高等学校における遠隔教育の在り方に関する検討会議(第1回) 議事要旨

1.日時

平成26年7月4日(金曜日)15時00分~17時00分

2.場所

三番町共用会議所 大会議室

3.議題

  1. 高等学校における遠隔教育の現状等について
  2. その他

4.出席者

委員

赤堀座長、安彦副座長、荒瀬委員、向後委員、西野委員、東原委員、平方委員、村田委員、門馬委員

文部科学省

前川初等中等教育局長、義本審議官、徳久総括審議官、望月主任視学官、小林教育制度改革室長、豊嶋情報教育課長、丸山教育財政室長、大杉教育課程企画室長、永井視学官 他

5.議事要旨

座長の選任、議事の公開等の手続きを終え、事務局より資料3,4、参考資料を説明後、自由討議が行われた。
委員からの主な意見は以下のとおり。
(※委員からの意見:○、事務局からの意見:●)

○地域的に限られたことを議論するのか、高校全般に係る議論をするのか、議論の範囲を定める必要があるのではないか。
●離島などに限らず、大学との連携などの多様な学びへの支援や不登校生徒や特別な支援が必要な生徒への支援も含めた遠隔教育の在り方についても議論いただきたい。
○ICTが安易に学校に来なくて良い理由になるのではなく、ICTをきっかけに学校に来るような方向で検討を進めるべき。
○遠隔教育の形態は、双方向・集団、双方向・個別、一方向・集団、一方向・個人というものがあり、その中で双方向・集団のものは授業として認めて良いのではないか。
○家庭における個人学習も議論の範囲に含めるのか。
●学校での学習を想定しているが不登校や特別な支援が必要な生徒の家庭における支援も議論の対象とし、排除していない。
○遠隔教育とは何か定義する必要があると考える。北海道有朋高校の事例では、遠隔授業でも離れているというだけで対面の授業であるため、「直接対面」と直接に準ずる「遠隔対面」と定義をした。遠隔教育というと「ICTを使う」ということが前提となっているが、今行っている遠隔教育はテレビ会議システムを活用したものであり、まずは離れた場で顔を合わせるということがあって、その次にICTがあるのではないか。
○信州大学における遠隔授業では、LMS(ラーニングマネジメントシステム)を併用して、テキストを配布したり、質問を書き込むといったコミュニケーションを行い、効果をあげているので、ICTなしのテレビ会議だけで遠隔教育を行うというのは信州大学ではもはや考えられない。
○信州大学には附属中学校が2校あるが、その中学校同士で遠隔で授業連携したり、教育実習の様子を遠隔から参観しているが、その経験から、受信側が配信側のカメラを自由に動かし、状況に応じ見たい部分を見られるようにすることが重要であると感じている。
○高校においても、社会人の生涯学習ニーズに応えるという観点も必要なのではないか。
○大学においてはかなり先行しているが、海外の高等学校において遠隔教育を行っている事例はあるのか。
○アメリカのフェニックス大学では、完全に通学しないで卒業できるようだ。また、韓国でも遠隔教育は進んでおり、eラーニングではなく、タブレットなどを持ち歩きどこでも学べる、モバイルラーニングになってきているようだ。
○対面で行うというのが本当の授業で、他のものはあくまで補助的なものであるという認識が教員にあり、「減免措置」という表現もその認識の現れとなっている。生徒はスマホを持つなど変わっているのに、教師が対面でないと授業でない、という固定観念が変わっておらず、これが変わらないといけないと思う。
○高校現場が非常に遅れているのは事実だが、高校生が自主的にMoocを受講するなど、単位とは違うところでは進んでいる。ある時に一気に解禁し混乱が生じてしまわないように整備しなければならない。
○減免や免除とあるのは、対面がベストだが、条件をつければ一定の範囲で認めるというニュアンスである。
○今後の議論も含めると、むしろこれからはICT技術も進んでいるので、対面がベストなのかどうか、という観点も忘れないようにしないと、限定的な議論になってしまうので留意が必要。
○ICTを手段として用い一定の効果があるのは現状だが、単位として認めることについて一歩進んだ検討が必要。
○ICTを使って全て遠隔授業を行うことも技術的には可能だろうが、コミュニケーションをとらないで単位認定するというのは、高校段階で集まって学ぶということに意味がある以上、認めるべきでない。ただし物理的に学校に来ることが困難な生徒への配慮について議論が必要。
○全日制を基本形とすると、教師と生徒が離れていても同じように単位を認めても良いのかということだと思う。例えば書道の篆刻(てんこく)をやっていても、離れていた方がむしろ彫りの深さやスピードなどが見えて効果が高いということも研究で分かった。
○北海道の研究開発事例では、受信側に専門の先生がいる場合、表現力や技能の向上といった専門性という意味ではより効果的である一方で、受信側に専門でない先生がいる場合は、生徒目線に立つアドバイスができている。他に英語のヒアリングのテストの場合は、英語の専門外だと難しいというところはあるようだ。
○高校段階においては、配信側の教師が生徒と直接触れあったこともなく授業を行うことは、生徒指導的な観点からも課題がある。
○チームティーチングという形でICTを使うと、若手教員がベテラン教員の授業を見ることができる。
○生徒だけだと安全確保が難しいため、配信側・受信側の両方に教員がいないと高校においては成り立たない。また全日制の高校の授業を再現するのではなく、授業形態を再構築することが必要になり、新たな指導力が必要になる。新たな授業形態になれば受信側に専門の教員がいる必要はなくなるかもしれない。
○専任の教員が置けない場合でも質が確保された授業をするということにはどういう条件が必要かということを考えるべきだろう。専任教員を減らし安上がりで高校教育を行っても良いとならないようにすべき。

最後に、事務局から今後のスケジュールについて説明後終了。

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初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)