不登校に関する調査研究協力者会議(第14回) 議事要旨

1.日時

平成28年6月29日(水曜日)15時~17時

2.場所

文部科学省3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 「不登校特例校に関する実態調査」結果について
  2. 不登校児童生徒への支援策について
  3. その他

4.出席者

委員

安藤委員、石川委員、大場委員、角川委員、木嶋委員、斎藤環委員、齋藤眞人委員、齋藤宗明委員、笹森委員、高野委員、成瀬委員、野田委員、藤崎委員、森田委員、森委員、山川委員

文部科学省

小松文部科学審議官、藤原初等中等教育局長、浅田審議官、瀧本審議官、亀田視学官、坪田児童生徒課長、平居生徒指導室長、高橋課長補佐

5.議事要旨

(1) 資料1について事務局より説明を行った。説明に対する意見等の概要は以下の通り。

【委員】習熟度別学習等についての調査はあるが、指導方法については各校どうか。個々の生徒に合わせる必要があるからこそ、手が足りないといったアンケートの意見も出てきたと思う。調査しているのであれば、お教えいただければと思う。

【事務局】個々の指導方法というところまでは、こちらの調査で行っていない。

【委員】最後の運営上の課題というところに一つの構図が見て取れるような気がして、ひっかかっている。登校できることを目指すためとあるが、最終報告書の中でも、包括して取り上げる必要があると思う。「目指すべきは学校に来ること」となってしまっている。これは多くの現状だと思うが、学校に来られなくても基礎学力をきちんと補充させてあげる手段を充実させることもすごく大切で、まず学校に戻そうということが現場の認識として多くあるというところが、子供たちの現状と学校の考え方のミスマッチが出てきている。
次に、一人一人の特性に合わせた指導が必要で、教員の数が足りていないとあるが、足りていないからできないという発想も現場からなくしていかないと。そこに理由がある以上、僕らがどんなに一生懸命頑張って話し合って最終報告を出したとしても、要は人数が足りないからで片付けられたら意味がない。人数が少なくても工夫はできるし、不登校の子供たちは、人と時間を掛ければ改善することができるという表現が、おかしいのではないか。

【委員】7ページのスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーのところで配置の日数や回数を教えてほしい。

【事務局】こちらについても、そこまでの調査はしていないので、お答えすることはできない。

【委員】ここに出ているもの以外の細かいデータが、公表される予定があるのかないのかだけ、教えてほしい。

【事務局】資料にあるデータ以外にはないので、ここにある限りというところである。

【委員】スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置されている学校の、公立・私立、中学・高校はオープンにはならないということか。特に個人的関心としては、こういう学校でスクールソーシャルワーカーが必要とされた学校というのはどういう校種なのかなというのが知りたいが。

【事務局】先ほどの質問も含め、きちんとデータを取って、次の展開につなげていきたいと思う。本日はまずは総括的なところで、ここまででお願いいたしたい。

【事務局】この調査を行う際に、対象となる不登校特例校に対しては、学校が特定されないように公表するという約束をした上での調査である。配置されている学校がどういった学校種なのかというところについては、お答えはできない。

【事務局】スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについては、別途お断りした上で、追跡をしてみたいと思う。

【委員】ほかにないようであれば、この議題は、これで終わらせていただく。

(2) 資料2について事務局より説明を行った。説明に対する意見等の概要は以下の通り。

【委員】ただ今の最終報告(案)であるが、何か質問、御意見等お出しいただければ。

【委員】10ページ、不登校の状態にあった方々へのインタビューの中で大事なことは、先生方はこれを何とか改善しないといけないし、大問題であるということで入っている。「行っておけば良かったと考えている割合が多い」という結果を、わざわざここで文章として起こす必要があるのかと率直に疑問に思う。報告書の中で改めてそれを強調する必要があるのか。
  また、「はじめに」の中で、5月の再生実行委員会の提言が新たに追記されているが、わざわざ入れる必要があるのか。「不登校など課題を抱えた児童生徒」という表現が、「不登校の児童生徒」でいいのではと思う。それから、その次の「優れた能力を有する者の能力を更に伸ばす取組」は賛同するところではあるが、不登校児童生徒の各々の個性を更に伸ばすということが大事であって、特に優れた能力を抽出して更にそれを伸ばす。これが最終報告の「はじめに」の中に、あえてこのボリュームで取り上げられるということは、いかがなものかなという気がする。「特に優れた」という前提なしに、それぞれが持っている能力を素直に伸ばしてあげることの方が、我々委員会の取組としては大事なことであると思う。

【委員】私も基本的には不登校をスティグマ化しないという発想は全般的に欠かせないものと考える。短期的な再登校を目標にするかのような文言や、不登校であること自体が何か低い価値であるかのような表現は極力取り除いていくことが大事である。
  16ページ目に「不登校を未然に防ぐ」とある。これは予防されるべき対象ということになる。この発想自体も、不登校というのは病に等しいものという認識になるので、「不登校が問題化しないような取組」などに変えていただければ、スティグマ化は防げると思う。
  それから20ページの家庭訪問が有効というのは、要するに再登校に有効という意味であり、再登校が成功した割合が高いという意味で、家庭訪問や電話相談が有効だったという結果はあるようであるが、ここを強調し過ぎると、指導の目的は再登校という方向性が強調され過ぎる。
  一番大事なところは、家庭訪問が有効ではなくて、有効な訪問が有効だったわけである。その訪問の内容が全然問われていない。家さえ行けばいいと勘違いする先生がたくさんいるかもしれないという懸念を感じる。訪問すればいいという安直な発想にならないためにも、どういう訪問が有効かをしっかりと理解した上で慎重に進めていただくという発想がとりわけ大事になってくる。
  それからもう1点、不登校に関して、教員によるセクハラからモラハラから体罰も、指導という名目で隠蔽されてしまって表に出てこないという、指導偏重主義の問題が出ている。指導というのは諸刃(もろは)の剣で、有効な問題解決の手段になる場合もあるが、非常にあしき内部リスクの可能性も高まっている。不適切な指導をリスクとして検証しているかといえば、していない。学校におけるリスクマネジメントは、ほとんど外部者の侵入など、外部からのリスクしか検討していないのが現状である。学校はもう少し、内部リスクを検討できるフィードバックの仕組みを取り入れてほしいので、関連した指摘を盛り込んでいただけると有り難い。

【委員】1ページの冒頭にある教育再生実行会議の提言で、これは提言そのものを引用しており、こういう文言になっている。事務局の方から何かあるか。

【事務局】事実関係としては、そういうことである。

【委員】このタイプの不登校の子供を、全て初めの不登校支援策の中にあえて入れて、そこだけを強調するという意味がどれだけあるのか。マイナスがどうかということは、考えないといけないと思っていた。我々の方からこれを入れてほしいという提案はなかった。

【委員】この文言をもし入れるとするならば、本論のところに何らかの、「新たな手法を積極的に」に代わるものが載っていないと。「はじめに」にそれが出ていて、本論の中で新たな手法が載っていることが期待されている。

【事務局】指摘いただいたように、「はじめに」のところでだけ新しい手法の話をしていて、本文の中には特段触れていないというところがある。整合性は取らせていただきたい。

【委員】「未然に防ぐ」という問題に関して、本文の中に、その部分があるという指摘があった。通常は生徒指導の場合には、未然防止というと、全てそれは含まれている。

【委員】不登校自体を防ぐという直接的な表現にならない工夫があってもいいかなと思う。皆さんのお知恵を拝借したい。

【委員】生徒指導の関係の方々は、この言葉でストンと入ってくるが。

【委員】医者としてはひっかかるところである。

【委員】本文の中は、少なくとも学校システムとして、どういう点に留意しながら取り組んでいくのかということになっているかと思うので、誤解の生ずる余地があるのなら、適切な言葉探しというのはあってもいいと思う。比較的本人へのスティグマというニュアンスではないという意味も含めて、逆にある程度定着している表現だと思っていた。

【委員】私は不登校現象という言葉と、不登校児童生徒を使い分けている。そういう意味では、ここで不登校と書いてあることは、私が表現すれば、そういう現象そのものという具合に考えているの。問題化もその後の対応の在り方も全て含めて、その事態の中でそういう現象が起こらないような未然に防ぐ方法という取組という表現でいけばよいと考えている。

【委員】現象であれば違和感がないが、一般的に通用する言葉かどうかという辺りで。私は別にそれでも構わない。

【事務局】16ページについて言えば、確かに見出しが「不登校を未然に防ぐ指導の改善」となっていて、ここを読む人がどう受け止めるかということがあると思う。 その3、4行下、児童生徒が不登校にならない魅力ある学校づくりを目指すという未然防止が大事だと書いており、ここでの未然防止というのは、生徒個人の問題ではなくて、むしろ学校の問題であると書いている。したがって、ここの文章は恐らく先生も違和感がないと思うが、実際には見出しの部分で読む人がどういう印象を受けるかということはある。

【委員】私も納得できる。「指導の在り方の改善」とか何か、「未然に防ぐ」はなくても通じる言葉だと思う。
【委員】家庭訪問について、どういう家庭訪問が良いかというところがある。例えば子供を無理に学校に行かせることなどはあってはならず、家庭訪問の時間、曜日、あるいはその内容が、非常に大事になってくる。

【委員】関連して。学校にとっての家庭訪問は、東日本と西日本で、その頻度であるとかやり方というのに、かなり顕著に差がある。子供の問題行動でも、保護者を基本的に呼び出すと考えるか、家庭に先生が出掛けていくかという文化的背景が、かなり違う。
  家庭訪問というのを信頼関係ベースでできるものもあれば、実際には虐待を疑いつつとか、安否確認ができていないということで、信頼関係を前提としない家庭訪問も実際には必要となってくる。家庭訪問の意図と目的のしっかりした検討と、その背景のアセスメント、成果もしっかり吟味するという一連の文脈の中では、家庭訪問は有効な手段である。

【委員】単に家庭訪問だけではなくて、いろいろな指導、関わりの中に含まれている問題であり、児童生徒理解・支援シートの方で活用する際に当たって、そういう視点を盛り込ませることが重要だと思う。盛り込むか、またこれを検討させていただくということにさせていただきたい。

【委員】保護者の方々におかれてもということは、最後の「おわりに」の2行にそのことが書いてあって、一人で悩まずに意識を持っていただきたいという一文だけである。家庭や保護者というのは何も求められなくていいのかなと、少し感じた。

【委員】児童生徒理解・支援シートの方で書き込むことができるだろうと思ったが、それを含めて、19ページの先ほど書き加えられた(4)の上の2行、「また」のところから、ここに「それに伴う児童生徒の状況に応じて、適宜、検証し」という文言を入れておけば、内部リスクに関して、そこで表現を加えることができる。そして、児童支援シートの方でそういう観点も加えてシートを作成して、修正していただきながら指導を変えていくというところにつながると思う。

【委員】それでよろしいかと思う。

【委員】家庭の問題であるが、保護者に求められる事柄というところがあるがどうか。

【事務局】役割ということを事細かに説明した部分はないが、12ページで、家庭への支援ということで文章が続いている。最初に、「家庭教育は全ての教育の出発点であり」というところ、人格形成の基礎を培う重要な役割を担っているという言及はしているが、具体的にどういった役割がという言及は、今の案の中ではされていない。

【事務局】基本的にはこの報告書は施策のまとめであり、プライベートセクターの方々の果たす役割というのは、スコープの外に置いてまとめているというこれまでの経緯で、それがこの会議においても追認されてきていると認識している。

【委員】家庭それぞれの努力も必要であるということもあわせて、そして政策の推進を図るという、少し一言入れておくというのもやり方かなと思う。表現の仕方等も含めて、そんなに大きく変更しなくてもいい。
  ただ、不登校の場合には家庭の果たす役割というのは非常に大きいわけであり、政策を推進するに当たっても、その協力あるいは御本人の努力というのは必要になってくるので、それを求めていくというのも施策上必要なところである。
  それからもう1点、提案のあった、10ページ、調査結果の評価の仕方。この細かい意見は、そもそもこの後にあって具体的なものは、何%だとか何件という調査ではなくて、そこから聞き取りの結果、出てきた言葉を盛り込んだところだったと記憶している。
  委員がいわれたように、行っておけば良かったと考えている割合が多いという結果となったという結論を付けてしまうところが、少し踏み込み過ぎだということになる。

【委員】全く同感である。その次の行に「小中学校生活の思い出を持たないという事実が生涯にわたる喪失感」、これは当該の保護者の方々にとってはつら過ぎる表現ではないかなと大変気になる。

【委員】これはまとめの言葉に入っている。そういう方がいらっしゃる方は確かに事実で否定できないが、結論付けた形で全体をおしなべて、カラー付けするということは問題があるし、調査の扱い方として問題があると思っている。

【委員】16ページに不登校に係る指導という言葉について、目次を見たら、第5章のところで「不登校未然防止のための取組の充実」と書いてあった。この言葉の方がすっきりしているような気がする。

【委員】10ページの下に、不登校の原因となったものに、教師との関係と学校に起因するものがある。これは明らかにアンケート等でも出ていると思う。ほとんどの教員は、不登校の児童が出たときに、常に自分の指導の責任ではないかと感じている。子供も苦しんでいるが、教員も非常に苦しんでいる場合が非常に多い。このような現実にあるということは知っておいていただければ。

【委員】担任個人がではなくて、スクールカウンセラーやSSWに加わっていただきながら、そこで皆さんで、対応がうまくいったのかいかなかったのか、あるいはどういうマイナスが出てきたのかというところを検証していただきながら、次の指導、支援策へ結び付けていくという、こういうステップの中で考えいただくということだろうと思う。あえてこちらで内部リスクと言うのではなく、「検証し」という、そういう言葉で、ここで支援シートの役割を少し明確にしておいて、支援シートの中で具体化を図っていただく流れにさせていただければと思う。
  今まで個人にかかっていたものを、これからは組織という体制の中で、様々な問題行動、不登校だけではないが、いろいろな問題に当たっていくというのが、これからの学校の在り方だろうと思っている。

【委員】不登校特例校制度の活用をどういうスタンスで押さえたらいいのかが少し見えないというか、課題が出てきているという書きぶりで終わってしまっていいのかと感じる。不登校特例校はもっとたくさんあった方がいいというスタンスで行くのか、その辺もはっきりしなかったかなと思う。
  もう一つ、17ページで、性同一性障害のところが唐突に出てきているかなと思った。近年のトピックスでは間違いないが、性同一性障害にかかわらず「など」にするのでいいのでは。

【委員】少し検討をしていただいて、余りここに焦点が当たってしまって、もっと様々な問題がそこへ隠れてしまうということも、ないわけではない。
  それから不登校特例校の問題は、教育再生実行会議のところで発言があったことも背景事情として、それがあったからここへ入れるというわけではなくて、ヒアリングでお願いしたという経緯もあり、検討しておかなければならない事柄である。
  大きくは全般として、そういう再生実行会議の方向性は、こういうものを推進していこうという姿勢があるのだろうと読ませていただいている。今、御回答を求めるわけではないが、国の実行会議の方では、そういう形で提言が出されてきているという経緯はあるということだけ承知おきいただければいいかなと思う。

【委員】今の関連で。この報告書の副題が「一人一人の多様な課題に対応した切れ目のない組織的な支援の推進」ということで、その中で、この特例校の問題も考えていくというスタンスでよいか。
  教育課程の中で、全部あれもやらなきゃいけない、これもやらなきゃいけないという中で、できないことを強調されるために、いいところを伸ばせないという子供たちが、結構不適応状態になっていくということもあった。その辺をフォローできるということで、私も期待している。

【委員】、26ページの(2)、きめ細やかな指導のための適切な人的措置ということで、27ページの最後の、「なお、教員による体罰等」という、この2行がここに必要なのか。先ほど御説明があった17ページの方に、教員の不適切な言動等のことが書かれてあるので、この流れから言うと、この「なお、」という2行は、ここになくてもいいのではないか。

【委員】確かに2回にわたって書かれる必要はないかと思う。ただ、17ページの方には、不適切な言動をした場合の懲戒処分を含めた厳正な対応ということが書いていない。私は処分は不可欠と思っている。だったらこちらに処分の文言を入れていただいて、その他を削るという方針にしていただいてはどうか。

【委員】穏当な意見だろうと思う。これは行政としても見逃せない事項である。各都道府県でも、こういう事態に対して、処分・処罰というのは取り組んでいるので、書いておいても問題はないだろうと思う。

【委員】体罰の根絶を目指した研修はしっかりやらせていただいているつもりであるが、結果としてこういうことが続いてしまっている。これは繰り返しいろいろな場面で言っていくしかないのかなと。ただ、2か所で言う必要はないかなと思う。
  それから、先ほどヒヤリハット研修という話もあったが、医療事故の問題であるが、教員の指導の中でも、ヒヤリハット研修のようなものを当然やっている。どこの自治体でもそういった研修をしっかり行っていると思うので、誤解のないようにお願いしたい。

【委員】幾つかの意見が出ているが、どう検討したらいいのか、また事務局の方で詰めていただきたいと思う。私は先ほど、当たり前のことだが、何も不登校に限ったことではないといったが、ここへわざわざ書き込むことによって、不登校にはそんなにこの問題が多いのかと。わざわざ強調しなきゃいけないのかという逆の効果、デメリットもまた出てくるというところもある。17ページで、きっちりと書いていればそれでいいかなと思う。

【委員】12ページ、家庭への支援のところで、むしろ保護者の側(がわ)からそう言っていただけるのは有り難い話であるが、学校としては精いっぱい配慮しながら家庭にもアプローチするという趣旨でいいと思う。先般の国会で新たに児童福祉法の改正も通っており、これからは虐待でも市町村が安否確認のような構造になると、早期に市町村と連携を取ってもらうことの方が重要だろう。SSWの活動も非常に密接に関わるものであり、そういう意味での市町村を強調し、児童福祉法25条並びに虐待防止法6条の通告のようなことを念頭に置いた書きぶりにしていただけばと思う。

【委員】市町村の強調というところも検討して、法律との整合性も少し取っていただければと思う。

【委員】もしも自分の我が子が不登校という現象の場合に、保護者の立場で、こういったことというのはどこに相談すればいいのか、誰に相談すればいいのか、そしてこの現象をどう受け止めればいいのか、頭の中が真っ白になる御家庭もあるかと思う。
  配慮していただくならば、そういったようなことに関して少しばかり記載が欲しい。保護者という言葉が本当に「おわりに」の最後の2行でやっと出てくるというのも寂しい気持ちもある。

【委員】保護者の方々に一番伝えなくてはならないのは、独りで悩まなくていいんだよという部分が最大にして唯一のメッセージだと思う。やや、学校とともに協働して児童生徒を育むという意識とまで書かれてしまうと、保護者の方は逆にますますどうしていいか分からないのかなという気がする。
  最後の表現というのはもっと柔らかく、かつ、もう少し幅広く肉付けしていただけると、更にメッセージが伝わるのではないか。
【委員】治療の場面ですることは、ほとんどが保護者対応である。保護者の初期対応の在りようが少しでも書いてあると、学校も接しやすい。
  むしろ病院との連携や学校がどのレベルでその判断をするのかなど、判断材料になるようなものが示されていると、保護者の方も少し安心できる。

【委員】子育てを、育て方を責められているような、そういう呪縛から解いてあげるということが、重要であると思う。そのような文言が少し入っていてもいい。

【委員】文科省が実施している不登校の予後追跡調査のデータがある。あの結果を見ると、5年後にひきこもり状況にある、つまり仕事、学校に行っていないという割合というのは、18%しかいない。残りの8割以上は何とかなっていると考えていいと思うが、こういったデータが示されていると保護者の方も安心できるかもしれない。安心材料になるようなデータも掲載してもいいのではないか、それから今の学校に関わる社会資源を活用していくと、少なくとも高卒認定試験なども活用して高卒資格を取るところまでのルートはたくさんあるという、正規の教育の流れ以外にも複数のルートが活用できることも安心材料になる。

【委員】20ページの、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーと連携であるが、この活用に関しては、今行っている教育相談に関する調査研究協力者会議の提言を受けてということだが、いろいろな連携の在り方や、配置のことなどを検討していただいているのであれば大変有り難い、とにかく気軽に相談できる者として、養護教諭や、それからスクールカウンセラーは学校の中にいるので、是非活用してほしいが、少しどこかに盛り込めるといいと思った。

【委員】いろいろな都道府県で、スクールカウンセラーの活用について、どう活用していくのか、工夫はされてきている。運用の中でいろいろと強調していただくということはありかなと思っている。

【委員】22ページの一番下のところで、例えば民間団体とか民間施設、つまりフリースクールなどに通ったときの出席扱いについては、非常に個別性が高く、ケース・バイ・ケースであるということが書いている。ある程度このようなことが確認されれば出席として認めていくという方向で統一性が図られていくところなのか、今の段階では、こういう例を示すというところでも、かなり踏み込んで示したということであるのか。

【委員】何か事務局の方から、それに関して補われることはあるか。

【事務局】今の段階で、何か統一的な基準を国の方で何か出すという予定は、特に考えていない。

【委員】11ページに、児童生徒の可能性を伸ばす取組として、教育支援センター、不登校特例校、ICT、そしてフリースクールという形で四つ挙げられている。その下の組織的計画支援にも、フリースクールなどの民間施設やNPOとの積極的な連携という部分があるが、具体的に第4章に入って、16ページ、3の在籍校になじめない児童生徒に対する多様な教育機会の確保のところの事例が、教育支援センターと不登校特例校とICTを使った学習支援と、ここに民間施設が挙げられていない状況である。フリースクールも是非ここにも挙げていただければ。

【委員】そういう方向でよろしいか。

【事務局】そういう方向で。あと、フリースクール等の検討会議の方では、まず教育委員会、学校とフリースクールの連携を進めていこうという考え方であり、お互い共通理解を図る中で、また出席扱いということも適切になっていくと考えている。

【委員】これが完成した暁には、例えばホームページで全ての教員がこういったものを印刷できるようになるのか、いつ頃また、もしされるとしたら予定されているのか。

【委員】これはいつ頃というのは、この場の議論の進行次第であるが、先ほど冒頭に申し上げたように、喫緊の課題で、今悩んでいる子供や、あるいは困っている子供たちのためにできる限り早くと思っている。できれば今日、これでまとめさせていただきたい。

【委員】なぜこんなことを申し上げたかというと、先生方に読んでいただきたいと思った次第である。

【委員】ホームページは、出ると私も思っている。これから文部科学省の方でも、こういうものを啓発していくという重要性は十分御承知おきのことだろうと思うし、そういう方向で啓発・周知ということはするし、都道府県教委、市町村教委との協力も図られていくと思う。

【委員】24ページになるが、高等学校に関する取組というのが、この量だけ取り上げていただいている。量的なものに関してはやむを得ないことだと思うが、高等学校側に何かを求めるならば、就労支援の充実というのは絶対に避けては通れない一つの文言だと思っている。高等学校の責務として、就労支援の充実、1行、どこか意識付けしていただけると有り難い。

【委員】私の方から1点、事務局にお願いしたいが、予算的にかなり御苦労を頂かないといけない部分が随分あろうかと思う。その点は、是非ともこういう案が実現するように、一つよろしくお願いしたい。
  もう一つは、先ほど14ページの最後のところで、不登校対策について中心的かつコーディネーター的な役割を果たす教員を明確に位置付けることが必要だという文言が出てきた。
  私は小学校の、生徒指導というのを少し御検討いただく必要がある時期に来ているかなと思っている。今、小学校では、不登校だけではなくて、暴力行為等もかなり上がってきている。さらには、発達支援や特別支援という観点から考えても、随分生徒指導の観点の中に必要になって、重要な役割を果たすという時代になってきている。
  とすると、小学校の定数の考え方というのを少し、法令の改正も含まざるを得ないことなので、ここの会議の扱う事項ではないが、ここに関連して今後検討していただく必要がある時代に来ているかと思っている。その点は少し、宿題を一つ事務方の方で検討していただく必要とあると思っている。

【委員】支援シートについて、幾つかの点で提案いただいた中で、個人情報の保護の問題、開示の問題が絡んでいる。各都道府県、市町村では個人情報保護審査会があり、大体その審査会が一つの大きなネックになっているというところある。こちらが国から地方自治体の審査会に対して何かを申し上げるということもしづらいが、趣旨をよく理解いただいて協力を頂くというところが、今、精いっぱいのところかと考える。先ほど問題提起いただいた別の委員会からの答えになると思っており、そういう形で処理を当面していかざるを得ないだろうと思う。
  ただ、これは情報をうまく受け継いでいくということが、この副題の「切れ目のない支援」というところに関わる、一番重要なポイントだろうと思っているので、地方自治体に関して、御理解を精いっぱいしていただくというところに尽きる。この後も文科省の方で、その辺は留意しながら、都道府県教委、市町村教委の方へ関わっていただくということを、お願いしたい。

【委員】シート検討のプロセスの中で、これが現場に下りたときに悩ましさがあると思うが、基本、保護者との間で合意して作られているものについては何ら問題がない。そうではない、保護者にも知らせたくないという内容をどうするかといったときで、それが要保護児童や虐待という、児童福祉法の先ほどの要対協を使えるようなものならば、学校がそういうところと連携したことすらも言わなくてもいい。悩ましいのは真ん中のグレーゾーンで、先ほどの自治体の情報公開請求がかかったときに、墨塗りで出すような内容をこのシートに書くか、それとも別途どのようにしていくか、あるいはそこの審査会の方がどのようなことというので、多分、そこの振れ幅の真ん中辺りに悩ましい問題というのは入ってくる。
  教育相談的なことから言えば、保護者の意向というのは非常に重要であるが、第一に考えるのは子供の最善の利益ということになるから、どのように情報を扱っていくかということになろうかと思う。ここに書いてあるかどうかというだけではなくて、もともとのアセスメントに基づいて、必要な情報をきちっとつないでいく。ここには子供の最善の利益のためならぶれる必要はないので、しっかりつなぐという辺りの合意というか確認ができたらいいのか思う。

【委員】子供の最善の利益ということを趣旨として、それを運用していただく。シートもそれを活用していただきながら、制度と絡み合わせながら、いろいろな対処の仕方が、また現実には地方自治体の場合にはあろうかと思っているので、そういうものをかみ合わせて工夫していただきながら、この趣旨を貫徹していただくように、一つよろしくお願いしたいというのが最後のまとめの文言になろうかと思う。
今日はいろいろと貴重な意見を頂き、予想されるリスクも随分取れてきたかなと思っている。一応この会議は、これでおおむね皆さん方了解いただいたことから、この報告書を基にし、あとは文言の修正等は、私が預からせていただき、事務方と調整させていただいて、最終版にしていく。若干の部分が残っているだけであるが、その辺はお任せいただきたい。
  では、議長預かりとさせていただいて、この案で今日は了承させていただくということにさせていただく。課長の方から、今後のことを含めて一つ。

【事務局】14回にわたっての会議であったが議論が非常に積み上がってきたんだと思う。最終的に今日の会議で全部一遍通して見られ、様々な関係性や文言の細かい部分が非常に整理できた。今日の文言の中で、具体的に指摘いただいた委員にむしろ提案を頂くように調整させてもらう部分もあるかもしれない、あるいはこちらから提案をさせていただいて関係の委員の先生に見てもらう部分もあるかもしれないがい、座長とも相談をして、趣旨を全て踏まえた形でまとめ上げていきたいと思う。
  学校の3学期制であれば1学期の終わりが近付いており、来年度と言わず、2学期からでもこのシートの活用も含めて、組んでいただくということが、悩んでいる子供たちには重要だと思う。個人情報の扱いについては、国の限界もあるが、最大限子供のために配慮をということも自治体向けに発信をしていきたいと思う。

(以上)

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第一係

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第一係)

-- 登録:平成28年10月 --