不登校に関する調査研究協力者会議(第5回) 議事要旨

1.日時

平成27年4月21日(火曜日)15時30分~17時30分

2.場所

中央合同庁舎第4号館 1208特別会議室

東京都千代田区霞が関3-1-1

3.議題

  1. 取組事例発表
  2. 不登校の支援策について
  3. その他

4.出席者

委員

大場委員、木嶋委員、斎藤(環)委員、齋藤(眞人)委員、齋藤(宗明)委員、高野委員、中邑委員、野田委員、藤崎委員、森田委員、森委員、山川委員

文部科学省

小松初等中等教育局長、徳久総括審議官、伯井審議官、浅田総務課長、坪田児童生徒課長、亀田視学官、平居生徒指導室長、齊藤課長補佐

5.議事要旨

(1)2名の事例発表

(2)事例発表に関する質疑応答を行った。質疑応答の概要は次のとおり。

【委員】小学校4年生ぐらいからの欠席の状況には、様々な要因が裏側にあり、それが中学校に入ると、不登校という数字として表れるといった統計資料を知っておいて対応するということが必要であると思う。

【委員】中学校の勉強に、中1の後半ぐらいからついていけなくなり、小学校時代に不登校傾向がなかったお子さんでも不登校になり得る。カリキュラムに負担感があるのか、個々のケースとして困難さがあるのか、全体的な把握はなされているか。

【発表者】現行のカリキュラムにスムーズに行けないという前提の下で、子供たちに分かる授業をしようという取り組みを始めていくことの中で、不登校を減らしていくことはできる。カリキュラムそのものを変えるというよりも、そのカリキュラムの中で全員に分からせるために何をするかということで、クリアできることが多い。

【委員】不登校の子供は書字障害を合併する率が非常に高いと感じている。そのことからすると、先生方の教え方というよりも、評価の仕方そのものを変えていかなければならない。認知的な困難さとしての読めない、書けないというものが不登校に結び付いているという感覚はあるか。

【発表者】はっきりとは回答できないが、そういう子供たちも含めて、どのように授業を組み立てていくかというような発想に切り替えていくことで克服をしていくしかないと思う。

【委員】小学校、中学校の先生方の中に書字障害についての知識が入ることによって、防げる要素というのは相当たくさんあるのではないかと感じている。
また、中学校での生徒指導の在り方によって、中1で新たに不登校になる子供がいるという中で、教育環境そのものにもう少し手を入れる余地があるのではないかと感じる。

【発表者】もっと分かる授業というのを本気で先生方が考えていくと、それでもなおかつ克服できない子供が出てくる。そのとき、どのように環境を変えていこうかという話に行くのかもしれない。

【委員】初めから、これは認知障害であるという形での関わり、あるいは書字障害という形でカテゴリーを最初からはめてしまい、対応の仕方のフレーミングを決めてしまうということでは危険性があると思う。

【委員】認知的なつまずきは生まれたときからずっと持っており、問題が起きるまでの間にも学習が遅れていくという非常に深刻な問題があるため、早期に対応する必要が絶対にあると思う。

【委員】明らかにその問題が出てきたとき、それが分かったときというところから対応は始まる。それが生まれたときからの状況だとして決め付けるのではなく、関わりの問題があるのではないかと確認しながら対応していくことが必要である。

【委員】自らの考えで行動できるということが中高生にとっては求められているので、あと少し手を貸す必要がある場合はサポートステーションが入り社会参画につなげていくというのが必要と考える。

【委員】教育支援センターの職員と具体的にどのような件で同行した事例があったのかと、個人情報の問題ということで感じている点を伺いたい。

【発表者】自治体の生活保護世帯への対応事業の事例であり、NPOの職員と、自治体の職員等が一緒に動くというプログラムになっており、基本的には自治体の職員に情報提供して進めるというような形を取っている。具体的には、市内の中学校9校で一緒に同行している。
現場では、実は何々さんという人がいて、というように具体的に名前が挙がってくる。
こういうやり方は、問題があるとは思うが、それによってつながる子供はとても多い。そのため、こういう仕組みができないかと感じる。

(3)不登校児童生徒への支援に関する中間報告(骨子案)の説明を齊藤課長補佐が行った。説明に対する意見等の概要は次のとおり。

【委員】横浜市では、小・中連携ブロックとして、全ての小・中学校を142のブロックに分けて、小学校から中学校に入るとき、小学校側でクラスを分けておき、それを中学校側がまとめて学級編成するということをしている。不登校にも結果は出ているというような報告も受けている。小・中連携は本当に大事であるため、不登校対策として、強調していきたい。
基本的な考え方の中の、学校の柔軟な対応と、子供たちの可能性を伸ばす柔軟な対応という項目も、強調していきたい。通級の枠組みの中で、子供に合ったことをしっかり学ぶ場を作って、自尊感情、傷付けられた部分を回復するような場所を整備していくことも大事であると思う。
さらに、授業力がある学校では、不登校は減っていくということは実感している。授業力を上げることが未然防止という視点からとても大事であると思う。ただ一方では、非常に大きな困難な課題を背負った子供たちも多く、いろんな方面から、いろんな角度から、対応を考えていかなければならない。

【委員】重点方策の1つ目の個別の教育支援計画というところが特に重要であると思っている。中学校で、反社会的なことも含む問題行動等があったときに、その不適応はどこから来ているかというと、一番有効な情報は、小学校1年のときからの各教科が観点別に記載された指導要録である。
小学校、中学校間の情報をつなぎながら、本人のしんどさはどこから来ているのかをしっかり見られる仕組みを担保することが方向性として重要と感じる。
一方で、個人情報の問題等々をいかにクリアするかということも検討が必要であると思う。

【委員】教育機関外の組織との連携といった視点を盛り込んでほしい。問題が複雑であり、教員だけでは手に余るのが現状だと思う。福祉やサポートステーションなどの様々な機関と連携することは不登校改善に関しても一定の寄与があると思う。

【委員】長いスパンで、子供の困っている状況を多くの社会が共有できるような情報の上がり方というのが必要であると感じる。

【委員】子供たちの可能性を伸ばす学校の柔軟な対応、既存の学校になじめない子供に対する柔軟な対応、これが何より大事なことと捉えている。子供たちが将来的に幸せな人生を歩んでいけるかが一番大事であるということを考えると、高等学校がラストチャンスに近いものがある。そのため、中・高連携、あるいは高・大接続といったところはもう少し明確に捉えてもいいと思う。また、社会で自立していくための能力育成の在り方ということで、限られた時間で子供たちをどう変えるというよりも、それを一生懸命やった結果を社会が更に継続して育てていくということも非常に期待したいと思っている。そして、小・中・高・大・社会全部で連携して見ていくことに期待したい。

【委員】殊更に発達障害を強調しない方がいいのかなという気がする。発達障害とそうではないものの区別はなかなかできないということから、具体的に、字がうまく書けない、非常に読み誤りが多い、周囲の空気を読まず発言してしまうといった先生方が気付くような視点での見方を盛り込んでいくことの方が、教育の中においては重要であると感じる。こうした視点で、学校になじめない子供に対する柔軟な対応とか、個別の支援について判断していくのがいいと感じる。

【委員】重点方策の個別の教育支援計画について、小学校、中学校段階での不登校の背景、一人一人の子供の背景をきちんと把握するということが大前提にあると思う。
また、柔軟な対応や指導の改善について、学校の先生の中でも特に担任が、いかに発達障害などの傾向のある子供に指導するスキルを持てるかということは重要であって、もう少し教師の研修の在り方に対しても踏み込んでいった方がいいと考える。

【委員】組織的・計画的な支援について、重点方策として、教育支援計画というのは大きな流れであると思う。年齢に応じた小・中・高・社会の縦のつながりと、組織間の連携、教育相談機関、民間支援機関、関係行政機関といった横の連携を組織的に計画的に支援するという計画になるといいと思う。センター機能としての教育支援センターの役割というのは、全国的に見たときに、それだけの規模とか成り立ちがある教育支援センター、適応指導教室というのが実際にはなかなかない。教育支援センター、適応指導教室とは限らずに、その役目を果たす部分があったときに、学校が実際に子供に寄り添う際のバックアップ体制が整うと思う。

【委員】保護者と全く連絡が取れない。それから子供の顔も見えない。家庭訪問しても会えない。電話も出ない。そういう状況も実際にはそれぞれの学校で抱えているところがあると思う。
不登校の対策として、家庭へという矢印も必ず必要になってくる。

【委員】小学校では、家庭の問題で不登校になっている子供の割合も非常に高いと思う。特に低学年の段階では家庭の生活習慣が大きく影響していることが多く見られる。例えば、朝は起こす、朝食をとらせて送り出すことなど、規則正しい生活習慣の必要性を保護者へアプローチしていくことも欠かせないと思う。

【委員】保護者を支援する、あるいは保護者に信頼されるような面談、家庭訪問の仕方を、教育相談という分野の研修で若い先生たちに丁寧に伝えていくということも必要であると思う。

【委員】個人情報保護法に基づく情報の範囲について、深掘りしていくべきと考えている。それが、個別の教育支援計画に記載される内容にも関連してくる。

【委員】現場が一番欲しているのが事例である。事例があると、枝葉が付いて、どんどん現場でアレンジが可能になっていくため、失敗例も含めて、生きた事例というのは現場に非常に大きな勇気をもたらすと思う。また、よかれと思ってやっていることが、最終的には現場の先生に更なる疲労を押し付けるものであってはならないというところは気を使うべきであると思う。

【委員】横の機関との連携について、特に町や村では、福祉事務所を持たないため、家庭児童相談室というのも持たないという構造になるため、横の行政体との連携の在り方は幾つかバリエーションとして考えておく必要があると思う。
また、個人情報というのは使うために持っているわけで、その子の最善の利益のためにいかに活用するかという視点で絵を描かなければならない。中学校と高校間の個人情報については、法的な整理が枠の中でできることなのか、あるいは別の解釈が必要なのか検討が要ると思う。

(4)事務局より連絡
今後の予定
(以上)

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第一係

電話番号:03-5253-4111(内線3299)

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第一係)

-- 登録:平成28年04月 --