、そうでなければ、決められたここの教材までは大きな意味での教科書の中に含めますという範囲を誰が引くのかなど、いろいろと課題が出てくるのではないかと思っています。ですから、私の中では、プラスアルファの範囲は自治体によって違いますので、今のところは教材でいいのかではないかという思いはあります。逆に、その方が、自由度が高いがあるのではないでしょうか。
【新井委員】  著作権の特例を広げた方が良いのではないかということについてはどうですか。
【川瀬部長】 特例ですか。少し考えさせてください。
【堀田座長】 公衆送信についても、特例についても、こういうことをやりたいが、こういうことが壁になっているので、ここがこういうふうに変わると、こういうことがうまくいく、というところまでが私たちの仕事だと思うので、公衆送信の対象外にする必要はないと思いますが、ここでそう言ったから公衆送信に関する法律が変わるわけでもないですが、提言としては、良い学習環境のために提言していきたいと思っています。
 天笠委員、お願いします。
【天笠座長代理】 資料3ページの下から二つ目のぽつに、「全教科・全学年にわたって「デジタル版教科書」が必要かどうかを検討する必要がある」とありますが、私は大変大切な提起をされているのではないかと思いまして、このことについて、もう少しお考えがありましたら、補足をお願いできればと思います。それに当たって、ここにたまたま生活科が出ているのですが、生活科の発足の時点を少し知る立場からすると、この時点では、生活科には教科書は要らないという議論もかなり有力にありました。しかし、生活科というものを定着させる上で、やはり教科書の存在は欠くことができないという判断の上でこれを作り出したという経緯があるわけですけれども、これがデジタルという世界になったときに、また新たなそのような課題が提起されるということは十分に考えられるわけです。改めて、教科一つ一つについて丁寧に吟味していく必要があるのではないかと考えています。
それから、機材の操作性について、小学校の低学年から中高生までという段階、デジタルに触れる発達段階等々ということを踏まえたときに、御指摘のように、どのような考え方で学年を選択すれば良いかということも、検討しなければいけないテーマの一つになるのではないかと思います。そのようなことを含めて、ここは大変大切な御指摘をされたと受け止めさせていただいたのですが、もし更にこれに加えることがありましたら、よろしくお願いいたします。
【堀田座長】 お願いいたします。
【川瀬部長】 生活科については全く同感でございまして、やはり、教科や校種によっていろいろと考えなければいけないと思っております。
 それから、以前、例えばドラッグ、押したまま横に動かすことが何年生からできるのかということを調べたことがあります。小学校1年生、2年生にそれをさせると、マウスの後ろ半分を持てません。昔でしたから、パッドがあったのですが、パッドから外れたら、机から外れたらどうするのと聞いてきます。持ち上げて、もう1回やるのだと言った瞬間に手が離れてしまっています。ですから、我々が商品を作るときに、1、2年生にはドラッグはさせません。3年生からは身体的に大丈夫だということでドラッグをさせますが、そのような細かな配慮は経験則で持っています。その辺のところも、子供の成長に合わせて対応していかなければならないと思っております。
 以上です。
【堀田座長】 ありがとうございました。それでは、中川委員、近藤委員、黒川委員で終わりにします。
【中川委員】 一つ質問と、一つコメントで。質問は資料1ページに、検定について、検定の労力が2倍以上になると書かれていますが、これは、デジタルで全く別のものを作った場合という想定でおっしゃっているという理解で正しいでしょうか。ベーシック版を作った場合には、ベーシック版が紙相当であれば、同じもの、先ほどの説明だとDTPに出すソフトはあって、そのままEPUB3もパブリッシュできるということなので、ソースが一つだとすると、紙の方が通ってしまえば、同じものを作ったデジタルについては、内容的には同じなので検定しなくて良く、かつ、そこに動画と音声が入れば、その分だけプラスアルファで検定をすべきだというお考えであるということで、私の理解は合っていますでしょうかというのが一つです。
【川瀬部長】 はい。そのとおりで結構でございます。別に作るというのは、動画などは元々紙の教科書にはありませんから、それを一つ一つ見るというのは大変なことでして、動画を撮影していたら、たまたま後ろの黒板に非常に不適切な文字が残っていて、そこのところを撮り直した経験があります。事細かに見ていかないと、それから、言葉の使い方を見ていかないと、そのようなものもありますので、動画を検定すると大変な労力が必要ではないかと思っています。
 また、DTPについては、本当に紙の教科書をそのまま流し込んだとすれば、今、拡大教科書もそうですけれども、紙のものをそのまま拡大します。また、場合によっては教科書の構成を変えて4冊にすることもあり、それは例外的に認められていますので、それと同じ感覚で認めていただければという思いでございます。
【中川委員】 ありがとうございます。一つコメントで、音声に関することです。音声をシュートして入れるというやり方が一つありますが、もう一つ、ここ数年の音声認識と合成音声の技術力がとても上がっており、弊社も、例えばマイクロソフトですと、ウィンドウズにCortanaというものが音声で入りますけれども、方言も取り入れようということで、山内先生が前回おっしゃったオーストラリア英語やイギリス英語も、各国のCortanaが各国のなまりで話すのです。Cortanaというのは合成音声ですが、このことを考えると、コンピューターの方にやらせてしまうというのも一つの手ではないかと思います。どうしてもオリジナリティーが求められるものだけ音声ファイルをアタッチさせ、そうでない場合はコンピューターに読ませるというのも一つの手なのかもしれません。これは、一、二年の間に十分使える技術になってきていますので、一つ、コメントさせていただきます。
【堀田座長】 ありがとうございました。近藤委員、お願いします。
【近藤委員】 私からも、中川委員からお話があったことと関連して、読み上げのことです。私は、特別支援で様々な多様な障害のある子供たちの支援をしているのでいつも思うのですが、例えば今、全ての教科において読み上げできるように、現実的に、果たしてあらかじめ録音した音声を付加することができるのかどうか。それとも、今、中川委員から御提案があったように、音声読み上げ機能を効果的に組み合わせながら、読み上げ機能との親和性を上げたような取組で対応するという道になるのか。今回、実際に前もって録音された音声を入れられた理由、その現実的な理由を聞きたいです。というのは、例えば漢文であったり、数式であったりというのは、実際かなり読み上げにルールの設定が必要だと思うのですが、その対応がかなり難しいと考えられるからです。
 例えば先ほど分数式の読み上げの仕方として、「まず分子は~です」、「分母は~です」という読み上げ方をしたのですが、この数式等での読み上げのルールというものは、現在あってないようなもので、特に標準化されたものはありません。しかし、教科書に読み上げ機能が搭載されていくということを考えると、定式化やルール化が必要になってくるのではないかと思うのですが、そのような取組を既になさっているのかどうかというところです。
 あと、例えば、視覚障害のある生徒には、「デジタル教科書」のソフトウェアを使う際には、スクリーンリーダーという音声読み上げのソフトウェアを組み合わせて使用することが必要になると思います。また先ほどの多様なインターフェース上の機能というのは、実際には肢体不自由のある生徒の場合はかなり利用上が難しい。現場では、現実的には、我々はEPUB3のデータを作り、子供たちに配信して、様々な子供に合った学習環境をツールとして自分で選んで使ってもらうというやり方をしています。先ほどデジタル教材等の標準化の動きの中でEPUB3が採用されるというお話をされましたが、EPUB3そのものを販売したり、配信したりということは、教科書会社として可能な範囲にあるのでしょうか。
【川瀬部長】 まず、読み上げのことですが、英語や国語は、音声データがありましたので、全部流し込んでそのまま読めるようになっています。
 それから、合成音声についてですが、やはり人間の手で最後、修正しなければならないところが幾つかあります。例えば、「もうどうけん(盲導犬)」の表記は小学生の中学年では「もうどう」まで平仮名で、「犬」だけ漢字になっているのですが、「もうどういぬ」と読んでしまいます。それを一々「もうどうけん」に手作業で直すことが必要になります。
 それから、数式も実は初の試みだったので、おっしゃるようにルールがありません。我々の方でいろいろな先生方と話をして、どの読み方が一番分かりやすいのか、標準的なのかということで、あのような読み方で一つ提示しただけですので、近藤委員から、ルールはこのようにしたら良いと示していただければ、それに従って作りたいと思います。我々もその方がはるかに楽だと思っています。
EPUB3に関しては、特別支援では昔からDAISYを使っていらっしゃったと思いますが、それをどのようにバージョンアップするかといったときに、HTML5、プラスDAISYにするとほぼEPUB3になっていくという形で、我々の方は提供しています。
【堀田座長】 ありがとうございました。では、最後、黒川委員、お願いします。
【黒川委員】 ありがとうございました。一つ意見と、一つ質問です。
意見としては、資料3ページの4の最後の項目にURLなどに関する記載があり、この会議でも教科書にURLを載せることの問題性が議論になったかと思います。これは、紙とデジタルの格差の是正のために提案されているわけですが、URLとか、QRコードとか、教科書に記載する必要のある内容をどのように考えていくのかは、やはり簡単には済まない問題ではないかと思います。
 もちろんARなどは、画像を読み込むためのソフトがあれば、教科書紙面上の記載は必要ないと思いますが、反対に、ここはちょっと格差是正にはつながりにくいのではないかと思います。そもそも、コンテンツを見るためにタブレット端末やスマートフォンが必要ですので、そうした面から少し矛盾してしまうのではないでしょうか。これは意見として申し上げます。
 それから、一番お伺いしたいのは、資料3ページの4の9番目に関わるところです。「アクティブ・ラーニングを定着させるためには、「デジタル版教科書」とそれにリンクした教材群は有効」と書いておられて、これは私もそのとおりだと思うのですが、具体的にどのようにできるのか、その一端でも示していただければと思います。このことは、実現性について、特に音声、動画に関して何度も議論しております。また、ノートや問題集、辞書機能のリンクに関しても、第2回検討会議の教科書協会のプレゼンでも提案していますが、これらを具体的につなげるにはどうしたら良いかというのは今後の大きな課題であり、ヒントを頂けたら有り難いと思います。
【川瀬部長】 御意見については、URLなどはやはり気を付けなければならないことがあると思っています。その昔、イタリア大使館のアドレスが変えられて、古いアドレスに不適切な映像が出るようになっていたことがあり、イタリア大使館で調べ学習すると大騒ぎになったという嫌な思いがあります。そういうようなことがあるので、いつ変わるか分からないというところは、非常におっかないところだと思います。
 それから、リンクしたコンテンツ群をどうするかということですが、これはいろいろなやり方があると思います。先ほどのパワーポイントのようにぽんと飛ぶというのもあると思いますが、ここにこういう教材をぶら下げることができるというフックを、我々の方が掛ける場所をいろいろ用意しておき、そこに向かって教材群を幾らでも掛けて良い、という方法もあると思います。そのようなベーシックな「デジタル教科書」のここに教材が付けられるというリストのようなものを、教材会社、学校、教育委員会に提供し、そこを見ながら、先生方がここに付けてみようと。そのような関連性の付け方があるのではないかと思っています。 
【堀田座長】 川瀬部長、どうもありがとうございました。
それでは、2名の方々から頂いた御意見も踏まえながら、次の議論に進みますが、これから、資料3と参考資料3をまずちょっと御覧いただきたいと思います。先ほど事務局から御説明があったように、参考資料3というのは前回のものと同じで、これは皆さんの御意見をいろいろずっと付け足していって、だんだんと視点がはっきりしてきています。今日も質疑応答で時間が押してくるので、余り時間がないわけですけれども、どこからやるべきかを考えたときに、この検討会議の一番のミッションは、「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議ですから、「位置付け」です。「デジタル教科書」というのはどういうもので、教科書としてどのように位置付けるのか、そのためにどのように検定をするのかといった話だと思います。ですから、資料3として「デジタル教科書」の位置付けに関する検討に当たって、と題して、まず、この辺を急がなければならない、最初のところをここから議論したい、ということを座長の私から提案する文書を作ってきております。
 「教科書」という言葉は皆知っているわけですけれども、法制度上は多義的であり、いろいろな法律と関係しております。ですから、デジタル版教科書というものを教科書としてみなすとすれば、委員の皆さんの間で共通認識を持つ必要があろうかと思います。
 これについては、第1回のこの検討会議において、事務局から教科書制度の概要について御説明いただいたところでございますけれども、関連法令には非常に多くのものがありますので、参考資料2として「関係法律における教科書の位置付けについて(「デジタル教科書」関係)」というものを作っていただいています。ですから、事務局にまずこれを説明していただきたいと思います。これもまた非常に量が多いので、これは何回かに分けて、皆で了解していくものとして、今日はごく簡単に概要を御説明いただき、そして、もっと知りたいというようなことがありましたら、事務局に個別にお問い合わせいただくということにしたいと思います。そして、次回の第6回の検討会議において、より詳細に説明していただくという段取りとしたいと思います。
 それでは、事務局から、参考資料2の説明をよろしくお願いいたします。
【事務局】 それでは、本日の段階ではごく簡単にだけ御説明させていただきます。現行の教科書に関連する法制度といたしましては、大きく分けまして、参考資料に載せてある、大きくは六つの法律に分けられると思っております。学校教育法、義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律、次の次のページに行っていただきまして、教科書の発行に関する臨時措置法、また、次のページへ行っていただきまして、障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律、そして著作権法。大きくはこの六つの法律において「教科書」、若しくは「教科用図書」という言葉が使われております。
 まずは一つ目、学校教育法でございますけれども、本日の検討会議でも何度か話になりました使用義務について規定がありまして、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校の各学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならないとされております。
 参考にありますけれども、使用しなければならないということにつきましては、原則としてその内容の全部について教科書に対応して授業することをいうとする判例がございます。
 同じく学校教育法の「検定を経た」というのが、右の参照条文と書いてある欄の方を御覧いただくと、ここに検定というのが出てきております。検定につきましては、それ以下の政令若しくは省令といったもので定められております。
 続きまして、義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律です。こちらは単純に、一条だけでなる法律でございまして、義務教育諸学校の教科用図書は無償とするということだけ定められております。この法律で無償とすると書いた上で、それに関して必要な事項は、別の法律で定めるとされております。
 その法律がその下にある義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律でございます。こちら、無償に関する法律の方で無償とするとされた教科用図書につきまして、どのような形で無償措置を行うかといったことを規定しております。2ページ目に行っていただきますと、特に「デジタル教科書」の関係で課題となり得るのは、まずは採択のところで、この無償措置法においては共同採択制度という形がとられております。教科用図書の採択の項目の2個目の丸がございますが、まず、都道府県教育委員会が一つ、若しくは複数の市町村から構成される採択地区を設定した上で、その採択地区内を構成する市町村教育委員会が、文部科学大臣が別途作成している教科書目録の中から、種目、これは科目と思って良いのですが、その科目ごとに一種類の教科書を採択する必要があるとされております。あとは、二つ下がっていただいて、教科用図書、教科書は、基本的には4年間同一の教科書を使い続ける必要があるとされております。
 次のページに行っていただいて、無償措置法では、教科書を発行する発行者を指定することになっておりますので、その関連の規定もございます。
 次は、教科書の発行に関する臨時措置法であり、この法律以外もそうですけれども、教科書というのは紙を前提としておりますので、紙を前提とした上で、教科書の表紙にはこういったことを記載しなければならない、若しくは、印刷者の氏名や印刷年月日等も記載する必要があるということが定めてられております。先ほど申し上げた教科書目録に関する規定もあり、また、教科書展示会というものを開催する必要があるということも規定されております。
 次のページに行っていただきますと、需要数の調査、発行の指示、若しくは定価の認可といったところが「デジタル教科書」と関わってくる部分だと思っております。この需要数の調査というのは、都道府県教育委員会が公立、国立、私立も含めて、域内における教科書について、来年度どのくらい必要かということを我々の方に御報告いただくことになっております。それを踏まえた上で、文部科学大臣が各教科書発行者に対して、何部発行してくださいという指示を出すことになっております。その発行指示を承諾した場合には、その教科書発行者は教科書を発行する義務を負うとされております。また、教科書には定価という概念がありまして、その定価の設定に当たっては、文部科学大臣の認可を経なければなりません。一方で、現在の電子書籍といったものには、定価という概念はそもそも存在しないということになっております。
 次に、障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律です。一般的には教科書バリアフリー法と呼んでおりますけれども、教科書の発行者は、自らが発行する教科書に係る電磁的記録、要は電子データを文部科学大臣に提供しなければなりません。そして、文部科学大臣は、教科用特定図書等、これは例えば拡大図書やDAISY教科書といったものですが、そういったものを発行する方に対して、そのデータを提供することができるという規定となっております。
 最後は著作権法でございますが、掲載補償金制度についてこの検討会議の中でも御議論いただいておりますけれども、公表された著作物は、著作者に通知するとともに、文化庁長官が毎年定める補償金を支払うことにより、教科書に掲載することができるという形で著作権の権利制限が行われております。
 それに伴って、次のページで、その他ということで、例えばそれを改変したり、翻訳、編曲、変形、翻案したり、若しくは掲載補償金制度を使って作った複製物を譲渡したりすることができるといった権利制限されております。
 現行の紙の教科書に関連する法制度としては、おおむねこれまで述べたとおりとなっております。
 説明は以上です。
【堀田座長】 ありがとうございました。一言、教科書と言うだけで、実はこれだけの関連法令がございまして、非常に多岐にわたっております。とはいえ、全部が同じ重さというわけではないと私は思います。これは勉強していきますと分かりますが、使用義務という強いものが学校教育法に書かれていまして、使用義務があるので検定をして質保証をしなければいけないということになります。そして、義務教育ですから無償供与されるということになるということです。このようなものの著作と編集と発行を円滑に行うためには、発行指示や定価認可、著作権の権利制限等があると考えられます。さらに、障害があるお子さんたちのためのデジタルデータの提供が教科書バリアフリー法で義務付けられているのです。
 このように考えますと、要するにデジタル版教科書というものが教科書として最低限有するべき意義を考えると、学校教育において求められる基礎的・基本的な教育内容の履修を保障するという観点から見れば、各学校においてそのデジタル版教科書を使用しなければならないという使用義務をしっかりと与えるということだと考えられるわけです。
 その上で、それを実際に行うために、関係の諸法令をどのように捉え、あるいは修正をしていけば良いかという議論になっていくのかと思います。それを、短期的に、当面講ずべきことと、中長期的に検討していかなければならないこととに区別しながら議論していくということになります。
 大変長くなって恐縮が、私からの提案は、まずはこの検討に当たって、学校教育法を中心に考えていきたいということでございます。これは今回だけで議論が終わるとは思っていませんけれども、中心概念から始めなければ、隅っこからやっていっても、真ん中のところに来たときに話が引っくり返る可能性がありますので、ここから御意見を頂きたいということでございます。
 お時間は約20分しかございませんが、皆さんの奇たんのない御意見を頂きたいと思います。御意見のある方は挙手をお願いいたします。山内委員からお願いします。
【山内委員】 座長の、当面講ずべき措置と中長期的に検討していくものとに分けていくという御意見に賛成です。教科書というのは全国の学校で使うものであり、デジタル版教科書についてもその使用義務があるので、コアに絞っていくということです。コアに絞る場合に、先ほど川瀬部長から御提案があった文字、音声、静止画、その辺に今の当面は絞っていくという方向性については、当面講ずべき措置ということで、現実的に対応することが重要だと思います。
 ただ、一方で、中長期的に検討するということも非常に重要だと思います。「デジタル教科書」は、新しいコンテンツを入れ替えたりとか、更新したり、いろいろなリンクをさせたり、音声だけではなく動画を入れたり、いろいろな可能性、潜在性を持っています。しかし、現在は、学習者の環境がまだ十分に整備されていない状況です。ネットワークや端末などの全国的な環境の保障がありません。ですから、そのような整備の進展に合わせて、将来的にはもっと「デジタル教科書」が持っている可能性、潜在性をどんどん入れていくように長期的な検討はするけれども、現実に2020年まで、あと5年で最低でもここまでは現実問題として対応しなければならないものとして、先ほどのようなコアに絞っていくということについて、賛成です。
 最後に、音声の検定ということについて少し申し上げますと、音声を付けるということは国語でも英語でも非常に重要だと思います。音声は、私の専門の英語教育分野で言いますと、英語の種類、英語の地域的な特徴があります。ピーターラビットといううさぎの物語があるのですが、あれはイギリスのうさぎですから、アメリカ英語で読まれたらおかしいのです。そのようなことが市販の音声教材の中にはいろいろとありますので、それを検定していくのはすごく大変なのです。
 先ほど中川委員からお話がありましたように、音声合成も進んでいますが、今、音声認識という技術も進んでいます。つまり、コンピューターにイギリス英語の音響モデルを入れて、「デジタル教科書」の音声とその音響モデルがどのくらい一致するか、近いかを基にするやり方で、自動音声認識により、これはイギリス英語だと大体分かるようになっています。そのような最新の技術も使いながら進めていくということが重要なのではないかと思います。
 最後に、合成音声についてですが、2020年から教科化され教科書ができる小学校英語での合成音声の使用には、疑問があります。小学校の英語は、児童が英語の音のイメージを頭の中に作り上げる発達段階にあるわけですから、自然音が良いのではないかという気がします。ただし、それが高校生や大学生以上になった場合には、かなり音響イメージもできていますので、合成音をどんどん活用して良いのではないかと思います。
 以上です。
【堀田座長】 ありがとうございました。新井委員、お願いします。
【新井委員】 このテーマを検討するときには与件をはっきりさせるということが重要だと思っていました。前にも少し申し上げましたように、向かっていって共通で見る絵が一致していないと右や左へ行ってしまうので、それをはっきりさせるということを考えると、この提案については賛成です。
 例えばEPUBのような機能によって生成されたものを検定の範囲に含むのか、含まないのか、といったことについての議論もこれから必要になってくるかと思いますが、基本的にはこの方向で議論していくことに賛成です。
【堀田座長】 ありがとうございます。仮に紙で検定したものをデジタルでも提供するということを義務付けたとして、デジタルで提供されたものが紙と同等であるということのチェックはやはり要るのではないかと考えるのか、あるいはそこはスルーで行くのか、といったことは、検討しなければならないことかと思います。
 高梨委員、お願いします。
【高梨委員】 現場として、デジタル版教科書が現実に無償で提供されるようになれば、自治体の負担もそれだけ少なくなりますので、当面講ずべき措置というものをここで検討して、なるべく早く結論を出していただいて、それが日の目を見るのが一番良いと思います。ただ、併せて中長期的に検討していくのか、若しくは当面講ずべき措置について一定の結論を出すときに、附帯意見なり、今後の方向性を取りまとめていただいて、先ほども少し申し上げたように、検定でなくても、国の推薦なり、一定のお墨付きがあって、自治体として資料を使う際のよりどころとなる基準のようなものを御検討いただけると有り難いと思います。
【堀田座長】 ありがとうございました。中川委員。
【中川委員】 私も、紙のものと基本的に同じものをデジタルに起こすべきだと思います。我々も、実は、日本語版のOSと英語版のOSを提供したときに、グローバルな企業のお客様から、この二つは絶対に同じであると保証するようによく言われるのです。上で動くアプリが英語版と日本語版でソースコードが違い、バグがあってトラブルになるので、そこは同じシングルソースで行くので保証しますと言うのですが。教科書会社が、紙にプリントしたものとデジタルにパブリッシュしたものはソースが同じだと、発行者の責任としておっしゃるのであれば、検定は基本的にはカットしても良いのではないかと思います。
 ポイントは、付加する音声と動画をデジタル版教科書の範囲に入れるのかという観点で、私は、音声は、短期的にも、あることでデジタルのメリットがより出やすくなるので、入れるべきではないかと思っております。ただ、動画ももちろんそうなのですが、余りにも編集やコストの問題が大きいので、中長期のアプローチとして捉えるべきかと思います。必ずこれらが教科書の中に盛り込まれているべきなのかということは、少し検討を重ねる必要があると思っております。私がよく教育の現場で先生方に御紹介するのは、理科ネットワークという、これは科学技術振興機構が作られているコンテンツなのですが、非常に著明な大学の先生や学校現場の先生が行った実験をビデオにして、動画をインターネットで流しているのですが、皆さんが、これはとても良いコンテンツだということで安心して使われています。こういったものが、推奨で、社会などいろいろな教科であれば、補助教材として使うこともできるでしょうし、教材会社が開発販売されるものとして、そのようなものがあっても良いでしょう。これをどのように「デジタル教科書」の中に盛り込んでいくのかは、中長期の議論として捉えた方が、きっと分かりやすくなるのではないかと思います。
【堀田座長】 ありがとうございます。近藤委員、お願いします。
【近藤委員】 先ほど少し音声の話がありましたが、特別支援のニーズのある子供というのは、例えば医学的診断を持っていないけれども、そのニーズがあることが教育的に今後どんどん見つかってくるだろうということがあります。今、通級指導を受ける学習障害のある子供たちが毎年1,000名以上の単位で膨れ上がっていっているという状況から考えると、恐らくかなり多くの子供たちの中に、読みなどのアクセスを保障してあげるニーズが存在しているので、音声が付くというのは本当に望ましいことだと考えています。
 ただ、障害のある人たちにとって、音声が付くことやデータにアクセスできることとは、やはりアクセシビリティーを確保するという問題であって、山内委員が先ほどおっしゃったような正しいイントネーションを提示するというところと少し意味合いが違うところがあります。アクセシビリティーは必ず基本として保障しなければなりません。印刷物以外の形を保障しなければならないところがあるので、その保障をどこまで担保していくのか。それを紙の教科書ではない、完全に電子的なものに置き換えることを学校現場で認めてくださることとは、かなり大きなことになっていくと思うので、是非前向きに御検討いただきたいと思います。
 また、先ほど新井委員から、EPUBとしての機能として新たに追加されたものをどのように検定するかというお話がありましたが、あれは恐らくEPUBを表示するためのソフトウェアが持っている機能をどのように検定するかということではないか思いました。障害のある子供たちのところで先ほど質問させていただいたのは、障害のある子供にとっては、新しく作られた、「『デジタル教科書』のコンテンツを表示するためのソフトウェア」が新たな壁になってしまうことがあるのです。例えば、皆がこのソフトウェアを使って音声も表示できるようになったと言うけれども、それではアクセスできない肢体不自由の子供たちや視覚障害のある子供たちが出てきたときに、果たしてどうやってそれを保障していくのかで、必ずこのニーズは出てきます。そうすると、できるだけ自由度の高い、例えばEPUB3を先ほど提供できますかという御質問をしたところ、それは可能ですとおっしゃったのですが、そうすると、EPUB3にかなり自由にアクセスできること、しかもその子のニーズに合った様々なソフトウェアでアクセスできるということが保障されていく必要があると思います。そのように考えたときに、デジタル版教科書と呼んでいるものの実態が電子データ、コンテンツのことを指しているのか、それとも、ラッパーソフトウェア、そのコンテンツを表示するためのソフトウェアを含めているのかということは、曖昧にしておくとかなり困った部分が出てくるので、それはEPUBデータの入手を選ぶか、表示ソフトとEPUBデータの組み合わせを選ぶか、児童生徒が個々のニーズに合わせて両方選択可能であるとすべきだと思います。ソフトウェアも含めてデジタル版というふうに呼ぶこともあれば、特別なニーズのある子供に関しては、デジタルデータへのアクセス提供の保障をしていくことも同時に入れていく必要があると思います。
 以上です。
【堀田座長】 ありがとうございます。では、神山委員、金子委員で行きます。
【神山委員】 先ほど、事務局から、教科書バリアフリー法というものがあると御説明がありましたが、学習者用デジタル教科書ができたからといってバリアフリー法を廃止するわけはなく、二本立てで行くべきであろうと思います。でも、アクセシビリティーは学習者用デジタル教科書でも確保していかなければならないと思いますが、そこを頑張り過ぎても、逆に使い勝手が悪くなると思うので、二本立てというものを保障した上で、ある程度のラインを設けても良いのではないかという気持ちでいます。
 また、私も、障害のある子供たちと接しているわけですが、積み上げが必要な教科に関しては、過学年のものをどうしても使いたいということで、実際に特別支援学級では使用しています。年度によっては、一年前に子供が使っていた教科書とその年に使われている一つ下の学年の教科書が違うもので、指導にちょっと困るということもあるので、配布できる期間について検討できると良いと思います。さらに、塾の先生方もこのようなものにすごく興味を持たれていて、塾に通ってくる子供たちにもデジタルタブレットの操作を教えたいということであり、私塾の先生方も購入可能なものなのかということも議論の中に入れていけると良いのではないか思っております。
【堀田座長】 ありがとうございました。金子委員、お願いします。
【金子委員】 私自身のICTの活用、教育との関係ということで、私の勤務しているところは私立学校ですが、その中で常々思っていますのは、ICTやデジタルの活用をベースにしない教育機関、ベースにできない教育機関に未来はないだろうということです。そこから考えたときに、そういった長期的なことはまた別として、まず、最低限のところからスタートしていくという考えを示していただいて、私自身も非常に考えがすっきりしてきたと思います。
 それから、今の教育の大きな課題の一つとして、情報爆発と言われるように、インターネット上に大量の情報があふれていることがあります。実を言うと、我々の目の前にいる生徒たちはものすごい量の情報の真正面にいて、その情報のほとんどは消費型であったり、浪費型であったりします。だから、その中にぽんと置いてしまうと、もうその渦に巻き込まれて、やがて沈んでいってしまう、そのような存在になってしまい、デジタル世代と言われていても、スマホを触っていても、インターネットを触っていても、情報難民とに転落していくのではないかと思います。それから、長期的に見たときに、確かな情報や信頼できる情報、あるいはそれをどのように生かしていくかといったことを学校の中で学んでいくことが行われていかないと、子供たちは大変なことになってしまうと思っております。
 以上です。
【堀田座長】 ありがとうございます。今の話は、情報活用能力などにも関係する、今後必要になる能力の育成と教科書との関係について検討しなければならないという話だと思います。ありがとうございました。
【天笠座長代理】 一点、いいですか。
【堀田座長】 どうぞ。
【天笠座長代理】 この参考資料2については、議論し、理解していく上で大変大切な作業をしていただいたと思います。もう1段、少しこういうことの整理があると良いのではないかと思ったのは、例えば学習指導要領解説書も関わってくる可能性があるかと思いますが、教材、
補助教材についての国の立場、公式的な解釈について、この種の整理、データも、話をしていくには必要な基礎知識になるのではないかと思います。教材と教科書と、あるいは図書教材や補助教材を区分け、整理していく作業が、使用義務と関わってくるかと思いますので、その点、可能ならばお願いできればと思います。
 以上です。
【堀田座長】 有能な事務局なので可能だと思います。是非、お願いしたいと思います。
 少し私の方から、座長としてお話をさせていただきたいと思います。
まず、短期的なことと中長期的なことに区分けする、そのためにデジタル版教科書という言葉を前回導入させていただいて、それで議論を進めさせていただいているわけですが、このことの真意は、短期的なことしかやらないという話ではなく、とにかく短期的にできそうなこと、最低限のころをまずやるために、どのような法令改正などが必要かということをあらかじめ示して、それは今後理想的な形になっていくための通り道だということです。その理想的な形も一緒に示して、さらなる課題としてこのようなことがありそうだということも一緒に提言していくことにしなければ、何年もこの会議をやるわけにいきませんので、まずはそのような形で区分けして、結論を出したいと思っています。それについては、皆さん、本日、おおむね賛成いただいていると私としては理解しております。
 もう一つ、EPUB3などという話は、技術ですから当然変わっていくわけです。これからAIやIoTなどいろいろなことが予想されるこの時代ですから、技術が変わってくると、例えば教科書が紙を前提にしていることが今から見ればちょっとナンセンスに見える部分があるのと同じようなことが生じる可能性もあるので、やはり、不断の見直しこれからもきっと必要になるのではないかと思うのです。技術が今どこまで来ていて、教科書会社がどこまでできて、国がどのくらい標準化できて、といった話は、文部科学省で言えば情報教育課の方でやっていただいていることであり、それに見合う機材がどのような機材で、どのように導入され、どのようにその導入が推奨されるかといった話がそちらで動いています。一方で、私どもの検討会議のミッションは、「デジタル教科書」というものがどのような範囲で、それが法制上どこに位置付き、そのために現状の法令をどのくらい改正しなければならないのかを検討することであると考えると、両輪だと思いますので、連携協力してやっていかなければならないと思うところです。
 それでも、やはりデジタルを教科書として認めていくとすると、それを見るためのパソコンやタブレットは絶対必要だと考えると、本当に、全ての子供たちが、今、教科書を見るような感じで気楽に見ることができるところまで整備が進むのだろうかということに対しては、進めるべきだと強く主張している私でさえも、多少、いつできるのだろうと思うところです。とはいえ、法律の改正には時間が必要ですから、今のうちから最低限のところを決めて、まずは提案していくという形にしたいということを、座長として申し述べておきたいと思いました。
 そろそろ予定の時間となっておりますので、本日はこのあたりにしたいと思います。
 これまでと同様ですが、もし言い足りないということがありましたら、メールで結構ですので、事務局に送っていただくと、次の議論に反映させるとことうになっておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは、最後に、次回以降のスケジュールにつきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【事務局】 資料4でございますけれども、今後といたしましては、来月12月16日、16時から18時の日程で第6回を予定しております。第7回といたしましては、年明け、1月18日、同じく16時から18時を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いします。
 以上です。
【堀田座長】 ありがとうございました。このように月1回程度開催し、そろそろ、広げるばかりではなく、解決していかなければならないと思っておりますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 本日はここまでとさせていただきます。皆様、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございました。次回以降も引き続きよろしくお願いいたします。

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-- 登録:平成27年12月 --