平成26年9月9日(火曜日)13時00分~15時00分
中央合同庁舎7号館西館13階共用第1特別会議室
赤堀座長、安彦副座長、荒瀬委員、梅原委員、香山委員、國領委員、西野委員、林田委員、東原委員、平方委員、門馬委員
中岡審議官、水田主任視学官、豊嶋情報教育課長、丸山教育財政室長、大槻国立教育政策研究所長 他
平田NHK学園高校副校長、福村長岡技術科学大学eラーニング研究実践センター長、梅嶋慶應義塾大学教育ICTワーキング主査、井上福岡県立東筑高等学校教諭
平田副校長が資料1に基づき事例発表を行った。
平田副校長の発表のポイントは、以下のとおり。
平田副校長からの事例発表には主に以下のような意見が出た。
(※以下、委員からの意見:○、事例発表者からの意見:●)
○ネット授業は同期なのか。
●同期である。ネット授業を行う日時をN学のWebページなどに記載しており、8割方の生徒が参加しており、チャットで出席確認を行う。
○時間割はどのように設定されているのか。各自で設定するのか、統一的に決まっているのか。
●時間割は最初のeコースのガイダンスの際に、ネット授業の時間などを告知している。NHK放送を使いながらの学習であり、全日制と同じ進度で行う。同期型のコンテンツも授業終了後、ネットサーバー上に保存しておくので繰り返し見ることが出来る。
○同期と非同期の生徒の参加割合はどのようになっているのか。
●同期型の方がかなりの割合を占めている。ネット授業について、80%が参加し20%が参加しないが、参加しない者も非同期型の授業を見る。不登校の生徒たちも学校に行けないだけで学びたいと思っており、教員の呼びかけに対し、素直にチャレンジしログインする。
○「飽き」の問題だが、この「飽き」というのは長年の問題である。同期の部分だと「飽き」がなく、非同期の部分でこの問題があると理解して良いか。パワーポイントのみだと飽きるかもしれないが、板書はするのか。
●同期は飽きないが、集中する時間は10~15分と限度がある。画面上に動きがないと飽きてしまい、ホワイトボードなども使うが、コンパクトに授業を行うとなると、スライドを用いることとなる。また、出来るだけ飽きさせないために図や音声、映像なども利用する。
○顔を出して質問するということはあるのか。
●V-CUBEシステムであれば、生徒の顔を出し、音声を発することも出来る。今日ご紹介したものは不登校生徒のためのシステムであるため、実践はしていない。(実面接指導の際に、生徒同士が一切顔を合わせないように席に座ろうとした経験から。)
○チャットに参加する人数の制限はあるのか、また教員のスキルの面で、すぐに教員は対応できたのか。
●チャット対応をするにはTTがいるので複数の教員で授業を構成する必要がある。システムでは50人まで入れるが、現在は30人規模で対応している。スキルについては、各高校において一番苦心しているが、ネット授業に限っていうと特別な研修などはしていないが、カメラの向こうに多くの生徒がいることを意識するように言っており、通常の通信制の授業を行うときと類似の意識を持つ。
福村センター長が資料2に基づき事例発表を行った。
福村センター長の発表のポイントは以下のとおり。
福村センター長の発表につき、委員からは主に以下のような意見が出た。
○それぞれの高専にも授業があるだろうが、そもそもこの取組の目的は何か。
●スポーツ工学や気象学など、自分の所属する学校にない授業を受講することや、自分の所属する学校における学習を補充することなど学習機会を増やすことが目的である。
○仮想空間というものを作り出しているとのことだが詳細に教えて欲しい。
●セカンドライフ内に長岡技術科学アイランドを作り、広場と教室を置く。登場人物はあくまでアバターで、アバター間でチャットを行う。そこで講義を受け、何らかの創作活動を行う。テレビ会議システムと異なるのは創作活動が出来るという点。
○受講生は1年生~3年生なのか。
●高専の4,5年に相当する者が受講者の大部分で、大学院生向けの科目もあり大学生も受けているが一部である。
○元々対面で行っている授業を撮影し、配信しているのか、それともeラーニング用に独自に作ったものを配信しているのか。
●eラーニングコンテンツは、授業の撮影動画のみではなく、eラーニング用に作成・編集している。
○バイオセンシングの研究目的は何か。
●教材改良のためである。何らかの活動をさせた際、受講者の学習意欲がどのように変わるのかを把握する。例えば、一人のデータを見ると5時間くらい見ると飽きてくることが心拍数から分かるため、教材を差し替えること等で、受講者の学習意欲を維持する。
○生徒に対してどのように評価しているか。
●単に登録しているだけの者と、真面目に受講している者とがある。eラーニングでない場合、普通は最初の授業から履修登録まで少しタイムラグがあるので、本当に履修したいかどうか再考してから履修するが、この取組ではタイムラグがないので、授業へ抱いていたイメージと実際の授業でギャップがあることがある。
梅嶋主査が資料3に基づき事例発表を行った。
梅嶋主査の発表のポイントは以下のとおり。
東筑高校の井上教諭より、以下のコメントがあった。
梅嶋主査の発表につき、委員からは主に以下のような意見が出た。
○多様な学びの一つとして遠隔教育はありうるだろうが、退職された方が必ずしも優れた教員とは限らないことや、女性で育休などを取得されるケースはあるが基本的には復職されるので、少し整理が必要ではないか。
●東筑高校はSSHに指定されており、学校設定科目で特別論理コミュニケーションという授業を設定しているため、特別に単位認定することが出来ている。
○どの授業の教員がいれば授業をして成立するのか。
○eラーニングシステムと組み合わせることで上手くいくというような話があったが、テレビ会議システムだけではなく他のインターネットとの組合せがあった方が効果的なのか。それともなくても十分なのか。
●当初はチャットを入れていたが、同期集合型なのでチャットがあるとSNS状態になってしまうためやめている。
○チャット以外にテキストなどをHPからダウンロードする、レポートを出す、生徒同士の掲示板のやりとりといった観点はいかがか。
●東筑高校はSSHに指定されており、新たな研究という観点から今後追加していこうと思っており、生徒からももっと双方向のやりとりが欲しいという具体的な声もあがっている。ただし、例えばメールアドレスを配布する場合、情報リテラシーを生徒に教えてからでないといけないと考えている。
○P6とP9の違いだが、免許の有無は問うのか。この資料では教科の違いがあっても正規授業として認めて欲しいと主張する資料なのか。また、集音マイクはどのように使おうと考えているのか。
●学校設定科目の場合、p6のとおりどのような教科の免許を持っているかは問わない。問題意識としては、英語の授業の場合、受信側は英語の教員でなくても良いのではないか、さらには、ICT補助支援員や退職した教員など免許を持たない人でも良いのではないかと提案している。また、中堅以下の学校では、意見があるかどうかを聞くと、黙ってしまうため、例えば後ろの方から音声を拾うことが出来れば、座席表をもとに、後ろの方の生徒を指名するといった使い方をする。他にも、教員間で遠隔授業の録画したものを復習する際、雑談が多かったなどという点につき省みることができる。
全ての事例発表が終わり、全体について自由討議を行った。
委員からの主な意見は以下のとおり。
○何のために遠隔教育をするのか、ということを忘れてはならない。その上で生徒のことをよく分かる教員や遠隔教育というものをよく分かっている教員が受信側の教室にいるということが大切であるが、受信側の教員が必ずその教科の免許を持っていなければならないということは柔軟化しても良いのではないか。
○離島や過疎地などにおいては一定の緩和をしてほしい。
○遠隔教育を対面授業の代替事案とするというものもあるが、アメリカの事案などを調べると生涯にわたる学習のためにはeラーニングが必要であり、社会に出てからも生涯学習を円滑に行うことが出来るために、eラーニングを学ぶスキルや学ぶ姿勢などを習得する必要があり、そのためにミシガンなどでは、授業の一部をeラーニングの形で受講しなければならないといった、各州独自の取組をしている。
○授業としての成立条件でどこまで揃えば授業なのかということを整理する必要がある。学習者の活動で変容も記録出来るようにする必要がある。
○テレビ会議システムを用いれば同期型は認めても良いと思うが、是非、非同期のeラーニングも認められるようにしてほしい。値段を安くすることも出来るだろう。単位を認めてよい遠隔教育の条件、たとえば、映像の解像度、遠隔の生徒の声やノートの内容をつかむための仕組みなど、必要な条件を整理する機会を確保して欲しい。
○生涯学習という観点からも、同期だけでなく非同期でも単位を認めて欲しい。
○学校設定科目などではなく通常の授業でどのようにして活用するかということを検討しなければならない。
○当初心配したように議論の対象範囲がいろいろと広がっているが、今回は一部の制限を外して、ある程度使える範囲を広げられるようにし、あとは将来に開かれた形にしてまとめると良いのではないか。また、満足度を基準とするのか、それとも理解度を基準とするのか、という基準についても検討が必要である。
○離島等は逼迫した状況なので対応が必要。
○子供が学ぶに際して、より広くより深く継続的に学べるようにしなければならない。
○技術面では、映像よりも音声が重要である。また離島、過疎地だけでなく、都市部で多様性の確保のため、という側面も認めることが必要という思いはあるが、改革は一歩ずつ着実に進めることが大切である。
○一律の基準を設けることは難しいが、思い切って各都道府県教育委員会が一定の条件を満たせば認められるといったルール作りが出来ないか。
○教育活動が成り立たない地域においては、どんどん進めるべきだが、どこまでの範囲で認めるかは今後議論が必要。
事務局より次回のスケジュールについて説明後、終了。
初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室